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特許7550141植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/40 20060101AFI20240905BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240905BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20240905BHJP
   A01G 7/06 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A01N43/40 101D
A01P3/00
A01N25/00 102
A01G7/06 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021515043
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074640
(87)【国際公開番号】W WO2020058160
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】18195489.2
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19153302.5
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519295993
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】マッキー ケネス
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/066644(WO,A1)
【文献】特表2015-514077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A01G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための方法であって、穀物植物の作物、その場所又はその種子に、式(Ic)
【化1】

の化合物であって、式中、R11、R12及びAは、以下の表:


において定義されるとおりである化合物、又はその塩若しくはN-オキシド、或いは前記化合物の互変異性体施用する工程を含む方法。
【請求項2】
前記化合物は、種子に施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記種子への施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項5】
穀物植物を栽培するための方法であって、その種子を、請求項1に記載の化合物で施用又は処理する工程を含む方法。
【請求項6】
施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲である、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
菌核病は、コムギの収量を最も減少させる病害の1つである。菌核病は、主に植物病原性真菌フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)によって引き起こされる。全米各地で、菌核病に起因する冬小麦の平均損失は、太平洋岸北西部の広い範囲にわたって9.5%もの高さであると推定されており、同様の損失は、米国の他の西部の州において見られる。北米を超えて、菌核病は、オーストラリアにおいて特に懸念されている病害である。ここ30年で、菌核病は、オーストラリアの北部の穀物生産地域において相対的に最も重要な病害になった。専門家は、オーストラリアにおける菌核病のまん延の最近の急拡大は、穀物が短い周期の輪作で生育されること及び刈株保持の慣習がより普及したことに起因すると考えている。さらに、環境条件が許す季節において、菌核病は、オーストラリアにおいて最大で100%及び北米において最大で65%だけコムギの収量を減少させ得る。
【0003】
したがって、植物病原性真菌フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)に関連する病害を処置するための改良された方法を見出すことが継続的に必要とされている。したがって、本発明は、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するためのさらなる方法を提供する。
【0004】
シクロブチルカルボキサミド化合物及びそれらの調製方法は、国際公開第2013/143811号及び国際公開第2015/003951号に開示されている。ここで、国際公開第2013/143811号及び/又は国際公開第2015/003951号に開示される特定のシクロブチルカルボキサミド化合物は、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するのに非常に有効であることが意外にも分かった。したがって、これらの非常に有効な化合物は、穀物植物、特にコムギ及びオオムギ、より特にコムギにおける菌核病を防除又は防止するための、農業従事者にとって重要な新たな解決策となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、実施形態1として、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、式(I)
【化1】
(式中、
Yは、O、C=O又はCR12R13であり、
Aは、酸素、窒素及び硫黄からそれぞれ独立して選択される1~3つのヘテロ原子を含有する5員若しくは6員芳香族複素環又はフェニル環であり、芳香族複素環又はフェニルは、1つ以上のR6によって任意選択的に置換され、
R6は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-ハロアルコキシ、C1~C4-ハロアルキルチオ、C1~C4-アルコキシ-C1~4-アルキル又はC1~C4-ハロアルコキシ-C1~C4-アルキルであり、
R1、R2、R3、R4、R12及びR13は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-ハロアルキルであり、
R5は、水素、メトキシ又はヒドロキシルであり、
Bは、1つ以上のR8によって置換されるフェニルであり、
R8は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ又は基-L-R9であり、ここで、各Lは、互いに独立して、結合、-O-、-OC(O)-、-NR7-、-NR7CO-、-NR7S(O)n-、-S(O)n-、-S(O)nNR7-、-COO-又はCONR7-であり、
nは、0、1又は2であり、
R7は、水素、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり、ここで、ベンジル及びフェニルは、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル若しくはC1~C4-ハロアルキルで置換され、
R9は、互いに独立して、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC1~C6-アルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC3~C6-シクロアルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC6~C14-ビシクロアルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC2~C6-アルケニル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC2~C6-アルキニル、非置換であるか若しくはR10によって置換されるフェニル、又は非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるヘテロアリールであり、
R10は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-ハロアルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C1~C4-ハロアルキルチオ、C3~C6-アルケニルオキシ、又はC3~C6-アルキニルオキシである)
による化合物又はその塩若しくはN-オキシドであって、B及びA-CO-NR5は、4員環上で互いに対してシスである、化合物又はその塩若しくはN-オキシド或いはこれらの化合物の互変異性体又は立体異性体を施用する工程を含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
実施形態1に記載のより好ましい方法が以下の実施形態に示される。
【0007】
実施形態2として、
Yは、O又はCH2であり、
Aは、1~2つの窒素原子を含有する6員芳香族複素環又はフェニル環であり、芳香族複素環又はフェニルは、1つ以上のR6によって任意選択的に置換され、
R6は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル又はC1~C4-ハロアルコキシであり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素であり、
Bは、1つ以上のR8によって置換されるフェニルであり、
R8は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-ハロアルコキシ及びC3~C6-シクロアルキルから選択される、実施形態1に記載の方法が提供される。
【0008】
実施形態3として、Aは、1~2つの窒素原子を含有し、且つR6から選択される1~3つの置換基を有する6員芳香族複素環、又はR6から選択される1つ若しくは3つの置換基を有するフェニル環である、実施形態1又は実施形態2に記載の方法が提供される。
【0009】
実施形態4として、Bは、1~3つの置換基R8によって置換されるフェニルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0010】
実施形態5として、
Bは、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、シクロプロピル、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシから独立して選択される1~3つの置換基によって置換されるフェニルであり、
Aは、フェニル、ピリジル又はピラジニルであり、それらの環は、互いに独立して、非置換であるか、又はクロロ、ブロモ、フルオロ、メチル、シアノ及びトリフルオロメチルから独立して選択される1~3つの置換基によって置換され、Yは、O又はCH2であり、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0011】
実施形態6として、
Yは、CH2であり、
Bは、モノ又はジ-ハロゲン置換フェニルであり、
Aは、フェニル、ピラジニル及びピリジルから選択され、これらのそれぞれは、ハロゲン及びC1~C4-ハロアルキルから独立して選択される置換基によって一置換又は二置換され、
R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0012】
実施形態1~6のいずれか1つに開示される式(I)の化合物は、左側のフェニル環及び右側のA-C(=O)-NH基がシクロブチル環上で互いに対してシスである、シスラセミ化合物:
【化2】
を表す。
【0013】
したがって、式(I)のラセミ化合物は、式(Ia)及び(Ib)の化合物の1:1混合物である。式(Ia)及び(Ib)の化合物中に示されるくさび形の結合は、絶対立体化学を表す一方、式(I)の化合物について示されるものなどの太い直線の結合は、ラセミ化合物における相対立体化学を表す。
【0014】
また、式(I)の化合物の1つの鏡像異性体は、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するのに特に有用であることが意外にも分かった。
【0015】
したがって、実施形態7として、化合物は、式(Ia)
【化3】
のものである、実施形態1に記載の方法が提供される。
【0016】
当業者は、実施形態1に記載の方法に従い、式(Ia)の化合物が一般に殺有害生物組成物の一部として施用されることを認識している。したがって、実施形態8として、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物及び1つ以上の製剤助剤を含む殺有害生物組成物を施用する工程を含む方法が提供される。実施形態9として、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、式(Ia)の化合物及び1つ以上の製剤助剤を含む殺有害生物組成物を施用する工程を含む方法が提供される。実施形態9に記載の方法において、式(Ia)の化合物及び式(Ib)の化合物の両方を含む殺有害生物組成物では、式(Ia)の化合物対その鏡像異性体(式(Ib)の化合物)の比率は、1:1を超えなければならない。好ましくは、式(Ia)の化合物対式(Ib)の化合物の比率は、1.5:1超、より好ましくは、2.5:1超、特に4:1超、有利には9:1超、望ましくは20:1超、特に35:1超である。
【0017】
50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、特に20%以下、有利には10%以下、望ましくは5%以下、特に3%以下の、式(I)の化合物のトランス立体異性体(すなわち、式中、B及びA-C(=O)-NH基は、互いに対してトランスである)を含有する混合物は、本発明の一部であることも理解される。好ましくは、式(I)の化合物対そのトランス異性体の比率は、1.5:1超、より好ましくは2.5:1超、特に4:1超、有利には9:1超、望ましくは20:1超、特に35:1超である。
【0018】
好ましくは、式(Ia)の化合物、そのトランス異性体(すなわち、式中、B及びA-CO-NR2基は、互いに対してトランスである)及び式(Ib)の化合物を含む組成物において、組成物は、式(Ia)の化合物、そのトランス異性体及び式(Ib)の化合物の総量をそれぞれ基準にして少なくとも50%、より好ましくは70%、さらにより好ましくは85%、特に90%超、特に好ましくは95%超の濃度の式(Ia)の化合物を含む。
【0019】
さらに、実施形態10として、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止する方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、式(Ic)
【化4】
(式中、
R11及びR12は、独立して、ハロゲンから選択され、
Aは、ハロゲン及びC1~C4-ハロアルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基によって置換されるピリジルである)
による化合物を施用する工程を含む方法が提供される。
【0020】
実施形態11として、
R11及びR12は、独立して、クロロ及びフルオロから選択され、
Aは、1つ又は2つのC1~C4-ハロアルキル置換基によって置換されるピリダ-2-イル又はピリダ-3-イルである、実施形態10に記載の方法が提供される。
【0021】
実施形態12として、
Aは、
【化5】
から選択され、
R13は、C1~C4-ハロアルキル、好ましくはトリフルオロメチルである、実施形態10又は11に記載の方法が提供される。
【0022】
実施形態13として、化合物は、式(Ic)
【化6】
の化合物1~7のいずれか1つから選択され、式中、R11、R12及びAは、以下の表において定義されるとおりである、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0023】
【表1】
【0024】
実施形態14として、化合物は、式(Ic)
【化7】
のものであり、式中、R11、R12及びAは、以下の表において定義されるとおりである、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0025】
【表2】
【0026】
実施形態14に記載の化合物、すなわち化合物1は、コムギ種子のための種子処理として使用される際、フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)に対する意外なほど強い生物学的活性を示した。特に、化合物1は、市販の種子処理(生物学的実施例の項を参照されたい)と比較して白穂(white head)の量の減少の増加を示しただけでなく、化合物1は、市販の処理と比較してコムギの収量も大幅に増加させた。実際に、収量は、他の市販の処理と比較して、種子処理として化合物1を施用した際、2倍超も増加した。ある種類の化合物が特定の種のフザリウム属(Fusarium)真菌(生物学的実施例を参照されたい)に対して及ぼす活性のレベルを予測することができないことを当業者は認識しているため、これは、意外である。
【0027】
実施形態15として、穀物植物は、コムギ又はオオムギ、特にコムギである、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0028】
実施形態16として、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物は、種子処理として施用される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法が提供される。特に、種子への好ましい施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲である。
【0029】
実施形態17として、
- 実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物、特に化合物1を含む組成物を提供する工程と、
- 種子に組成物を施用する工程と、
- 種子を植え付ける工程と
を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0030】
実施形態18として、
- 実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物、特に化合物1を含む組成物を提供する工程と、
- 植物の作物又はその場所に組成物を施用する工程と
を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法が提供される。
【0031】
実施形態19として、植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための、特にコムギ及びオオムギ、より特にコムギの被害を防除又は防止するための、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物の使用が提供される。
【0032】
実施形態20として、穀物植物を栽培するための方法であって、穀物植物又はその種子を、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物で施用又は処理する工程を含む方法が提供される。
【0033】
別の実施形態21として、実施形態20に記載の方法は、種子処理として適用される。特に、種子への好ましい施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲、より特に1つの種子当たり0.002~0.015mgのAIの範囲である。
【0034】
実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法において定義される化合物の調製は、参照により本明細書に援用される国際公開第2013/143811号及び国際公開第2015/003951号に開示されている。
【0035】
定義:
「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード、特にフルオロ、クロロ又はブロモを表す。
【0036】
本明細書において使用される際の「アルキル」又は「alk」という用語は、単独で又はより大きい基(アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル及びアルキルカルボニルなど)の一部として、直鎖状又は分枝鎖状であり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-ペンチル又はn-ヘキシルである。アルキル基は、好適には、C1~C4-アルキル基である。
【0037】
本明細書において使用される際の「ハロアルキル」は、同じであるか又は異なるハロゲン原子の1つ以上で置換される、上に定義されるアルキル基であり、例えばCF3、CF2Cl、CF2H、CCl2H、FCH2、ClCH2、BrCH2、CH3CHF、(CH32CF、CF3CH2又はCHF2CH2である。
【0038】
実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法及び使用は、好ましくは、他の殺真菌剤に耐性があるフザリウム属(Fusarium)真菌を含むフザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による作物の被害を防除又は防止するためのものである。特定の殺真菌剤に「耐性がある」フザリウム属(Fusarium)真菌は、例えば、フザリウム属(Fusarium)の同じ種の予測される感受性と比較して、その殺真菌剤に対する感受性が低いフザリウム属(Fusarium)の菌株を指す。予測される感受性は、例えば、殺真菌剤に以前に曝されたことのない菌株を用いて測定され得る。
【0039】
実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法又は使用に係る施用は、好ましくは、植物の作物、その場所又はその種子に対するものである。好ましくは、施用は、植物の作物又はその種子、より好ましくは種子に対するものである。本発明の化合物の施用は、通常の施用形態、例えば葉面施用、潅注、土壌施用、畝間施用などのいずれかに従って行われ得る。
【0040】
実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物は、1~500g/haで有害生物防除のために好ましくは使用される。
【0041】
実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物は、除草剤などの有効成分に耐性があるように遺伝子組み換えされたものを含む任意の穀物植物に対して使用するか、又は植物有害生物による被害を防除する生物学的に活性な化合物を生成するのに好適である。
【0042】
一般に、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物は、担体を含有する組成物(例えば、製剤)の形態で使用される。実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物及びその組成物は、エアゾールディスペンサ、カプセル懸濁液、冷煙霧濃縮物、粉剤、乳化性濃縮物、水中油乳剤、油中水乳剤、カプセル化した粒剤、細粒剤、種子処理のためのフロアブル剤、(加圧)ガス、ガス生成剤、粒剤、温煙霧濃縮物、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液体、ペースト、植物用棒状剤、乾燥種子処理のための粉剤、農薬で被覆された種子、可溶性濃縮物、可溶性粉剤、種子処理のための液剤、懸濁濃縮物(フロアブル剤)、微量散布用(ulv)液剤、微量散布用(ulv)懸濁剤、顆粒水和剤又は水分散性錠剤、スラリー処理のための水和剤、水溶性粒剤又は水溶性錠剤、種子処理のための水溶性粉剤及び水和剤などの様々な形態で使用され得る。
【0043】
製剤は、典型的に、液体又は固体担体及び任意選択的に固体又は液体助剤であり得る1つ以上の通常の製剤助剤、例えば非エポキシ化又はエポキシ化植物油(例えば、エポキシ化ヤシ油、ナタネ油又はダイズ油)、消泡剤、例えばシリコーン油、防腐剤、粘土、無機化合物、粘性調節剤、界面活性剤、結合剤及び/又は粘着付与剤を含む。この組成物は、本発明の化合物と、殺菌剤、殺真菌剤、抗線虫剤、植物活性化剤、殺ダニ剤及び殺虫剤などの1つ以上の他の生物学的に活性な物質との組合せを含むだけでなく、肥料、微量栄養素供与体又は植物の成長に影響を与える他の調製物もさらに含み得る。
【0044】
この組成物は、例えば、本発明の固体化合物を粉砕し、篩にかけ、且つ/又は圧縮することにより、助剤の非存在下において、及び例えば本発明の化合物を1つ又は複数の助剤と均質混合し、且つ/又は粉砕することにより、少なくとも1つの助剤の存在下においてそれ自体公知の方法で調製される。本発明の固体化合物の場合、化合物の粉砕/ミリングは、特定の粒径を確保するために行われる。
【0045】
農業に使用するための組成物の例は、乳剤、懸濁濃縮物、マイクロエマルション、油分散性の直接噴霧可能又は希釈可能な液剤、延展可能なペースト、希釈乳剤、可溶性粉剤、分散性粉剤、水和剤、ダスト剤、粒剤又はポリマー物質中への封入物であり、これは、- 少なくとも - 実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物を含み、組成物のタイプは、意図される目的及びそのときの状況に合わせて選択されるべきである。
【0046】
通常、組成物は、0.1~99%、特に0.1~95%の、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物及び1~99.9%、特に5~99.9%の少なくとも1つの固体又は液体担体を含み、通常、組成物の0~25%、特に0.1~20%が界面活性剤であることが可能である(%は、いずれの場合にも重量パーセントを意味する)。濃縮された組成物が商品に好ましい傾向があるが、最終消費者は、通常、かなり低い濃度の有効成分を有する希釈組成物を使用する。
【0047】
プレミックス組成物のための茎葉製剤タイプの例は、以下のとおりである:
GR:粒剤
WP:水和剤
WG:水和性顆粒(粉剤)
SG:水溶性粒剤
SL:可溶濃縮剤
EC:乳化性濃縮物
EW:水中油乳剤
ME:マイクロエマルション
SC:水性懸濁濃縮物
CS:水性カプセル懸濁剤
OD:油系懸濁濃縮物、及び
SE:水性サスポエマルション(suspo-emulsion)。
【0048】
一方、プレミックス組成物のための種子処理製剤タイプの例は、以下のとおりである:
WS:種子処理スラリーのための水和剤
LS:種子処理のための液剤
ES:種子処理のための乳剤
FS:種子処理のための懸濁濃縮物
WG:水和性顆粒、及び
CS:水性カプセル懸濁剤。
【0049】
タンクミックス組成物に好適な製剤タイプの例は、液剤、希釈乳剤、懸濁剤又はそれらの混合物及びダスト剤である。
【0050】
製剤の性質と同様に、葉面施用、潅注、噴霧、霧化、散布、拡散、塗布又は注ぎかけなどの施用方法は、意図される目的及びそのときの状況に応じて選択される。
【0051】
タンクミックス組成物は、一般に、異なる有害生物防除剤及び任意選択的にさらなる助剤を含有する1つ以上のプレミックス組成物を溶媒(例えば、水)で希釈することによって調製される。
【0052】
好適な担体及び補助剤は、固体又は液体であり得、製剤化技術に通常用いられる物質、例えば天然又は再生鉱物物質、溶媒、分散剤、湿潤剤、粘着付与剤、増粘剤、結合剤又は肥料である。
【0053】
一般に、葉面施用又は土壌施用のためのタンクミックス製剤は、0.1~20%、特に0.1~15%の所望の成分及び99.9~80%、特に99.9~85%の固体又は液体助剤(例えば、水などの溶媒を含む)を含み、助剤は、タンクミックス製剤を基準にして0~20%、特に0.1~15%の量の界面活性剤であり得る。
【0054】
典型的に、葉面施用のためのプレミックス製剤は、0.1~99.9%、特に1~95%の所望の成分及び99.9~0.1%、特に99~5%の固体又は液体補助剤(例えば、水などの溶媒を含む)を含み、助剤は、プレミックス製剤を基準にして0~50%、特に0.5~40%の量の界面活性剤であり得る。
【0055】
通常、種子処理施用のためのタンクミックス製剤は、0.25~80%、特に1~75%の所望の成分及び99.75~20%、特に99~25%の固体又は液体助剤(例えば、水などの溶媒を含む)を含み、助剤は、タンクミックス製剤を基準にして0~40%、特に0.5~30%の量の界面活性剤であり得る。
【0056】
典型的に、種子処理施用のためのプレミックス製剤は、0.5~99.9%、特に1~95%の所望の成分及び99.5~0.1%、特に99~5%の固体又は液体補助剤(例えば、水などの溶媒を含む)を含み、助剤は、プレミックス製剤を基準にして0~50%、特に0.5~40%の量の界面活性剤であり得る。
【0057】
市販の製品は、好ましくは、濃縮物(例えば、プレミックス組成物(製剤))として製剤化されるであろうが、最終使用者は、通常、希釈製剤(例えば、タンクミックス組成物)を用いるであろう。
【0058】
好ましい種子処理プレミックス製剤は、水性懸濁濃縮物である。この製剤は、流動床技術、ローラーミル法、ロトスタティック種子処理機及びドラムコータなど、従来の処理技術及び機械を用いて種子に施用され得る。噴流床などの他の方法も有用であり得る。種子は、塗布前に予め分級され得る。塗布後、種子は、典型的に、乾燥され、次に分級のために分級機に移される。このような手順は、当技術分野において公知である。本発明の化合物は、土壌及び種子処理用途に使用するのに特に適している。
【0059】
一般に、本発明のプレミックス組成物は、0.5~99.9、特に1~95、有利には1~50質量%の所望の成分及び99.5~0.1、特に99~5質量%の固体又は液体補助剤(例えば、水などの溶媒を含む)を含有し、助剤(又は補助剤)は、プレミックス製剤の質量を基準にして0~50、特に0.5~40質量%の量の界面活性剤であり得る。
【0060】
コムギ黄斑病菌(Pyrenophora Tritici-Repentis)及びコムギ葉枯病菌(Septoria Tritici)から選択される植物病原性微生物による穀物植物、特にコムギの被害を防除又は防止する方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物を施用する工程を含む方法が提供される。
【0061】
ここで、本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示される。全ての引用文献は、参照により援用される。
【実施例
【0062】
生物学的実施例
(A)フザリウム属(Fusarium)の真菌に対する殺真菌活性の変動性の実証
この試験の目的は、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)及びフザリウム・サブグルチナンス(Fusarium subglutinans)に対する3つの市販の殺真菌化合物のインビトロ活性を評価することであった。
【0063】
処理:
製品1-ジフェノコナゾール(Dividend(商標)FS030)、30gのai/1000ml
製品2-チアベンダゾール(Tecto(商標)SC500)、500gのai/1000ml
製品3-フルジオキソニル(Celest(商標)FS25)、25gのai/1000ml
【0064】
試験用量:
100、10、1、0.1、0.01、0mgのai/l(ppm)
【0065】
試験生物:
1.フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、Kansas、USAからのトウモロコシ種子から単離された菌株K6102
2.フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)、菌株:CBS 109956(菌株番号CBS 109956;フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)のステータスホロタイプ菌株、文献Aoki,T.&O’Donnell,K.1999,Mycologia 91(4):597-609。Burgess&Lester,1980によって収集された。オオムギ(Hordeum vulgare)(イネ科(Gramineae))、クラウン(crowns)Location Australia,New South Wales)から単離された。
3.フザリウム・サブグルチナンス(Fusarium subglutinans)、Lombez,Franceからのトウモロコシ種子から単離された菌株K6135。
【0066】
栄養培地:
培地を、以下の処方に従って調製した。
グリセロール 20ml
酵母抽出物 10g
Oxoid寒天no. 320g
MgSO4×7H2O 0.5g
NaNO3 6.0g
KCl 0.5g
KH2PO4 1.5g
H2O 900ml
【0067】
菌糸体成長試験:
栄養培地を121℃で20分間にわたって加熱滅菌し、次に55℃に冷却した。殺真菌剤を滅菌水中で希釈し、最終濃度(100、10、1、0.1、0.01、0ppm)になるまで培地と混合した。各皿に、栄養培地上で生育しているそれぞれのフザリウム属(Fusarium)の2~3日齢の源コロニーの辺縁からカットされた菌糸ディスク(直径6mm)を接種した。暗所における20℃で3日間のインキュベーション期間後、寒天ディスクを含め、菌糸体の直径を測定し、データを活性%に換算した。殺真菌剤濃度に対する成長活性パーセンテージをプロットすることによって用量反応曲線を描いた。EC 50値を、グラフを用いて決定した。EC 50は、50%の成長阻害が起こる用量である。
【0068】
概要:
以下の表は、決定されたEC50値を示す。
【0069】
【表3】
【0070】
結論:
製品1は、F.グラミネアルム(F.graminearum)及びF.サブグルチナンス(F.subglutinans)に対する良好な活性を示したが、F.グラミネアルム(F.graminearum)と比較してF.プソイドグラミネアルム(F.pseudograminearum)に対する活性が19倍低かった。
【0071】
製品2は、F.グラミネアルム(F.graminearum)と比較してF.プソイドグラミネアルム(F.pseudograminearum)に対する活性が5倍低かった。F.サブグルチナンス(F.subglutinans)に対する活性は、その中間であった。
【0072】
製品3は、F.グラミネアルム(F.graminearum)及びF.プソイドグラミネアルム(F.pseudograminearum)に対して非常に活性であった(F.グラミネアルム(F.graminearum)に対してより活性であったが)が、F.サブグルチナンス(F.subglutinans)に対して非常に弱かった。
【0073】
これは、特定の殺真菌有効成分が、多くの異なるフザリウム属(Fusarium)亜種に対する同様の生物学的活性を有するという予測がないことを示す。
【0074】
(B)コムギにおける菌核病に対する種子処理の効果
コムギへの菌核病の導入:
この病害は、主にフザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)真菌によって引き起こされる。苗木の減少が起こり得る一方、感染の主な兆候は、根元の褐色化であり、季節的条件が植え付け期の後期にかなりの植物ストレスを誘発する場合、白穂が発生し、それに関連した収量の低下が発生する。
【0075】
5つのコムギ試験場所をオーストラリアの主なコムギ栽培地域にわたって選択した。5つの全ての場所は、菌核病の過去の発生及び感染しやすい輪作作物からの高い刈株量を有する。土壌サンプルを、病原体圧力を確認するために取った。種子を100kgの種子当たり800mlのスラリー体積においてロトスタット種子処理機で処理した。試験のための植え付けを、6~8列のプランターを用いて6月2日~6月14日に行った。植物の数を2×5mの列における播種の35~65日後に計数した。1区画当たりの白穂を有するコムギ植物の数を完熟期に評価し、対照として取った非処理の植物と比較した%として記録した。穀物の収量データをシーズンの終わりに取った。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
結論:
全ての処理T2~T5は、シーズン初めに非処理対照より作物生育を改善した。白穂の数が減少し、これは、シーズンの終わりに収量の増加をもたらした。
【0084】
しかしながら、処理T2中の化合物1は、明らかに最良の処理であり、意外にもT1と比較して34パーセントの白穂の減少及びT1と比較して26パーセントの収量の利益を示した。処理T3、T4及びT5は、全て同様に機能し、T1と比較して11~15パーセントの範囲で収量を増加させた。これらの発見は、本発明の方法において実施形態1の化合物を使用することの意外な効果を示す。特に、化合物1は、意外にも26パーセントの収量の増加を示し、これは、現行の市販の処理(T3~T5)について見られる収量の増加の2倍を超える。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための方法であって、植物の作物、その場所又はその種子に、式(I)

(式中、
Yは、O、C=O又はCR12R13であり、
Aは、酸素、窒素及び硫黄からそれぞれ独立して選択される1~3つのヘテロ原子を含有する5員若しくは6員芳香族複素環又はフェニル環であり、前記芳香族複素環又は前記フェニルは、1つ以上のR6によって任意選択的に置換され、
R6は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-ハロアルコキシ、C1~C4-ハロアルキルチオ、C1~C4-アルコキシ-C1~4-アルキル又はC1~C4-ハロアルコキシ-C1~C4-アルキルであり、
R1、R2、R3、R4、R12及びR13は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-ハロアルキルであり、
R5は、水素、メトキシ又はヒドロキシルであり、
Bは、1つ以上のR8によって置換されるフェニルであり、
R8は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ又は基-L-R9であり、ここで、各Lは、互いに独立して、結合、-O-、-OC(O)-、-NR7-、-NR7CO-、-NR7S(O)n-、-S(O)n-、-S(O)nNR7-、-COO-又はCONR7-であり、
nは、0、1又は2であり、
R7は、水素、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり、ここで、ベンジル及びフェニルは、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル若しくはC1~C4-ハロアルキルで置換され、
R9は、互いに独立して、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC1~C6-アルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC3~C6-シクロアルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC6~C14-ビシクロアルキル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC2~C6-アルケニル、非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるC2~C6-アルキニル、非置換であるか若しくはR10によって置換されるフェニル、又は非置換であるか若しくは1つ以上のR10によって置換されるヘテロアリールであり、
R10は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-ハロアルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C1~C4-ハロアルキルチオ、C3~C6-アルケニルオキシ、又はC3~C6-アルキニルオキシである)
による化合物又はその塩若しくはN-オキシドであって、B及びA-CO-NR5は、4員環上で互いに対してシスである、化合物又はその塩若しくはN-オキシド或いは前記化合物の互変異性体又は立体異性体を施用する工程を含む方法。
〔2〕Yは、O又はCH 2 であり、
Aは、1~2つの窒素原子を含有する6員芳香族複素環又はフェニル環であり、前記芳香族複素環又は前記フェニルは、1つ以上のR6によって任意選択的に置換され、
R6は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル又はC1~C4-ハロアルコキシであり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素であり、
Bは、1つ以上のR8によって置換されるフェニルであり、
R8は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-ハロアルコキシ及びC3~C6-シクロアルキルから選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕Aは、1~2つの窒素原子を含有し、且つR6から選択される1~3つの置換基を有する6員芳香族複素環、又はR6から選択される1つ若しくは3つの置換基を有するフェニル環である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕Bは、1~3つの置換基R8によって置換されるフェニルである、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕Yは、CH 2 であり、
Bは、モノ又はジ-ハロゲン置換フェニルであり、
Aは、フェニル、ピラジニル及びピリジルから選択され、これらのそれぞれは、ハロゲン及びC1~C4-ハロアルキルから独立して選択される置換基によって一置換又は二置換され、
R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕前記化合物は、式(Ic)

(式中、
R11及びR12は、独立して、ハロゲンから選択され、
Aは、ハロゲン及びC 1 ~C 4 -ハロアルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基によって置換されるピリジルである)
の化合物である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕Aは、

から選択され、
R13は、C 1 ~C 4 -ハロアルキルである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕前記化合物は、式(Ic)

の化合物1~7のいずれか1つから選択され、式中、R11、R12及びAは、以下の表:

において定義されるとおりである、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕前記化合物は、式(Ic)

のものであり、式中、R11、R12及びAは、以下の表:

において定義されるとおりである、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記化合物は、種子に施用される、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕前記種子への施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲である、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕植物病原性微生物フザリウム・プソイドグラミネアルム(Fusarium pseudograminearum)による穀物植物の被害を防除又は防止するための、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の化合物の使用。
〔13〕穀物植物を栽培するための方法であって、その種子を、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の化合物で施用又は処理する工程を含む方法。
〔14〕施用量は、1つの種子当たり0.002~0.03mgのAIの範囲である、前記〔13〕に記載の方法。