(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド塩酸塩
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20240905BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20240905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240905BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240905BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240905BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/5377
C07D239/42
A61P43/00 111
A61P7/00
A61P19/08
A61P35/02
A61P43/00 105
A61K9/20
A61K47/14
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/12
(21)【出願番号】P 2022202374
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2021079700の分割
【原出願日】2015-06-11
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2014-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591002957
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン エイチ. ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト エー. カーラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エヌ. ヘメンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー モリソン
(72)【発明者】
【氏名】トロイ レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ビン シ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリオス ステファニディス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ワン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ロバート ワー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ アンドリュー ホイットニー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シン
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 45/00-45/08
A61P 1/00-43/00
C07D 239/42
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル-ベンズアミドまたは薬学的に許容されるその塩、ならびに
(a)~(e):
(a)少なくとも1つの希釈剤;
(b)少なくとも1つの崩壊剤;
(c)少なくとも1つの流動促進剤;
(d)少なくとも1つの滑沢剤;および
(e)少なくとも1つの酸化防止剤のうちの1つまたは複数
を含む、医薬製剤
であって、
前記医薬製剤が前記酸化防止剤として没食子酸プロピルを含む、医薬製剤。
【請求項2】
40.65w/w%のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル-ベンズアミドまたは薬学的に許容されるその塩;
0.20%w/w没食子酸プロピル;
34.23%w/w微結晶性セルロース;
16.92%w/wラクトース;
6.00%w/wデンプングリコール酸ナトリウム;
0.50%w/wコロイド状二酸化ケイ素;および
1.50%w/wステアリン酸マグネシウム
を含み、
ここで、前記医薬製剤が、フィルムコートした錠剤の形態である、
請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
40.65w/w%のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル-ベンズアミドまたは薬学的に許容されるその塩;
0.20%w/w没食子酸プロピル;
34.23%w/w微結晶性セルロース;
16.92%w/wラクトース;
6.00%w/wデンプングリコール酸ナトリウム;
0.50%w/wコロイド状二酸化ケイ素;および
1.50%w/wステアリン酸マグネシウム
からなる、
請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
ヤヌスキナーゼ(JAK)に関連する疾患の処置における使用のための請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬
製剤であって、ここで、前記疾患が、真性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、全身性肥満細胞症(SM)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄異形成症候群(MDS)および全身性肥満細胞疾患(SMCD)から選択される骨髄増殖性疾患である、医薬
製剤。
【請求項5】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの結晶形態の結晶を調製する方法であって、ここで、前記結晶形態が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIであって、
(a)T=100Kにおいて、a=10.2837(6)Å、b=10.4981(6)Å、c=11.5143(7)Å、α=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°の単位格子パラメータ、および三斜晶P-1空間群を有する結晶;または
(b)以下の
図5
【化1】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;または
(c)7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられ、
前記方法は、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩のメタノール性懸濁液を水性の塩酸と接触させて前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを形成することを含む、方法。
【請求項6】
前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩無水形態Iであって、
(a)以下の
図1
【化2】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;または
(b)10.1°、13.3°、14.9°、25.3°、および27.0°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられる、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触させることが、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩のメタノール性懸濁液を前記水性の塩酸と組み合わせて混合物を形成し、その後、前記混合物を撹拌することを含む、
請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物が濾過され、その後、メタノールおよび/または水性の塩酸で洗浄されて前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを形成する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
塩化水素のモル量が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩のモル量よりも大きい、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの結晶形態の結晶を調製する方法であって、ここで、前記結晶形態が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIであって、
(a)T=100Kにおいて、a=10.2837(6)Å、b=10.4981(6)Å、c=11.5143(7)Å、α=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°の単位格子パラメータ、および三斜晶P-1空間群を有する結晶;または
(b)以下の
図5
【化3】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;または
(c)7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられ、
前記方法は、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドのメタノール性懸濁液を少なくとも30重量%の濃度を有する水性の塩酸と接触させて懸濁液を形成すること;
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを前記懸濁液に添加すること;
水を前記懸濁液に添加して、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを形成すること
を含む、方法。
【請求項11】
前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドが非晶質である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触することが、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドのメタノール性懸濁液を前記水性の塩酸と組み合わせて混合物を形成し、その後、前記混合物を撹拌することを含む、
請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
水を前記懸濁液に添加した後に、前記懸濁液が濾過され、その後、メタノールおよび/または水性の塩酸で洗浄されて前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを形成する、
請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記塩化水素のモル量が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩のモル量よりも大きい、
請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの結晶形態の結晶を調製する方法であって、ここで、前記結晶形態が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iであって、
(a)以下の
図7
【化4】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;および/または
(b)13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)
によって特徴付けられ;
前記方法は、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドのメタノール性懸濁液を、少なくとも30重量%の濃度を有する水性の塩酸と接触させてN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iを形成することを含む、方法。
【請求項16】
前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドが非晶質である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触させることが、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドのメタノール性懸濁液を前記水性の塩酸と組み合わせて混合物を形成し、その後、前記混合物を撹拌して第2の懸濁液を形成することを含む、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の懸濁液が濾過され、その後、メタノールで洗浄されて、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iを形成する、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記塩化水素のモル量が、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩のモル量と等しい、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの結晶形態の結晶を調製する方法であって、ここで、前記結晶形態が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIであって、
(a)以下の
図8
【化5】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;および/または
(b)12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられ;
前記方法は、
(a)以下の
図7
【化6】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;および/または
(b)13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)
によって特徴付けられるN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iを、水およびテトラヒドロフランと組み合わせて、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIを提供することを含む、方法。
【請求項21】
前記組み合わせることが、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iを前記水およびテトラヒドロフランと撹拌して懸濁液を形成することを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記懸濁液が濾過され、水および/またはテトラヒドロフランで洗浄して、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIを提供する、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの結晶形態の結晶を調製する方法であって、ここで、前記結晶形態が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIであって、
(a)以下の
図8
【化7】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;および/または
(b)12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン
によって特徴付けられ;
前記方法は、
(a)T=100Kにおいて、a=10.2837(6)Å、b=10.4981(6)Å、c=11.5143(7)Å、α=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°の単位格子パラメータ、および三斜晶P-1空間群を有する結晶;
(b)以下の
図5
【化8】
に示される粉末X線回折(XRPD)パターン;および/または
(c)7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2θ±0.2°2θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターン、
によって特徴付けられるN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを、メタノールおよび水と組み合わせて、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIを提供することを含む、方法。
【請求項24】
メタノール対水の比が7:3である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組み合わせることが、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIを前記メタノールおよび水と撹拌して懸濁液を形成することを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記懸濁液が濾過され、水および/またはメタノールで洗浄して、前記N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIを提供する、
請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、その医薬製剤の調製に適切である、安定した新規の塩形態のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド、およびこれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ヤヌスキナーゼ(JAK)に対する阻害が、過剰増殖性疾患の処置において評価されてきた。いくつかのJAK阻害剤が開発されてきた:ルキソリチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ、レストールチニブ、パクリチニブ、フェドラチニブ、XL019、SB1518およびAZD1480が開発されている(Sonbol, Ther. Adv. Hematol.、4巻:15~35頁、2013年)。化合物N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)はJAKキナーゼ阻害剤である。
【0003】
臨床研究において、CYT-0387は、過剰増殖性疾患、例えば真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、および原発性骨髄線維症(PMF)を処置するのに有効である。また、CYT-0387を投与した骨髄線維症を有する患者は、貧血および/または脾臓応答における改善を呈した(それぞれがその全体において参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,486,941号および米国特許出願公開第2014-0073643号を参照されたい)。
【0004】
CYT-0387を含有する医薬製剤の調製に適切である化合物の様々な形態およびこれらの治療的使用を有することが所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,486,941号明細書
【文献】米国特許出願公開第20140073643号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Sonbol, Ther. Adv. Hematol.、4巻:15~35頁、2013年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単な要旨
本発明は、新規のCYT-0387形態を対象とする。
一態様では、本発明は、CYT-0387一塩酸塩無水形態I:
【化1】
を対象とし、これは、約13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2-θ±0.2°2-θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する。
【0008】
別の態様では、本発明は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II:
【化2】
を対象とし、これは、約7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2-θ±0.2°2-θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する。
【0009】
別の態様では、本発明は、CYT-0387一塩酸塩無水形態III(形態III):
【化3】
を対象とし、これは、約12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2-θ±0.2°2-θにピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する。
【0010】
本発明は、医薬組成物を含めた組成物、化合物を含むキット、ならびに医薬組成物を使用および作製する方法もまた提供する。本明細書に提供されている医薬組成物は、JAKにより媒介される疾患、障害、または状態を処置するのに有用である。ある特定の実施形態では、JAKにより媒介される疾患、障害、または状態は骨髄増殖性およびがんである。
【0011】
一実施形態では、本出願は、特に錠剤としての剤形でCYT-0387形態IIIを含む剤形、より具体的には、30~250mgの間のCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387形態IIIを含む剤形を対象とする。一実施形態では、剤形は、1
00~200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387形態IIを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、本出願は、300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩無水形態Iを含む剤形または医薬組成物と実質的に類似の薬物動態プロファイルを提供する、200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387形態IIIを含む剤形または医薬組成物を対象とする。
【0013】
一部の実施形態では、本出願は、錠剤としての、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約100mg~約300mgの間のCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、錠剤としての、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、または約300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、錠剤としての、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約100mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、錠剤としての、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、錠剤として、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約250mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、錠剤としての、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とし、この剤形は、約300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。追加的実施形態では、本出願は、300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形または医薬組成物と実質的に類似の薬物動態プロファイルを提供する、200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形または医薬組成物を対象とする。
【0014】
式(I)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、異性体、または混合物を含むキットもまた提供される。キットは、それを必要とするヒトにおいて、疾患、障害、または状態の処置に化合物を使用するためのラベルおよび/または指示書をさらに含み得る。
【0015】
式(I)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、異性体、または混合物、および容器を含む製品もまた提供される。一実施形態では、容器は、バイアル、瓶、アンプル、予め充填されたシリンジ、または静注用バッグであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩無水形態IのXRPD。
【
図2】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩無水形態IのDSC。
【
図3】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩無水形態IのTGA。
【
図4】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩無水形態IのDVS。
【
図5】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのXRPDパターン。
【
図6】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのXRPDパターン。
【
図7】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのXRPDパターン。
【
図8】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのDSC。
【
図9】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのDSC。
【
図10】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのDSC。
【
図11】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのTGA。
【
図12】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのTGA。
【
図13】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのTGA。
【
図14】N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIに対するDVS。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下の説明は、例示的な組成物および方法、パラメータ等を記載する。しかし、このような説明は、本開示の範囲に対する限定であることを企図されず、その代わり例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0018】
以下の構造を有する米国特許第8,486,941号で開示されているJAK阻害剤CYT-0387すなわち、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド:
【化4】
【0019】
CYT-0387二塩酸塩無水形態は、PCT出願WO2012/071612に開示されている。CYT-0387二塩酸塩無水物は、以下の構造を有する:
【化5】
【0020】
CYT-0387二塩酸塩無水形態I(形態IV)のXRPD、示差走査熱量測定(D
SC)、熱重量分析(TGA)、および動的蒸気吸着(DVS)が
図1、2、3、および4にそれぞれ示されている。
【0021】
本出願は、CYT-387の他の新規の形態、すなわち一塩酸塩無水形態I(形態I)、二塩酸塩一水和物形態II(形態II)、および一塩酸塩無水形態III(形態III)を提供する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「形態I」または「CYT-0387形態I」という用語は、CYT-0387一塩酸塩無水形態Iを指すために使用され、「形態II」または「CYT-0387形態II」という用語は、CYT-0387二塩酸塩水和物、CYT-0387二塩酸塩一水和物、またはCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを指すために使用され、「形態III」または「CYT-0387形態III」という用語は、CYT-0387一塩酸塩無水形態IIIを指すために使用され、「形態IV」または「CYT-0387形態IV」という用語は、CYT-0387二塩酸塩無水形態Iを指すために使用される。
【0023】
一実施形態では、形態IまたはCYT-0387形態Iは、
図6に示されているXRPD、
図9のDSC、または
図12のTGAによって特徴付けられる。一実施形態では、形態IまたはCYT-0387形態Iは、約13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2-θ±0.2°2-θにピークを有するXRPDパターンを有する。
【0024】
一部の実施形態では、形態IIまたはCYT-0387形態IIは、
図5に示されているXRPD、
図8のDSC、
図11のTGA、または
図14のDVSによって特徴付けられる。一実施形態では、形態IIまたはCYT-0387形態IIは、約7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2-θ±0.2°2-θにピークを有するXRPDパターンを有する。
【0025】
他の実施形態では、形態IIIまたはCYT-0387形態IIIは、
図7に示されているXRPD、
図10のDSC、または
図13のTGAによって特徴付けられる。一実施形態では、形態IIIまたはCYT-0387形態IIIは、約12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2-θ±0.2°2-θにピークを有するXRPDパターンを有する。
【0026】
ある特定の実施形態では、形態IVまたはCYT-0387形態IVは、
図1に示されているXRPD、
図2のDSC、または
図3のTGAによって特徴付けられる。一実施形態では、形態IVまたはCYT-0387形態IVは、約5.5°、10.1°、14.9°、25.1°、および26.6°2-θ±0.2°2-θにピークを有するXRPDパターンを有する。
【0027】
本出願の結果から、CYT-0387二塩酸塩一水和物(形態II)は、ある特定の条件においてCYT-387の他の塩または形態よりも高い安定性を有することが判明した。本明細書に記載されている結果から、CYT-387形態IIが、このようなCYT-387形態IIの特性により、様々な合成または方法を開発するまたはこれらを取り入れるのにより適切であることも判明した。一実施形態では、CYT-387形態IIは、錠剤フォーマットでの医薬組成物における使用に適切である。また、本明細書に記載の実験は、カプセル製剤のバイオアベイラビリティー特性と類似のバイオアベイラビリティー特性を呈する錠剤の製剤を示した。ある特定の実施形態では、200mgの遊離塩基のCYT-0387に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む錠剤は、300mgの遊離塩基のCYT-0387に相当する量でCYT-0387二塩酸塩無水
形態Iを含むカプセル剤と類似のバイオアベイラビリティーを提供する。
【0028】
本出願の結果は、CYT-0387二塩酸塩無水形態Iは吸湿性であり、水分に曝露された場合物理的に不安定であることを示している。また、以下に記載の結果は、製造および/または貯蔵に適切な条件下で、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIが二塩酸塩の熱力学的に安定した形態であることを示している。加えて、本出願は、没食子酸プロピル(フリーラジカルスカベンジャー酸化剤)の使用が水溶液中および錠剤製剤中でのCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIの酸化的分解を阻害または防止するのに有効であることを記載している。さらに、結果は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIが、CYT-0387二塩酸塩無水形態IおよびCYT-0387遊離塩基と比較してより高いバイオアベイラビリティーを呈することを示唆している。
【0029】
またさらなる実施形態では、本発明はまた、非晶質のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩一水和物を提供する。追加の実施形態では、本発明はまた、非晶質のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)一塩酸塩無水物および非晶質のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)一塩酸塩無水物を提供する。別の実施形態では、本発明はまた、非晶質のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩および非晶質のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)一塩酸塩を提供する。
【0030】
特定の実施形態では、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩一水和物形態IIは結晶形態である。
【0031】
さらなる実施形態では、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)一塩酸塩無水形態Iは結晶形態である。
【0032】
ある特定の実施形態では、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)一塩酸塩無水形態IIIは結晶形態である。
【0033】
一実施形態では、結晶形態は、粉末X線回折パターン(XRPD)で決定される格子間面間隔によって特徴付けられる。XRPDの回折図は通常、ピーク強度対ピーク位置、すなわち、回折角度2θ(2シータ)(度)をプロットした図で表される。強度は、多くの場合、以下の略語を用いて丸括弧に付与される:非常に強い=vst;強い=st;中間=m;弱い=w;および非常に弱い=vw。所与のXRPDの特性ピークを、ピーク位置およびこれらの相対強度に従い選択することによって、この結晶構造をその他のものと好都合に区別することができる。
【0034】
当業者であれば、同じ化合物の所与の結晶形態のXRPDピーク位置および/または強度の測定は、許容誤差内で変動することを認識している。度2θの値は、適当な許容誤差を許容する。通常、許容誤差は、「±」で表される。例えば、約「8.7±0.3」の度2θは、約8.7+0.3、すなわち、約9.0から約8.7-0.3、すなわち、約8.4までの範囲を表す。試料の調製技術、装置に適用される較正技術、ヒトによる操作の変動等に応じて、当業者であれば、XRPDについての適当な許容誤差は、±0.5;±
0.4;±0.3;±0.2;±0.1;±0.05;またはそれ未満であり得ることを認識している。本発明のある特定の実施形態では、XRPDの許容誤差は±0.2である。
【0035】
XRPD分析に対して使用される方法および装置の追加の詳細は、実施例のセクションに記載されている。
【0036】
CYT-0387二塩酸塩無水形態I、CYT-0387、二塩酸塩一水和物形態II、CYT-0387一塩酸塩無水形態IおよびCYT-0387一塩酸塩無水形態IIIについてのXRPDピークは、以下の表1に見出すことができる。
【表1】
【0037】
本明細書で使用される場合、以下の単語、句および記号は、一般に、それらが使用される文脈によって別段に示される場合を除き、以下に示されている意味を有することを企図する。
【0038】
本明細書の「約」が付された値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。ある特定の実施形態では、用語「約」は、示された量±10%を含む。他の実施形態では、用語「約」は、示された量±5%を含む。ある特定の他の実施形態では、用語「約」は、示された量±1%を含む。また、単数形「1つの(a)」および「その(the)」は、文脈で明確に指示されていない限り複数への言及を含む。したがって、例えば、「その化合物」への言及は、複数のこのような化合物を含み、「そのアッセイ」への言及は、1つまたは複数のアッセイおよび当業者に公知のその同等物への言及を含む。
【0039】
「薬学的に許容される」または「生理学的に許容される」とは、獣医学的またはヒト薬学的使用に適切である医薬組成物の調製に有用な化合物、塩、組成物、剤形および他の材料を指す。
【0040】
「薬学的に許容される塩」または「生理学的に許容される塩」とは、基礎となる化合物の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にもその他の点でも有害ではない、薬学的化合物の塩を指す。酸付加塩および塩基付加塩がある。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。薬学的に許容される塩(それぞれ、酸付加塩または塩基付加塩)を形成するための、基礎となる化合物との反応に有用な酸および塩基は当業者に公知である。同様に、基礎となる化合物から薬学的に許容される塩を調製する方法(開示により)は当業者に公知であり、例えば、Bergeら、Journal of Phar
maceutical Science、1977年1月、66巻、1号、および他の出典において開示さ
れている。本明細書に記載の化合物が酸付加塩として得られる場合、その遊離塩基は、この酸塩の溶液を塩基性化することによって得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための慣習的手順に従って、この遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、その溶液を酸で処理することによって生成することができる。「処理」または「処理する」は、臨床結果を含めた有益なまたは所望の結果を得るための手法である。有益なまたは所望の臨床結果は、以下の1つまたは複数を含むことができる:a)疾患または状態の阻害(例えば、疾患もしくは状態から生じる1つもしくは複数の症状の低減、および/または疾患もしくは状態の程度の縮小);b)疾患または状態に関連する1つまたは複数の臨床症候の発症の緩徐または抑止(例えば、疾患もしくは状態の安定化、疾患もしくは状態の悪化もしくは進行の防止もしくは遅延、および/または疾患もしくは状態の拡大(例えば、転移)の防止もしくは遅延);ならびに/あるいはc)疾患の軽減、すなわち、臨床症候の退行を引き起こすこと(例えば、病状の緩和、疾患もしくは状態の部分的もしくは完全な寛解の提供、別の医薬品の効果の促進、疾患の進行の遅延、生活の質の向上、および/または延命)。
【0041】
炭素原子に付着している1~n個の水素原子が(nは、分子中の水素原子の数である)、重水素原子またはDで置き換えられ得る化合物が本明細書に記載されている。重水素原子は水素原子の非放射性同位体であることは公知である。このような化合物は、代謝に対する耐性を増大することができ、したがって、哺乳動物に投与されると、本明細書に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の半減期を増大するのに有用となり得る。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol. Sci.、5巻(12号):524~527頁(1984年)を参照。このような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば1つまたは複数の水素原子が重水素によって置き換えられた出発材料を用いることによって合成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II、CYT-0387一塩酸塩無水形態I、CYT-0387一塩酸塩無水形態III、CYT-0387二塩酸塩無水形態IV、化合物3、化合物4、化合物8、化合物10、化合物12、および化合物13である。
【0042】
「防止」または「防止する」は、疾患または状態の臨床症候を発症させない、疾患または状態の任意の処置を意味する。化合物は、一部の実施形態では、疾患または状態の危険にあるまたは家族歴がある対象(ヒトを含む)に投与することができる。
【0043】
用語「対象」または「患者」は、処置、観察または実験の目的になっている、または目的になる予定の、哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に記載される方法は、ヒトの治療および/または獣医学的適用に有用となり得る。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一実施形態では、対象はヒトである。「それを必要とするヒト」とは、ある特定の処置が有効である疾患または状態を有し得る、または有することが疑われる、例えば、本出願による化合物により処置されているヒトを指す。用語「それを必要とする対象」または「それを必要とする患者」は、本明細書に記載の処置が有効である疾患、または障害、または状態を有し得る、そうであると診断されている、または有することが疑われる対象または患者を指す。ある特定の実施形態では、(i)いずれの処置も受けたことがない(すなわち未処置)、(ii)以前の処置を受けたが、応答しない、または改善を示さなかった、あるいは(iii)以前の処置に対して、再発を起こしている、または耐性がある(すなわち不応性)対象または患者である。例えば、患者は、白金ベースの化学療法またはゲムシタビンを含有する処置を受けたことがあり得る。追加の例として、白金ベースの化学療法またはゲムシタビンを含有する処置に対して、再発を起こし得るまたは不応性であり得る患者が挙げられる。
【0044】
本出願の化合物のまたは薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の「治療有効量」という用語は、対象に投与して処置を行って、症状の緩和または疾患の進行の緩徐などの治療上の利益をもたらすのに十分な量を意味する。治療有効量は、対象、および処置されている疾患または状態、対象の体重および年齢、疾患または状態の重症度、ならびに投与方式に応じて変わり得るが、当業者によって容易に決定され得る。一実施形態では、本明細書中に記載されている化合物の治療有効量は、100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgである。
【0045】
用語「阻害」は、生物活性またはプロセスのベースライン活性の低下を示す。
【0046】
医薬組成物および投与
本明細書に提供されている化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。したがって、本明細書では、本明細書で開示されている式のいずれかの化合物または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の1つまたは複数、ならびに担体、アジュバントおよび賦形剤から選択される1つまたは複数の薬学的に許容されるビヒクルを含有する医薬組成物も提供される。適切な薬学的に許容されるビヒクルとして、例えば、不活性な固体希釈剤および充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含めた希釈剤、透過促進剤、可溶化剤およびアジュバントを挙げることができる。このような組成物は、薬学分野で周知の方式で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、Pa.、17版(1985年);およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker, Inc.3版(G.S. Banker & C.T. Rhodes編)を
参照。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」は、溶媒と化合物の相互作用によって形成される。本明細書に記載される式のいずれかの化合物の塩の溶媒和物もまた提供される。これらの式のいずれかの化合物の水和物もまた提供される。また、「プロドラッグ」とは、ヒト身体への投与により、何らかの化学的または酵素的経路に従い生物活性のある親薬物に変換される薬物の生物活性のない誘導体として医薬品分野において定義されている。
【0047】
医薬組成物は、単回または複数回用量のいずれかで投与することができる。医薬組成物は、例えば、直腸、頬側口腔、鼻腔内および経皮的経路を含む様々な方法により投与することができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口的、筋肉内、皮下、経口的、局所的、または吸入剤として投与することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は経口的に投与される。
【0048】
1つの投与様式は、例えば注射によって非経口で行われる。注射による投与のために本明細書に記載の医薬組成物を組み込むことができる形態として、例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはピーナッツ油、およびエリキシル、マンニトール、ブドウ糖、または滅菌水溶液、および類似の医薬品用ビヒクルを用いる、水性または油性の懸濁液、または乳濁液が挙げられる。
【0049】
経口投与は、本明細書に記載の化合物を投与するための別の経路であり得る。投与は、例えば、カプセルまたは腸溶コーティング錠剤によって行うことができる。本明細書に記載の式のいずれかの少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物を含む医薬組成物を作製する場合、活性成分は、通常、賦形剤によって希釈され、かつ/またはカプセル、サッシェ、紙または他の容器の形態であり得るような担体に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合、賦形剤は、活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する、固体、半固体、または液体の材料の形態であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サッシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、乳濁液、溶液、シロップ剤、エアロゾル剤(固体としてまたは液体媒体
中で)、例えば、最大10重量%の活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、注射可能な滅菌溶液剤、およびパッケージされた滅菌散剤の形態であり得る。
【0050】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主な活性成分を、医薬用の賦形剤と混合して、上記式のいずれかの化合物または薬学的に許容されるその塩、プロドラッグもしくは溶媒和物の均質な混合物を含有する固体の予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質なものとして言及する場合、活性成分は、組成物中に均一に分散することができ、したがって組成物は、錠剤、丸剤およびカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に、容易に分割することができる。
【0051】
本明細書に記載される化合物の錠剤または丸剤は、長時間作用の利点を付与する剤形を提供し、または胃の酸性条件から保護するためにコーティングすることができ、またはその他の方法で配合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部の投与構成成分および外部の投与構成成分を含むことができ、外部の投与構成成分は、内部の投与構成成分の上に外被の形態で存在する。これらの2つの構成成分は、胃内での崩壊に耐え、内部の構成成分を無傷で十二指腸へと通過させ、または放出を遅延させるように働く腸溶層によって分離され得る。このような腸溶層またはコーティングのために、様々な材料を使用することができ、このような材料は、いくつかのポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料の混合物を含む。
【0052】
任意の特定の対象に合った本明細書に記載の式の化合物の具体的な用量レベルは、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、および排出速度、薬物の組合せ、ならびに治療を受けている対象の特定の疾患の重症度を含めた様々な因子に応じて決まる。例えば、投与量は、対象の体重1キログラム当たりの式の化合物のミリグラム数(mg/kg)と表すことができる。約0.01~200mg/kgの投与量が適している場合がある。一部の実施形態では、約0.01~150mg/kgが適している場合がある。他の実施形態では、0.05~100mg/kgの投与量が適している場合がある。子供および成人の両方に薬物を使用する場合、またはイヌなどの非ヒト対象における有効な投与量をヒト対象に適した投与量に変換する場合など、サイズが広く異なる対象の間で投与量を調整する場合には、対象の体重に従って正規化することが特に有用である。
【0053】
本出願の化合物またはその組成物は、前述のいずれかの適切な様式を使用して、1日1回、2回、3回、または4回投与することができる。また、本明細書に記載の式のいずれかによる化合物を用いた投与または処置は、数日間継続することができ、例えば一般に、処置は、1サイクルの処置で少なくとも7日、14日、または28日間継続され得る。処置サイクルは、一般に公知であり、サイクル間で約1~28日、一般に約7日または約14日の休薬期間が交互に頻繁に設けられる。処置サイクルは、他の実施形態では、連続的であってもよい。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書で開示されているその形態または組成物は、薬学的に許容される担体を使用して経口投与用に製剤化される。経口投与用に製剤化される医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、糖衣錠、ロゼンジ剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、エリキシル剤、懸濁液、または散剤の形態であり得る。
【0055】
薬学的に許容される担体
用語「担体」は、化合物と共に投与される希釈剤または充填剤、崩壊剤、沈降防止剤、界面活性剤、流動促進剤、結合剤、滑沢剤、酸化防止剤、ならびに他の賦形剤およびビヒクルを指す。担体は一般に本明細書、またE.W. Martinによる「Remington's Pharmaceu
tical Sciences」に記載されている。担体の例として、限定されないが、モノステアリ
ン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、イソステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシオクタコサニルヒドロキシステアレート、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、ポビドン、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、シリコーン、シリコーン接着剤4102、およびシリコーン乳濁液が挙げられる。しかし、本発明の開示に提供されている医薬組成物のために選択される担体、および組成物中のこのような担体の量は、製剤化の方法(例えば、乾式造粒製剤化、固体分散液製剤化)に応じて変わり得ることを理解されたい。
【0056】
用語「希釈剤」または「充填剤」は、一般に、送達前に目的の化合物を希釈するために使用される物質を指す。希釈剤はまた、化合物を安定化させる役目を果たすこともできる。希釈剤の例として、デンプン、糖類、二糖、スクロース、ラクトース、多糖、セルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、微結晶性セルロース、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、リン酸二カルシウム、セルロース、圧縮糖、第二リン酸カルシウム脱水物、マンニトール、微結晶性セルロース、および三塩基性リン酸カルシウムを挙げることができる。
【0057】
用語「崩壊剤」は、一般に、固体調製物への添加により、投与後にその分解または崩壊を促進させ、活性成分をできるだけ効率的に放出させて、その急速な溶解を可能にする物質を指す。崩壊剤の例として、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、微結晶性セルロース、加工トウモロコシデンプン、カルボキシメチルナトリウムデンプン、ポビドン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸を挙げることができる。
【0058】
用語「沈降防止剤」は、一般に、活性剤の沈殿を防止または阻害する物質を指す。沈降防止剤の1つの例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0059】
用語「界面活性剤」は、一般に、2つの液体の間または液体と固体の間の表面張力を低下させる化合物を指す。界面活性剤の例として、ポロキサマーおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0060】
用語「流動促進剤」は、一般に、錠剤およびカプセル剤製剤に使用することによって、錠剤圧縮中の流動特性を改善し、抗固化効果をもたらす物質を指す。流動促進剤の例として、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ヒュームドシリカ、デンプン、デンプン誘導体、およびベントナイトを挙げることができる。
【0061】
用語「結合剤」は、一般に、活性のある構成成分および担体の不活性な構成成分を一緒に結合して、粘着性および離散した部分を一緒に維持するために使用することができる任意の薬学的に許容される膜を指す。結合剤の例として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、コポビドン、エチルセルロース、ゼラチン、およびポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0062】
用語「滑沢剤」は、一般に、粉末ブレンドに添加することによって、錠剤化または封入プロセスの間に、圧縮された粉末の塊が、装置に固着することを防止する物質を指す。滑
沢剤は、ダイからの錠剤の放出を補助することができ、粉末の流れを改善することができる。滑沢剤の例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、脂肪、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、またはタルク、ならびにラウリン酸、オレイン酸、およびC8/C10脂肪酸を含む脂肪酸などの可溶化剤を挙げることができる。
【0063】
用語「酸化防止剤」は、一般に、他の物質の酸化を阻害する物質を指す。本発明のある特定の実施形態では、酸化防止剤を医薬組成物に添加する。酸化防止剤の例として、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、チオグリセロール、チオグリコール酸、トコフェロール(ビタミンE)、D-αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGS)および没食子酸プロピルを挙げることができる。ある特定の実施形態では、酸化防止剤は没食子酸プロピルである。一実施形態では、医薬組成物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II、ならびにブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、および没食子酸プロピルからなる群から選択される酸化防止剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIおよび酸化防止剤を含み、この酸化防止剤は没食子酸プロピルである。
【0064】
抗-酸化剤または酸化防止剤は、活性成分(例えば、CYT-0387形態II)の分解を防止、阻害、および/または減少させるのに十分な量で存在し得る。例として、酸化防止剤は、約0.001%、約0.002%、約0.005%、約0.01%、約0.02%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%の量で存在し得る。一実施形態では、医薬組成物は、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約0.2%、約0.5%、または約1%の量で没食子酸プロピルを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIおよび約0.2%の没食子酸プロピルを含む。
【0065】
ある特定の態様では、少なくとも1つの活性剤(例えば、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む)、および(a)~(e):a)少なくとも1つの希釈剤;b)少なくとも1つの崩壊剤;c)少なくとも1つの流動促進剤;d)少なくとも1つの滑沢剤;およびe)少なくとも1つの酸化防止剤のうちの1つまたは複数を含む医薬組成物が提供される。
【0066】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種のまたは少なくとも2種の希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1種または2種の希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、希釈剤は、マンニトール、微結晶性セルロース、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、ludiflash、F-melt、advantose、GalenIQ、またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される。一実施形態では、希釈剤は、マンニトール、微結晶性セルロース、またはこれらの混合物である。
【0067】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の崩壊剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、1種の崩壊剤を含む。特定の実施形態では、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。一実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。別の実施形態では、崩壊剤はクロスポビドンである。
【0068】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の流動促進剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は1種の流動促進剤を含む。一実施形態では、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0069】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の滑沢剤を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は1種の滑沢剤を含む。一実施形態では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウム(stereate)である。
【0070】
特定の実施形態では、医薬組成物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II、少なくとも1種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の流動促進剤、少なくとも1種の滑沢剤、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む。さらなる実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は微結晶性セルロースであり、少なくとも1種の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムであり、少なくとも1種の流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素であり、少なくとも1種の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムであり、少なくとも1種の酸化防止剤は没食子酸プロピルである。またさらなる実施形態では、少なくとも1種の希釈剤はラクトースであり、少なくとも1種の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムであり、少なくとも1種の流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素であり、少なくとも1種の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムであり、少なくとも1種の酸化防止剤は没食子酸プロピルである。
【0071】
他の実施形態では、医薬組成物は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II、少なくとも2種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の流動促進剤、少なくとも1種の滑沢剤、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む。さらに他の実施形態では、少なくとも2種の希釈剤は微結晶性セルロースおよびラクトースであり、少なくとも1種の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムであり、少なくとも1種の流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素であり、少なくとも1種の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムであり、少なくとも1種の酸化防止剤は没食子酸プロピルである。
【0072】
ある特定の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約80%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。さらなる実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約85%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。またさらなる実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約90%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。またさらなる実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約95%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。特定の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約97%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。他の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約98%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。さらなる他の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約99%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。さらに他の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約99.5%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。特定の実施形態では、医薬組成物はCYT-0387を含み、このうち少なくとも約99.9%はCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIである。
【0073】
医薬組成物は、あたかも、薬学的に許容される担体のありとあらゆる組合せが、具体的におよび個々に列挙されているかのように、本明細書で詳述された薬学的に許容される担体を含むことを理解されたい。
【0074】
単位剤形
一部の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、単位剤形で製剤化される。用語「単位剤形」は、対象(例えば、ヒト対象および他の哺乳動物)に対する単位投与量として適切な物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位は、適切な薬学的担体と一緒に、所
望の治療効果をもたらすように計算された既定量の活性材料を含有する。
【0075】
さらなる実施形態では、本発明は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む単位剤形を対象とする。一部の実施形態では、単位剤形は、約10mg~約1000mg、約10mg~約800mg、約10mg~約700mg約10mg~約500mg、約10mg~約400mg、約10mg~約300mg、約10mg~約250mg、約10mg~約200mg、約10mg~約150mg、約10mg~約100mg、約10mg~約50mg、約50mg~約1000mg、約50mg~約800mg、約50mg~約700mg約50mg~約500mg、約50mg~約400mg、約50mg~約300mg、約50mg~約250mg、約50mg~約200mg、約50mg~約150mg、約50mg~約100mg、約100mg~約1000mg、約100mg~約800mg、約100mg~約700mg約100mg~約500mg、約100mg~約400mg、約100mg~約300mg、約100mg~約250mg、約100mg~約200mg、約150mg~約300mg、約150mg~約250mg、約150mg~約200mg、約200mg~約300mg、約200mg~約250mg、または約200mg~約300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。
【0076】
追加的実施形態では、剤形は、約100mgのCYT-0387遊離塩基、約150mgのCYT-0387遊離塩基、200mgのCYT-0387遊離塩基、約250mgのCYT-0387遊離塩基、300mgのCYT-0387遊離塩基、約400mgのCYT-0387遊離塩基、または約500mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。ある特定の実施形態では、単位剤形は、約50mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。他の実施形態では、単位剤形は、約100mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。さらに他の実施形態では、単位剤形は、約150mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。さらなる他の実施形態では、剤形は、約200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。特定の実施形態では、剤形は、約250mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。さらなる実施形態では、剤形は、約300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。またさらなる実施形態では、剤形は、約400mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。またさらなる実施形態では、剤形は、約500mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形での錠剤である。
【0077】
さらなる実施形態では、本発明は、300mgの遊離塩基N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドに相当する量でCYT-0387二塩酸塩無水形態Iを含む剤形と実質的に類似の薬物動態プロファイルを提供する、200mgの遊離塩基N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドに相当する量でCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む剤形を対象とする。
【0078】
本発明のある特定の実施形態では、単位剤形は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む。他の実施形態では、単位剤形は、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II、少なくとも2種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、少なくとも1種の流動促進剤、少なくとも1種の滑沢剤、および少なくとも1種の酸化防止剤を含む。またさらなる実施
形態では、単位剤形は、約36%~44%のCYT-0387二塩酸塩一水和物形態II;約44%~58%の希釈剤;約4%~8%の崩壊剤、約0.25%~0.75%の流動促進剤、約1.2%~1.8%の滑沢剤、および約0.1%~0.5%の酸化防止剤を含む。さらに他の実施形態では、少なくとも2種の希釈剤は微結晶性セルロースおよびラクトースであり、少なくとも1種の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムであり、少なくとも1種の流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素であり、少なくとも1種の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムであり、少なくとも1種の酸化防止剤は没食子酸プロピルである。またさらなる実施形態では、単位剤形は、約36%~44%のCYT-0387二塩酸塩一水和物形態II;約30%~38%の微結晶性セルロース;約14%~20%のラクトース、約4%~8%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.25%~0.75%のコロイド状二酸化ケイ素、約1.2%~1.8%のステアリン酸マグネシウム、および約0.1%~0.5%の没食子酸プロピルを含む。
【0079】
医薬組成物の製造
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の慣習的方法、例えば、限定されないが、混合、溶解、造粒、糖衣錠の作製、粉砕、乳化、封入、エントラップ、溶融スピニング、スプレー乾燥、または凍結乾燥の方法を使用して製造することができる。
【0080】
当業者であれば、従来の製剤化により錠剤を調製するための適切な方法および技術を認識している。錠剤に圧縮するための粉末を調製する例示的な方法および技術として、乾式造粒または湿式造粒法が挙げられる。乾式造粒は一般に、液体溶液を使用せずに粒剤を形成するプロセスを指すのに対して、湿式造粒法は一般に、液体溶液を粉末に添加して造粒するプロセスを指す。
【0081】
キット
本出願の式の化合物または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物、および適切なパッケージを含むキットもまた本明細書に提供されている。一実施形態では、キットは、使用するための指示書をさらに含む。一態様では、キットは、本明細書に記載の式の化合物または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物、ならびに本明細書に記載の疾患または状態を含む適応症の処置に化合物を使用するためのラベルおよび/または指示書を含む。
【0082】
本明細書に記載の式のいずれかの化合物または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を適切な容器に含む製品もまた本明細書に提供される。容器は、バイアル、瓶、アンプル、予め充填されたシリンジ、および静注用バッグであり得る。
【0083】
処置の方法
本発明のCYT-0387形態は、JAKキナーゼ関連疾患、例えば、臓器移植を含む免疫学的および炎症性疾患;がんおよび骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウイルス性疾患;代謝性疾患;および血管系疾患などを含むキナーゼ関連疾患の処置に使用することができる。
【0084】
ヒトなどの霊長類に加えて、本発明の化合物、組成物および方法を使用して様々な他の哺乳動物を処置することができる。例えば、限定されないが、雌ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットまたは他のウシの種、ヒツジの種、ウマの種、イヌの種、ネコの種、げっ歯類の種またはネズミの種を含む哺乳動物を処置することができる。しかし、本発明はまた、鳥類(例えば、ニワトリ)などの他の種において実施することもできる。
【0085】
用語「投与する」は、処置を必要とする対象に本発明の化合物を提供することを意味すると考えるべきである。
【0086】
用語「処置する」または「処置」は、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを指す。効果は、疾患を完全もしくは部分的に防止するという意味で予防的であり得、ならびに/または疾患および/もしくは疾患に起因する有害作用に対する部分的または完全な治癒という意味で治療的であり得る。処置は、哺乳動物における疾患の任意の処置を網羅することができ、疾患に罹りやすい可能性があるが、疾患にかかっていると診断されていない対象において疾患が生じるのを防止すること、疾患を阻害すること、すなわち、その発症を抑止すること、または疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことを含む。治療剤は、疾患の発症前、その間または後に投与することができる。処置が患者の有害臨床症候を安定化または減少させる、進行中の疾患の処置は、特に興味深い。予想される無増悪生存時間は、再発の数、疾患のステージ、および他の因子を含む予後の因子に応じて、月から年で測定することができる。延命は、限定されないが、少なくとも1カ月、少なくとも約2カ月、少なくとも約3カ月、少なくとも約4カ月、少なくとも約6カ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、またはそれ超の時間を含む。全生存期間もまた、月から年で測定することができる。患者の症状は、固定したままであっても、または低下してもよい。
【0087】
用語「有効量」とは、所望の生物学的または医学的応答を導き出すのに有効となり得る量を指し、これは、疾患を処置するために対象に投与された場合、疾患に対してこのような処置を実行するのに十分な化合物の量を含む。有効量は、化合物、疾患およびその重症度ならびに処置されるべき対象の年齢、体重等に応じて変わる。有効量は、一連の量を含むことができる。
【0088】
用語「キナーゼ関連疾患」は、直接的もしくは間接的に、異常なキナーゼ活性、特にJAK活性から生じ、もしくは悪化し、および/またはこれらのキナーゼ酵素の1つもしくは複数の阻害により和らぐ障害(複数可)を指す。
【0089】
好ましい実施形態では、キナーゼ関連病状は、JAKキナーゼ、JAK1、JAK2、JAK3もしくはTYK2の1つまたは複数に関係する。特に好ましい実施形態では、疾患はJAK2キナーゼに関係する。このような疾患として、これらに限定されないが、以下の表に列挙されたものが挙げられる。
【表1A-1】
【表1A-2】
【表1A-3】
【0090】
用語「免疫学的および炎症性疾患」は、免疫学的、炎症性または自己免疫疾患を指し、関節リウマチ、多発性関節炎、リウマチ様椎骨炎、骨関節炎、痛風、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、炎症性腸(bowl)疾患、過敏性腸症候群、粘液結腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍性の大腸炎(diabrotic colitis)、クローン病、自己免疫性甲状腺障害、胃炎、食道炎、肝炎、膵炎、腎炎、乾癬、湿疹、尋常性ざ瘡、皮膚炎、発疹、多発性硬化症、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患(ルーゲーリック
病)、パジェット病、敗血症、結膜炎、鼻カタル(neranl catarrh)、慢性関節リウマ
チ、全身性全身性炎症反応症候群(SIRS)、多発性筋炎、皮膚筋炎(DM)、結節性多発動脈炎(Polaritis nodoa)(PN)、混合性結合組織疾患(MCTD)、シェーグレン症候群、クルーゾン症候群、軟骨無形成症、全身性エリテマトーデス、強皮症、血管炎、致死性骨異形成症、インスリン耐性、I型糖尿病ならびに糖尿病およびメタボリックシンドロームによる合併症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
用語「過剰増殖性疾患」として、がんおよび骨髄増殖性の病状、例えば、以下を含むがそれらに限定されない細胞増殖性の病状:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性肺癌(扁平上皮細胞癌、未分化型小細胞癌、未分化型大細胞癌、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫(chondromatous hanlartoma)、内皮腫
(inesothelioma);消化管:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(
癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(prostrate)(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、
肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞性腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfrorna)(骨軟骨外骨腫症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎(osteitis deformians))、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽細胞腫、乏突起細胞腫、シュワン細胞腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮体癌)、子宮頚部(子宮頚癌、前腫瘍子宮頚部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、分類不能癌]、顆粒膜包膜細胞腫、セルトリライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、表皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫[胎児型横紋筋肉腫])、卵管(癌腫);血液系:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;副腎:神経芽細胞腫;および骨髄増殖性疾患、例えば、真性赤血球増加症(PV)、原発性骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)(また特発性骨髄線維症(IMF)とも呼ばれる)、慢性骨髄性白血病(CML)、全身性肥満細胞症(mastocystosis)(SM)、慢
性好中球性白血病(CNL)、骨髄異形成症候群(MDS)および全身性肥満細胞疾患(SMCD)が挙げられる。ある特定の実施形態では、骨髄線維症疾患は、真性赤血球増加症(PV)、原発性骨髄線維症、血小板血症、および本態性血小板血症(ET)から選択される。一実施形態では、本出願の医薬組成物は、骨髄増殖性疾患の処置に適切となり得、骨髄線維症疾患は、真性赤血球増加症(PV)、原発性骨髄線維症、血小板血症、および本態性血小板血症(ET)から選択される。一部の実施形態では、本出願の医薬組成物は、原発性骨髄線維症の処置に適切となり得る。
【0092】
用語「血管系疾患」とは、限定されないが、心血管疾患、高血圧、肥大、高コレステロール血症、高脂血症、血栓性障害、脳卒中、レイノー現象、POEMS症候群、狭心症、虚血、片頭痛、末梢動脈疾患、心不全、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、左心室肥大、
心筋梗塞、心臓、腎臓、肝臓および脳の虚血性疾患、ならびに肺動脈高血圧を含めた疾患を指す。
【0093】
JAK2選択的阻害剤に対して好ましい疾患として、免疫学的および炎症性疾患、例えば、自己免疫疾患、例えばアトピー性皮膚炎、喘息、関節リウマチ、クローン病、乾癬、クルーゾン症候群、軟骨無形成症、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織疾患、血管炎、致死性骨異形成症および糖尿病;過剰増殖性障害、例えばがん、例えば前立腺がん、結腸がん、乳がん、肝臓がん、例えば肝癌など、肺がん、頭頚部がん、例えば神経膠腫など、皮膚がん、例えば転移性黒色腫など、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫および骨髄増殖性疾患、例えば真性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)(特発性骨髄線維症(IMF)とも呼ばれる)および慢性骨髄性白血病(CML);ならびに血管系疾患、例えば高血圧、肥大、脳卒中、レイノー現象、POEMS症候群、狭心症、虚血、片頭痛、末梢動脈疾患、心不全、再狭窄、アテローム性動脈硬化症および肺動脈高血圧が挙げられる。
【0094】
他の実施形態では、疾患は、固形腫瘍である。例として、固形腫瘍は、限定されないが、膵臓がん、膀胱がん、結腸直腸がん、乳がん、前立腺がん、腎臓がん、肝細胞がん、肺がん、卵巣がん、子宮頚がん、直腸がん、肝臓がん、腎臓がん、胃がん(stomach cancer)、皮膚がん、胃がん(gastric cancer)、食道がん、頭頚部がん、黒色腫、神経内分泌がん、CNSがん(例えば、神経芽細胞腫)、脳腫瘍(例えば、神経膠腫、未分化乏突起神経膠腫、成人多形神経膠芽腫、および成人未分化星状細胞腫)、骨がん、または軟部組織肉腫を含む。一部の実施形態では、固形腫瘍は、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、結腸がん、CNSがん、黒色腫、卵巣がん、腎臓がん、膵臓がん、前立腺がん、または乳がんである。特定の実施形態では、固形腫瘍は、非小細胞肺がん、結腸がん、膵臓がん、または乳がんである。さらなる実施形態では、固形腫瘍は非小細胞肺がんである。一実施形態では、固形腫瘍は転移性非小細胞肺がん(NSCLC)である。一部の実施形態では、固形腫瘍は上皮成長因子受容体(EGFR)変異した、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)未処置の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)である。例として、EGFR突然変異は、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21(L858R)置換突然変異であってよい。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は転移性のカーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)変異した非小細胞肺がん(NSCLC)である。またさらなる実施形態では、固形腫瘍は結腸がんである。またさらなる実施形態では、固形腫瘍は膵臓がんである。また他の実施形態では、固形腫瘍は転移性膵臓管腺癌である。またさらなる実施形態では、固形腫瘍は乳がんである。
【0095】
本発明のさらなる方法では、CYT-0387、またはCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含むその形態は、貧血またはヘモグロビン低下を経験している対象において、ヘモグロビンレベルを維持するまたは上昇させるために使用される。貧血の対象は、同じ年齢および性別の健康な対象に対して正常であるレベルより低い内因性ヘモグロビンレベルを有する。許容されるまたは「正常な」レベルは、現在では医療行為において確立されている。ヒト成人男性に対して、ヘモグロビンレベルが約13.0g/dL未満である場合、貧血は明らかであり、妊娠していないヒト成人女性に対して、ヘモグロビンレベルが約12.0g/dL未満である場合、欠乏は明らかである。確立された技術を使用して、ヘモグロビンレベルの測定を実施する。ヘモグロビンレベルが約8.0g/dL未満である場合、重症の貧血の状態であることは明らかである。
【0096】
使用において、CYT-0387は、対象におけるヘモグロビンのレベルを維持するまたは上昇させるのに有効な量で貧血の対象に投与される。したがって、処置した対象において、薬物の投与は、ヘモグロビンのレベルのさらなる減少を阻害するという最低限の効果を有する。より望ましくは、薬物の投与は、対象においてヘモグロビンレベルを増大す
る効果を有する。
【0097】
CYT-0387での処置が有効である貧血の対象は、化学療法または放射線療法を受けていた、または受けている対象、例えば、がん患者などを含む。多種多様な化学療法剤は、機能する赤血球のレベルを減少させる結果となることが公知である。また同様に、CYT-0387処置の候補である対象は、赤血球カウントの減少をもたらす、またはこれに関連する血液がんを含む血液障害に罹患している者である。実施形態では、処置すべき対象とは、骨髄異形成症候群などの血液状態に関連するまたはこれがもたらす貧血を有する対象である。骨髄形成異常症候群(MDS)は、血液の血球減少症および細胞過多の骨髄をもたらす、効果のない造血を特徴とする疾患の群を記載するために使用される用語である。MDSは、急性骨髄性白血病(AML)へと転換する危険が高いため、「前白血病」と同じ意味であると慣習的に考えられてきた。AMLへの発展および血球減少症の臨床的帰結が、MDSにおける罹患率および死亡率の主な原因である。MDSの消耗性症状として、疲労、蒼白、感染、および出血が挙げられる。貧血、好中球減少、および血小板減少症もまたMDSの一般的な臨床徴候である。他の実施形態では、処置すべき対象とは、赤血球等に影響を及ぼす他の血液の悪性腫瘍、再生不良性貧血、慢性疾患の貧血に関連する貧血などの他の血液状態に関連するまたはこれらがもたらす貧血を有する対象である。慢性疾患の貧血は、リンパ腫およびホジキン病を含めたある特定のがん;自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患およびリウマチ性多発筋痛症など;長期感染症、例えば尿路感染、HIVおよび骨髄炎など;心不全;ならびに慢性腎臓疾患などの疾患に関連する。加えて、増加する破壊、赤血球生存の短縮および脾臓隔離に関連する状態がもたらす貧血を有する患者も、CYT-0387処置から恩恵を受けることができる。したがって、これらの状態に罹患している患者は、ヘモグロビンが下降するまたは不足するという状態を改善するために処置することができる。
【0098】
ある特定の実施形態では、処置すべき対象は、サラセミアを経験している貧血の対象である。他の実施形態では、処置すべき対象は、サラセミアを経験している対象以外の対象である。
【0099】
実施形態では、本発明のCYT-0387形態、例えばCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIなどを、骨髄増殖性疾患、例えば骨髄増殖性腫瘍などと診断された対象に投与し、これによって、疾患の予後を改善し、実施形態では、特に疾患に関連するヘモグロビン欠乏または低下を処置する。他の実施形態では、本発明のCYT-0387形態、例えばCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIなどは、骨髄増殖性疾患と診断された貧血の対象以外の貧血の対象に投与される。このクラスの処置可能な対象は、骨髄増殖性疾患と関係のない貧血を示す。一部の実施形態では、本出願のCYT-0387形態、例えばCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIなどは、がんと診断された貧血の対象に投与される。
【0100】
「骨髄増殖性疾患」および「骨髄増殖性腫瘍(MPN)」、とりわけ真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(PMF)は、多様であるが、骨髄性起源の1つまたは複数の細胞の相対的な過剰産生、成長因子に依存しないin
vitroでのコロニー形成、髄の細胞過多、髄外造血巣、巨脾症および肝肥大、ならびに血栓性および/または出血性の素因を含めた、一連の生物学的、病理学的および臨床的特徴を共有する万能性造血幹細胞のクローン障害の相互に関係する群である。骨髄増殖性腫瘍のリサーチおよび処置(IWG-MRT)のための国際ワーキンググループが確立されて、これらの状態の線引きおよび定義が行われ(例えば、Vannucchiら、CA Cancer
J. Clin.、2009年、59巻:171~191頁を参照)、これらの疾患の定義は
、本明細書の目的に適用されるものとする。対象、とりわけMPNおよび特にPMFを示すヒト患者は、上述されたIWG-MRT基準を使用して当技術分野で識別可能である。
特定の形態のMPNに対して「危険がある」対象は、疾患の初期段階形態を有する対象であり、例えば、その遺伝マーカー、例えば、PV(>95%)、ET(60%)およびPMF(60%)に関連するJAK2V617Fアレルなどを有する対象を含み得る。対象はまた、すでに早期段階形態の症状を明らかにしている場合、MFNの形態に対して「危険がある」とも考えられる。したがって、MFNを示す対象は、ポスト-PVおよびポスト-ET(両方ともMPNの後に発症する)の危険がある。
【0101】
CYT-0387治療に対するMPN患者および特にPMF患者の応答は、これらの患者が、本発明に従い、以下の基準の1つまたは複数に基づきCYT-0387治療のために選択された患者である場合、特に強力である:
i.サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、およびCYT-0387以外のJAK2阻害剤から選択される薬物での、以前の治療;
ii.以下のうちの1つまたは両方から選択される臨床的判定基準:(1)脾臓のサイズが小さく、および(2)循環している芽球のパーセンテージが低い;
iii.以下の1つまたは複数から選択される生化学マーカー判定基準:(1)EGF、TNF-α、G-CSF、IFN-α、MIP-1β、HGF、MIG、およびVEGFから選択される少なくとも1種のタンパク質レベルの増加;(2)エオタキシンレベルの低下;ならびに(3)EPO、ヘプシジンおよびBMP-2から選択される少なくとも1種のタンパク質のレベルの変化。
【0102】
事前の患者の選択がもたらすCYT-0387治療による改善された結果は、貧血応答および/または脾臓応答における強力な改善として明らかとなる。「貧血応答」とは、患者のヘモグロビンレベルの増加または輸血に依存していた患者が輸血に依存しなくなることを意味する。ヘモグロビンの最低限の増加2.0g/dLの最低8週間の持続を達成することが望ましく、これは、国際ワーキンググループ(IWG)の診断基準において特定された改善レベルである。しかし、増加はより小さいが、ヘモグロビンが依然として医学的に有意に増加していれば、用語「貧血応答」の範囲内であると考えられる。
【0103】
「脾臓応答」とは、身体検査中の、以前に触知可能であった脾臓の触診、または診断用画像化のいずれかにより評価される場合の、患者の脾臓のサイズが減少することを意味する。IWG診断基準は、ベースライン(処置前)において少なくとも10cmである脾臓の触知可能な脾腫(脾臓拡大)において最低50%の減少があるか、またはベースラインにおいて5cm超で触知可能な脾臓の触知可能な脾腫(脾臓拡大)が触知可能でなくなることを特定している。しかし、より小さな減少もまた、「脾臓応答」という用語の範囲内であると考えられる。
【0104】
一実施形態では、選択される患者は、以前に薬物治療を受けていた患者である。より具体的には、CYT-0387治療のために選択される患者は、サリドマイド(CAS番号50-35-1)またはその誘導体、特にレナリドミド(CAS番号191732-72-6)で処置されていた、または現在処置されている患者を含む。これらの薬物は、両方とも多発性骨髄腫の処置に使用され、また骨髄増殖性障害に罹患している患者において何らかの利益を示すようにみえる。それに続くCYT-0387治療がもたらすさらなる利益を得るため、患者は、サリドマイド、レナリドミドまたはポマリドミドまたは類似の薬剤での処置を受けるか、あるいはCYT-0387の治療開始に比べて、これらの薬物の効果が明らかとなるのに十分な時間枠内で、これらの薬物の1種で処置されることになる。これらの基準を満たす患者は、続いてCYT-0387で処置した場合、この薬物治療で未処置の患者に比べて、有意な貧血応答を経験することになる。好ましい実施形態では、CYT-0387患者は、レナリドミドでの事前治療の対象となる患者である。
【0105】
CYT-0387治療のために選択される患者はまた、CYT-0387以外のJAK
阻害剤で処置されていた、または処置を受けている患者を含む。特にINCBO18424と命名されたJAK阻害剤、またはTG101348と命名されたJAK阻害剤で以前に処置した患者は、以前にこのような治療で処置されていない患者よりもCYT-0387治療に対して突出した脾臓応答を有することが判明した。好ましい実施形態では、CYT-0387治療のために選択される患者は、CYT-0387以外のJAK阻害剤による治療の対象下におかれることに加えて、輸血依存の患者でもある患者である。INCBO18424は、15または20mgのpo BIDの開始用量から、5mgBIDから25mgBIDへの用量漸増法で投与される。TG101348は、1日1回投与され、最大耐用量(MTD)は、680mg/日に決定されている。CYT-0387以外のJAK阻害剤は、任意のすべての他のJAK阻害剤を含み、特に、CYT-0387とは異なるJAK親和性、選択性または結合部位を有する、他のJAK阻害剤を含む。これらの特性は、その全体の開示が参照によって本明細書に組み込まれる、US7593820に記載されている、JAK2の結晶構造およびモデリング手法および活性アッセイを使用して決定することができる。それに続くCYT-0387治療がもたらすさらなる利益を得るため、患者は、他のJAK2阻害剤での処置を受けるか、またはCYT-0387治療開始に比べて、患者においてそのJA2阻害剤の効果が明らかとなるのに十分な時間枠で、このような薬物で処置されることになる。
【0106】
CYT-0387治療のために選択される患者はまた、検出可能なタンパク質マーカーのレベルが変化した患者も含む。より具体的には、ある特定のサイトカインおよびケモカインを含むある特定のタンパク質マーカーのレベルが上昇している患者は、CYT-0387で処置した場合、CYT-0387治療に対するこれら患者の貧血応答および/または脾臓応答に関して有意な利益を経験することができる。実施形態では、以下のタンパク質マーカーのうちの1つまたは複数のレベルの上昇は、患者がCYT-0387治療のための好ましい候補であることを意味する:
(1)EGF、すなわち上皮成長因子、その成熟形態は、Swiss-Prot指定P01133を有する配列の残基971~1023を含む;
(2)TNF-a、すなわち腫瘍壊死因子アルファ、その成熟および溶解形態は、Swiss-Prot指定P01375を有する配列の残基77~233を含む;
(3)G-CSF、すなわち顆粒球コロニー刺激因子、その成熟形態は、Swiss-Prot指定P09919を有する配列の残基30~207を含む;
(4)IFN-α、すなわちインターフェロンアルファ、その成熟形態が当技術分野で周知である、サブタイプのファミリーを含む;
(5)MIP-Iβ、すなわちマクロファージ炎症性タンパク質1-ベータ(C-Cモチーフケモカイン4、またはCCL4としても現在公知である)、その成熟形態は、Swiss-Prot指定PI3236を有する配列のいずれかの残基24~92または26~92を含む;
(6)HGF、すなわち肝細胞成長因子、その成熟形態は、Swiss-Prot指定P14210を有する配列に基づき、残基32~494を有するアルファ鎖および残基495~728を有するベータ鎖を含む;
(7)MIG、すなわちガンマインターフェロンにより誘発されるモノカイン(CXCL9としても現在公知である)は、走化性サイトカインのファミリーであり、その成熟形態は、Swiss-Prot指定Q07325を有する配列の残基23~125を含む;
(8)VEGF、すなわち血管内皮成長因子A、その成熟形態は、Swiss-Prot指定PI5692を有する配列の残基27~232を含む。
【0107】
CYT-0387治療に参加する患者は、これらの患者が最初に、上記に述べられたマーカーのうちのいずれか1つまたは複数のレベルにおける上昇に基づき選択される場合、有意な脾臓応答を経験する。上昇したレベルとは、正常な対象におけるレベルを超えるレベルである。
【0108】
CYT-0387治療に参加する患者はまた、これらの患者が最初に、タンパク質エオタキシンのレベルにおける低下に基づき選択された場合、有意な貧血応答も経験することができる。好酸球走化性(chemotatic)タンパク質としても公知であり、Swiss-Prot指定P51671を有する配列の残基24~97を含む、このタンパク質は、CC3との相互作用を介して機能することによって、アレルゲン応答して好酸球(esoinophils)の蓄積を促進する。これは、アレルギー性炎症性反応の突出した特徴である。
【0109】
CYT-0387治療のために患者を選択するのに有用なさらなる他のマーカーとして、EPO、ヘプシジンおよびBMP-2のレベルの変化が挙げられる。CYT-0387治療のために患者を選択するのに有用なマーカーの別の例として、BMP-6のレベルが挙げられる。
【0110】
他のマーカーをCYT-0387治療または投与レジメンのモニタリングに使用することができる。例として、このようなマーカーは、限定されないが、化合物3、化合物4、化合物8、化合物10、化合物12、および化合物13を含むことができる。これらのマーカーのレベルは、一般に使用されている方法、例えば本出願の実施例に記載されているものなどにより検出することができる。
【0111】
所与のマーカーの「レベル」は、所与の患者において測定されたレベルが、正常な対象の対応するレベルと統計学的に有意な程度まで異なる場合、変化する、すなわち上昇または減少すると考えられる。望ましくは、少なくとも0.05またはより有意な、すなわち、より良いp値を得るのに十分な程度にまで変化したマーカーレベルを示す患者が、CYT-0387治療に対する候補として選択される。実施形態では、p値は少なくとも0.03、0.02または0.01であり、好ましい実施形態では、p値は、少なくとも0.009、0.007、0.005、0.003、0.001、またはより良い値である。
【0112】
所与のマーカーのレベルは、上記で述べられたマーカーを検出するためにすでに確立されたアッセイを使用して決定することができる。実施形態では、これは、患者候補から生体試料、例えば全血またはその画分、例えば血漿または血清などの試料を抽出することによって達成する。次いで、所望する場合、試料を処理して、目的のマーカーを濃縮し、そしてこの濃縮されたまたは純正の試料を、例えばマーカーに対する検出可能なリガンド、例えばマーカーに選択的に結合する標識した抗体などを使用して、アッセイする。次いで、試料中に存在するマーカーの量は、半定量的または定量的に決定することによって、値を得ることができ、次いで、健康な対象におけるそのマーカーについての正常なレベルである基準値とこの値を比較する。上述のように、少なくとも0.05であるp値に到達するのに十分なマーカーレベルの差異は、意義のあるマーカーレベルの変化を示し、そのマーカーレベルの上昇(またはエオタキシンの場合、低下したレベル)を示す患者はCYT-0387治療に対する候補である。
【0113】
CYT-0387治療に対する候補として適切であるのはまた、相対的に小さなサイズの脾臓を示す患者、および循環、または末梢性の芽球の上昇したレベルを示す患者を含めた、ある特定の臨床的基準を満たす患者である。これらの患者は、その脾臓応答に関して、特によくCYT-0387治療に応答する。一実施形態では、選択される患者は、輸血依存性までまだ進行していない患者である。脾臓拡大は触診により評価する。脾臓のサイズおよび容量はまた、診断用画像、例えば超音波、CTまたはMRIなどで測定することもできる。正常な脾臓のサイズは、頭尾で約11.0cmの長さである。
【0114】
循環している芽球の低いパーセンテージを示す患者もまたCYT-0387治療に対する候補として適切である。芽球は、通常骨髄に見出され、末梢血には見出されない未成熟
の前駆細胞である。芽球は通常成熟した血液細胞となる。循環している芽球の低いパーセンテージは、末梢血スメアの細胞形態分析ならびにマルチパラメータフローサイトメトリーおよび免疫組織化学法により測定される。予後の因子として、≧1%芽球が使用される。
【0115】
本出願による化合物は、1種または複数種の追加の治療剤と組み合わせて使用することができる。治療剤は、化合物、抗体、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドの形態であり得る。治療剤として、限定されないが、化学療法剤、免疫療法剤、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗がん剤、抗増殖性薬剤、抗線維化剤、抗血管新生剤、治療抗体、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0116】
一実施形態では、本出願は、治療における、例えば、JAKにより媒介される疾患、障害、または状態を処置する方法における、同時の使用、別の使用または連続的使用のための組み合わせた調製物として、本明細書に記載の製剤および追加の治療剤を提供する。治療剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ、脾臓チロシンキナーゼ、アポトーシスシグナル調節キナーゼ、ヤヌスキナーゼ、リシルオキシダーゼ、リシルオキシダーゼ様タンパク質、マトリックスメタロペプチダーゼ、ブロモドメイン含有タンパク質、アデノシンA2B受容体、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、セリン/スレオニンキナーゼTPL2、ジスコイジンドメイン受容体、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ、IKK、MEK、EGFR、ヒストン脱アセチル化酵素、タンパク質キナーゼC、またはこれらの任意の組合せの活性を阻害またはモジュレートする治療剤であり得る。ある特定の実施形態では、治療剤は、PI3K(PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3Kα、および/またはpan-PI3Kを含む)阻害剤、JAK(ヤヌスキナーゼ、JAK1、JAK2、および/またはJAK3を含む)阻害剤、SYK(脾臓チロシンキナーゼ)阻害剤、BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害剤、A2B(アデノシンA2B受容体)阻害剤、ACK(活性化したCDCキナーゼ、ACK1を含む)阻害剤、ASK(アポトーシスシグナル調節キナーゼ、ASK1を含む)阻害剤、Auroaキナーゼ、BRD(ブロモドメイン含有タンパク質、BRD4を含む)阻害剤、Bcl(B細胞CLL/リンパ腫、Bcl-1および/またはBcl-2を含む)阻害剤、CAK(CDK活性化キナーゼ)阻害剤、CaMK(カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ)阻害剤、CDK(サイクリン依存性キナーゼ、CDK1、2、3、4、および/または6を含む)阻害剤、CK(カゼインキナーゼ、CK1および/またはCK2を含む)阻害剤、DDR(ジスコイジンドメイン受容体、DDR1および/またはDDR2を含む)阻害剤、EGFR阻害剤、FXR(ファルネソイドx受容体)阻害剤、FAK(焦点接着キナーゼ)阻害剤、GSK(グリコーゲンシンターゼキナーゼ)阻害剤、HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤、IDH(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、IDH1を含む)阻害剤、IKK(l-カッパ-Bキナーゼ)阻害剤、KDM5(リシンデメチラーゼ)阻害剤、LCK(リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ)阻害剤、LOX(リシルオキシダーゼ)阻害剤、LOXL(リシルオキシダーゼ様タンパク質、LOXL1、LOXL2、LOXL3、LOXL4、および/またはLOXL5を含む)阻害剤、MTH(mutTホモログ)阻害剤、MEK(マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP、MMP2および/またはMMP9を含む)阻害剤、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)阻害剤、PD-1(プログラムされたた細胞死タンパク質1)阻害剤、PD-L1(プログラム死リガンド1)阻害剤、PDGF(血小板由来成長因子)阻害剤、ホスホリラーゼキナーゼ(PK)阻害剤、PLK(ポロ様キナーゼ、PLK1、2、3を含む)阻害剤、タンパク質キナーゼ(PK、タンパク質キナーゼA、B、Cを含む)阻害剤、STK(セリン/スレオニンキナーゼ)阻害剤、STAT(シグナル伝達および転写)阻害剤、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ阻害剤、TBK(タンク結合キナーゼ)阻害剤、TLR(トール様受容体モジュレーター、TLR-1、TLR-2、TLR-3、TL
R-4、TLR-5、TLR-6、TLR-7、TLR-8、TLR-9、TLR-10、TLR-11、TLR-12、および/またはTLR-13を含む)阻害剤、TK(チロシンキナーゼ)阻害剤、TPL2(セリン/スレオニンキナーゼ)阻害剤、NEK9阻害剤、Abl阻害剤、p38キナーゼ阻害剤、PYK阻害剤、PYK阻害剤、c-Kit阻害剤、NPM-ALK阻害剤、Flt-3阻害剤、c-Met阻害剤、KDR阻害剤、TIE-2阻害剤、VEGFR阻害剤、SRC阻害剤、HCK阻害剤、LYN阻害剤、FYN阻害剤、YES阻害剤、化学療法剤、免疫療法剤、放射線療法剤、抗腫瘍剤、抗がん剤、抗増殖性剤、抗線維化剤、抗血管新生剤、治療抗体、またはこれらの任意の組合せから選択することができる。一部の実施形態では、PI3K-δ阻害剤は、ChemDrawで命名した場合、(S)-2-(1-((9H-プリン-6-イル)アミノ)プロピル)-5-フルオロ-3-フェニルキナゾリン-4(3H)-オンであり(5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(9H-プリン-6-イルアミノ)プロピル]キナゾリン-4(3H)-オンとも呼ぶことができる)、米国特許第7,932,260号に記載の方法で合成することができる。ある特定の実施形態では、SyK阻害剤は、ChemDrawで命名した場合、6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミンであり(6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-[4-(モルホリン-4-イル)フェニル]イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミンとも呼ぶことができる)、米国特許第8,450,321号に記載の方法で合成することができる。他の実施形態では、BTK阻害剤は、ChemDrawで命名した場合、(S)-6-アミノ-9-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-7-(4-フェノキシフェニル)-7H-プリン-8(9H)-オンであり(6-アミノ-9-[(3R)-1-(2-ブチノイル)-3-ピロリジニル]-7-(4-フェノキシフェニル)-7,9-ジヒドロ-8H-プリン-8-オンでもあり得る)、米国特許第8,557,803号の方法で合成することができる。ある特定の実施形態では、MEK阻害剤はトラメチニブである。一部の実施形態では、EGFR阻害剤はエルロチニブである。一実施形態では、本出願の製剤は、PI3K阻害剤、MEK阻害剤、TBK阻害剤、EGFR阻害剤、またはこれらの組合せと組み合わせて使用することができる。追加の実施形態では、本出願の製剤は、トラメチニブと組み合わせて使用することができる。他の実施形態では、本出願の製剤は、エルロチニブと組み合わせて使用することができる。
【0117】
化学療法剤は、それらの作用機序によって、例えば、以下の群に分類することができる。代謝拮抗物質/抗がん剤、例えばピリミジン類似体(フロクスウリジン、カペシタビンおよびシタラビン);プリン類似体、葉酸アンタゴニストおよび天然産物を含む関係する阻害剤である抗増殖/有糸分裂阻害剤、例えばビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン)および微小管、例えばタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(エトポシド、テニポシド);DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メクロレタミン(merchlorehtamine)、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、エトポシド、トリエチレンチオホスホルアミド);抗生物質、例えばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン;酵素(L-アスパラギンを全身的に代謝し、それらの独自のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を枯渇させる、L-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖/有糸分裂阻害性アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、および
(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルニトロソ尿素(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジン(dacarbazinine)(DTIC);抗増殖/有糸分裂阻害性代謝拮抗剤、例えば葉酸類似体(メトトレキセート);白金配位錯体(シスプラチン、オキサリプラチン(oxiloplatinim)、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモン類似体(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩およびトロンビンの他の阻害剤);血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル;抗遊走(antimigratory)剤;抗分泌性剤(ブレフェルジン(breveldin));免疫抑制剤であるタクロリムス シロリムス アザチオプリン、ミコフェノレート;化合物(TNP-470、ゲニステイン)および成長因子阻害剤(血管内皮成長因子阻害剤、線維芽細胞成長因子阻害剤);アンジオテンシン受容体遮断剤、一酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、リツキシマブ);細胞周期阻害剤および分化誘発物質(トレチノイン);阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカンおよびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン、カンプトテシン(camptothesin))、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾンおよびプレドニゾロン(prenisolone));成長因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤;機能障害誘発物質、毒素、例えばコレラ毒素、リシン、緑膿菌外毒素、百日咳菌のアデニル酸シクラーゼ毒素、またはジフテリア毒素、およびカスパーゼ活性化因子;ならびにクロマチン。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「化学療法剤」または「化学療法性」(または化学療法剤を用いる処置の場合には「化学療法」)は、がんの処置に有用な任意の非タンパク性(すなわち、非ペプチド性)化合物を包含することが意図される。化学療法剤の例として、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN);アルキルスルホナート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa);アルトレタミン(alfretamine)を含む、エミレルミン(emylerumine)およびメミラメラミン(memylamelamine)、トリエチレンメラミン(triemylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールメラミン(trimemylolomelamine);アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;ズオカルマイシン(合成類似体、KW-2189およびCBI-TMIを含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン(foremustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマIIおよびカリケアマイシンファイI1、
例えば、Agnew、Chem.Intl.Ed. Engl、33号:183~186頁(1994年)参照;ダイネミシン(dynemicin)Aを含むダイネミシン;ビスフォスフォネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関係する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団(chromomophore))、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carrninomycin)、カルチノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデモプテリン(demopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;副腎皮質ホルモン抑制剤(anti-adrenals)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤(replinisher)、例えばフォリン(frolinic)酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ヘストラブシル(hestrabucil);ビサントレン;エダトレキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホルムチン(elformthine);エリプチニウムアセタート;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロイコボリン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えばメイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;フルオロピリミジン;フォリン酸;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン(tricUorotriemylamine);トリコテセン(特に、T-2毒素、ベルカリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ(thiopeta);タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロラムブシル;ゲムシタビン(Gemzar(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン(mitroxantrone);ビンクリスチン(vancristine);ビノレルビン(Navelbine(登録商標));ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ(xeoloda);イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;カペシタビン;FOLFIRI(
フルオロウラシル、ロイコボリンおよびイリノテカン)、ならびに上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。本願では、1種または複数種の化学療法剤が使用されるか、または含まれる。例えば、ゲムシタビン、nab-パクリタキセル、ゲムシタビン/nab-パクリタキセル、カペシタビン、オキサリプラチン、およびカペシタビン/オキサリプラチンは、本出願の製剤と使用することができる。
【0119】
また、化学療法剤の定義には、腫瘍へのホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(Nolvadex(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston(登録商標))を含む、例えば、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);副腎におけるエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼの阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、メゲストロールアセタート(Megace(登録商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(Rivisor(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、およびアナストロゾール(Arimidex(登録商標))など;ならびに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド(leuprohde)、およびゴセレリン;ならびに上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を挙げることができる。
【0120】
抗血管新生剤として、レチノイド酸およびその誘導体、2-メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(登録商標)、ENDOSTATIN(登録商標)、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ-1の組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ(metalloproternase)-2の組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(inbibitor)-2、軟骨由来の阻害剤、パクリタキセル(nab-パクリタキセル)、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される)、硫酸化多糖体ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、例えばプロリン類似体((1-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA)、cisヒドロキシプロリン、d,I-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン(thiaproline)、アルファ-ジピリジル、ベータ-アミノプロピオニトリルフマラート、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3h)-オキサゾロンを含むマトリックス代謝のモジュレーター;メトトレキセート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン-血清、chimp-3、キモスタチン、テトラデカ硫酸ベータ-シクロデキストリン(beta-cyclodextrin tetradecasulfate)、エポネマイシン;フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d-ペニシラミン(CDPT)、ベータ-1-アンチコラゲナーゼ-血清、アルファ(alpba)-2-抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n-2-カルボキシフェニル-4-クロロアントラニル(chloroanthronilic)酸二ナトリウムすなわち「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール(cargboxynaminolmidazole);メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばBB94が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗血管新生剤として、以下の血管新生成長因子:ベータ-FGF、アルファ-FGF、FGF-5、VEGFアイソフォーム、VEGF-C、HGF/SFおよびAng-1/Ang-2に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。Ferrara N.およびAlitalo,K.「Clinical application of angiogenic growth factors
and their inhibitors」(1999年)Nature Medicine 5巻:1359~1364頁参照。
【0121】
抗線維化剤として、ベータ-アミノプロピオニトリル(aminoproprioni
trile)(BAPN)などの化合物、ならびに、リシルオキシダーゼの阻害剤、ならびにコラーゲンの異常沈着に関連する疾患および状態の処置におけるそれらの使用に関する、1990年10月23日に発行された、Palfreymanらに対する「Inhibitors of lysyl oxidase」と題する米国特許第4,965,288号;様々な病理学的な線維性状態の処置のためにLOXを阻害する化合物に関する、1991年3月5日に発行された、Kaganらに対する「Anti-fibrotic
agents and methods for inhibiting the activity of lysyl oxidase in situ using adjacently positioned diamine analogue substrate」と題する米国特許第4,997,854号(これらは参考として本明細書に援用される)に開示の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例示的な阻害剤は、2-イソブチル-3-フルオロ-、クロロ-、またはブロモ-アリルアミンなどの化合物に関する、1990年7月24日に発行された、Palfreymanらに対する「Inhibitors of lysyl oxidase」と題する米国特許第4,943,593号;ならびに、例えば米国特許第5,021,456号;米国特許第5,5059,714号;米国特許第5,120,764号;米国特許第5,182,297号;米国特許第5,252,608号(2-(1-ナフチルオキシメチル(naphthyloxymemyl))-3-フルオロアリルアミンに関する);ならびに米国特許出願第2004/0248871号に記載されている(これらは参考として本明細書に援用される)。また、例示的な抗線維化剤として、リシルオキシダーゼの活性部位のカルボニル基と反応する第一級アミン、より具体的にはカルボニルと結合した後に共鳴によって安定化される生成物を生成するもの、例えば以下の第一級アミン:エミレンマミン(emylenemamine)、ヒドラジン、フェニルヒドラジンおよびそれらの誘導体、セミカルバジド、ならびに尿素誘導体、アミノニトリル、例えばベータ-アミノプロピオニトリル(BAPN)、または2-ニトロエチルアミン、不飽和もしくは飽和ハロアミン、例えば2-ブロモ-エチルアミン、2-クロロエチルアミン、2-トリフルオロエチルアミン、3-ブロモプロピルアミン、p-ハロベンジルアミン、セレノホモシステインラクトンが挙げられる。また、抗線維化剤は、細胞に貫入するかまたは貫入しない銅キレート剤である。例示的な化合物として、リシルオキシダーゼによってリシルおよびヒドロキシリシル残基の酸化的脱アミノ化に由来するアルデヒド誘導体を遮断する化合物などの間接的な阻害剤、例えばチオールアミン、特にD-ペニシラミンまたはその類似体、例えば2-アミノ-5-メルカプト-5-メチルヘキサン酸、D-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アセトアミドエチル)ジチオ)ブタン酸、p-2-アミノ-3-メチル-3-((2-アミノエチル)ジチオ)ブタン酸、ナトリウム-4-((p-1-ジメチル-2-アミノ-2-カルボキシエチル)ジチオ)ブタンスルフレート(sulphurate)、2-アセトアミドエチル-2-アセトアミドエタンチオールスルファネート(sulphanate)、ナトリウム-4-メルカプトブタンスルフィネート(mercaptobutanesulphinate)三水和物が挙げられる。
【0122】
免疫療法剤として、患者を処置するのに適した治療用抗体、例えばアバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ(altumomab)、アマツキシマブ、アナツモマブ(anatumomab)、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ(bectumomab)、ベバシツマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(citatuzumab)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(clivatuzumab)、コナツムマブ(conatumumab)、ダラツムマブ、ドロジツマブ(drozitumab)、ドゥリゴツマブ(duligotumab)、ドゥシギツマブ(dusigitumab)、デツモマブ(detumomab)、ダセツズマブ、ダロツズマブ(dalotuzumab)、エクロメキシマブ(ec
romeximab)、エロツズマブ、エンシツキシマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、ファーレツズマブ(farietuzumab)、フィクラツズマブ(ficlatuzumab)、フィギツムマブ、フランボツマブ(flanvotumab)、フツキシマブ(futuximab)、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ(girentuximab)、グレンバツムマブ(glembatumumab)、イブリツモマブ、イゴボマブ(igovomab)、イマガツズマブ(imgatuzumab)、インダツキシマブ(indatuximab)、イノツズマブ、インテツムマブ(intetumumab)、イピリムマブ、イラツムマブ(iratumumab)、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、ルカツムマブ(lucatumumab)、マパツムマブ(mapatumumab)、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ(minretumomab)、ミツモマブ(mitumomab)、モキセツモマブ(moxetumomab)、ナルナツマブ(narnatumab)、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ノフェツモマブ(nofetumomabn)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オララツマブ(olaratumab)、オナルツズマブ(onartuzumab)、オポルツズマブ(oportuzumab)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ(patritumab)、ペムツモマブ(pemtumomab)、ペルツズマブ、ピンツモマブ(pintumomab)、プリツムマブ(pritumumab)、ラコツモマブ(racotumomab)、ラドレツマブ(radretumab)、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ(robatumumab)、サツモマブ(satumomab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、シルツキシマブ、シムツズマブ(simtuzumab)、ソリトマブ(solitomab)、タカツズマブ(tacatuzumab)、タプリツモマブ(taplitumomab)、テナツモマブ(tenatumomab)、テプロツムマブ(teprotumumab)、ティガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ(tucotuzumab)、ウブリツキシマブ(ublituximab)、ベルツズマブ、ボルセツズマブ(vorsetuzumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、CC49および3F8が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な治療用抗体は、さらに、放射性同位体粒子、例えばインジウムIn111、イットリウムY90、ヨウ素I-131で標識するか、またはそれらと組み合わせることができる。
【0123】
また本願は、一つまたは複数の標準治療、例えば化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術、またはこれらの組合せを受けている被験体を処置する方法を提供する。したがって、一つまたは複数の治療剤または阻害剤は、化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術またはこれらの組合せの実施の前、最中または後に投与され得る。
【0124】
化学療法処置の他の例(標準的または実験的な化学療法を含む)を、以下に記載する。さらに、特定のリンパ腫の処置は、Cheson, B.D.、Leonard, J.P.、「Monoclonal Antibody Therapy for B-Cell Non-Hodgkin’s Lymphoma」The New England Journal of Medicine 2008年、359巻(6号)、613~626頁;およびWierda, W.G.、「Current and Investigational Therapies for Patients with CLL」Hematology 2006年、285~294頁に概説されている。米国におけるリンパ腫の発生パターンの概略が、Morton, L.M.ら「Lymphoma Incidence Patterns by WHO Subtype in the United States、1992-2001」Blood 2006年、1
07巻(1号)、265~276頁に記載されている。
【0125】
免疫療法剤の例として、リツキシマブ(例えばリツキサン)、アレムツズマブ(例えばキャンパス、マブキャンパス)、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗MN-14抗体、抗TRAIL、抗TRAIL DR4およびDR5抗体、抗CD74抗体、アポリズマブ、ベバシツマブ、CHIR-12.12、エピラツズマブ(hLL2-抗CD22ヒト化抗体)、ガリキシマブ、ha20、イブリツモマブチウキセタン、ルミリキシマブ、ミラツズマブ、オファツムマブ、PRO131921、SGN-40、WT-1類似体ペプチドワクチン、WT1 126-134ペプチドワクチン、トシツモマブ、ヒトの自己腫瘍由来のHSPPC-96、およびベルツズマブが挙げられるが、これらに限定されない。追加の免疫療法剤として、リンパ腫などの個々の患者の腫瘍の遺伝的構成に基づいてがんワクチンを使用することが含まれ、ワクチンの例は、GTOP-99である(MyVax(登録商標))。
【0126】
化学療法剤の例として、アルデスロイキン、アルボシジブ、アンチネオプラストンAS2-1、アンチネオプラストンA10、抗胸腺細胞グロブリン、アミホスチン三水和物、アミノカンプトテシン、三酸化ヒ素、ベータアレチン、Bcl-2ファミリータンパク質阻害剤ABT-263、ABT-199、BMS-345541、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、ブリオスタチン1、ブスルファン、カルボプラチン、キャンパス-1H、CC-5103、カルムスチン、カスポファンギン酢酸塩、クロファラビン、シスプラチン、クラドリビン(ロイスタチン(Leustarin))、クロラムブシル(ロイケラン)、クルクミン、シクロスポリン、シクロホスファミド(Cyloxan、Endoxan、Endoxana、Cyclostin)、シタラビン、デニロイキンジフチトクス、デキサメタゾン、DT PACE、ドセタキセル、ドラスタチン10、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、アドリブラスチン)、ドキソルビシン塩酸塩、エンザスタウリン、エポエチンアルファ、エトポシド、エベロリムス(RAD001)、フェンレチニド、フィルグラスチム、メルファラン、メスナ、フラボピリドール、フルダラビン(フルダラ)、ゲルダナマイシン(17-AAG)、イホスファミド、イリノテカン塩酸塩、イクサベピロン、レナリドミド(Revlimid(登録商標)、CC-5013)、リンホカイン活性化キラー細胞、メルファラン、メトトレキセート、ミトキサントロン塩酸塩、モテクサフィンガドリニウム、ミコフェノール酸モフェチル、ネララビン、オブリメルセン(ゲナセンス) オバトクラックス(GX15-070)、オブリメルセン、オクトレオチド酢酸塩、オメガ-3脂肪酸、オキサリプラチン、パクリタキセル、PD0332991、ペグ化リポソームのドキソルビシン塩酸塩、ペグフィルグラスチム、ペントスタチン(Pentstatin)(ニペント(Nipent))、ペリフォシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、R-ロスコビチン(セリシクリブ(Selicilib)、CYC202)、組換えインターフェロンアルファ、組換えインターロイキン-12、組換えインターロイキン-11、組換えflt3リガンド、組換えヒトトロンボポエチン、リツキシマブ、サルグラモスチム、シルデナフィルクエン酸塩、シンバスタチン、シロリムス、スチリルスルホン、タクロリムス、タネスピマイシン、テムシロリムス(CCl-779)、サリドマイド、治療用の同種リンパ球、チオテパ、チピファルニブ、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブまたはPS-341)、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンクリスチン硫酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ボリノスタット(SAHA)、ボリノスタット、およびFR(フルダラビン、リツキシマブ)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、FCM(フルダラビン、シクロホスファミド、ミトキサントロン)、FCR(フルダラビン、シクロホスファミド、リツキシマブ)、ハイパーCVAD(多分割型シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、メトトレキセート、シタラビン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)、MCP(ミトキサントロン、クロラムブシルお
よびプレドニゾロン)、R-CHOP(リツキシマブとCHOP)、R-CVP(リツキシマブとCVP)、R-FCM(リツキシマブとFCM)、R-ICE(リツキシマブ-ICE)、ならびにR-MCP(R-MCP)が挙げられる。例えば、オキサリプラチンは、本出願の製剤と組み合わせて使用することができる。
【0127】
治療的処置は、幹細胞の移植または処置による前述の治療のいずれかで補充するか、またはそれらと組み合わせることができる。改変された手法の一例は、モノクローナル抗体がインジウムIn111、イットリウムY90、ヨウ素I-131などの放射性同位体粒子と組み合わされる放射免疫療法である。併用療法の例として、ヨウ素-131トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、イットリウム-90イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、Bexxar(登録商標)とCHOPが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
他の治療手順として、末梢血幹細胞移植、自家造血幹細胞移植、自家骨髄移植、抗体療法、生物学的療法、酵素阻害剤療法、全身照射、幹細胞注入、幹細胞サポートを伴う骨髄切除、in vitro処置型の末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、免疫酵素技術、薬理学的研究、低LETコバルト-60ガンマ線治療、ブレオマイシン、慣例的な外科手術、放射線療法、および骨髄非破壊的な同種造血幹細胞移植が挙げられる。
【0129】
本出願は、骨髄増殖性およびがんの処置において、製剤を単独でまたは1種もしくは複数の治療剤と組み合わせて提供する。本出願はまた、本明細書に記載の製剤(錠剤フォーマットでCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む)を、それを必要とする患者に投与することを含む、疾患を処置するための方法であって、疾患が、真性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、膵臓がん、転移性の膵臓の管腺癌、乳がん、結腸がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、およびEGFR変異した、EGFR TKI未処置の転移性NSCLCおよび転移性KRAS変異したNSCLCを含む、転移性NSCLCからなる群から選択される、方法も提供する。加えて、本出願は、それを必要とする患者に、本明細書に記載の製剤(錠剤フォーマットでCYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを含む)を投与すること、および1種または複数種の治療剤を、任意選択で投与することを含む、疾患を処置するための方法であって、1種または複数種の治療剤が、トラメチニブ、エルロチニブ、ゲムシタビン、nab-パクリタキセル、オキサリプラチン、カペシタビン、またはこれらの組合せからなる群から選択される、方法を提供する。
【0130】
以下の実施例は、本出願のある特定の態様を例示していることが理解される。実施例に示されている値およびパラメータは、妥当な変動の範囲内で改変されてもよく、様々な変化形が本出願の範囲内で行われてもよいこともまた理解される。
【実施例】
【0131】
(実施例1)
作製の方法
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)は、米国特許第8,486,941号およびPCT出願WO2012/071612に記載の通り合成することができる。
【0132】
CYT-0387二塩酸塩無水形態IからのCYT-0387二塩酸塩一水和物形態II
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩無水形態Iのメタノール中懸濁液に、モル過剰の水中塩酸を添加した。生じた固体を単離し、メタノールおよび水性の塩酸で洗浄して、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを生成した。
【0133】
CYT-0387遊離塩基からのCYT-0387二塩酸塩一水和物形態II
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)遊離塩基のメタノール中懸濁液に、モル過剰の濃塩酸を添加した。得られた懸濁液に、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩一水和物形態IIを任意選択で播種し、水を添加した。任意選択で播種したN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩一水和物形態IIは、上に記載されている通り調製し得る。生じた固体を単離し、メタノールおよび水性の塩酸で洗浄して、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを生成した。
【0134】
CYT-0387遊離塩基からのCYT-0387一塩酸塩無水形態I
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)遊離塩基のメタノール中懸濁液に、1.0モル当量の濃塩酸を添加した。生じた固体を単離し、メタノールで洗浄して、CYT-0387一塩酸塩無水形態Iを生成した。
【0135】
CYT-0387一塩酸塩無水形態IからのCYT-0387一塩酸塩無水形態III
CYT-0387一塩酸塩無水形態Iの懸濁液を、水/THF(30%水;v/v)中で撹拌する。生じた固体を単離し、水/THF混合物で洗浄して、CYT-0387一塩酸塩無水形態IIIを生成した。
【0136】
CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIからのCYT-0387一塩酸塩無水形態III
CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIの懸濁液をメタノール/水(30%水;v/v)中で撹拌する。生じた固体を単離し、メタノール/水混合物で洗浄して、CYT-0387一塩酸塩無水形態IIIを生成した。
【0137】
上記形態を、以下に記載されている手順を使用して、粉末X線回折パターン(XPPD)、示差走査熱量測定(DSC)、サーモグラフィー解析(TGA)、および動的蒸気吸着(DVS)を含めた、様々な分析技術により特徴付けた。
【0138】
粉末X線回折:XRPD分析は、銅放射線(CuKα、λ=1.5418Å)使用して回折計(PANanalytical XPERT-PRO、PANanalytical B.V.、Almelo、Netherlands)で行った。ゼロバックグランドプレートを備えたアルミニウムホルダーの中心に粉末状試料を堆積させることによって、分析用の試料を調製した。発電機を45kVの電圧および40mAのアンペア数で作動させた。使用したスリットは、Soller 0.02rad、抗分散1.0°、および発散であった。試料の回転速度は2secであった。スキャンを、2~40°2θで15minの間、0.0167°2θのステップサイズで実施した。データ分析は、X’Pert Highscoreバージョン2.2c(PANalytical B.V.、Almelo、Netherlands)およびX’Pertデータビューアーバージョン1.2d(PANalytical B.V.、Almelo、Netherlands)により実施した。
【0139】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのXRPDパターンが、
図5に表されている。
【0140】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのXRPDパターンが、
図6に表されている。
【0141】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのXRPDパターンが、
図7に表されている。
【0142】
様々なCYT-0387形態のXRPDピークは、上記表1に見出される。
【0143】
示差走査熱量測定:N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの熱特性を、示差走査熱量測定(DSC)装置(TA Q1000、TA Instruments、New
Castle、DE、USA)を使用して評価した。約5~10mgの固体試料を、各実験用のピンホールを開けた標準アルミニウム皿の中に配置し、50mL/minの窒素パージ下、10℃/minの速度で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。融解熱分析を吸熱性融解ピークのシグモイド積分により行った。
【0144】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのDSCが、
図8に表されている。
【0145】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのDSCが、
図9に表されている。
【0146】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのDSCが、
図10に表されている。
【0147】
熱重量分析:N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの熱重量分析(TGA)を、TGA装置(TAQ500、TA Instruments、New Castle、DE、USA)で実施した。約5~10mgの固体試料を各実験用に、開口したアルミニウム皿の中に配置し、60mL/minの窒素パージ下、10℃/minの速度で加熱した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。
【0148】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIについてのTGAが、
図11に表されている。
【0149】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IについてのTGAが、
図12に表されている。
【0150】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIについてのTGAが、
図13に表されている。
【0151】
動的蒸気吸着:N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIの吸湿性を、動的蒸気吸着(DVS)装置(TGA Q5000 TA Instruments、New Castle、DE)を使用して室温で評価した。水の吸着および脱離を、室温で、0~90%の範囲にわたる相対湿度(RH)の関数として検討した。チャンバー内の湿気を、初期レベルの50%RHから60%RHまで増加させ、固体と雰囲気が平衡に到達するまで保持した。平衡試験を、合格するまで継続し、さもなければ10時間後に終了した。この時点で、RHは、10%高く上昇し、このプロセスを、90%RHに到達して平衡化されるまで、繰り返した。この期間中、水の吸着をモニタリングした。脱離のために、相対湿度を類似の方式で低下させて、完全な吸着/脱離サイクルを測定した。すべての実験を、dm/dtモード(時間の経過による質量の変動)で作動させ、平衡化エンドポイントを決定した。約4mgの固体CYT-0387を使用した。データ分析を、Universal Analysis 2000バージョン4.7A(TA Instruments、New Castle、DE、USA)を使用して行った。
【0152】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIに対するDVSが、
図14に表されている。
【0153】
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(CYT-0387)二塩酸塩一水和物形態IIおよびN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドCYT-0387)一塩酸塩無水形態Iについての単結晶X線結晶構造解析データが、以下の表2に要約されている。結晶のさらなる特徴付けからのデータが、以下の表3に要約されている。
【表2】
【0154】
【0155】
本発明の様々な形態の顕微鏡画像を、Olympus偏光顕微鏡(BX-51、Olympus、Center Valley、PA、USA)を使用して取得した。試料を鉱油中に分散させ、530nm波長板を使用して交差偏光下で試験した(結果は示されていない)。
【0156】
(実施例2)
CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを、100mg、150mg、および200mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量で含む錠剤は、本明細書に記載される方法により調製することができる。CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを、100mg、150mg、200mg、250mg、および300mgのCYT-0387遊離塩基に相当する量で含む錠剤を調製した。以下の表4は、このような錠剤の製剤化を要約している。
【表4】
*0.75%粒内、0.75%粒外ステアリン酸Mg
【0157】
表4の錠剤製剤は、没食子酸プロピルを含み、この没食子酸プロピルは、CYT-0387形態IIの酸化的分解の程度またはレベルを低下させ、CYT-0387形態IIの安定性の増加をもたらした。これは、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIの分解の阻害または防止における異なる酸化防止剤の有望な効果を調査した研究から判定された。初期の研究において、3つの異なる作用機序の5種の酸化防止剤を試験した:フリーラジカルスカベンジャー酸化防止剤(没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT))、犠牲還元剤(アスコルビン酸)、および酸素捕捉剤(メタ重亜硫酸ナトリウム)。
【0158】
70%(v/v)50mM酢酸塩緩衝液(pH4.0)および30%(v/v)メタノール中に20μg/mLのCYT-0387二塩酸塩(dihydrochlorid)一水和物形態IIを含有する水溶液を、60℃で7日までの間、0.1%(w/v)酸化防止剤の不在下(対照として使用)および存在下でインキュベートした。0日目、5日目および7日目に、Zorbax SB-C8カラム(Phenomenex、Torrance、CA)を用いた逆相HPLCを使用して溶液を分析した。表7に示されているように、0.1%(w/v)のレベルでの没食子酸プロピル、BHA、またはアスコルビン酸の存在は、同じレベルでのBHTおよびメタ重亜硫酸ナトリウムと比べて、CYT-0387形態IIの分解を阻害または防止した。1パーセント未満のCYT-0387形態IIは、没食子
酸プロピルまたはBHAの存在下で劣化した。0.1%アスコルビン酸については、干渉により全部の分解生成物を判定することができなかったが、主要酸化分解生成物は観察されなかった(データは示されていない)。
【0159】
追加の研究では、より低い濃度である0.01%および0.001%(w/v)の没食子酸プロピル、BHA、およびアスコルビン酸のCYT-0387の安定性に対する効果を同じ条件下で試験した。これらの研究の結果が、表7に要約されている。結果は、0.01%(w/v)の酸化防止剤レベルにおいて、CYT-0387形態IIの増加した安定性が、没食子酸プロピルまたはアスコルビン酸の存在下で、60℃で7日まで観察されたことを示した。さらに、0.001%(w/v)酸化防止剤レベルにおいて、没食子酸プロピルの存在は、BHAおよびアスコルビン酸に比べて、CYT-0387の分解を低下させるか、または阻害した(表7)。これらの結果は、試験した酸化防止剤の中で、没食子酸プロピルが、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIの分解を阻害または防止するのに最も有効であることを示した。
【0160】
【表7】
a 製剤中に存在した不純物を含む
b N/A:入手不能
【0161】
次に、0%、0.2%、0.5%、または1.0%の没食子酸プロピルの存在下、25℃/60%RH(相対湿度)または40℃/75%RHで、6カ月までの間、CYT-0387形態IIを含む100mg錠剤製剤の安定性を試験した。分解プロファイルを0カ月目、1カ月目、3カ月目、および6カ月目で判定した。40℃/75%RHで、6カ月までの間の研究の結果を表8に要約した。結果は、40℃/75%RHで、0.2%の没
食子酸プロピルを有する、CYT-0387形態IIの100mgの錠剤製剤は、0%、0.5%または1.0%の没食子酸プロピルを有するCYT-0387形態IIの100mgの錠剤製剤と比較して、増加した安定性を呈したことを示した。25℃/60%RHでの研究の結果は、CYT-0387形態IIの分解がまた、0.2%、0.5%、および1.0%での没食子酸プロピルで減少したことを示した(データは示されていない)。25℃/60%RHでの分解プロファイルに対して観察された傾向は、40℃/75%RHで観察されたものと類似していた。すなわち、0%、0.5%、および1%没食子酸プロピルと比較して、錠剤製剤中のCYT-0387形態IIの増加した安定性が0.2%没食子酸プロピルにおいて観察された(データは示されていない)。これらを一緒に考えると、これらの結果は、これらの研究で試験した酸化防止剤およびそのパーセンテージの中で、0.2%での没食子酸プロピルが、CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIの安定性の最適な(optional)レベルを提供したことを示している。
【0162】
【0163】
(実施例3)
CYT-0387二塩酸塩一水和物形態II(100、150、200、および300mgの遊離塩基に相当する用量)を含む錠剤、ならびにCYT-0387二塩酸塩無水形態I(300mgの遊離塩基に相当する用量)を含むカプセル剤を、健康な対象の第1相単回用量研究において評価した。
【0164】
集中型PKおよびPDサンプリングを、投与後0.5時間から36時間まで行った。安全性を研究全体にわたりモニタリングした。混合効果モデルを使用したパラメトリック差異分析(ANOVA)を使用して、PKパラメータ(AUCおよびC
max)の自然対数変換にフィットさせた。AUCおよびC
maxに対して70%~143%の等価境界を使用して、100mg、150mg、200mgおよび300mgのCYT-0387二塩酸塩一水和物形態II錠剤と、300mgのCYT-0387二塩酸塩無水形態Iカプセル剤との幾何平均の比に対して90%信頼区間を構築した。薬物動態データが表5に表されている。
【表5】
【0165】
(実施例4)
CYT-0387は、骨髄線維症を処置するための、現在調査中のヤヌスキナーゼ1および2(JAK1/JAK2)の選択的小分子阻害剤である。この研究は、ヒトにおける放射標識したCYT-0387の質量バランス/回復、代謝物プロファイル、薬物動態、および安全性を評価した。
【0166】
6人の健康な個人(対象)に、約100μCiの[14C]-CYT-0387を含有する200mgのCYT-0387の単回経口投与を行った。最長21日まで、または2つの連続した試料の血漿放射能が検出境界を下回るまで、もしくは尿および糞便サンプリングを中断するまで、血液試料を収集した。尿/糞便試料は、21日まで、または≧90%の投与された用量が糞便および尿の中で回収されるまで、および2つの連続したサンプリング間隔における放射能が投与された用量の≦1%となるまで収集した。LC-MS/MSを使用して、CYT-0387および代謝物の血漿中濃度を測定し、全放射能を液体シンチレーションカウンティングで評価した。選択された尿試料、糞便試料、および血漿試料で代謝物プロファイリングを実施した。安全性評価を研究全体にわたり実施した。
【0167】
結果:CYT-0387は十分に許容された。研究の中断につながる等級3または4のAE、SAE、またはAEは報告されなかった。最も頻繁に報告されたAEはめまい、頭痛、および悪心であった。血漿中の最大濃度の薬物由来放射能が投与後2.5時間に観察された。血液中と血漿中との濃度比の平均値は、投与後24時間全体にわたり0.7~0.9の範囲であり、放射能の血液細胞との低い関連を示している。放射能の全回収率は96.7%であった(糞便:69.3%;尿:27.5%)。循環している放射能は、主に代謝物M21(64.2%)、CYT-0387(17.3%)、および代謝物(M8:
5.8%;代謝物M19:5.2%;M5:2.7%;M28:2.5%;およびM20:2.3%)からなった。糞便に排泄された主構成成分は、CYT-0387(用量の12.6%)および他の代謝物(M21:用量の12.7%;共溶出するM19/M33:用量の7.1%)と共にM14(用量の21.4%)であった。糞便の中の残りの特定された10種の代謝物は、それぞれ用量の5%未満を占めた。尿の中で、代謝物M21は、主要の種(用量の11.5%)であり、低レベルの微量な代謝物が観察された。
【0168】
健康な対象における経口投与後、[14C]-CYT-0387は、代謝物と変化していない親薬物の組合せとして、糞便の中に主に排除された。
【0169】
(実施例5)
CYT-0387は、ヤヌスキナーゼ1および2(JAK1/JAK2)の選択的小分子阻害剤であり、骨髄線維症を処置するために現在調査中である。骨髄線維症患者の第1/2相の研究において、300mgのCYT-0387カプセル剤1日1回が、好ましい利益:リスクプロファイルに基づく第3相用量として選択された。即時放出性錠剤製剤(CYT-0387錠剤)をさらなる臨床評価のために開発した。CYT-0387錠剤とカプセル剤との相対的バイオアベイラビリティーをこの研究で評価して、CYT-0387錠剤の第3相の用量を特定した。
【0170】
単回用量後のCYT-0387錠剤(100~300mg)対カプセル剤(300mg)の薬物動態(PK)を健康な対象において評価した。治療用量を超える用量(400および800mg)でのCYT-0387錠剤PKもまた、摂食状態および絶食状態下で、および酸抑制剤(すなわち、オメプラゾール)を用いて評価した。集中的なPKサンプリングを、投与後36時間まで行った。安全性を研究全体にわたりモニタリングした。混合効果モデルを使用するパラメトリック差異分析(ANOVA)を使用して、PKパラメータ(AUCおよびCmax)の自然対数変換にフィットさせた。AUCおよびCmaxに対して70%~143%の等価境界を使用して、100mg、150mg、200mgおよび300mgのCYT-0387錠剤PKと、300mgのCYT-0387カプセル剤との幾何平均の比に対して90%信頼区間を構築した。類似の手法を使用して、食物およびオメプラゾールの効果を評価した。
【0171】
200mgのCYT-0387錠剤は、300mgのCYT-0387カプセル剤に相当する血漿曝露を提供した(表6)。CYT-0387血漿曝露は、用量比例的より低く100から800mgへと増加した。低脂肪および高脂肪の食事を摂取すると、CYT-0387錠剤についてCmax(低脂肪および高脂肪の食事に対してそれぞれ38%および28%増加)およびAUCinf(低脂肪および高脂肪の食事に対してそれぞれ16%および28%増加)が穏やかに増加した。オメプラゾールは、CYT-0387錠剤の曝露を、Cmaxについて36%およびAUCinfについて33%減少させた。これらの差異は、臨床的に関連するとは考えられなかった。
【0172】
200mgのCYT-0387錠剤は、300mgのCYT-0387カプセル剤に相当する曝露を提供する。CYT-0387錠剤の血漿曝露は、用量比例的な方式より低く増加した。食物または酸抑制剤の臨床的に関連する効果はCYT-0387錠剤PKについては観察されなかった。
【表6】
%CV=変動係数(%);CI=信頼区間;データは必要に応じて丸め、有効数字3桁として示されている
【0173】
(実施例6)
本実施例は、M14(化合物3)、M8(化合物4)、M20(化合物12)、M21(化合物13)、化合物8および化合物10の調製について記載した。
【0174】
フラスコに4-(2-クロロピリミジン-4-イル)安息香酸(3.0g、12.8mmol)、4-モルホリノアニリン(morpholonoaniline)(2.7g、14.0mmo
l、1.1当量)、およびNMP(30mL)を充填した。得られた溶液を120℃で撹拌した。完了したら、反応物を冷却し、30mLの水性NaHCO
3を添加した。得られたスラリーを濾過し、水ですすぎ、真空下、45℃で乾燥させて、以下の構造を有する4-(2-((4-(3-オキソモルホリノ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)安息香酸(化合物3)を得た:
【化6】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 13.21 (s, 1H), 9.85 (s, 1H), 8.62 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 8.2
Hz, 2H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.49 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 4.19 (s, 2H), 3.98 (m, 2H), 3.71 (m, 2H)
【0175】
フラスコに、化合物3(1.0g、2.43mmol)、TBTU(1.0g、3.15mmol、1.3当量)、グリシンアミド塩酸塩(0.32g、1.2当量)、DMSO(9mL)およびi-Pr
2NEt(0.65g、2.92mmol、1.2当量)を充填した。反応が完了したら、水(7.7mL)を添加し、得られたスラリーを濾過し、DMSO/水(2:1)および水ですすいだ。単離した固体を10mLのMeOH中で再スラリー化し、濾過し、MeOHで洗浄し、真空オーブン内、45℃で乾燥させて、以下の構造を有するN-(2-アミノ-2-オキソエチル)-4-(2-((4-(3-オキソモルホリノ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物4)を得た:
【化7】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.83 (s, 1H), 8.81 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.60 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.27 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.05
(d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.85 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.41 (bs, 1H), 7.32 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.06 (bs, 1H), 4.19 (s, 2H), 3.98 (m, 2H), 3.85 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 3.72 (m,
2H);HRMS(ESI+):C
23H
23N
6O
4[M+H]
+の計算値:447.
18、実測値:447.19。
【0176】
{4-[(シアノメチル)カルバモイル]フェニル}ボロン酸(4.2g、20.6mmol)、2,4-ジクロロピリミジン(4.3g、28.8mmol)、炭酸カリウム(2.8kg、20.6mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとの錯体(1:1)(84mg、0.10mmol)の、アセトニトリル(21mL)および水(11mL)中の懸濁液に、N
2を30分間スパージした。反応が完了するまで、混合物を75℃に加熱した。混合物を60℃に冷却し、層を分離した。N-アセチルシステイン水溶液(6mL)を添加し、これに続いて水(15mL)を添加した。混合物を20℃に冷却した。固体を濾過し、H
2O/CH
3CN(3:1)で洗浄し、50℃で乾燥させることによって、以下の構造を有する4-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミドを得た:
【化8】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 4.36 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 8.05 (m, J = 8.5 Hz, 2H), 8.24 (d, J = 5.3 Hz, 1H), 8.32 (m, J = 8.5 Hz,
2H), 8.89 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 9.39 (t, J = 5.5 Hz, 1H).
HRMS(ESI+):C
13H
10ClN
4O[M+1]の計算値:273.15、実測値273.25。
【0177】
フラスコに、4-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミド(6.7g、24.6mmol)、2-((4-アミノフェニル)アミノ)エタノール(7.5g、49.3mmol、2.0当量)、i-Pr
2NEt(4.8g、36.9mmol、1.5当量)、およびDMSO(20mL)を充填した。得られた溶液を100℃で撹拌した。反応が完了したら、溶液を20℃に冷却し、次いで135mLの水に添加した。得られたスラリーを濾過し、70mLの水ですすいだ。固体をi-PrOH(70mL)中で再スラリー化した。得られたスラリーを濾過し、i-PrOHですすいだ。固体を真空下で乾燥させ、30mLのTHFに溶解し、50℃に加熱した。水(85mL)をゆっくりと充填し、スラリーを20℃に冷却した。生じた固体を濾過で単離し、THF/水(1:3)および水ですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有するN-
(シアノメチル)-4-(2-((4-((2-ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物8)を得た:
【化9】
1H NMR (DMSO-d
6): 9.33 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 9.24 (s, 1H), 8.48 (d,
J = 5.1 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.58
(d, J = 8.9 Hz, 2H), 5.20 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 4.66 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 3.57 (q, J = 5.8 Hz, 2H),
3.08 (q, J = 5.8 Hz, 2H);HRMS(ESI+):C
21H
21N
6O
2[M+1]の計算値:389.17、実測値:389.27。
【0178】
フラスコに、4-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミド(4.0g、14.7mmol)、フェニレンジアミン(3.2g、29.3mmol、2.0当量)、i-Pr
2NEt(2.9g、22.1mmol、1.5当量)、およびDMSO(12mL)を充填した。得られた溶液を60℃で撹拌した。反応が完了したら、混合物を20℃に冷却し、次いで50mLの水に添加した。生成したスラリーを濾過し、水ですすぎ、これに続いてi-PrOHですすいだ。固体をi-PrOH(50mL)中で再スラリー化し、濾過し、i-PrOHですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有する4-(2-((4-アミノフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミド(化合物10)を得た:
【化10】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.33 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 9.21 (s, 1H), 8.47 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.24 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.01
(d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.78 (bs, 2H), 4.36 (d, J = 6.4 Hz, 2H);HRMS(ESI+):C
19H
17N
6Oの計算値[M+H]:345.15、実測値345.28。
【0179】
フラスコに、4-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミド(4.0g、14.7mmol)、4’-アミノアセトアニリド(2.6g、17.6mmol、1.2当量)、i-Pr
2NEt(2.9g、22.1mmol、1.5当量)、およびDMSO(12mL)を充填した。得られた溶液を120℃で撹拌した。反応が完了したら、混合物を20℃に冷却し、MeOH(30mL)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを濾過し、MeOHですすいだ。固体を40mLのMeOH中で再スラリー化し、濾過し、MeOHですすぎ、40℃で乾燥させて、以下の構造を有する4-(2-((4-アセトアミドフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-N-(シア
ノメチル)ベンズアミド(化合物12)を得た:
【化11】
1H NMR (DMSO-d
6): 9.82 (s, 1H), 9.64 (s, 1H), 9.33 (t, J = 5.5 Hz,
1H), 8.57 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.1 Hz, 2H), (8.04,
J = 8.5 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 2.03
(s, 3H);HRMS(ESI+):C
21H
19N
6O
2[M+1]の計算値:387.16、実測値:387.28。
【0180】
4-(2-クロロピリミジン-4-イル)-N-(シアノメチル)ベンズアミド(2.0g、7.2mmol)、4-(4-アミノフェニル)モルホリン-3-オン(1.4g、7.2mmol)および二塩化亜鉛(98mg、0.72mmol)のN-メチルピロリジノン(10mL)中の混合物を、N
2で10分間スパージし、次いで、反応が完了したとみなされるまで90℃に加熱した。混合物を50℃に冷却し、次いで、この反応混合物に水(15mL)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを20℃に冷却し、固体を濾過し、水ですすぎ、乾燥させた。固体を15mLのDMSOに溶解し、50℃に加熱した。メタノール(25mL)を混合物に添加し、次いで20℃に冷却した。生じた固体を濾過し、MeOHですすぎ、真空下、60℃で乾燥させて、以下の構造を有するN-(シアノメチル)-4-(2-{[4-(3-オキソモルホリン-4-イル)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(化合物13)を得た:
【化12】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 9.83 (s, 1H), 9.34 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 8.62 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.30 (m, J = 8.6 Hz, 2H), 8.04 (m, J = 8.6 Hz, 2H), 7.85 (m, J = 8.9 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.33 (m, J = 8.9 Hz, 2H), 4.36 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 4.20 (s, 2H), 3.98 (dd, J = 5.9, 4.19 Hz, 2H), 3.62 - 3.79 (m, 2H).
HRMS(ESI+):C
23H
21N
6O
3[M+1]の計算値:429.17、実測値:429.0。
【0181】
(実施例7)
この研究は、HepG2細胞、肝細胞癌細胞株中のヘプシジン産生に対するCYT-0387の効果を特徴付けた。骨形態形成タンパク質(BMP)は、構成的に活性のあるII型BMP受容体キナーゼ(BMPR-キナーゼ)とI型BMPR-キナーゼとの連結を促進することによって、肝細胞中のヘプシジンの転写誘導に関与していることが示されている(Andriopoulosら、Nat Genet、2009年、41巻(4号):482~7頁;Zhaoら、J Clin Invest、2013年、123巻(6号):2337~43頁)。これは、
結果としてI型BMPR-キナーゼのリン酸化および活性化を生じ、それに続くイフェクターSMADタンパク質(SMAD1/5/8)のダウンストリーム活性化、それに続くSMAD4と共同での核転送を生じる(Wrana、Cold Spring Harb Perspect Biol、
2013年、5:a011197)。
【0182】
1%FBSの存在下で、HepG2細胞をCYT-0387(0μM~10μMの範囲)と共に2時間プレインキュベートし、次いで10ng/mLのBMP6で6時間刺激した。全RNAを細胞から単離し、qRT-PCRによりヘプシジンのレベルについて分析した。GUSB(グルクロニダーゼ、ベータ)をハウスキーピング対照として使用して、qRT-PCRで測定したレベルを正規化した。ヘプシジン倍数変化誘導のパーセンテージを計算し(100%は、ビヒクル処理された細胞中のヘプシジン誘導と等しい)、表9に要約した。結果は、CYT-0387がBMP6媒介性ヘプシジン誘導の用量依存性阻害をもたらすことを示した。
【0183】
HepG2細胞を、1%FBSの存在下、濃度を次第に上げたCYT-0387(0.02から10μMのCYT387)と共に2時間プレインキュベートし、次いで10ng/mLのBMP6で30分間刺激した。溶解した細胞からタンパク質を抽出し、ホスホ-SMAD1(Ser463/465)、ホスホ-SMAD5(Ser463/465)およびホスホ-SMAD8(Ser465/467)およびβ-アクチンに対して特異的な抗体を用いて、免疫ブロット分析を使用して分析した。デンシトメトリーソフトウエア(Image Studio)を使用して生のホスホ-SMAD1/5/8レベルを定量化し、β-アクチンレベルに対して正規化した。ホスホ-SMAD1/5/8レベルのパーセンテージを計算し(100%は、10ng/mLのBMP6で刺激した、ビヒクル処理した細胞のホスホ-SMAD1/5/8レベルと等しい)、表9に要約した。結果は、CYT-0387がBMP6媒介性ホスホ-SMAD1/5/8レベルの用量依存性阻害をもたらすことを示した。
【0184】
【表9】
a n=2の平均誘導。
b SD:標準偏差。
c n=6の平均誘導。
【0185】
加えて、生化学的結合アッセイ(DiscoveRx)およびin vitro酵素阻
害アッセイ(LanthaScreen、Life Technologies)を行って、CYT-0387のI型BMPR-キナーゼ(ALK2、ALK3、およびALK6)に対する結合親和性および阻害活性を判定した。トランスフォーミング成長因子ベータ受容体1(TGFBR1、ALK5)を対照として使用して、I型BMPR-キナーゼに対する選択性を判定した。結果は表10に要約されており、CYT-0387は、ALK3と比較して、ALK2およびALK6に対してより高い親和性および阻害性活性を有することを示した。
【0186】
【表10】
a AVG:n=3の平均値。
b SD:標準偏差。
【0187】
(実施例8)
転移性の非小細胞肺がん(NSCLC)または転移性の膵臓の管腺癌(PDA)の処置に対するCYT-0387製剤の効果を調べるために研究を行う。1つの研究では、白金ベースの化学療法に失敗した、転移性のカーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)変異したNSCLCを有する患者に、28日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、CYT-0387製剤を単独で、トラメチニブを単独で、またはCYT-0387とトラメチニブの組合せを投与する。CYT-0387製剤(CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、00mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができ、トラメチニブ(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H)-イル}フェニル)アセトアミドという化学名で言及することもできる)は、1日1回、0.5mg、1mg、または2mgの用量で経口投与することができる。研究には、KRAS-変異した転移性または再発性の非小細胞肺がんを有する患者が加わり、これらの患者は、RECIST v1.1、およびEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusの0または1として測定可能病変を有し、白金ベースの化学療法での以前の処置、または2つのラインまでの以前の化学療法を受けたことがある。
【0188】
別の研究では、上皮成長因子受容体(EGFR)変異した、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)未処置の転移性NSCLCを有する患者に、28日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、エルロチニブを単独でまたはCYT-0387とエルロチニブの組合せを投与する。CYT-0387製剤(CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができ、そしてエルロチニブ(N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)4-キナゾリンアミンという化学名で言及することもできる)は、1日1回、25mg、100mg、または150mgの用量で経口投与することができる。この研究には、Easte
rn Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusの0、1、または2を有する、以前の処置も白金ベースの化学療法も受けたことがない、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21(L858R)置換突然変異を有する転移性NSCLCを有する患者が加わる。
【0189】
追加の研究では、再発性または不応性の転移性の膵臓の腺癌を有する患者に、21日間の少なくとも1回の処置サイクルの間、カペシタビンとCYT-0387(CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで有する)の組合せ、またはオキサリプラチン、カペシタビン、およびCYT-0387の組合せを投与する。CYT-0387製剤(CYT-0387二塩酸塩一水和物形態IIを錠剤フォーマットで含み得る)は、1日1回または2回、100mg、150mg、200mg、250mg、または300mgの用量で経口投与することができる。カペシタビン(ペンチル[1-(3,4-ジヒドロキシ-5-メチルテトラヒドロフラン-2-イル)-5-フルオロ-2-オキソ-1H-ピリミジン-4-イル]カルバメートの化学名で言及することもできる)は、1日2回14日間、これに続き7日間の休みを入れて、処置終了まで経口投与することができる。オキサリプラチン([(1R,2R)-シクロヘキサン-1,2-ジアミン](エタンジオアト-O,O’)白金(II)の化学名で言及することもできる)は、21日間の処置サイクルのそれぞれの1日目に120分間にわたり静脈内に投与することができる。患者は、再発性または不応性の転移性の膵臓の腺癌を有し、RECISTv1.1およびEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Statusに従って0または1の測定可能病変を有し、ゲムシタビン含有レジメンを用いた以前の処置を受けたことがある。
【0190】
研究は、様々な処置時点において、Response Evaluation Criteria In Solid Tumor(固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)(RECIST)v1.1により評価される、安全性、毒性、耐性、完全奏効(CR)もしくは部分奏効(PR)もしくは不変(SD)、全生存期間(すなわち、処置から何らかの原因による死亡までの間)、無増悪生存期間(すなわち、研究の最初の投与日からRECIST基準v1.1に基づく死亡または明確な疾患進行の最初の考証までの間)、および/または全応答率(すなわち、完全奏効または部分奏効を達成している患者の割合)を含むが、これらに限定されないいくつかの因子をモニタリングする。
【0191】
本出願に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物を含む参考文献のそれぞれは、これらのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。さらに、発明の上記教示において、当業者であれば、本発明に対して特定の変更または変化形を行うことができ、これらの均等物は、依然として本出願添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。本出願に引用されたすべての特許、特許出願および刊行物を含む参考文献のそれぞれは、これらのそれぞれが個々に組み込まれているかのように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。さらに、発明の上記教示において、当業者であれば、本発明に対して特定の変更または変化形を行うことができ、これらの均等物は、依然として本出願添付の特許請求の範囲で規定された本発明の範囲内にあることが理解されるであろう。
【0192】
本発明の好ましい実施形態においては、例えば、以下が提供される。
(項1)
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態II;
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態I;および
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-
イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態III
からなる群から選択される化合物。
(項2)
結晶形態である、上記項1に記載の化合物。
(項3)
前記結晶形態は、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIである、上記項1から2に記載の結晶形態。
(項4)
結晶が、T=100°Kにおいて、a=10.2837(6)Å、b=10.4981(6)Å、c=11.5143(7)Å、α=83.297(2)°、β=87.649(2)°、γ=67.445(2)°の単位格子パラメータ、および三斜晶P-1空間群を有する、上記項3に記載の結晶形態。
(項5)
図5に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項6)
約7.7°、19.3°、24.0°、25.7°、および29.6°2-θ±0.2°2-θにおいてピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項7)
図8に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項8)
図14に実質的に示されている動的蒸気吸着(DVS)パターンによって特徴付けられる、上記項3に記載の結晶形態。
(項9)
前記結晶形態は、結晶性のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態Iである、上記項2に記載の結晶形態。
(項10)
図6に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項11)
約13.5°、20.9°、26.1°、26.6°、および28.3°2-θ±0.2°2-θにおいてピークを有する粉末X線回折(「XRPD」)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項12)
図9に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項9に記載の結晶形態。
(項13)
前記結晶形態は、結晶性のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩無水形態IIIである、上記項2に記載の結晶形態。
(項14)
図7に実質的に示されている粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項15)
約12.7°、14.6°、17.8°、19.7°、および23.3°2-θ±0.2°2-θにおいてピークを有する粉末X線回折(「PXRD」)パターンによって特徴
付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項16)
図10に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンによって特徴付けられる、上記項13に記載の結晶形態。
(項17)
上記項1から16のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
(項18)
上記項1に記載の化合物が、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIである、上記項17に記載の医薬組成物。
(項19)
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物形態IIが、50mg、100mg、150mg、または200mgの遊離塩基N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドに相当する量で存在する、上記項17から18に記載の医薬組成物。
(項20)
錠剤の形態である、上記項17から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項21)
単回経口投与後、
260~405ng/mLのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの範囲のC
max、
2,057~3,214ng・hr/mLのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの範囲のAUC
inf、または
260~405ng/mLのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの範囲のC
maxと、2,057~3,214ng・hr/mLのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの範囲のAUC
infの両方
を提供する、上記項17から20のいずれかに記載の医薬組成物。
(項22)
単回経口投与後、300mgの遊離塩基N-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドに相当する量でN-(シアノメチル)-4-(2-(4-モルホリノフェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩無水形態Iを含む剤形と実質的に類似の薬物動態プロファイルを提供する、上記項21に記載の医薬組成物。
(項23)
必要とする対象に、有効量の上記項18に記載の医薬組成物を投与することを含む、ヤヌスキナーゼ(JAK)に関連する疾患の処置のための方法であって、前記疾患が、骨髄増殖性疾患が真性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、全身性肥満細胞症(SM)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄異形成症候群(MDS)および全身性肥満細胞疾患(SMCD)からなる群から選択される上記項31の方法からなる群から選択される骨髄増殖性疾患である、方法。