(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】医療処置中のガイダンスの提供
(51)【国際特許分類】
A61B 34/00 20160101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B34/00
(21)【出願番号】P 2021578149
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020040248
(87)【国際公開番号】W WO2021003130
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-05-22
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516307404
【氏名又は名称】ガウス サージカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gauss Surgical,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ,シッダルタ
(72)【発明者】
【氏名】ホスフォード,アンドリュー・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,チャールズ・ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン,ピーター・エス.
(72)【発明者】
【氏名】クロピラック,ジョン・ジー.
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0185739(US,A1)
【文献】特開2009-77262(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116593(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0193858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 34/00―34/37
A61B 90/00―90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の1つ以上のプロセッサによって、処置中に患者によって失われた血液量を推定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、失血プロトコルの複数のステージの中から現在のステージを決定するステップであって、前記失血プロトコルの前記現在のステージが、処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの複数のステージに関連する現在の失血量を決定するステップであって、前記現在の失血量が前記処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの現在のステージに関連する合計ステップ数、及び完了した前記失血プロトコルの現在のステージに関連するステップ数に応じた完了ステップ数を決定するステップと、
前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスのグラフィック提示の条件付きで選択可能な
要素に対応する、トリガー事象が発生したか否かを決定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの前記複数のステージの中から前記決定された現在のステージに対応する前記ガイダンスのグラフィック提示をディスプレイに提示させるステップと、
を含み、
前記トリガー事象が発生したか否かを決定するステップは、前記対応する条件付きで選択可能な要素が前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスに含まれるか否かを決定
し、
前記ガイダンスのグラフィック提示は、前記失血量の複数のステージのステージ数に基づいてセクションに分けられたステータスバー、及び現在の失血量に基づいて前記ステータスバーのセクションに対して配置されたアイコンと、前記合計ステップ数に前記完了ステップ数を関連付けた概要グラフィックと、の少なくとも一方をさらに含む、
方法。
【請求項2】
前記失血プロトコルの前記現在のステージは、患者に対して実行可能な推奨できる処置のセットに対応し、
前記ガイダンスの前記提示は、前記推奨できる処置のセットのうちの1つの処置の実行を推奨する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者によって失われた血液の推定量と失血量の範囲との比較に基づき、前記範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
失血量の複数の範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応し、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者の医療パラメータに基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する前記範囲を選択するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
失血量の複数の範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応し、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、ユーザ入力に基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する前記範囲を選択するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記失血プロトコルの前記現在のステージは、患者に対して実行可能な推奨できる処置のセットに対応し、
前記ガイダンスの前記提示は、患者に対して実行可能な前記推奨できる処置のセットから選択される1つの推奨できる処置を示す、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記患者によって失われた血液量を推定するステップは、患者によって失われた血液量の以前の推定量を更新するステップを含み、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者によって失われた血液量の前記更新された推定量に基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージの以前の決定を更新するステップを含み、
前記ガイダンスの前記提示は、前記失血プロトコルの前記現在のステージの前記更新された決定に基づいて更新されたガイダンスを提示する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ディスプレイと、
1つ以上のプロセッサと、
命令を格納するメモリと、
を備えるシステムであって、
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、
処置中に患者により失われた血液量を推定するステップと、
失血プロトコルの複数のステージの中から現在のステージを決定し、前記失血プロトコルの前記現在のステージが、処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスのグラフィック提示の条件付きで選択可能な
要素に対応する、トリガー事象が発生したか否かを決定するステップと、
前記失血プロトコルの複数のステージに関連する現在の失血量を決定するステップであって、前記現在の失血量が前記処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記失血プロトコルの現在のステージに関連する合計ステップ数、及び完了した前記失血プロトコルの現在のステージに関連するステップ数に応じた完了ステップ数を決定するステップと、
前記失血プロトコルの前記複数のステージの中から前記決定された現在のステージに対応する前記ガイダンスのグラフィック提示を前記ディスプレイに提示させるステップと、
を含む動作を前記1つ以上のプロセッサに実行させ、
前記トリガー事象が発生したか否かを決定するステップは、前記対応する条件付きで選択可能な要素が前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスに含まれるか否かを決定
し、
前記ガイダンスのグラフィック提示は、前記失血量の複数のステージのステージ数に基づいてセクションに分けられたステータスバー、及び前記現在の失血量に基づいて前記ステータスバーのセクションに対して配置されたアイコンと、前記合計ステップ数に前記完了ステップ数を関連付けた概要グラフィックと、の少なくとも一方をさらに含む、
システム。
【請求項9】
前記失血プロトコルの前記現在のステージは、患者に対して実行可能な推奨できる処置のセットに対応し、
前記ガイダンスの前記提示は、前記推奨できる処置のセット中から1つの処置の実行を推奨する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者によって失われた血液の推定量と失血量の範囲との比較に基づき、前記範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
失血量の複数の範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応し、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者の医療パラメータに基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する前記範囲を選択するステップを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
失血量の複数の範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応し、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、ユーザ入力に基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する前記範囲を選択するステップを含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記失血プロトコルの前記現在のステージは、患者に対して実行可能な推奨できる処置のセットに対応し、
前記ガイダンスの前記提示は、患者に対して実行可能な前記推奨できる処置のセットから選択される1つの推奨できる処置を示す、
請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記患者によって失われた血液量を推定するステップは、患者によって失われた血液量の以前の推定量を更新するステップを含み、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者によって失われた血液の量の前記更新された推定量に基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージの以前の決定を更新するステップを含み、
前記ガイダンスの前記提示は、前記失血プロトコルの前記現在のステージの前記更新された決定に基づいて更新されたガイダンスを提示する、
請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
命令を含む機械可読媒体であって、
前記命令は、機械の1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、
処置中に患者により失われた血液量を推定するステップと、
失血プロトコルの複数のステージの中から現在のステージを決定し、前記失血プロトコルの前記現在のステージが、処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスのグラフィック提示の条件付きで選択可能な
要素に対応する、トリガー事象が発生したか否かを決定するステップと、
前記失血プロトコルの複数のステージに関連する現在の失血量を決定するステップであって、前記現在の失血量が前記処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記失血プロトコルの現在のステージに関連する合計ステップ数、及び完了した前記失血プロトコルの現在のステージに関連するステップ数に応じた完了ステップ数を決定するステップと、
前記失血プロトコルの前記複数のステージの中から前記決定された現在のステージに対応する前記ガイダンスのグラフィック提示をディスプレイに提示させるステップと、
を含む動作を前記機械に実行させ、
前記トリガー事象が発生したか否かを決定するステップは、前記対応する条件付きで選択可能な要素が前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスに含まれるか否かを決定
し、
前記ガイダンスのグラフィック提示は、前記失血量の複数のステージのステージ数に基づいてセクションに分けられたステータスバー、及び前記現在の失血量に基づいて前記ステータスバーのセクションに対して配置されたアイコンと、前記合計ステップ数に前記完了ステップ数を関連付けた要約グラフィックと、の少なくとも一方をさらに含む、
機械可読媒体。
【請求項16】
前記失血プロトコルの前記現在のステージは、患者に対して実行可能な推奨できる処置のセットに対応し、
前記ガイダンスの前記提示は、前記推奨できる処置のセットのうちの1つの処置の実行を推奨する、
請求項15に記載の機械可読媒体。
【請求項17】
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者によって失われた血液の推定量と失血量の範囲との比較に基づき、前記範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する、
請求項15に記載の機械可読媒体。
【請求項18】
失血量の複数の範囲が前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応し、
前記失血プロトコルの現在のステージを決定するステップは、患者の医療パラメータに基づいて前記失血プロトコルの前記現在のステージに対応する前記範囲を選択するステップを含む、
請求項17に記載の機械可読媒体。
【請求項19】
機械の1つ以上のプロセッサによって、処置中に患者によって失われた血液量を推定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、失血プロトコルの複数のステージの中から現在のステージを決定するステップであって、前記失血プロトコルの前記現在のステージが、処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの複数のステージに関連する現在の失血量を決定するステップであって、前記現在の失血量が前記処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスのグラフィック提示の条件付きで選択可能な要素に対応する、トリガー事象が発生したか否かを決定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの前記複数のステージの中から前記決定された現在のステージに対応する前記ガイダンスのグラフィック提示をディスプレイに提示させるステップと、
を含み、
前記トリガー事象が発生したか否かを決定するステップは、前記対応する条件付きで選択可能な要素が前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスに含まれるか否かを決定し、
前記ガイダンスのグラフィック提示は、前記失血量の複数のステージのステージ数に基づいてセクションに分けられたステータスバーと、前記現在の失血量に基づいて前記ステータスバーのセクションに対して配置されたアイコンと、をさらに含む、
方法。
【請求項20】
機械の1つ以上のプロセッサによって、処置中に患者によって失われた血液量を推定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、失血プロトコルの複数のステージの中から現在のステージを決定するステップであって、前記失血プロトコルの前記現在のステージが、処置中に患者によって失われた血液の推定量に基づいて決定される、ステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの現在のステージに関連する合計ステップ数、及び完了した前記失血プロトコルの現在のステージに関連するステップ数に応じた完了ステップ数を決定するステップと、
前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスのグラフィック提示の条件付きで選択可能な要素に対応する、トリガー事象が発生したか否かを決定するステップと、
前記機械の1つ以上のプロセッサによって、前記失血プロトコルの前記複数のステージの中から前記決定された現在のステージに対応する前記ガイダンスのグラフィック提示をディスプレイに提示させるステップと、
を含み、
前記トリガー事象が発生したか否かを決定するステップは、前記対応する条件付きで選択可能な要素が前記失血プロトコルの前記決定された現在のステージに対応するガイダンスに含まれるか否かを決定し、
前記ガイダンスのグラフィック提示は、前記合計ステップ数に前記完了ステップ数を関連付けた概要グラフィックをさらに含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
この出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる、2019年7月3日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR PROVIDING GUIDANCE DURING A MEDICAL PROCEDURE(医療処置中にガイダンスを提供するためのシステム及び方法)」と題される米国仮特許出願第62/870,608号の優先権を主張する。
【0002】
本明細書中に開示される主題は、一般に、医療の技術分野に関連し、より具体的には、医療処置中にガイダンスを提供するための新規で有用なシステム及び方法に関連する。そのようなシステムとしては、医療処置中のガイダンスの提供を容易にする特殊用途の機械が挙げられ、それには、そのような特殊用途の機械のソフトウェア構成のコンピュータ化された変形、そのような変形の改良、及びそのような特殊用途の機械が医療処置中のガイダンスの提供を容易にする他の特殊用途の機械と比較して改善されるようになる技術の改良が含まれる。
【背景技術】
【0003】
医療処置中の患者の失血量を効果的に管理及び対応することは、合併症を回避するのに役立つ。しかしながら、患者の失血量に対する効果的な管理及び対応には、患者の失血量の不正確な報告及び失血量管理の最善の措置手順の誤用など、様々な課題が伴う。例えば、医師やその他の医療関係者は、患者の失血量を視覚的に推定することがよくある。これは重大なエラーにつながり、患者の出血リスクの重症度の誤解を招き、その結果、患者の失血量を効果的に管理し、結果として生じる合併症を防ぐための手順を実行できなくなる可能性がある。例えば、患者の失血量を過小評価すると、蘇生及び輸血の遅延、感染のリスクの増加、組織の死、出血の場合などの患者の死につながる可能性がある。したがって、患者の転帰を改善するために医療処置中にガイダンスを提供するための新しく改良されたシステム及び方法を提供することは有益である可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザ(例えば、外科医などの医師、又は他の医療関係者)をガイドするための方法を示す概略ブロック図である。
【
図2】幾つかの例示的な実施形態に係る、失血プロトコルの概略図である。
【
図3】幾つかの例示的な実施形態に係る、基質内の血液成分の量を推定するための方法を示す概略ブロック図である。
【
図4】幾つかの例示的な実施形態に係る、失血プロトコル、及び失血プロトコルから要素を選択してユーザにガイダンスを提供する方法の概略図である。
【
図5】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザをガイドするための方法を示す概略ブロック図である。
【
図6】幾つかの例示的な実施形態に係る、ユーザをガイドするための失血プロトコルの要素を含むグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の描写である。
【
図7】幾つかの例示的な実施形態に係る、ユーザをガイドするための失血プロトコルの複数の患者ステージからの要素を含むGUIの描写である。
【
図8】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザに(例えば、GUIによって)表示され得る概要グラフィックの描写である。
【
図9】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中に生成されたデータを格納及び編成するためのデータレコードの概略図である。
【
図10】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザをガイドするためのシステムの概略図である。
【
図11】幾つかの例示的な実施形態に係る、失血プロトコルの概略図である。
【
図12】幾つかの例示的な実施形態に係る、ユーザをガイドするための失血プロトコルの要素を含むGUIの描写である。
【
図13】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザに表示され得る概要グラフィックを含むGUIの描写である。
【
図14】幾つかの例示的な実施形態に係る、ユーザが流体容器を使用して測定された流体量を手動で入力できるようにするGUIの描写である。
【
図15】幾つかの例示的な実施形態に係る、医療処置中にユーザをガイドするための方法を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的な方法(例えば、アルゴリズム)は、医療処置中(例えば、外科的処置中)のガイダンスの提供を容易にし、例示的なシステム(例えば、特殊目的のソフトウェアによって構成された専用の機械)は、医療処置中のガイダンスの提供を容易にするように構成される。例は、考えられるバリエーションの典型にすぎない。特に明記されていない限り、構造(例えば、モジュールなどの構造コンポーネント)はオプションであり、組み合わせたり細分化したりでき、また、操作(例えば、手順、アルゴリズム、又はその他の機能において)は順番を変更したり、又は組み合わせたり若しくは細分化したりできる。以下の説明では、説明の目的で、様々な例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。しかしながら、本主題は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかである。
【0006】
本明細書で論じられる例示的な方法及びシステムのいずれか1つ以上を使用して、医療処置(例えば、患者に対して行われる外科的処置)中に(例えば、1人以上の医者又は他の医療関係者などの1人以上のユーザに対して)ガイダンスを提供することができる。例示的な方法の1つ以上は、1つ以上のプロセッサを利用して、医療処置中にガイダンスを提供するために指定された工程(例えば、ステップ)を実行することができる。一般に、本明細書で論じられる例示的な方法は、患者の失血量を推定すること(例えば、患者によって失われる血液量を推定すること)、推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定すること(例えば、失血量に対処するためのプロトコル内の患者の現在のステージを決定すること)、及び、失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザ(例えば、医師)にガイダンスを提供することを含み得る。任意の適切な失血プロトコルを使用して、医療処置中にユーザをガイドすることができる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルは、出血リスクを管理するための所定のプロトコルであってもよく、又は、前記プロトコルを含んでもよい(例えば、医療処置を受けている患者のため、一般的には患者のため、又は、その両方のため)。失血プロトコル(例えば、出血リスクを管理するため)は、複数の患者ステージを含んでもよく、これらのステージは、患者の失血量の重症度に基づいて線引きされてもよい。失血プロトコルは、1つ以上のメモリデバイスに保存することができる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルは、ユーザにガイダンスを提供するために、1つ以上のプロセッサによってアクセス可能であり得る。更に、失血プロトコルは、1つ以上のユーザ設定に基づいてカスタマイズ可能であり得る。例えば、そのようなユーザ設定は、失血プロトコルの複数の患者ステージのそれぞれに関連する1つ以上の失血量の閾値を含み得る。失血プロトコルの複数の患者ステージのそれぞれは、対応する失血量の下限閾値及び対応する失血量の上限閾値に関連付けられ得る(例えば、失血量の範囲を定義するために)。したがって、現在の患者ステージの決定は、推定された失血量を、失血プロトコルの1つ以上の患者ステージに関連する閾値と比較することを含み得る。
【0007】
幾つかの例示的な実施形態では、患者の失血量の推定は、流体容器などの流体含有基質又はテキスタイルなどの外科用アイテム中の血液量を推定することを含む。基質内の流体量を推定することは、1つ以上の画像分析技術の使用を含み得る。例えば、患者の失血量の推定は、流体含有基質を表わす1つ以上の画像の色パラメータを評価することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、患者の失血量の推定は、色パラメータを流体含有基質中の血液成分濃度と相関させて、基質に含まれる血液量を推定することを含む。例えば、患者の失血量の推定は、画像の少なくとも一部の色パラメータをテンプレート画像と比較して、流体含有基質の少なくとも一部に関連する血液成分濃度を決定することを含み得る。別の例として、流体含有基質に含まれる血液量の推定は、色パラメータに基づいて血液成分濃度を決定するためにパラメトリック方程式を使用することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、患者の失血量の推定は、複数の流体含有基質中の血液量を組み合わせることが含まれる。幾つかの例示的な実施形態では、患者の失血量の決定は、流体含有基質の重量を検出又は決定することを含む。重量情報は、流体含有基質を表わす画像を分析することにより得られる情報の代わりに又はそれと組み合わせて使用することができる。例えば、1つ以上の画像分析技術を使用して血液成分濃度を決定することができ、重量情報を使用して、流体含有基質中の流体の体積を決定することができる。濃度及び体積は、患者の失血量を決定するために使用することができる。
【0008】
医療処置中にユーザにガイダンスを提供するための本明細書に記載の方法及びシステムの幾つかの例示的な実施形態では、患者の推定された失血量は、ユーザに提供されるガイダンスを通知し、ガイダンスは、失血プロトコルに基づくことができる。ユーザにガイダンスを提供するために使用される失血プロトコルは、複数の患者ステージを含み得る。各患者ステージは、1つ以上の要素を含み得る。任意の所定のステージにおける要素の1つ以上は、推奨される処置(例えば、輸血の開始、静脈内(IV)輸液の投与、患者への特定の薬物の提供、又は、それらの任意の適切な組み合わせ)であってもよく又はその処置を含んでもよい。したがって、幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスの提供は、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択することを含む。ガイダンスは、患者の推定された失血量に基づいて(例えば、患者の推定された失血量に基づいて決定され得る現在の患者ステージから要素を選択することによって)、選択、生成、提供されてもよく、又はそれらの任意の適切な組み合わせであってもよい。しかしながら、幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスは、ユーザ入力(例えば、1人以上のユーザからの1つ以上のユーザ入力)に基づくこともできる。例えば、ユーザ入力(例えば、ユーザがとった行動の表示、又はユーザによって手動で入力された患者情報)は、ユーザにガイダンスを提供するためにプロセッサによって選択される1つ以上の要素に影響を及ぼし得る。ユーザへのガイダンスの提供は、プロトコルの現在の患者ステージ、又は前後の患者ステージから選択された1つ以上の要素をディスプレイ(例えば、ラップトップ、タブレット、又はスマートフォンなどのモバイルコンピューティングデバイスのディスプレイ画面)に表示することを更に含み得る。これに加えて又は代えて、ガイダンスは、他の視覚的通知(例えば、デバイス上のLEDなどのライト)、音声的通知(例えば、1つ以上のスピーカーを介して)、触覚的通知(例えば、振動など)、若しくはそれらの任意の適切な組み合わせの例示的な形態で又はこれらと一緒に提供されてもよい。
【0009】
本明細書に記載の方法及びシステムの幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルを通じてユーザをガイドすることは、更新されたガイダンスを提供することを含む(例えば、患者の失血量の更新された推定に基づく)。提供されるべきガイダンスは、任意の適切な態様で更新することができる。例えば、ガイダンスを提供することは、更新された患者の失血量を推定すること(例えば、患者の推定された失血量を更新すること)、及び更新された患者の推定失血量に基づいて更新された患者ステージを決定することを含み得る。したがって、更新されたガイダンスは、更新された患者ステージに基づいて提供され得る。幾つかの例示的な実施形態では、更新されたガイダンスは、1つ以上のユーザ入力に基づいて提供され得る。例えば、更新されたガイダンスは、ユーザが失血プロトコルの1つ以上の要素を実行したという表示に基づいて提供され得る。幾つかの例示的な実施形態では、更新されたガイダンスは、ユーザ入力及び失血プロトコルの更新された患者ステージの両方に基づくことができる。更新されたガイダンスを提供することは、表示画面(例えば、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどのモバイルコンピューティングデバイスの表示画面)などに更新されたガイダンスを表示することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスの提供は、失血プロトコルの現在の患者ステージに関連する通知を提供することを含む。ガイダンスは、視覚的通知(例えば、ディスプレイ、1つ以上のライト、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)、音声的通知(例えば、1つ以上のスピーカーを介した1つ以上の音声アラート)、触覚的通知(例えば、例えば、1つ以上の振動)として提供され得る。例えば、現在の患者ステージが変更されたときに現在の患者ステージを定期的若しくは断続的に又はその両方でユーザに通知することが望ましい場合がある。
【0010】
また、本明細書では、医療処置中にユーザにガイダンスを提供するための例示的なシステムが記載されている。一般に、本明細書で論じられる例示的なシステムは、患者の失血量を推定し、推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定し、失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。失血プロトコルは、複数の患者ステージを含んでもよく、各患者ステージは、1つ以上の要素を含み得る。例えば、患者ステージの要素は、1つ以上のユーザ処置を推奨することであってもよく又は1つ以上のユーザ処置を推奨することを含み得る。ユーザへのガイダンスの提供は、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を(例えば、プロセッサを介して)選択することを含み得る。したがって、ユーザにガイダンスを提供するための1つ以上のシステムの1つ以上のプロセッサは、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択するように構成され得る。更に、1つ以上のプロセッサは、ユーザ入力、失血プロトコルの更新された患者ステージ、又はその両方に基づいて、ユーザに更新されたガイダンスを提供するように構成され得る。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサは、患者の更新された失血量を推定するように構成され、1つ以上のプロセッサは、更新された患者の失血量に基づいて更新された患者ステージを決定し得る。本明細書で論じられる例示的なシステムは、ユーザに提供されるガイダンスなどの情報(例えば、失血プロトコルの現在の患者ステージからの1つ以上の要素)を表示するように構成されたディスプレイを含み得る。
【0011】
更に、幾つかの例示的な実施形態では、本明細書で論じられる例示的な方法は、患者の医療パラメータを推定し、推定された医療パラメータに基づいて医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定し、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供することを含む。任意の適切な医療パラメータプロトコルを使用して、医療処置中にユーザをガイドすることができる。同様に、幾つかの例示的な実施形態では、本明細書で論じられる例示的なシステムは、患者の医療パラメータを推定し、推定された医療パラメータに基づいて医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定し、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。このような医療パラメータの例としては、失血量、血圧、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度、別の血液成分の濃度、心拍数、血液凝固(例えば、トロンボエラストグラフィー(TEG)によって特徴付けられる)、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、体重指数(BMI)、性別、体脂肪率、投与された静脈内輸液、又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。そのような医療パラメータの1つ以上は、適切な機器(例えば、血圧計、体重計、パルスオキシメータ、体温計、IVセットアップに結合される流量計など)又はそれらの任意の適切な組み合わせを使用して、本明細書に記載の1つ以上の例示的な方法を用いて推定することができる(例えば、推定失血量又は推定血液成分濃度)。
【0012】
本明細書で論じられる例示的な方法及びシステムのいずれか1つ以上を使用して、医療処置(例えば、患者に対して行われる)中に1人以上のユーザ(例えば、1人以上の医師又は他の医療関係者)にガイダンスを提供することができる。そのような方法及びシステムは、1つ以上のプロセッサを利用して、患者の失血量の推定、失血プロトコルの現在の患者ステージの決定、及び1つ以上の現在の患者ステージに基づく(例えば、更に1つ以上のユーザ入力に基づく)ユーザへのガイダンスの提供などの様々な工程(例えば、ステップ)を実行することができる。
【0013】
例示的な方法の概要
本明細書に記載の例示的な方法の1つ以上を使用して、医療処置中に1人以上のユーザにガイダンスを提供することができる。そのようなガイダンスの提供は、1つ以上の方法工程(例えば、方法ステップ)を実行するための1つ以上のプロセッサの使用を含み得る。一般に、そのような方法は、患者の失血量を推定し、推定された失血量を使用して、ユーザに提供されるべきガイダンスを通知する(例えば、生成、選択、又はさもなければ決定する)ことを含み得る。
図1に示される例示的な実施形態などの幾つかの例示的な実施形態では、ユーザにガイダンスを提供する方法100は、患者の失血量を推定し(110)、推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定し(120)、少なくとも部分的に現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供する(130)ことを含む。
【0014】
失血プロトコル(例えば、様々な利用可能な失血プロトコルの中から選択される)は、患者の失血量の重症度に基づくことができる複数の患者ステージを含んでもよく、各患者ステージは、その患者ステージの1つ以上の要素を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、患者ステージの1つ以上の要素は、患者の失血量を管理するためにユーザによって実行される1つ以上の推奨される処置を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、患者の推定された失血量を使用して、失血プロトコルの現在の患者ステージを決定することができる。したがって、本明細書で論じられる方法は、患者の失血量を推定することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、現在の患者ステージの決定は、推定された患者の失血量を1つ以上の範囲の失血量と比較することを含む。各範囲は、失血プロトコルの異なる患者ステージに関連付けられてもよい。したがって、推定された患者の失血量は、失血プロトコルの特定の患者ステージと相関するか又はさもなければ関連付けられてもよく、この相関は、失血プロトコルの現在の患者ステージを決定するための基礎となり得る(例えば、推定された患者の失血量を、失血プロトコルに関連する様々な失血量の範囲の中でその患者ステージに関する失血量の範囲と比較することによって)。
【0015】
幾つかの例示的な実施形態では、複数の推定された医療パラメータのうちの1つ以上を(例えば、個別に又は組み合わせて)使用して、失血プロトコルにおける現在の患者ステージを決定することができる。このような医療パラメータの例としては、失血量、血圧、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度、別の血液成分の濃度、心拍数、血液凝固(例えば、TEGによって特徴付けられる)、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、BMI、性別、体脂肪率、投与された静脈内輸液、又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。これらの医療パラメータの1つ以上は、適切な機器(例えば、血圧計、体重計、パルスオキシメータ、体温計、IVセットアップに結合される流量計など)又はそれらの任意の適切な組み合わせを使用して、本明細書に記載の1つ以上の方法を用いて推定できる(例えば、推定失血量又は推定血液成分濃度)。実例として、患者が所定の年齢(例えば、70歳を超える)に対して高い心拍数(例えば、120bpmを超える)、並びに高い収縮期血圧(例えば、160mmHgを超える)を有する場合、適切な方法は、これらの医療パラメータの組み合わせに基づいて、患者の現在の患者ステージを決定することを含み得る。例えば、現在の患者ステージは、各医療パラメータを、失血プロトコルの様々な患者ステージに関連する医療パラメータ値の範囲と比較することによって決定することができる。
【0016】
幾つかの例示的な実施形態では、医療処置中のガイダンスの提供は、失血プロトコルの患者ステージ(例えば、現在の患者ステージ)から1つ以上の要素を選択することを含む。例えば、ガイダンスの提供は、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択することを含み得る。ガイダンスの提供は、表示画面を介してユーザにガイダンス(例えば、選択された1つ以上の要素から構成される)を表示する(例えば、モバイルコンピューティングデバイスの表示画面上に1つ以上の要素を表示又はさもなければ提示する)こと、任意の適切な通知(例えば、他の視覚的通知、音声的通知、触覚的通知などの他の通知)の1つ以上を提供すること、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0017】
ユーザに提供されるガイダンスは、失血プロトコルの現在の患者ステージ、ユーザ入力、又はその両方に基づくことができる(例えば、これらに基づいて生成、選択、検索、又はさもなければ決定される)。幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスは、失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいて提供され得る(例えば、現在の患者ステージが、提供されるべきガイダンスに含めるためにプロセッサによって選択されるべき1つ以上の要素を決定する場合)。ガイダンスは、失血ステージ及びユーザ入力に基づいて提供されてもよい。例えば、ユーザは、ユーザが特定の処置を実行したことを示すことができ、それにより、ユーザに提供されるべきガイダンスを通知することができる。幾つかの例示的な実施形態では、ユーザをガイドするために本明細書で論じられる方法は、更新されたガイダンスを提供することを含む。例えば、ガイダンスは、ユーザ入力、更新された現在の患者ステージ(例えば、更新された推定失血量に基づく)、又はその両方に基づいて更新され得る。ガイダンスの提供は、モバイルコンピューティングデバイスの表示画面などの表示画面上に、ガイダンス、更新されたガイダンス、又はその両方を表示することを含み得る。
【0018】
失血プロトコルの例
本明細書に記載される例示的な方法の1つ以上は、失血プロトコルの使用を含み得る。例えば、出血プロトコルが、医療処置で望ましい結果を示した最善の措置に基づいて開発された一連の所定のステップを提供することができる。出血プロトコルは、患者が失った血液量に基づいて、出血リスクの重症度をステージ(例えば、患者ステージ)に分類することができる。各ステージは、患者の失血リスクを効果的に管理するためにユーザが従うべきステップを提供し得る。失血プロトコルの様々なステップの1つ以上をユーザに提供して、患者の失血量を管理するための一連の1つ以上の処置をユーザにガイドすることができる。出血プロトコルは手術室(例えば、病院の分娩室及び出産室)で使用することができるが、本明細書に記載されている方法の任意の1つ以上に従って、任意の適切な失血プロトコルを使用して、任意の医療処置においてユーザにガイダンスを提供することができる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルは、患者の出血リスクを管理するためのプロトコルであってもよく又はそのプロトコルを含み得る。他の例示的な実施形態では、失血プロトコルは、処置(例えば、医療処置)中の失血に関連する他のタイプのリスクに関連し得る。
【0019】
出血リスクを管理するための失血プロトコルなどの失血プロトコルは、複数の患者ステージに分割することができる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルの患者ステージは、患者の推定失血量の重症度に基づく。各ステージは、患者の失血量の1つ以上の範囲に関連付けることができ、各範囲は、失血量の上限閾値、失血量の下限閾値、又はその両方によって定義することができる。
図2は、4つの患者ステージ210、220、230、及び240に分割された失血プロトコル200の概略図である。各患者ステージは、患者の失血量、出血のリスク、又はその両方の重症度に基づいて、患者ステージ番号(例えば、1、2、3、4)を有する。例えば、患者ステージ1は最も低い出血リスクを表わし、患者ステージ4は最も高い出血リスクを表わし得る。1つ以上の患者ステージは、失血量の範囲(例えば、対応する範囲)によって定義され得る。
図2において、推定失血量が閾値(a)及び(b)によって定義される範囲212内にある場合、患者は患者ステージ1に分類される。同様に、推定失血量が閾値(c)及び(d)によって定義された範囲222内にある場合、患者は患者ステージ2に分類される。推定失血量が閾値(e)及び(f)によって定義された範囲232内にある場合、患者は患者ステージ3に分類される。推定失血量が閾値(g)及び(h)によって定義された範囲242内にある場合、患者は患者ステージ4に分類される。これに加えて又は代えて、1つ以上の患者ステージは、推定される患者の失血量、1つ以上の他の適切な患者基準、又はそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて患者を適切な現在の患者ステージに分類できるように、1つ以上の他の適切な患者基準(例えば、投与された濃厚赤血球(PRBC)の数、バイタルサイン値など)に関連付けられ得る。
【0020】
幾つかの例示的な実施形態では、複数の範囲(例えば、複数の連続しない範囲の失血量)が、失血プロトコル内の同じ患者ステージに関連付けられ得る。様々な患者、手順、又は状態が、様々な失血量によって提示されるリスクに影響を与える可能性がある。したがって、各患者ステージは、複数の範囲に関連付けられ得る。各範囲は、医療処置、患者の状態、患者の体調、又はそれらの任意の適切な組み合わせに関連付けることができる。例えば、各ステージは、経腟分娩を受けている患者の失血量の閾値によって定義される第1の範囲、及び帝王切開を受けている患者の失血量の閾値の第2のセットによって定義される第2の範囲に関連付けられ得る。各ステージに関連付けられた様々な範囲が、適切なパラメータに相当する場合がある。例えば、各ステージは、男性と女性、BMI分類が異なる患者、子供と成人、特定の状態又は危険因子を示す患者とそうでない患者、又はそれらの適切な組み合わせの様々な範囲に関連付けることができる。
【0021】
失血プロトコルの各患者ステージは、その患者ステージの1つ以上の要素を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、各要素は、患者の失血量を効果的に管理するためにユーザによって実行されるべき推奨される処置であってもよく又はその処置を含み得る。例えば、失血プロトコルの患者ステージの要素は、血液銀行に連絡して輸血用の所定量の血液を要求し、輸血を開始し、追加のサポートスタッフを要求し、創傷に圧力をかけ、創傷を縫合又は包み込み、IVを投与し、マッサージ又は他の種類の治療を実行し、軟膏を塗布し、薬物を投与し(例えば、経口又はその他)、又は任意の適切な処置を行うようにユーザにアドバイスしてもよく又はそのようなアドバイスを含むことができる。また、患者ステージの要素は、患者の血液型をユーザに通知する、患者のアレルギーをユーザに通知する、患者の失血量が特定の速度で続く場合には輸血が必要となり得るおおよその時間をユーザに通知する、又はそれらの適切な組み合わせなどの1つ以上の非処置項目であってもよく又はそのような非処置項目を含み得る。また、要素は、患者の1つ以上のバイタルサイン(例えば、心拍数、酸素レベル、体温など)などの様々なパラメータを観察又は監視するための命令であってもよく又はそのような命令を含み得る。
図2は、失血プロトコル200の患者ステージ1の要素214a~214c、患者ステージ2の要素224a~224d、患者ステージ3の要素234a~234b、及び患者ステージ4の要素244a~244eを示す。
図2に示されるように、失血プロトコル200の各患者ステージにおける要素の数は、均一である必要はない。すなわち、患者ステージが異なれば、要素の数も異なり得る。更に、各患者ステージは、任意の適切な数の要素を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルの1つ以上の要素は、要素の対応する動作が実行されるべき順序など、特定の方法で順序付けられ得る。例えば、
図2の患者ステージ1は、フローチャートに配置された要素を示す。他の例示的な実施形態では、要素は、失血プロトコルにおいて順序付けられない場合がある(例えば、要素の順序がユーザ入力に依存するシナリオにおいて)。更に、特定の要素が複数のステージで出現する場合がある。すなわち、各要素は特定のステージに固有である必要はない。例えば、輸血は、患者ステージ3及び患者ステージ4の両方で望ましい場合がある。したがって、患者ステージ3及び4の両方は、ユーザが輸血を行うことを推奨する要素を含み得る。
【0022】
図11は、ユーザにガイダンスを提供するために使用され得る失血プロトコルの例示的な実施形態を示す。
図11に示される失血プロトコルには4つの患者ステージ1010、1020、1030、1040があり、各患者ステージは、「基準」と呼ばれる場合がある1つ以上の範囲の失血量に関連付けられる。上記のように、失血量の範囲は、患者の状態などの様々な要因に基づいて、複数の患者ステージに関連付けられてもよい。例えば、
図11のプロトコルの患者ステージ1(1020)は、2つの範囲の失血量に関連付けられ、1つの範囲の失血量は経腟分娩(>500mLの失血量)、もう1つの範囲の失血量は帝王切開(>1000mLの失血量)である。プロトコルの各患者ステージは、複数の要素に関連付けられる。例えば、失血プロトコルのステージ2(1030)には幾つかの要素が含まれ、これらの要素は、患者の失血が患者ステージ2(1020)に関連付けられた範囲内にある場合に、ユーザが実行するように指示される推奨処置である。例えば、患者ステージ2では、ユーザは産科医(OB)を患者のベッドサイドに呼び、追加の医療提供者を取得し、子宮収縮剤を投与し、血液銀行に通知するなどするように指示される。幾つかの例示的な実施形態において、所定の患者ステージにおける全ての要素が全ての患者に対して実行されるのに適しているとは限らない。例えば、患者ステージ2の一部の要素は、実行されるようになっている出産のタイプに固有である(例えば、経腟分娩の場合には、膣の裂傷を修復し、D&Cを実行し、子宮内バルーンを配置する;帝王切開の場合には、部位を検査し、子宮内バルーンを配置する)。しかしながら、
図11に示される失血プロトコルは、単なる例示であり、失血プロトコルに含まれ得る基準、要素、又はその両方の種類の例を含む。
【0023】
1つ以上の失血プロトコルは、1つ以上のデバイスのメモリに格納され得る。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の失血プロトコルは、スマートフォン、ラップトップ、又はタブレットなどのモバイルコンピューティングデバイスのメモリに格納される。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の失血プロトコルは、遠隔デバイスのメモリに格納され、無線でアクセス可能であり得る。例えば、失血プロトコルはクラウドベースのストレージシステムに格納できる。ユーザは、適切な態様で失血プロトコルをコンピューティングデバイスのメモリにアップロードできる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルはカスタマイズ可能である。例えば、1つ以上のユーザ設定により、ユーザは、失血プロトコルの1つ以上のパラメータを調整することができる場合がある。幾つかの例示的な実施形態では、ユーザは、失血プロトコルの1つ以上の患者ステージに関連する範囲又は他の患者基準の閾値を設定することができる場合がある。別の例として、1つ以上のユーザ設定により、ユーザは、失血プロトコルの1つ以上の要素を調整することができる場合がある(例えば、1つ以上の患者ステージに対してカスタマイズ可能な一連の推奨処置)。このようなユーザ設定により、例えば、病院又は開業医は、目的に応じて失血プロトコルをカスタマイズできる(例えば、一般に、デフォルトのプロトコルとして、特定の患者の人口統計、特定の手順タイプなどに関し)。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルは、身長、体重、性別、病歴、手順情報、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの患者情報に基づいて自動的に調整することができる(例えば、適切なデバイス上で実行される適切なソフトウェアによって調整される)。患者、医療処置、又は失血プロトコルをカスタマイズするために使用される他の適切な情報に関する情報は、ユーザが手動で入力するか、又は他の手段(例えば、電気通信又は無線送信)によって受信することができる。更に、失血プロトコルの更新されたバージョンは、自動的に又はユーザによって、サーバ及びメモリにダウンロードされ得る。
【0024】
失血量の推定例
ユーザをガイドするための本明細書に記載の例示的な方法の1つ以上は、患者の失血量を推定することを含み得る。医療処置中に患者が失った血液量を推定するために、様々な例示的な方法を使用することができる。幾つかの例示的な実施形態では、そのような方法のうちの2つ以上を組み合わせて、推定される患者の失血量に到達することができる。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の画像分析技術を使用して、患者の失血量を推定する。
【0025】
例えば、以下で更に説明するように、失血量の推定は、流体容器、外科用アイテム(例えば、外科用スポンジなどの外科用テキスタイル)、又はその両方などの1つ以上の流体含有基質を表わす画像の分析を含み得る。失血量の推定には、色パラメータなどの画像からの特徴の抽出、及び推定された血液成分濃度との特徴の関連付けが含まれる場合がある。推定された血液成分濃度は、流体含有基質中の流体量を決定するために使用することができる。基質中の流体量は、単独で又は他の流体含有基質(例えば、複数のそのような基質の中の流体含有基質)の推定流体量と組み合わせて、患者の総失血量を決定するために使用することができる。別の例として、以下で更に説明するように、失血量の推定は、これに代えて又は加えて、患者の推定失血量を決定するために体重情報を利用することを含み得る。例えば、失血量の推定は、1つ以上の流体含有基質(例えば、外科用アイテム、流体容器など)を計量すること、及び重量情報を患者によって失われた血液量と関連付けることを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、重量情報は、1つ以上の画像分析技術から得られた情報と組み合わせて、推定される患者の失血量を決定することができる。更に別の例として、失血量を推定する1つ以上の手動の方法を使用することができ、例えば、流体レベルのマーキングを伴う1つ以上の容器を使用する。したがって、本明細書で論じられる例示的な方法の1つ以上は、患者の失血量を推定するために、複数の流体容器、手術器具、又はその両方を分析することを含み得る。
【0026】
失血量を推定するための画像分析技術の例
幾つかの例示的な実施形態では、患者の失血量の推定は、1つ以上の流体容器、外科用アイテム(例えば、外科用テキスタイル又はスポンジなど)、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの1つ以上の流体含有基質中の血液量を決定するための1つ以上の画像分析技術の使用を含む。例えば、患者の失血量の推定は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,792,693号及び米国特許第8,983,167号に記載される方法の1つ以上を含み得る。一般に、
図3の概略ブロック図に示されるように、1つ以上の流体含有基質を表わす1つ以上の画像を使用して患者の失血量を推定する方法300は、流体含有基質の画像を受信し(310)、流体含有基質の少なくとも一部を含む画像領域を選択し(320)、選択された領域から特徴を抽出し(330)、抽出された特徴を基質内の血液成分濃度と相関させ(340)、基質内の血液成分濃度に基づいて基質内の血液成分量を推定する(350)ことを含んでもよい。
【0027】
例えば、
図3に示されるように、失血量を推定する方法300は、流体含有基質の画像を受信する(310)ことを含むことができる。画像は、静的、ビデオ(例えば、ライブビデオフィードのカラーフレーム)、赤外線、光学センサの視野、白黒、光学センサの視野のフィンガープリント、点群、任意の他の適したタイプの画像、又はそれらの任意の適切な組み合わせであってもよい。任意の適切なデバイスを使用して、画像を生成し、画像を受信し、任意のその後の画像処理を実行するか、又はそれらの任意の適切な組み合わせを行うことができる。例えば、モバイルコンピューティングデバイス上のカメラを使用して、流体含有基質の画像を生成することができる。プロセッサ(例えば、モバイルデバイスのプロセッサ)は、失血量を推定するために、画像を受信し、画像処理及び分析を実行するか、又はその両方を行うことができる。画像は、流体含有基質の全部又は一部を表わすことができ、画像は、複数の流体含有基質を表わすことができる。
図3に示される例示的な方法は、画像の領域を選択する(320)ことを含む。画像の領域の選択は、流体含有基質に対応する画像領域の選択を含み得る。例えば、1つ以上の領域選択方法は、エッジ検出技術、機械学習、又はその両方を利用して、画像内の流体含有基質を識別及び分離することができる。画像領域の選択は、血液又は他の流体を含む画像の一部を識別することを含み得る。例えば、画像領域の選択は、キャニスタ又は他の流体容器内の流体レベルを検出すること、流体に対応する画像の一部分を分離すること、外科用テキスタイルなどの外科用アイテムの流体飽和部分を検出及び分離すること、又はそれらの任意の適切な組み合わせを行うことを含み得る。
【0028】
図3に示される例示的な方法300は、画像の選択領域から特徴を抽出する(330)ことも含む。抽出された特徴は、流体含有基質中の血液成分濃度を示す特徴であってもよい。抽出された特徴は、色(例えば、赤)、色彩強度(例えば、赤みの値)、明度、色相、飽和値、明るさの値、光沢の値、又は、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、黄色、キー、若しくはラボの成分空間などの1つ以上の成分空間内の他の色に関連する値であってもよい。幾つかの例示的な実施形態では、特徴の抽出は、画像の選択領域内のピクセルのセットにおいて様々な色又は色関連の値のヒストグラムを生成させる1つ以上の特徴を抽出することを含み得る。
【0029】
図3に示される例示的な方法300は、抽出された特徴を、流体含有基質の一部の血液成分濃度と相関させる(340)ことを更に含む。一般に、抽出された特徴と血液成分濃度との相関は、抽出された特徴を、流体含有基質中の血液量を示す値に相関させることを含み得る。例えば、抽出された特徴の値に対する相関は、画像から抽出された1つ以上の特徴(例えば、色の特徴)を流体含有基質(例えば、流体キャニスタ又は外科用アイテム)内の血液成分の推定濃度に変換することを含んでもよい。血液成分は、全血、赤血球、ヘモグロビン、血小板、血漿、白血球、又は任意の他の血液成分のいずれかとなり得る。例えば、1つ以上の特徴の血液成分の推定濃度への変換は、流体含有基質(例えば、流体キャニスタ)内の流体中の血液成分濃度を推定するために、例えば米国特許第8,983,167号及び米国特許第8,792,693号のそれぞれに記載されるような1つ以上のパラメトリック分析技術、ノンパラメトリック分析技術、若しくはそれらの任意の適切な組み合わせを実施してもよく、又はさもなければ、これらの技術に基づいてもよい。
【0030】
図3に示されるように、例示的な方法300は、画像の選択領域内の(例えば、ピクセルクラスタからの)1つ以上の特徴を抽出する(330)ことを含む。幾つかの例示的な実施形態では、これは、既知の血液成分濃度のテンプレート画像のライブラリ内のテンプレート画像との各ピクセルクラスタの非パラメトリック相関に基づく血液量インジケータで各ピクセルクラスタをタグ付けすることが続き、又はさもなければ、そのようなタグ付けを伴う。例えば、血液成分濃度の推定は、ピクセルクラスタのセットから赤成分空間の色彩強度を抽出し、抽出された各特徴をテンプレート画像の赤み強度値と比較するためのK最近傍法を実施することを伴い得る。各テンプレート画像は、ヘモグロビン体積又は流体の単位体積あたり若しくはピクセル単位あたりの質量(例えば、ヘモグロビン濃度)などの既知の流体特性でタグ付けされたピクセルクラスタを含むことができる。各テンプレート画像には、流体の単位体積あたり又はキャニスタ内の他の任意の流体若しくは固体のピクセル単位あたりの体積、質量、密度などでタグ付けされたピクセルクラスタを含めることができる。特定のピクセルクラスタと特定のテンプレート画像との間の適切な一致が識別されると、血液成分濃度の推定は、特定のテンプレート画像から特定のピクセルクラスタへと既知の流体特性情報を投影することを含み得る。したがって、選択画像領域、ピクセル、ピクセルクラスタ、又はそれらの任意の適切な組み合わせは、K最近傍法で識別された最も一致するテンプレート画像と対にされ得るとともに、選択画像領域、ピクセル、ピクセルクラスタ、又はそれらの組み合わせは、最も一致するテンプレート画像に関連する血液成分濃度を表わすものとして推定され得る。また、血液成分濃度の推定は、ピクセルクラスタタグを集約、平均化、又はさもなければピクセルクラスタを組み合わせて、流体含有基質中の流体の総血液成分濃度を推定することもできる。しかしながら、本明細書で論じられる方法の様々な例示的な実施形態は、他の任意の適切なノンパラメトリック方法又は技術によって、抽出された特徴を基質内の血液成分濃度と相関させることを含み得る。
【0031】
別の例では、ピクセル強度(例えば、赤、緑、若しくは青の強度又は色の値、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)の絶対差をテンプレートマッチングに使用することができる。ピクセル強度のそのような絶対差は、血液成分と相関する光の波長で(例えば、ヘモグロビン濃度の推定に関しては約400nmで)計算することができる。より具体的には、ピクセル強度の絶対差の合計を使用して、容器の画像領域と各テンプレート画像との間のピクセル強度を比較することができる。最も一致するテンプレート画像は、画像領域及び他のテンプレート画像に対して計算された絶対差の他の合計と比較して、絶対差の合計が実質的に最小である場合に識別される。したがって、画像領域は、絶対差合計法で識別された最も一致するテンプレート画像と対にされてもよく、画像領域(例えば、ピクセルクラスタ)は、最も一致するテンプレート画像に関連する同じ血液成分濃度を表わすものとして推定され得る。
【0032】
更に別の例では、血液成分濃度の推定は、画像の選択領域内のピクセルクラスタから特徴を抽出し(330)、各ピクセルクラスタを血液成分濃度でタグ付けするためのパラメトリックモデル又は関数を実装することを含み得る。米国特許第8,792,693号に記載されるように、血液成分濃度の推定は、1つのピクセルクラスタから抽出された1つ以上の特徴をパラメトリック関数に入力(例えば、挿入)して、ピクセルクラスタから抽出された1つ以上の特徴を血液成分濃度に実質的に直接変換することを含み得る。このプロセスは、選択領域内の他のピクセルクラスタごとに繰り返すことができる。上記のように、1つ以上の抽出された特徴は、赤の成分空間の色強度、青の成分空間の色強度、緑の成分空間の色強度、又はそれらの任意の適切な組み合わせのいずれか1つ以上を含み得る。パラメトリック関数は、色の強度を流体の単位体積あたりのヘモグロビン質量に関連付ける数学的演算又はアルゴリズムであってもよく又はそれらを含み得る。一般に、テンプレート画像の色値は、ピクセルの色値を血液成分濃度に相関させる(例えば、数学関数、曲線、又はアルゴリズムの形式の)パラメトリックモデルをトレーニング又は生成するために使用できる。
【0033】
特定の波長の光での酸化ヘモグロビン(HbO2)の反射率は、流体の単位体積あたりのヘモグロビン濃度を示し得る。したがって、幾つかの例示的な実施形態では、抽出された特徴は、画像の選択領域内のピクセルクラスタのセット内のピクセルクラスタごとの特定の波長での1つ以上の反射率値であってもよく又はその反射率を含み得る。抽出された特徴と濃度との相関には、パラメトリックモデルを実装することにより、各反射率値を対応するヘモグロビン濃度値に変換することが含まれ得る。ヘモグロビン濃度値を組み合わせて、流体含有基質中の総(例えば、平均)ヘモグロビン濃度を推定することができる。更に、湿った(例えば、水和した)赤血球のヘモグロビン含有量は、通常、約35%であるため、静的に推定されたヘモグロビン含有量(例えば、35%)に基づいて、赤血球濃度をヘモグロビン濃度から外挿することができる。更に、選択領域からの特徴の抽出は、最近測定されたヘマトクリットにアクセスすること、又は患者の現在のヘマトクリットを推定すること(例えば、参照によりその全体が本願に組み入れられる、米国特許第9,936,906号に記載される)を含むことができ、また、抽出された特徴の相関は、測定又は推定されたヘマトクリットを利用して、推定された赤血球濃度を、推定された体外の血中濃度に変換することができる。しかしながら、抽出された特徴と血液成分の濃度との相関により、選択領域内の単一ピクセル又はピクセルクラスタの他のパラメトリック分析、ノンパラメトリック分析、又はその両方を実施して、流体含有基質(例えば、流体キャニスタ)内の流体中の任意の1つ以上の血液成分濃度を推定できる。
【0034】
流体含有基質中の血液成分量の推定(350)は、基質内に含まれる流体の総量を決定することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、基質の重量、基質内の流体レベル、基質の寸法、又はそれらの任意の適切な組み合わせに関する情報を使用して、基質内の流体量を決定することができる。例えば、重量情報は、基質内の流体の既知のおおよその密度と組み合わされて、基質内の流体量に到達することができる。別の例では、キャニスタの例示的な形態の基質の流体レベルを、キャニスタの寸法と組み合わせて使用して、キャニスタ内の流体量を決定することができる。別の例では、外科用アイテム(例えば、外科用テキスタイル)の寸法を使用して、外科用アイテムの表面積を決定することができ、その表面積を飽和レベル及び血液成分濃度に関する情報と組み合わせて、外科用アイテム中の流体量を決定することができる。
【0035】
幾つかの例示的な実施形態では、流体含有基質中の血液含有量の推定は、流体含有基質の全部又は一部を形成し得る容器(例えば、流体キャニスタ)内の流体レベルに少なくとも部分的に基づいて血液含有量を推定することを含む。例えば、容器内の流体レベルは、(例えば、血液成分濃度と組み合わせて)容器内の血液量を計算するために使用され得る容器内の流体量を決定するために使用されてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、容器内の流体レベル又は流体量は、ユーザ入力を介してそのような情報を受け取ることによって決定され得る。これに加えて又は代えて、流体レベル又は流体量は、1つ以上のプロセッサによって推定され得る。容器内の流体レベルの推定には、画像の選択された領域の一部をキャニスタ内の流体レベルと相関させることが含まれ得る。例えば、流体レベルの推定は、キャニスタ内の流体の表面及びキャニスタのベース(例えば、キャニスタ内の流体の最低範囲)を特定すること、及びこのデータからキャニスタ内の流体レベルを推定することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、プロセッサは、パラメトリック関数(例えば、シグモイド)を、キャニスタ上のアンチグレアストリップに対応する選択された領域の強度プロファイルに適合させて、その中の流体の高さを推定し得る。他の例示的な実施形態では、プロセッサは、選択領域のピクセルを流体(例えば、実質的に赤いピクセル)と相関させ、相関ピクセルのy座標の分布に基づいて、キャニスタ内の流体の上限及び下限を計算することができる。そのような例示的な実施形態では、プロセッサは、上限をy座標の95パーセンタイルとして定義することができ、又はプロセッサは、相関ピクセルのy座標の99パーセンタイルで開始し、2つの隣接するピクセルの赤さが所定の閾値を超えて変化しないが、プロセスがキャニスタ内の流体に対応しない「偽陽性」の「赤」ピクセルを識別する、無視する、又はその両方を行う他の態様で機能し得るまでパーセンタイルを減少させることができる。
【0036】
幾つかの例示的な実施形態では、流体含有基質中の血液含有量の推定は、外科用アイテムの寸法に関する情報(例えば、外科用アイテムの推定表面積、外科用アイテムの汚れた部分の推定表面積、外科用アイテムの一部のピクセル数、外科用アイテムの汚れた部分のピクセル数、又はそれらの適切な組み合わせ)を生成することによって、外科用アイテム(例えば、外科用テキスタイル)などの流体含有基質中の推定血液量に少なくとも部分的に基づいて血液含有量を推定することを含む。幾つかの例示的な実施形態では、流体含有基質内の血液含有量の推定は、物体認識を実施して、光学センサの視野内、画像内、又はその両方内の物体を分離することができる。物体は既知の寸法を有する場合があり、又は物体の寸法は、光学センサからの距離、光学センサと既知の寸法の物体との間の角度、又はその両方を推定し、画像中の既知の寸法の物体と流体含有基質との位置を比較することなどによって外挿することができる。他の例示的な実施形態では、流体含有基質の寸法の決定は、流体含有基質の軸に沿ったピクセル数を決定すること、及び光学センサから流体含有基質までの距離に関する情報を使用してピクセル数と数値寸法の間の関係を確立することを含み得る。
【0037】
流体含有基質内の血液量の推定(360)は、流体含有基質内の血液成分濃度(例えば、抽出された特徴に基づいて相関性がある又はさもなければ決定される)、及び基質内の決定された総流体量を利用して流体含有基質内の血液成分量を推定することができる。一般に、血液成分量の推定は、流体含有基質中の流体の推定量に流体含有基質(例えば、キャニスタ)内の流体中の血液成分の推定濃度を掛け合わせることによって、血液成分量(例えば、質量、重量、体積、細胞数など)を計算することを含み得る。更に、推定失血量(例えば、失われた血液量)は、血液成分(例えば、ヘモグロビン)の推定量を、例えば、実験室由来であってユーザにより入力され得る血液の血清成分質量に関する値で割ることによって推定され得る。
【0038】
患者の失血量の推定は、複数の基質からの血液量の推定量を組み合わせることも含み得る。例えば、患者の総失血量の推定は、複数の流体含有基質中の推定血液量を合計することを含み得る。患者の失血量の推定は、同じタイプの流体含有基質(例えば、2つ以上の流体キャニスタ)からの血液の推定量の組み合わせ、又は異なるタイプの基質からの血液の推定量の組み合わせ(例えば、キャニスタの血液の推定量と外科用ガーゼスポンジ、外科用タオル、外科用ドレープ、外科用包帯、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの外科用アイテムにおける血液推定量との組み合わせ)を含み得る。本明細書で論じられる例示的な方法は、推定された患者の失血量データを患者の医療記録に追加すること、体外の血液推定量が閾値に達したときにアラームをトリガーすること、又は最初の患者のヘマトクリット、体液IV、輸血、及び、米国特許第9,936,906号に記載されるような総推定失血量に基づいて現在の患者のヘマトクリットを推定することを含み得る。
【0039】
患者の失血量を推定する他の例
患者の失血量を推定する幾つかの方法は、画像分析を利用しない場合がある。しかしながら、上記のように、画像分析を含む1つ以上の技術を他の技術と組み合わせて、患者の失血量を推定することができる。
【0040】
上記の重量情報の使用に加えて(例えば、重量情報を抽出された画像特徴から得られた血液成分濃度と組み合わせて基質の血液含有量を推定する)、画像分析を使用せずに重量情報を使用して患者の失血量を推定することができる。例えば、1つ以上の流体含有基質の重量を使用して、1つ以上の流体含有基質の血液含有量に関する所定の情報により、1つ以上の流体含有基質に含まれる血液量を推定することができる。幾つかの状況では、基質に含まれる流体は、全て又は実質的に全ての血液(例えば、人間の血液)であると一般に想定され得る。そのような血液の既知の密度を使用して、1つ以上の流体含有基質中の流体重量を流体体積に相関させることができる(例えば、流体含有基質の「湿潤」重量と「乾燥」重量との間の差として推定される)。他の状況では、流体中の血液成分濃度は、画像分析を使用せずに合理的なレベルの確実性で知ることができ、血液成分濃度を使用して、流体含有基質中の血液量を推定することができる。任意の適切な重量検出システム又は方法を使用して、流体を含むように構成された基質の重量を決定することができる。例えば、そのような方法の1つ以上は、重量を決定するために、流体容器又は外科用テキスタイルなどのアイテムを重量計の上に置くことを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、重量情報(例えば、重量を示す)は、重量情報に基づいて流体含有基質に含まれる血液量を推定するために、プロセッサによって受け取られ得る。重量情報は、プロセッサに自動的に送信されてもよく(例えば、重量計から無線で送信される)又はユーザが手動で入力することができる(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどのコンピューティングデバイスに入力する)。
【0041】
幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の手動技術を使用して、患者の失血量を推定することができる。例えば、血液を流体キャニスタに収集することができ、キャニスタ上の容量インジケータ(例えば、マーキング)を使用して、キャニスタ内の血液量を推定することができる。流体キャニスタは、患者によって失われた血液をキャニスタに排出できるような位置で患者の近くに配置することができる。ユーザは、キャニスタ上の1つ以上のマーキングを観察することができ、1つ以上のマーキングは、流体が各マーキングのレベルに達したときのキャニスタ内の流体量を示すことができる。幾つかの例示的な実施形態では、ユーザは、プロセッサ(例えば、モバイルコンピューティングデバイスのプロセッサ)に、手動で(例えば、流体レベルによって示されるように)流体量を入力する。他の例示的な実施形態では、1つ以上の撮像システム、流体レベルセンサ、又はそれらの任意の適切な組み合わせは、流体がキャニスタの特定のレベルに到達したことを決定し、流体レベル情報をプロセッサに自動的に送信する。
【0042】
参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許出願公開第2018/0199827号は、医療処置(例えば、陣痛及び分娩、外科的処置など)中に患者によって失われる流体量を定量化する非画像ベースの方法の例を記載している。様々な方法、システム、又はその両方の1つ以上を使用して、医療処置中に患者が失った流体(血液など)の量を追跡又は推定することができ、医療処置中に実質的にリアルタイムで、医療処置の終了時、又はその両方で推定量を更新して表示することができる。医療処置中に、患者が失った体外への流体(血液など)は、外科用アイテムで収集され得る。そのような外科用アイテムの例としては、外科用テキスタイル又は他の吸収性外科用アイテム、例えば、外科用スポンジ(例えば、開腹スポンジ)、外科用包帯、外科用ガーゼ、外科用タオル、吸収性パッド若しくはドレープ(例えば、チャックパッド)、膣パック、他のテキスタイル、他の吸収性アイテム、又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。追跡目的、衛生目的、又はその両方のために、1つ以上の外科用テキスタイル又は他の吸収性外科用アイテムをバッグ(例えば、スポンジ計数バッグ)に入れることができる。これに加えて又は代えて、患者によって失われた体外への流体は、キャニスタ(例えば、流体キャニスタ)などの容器(例えば、流体容器)に収集され得る。そのような方法及びシステムの幾つかの用途は、特殊な容器を用いて失われた流体を収集することを伴い得る。例えば、陣痛及び分娩手順の間、血液、羊水、尿、又はそれらの任意の適切な組み合わせを収集するために、少なくとも1つのポケットを伴うドレープ(例えば、三角形のポケットを伴う血液収集ドレープ)を患者の下に置くことができる。外科用テキスタイル又は流体キャニスタなどの少なくとも幾つかのタイプの外科用アイテムに収集される流体量は、流体を含むときの外科用アイテムの測定重量(質量)に基づいて推定され得るか、又は外科用アイテム上(例えば、流体キャニスタ上)の体積指標又はマーキングに基づいて測定され得る。幾つかの実施では、そのようなアイテムの複数のバッチが計量されて(例えば、1つ以上の外科用テキスタイルの各バッチが飽和状態になる際)、医療処置中に患者によって失われる流体量の現在の合計又は全体的な推定量に集約される。このような推定量は、キャニスタ又は血液収集ドレープなど、幾つかの他の種類の外科用アイテムにおいてバッチで又は時間の経過とともに累積的に収集された流体の推定量と組み合わせることができる。例えば、流体の総量、流体損失の総速度、又はその両方は、医療処置中、処置後、又はその両方の任意の特定の時点で推定することができる。
【0043】
失血プロトコルの現在の患者ステージを決定する例
医療処置中にユーザをガイドすることは、失血プロトコルの現在の患者ステージを決定することを含み得る。現在の患者ステージの決定は、推定される患者の失血量に基づくことができる。上記のように、様々な方法のうちの1つ以上を使用して、推定される患者の失血量を決定することができる。失血プロトコルの現在の患者ステージの決定は、推定された患者の失血量を、失血プロトコルの各患者ステージに関連する失血量の範囲の閾値と比較し、他の患者基準(例えば、輸血の速度、バイタルサイン、又はその両方)、又はそれらの任意の適切な組み合わせを評価することを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルの各患者ステージは、複数の範囲に関連付けられる。したがって、現在の患者ステージの決定は、推定される患者の失血量が比較されるようになっている適切な範囲を選択することも含み得る。更に、上記のように、複数の医療パラメータを使用して、失血プロトコルの現在の患者ステージを決定することができる。
【0044】
幾つかの例示的な実施形態では、プロセッサは、推定された患者の失血量を受け取り、デバイスのメモリに格納された失血プロトコルにアクセスし、推定された患者の失血量を、失血プロトコルの各範囲に関連付けられた閾値と比較して、現在の患者ステージを決定し得る。次に、プロセッサは、現在の患者ステージを1つ以上の後続の方法ステップに通信してもよく、その結果、1つ以上のプロセッサは、現在の患者ステージを利用して、ユーザにガイダンスを提供し得る。幾つかの例示的な実施形態では、推定された患者の失血量は、自動的にプロセッサに送信される。例えば、患者の失血量が上記のような1つ以上の計算方法(例えば、画像分析、重量情報の分析など)を使用して推定される実施において、患者の推定された失血量は、ユーザにガイダンスを提供する際に利用されるべきプロセッサに自動的に送信され、そのプロセッサによって受信される。失血量の推定システムの構成要素、及び現在の患者ステージを決定するために使用される構成要素は、任意の適切な態様で互いに通信し得る。例えば、失血量の推定システムの送信機/トランシーバは、システムの送信機/受信機と通信して、現在の患者ステージを決定することができる(例えば、無線通信又は有線通信を介して)。幾つかの実施では、失血量の推定と現在の患者ステージの決定の両方が、同じシステム、同じプロセッサ、又はその両方で実行され得る。幾つかの例示的な実施形態では、現在の患者ステージの決定は、1つ以上のデバイスのメモリからの推定失血量に関するデータにアクセスすることを含む。
【0045】
他の例示的な実施形態では、推定される患者の失血量は、ユーザによって手動で入力される、ユーザによって調整若しくは更新される、又はその両方であり得る。例えば、血液量を決定するために流体容器のマーキングを使用する、失血量を推定するために重量情報を使用する、又はその両方など、1つ以上の手動技術を使用して患者の失血量を推定する場合、ユーザは、現在の患者ステージを決定する際に使用するためのシステムへ患者の失血量を手動で入力することができる。更に、幾つかの例示的な実施形態では、ユーザは、自動的に送信される患者の失血量を調整又は更新することを望む場合がある。例えば、患者の失血量は、流体キャニスタ、外科用テキスタイル、又はその両方の画像を利用する処理システムによって決定されたが、追加の失血量情報がシステムによって捕捉されなかった場合があるかもしれない。したがって、ユーザは、推定量に更なる失血量を追加したい場合がある。
図14は、ユーザが流体容器から失血量を手動で入力できるようにするか、又は失血量を導き出すことができる流体量を入力できるようにするGUI1300の例を示す。
図14のGUI1300により、ユーザは、1つのスライダーアイコン1310を使用して、流体容器(例えば、Vドレープ)内の第1の流体(例えば、羊水)の量を調整するとともに、別のスライダーアイコン1320を使用して流体容器内の流体の総量を調整することができる。例えば、スライダーアイコン1310、スライダーアイコン1320、又はその両方に沿ったマーカーの位置は、ユーザがマーカー自体をクリックしてドラッグすることによって、インクリメント若しくはデクリメントボタンを選択することによって、又はその両方によって調整することができる。図示の例では、失血量は、スライダーアイコン1320を介して入力された総流体量とスライダーアイコン1310を介して入力された羊水量との間の差として決定され得る(例えば、流体容器内の2つの一次流体が羊水及び血液であると仮定する)。ユーザが各メトリックの値の調整を終了したとき、ユーザは、「値の設定」ボタン1330を押して、ユーザによって入力された情報、そこから得られた流体量(例えば、失血量)、又はその両方を格納することができる。
図14は、ユーザがVドレープに含まれる流体量を入力できるようにするGUI1300を示すが、同様の画面を使用して、ユーザが任意のタイプの容器に流体(例えば、血液)の量を入力できるようにしてもよい。同様に、GUI1300は、流体量の調整を可能にするためのスライダーアイコン(例えば、スライダーアイコン1310及び1320)を含むが、入力の他のメカニズム(例えば、数値の入力、音声認識技術を使用して解析される数値の列挙など)を適切に使用できることが理解されるべきである。
【0046】
例として、プロセッサは、1200mUの血液の患者Aのために推定失血量を受けてもよい。計算デバイスのメモリに格納された失血プロトコルは3つの患者の失血ステージを含み得る。失血プロトコルの患者ステージ1は、500mU~1000mUの範囲に関連し、患者ステージ2は、1000mU~1500mUに関連し、患者ステージ3は、>1500mUに関連し得る。したがって、現在の患者ステージを決定する1つ以上の方法は、患者Aの推定失血量を、患者ステージ1に関連する範囲、患者ステージ2に関連する範囲、及び患者ステージ3に関連する範囲を定義する閾値と比較することを含み得る。この比較に基づいて、プロセッサは、1200mUの患者Aの推定失血量が1000mUと1500mUの閾値の間にあり、したがって、現在の患者ステージは患者ステージ2にあるはずだと決定する。しかしながら、これらの失血量の範囲が単なる例であり、他の失血量の閾値を使用して、現在の患者ステージがどのステージであるかを決定することができる。
【0047】
ガイダンス提供の例
本明細書で論じられる方法の1つ以上は、失血プロトコルの現在の患者ステージの1つ以上、1つ以上のユーザ入力、又はそれらの任意の適切な組み合わせに基づいてユーザにガイダンスを提供することを含み得る。そのようなガイダンスの提供は、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択することを含み得る。上記のように、各患者ステージは、プロセッサによって選択され得る1つ以上の要素を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルの現在の患者ステージの要素の1つ以上は、1つ以上の推奨されるユーザ処置であってもよく又はそのユーザ処置を含み得る。
【0048】
ユーザに提供するガイダンスを決定する例
図4は、ユーザにガイダンスを提供する方法400の概略図である。一般に、ユーザにガイダンスを提供することは、ガイダンスとして提供するために、患者ステージ(例えば、患者ステージ410、420、430、又は440)から1つ以上の要素を選択すること(412)を含む。
図4に示される例示的な実施形態では、ガイダンス416は、患者ステージ420から選択された4つの要素を含む。しかしながら、任意の適切な数の要素が、ガイダンスとして提供されるように選択され得る。幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスに含まれるべき1つ以上の要素は、現在の患者ステージに基づいて選択される。他の例示的な実施形態では、ガイダンスに含まれるべき1つ以上の要素は、ユーザ入力と組み合わせた現在の患者ステージに基づいて選択される。例えば、そのようなユーザ入力としては、患者に関する情報(例えば、身長、体重、性別、体調、病歴、家族歴、術前血小板数、術前ヘマトクリット、術前ヘモグロビン、バイタルなどのパラメータ、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)、患者に対して実行されている医療処置、病院、医師、ユーザがすでに実行した1つ以上の処置、又はそれらの任意の適切な組み合わせを挙げることができる。例えば、ユーザ入力は、患者が肥満しており、したがって失血に関連する合併症のリスクが高いことを示してもよい。
【0049】
患者に関するこの情報、及び現在の患者ステージに基づいて、ガイダンスは、ユーザが輸血を行う準備をすることを推奨する要素を含んでもよい。ユーザ入力は、ユーザがモバイルコンピューティングデバイスと対話するなどの任意の適切な態様で受信されてもよい(例えば、モバイルコンピューティングデバイス上の1つ以上のボタンを押して、失血プロトコルの要素の完了を示す)。幾つかの例示的な実施形態では、患者、医療処置、病院、1人以上の医師、ユーザによって実行される1つ以上の処置、又はそれらの任意の適切な組み合わせに関する情報が、1つ以上のプロセッサに自動的に送信され、1つ以上のプロセッサによって自動的に受信され得る。したがって、「ユーザ入力」は、ユーザによって実行された処置、ユーザによって取得された情報、ユーザによって手動で入力されたアイテム、又はそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて自動的に送信されるデータであってもよい。
【0050】
幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の患者ステージは、ガイダンスとして提供するために条件付きで選択可能な1つ以上の要素を含み得る。例えば、1つ以上の要素は、ユーザが1つ以上の特定の処置を実行したこと、又は1つ以上の特定の事象が発生したこと(例えば、そのような実行又は発生の前に1つ以上の要素を選択できなかった場合)を示す際に選択可能であってもよい。言い換えれば、特定の1つ以上の処置又は事象は、1つ以上の条件付きで選択可能な要素を「ロック解除」し、これらの1つ以上のロック解除された要素をその後のユーザへのガイダンスとして提供できるようにしてもよい。条件付きで選択可能な要素418は、
図4に破線で概略的に示される。しかしながら、1つ以上の事象、ユーザ入力、又はその両方が発生すると、1つ以上の条件付きで選択可能な要素が選択可能として再分類される場合がある。特定の事象が発生するまで又は発生しない限り、一部の要素を選択不可(例えば、選択不可又はさもなければ選択できない)として分類することは、それらの要素が限られた状況に関連する場合に望ましいかもしれない。例えば、一部の要素は、ユーザが輸血を開始した、IV輸血を投与した、又は創傷の縫合を開始したことを示した時点でのみ関連していてもよい。同様に、1つ以上の患者ステージは、ガイダンスとして提供するために、条件付きで選択できない(例えば、ユーザが要素を選択したにもかかわらず、要素に関連する機能が実行されないように要素が無効にされる)要素を含んでもよい。例えば、ユーザが特定の処置を実行したこと、又は特定の事象が発生したことを示すと、1つ以上の要素が選択不能又は非表示になってもよい(例えば、この処置又は事象が発生する前に1つ以上の要素が選択可能)。言い換えれば、特定の処置又は事象は、1つ以上の条件付きで選択できない要素を「ロック」し、これらの1つ以上のロックされた要素を無効にすることによって、その後のユーザへのガイダンスとして提供されないようにすることができる。したがって、1つ以上の所定のトリガー(例えば、処置、事象、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)に応じて、1つ以上の要素は、ロック解除(例えば、ガイダンスとして提供可能になる)又はロック(例えば、ガイダンスとして提供できなくなる)され得る。
【0051】
幾つかの例示的な実施形態では、ユーザへのガイダンスの提供は、ユーザへの更新されたガイダンスの提供を含む。更新されたガイダンスは、ユーザ入力、更新された現在の患者の失血ステージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせなど、任意の適切な表示又は事象に基づいて提供され得る。更新されたガイダンスは、ユーザ入力に基づいて提供されてもよい。例えば、ユーザは、ユーザが特定の処置を実行したこと、患者が特定の状態を示したこと、又はその両方を示してもよく、これにより、ユーザに提供するために要素の更新されたリストを選択させてこれをユーザに提供することができる。幾つかの例示的な実施形態では、失血プロトコルの更新された患者ステージに基づいて、更新されたガイダンスが提供され得る。例えば、失血量の推定は、患者の失血量(例えば、医療処置を受けている患者の失血量)を継続的又は定期的に推定することを含み得る。したがって、患者の失血量の更新された推定量は、医療処置中の様々な時点で決定されてもよく、更新された患者ステージは、更新された患者の失血量に基づいて決定され得る。したがって、更新された失血量に基づいて更新されたように、更新された患者ステージに基づいて、更新されたガイダンスがユーザに提供され得る。幾つかの例示的な実施形態では、更新ガイダンスは、例えば、ユーザ入力及び更新された患者ステージ(例えば、更新された失血量に基づいて)の両方に基づいて、ユーザ又は患者に提供され得る。
【0052】
図5は、ユーザにガイダンスを提供する方法500の概略図であり、この場合、ガイダンスの提供は、初期ガイダンスを提供すること(530)及び更新されたガイダンスを提供すること(560)を含む。上記のように、ユーザにガイダンスを提供する方法500は、患者の失血量を推定し(510)、推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定し(520)、現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供すること(530)を含み得る。ガイダンスの提供(530)から指す破線の矢印によって表わされるように、更新されたガイダンスの提供は、1つ以上のタイプの情報に基づくことができる。更新されたガイダンスを提供することは、患者の更新された失血量を推定すること(540)、及び、更新された失血量に基づいて失血プロトコルの更新された患者ステージを決定すること(545)を含み得る。方法500の幾つかの例示的な実施形態では、更新されたガイダンスの提供(560)は、ユーザ入力を受信すること(550)を含む。したがって、更新されたガイダンスの提供(560)は、ユーザ入力、更新された患者ステージ(例えば、患者の更新された失血量に基づいて更新された)、又はその両方に基づくことができる。
【0053】
決定されたガイダンスを提供する例
ガイダンス(例えば、任意の更新されたガイダンスを含む)の提供は、ガイダンス、その他の情報、又はその両方をユーザに表示又はさもなければ提示することを含み得る。例えば、ユーザへのガイダンスの提供は、プロセッサによって選択された1つ以上の要素をディスプレイ(例えば、表示画面)に表示することを含み得る。ディスプレイは、タブレット、ラップトップ、スマートフォン、又は任意の適切な計算デバイスなどのモバイルコンピューティングデバイスの一部である表示画面であってもよい。別の例として、ディスプレイは、デスクトップコンピューティングコンソールなどの一部であってもよい。これに加えて又は代えて、ユーザへのガイダンスの提供は、投影面(例えば、壁、プロジェクタースクリーンなど)上にガイダンスを表示することを含んでもよい。ガイダンスは、患者の近く(例えば、同じ部屋)、医療処置室の外、例えば、医療部門の机(例えば、看護師の机)、ラウンジ、共用エリアなどの近くに表示されてもよい。患者のすぐ近くの外にいる医療スタッフは、提供されたガイダンス、患者の状態(例えば、実質的にリアルタイムの態様で)、又はその両方を認識し続けることができる。
【0054】
図6は、失血プロトコルの様々な要素を表示するモバイルデバイスの表示画面のためのGUIの例を示す。
図6の例示的なGUIは、現在の患者ステージに関してユーザに提供される一連の要素を示し、
図6は「ステージ2」である。
図6に示されるように、ディスプレイは、ユーザが完了するための1つ以上の推奨処置を含む1つ以上の要素を提供することができる。ディスプレイは、完了した、未完了の、又はそれらの任意の適切な組み合わせである1つ以上の要素を提供することができ、処置が完了したかどうかの表示を含むことができる。例えば、ディスプレイは、完了した要素がマーキングによって示され得るように、各要素の隣にボックスを含み得る。
図6は、「x」で示された完了項目のボックスを示すが、任意の適切なマークを使用できる(例えば、チェックマーク、スラッシュ、星又はアスタリスク、ボックスへの入力、要素のテキストの取り消しなど)。上記のように、1つ以上の要素は、自動的に、又はユーザ入力を介して(例えば、タッチスクリーンを介した手動ユーザ入力によって、解析及び解釈され得る列挙されたユーザ入力によってなど)、完了としてマークされ得る。幾つかの例示的な実施形態では、ディスプレイは、要素が完了されたかどうかを示すために、1つ以上の様々な色で要素を提示する(例えば、緑色の項目は完了したが、赤色の項目は完了する必要がある)。ディスプレイは、要素が完了したかどうかに基づいて色彩強度を調整する場合がある(例えば、未完了の要素が暗い色又は黒で表示され、完了した要素が明るく又は灰色で表示される)。
図12は、失血プロトコルの様々な要素を表示する別の例示的なGUI(例えば、モバイルコンピューティングデバイスの表示画面用)を示す。
図12のGUIは、失血プロトコルの「ステージ1」とラベル付けされた、患者ステージのためにユーザに提供される一連の例示的な要素を示す。
【0055】
ガイダンスの表示された要素は、任意の適切な態様で配置することができる。幾つかの例示的な実施形態では、幾つか又は全ての要素は、カテゴリにグループ化され、1つ以上の様々なヘッダーと併せて表示され得る。例えば、一部又は全ての要素を、評価(例えば、累積失血量の評価、膣壁の評価、子宮頸部の評価、胎盤の評価、子宮内腔の評価、患者のバイタルの測定など)、投薬(例えば、250megのミソプロストールの投与)、通知(例えば、失血プロトコルの患者ステージのOBへの通知、患者の血液型の血液銀行への通知)、準備(例えば、輸血装置の準備)、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどのカテゴリにグループ化できる。幾つかの例示的な実施形態では、幾つか又は全ての要素は、それらが完了するべき順序で表示される。幾つかの例示的な実施形態では、幾つか又は全ての要素は、複数の組織的方法に基づいて(例えば、カテゴリに、次に各カテゴリ内で予想される又は指示された完了の順序で)配置される。しかしながら、要素は、一般に、任意の適切な態様でディスプレイ上に配置することができる。
【0056】
幾つかの例示的な実施形態では、これに加えて又は代えて、ガイダンスの提供は、1つ以上の音声キュー、触覚キュー、又はそれらの任意の適切な組み合わせを介してガイダンスを提供することを含む。例えば、ガイダンス(例えば、現在の患者ステージからの1つ以上の選択された要素)は、スピーカーデバイスから暗唱されるか、又はさもなければ出力され得る。別の例として、1つ以上の触覚キュー(例えば、モバイルコンピューティングデバイス又は他のデバイスからの点滅するライトの有無にかかわらず、振動モータからの振動)は、ガイダンスの1つ以上の要素(例えば、特定の推奨処置又は処置のカテゴリに対して符号化された色)と関連付けられてもよい。ユーザへのガイダンスの提供は、ガイダンスが更新されたときに指示を提供することを更に含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、音声又は視覚的なキューは、更新されたガイダンスが提供されたことを示し得る。これにより、表示された要素に変更が加えられたことをユーザに警告できるという利点がある。上記のように、ガイダンスは、入力(例えば、処置又は事象の発生を示す手動又は自動のユーザ入力)、更新された患者の失血ステージ(例えば、更新された患者の推定失血量に基づく)又は両方に応じて更新され得る。したがって、ユーザ入力、更新された患者ステージ、又はその両方に基づいて(例えば、これらの結果として)ガイダンスが更新されたときに通知が提供され得る。任意の適切な通知を使用して、音(例えば、リング音、ビープ音、ピング音、バズ音、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)、振動、点滅、色の変化、要素が交換されることを示す動的な視覚的表示、スクロールされる失血プロトコルの一部若しくは全て、それらの適切な組み合わせ、又は他の適切なキューなどの更新されたガイダンスをユーザに通知することができる。言い換えれば、ガイダンスを見るようにユーザに促すために、1つ以上のアラート又は通知が提供され得る(例えば、ガイダンスが提供されるディスプレイにユーザの注意を引くためにバズ音又はビープ音を出力する)。
【0057】
ユーザへのガイダンスの表示は、現在の患者ステージから選択された1つ以上の要素からなるガイダンスを表示することを含み得る。しかしながら、ガイダンスの表示には、追加の患者ステージからの1つ以上の要素の表示も含まれ得る。例えば、ユーザへのガイダンスの表示は、例えば、前の患者ステージでユーザによって完了されておらず、まだ完了されるべきである1つ以上の要素があった場合、前の患者ステージからのガイダンスを表示することを含み得る。更に、ガイダンスの提供は、ユーザが要素を実行していないという1つ以上の通知を提供することを含み得る。そのような通知は、計算デバイスの表示画面(例えば、点滅(flashing)、点滅(blinking)、アイテムの色の変更、又はそれらの任意の適切な組み合わせ)などで、1つ以上の音声キューを介して(例えば、要素が完成していないことを示すノイズ又は口頭のキューを提供することによって)、1つ以上の触覚キューを介して(例えば、モバイルデバイスの振動モータからの振動を引き起こすことによって)、又はそれらの任意の適切な組み合わせによって視覚的に提示され得る。幾つかの例示的な実施形態では、ガイダンスの提供及び表示は、後続の患者ステージからの1つ以上の要素を提示することを含み得る。例えば、推定された患者の失血量が増加し、患者が次の重度の患者ステージに近づいている場合、プロセッサは、患者の状態の悪化を見越して、後続の患者ステージから1つ以上の追加要素を「キューに入れ」始めることがある。幾つかの例示的な実施形態では、次のステージからの1つ以上の要素が、現在の患者ステージからの1つ以上の要素とともに提示され得る。次の患者ステージの要素は、現在の患者ステージからの要素と区別することができる。例えば、次のステージからの要素は、異なる色、異なる強度であってもよく、又は異なるステージからの要素を区別するために線又はマーカーによって分離されてもよい。例えば、
図7は、失血プロトコルのステージ2及び3からの要素を示すディスプレイのための例示的なGUIを示す。患者ステージ2からの要素は、画面上部で「ステージ2」というラベルの付いたヘッダーの下に表示され、患者ステージ3からの要素は、画面下部で「ステージ3」ヘッダーの下に表示され、破線でステージ2の要素から分離される。
【0058】
ユーザへのガイダンスの提供には、失血プロトコルの患者ステージに関連する患者の現在の失血量のチャート又はプログレスバーなどの1つ以上の概要グラフィックを表示することが含まれ得る。
図8は、患者の失血量の概要図の例を示す。概要図は、左から右への陰影又は色付け(例えば、グレースケール強度)の変化によって示される、失血量の4つの患者ステージを伴うステータスバー710を含む。4つの患者ステージに関連する失血量の現在の患者ステージは、三角形などのマーカーアイコン720によって示される。現在の患者ステージは、推定された失血量とともに、ディスプレイにも表示される。概要図は、ユーザに提示された合計ステップ数に関連して、各ステージに関連付けられた失血プロトコルの幾つの要素又はステップがユーザによって完了されたかを示し得る。すなわち、ステータスバーの各セクション(例えば、それぞれが異なる患者ステージに関連付けられる)は、その近く(例えば、下方)に分数730、732を有してもよく、その部分は、提示されたステップの数に対する完了したステップの数を示す。例えば、
図8に示される例示的な概要図では、失血量の第1の患者ステージは、25のステップのうちの23がこの患者ステージについて完了したことを示す分数730でラベル付けされる。別の例として、失血量の第2の患者ステージは、この患者ステージで11ステップのうち11ステップが完了したことを示す分数732でラベル付けされる。様々な情報(例えば、現在の患者ステージ、マーカーアイコンの位置、完了したステップなど)は、医療処置全体を通じて更新され得る。
図8は、概要図の例を示しているが、チャート、グラフ、フローチャート、表、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの任意の適切なグラフィックを使用して、患者の失血量に関連する情報を要約し、失血プロトコルに従って進行を追跡することができる。更に、現在の患者の失血量、失血プロトコルの現在の患者ステージ、各ステージで完了した要素の数、各ステージで完了していない要素の数、手順の時間の長さ、患者が次のステージに到達するまでの推定時間長さ、患者が各ステージで費やした時間の長さ、患者のバイタル(心拍数、酸素レベル、体温など)などの患者データ、その他の適切な情報、又は適切なそれらの任意の組み合わせを含む、任意のタイプの情報を表示することができる。例えば、
図13は、現在の患者ステージ1210、患者の推定累積失血量1220、及び累積失血推定量のソースの内訳1230(例えば、以前の推定失血量、Vドレープなどの容器からの失血量、計量アイテムから推定される失血量など)に関する情報を提供するGUI画面1200の例を示す。
図13の例示的なGUIは、計量器を使用する準備ができていることの表示1240(例えば、追加の患者の失血量を推定するために汚れたアイテムを計量するため)、並びに2つのユーザ入力ボタン1250及び1260も提供する。入力ボタン1250は、流体容器(例えば、「Vドレープ」)からの調整された失血測定量をユーザが示すことができるようにし、また、入力ボタン1260は、ユーザがケースを閉じることができるようにし、これは、手順が完了したこと又はユーザがモバイルアプリケーションの使用をさもなければ終了したことを示す。
【0059】
データの保存及びアクセスの例
ユーザへのガイダンスの提供は、データにアクセス及びデータを保存するための様々な方法の1つ以上を含み得る。上記のように、1つ以上の失血プロトコルは、1つ以上のデバイスのメモリに格納され得る。ユーザにガイダンスを提供するために、1つ以上のプロセッサが、メモリに格納された1つ以上の失血プロトコルにアクセスすることができる。上記のように、ユーザへのガイダンスの提供は、失血プロトコルから1つ以上の要素を選択すること、及びそれらの1つ以上の要素をユーザに提供することを含み得る。状況によっては、失血プロトコルから選択されてユーザに表示された1つ以上の要素に関する情報を追跡及びログに記録することが望ましい場合がある。したがって、本明細書で論じられる方法の1つ以上は、医療処置中にユーザに提供される1つ以上の要素のデータレコードを作成することを含み得る。更に、前述のように、医療処置中のユーザのガイドは、特定の要素が完了したかどうかを示す入力を受け取ることを含み得る。例えば、ユーザに提供される要素は、ユーザが患者にIVを投与することを推奨する場合がある。ユーザがこの要素を完了すると、プロセッサは要素が完了したという表示を受け取ってもよい。表示は、自動的に送信される表示(例えば、それが適切に満たされ、患者に接続されたことを示すIVシステムからの無線通信)であってもよく、又は、表示は、ユーザ入力(例えば、ユーザがその特定の要素の完了を示すために計算デバイスを操作する)の形態を成してもよい。幾つかの例示的な実施形態では、データレコードは、ユーザに提供された要素の1つ以上が(例えば、ガイダンスの項目として)完了したか否かに関する情報を格納することができる。幾つかの例示的な実施形態では、要素が完了しなかったかどうかの決定は、ユーザに提供された1つ以上の要素を、ユーザによって完了された対応する1つ以上の処置の表示と比較することを含み得る。一部の実施では、要素が完了若しくは無視された時刻、要素が提供された時刻、要素が提供された医療処置、医療処置が行われていた(例えば、行われた)病院、医療処置に従事する医師、看護師、若しくはその他の医療スタッフ、アイテムを完成させたユーザのID、その他の関連情報、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの各要素に関する情報を追跡及び保存することも役立つ場合がある。したがって、データレコードには、要素が完了したかどうかに加えて、ユーザに提供された各要素に関する任意の適切なタイプの情報を含めることができる。
【0060】
医療中に提供されるガイダンスに関する情報の格納及びアクセスには、手順中にユーザに提供される1つ以上の要素に関する情報を含むデータレコードの作成及び維持が含まれ得る。
図9は、手順に関する情報を格納するために使用される例示的なデータレコードの概略図である。データレコードの各ボックスには、プロシージャの要素に関連付けられた情報が含まれる。各行には1つの要素に関する情報が含まれ、各列はその要素に関する異なる情報を表わす。
図9において、例示的なデータレコードの第1の列は、要素が何であったかを示す要素記述子を含む(例えば、ユーザに推奨された処置)。幾つかの例示的な実施形態では、データレコードは、ユーザに表示されたものに従って要素記述子を格納することができる(例えば、要素の説明は、「輸血を行う」ことができる)。他の例示的な実施形態では、データレコードは、要素番号、要素コード、又は略語に従って要素記述子を格納することができる。例えば、「輸血を行う」というガイダンスを提供することは、データレコードに「TRNSF」として、又は数値コードを含む任意の適切な略語として保存することができる。幾つかの例示的な実施形態では、ルックアップテーブルをデータレコードに関連付けて、各要素コード又は略語の全文を示すことができる。
図9に示される例示的なデータレコードの第2の列は、要素のステータスインジケータであり、要素が完了したかどうかを示す。
図9に示されるデータレコードの第3の列は、要素のステータスがいつ受信されたか(例えば、要素がいつ完了又は無視されたか)を示すタイムスタンプ(例えば、時刻、日付、又はその両方を示す)である。しかしながら、他の例示的な実施形態では、タイムスタンプは、要素がユーザに提供されたとき(例えば、ガイダンスとして)に追加的又は代替的に関連付けられ得る。
図9のデータレコードの第4の列は、失血プロトコルの現在の患者ステージ(例えば、要素が提供された時刻又は要素が完了若しくは無視された時刻と患者の失血量が関連付けられた失血プロトコルの患者ステージ)である。
図9は、4つのラベル付けされた列を含むが、データレコードは、失血プロトコルの要素に関連する様々な量の情報を格納するために、任意の適切な数Nの行及び任意の適切な数nの列を含み得る。データレコードに格納され得るそのような情報の非限定的な例としては、1つ以上の要素記述子、1つ以上のステータスインジケータ(例えば、完了又は無視)、ステータスの1つ以上のタイムスタンプ(例えば、「時間/日付」)、1人以上のユーザに表示される1つ以上のタイムスタンプ、医療処置の経過時間、失血プロトコルの現在の患者ステージ、1つ以上の患者パラメータ(例、身長、体重、性別、BMI、病歴など)、手順情報、病院情報、1つ以上の要素を完了若しくは無視したユーザ、患者の推定失血量、出血若しくはその他の合併症の患者のリスクの指標、患者が許容できないレベルの失血量に達する時間の推定量、その他の適切な情報、又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0061】
医療処置中に生成されたデータレコードは、医療処置中、医療処置が完了した後、又はその両方など、様々な目的に使用できる。医療処置中に、データレコードは、どの要素がすでにユーザに提供されているかに関する情報、並びに提供された要素に関する他の関連情報(例えば、状態、時間、ステージなど)を取得するために1つ以上のプロセッサによってアクセスされる。例えば、上記のように、失血プロトコルの特定の要素は、条件付きで選択可能であり得る。したがって、ユーザへのガイダンスの提供は、医療処置中にデータレコードにアクセスして、条件付きで選択可能な要素がガイダンスとしてユーザに提供するために現在選択可能であるかどうかを決定することを含み得る。データレコードは、どの要素が完了したかに関する指標をユーザに提供するために使用できる。例えば、ユーザが要素を完了したかどうかを示す1つ以上の表示を表示する場合、プロセッサはデータレコードにアクセスして、要素が完了したかどうかを判断、確認、又はその両方を行い、したがって、要素が完了したかどうかの表示が表示されるべきかどうかを判断する。更に、データレコードからの情報は、医療処置中に情報を送信するために使用され得る。例えば、ガイダンスの提供は、ユーザに提供された要素が無視されたときに病院の管理スタッフに情報を提供することを含み得る。したがって、データレコードにアクセスして、無視された要素を管理スタッフに通知することができる。以下で説明するように、データレコードからの情報を使用して、提供されたガイダンスへの使用準拠を判断することもできる。
【0062】
医療処置が完了した後、データレコードにアクセスすることが望ましい場合がある。医療処置の最後に、データレコードは医療処置の事象の部分的又は完全なシーケンスを表わす。したがって、データレコードは、医療処置に関する情報を提供するために様々な方法で使用することができる。例えば、データレコードは、保存され、患者の電子医療レコードに関連付けられ得る。別の例として、データレコードは、病院の管理スタッフが、1つ以上の要素が1人以上のユーザに提供された失血プロトコルへの準拠を判断するために使用され得る。この情報は、特定のユーザが所定のプロトコルへの準拠を改善する必要があるかどうかを判断するために使用できる。データレコードは、患者の転帰に対する特定の行動の影響を分析するために使用できる。例えば、データレコードからの情報を使用して、失血プロトコルの内容を精緻化し(例えば、要素の追加、要素の削除、要素の再配置、要素の言い換え、条件付きで選択可能な要素若しくは条件付きで選択できない要素の特性の変更、又はさもなければ、失血プロトコルの1つ以上の要素の修正)、患者の転帰を改善できる。データレコードからの情報は、任意の適切な態様で通信できる。幾つかの例示的な実施形態では、データレコードは、エクスポートされ、電子メールで送信され、サーバに保存され、印刷され、クラウドベースのストレージシステムにアップロードされ若しくは保存され、又はそれらの任意の適切な組み合わせが行われてもよい。データレコードは、任意の適切な形式で格納できる。幾つかの例示的な実施形態では、データレコードからの情報の格納は、情報をチャート、スプレッドシート、リスト、又はそれらの任意の適切な組み合わせにフォーマットすることを含む。他の例示的な実施形態では、そのような情報の格納及び通信は、データレコード内のデータに基づいてチャート又はグラフを生成することを含み得る。更に、データレコード内の生データは、任意の適切なプログラムによって、任意の適切な方法でエクスポート及び/又は操作することができる。
【0063】
その他のバリエーション例
本明細書で論じられる方法の1つ以上は、1つ以上の他の適切な種類の医療パラメータプロトコルに基づいて、医療処置中にガイダンスを提供することを含み得る。例えば、そのような方法は、患者の医療パラメータを推定すること、及び推定された医療パラメータを使用してユーザに提供されるガイダンスを通知することを含み得る。
図15に示される方法などの幾つかの例示的な実施形態では、ユーザにガイダンスを提供する方法1400は、患者の医療パラメータを推定し(1410)、推定された医療パラメータに基づいて医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定し(1420)、少なくとも部分的に現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供する(1430)ことを含み得る。一般に、方法1400は、ガイダンスが追加的又は代替的に1つ以上の他の医療パラメータに関連付けられ得ることを除いて、失血プロトコルに基づくガイダンスを提供することに関して上記の1つ以上の方法に類似し得る。1つ以上の医療パラメータプロトコルに基づくそのようなガイダンスの提供は、例えば、1つ以上の最善の措置、患者の医療のための1つ以上の他のプロトコル(例えば、投薬、他の処置)、又はそれらの任意の適切な組み合わせへの迅速かつ正確な順守を確保し、それにより患者の転帰を改善するのに役立ち得る。
【0064】
このような医療パラメータの例としては、失血量、血圧、ヘマトクリット、ヘモグロビン濃度、別の血液成分の濃度、心拍数、血液凝固(例えば、TEGによって特徴付けられる)、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、BMI、性別、体脂肪率、投与された静脈内輸液、又はそれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。これらの医療パラメータの1つ以上は、本明細書に記載の1つ以上の方法、適切な機器(例えば、血圧計、体重計、パルスオキシメータ、体温計、TNセットアップに結合された流量計など)、又はそれらの任意の適切な組み合わせを使用して推定され得る(例えば、推定失血量又は推定血液成分濃度)。
【0065】
医療パラメータプロトコルは、例えば、少なくとも1つの推定された医療パラメータに基づく複数の患者ステージを含んでもよく、各患者ステージは、1つ以上の要素を含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、患者ステージの1つ以上の要素は、患者の健康特性を管理するためにユーザによって実行される1つ以上の推奨処置を含み得る(例えば、医療パラメータを許容範囲又は正常範囲に戻す)。幾つかの例示的な実施形態では、現在の患者ステージの決定は、推定された医療パラメータを1つ以上の範囲の医療パラメータ値と比較することを含み得る。各範囲は、医療パラメータプロトコルの対応する患者ステージに関連付けることができる。したがって、患者の推定医療パラメータは、例えば、推定医療パラメータと医療パラメータプロトコルの1つ以上の様々なステージに関連付けられた医療パラメータ値の範囲とを比較することによって、現在の患者ステージを決定するために、医療パラメータプロトコルの対応する患者ステージと関連付けられてもよい。
【0066】
更に、幾つかの例示的な実施形態では、複数の推定された医療パラメータが、個別に又は適切な組み合わせで使用されて、医療パラメータプロトコルにおける現在の患者ステージを決定する。例として、患者が特定の年齢(例えば、70歳以上)で高い心拍数(例えば、120bpmを超える)を持ち、収縮期血圧が高い(例えば、160mmHgを超える)場合、ユーザにガイダンスを提供する方法は、これらの医療パラメータの組み合わせに基づいて、患者の現在の患者ステージを決定することを含み得る。例えば、現在の患者ステージは、各医療パラメータを、医療パラメータプロトコルの様々な患者ステージに関連する医療パラメータ値の範囲と比較することによって決定することができる。
【0067】
次に、この方法は、ガイダンス(例えば、医療パラメータのこの組み合わせに基づく現在の患者ステージに固有の、又はそれに関連する一連のプロトコル指示)を提供することを含むことができ、これは、例えば、患者を元の通常の医療範囲に管理するべく特定の量及び分量の薬物を投与することを含み得る。医療パラメータの値又は値の範囲に固有のガイダンスは、関連する状態のプロトコル指示に基づいて提供され得る。そのようなガイダンスの提供は、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択することを含み得る。ガイダンスの提供は、表示画面(例えば、モバイルコンピューティングデバイスの表示画面)を介してユーザにガイダンス(例えば、選択された要素で構成される)を表示すること、又は任意の適切な態様(例えば、他の視覚的通知、音声的通知、触覚的通知などの他の通知)でガイダンスを提供することを更に含み得る。
【0068】
例示的なシステムの概要
本明細書で説明される例示的なシステムは、ユーザにガイダンスを提供するために、本明細書で論じられる例示的な方法のうちの1つ以上を実施する。ユーザにガイダンスを提供するためのそのようなシステムは、患者の失血量を推定し、推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定し、失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するように構成される1つ以上のプロセッサを含んでもよい。上記のように、ユーザにガイダンスを提供するためのそのようなシステムの1つ以上のプロセッサは、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択するように構成され得る。更に、1つ以上のプロセッサは、ユーザ入力、失血プロトコルの更新された患者ステージ、又はその両方に基づいて、ユーザに更新されたガイダンスを提供するように更に構成され得る。そのようなシステムは、ユーザに情報を表示するように構成されたディスプレイを含み得る。同様に、ユーザにガイダンスを提供するためのそのようなシステムは、患者の医療パラメータを推定し、推定された医療パラメータに基づいて医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定し、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するように構成された1つ以上のプロセッサを含み得る。
【0069】
図10に示されるように、医療処置中にユーザをガイドするためのシステム900は、少なくとも1つのプロセッサ910と、プロセッサ910によって実行される命令、医療処置中に生成されるデータ、又はその両方を格納するためのメモリ920とを含み得る。幾つかの例示的な実施形態では、プロセッサ910によって実行される命令は、同じくメモリ920に格納された1つ以上の失血プロトコル又は1つ以上の他の医療パラメータプロトコルの使用を含み得る。例えば、システム900は、モバイルコンピューティングデバイス上で実行可能なモバイルアプリケーションの一部として本明細書で説明される方法の1つ以上の態様を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ910を含んでもよい。上記のように、失血プロトコルは、それぞれが1つ以上の範囲の失血量に関連付けられた1つ以上の患者ステージを含んでもよく、各患者ステージは1つ以上の要素を含み得る。同様に、医療パラメータプロトコルは、それぞれが1つ以上の範囲の医療パラメータ値に関連付けられた1つ以上の患者ステージを含んでもよく、各患者ステージは1つ以上の要素を含み得る。一般に、システム900は、上記で更に詳細に説明された方法のうちの1つ以上を実質的に実行するように構成され得る。
図10に更に示されるように、システム900は1つ以上の画像を取得するためのカメラ930を含んでもよく、システム900は、ユーザにガイダンス又は他の情報を表示するためのディスプレイ940を含んでもよい。幾つかの例示的な実施形態では、システム900の一部又は全ては、一体型デバイス内にあり、医療処置中に(例えば、手術室に)患者、ユーザ、又はその両方の近くに配置されて、医療処置中にユーザをガイドし得る。例えば、システム900は、少なくとも部分的に、ハンドヘルド又はモバイル電子コンピューティングデバイスを含み得る。そのようなハンドヘルド又はモバイルデバイスは、例えば、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、モバイルスマートフォン、又はそれらの任意の適切な組み合わせであってもよく、そのようなデバイスは、カメラ(例えば、カメラ930)、プロセッサ(例えば、プロセッサ910)、及びディスプレイ(例えば、ディスプレイ940)を含み得る。しかしながら、他の例示的な実施形態では、システムコンポーネントの一部又は全ては、個別の相互接続されたデバイスとして分離され得る。例えば、カメラ930、ディスプレイ940、又はその両方は、医療処置の間(例えば、手術室において)、患者、ユーザ、又はその両方の実質的に近くに配置されてもよく、一方、プロセッサ910は、遠隔位置(例えば、カメラ、ディスプレイ、又はその両方とは別の手術室、又は手術室の外)に配置され、有線接続若しくは無線接続又は他のネットワークを介してカメラ930及びディスプレイ940と通信してもよい。
【0070】
一般に、1つ以上のプロセッサ910は、メモリ920に格納された命令を実行するように構成されてもよく、その結果、1つ以上のプロセッサ910が命令を実行するとき、1つ以上のプロセッサ910は、本明細書に記載の方法の1つ以上の態様(例えば、動作)を実行する。命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、Webサイト、通信サービス、通信インタフェース、ユーザのコンピュータ若しくはモバイルデバイスのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア要素、リストバンド、スマートフォン、又はそれらの任意の適切な組み合わせと一体化されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されてもよい。命令は、メモリ又は他のコンピュータ可読媒体、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(例えば、CD又はDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、又は任意の適切なデバイスなどに格納できる。
【0071】
上記のように、1つ以上のプロセッサ910は、ハンドヘルド又はモバイルデバイスに組み込まれ得る。他の例示的な実施形態では、1つ以上のプロセッサ910は、クラウドベースのコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、グリッドコンピュータシステム、又は他の適切なコンピュータシステムなどのコンピューティングデバイス又はシステムに組み込まれ得る。これに加えて又は代えて、1つ以上のプロセッサ910をリモートサーバに組み込むことができ、このリモートサーバは、患者の推定失血量に関する情報を受信し、患者の推定失血量を、失血プロトコルの患者ステージに関連する範囲を定義する閾値と比較して、現在の患者ステージを決定し、現在の患者ステージから要素を選択して、ユーザにガイダンスを提供する。
【0072】
本明細書で論じられる例示的なシステム(例えば、システム900)の1つ以上は、1つ以上の静止画像のセット又はビデオフィードの一部などの1つ以上の画像を生成するように機能するカメラ930(例えば、光学センサ)を含み得る。上記のように、1つ以上の画像を使用して患者からの失血量を推定することができる。カメラ930は、ピクセル、他の適切な光学部品、又はそれらの任意の適切な組み合わせのための赤、緑、及び青(RGB)色成分を伴うカラー光学デジタル画像を捕捉する少なくとも1つの光学画像センサ(例えば、CCD、CMOSなど)を含んでもよい。例えば、カメラ930は、1つ以上の適切な対応する光学系、1つ以上のフィルタ(例えば、ベイヤーパターンフィルタなどの1つ以上のカラーフィルタアレイ)、又はそれらの任意の適切な組み合わせと対になる単一の画像センサを含み得る。別の例として、カメラ930は、白色光を別々のカラーチャネル(例えば、RGB)に分割するための少なくとも1つのプリズム又は回折面などの適切な対応する光学系と対になった複数の画像センサを含んでもよく、これらのそれぞれは、それぞれの画像センサによって検出される。しかしながら、カメラ930は、カメラ930が画像を生成できるようにするために、任意の適切な画像センサ又は他の光学部品を含み得る。カメラ930は、流体容器(例えば、キャニスタ)、外科用アイテム(例えば、外科用テキスタイル)、又はそれらの任意の適切な組み合わせなどの流体含有基質を表わす画像など、任意の数又はタイプの適切な画像を生成するように構成され得る。
【0073】
カメラ930は、分析のためのプロセッサ910、画像を格納するデータベース、又はその両方に画像を送信するように構成され得る。前述のように、カメラ930は、システム900の他の構成要素の1つ以上と同じデバイスに組み込まれてもよく、又はカメラ930は、画像データを他の構成要素に通信する別個の構成要素であってもよい。
【0074】
本明細書で論じられる例示的なシステム(例えば、システム900)の1つ以上は、ガイダンス又は他の情報をユーザ(例えば、医師、看護師など)に表示又は他の方法で伝達するように機能するディスプレイ940を含んでもよく、また、そのような情報は、失血プロトコルの患者ステージの1つ以上の要素(例えば、ユーザによって実行されるべき処置)、患者情報、患者の推定失血量、失血プロトコルの現在の患者ステージ、1つ以上の通知、失血プロトコルと患者の失血量の概要グラフィック、外科用テキスタイルの1つ以上の画像、外科用テキスタイル内の流体を特徴付ける1つ以上の定量化されたメトリック、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含めて、システム900によって生成され得る。ディスプレイ940は、ハンドヘルド若しくはモバイルデバイス上のスクリーン、コンピュータモニタ、テレビスクリーン、プロジェクタースクリーン、又は他の適切なディスプレイを含み得る。
【0075】
幾つかの例示的な実施形態では、ディスプレイ940は、ユーザが表示された情報と対話することを可能にするユーザインタフェース(例えば、GUI)を表示するように構成される。例えば、ユーザインタフェースによって、ユーザは、失血プロトコルの要素を完了したことの表示を提供でき、患者、手順、病院などに関する情報を提供でき、流体含有基質の画像を操作でき(例えば、ズーム、トリミング、回転など)、又はそれらの任意の適切な組み合わせを行うことができる。別の例として、ユーザインタフェースにより、ユーザは、1つ以上の表示オプション(例えば、フォント、色、言語など)、様々なコンテンツ(例えば、患者情報、定量化されたメトリック又は他の流体関連情報、失血プロトコルの現在の患者ステージに関する情報、アラートなど)、又はそれらの任意の適切な組み合わせを選択できる。そのような例示的な実施形態では、ディスプレイ940は、ユーザ対話型であってもよく、皮膚、スタイレット、又は他のユーザ接触に応答する抵抗式又は容量式のタッチスクリーンを含み得る。他の例示的な実施形態では、ディスプレイ940は、マウス、キーボード、又は他の入力デバイスによって制御されるカーソルを介したユーザ対話型であってもよい。
【0076】
幾つかの例示的な実施形態では、これに加えて又は代えて、システム900は、情報をユーザに通信するオーディオシステムを含み得る。ディスプレイ940、オーディオシステム、又はその両方は、現在のオーディオキュー又は他の通知をユーザに提供することができ、これは、失血プロトコル又は他の医療パラメータプロトコルの要素を実行する際にユーザを支援することができる。
【0077】
図10に示されるように、ディスプレイ940は、システム900の1つ以上の構成要素と同じデバイスに組み込まれてもよい。これに加えて又は代えて、ディスプレイ940は、スタンドアロンの別個のモニタ、スクリーン、又は他の適したディスプレイを含んでもよい。
【0078】
幾つかの例示的な実施形態では、本明細書で論じられるシステムの1つ以上(例えば、システム900)は、血液などの流体を含むように構成された基質など、患者の失血量を追跡及び定量化するのに有用なアイテムを含み得る。例えば、そのようなシステムは、流体キャニスタ、外科用テキスタイルなどの外科用アイテム、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。そのようなシステムは、計量器などの物体の重量を検出又はさもなければ決定するように構成された1つ以上のアイテムを含み得る。更に、そのようなシステムは、ガイダンスが表示されるようになっているモバイルデバイスを保持するように構成されたスタンド又はマウントを含み得る。
【0079】
更に、そのようなシステムは、医療パラメータプロトコルに基づいて患者の医療を管理する際に使用するための医療パラメータなど、1つ以上の他の医療パラメータを推定するように構成された1つ以上のアイテムを含み得る。例えば、1つ以上の機器は、血圧、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、別の血液成分の濃度、心拍数、血液凝固(例えば、TEGによって特徴付けられる)、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、BMI、性別、体脂肪率、投与された静脈内輸液など、又はそれらの任意の適切な組み合わせを測定する。血圧計、体重計、パルスオキシメータ、体温計、IVセットアップに結合された流量計などのような機器を含めることができる。
【0080】
前述の説明は、説明の目的で、本主題の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、当業者であれば分かるように、本主題を実施するために特定の詳細が必要とされない。したがって、本主題の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は本主題を開示された正確な形式に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。例示的な実施形態は、本主題の原理及びその実際の適用を説明するために選択及び説明された。これらの例示的な実施形態は、それにより、当業者が本主題を利用することを可能にし、様々な改変を伴う様々な例示的な実施形態が、企図される特定の用途に適している。
【0081】
以下の列挙された説明は、本明細書で論じられる方法、機械可読媒体、及びシステム(例えば、機械、デバイス、又は他の装置)の様々な例を記載する。
【0082】
第1の例は、医療処置中にガイダンスを提供する方法を提供し、この方法は、
1つ以上のプロセッサにおいて、
患者の失血量を推定するステップと、
推定された失血量に基づいて失血プロトコルの現在の患者ステージを決定するステップと、
失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するステップと、
を含む。
【0083】
第2の例は、失血量を推定するステップが、流体含有基質を表わす画像内の色パラメータを評価するステップを含む、第1の例に係る方法を提供する。
【0084】
第3の例は、失血量を推定するステップが、画像の少なくとも一部の色パラメータをテンプレート画像と比較して、流体含有基質の少なくとも一部に関連する血液成分濃度を決定するステップを含む、第2の例に係る方法を提供する。
【0085】
第4の例は、失血量を推定するステップが、パラメトリック方程式を使用して、色パラメータに基づいて血液成分濃度を決定するステップを含む、第2の例又は第3の例に係る方法を提供する。
【0086】
第5の例は、流体含有基質が流体容器である、第2から第4の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0087】
第6の例は、流体含有基質が外科用テキスタイルである、第2から第5の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0088】
第7の例は、患者の失血量を推定するステップが、流体含有基質の重量を検出するステップを含む、第2から第6の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0089】
第8の例は、流体含有基質が外科用テキスタイルである、第7の例に係る方法を提供する。
【0090】
第9の例は、流体含有基質が流体容器である、第7の例に係る方法を提供する。
【0091】
第10の例は、失血プロトコルが出血リスクを管理するための所定のプロトコルである、第1から第9の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0092】
第11の例は、失血プロトコルが1つ以上のメモリデバイスに格納される、第1から第10の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0093】
第12の例は、失血プロトコルが1つ以上のユーザ設定に基づいてカスタマイズ可能である、第1から第11の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0094】
第13の例は、1つ以上のユーザ設定が、失血プロトコルの複数の患者ステージのそれぞれに関連する1つ以上の失血量の閾値を含む、第12の例に係る方法を提供する。
【0095】
第14の例は、現在の患者ステージを決定するステップが、患者の推定された失血量を1つ以上の失血量の閾値と比較するステップを含む、第1から第13の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0096】
第15の例は、失血プロトコルが複数の患者ステージを含み、少なくとも1つの患者ステージが失血量の下限閾値及び失血量の上限閾値に関連付けられる、第14の例に係る方法を提供する。
【0097】
第16の例は、失血プロトコルが複数の患者ステージを含み、各患者ステージが1つ以上の要素を含む、第1から第15の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0098】
第17の例は、1つ以上の要素が推奨される処置を含む、第16の例に係る方法を提供する。
【0099】
第18の例は、ユーザにガイダンスを提供するステップが、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択するステップを含む、第17の例に係る方法を提供する。
【0100】
第19の例は、ガイダンスを提供するステップが、失血プロトコルの現在の患者ステージから選択された1つ以上の要素をディスプレイに表示するステップを更に含む、第18の例に係る方法を提供する。
【0101】
第20の例は、ディスプレイがモバイルデバイス上にある、第19の例に係る方法を提供する。
【0102】
第21の例は、ユーザにガイダンスを提供するステップが更にユーザ入力に基づく、第1から第20の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0103】
第22の例は、ユーザに更新されたガイダンスを提供するステップを更に含む、第1から第21の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0104】
第23の例は、更新されたガイダンスが少なくとも1つのユーザ入力に基づく、第22の例に係る方法を提供する。
【0105】
第24の例は、失血プロトコルが複数の患者ステージを含み、各患者ステージが1つ以上の要素を含み、更新されたガイダンスを提供するステップが、少なくとも1つのユーザ入力に基づいてプロトコルの現在の患者ステージからの1つ以上の要素を選択するステップを含む、第23の例に係る方法を提供する。
【0106】
第25の例は、少なくとも1つの要素が、更新されたガイダンスを提供するために1つ以上のプロセッサによって条件付きで選択可能である、第24の例に係る方法を提供する。
【0107】
第26の例は、少なくとも1つの条件付きで選択可能な要素が、少なくとも1つのユーザ入力に基づいて条件付きで選択可能である、第25の例に係る方法を提供する。
【0108】
第27の例は、少なくとも1つのユーザ入力が、ユーザが失血プロトコルの1つ以上の要素を実行したという表示を含む、第26の例に係る方法を提供する。
【0109】
第28の例は、更新された失血量の推定に基づいて更新された患者ステージを決定するステップを更に含む、第22から第27の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0110】
第29の例は、ユーザに更新されたガイダンスを提供するステップが、更新された患者ステージに基づく、第28の例に係る方法を提供する。
【0111】
第30の例は、更新されたガイダンスを提供するステップが、少なくとも1つのユーザ入力に更に基づく、第29の例に係る方法を提供する。
【0112】
第31の実施例は、更新されたガイダンスを提供するステップが、ディスプレイ上に更新されたガイダンスを表示するステップを更に含む、第22から第30の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0113】
第32の例は、失血プロトコルの現在の患者ステージに関連する通知をディスプレイに表示するステップを更に含む、第1から第31の例のいずれかに係る方法を提供する。
【0114】
第33の例は、医療処置中にガイダンスを提供するためのシステムを提供し、このシステムは、
患者の失血量を推定し、
推定された失血量に基づいて、失血プロトコルの現在の患者ステージを決定し、
失血プロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供する、
ように構成される1つ以上のプロセッサを備える。
【0115】
第34の例は、失血プロトコルが複数の患者ステージを含み、各患者ステージが1つ以上の要素を含む、第33の例に係るシステムを提供する。
【0116】
第35の例は、ユーザにガイダンスを提供することが、失血プロトコルの現在の患者ステージから1つ以上の要素を選択することを含む、第34の例に係るシステムを提供する。
【0117】
第36の例は、1つ以上のプロセッサが、ユーザに更新されたガイダンスを提供するように更に構成される、第33から第35の例のいずれかに係るシステムを提供する。
【0118】
第37の例は、更新されたガイダンスがユーザ入力に基づく、第36の例に係るシステムを提供する。
【0119】
第38の例は、1つ以上のプロセッサが、患者の更新された失血量を推定し、更新された推定失血量に基づいて更新された患者ステージを決定するように更に構成される、第36の例又は第37の例に係るシステムを提供する。
【0120】
第39の例は、更新されたガイダンスが更新された患者ステージに基づく、第38の例に係るシステムを提供する。
【0121】
第40の例は、ユーザにガイダンスを表示するように構成されるディスプレイを更に備える、第33から第39の例のいずれかに係るシステムを提供する。
【0122】
第41の例は、医療処置中にガイダンスを提供する方法を提供し、この方法は、
1つ以上のプロセッサにおいて、
患者の医療パラメータを推定するステップと、
推定された医療パラメータに基づいて、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定するステップと、
医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージに基づいてユーザにガイダンスを提供するステップと、
を含む。
【0123】
第42の例は、医療パラメータが、失血量、血圧、ヘマトクリット、血液成分濃度、心拍数、血液凝固、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、体重指数、性別、体脂肪率、及び投与された静脈内輸液からなる群から選択される少なくとも1つの医療パラメータである、第41の例に係る方法を提供する。
【0124】
第43の例は、医療処置中にガイダンスを提供するためのシステムを提供し、このシステムは、
患者の医療パラメータを推定し、
推定された医療パラメータに基づいて、医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージを決定し、
医療パラメータプロトコルの現在の患者ステージに基づいて、ユーザにガイダンスを提供する、
ように構成される1つ以上のプロセッサを備える。
【0125】
第44の例は、医療パラメータが、失血量、血圧、ヘマトクリット、血液成分濃度、心拍数、血液凝固、体温、酸素飽和度、身長、体重、年齢、体重指数、性別、体脂肪率、及び投与された静脈内輸液からなる群から選択される少なくとも1つの医療パラメータである、第43の例に係るシステムを提供する。
【0126】
第45の例は、前述の例のいずれか1つで実行される工程(例えば、方法工程)を実行するように機械を制御するための機械可読命令を担持するキャリア媒体を提供する。
【0127】
第46の例は、機械の1つ以上のプロセッサによって実行されるときに前述の例のいずれか1つによって定められる工程(例えば、方法工程)を機械に実行させる命令を含む機械可読媒体(例えば、非一時的な機械可読記憶媒体)を提供する。