(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】円筒形電池および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01M 50/56 20210101AFI20240905BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M50/56
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/179
H01M50/184 D
H01M50/186
H01M50/188
H01M50/548 201
H01M50/567
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022204667
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】202210615465.2
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100134245
【氏名又は名称】本澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】單 雪燕
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-510143(JP,A)
【文献】特開2001-176495(JP,A)
【文献】特開2005-056649(JP,A)
【文献】中国実用新案第215578674(CN,U)
【文献】中国実用新案第216085066(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形側壁および前記側壁に接続された端壁を含み、前記端壁が第1スルーホールを備えたケースと、
第2スルーホールを含み、前記第1スルーホールを貫通して、前記ケースに固定された電極端子と、
前記ケースと前記電極端子との間に配置され、前記ケースと前記電極端子とを絶縁する絶縁素子と、
前記ケース内に配置され、凸起を含み、前記凸起が、前記第2スルーホールに延伸し、前記第2スルーホールの内壁に固定して接続された接続片と、
前記第2スルーホールに密閉して固定されたシーリングネイルと、
を含み
、
前記第2スルーホールが、前記ケースの内側から前記ケースの外側に向かう方向に沿って順番に配置された直通部および第1凹部を含み、前記シーリングネイルが、前記第1凹部と嵌め合うカバー部を含み、
前記シーリングネイルが、さらに、プラグ部を含み、前記プラグ部が、前記直通部と嵌め合う円筒形電池。
【請求項2】
前記第1凹部の側壁および前記第1凹部の底面が、鈍角で、直角に、または丸みを帯びた角で配置された請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項3】
前記シーリングネイルに面する前記凸起の表面が、前記第1凹部の底面を超えない請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項4】
前記接続片から離れた方に面する前記シーリングネイルの表面が、前記ケースの外側にある前記電極端子の端面を超えない請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項5】
前記カバー部が、溶接によって前記第1凹部の底面に固定された請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項6】
前記接続片から離れた方に面する前記カバー部の表面が、溝を含む請求項
5に記載の円筒形電池。
【請求項7】
前記シーリングネイルに面する前記凸起の表面が、前記ケースの前記端壁から突出した請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項8】
前記凸起が、第3スルーホールを含み、前記第3スルーホールが、前記第2スルーホールと連通した請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項9】
前記電極端子が、制限部および接続部を含み、前記制限部が、前記ケースの外側に設置され、前記接続部が、前記第1スルーホールを貫通し、前記第2スルーホールが、前記接続部を貫通した請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項10】
前記接続部の直径が、D
0であり、前記第2スルーホールの直径が、D
1であり、0.5D
0<D
1<0.8D
0である請求項
9に記載の円筒形電池。
【請求項11】
前記円筒形電池が、さらに、シーリング素子を含み、前記シーリング素子が、前記接続部の周りに配置され、前記シーリング素子の少なくとも一部が、前記制限部と前記ケースの前記端壁の間に設置された請求項
9に記載の円筒形電池。
【請求項12】
前記シーリングネイルに面する前記凸起の一端が、溶接により前記第2スルーホールの前記内壁に固定された請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項13】
前記第2スルーホールが、さらに、第2凹部を含み、前記第2凹部が、前記直通部と前記第1凹部の間に設置され、前記シーリングネイルに面する前記凸起の一端が、前記第2凹部にリベット接合され、固定された請求項
1に記載の円筒形電池。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の前記円筒形電池を含む電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の技術分野に関するものであり、特に、円筒形電池および電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー密度、高安全性、および低コストといった利点を有するため、大型円筒形電池は、新しいエネルギー車用動力電池の重要な研究方向の1つとなっている。例えば、4680系列の大型円筒形電池は、現在、主に動力電池に使用されており、優れた安全性と経済性を有し、使用中に変形することがなく、非常に信頼性のある標準システムを有する。現在、大型円筒形電池は、主に、ケース、電極組み立て体、カバープレート、および電極端子を含む。ケースの第1端は、開口状になっており、第2端の端面にスルーホールが配置される。電極組み立て体は、ケース内に配置され、電極組み立て体の第1タブは、ケースの第1端に面し、電極組み立て体の第2タブは、ケースの第2端に面する。負極カバープレートは、ケースの第1端に密封で配置される。電極端子の少なくとも一部は、スルーホールを貫通し、電極組み立て体のタブに電気接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術において、大型円筒形電池は、さらに、接続片を含み、接続片は、タブと電極端子の間を電気接続するために使用される。接続片および電極端子は、通常、トルク溶接またはレーザー溶接によって溶接される。トルク溶接は、電極組み立て体の内側で溶接しなければならず、溶接空間が限定されるため、溶接操作に不便である。レーザー溶接は、ケースの外側で行われる。電極端子は厚さが大きいため、溶接エネルギーを制御するのが難しく、溶接効果が悪い。
【0004】
そのため、従来の技術に存在する問題を解決することのできる円筒形電池を早急に提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
目的を達成するため、本発明は、以下の技術方案を採用する。
【0006】
第1の態様において、円筒形電池を提供する。円筒形電池は、以下を含む。
円筒形側壁および側壁に接続された端壁を含み、端壁に第1スルーホールが配置されたケースと、
第2スルーホールを含み、第1スルーホールを貫通して、ケースに固定された電極端子と、
ケース内に配置され、凸起を含み、凸起が第2スルーホールに延伸し、凸起が第2スルーホールの内壁に固定して接続された接続片と、
第2スルーホールに密閉して固定されたシーリングネイル。
【0007】
円筒形電池の選択的方案として、第2スルーホールは、ケースの内側からケースの外側に向かう方向に沿って順番に配置された直通部および第1凹部を含み、シーリングネイルは、カバー部を含み、カバー部は、第1凹部に嵌め合う。
【0008】
円筒形電池の選択的方案として、シーリングネイルは、さらに、プラグ部を含み、プラグ部は、直通部に嵌め合う。
【0009】
円筒形電池の選択的方案として、第1凹部の側壁および第1凹部の底面は、鈍角で、直角に、または丸みを帯びた角で配置される。
【0010】
円筒形電池の選択的方案として、シーリングネイルに面する凸起の表面は、第1凹部の底面を超えない。
【0011】
円筒形電池の選択的方案として、接続片から離れた方に面するシーリングネイルの表面は、ケースの外側にある電極端子の端面を超えない。
【0012】
円筒形電池の選択的方案として、カバー部は、第1凹部の底面に溶接され、固定される。
【0013】
円筒形電池の選択的方案として、接続片から離れた方に面するカバー部の表面に、溝が配置される。
【0014】
円筒形電池の選択的方案として、シーリングネイルに面する凸起の表面は、ケースの端壁から突出する。
【0015】
円筒形電池の選択的方案として、凸起は、第3スルーホールを含み、第3スルーホールは、第2スルーホールと連通する。
【0016】
円筒形電池の選択的方案として、電極端子は、制限部および接続部を含み、制限部は、ケースの外側に設置され、接続部は、第1スルーホールを貫通し、第2スルーホールは、接続部を貫通する。
【0017】
円筒形電池の選択的方案として、接続部の直径は、D0であり、第2スルーホールの直径は、D1であり、0.5D0<D1<0.8D0である。
【0018】
円筒形電池の選択的方案として、円筒形電池は、さらに、シーリング素子を含み、シーリング素子は、接続部の周りに配置され、シーリング素子の少なくとも一部は、制限部とケースの端壁の間に設置される。
【0019】
円筒形電池の選択的方案として、シーリングネイルに面する凸起の一端は、第2スルーホールの内壁に溶接され、固定される。
【0020】
円筒形電池の選択的方案として、第2スルーホールは、さらに、第2凹部を含み、第2凹部は、直通部と第1凹部の間に設置され、シーリングネイルに面する凸起の一端は、第2凹部にリベット接合され、固定される。
【0021】
第2の態様において、例示した円筒形電池を含む電子デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0022】
有益な効果は、以下の通りである。
【0023】
本発明の円筒形電池は、ケース、電極端子、接続片、およびシーリングネイルを含む。ケースは、円筒形側壁および側壁に接続された端壁を含み、端壁に第1スルーホールが配置される。電極端子は、第2スルーホールを含み、電極端子は、第1スルーホールを貫通する。接続片は、ケース内に配置され、接続片は、凸起を含み、凸起は、第2スルーホールに延伸し、凸起は、第2スルーホールの内壁に固定して接続される。シーリングネイルは、第2スルーホールに密閉して固定される。円筒形電池において、第2スルーホールを電極端子に形成し、凸起を接続片に配置するため、凸起を第2スルーホールの内壁に固定して接続することができ、その後、シーリングネイルで第2スルーホールを密封することによって、電極端子の密封性が保証される。
【0024】
本発明によって提供される電子デバイスは、円筒形電池を適用することによって高い安全性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0026】
【
図1】本発明の1つの実施形態が提供する円筒形電池の例の概略的構造図である。
【
図2】
図1の電池の端部の組み立て状態の断面図である。
【
図6】
図2のシーリングネイルの構造概略図である。
【
図7】本発明の1つの実施形態が提供する円筒形電池の別の例の概略的構造図である。
【
図8】
図7の電池の端部の組み立て状態の断面図である。
【
図12】
図8のシーリングネイルの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面と実施形態を組み合わせて、本発明をさらに詳しく説明する。理解すべきこととして、下記の特定の実施形態は、単に本発明を説明するためのものであって、限定するためのものではない。また、注意すべきこととして、説明を便利にするため、図面は、本発明に関する全ての構造ではなく、いくつかの構造のみを示している。
【0028】
本発明の説明において、特に明確に規定および限定されていなければ、用語「接続」、「連結」、および「固定」は、広い意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、接続は、固定された接続、取り外し可能な接続、または一体型であってもよく、機械的な接続または電気的な接続であってもよく、直接接続されても、中間の媒介を介して間接的に接続されてもよく、2つの要素間の内部接続あるいは2つの要素間の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本発明における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0029】
本発明の説明において、特に明確に規定および限定されていなければ、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」に配置されることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触することを含んでもよく、またはこれらが直接接触するのではなく、追加の特徴を介して第1の特徴と第2の特徴が間接的に接触することを含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上方」、「上部」、および「上」に配置されることは、第1の特徴が第2の特徴の直上および斜め上方に配置されることを含んでもよく、または第1の特徴が単に第2の特徴より高いレベルにあることを意味してもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下方」、「下部」、および「下」に配置されることは、第1の特徴が第2の特徴の直下および斜め下方に配置されることを含んでもよく、または第1の特徴が単に第2の特徴より低いレベルにあることを意味してもよい。
【0030】
本発明において、用語「上」、「下」、「左」、「右」、および他の方位または位置関係は、添付の図面に示す方位または位置関係に基づいたものであり、これらの用語は、説明を便利に行うために、または操作を簡易化するために使用されるものであり、指定された装置または部品が特定の方位にあり、特定の方位において構造され操作されることを指示または暗示するものではないため、本発明に対する限定として理解すべきではない。また、「第1」および「第2」は、説明を区別するために使用されるものであり、特別な意味を持たない。
【0031】
図1は、本発明の1つの実施形態が提供する円筒形電池の例の概略的構造図を示したものである。
図2は、
図1の電池の端部の組み立て状態の断面図を示したものである。
図3は、
図1の電池の端部の拡大概略図を示したものである。
図1および
図3に示すように、本実施形態は、ケース100、電極端子200、接続片300、およびシーリングネイル400を含む円筒形電池を提供する。ケース100は、円筒形側壁および側壁に接続された端壁を含み、端壁に第1スルーホール101が配置される。電極端子200は、第2スルーホール204を含み、第1スルーホール101を貫通する(
図3を参照)。接続片300は、ケース100内に配置され、接続片300は、凸起301を含む。凸起301は、第2スルーホール204に延伸し、凸起301は、第2スルーホール204の内壁に固定して接続される。シーリングネイル400は、第2スルーホール204に密閉して固定される。円筒形電池において、第2スルーホール204を
電極端子200に形成し、凸起301を接続片300に配置するため、凸起301を第2スルーホール204の内壁に固定して接続することができ、その後、シーリングネイル400で第2スルーホール204を密封することによって、電極端子200の密封性が保証される。
【0032】
選択的に、溶接によって凸起301を第2スルーホール204の内壁に固定してもよい。例えば、突合せ溶接によってシーリングネイル400に面する凸起301の一端の外周面と第2スルーホール204の内壁を溶接し、固定する。
【0033】
選択的に、ケース100は、スチールケースであってもよく、電極端子200は、正極であり、あるいは、ケース100は、アルミニウムであってもよく、電極端子200は、負極である。
【0034】
図3に示すように、電極端子200は、制限部201および接続部202を含む。制限部201は、ケース100の外側に設置され、接続部202は、第1スルーホール101を貫通して、リベット部203とともにケース100の一端に配置され、第2スルーホール204は、接続部202を貫通する。
【0035】
図3および
図2に示すように、本発明の実施形態が提供する円筒形電池は、さらに、シーリング素子500を含む。シーリング素子500は、電極端子200の接続部
202とケース100の端壁の間に配置される。本発明の実施形態が提供する円筒形電池は、さらに、内部絶縁素子600を含み、内部絶縁素子600の少なくとも一部は、リベット部203とケース100の端壁の間に配置され、リベット部203とケース100の端壁の間の絶縁設置を保証する。円筒形電池は、さらに、外部絶縁素子700を含み、外部絶縁素子700の少なくとも一部は、制限部201とケース100の端壁の間に配置され、制限部201とケース100の端壁の間の絶縁設置を保証する。選択的に、円筒形電池は、さらに、シーリング素子500を含み、シーリング素子500は、接続部202の周りに配置され、シーリング素子500の少なくとも一部は、制限部201とケース100の端壁の間に配置され、シーリング素子500が十分な量の圧縮量を有することを保証して、電極端子200とケース100の間の密封を保証する。
【0036】
選択的に、シーリング素子500の材料は、フッ素ゴムである。
【0037】
図2において、内部絶縁素子600は、垂直に配置された第1内部絶縁部と第2内部絶縁部を含む。第1内部絶縁部は、電極端子200のリベット部203とケース100の端壁の間に配置され、第2内部絶縁部は、第1スルーホール101内に配置される。
図2において、外部絶縁素子700は、平板であり、外部絶縁素子700は、電極端子200の制限部201とケース100の端壁の間に配置される。シーリング素子500は、外部絶縁素子700の内部環状面と電極端子200の接続部202の間に配置される。別の実施形態において、内部絶縁素子600も平板であってもよく、シーリング素子500は、第1シール部および第2シール部を含み、第1シール部は、電極端子200の制限部201とケース100の端壁の間に配置される。第2シール部は、第1スルーホール101を貫通して、第1スルーホール101に当接する。外部絶縁素子700は、第1外部絶縁部および第2外部絶縁部を含み、第1外部絶縁部は、制限部201と端壁の間に配置され、第2外部絶縁部は、制限部201の外周面を覆う。この設計において、第1外部絶縁部は、制限部201とケース100の端壁の間の絶縁設置を保証する。第2外部絶縁部で制限部201の外周面を覆うことによって、外部絶縁素子700を圧縮する組み立て力により制限部201の外周面がケース100の端壁と直接接触するのを防ぐ。
【0038】
選択的に、内部絶縁素子600対ケース100の端壁の面積比は、0.7~1である。このような設計により、内部絶縁素子600は、円筒形電池の接続片とケース100の端壁の間の絶縁設置をさらに保証することができる。例えば、内部絶縁素子600対ケース100の端壁の面積比は、内部絶縁素子600が接続片とケース100の端壁の間の絶縁設置を保証できれば、0.7~1の範囲の任意の値(例えば、0.7、0.8、0.9、1等)であってもよいため、ここでは詳しい説明を省略する。好ましくは、内部絶縁素子600が第1内部絶縁部および第2内部絶縁部を含む時、第1内部絶縁部の少なくとも一部は、リベット部203と端壁の間に配置され、第2内部絶縁部の少なくとも一部は、第1スルーホール101の内側に配置される。この設計において、第1内部絶縁部は、リベット部203と端壁の間の絶縁設定を保証し、第2内部絶縁部は、接続部202と端壁上の第1スルーホール101の内壁の間の絶縁設定を保証する。さらに、内部絶縁素子600が第1内部絶縁部および第2内部絶縁部を含む時、第1内部絶縁部対ケース100の端壁の面積比は、0.7~1である。
【0039】
図4は、本発明の実施形態が提供する接続片300の構造概略図を示したものである。
図5は、本発明の実施形態が提供する電極端子200の構造概略図を示したものである。
図6は、本発明の実施形態が提供するシーリングネイル400の構造概略図を示したものである。
図4~
図6に示すように、第2スルーホール204は、ケース100の内側からケースの外側に向かう方向に沿って順番に配置された直通部2041および第1凹部2042を含む。接続片300の凸起301は、直通部2041に延伸し、シーリングネイル400は、カバー部401を含み、カバー部401は、第1凹部2042と嵌め合う。
【0040】
選択的に、第1凹部2042の側壁および第1凹部2042の底面は、鈍角で、直角に、または丸みを帯びた角で配置される。このような設計は、シーリングネイル400を第1凹部2042内に配置するのに便利である。
【0041】
図4および
図2に示すように、シーリングネイル400に面する凸起301の表面は、ケース100の端壁から突出する。凸起301および第2スルーホール204の内壁が溶接によって固定された時、この設計は、凸起301および第2スルーホール204の溶接部分をケース100の電極組み立て体から離れた方に向けるため、電極組み立て体への溶接熱の影響を減らすことができる。好ましくは、シーリングネイル400に面する凸起301の表面は、第1凹部2042の底面を超えない。この設計において、直通部2041の長さは、凸起301の長さより長いため、直通部2041に一定の空間を確保し、シーリングネイル400と嵌め合う。
【0042】
図6および
図5に示すように、シーリングネイル400のカバー部401と第1凹部2042は、溶接により固定して接続される。例えば、シーリングネイル400のカバー部401と第1凹部2042の底面は、レーザー浸透溶接により溶接され、ケース100の外側にレーザー装置が設置され、レーザーエネルギーがシーリングネイル400のカバー部401を貫通して、カバー部401を第1凹部2042に溶接する。別の実施形態において、シーリングネイル400のカバー部401は、突合せ溶接により第1凹部2042の側壁に溶接および固定されてもよい。つまり、カバー部401の外周面と第1凹部2042の内部環状面を溶接し、固定する。溶接方法は、レーザーエネルギーを上手く制御することができ、仮想溶接を回避する。
【0043】
好ましくは、シーリングネイル400を第1凹部2042に溶接して、固定した後、接続片300から離れた方に面するシーリングネイル400の表面は、ケース100の外側の電極端子200の端面を超えない。好ましくは、接続片300から離れた方に面するシーリングネイル400の端面は、電池を組み立てた時にケース100の外側の電極端子200の端面と外側の収束金属板の間の接続を容易にするため、ケース100の外側の電極端子200の端面より低いのが好ましい。しかしながら、接続片300から離れた方に面するシーリングネイル400の表面がケース100の外側の電極端子200の端面を超えた場合、干渉が発生し、溶接に影響を与える可能性がある。
【0044】
図6に示すように、シーリングネイル400は、溝4011を含み、溶接応力を解放する。溝4011は、カバー部401に形成された環状溝である。
【0045】
さらに、底面において、シーリングネイル400は、さらに、プラグ部402を含み、プラグ部402は、直通部2041と嵌め合う。このような設計は、接続片300の凸起301の長さが直通部2041の長さより短い場合に採用され、プラグ部402をシーリングネイル400に設置して、直通部2041と嵌め合させることによって、シーリングネイル400と電極端子200の組み立て安定性を保証する。
【0046】
例えば、シーリングネイル400に面する凸起301の表面が第1凹部2042の底面と同一平面上にある時、シーリングネイル400の形状は、カバー部401のみを有し、プラグ部402を有さない平板であってもよい。例えば、シーリングネイル400は、薄い円筒形である。シーリングネイル400に面する凸起301の表面が第1凹部2042の底面を超えず、且つそれと同一平面上にある時、シーリングネイル400の形状は、カバー部401とプラグ部402の両方を有する段差形状であってもよい。例えば、シーリングネイル400は、段差状の円筒形である。
【0047】
本実施形態は、また、例示した円筒形電池を含む電子デバイス(図示せず)を提供する。この円筒形電池により、安全性が高い。
【0048】
図7は、本発明の1つの実施形態が提供する円筒形電池の別の例の概略的構造図を示したものである。
図8は、
図7の電池の端部の組み立て状態の断面図を示したものである。
図9は、
図7の電池の端部の拡大概略図を示したものである。
図7~
図9に示すように、本実施形態は、ケース100、電極端子200、接続片300、およびシーリングネイル400を含む円筒形電池を提供する。ケース100は、円筒形側壁および側壁に接続された端壁を含み、端壁に第1スルーホール101が配置される。電極端子200は、第2スルーホール204を含み、電極端子200は、第1スルーホール101を貫通する(
図9を参照)。接続片300は、ケース100内に配置され、接続片300は、凸起301を含み、凸起301は、第2スルーホール204に延伸し、凸起301は、第2スルーホール204の内壁に固定して接続される。シーリングネイル400は、第2スルーホール204に密閉して固定される。円筒形電池において、第2スルーホール204を電極端子200に形成し、凸起301を接続片300に配置するため、凸起301を第2スルーホール204の内壁に固定して接続することができ、シーリングネイル400で第2スルーホール204を密封することによって、電極端子200の密封性が保証される。
【0049】
選択的に、ケース100は、スチールケースであってもよく、電極端子200は、正極である。
【0050】
本実施形態が提供する円筒形電池と第1実施形態の円筒形電池の間の主な相違点は、以下の通りである。
【0051】
図10および
図9に示すように、凸起301は、第3スルーホール302を含み、第3スルーホール302は、第2スルーホール204と連通する。第3スルーホール302は、液体注入孔として使用することができる。シーリングネイル400を組み立てる前に、第2スルーホール204および第3スルーホール302を介してケース100に電解液を注入し、電解液が完全に注入された後にシーリングネイル400の組み立てを行う。ケース100の負極端で液体注入を行う従来の技術と比較して、この方法は、電池の組み立ておよび液体注入操作をより便利に行うことができる。
【0052】
選択的に、シーリングネイル400に面する凸起301の一端は、溶接により第2スルーホール204の内壁に固定して接続されてもよく、あるいはリベット接合により第2スルーホール204の内壁にリベット接合されてもよい。本実施形態において、凸起301は、好ましくは、第2スルーホール204の内壁にリベット接合され、固定される。
【0053】
図11は、本発明の実施形態が提供する電極端子200の構造概略図を示したものである。
図12は、本発明の実施形態が提供するシーリングネイル400の構造概略図を示したものである。
図11および
図12に示すように、凸起301が第2スルーホール204の内壁にリベット接合された時、第2スルーホール204は、さらに、第2凹部2043を含み、第2凹部2043は、直通部2041と第1凹部2042の間に設置され、シーリングネイル400に面する凸起301の一端は、第2凹部2043にリベット接合され、固定される。例えば、直通部2041、第2凹部2043、および第1凹部2042は、階段状に配置され、直通部2041の直径は、第2凹部2043の直径より小さく、第2凹部2043の直径は、第1凹部2042の直径より小さく、シーリングネイル400に面する凸起301の一端は、第2凹部2043の段差面にリベット接合される。
【0054】
選択的に、接続部202の直径は、D0であり、第2スルーホール204の直径は、D1であり、0.5D0<D1<0.8D0である。例えば、第2スルーホール204の直径D1は、0.5D0<D1<0.8D0の間の任意の値(例えば、0.5D0、0.6D0、0.7D0、0.8D0等)であってもよい。
【0055】
本実施形態は、また、例示した円筒形電池を含む電子デバイス(図示せず)を提供する。この円筒形電池により、安全性が高い。
【0056】
明らかに、本発明の上記の実施形態は、本発明を明確に説明するための単なる例であって、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、本発明の保護範囲から逸脱することなく、各種明らかな変更、再調整、および置換を行うことができる。ここで、全ての実施方式を網羅する必要はなく、そうすることもできない。本発明の精神および原理内で行われる修正、同等の置き換え、および改善は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電極端子と接続片の間の溶接を容易にし、好適な溶接効果を有する円筒形電池を提供する。
【0058】
本発明は、円筒形電池を適用することによって、高い安全性を有する電子デバイスを提供する。
【符号の説明】
【0059】
100 ケース
101 第1スルーホール
200 電極端子
201 制限部
202 接続部
203 リベット部
204 第2スルーホール
2041 直通部
2042 第1凹部
2043 第2凹部
300 接続片
301 凸起
302 第3スルーホール
400 シーリングネイル
401 カバー部
4011 溝部
402 プラグ部
500 シーリング素子
600 内部絶縁素子
700 外部絶縁素子