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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】配線基板及びプローブカード
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/22 20060101AFI20240905BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K3/22 E
H05K3/46 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022565418
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2021043263
(87)【国際公開番号】W WO2022114078
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2020196678
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】戸田 芳宏
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-243836(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104427789(CN,A)
【文献】特開平11-163500(JP,A)
【文献】実開昭62-096885(JP,U)
【文献】特開平06-196588(JP,A)
【文献】特開2010-232579(JP,A)
【文献】特開昭63-224392(JP,A)
【文献】特開2010-171351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H05K 3/22
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に位置する配線導体及び接続導体と、
前記配線導体の一部が含まれる第1配線層及び第2配線層と、
前記第1面に開口部を有する溝と、
を備え、
前記配線導体は、
電極パッドと、
前記第2配線層に含まれる第1ベタ状導体と、
を有し、
前記接続導体は、第1接続導体と、第2接続導体と、前記第1配線層で前記溝と交差した交差部とを含み、
前記交差部は前記第1接続導体と前記第2接続導体との間に位置し、
前記第1接続導体が前記電極パッドに導通され、前記第2接続導体が前記第1ベタ状導体に導通され、
前記第1配線層は、前記第1面又は前記第1面の下に位置し、前記第2配線層は前記第1配線層の下に位置し、
前記第1ベタ状導体は、平面透視で前記交差部と重なる開口を有し、
前記開口内は前記絶縁基板の一部が占めている
配線基板。
【請求項2】
前記溝はビームにより切り取られた跡である、
請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
複数の前記電極パッドを有し、
前記接続導体は、前記第1配線層に位置する複数の線状導体と、前記第1配線層に位置する帯状の共通導体とを含み、
前記複数の線状導体の各々が、第1線状導体と、第2線状導体と、
前記第1線状導体と前記第2線状導体との間に位置する前記交差部とを含み、
前記各々の線状導体の前記第1線状導体が前記複数の電極パッドのいずれかに導通され、前記各々の線状導体の前記第2線状導体が前記共通導体に接続されている、
請求項1又は請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
前記接続導体は、1つの前記電極パッドに導通された複数の線状導体を含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2配線層の下に位置する第3配線層と、
前記第3配線層に位置し、平面透視で前記開口と重なる第2ベタ状導体と、
を有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記配線導体は、
前記開口内に位置し平面透視で前記交差部と重なる導体片を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に接続された複数のプローブピンと、
を備えるプローブカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板及びプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-29424号公報には、電極パッドを有する配線基板において、破断等により除去可能な小片部と、小片部に位置する接続導体とを有する構成が記載されている。接続導体は、電極パッドを電解めっきする際に、電極パッドに電流を供給するための導体である。当該配線基板においては、電解めっき後に小片部を除去することで、配線導体から電解めっき用の接続導体を切り離し、所望の配線パターンを得ることができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示に係る配線基板は、
第1面を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板に位置する配線導体及び接続導体と、
前記配線導体の一部が含まれる第1配線層及び第2配線層と、
前記第1面に開口部を有する溝と、
を備え、
前記配線導体は、
電極パッドと、
前記第2配線層に含まれる第1ベタ状導体と、
を有し、
前記接続導体は、第1接続導体と、第2接続導体と、前記第1配線層で前記溝と交差した交差部とを含み、
前記交差部は前記第1接続導体と前記第2接続導体との間に位置し、
前記第1接続導体が前記電極パッドに導通され、前記第2接続導体が前記第1ベタ状導体に導通され、
前記第1配線層は、前記第1面又は前記第1面の下に位置し、前記第2配線層は前記第1配線層の下に位置し、
前記第1ベタ状導体は、平面透視で前記交差部と重なる開口を有し、
前記開口内は前記絶縁基板の一部が占めている。
【0004】
本開示に係るプローブカードは、
上記の配線基板と、
前記配線基板に接続された複数のプローブピンと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の実施形態1に係る配線基板の一部を示す縦断面図である。
図2A図1の配線基板における第1面の平面図である。
図2B図1の配線基板のB-B線における断面図である。
図2C図1の配線基板のC-C線における断面図である。
図3】本開示の実施形態2に係る配線基板の一部を示す縦断面図である。
図4A図3の配線基板における第1面の平面図である。
図4B図3の配線基板のB-B線における断面図である。
図4C図3の配線基板のC-C線における断面図である。
図4D図3の配線基板のD-D線における断面図である。
図5】変形例の配線基板を示す断面図である。
図6A】本開示の実施形態に係るプローブカードを示す平面図である。
図6B】本開示の実施形態に係るプローブカードを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る配線基板10の一部を示す縦断面図である。図2Aは、配線基板10の第1面S1の平面図である。図2Bは、配線基板10のB-B線における断面図である。図2Cは、配線基板10のC-C線における断面図である。
【0008】
実施形態1の配線基板10は、第1面S1と第1面S1の反対側の第2面S2とを有する絶縁基板11と、絶縁基板11に位置する配線導体20及び接続導体30と、を備える。図では、配線導体20と接続導体30とに異なるハッチングを付しているが、配線導体20と接続導体30とは同一の素材を有し、一体化された構成であってもよい。配線基板10は、さらに、内部に複数の配線層(第1配線層J1~第4配線層J4)を有する。第1面S1及び第2面S2に位置する配線導体の層も配線層と呼んでもよい。
【0009】
絶縁基板11は、セラミック材料から構成される第1絶縁基板11Aと、樹脂材料から構成される第2絶縁基板11Bとを有する。第1絶縁基板11Aと第2絶縁基板11Bとは積層されている。なお、絶縁基板11の材料は、上記の例に限られず、どのような材料であってもよい。また、絶縁基板11は、異なる2つの材料から構成される2つの基板が積層された構成である必要はなく、単一の材料から構成された基板であってもよい。
【0010】
配線導体20は、電気信号又は電圧を伝送する導体である。配線導体20は、第1面S1に位置する複数の電極パッド21、21tと、第2面S2に位置する複数の電極25と、第1配線層J1~第4配線層J4に位置する膜導体22と、第1面S1、第1配線層J1~第4配線層J4及び第2面S2の層間に位置するビア導体23とを有する。第1配線層J1~第3配線層J3は第2絶縁基板11B内に位置する。第4配線層J4は第1絶縁基板11Aと第2絶縁基板11Bとの間に位置する。第1配線層J1~第4配線層J4は、第1面S1に近い方からこの順に並ぶ。なお、配線層の総数は上記の例に限られない。また、第1絶縁基板11A内に1つ又は複数の配線層が位置してもよい。
【0011】
配線導体20の膜導体22には、接地電位、電源電位等の所定電位が供給されるベタ状導体24が含まれる。ベタ状導体24とは、配線基板10のうち配線導体20が配置される領域(配線導体20が配置されない周辺部を除く領域)のうち、30%以上の面積に広がる導体を意味する。ベタ状導体24は、ビア導体23を通過させる貫通孔、或る領域を避けるスリット又は切欠きを有していてもよい。ベタ状導体24は、本開示に係る第1ベタ状導体の一例に相当する。
【0012】
電極パッド21、21tは、電解めっきが施されている。電解めっきは、例えば1μm~10μm程度のニッケル膜と0.1μm~3μm程度の金膜とが順に積層された構成であってもよい。電解めっきにより、電極パッド21、21tの表面を保護し、かつ、ろう材、はんだ等の接合性を高めることができる。複数の電極パッド21、21tは、配線導体20を介して反対側の複数の電極25のいずれかと導通しているものと、配線導体20を介していずれの電極25とも導通していないものとが含まれていてもよい。反対側のいずれの電極25と導通していない電極パッド21t、あるいは、電極25との間の抵抗が高い電極パッド21tは、そのままでは、電解めっきの際に、反対側の電極25から十分な電流を受けられない。
【0013】
接続導体30は、電極パッド21、21tの電解めっきの際に、配線導体20のみから電流を受けられない又は十分な電流を受けられない電極パッド21tに電流を供給した導体である。接続導体30は、第1配線層J1に位置する膜導体32と、第1配線層J1と第2配線層J2の間に介在するビア導体33とを含む。以下、電解めっきの際に接続導体30を介して電流が供給された電極パッド21tを「対象電極パッド21t」とも記す。配線導体20には、複数の対象電極パッド21tが含まれていてもよい。
【0014】
配線基板10は、さらに、一部が切り取られた溝Xを有する。溝Xは、レーザービームにより一部が切り取られた跡であるが、電子ビームなどの他のビームにより一部が切り取られた跡であってもよい。溝Xは絶縁物質により埋められていてもよい。
【0015】
<対象電極パッド、接続導体、ベタ状導体及び溝の配置関係>
対象電極パッド21tは、図2Aに示すように、第1面S1に位置する。加えて、第1面S1には、電解めっきの際に接続導体30を介さずに電流が供給される電極パッド21が位置する。図2A及び図2Bは、隣り合う2つの対象電極パッド21tが配線層J1の配線導体20を介して導通している例を示すが、複数の対象電極パッド21tは、互いに非導通であってもよいし、図2A及び図2Bとは異なる組合せで導通していてもよい。
【0016】
接続導体30の膜導体32は、図2Bに示すように、第1接続導体30aと、第2接続導体30bと、第1接続導体30aと第2接続導体30bとの間に位置する交差部34とを含む。図2Bでは、1つの第1接続導体30aと1つの第2接続導体30bにのみ符号を付しているが、複数の接続導体30に同様に第1接続導体30aと第2接続導体30bとが含まれる。膜導体32は、配線導体20の膜導体22に接続されることで、対象電極パッド21tに導通する。接続導体30の各膜導体32は、線状であってもよい。交差部34は溝Xと交差する。そして、第1接続導体30aが配線導体20を介して対象電極パッド21tと導通し、第2接続導体30bがビア導体33を介してベタ状導体24に接続される。交差部34において線状の膜導体32は切断されており、各膜導体32において交差部34を挟んだ一方と他方とは導通していない。
【0017】
ベタ状導体24は、図2Cに示すように、第2配線層J2に位置し、平面透視で、接続導体30の膜導体32と重なる。「平面透視」とは、第1面S1に垂直な方向から内部を透視した平面に相当する。以降の「平面透視」についても同様である。ベタ状導体24は、溝Xが交差したスリットを有していてもよい。図示を省略するが、ベタ状導体24は、図1の断面位置と異なる箇所の電極25に電気的に接続されている。
【0018】
溝Xは、第1面S1に開口部を有する。溝Xの底は、実施形態1の例では、第2配線層J2の下に位置する。平面透視で、1つの溝Xが接続導体30の複数の膜導体32と交差するように延在していてもよいし、1つの溝Xが接続導体30の1つの膜導体32のみと交差するように、複数の溝Xが位置していてもよい。
【0019】
溝Xは、底の位置について許容幅を有する。底の位置の許容幅は、第1配線層J1と第2配線層J2との間の深さから、第2配線層J2と第3配線層J3との間の深さまでである。
【0020】
<製造方法>
続いて、配線基板10の製造方法の一例について説明する。第1絶縁基板11Aと、当該基板に位置する配線導体20とは、セラミック素材の焼成、並びに、メタライズ導体により形成できる。
【0021】
第2絶縁基板11Bは、例えば、複数の樹脂層を積層することで形成される。樹脂層は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリキノリン樹脂、フッ素樹脂等の絶縁樹脂から成るものである。樹脂層は、さらに、成形性や熱膨張係数の調整のためにフィラーを含むものであってもよい。フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、タルク、ノイブルグ珪土、有機ベントナイト、リン酸ジルコニウム等の無機フィラーが挙げられる。樹脂層は、上記のうち1種類のフィラーを単独で、又は2種類以上のフィラーを適宜組み合わせて含んでいてもよい。
【0022】
第2絶縁基板11Bの1つの樹脂層は、樹脂フィルムを下の層に接着することで構成してもよいし、あるいは、液状の前駆体樹脂を下の層に塗布及び硬化させて構成してもよい。1つの樹脂層を形成したら、当該樹脂層上に、ビア導体23及び膜導体22に対応する開口を有するレジスト膜を形成し、その後、エッチング加工又はレーザー加工によって膜導体22に対応する凹部及びビア導体23に対応する貫通孔を形成する。次に、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の薄膜形成法により、樹脂層の凹部及び貫通孔内に、例えばクロム(Cr)-銅(Cu)合金層、又は、チタン(Ti)-銅(Cu)合金層から成る下地導体層を形成する。その後、めっき等で銅、金等の金属で凹部及び貫通孔を埋め、その後、レジストを剥離することで、1つの樹脂層と当該樹脂層に位置する配線導体20又は接続導体30を形成できる。そして、このような樹脂層及び配線導体20又は接続導体30の形成を繰り返し、複数の樹脂層と複数の樹脂層に位置する配線導体20又は接続導体30を形成する。さらに、繰り返しの最後の樹脂層(最上の樹脂層)の上には、電極パッド21に対応する開口を有するレジスト膜を形成し、当該開口に上記と同様の薄膜形成法により下地導体層を形成する。そして、電極パッド21の下地導体層に、電解めっきによりニッケル膜及び金膜を形成する。
【0023】
電解めっきの際には、第1絶縁基板11Aの電極25から配線導体20及び接続導体30を介して下地導体層に電流を流す。そして、電解めっきが完了し、レジストを剥離すると、第1絶縁基板11Aと第2絶縁基板11Bとが積層された基板が形成される。この段階の基板においては、接続導体30を介して対象電極パッド21tと配線導体20との不要な導通が混在している。不要とは、配線基板10の使用時に不要であるという意味である。
【0024】
したがって、次に、上記の不要な導通を除去するために、絶縁基板11の第1面S1側からレーザービームを照射して、接続導体30を切断する加工、すなわちレーザートリミング加工を行う。当該レーザートリミング加工により、第1面S1に開口部を有する溝X、並びに、接続導体30と溝Xとが交差した交差部34が形成され、接続導体30が交差部34の部分で切断される。そして、不要な導通が全て除去されることで、配線基板10が作製される。
【0025】
以上のように、実施形態1の配線基板10によれば、対象電極パッド21tと、第2配線層J2に位置するベタ状導体24と、第1配線層J1で溝Xと交差する交差部34を有する接続導体30とを備える。さらに、接続導体30は、第1接続導体30aと第2接続導体30bとを含み、第1接続導体30aと第2接続導体30bとの間に交差部34が位置する。そして、第2接続導体30bがべタ状導体24に導通し、第1接続導体30aが対象電極パッド21tに導通する。したがって、溝Xの形成前に、接続導体30を介して電極パッド21に電流を供給することにより電極パッド21に十分な電解めっきを行うことができ、その後、ビーム等により絶縁基板11に溝Xを形成することで、接続導体30を切断して配線導体20の所望の配線パターンが得られる。
【0026】
さらに、実施形態1の配線基板10によれば、溝Xの開口部は第1面S1に位置し、接続導体30と溝Xとの交差部34は第1面S1の下の第1配線層J1に位置し、ベタ状導体24は第1配線層J1の下の第2配線層J2に位置する。したがって、接続導体30を切断する溝Xが第2配線層J2まで達した場合でも、ベタ状導体24にスリットが形成されるだけなので、配線導体20の電気特性に大きな影響が生じない。よって、接続導体30を切断する溝Xの深さの許容値を大きく採ることができる。したがって、接続導体30を切断する工程として、溝Xの深さについて比較的に大きな許容値を要する工程であっても、煩雑さが低減される工程を採用することができる。そして、当該工程が採用されることで、煩雑さが低減されかつ高い信頼性を持って接続導体30が切断された配線基板10を提供することができる。
【0027】
さらに、実施形態1の配線基板10によれば、溝Xはレーザー等のビームにより切り取られた跡である。ビームを用いて接続導体30を切断するトリミング加工は、少ない煩雑さで高速な処理が可能である。したがって、上記の溝Xを有する配線基板10は、煩雑さが低減されかつ高い信頼性を持って接続導体30が切断された配線導体20を備えるものとなる。
【0028】
(実施形態2)
図3は、本開示の実施形態2に係る配線基板の一部を示す縦断面図である。図4Aは、図3の配線基板の第1面S1の平面図である。図4B図3の配線基板のB-B線における断面図である。図4Cは、図3の配線基板のC-C線における断面図である。図4D図3の配線基板のD-D線における断面図である。
【0029】
実施形態2の配線基板10Aは、配線導体20及び接続導体30のパターンが異なる他は、実施形態1の配線基板10とほぼ同様である。実施形態2の配線基板10Aにおいては、図4Aに示すように、複数の対象電極パッド21ta、21tbが第1面S1に位置する。複数の対象電極パッド21ta、21tbは、配置領域ごとに、図4Aの紙面上左側に位置する第1群の対象電極パッド21taと、紙面上右側に位置する第2群の対象電極パッド21tbとに区分されてもよい。
【0030】
接続導体30は、図4Bに示すように、第1配線層J1に位置する帯状の共通導体32Aと、第1配線層J1に位置する複数の線状導体32Bとを含む。帯状とは、線状導体32Bと比較して平面における短手方向の寸法が大きい形状を意味する。共通導体32Aは、複数のビア導体33を介して第1ベタ状導体24Aに接続されている(図3を参照)。共通導体32Aは、平面透視で第1群の対象電極パッド21tと第2群の対象電極パッド21tとの間に配置される。共通導体32Aは、第1群の対象電極パッド21taが連なる方向、あるいは、第2群の対象電極パッド21tbが連なる方向に沿って、長手方向が延在するように配置されてもよい。
【0031】
溝Xは、平面透視で、共通導体32Aと第1群の対象電極パッド21taとの間と、共通導体32Aと第2群の対象電極パッド21tbとの間とに位置する。溝Xは、長手方向が共通導体32Aの長手方向に沿って延在するように配置されてもよい。
【0032】
複数の線状導体32Bの各々は、第1線状導体32Baと、第2線状導体32Bbと、溝Xと交差する交差部34とを含む。図4Bでは、2つの第1線状導体32Baと2つの第2線状導体32Bbにのみ符号を付しているが、複数の線状導体32Bに同様に第1線状導体32Baと第2線状導体32Bbとが含まれる。交差部34は第1線状導体32Baと第2線状導体32Bbとの間に位置する。そして、第2線状導体32Bbが共通導体32Aに接続され、第1線状導体32Baが配線導体20(膜導体22及びビア導体23)を介して対象電極パッド21ta、21tbに導通する。1つの第1線状導体32Baが複数の対象電極パッド21tbに導通されてもよいし、複数の第1線状導体32Baが1つの対象電極パッド21taに導通されてもよい。
【0033】
配線導体20は、図4Cに示すように、第2配線層J2に位置する第1ベタ状導体24Aを備える。第1ベタ状導体24Aは、平面透視において、溝X(あるいは、線状導体32Bの交差部34)と重なる開口M1を有する。さらに、配線導体20は、図4Dに示すように、第3配線層J3に、平面透視において、溝Xと重なる部分に位置する第2ベタ状導体24Bを備えてもよい。
【0034】
実施形態2の配線基板10Aは、配線導体20及び接続導体30のパターンを異ならせて、実施形態1と同様の方法により製造することができる。
【0035】
実施形態2の配線基板10Aによれば、接続導体30に共通導体32Aが含まれるので、接続導体30の総合的な抵抗が小さくなり、溝Xが形成される前の電解めっきの際に、接続導体30を介して対象電極パッド21ta、21tbに安定した電流を供給できる。したがって、対象電極パッド21ta、21tbに所定厚のめっき皮膜を容易に形成でき、他の電極パッド21との厚みバラツキも低減できる。
【0036】
さらに、実施形態2の配線基板10Aによれば、対象電極パッド21taに接続される線状導体32Bが長くなり、接続導体30の抵抗が大きくなるような場合には、1つの対象電極パッド21taに複数の線状導体32B(複数の第1線状導体32Ba)が接続される。当該接続により、対象電極パッド21taに接続導体30を介して安定した電流を供給でき、対象電極パッド21taに所定厚のめっき皮膜を容易に形成でき、他の電極パッド21及び他の電極パッド21tbとの厚みバラツキを低減できる。
【0037】
さらに、実施形態2の配線基板10Aによれば、第1ベタ状導体24Aが平面透視で接続導体30の交差部34と重なる開口M1を有する。したがって、接続導体30を切断するトリミング加工の際に、切断エネルギー(レーザートリミング加工であればレーザーエネルギー)が、第1ベタ状導体24Aに吸収し難くすることができる。よって、エネルギー不足で接続導体30の切断不良が生じてしまうことを低減できる。
【0038】
さらに、実施形態2の配線基板10Aによれば、平面透視で第1ベタ状導体24Aの開口M1と重なる第2ベタ状導体24Bが第3配線層J3に位置する。したがって、接続導体30を切断するトリミング加工において、溝Xの深さが、第3配線層J3まで達しても、配線導体20の電気特性に大きな影響が生じない。よつて、接続導体30を切断する溝Xの深さの許容値をより大きく採ることができる。また、第2配線層J2の第1ベタ状導体24Aが開口M1を有することで溝Xの深さの制御が難しくなった場合でも、溝Xの深さの許容値をより大きくできることで、溝Xの深さを許容範囲に収めて高い信頼性を持って接続導体30を切断することができる。
【0039】
(変形例)
図5は、変形例の配線基板を示す断面図である。図5は、図3のC-C線における断面図を示す。変形例の配線基板10Bは、第2配線層J2の配線導体20以外は実施形態2と同様である。
【0040】
変形例の配線基板10Bは、第2配線層J2の第1ベタ状導体24Aに、平面透視で、溝X(あるいは、線状導体32Bの交差部34)と重なる開口M1を有する。さらに、第2配線層J2の配線導体20は、開口M1内に位置し、溝X(あるいは、線状導体32Bの交差部34)と重なる導体片N1を有する。導体片N1は、第1ベタ状導体24Aと非導通の浮き導体であってもよいし、第1ベタ状導体24Aと一部が接続された導体であってもよい。
【0041】
変形例の配線基板10Bによれば、第1ベタ状導体24Aの開口M1により、接続導体30を切断するトリミング加工の際に、切断エネルギー(レーザートリミング加工であればレーザーエネルギー)が、第1ベタ状導体24Aに吸収し難くすることができる。よって、エネルギー不足で接続導体30の切断不良が生じてしまうことを低減できる。さらに、変形例の配線基板10Bによれば、開口M1内に、溝Xと重なる導体片N1を有する。導体片N1は、第1ベタ状導体24Aと接続されていない、あるいは一部しか接続されていないため、接続導体30を切断するトリミング加工の際に、切断エネルギー(レーザートリミング加工であればレーザーエネルギー)が、熱伝導等により導体片N1から第1ベタ状導体24Aへ逃げて吸収し難くすることができる。さらに、仮に、トリミング加工の際に、切断エネルギーが第2配線層J2に達した場合でも、切断エネルギーが導体片N1の切断に使用されることで、切断エネルギーがさらに下の第3配線層J3へ到達し難くすることができる。したがって、トリミング加工によって配線導体20の電気特性に影響が生じ難くすることができつつ、高い信頼性を持って接続導体30が切断された配線基板10Bを提供することができる。変形例においては、第1ベタ状導体24Aの下の配線層(第3配線層J3)に、平面透視で、第1ベタ状導体24Aの開口M1と重なる線状の膜導体22が配置されても、当該膜導体22が溝Xにより切断されてしまう恐れは低減される。
【0042】
(プローブカード)
図6Aは、本開示の実施形態に係るプローブカードを示す平面図である。図6Bは、本開示の実施形態に係るプローブカードを示す縦断面図である。本実施形態のプローブカード100は、複数の半導体素子が形成された半導体ウエハSWの試験装置に組み込まれる構成部品である。本実施形態のプローブカード100は、配線基板10と、配線基板10の複数の電極パッド21、21tに接続された複数のプローブピン40とを備える。
【0043】
プローブピン40は、ニッケル、タングステン等の金属から構成され、はんだ等の導電性の接合材を介して電極パッド21、21tに接合される。プローブカード100は、試験用の信号又は電圧を入出力する信号処理回路と、試験対象の半導体ウエハSWとの間に介在し、複数のプローブピン40が半導体素子の電極に接触する。
【0044】
プローブカード100の配線基板10としては、実施形態1の構成が適用される他、実施形態2の配線基板10A、又は、変形例の配線基板10Bが適用されてもよい。配線基板10の第1絶縁基板11Aは、図6Bに示すように、複数の絶縁層が積層されて構成され、内部にビア導体23に加え配線層となる膜導体22が含まれていてもよい。さらに、第1絶縁基板11Aには、ヒータ線50が含まれていてもよい。
【0045】
本実施形態のプローブカードによれば、配線基板10の電極パッド21、21tが安定した厚みの皮膜を有する。したがって、プローブピン40を安定的に接合することができ、プローブピン40の接合部に対する信頼性を向上できる。
【0046】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示の配線基板及びプローブカードは上記実施形態に限られるものでない。例えば、上記実施形態では、配線基板の用途としてプローブカードの配線基板を示したが、電子素子、電気素子又は様々な電気回路が搭載される配線基板に、本開示の配線基板が適用されてもよい。また、上記実施形態では、電極パッドが位置する面に溝の開口部が位置する例を示したが、溝の開口部は電極パッドが位置する面と異なる面に位置してもよい。また、上記実施形態では、接続導体と溝とが交差する交差部が位置する第1配線層が、溝の開口部が位置する第1面の下に位置する例を示したが、交差部が位置する第1配線層は、溝の開口部が位置する第1面に位置していてもよい。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、配線基板及びプローブカードに利用できる。
【符号の説明】
【0048】
10、10A、10B 配線基板
11 絶縁基板
S1 第1面
S2 第2面
20 配線導体
21、21t、21ta、21tb 電極パッド
22 膜導体
23 ビア導体
24 ベタ状導体
24A 第1ベタ状導体
M1 開口
N1 導体片
24B 第2ベタ状導体
25 電極
30 接続導体
30a 第1接続導体
30b 第2接続導体
32 膜導体
32A 共通導体
32B 線状導体
32Ba 第1線状導体
32Bb 第2線状導体
33 ビア導体
34 交差部
X 溝
J1 第1配線層
J2 第2配線層
J3 第3配線層
J4 第4配線層
100 プローブカード
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B