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特許7550261ポータブルクリーンルーム、ポータブルクリーンルームの製造方法及びポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填するための方法
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  • 特許-ポータブルクリーンルーム、ポータブルクリーンルームの製造方法及びポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ポータブルクリーンルーム、ポータブルクリーンルームの製造方法及びポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01L 1/04 20060101AFI20240905BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20240905BHJP
   B65B 31/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61J 1/06 20060101ALI20240905BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20240905BHJP
   B65B 55/08 20060101ALI20240905BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20240905BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B01L1/04
B65B3/04
B65B31/00
A61J1/06 A
B65B55/10 E
B65B55/08 B
B25J21/02
A61L2/07
A61L2/08
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045907
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2020514938の分割
【原出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2023088999
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】102017216366.6
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モシグ,シュテファン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-535015(JP,A)
【文献】特開2017-006990(JP,A)
【文献】特開2015-104358(JP,A)
【文献】特開2015-077680(JP,A)
【文献】特表2012-519599(JP,A)
【文献】特開2013-244340(JP,A)
【文献】米国特許第05881535(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0107190(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/04-20
A61J 1/00-22
B01J 4/00
B01L 1/00-04
B08B 15/00-02
B25H 1/20
B25J 21/00-02
B65B 3/00-36
B65B 31/00
B65B 55/00-24
C12M 1/00
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルーム(1)の中に設置されている少なくとも1つの薬剤容器(9)に少なくとも1つの活性物質を充填するためのポータブルクリーンルーム(1)であって、
前記クリーンルーム(1)は、少なくとも部分的に可撓性を有するカバー(3)によって気密に囲まれ、
前記カバー(3)は、少なくとも1つの開放可能な活性物質接続領域(5)を有し、
操作装置(11)と少なくとも1つの薬剤容器(9)とが前記クリーンルーム(1)の中に配置され、
前記カバー(3)は、少なくとも1つの作動接続領域(23)を有し、
前記操作装置(11)は、前記クリーンルーム(1)の中に配置されている少なくとも1つの薬剤容器(9)の中に少なくとも1つの活性物質を導入するために前記活性物質接続領域(5)に接続可能な少なくとも1つの充填装置(13)を有し、
前記操作装置(11)は、前記カバー(3)の前記作動接続領域(23)を介して作動装置(25)によって作動することができ、前記充填装置(13)を前記少なくとも1つの薬剤容器(9)に対して移動させ及び/又は前記充填装置(13)を作動させるように設計され、
前記操作装置(11)は、前記クリーンルーム(1)の中に配置されている少なくとも1つの閉鎖部材(29)によって前記少なくとも1つの薬剤容器(9)を閉鎖するために少なくとも1つの閉鎖装置(15)を有し、前記少なくとも1つの薬剤容器(9)に対して前記閉鎖装置(15)を移動させ及び/又は前記閉鎖装置(15)を作動させるように設けられ、
前記クリーンルーム(1)の中において、供給装置(27)が配置され、前記供給装置(27)は、前記充填装置(13)によって充填するために及び/又は前記少なくとも1つの閉鎖部材によって閉鎖するために及び/又は前記閉鎖装置(15)によって閉鎖するための前記少なくとも1つの閉鎖部材(29)を提供するために、前記少なくとも1つの薬剤容器(9)の周囲に設けられ、
前記供給装置(27)には、駆動装置(43)を割り当て可能であり、前記駆動装置(43)は、記供給装置(27)に作動可能に接続することができるクリーンルーム(1)。
【請求項2】
前記少なくとも部分的に可撓性を有するカバー(3)は、前記クリーンルーム(1)の第1の機能状態において、第1の体積を気密に囲み、前記クリーンルーム(1)の第2の機能状態において、第2の体積を気密に囲み、前記第2の体積は前記第1の体積より大きく、前記充填装置(13)によって前記少なくとも1つの薬剤容器(9)に充填できるほど大きい、請求項1に記載のクリーンルーム(1)。
【請求項3】
前記カバー(3)は、少なくとも1つの開放可能及び/又は閉鎖可能な無菌大気接続領域(7)を有する、請求項1又は2に記載のクリーンルーム(1)。
【請求項4】
前記カバー(3)は、少なくとも部分的に透明である、請求項1から3のいずれか一項に記載のクリーンルーム(1)。
【請求項5】
前記カバー(3)は、少なくとも1つの手動で操作可能な介入装置(47)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーンルーム(1)。
【請求項6】
前記カバー(3)は、その外部に少なくとも1つの固定部材(49)及び/又はその内部に前記カバー(3)を締め付けるための少なくとも1つの締付け部材を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のクリーンルーム(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のポータブルクリーンルーム(1)を製造するための方法であって、
少なくとも1つの可撓性を有するカバー部材を提供する工程と、
前記カバー部材上に少なくとも1つの活性物質接続領域(5)を配置する工程と、
前記カバー部材上に少なくとも1つの作動接続領域(23)を配置する工程と、
前記カバー部材上に少なくとも1つの薬剤容器(9)と、充填装置(13)を有する操作装置(11)と、記少なくとも1つの薬剤容器(9)のための少なくとも1つの閉鎖部材(29)とを配置する工程と、
前記少なくとも1つの薬剤容器(9)と、前記操作装置(11)と、前記充填装置(13)と、前記閉鎖部材(29)とを囲むカバー(3)を形成するために、前記カバー部材によって前記少なくとも1つの薬剤容器(9)と、前記操作装置(11)と、前記充填装置(13)と、前記閉鎖部材(29)とを気密に囲む工程と、
を備える方法。
【請求項8】
前記カバー(3)を折り畳めるように、前記カバー(3)の内部が真空によって負圧を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポータブルクリーンルーム(1)を、過熱蒸気及び/又は保護ガスによって、及び/又は電磁放射線によって、及び/又は粒子放射線、によって無菌化する、請求項3、請求項3を引用する請求項4、請求項3若しくは請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5、請求項3、請求項3を引用する請求項4若しくは請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5、請求項3、請求項3を引用する請求項4若しくは請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5、請求項3、請求項3を引用する請求項4若しくは請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5又は請求項3、請求項3を引用する請求項4、請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5若しくは請求項3を引用する請求項4をさらに引用する請求項5をさらに引用する請求項6のうちのいずれか一項をさらに引用する請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のポータブルクリーンルーム(1)の中の薬剤容器(9)に充填する方法であって、
内部及び/又は外部の支持構造部材によって、及び/又は前記クリーンルーム(1)の内部に導入される加圧された、ガス状媒体によって前記クリーンルーム(1)のカバー(3)を伸張した状態にする工程と、
少なくとも1つの活性物質供給部を前記活性物質接続領域(5)に接続する工程と、
作動装置(25)を前記作動接続領域(23)に接続する工程と、
前記活性物質接続領域(5)を開放する工程と、
前記充填装置(13)を作動させることによって前記薬剤容器(9)に活性物質を導入する工程と、
前記カバー(3)を開放することによって前記クリーンルーム(1)を開放する工程と、
前記少なくとも1つの充填された薬剤容器(9)を取り出す工程と、
を備える方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの薬剤容器(9)は、前記クリーンルーム(1)の前記カバー(3)が開放される前に閉鎖部材(29)によって閉鎖される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
エア供給部材が、前記クリーンルーム(1)の大気接続領域(7)に接続される、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームの中に設置された少なくとも1つの薬剤容器に少なくとも1つの活性物質を充填するためのポータブルクリーンルーム、このようなポータブルクリーンルームを製造するための方法、及びこのようなポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで言及する種類のポータブルクリーンルームは公知である。通例、そのポータブルクリーンルームの透明なカバーは、可撓性又は剛性のある外部の支持構造部材によって伸張される。薬剤容器と、活性物質と、充填装置及び/又は閉鎖装置とを、そのカバーの閉鎖可能な開口部及び/又はエアロックを通してそのクリーンルームの中に導入することが可能である。操作者は、そのカバーに形成された介入グローブと、そのクリーンルームの中に導入されている充填装置及び/又は閉鎖装置によって、その薬剤容器に充填及び/又は閉鎖することができる。しかしながら、この種類のクリーンルームは、手動でのみ操作することができ、従って複雑である。これに加えて、充填される薬剤容器は、そのクリーンルームが開放された後でそのクリーンルームの中に導入しなければならないので、そのクリーンルームの汚染リスクが高い。充填される活性物質は、同様にその開口部又はエアロックを通して導入しなければならない。その開口部又はエアロックは、そのクリーンルームの中の薬剤容器又は活性物質を配置又はそのクリーンルームから取り出すために、通例、操作者がそれらを通して到達するのに十分大きい。従って、特に、そのクリーンルームが非無菌環境で使用される場合は、汚染のリスクが特に高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の不利な点を回避するポータブルクリーンルームと、このようなポータブルクリーンルームを製造するための方法と、及びこのようなポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填するための方法とを提供することである。
【0004】
本目的は、独立請求項の対象物を提供することにより実現される。有利な実施形態は従属請求項に記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、特に、クリーンルームの中に配置されている少なくとも1つの薬剤容器に少なくとも1つの活性物質を充填するためのポータブルクリーンルームを創作することによって実現され、前記クリーンルームは少なくとも部分的に可撓性を有するカバーによって気密に囲まれる。前記カバーは、少なくとも1つの開放可能な活性物質接続領域と、少なくとも1つの作動接続領域、特に、ロボット接続領域とを有し、操作装置と、少なくとも1つの薬剤容器とが前記クリーンルームの中に配置されているものとする。前記開放可能な活性物質接続領域は、外部環境から特に無菌状態で密封される前記活性物質接続領域を介して、前記クリーンルームの外部から前記クリーンルームの中に少なくとも1つの活性物質を導入することができるように好適に設計される。これに加えて、前記操作装置は、前記クリーンルームの中に配置されている前記少なくとも1つの薬剤容器の中に前記少なくとも1つの活性物質を導入するために、前記活性物質接続領域に接続可能な、好適にはそれに接続される少なくとも1つの充填装置を有する。前記カバーの前記作動接続領域、特に、ロボット接続領域を介して、外部の作動装置、特に、ロボットを使用する前記操作装置は、動作可能であり、前記充填装置を前記少なくとも1つの薬剤容器に対して移動させ及び/又は前記充填装置を作動させるように設定されている。このようなポータブルクリーンルームは、薬剤容器への少なくとも1つの活性物質充填の自動化を高めるので、特に効率的である。こうして迅速かつ安価に薬剤容器に充填することが可能となり、外部に対する完全な密封により、前記薬剤容器の充填中にも存在する汚染リスクが低減される。
【0006】
前記操作装置自体は、特に好適に前記充填装置と共に、前記好適に自動化された作動装置、特に、前記ロボットによって好適に移動させることができる。代替的または付加的に、前記操作装置は、少なくとも部分的に自動化され、特に好適には完全に自動化され、その結果、前記充填装置の移動及び/又は作動を自動的に実行することができる。前記操作装置の自動化された作動のために、前記操作装置に接続された後、前記操作装置を移動させるように設けられたロボットのロボットアームが特に備えられている。前記充填装置の自動作動のために、前記作動接続領域は、特に、電気信号、油圧信号及び/又は気体信号の伝送のために、少なくとも1つの信号伝送部材、特に、信号ケーブル及び/又は信号ケーブル接続部材を好適に有する。前記少なくとも1つの信号伝送部材は、前記作動装置により供給される信号を、前記と区別に自動化された充填装置に送るように設けられている。従って、特に前記操作装置が前記ロボットによって作動されるとき、充填の自動化が非常に高くなり、充填を効率よく実行することができる。
【0007】
前記クリーンルームは、人が搬送することができるようにポータブルであることが好ましい。従って、前記クリーンルームは、人が搬送できる重量と体積を有することが好ましい。重量は、特に好適には100kg未満、好適には10kg未満であり、及び前記クリーンルームの体積は4m未満、好適には2m未満、好適には1m未満、好適には0.5m未満、好適には0.15m未満、好適には0.03m未満である。
【0008】
前記クリーンルームのカバーは、人が前記クリーンルームに入る及び/又は出るための通路、特に、ドアを有しないことが好ましい。従って、前記クリーンルームは、徒歩で利用することはできない。前記クリーンルームの内部に対する操作、特に、前記クリーンルームの中に配置されている前記薬剤容器の機械的操作及び/又は装置の操作は、接続領域、特に、前記活性物質接続領域及び/又は作動接続領域、及び/又は少なくとも部分的に可撓性を有するカバー、特に、前記カバーの可撓部分、とりわけ、前記クリーンルームの内部との手動介入のために設計された前記カバーの部分、及び/又は前記カバー内の通路を介してのみ好適に可能である。
【0009】
ここでは、薬剤容器は、特にアンプル、バイアル瓶、シリンジ又はカートリッジを意味するものと理解されたい。複数のこのような薬剤容器は、前記クリーンルームの中に好適に配置される。少数の薬剤容器、特に、個別化医療での利用のための薬剤容器が、前記クリーンルームの中に特に好適に配置される。従って、患者用に個別に、少数の薬剤容器に充填することが可能である。代わりに、多数の薬剤容器、特に、大量市場での利用のための薬剤容器が前記クリーンルームの中に配置されているものとする。
【0010】
前記薬剤容器は、物質、特に、付加的な医療用補助物質及び/又は活性物質で、好適に少なくとも部分的に事前に充填される。前記物質は、少なくとも前記クリーンルームに存在する清浄度区分において、長期の品質保持期間を好適に有し、そのため、前記物質は、耐用度を損なうことなく、特に、前記物質の消費期限及び/又は有効期限を超過することなく、長い日数、週数、月数及び/又は年数の間、前記クリーンルームの中の薬剤容器に保管することが可能である。前記物質は、前記活性物質と混合するために好適に提供される結果、特定の薬効が実現される。前記物質は、前記薬剤容器の第1のチャンバ中に好適に配置され、前記第1のチャンバは、少なくとも前記クリーンルームの貯蔵中及び/又は搬送中に閉鎖部材によって閉鎖することができる。前記閉鎖部材は、取り除くことができるように好適に取り付けられるため、前記薬剤容器が充填される前に、特に前記操作装置によって前記閉鎖部材を取り除くことによって前記第1のチャンバが開放され、そして、前記充填装置によって、前記第1のチャンバに充填することができ、前記物質が前記活性物質と混合する。こうして、前記物質による事前充填は、前記活性物質による充填とは時間及び/又は場所において別個に行うことができ、前記少なくとも1つの事前充填された薬剤容器は、長期間、特に、数日間、数間間、数月間又は数年間前記クリーンルームの中に保管することができ、容易に搬送される。前記クリーンルームの製造中の前記物質による事前充填は、特に清浄な環境、とりわけ、定置クリーンルームの中で行われる。前記活性物質の充填は、好適には後で不清浄な環境中の前記完成した前記クリーンルームの中で行われる。清浄な環境を備えることはコストがかかりまた大変な労力を要するので、不清浄な環境の中で前記活性物質を前記薬剤容器、特に部分的に事前充填された薬剤容器に充填するためのコストは低減される。
【0011】
前記薬剤容器は、マルチチャンバ方式、特に、ダブルチャンバ方式として好適に設計され、前記物質は、前記第1のチャンバに配置され、前記薬剤容器の第2のチャンバは前記充填装置によって前記活性物質を充填するために設けられる。この場合、前記閉鎖部材は、移動可能な分離部材として好適に設計され、流体技術の観点から前記第1のチャンバを第2のチャンバから分離する。ここで、チャンバ間の流体接続は、バイパスを介して前記分離部材を移動させることによって好適に可能となる。これに加えて、さらなる閉鎖部材が前記第2のチャンバを閉鎖するために好適に設けられ、それは前記第2のチャンバが充填される前に前記操作装置によって好適に取り除くことができるように脱着可能に取り付けることも可能である。このようなマルチチャンバ方式は、すでに公知であり、その機能については、この時点ではこれ以上説明しない。
【0012】
作動装置とは、ここでは、特に部分的に自動化された又は全自動化された作動装置、とりわけロボットを意味するものと理解されたい。前記作動装置は、前記操作装置を機械的及び/電気的に作動させるように設けられる。前記作動装置は、前記操作装置を作動、特に、移動させるために、特に作動アーム、とりわけ作業アーム又はロボットアームの反復動作、特に規則的動作を実行させるように好適に設けられる。代替的または付加的に、前記作動装置は、前記操作装置が機械的動作を実行し及び/又は電気信号を伝送するように前記操作装置を作動させるために、前記操作装置に少なくとも1つの電気信号、好適には規則的な一連の電気信号を送るように設定される。
【0013】
作動接続領域とは、ここでは、特に自動化された作動装置のための接続領域を特に意味するものと理解されたい。作動接続領域は、ロボット接続領域を意味するものと特に理解されたい。
【0014】
前記カバーは、折り畳むことができるほどに好適に可撓性を有する。前記カバーを膨らませ及び/又は排気させることが可能なように、前記クリーンルームは、前記カバーによってさらに好適に気密に囲まれている。従って、前記カバーが折り畳めるように前記クリーンルームに真空を印加することが好適に可能である。これにより、このようなクリーンルームのための保管スペースの必要性を低減させる。
【0015】
前記クリーンルームは、非無菌環境、特に不清浄な環境において、搬送及び/又は保管、特に、長い、とりわけ数年間の保管に関して特に好適に設けられる。このような保管中に、前記カバーが気密に前記クリーンルームを囲むので、前記クリーンルームの清浄度は低下しない。代替的または付加的に、前記クリーンルームは、非無菌環境において、特に、前記薬剤容器に充填するための使用を目的としている。従って、全ての工程でクリーンな環境を必要としないので、前記クリーンルームの製造と、前記クリーンルームの保管と、前記クリーンルームの搬送と、前記クリーンルームの中の前記薬剤容器の充填とを、安価に、時間及び/又は場所の面で互いに分離することが可能になる。特に、クリーンルームの内部の清浄度を危うくすることなく、不清浄な環境でこのようなクリーンルームの保管と搬送とを行うことができる。従って、このようなクリーンルームは、第1工程において、清浄な環境で製造し、最終的に第3工程で前記クリーンルームの中の前記薬剤容器に充填できるまで、第2工程において、次に不清浄な環境で長期間保管及び/又は搬送することができる。前記第3工程の間、前記クリーンルームは清浄な環境に好適に配置される。前記第2工程の間、前記クリーンルームは不清浄な環境に好適に配置される。従って、保管及び/又は搬送にコスト、従って、前記第3工程からの前記第1工程の空間的分離と時間的分離の両方によって、前記第1工程と、前記第2工程と、前記第3工程との合計コストも低下する。これに加えて、3つの工程全てを包含するプロセスチェーンを柔軟に適合させることができる。特に、前記クリーンルームの製造、特に大量の製造を、主要な製造場所で行うことができ、充填業者への搬送後、充填業者の分散した充填場所で、特に、少数のクリーンルーム、特に単一のクリーンルームで前記薬剤容器に充填することができる。
【0016】
清浄な環境とは、ここでは、特に清浄要件が課される環境を意味するものと理解される。このような清浄要件には、特に、粒子径分布及び/又はバクテリア数に関する制限値と、EU GMP区分又はDIN EN ISO14644‐1等の清浄度区分により通例規定される制限値とが挙げられる。不清浄な環境とは、ここでは、特には清浄要件が課されない環境を意味するものと理解されたい。不清浄な環境が清浄度区分の制限値に適合することも可能であるが、前記不清浄な環境がこれらの制限値に適合することは要求されていない。特に、不清浄な環境においては、これらの制限値に適合するための措置は何も取られてきていない。
【0017】
前記クリーンルームのカバーは、前記少なくとも1つの薬剤容器又は別の薬剤容器及び/又はツールを前記クリーンルームの中に導入することができる開口部、特に閉鎖可能な開口部を有しないことが好ましい。前記カバーは、操作者が手動で到達できる閉鎖可能な開口部を有しないことが特に好ましい。代替的または付加的に、前記クリーンルームはエアロックを有しない。これにより、前記クリーンルームの安全性が向上し、汚染リスクが低減される。
【0018】
前記クリーンルームは、前記活性物質接続領域から前記充填装置まで前記活性物質を流動させるための少なくとも1つの活性物質ライン、特に活性物質ホースを好適に有し、前記活性物質ラインは好適に可撓性を有し及び/又は折り畳み可能である。前記活性物質ラインは、前記活性物質接続領域を前記充填装置に流体工学的に接続する内部活性物質ラインとして好適に設計され、前記クリーンルームの内部に配置されている。これに加えて、前記活性物質接続領域は、外部に配置された活性物質ラインによって流れ技術の観点から外部活性物質供給装置に接続するために特に好適に設定され、多数の薬剤容器に充填するために必要な量の活性物質を好適に有する。接続状態において、前記活性物質供給装置は、前記活性物質を特に活性物質ポンプによって供給し及び/又は前記充填装置に前記活性物質を送るように好適に設定されている。特に、前記操作装置が自動化設計である場合、前記薬剤容器への充填を非常に効率的に行うことが可能になる。
【0019】
前記活性物質接続領域は、内側方向において、前記内部の活性物質ラインに対する、特に耐張力及び/又は耐圧接続のための内部接続領域を有し、及び/又は、外側方向において、前記外部活性物質ラインに対する、特に耐張力及び/又は耐圧接続のための外部接続領域を有する接続部材として好適に設計され、前記内部及び外部活性物質ラインは、互いに分離されて好適に形成されている。前記接続は、少なくとも前記内側又は外側方向において、特に前記流体接続方向において、形状適合接続として、特に、ねじ接続及び/又はスナップ接続として好適に設計されている。代わりに、前記活性物質接続領域は、前記活性物質ラインに密着して接続、特にそれと一体的に形成される。これにより、前記カバーが前記活性物質接続領域の範囲の中で移動させられたとき及び/又は張力及び/又は圧力が、特に前記内側方向又は外側方向に印加されたとき、前記活性物質ラインの分離が防止される。
【0020】
代替的または付加的に、前記クリーンルーム、特に前記活性物質接続領域及び/又は前記少なくとも1つの活性物質ライン、とりわけ前記内部活性物質ライン及び/又は前記外部活性物質ラインは、特に前記操作装置及び/又は前記活性物質供給装置によって特に好適に自動的に作動可能であり、作動したとき、前記流体接続、特に前記充填装置と前記活性物質接続領域との間及び/又は前記活性物質接続領域と前記外部活性物質供給部との間及び/又は前記充填装置と前記活性物質供給部との間を開放及び/又は閉鎖する少なくとも1つの活性物質バルブを有する。これにより、非常に安全な、特に活性物質の自動化された供給と送出とが可能となる。
【0021】
前記クリーンルームは、前記薬剤容器の充填中においても、前記クリーンルームの外部環境に対して完全かつ無菌状態で密封される。前記活性物質接続領域は、その閉鎖状態及びその開放状態において、気密にかつ従って無菌状態で閉鎖されるように設計され、前記クリーンルームに許容される前記少なくとも1つの活性物質を供給し、同時に、外部に対して依然として気密かつ無菌状態で密封するように、特に、外部の活性物質接続部材と前記充填装置とに接続される。従って、前記活性物質接続領域は、特に、前記クリーンルームの内部に前記活性物質を導入するための無菌導管に相当する。前記少なくとも1つの作動接続領域、特にロボット接続領域は、前記操作装置を、前記作動接続領域を介して少なくとも1つの外部作動装置、特にロボットに接続できるようにも設計され、前記クリーンルームの内部が外部に対して無菌化され、気密であるように、すなわち、前記クリーンルームの外部環境に対して密封とされたままであるように、前記クリーンルームの外部に配置される。前記作動接続領域は、前記クリーンルームの外部に対して特に気密で無菌化された機械的導管に相当し、前記外部作動装置を接続するために設定される。
【0022】
前記少なくとも1つの薬剤容器に対する前記充填装置の移動とは、ここでは、前記クリーンルームの中で前記充填装置を前記薬剤容器への充填に適した位置に移動させる移動を意味すると理解されたい。前記充填装置は、好適に充填ニードルを有し、前記薬剤容器の上方に好適に直接移動させることができる。前記充填ニードルは、前記薬剤容器に充填するために、前記薬剤容器の内部に特に好適に貫入する。
【0023】
前記クリーンルームは、少なくとも前記活性物質接続領域が前記外部活性物質供給部に接続された後及び/又は前記作動接続領域が前記作動装置に接続された後、特に前記少なくとも1つの薬剤容器に充填するために、完全自動で作動できるように好適に設けられる。
【0024】
本発明の発展形態によれば、前記操作装置は、前記クリーンルームに配置された少なくとも1つの閉鎖部材で前記少なくとも1つの薬剤容器を閉鎖するための、特に前記クリーンルームの中に配置されている前記少なくとも1つの閉鎖部材を前記少なくとも1つの薬剤容器上に置くための、少なくとも1つの閉鎖装置、特に打栓装置、とりわけ打栓ピンを有し、前記少なくとも1つの薬剤容器に対して前記閉鎖装置を移動させ及び/又は前記閉鎖装置を作動させるように設けられているものとする。ここで、閉鎖部材とは、特に前記薬剤容器の中に挿入可能な栓、外部から適用可能な隔壁又は閉鎖部材、特にキャップ又はリッドを意味するものと理解されたい。前記閉鎖部材は、前記クリーンルームの中にすでに、特に最初から存在するので、前記クリーンルームの汚染リスク、特に閉鎖部材が典型的なクリーンルームの中に導入されときに存在する汚染リスクは、従って低減される。従って、前記操作装置は、前記充填装置と前記閉鎖装置とを有するので、前記クリーンルームの中の前記薬剤容器に充填し閉鎖することができる。
【0025】
代わりに、第2の操作装置が前記閉鎖装置を有し、前記閉鎖装置を移動させ及び/又は前記閉鎖装置を作動させるように設けられるものとする。前記第2の操作装置は作動装置、特に前記少なくとも1つの作動装置のロボットによって作動させることも可能である。
【0026】
本発明の発展形態によれば、前記充填装置によって充填するために及び/又は閉鎖するために前記少なくとも1つの薬剤容器に前記少なくとも1つの閉鎖部材を提供する供給装置が前記クリーンルームの中に配置され、及び/又は前記薬剤容器を閉鎖するために前記少なくとも1つの閉鎖部材が前記閉鎖装置を備えるものとする。前記供給装置は、前記薬剤容器を収容するための第1の収容装置、特に槽及び/又は前記閉鎖部材及び/又は保持装置のための第2の収容装置、特にプレート機構、とりわけターンテーブル機構を好適に有する。前記少なくとも1つの薬剤容器を収容する前記第1の収容装置は、半透膜により前記薬剤容器の無菌が可能になるように前記半透膜によって好適に閉鎖することができ、前記半透膜を通した粒子及び/又は細菌による前記薬剤容器の汚染が防止される。前記第1の収容装置及び/又は第2の収容装置は、前記保持装置によって好適に保持され、前記第1の収容装置は、特に前記槽を保持するための第1の支持部材によって好適に保持され及び/又は前記第2の収容装置は第2の支持部材によって好適に保持される。前記第1の支持部材及び/又は前記第2の支持部材は、プレートとして好適に設計される。好適には、前記第1の支持部材及び/又は前記第1の収容装置及び/又は前記第2の取付け部材及び/又は前記第2の収容装置は、少なくとも前記供給装置の回転軸に対して、並進及び/又は回転させて、特に回転可能及び/又は旋回可能に移動させることができる。こうして、前記第1の支持部材及び/又は前記第1の収容装置は、前記少なくとも1つの薬剤容器を提供する働きをし、前記第2の支持部材及び/又は前記第2の収容装置は、前記少なくとも1つの閉鎖部材を提供する働きをする。前記第2の収容装置は、前記少なくとも1つの閉鎖部材、特に栓を提供かつ収容するために、閉鎖マトリクス、特に栓マトリクスとして特に好適に設計され、その場合、第2の支持部材は好適に提供されない。これにより、前記充填の自動化と効率化が高まり、コストが低減される。
【0027】
本発明の発展形態によれば、前記少なくとも部分的に可撓性を有するカバーは、前記クリーンルームの第1の機能状態において第1の体積を気密に囲み、前記クリーンルームの第2の機能状態において第2の体積を気密に囲み、前記第2の体積は、前記第1の体積より大きく、前記充填装置によって前記少なくとも1つの薬剤容器に充填できるほど大きいものとする。前記クリーンルームの前記第1の機能状態において、前記囲いは、好適にコンパクトであり、折り畳め及び/又は折り重なる。前記第1の機能状態において、前記クリーンルームは、前記クリーンルームを取り巻く環境に対して、好適に低圧、特に負圧におかれる。前記第1の体積は、好適に1m未満、好適に0.15m未満、好適に0.03m未満である。前記クリーンルームの第2の機能状態において、前記クリーンルームは、前記第1の機能状態におけるよりも好適に高圧に置かれる。特に、外部環境に対してわずかな過剰圧力下におかれる。前記第2の体積は、好適に4m未満、好適に2m未満、好適に1m未満、好適に0.5m未満である。これに加えて、前記クリーンルームの第2の機能状態において、前記カバーは、少なくとも部分的に、好適には少なくとも前記作動接続領域の区域で、前記充填装置及び/又は前記閉鎖装置及び/又は前記操作装置を移動させることができるように移動可能である。これは、特に前記充填装置及び/又は前記閉鎖装置が前記操作装置に固定して接続され、次に前記操作装置が前記カバーにしっかりと取り付けられる場合に該当する。
【0028】
本発明の発展形態によれば、前記カバーは、少なくとも1つの大気接続領域、好適には開放可能及び/又は閉鎖可能な無菌大気接続領域を有するものとする。前記大気接続領域は、好適にエアフィルタをも有する。この大気接続領域は、前記クリーンルームにエアを供給及び/又は前記クリーンルームからエアを除去及び/又は前記クリーンルームを前記第1の機能状態から前記第2の機能状態に移行及び/又は前記第2の機能状態から前記第1の機能状態に移行させるように特に好適に設計される。これにより、特に漏れが発生した場合、特に危険な物質が前記クリーンルームから漏出できなくなり、前記クリーンルームの安全性が向上する。
【0029】
前記クリーンルームは、前記大気接続領域から前記クリーンルームの内部への、エア、特に無菌エアの流体制御のために、エアライン、特にエアホースを好適に有する。前記エアラインは好適に可撓性を有し及び/又は折り畳み可能である。前記エアラインは、内部エアライン及び/又は外部エアラインとして設計され、前記大気接続領域は、前記外部エアラインによって、特に自動化されたエア供給装置、特にポンプに接続することが可能である。従って、エアを前記クリーンルームの中に供給及び/又は前記クリーンルームからエアを除去するために、特に自動化されたエア供給機構が創作される。代替的または付加的に、少なくとも1つのエアバルブが前記大気接続領域及び/又は前記エアラインの中に配置され、前記エアバルブは、前記エア供給装置及び/又は前記操作装置によって作動させることができ、作動させたとき、前記クリーンルームの内部と前記大気接続領域との間及び/又は前記大気接続領域とエア供給装置との間の接続を阻止及び/又は開放する。前記エアラインは、さらなるエアフィルタを特に好適に有する。従って、前記クリーンルームの安全性と前記クリーンルームの清浄度は高くなる。
【0030】
代替的または付加的に、前記少なくとも1つの大気接続領域は、前記クリーンルームにおけるエアの層流を確保するように設けられる。この目的のために、上方から前記クリーンルームの中に来るエアを好適に供給するために、第1の複数の、特に一様に分布する、大気接続領域が、特に上部に、前記カバーの中に好適に配置される。特に好適に、第2の対応する複数の、特に一様に分布した、大気接続領域が下部に配置され、前記エアを前記クリーンルームから均一に、特に下方へ、好適に除去する。これにより、第1の複数の大気接続領域と第2の複数の大気接続領域とが創作され、それらは、前記クリーンルームのカバーの中で互いに対向して好適に配置され、少なくとも前記第2の機能状態において、エアの層流を特に上部から下部に提供するように設計される。
【0031】
前記大気接続領域は、前記クリーンルームに過剰圧力を印加するようにも好適に設定される。従って、前記クリーンルームの清浄度及び/又は無菌状態が向上し、前記薬剤容器と特に前記活性物質の汚染リスクは減少する。代わりに、前記大気接続領域は、前記クリーンルームに負圧を印加するように設定される。これにより、特に漏れが発生した場合、特に、危険物質が前記クリーンルームから漏出できなくなり、前記クリーンルームの安全性が向上する。
【0032】
前記大気接続領域は、前記クリーンルームの内部が前記閉鎖された又は開放された大気接続領域の区域においても無菌状態で密封されるようにも設計される。従って、前記大気接続領域は、特に、エア、特に無菌エアの供給及び/又は除去のために無菌状態で密封することができる通路に相当する。「無菌エア」は、ここで必ずしも明らかではないが、従来の組成における少なくとも無菌化された周囲のエアでもある。「無菌エア」には、前記クリーンルームでの使用に適したその他の無菌ガス、例えば、無菌不活性ガス、希ガス、二酸化炭素、窒素等を含めることもできる。
【0033】
本発明の発展形態によれば、前記カバーは、少なくとも部分的に透明であるものとする。前記カバーは、好適に透明なプラスチックを好適に備えるか又はこのようなプラスチックから成る。これにより、前記カバーを通した光学制御が可能となる。これに加えて、このようなクリーンルームは、使い捨てクリーンルームとして特に好適であり、使用後、すなわち、前記薬剤容器に前記活性物質を充填した後及び/又は前記薬剤容器を閉鎖した後、安価で廃棄処分することができる。好適には、従って、前記クリーンルーム全体または前記クリーンルームの一部、特に、前記カバー、及び/又は前記操作装置、及び/又は前記活性物質接続領域、及び/又は前記閉鎖装置、及び/又は前記充填装置、及び/又は前記作動接続領域、及び/又は前記大気接続部材は、廃棄可能に設計され及び/又は1回使用のみを目的とする。
【0034】
本発明の発展形態によれば、前記カバーは、手動で好適に操作することができる少なくとも1つの介入装置、特に介入グローブを有するものとする。前記カバーの一部は介入装置として好適に設計される。従って、前記カバーのこの部分は、手動の介入、特に、前記クリーンルームの内部で実行可能な介入のための設計がなされている。従って、前記クリーンルームを開放することなく前記クリーンルームの中の手動操作が可能となる。
【0035】
本発明の発展形態によれば、駆動装置を前記供給装置に割り当てることができ、前記駆動装置は、好適に前記スリーブの中に形成されたコンジットを介して、動作可能に前記供給装置に接続されているものとする。前記駆動装置は、前記調整装置を回転及び/又は直線状に、特に直線的に駆動するように好適に設けられる。特に、前記駆動装置を、動作可能に前記供給装置に接続することができるため、前記少なくとも1つの薬剤容器及び/又は前記少なくとも1つの閉鎖部材を回転、特に旋回させ及び/又は特に直線的に移動させ及び/又は前記駆動装置及び/又は前記供給装置の回転軸の周りで高さ方向に移動させることができる。前記供給装置は、駆動装置に動作可能に好適に接続することができる、特に動作可能に接続されるため、前記収容装置及び/又は前記供給装置の支持部材は、前記駆動装置によって、互いに独立して、好適に回転し、上昇し及び/又は下降することができる。この目的のために、前記駆動装置は、シャフト、特に複数のシャフト、とりわけ中空シャフトと、モータ、特にサーボモータとを好適に有する。このようなクリーンルームを使用することによって、薬剤容器の充填をさらに自動化し、また従って迅速かつ安価に行うことができる。
【0036】
前記コンジットは、気密でありかつ無菌状態で密封されるように好適に設計されるため、前記クリーンルームの外部に配置される前記駆動装置は、無菌状態で密封された前記供給装置に接続することができる。前記駆動装置を、前記クリーンルームとは別個に取り扱うことができることが特に可能となり、前記駆動装置を前記クリーンルームと共に使用するために設けられる実験室テーブルに一体化することが特に好ましい。しかしながら、前記駆動装置を前記クリーンルームの中に配置することも可能である。前記駆動装置は、エネルギが自給自足であるように設計することが可能であり、前記クリーンルームの中にも配置されるエネルギ貯蔵部、特に蓄電池を有するように設計することが可能であるため、前記駆動装置と従って前記供給装置とをも作動させるために外部の作動接続部材は不要である。しかしながら、前記クリーンルームの中に配置されている前記駆動装置に無菌状態で気密に密封されたコンジットを介してエネルギを供給することも可能である。例えば、前記駆動装置は、電気モータとして設計することが可能であり、その電気モータに特に無菌状態で気密なコンジットを介して前記供給装置を駆動するための電力を供給することが可能である。
【0037】
本発明の発展形態によれば、前記カバーは、その外部に少なくとも1つの固定部材及び/又はその内部に少なくとも1つの締付け部材、特に、前記カバーを締め付けるためのヒンジ付き内部支持装置を有するものとする。このような固定部材及び/又はこのような締付け部材によって、前記クリーンルームは、特にその第2の機能状態に保たれる。これにより、前記薬剤容器に充填することが特に効率的になる。これに加えて、前記充填装置の移動及び/又は前記閉鎖装置の移動が可能になる。特に、前記クリーンルームの内部に過剰圧力がないとき、前記クリーンルームは、このような固定部材及び/又は締付け部材によってその第2の伸張した機能状態を保つことも可能である。特に、前記カバーが、外部の固定部材及び/又は内部の締付け部材によって前記第2の機能状態であるその伸張した形を保持する場合、前記クリーンルームの内部に負圧を形成することさえ可能である。このようにして、前記クリーンルームから前記クリーンルームの外部の環境の中への有害物質、特に伝染性物質の漏れを特に効果的に防止することができる。
【0038】
前記目的は、特に前記先行実施形態のうちの1つに係るポータブルクリーンルームを製造するための方法を提供することによっても解決される。好適にエアの層流を有し及び/又は本出願の優先権を決定する日付に適用可能なバージョンのEU GMP区分に係る清浄度区分A,B,またはCを有する環境における本方法に従い、少なくとも1つの可撓性を有するカバー部材が提供され、また活性物質接続領域が前記カバー部材上に配置される。これに加えて、少なくとも1つの作動接続領域、特にロボット接続領域が前記カバー部材上に配置される。これに加えて、少なくとも1つの薬剤容器と、充填装置と好適に前記少なくとも1つの薬剤容器のための少なくとも1つの閉鎖部材とを有する操作装置が、前記可撓性を有するスリーブ部材上に配置されかつ前記少なくとも1つの可撓性を有するカバー部材によって気密に囲まれる結果、気密で無菌状態のカバーが形成される。前記気密な囲いは、前記カバーの内部を形成し、前記カバーを気密状態で外部環境から分離する。前記活性物質接続領域は、前記カバー部材の中に好適に形成されるか又は前記カバー部材に接続される。代替的または付加的に、大気接続部材、特に無菌大気接続部材が前記カバー部材上に配置され、特に前記カバー部材の中に形成されるか又は前記カバー部材に接続される。これに加えて、コンジットが前記カバー部材の中に好適に形成され、それを通じて、前記クリーンルームに割り当てることができ、前記クリーンルームの中に配置されている供給装置に動作可能に接続することができる駆動装置が導通可能となる。前記供給装置は、前記カバーを有する気密な囲いの前に前記クリーンルームの中にさらに好適に導入される。これに加えて、少なくとも1つの固定部材が前記カバー部材の中又は上に好適に設けられる。このような方法により、ポータブルクリーンルームを特に経済的かつ効率的に製造することが可能になる。前記気密な囲いによって、特に前記クリーンルームが無菌非無菌環境中で搬送、保管又は使用される場合、前記クリーンルームの汚染リスクも低下する。非無菌環境とは、ここでは、特に、前記クリーンルームの内部より清浄度が低い、従って、特に粒子密度が高い及び/又はバクテリア数が多い領域を意味するものと理解されたい。本出願の優先権を決定する日付において有効なバージョンのEU GMP区分に係る清浄度区分C又はDを有する領域及び/又は不清浄な環境を特に理解されたい。
【0039】
前記少なくとも1つのカバー部材は、前記少なくとも1つのカバー部材がこの目的のために設けられた継ぎ目領域に接続されるとき、前記クリーンルームに対して与えられる3次元形状が得られるようにカットパターンに従って好適に切断される。前記クリーンルームの中に配置されている前記構成部品を気密に囲むために、前記クリーンルームのカバーを、この目的のために設けられる継ぎ目で堅く接続される単一のカバー部材から製造することが可能である。しかしながら、前記カバーを複数のカバー部材から形成することも可能であり、それは、次に、対応する方法で互いに堅く接続される。特に、前記少なくとも1つのカバー部材は、前記クリーンルームに配置される前記構成部品を前記カバー部材に配置することができるように、最初に好適に平らに広げられる。次に、互いに接続される前記継ぎ目が重ね合わされか又は互いに接触する形で、前記少なくとも1つのスリーブ部材は、変形され、特に折り畳まれる。その後、前記少なくとも1つのカバー部材は、前記設けられた継ぎ目で気密にかつ無菌状態で接続される。このようにして、前記クリーンルームのための閉じたカバーが製造される。
【0040】
前記方法の1つの実施形態に従い、前記カバーの内部は、前記カバーが折り畳めるように負圧、好適には真空が印加されるものとされる。このような方法は、特に小さい体積を有するポータブルクリーンルームを創作するという利点がある。このクリーンルームによると、非常に小さい保管スペースで済み、また保管コストが低減される。特に、このようなポータブルクリーンルームに対する需要が高いとき、それを保管庫から取り出し、後の時点で前記薬剤容器を充填することできるように、多数のこのようなポータブルクリーンルームを製造し在庫で保管することは可能でありかつ経済的である。
【0041】
前記方法のさらなる代替実施形態に従い、前記クリーンルームは、過熱水蒸気及び/又は保護ガス及び/又は電磁放射線、特にガンマ放射線、及び/又は粒子放射線、時に電子放射線によって無菌化される。従って、特に安全なクリーンルームがこうして作られ、前記クリーンルームの汚染リスクが低減される。特に、前記クリーンルームは非無菌環境で保管するものとされており、前記クリーンルームの無菌状態又は清浄度は危険にさらされない。
【0042】
前記目的は、前記先行実施形態例のうちの1つに係るポータブルクリーンルームの中で薬剤容器を充填するための方法を創作することによっても実現される。前記方法に従い、前記クリーンルームのカバーは、内部の支持構造部材及び/又は外部の支持構造部材及び/又は前記クリーンルームの内部に導入される加圧された好適なガス媒体によって好適に伸張した状態になる。少なくとも1つの活性物質供給部も前記活性物質接続領域に接続される。さらに、作動装置、特にロボットが前記作動接続領域、特に前記ロボット接続領域に接続される。これに加えて、前記充填装置が、まだ接続されていない場合、前記活性物質接続領域に好適に接続され、前記活性物質接続領域が開放される。前記充填装置及び/又は前記薬剤容器は、好適に前記操作装置及び/又は前記供給装置によって薬剤容器に充填する上で適切な位置に互いに好適に配置される。前記充填装置を作動させることにより、活性物質が前記薬剤容器の中に導入される。さらに、前記方法は、前記カバーを開放することによる前記クリーンルームの開放と前記少なくとも1つの少なくとも部分的に充填された薬剤容器の取り出しとを含む。このような方法により、薬剤容器の充填が特に安全になる。これに加えて、このような方法を用いることによって充填のコストが低減される。
【0043】
前記クリーンルームは、充填中、清浄な環境に好適に配置され、前記清浄な環境は、前記クリーンルームの内部より低い清浄度区分、とりわけ清浄度区分B,C,又はDであることが好ましい。前記清浄な環境は、前記クリーンルームのために、前記作動装置、駆動装置、活性物質供給部及び/又はエア供給部材、特に無菌エア供給部を備える定置クリーンルームとして計画することが好ましい。これにより、前記クリーンルームで漏れが発生した場合、前記クリーンルームの汚染を少なくとも低減する、特に防止することを可能にする付加的な安全機構が創作される。これに加えて、前記クリーンルーム無しで前記清浄な環境で充填することに比べてコストが低減される。
【0044】
代わりに、前記クリーンルームが、充填中、不清浄な環境に配置され、前記コストが特に低減されかつ前記方法は融通が利くようになる。前記クリーンルームと前記カバーによる気密な囲いの結果、不清浄な環境においてさえも充填中の安全が確保される。
【0045】
前記充填装置は、前記充填装置が流動によって、特に前記薬剤容器の自動的充填のために前記活性物質供給部に接続される方法で、前記活性物質接続領域に接続されることが好ましい。前記カバーは、分解工程によって好適に分離され、前記カバーは特に好適に切り開かれる。前記カバーが分離された後、前記クリーンルームの廃棄部品は好適に廃棄処分される。特に好適には、前記カバーと、前記大気接続領域及び/又は前記活性物質接続部材とに接続されるホースと、1回使用を目的とする前記充填装置の部品、特に充填ニードルと、前記大気接続領域及び/又は前記活性領域接続領域が廃棄処分される。前記少なくとも1つの薬剤容器が充填された後で開放される前に、前記クリーンルームは、好適に無菌化後そこで分離し、前記薬剤容器を手動で閉鎖するために、無菌環境に好適に置かれる。これにより、前記方法の安全性がさらに高まる。これに加えて、特に前記方法は、部分的に非無菌環境で行うことができかつ汚染リスクは増大しないので、前記方法のコストが低減される。
【0046】
本方法の一実施形態に従い、前記少なくとも1つの薬剤容器は、前記クリーンルームのカバーが開放される前に、閉鎖部材、特に栓によって閉鎖されるものとする。前記閉鎖部材は、好適に、前記薬剤容器に挿入されるか又は前記操作装置の前記閉鎖装置によって前記薬剤容器に装着されるものとする。これにより、前記薬剤容器の汚染リスクが低減される。これに加えて、前記クリーンルームは、全行程中、特に汚染リスクを高めることなく、非無菌環境下に配置することができるので、前記工程のコストが低下する。
【0047】
前記方法のさらなる代替実施形態に従い、エア供給部材、特に無菌エア供給部は前記クリーンルームの大気接続領域、好適には無菌大気接続領域に接続され、前記大気接続領域は好適に開放されているものとする。前記エアは、前記エア供給部の中の及び/又は前記大気接続領域の中の及び/又は接続部材、特に外部及び/又は内部エアホースの中のエアフィルタによって、前記エア供給部と前記大気接続領域との間で、フィルタにかけられることがさらに好ましい。前記エア供給部材によって、わずかな正圧が特に好適に生成される。これにより、前記クリーンルームの中の汚染リスクが低減される。代わりに、前記エア供給部材によって、前記クリーンルームの中にわずかな負圧を生成し、前記クリーンルームから危険物質が漏れることを防止することによって前記クリーンルームの安全性を高めるものとする。
【0048】
さらなる実施形態に従い、前記クリーンルームの気密性、圧力及び/又は清浄度、好適には粒子密度及び/又はバクテリア数及び/又は粒子径分布が監視されるものとする。従って、前記クリーンルームの清浄度又は前記クリーンルームの環境の安全性を危うくする前記クリーンルーム、特に前記クリーンルームのカバーの漏れを簡易に判定することができるという点において、前記クリーンルームの安全性がさらに高まる。
【0049】
前記クリーンルーム、製造工程及び充填工程の説明は、互いに補完的であると理解される。特に、製造に関する前記方法及び/又は充填に関する前記方法に関連して明示的又は黙示的に説明した前記クリーンルームの特徴は、好適には前記クリーンルームの独立した又は複合した特徴である。前記クリーンルームは、前記方法に関連して説明した前記少なくとも1つの方法の工程を実行するように好適に設計される。前記クリーンルームに関連して明示的又は暗示的に説明した方法の工程は、好適に、互いに独立又は複合した、製造のための前記方法及び/又は充填のための前記方法の好適な実施形態の工程である。特に、前記クリーンルームの少なくとも1つの特徴に起因する少なくとも1つの工程は、製造のための前記方法及び/又は充填のための前記方法の一部として好適に設けられる。
【0050】
全体に、ここで示した前記ポータブルクリーンルームと、このようなポータブルクリーンルームの中の薬剤容器に充填する前記方法と、このようなポータブルクリーンルームを製造ずるための前記方法とは、少なくとも1つの薬剤容器を安価に供給する、特に少数の薬剤容器を充填する手段を提供する。これに加えて、前記クリーンルームは、前記製造工程によって在庫品として製造することができ、またコンパクトかつ安価に保管することができるので、このようなクリーンルーム及び/又は充填のための前記方法によって、前記充填を特に迅速に行うことができる。
【0051】
このようなポータブルクリーンルームは、少量の医療用の活性物質及び/又は補助物質を、特に個別の医療目的のために、無菌状態で充填するために、例えば、クリニック、病院、病棟等において直接使用することができる。クリニック、病院、病棟等のような施設は、充填のために要求される無菌状態で薬剤容器に充填するために規定される清浄度区分に適合する自身のクリーンルームを備えていないことが多い。その一方で、前記ポータブルクリーンルームは、その内部に前記無菌状態を備えることができるので、無菌性が低い環境の中に導入し、そこで無菌状態で薬剤容器を充填するために使用することができる。前記薬剤容器は、前記クリーンルームの中で閉鎖されたときにのみ前記クリーンルームから取り出されるので、汚染のリスクはない。前記ポータブルクリーンルームは、例えば、危機地域において、例えば、病原体に対する解毒剤、化学薬品及び/又は生物兵器薬剤等を、非無菌環境においてさえも、迅速かつ無菌状態で提供することができるようにするために、使用することもできる。ワクチンを非無菌環境において迅速かつ無菌状態で充填することも可能である。全体的に、ここで提案した前記ポータブルクリーンルームによって、薬剤容器が前記クリーンルームから非無菌環境又は少なくとも低い無菌環境の中に持ち出される前に、医療用活性物質及び/又は補助材料の充填のために必要な無菌状態に適合しない環境条件下で、必要な無菌状態を備えて少量の薬剤容器を無菌状態で充填しかつ閉鎖することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
下記において図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1】実施形態に係るポータブルクリーンルームの概略の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、カバー3によって気密に囲まれているポータブルクリーンルーム1の断面図を示す。カバー3は、少なくとも部分的に可撓性を有する。カバー3は、大部分において、可撓性を有し、かつ透明であることが好ましい。
【0054】
これに加えて、カバー3は、開閉可能な活性物質接続領域5と大気接続領域7とを有する。複数の薬剤容器9がクリーンルーム1の中に配置されているが、明確化のためにここではそのうちの1つのみに参照符号を付している。これに加えて、充填装置13と閉鎖装置15とを有する操作装置11がクリーンルーム1の中に配置されている。充填装置13は、活性物質接続領域5に、特に、ホース17による流体技術によって活性物質接続領域5に接続されている。ここで示す実施形態例において、充填装置13は充填ニードル19をも有し、それによって活性物質を薬剤容器9の中に導入することができる。
【0055】
閉鎖装置15は、打栓ピン21として設計されている。打栓ピン21は、薬剤容器9の中に挿入することができ、かつ弾性的に圧縮可能な閉鎖部材、特に、栓を受容するために設計されたスリーブを有する。閉鎖装置15は、スリーブの中に受容された栓に対する保持装置も有する。栓を受容したスリーブが薬剤容器9の中に挿入された後、栓は保持装置によってスリーブの上方に保持される。スリーブと保持装置との間の相対的変位によって、栓をスリーブから取り出して薬剤容器9の中に挿入することができ、栓はその弾性によって薬剤容器9に密着して閉鎖する。スリーブと保持装置との間の相対的変位の間、保持装置は薬剤容器9に対して好適に固定して保持され、スリーブは薬剤容器9から引き出される、すなわち、図1の上方に移動させられる。
【0056】
カバー3は、作動接続領域23、特に、ロボット接続領域、ここでは特に、ロボットのフランジも有する。充填装置13及び閉鎖装置15は、外部の作動装置25、ここでは特に、外部のロボットによって作動させることができる。そのロボットは、特に、外部から作動接続領域23にフランジ接続され、充填装置13を通る活性物質の流れを制御、特に、開始かつ停止させ、薬剤容器9を閉鎖装置15によって閉鎖することができる。これに加えて、操作装置11が充填装置13と閉鎖装置15とを移動させるように設けられている。ここで示す実施形態例において、操作装置11は作動装置25によって移動させられる。ここで、充填装置13及び閉鎖装置15は操作装置11に固定して接続されており、操作装置11は作動接続領域23に固定して接続されている。従って、充填装置13と、閉鎖装置15と、操作装置11と、作動接続領域23とを、作動装置25によって一緒に移動させることができる。カバー3は、作動接続領域23の周囲の領域で特に可撓性を有する。これにより、薬剤容器9を充填しかつ閉鎖するために必要な充填装置13と閉鎖装置15との少なくとも1つの変位が可能となる。
【0057】
クリーンルーム1は、薬剤容器9と、薬剤容器9に割り当てられた複数の閉鎖部材29とを提供する供給装置27をも有し、ここではそのうちの1つのみに参照番号を付している。閉鎖部材29、ここでは、特に、栓は、閉鎖マトリクス31で、ここでは、特に、栓マトリクスで、好適に作製され配置されている。薬剤容器9は槽33に配置され、各薬剤容器9の開口部35は、それぞれ関連する閉鎖部材29及び/又は充填装置13に面し及び/又は上方に向いている。供給装置27はプレート機構37も有する。薬剤容器9を収容する槽33は下部プレート39に配置され、その中に閉鎖部材29が配置されている閉鎖マトリクス31は上部プレート41上に配置されている。上部プレート41及び下部プレート39は、好適に共通の軸Aの周りに互いに独立して回転できるように装着されている。
【0058】
駆動装置43は供給装置27に割り当てられ、図1に示す実施形態例の駆動装置43はサーボ駆動装置として設計されている。駆動装置43は、中空シャフト45によって、供給装置27、特に、供給装置27のプレート機構37に動作可能に接続されている。従って、供給装置27の2つのプレート39、41、すなわち、下部プレート39と上部プレート41とは、中空シャフト45とその中に装着されている更なるシャフトとによって、互いに独立して軸Aを中心として回転することが可能である。これに加えて、駆動装置43は、プレート機構37のプレート39、41を互いに独立して上げ下げするように好適に設定されている。
【0059】
上部プレート41は、閉鎖マトリクス31から円周方向に見られるように、各閉鎖マトリクス31に対して1つ又は合計で正確に1つの空マトリクスを好適に有し、それは、例えば、上部プレート41の円周の90度又は180度だけ閉鎖マトリクス31から間隔をあけることができる。空マトリクスは、栓が配置されずかつそれを通して充填ニードル19が到達できる多数の開口部によって好適に特徴づけられる。閉鎖部材29及び/又は空マトリクスの開口部は、薬剤容器9が槽33に配置されているグリッドに対応するグリッドで正確に好適に配置されている。従って、当該グリッドに配置されている閉鎖部材29が薬剤容器9の上方に置かれた場合、閉鎖部材29は、閉鎖装置15によって薬剤容器9の中に容易に移動させることができる。
【0060】
その一方で、開口部に対応するグリッドを有する空マトリクスが薬剤容器9の上方に配置された場合、充填ニードル19が開口部を通って到達し、活性物質を薬剤容器9に充填することができる。
【0061】
当然、空マトリクスの代わりに、特に、槽33の面積範囲にほぼ相当する大きな開口部を上部プレート41に配置すること、又は、薬剤容器9に充填するためにプレート41を適切に切除することも可能である。
【0062】
クリーンルーム1のカバー3は、手動で操作可能な介入装置47、ここでは、特に、介入グローブを備える。この介入装置47により、充填工程に手動で介入すること及び/又は充填工程のための準備において操作装置11及び供給装置27のセットアップを可能とする。
【0063】
カバー3は、カバー3に張力をかけるために、その外部に複数の固定部材49、ここでは、特に、6つの固定部材49を有する。ここで示す実施形態例の固定部材49は、小穴51として設計されていて、テーブル53又は外部支持構造部材(ここでは示されていない)に固定されているフック55と、カバー3を開くために連携する。明確化のために、図1において、1つの固定部材49と、1つの小穴51と、1つのフック55とのみに参照符号を付している。
【0064】
代替的または付加的に、クリーンルーム1は、カバー3に配置された内部支持構造部材も有することができ、これにより、それは図に示す伸張した機能状態になりかつこの状態を保つことができる。この伸張した機能状態は、第2の機能状態とも呼ばれる。
【0065】
クリーンルーム1は大気接続領域7を介して排気することができ、その結果、カバー3は第1の折りたたまれた機能状態を有する。従って、カバー3は、第2の機能状態よりも小さい体積を囲む。カバー3を第1の機能状態から伸張した第2の機能状態にするために、ガス、特に、無菌エアを、大気接続領域を介してカバー3の中に導入することもできる。第2の機能状態において、カバー3を外部に対して過剰圧力下あるいは過小圧力下に保つことが可能である。
【0066】
クリーンルーム1は、少なくとも1つの可撓性カバー部材を提供することにより好適に製造される。少なくとも1つの活性物質接続領域5が、次に、カバー部材上に配置され、少なくとも1つの作動接続領域23、特に、ロボット接続領域がカバー部材上に配置される。少なくとも1つの薬剤容器、特に、複数の薬剤容器9と、充填装置13を有する操作装置11と、好適に少なくとも1つの薬剤容器9のための少なくとも1つの閉鎖部材29とが少なくとも1つのカバー部材に配置される。次に、少なくとも1つの薬剤容器9と、操作装置11と、充填装置13と、好適に閉鎖部材29とが少なくとも1つのカバー部材に気密に囲まれるため、薬剤容器9と、操作装置11と、充填装置13とを包含し、少なくとも1つの閉鎖部材29を好適に気密に囲むカバー3が形成される。
【0067】
クリーンルーム1は、過熱蒸気、保護ガス、電磁放射線、及び/又は粒子線、特に、電子放射線によって好適に無菌化される。
【0068】
薬剤容器9は、好適に最初にカバー3をその伸張した状態にすることによってクリーンルーム1に詰め込まれ、少なくとも1つの活性物質供給部が活性物質接続領域5に接続され、作動装置25、特に、ロボットが作動接続領域23、特に、ロボット接続領域に接続される。充填装置13が未だ活性物質接続領域5接続されていない場合、充填装置13は現時点で活性物質接続領域5に接続される。活性物質接続領域が、次に、開放され、充填装置13を作動することによって、少なくとも1つの活性物質が薬剤容器9の中に導入される。薬剤容器9は、次に、閉鎖部材29により好適に閉鎖される。薬剤容器9が充填されて閉鎖された場合、カバー3を開放することによってクリーンルーム1が開放されて、少なくとも1つの充填された薬剤容器9が取り出される。
【0069】
エア供給部材、特に、無菌エア供給部は、大気接続領域7に好適に接続されている。
【0070】
全体として、ここで示すポータブルクリーンルーム1によって、少なくとも1つ、特に、かなり多くの薬剤容器9に、特に効果的な方法でかつ費用対効果が高い方法で、活性物質/材料を充填することができることがわかる。このようなクリーンルーム1は、特に、それらがその第1の機能状態にある場合、安価かつ省スペースで保管される。これに加えて、クリーンルーム1の汚染リスクが低減される。ここで提案するクリーンルーム1によって、そうでない場合、薬剤容器9に充填することに対して無菌状態が不十分な環境において薬剤容器9に充填することも可能である。クリーンルーム1は、特に、少容量の活性物質の製造、例えば、個々人用の薬剤のために使用することができるだけでなく、例えば、危機地域において、活性物質、例えば、解毒剤又はワクチンの迅速な局所的供給のために使用することもできる。
図1