(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】マイクロフォン回路、マイクロフォンモジュール及びマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法
(51)【国際特許分類】
H03G 7/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H03G7/00 005
(21)【出願番号】P 2022581694
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2022090025
(87)【国際公開番号】W WO2023184640
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】202210349181.3
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 冬
(72)【発明者】
【氏名】チュア,ティオンキー
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0037112(US,A1)
【文献】米国特許第06266423(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0142261(US,A1)
【文献】特開2014-030193(JP,A)
【文献】特開2003-243956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G 5/00ー99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプ及びバイアス抵抗を備えるマイクロフォン回路であって、
前記アンプは、外部のマイクロフォンから出力された信号を受信し、前記信号を増幅して出力するために用いられ、前記バイアス抵抗の第1端は、予め設定されたバイアス電圧に接続するために用いられ、前記バイアス抵抗の第2端は、前記マイクロフォンの出力端に接続され、かつ前記バイアス抵抗の第2端は、前記アンプの入力端に接続され、前記アンプの入力端は、前記マイクロフォン回路の入力端とし、前記アンプの出力端は、前記マイクロフォン回路の出力端とし、
前記マイクロフォン回路は、前記マイクロフォン回路の入力端に接続されたバイアスネットワークモジュールをさらに備え、前記バイアスネットワークモジュールは、前記信号の電圧値の大きさを判断するために用いられ、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えると、前記バイアスネットワークモジュールの対応するインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続することにより、前記信号の振幅を減少させ、ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応
し、
前記閾値電圧群は、上閾値電圧及び下閾値電圧を備え、前記上閾値電圧の電圧値は、前記下閾値電圧の電圧値よりも大きく、前記閾値電圧群の電圧値範囲は、前記上閾値電圧の電圧値以下であり、かつ前記下閾値電圧の電圧値以上であり、
前記バイアスネットワークモジュールは、第1バイアスネットワーク回路を備え、前記第1バイアスネットワーク回路は、第1PMOSトランジスタと、第1NMOSトランジスタと、第1インピーダンスとを備え、
前記第1PMOSトランジスタのソースは、第1下バイアス電圧に接続するために用いられ、前記第1PMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタのドレイン及び前記第1インピーダンスの第1端に接続され、
前記第1PMOSトランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端に接続するために用いられ、かつ前記第1PMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタのゲートと前記第1インピーダンスの第2端に接続され、
前記第1NMOSトランジスタのソースは、第1上バイアス電圧に接続するために用いられ、
前記第1バイアスネットワーク回路の上閾値電圧は、前記第1上バイアス電圧の電圧値と前記第1NMOSトランジスタのN型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、前記第1バイアスネットワーク回路の下閾値電圧は、前記第1下バイアス電圧の電圧値と前記第1PMOSトランジスタのP型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和である、ことを特徴とするマイクロフォン回路。
【請求項2】
前記バイアスネットワークモジュールは、第nバイアスネットワーク回路をさらに備え、nは、正の整数であり、かつn≧2を満たし、前記第nバイアスネットワーク回路は、第nPMOSトランジスタと、第nNMOSトランジスタと、第nインピーダンスとを備え、
前記第nPMOSトランジスタのソースは、第n下バイアス電圧に接続するために用いられ、前記第nPMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタのドレインと前記第nインピーダンスの第1端に接続され、
前記第nPMOSトランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端に接続するために用いられ、かつ前記第nPMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタのゲートと前記第nインピーダンスの第2端に接続され、
前記第nNMOSトランジスタのソースは、第n上バイアス電圧に接続するために用いられ、
ここで、前記第nバイアスネットワーク回路の上閾値電圧は、前記第n上バイアス電圧の電圧値と前記第nNMOSトランジスタのN型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、前記第nバイアスネットワーク回路の下閾値電圧は、前記第n下バイアス電圧の電圧値と前記第nPMOSトランジスタのP型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、
かつ、前記第1上バイアス電圧は、前記第n上バイアス電圧よりも小さく、前記第n下バイアス電圧は、前記第1下バイアス電圧よりも小さい、ことを特徴とする請求項
1に記載のマイクロフォン回路。
【請求項3】
前記アンプは、定電流源及び第1トランジスタを備え、
前記定電流源の入力端は、電源電圧に接続され、
前記定電流源の出力端は、前記第1トランジスタのソースに接続され、かつ前記第1トランジスタのソースは、前記マイクロフォン回路の出力端とし、
前記第1トランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端とし、前記第1トランジスタのドレインは、接地に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォン回路。
【請求項4】
マイクロフォン容量と、請求項1~
3のいずれか一項に記載のマイクロフォン回路とを備えるマイクロフォンモジュールであって、
前記マイクロフォン容量の第1端は、マイクロフォンバイアス電圧に接続され、
前記マイクロフォン容量の第2端は、前記マイクロフォン回路の入力端に接続され、
ここで、前記マイクロフォン容量は、マイクロフォンが前記マイクロフォン回路の入力端に接続されるときに、等価的に形成される、ことを特徴とするマイクロフォンモジュール。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロフォン回路に応用されるマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法であって、
当該
マイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、
ステップS1であって、前記信号を受信するステップと、
ステップS2であって、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えるか否かを判断し、
そうであれば、予め設定されたインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続して、前記信号の振幅を減少させ、
そうでなければ、受信された前記信号を前記アンプの入力端に送信し、
ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応するステップとを含む、ことを特徴とするマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法。
【請求項6】
前記閾値電圧群は、n個あり、前記インピーダンスは、n個あり、各前記閾値電圧群は、一つの前記インピーダンスに対応する、ことを特徴とする請求項
5に記載のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォン回路の技術分野に関し、特にマイクロフォンに応用されるマイクロフォン回路、マイクロフォンモジュール及びマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートモバイルデバイスの応用がますます広くなる。音声を電気信号に変換するマイクロフォンはますます重要になってきている。マイクロフォンの信号を駆動して出力するマイクロフォン回路は、スマートモバイルデバイスの効果及び性能に影響を与える。
【0003】
図1に示すように、
図1は、関連技術のマイクロフォン回路の回路モジュール模式図である。関連技術のマイクロフォン回路は、アンプAMPと抵抗Rとを備えている。前記アンプAMPは、外部のマイクロフォンMicから出力された信号Vinを受信し、かつ前記信号Vinを増幅して出力し、出力信号はVoutである。前記抵抗Rの第1端は、予め設定されたバイアス電圧Vbiasに接続するために用いられる。ここで、バイアス電圧Vbiasの電圧値は0.8Vである。前記抵抗Rの第2端は、前記マイクロフォンMicの出力端に接続され、かつ前記抵抗Rの第2端は、前記アンプの入力端に接続され、前記マイクロフォン回路の入力端とする。前記抵抗Rの値は200Gオームである。前記アンプAMPの出力端は、前記マイクロフォン回路の出力端とする。ここで、前記マイクロフォンMicの第1端には、高電圧バイアス電圧Vcpが接続され、当該電圧は13.8Vである。前記マイクロフォンMicの第2端は、前記マイクロフォンMicの出力端とする。
【0004】
しかしながら、関連技術において前記マイクロフォン回路におけるマイクロフォンMicから出力された信号Vinは、アンプAMPにより線形増幅されて出力信号Voutとする。マイクロフォン業界では、マイクロフォンMicが基準の1kHzで音圧94dBの音声信号を受信する場合、アンプから出力された正弦信号のピークからピークまでの振幅が35.6mVであると規定されている。音声信号が増大すると、アンプから出力された振幅も同時に増大する。最終的に、出力信号Voutは、アンプAMPの電源電圧VDDと接地GNDによってクランプされる。すなわち、マイクロフォンMicの音圧過負荷ポイント(Acoustic Overload Point、AOPと略称する)は、アンプAMPの電源電圧VDDに制約される。マイクロフォンMicの音圧が高すぎると、出力信号Voutは、電源電圧VDD及び接地GNDによってクランプされ、関連技術におけるマイクロフォン回路の線形性が悪くなり、すなわち全高調波歪み(total harmonic distortion、THDと略称する)が悪くなり、当該マイクロフォン回路を応用するスマートモバイルデバイスの出力音声に歪みが発生する。
【0005】
したがって、上記技術課題を解決するために、新たなマイクロフォン回路、モジュール及び方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記技術課題を克服し、マイクロフォン音圧過負荷ポイントを向上させかつ電気的性能が高いマイクロフォン回路、マイクロフォンモジュール及びマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様において、本発明の実施例は、アンプ及びバイアス抵抗を備えるマイクロフォン回路を提供し、前記アンプは、外部のマイクロフォンから出力された信号を受信し、前記信号を増幅して出力するために用いられ、前記バイアス抵抗の第1端は、予め設定されたバイアス電圧に接続するために用いられ、前記バイアス抵抗の第2端は、前記マイクロフォンの出力端に接続するために用いられ、かつ前記バイアス抵抗の第2端は、前記アンプの入力端に接続され、前記アンプの入力端は、前記マイクロフォン回路の入力端とし、前記アンプの出力端は、前記マイクロフォン回路の出力端とし、
前記マイクロフォン回路は、前記マイクロフォン回路の入力端に接続されたバイアスネットワークモジュールをさらに備え、前記バイアスネットワークモジュールは、前記信号の電圧値の大きさを判断するために用いられ、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えると、前記バイアスネットワークモジュールの対応するインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続することにより、前記信号の振幅を減少させて、ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応する。
【0008】
好ましくは、前記閾値電圧群は、上閾値電圧及び下閾値電圧を備え、前記上閾値電圧の電圧値は、前記下閾値電圧よりも大きく、前記閾値電圧群の電圧値範囲は、前記上閾値電圧以下であり、かつ前記下閾値電圧の電圧値以上である。
【0009】
好ましくは、前記バイアスネットワークモジュールは、第1バイアスネットワーク回路を備え、前記第1バイアスネットワーク回路は、第1PMOSトランジスタ、第1NMOSトランジスタ及び第1インピーダンスを備え、
前記第1PMOSトランジスタのソースは、第1下バイアス電圧に接続するために用いられ、前記第1PMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタのドレイン及び前記第1インピーダンスの第1端に接続され、
前記第1PMOSトランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端に接続され、かつ前記第1PMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタのゲートと前記第1インピーダンスの第2端に接続され、
前記第1NMOSトランジスタのソースは、第1上バイアス電圧に接続するために用いられ、
ここで、前記第1バイアスネットワーク回路の上閾値電圧は、前記第1上バイアス電圧の電圧値と前記第1NMOSトランジスタのN型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、前記第1バイアスネットワーク回路の下閾値電圧は、前記第1下バイアス電圧の電圧値と前記第1PMOSトランジスタのP型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和である。
【0010】
好ましくは、前記バイアスネットワークモジュールは、第nバイアスネットワーク回路をさらに備え、nは、正の整数であり、かつn≧2を満たし、前記第nバイアスネットワーク回路は、第nPMOSトランジスタ、第nNMOSトランジスタ及び第nインピーダンスを備え、
前記第nPMOSトランジスタのソースは、第n下バイアス電圧に接続するために用いられ、前記第nPMOSトランジスタのドレインは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタのドレインと前記第nのインピーダンスの第1端に接続され、
前記第nPMOSトランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端に接続するために用いられ、かつ前記第nPMOSトランジスタのゲートは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタのゲートと前記第nインピーダンスの第2端に接続され、
前記第nNMOSトランジスタのソースは、第n上バイアス電圧に接続するために用いられ、
ここで、前記第nバイアスネットワーク回路の上閾値電圧は、前記第n上バイアス電圧の電圧値と前記第nNMOSトランジスタのN型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、前記第nバイアスネットワーク回路の下閾値電圧は、前記第n下バイアス電圧の電圧値と前記第nPMOSトランジスタのP型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、
かつ、前記第1上バイアス電圧は、前記第n上バイアス電圧よりも小さく、前記第n下バイアス電圧は、前記第1下バイアス電圧よりも小さい。
【0011】
好ましくは、前記アンプは、定電流源及び第1トランジスタを備え、
前記定電流源の入力端は、電源電圧に接続され、
前記定電流源の出力端は、前記第1トランジスタのソースに接続され、かつ前記第1トランジスタのソースは、前記マイクロフォン回路の出力端とし、
前記第1トランジスタのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端とし、前記第1トランジスタのドレインは、接地に接続される。
【0012】
第2態様において、本発明の実施例は、マイクロフォンモジュールをさらに提供し、当該マイクロフォンモジュールは、マイクロフォン容量と、本発明の実施例に提供されるような上記マイクロフォン回路とを備え、前記マイクロフォン容量の第1端は、マイクロフォンバイアス電圧に接続され、前記マイクロフォン容量の第2端は、前記マイクロフォン回路の入力端に接続され、ここで、前記マイクロフォン容量は、マイクロフォンが前記マイクロフォン回路の入力端に接続されるときに、等価的に形成される。
【0013】
第3態様において、本発明の実施例は、マイクロフォン回路に応用されるマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法をさらに提供し、前記マイクロフォン回路は、アンプ及びバイアス抵抗を備え、前記アンプは、外部のマイクロフォンから出力された信号を受信し、前記信号を増幅して出力するために用いられ、前記バイアス抵抗の第1端は、予め設定されたバイアス電圧に接続するために用いられ、前記バイアス抵抗の第2端は、前記マイクロフォンの出力端に接続され、かつ前記バイアス抵抗の第2端は、前記アンプの入力端に接続され、前記アンプの入力端は、前記マイクロフォン回路の入力端とし、前記アンプの出力端は、前記マイクロフォン回路の出力端とし、当該方法は、
ステップS1であって、前記信号を受信するステップと、
ステップS2であって、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えるか否かを判断し、
そうであれば、予め設定されたインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続して、前記信号の振幅を減少させ、
そうでなければ、受信された前記信号を前記アンプの入力端に送信し、
ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応するステップとを含む。
【0014】
好ましくは、前記閾値電圧群は、n個あり、前記インピーダンスは、n個あり、各前記閾値電圧群は、一つの前記インピーダンスに対応する。
【発明の効果】
【0015】
従来の技術に比べて、本発明によるマイクロフォン回路は、外部マイクロフォンの出力端と接続する位置にバイアスネットワークモジュールを設置し、バイアスネットワークモジュールによりマイクロフォンから出力された信号の電圧値の大きさを判断し、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えると、前記バイアスネットワークモジュールの対応するインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続することにより、前記信号の振幅を減少させる。当該回路構造では、前記信号の振幅が予め設定された電圧値範囲を超えると、予め設定されたインピーダンスを追加的に接続することで、マイクロフォンの出力端の等価負荷抵抗を小さくし、前記信号の振幅を減少させることにより、アンプの出力信号の振幅がアンプの電源電圧と接地のクランプ範囲内にあるようにする。したがって、本発明が提供するマイクロフォン回路、マイクロフォンモジュール及びマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、マイクロフォン音圧過負荷ポイントを向上させ、それにより全高調波歪み性能が高く、出力された電気信号がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明するが、以下に説明する図面は、本発明のいくつかの実施例だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができることは明らかである。
【
図1】関連技術のマイクロフォン回路の応用回路図である。
【
図2】本発明のマイクロフォン回路の回路モジュール模式図である。
【
図3】本発明のマイクロフォン回路の実施例の回路図である。
【
図4】本発明のマイクロフォン回路の別の実施例の回路図である。
【
図5】本発明のマイクロフォンモジュールの回路モジュール模式図である。
【
図6】本発明のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確で、完全に説明し、明らかなように、記述される実施例は、本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得ることができる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0018】
(実施例1)
【0019】
本発明の実施例は、マイクロフォン回路100を提供する。
【0020】
図2を参照し、
図2は本発明のマイクロフォン回路の回路モジュール模式図である。マイクロフォン回路100は、アンプ1と、バイアス抵抗R1と、バイアスネットワークモジュール2とを備えている。
【0021】
前記アンプ1は、外部のマイクロフォンMicから出力された信号Vinを受信し、かつ前記信号Vinを増幅して出力するために用いられる。
【0022】
前記バイアス抵抗R1の第1端は、予め設定されたバイアス電圧Vbiasに接続されるために用いられ、前記バイアス抵抗R1の第2端は、前記マイクロフォンMicの出力端に接続され、かつ前記バイアス抵抗R1の第2端は、前記アンプ1の入力端に接続される。前記アンプ1の入力端は、前記マイクロフォン回路100の入力端とする。前記アンプ1の出力端は、前記マイクロフォン回路100の出力端とする。
【0023】
バイアスネットワークモジュール2は、前記マイクロフォン回路100の入力端に接続される。前記バイアスネットワークモジュール2は、前記信号Vinの電圧値の大きさを判断するために用いられ、前記信号Vinの電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えると、前記バイアスネットワークモジュール2の対応するインピーダンスを前記マイクロフォン回路100の入力端に接続することにより、前記信号Vinの振幅を減少させる。ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応する。
【0024】
具体的には、前記閾値電圧群は、上閾値電圧及び下閾値電圧を備える。前記閾値電圧群の電圧値の範囲は、前記上閾値電圧の電圧値以下である。かつ前記下閾値電圧の電圧値以上である。
【0025】
前記マイクロフォン回路100の回路構成では、前記信号Vinの振幅が予め設定された電圧値範囲を超える時、予め設定されたインピーダンスを追加的に接続することで、マイクロフォンMicの出力端の等価負荷抵抗を小さくして、前記信号Vinの振幅を減少させることにより、前記アンプ1の出力信号Voutの振幅が前記アンプ1の電源電圧VDDと接地GNDのクランプ範囲内にある。したがって、本発明の提供するマイクロフォン回路100は、マイクロフォン音圧過負荷ポイントAOPを向上させ、それにより全高調波歪みTHD性能が高く、出力された電気信号がよくなる。
【0026】
前記インピーダンスは、容量インピーダンス又は抵抗インピーダンスである。本実施例において、前記インピーダンスは、可変容量インピーダンスであり、容量インピーダンスは、マイクロフォンMicの出力端の等価負荷抵抗を小さくすることをより良く実現することができ、それにより前記信号Vinの振幅を減少させる。
【0027】
(実施例2)
【0028】
本発明の実施例2は、マイクロフォン回路200を提供する。ここで、前記マイクロフォン回路200は、実施例1におけるマイクロフォン回路100の具体的な回路である。
【0029】
図3を参照し、
図3は本発明のマイクロフォン回路200の実施例2の回路図である。
【0030】
前記アンプ1は、定電流源IBと、第1トランジスタM1とを備える。前記第1トランジスタM1は、PMOSトランジスタである。本実施例2において、前記アンプ1は、ソースフォロアである。
【0031】
前記定電流源IBの入力端は、電源電圧VDDに接続されている。
【0032】
定電流源IBの出力端は、第1トランジスタM1のソースに接続されている。
【0033】
前記第1トランジスタM1のソースと前記定電流源IBの出力端とが前記マイクロフォン回路100の出力端とする。
【0034】
前記第1トランジスタM1のゲートは、前記マイクロフォン回路100の入力端とする。
【0035】
第1トランジスタM1のドレインは、接地GNDに接続されている。
【0036】
前記バイアスネットワークモジュール2は、第1バイアスネットワーク回路21を備える。
【0037】
具体的には、前記第1バイアスネットワーク回路21は、第1PMOSトランジスタMP1、第1NMOSトランジスタMN1及び第1インピーダンスZ1を備える。
【0038】
前記第1PMOSトランジスタMP1のソースは、第1下バイアス電圧VB1pに接続され、前記第1PMOSトランジスタMP1のドレインは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタMN1のドレイン及び前記第1インピーダンスZ1の第1端に接続される。
【0039】
前記第1PMOSトランジスタMP1のゲートは、前記マイクロフォン回路100の入力端に接続され、かつ前記第1PMOSトランジスタMP1のゲートは、それぞれ前記第1NMOSトランジスタMN1のゲートと前記第1インピーダンスZ1の第2端に接続される。
【0040】
第1NMOSトランジスタMN1のソースは、第1上バイアス電圧VB1nに接続するために用いられる。
【0041】
ここで、前記第1バイアスネットワーク回路21の下閾値電圧は、前記第1下バイアス電圧VB1pの電圧値と前記第1PMOSトランジスタMP1のP型トランジスタのターンオン閾値電圧Vthpの電圧値との総和であり、前記第1バイアスネットワーク回路21の上閾値電圧は、前記第1上バイアス電圧VB1nの電圧値と前記第1NMOSトランジスタMN1のN型トランジスタのターンオン閾値電圧Vthnの電圧値との総和である。
【0042】
以下、前記マイクロフォン回路200の動作原理について説明する。
外部のマイクロフォンMicが受信した外部音圧が小さい場合、すなわちマイクロフォンMicから出力された前記信号Vinの振幅が小さい場合、前記信号Vinは、Vin<VB1n+Vthn、Vin>VB1p-Vthpという条件を満たす。前記第1PMOSトランジスタMP1及び前記第1NMOSトランジスタMN1は、いずれもオフであり、マイクロフォンMicの負荷は、主に前記バイアス抵抗R1であり、本実施例において、前記バイアス抵抗R1の抵抗値は、通常、200GΩに設定される。前記バイアス抵抗R1の抵抗値が大きいため、信号対雑音比の大幅な低下を及ばすことはない。
【0043】
外部のマイクロフォンMicが受信した外部音圧が大きい場合、すなわちマイクロフォンMicから出力された前記信号Vinの振幅が大きい場合、前記信号Vinは、Vin>VB1n+Vthnの際に前記第1NMOSトランジスタMN1が導通し、又はVin<VB1p-Vthpの際に前記第1PMOSトランジスタMP1が導通して、前記第1バイアスネットワーク回路21の前記第1インピーダンスZ1がマイクロフォンMicの出力端に印加され始めるということを満たす。前記第1インピーダンスZ1と前記バイアス抵抗R1の回路接続関係により、電圧分圧効果が現れ、前記信号Vinの振幅は、前記第1インピーダンスZ1により圧縮される。したがって、同じ音圧に対して、前記信号Vinの振幅は、関連技術におけるマイクロフォン回路の前記信号Vinよりも小さく、それにより出力信号Voutが正常に出力することができ、出力信号Voutが前記アンプ1の電源電圧VDD及び接地GNDでクランプされることによって波形が平坦化になることがない。したがって、出力信号Voutが前記アンプ1の電源電圧VDD及び接地GNDによってクランプされるには、より大きな外部音圧を必要とするため、回路全体の音圧過負荷ポイントAOPが向上され、それにより全高調波歪みTHD性能が良好となり、出力された電気信号がよくなる。
【0044】
(実施例3)
【0045】
本発明の実施例3は、マイクロフォン回路300を提供する。
【0046】
図4を参照し、
図4は本発明マイクロフォン回路300の実施例3の回路図である。ここで、マイクロフォン回路300は、実施例2におけるマイクロフォン回路200に比べて、前記バイアスネットワークモジュール2が第nバイアスネットワーク回路2nをさらに備え、nが正の整数であり且つn≧2を満たし、前記第nバイアスネットワーク回路が第nPMOSトランジスタMPn、第nNMOSトランジスタMNn及び第nインピーダンスZnを備えるという点にある。
【0047】
前記第nPMOSトランジスタMPnのソースは、第n下バイアス電圧VBnpに接続されるために用いられ、前記第nPMOSトランジスタMPnのドレインは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタMNnのドレイン及び前記第nインピーダンスZnの第1端に接続される。
【0048】
前記第nPMOSトランジスタMPnのゲートは、前記マイクロフォン回路の入力端に接続されるために用いられ、かつ前記第nPMOSトランジスタMPnのゲートは、それぞれ前記第nNMOSトランジスタMNnのゲートと前記第nインピーダンスZnの第2端に接続される。
【0049】
第nNMOSトランジスタMNnのソースは、第n上バイアス電圧VBnnに接続されるために用いられる。
【0050】
ここで、前記第nバイアスネットワーク回路の下閾値電圧は、前記第n下バイアス電圧VBnpの電圧値と前記第nPMOSトランジスタMPnのP型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和であり、前記第nバイアスネットワーク回路の上閾値電圧は、前記第n上バイアス電圧VBnnの電圧値と前記第nNMOSトランジスタMNnのN型トランジスタのターンオン閾値電圧の電圧値との総和である。
【0051】
本発明のマイクロフォン回路300は、実施例2のマイクロフォン回路200に基づいて、n個のバイアスネットワーク回路を追加し、すなわちn個の前記第1バイアスネットワーク回路21を追加することに相当し、つまり、前記バイアスネットワークモジュール2は、前記第1バイアスネットワーク回路21と、…第nバイアスネットワーク回路2nとを備え、これは、前記バイアスネットワークモジュール2をnセグメントに分割し、前記第1インピーダンスZ1、第2インピーダンス、…及び前記第nインピーダンスZnをマイクロフォンMicの負荷に順次加えて、マイクロフォンMicから出力された前記信号Vinに対してセグメント圧縮を実現することに相当する。
【0052】
前記第1上バイアス電圧VB1nは、前記第n上バイアス電圧VBnnよりも小さい。すなわち前記第n上バイアス電圧VBnnは、前記第1上バイアス電圧VB1nよりも大きい。VB1n<…<VBnnであり、すなわち前記第1上バイアス電圧VB1nの電圧値から前記第n上バイアス電圧VBnnの電圧値に向かって高くなるように設定される。
【0053】
前記第n下バイアス電圧VBnpは、前記第1下バイアス電圧VB1pよりも小さい。すなわち前記第1下バイアス電圧VB1pは、前記第n下バイアス電圧VBnpよりも大きい。VB1p>…>VBnpであり、すなわち前記第1下バイアス電圧VB1pの電圧値から前記第n下バイアス電圧VBnpの電圧値に向かって高くなるように設定される。当該設定により、前記バイアスネットワークモジュール2がnセグメントに分割され、マイクロフォンMicから出力された前記信号Vinの振幅が大きいほど、前記バイアスネットワークモジュール2における次々に増加して接続されるインピーダンスが多くなることによって、前記信号Vinの振幅が連続的に並列接続されたインピーダンスにより圧縮され、マイクロフォンMic上の等価負荷インピーダンスが小さくなり、前記信号Vinの振幅が減少し、それにより出力信号Voutで正常に出力することができる。
【0054】
(実施例4)
【0055】
本発明の実施例4は、マイクロフォンモジュール400を提供する。
【0056】
図5を参照し、
図5は本発明のマイクロフォンモジュール400の回路モジュール模式図である。
【0057】
前記マイクロフォンモジュール400は、マイクロフォン容量3及び前記マイクロフォン回路100を備え、前記マイクロフォン容量3の第1端は、マイクロフォンバイアス電圧Vcpに接続され、前記マイクロフォン容量3の第2端は、前記マイクロフォン回路100の入力端に接続される。ここで、前記マイクロフォン容量3は、マイクロフォンデバイスが前記マイクロフォン回路100の入力端に接続されるときに等価的に形成される。
【0058】
(実施例5)
【0059】
本発明の実施例5は、マイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法を提供する。
【0060】
マイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、マイクロフォン回路に適用される。マイクロフォン回路は、アンプとバイアス抵抗とを備える。前記アンプは、外部のマイクロフォンから出力された信号を受信し、かつ前記信号を増幅して出力するために用いられる。前記バイアス抵抗の第1端は、予め設定されたバイアス電圧に接続するために用いられる。前記バイアス抵抗の第2端は、前記マイクロフォンの出力端に接続され、かつ前記バイアス抵抗の第2端は、前記アンプの入力端に接続され、前記アンプの入力端は、前記マイクロフォン回路の入力端とする。前記アンプの出力端は、前記マイクロフォン回路の出力端とする。すなわち、本発明のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、マイクロフォン回路100、マイクロフォン回路200、マイクロフォン回路300およびマイクロフォンモジュール400に適用することができる。
【0061】
図6を参照し、
図6は本発明のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法のフローチャートである。
【0062】
本発明のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、以下のステップを備えるものである。
ステップS1であって、前記信号を受信する。
ステップS2であって、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えるか否かを判断し、
そうであれば、予め設定されたインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続して、前記信号の振幅を減少させて、
そうでなければ、受信された前記信号を前記アンプの入力端に送信し、
ここで、前記インピーダンスは、前記閾値電圧群と一対一に対応する。
【0063】
本発明のマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、前記信号の振幅が予め設定された電圧値範囲を超える場合、予め設定されたインピーダンスを追加的に接続することで、マイクロフォンの出力端の等価負荷抵抗を小さくして、前記信号の振幅を減少させることにより、アンプの出力信号の振幅がアンプの電源電圧と接地のクランプ範囲内にあるようにし、それにより、マイクロフォン音圧過負荷ポイントを向上させ、全高調波歪み性能が高く、出力された電気信号がよくなる。
【0064】
本実施例において、前記閾値電圧群は、n個含む。前記インピーダンスは、n個含む。各前記閾値電圧群は、一つの前記インピーダンスに対応する。当該設定によって、前記閾値電圧群がn個に分割され、マイクロフォンから出力された前記信号の振幅が大きいほど、次々に増加して接続されるインピーダンスが多くなることによって、前記信号の振幅が連続的に並列接続されたインピーダンスにより圧縮されて、マイクロフォン上の等価負荷インピーダンスが小さくなり、前記信号の振幅が減少し、それにより、出力信号で正常に出力することができ、マイクロフォン音圧過負荷ポイントを向上させ、全高調波歪み性能が高く、出力された電気信号がよくなる。
【0065】
なお、本実施例に用いられる抵抗、容量、マイクロフォン、インピーダンス、定電流源及びトランジスタは、いずれも本分野の一般的な回路モジュール又はデバイスであり、使用者は設計された指標に基づいてモデル及びパラメータ性能を選択可能であり、ここで、詳細な説明を省略する。従来の技術に比べて、本発明によるマイクロフォン回路は、外部マイクロフォンの出力端と接続する位置にバイアスネットワークモジュールを設置し、バイアスネットワークモジュールによりマイクロフォンから出力された信号の電圧値の大きさを判断し、前記信号の電圧値が予め設定された閾値電圧群の電圧値範囲を超えると、前記バイアスネットワークモジュールの対応するインピーダンスを前記マイクロフォン回路の入力端に接続することにより、前記信号の振幅を小さくする。当該回路構造は、前記信号の振幅が予め設定された電圧値範囲を超える場合、予め設定されたインピーダンスを追加的に接続することで、マイクロフォンの出力端の等価負荷抵抗を小さくし、前記信号の振幅を減少させることにより、アンプの出力信号の振幅がアンプの電源電圧と接地のクランプ範囲内にあるようにする。したがって、本発明が提供するマイクロフォン回路、マイクロフォンモジュール及びマイクロフォン音圧過負荷ポイント向上方法は、マイクロフォン音圧過負荷ポイントを向上させ、それにより全高調波歪み性能が高く、出力された電気信号がよくなる。
【0066】
上記したのは、本発明の実施形態に過ぎず、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれると指摘すべきである。