(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L33/08
(21)【出願番号】P 2021523211
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 KR2019015092
(87)【国際公開番号】W WO2020096386
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】イ,チョン フン
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037082(WO,A1)
【文献】特表2017-522583(JP,A)
【文献】国際公開第2005/098802(WO,A1)
【文献】特開2011-040352(JP,A)
【文献】特開2009-059809(JP,A)
【文献】特開2005-072397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドと、
前記パッド上の発光部と、
互いに対向する第1の面及び第2の面を有し、前記第1
の面が前記発光部で覆われる透光性材料と、
前記透光性材料の前記第2の面に配置され前記発光部の少なくとも一部を露出する遮光層と、を有し、
前記遮光層は、前記発光部から発せられる光の波長のうち最も長い波長の長さよりも大きい厚さを有する領域を有し、
前記遮光層は前記透光性材料の前記第2の面とは反対側の面が凹面を有することを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記遮光層は、発光部の周囲を覆って光取り出し面を画定する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
光取り出し面の幅は遮光層の前記領域の厚さよりも小さい、請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記遮光層は前記発光部の少なくとも一部を露出させる領域の側面に光を散乱する粗面を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記遮光層は前記透光性材料の長手方向に対して直立した側壁を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な実施形態は、広くは発光デバイスに関し、より具体的には、複数の発光部を含む発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、無機光源として、表示装置、車両灯、一般照明など様々な分野で多用されている。発光ダイオードは、寿命が長く、消費電力が少なく、応答速度が速いために、急速に既存の光源を置き換えつつある。
【0003】
一般的に、表示装置は青、緑、赤の混色を利用して様々な色を表示する。 表示装置の各画素は、青、緑、赤のサブピクセルを含み、これらのサブピクセルの色によって特定の画素の色が決定され、画素の組み合わせによって画像が表示される。
【0004】
発光ダイオードは、主に表示装置のバックライト光源として使用されてきた。しかし近年、次世代ディスプレイとして、発光ダイオードを用いて画像を直接表示することができるマイクロLEDディスプレイが開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の例示的な実施形態に従って構成されたデバイスは、混色を抑制し、光の再現性を向上させることができる。
【0006】
本発明の概念のさらなる特徴は、以下の説明に記載され、その一部は、説明から明らかにされ、又は本発明の概念の実施によって得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態に係る発光デバイスは、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する基板と、基板の第1の面に配置され発光領域を画定する複数の発光部と、基板の第2の面に配置され発光領域の少なくとも一部を露出する遮光層と、を含み、遮光層は、発光部から発せられる光の波長のうち最も長い波長の長さよりも大きい厚さを有する。
【0008】
遮光層は発光部の周囲を覆うことにより光取り出し面を画定してもよい。
【0009】
光取り出し面の幅は遮光層の厚さよりも小さくてもよい。
【0010】
遮光層は粗面を含む側面を有していてもよい。
【0011】
遮光層は、基板の第2の面に対向する第1の面と、基板の第1の面に対向する第2の面とを含み、遮光層の第2の面は凹凸面を有していてもよい。
【0012】
遮光層は基板の長手方向に対して直立した側壁を有していてもよい。
【0013】
遮光層は基板の長手方向に対して傾斜した側壁を有していてもよい。
【0014】
遮光層は、基板の第2の面に対向する第1の面と、基板の第1の面に対向する第2の面とを有し、遮光層は、遮光層の第1の面から遮光層の第2の面まで幅が広くなっていてもよい。
【0015】
他の実施形態の詳細は、詳細な説明及び図面に含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発光デバイスは、遮光層を用いて発光面積よりも小さい光取り出し面を規定しているので、発光デバイスのコントラストを向上させることができる。また、十分な厚さの遮光層を用いることにより、狭い幅の光取り出し面を透過した光の回折をなくすことで、発光デバイスを用いた表示装置の画像のボケを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】例示的な実施形態に係る発光デバイスの上面図である。
【
図1B】例示的な実施形態に係る発光デバイスの上面図である。
【
図3A】
図1Aの発光デバイスの発光構造体を示す上面図である。
【
図3B】
図3AのA-A’線及びB-B’線に沿った断面図である。
【
図4】例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【
図5】例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【
図6】例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【
図7】例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【
図8】例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の構成及び効果を十分に理解するために、本開示の実施形態を、添付図面を参照して説明する。しかしながら、本開示は、本明細書に記載される実施形態に限定されず、様々な形態で実施されてもよく、様々な変更が加えられてもよい。
【0019】
本開示の実施形態において使用されるように、技術用語は、他に定義されない限り、当業者に通常知られている意味として解釈することができる。
【0020】
以下、本発明の発光デバイスについて、種々の実施例を用いて図面を参照しながら説明する。
【0021】
【0022】
図1Aは、発光デバイスのパッド側から見た平面図であり、
図1Bは、発光デバイスの光取り出し面側から見た平面図である。
図3Aは、発光デバイスのパッド側から見た平面図である。
【0023】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図2C、及び
図2Dを参照すると、発光デバイスは、第1の面SF1_Sと、第1の面SF1_Sに対向する第2の面SF2_Sとを有する基板100と、基板100の第1の面SF1_S上に配置された複数の発光部LE1、LE2、LE3と、基板100の第2の面SF2_S上に配置された遮光層LSとを含むことができる。
【0024】
基板100は、その上に窒化ガリウム系半導体層を成長させることができるものであればよく、サファイア(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ガリウム(Ga2O3)、又はシリコンを含んでいてもよい。また、基板100は、パターン化されたサファイア基板であってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、基板100は、可視光を透過する材料を含んでいてもよい。
【0025】
図3A及び
図3Bを参照すると、発光デバイスは、第1の発光部LE1、第2の発光部LE2、及び第3の発光部LE3が縦方向に積層された発光構造体LEDを含んでいてもよい。また、基板100は、発光構造体LEDが配置された発光領域LEAと、発光領域LEAの周辺の周辺領域PPAとを含んでいてもよい。例えば、それぞれの発光構造体LEDが、第3の発光部LE3から第1の発光部LE1に向かって徐々に増加する幅を有する場合、それぞれの発光領域LEAは、それぞれの発光構造体LEDの最大幅と実質的に同じ第1の幅W1を有していてもよい。
【0026】
基板100の第2の面SF2_Sが光取り出し面LEXを含む場合、第1の発光部LE1から出射される光の波長が最も短く、第2の発光部LE2から出射される光の波長が第1の発光部LE1から出射される光の波長よりも長く、及び第3の発光部LE3から出射される光の波長よりも短く、第3の発光部LE3から出射される光の波長が最も長くなってもよい。例えば、第1の発光部LE1が青色の光を、第2の発光部LE2が緑色の光を、第3の発光部LE3が赤色の光を発してもよい。この場合、第1の発光部LE1から発生した光の波長は約450nmから495nmであり、第2の発光部LE2から発生した光の波長は約495nmから570nmであり、第3の発光部LE3から発生した光の波長は約620nmから750nmであってもよい。しかしながら、本発明の概念はこれに限定されるものではない。例えば、いくつかの例示的な実施形態において、第2の発光部LE2は、第1の発光部LE1から放射される光よりも短い波長の光を放射してもよい。
【0027】
第1の発光部LE1は、第1のn型半導体層102、第1の活性層104、第1のp型半導体層106、及び第1のオーミック層108を含んでいてもよく、第2の発光部LE2は、第2のn型半導体層202、第2の活性層204、第2のp型半導体層206、及び第2のオーミック層208を含んでいてもよく、第3の発光部LE3は、第3のn型半導体層302、第3の活性層304、第3のp型半導体層306、及び第3のオーミック層308を含んでいてもよい。
【0028】
第1のn型半導体層102、第2のn型半導体層202、及び第3のn型半導体層302のそれぞれは、Siドープの窒化ガリウム系半導体層であってもよい。また、第1のp型半導体層106、第2のp型半導体層206、及び第3のp型半導体層306のそれぞれは、Mgドープの窒化ガリウム系半導体層であってもよい。第1の活性層104、第2の活性層204、及び第3の活性層304のそれぞれは、多重量子井戸(MQW)を含んでいてもよく、所望のピーク波長の光を放出するために、その組成比を決定されてもよい。また、第1のオーミック層108、第2のオーミック層208及び第3のオーミック層308のそれぞれとして、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(InO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウムスズ亜鉛酸化物(ITZO)などの透明導電性酸化物(TCO)を用いてもよい。
【0029】
第1の発光部LE1は、第2の発光部LE2と間隔をあけて配置されていてもよい。例えば、第1の発光部LE1の第1のオーミック層108と、第2の発光部LE2の第2のオーミック層208とは、互いに向き合っていてもよい。他の例として、第1の発光部LE1の第1のオーミック層108と、第2の発光部LE2の第2のn型半導体層202とが向き合っていてもよい。
【0030】
第2の発光部LE2は、第3の発光部LE3と間隔をあけて配置されていてもよい。例えば、第2の発光部LE2の第2のn型半導体層202と、第3の発光部LE3の第3のオーミック層308とが対向していてもよい。他の例として、第2の発光部LE2の第2のオーミック層208と第3の発光部LE3の第3のn型半導体層302とが対向していてもよい。
【0031】
発光デバイスは、第1の発光部LE1と第2の発光部LE2との間に配置され、第1の発光部LE1と第2の発光部LE2とを接着する第1の接着部AD1と、第2の発光部LE2と第3の発光部LE3との間に配置され、第2の発光部LE2と第3の発光部LE3とを接続する第2の接着部AD2と、をさらに含んでいてもよい。第1の接着部AD1及び第2の接着部AD2のそれぞれは、可視光を透過し、かつ、絶縁性を有する材料を含んでいてもよい。第1の接着部AD1及び第2の接着部AD2は、それぞれ、ポリマー、レジスト、又はポリイミドを含んでいてもよい。例えば、第1の接着部AD1及び第2の接着部AD2は、SOG(スピンオンガラス)、BCB(ベンゾシクロブタジエン)、HSQ(ハオドロシルセスキオキサン)、又はSU-8フォトレジストを含んでいてもよい。
【0032】
発光デバイスは、第1の発光部LE1と第2の発光部LE2との間に配置された第1のカラーフィルタCF1と、第2の発光部LE2と第3の発光部LE3との間に配置された第2のカラーフィルタCF2とをさらに含んでいてもよい。第1のカラーフィルタCF1は、第1の発光部LE1の第1のオーミック層108又は第2の発光部LE2の第2のオーミック層208上に配置されていてもよい。第2のカラーフィルタCF2は、第2の発光部LE2の第2のn型半導体層202又は第3の発光部LE3の第3のオーミック層308上に配置されていてもよい。第1のカラーフィルタCF1は、第1の発光部LE1から放射された光を反射し、第2の発光部LE2及び第3の発光部LE3から放射された光を通過させて、第1の発光部LE1から放射された光が第2の発光部LE2及び第3の発光部LE3のそれぞれに影響を及ぼさないようにされていてもよい。第2のカラーフィルタCF2は、第1の発光部LE1及び第2の発光部LE2から放射された光が第3の発光部LE3に影響を及ぼさないように、第1の発光部LE1及び第2の発光部LE2から放射された光を反射し、第3の発光部LE3から放射された光を通過させてもよい。第1のカラーフィルタCF1及び第2のカラーフィルタCF2のそれぞれは、TiO2とSiO2とが交互に積層された分布型ブラッグリフレクタ(DBR)を含んでいてもよい。第1のカラーフィルタCF1は、TiO2及びSiO2の交互に積層された数及び厚さにおいて、第2のカラーフィルタCF2と異なっていてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、第1のカラーフィルタCF1及び第2のカラーフィルタCF2の少なくとも一方が選択的に省略されていてもよい。
【0033】
発光デバイスは、第3の発光部LE3、第2のカラーフィルタCF2、第2の接着部AD2、第2の発光部LE2、第1の接着部AD1、及び第1のカラーフィルタCF1を貫通して第1のオーミック層108と電気的に接触する第1のビアパターンVA1と、第3の発光部LE3、第2のカラーフィルタCF2、第2の接着部AD2、第2のn型半導体層202、第2の活性層204、及び第2のp型半導体層206を貫通して第2のオーミック層208と電気的に接触する第2のビアパターンVA2と、第3のn型半導体層302、第3の活性層304、及び第3のp型半導体層306を貫通して第3のオーミック層308と電気的に接触する第3のビアパターンVA3と、をさらに含んでもよい。また、発光デバイスは、第3の発光部LE3、第2のカラーフィルタCF2、第2の接着部AD2、第2の発光部LE2、第1の接着部AD1、第1のカラーフィルタCF1、第1のオーミック層108、第1のp型半導体層106、及び第1の活性層104を貫通し、第1のn型半導体層102と電気的に接触する第4のビアパターンVA4と、第3の発光部LE3、第2のカラーフィルタCF2、及び第2の接着部AD2を貫通し、第2のn型半導体層202と電気的に接触する第5のビアパターンVA5と、第3のn型半導体層302と電気的に接触する第6のビアパターンVA6と、をさらに含んでもよい。
【0034】
発光デバイスは、第1のビアパターンVA1を介して第1のオーミック層108と電気的に接続された第1のパッドPD1と、第2のビアパターンVA2を介して第2のオーミック層208と電気的に接続された第2のパッドPD2と、第3のビアパターンVA3を介して第3のオーミック層308と電気的に接続された第3のパッドPD3と、第4、第5、第6のビアパターンVA4、VA5、VA6を介して第1のn型半導体層102、第2のn型半導体層202、第3のn型半導体層302とそれぞれ共通に電気的に接続された共通パッドCPDと、をさらに含んでもよい。例示的な実施形態によれば、第1のパッドPD1、第2のパッドPD2、第3のパッドPD3、及び共通パッドCPDのそれぞれは、第3の発光部LE3上に配置されてもよい。
【0035】
共通パッドCPDは、第1のn型半導体層102、第2のn型半導体層202、及び第3のn型半導体層302と共通に接続されるように図示されているが、しかしながら、本発明の概念はこれに限定されるものではない。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、共通パッドCPDは、第1のオーミック層108、第2のオーミック層208、及び第3のオーミック層308と共通に接続されていてもよい。
【0036】
発光デバイスは、第1のビアパターンVA1、第2のビアパターンVA2、第3のビアパターンVA3、第4のビアパターンVA4、第5のビアパターンVA5、及び第6のビアパターンVA6の外側の側壁を囲み、第3の発光部LE3上に延在するパッシベーション層PVTをさらに含んでいてもよい。
【0037】
発光部は、縦方向に積層された第1の発光部LE1、第2の発光部LE2及び第3の発光部LE3を含み、発光デバイスは、第1の発光部LE1、第2の発光部LE2及び第3の発光部LE3を貫通するビアパターンVA1、VA2、VA3、VA4、VA5、VA6を含むものとして図示されているが、本発明の概念はこれに限定されるものではない。例えば、他の例示的な実施形態では、縦方向に積層された第1の発光部LE1、第2の発光部LE2及び第3の発光部LE3をエッチングすることにより、発光デバイスは、第1のn型半導体層102、第2のn型半導体層202、第3のn型半導体層302、第1のオーミック層108、第2のオーミック層208及び第3のオーミック層308を露出させるメサ構造を有していてもよい。さらに、いくつかの例示的な実施形態では、発光デバイスは、第1の発光部LE1、第2の発光部LE2、及び第3の発光部LE3が、同一平面上に水平に配置された構造を有していてもよい。
【0038】
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、
図2C、
図2Dを参照すると、遮光層LSは、それぞれが基板100の第2の面SF2_S上の対応する発光領域LEAの少なくとも一部を露出させる複数のホールHLを含んでいてもよい。遮光層LSのそれぞれのホールHLは、光取り出し面LEXを画定しており、光取り出し面LEXから出射された光は、光取り出し面LEXを露出させているホールHLから出射されてもよい。より詳細には、それぞれのホールHLは、光取り出しのパスとして機能してもよい。
【0039】
例示的な実施形態によれば、発光領域LEA内のそれぞれの光取り出し面LEXは、発光領域LEAの第1の幅W1よりも小さい第2の幅W2を有していてもよい。また、光取り出し面LEXの中心は、発光領域LEAの中心と実質的に同じであってもよい。
【0040】
遮光層LSは、Ti、Ni、Al、Ag、Crなどの金属を含んでいてもよいし、フォトレジスト、エポキシ、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、ブラックマトリクスなどの材料を含んでいてもよい。
【0041】
例示的な実施形態によれば、遮光層LSの厚さTHは、発光部LE1、LE2、LE3で発生する光の波長のうち、最も長い波長の長さと同等以上であってもよい。
例えば、第1の発光部LE1が約450nmから495nmの波長を有する青色光を発光し、第2の発光部LE2が約495nmから570nmの波長を有する緑色光を発光し、第3の発光部LE3が約620nmから750nmの波長を有する赤色光を発光する場合、遮光層LSの厚さTHは、第3の発光部LE3から発生する光の波長と同じ又はそれ以上であってもよい。
【0042】
例示的な実施形態によれば、遮光層LSによって画定される光取り出し面LEXの第2の幅W2は、遮光層LSの厚さTHよりも小さくてもよい。例えば、隣接する発光構造体LEDの中心間の距離DTが約80μmである場合、第2の幅W2は約5μmであってもよい。
【0043】
遮光層LSを用いて光取り出し面LEXを発光領域LEAよりも小さくすることで、発光デバイスのコントラスト、色再現性を向上させることができる。
【0044】
この場合、光取り出し面LEXの幅が狭いため、遮光層LSを通過した光が回折により広がってしまい、発光デバイスから出射される光によって表示される画像がぼやけるおそれがある。このように、遮光層LSを、発光部LE1、LE2、LE3から発生する光の波長のうち最も長い波長よりも厚い厚さTHに形成することにより、遮光層LSを通過する際の光の回折をなくし、表示画像のボケを抑制することができる。
【0045】
図2Aを参照すると、図示された例示的な実施形態による遮光層LSのホールHLによって露出された側壁SWは、基板100に対して垂直であってもよい。遮光層LSは、実質的に一定の厚さTHを有していてもよい。
【0046】
以下、発光構造体LEDについて、第1の発光構造体LED1と第2の発光構造体LED2とを参照して説明し、ホールHLについて、第1のホールHL1と第2のホールHL2とを参照して説明する。第1の発光構造体LED1は、第1のホールHL1を介して光を出射し、第2の発光構造体LED2は、第2のホールHL2を介して光を出射する。
【0047】
第1の発光構造体LED1で発生した光は、第1のホールHL1から出射されることが望ましいが、基板100を導光路として利用することで、光の一部が反射して隣接する第2のホールHL2に放射されることがある。第1の発光構造体LED1から発生した光は、第2のホールHL2で反射して放射されるが、基板100を通過する間に、厚い遮光層LSを通過して第2のホールHL2に向かう間に、光の一部が消失して強度が低下することがある。また、第1の発光構造体LED1から発生した光が第1のホールHL1から出射されても、厚い遮光層LSを通過する間に回折現象が消失する場合がある。
【0048】
図2Bを参照すると、他の例示的な実施形態による遮光層LSのホールHLによって露出された側壁SWは、基板100の長手方向に対して垂直であり、粗面RGHを含んでもよい。粗面RGHは、凹凸パターンCCを含んでもよい。
【0049】
上述したように、第1の発光構造体LED1から発生した光は、厚い遮光層LSを通過して第2のホールHL2に向かう間に消失してもよい。例示的な実施形態によれば、第2のホールHL2の側壁SWには粗面RGHが形成されているので、第1の発光構造体LED1から発生した光は、拡散反射されたり散乱されたりして迅速かつ完全に消失してもよい。
【0050】
図2Cを参照すると、遮光層LSのホールHLによって露出した側壁SWは、傾斜を有していてもよい。例えば、遮光層LSは、基板100の第2の面SF2_Sに対向する第1の面SF1_LSと、第1の面SF1_LSに対向する第2の面SF2_LSとを含み、遮光層LSは、遮光層LSの第2の面SF2_LSから第1の面SF1_LSに向かって徐々に減少する幅を有していてもよい。特に、遮光層LSの側壁SWは、逆勾配を有していてもよい。逆の傾きを有する側壁SWの面積は、垂直である側壁SWの面積よりも大きくてもよい。
【0051】
上述したように、第1の発光構造体LED1から発生した光は、第2のホールHL2を通過する間に厚い遮光層LSによって消失させることができる。図示された例示的な実施形態による第2のホールHL2の側壁SWは、逆の傾斜を有する側壁を有するので、様々な角度から放射された光は、効果的に反射及び吸収されて、効果的に消失させることができる。
【0052】
図2Dを参照すると、遮光層LSは、基板100の第2の面SF2_Sに対向する第1の面SF1_LSと、第1の面SF1_LSに対向し、凹面CVSを有する第2の面SF2_LSとを含む。より詳細には、遮光層LSは、遮光層LSの一端からその中央に向かって徐々に減少する厚さTHを有していてもよい。例えば、遮光層LSの一端(又は端部)は、第1の厚さTH1を有し、遮光層LSの中央部は、第1の厚さTHよりも小さい第2の厚さTH2を有していてもよい。このように、ホールHLによって露出する遮光層LSの端部の厚さTH1が比較的厚いため、ホールHLの深さが深くなり、上述したように隣接する発光構造体LEDから出射される光を効率よく消滅させることができる。さらに、遮光層LSの中央部は比較的薄い厚さTH2を有するため、発光デバイスにかかる引張応力を低減することができ、発光素子の破損を防止し、又は少なくとも抑制することができる。
【0053】
以下、例示的な実施形態に係る発光デバイスの製造方法について説明する。図示された例示的な実施形態では、発光デバイスは、
図1A、
図1B、及び
図2Aに示されたものを参照して説明される。
【0054】
図4から
図8は、例示的な実施形態による発光デバイスの製造方法を示す断面図である。
【0055】
図4を参照すると、第1の基板100の第1の面に、第1の発光部LE1、第2の発光部LE2、及び第3の発光部LE3が順次積層されていてもよい。
【0056】
例示的な実施形態によれば、第1の基板100は、第1の発光部LE1を成長可能な成長用基板であってもよく、第1の発光部LE1を対象装置に搭載するための転写用基板であってもよい。例えば、完成した発光デバイスを腕時計などの表示デバイスに適用する場合、第1の基板100を腕時計の表示部に対応する大きさに切断した後、その上に第1の発光部LE1を成長させてもよい。
【0057】
第1の基板100上には、MOCVD(有機金属化学気相成長)、MBE(分子線エピタキシー)、HVPE(ハイドライド気相成長)、MOC(有機金属塩化物)などの成長方法を用いて、第1のn型半導体層102、第1の活性層104、第1のp型半導体層106を順次形成してもよい。第1の発光部LE1を形成するために、第1のp型半導体層106上に、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)などにより、第1のオーミック層108を形成してもよい。
【0058】
MOCVD、MBE、HVPE、MOCなどの成長法を用いて、第2の基板上に第2のn型半導体層202、第2の活性層204、第2のp型半導体層206を順次形成してもよい。第2の発光部LE2を形成するために、第2のp型半導体層206上に、CVDプロセス、PVDプロセスなどを介して第2のオーミック層208を形成してもよい。
【0059】
第2の基板を裏返すことで、第2のオーミック層208が第1のオーミック層108と向き合うように配置され、第2の発光部LE2が第1の接着部AD1を介して第1の発光部LE1に接着されてもよい。第1の発光部LE1と第2の発光部LE2とを接着した後、レーザーリフトオフ(LLO)工程又はケミカルリフトオフ(CLO)工程により、第2の基板を除去してもよい。
【0060】
MOCVD、MBE、HVPE、MOCなどの成長法を用いて、第3の基板上に第3のn型半導体層302、第3の活性層304、第3のp型半導体層306を順次形成してもよい。 第3の発光部LE3を形成するために、第3のp型半導体層306上に、CVDプロセス、PVDプロセスなどにより、第3のオーミック層308を形成してもよい。
【0061】
第2の発光部LE2の第2のn型半導体層202と第3の発光部LE3の第3のオーミック層308とが対向するように、第3の基板を裏返し、第2の接着部AD2を介して第2の発光部LE2と第3の発光部LE3とを接着してもよい。第2の接着部AD2によって第2の発光部LE2と第3の発光部LE3とを接着した後、LLO工程又はCLO工程によって第3の基板を除去してもよい。
【0062】
図3B及び
図5を参照すると、第3の発光部LE3、第2の発光部LE2、及び第1の発光部LE1をエッチングすることで、第1のオーミック層108を露出させる第1のビアホール、第2のオーミック層208を露出させる第2のビアホール、第3のオーミック層308を露出させる第3のビアホール、第1のn型半導体層102を露出させる第4のビアホール、第2のn型半導体層202を露出させる第5のビアホール、及び第3のn型半導体層302を露出させる第6のビアホールを形成してもよい。
【0063】
例示的な実施形態によれば、第1のビアホール、第2のビアホール、第3のビアホール、第4のビアホール、第5のビアホール、及び第6のビアホールを形成する一方で、第1の発光部LE1、第2の発光部LE2、及び第3の発光部LE3をエッチングすることによって、複数の発光構造体LEDが第1の基板100の第1の面で分離されてもよい。
【0064】
パッシベーション層PVTは、第1のビアホール、第2のビアホール、第3のビアホール、第4のビアホール、第5のビアホール、及び第6のビアホールの少なくとも一部に形成され、第3のn型半導体層302の上面まで延びるように形成されていてもよい。
【0065】
パッシベーション層PVTをエッチングすることで、第1のビアホールの底面に第1のオーミック層108が露出してもよく、第2のビアホールの底面に第2のオーミック層208が露出してもよく、第3のビアホールの底面に第3のオーミック層308が露出してもよく、第4のビアホールの底面に第1のn型半導体層102が露出していてもよく、第5のビアホールの底面に第2のn型半導体層202が露出していてもよく、第6のオーミック層の底面に第3のn型半導体層302が露出していてもよい。
【0066】
第1のビアパターンVA1、第2のビアパターンVA2、第3のビアパターンVA3、第4のビアパターンVA4、第5のビアパターンVA5、第6のビアパターンVA6を、パッシベーション層PVTと共に、第1のビアホール、第2のビアホール、第3のビアホール、第4のビアホール、第5のビアホール、第6のビアホールにそれぞれ配置してもよい。
【0067】
第1のパッドPD1を第1のビアパターンVA1上に形成し、第2のパッドPD2を第2のビアパターンVA2上に形成し、第3のパッドPD3を第3のビアパターンVA3上に形成し、共通パッドCPDを第4のビアパターンVA4、第5のビアパターンVA5及び第6のビアパターンVA6と共に電気的に接続されるように形成することができる。
【0068】
図6を参照すると、第1の基板100の第1の面には、発光構造体LEDの間に追加された遮光層ALSが配置されていてもよい。発光構造体LEDが形成された発光領域LEAの周辺領域PPAは、追加さえた遮光層ALSによって覆われていてもよい。
【0069】
図7を参照すると、第1の基板100の第2の面には、遮光層LSが形成されていてもよい。例示的な実施形態によれば、遮光層LSは、第3の発光部LE3から出射される光の波長よりも大きい厚さTHを有してもよい。
【0070】
図8を参照すると、遮光層LS上にマスクパターンを形成し、そのマスクパターンをエッチングマスクとして用いて遮光層LSをエッチングすることにより、それぞれの発光部LEAの少なくとも一部を露出させるホールHLをそれぞれ形成することができる。それぞれのホールHLは、それぞれの発光構造体LEDから光が出射される光取り出し経路として機能してもよい。例示的な実施形態によれば、それぞれのホールHLは、それぞれの発光領域LEA内に形成されてもよく、それぞれのホールHLの中心は、それぞれの発光領域LEAの中心と実質的に同じであってもよい。
【0071】
図2Aを再び参照すると、それぞれのホールHLによって露出する遮光層LSの側壁SWは、基板100に対して垂直であってもよい。 遮光層LSの側壁SWが垂直にエッチングされるように、マスクパターンが選択されてもよい。
【0072】
図2Bを再び参照すると、マスクパターンをエッチングマスクとして用い、垂直な遮光層LSの側壁SWをエッチングすることにより、例えばウェットエッチングなどのエッチング処理によって粗面RGHを形成してもよい。
【0073】
図2Cを再び参照すると、それぞれのホールHLによって露出された遮光層LSの側壁SWは、逆勾配の傾斜を有していてもよい。遮光層LSの側壁SWが逆勾配の表面を有するようにエッチングされるように、マスクパターンが選択されてもよい。
【0074】
図2Dを再び参照すると、遮光層LSが、基板100の第2の面SF2_Sに対向する第1の面SF1_LSと、第1の面SF1_LSに対向する第2の面SF2_LSとを有する場合、遮光層LSの第2の面SF2_LSには、CMP工程などにより凹部が形成されてもよい。より詳細には、遮光層LSは、遮光層LSの端部から中央部に向かって徐々に減少する厚さTHを有していてもよい。
【0075】
このように、発光構造体LED、遮光層LS、及び追加された遮光層ALSを含む発光デバイスが、第1の基板100上に形成されてもよい。第1の基板100は、例えば、対象となる実装デバイスの表示部に対応する大きさに切断されてもよく、第1の基板100に形成された発光構造体LEDを切断、転写、及び実装する工程が省略され、第1の基板100が対象となるデバイスに直接実装されてもよい。このようにして、例示的な実施形態による発光デバイスは、対象となるデバイスに容易に取り付けることができ、一方で、別個の切断、移送、及び/又は実装プロセスの必要性を排除することができる。
【0076】
本明細書では、特定の例示的な実施形態及び実施態様を説明したが、他の実施形態及び修正は、この説明から明らであろう。したがって、本発明の概念は、そのような実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲のより広い範囲、及び当業者には明らかな様々な明らかな変更及び同等の配置に限定されるものである。