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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】取引支援システム及び取引支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20240905BHJP
【FI】
G06Q30/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021553540
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2020039799
(87)【国際公開番号】W WO2021079957
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2019194579
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴士
(72)【発明者】
【氏名】沖野 健太
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169106(JP,A)
【文献】特開2018-077573(JP,A)
【文献】特開2019-067250(JP,A)
【文献】特開2018-148679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象時間において所定取引を支援する取引支援システムであって、
2以上の施設の中から所定取引市場で取引を行う取引施設の候補を決定する制御部と、
前記2以上の施設を管理する管理エンティティに属する管理サーバに対して、前記取引施設の候補を特定する取引施設情報を送信する送信部と、
前記管理サーバから、前記所定取引市場において前記所定取引が成立した取引成立施設を特定する取引成立施設情報を受信する受信部と、を備え、
前記送信部は、前記所定取引の結果を検証する検証エンティティに属する検証サーバに対して、前記取引成立施設を特定する取引成立施設情報を送信する、取引支援システム。
【請求項2】
前記送信部は、前記検証サーバの要求に応じて、前記取引成立施設情報を送信する、請求項1に記載の取引支援システム。
【請求項3】
前記送信部は、前記検証サーバの要求によらずに、前記取引成立施設情報を自律的に送信する、請求項1に記載の取引支援システム。
【請求項4】
前記送信部は、前記取引対象時間の開始前に、前記取引成立施設情報を送信する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項5】
前記所定取引は、電力系統の電力調整に関する電力取引であり、
前記2以上の施設は、前記管理エンティティによって制御可能な制御対象設備を少なくとも有しており、
前記2以上の施設のそれぞれについて、前記取引対象時間に対応する調整可能電力を管理する管理部を備え、
前記受信部は、前記2以上の施設から、前記取引対象時間に対応する入札情報を受信し、
前記入札情報は、前記制御対象設備の利用に対する価値を含み、
前記調整可能電力は、前記制御対象設備の制御によって調整可能な電力系統の電力であり、
前記制御部は、前記入札情報及び前記調整可能電力に基づいて、前記取引施設の候補として入札施設の候補を決定する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項6】
前記制御対象設備は、分散電源を少なくとも含む、請求項5に記載の取引支援システム。
【請求項7】
前記分散電源は、前記施設から前記電力系統に対する電力の出力が許容される分散電源を含む、請求項6に記載の取引支援システム。
【請求項8】
前記管理部は、前記調整可能電力に相当する調整が実行される信頼性を管理し、
前記制御部は、前記入札情報及び前記調整可能電力に加えて、前記信頼性に基づいて前記入札施設の候補を決定する、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項9】
前記管理部は、前記制御対象設備に関する障害発生率を管理し、
前記制御部は、前記入札情報及び前記調整可能電力に加えて、前記障害発生率に基づいて、前記入札施設の候補を決定する、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項10】
前記2以上の施設のそれぞれは、前記管理エンティティによって制御されない非制御対象設備を含み、
前記管理部は、前記取引対象時間において前記非制御対象設備の電力である非制御対象電力を管理し、
前記制御部は、前記入札情報及び前記調整可能電力に加えて、前記非制御対象電力に基づいて、前記入札施設の候補を決定する、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項11】
前記受信部は、前記管理エンティティに属する電力管理サーバから、前記管理部によって管理される情報要素を含む評価情報を受信する、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の取引支援システム。
【請求項12】
取引対象時間において所定取引を行う取引支援方法であって、
2以上の施設の中から所定取引市場で取引を行う取引施設の候補を決定するステップと、
前記2以上の施設を管理する管理エンティティに属する管理サーバに対して、前記取引施設の候補を特定する取引施設情報を送信するステップと、
前記管理サーバから、前記所定取引市場において前記所定取引が成立した取引成立施設を特定する取引成立施設情報を受信するステップと、
前記所定取引の結果を検証する検証エンティティに属する検証サーバに対して、前記取引成立施設を特定する取引成立施設情報を送信するステップと、を備える、取引支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取引支援システム及び取引支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VPP(Virtual Power Plant)などのように、各施設に設けられる分散電源の出力電力を電力系統で利用する仕組みが注目を集めている。このような仕組みにおいては、電力取引市場において、電力の売買取引を成立させる方法も知られている。例えば、売電電力に対する対価である入札情報とともに、分散電源の発電形態、発電予備力及び二酸化炭素排出量などの情報を売主から買主に対して提示する技術が知れている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、施設に設けられる設備(例えば、分散電源)は、アグリゲータに代表される管理エンティティによって管理されるケースが想定される。さらに、電力取引市場に対する入札は、施設毎ではなく、管理エンティティ毎に行われるケースが想定される。
【0004】
このようなケースにおいて、電力取引市場に対する入札が管理エンティティ毎に行われるため、電力取引を検証する検証エンティティは、電力系統の電力を調整する主体である施設エンティティを把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-39956号公報
【発明の概要】
【0006】
第1の特徴に係る取引支援システムは、取引対象時間において所定取引を支援するシステムである。前記取引支援システムは、2以上の施設の中から所定取引市場で取引を行う取引施設の候補を決定する制御部と、前記2以上の施設を管理する管理エンティティに属する管理サーバに対して、前記取引施設の候補を特定する取引施設情報を送信する送信部と、前記管理サーバから、前記所定取引市場において前記所定取引が成立した取引成立施設を特定する取引成立施設情報を受信する受信部と、を備える。前記送信部は、前記所定取引の結果を検証する検証エンティティに属する検証サーバに対して、前記取引成立施設を特定する取引成立施設情報を送信する。
【0007】
第2の特徴に係る取引支援方法は、取引対象時間において所定取引を行う方法である。前記取引支援方法は、2以上の施設の中から所定取引市場で取引を行う取引施設の候補を決定するステップと、前記2以上の施設を管理する管理エンティティに属する管理サーバに対して、前記取引施設の候補を特定する取引施設情報を送信するステップと、前記管理サーバから、前記所定取引市場において前記所定取引が成立した取引成立施設を特定する取引成立施設情報を受信するステップと、前記所定取引の結果を検証する検証エンティティに属する検証サーバに対して、前記取引成立施設を特定する取引成立施設情報を送信するステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る入札支援システム100を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る施設300を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る電力管理サーバ200を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るローカル制御装置360を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る入札支援サーバ500を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る管理部510で管理される情報を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る入札施設の候補の決定方法について説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係る入札支援方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0010】
[実施形態]
(入札支援システム)
以下において、実施形態に係る入札支援システム(取引支援システムの一例)について説明する。
【0011】
図1に示すように、入札支援システム100は、電力管理サーバ200と、施設300と、電力会社400と、入札支援サーバ500と、市場サーバ600と、を有する。図1では、施設300として、施設300A~施設300Cが例示されている。
【0012】
各施設300は、電力系統110に接続される。以下において、電力系統110から施設300への電力の流れを潮流と称し、施設300から電力系統110への電力の流れを逆潮流と称する。
【0013】
電力管理サーバ200、施設300、電力会社400、入札支援サーバ500及び市場サーバ600は、ネットワーク120に接続されている。ネットワーク120は、これらのエンティティ間の回線を提供すればよい。例えば、ネットワーク120は、インターネットである。ネットワーク120は、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよい。
【0014】
電力管理サーバ200は、2以上の施設を管理する管理エンティティに属する管理サーバの一例である。電力管理サーバ200は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータなどの事業者によって管理されるサーバである。リソースアグリゲータは、VPP(Virtual Power Plant)において、発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などに逆潮流電力を提供する電力事業者である。リソースアグリゲータは、リソースアグリゲータによって管理される施設300の潮流電力(消費電力)の削減電力を生み出す電力事業者であってもよい。実施形態において、電力管理サーバ200を管理する事業者は、逆潮流電力の買取エンティティの一例である。
【0015】
電力管理サーバ200は、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(例えば、太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する制御メッセージを送信する。例えば、電力管理サーバ200は、潮流電力の制御を要求する潮流制御メッセージ(例えば、DR;Demand Response)を送信してもよく、逆潮流電力の制御を要求する逆潮流制御メッセージを送信してもよい。さらに、電力管理サーバ200は、分散電源の動作状態を制御する電源制御メッセージを送信してもよい。潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよく、相対値(例えば、○○%)で表されてもよい。或いは、潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、2以上のレベルで表されてもよい。潮流電力又は逆潮流電力の制御度合いは、現在の電力需給バランスによって定められる電力料金(RTP;Real Time Pricing)によって表されてもよく、過去の電力需給バランスによって定められる電力料金(TOU;Time Of Use)によって表されてもよい。
【0016】
施設300は、電力系統110の電力を調整する主体である施設エンティティに属する施設の一例である。施設300は、図2に示すように、太陽電池装置310と、蓄電装置320と、燃料電池装置330と、負荷機器340と、ローカル制御装置360と、電力計380と、電力計390と、を有する。
【0017】
太陽電池装置310は、太陽光などの光に応じて発電を行う分散電源である。太陽電池装置310は、固定買取価格(FIT(Feed-in Tariff))が適用される分散電源の一例であってもよい。例えば、太陽電池装置310は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。太陽電池装置310は、管理エンティティ(電力管理サーバ200)によって制御可能な制御対象設備の一例であってもよい。
【0018】
ここで、太陽電池装置310から出力される電力は、太陽光などの光の受光量によって変動し得る。従って、太陽電池装置310の発電効率を考慮した場合には、太陽電池装置310から出力される電力は、太陽光パネルの受光量によって変動し得る可変電力である。
【0019】
蓄電装置320は、電力の充電及び電力の放電を行う分散電源である。蓄電装置320は、固定買取価格が適用されない分散電源の一例であってもよい。例えば、蓄電装置320は、PCS及び蓄電セルによって構成される。蓄電装置320は、管理エンティティ(電力管理サーバ200)によって制御可能な制御対象設備の一例であってもよい。
【0020】
燃料電池装置330は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。燃料電池装置330は、固定買取価格が適用されない分散電源の一例であってもよい。例えば、燃料電池装置330は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。燃料電池装置330は、管理エンティティ(電力管理サーバ200)によって制御可能な制御対象設備の一例であってもよい。
【0021】
例えば、燃料電池装置330は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0022】
負荷機器340は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器340は、空調機器、照明機器、AV(Audio Visual)機器などである。負荷機器340は、電管理エンティティ(電力管理サーバ200)によって制御されない非制御対象設備の一例であってもよい。
【0023】
ローカル制御装置360は、施設300の電力を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。ローカル制御装置360は、太陽電池装置310の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる蓄電装置320の動作状態を制御してもよく、施設300に設けられる燃料電池装置330の動作状態を制御してもよい。ローカル制御装置360の詳細については後述する(図4を参照)。
【0024】
実施形態において、ローカル制御装置360は、取引対象時間に対応する入札情報を入札支援サーバ500に送信する施設端末の一例である。入札情報は、制御対象設備の利用に対する価値を含む。
【0025】
実施形態において、電力管理サーバ200とローカル制御装置360との間の通信は、第1プロトコルに従って行われる。一方で、ローカル制御装置360と分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われる。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Liteに準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。但し、第1プロトコル及び第2プロトコルは同一の規則で作られたプロトコルであってもよい。
【0026】
電力計380は、電力系統110から施設300への潮流電力及び施設300から電力系統110への逆潮流電力を測定する基幹電力計の一例である。例えば、電力計380は、電力会社400に帰属するスマートメータである。
【0027】
ここで、電力計380は、所定期間(例えば、30分)毎に、所定期間における潮流電力又は逆潮流電力の積算値を示す情報要素を含むメッセージをローカル制御装置360に送信する。電力計380は、自律的にメッセージを送信してもよく、ローカル制御装置360の要求に応じてメッセージを送信してもよい。電力計380は、所定期間毎に、所定期間における潮流電力又は逆潮流電力を示す情報要素を含むメッセージを電力管理サーバ200に送信してもよい。
【0028】
電力計390は、分散電源の個別出力電力を測定する個別電力計の一例である。電力計390は、分散電源のPCSの出力端に設けられてもよく、分散電源の一部であると考えてもよい。図2では、電力計390として、電力計391と、電力計392と、電力計393と、が設けられる。電力計391は、太陽電池装置310の個別出力電力を測定する。電力計392は、蓄電装置320の個別出力電力を測定する。電力計393は、燃料電池装置330の個別出力電力を測定する。
【0029】
ここで、電力計390は、所定期間よりも短い間隔(例えば、1分)で、分散電源の個別出力電力を示す情報要素を含むメッセージをローカル制御装置360に送信する。分散電源の個別出力電力は、瞬時値によって表されてもよく、積算値によって表されてもよい。電力計390は、自律的にメッセージを送信してもよく、ローカル制御装置360の要求に応じてメッセージを送信してもよい。
【0030】
図1に戻って、電力会社400は、電力取引の結果を検証する検証エンティティに属する検証サーバの一例である。電力会社400は、電力系統110などのインフラストラクチャーを提供するエンティティであり、例えば、発電事業者又は送配電事業者である。電力会社400は、電力管理サーバ200を管理するエンティティに対して、各種の業務を委託してもよい。
【0031】
入札支援サーバ500は、取引対象時間において電力系統110の電力調整に関する電力取引を支援するサーバである。入札支援サーバ500の詳細については後述する(図5を参照)。
【0032】
ここで、電力調整に関する電力取引は、施設300から電力系統110に出力される逆潮流電力を価値と交換する取引を含んでもよい(電力売買取引)。このような電力取引は、施設300から電力系統110に出力される逆潮流電力の増加電力を価値と交換する取引を含んでもよい(上げ調整取引)。電力調整に関する電力取引は、逆潮流電力の削減電力を価値と交換する取引を含んでもよい(下げ調整取引又は出力抑制取引)。電力調整に関する電力取引は、電力系統110から施設300に供給される潮流電力(需要電力とも称する)の削減電力を価値と交換する取引を含んでもよい(以下、ネガワット取引)。潮流電力の削減電力は、ベースライン電力から削減された電力である。ベースライン電力は、削減要請が行われなかった場合に想定される潮流電力である。ベースライン電力は、削減要請の発動予告よりも前の一定期間の潮流電力の平均値であってもよい。一定期間は、ネガワット取引の実体に応じて定められてもよく、電力管理サーバ200と電力会社400との間で定められてもよい。
【0033】
以下においては、価値と交換される電力(例えば、逆潮流電力、逆潮流電力の削減電力、潮流電力の削減電力)を取引対象電力と称する。取引対象電力の売り手を売り手エンティティと称し、取引対象電力の買い手を買い手エンティティと称する。
【0034】
価値は、国などの統治主体によって発行される通貨であってもよく、業者によって発行される仮想通貨であってもよい。価値は、第三者機関によって証明される環境付加価値であってもよい。環境付加価値は、グリーン電力証書によって証明されてもよい。
【0035】
市場サーバ600は、電力取引市場を管理するサーバである。言い換えると、市場サーバは、電力系統110の電力調整に関する電力取引を行うサーバである。具体的には、市場サーバ600は、売り手エンティティの入札条件と買い手エンティティの購入条件と比較によって、売り手エンティティと買い手エンティティとのマッチングを行う。言い換えると、市場サーバ600は、購入条件を満たす入札条件を提示する売り手エンティティを買い手エンティティとマッチングする。実施形態では、売り手エンティティは、電力管理サーバ200の管理エンティティと同義である。
【0036】
ここで、入札条件及び購入条件は同一指標によって表される条件を含んでもよい。例えば、同一指標の単位は、単位電力に対する価値の大きさ(価値/kW)であってもよい。入札条件は、単位時間における調整可能電力の瞬時値の大きさを含んでもよく、取引対象時間における調整可能電力の積算値の大きさを含んでもよい。調整可能電力の詳細については後述する。
【0037】
(電力管理サーバ)
以下において、実施形態に係る電力管理サーバについて説明する。図3に示すように、電力管理サーバ200は、管理部210と、通信部220と、制御部230と、を有する。電力管理サーバ200は、VTN(Virtual Top Node)の一例である。
【0038】
管理部210は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されており、施設300に関する情報を管理する。例えば、施設300に関する情報は、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)の種別、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)のスペックなどである。スペックは、太陽電池装置310の定格発電電力、蓄電装置320の定格電力、燃料電池装置330の定格電力であってもよい。
【0039】
通信部220は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介してローカル制御装置360と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTEなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0040】
上述したように、通信部220は、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージをローカル制御装置360に送信する。通信部220は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答をローカル制御装置360から受信する。
【0041】
実施形態では、通信部220は、後述する管理部510によって管理される情報要素を含む評価情報を入札支援サーバ500に送信する。評価情報は、施設300の調整可能電力を特定する情報要素を少なくとも含む。通信部220は、管理エンティティとして電力取引市場への入札を行うための条件を含む条件情報を入札支援サーバ500に送信する。条件情報は、入札条件及び購入条件に含まれる指標と対比可能な閾値を含んでもよい。すなわち、管理エンティティは、閾値よりも高い指標を提示する施設300の調整可能電力に基づいて電力取引市場への入札を行う。条件情報は、単位時間における調整可能電力の瞬時値の大きさを含んでもよく、取引対象時間における調整可能電力の積算値の大きさを含んでもよい。
【0042】
制御部230は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0043】
制御部230は、電力管理サーバ200に設けられる各構成を制御する。例えば、制御部230は、制御メッセージの送信によって、施設300に設けられるローカル制御装置360に対して、施設300に設けられる分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)に対する制御を指示する。制御メッセージは、上述したように、潮流制御メッセージであってもよく、逆潮流制御メッセージであってもよく、電源制御メッセージであってもよい。
【0044】
(ローカル制御装置)
以下において、実施形態に係るローカル制御装置について説明する。図4に示すように、ローカル制御装置360は、第1通信部361と、第2通信部362と、制御部363とを有する。ローカル制御装置360は、VEN(Virtual End Node)の一例である。
【0045】
第1通信部361は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介して電力管理サーバ200と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTEなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0046】
上述したように、第1通信部361は、第1プロトコルに従って通信を行う。例えば、第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージを電力管理サーバ200から受信する。第1通信部361は、第1プロトコルに従って第1メッセージ応答を電力管理サーバ200に送信する。
【0047】
第2通信部362は、通信モジュールによって構成されており、分散電源(太陽電池装置310、蓄電装置320又は燃料電池装置330)と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTEなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3又は独自の専用プロトコルなどの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0048】
上述したように、第2通信部362は、第2プロトコルに従って通信を行う。例えば、第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージを分散電源に送信する。第2通信部362は、第2プロトコルに従って第2メッセージ応答を分散電源から受信する。
【0049】
実施形態において、第2通信部362は、電力計380から逆潮流電力を特定する情報を少なくとも受信する第1受信部を構成する。第2通信部362は、電力計380から潮流電力を特定する情報を受信してもよい。第2通信部362は、2以上の分散電源の個別出力電力のそれぞれを特定する情報を各電力計390から受信する第2受信部を構成する。
【0050】
制御部363は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0051】
制御部363は、ローカル制御装置360に設けられる各構成を制御する。具体的には、制御部363は、施設300の電力を制御するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって、分散電源の動作状態の設定を機器に指示する。制御部363は、施設300の電力を管理するために、第2メッセージの送信及び第2メッセージ応答の受信によって分散電源の情報の報告を分散電源に指示してもよい。
【0052】
(入札支援サーバ)
以下において、実施形態に係る入札支援サーバについて説明する。図5に示すように、入札支援サーバ500は、管理部510と、通信部520と、制御部530と、を有する。
【0053】
管理部510は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されており、施設300に設けられる設備に関する情報を管理する。例えば、管理部510は、図6に示す情報を管理する。
【0054】
施設IDは、施設300を特定する情報である。設備IDは、施設300に設けられる設備を特定する情報である。
【0055】
制御対象フラグは、施設300に設けられる設備が制御対象設備であるか否かを示すフラグである。図6に示す例では、“1”が制御対象設備であることを示しており、“0”が非制御対象設備であることを示している。
【0056】
調整可能電力は、取引対象時間において制御対象設備の制御によって調整可能な電力系統110の電力である。調整可能電力は、単位時間における調整可能電力の瞬時値であってもよく、取引対象時間における調整可能電力の積算値であってもよい。調整可能電力は、太陽電池装置310の定格発電電力によって推定されてもよく、蓄電装置320の定格電力によって推定されてもよく、燃料電池装置330の定格電力によって推定されてもよい。或いは、調整可能電力は、取引対象時間における天気予報などによって予測される太陽電池装置310の予測出力電力によって推定されてもよい。調整可能電力は、取引対象時間における蓄電装置320の予測蓄電残量によって推定されてもよい。調整可能電力は、取引対象時間における燃料電池装置330の予測出力電力によって推定されてもよい。
【0057】
調整可能な電力系統110の電力は、上述した取引対象電力に寄与する。但し、調整可能な電力系統110の電力は、後述する非制御対象電力によって影響を受ける場合があることに留意すべきである。
【0058】
障害発生率は、制御対象設備に関する障害発生率である。障害発生率は、制御対象設備の障害が発生する率であってもよく、制御対象設備と電力管理サーバ200との間の通信の障害が発生する率であってもよい。障害発生率は、制御対象設備とローカル制御装置360との間の通信の障害が発生する率を含んでもよく、ローカル制御装置360と電力管理サーバ200との間の通信の障害が発生する率を含んでもよい。
【0059】
非制御対象電力は、取引対象時間における非制御対象設備の電力である。非制御対象設備が負荷機器340である場合には、非制御対象電力は負荷機器340の消費電力を含んでもよい。非制御対象設備が分散電源である場合には、非制御対象電力は分散電源の出力電力を含んでもよい。非制御対象設備が蓄電装置320である場合には、非制御対象電量は、蓄電装置320の放電電力を含んでもよく、蓄電装置320の充電電力を含んでもよい。非制御対象電力は、非制御対象設備の電力の履歴に基づいて推定されてもよい。
【0060】
信頼性は、電力系統110の電力調整に関する電力取引において、調整可能電力に相当する調整が実行される信頼性である。言い換えると、信頼性は、入札条件が遵守される可能性である。例えば、信頼性は、“入札条件に含まれる調整可能電力”に対する“制御対象設備の制御によって実現された調整可能電力”の乖離度合いに基づいて推定されてもよい。
【0061】
信頼性は、上述した障害発生率に基づいて推定されてもよい。例えば、障害発生率が高いほど、信頼性が低くなるように設定される。或いは、信頼性は、上述した調整可能電力及び非制御対象電力に基づいて推定されてもよい。例えば、調整可能電力に対する非制御対象電力の割合が大きいほど、信頼性が低くなるように設定される。
【0062】
図6では、調整可能電力、障害発生率及び信頼性が制御対象設備毎に管理されているが、実施形態はこれに限定されるものではない。調整可能電力、障害発生率及び信頼性は、施設300毎に管理されてもよい。このようなケースにおいて、調整可能電力は、各制御対象設備の調整可能電力の合計であってもよい。例えば、施設IDが“AAA”である施設300において、調整可能電力は、PP、QQ及びRRの合計である。障害発生率は、各制御対象設備の障害発生率の単純平均であってもよく、各制御対象設備の障害発生率の加重平均であってもよい。例えば、施設IDが“AAA”である施設300において、障害発生率は、X、Y及びZの単純平均又は加重平均である。同様に、信頼性は、各制御対象設備の信頼性の単純平均であってもよく、各制御対象設備の信頼性の加重平均であってもよい。例えば、施設IDが“AAA”である施設300において、信頼性は、XX、YY及びZZの単純平均又は加重平均である。加重平均は、調整可能電力が大きい制御対象設備の加重が重くなるように行われてもよい。
【0063】
通信部520は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介してローカル制御装置360と通信を行う。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTEなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0064】
通信部520は、管理部510によって管理される情報要素を含む評価情報を電力管理サーバ200から受信してもよい。通信部520は、各施設300のローカル制御装置360から評価情報を受信してもよい。評価情報は、図6に示す情報要素の全てを含んでもよく、図6に示す情報要素の一部を含んでもよい。
【0065】
実施形態では、通信部520は、取引対象時間に対応する入札情報を施設300から受信する受信部を構成する。上述したように、入札情報は、制御対象設備の利用に対する価値を含む。例えば、制御対象設備の利用に対する価値は、施設エンティティ(例えば、施設300のユーザ)によって設定されてもよい。
【0066】
通信部520は、管理部510によって管理される情報要素を含む評価情報を電力管理サーバ200から受信する。評価情報は、施設300の調整可能電力を特定する情報要素を少なくとも含む。評価情報は、施設ID、設備ID、制御対象フラグ、障害発生率、非制御対象電力及び信頼性の中から選択された1以上の情報要素を含んでもよい。
【0067】
通信部520は、管理エンティティとして電力取引市場への入札を行うための条件を含む条件情報を電力管理サーバ200から受信する。条件情報は、入札条件及び購入条件に含まれる指標と対比可能な閾値を含んでもよい。上述したように、条件情報は、単位時間における調整可能電力の瞬時値の大きさを含んでもよく、取引対象時間における調整可能電力の積算値の大きさを含んでもよい。
【0068】
実施形態では、通信部520は、電力取引市場に対する入札施設の候補を特定する入札施設情報を電力管理サーバ200に送信する送信部を構成する。通信部520は、電力取引市場において電力取引が成立した落札施設(取引成立施設の一例)を特定する落札施設情報(取引成立施設情報の一例)を電力管理サーバ200から受信する受信部を構成する。
【0069】
通信部520は、落札施設を特定する落札施設情報を電力会社400に送信する。通信部520は、電力会社400の要求に応じて落札施設情報を送信してもよい。通信部520は、電力会社400の要求によらずに落札施設情報を自律的に送信してもよい。通信部520は、取引開始期間の開始前において落札施設情報を送信してもよい。
【0070】
制御部530は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0071】
実施形態では、制御部530は、入札情報及び調整可能電力に基づいて、2以上の施設300の中から、電力取引市場に対する入札施設の候補を決定する。具体的には、制御部530は、入札情報及び調整可能電力に基づいて、調整可能電力の単位当たりの価値(例えば、後述する指標=価値/kW)を特定し、特定された価値に基づいて前記入札施設の候補を決定する。ここでは、図7を参照しながら、入札施設の候補を決定する方法について説明する。図7では、調整可能電力が施設300毎に管理されるケースについて例示する。図7では、調整可能電量が単位時間における電力の瞬時値であるケースについて例示する。
【0072】
図7に示すように、施設IDが“AAA”である施設300について管理される調整可能電力が“PAAA”であり、施設IDが“AAA”である施設300から受信する入札情報に含まれる価値が“VAAA”であるケースについて例示する。なお、施設IDが“BBB”~“FFF”である施設300に対応する調整可能電力及び価値についても同様である。
【0073】
第1に、制御部530は、調整可能電力及び価値に基づいて指標を算出する。指標は、上述した条件情報に含まれる閾値と対比可能な指標である。すなわち、指標は、価値/kWで表される。例えば、制御部530は、施設IDが“AAA”である施設300について、指標IndexAAA(すなわち、VAAA/PAAA)を算出する。同様に、施設IDが“BBB”~“FFF”である施設300についても指標が算出される。
【0074】
第2に、制御部530は、指標が高い順に施設300を並べ替える。図7では、IndexBBB>IndexAAA>IndexFFF>IndexDDD>IndexCCC>IndexEEEの関係が満たされるケースが例示されている。このようなケースにおいて、VBBB>VAAA>VFFF>VDDD>VCCC>VEEEの関係の関係が必ずしも成立する訳ではないことに留意すべきである。
【0075】
第3に、制御部530は、電力管理サーバ200から受信する条件情報に含まれる閾値THよりも高い指標を有する施設300を入札施設の候補として決定する。図7では、施設IDが“BBB”、“AAA”、“FFF”及び“DDD”である施設が入札施設の候補として決定される。
【0076】
ここで、管理部510が信頼性を管理している場合には、制御部530は、入札情報及び調整可能電力に加えて、信頼性に基づいて入札施設の候補を決定してもよい。具体的には、制御部530は、“価値/調整可能電力”を信頼性に基づいて補正することによって指標を算出する。信頼性が高いほど、“価値/調整可能電力”が高くなるように補正される(以下、第1補正方法)。
【0077】
或いは、管理部510が障害発生率を管理している場合には、制御部530は、入札情報及び調整可能電力に加えて、障害発生率に基づいて入札施設の候補を決定してもよい。具体的には、制御部530は、“価値/調整可能電力”を障害発生率に基づいて補正することによって指標を算出する。障害発生率が低いほど、“価値/調整可能電力”が高くなるように補正される(以下、第2補正方法)。
【0078】
或いは、管理部510が非制御対象電力を管理している場合には、制御部530は、入札情報及び調整可能電力に加えて、非制御対象電力に基づいて入札施設の候補を決定してもよい。具体的には、制御部530は、“価値/調整可能電力”を“調整可能電力に対する非制御対象電力の割合”に基づいて補正することによって指標を算出する。調整可能電力に対する非制御対象電力の割合が小さいほど、“価値/調整可能電力”が高くなるように補正される(以下、第3補正方法)。
【0079】
制御部530は、上述した第1補正方法~第3補正方法の中から選択された2以上の補正方法によって指標を算出してもよい。
【0080】
さらに、条件情報が単位時間における調整可能電力の瞬時値の大きさを含む場合には、制御部530は、施設300の調整可能電力(瞬時値)が条件情報に含まれる大きさに達するまで、指標が大きい順に選択された施設300を入札施設の候補として決定してもよい。同様に、条件情報が取引対象時間における調整可能電力の積算値の大きさを含む場合には、制御部530は、施設300の調整可能電力(積算値)が条件情報に含まれる大きさに達するまで、指標が大きい順に選択された施設300を入札施設の候補として決定してもよい。
【0081】
(入札支援方法)
以下において、実施形態に係る入札支援方法について説明する。
【0082】
図8に示すように、ステップS11において、入札支援サーバ500は、評価情報を電力管理サーバ200から受信する。評価情報は、施設300毎の調整可能電力を特定する情報要素を少なくとも含む。
【0083】
ステップS12において、入札支援サーバ500は、条件情報を電力管理サーバ200から受信する。条件情報は、条件情報は、入札条件及び購入条件に含まれる指標と対比可能な閾値を含んでもよい。
【0084】
ステップS13において、入札支援サーバ500は、入札情報を施設300群から受信する。入札情報は、制御対象設備の利用に対する価値を含む。
【0085】
ステップS14において、入札支援サーバ500は、入札情報及び調整可能電力に基づいて、2以上の施設300の中から、電力取引市場に対する入札施設の候補を決定する。
【0086】
ステップS15において、入札支援サーバ500は、電力取引市場に対する入札施設の候補を特定する入札施設情報を電力管理サーバ200に送信する。
【0087】
ステップS16において、電力管理サーバ200は、入札施設の候補の中から、電力取引市場に対する入札施設を決定する。但し、電力取引市場に対する入札は管理エンティティとして行われるため、ステップS16の段階で入札施設を決定しなくてもよい。
【0088】
ステップS17において、電力管理サーバ200(管理エンティティ)は、電力取引市場に対する入札条件を市場サーバ600に送信する。例えば、入札条件は、単位電力に対する価値の大きさ(価値/kW)で表される指標を含む。入札条件に含まれる指標は、上述した閾値であってもよく、ステップS15で受信する入札施設情報に基づいて設定されてもよい。入札条件は、単位時間における調整可能電力の瞬時値の大きさを含んでもよく、取引対象時間における調整可能電力の積算値の大きさを含んでもよい。これらの情報は、ステップS15で受信する入札施設情報に基づいて設定されてもよい。
【0089】
ステップS18において、電力管理サーバ200(管理エンティティ)は、電力取引市場における落札結果を市場サーバ600から受信する。落札結果は、ステップS17で送信された入札条件が電力取引市場で受け入れたか否かを示す情報を含む。ここでは、
【0090】
ステップS19において、電力管理サーバ200は、ステップS18の落札結果に基づいて落札施設を決定する。落札施設は、取引対象時間において電力取引に参加する施設300である。
【0091】
ステップS20において、入札支援サーバ500は、電力取引市場において電力取引が成立した落札施設を特定する落札施設情報を電力管理サーバ200から受信する。
【0092】
ステップS21において、入札支援サーバ500は、落札結果を施設300群に送信する。例えば、入札支援サーバ500は、落札施設として決定された施設300に対して、施設300が落札施設である旨を示す落札結果を送信する。入札支援サーバ500は、落札施設として決定されなかった施設300に対して、施設300が落札施設でない旨を示す落札結果を送信してもよい。入札支援サーバ500は、施設300群の要求に応じて落札結果を送信してもよく、施設300群の要求によらずに落札結果を自律的に送信してもよい。
【0093】
ステップS22において、入札支援サーバ500は、電力取引市場において電力取引が成立した落札施設を特定する落札施設情報を電力会社400に送信する。入札支援サーバ500は、電力会社400の要求に応じて落札施設情報を送信してもよい。入札支援サーバ500は、電力会社400の要求によらずに落札施設情報を自律的に送信してもよい。入札支援サーバ500は、取引開始期間の開始前において落札施設情報を送信してもよい。
【0094】
なお、電力取引市場において電力取引が成立しなかった場合には、ステップS17で示した入札条件の提示は複数回に亘って行われてもよい。
【0095】
(作用及び効果)
実施形態では、入札支援サーバ500は、入札情報及び調整可能電力に基づいて、電力取引市場に対する入札施設の候補を決定する。このような構成によれば、電力管理サーバ200によって制御対象設備が制御されるため、施設エンティティが調整可能電力を把握できないケースにおいて、電力管理サーバ200によって制御可能な制御対象設備の利用に対する価値(対価)を提示するだけで、電力管理サーバ200にとって適切な入札施設の候補を決定することができる。
【0096】
実施形態では、入札支援サーバ500は、電力取引市場において電力取引が成立した落札施設を特定する落札施設情報を電力会社400に送信する。このような構成によれば、電力取引市場への入札が電力管理サーバ200毎に行われるケースにおいて、電力取引を検証する検証エンティティ(ここでは、電力会社400)が、電力系統110の電力を調整する主体である施設エンティティ、すなわち、電力管理サーバ200の制御下において電力取引に参加する施設300として電力管理サーバ200から検証エンティティに通知された施設300(落札施設)を把握することができる。ひいては、電力取引の結果を適切に検証することができる。
【0097】
実施形態では、電力取引の結果を検証エンティティが適切に検証する仕組みを提供することによって、取引対象時間において電力取引に参加する施設300の母集団の柔軟な変更を許容することができる。
【0098】
[その他の実施形態]
本開示は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0099】
実施形態では、所定取引市場で取引を行う取引施設が、電力取引市場に対する入札施設であるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。取引施設は、電力取引市場で何らかの取引を行う施設であればよい。例えば、取引施設は、電力取引市場において電力を購入する施設(買い手エンティティ)であってもよい。このようなケースにおいて、「入札」及び「落札」を「取引」と置き換えればよい。
【0100】
実施形態では、所定取引が電力系統の電力調整に関する電力取引であるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。所定取引は、検証エンティティが取引施設の検証を行う必要がある取引であればよい。このようなケースにおいて、「電力取引」及び「電力取引市場」を「所定取引」及び「所定取引市場」と置き換えればよい。
【0101】
実施形態では、制御対象設備が施設300に設けられる全ての分散電源であるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御対象設備は、施設300に設けられる一部の分散電源であってもよい。制御対象設備は、施設300から電力系統110に対する電力の出力が許容される分散電源であってもよい。施設300から電力系統110に対する電力の出力が許容される分散電源は、蓄電装置320を含んでもよい。
【0102】
実施形態では、制御対象設備が施設300に設けられる分散電源であるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御対象設備は、施設300に設けられる負荷機器340を含んでもよい。負荷機器340が制御対象設備である場合には、ネガワット取引において潮流電力の削減が可能である。
【0103】
実施形態では、入札支援サーバ500が電力管理サーバ200と別体として設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。入札支援サーバ500が有する機能は電力管理サーバ200が有していてもよい。すなわち、電力管理サーバ200は、入札支援サーバ500の管理部510及び制御部530を有していてもよい。このようなケースにおいて、電力管理サーバ200と入札支援サーバ500との間の通信は省略されてもよい。
【0104】
実施形態では、入札情報を送信する端末装置がローカル制御装置360であるケースを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。端末装置は、施設エンティティに属する端末であればよい。例えば、端末装置は、施設エンティティが有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0105】
実施形態では特に触れていないが、入札支援サーバ500から電力会社400に送信される落札施設情報に含まれる落札施設が、取引対象時間において電力取引に参加する施設300と一致することが証明されてもよい。例えば、証明方法は、電力管理サーバ200から入札支援サーバ500に送信される落札施設情報と入札支援サーバ500から電力会社400に送信される落札施設情報との間で改竄がないことを、ブロックチェーン技術を用いて証明する方法であってもよい。
【0106】
実施形態では、取引対象時間において電力取引に参加する施設300(落札施設)の決定(図8に示すステップS19)は、取引対象時間の開始前に行われる。例えば、取引対象時間が12:00-15:00である場合に、入札支援サーバ500における落札施設の決定及び電力会社400に対する落札施設情報の送信は、取引対象時間(12:00-15:00)の開始前に行われる。さらに、取引対象時間の開始後において落札施設が再決定(更新)されてもよい。このようなケースにおいて、再決定(更新)後の落札施設に係る取引対象時間も更新されてもよい。例えば、再決定(更新)後の落札施設に係る取引対象時間は、13:00-15:00であってもよい。このような場合であっても、入札支援サーバ500における落札施設の再決定(更新)及び電力会社400に対する落札施設情報の送信は、更新後の取引対象時間(13:00-15:00)の開始前に行われる。このような構成によれば、落札施設の再決定(更新)が行われる場合であっても、電力会社400(検証エンティティ)が電力取引に参加する落札施設を検証することが可能である。
【0107】
実施形態では、自然エネルギーを利用して電力を出力する分散電源として太陽電池装置310を例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。自然エネルギーを利用して電力を出力する分散電源は、風力発電装置、水力発電装置、地熱発電装置及びバイオマス発電装置の中から選択された1以上の調整電源を含んでもよい。このような分散電源は、施設300から電力系統110に対する電力の出力が許容される分散電源の一例と考えてもよい。
【0108】
実施形態では、各調整電源が別々のPCSを有するケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。2以上の調整電源に対して1つのマルチDCリンクのPCSが設けられてもよい。
【0109】
実施形態では、ローカル制御装置360が施設300に設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。ローカル制御装置360は、クラウドサービスによって提供されてもよい。
【0110】
実施形態では特に触れていないが、電力とは、瞬時値(kW)であってもよく、単位時間の積算値(kWh)であってもよい。
【0111】
なお、日本国特許出願第2019-194579号(2019年10月25日出願)の全内容が参照により本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8