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  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図1
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図2A
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図2B
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図3
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図4
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図5
  • 特許-包装体、流路デバイスおよび測定装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】包装体、流路デバイスおよび測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20240905BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240905BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20240905BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N37/00 101
G01N35/08 A
B65D75/62 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022569998
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2021045932
(87)【国際公開番号】W WO2022131232
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020210676
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池本 健
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220994(US,A1)
【文献】特開2001-048231(JP,A)
【文献】特表2011-513712(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080503(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~35/10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部に配された壁部と、前記壁部で囲われた開口部とを有する容器と、
前記壁部に配されて、前記開口部を閉塞した蓋材と、を備え、
前記蓋材は、第1層部材と、前記第1層部材に積層された第2層部材と、を有し、
前記第2層部材は、前記蓋材の平面視において前記第2層部材を貫通している貫通部を有し、
前記貫通部は、一方向に伸びた形状を有するとともに、前記開口部の中央と重なるように位置しており、
前記底部は、第1底部と、前記第1底部から前記容器の体積が大きくなるように突出した第2底部と、を有する包装体。
【請求項2】
前記貫通部は、前記一方向に伸びた形状を有する部分として直線領域を有し、
前記直線領域が前記中央に重なっている、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記貫通部は、前記直線領域のみからなる、請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記蓋材は、前記蓋材の平面視において、前記開口部と重なる閉塞領域を有し、
前記閉塞領域は、前記平面視において、前記貫通部が配された第1領域と、前記第1領域を取り囲むように配された第2領域と、を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項5】
前記第2底部は、前記第1底部を取り囲むように配されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記第1底部は、前記蓋材と対向している、請求項に記載の包装体。
【請求項7】
前記開口部の面積は、前記底部の面積よりも大きい、請求項1からのいずれか1項に記載の包装体。
【請求項8】
前記容器の容積をVa、前記第2底部を設けることによる前記容器の容積の増加分をVbとしたとき、下記式(1)が成り立つ、請求項1から5のいずれか1項に記載の包装体。
0.15≧Vb/Va≧0.05 ・・・(1)
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の包装体と、
流路基板と、を備え、
前記流路基板は、外部に開口した基板開口部と、前記流路基板の内部に位置した流路と、前記流路に接続し、前記基板開口部から供給された液体を受け入れる空洞部と、を有し、
前記基板開口部は、前記蓋材に覆われている、流路デバイス。
【請求項10】
前記基板開口部は、円形である、請求項に記載の流路デバイス。
【請求項11】
前記一方向に伸びた形状を有する部分の長さをL、前記基板開口部の直径をRとしたとき、下記式(2)が成り立つ、請求項10に記載の流路デバイス。
0.30≧L/R≧0.24 ・・・(2)
【請求項12】
前記流路デバイスの平面視において、前記貫通部の重心は、前記基板開口部の重心と重なる、請求項11のいずれか1項に記載の流路デバイス。
【請求項13】
前記流路基板は、疎水性材料で形成されている、請求項12のいずれか1項に記載の流路デバイス。
【請求項14】
請求項から7のいずれか1項に記載の包装体と、
前記第1底部と対向した対向面を有し、前記対向面により前記底部を押圧可能な押圧部材と、を備える測定装置。
【請求項15】
前記対向面と前記第1底部とが対向する方向から前記押圧部材および前記包装体を見た場合、前記対向面は、第1底部の全面および前記第2底部の一部と対向するように位置している、請求項14に記載の測定装置。
【請求項16】
前記対向面は平坦面である、請求項14または15に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装体、流路デバイスおよび測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を流すマイクロ流路デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開特許公報「特開2015-166707号公報」
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係る包装体は、底部と、前記底部に配された壁部と、前記壁部で囲われた開口部とを有する容器と、前記壁部に配されて、前記開口部を閉塞した蓋材と、を備え、前記蓋材は、第1層部材と、前記第1層部材に積層された第2層部材と、を有し、前記第2層部材は、前記蓋材の平面視において前記第2層部材を貫通している貫通部を有し、前記貫通部は、一方向に伸びた形状を有するとともに、前記開口部の中央と重なるように位置している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示の実施形態1に係る流路デバイスの斜視図である。
図2A図1に示すA-A線矢視断面図である。
図2B】包装体が配置されていない状態の流路デバイスの構成を示す断面図である。
図3】蓋材の構成を示す断面図であり、図2に示す領域Dの拡大図である。
図4】蓋材の平面図である。
図5】本開示の一態様の測定装置を示す斜視図である。
図6】上記測定装置における包装体周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本開示の実施形態1に係る流路デバイス1の斜視図である。図2Aは、図1に示すA-A線矢視断面図である。なお、図2では、後述する流路基板2および流路5の一部が省略されている。省略部分は波線で示されている。すなわち、流路5は、例えば、図2Aで示されているよりもさらに下流に延びていてもよい。また、流路基板2は、例えば、図2Aで示されているよりもさらに流路5の上流側又は下流側に広がっていてもよい。図1および図2Aに示すように、流路デバイス1は、流路基板2と、薄膜4と、包装体10とを備えている。図2Aにおいて、下方向は重力が作用する方向(重力方向)である。本開示では、流路デバイス1に流入した液体が、先に到達する位置を「上流」とし、後に到達する位置を「下流」として説明している。また、重力方向を「下側」と称し、その反対方向を「上側」と称する。同様に、流路デバイス1の、重力方向と反対側の面を「上面」と称する。
【0007】
流路基板2は、後述する包装体10に保持されている液体が流れる流路5を内部に有している。流路基板2は、例えば、樹脂で形成されている。一実施形態に係る流路基板2は、疎水性材料で形成されている。具体的には、流路基板2は、例えば、水との接触角が60度以上の樹脂で形成されていてもよい。流路基板2を形成する材料の水との接触角は、例えば、基板ガラス表面のぬれ性試験方法(JIS R 3257:1999)によって求めてもよい。前記樹脂は、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリメタクリル酸メチル樹脂、およびポリジメチルシロキサンなどである。一実施形態に係る流路基板2は、ポリメタクリル酸メチル樹脂で構成されている。一実施形態に係る流路基板2は、流路5の下面が薄膜4によって構成されている。
【0008】
一実施形態に係る流路デバイス1流路基板2は、流路5の下面が薄膜4によって構成されている。具体的には、流路デバイス1は、薄膜4としての薄膜フィルムが、成形された流路基板2に対して、接着剤により接着した複合体であってもよい。前記接着剤は、例えば、紫外線硬化型接着剤、多官能エポキシ架橋接着剤、及びシランカップリング剤などである。なお、流路基板2と薄膜4に相当する部材とが構造的に接合されていてもよい。
【0009】
流路基板2は、上面に外部に開口した基板開口部3を備えている。基板開口部3は、後述する包装体10の蓋材13に覆われている。基板開口部3は、円形であってもよい。基板開口部3の口径は、例えば、9~10mmである。基板開口部3を円形とすることにより、包装体10の押圧時に蓋材13に均一に圧力がかかり、蓋材13を所望の態様で破断させることが容易になる。流路基板2は、基板開口部3の下方に、基板開口部3から供給された液体を受け入れる空洞部6を備えている。流路基板2は、基板開口部3を複数備えていてもよい。
【0010】
包装体10は、流路5に注入する液体を保持する。包装体10が貯留する液体の種類は特に限定されず、検査に用いる各種の試薬、洗浄液、または検体を含む液体であってもよい。包装体10は、図2Aに示すように、容器14と、蓋材13とを備えている。
【0011】
容器14は、流路デバイス1に注入する液体を貯留するための空間を画定している。容器14は、底部11と、容器14の側壁を形成する壁部12とを備えている。底部11は、壁部12の一方の端部に接続されており、容器14の底面を構成している。なお、図2Aに示すように、包装体10が流路デバイス1に設置される場合、包装体10の底部11は、流路デバイス1の上方に位置するように設置される。壁部12の他方の端部には、縁部17が設けられている。縁部17は、流路基板2の上面に形成された凹部7の底面7Aと対向するように形成されていてもよい。容器14を下側から平面視した場合に視認できる開口部を開口部16と称する。開口部16は、壁部12の下側の端部によって形成される部分である。
【0012】
容器14の材料は、検査に用いる液体の種類に応じた任意の材料によって形成されればよい。例えば、酸化しやすい液体を用いる場合、容器14は、酸素の透過率が小さい材料で形成されればよい。例えば、酸性の液体を用いる場合、容器14は、耐酸性の材料で形成されればよい。したがって、容器14は、例えば、アルミニウム、ポリプロピレン、及びポリエチレンなどで形成されればよい。一実施形態において、容器14は、ポリプロピレンで形成されている。なお、容器14は、真空成形など、従来公知の技術によって形成されればよい。
【0013】
図3は、蓋材13の構成を示す断面図であり、図2Aに示す領域Dの拡大図である。図4は、蓋材13の平面図である。蓋材13は、図2Aに示すように、壁部12の端部に配された縁部17に接着されている。当該構成によって、蓋材13は、容器14の開口部16を閉塞している。蓋材13は、縁部17に対して安定的に接着される程度に縁部17の少なくとも一部を覆っていればよく、縁部17の全領域を覆わなくてもよい。容器14の底部11が押圧された際に蓋材13に対して圧力が印加されることにより蓋材13が破断する。これにより、容器14に保持されている液体が容器14から送液可能となる。
【0014】
蓋材13は、図3に示すように、第1層部材131と第2層部材132とが積層された構造となっている。第1層部材131と第2層部材132とは、異なる材料で構成されてもよい。第1層部材131は、例えば、金属箔によって構成されてもよい。上記金属箔は、例えばアルミニウム箔であってもよい。第2層部材132は、例えば、樹脂によって構成されてもよい。上記樹脂としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)とポリクロロトリフルオロエチレンとの共重合体などが挙げられる。蓋材13は、第1層部材131および第2層部材132以外に、樹脂(プラスチック)で構成された樹脂層を備えていてもよい。当該樹脂層は、第1層部材131の第2層部材132側とは反対側の面に位置していてもよい。当該樹脂層と容器14の壁部12とを熱接着することにより、蓋材13を容器14に接着させてもよい。
【0015】
第1層部材131の厚みは、第2層部材132の厚みよりも小さくてもよい。第1層部材131の厚みは、例えば、5μm以上10μm以下であってもよい。第2層部材132の厚みは、5μm以上20μm以下であってもよい。第1層部材131の引っ張り破壊応力は、第2層部材132の引っ張り破壊応力よりも小さくてもよい。
【0016】
第2層部材132は、図3に示すように、第1層部材131と第2層部材132が積層される方向に沿って第2層部材132を貫通している貫通部132Aを有している。第2層部材132に貫通部132Aが形成されていることにより、容器14の底部11への押圧により蓋材13に対して圧力が印加された際に、貫通部132Aが形成されている箇所が破断しやくなる。これにより、蓋材13を破断するために包装体10に対して印加する圧力を小さくすることができる。貫通部132Aの端部は、丸みを帯びていてもよい。貫通部132Aの端部が丸みを帯びている場合、貫通部132Aの端部での応力集中を低減することができる。また、図3に示す断面図において、貫通部132Aの側壁は、第1層部材131から遠ざかるにつれて幅が広がるように、第1層部材に対して傾斜していてもよい。これにより、包装体10の押圧時に第1層部材131に対して応力を効率良くかけることができる。
【0017】
貫通部132Aは、蓋材13を平面視した場合に、一方向に延びた形状を有していればよい。例えば、貫通部132Aは、曲線状に一方向に延びた形状であってもよいし、直線領域と曲線領域とを有した一方向に延びた形状であってもよい。曲線状としては、例えば、円弧状、S字状であってもよい。貫通部132Aが一方向に伸びた形状を有する場合、蓋材13に対して圧力が印加された際に、応力が一方向に沿って集中しやすい。これにより、蓋材13が破断する位置の再現性を高めることができる。貫通部132Aは、一方向に延びた形状として直線領域を少なくとも部分的に有していてもよい。これにより、蓋材13に対して圧力が印加された際に、応力が一方向に沿ってより集中しやすくすることができる。その結果、蓋材13が破断する位置の再現性をさらに高めることができる。
【0018】
また、本実施形態における貫通部132Aは、図4に示すように、直線領域のみで構成されていてもよい。貫通部132Aを直線領域のみで構成することにより、蓋材13が直線領域に沿って破断する可能性が高まり、蓋材13の破断位置および破断のタイミングの再現性をさらに高めることができる。
【0019】
貫通部132Aは、第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向から見たときに、開口部16の重心と重なるように位置していてもよい。これにより、蓋材13に対して圧力が印加された際に、応力が貫通部132Aに集中し、蓋材13の中央から蓋材13が破断しやすくなるとともに、蓋材13を破断するために包装体10に対して印加する圧力を小さくすることができる。さらに、貫通部132Aが直線領域を有する場合には、当該直線領域が開口部16の中央に重なっていてもよい。これにより、蓋材13の中央から所望の方向およびタイミングで蓋材13が破断する可能性を高めることができる。
【0020】
蓋材13は、図4に示すように、蓋材13の平面視において、容器14の開口部16と重なる閉塞領域133を有している。図4において破線で囲まれる領域が閉塞領域133である。図2Aに示すように、閉塞領域133の外側の領域、換言すれば閉塞領域133を取り囲む領域にて蓋材13は縁部17と接着されている。
【0021】
閉塞領域133は、蓋材13の平面視において、貫通部132Aが配された第1領域133Aと、第1領域133Aを取り囲むように配された第2領域133Bとを有してもよい。第2領域133Bは、第1層部材131と、第2層部材132のうち貫通部132Aが配されていない領域とが積層している領域である。閉塞領域133が、第1領域133Aと第2領域133Bとを有していることにより、蓋材13を破断させ、液体を容器14から送液する際に、液体が縁部17を伝って広がる可能性を低減し、送液の方向の再現性を高めることができる。
【0022】
第1層部材131および第2層部材132は、図3に示すように、上側から第1層部材131、第2層部材132の順に位置していてもよいし、上側から第2層部材132、第1層部材131の順に位置していてもよい。
【0023】
底部11は、第1底部11Aと、第2底部11Bとを備えていてもよい。第1底部11Aは、底部11の中央を構成してもよく、第2底部11Bは、第1底部11Aを取り囲むように配置されていてもよい。第1底部11Aの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、円形状、矩形状などであってもよい。本実施形態の第1底部11Aは、円形状となっている。容器14の第1底部11Aは、図2Aに示すように、蓋材13と対向するように配置されていてもよい。これにより、包装体10の押圧時に、蓋材13に応力を均一にかけることができる。
【0024】
第2底部11Bは、容器14の体積が大きくなるように第1底部11Aから突出した形状となっていてもよい。第2底部11Bが第1底部11Aから突出していることにより、包装体10を流路デバイス1に設置したときに、包装体10に貯留されている液体に混入している気体は第2底部11Bに位置する。これにより、包装体10から液体を流路デバイス1に注入するときに、気体が流路デバイス1に入る可能性を低減することができる。第2底部11Bを平面視した場合、第2底部11Bの面積は、例えば28mm~30mmであってもよい。
【0025】
底部11を平面視した場合、第2底部11Bの外周によって定まる円の半径は、例えば11mmであってもよい。底部11を平面視した場合、第1底部11Aの外周によって定まる円の半径は、6mmであってもよい。第2底部11Bは、図2Aに示すように、断面の形状が曲線状になっていてもよい。
【0026】
一実施形態における包装体10は、包装体10の底部が第1底部11Aのみで構成される、すなわち、第2底部11Bが設けられていない場合における容器14の容積をVa、第2底部11Bを設けることによる容器14の容積の増加分をVbとしたとき、下記式(1)が成り立つように構成されてもよい。
0.15≧Vb/Va≧0.05 ・・・(1)
前記構成により、液体に混入した気体を、第2底部11Bによって形成される空間内に捕捉しやすくすることができる。例えば、容器14の全体の容積が350μlである場合、Vbは40μl程度である。
【0027】
壁部12は、容器14の側壁を構成している。壁部12は、第1底部11Aに平行な平面で切断したときの形状が円形状であってもよい。壁部12は、底部11からの距離が大きくなるにつれて、徐々に面積が大きくなるように形成されていてもよい。容器14は、図2Aに示すように、壁部12で囲われた開口部16を有する。壁部12が上記構成を有することにより、開口部16の開口面積は、底部11の面積よりも大きくなっている。本実施形態における開口部16は、円形となっているが、円形に限定されるものではなく、例えば、楕円形、矩形または台形であってもよい。
【0028】
壁部12と蓋材13とが容器14内でなす角度は、80°~90°であってもよい。また、壁部12が蓋材13から立ち上がる部分の表面は、曲面により構成されていてもよい。この場合、壁部12の蓋材13からの立上角度は、10°であってもよい。また、上記曲面の曲率半径は、例えば、1.35mmであってもよい。
【0029】
包装体10を第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向から見た場合、包装体10の外径、すなわち、縁部17の外周の半径は、例えば16mmであってもよく、開口部16の半径は、例えば13mmであってもよい。
【0030】
包装体10は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、容器14に液体を注入する。その後、開口部16を閉塞するように第1層部材131および第2層部材132を容器14の縁部17に位置合わせして積層した状態で、熱圧着を行うことにより蓋材13を縁部17に接着する。次に、第2層部材132に対してCOレーザーを照射することにより、第2層部材132に貫通部132Aを形成する。なお、COレーザーの照射は、熱圧着前に行ってもよい。
【0031】
図2Aに示すように、包装体10は、蓋材13が下側となるように流路デバイス1の流路基板2に設置される。より詳細には、包装体10は、図2Bに示すように、流路基板2の上面に形成された凹部7の底面7Aに縁部17が位置するように設置されてもよい。この場合、蓋材13が底面7Aと当接する。凹部7は、第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向から見たときに、蓋材13の形状と概ね一致する形状を有していてもよい。
【0032】
基板開口部3は、凹部7の底面7Aに位置してしてもよい。容器14の開口部16の大きさは、図2Aに示すように、基板開口部3よりも大きくてもよい。換言すれば、第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向から見たときに、基板開口部3は、容器14の開口部16に覆われていてもよい。また、第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向から見たときに、基板開口部3の重心と容器14の開口部16の重心とが重なっていてもよい。この場合、流路デバイス1の平面視において、貫通部132Aの重心は、基板開口部3の重心と重なる。
【0033】
空洞部6は、基板開口部3と流路5との間に位置する空間を画定する部分であり、流路基板2の一部および薄膜4によって構成される。空洞部6は、基板開口部3から供給された一定量の液体を一時的に貯留することができる。空洞部6において一旦液体が溜った後に、空洞部6の下流側に位置する流路5に液体が流れていく。この構成により、流路5に流入する液体の勢いをコントロールすることができる。
【0034】
空洞部6は、包装体10から解放された液体を一時的に貯留することができるのであれば、特定の形状に限定されるものではない。空洞部6は、例えば、円錐台、三角錐台、及び四角錐台などの錐台、あるいは円錐、三角錐、及び四角錘などの錐体、あるいは円柱、三角柱、及び四角柱などの柱体、又はこれらの組合せなど、任意の形状であればよい。
【0035】
本開示の一態様の流路デバイス1では、貫通部132Aの一方向に伸びた形状を有する部分の長さ(すなわち、貫通部132Aの長手方向の長さ)をL、基板開口部3の直径をRとしたとき、下記式(2)が成り立つように構成されてもよい。なお、貫通部132Aが曲線領域を含む場合、長さLは、貫通部132Aにおける、長手方向の両端部の間の距離を長さLと定義する。
0.30≧L/R≧0.24 ・・・(2)
L/Rを0.3以下とすることにより、蓋材13が破断する位置を制御しやすくなり、貫通部132Aの長手方向における中点を起点として蓋材13が破断する可能性を高めることができる。また、L/Rを0.24以上とすることにより、蓋材13が破断する際の液体の勢いを低減し、液体に気体が混入する可能性を低減することができる。
【0036】
図5は、本開示の一態様の測定装置50を示す斜視図である。測定装置50は、流路デバイス1Aを用いて、液体試料についての測定を行う装置である。本実施形態における流路デバイス1Aは、包装体10により構成される第1保持部61と、第2保持部62と、第3保持部63と、図示しない検出部とを備えていてもよい。流路デバイス1Aは、複数の包装体10を備えているという点において流路デバイス1と異なっているが、流路基板2と包装体10との構造的な関係については流路デバイス1と同様である。第1保持部61は緩衝液を保持しており、第2保持部62は検体液を保持しており、第3保持部63は、緩衝液を保持していてもよい。上記検出部は、例えば、第2保持部62に保持されている検体液に含まれる抗原を測定してもよい。流路デバイス1が備える包装体10の数および各包装体10に封入される液体の種類は、上述のものに限定されない。
【0037】
流路デバイス1は、第1保持部61、第2保持部62、および第3保持部63の全てが包装体10により構成される構成に限られず、第1保持部61、第2保持部62、および第3保持部63の少なくとも1つが包装体10によって構成されていればよい。この場合、流路デバイス1は、包装体10によって構成されない保持部に代えて、例えば、試薬、検体液などの液体がスポイトなどによって注入される構造となっていてもよい。
【0038】
図6は、測定装置50における包装体10周辺の断面図である。図6に示すように、測定装置50は、押圧部材51を備えている。押圧部材51は、包装体10の底部を押圧可能となっている。押圧部材51は、測定装置50に、流路デバイス1が装着された状態において、包装体10の第1底部11Aと対向する対向面51Aを備えている。押圧部材51は、第1底部11Aと対向面51Aとが対向する方向、換言すれば、第1層部材131と第2層部材132とが積層する方向に沿って移動可能となっている。押圧部材51は、対向面51Aにより包装体10の第1底部11Aのみ、または第1底部11Aおよび第2底部11Bを押圧してもよい。対向面51Aは、平坦面であってもよい。平坦面とは、視認できるレベルの曲面ではないこと、或いは、視認できるレベルの凹凸を有していないことを意図しており、厳密に平らであることを求めない。対向面51Aの形状は、特に限定されないが、例えば、矩形状、台形状、楕円形状、または、円形状であってもよい。本実施形態では、対向面51Aの形状は円形状である。対向面51Aは、例えば、直径が8.5mmの円形状であってもよい。
【0039】
対向面51Aと第1底部11Aとが対向する方向から押圧部材51および包装体10を見た場合、対向面51Aは、第1底部11Aの全面および第2底部11Bの一部に対向するように位置していてもよい。すなわち、対向面51Aの面積は、第1底部11Aの面積よりも大きくてもよい。この場合、押圧部材51が包装体10を押圧する際に、第1底部11Aの全面および第2底部11Bの一部が押圧部材により押しつぶされる。この場合、包装体10に貯留されている液体に混入している気体が、押圧部材51により押圧されない第2底部11Bの他の一部に捕捉されることにより、気体が流路デバイス1に入る可能性を低減することができる。また、押圧部材51により押圧される底部11の面積が第1底部11Aの面積よりも大きいことにより、押圧部材51の単位移動距離あたりの送液量を増やすことができる。
【0040】
対向面51Aは、対向面51Aの平面視において、第2底部11Bに取り囲まれるように、第1底部11Aの少なくとも一部に対向していてもよい。すなわち、対向面51Aは、対向面51Aの平面視において、第2底部11Bの内周よりも内側に位置していてもよい。この場合、対向面51Aの面積は、第1底部11Aの面積と同じか当該面積よりも小さくなるように構成される。
【0041】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0042】
1 流路デバイス
2 流路基板
3 基板開口部
5 流路
6 空洞部
10 包装体
11 底部
11A 第1底部
11B 第2底部
12 壁部
13 蓋材
14 容器
16 開口部
17 縁部
50 測定装置
51 押圧部材
51A 対向面
131 第1層部材
132 第2層部材
132A 貫通部
133 閉塞領域
133A 第1領域
133B 第2領域
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6