(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】内燃機関内の弁アクチュエータを電気的に制御する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
F01L 9/21 20210101AFI20240905BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F01L9/21
F16K31/06 385A
F16K31/06 310A
(21)【出願番号】P 2021531718
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 SE2019051132
(87)【国際公開番号】W WO2020022949
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-10-06
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518118437
【氏名又は名称】ヘドマン エリクソン パテント アーベー
【氏名又は名称原語表記】HEDMAN ERICSSON PATENT AB
【住所又は居所原語表記】Staringe Sateri,642 95 Flen,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヘドマン、マッツ
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-123808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151666(US,A1)
【文献】米国特許第06302069(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34- 1/356
9/00- 9/40
13/00-13/08
F16K 31/06-31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2ストローク又は4ストローク燃焼機関内で弁アクチュエータを電気的に制御する方法であって、前記
弁アクチュエータは、第1のプランジャ(5)を有する第1のソレノイド(A)と、第2のプランジャ(15)を有する第2のソレノイド(B)とを備え、前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)は、互いに直列に配置され、前記
2ストローク又は4ストローク燃焼機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を有し、前記少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒(11)を有する弁体(10)と、前記
自由制御可能機関弁の閉鎖を保つように構成した弁ばね(4)とを備え、空気は、前記シリンダ内の少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、前記シリンダ内の少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室から排出され、前記弁アクチュエータは、前記弁ばねの閉鎖力に打ち勝つことによって前記
自由制御可能機関弁を開放するように作動可能であり、前記第1のソレノイ
ド(A)及び前記第2のソレノイド
(B)は、前記
自由制御可能機関弁の開放中、稼働される方法であって、
それぞれの前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)の前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)は、前記
自由制御可能機関弁の初期開放の間、前記弁棒に一緒に作用し、前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)は、停止部をそれぞれ備え、前記停止部は、前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)上のそれぞれの前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)の力が最大にある位置として画定され、前記第1のプランジャ
(5)が前記第1のソレノイド
(A)内の前記停止部に達すると、前記第2のソレノイド
(B)は、前記第2のプランジャ
(15)が前記第2のソレノイド
(B)内の前記停止部に達するまで、前記弁棒への作用を継続する、方法。
【請求項2】
前記第1のソレノイド(A)は、前記第2のソレノイド(B)よりもストロークが短く、力が強い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のソレノイド(A)は、前記閉鎖の運動を遅延させるように、前記
自由制御可能機関弁が弁座に達する直前に稼働される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
2ストローク又は4ストローク燃焼機関内で弁アクチュエータを電気的に制御するデバイスであって、前記
弁アクチュエータは、第1のプランジャ(5)を有する第1のソレノイド(A)と、第2のプランジャ(15)を有する第2のソレノイド(B)とを備え、前記
2ストローク又は4ストローク燃焼機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を有し、前記少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒(11)を有する弁体(10)と、前記
自由制御可能機関弁の閉鎖を保つように構成した弁ばね(4)とを備え、空気は、前記シリンダ内の少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室(3)に導入される、又は排気ガスは、前記シリンダ内の前記少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室(3)から排出され、前記弁アクチュエータは、前記弁ばね(4)の力に打ち勝つことによって前記
自由制御可能機関弁を開放するように作動可能に構成され、前記デバイスは、前記
自由制御可能機関弁の開放中、前記第1のソレノイド及び前記第2のソレノイドを稼働するように構成されるデバイスであって、
それぞれの前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)の前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)は、前記
自由制御可能機関弁の初期開放の間、前記弁棒に一緒に作用するように構成され、
前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)は、停止部をそれぞれ備え、前記停止部は、前記
第1及び第2のプランジャ(5、15)上のそれぞれの前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)の力が最大にある位置として画定され、前記第2のプランジャは、前記第1のプランジャ
(5)が前記第1のソレノイド
(A)内の前記停止部に達した後、前記第2のプランジャ
(15)が前記第2のソレノイド
(B)内の前記停止部に達するまで、前記弁棒への作用を継続するように構成される、デバイス。
【請求項5】
前記第1のソレノイド(A)は、前記第2のソレノイド(B)よりもストロークが短く、力が強い、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のソレノイドは、前記閉鎖の運動を遅延させるように、前記
自由制御可能機関弁が弁座に達する直前に稼働される、請求項4又は5に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダ(1)を備える燃焼機関であって、前記少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒(11)を有する弁体(10)と、前記
自由制御可能機関弁の閉鎖を保つように構成した弁ばね(4)とを備え、空気は、前記シリンダ内の少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、前記シリンダ内の前記少なくとも1つの通路(2)を介して前記弁体の前記弁棒の下側部を通り過ぎて前記燃焼室から排出され、前記燃焼機関は、弁アクチュエータを備え、前記弁アクチュエータは、第1のプランジャ(5)を有する第1のソレノイド(A)と、第2のプランジャ(15)を有する第2のソレノイド(B)とを備え、前記
第1及び第2のソレノイド(A、B)は、直列に配置され、前記弁アクチュエータは、前記弁ばね(4)の力に打ち勝つことによって前記
自由制御可能機関弁を開放するように稼働可能に構成され、前記燃焼機関は、請求項4~6のいずれか一項に記載のデバイスを備える、燃焼機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストローク又は4ストローク機関においてガス流を制御する、自由制御可能電気稼働弁アクチュエータのための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
自由制御可能弁は、効率の向上、及び排気の実質的な低減、即ち、よりきれいな排気ガスを可能にする。そのような自由制御可能弁の弁アクチュエータは、空気式又は液圧式に稼働させることができる。
【0003】
今日の自由制御可能機関弁の弁アクチュエータは、高いエネルギー消費量及び/若しくは複雑な構造を有する、並びに/又は弁の迅速な開閉、即ち、短い期間の達成が困難であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気的に制御される電気機械弁アクチュエータの形態で新たなアクチュエータ技術を達成することであり、電気機械弁アクチュエータは、主に、構造が単純で、エネルギー効率が良く、機関のシリンダ・ヘッド内で機関弁を迅速に開閉することができる。この目的は、特許請求の範囲内に記載の特徴を有する本発明の提供によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、2ストローク又は4ストローク燃焼機関内で弁アクチュエータを電気的に制御する方法を提供し、アクチュエータは、第1のプランジャを有する第1のソレノイドと、第2のプランジャを有する第2のソレノイドとを備える。機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダを有し、少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒を有する弁体と、弁ばねとを備え、空気は、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室から排出され、弁アクチュエータは、機関弁を開放するように作動可能である。方法は、機関弁の開放中、第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方が稼働されることを特徴とする。
【0006】
実施形態では、第1のプランジャ及び第2のプランジャは、機関弁の初期開放運動中、弁棒に一緒に作用する。
【0007】
実施形態では、第1のソレノイド及び第2のソレノイドは、直列に配置され、好ましくは、機関弁の初期開放運動中、第1のプランジャが第2のプランジャに作用し、次に第2のプランジャが弁棒に作用するようにする。弁ばねは、好ましくは、機関弁の閉鎖を保つ、即ち、弁体が弁座方向で押圧されるような方向で機関弁に力を加えるように構成される。そのような実施形態では、ソレノイドは、開放中、弁ばねの力に打ち勝つように弁に一緒に作用する。
【0008】
本技術には、従来の様式で機関弁の閉鎖を保つ少なくとも2つのソレノイド及び機関弁ばねの使用、並びに機関弁を開放すべき際には本明細書で「穏やかなハンマ作用」と呼ぶものの使用を伴う。
【0009】
第1のプランジャ及び及び第2のプランジャは、停止部をそれぞれ備え、停止部は、それぞれのソレノイドがプランジャに最大の力を加える位置として画定される。
【0010】
実施形態では、例えば、2つのソレノイドは、互いに直列に配置され、第1のソレノイドは、第2のソレノイドと比較して、ストロークが短く、稼働時に既に力が強く、第2のソレノイドは、ストロークが長く、稼働時に力が弱い。言い換えれば、第1のソレノイドは、第2のソレノイドよりもストロークが短く、力が強い。両方のソレノイドの強さ、即ち、それぞれのプランジャが作用し得る力は、それぞれのプランジャが磁界に更に移動するにつれて、それぞれの磁界内に完全に囲まれるまで増大する。少なくとも2つのソレノイドは、一緒に稼働される。第1のソレノイドのプランジャは、比較的短いストロークの間、強い力、及び更により強い力で第2のソレノイドのプランジャを押圧し、これにより、上述の穏やかなハンマ作用を生じさせる。第2のソレノイドのプランジャは、機関弁の弁棒に結合又は弁棒上に載置され、第1のソレノイドのプランジャと共に、押圧力で弁棒に作用する。第1のソレノイドのプランジャが停止部に達すると、第2のソレノイドのプランジャは、磁界内に十分な長さに達しており、強く、漸増する力を有するプランジャが、停止部に向かうプランジャの更なる運動の間、機関弁が完全に開放された際に停止部に達するまで、弁棒に作用するようにする。
【0011】
機関弁を開放するソレノイドの使用に関する問題は、ソレノイドが、弁の閉鎖を保つ機械ばね、即ち機械弁ばねの力に打ち勝つように強いものでなければならないことである。欠点は、この強い力には、力が機関弁ばねの閉鎖力に打ち勝つように、移動鉄心、即ちプランジャに大型サイズ及び重量が伴うことである。鉄心及び弁ばねの重量は、弁ばねの力と相まって、短時間を可能にすること、即ち、弁の閉鎖から弁を完全に開放し、再度閉鎖するまでの短時間に矛盾する。実施形態では、方法は、第1のソレノイドのプランジャが第1のソレノイド内の停止部に達すると、第2のソレノイドのプランジャは、第2のソレノイドのプランジャが第2のソレノイド内の停止部に達するまで弁棒に作用し続ける。本実施形態では、第1のソレノイド内の鉄心の質量は、この期間の実質的部分に関与しない。この方法により、著しく短い期間を可能にする。
【0012】
別のソレノイドを上記の2つのソレノイドと直列に置くことは、本発明から逸脱するものではない。例えば、更なるソレノイドを上述の第1のソレノイドの前に置くことができる。好ましくは、このソレノイドは、上述の第1のソレノイドよりもストロークが実質的に短く、力が実質的に強い。
【0013】
実施形態では、第1のソレノイド及び/又は第2のソレノイドは、閉鎖運動を遅延させるように、機関弁が弁座に達する直前に稼働される。稼働は、好ましくは、短い期間、即ち、所定の時間期間の間である。稼働は、好ましくは、機関弁が弁座に達する前、所定の時間で開始される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、2ストローク又は4ストローク燃焼機関において弁アクチュエータを電気的に制御するデバイスを提供し、アクチュエータは、第1のプランジャを有する第1のソレノイドと、第2のプランジャを有する第2のソレノイドとを備え、機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダを有し、少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒を有する弁体と、弁ばねとを備え、空気は、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室から排出され、弁アクチュエータは、機関弁を開放するように稼働可能に構成する。デバイスは、機関弁の開放中、第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方が稼働されることを特徴とする。実施形態では、デバイスは、機関制御システムとして形成される。
【0015】
発明の第3の態様によれば、2ストローク又は4ストローク燃焼機関のための弁アクチュエータを提供し、弁アクチュエータは、第1のプランジャを有する第1のソレノイドと、第2のプランジャを有する第2のソレノイドとを備え、燃焼機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダを有し、少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒を有する弁体と、弁ばねとを備え、空気は、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室から排出され、弁アクチュエータは、機関弁を開放するように稼働可能に構成される。弁アクチュエータは、機関弁の開放中、第1のソレノイド及び第2のソレノイドの両方が稼働されるように構成することを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、2ストローク又は4ストローク燃焼機関のための弁装置を提供し、燃焼機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダを有し、少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒を有する弁体と、弁ばねとを備え、空気は、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室に導入される、又は排気ガスは、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼室から排出され、弁装置は、本発明の第3の態様による弁アクチュエータと、前記自由制御可能機関弁とを備える。実施形態では、弁装置は、本発明の第2の態様によるデバイスも備える。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、2ストローク又は4ストローク燃焼機関を提供し、燃焼機関は、少なくとも1つの自由制御可能機関弁を有する少なくとも1つのシリンダを備え、少なくとも1つの自由制御可能機関弁は、関連する弁棒を有する弁体と、弁ばねとを備え、空気は、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼空間に導入される、又は排気ガスは、シリンダ内の少なくとも1つの通路を介して弁体の弁棒の下側部を通り過ぎて燃焼空間から排出される。燃焼機関は、本発明の第3の態様による弁アクチュエータを更に備える。実施形態では、燃焼機関は、本発明の第2の態様によるデバイスも備える。
【0018】
方法の上記の実施形態は、本発明の第2の態様、第3の態様、第4の態様及び第5の態様の対応する実施形態にも適用可能である。
【0019】
次に、実施形態と共に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】より早期出願の特許出願に記載のいわゆる「ハンマ作用」を使用して機関弁を開放するアクチュエータの概略図である。
【
図2】より早期出願の特許出願に記載のいわゆる「ハンマ作用」を使用して機関弁を開放するアクチュエータの概略図である。
【
図3】より早期出願の特許出願に記載のいわゆる「ハンマ作用」を使用して機関弁を開放するアクチュエータの概略図である。
【
図4】より早期出願の特許出願に記載のいわゆる「ハンマ作用」を使用して機関弁を開放するアクチュエータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前記
図1~
図4を最初に説明する理由は、2つの発明の差、即ち、「ハンマ作用」を用いる機関弁の開放と、「穏やかなハンマ作用」との間の差を明確にするためである。更に、
図5~
図10の説明は、明確さを維持する一方で、簡略化することがある。
【0022】
以下の説明では、コンピュータベースの機関制御システムがあると仮定し、このシステムは、クランク角度に必要なセンサ、及びクランク角度を読み、必要なソレノイドを制御する電子回路、等を有する。したがって、これらの構成要素には説明を必要としない。このことは、既存の点火プラグ、燃料噴射器、燃焼室、シリンダ壁及びピストンにも適用される。
【0023】
図1は、機関をオフにしている間の初期位置を、シリンダ・ヘッド1の側から部分切断図で示し、シリンダ・ヘッド1は、通路2を有し、通路2を介して、空気は、燃料を伴って若しくは燃料を伴わずに、従来の弁体10を通り過ぎて燃焼室3に導入される、又は、排気ガスは、従来の弁体10を通り過ぎて燃焼室3から排出される。機関弁は、弁棒11を有する弁体から構成される。
【0024】
機関弁は、ばね4を使用して従来の様式で閉鎖を保ち、従来のばねワッシャ8は、ばねを特定の初張力で所定の位置に保つ。更に、鉄心、即ちプランジャ5を有するソレノイドAを示す。ばね6は、ソレノイドAが稼働していない際にプランジャ5を原位置で保持する。弁棒11の上側部分とプランジャ5の下側部分との間に距離7、即ち加速距離がある。図示しないが、プランジャは大きな質量体を有することを理解されたい。プランジャをソレノイド内に完全又は部分的に配設した際、ソレノイド内のプランジャ部分は、銅巻線によって囲まれている。この巻線に電気を供給すると、プランジャを吸い寄せる又は反発する磁界が生成される。本ケースでは、プランジャは、周囲の磁界によって吸い寄せられるが、反対のケースがあり得、依然として本発明の範囲内である。プランジャはソレノイド内に既存の停止部を備え、停止部は、プランジャの力が最大にある自然停止部である。図示しないが、そのような停止部が存在することを理解されたい。
【0025】
図2は、例えば機関を開始させる前の、依然として閉鎖位置にある機関弁を示す。ソレノイドAが稼働され、プランジャ5が距離7に沿って移動しながら、プランジャが弁棒11の上端に衝突する点まで加速し、これにより、プランジャの運動エネルギーは、ほぼ瞬時に弁棒に伝達される。即ち「ハンマ作用」。
【0026】
図3は、開放運動の開始における機関弁を示す。プランジャは、運動エネルギーの大部分を機関弁に伝達し、開放位置に向かう機関弁の運動は、かなりの加速を受ける。プランジャの運動は、別の短距離の間、プランジャがソレノイド内の自然停止部に到達するまで継続する。
【0027】
図4は、完全開放位置における機関弁を示し、機関弁は完全開放位置になっている。この段階での移動質量体は、弁棒、ばねワッシャ及びばねを有する機関弁から構成される可能な最低の質量体のみであることは明らかである。可能な最短期間が達成される。ばねの移動質量体は、ばね重量の約3分の1を構成するとみなされることが一般的である。
【0028】
したがって、
図5~
図9は、本発明に関し、これらの図面の説明は、主に、
図1~
図4と比較して、追加の特徴及び機能を説明するように簡略化し得る。例えば、上記の図面に存在するシリンダ・ヘッド、弁体等は、以下の図面の説明にも存在すると理解されたい。
【0029】
図5は、2つのソレノイドA及びBを示す。プランジャ5は、ソレノイドA内に存在し、プランジャ15は、ソレノイドB内に存在する。プランジャ5は、プランジャ15上に載置される。プランジャ15は、ばねワッシャ8上に載置され、ばねワッシャ8は、弁棒11に取り付けられる。ばね4は、ばねワッシャに向かって張力が加えられ、図示しない弁体を図示しない弁座等の中に保持する。弁棒11の上側部分のみ、
図5~
図9に示す、即ち、弁棒は、アクチュエータの真下に切断図で示されることを理解されたい。
【0030】
ソレノイドBは、機関弁をどのくらい開放すべきか(揚高)に対応するストローク、例えば8mmのストロークを有するものとする。この場合、プランジャ15のストロークは8mmである。ソレノイドAは、実質的により短いストローク、例えば4mmのストロークを有するものとする。この場合、プランジャ5のストロークは4mmである。概して、ソレノイドの特性は、プランジャが周囲磁界の限界から運動を開始する際は弱く、プランジャが磁界によって完全に取り囲まれると、プランジャが磁界内に移動するにつれてソレノイド内の停止部まで次第に強くなるようなものである。ソレノイドAは、ソレノイドBと比較して、ストロークが短く、稼働開始時に既に力が強い。ソレノイドBは単独で稼働し、プランジャ15によりばねワッシャ8を押圧することができ、これにより、機関弁を一定時間で開放する。しかし、稼働開始時、Aと比較するとBは弱く、したがって、開放は緩やかである。
【0031】
本発明は、ソレノイドを一緒に稼働することによって、機関弁の開放をより迅速に行うことができ、電気エネルギーの全体消費量は、機関弁を開放するためにソレノイドBを単独で使用する場合と比較して、より少ないことを特徴とする。
【0032】
図6は、ソレノイドA及びBの両方の稼働を示す。ばね4は、プランジャ5及び15からの全体的な力がばねワッシャ8に作用するため、加速度で圧縮し始める。図示しない弁体は、図示しない弁座をかなり迅速に離れる。本明細書では、プランジャ15に作用するプランジャ5の比較的短い運動の間の強く大幅に増大する力を「穏やかなハンマ」と呼ぶ。
図2の描写内で生じる、「ハンマ作用」と呼ぶ衝撃は、本発明と比較するとより大きなノイズ及びより大きな機械的応力を生じさせる。
【0033】
図7は、プランジャ5がソレノイドA内で停止部に達している位置を示し、したがって、プランジャは、プランジャ15に作用することがなく、プランジャ15は、プランジャ15が停止部に達するまでソレノイドB内で変位し続ける。ばね4は圧縮され、図示しない機関弁は開放されている。ソレノイドBは、最大の力にあり、図示しない機関弁を、閉鎖すべき時まで開放位置に保持することができる。
【0034】
図8は、ソレノイドBの停止によって生じる閉鎖運動中の機関弁を示す。ばね4は、ある程度に拡張し、プランジャ15は、
図7に示す位置内に留まっているプランジャ5と接触している。前記接触が行われると、図示しない機関弁の運動を遅延させ、プランジャ5及びプランジャ15の両方は、機関弁の運動と共に、引き続き完全閉鎖位置に向かう。
【0035】
図9は、図示しない機関弁が、
図5のように閉鎖位置内にあることを示す。閉鎖が完了する直前、ソレノイドAは、ごく短時間稼働され、これにより閉鎖運動を遅延させ、結果として、図示しない弁体は、図示しない弁座にこれらの細部に損傷を生じさせない速度で着地する。
【0036】
図10は、ソレノイドA及びBを示し、それぞれのプランジャ5及び15は、
図5と同じ位置にある。
図5との差は、
図10では、弁アクチュエータが(
図1~
図4に対応する様式で)全体的に、通路2を有するシリンダ・ヘッド1、燃焼室3(の上側部分)、弁体10及び弁棒11と共に示されることである。
図10は、本発明の第4の態様による弁装置の一実施形態、又は代替的に、本発明の第5の様態による燃焼機関の一実施形態の部品を例示して考慮することもできる。
【0037】
本発明は、上記の実施形態に限定されないが、修正形態を以下の特許請求の範囲内で行うことができる。