(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ガスケット組立体及びそれを含む燃料電池加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240905BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240905BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20240905BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M8/04 N
B01D63/00 500
B01D63/02
H01M8/04119
(21)【出願番号】P 2022519093
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2021006259
(87)【国際公開番号】W WO2021235853
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061426
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム ドウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒョンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0138528(KR,A)
【文献】特開2014-117667(JP,A)
【文献】特開2005-156062(JP,A)
【文献】特表2022-552509(JP,A)
【文献】特表2021-508917(JP,A)
【文献】特表2022-529365(JP,A)
【文献】特表2022-528103(JP,A)
【文献】特表2014-522556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0367279(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0193975(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03032417(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0034404(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 63/00 - 63/04
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッドケースと、前記ミッドケースと締結されるキャップと、前記ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも一つのカートリッジとを含む燃料電池加湿器向けのガスケット組立体であって、
前記カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキン部と、
前記パッキン部と連結形成され、前記ミッドケースの端部に形成された溝と前記キャップの端部によって形成された空間に介在するエッジ部と、
前記カートリッジの外周面に形成され、前記パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収するダンピング部と、
を含み、
前記カートリッジと前記パッキン部とに接触するように形成されるシーリング部をさらに含み、
前記シーリング部の接着力によって前記カートリッジの水平及び垂直方向の振動を吸収する、ガスケット組立体。
【請求項2】
前記パッキン部は、
前記カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディ部材と、
前記ボディ部材の一端に形成され、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して形成された突出部材と、
を含む、請求項1に記載のガスケット組立体。
【請求項3】
前記カートリッジは、
端部に開口が形成され、前記複数の中空糸膜が収容されるインナーケースと、
前記複数の中空糸膜の末端部が固定され、前記インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部と、
を含む、
請求項2に記載のガスケット組立体。
【請求項4】
前記ポッティング部の少なくとも一部は前記インナーケースの外側に位置し、前記突出部材は前記ポッティング部に加圧密着する,または,
前記ポッティング部全体が前記インナーケースの内側に位置し、前記突出部材は前記インナーケースに加圧密着する、
請求項3に記載のガスケット組立体。
【請求項5】
前記パッキン部の上面の少なくとも一部と前記カートリッジの上面の少なくとも一部にわたって形成され、前記カートリッジの垂直方向の振動を吸収するダンピングキャップ部
をさらに含む、請求項1~請求項4のいずれか一つの項に記載のガスケット組立体。
【請求項6】
前記パッキン部は、二つ以上のカートリッジをそれぞれ挿入可能な二つ以上のホールを備え、
前記ダンピング部は、二つ以上のカートリッジのそれぞれの外周面に形成されて前記パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収する、
請求項1~請求項5のいずれか一つの項に記載のガスケット組立体。
【請求項7】
ミッドケースと、前記ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも一つのカートリッジと、前記ミッドケースと締結されるキャップと、を有する加湿モジュールと、
前記キャップが中空糸膜とのみ流体連通することができるよう、機械的組み立てを通じて前記加湿モジュールの少なくとも一端に気密に結合され、前記カートリッジの振動を吸収するガスケット組立体と、を含み、
前記ガスケット組立体は、
前記カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキン部と、
前記パッキン部と連結形成され、前記ミッドケースの端部に形成された溝と前記キャップの端部によって形成された空間に介在するエッジ部と、
前記カートリッジの外周面に形成され、前記パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収するダンピング部と、を含み、
前記カートリッジと前記パッキン部とに接触するように形成されるシーリング部をさらに含み、前記シーリング部の接着力によって前記カートリッジの水平及び垂直方向の振動を吸収する、
燃料電池加湿器。
【請求項8】
前記パッキン部は、
前記カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディ部材と、
前記ボディ部材の一端に形成され、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して形成された突出部材と、
を含む、請求項7に記載の燃料電池加湿器。
【請求項9】
前記カートリッジは、
端部に開口が形成され、前記複数の中空糸膜が収容されるインナーケースと、
前記複数の中空糸膜の末端部が固定され、前記インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部と、
を含む、
請求項8に記載の燃料電池加湿器。
【請求項10】
前記ポッティング部の少なくとも一部は前記インナーケースの外側に位置し、前記突出部材は前記ポッティング部に加圧密着する、または,
前記ポッティング部全体が前記インナーケースの内側に位置し、前記突出部材は前記インナーケースに加圧密着する、
請求項9に記載の燃料電池加湿器。
【請求項11】
前記パッキン部の上面の少なくとも一部と前記カートリッジの上面の少なくとも一部にわたって形成され、前記カートリッジの垂直方向の振動を吸収するダンピングキャップ部
をさらに含む、請求項7~請求項10のいずれか一つの項に記載の燃料電池加湿器。
【請求項12】
前記パッキン部は、二つ以上のカートリッジをそれぞれ挿入可能な二つ以上のホールを備え、
前記ダンピング部は、二つ以上のカートリッジのそれぞれの外周面に形成されて前記パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収する、
請求項7~請求項11のいずれか一つの項に記載の燃料電池加湿器。
【請求項13】
前記エッジ部は、両方向に突出したエッジウィングを備え、
前記エッジウィングは、前記ミッドケース端部に形成された溝を埋めながら介在して、前記ミッドケースの内部と外部、そして前記ミッドケースと前記キャップを密封する、請求項7~請求項12のいずれか一つの項に記載の燃料電池加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケット組立体及びそれを含む燃料電池加湿器に関するものであり、より具体的には、向上した生産性で製造することができ、メンテナンスコストを画期的に削減することができるガスケット組立体及びそれを含む燃料電池加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を発生させる発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般的な化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、継続的に電気を生産することができ、熱損失がなくて内燃機関よりも効率が2倍ほど高いという利点がある。
【0003】
また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、公害物質の排出が少ない。したがって、燃料電池は環境に優しい上、エネルギー消費の増加に伴う資源の枯渇への心配を軽減することができるという利点がある。
【0004】
こうした燃料電池は、使用される電解質の種類に応じて、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに大きく分類することができる。
【0005】
これらの各燃料電池は、根本的に同一の原理によって作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などがそれぞれ異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて小型化が可能であるため、小規模の据え置き型発電装備だけでなく輸送システムにおいても最も有望なものであるとされている。
【0006】
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させる上で最も重要な要因の一つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって、含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されると、発電効率が急激に低下するからである。
【0007】
高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池の反応に必要な供給水分量を計算して、ソレノイドバルブを通してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する膜加湿方式などが挙げられる。
【0008】
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて、水蒸気を、高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって、高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が、加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0009】
膜加湿方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たりの透過面積の大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積の広い中空糸膜の高集積化が可能であるので、小容量でも燃料電池の加湿を十分に行うことができ、低コスト素材の使用が可能であり、燃料電池から高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収して、加湿器を通して再使用することができるという利点を有する。
【0010】
図1は、従来技術による燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、従来技術の燃料電池加湿器100は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間の水分交換が行われる加湿モジュール110及び加湿モジュール110の両端に結合されたキャップ120を含む。
【0011】
キャップ120のいずれか一方は、外部から供給される空気を加湿モジュール110に供給し、他方は、加湿モジュール110によって加湿された空気を燃料電池スタックに供給する。
【0012】
加湿モジュール110は、排ガス流入口(off-gas inlet)111aと排ガス排出口(off-gas outlet)111bとを有するミッドケース(mid-case)111及びミッドケース111内の多数の中空糸膜112を含む。中空糸膜112の束の両末端はポッティング部113に固定される。ポッティング部113は、一般にキャスティング(casting)方式を通じて液状ポリウレタン樹脂などの液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
【0013】
外部から供給される空気は、中空糸膜112の中空に沿って流れる。排ガス流入口111aを通してミッドケース111内に流入した排ガスは、中空糸膜112の外表面と接触した後、排ガス排出口111bを通してミッドケース111から排出される。排ガスが中空糸膜112の外表面と接触する際に、排ガス中に含まれていた水分が中空糸膜112を透過することによって、中空糸膜112の中空に沿って流れる空気を加湿する。
【0014】
キャップ120の内部空間は中空糸膜112の中空とのみ流体連通するだけであり、ミッドケース111の内部空間とは完全に遮断されていなければならない。そうでなければ、圧力差による空気漏れが発生して、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【0015】
一般に、
図1に示すように、多数の中空糸膜112の末端が固定されているポッティング部113及び、ポッティング部113とミッドケース111との間の樹脂層114が、キャップ120の内部空間とミッドケース111の内部空間を遮断する。ポッティング部113と類似するよう、樹脂層114は、一般にキャスティング方式を通じて液状ポリウレタン樹脂などの液状ポリマーを硬化させることによって形成される。
【0016】
しかし、樹脂層114を形成するためのキャスティング工程は相対的に多くの工程時間を要するため、加湿器100の生産性を低下させる。
【0017】
また、樹脂層114がポッティング部113はもちろん、ミッドケース111の内壁にも接着されているため、中空糸膜112に問題が発生する場合、加湿モジュール110全体を交換しなければならないので、莫大なメンテナンスコストが発生する。
【0018】
さらに、燃料電池の繰り返し運転は、樹脂層114とミッドケース111との間にギャップ(gap)を引き起こす蓋然性が高い。すなわち、燃料電池の運転及び停止が繰り返されるにつれて樹脂層114の膨張及び収縮が交互に発生して、ミッドケース111と樹脂層114との熱膨張係数差により樹脂層114がミッドケース111から脱落する蓋然性が高い。前述したように、樹脂層114とミッドケース111との間にギャップが生じると、圧力差による空気漏れが発生して、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【0019】
樹脂層114とミッドケース111との間のギャップの発生による空気漏れを防止するために、これらの間にシーラント塗布及び/又は外側にガスケット組立体を取り付けることなどといった付加的工程を行うことを考慮することもできるが、このような付加的工程自体も追加の工程時間を要するため、加湿器100の生産性を低下させる。
【0020】
また、燃料電池の繰り返し運転は、多数の中空糸膜112に振動及び衝撃などの外乱を加えることになり、このような外乱は樹脂層114とミッドケース111との間、樹脂層114とポッティング部113との間のギャップ発生を誘発し、これにより圧力差による空気漏れが発生して、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、前述のような関連技術の制限及び欠点に起因する問題を防止することができ、向上した生産性で製造することができる上、メンテナンスコストを画期的に削減することができるガスケット組立体及びそれを含む燃料電池加湿器を提供することを目的とする。
【0022】
上記で触れた本発明の観点の他にも、本発明の別の特徴及び利点が以下で説明されるか、或いはそのような説明から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の実施例に係るガスケット組立体は、ミッドケースと、ミッドケースと締結されるキャップと、ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも一つのカートリッジとを含む燃料電池加湿器向けのガスケット組立体である。前記ガスケット組立体は、カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、ホールに挿入されたカートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキン部;パッキン部と連結形成され、ミッドケースの端部に形成された溝とキャップの端部によって形成された空間に介在するエッジ部;及び、カートリッジの外周面に形成され、パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収するダンピング部;を含む。
【0024】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、パッキン部は、カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディ部材と、ボディ部材の一端に形成され、ホールに挿入されたカートリッジ端部と密着して形成された突出部材とを含むことができる。
【0025】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、カートリッジは、端部に開口が形成され、複数の中空糸膜が収容されるインナーケースと、複数の中空糸膜の末端部が固定され、インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部とを含むことができる。
【0026】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、ポッティング部の少なくとも一部はインナーケースの外側に位置し、突出部材はポッティング部に加圧密着してもよい。
【0027】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、ポッティング部全体がインナーケースの内側に位置し、突出部材はインナーケースに加圧密着してもよい。
【0028】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、カートリッジとパッキン部とを接触するように形成されるシーリング部をさらに含み、シーリング部の接着力によってカートリッジの水平及び垂直方向の振動を吸収することができる。
【0029】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、パッキン部の上面の少なくとも一部とカートリッジの上面の少なくとも一部にわたって形成されて、カートリッジの垂直方向の振動を吸収するダンピングキャップ部をさらに含むことができる。
【0030】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、パッキン部は、二つ以上のカートリッジをそれぞれ挿入可能な二つ以上のホールを備え、ダンピング部は、二つ以上のカートリッジのそれぞれの外周面に形成されてパッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収することができる。
【0031】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、エッジ部は、両方向に突出したエッジウィングを備え、エッジウィングは、ミッドケース端部に形成された溝を埋めながら介在して、ミッドケースの内部と外部、そしてミッドケースとキャップを密封することができる。
【0032】
本発明の実施例に係るガスケット組立体において、パッキン部とエッジ部のそれぞれは、20~70ショア(Shore)Aの第1硬度を有し、パッキン部の少なくとも一部とエッジ部の少なくとも一部に挿入されて形成され、第1硬度より高い第2硬度を有する補強部材をさらに含むことができる。
【0033】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器は、ミッドケース;ミッドケースと締結されるキャップ;ミッドケース内に配置され、複数の中空糸膜を収容する少なくとも一つのカートリッジ;キャップが中空糸膜とのみ流体連通することができるよう、機械的組み立てを通じて加湿モジュールの少なくとも一端に気密に結合され、カートリッジの振動を吸収するガスケット組立体;を含む。前記ガスケット組立体は、カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、ホールに挿入されたカートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキン部;パッキン部と連結形成され、ミッドケースの端部に形成された溝とキャップの端部によって形成された空間に介在するエッジ部;及び、カートリッジの外周面に形成され、パッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収するダンピング部;を含む。
【0034】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、パッキン部は、カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディ部材と、ボディ部材の一端に形成され、ホールに挿入されたカートリッジ端部と密着して形成された突出部材とを含むことができる。
【0035】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、カートリッジは、端部に開口が形成され、複数の中空糸膜が収容されるインナーケースと、複数の中空糸膜の末端部が固定され、インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部とを含むことができる。
【0036】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、ポッティング部の少なくとも一部はインナーケースの外側に位置し、突出部材はポッティング部に加圧密着してもよい。
【0037】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、ポッティング部全体がインナーケースの内側に位置し、突出部材はインナーケースに加圧密着してもよい。
【0038】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、カートリッジとパッキン部とを接触するように形成されるシーリング部をさらに含み、シーリング部の接着力によってカートリッジの水平及び垂直方向の振動を吸収することができる。
【0039】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、パッキン部の上面の少なくとも一部とカートリッジの上面の少なくとも一部にわたって形成されて、カートリッジの垂直方向の振動を吸収するダンピングキャップ部をさらに含むことができる。
【0040】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、パッキン部は、二つ以上のカートリッジをそれぞれ挿入可能な二つ以上のホールを備え、ダンピング部は、二つ以上のカートリッジのそれぞれの外周面に形成されてパッキン部によって垂直方向の移動が抑制されて、垂直方向の振動を吸収することができる。
【0041】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、エッジ部は、両方向に突出したエッジウィングを備え、エッジウィングは、ミッドケース端部に形成された溝を埋めながら介在して、ミッドケースの内部と外部、そしてミッドケースとキャップを密封することができる。
【0042】
本発明の実施例に係る燃料電池加湿器において、パッキン部とエッジ部のそれぞれは、20~70ショア(Shore)Aの第1硬度を有し、パッキン部の少なくとも一部とエッジ部の少なくとも一部に挿入されて形成され、第1硬度より高い第2硬度を有する補強部材をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、ガスケット組立体の機械的組み立てを通じてミッドケースとキャップとの間の空気漏れを防止するため、従来技術のキャスティング工程(すなわち、液状ポリマーを鋳型に注入し硬化する工程)及び追加のシーリング工程(すなわち、シーラントを塗布し硬化させる工程)などを省略することができる。したがって、本発明によれば、ミッドケースとキャップとの間の空気漏れを防止しながら、燃料電池加湿器の生産工程時間も短縮することにより、その生産性を画期的に向上させることができる。
【0044】
また、ミッドケースとキャップとの間の空気漏れを防止するための本発明のガスケット組立体は、機械的組み立てを通じて加湿モジュールに取り付けられるため、加湿モジュールの特定の部分に異常が発生した場合、ガスケット組立体を機械的に簡単に分離した後、当該部分のみを修理又は交換することが可能である。したがって、本発明によれば、燃料電池加湿器のメンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0045】
また、燃料電池の繰り返し運転に伴って発生する振動などの外乱を低減させて、ミッドケースとキャップとの間の圧力差による空気漏れを防止して、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】従来技術による燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【
図8】本発明の第3実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図9a】本発明の第3実施例に係るガスケット組立体の変形例を示す断面図である。
【
図9b】本発明の第3実施例に係るガスケット組立体の変形例を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第2実施例を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第3実施例を示す断面図である。
【
図12】本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
【
図13】本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図14】本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【
図15】本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図17】本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【
図18】本発明の第6実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図である。
【
図19】本発明の第6実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を例示し、詳細な説明にて詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0048】
本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の別の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施例に係るガスケット組立体及びそれを含む燃料電池加湿器について説明する。
【0049】
図2は、本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図であり、
図3は、本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図であり、
図4は、本発明の第1実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【0050】
図2を参照すれば、本発明の一実施例に係る燃料電池加湿器200は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス中の水分で加湿する加湿モジュール210を含む。加湿モジュール210の両末端のそれぞれはキャップ220と結合される。
【0051】
キャップ220のいずれか一方は、外部から供給される空気を加湿モジュール210に供給し、他方は、加湿モジュール210によって加湿された空気を燃料電池スタックに供給する。
【0052】
加湿モジュール210は、外部から供給される空気と排ガスとの間の水分交換が行われる装置であり、排ガス流入口211aと排ガス排出口211bとを有するミッドケース211及びミッドケース211内に配置される少なくとも一つのカートリッジ212を含むことができる。
【0053】
ミッドケース211とキャップ220は、それぞれ独立的に硬質プラスチックや金属で形成されてもよく、円形又は多角形の幅方向の断面を有してもよい。円形は楕円形を含み、多角形は丸い角(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などであってもよい。
【0054】
カートリッジ212は、多数の中空糸膜212a及び、これらを互いに固定させ合うポッティング部212bを含むことができる。例えば、中空糸膜212aの末端がポッティング部212bに固定されてもよい。
【0055】
中空糸膜212aは、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、又はこれらの中で少なくとも二つ以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができ、ポッティング部212bは、ディップポッティング、遠心ポッティングなどのキャスティング方式を通じて液状ポリウレタン樹脂などの液状樹脂を硬化させることによって形成することができる。
【0056】
外部から供給される空気は、中空糸膜212aの中空に沿って流れる。排ガス流入口211aを通してミッドケース211内に流入した排ガスは、中空糸膜212aの外表面と接触した後、排ガス排出口211bを通してミッドケース211から排出される。排ガスが中空糸膜212aの外表面と接触する際に、排ガス中に含まれていた水分が中空糸膜212aを透過することによって、中空糸膜212aの中空に沿って流れていた空気を加湿する。
【0057】
キャップ220は、中空糸膜212aの中空とのみ流体連通するだけであり、ミッドケース211の内部空間Sとは完全に遮断されなければならない。そうでなければ、圧力差による空気漏れが発生して、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【0058】
また、燃料電池の繰り返し運転は、多数の中空糸膜212aが収容されたカートリッジ212に振動及び衝撃などの外乱を加えることになり、このような外乱はカートリッジ212とミッドケース211との間のギャップ発生を誘発し、これにより圧力差による空気漏れが発生して、燃料電池スタックに供給される加湿空気の量が減少し、燃料電池の発電効率が低下する。
【0059】
このような問題を解決するために、本発明の燃料電池加湿器200は、加湿モジュール210の各末端に機械的組み立てを通じて気密に結合されるガスケット組立体230をさらに含む。
【0060】
本発明によれば、ガスケット組立体230の機械的組み立てを通じてミッドケース211とキャップ220との間の空気漏れを防止するため、従来技術のキャスティング工程(すなわち、液状樹脂を鋳型に注入し硬化する工程)及び追加のシーリング工程(すなわち、シーラントを塗布し硬化させる工程)などを省略することができる。したがって、本発明によれば、ミッドケース211とキャップ220との間の空気漏れを防止しながら、燃料電池加湿器200の生産工程時間も短縮することにより、その生産性を画期的に向上させることができる。
【0061】
また、ミッドケース211とキャップ220との間の空気漏れを防止するための本発明のガスケット組立体230は、機械的組み立てを通じて加湿モジュール210に取り付けられるため、加湿モジュール210の特定の部分(例えば、カートリッジ212)に異常が発生した場合、ガスケット組立体230を加湿モジュール210から機械的に簡単に分離した後、当該部分のみを修理又は交換することが可能である。したがって、本発明によれば、燃料電池加湿器200のメンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0062】
また、燃料電池の繰り返し運転に伴って発生する振動などの外乱を低減させて、ミッドケース211とキャップ220との間の圧力差による空気漏れを防止して、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
【0063】
図3及び
図4を参照すれば、本発明の第1実施例に係るガスケット組立体230は、パッキン部231、エッジ部232、ダンピング部235aを含む。パッキン部231とエッジ部232は、20~70ショア(Shore)A、好ましくは30~60ショア(Shore)Aの第1硬度を有する弾性物質(例えば、シリコーン、ゴムなど)で形成されてもよい。
【0064】
パッキン部231は、カートリッジ212の端部(例えば、ポッティング部212b)が挿入されるホールHを備え、ミッドケース211とカートリッジ212との間に介在する。パッキン部231は、ボディ部材231aと突出部材231bとを含む。
【0065】
ボディ部材231aは、カートリッジ212端部が挿入されるホールHを備え、ホールHは、カートリッジ212端部の形状に対応する形状で形成される。ボディ部材231aで、ミッドケース211側に突出形成された下部ボディ部材231aaは、断面が多角形状(例えば、台形形状)で形成されてもよく、キャップ220側に形成された上部ボディ部材231abは、平面形状で形成されてもよい。下部ボディ部材231aaとカートリッジポッティング部212bとの間には、後述するシーリング部233が配置される空間が形成されてもよい。また、下部ボディ部材231aaとエッジ部232との間には、ミッドケース211の端部211aaが嵌合する溝Gが形成される。
【0066】
突出部材231bは、ホールHに挿入されたカートリッジポッティング部212bと接触するようにボディ部材231aの一端に形成される。突出部材231bは、ボディ部材231aの一端部から突出した少なくとも一つ以上の環形突起であってもよい。突出部材231bは、弾性力によってカートリッジポッティング部212bを加圧しながら密着接触して、ミッドケース211の空間とキャップ220による空間を気密することができる。したがって、突出部材231bは、ミッドケース211内の流体がキャップ220側に形成された空間に流れることを防止することができる。また、突出部材231bは弾性を有しているため、カートリッジ212の水平方向(
図3においてx軸及びy軸方向)の振動を吸収することができ、したがって、振動による外乱を低減して、ミッドケース211とキャップ220との間の圧力差による空気漏れを防止することができる。
【0067】
エッジ部232は、ボディ部材231aの他端に形成される。エッジ部232は、ミッドケースの端部に形成された溝211bbとキャップの端部220aによって形成された空間に介在してもよい。エッジ部232は、両方向に突出したエッジウィング232a、232bを備えることができる。エッジウィング232a、232bは、加湿モジュール210の長手方向に形成されてもよい。組み立て時に、ミッドケース端部の溝211bbにエッジウィング232a、232bを挿入し、キャップの端部220aがエッジウィング232bを加圧した後、ボルトBなどの締結手段で締結して組み立てることができる。このとき、エッジウィング232a、232bは弾性を有する物質からなるため、エッジウィング232a、232bは、ミッドケース端部の溝211bb空間を一定部分埋めながら介在してもよい。ミッドケース211とキャップ220の端部の側面には、ボルト締結のための締結孔が形成された締結片211cc、220cが形成されてもよい。エッジウィング232a、232bは、ミッドケース端部の溝211bbを気密させてミッドケース211の内部と外部、そしてミッドケース211とキャップ220を密封することができる。
【0068】
ダンピング部235aは、カートリッジポッティング部212bの外周面から放射方向に突出して形成されてもよい。ダンピング部235aは、カートリッジポッティング部212bを形成した後、カートリッジポッティング部212bの外表面に環形の環状で形成することができる。ダンピング部235aは、少なくとも一部がパッキン部231の下面と接触するように形成されてもよい。具体的には、ダンピング部235aは、少なくとも一部が下部ボディ部材231aaの下面と接触するように形成されてもよい。このようなダンピング部235aは、パッキン部231によって垂直方向(
図3においてz軸方向)の移動が抑制されて、カートリッジ212の垂直方向の振動を吸収することができる。したがって、振動による外乱を低減することができる。
【0069】
すなわち、パッキン部231は、カートリッジ212の水平方向の振動を吸収し、ダンピング部235aは、カートリッジ212の垂直方向の振動を吸収して振動による外乱を低減して、ミッドケース211とキャップ220との間の圧力差による空気漏れを防止することができる。
【0070】
また、ガスケット組立体230は、補強部材234をさらに含むことができる。補強部材234は、第1硬度より高い第2硬度を有することができる。例えば、補強部材234は、金属、熱可塑性又は熱硬化性樹脂などで形成することができる。補強部材234は、ガスケット組立体230を成形する際に、金型に金属プレートを挿入した後に製造することにより、ガスケット組立体230内に挿入されて形成することができる。補強部材234は、パッキン部231の少なくとも一部とエッジ部232の少なくとも一部に挿入されて形成することができる。補強部材234は、ガスケット組立体230のうち変形に弱い部分(溝Gが形成された部分)に形成することができる。パッキン部231及びエッジ部232より高い硬度を有する補強部材234は、ガスケット組立体230を加湿モジュール210に機械的に組み立てる際、又は加湿器の運転中にボディ部材231aの変形が生じることを防ぐことにより、空気漏れをより確実に担保することができる。
【0071】
次に、
図5~
図7を参照して、本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器について説明する。
図5は、本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図であり、
図6は、本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図であり、
図7は、本発明の第2実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【0072】
図5~
図7を参照すれば、本発明の第2実施例に係るガスケット組立体は、前述した第1実施例と同様に、パッキン部231、エッジ部232、ダンピング部235aを含み、追加でダンピングキャップ部235bをさらに含む。パッキン部231、エッジ部232、ダンピング部235aは、前述した第1実施例と実質的に同一であるため、繰り返しの説明は省略する。
【0073】
図5~
図7に示すように、ダンピングキャップ部235bは、パッキン部231の上面の少なくとも一部とカートリッジ212のポッティング部212bの上面の少なくとも一部にわたって形成されてもよい。
【0074】
ダンピングキャップ部235bは、ポッティング部212bの外周面と接するように、又は所定の距離で離隔して形成されてもよく、ポッティング部212bの上面とは接するように形成されてもよい。ダンピングキャップ部235bは、一体型で概ね環状で形成されてもよいし、又は複数個の「逆L字」形状が所定の距離で離隔して、全体的に環状をなすように形成されてもよい。
【0075】
このようなダンピングキャップ部235bは、ダンピング部235aと共にカートリッジ212の垂直方向の振動を吸収することができる。
【0076】
次に、
図8及び
図9を参照して、本発明の第3実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器について説明する。
図8は、本発明の第3実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図であり、
図9a及び
図9bは、本発明の第3実施例に係るガスケット組立体の変形例を示す断面図である。
【0077】
図8を参照すれば、本発明の第3実施例に係るガスケット組立体は、パッキン部231、エッジ部232、シーリング部233、ダンピング部235aを含み、追加でダンピングキャップ部235bをさらに含むことができる。パッキン部231、エッジ部232、ダンピング部235a、ダンピングキャップ部235bは、前述した第1、第2実施例と実質的に同一であるため、繰り返しの説明は省略する。
【0078】
シーリング部233は、固形状シーリング材、液状シーリング材のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。固形状シーリング材は、シリコーン、アクリルゴム、EPDM、NBRなどの材質で製造することができ、液状シーリング材は、シリコーン、ウレタンなどの材質で製造することができる。
【0079】
シーリング部233は、カートリッジ212とパッキン部231との間でカートリッジ212とパッキン部231とを接触するように形成される。具体的には、シーリング部233は、カートリッジのポッティング部212bとパッキン部の下部ボディ部材231aaとを同時に接触(又は接着)するように形成される。シーリング部233は、ミッドケース211の空間とキャップ220の空間を気密して、ミッドケース211内の流体がキャップ220側に流動することを防止する。
【0080】
また、シーリング部233は、カートリッジ212とパッキン部231とを同時に接着するように形成されるため、シーリング部233の接着力によって追加でカートリッジ212の水平及び垂直方向の振動を吸収することができるようになって、カートリッジ212の水平及び垂直方向の振動を効果的に低減することができる。
【0081】
図9aは、シーリング部233がカートリッジのポッティング部212bとパッキン部の突出部材231bとを同時に接触するように形成されることを例示しており、
図9bは、シーリング部233がカートリッジのポッティング部212bとパッキン部の突出部材231b及びパッキン部の下部ボディ部材231aaを同時に接触するように形成されることを例示している。
図9a及び
図9bにおいて、突出部材231bは二つ以上に形成されてもよく、シーリング部233は二つ以上の突出部材231bの間に形成される。
【0082】
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明の実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第2実施例及び第3実施例について説明する。
図10は、本発明の実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第2実施例を示す断面図であり、
図11は、本発明の実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第3実施例を示す断面図である。
【0083】
図10に示すように、本発明の第2実施例に係る燃料電池加湿器200aは、(i)ミッドケース211の内部空間が隔壁(partitions)211cによって第1空間S1と第2空間S2に区画され、(ii)カートリッジ212がインナーケース(innercase)212cをさらに含むということを除いては、前述した第2実施例に係る燃料電池加湿器200と実質的に同一である。
【0084】
インナーケース212cは、各末端に開口(opening)を有し、中空糸膜212aがその中に入っている。中空糸膜212aの端部がポッティングされているポッティング部212bは、インナーケース212cの開口を閉鎖させる。
【0085】
図10に示すように、ポッティング部212bの少なくとも一部がインナーケース212cの外側に位置してもよく、ガスケット組立体230の突出部材231bは、ポッティング部212bに密着してもよい。ダンピング部235aは、インナーケース212cの外周面に所定の長さの環形の環で形成されてもよい。
【0086】
インナーケース212cは、第1空間S1との流体連通のためにメッシュ形態に配列された多数のホール(以下、「第1メッシュホール」)MH1及び第2空間S2との流体連通のためにメッシュ形態に配列された多数のホール(以下、「第2メッシュホール」)MH2を備える。
【0087】
排ガス流入口211aを通してミッドケース211の第1空間S1に流入した排ガスは、第1メッシュホールMH1を通してインナーケース212c内に流れ込み、中空糸膜212aの外表面と接触する。続いて、水分を奪われた排ガスは、第2メッシュホールMH2を通して第2空間S2に抜け出した後、排ガス排出口211bを通してミッドケース211から排出される。
【0088】
このようなインナーケース212cを含むカートリッジ212は、ミッドケース211に容易に組み立てることができるだけでなく、容易に交換することができるという利点を有する。
【0089】
図11に示すように、本発明の第3実施例に係る燃料電池加湿器200bは、ポッティング部212b全体がインナーケース212c内に位置し、ガスケット組立体230の突出部材231bがポッティング部212bではなくインナーケース212cに密着するということを除いては、上述した第2実施例に係る燃料電池加湿器200aと実質的に同一である。
【0090】
次に、
図12~
図14を参照して、本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第4実施例について説明する。
図12は、本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図であり、
図13は、本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図であり、
図14は、本発明の第4実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【0091】
図12~
図14に示すように、本発明の第4実施例に係るガスケット組立体330を含む第4実施例に係る燃料電池加湿器300は、(i)加湿モジュール210が二つ以上のカートリッジ212を含み、(ii)パッキン部231のボディ部材231aは、カートリッジ212がそれぞれ挿入される二つ以上のホールHを備え、(iii)カートリッジポッティング部212bと接触するようにボディ部材231aの一端に形成される二つ以上の突出部材231bを含み、(iv)二つ以上のカートリッジ外周面のそれぞれに形成されたダンピング部235aを含むという点を除いては、前述した第2実施例に係る燃料電池加湿器200aと実質的に同一である。
【0092】
インナーケース212cをそれぞれ含む複数のカートリッジ212が一定の間隔をおいてミッドケース211内に装着されることにより、ミッドケース211内に存在する全ての中空糸膜212aに排ガスが均一に分配されるだけでなく、問題が発生した特定のカートリッジ212のみを選択的に交換することができて、燃料電池加湿器300のメンテナンスコストをさらに削減することができる。
【0093】
次に、
図15~
図17を参照して、本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第5実施例について説明する。
図15は、本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解斜視図であり、
図16は、本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す分解断面図であり、
図17は、本発明の第5実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器を示す断面図である。
【0094】
図15~
図17に示すように、本発明の第5実施例に係るガスケット組立体330を含む第5実施例に係る燃料電池加湿器300は、前述した
図12~
図14のガスケット組立体330に二つ以上のダンピングキャップ部235bをさらに含むということを除いては、前述した第4実施例に係る燃料電池加湿器300と実質的に同一である。それぞれのカートリッジにおいてダンピングキャップ部235bは、パッキン部231の上面の少なくとも一部とカートリッジ212のポッティング部212bの上面の少なくとも一部にわたって形成されてもよい。
【0095】
次に、
図19を参照して、本発明の第6実施例に係るガスケット組立体を含む燃料電池加湿器の第6実施例について説明する。
【0096】
図19に示すように、本発明の第6実施例に係るガスケット組立体330を含む第5実施例に係る燃料電池加湿器300aは、前述した
図12~
図14のガスケット組立体330に、カートリッジ212とパッキン部231との間でカートリッジ212とパッキン部231とを接触するように形成される二つ以上のシーリング部233をさらに含むということを除いては、前述した第4実施例に係る燃料電池加湿器300と実質的に同一である。
【0097】
シーリング部233は、カートリッジ212とパッキン部231とを同時に接着するように形成されるため、シーリング部233の接着力によって追加でカートリッジ212の水平方向の振動を吸収することができるようになって、カートリッジ212の水平方向の振動を効果的に低減することができる。
【0098】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者なら、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から外れない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、又は追加などにより、本発明を多様に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるだろう。
【符号の説明】
【0099】
200、200a、200b、300、300a:燃料電池加湿器
210:加湿モジュール
211:ミッドケース
211a:排ガス流入口
211b:排ガス排出口
211c:隔壁
212:カートリッジ
212a:中空糸膜
212b:ポッティング部
212c:インナーケース
220:キャップ
230、330:ガスケット組立体
231:パッキン部
231a:ボディ部材
231b:突出部材
232:エッジ部
233:シーリング部
234:補強部材
235a:ダンピング部
235b:ダンピングキャップ部