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特許7550291出口料金所機器、関所機器、出口処理方法及び関所処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】出口料金所機器、関所機器、出口処理方法及び関所処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240905BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G08G1/09 F
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023196867
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2022205887の分割
【原出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2024014988
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓倉 陽介
(72)【発明者】
【氏名】出来 康造
(72)【発明者】
【氏名】山本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】勝賀瀬 明
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124635(JP,A)
【文献】特開2017-182749(JP,A)
【文献】特開2011-191947(JP,A)
【文献】特開2016-151934(JP,A)
【文献】特開2006-236224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムに用いられ、出口料金所で車両の出場処理を行う出口料金所機器であって、
前記有料道路における前記エリア毎に設けられたエリア管理装置のうち前記出口料金所が配置される自エリアに設けられたエリア管理装置と通信する通信部と、
前記出口料金所に進入してきた車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記車両通信部の通信によって取得した前記車両に関する情報に基づいて、入口と出口との組み合わせに対応する基本テーブルにより算出される基本料金と、当該車両が他のエリアから自エリアへ移動してきた車両である場合に当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置から前記自エリアのエリア管理装置が引き継いだ累積変動額または経路情報を含む引継情報により変動課金テーブル用いて算出される変動料金と、前記基本料金に前記変動料金を適用して算出される通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う制御部と、
を有する出口料金所機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記自エリアのエリア管理装置に対して、所得した前記出口料金所に進入してきた車両情報を示す情報を転送し、
前記自エリアのエリア管理装置で、入口と出口との組み合わせに対応する基本課金テーブルにより算出される基本料金に、前記エリア管理装置から取得した前記引継情報により前記変動課金テーブル用いて算出される変動料金を適用して算出された前記車両に課する通行料金を示す情報を取得し、
取得した通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
請求項1に記載の出口料金所機器。
【請求項3】
変動額を示す変動課金テーブルは、エリア別に変動額が設定された変動課金テーブルである、
請求項2に記載の出口料金所機器。
【請求項4】
前記引継情報は、移動元のエリア管理装置から引き継いだ変動額を、移動先のエリアのエリア管理装置が更新することで算出される累積変動額を含む情報である、
請求項2記載の出口料金所機器。
【請求項5】
前記引継情報は、移動元のエリア管理装置から移動先のエリアのエリア管理装置に対して当該車両の経路情報を引継ぎで更新し、更新された累積の経路情報に基づいて算出される累積変動額を含む情報である、
請求項2記載の出口料金所機器。
【請求項6】
出口料金所機器は、さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルを有し、
前記制御部は、
前記車両通信部によって前記車載器から取得する前記車両の入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を前記基本テーブルから引当て、
前記自エリアのエリア管理装置から、前記エリア管理装置で変動課金テーブルを用いて算出された前記車両に対する変動額を示す情報を取得し、
前記基本料金に前記変動額を適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
請求項1に記載の出口料金所機器。
【請求項7】
変動額を示す変動課金テーブルは、エリア別に変動額が設定された変動課金テーブルである、
請求項6に記載の出口料金所機器。
【請求項8】
前記引継情報は、
前記車両に対する前記移動元のエリアまでの累積変動額を含む情報である、
請求項6に記載の出口料金所機器。
【請求項9】
前記引継情報は、
前記車両における全経路を示す全経路情報を含む引継情報である、
請求項6に記載の出口料金所機器。
【請求項10】
出口料金所機器は、さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルと、前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルと、を有し、
前記制御部は、
前記車両通信部によって前記車載器から取得した前記車両の入口と出口との組み合わせから前記基本テーブルに基づいて基本料金を算出し、
前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に対する前記移動元のエリアまでの引継情報を取得し、
前記移動元のエリアまでの引継情報に基づいて前記変動課金テーブルから引当てた変動額を算出し、
算出した変動額の合計を前記基本料金に適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
請求項1に記載の出口料金所機器。
【請求項11】
変動額を示す変動課金テーブルは、エリア別に変動額が設定された変動課金テーブルである、
請求項10に記載の出口料金所機器。
【請求項12】
前記引継情報は、
前記車両に対する前記移動元のエリアまでの累積変動額を含む情報である、
請求項10に記載の出口料金所機器。
【請求項13】
前記引継情報は、
前記車両における全経路を示す全経路情報を含む引継情報である、
請求項10に記載の出口料金所機器。
【請求項14】
出口料金所機器は、さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルと、
前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルと、を有し、
前記制御部は、
前記車両通信部によって前記車載器から取得した前記車両の入口と出口との組み合わせから基本料金を前記基本テーブルに基づいて基本料金を算出し、
前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に対する前記移動元のエリアまでの引継情報を取得し、
前記車両通信部によって前記車載器から前記自エリアにおける全経路を示す全経路情報を取得し、
前記移動元のエリアまでの累積変動額に前記自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した全エリアでの変動額の合計を、前記基本料金に適用して算出された通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
請求項1に記載の出口料金所機器。
【請求項15】
変動額を示す変動課金テーブルは、エリア別に変動額が設定された変動課金テーブルである、
請求項14に記載の出口料金所機器。
【請求項16】
前記引継情報は、
前記車両に対する前記移動元のエリアまでの累積変動額を含む情報である、
請求項14に記載の出口料金所機器。
【請求項17】
前記引継情報は、
前記車両における全経路を示す全経路情報を含む引継情報である、
請求項14に記載の出口料金所機器。
【請求項18】
複数のエリアに分けられた有料道路における入口と出口の組合せで特定される基本料金を特定するための基本テーブルと、走行経路により特定される変動額を特定するための変動課金テーブルとを用いて通行料金を処理する料金処理システムに用いられる関所機器であって、
前記有料道路における第1エリアと前記第1エリアに隣接する第2エリアとの境界となる関所を通過する車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記第1エリアに対応する第1のエリア管理装置と前記第2エリアに対応する第2のエリア管理装置の両方または少なくとも一方と通信する中央通信部と、
前記車両通信部により前記関所を前記第1エリアから前記第2エリアへ移動する車両と通信した場合、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する制御部と、
を有する関所機器。
【請求項19】
前記制御部は、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両の識別情報を含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する、
請求項18に記載の関所機器。
【請求項20】
前記制御部は、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両の識別情報と前記車両が第1エリアにおいて通行した全ての経路を示す情報とを含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する、
請求項18に記載の関所機器。
【請求項21】
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムに用いられ、出口料金所で車両の出場処理を行う出口料金所機器による出口処理方法であって、
前記出口料金所機器の通信部が、前記有料道路における前記エリア毎に設けられたエリア管理装置のうち前記出口料金所が配置される自エリアに設けられたエリア管理装置と通信し、
前記出口料金所機器の車両通信部が、前記出口料金所に進入してきた車両に搭載された車載器と通信し、
前記出口料金所機器の制御部が、前記車載器との通信によって取得した前記車両に関する情報に基づいて、入口と出口との組み合わせに対応する基本テーブルにより算出される基本料金と、当該車両が他のエリアから自エリアへ移動してきた車両である場合に当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置から前記自エリアのエリア管理装置が引き継いだ累積変動額または経路情報を含む引継情報により変動課金テーブル用いて算出される変動料金と、前記基本料金に変動料金を適用して算出される通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
出口処理方法。
【請求項22】
複数のエリアに分けられた有料道路における入口と出口の組合せで特定される基本料金を特定するための基本テーブルと、走行経路により特定される変動額を特定するための変動課金テーブルとを用いて通行料金を処理する料金処理システムに用いられる関所機器による関所処理方法であって、
前記関所機器の車両通信部が、前記有料道路における第1エリアと前記第1エリアに隣接する第2エリアとの境界となる関所を通過する車両に搭載された車載器と通信し、
前記関所機器の中央通信部が、前記第1エリアに対応する第1のエリア管理装置と前記第2エリアに対応する第2のエリア管理装置の両方または少なくとも一方と通信し、
前記関所機器の制御部が、前記関所を前記第1エリアから前記第2エリアへ移動する車両と通信した場合、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する、
関所処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、出口料金所機器、関所機器、出口処理方法及び関所処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路などの有料道路では、車両に搭載された車載器との無線通信により料金を収受するETCシステムが普及してきている。また、有料道路では、利用促進あるいは混雑緩和などを目的として多様なサービスが提案されている。例えば、車両が通過する経路や日時などに応じて料金を割り引くサービスなどが提案されている。一方で、高速道路などの道路網は、全国規模でつながっており、新規路線の追加などでエリアが拡大して経路も複雑になってきている。このため、各車両について、通行した経路などの情報を管理して多様な料金体系に対応した料金処理を実現することが難しくなってきている。
【0003】
従来、高速道路を車両が通行した経路を管理する方法としては、車両に搭載した記憶媒体(車載器にセットしたETCカードなど)に経路情報を書き込む方法が考えられる。しかしながら、現行のETCシステムでは、ETCカードの記憶領域に全国規模の経路情報を記憶するのは困難である。また、技術的にはETCカードの記憶領域を拡張することが考えられるが、移行コストが高額となるため、現実的ではない。
【0004】
また、別の方法としては、ITSスポットと呼ばれる道路の各所に設定された複数の情報収集装置が収集するGPS情報を含む経路情報を集約して1つの車両が通行した経路を算出することが技術的には可能である。しかしながら、道路を通行する複数の車両に対する複数の経路情報を一括して取り扱ったり、実際には誤差が生じるGPS情報をマップマッチングなどの処理によって車両ごとの経路を特定したりする処理は、多くの処理時間がかかり、出口料金所での料金精算に間に合うように各車両の経路を特定するのは実際には困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-151969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の料金処理システムでは、大規模な有料道路網において実際に通行した経路を車両ごとに管理し、各車両に対して経路に応じた通行料金を算出して料金収受などの処理を実行することは難しいという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、大規模な有料道路網であっても経路に応じた多様な料金体系による料金収受などの料金処理を容易に実現できる出口料金所機器、関所機器、出口処理方法及び関所処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、出口料金所機器は、通信部と車両通信部と制御部とを有する。出口料金所機器は、複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムに用いられ、出口料金所で車両の出場処理を行う。通信部は、前記有料道路における前記エリア毎に設けられたエリア管理装置のうち前記出口料金所が配置される自エリアに設けられたエリア管理装置と通信する。車両通信部は、前記出口料金所に進入してきた車両に搭載された車載器と通信する。制御部は、前記車両通信部の通信によって取得した前記車両に関する情報に基づいて、入口と出口との組み合わせに対応する前記基本テーブルにより算出された基本料金と、当該車両が他のエリアから自エリアへ移動してきた車両である場合に当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置から前記自エリアのエリア管理装置が引き継いだ累積変動額または経路情報を含む引継情報により変動課金テーブル用いて算出された変動料金と、前記基本料金に前記変動料金を適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の制御系の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る基本テーブルの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る変動課金テーブルの構成例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第1実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、第1実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図10図10は、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図11図11は、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、第2実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の制御系の構成例を示すブロック図である。
図13図13は、第2実施形態に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図14図14は、第2実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、第2実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、第2実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図17図17は、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図18図18は、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図19図19は、第3実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の制御系の構成例を示すブロック図である。
図20図20は、第3実施形態に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図21図21は、第3実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図22図22は、第3実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図23図23は、第3実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図24図24は、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図25図25は、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図26図26は、第4実施形態に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図27図27は、第4実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図28図28は、第4実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図29図29は、第4実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
図30図30は、第4実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図31図31は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を模式的に示す図である。
図32図32は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
図33図33は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおける出口料金所機器の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、各実施形態に係る料金処理システムの概略について説明する。
料金処理システムが適用される有料道路は、同一発着(入口と出口とが同一)では同一料金とすることを基本(原則)としている。更に、渋滞対策などの様々な施策によって、特定の経路または料金(通行料金)を変動させる予め設定した経路(区間)や、通過日時などの条件を満たした車両に対して料金(通行料金)を値引く(または料金を加算する)施策を行っている。例えば、渋滞を軽減させるための施策として、有料道路における経路別の混雑度に応じて経路ごとの変動額(値引き金額又は加算金額など)が設定されるものとする。
【0010】
上記のような、経路、区間、または通過時間による変動課金を実施する場合、料金計算の元となる料金テーブルが、複雑かつ膨大になるため、運用に限界がある。このため、各実施形態に係る料金処理システムでは、料金処理の対象となる1つの有料道路網を複数のエリアに分けてエリアごとに経路などの情報を管理し、当該有料道路網から出場する場合に経路などに応じて変動する通行料金を算出する。複数のエリアは、有料道路を管理する道路事業者ごとに分かれるエリアだけではなく、1つの道路事業者の有料道路網(1つの有料道路)を複数のエリアに分けたものでもよい。
【0011】
本実施の形態では、各エリアには、料金計算に関する処理を行う中央装置であるエリア管理装置を設ける。そして、料金計算は、入口料金所と出口料金所の対応関係で決まる基本料金を決定するための基本課金テーブルと、通過した日時、時刻や、経路により決まる割引額(または割増額)を規定する変動課金テーブルの組合せで料金を決定する。
以下、第1乃至第4実施形態として、エリアごとに設けたエリア管理装置を含む料金処理システムを実施するための形態について説明する。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態は、基本課金テーブルと変動課金テーブルの両方が、エリア管理装置に保持される実施の形態である。
まずは、変動課金テーブルが、エリア毎に異なる場合の実施形態について説明する。 図1は、第1実施形態に係る料金処理システムを概略的に説明するための模式図である。
図1に示すように、実施形態に係る料金処理システムは、1つの有料道路網を複数のエリアA、Bに分けて管理する。図1に示す構成例において、料金処理システムは、複数のエリア管理装置1(1A、1B)、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4および関所機器5などを有する。
【0013】
エリア管理装置1は、エリアごとに設けられる。エリア管理装置1は、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4および関所機器5などの有料道路の各所に設置される路側装置と通信する中央装置(サーバ装置)である。
図1に示す例において、料金処理システムは、第1エリアとしてのエリアAに対応するエリア管理装置1Aと第2エリアとしてのエリアBに対応するエリア管理装置1Bとを有する。エリア管理装置1Aは、エリアAにおいて各車両が通行した経路情報や経路に応じた変動金額などを管理し、エリア管理装置1Bは、エリアBにおいて各車両が通行した経路情報や経路に応じた変動金額などを管理する。
【0014】
各エリアA、B内には、それぞれ料金所(IC)が設けられる。各料金所(IC)は、入口料金所と出口料金所とが設けられる。ただし、ICは、入口料金所としてだけ機能する入口専用であっても良いし、出口料金所としてだけ機能する出口専用であっても良い。入口料金所及び出口料金所は、例えば、所定方向(入場方向及び出場方向)に車両が通行するように設計されたレーンが設けられる。レーンは、決済用のICカード(ETCカード)Cがセットされる車載器Sを搭載した車両が通行する。
【0015】
入口料金所には入口料金所機器2が配置され、出口料金所には出口料金所機器3が配置される。入口料金所機器2および出口料金所機器3は、レーンを通行する車両に搭載された車載器Sと無線通信により通信する。入口料金所機器2は、有料道路に入場する車両に対する入口処理(入場処理)を行う装置である。出口料金所機器3は、有料道路から出場する車両に対する出口処理(出場処理)を行う装置である。
【0016】
経路機器4は、車両が通行した経路を検出するために、有料道路の各エリア内における各所に配置される。経路機器4は、有料道路における所定位置を通行する車両を検出することで特定の経路を通行する車両を検出する。例えば、経路機器4は、有料道路に設けた所定の経路(通過検知ポイント)を通過する車両に搭載された車載器Sと無線通信により通信することで経路を通過する車両を検出する。また、経路機器4は、車載器Sとの無線通信によって所定の経路を通過した車両を示す識別情報および通過日時などを取得する。経路機器4の具体例としては、DSRCを利用した路車間通信装置や経路FF(フリーフロー)等で構成される。
【0017】
関所機器5は、複数のエリア間の接続地点(以下、関所という)に設けられ、この関所を通過する車両を検出する。図1に示す構成例において、関所機器5は、有料道路におけるエリアAとエリアBとを連結する場所(関所)を通過する車両を検出するように設置する。例えば、関所機器5は、エリアAとエリアBとの間の関所を通行する車両に搭載された車載器Sと無線通信により通信する。関所機器5は、車載器Sとの無線通信によってエリア間を移動する車両および通過日時などを検出する。関所機器5の具体例としては、DSRCを利用した路車間通信装置や関所FF等で構成される。
【0018】
各エリア管理装置1A(1B)は、隣接するエリアのエリア管理装置1B(1A)と通信する機能を有する。また、各エリア管理装置1A(1B)は、それぞれが対応するエリアA(B)内にある入口料金所機器2、出口料金所機器3および経路機器4と通信し、入場情報、出場情報および通過経路情報を取得する。また、エリア管理装置1A(1B)は、関所を通過する車両を検知する関所機器5と通信する機能も有する。
【0019】
次に、第1実施形態に係る料金処理システムを構成する各装置における制御系の構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1(1A、1B)、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4および関所機器5の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、エリア管理装置1は、制御部11、記憶部12、機器通信部13およびエリア間通信部14を有する。エリア管理装置1は、例えば、汎用のサーバ装置などによって構成される。なお、図2に示す例では、エリア管理装置1Aの構成として図示しているが、他のエリアのエリア管理装置(エリアBのエリア管理装置1B)もエリア管理装置1Aと同様な構成を有するものとする。
【0020】
制御部11は、当該エリア管理装置1における制御及びデータ処理などを司る制御ユニットである。制御部11は、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介してエリア管理装置1を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。すなわち、制御部11は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより各部を制御およびデータ処理を実行する。
【0021】
記憶部12は、インメモリ等の読み出しや書込みが高速に行える記憶媒体を含む。記憶部12は、HDD或はSSDなどの大容量の記憶装置で構成されても良い 。記憶部12は、当該料金処理システムに関わる各種のデータを記憶する。例えば、記憶部12は、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4、関所機器5、および、他のエリア管理装置1から収集した情報などを記憶する。また、記憶部12は、各機器から取得した情報を車両の識別情報(カードID、車載器ID)に対応づけて記憶する。
【0022】
また、第1実施形態において、記憶部12は、基本テーブルT1と変動課金テーブルT2Aとを具備する。
基本テーブルT1は、当該有料道路網における入口と出口とに応じた通行料金(基本料金)を示す情報を格納する記憶領域である。基本テーブルT1は、有料道路全体における各入口と各出口との組み合わせに対して同一発着で同一料金となるような基本料金を示す情報を格納する。
【0023】
変動課金テーブルT2Aは、エリアAにおける各経路または経路と通過時間などの条件に応じて変動させる課金額(変動額、割引額)を示す情報を格納する記憶領域である。
第1実施形態において、各エリア管理装置1A、1Bは、エリアごとに設けられるエリア別の変動課金テーブルT1A、T1Bを具備するものとする。例えば、変動課金テーブルT2Aは、エリアAにおける各経路の混雑状況や混雑が予想される状況に応じて各経路に適用される変動額が格納される。
なお、各経路の混雑度あるいは混雑度に応じた変動額の設定情報は、各経路機器から収集する情報などから判定するようにしても良いし、外部のサーバから取得するものであっても良いし、接続するターミナル端末から手動で入力を行うものであっても良い。
【0024】
機器通信部13は、外部の機器と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、機器通信部13は、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4、および、関所機器5と通信するためのインターフェースであるものとする。なお、機器通信部13は、各種の機器に対応した複数種類の通信インターフェースを含むものであっても良い。
エリア間通信部14は、他のエリアのエリア管理装置と通信するための通信インターフェースである。本実施形態において、エリア間通信部14は、関所を介して道路が接続される隣接するエリアに設けられたエリア管理装置と通信するように構成される。
【0025】
入口料金所機器2は、図2に示すように、制御部21、上位通信部22、車両通信部23、発進制御器24、および、路側表示器25などを有する。
制御部21は、入口料金所機器2全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部21は、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して入口料金所機器2を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0026】
上位通信部22は、上位装置としてのエリア管理装置1と通信するための通信インターフェースである。上位通信部22は、無線通信でエリア管理装置1と通信するものであっても良いし、通信回線を介してエリア管理装置1と通信するものであっても良い。
車両通信部23は、車両に搭載する車載器Sと無線通信するインターフェースである。車両通信部23は、入口料金所において入口料金所機器2に接近する車両(入場しようとする車両)に搭載された車載器Sと無線通信する。車両通信部23は、無線通信する車載器SからETCカードCのカードID、車載器IDおよび車両の車種を示す車種情報などの情報を取得する。
【0027】
発進制御器24は、入口料金所からの車両の有料道路への入場を制御する。発進制御器24は、入口料金所のレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御器24は、車両を一旦停止させる場合あるいは車両の通行(入場)を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両の通行を阻止する。また、発進制御器24は、車両の通行(入場)を許可する場合、発進制御バーを開放して車両の通過を許可する。なお、料金所での渋滞緩和を優先して、発進制御器24に発進バーを設けないようにしても良い。
【0028】
路側表示器25は、入口料金所を通行する車両に乗車する利用者に対して案内などを表示する。路側表示器25は、入口料金所のレーンを通行する車両に向けて設置される。
【0029】
出口料金所機器3は、図2に示すように、制御部31、上位通信部32、車両通信部33、発進制御器34、および、路側表示器35などを有する。
制御部31は、出口料金所機器3全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部31は、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して出口料金所機器3を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0030】
上位通信部32は、上位装置としてのエリア管理装置1と通信するための通信インターフェースである。上位通信部32は、無線通信を行うものであっても良いし、通信回線を介して通信を行うものであっても良い。
車両通信部33は、車両に搭載する車載器と無線通信するインターフェースである。車両通信部33は、出口料金所において出口料金所機器3に接近する車両(出場しようとする車両)に搭載された車載器と無線通信する。車両通信部33は、無線通信する車載器からETCカードのカードID、車載器IDおよび車両の車種を示す車種情報などの情報を取得する。
【0031】
発進制御器34は、出口料金所での車両の出場を制御する。発進制御器34は、出口料金所のレーンに設けた発進制御バーの開閉を制御する。例えば、発進制御器34は、車両を一時停止させる場合あるいは車両の出場を不可とする場合、発進制御バーを閉じて車両の通行(出場)を阻止する。また、発進制御器34は、車両の通行(出場)を許可する場合、発進制御バーを開放して車両の通行を許可する。なお、出口料金所での渋滞緩和を優先して、発進バーを設けないようにしても良い。
路側表示器35は、出口料金所を通行する車両に乗車する利用者に対して案内などを表示する。路側表示器35は、出口料金所のレーンを通行する車両に向けて設置される。
【0032】
経路機器4は、図2に示すように、制御部41、上位通信部42および車両通信部43などを有する。
制御部41は、経路機器4全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部41は、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して経路機器4を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0033】
上位通信部42は、上位装置としてのエリア管理装置1と通信するための通信インターフェースである。上位通信部42は、無線通信でエリア管理装置1と通信するものであっても良いし、通信回線を介してエリア管理装置1と通信するものであっても良い。
車両通信部43は、車両に搭載する車載器Sと無線通信するインターフェースである。車両通信部43は、経路機器4を設置した場所を通行する車両に搭載された車載器Sと無線通信する。車両通信部43は、車両に搭載された車載器Sと無線通信することで、車載器SにセットされたETCカードCのカードID、車載器IDおよび車両の車種を示す車種情報などの情報を取得する。
ただし、経路機器4は、所定の経路(区間)を通過した車両および通過日時などを特定できる情報を取得できるものであれば良く、車両通信部43は特定の経路を通過した車両を示す情報および通過日時などを検知できるものに置き換えても良い。
【0034】
関所機器5は、図2に示すように、制御部51、上位通信部52および車両通信部53などを有する。
制御部51は、関所機器5全体の制御及びデータ処理などを行う制御ユニットである。制御部51は、CPU、メモリおよびインターフェースなどを有する。CPUは、プログラムを実行することにより各種の処理機能を実現するプロセッサである。CPUは、インターフェースなどを介して関所機器5を構成する各部に接続される。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する不揮発性メモリ、一時的にデータを保持する揮発性メモリ、および、設定データなどを保存する書換え可能な不揮発性メモリなどの各種のメモリを含む。
【0035】
上位通信部52は、関所機器5を設けた隣接する各エリアのエリア管理装置1Aおよび1Bと通信するための通信インターフェースである。上位通信部52は、無線通信で隣接するエリア管理装置1A及び1Bと通信するものであっても良いし、通信回線を介してエリア管理装置1A及び1Bと通信するものであっても良い。
車両通信部53は、関所を通過する車両に搭載する車載器Sと無線通信するインターフェースである。車両通信部53は、関所機器5を設置した場所を通行する車両に搭載された車載器Sと無線通信する。車両通信部53は、車両に搭載された車載器Sと無線通信することで、車載器SにセットされたETCカードCのカードID、車載器IDおよび車両の車種を示す車種情報などの情報を取得する。
【0036】
次に、実施形態に係る料金計算に用いる基本テーブルT1および変動課金テーブルT2(T2A、T2B)の構成例について説明する。
図3は、基本テーブルT1の構成例を示す図である。
図3に示す構成例は、大型、中型、普通車などの車種ごとに基本テーブルT1a、T1b、T1cが設けられる例を示す。図3に示す基本テーブルT1では、入口と出口との組み合わせに対して1つの料金が示される。第1の実施形態において、基本テーブルT1は、エリア内だけではなく、有料道路全体における各入口から出口までの組合せに対する基本料金を格納するものとする。出口料金所機器3(またはエリア管理装置1)は、車両の車種に応じた基本テーブルT1を参照して、入口と出口との組み合わせに対応する料金(基本料金)を決定する。
【0037】
図4は、変動課金テーブルT2(T2A、T2B)の構成例を示す図である。
図4に示す変動課金テーブルT2は、変動IDを対応づけた条件ごとに設定された変動額を示す。変動課金テーブルT2において、変動IDを対応づけた条件としては、時間や車種により定められる条件としても良い。変動課金テーブルT2は、各経路の混雑状況または混雑予測に応じて適宜更新されるものとする。
また、第1実施形態において、変動課金テーブルT2は、エリア内での各経路に対する変動額を記憶するエリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bである。従って、第1実施形態において、エリア管理装置1A、1Bは、エリアA、B内における各経路に対する変動額を記憶するエリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bを参照して通行した経路などに応じた変動額を決定する。
【0038】
なお、変動課金テーブルT2は、車種毎に設けられる構成としても良い。ただし、変動課金テーブルT2では、条件として車種(車種を含む条件)を設定することで、車種ごとに変動課金テーブルを設けなくても良く、1つの変動課金テーブルで車種ごとの変動額を判定することができ、全車種に対応する変動課金テーブル全体のデータ量を小さくできる。
【0039】
図4に示す構成例において、変動課金テーブルT2は、変動IDに対応づけて、条件および変動額が記憶される。
変動IDは、料金に対する変動額を設定する条件ごとに割り当てる識別情報である。変動IDは、ユニークな情報であれば良く、例えば、番号、文字列、文字列と番号とを組み合わせなどである。図4に示す例では、変動IDは、初期値「0001」から順番にユニークな番号が割り当てられるものとしている。
【0040】
条件は、変動額が適用される条件を示す情報である。条件は、通過経路情報から判定できるものである。ただし、条件は、通過経路情報、入場情報および出場情報などの組合せによって判定できるものであっても良い。例えば、条件としては、経路機器4が検出可能な経路の通過が設定される。
また、条件としては、車両が通過する時間を含むものであっても良い。図4に示す例では、変動IDが「0001」の条件は、車両が経路aを通過したことであり、変動IDが「0002」の条件は、車両が経路bを17:00から19:00までに通過したことである。
【0041】
変動額は、料金に対して変動すべき金額を示す情報である。図4に示す例において、変動IDが「0001」の条件を満たす場合、変動額は-100円(100円の減額)であり、変動IDが「0002」の条件を満たす場合、変動額は-200円(200円の減額)である。なお、変動額は、料金を減額する金額だけに限らず、料金を増額する金額であっても良い。また、変動額としては、割引率または割増率などを設定できるようにしても良い。
【0042】
次に、第1実施形態において各エリアのエリア管理装置1A、1Bが各機器から取得する情報について説明する。
図5は、第1実施形態に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図5に示す例では、第1実施形態に係る料金処理システムの各エリア管理装置1A、1Bが各路側装置から取得する情報の具体例を模式的に示している。また、図5に示す例では、エリアAの入口料金所「IC:A」から入場した車両が、エリアAの経路a、関所、エリアBの経路cを通過した後に、エリアBの出口料金所「IC:C」から出場する場合の例を示している。
【0043】
まず、車両が入口料金所を通過する場合、入口料金所機器2は、入口料金所に進入する車両に搭載された車載器Sと通信し、当該車載器Sから取得する情報に基づいて当該車両が入場したことを示す入場情報を作成する。入口料金所機器2は、作成した入場情報をエリア管理装置1へ送信する。図5に示す例において、入口料金所「IC:A」の入口料金所機器2aは、入場する車両に搭載されている車載器Sと通信し、入場する車両に関する情報を取得する。
入口料金所機器2aは、車載器Sから取得する情報に基づいて入場情報Data1を作成し、作成した入場情報Data1をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。図5に示す例において、入場情報Data1は、カードID、車載器ID、入口IC、入場日時および車種などを有する。
【0044】
カードIDは、車両に搭載した車載器SにセットされているETCカードCの識別情報である。ETCカードCは、料金の決済に用いるカードである。
入口料金所機器2は、有効なETCカードCが車載器Sに正常にセットされている場合、当該車両からカードIDを取得し、当該車両の入場を許可する。車載器IDは、車両に搭載される車載器Sの識別情報である。入口ICは、車両が入場した入口(入口料金所)を示す情報である。入場日時は、入口を通過した日時を示す情報である。車種は、入場する車両の車種を示す情報である。ただし、カードIDおよび車載器IDは、課金対象となる車両を特定するための識別情報であるため、課金対象を特定できればカードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。
【0045】
一方、各エリア管理装置1は、担当するエリア(自エリア)にある各入口料金所の入口料金所機器2からの入場情報を随時取得する。図5に示す例では、エリア管理装置1Aは、入口料金所「IC:A」の入口料金所機器2aから上述した構成の入場情報Data1を取得(受信)する。エリア管理装置1Aは、取得した入場情報Data1のカードIDおよび車載器IDなどの識別情報に対応づけて当該入場情報Data1に含まれる入口IC、入場日時および車種などの情報を記憶部12に記憶する。
【0046】
次に、経路機器4が通過した車両を検知する場合、経路機器4は、車両が通過したことを示す通過経路情報を作成し、作成した通過経路情報を自エリアのエリア管理装置1へ送信する。図5に示す例において、経路機器4aは、エリアAにおける経路aを通過する車両に搭載されている車載器Sと通信し、通過する車両に関する情報を取得する。
経路機器4aは、車載器Sから取得する情報に基づいて通過経路情報Data2を作成し、作成した通過経路情報Data2をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。これにより、エリア管理装置1Aは、車両が経路aを通過したことを示す通過経路情報Data2を経路機器4から取得する。図5に示す例において、通過経路情報Data2は、カードID、車載器ID、経路情報、通過日時および車種などを含む情報である。
【0047】
カードIDおよび車載器IDは、経路aを通過した車両を特定するための識別情報であり、入場情報などのカードIDおよび車載器IDに対応する情報である。ただし、経路aを通過した車両が特定できれば、カードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。
通過経路情報Data2の経路は、車両が通過した経路(通過検知ポイント)が経路aであることを示す情報である。通過経路情報Data2の通過日時は、経路aの通過を検知するための通過検知ポイントを通過した日時を示す情報である。通過経路情報Data2の車種は、経路aを通過した車両の車種を示す情報である。ただし、車種は通過検知情報には含まなくても良い。
【0048】
また、図5に示す例において、エリア管理装置1Aは、車両が経路aを通過する場合に経路機器4aから通過経路情報Data2を取得(受信)する。経路機器4aから通過経路情報Data2を取得すると、エリア管理装置1Aは、エリアA用の変動課金テーブルT2Aから経路aに応じた変動額(割引額)を引き当てる。経路aに応じた変動額を引当てると、エリア管理装置1Aは、引当てた変動額を当該車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に対応づけた累積変動額として記憶部12に記憶(または更新)する。なお、エリア管理装置は、変動額の引き当てをエリア跨ぎ情報を受信したタイミングで実行しても良いし、出場情報を受信したタイミングで実行しても良い。
【0049】
次に、車両が関所機器5を設置した関所を通過する場合、関所機器5は、車両が関所を通過したことを示すエリア跨ぎ情報を作成し、作成したエリア跨ぎ情報をエリア管理装置1Aへ送信する。エリア跨ぎ情報は、関所を通過して隣接するエリアに移動したことを示す情報である。図5に示す例において、関所機器5は、車両がエリアAからエリアBへ移動したことを示すエリア跨ぎ情報Data3をエリア管理装置1Aへ送信する。
【0050】
すなわち、関所機器5は、関所を通過する車両に搭載されている車載器Sと通信し、関所を通過する車両に関する情報を取得する。関所機器5は、車載器Sから取得する情報に基づいてエリア跨ぎ情報(関所通過情報)Data3を作成し、作成したエリア跨ぎ情報Data3をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。これにより、エリア管理装置1Aは、関所を通過したエリアAからエリアBへ移動した車両を示すエリア跨ぎ情報Data3を関所機器5から取得する。
【0051】
図5に示す例において、エリア跨ぎ情報Data3は、カードID、車載器ID、関所情報、通過日時および車種などを含む情報である。
カードIDおよび車載器IDは、関所を通過した車両を特定するための識別情報であり、入場情報および通過経路情報に含まれるカードIDおよび車載器IDに対応する情報である。ただし、関所を通過した車両が特定できれば、カードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。
関所情報は、車両が通過した関所を示す情報である。例えば、関所情報は、関所に設けられている関所機器5を特定する情報である。また、関所情報は、関所を通過して移動するエリアを示す情報であっても良い。エリア跨ぎ情報Data3の通過日時は、関所を通過した日時を示す情報である。車種は、関所を通過した車両の車種を示す情報である。ただし、車種はエリア跨ぎ情報には含まなくても良い。
なお、関所機器5は、エリア跨ぎ情報Data3を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bに送信するようにしても良いし、移動元のエリアAのエリア管理装置1Aと移動先のエリアBのエリア管理装置1Bとの両方に送信しても良い。
【0052】
エリア管理装置1Aは、関所に設置した関所機器5からエリア跨ぎ情報Data3を取得(受信)と、関所を通過した車両に対する変動額に関する情報を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ引き継ぐための引継情報Data4を作成する。引継情報Data4を作成すると、エリア管理装置1Aは、当該車両の移動先であるエリアBのエリア管理装置1Bへ当該引継情報を送信する。
【0053】
なお、引継情報Data4は、移動先のエリア管理装置からの要求に応じて移動元のエリア管理装置から送信するようにしても良い。例えば、関所機器5がエリア跨ぎ情報Data3を移動先のエリア管理装置1Bへ送信するものとすれば、エリア管理装置1Bは、移動元のエリアAのエリア管理装置1Aに対して引継情報を要求し、エリア管理装置1Aからエリア跨ぎ情報Data3を取得するようにできる。
【0054】
引継情報Data4は、車両の移動元のエリアを管理するエリア管理装置1Aから当該車両の移動先のエリアを管理するエリア管理装置1Bへ送信される情報である。引継情報Data4は、エリア間を移動した車両に対する変動額に関する情報であり、エリア管理装置1Aが保持する情報をエリア管理装置1Bへ引き継ぐための情報である。
第1の実施形態において、引継情報Data4は、入口を示す情報と入口から関所へ移動するまでの間に通行した全経路に応じた変動額を合計した累積変動額を示す情報とを含む情報である。
【0055】
例えば、第1実施形態において、引継情報Data4は、カードID、車載器ID、入場情報、累積変動額および車種などを含む情報である。
カードIDおよび車載器IDは、関所を超えてエリアAからエリアBへ移動した車両を特定するための識別情報である。関所を超えてエリア間を移動した車両が特定できれば、カードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。入場情報は、車両が有料道路に入場した入口を示す情報である。累積変動額は、入口から当該関所へ移動するまでに通行した全経路に応じた累積変動額である。車種は、関所を超えてエリアAからエリアBへ移動した車両の車種を示す情報である。ただし、車種はエリア跨ぎ情報には含まなくても良い。
【0056】
関所からエリアBへ進入した後、車両は、エリアBにおける各経路機器4によって各経路の通過が検知される。エリアB内の経路機器4は、各経路に対応する通過検知ポイントにおいて通過する車両を検知すると、車両が通過したことを示す通過経路情報を作成し、作成した通過経路情報をエリア管理装置1Bへ送信する。
図5に示す例において、エリア管理装置1Bは、エリアBにおける経路cを車両が通過する場合に経路機器4cから通過経路情報Data5を取得する。
【0057】
図5に示す例において、経路機器4cは、経路cを通過する車両に搭載されている車載器Sと通信し、通過する車両に関する情報を取得する。経路機器4cは、車載器Sから取得する情報に基づいて通過経路情報Data5を作成し、作成した通過経路情報Data5をエリアBのエリア管理装置1Bへ送信する。通過経路情報Data5は、上述した通過経路情報Data2と同様なフォーマット(構成)を有し、カードID、車載器ID、経路情報、通過日時および車種などを含む情報である。
【0058】
エリア管理装置1Bは、エリアAからエリアBへ移動した車両の通過経路情報Data5を受信すると、通過経路情報Data5をエリア管理装置1Aから取得した引継情報Data4に対応づけて記憶する。これにより、エリアB(移動先のエリア)のエリア管理装置1Bは、引継情報Data4に含まれるエリアBへ移動する前までの累積変動額と当該エリアB内で通過した経路に応じた変動額とに基づいてエリアBを通行する車両に対する累積変動額を管理できる。
【0059】
次に、車両が出口料金所に進入すると、出口料金所機器3は、車両に搭載されている車載器Sと通信して車両に関する情報を取得して出場情報を作成する。出口料金所機器3は、作成した出場情報をエリア管理装置へ送信する。
第1実施形態では、出口料金所機器3は、出場情報に応じてエリア管理装置から出場する車両に課する通行料金を示す情報を取得する。すなわち、出口料金所機器3から出場情報を受信した場合、エリア管理装置1は、当該車両に課する通行料金を算出し、算出した通行料金を示す請求金額情報を出口料金所機器3へ送信する。
【0060】
図5に示す例において、出口料金所「IC:C」の出口料金所機器3cは、出場する車両に関する出場情報Data6を作成し、出場情報Data6をエリアBのエリア管理装置1Bへ送信する。
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cからの出場情報Data6を取得し、出場情報Data6に対応する請求金額情報Data7を作成し、請求金額情報Data7を出口料金所機器3cへ返信する。
【0061】
図5に示す例において、出場情報Data6は、カードID、車載器ID、出口IC、出場日時および車種などを含む情報である。カードIDおよび車載器IDは、出口料金所に進入した課金対象となる車両を特定するための識別情報である。ただし、課金対象となる車両が特定できれば、カードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。出口ICは、車両が進入した出口料金所(出口)を示す情報である。出場日時は、出口料金所に進入してきた日時を示す情報である。車種は、車種を示す情報である。ただし、出場情報には、車種は含まなくても良い。
【0062】
また、請求金額情報Data7は、カードID、車載器IDおよび通行料金などを含む情報である。カードIDおよび車載器IDは、出場情報Data6で特定される課金対象となる車両を特定するための識別情報である。ただし、車両が特定できれば、カードIDまたは車載器IDの何れかを省略しても良い。通行料金は、当該車両が有料道路において通過した全ての経路に応じて利用者に請求する金額である。
【0063】
エリア管理装置1Bは、出場情報を受信すると、受信した出場情報の車両に対応する入場情報を特定して入口と出口との組み合わせから基本テーブルT1に基づいて基本料金を算出する。さらに、エリア管理装置1Bは、受信した出場情報の車両が有料道路において通過した全エリアでの全経路に応じた累積変動額を特定し、基本料金に累積変動額を適用して通行料金を算出する。
エリア管理装置1Bは、算出した通行料金を示す請求金額情報Data7を作成し、作成した請求金額情報Data7を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する。これにより、出口料金所の出口料金所機器3は、エリア管理装置1Bから取得する請求金額情報Data7に含まれる通行料金に基づいて当該車両に対する出場処理を実行する。
【0064】
次に、第1実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の動作について説明する。 まず、第1実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図6は、第1実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
上述したように、第1実施形態において、各エリア管理装置1は、エリア内における入口料金所機器2からの入場情報、経路機器4からの通過経路情報、関所機器5からのエリア跨ぎ情報、および、出口料金所機器3からの出場情報を随時受信する。また、エリア管理装置1は、関所を通過して自エリア内に移動してきた車両に対する累積変動額を示す情報を含む引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信する。
【0065】
すなわち、入口料金所機器2からの入場情報を機器通信部13により受信した場合(ST11、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST12)。入口料金所機器2から受信する入場情報は、カードIDまたは車載器IDで検索できるように、カードIDまたは車載器IDに対応づけた情報として記憶部12に記憶される。
【0066】
経路機器4からの通過経路情報を機器通信部13により受信した場合(ST13、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報から当該車両が通過した経路を特定し、通過した経路に対して設定される変動額を当該エリアの変動課金テーブルT2A(T2B)から引当てる(ST14)。ただし、ST14の処理は、通過経路情報を受信する度に実行するのではなく、後述するST16の処理またはST21の処理の後にまとめて実行するようにしても良い。
通過した経路に変動額が設定されている場合、制御部11は、当該車両に対する累積変動額を計算し、計算した累積変動額を記憶部12に記憶(または更新)する(ST15)。
【0067】
例えば、制御部11は、当該通過経路情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両のこれまでの累積変動額を記憶部12から検索する。これまでの累積変動額が記憶部12に記憶されていれば、制御部11は、これまでの累積変動額に通過した経路に応じた変動額を加算し、累積変動額を更新する。
また、これまでの累積変動額が記憶部12に記憶されていなければ、制御部11は、通過した経路に応じた変動額を累積変動額として当該車両の識別情報に対応づけて記憶する。なお、受信した通過経路情報が示す通過した経路に変動額が設定されていない場合、制御部11は、ST15の処理を省略して良い。
【0068】
また、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を機器通信部13より受信した場合(ST16、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両に関する変動額に関する情報を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST16)。上述したように、第1の実施形態において、引継情報は、変動額に関する情報として、当該車両の入場情報と自エリア内での通過経路に応じた変動額を含むこれまでの累積変動額とを含む情報である。
【0069】
すなわち、制御部11は、当該エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両の入場情報と当該車両に対する累積変動額とを記憶部12から検索する。当該車両に対する累積変動額が記憶部12に記憶されていれば、制御部11は、当該車両の識別情報と入場情報と累積変動額とを含む引継情報を作成する。さらに、制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST18)。
【0070】
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST19、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる入場情報と累積変動額とを車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST20)。これにより、制御部11は、入場情報と移動元のエリアで通過した経路に応じた変動額を含む累積変動額とをカードIDまたは車載器IDなどの識別情報で検索できる情報として記憶部12に記憶する。
【0071】
また、出口料金所機器3から出場情報を機器通信部13により受信した場合(ST21、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した出場情報に応じて通行料金を算出するために、記憶部12において出場情報に含まれる識別情報で特定される車両の入場情報および累積変動額を検索する(ST22)。
【0072】
当該出場情報に含まれる識別情報の車両の入場情報を特定すると、制御部11は、特定した入場情報が示す入口と受信した出場情報が示す出口との組み合わせに応じた基本料金を基本テーブルT1から引当てる(ST23)。
基本テーブルT1は、有料道路における全ての入口と出口との組み合わせに対する基本料金を示すものである。これにより、制御部11は、基本テーブルT1を用いて入口と出口との組み合わせに対する基本料金を引き当てることで経路に依らない基本料金を簡単に特定できる。
【0073】
当該出場情報に含まれる識別情報の車両に対する累積変動額を特定すると、制御部11は、特定した累積変動額を基本料金に適用した合計の金額(通行料金)を算出する(ST24)。
累積変動額は、各エリアのエリア管理装置1A、1Bが各エリアで通行した経路に応じた変動額を変動課金テーブルT2A、T2Bから引当て、それらの変動額を総合計した金額である。すなわち、第1実施形態は、各エリアのエリア管理装置が算出する累積変動額を移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐ。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、他のエリアで通過した経路も含めた全ての変動額を累計した累計変動額を簡易に決めることができ、基本料金と累積変動額とに基づく通行料金も迅速に決定できる。
【0074】
基本料金と累計変動額とに基づく通行料金が決定すると、制御部11は、受信した出場情報に含まれる識別情報の車両に課する通行料金を示す請求金額情報を作成し、作成した請求金額情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST25)。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、他のエリアで通過した経路も含めた全ての変動額を累計した累計変動額を簡易に決めることができる。また、エリア管理装置は、基本テーブルから引当てる基本料金と累積変動額とに基づく通行料金も迅速に決定でき、決定した通行料金を出口料金所機器へ提供できる。
【0075】
以上の処理によって、エリア管理装置は、担当するエリア内での入場情報と経路に応じた累積変動額を管理しながら、関所機器からのエリア跨ぎ情報に応じて車両の移動先のエリアのエリア管理装置へ入場情報と累積変動額とを示す引継情報を提供する。
さらに、エリア管理装置は、出口料金所機器からの出場情報に応じて出場する車両の入場情報と累積変動額とを特定し、入口と出口との組み合わせから決まる基本料金に累積変動額を適用した通行料金を出口料金所機器へ提供する。
【0076】
次に、第1実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器5の動作について説明する。
図7は、第1実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器5の動作例を説明するためのフローチャートである。
関所機器5は、第1のエリアと第2のエリア(例えば、エリアAとエリアB)を連結する経路上に設けた関所を通過する車両を検出するように設置される。関所機器5の制御部51は、関所を通過する車両を検知すると(ST31、YES)、車両通信部53によって関所を通過する車両が搭載する車載器Sと通信を実行する(ST32)。
【0077】
制御部51は、車両通信部53によって関所を通過する車両に搭載された車載器Sとの通信が確立すると、当該車載器Sからエリア跨ぎ情報に必要な情報を取得する。車載器Sから情報を取得すると、制御部51は、車載器Sから取得した情報に基づいてエリア跨ぎ情報を作成する(ST33)。例えば、制御部51は、車両通信部53により通信する車載器SからカードID及び車載器IDなどを取得し、図5に示すようなエリア跨ぎ情報を作成する。
【0078】
関所を通過する車両の車載器Sから取得した情報に基づくエリア跨ぎ情報を作成すると、制御部51は、作成したエリア跨ぎ情報をエリア管理装置1へ送信する(ST34)。ここでは、制御部51は、作成したエリア跨ぎ情報を移動元のエリアのエリア管理装置1へ送信するものとする。ただし、関所機器5は、エリア跨ぎ情報を移動先のエリアのエリア管理装置1へ送信しても良いし、移動元のエリアのエリア管理装置と移動先のエリアのエリア管理装置との両方に送信しても良い。
【0079】
次に、第1実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作について説明する。
図8は、第1実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
出口料金所機器3の制御部31は、出口料金所に進入する車両を検知すると(ST51)、車両通信部33によって当該車両に搭載されている車載器Sとの通信を開始する。
次に、車載器Sとの通信が確立すると、制御部31は、車載器Sとの通信によって当該車両に関する各種の情報を取得する(ST52)。例えば、第1実施形態において、制御部31は、カードIDおよび車載器IDなどの識別情報および車種を示す情報などの情報を車載器Sから取得する。
【0080】
車載器Sから車両を特定するための識別情報(カードID、車載器ID)を取得すると、制御部31は、取得した識別情報を含む出場情報を作成し、当該出口料金所を含むエリアのエリア管理装置1へ作成した出場情報を送信する(ST53)。出場情報をエリア管理装置1へ送信した後、制御部31は、エリア管理装置1からの当該車両の通行料金を示す請求金額情報の受信待ちの状態となる。
【0081】
エリア管理装置1から通行料金を示す請求金額情報を受信すると、制御部31は、取得した請求金額情報が示す通行料金を路側表示器35に表示する(ST55)。
そして、発進制御器34により当該車両の出場を許可する(ST56)。ここで、制御部31は、車両に搭載される車載器SにセットされているETCカードCに出場情報を書込むようにしても良い。通行料金が確定して当該車両の出場を許可すると、制御部31は、確定した通行料金を当該ETCカードCで精算する処理を行い、当該車両に対する出場処理を終了する。
【0082】
以上のように、第1実施形態によれば、各エリア管理装置1は、担当するエリアにおける経路別の混雑度などに基づく経路に応じた変動額を示すエリア別の変動課金テーブルと入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を示す基本テーブルとを具備し、経路機器から通過経路情報を受信するごとにエリア別の変動課金テーブルから経路に応じた変動額を引き当て各車両に対する累積変動額を管理する。
車両が他のエリアへ移動する場合、移動元のエリアのエリア管理装置は、移動先のエリア管理装置へ移動した車両の入場情報と当該車両に対する累積変動額を示す引継情報を送信する。移動先のエリア管理装置は、移動元のエリア管理装置から引き継いだ累積変動額に、自エリア内での通過経路に応じた変動額を加えていくことにより累積変動額を更新する。
さらに、各エリア管理装置1は、出口料金所機器からの出場情報に応じて基本テーブルから引き当てる基本料金に累積変動額を適用することによって通行料金を算出し、算出した通行料金を当該出口料金所機器へ送信する。
【0083】
また、エリア別の変動課金テーブルから経路に応じた変動額を引き当る処理は、エリア管理装置が経路機器から通過経路情報を受信するごと実行する形態に限定されるものでない。エリア管理装置は、経路機器からの通過経路情報を蓄積しておき、車両が別エリアへの移動する場合または出場する場合に一括して各経路に応じた変動額を引き当る処理を行うようにしても良い。
【0084】
上述した第1実施形態に係る料金処理システムによれば、各エリアのエリア管理装置間で累積変動額を引き継ぎながら自エリア内での変動額を含む累積変動額を適用した通行料金を算出することができ、広大な地域にまたがる大規模な有料道路において経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を適用した通行料金の処理を円滑に行うことができる。
また、第1実施形態に係る料金処理システムの各エリア管理装置は、エリア内の経路に対する変動額を示すエリア別の変動課金テーブルを保持することで効率良く変動額の引当を行うことができ、処理を高速化できる。
さらに、第1実施形態に係る料金処理システムでは、各エリア管理装置がエリア間を移動した車両の累積変動額を送受信するため、大量のデータをエリア間で転送する必要が無く、通信データ量を少なくでき、エリア間での通信負荷を軽減できる。
【0085】
(第1実施形態における第1変形例)
上述した第1実施形態では、各エリア管理装置が具備する変動課金テーブルが、エリア別の変動課金テーブルであったが、エリア管理装置有料道路全体(全てのエリア)の各経路に対する変動額を示す共通の変動課金テーブルとしても良い。
【0086】
第1実施形態の第1変形例は、上述した第1実施形態に係る料金処理システムにおいて、エリア管理装置が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルに置き換えたものについて説明する。
【0087】
図9は、第1実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図9に示すように、第1実施形態の第1変形例に係る料金処理システムは、上述した図2乃至図5に示すような第1実施形態に係る料金処理システムにおいて各エリア管理装置が具備する変動課金テーブルT2A、T2Bを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成を具備するものである。
このため、第1実施形態の第1変形例としては、変動課金テーブル以外の構成についての詳細な説明を省略する。また、各エリア管理装置1(1A、1B)が実施する処理についても、変動額を引き当てるテーブルを共通の変動課金テーブルT2とする以外は上述した第1実施形態と同様な処理で実現できるため、詳細な説明を省略するものとする。
【0088】
図9に示す構成において、共通の変動課金テーブルT2は、全エリアにおける各経路に対して設定された変動額を示すテーブルである。共通の変動課金テーブルT2は、全てのエリアにおける全ての経路に対する変動額を格納するため、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bに比べてデータ量が多くなるが、エリアごとに作成したり更新したりする必要がなく、有料道路全体における全ての経路に応じた変動額を一元的に管理できる。
【0089】
(第1実施形態における第2変形例)
上述した第1実施形態の第1変形例では、各エリア管理装置が累積変動額を更新していき、移動先のエリアのエリア管理装置へ累積変動額を引き継ぐようにした。各エリア管理装置が通過した経路を示す経路情報を蓄積していき、移動先のエリアのエリア管理装置へ経路情報を引き継ぐようにしても良い。
【0090】
第1実施形態の第2変形例としては、上述した第1実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が累積変動額ではなく経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信するものについて説明する。
【0091】
図10は、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図10に示すように、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムは、上述した図2乃至図5に示す構成において変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成を有する。共通の変動課金テーブルT2については第1実施形態の第1変形例において説明したため、第1実施形態の第2変形例では構成についての詳細な説明は省略するものとする。
【0092】
図10に示す例において、エリア管理装置1Aは、エリア内の各機器から取得する情報を記憶部12に記憶する。
例えば、エリア管理装置1Aは、「IC:A」の入口料金所の入口料金所機器2aからの入場情報を受信すると、車両の識別情報に対応づけて入口、入場日時および車種などを含む入場情報を記憶部12に記憶する。エリア管理装置1Aは、経路機器4aからの通過経路情報を受信すると、車両の識別情報に対応づけて経路、通過日時および車種などの経路情報を記憶部12に記憶する。
エリア管理装置1Aは、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信すると、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報に対応する入場情報と全ての経路情報とを記憶部12から抽出する。
エリア管理装置1Aは、車両の識別情報に対応する入場情報および全経路情報を含む引継情報Data4´を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ送信する。
【0093】
エリア管理装置1Bは、エリア管理装置1Aからの引継情報に含まれる入場情報と全経路情報とを車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する。エリア管理装置1Bは、経路機器4cから通過経路情報を受信すると、車両の識別情報に対応づけて経路、通過日時および車種などの経路情報を記憶部12に記憶する。エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから出場情報を受信すると、受信した出場情報に含まれる車両の識別情報に対応する入場情報と全ての経路情報(前エリアまでの全経路と自エリアの全経路)とを記憶部12から抽出する。
エリア管理装置1Bは、出場情報および入場情報に基づく基本料金を基本テーブルT1から引当て、全ての経路情報に応じた変動額を共通の変動課金テーブルT2から引当てる。エリア管理装置1Bは、基本料金と全ての変動額とによって通行料金を計算し、計算した通行料金を出口料金所機器3cへ送信する。
【0094】
次に、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図11は、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
上述したように、第1実施形態の第2変形例において、各エリア管理装置1は、エリア内における入口料金所機器2からの入場情報、経路機器4からの通過経路情報、関所機器5からのエリア跨ぎ情報、および、出口料金所機器3からの出場情報を随時受信する。また、エリア管理装置1は、関所を通過してエリア内に移動してきた車両に関する変動額に関する情報として、当該車両がこれまでに通行した全ての経路を示す情報を含む引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信する。
【0095】
すなわち、入口料金所機器2からの入場情報を受信した場合(ST171、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST172)。制御部11は、入口料金所機器2から受信する入場情報をカードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報で検索できるように、カードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報に対応づけて入口、入場日時および車種などの情報を入場情報として記憶部12に記憶する。
【0096】
経路機器4からの通過経路情報を受信した場合(ST173、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報を記憶部12に記憶する(ST174)。制御部11は、経路機器4から受信する通過経路情報をカードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報で検索できるように、カードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報に対応づけて、経路、通過日時および車種などの情報を経路情報として記憶部12に記憶する。また、制御部11は、通過経路情報における車両の識別情報と一致する入場情報に対応づけて経路情報を記憶部12に記憶するようにしても良い。
【0097】
また、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST175、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両のこれまでの全経路情報を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST176)。
上述したように、第1実施形態の第2変形例では、引継情報は、当該車両に対する入場情報とこれまでに通過した全ての経路を示す全経路情報とを移動先のエリアのエリア管理装置へ通知する(引き継ぐ)情報である。
【0098】
制御部11は、当該エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両の入場情報と当該車両のこれまでの全ての経路情報とを記憶部12から検索する。当該車両に対する入場情報とこれまでの全ての経路情報とを抽出すると、制御部11は、当該車両の識別情報と入場情報と全ての経路情報とを含む引継情報を作成する。制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST177)。
【0099】
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST178、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる入口を示す入場情報と全ての経路を示す全経路情報とを車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST179)。
【0100】
また、出口料金所機器3から出場情報を機器通信部13により受信した場合(ST180、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12において受信した出場情報に含まれる車両の識別情報で特定される入場情報と全経路情報とを検索する(ST181)。
【0101】
出場情報に含まれる識別情報の車両の入場情報を特定すると、制御部11は、特定した入場情報が示す入口と受信した出場情報が示す出口との組み合わせに応じた基本料金を基本テーブルT1から引当てる(ST182)。
また、制御部11は、出場情報に含まれる識別情報の車両の全ての経路情報を特定すると、特定した各経路に応じた変動額を共通の変動課金テーブルT2から引当てる(ST183)。
基本料金と通過した全ての経路に応じた変動額を引き当てると、制御部11は、特定した全ての変動額を基本料金に適用した合計の金額(通行料金)を算出する(ST184)。
【0102】
基本料金と全経路に応じた変動額とに基づく通行料金が決定すると、制御部11は、出場情報に含まれる識別情報の車両に課する通行料金を示す請求金額情報を作成し、作成した請求金額情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST185)。 以上の処理によれば、エリア管理装置は、担当するエリア内の各機器からの情報を収集し、エリア内で車両が通行した経路などの経路情報を保持する。エリア管理装置は、関所機器からのエリア跨ぎ情報を受信すると、他のエリアへ移動する車両の入場情報とこれまでの全経路情報とを示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ提供する。
移動先のエリアのエリア管理装置は、引継情報に含まれる全経路情報を保持し、さらに自エリア内で当該車両が通過した経路を示す経路情報も保持する。エリア管理装置は、出口料金所機器からの出場情報を受信すると、出場する車両の入場情報と全ての経路情報とを特定し、入口と出口との組み合わせから決まる基本料金に全て経路に応じた変動額を適用した通行料金を出口料金所機器へ提供する。
【0103】
なお、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムおいて、関所機器5は第1実施形態として説明した図7に示す処理と同様な処理を行うもので良く、出口料金所機器3は、第1実施形態で説明した図8に示す処理と同様な処理を行うもので良い。このため、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムおける関所機器5および出口料金所機器3の処理については、詳細な説明を省略するものとする。
【0104】
以上のように、第1実施形態の第2変形例によれば、エリア管理装置は、全エリアにおける各経路に対する変動額を示す共通の変動課金テーブルと基本料金を示す基本テーブルとを具備し、自エリアから他のエリアへ移動する車両に関する入場情報と全ての経路情報とを引継情報として移動先のエリア管理装置へ送信する。
さらに、エリア管理装置は、出口料金所機器から出場情報に応じて、前エリアまでの全経路と自エリアでの全経路に応じた変動額とを決定し、基本料金に全ての経路に対する変動額を適用した通行料金を出口料金所機器へ送信する。
【0105】
これにより、第1実施形態の第2変形例に係る料金処理システムでは、各エリアのエリア管理装置が関所を通過した車両がそれまでに通過した全ての経路を示す経路情報を移動先のエリア管理装置に引き継ぎことができ、広大な地域にまたがるような大規模な有料道路であっても車両が通行した経路情報の管理を確実に実施でき、経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を適用した通行料金の処理を円滑に行うことができる。
【0106】
(第2実施形態)
第1実施形態では、エリア間で情報の引き継ぎを行うエリア管理装置が基本テーブルと変動課金テーブルとを管理し、車両の通行状況に応じた変動額を適用した通行料金を算出していた。
【0107】
これに対し、第2実施形態では、基本課金テーブルは出口料金所が管理し、変動課金テーブルはエリア管理装置が管理して、出口料金所機器がエリア管理装置からの情報に基づいて通行料金の計算を行う実施の形態である。
【0108】
第2実施形態に係る料金処理システムは、第1実施形態と同様に、図1に示すような各種の機器で実現される。ただし、第2実施形態に係る料金処理システムは、各機器間で送受信する情報が第1実施形態とは異なる。また、第2実施形態に係る料金処理システムでは、エリア管理装置および出口料金所機器が実施する処理内容が第1実施形態と異なるため、基本テーブル具備することが必要な装置と変動課金テーブルを具備することが必要な装置とが第1実施形態とは異なる。
【0109】
以下、第2実施形態について詳細に説明する。
図12は、第2実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4および関所機器5の制御系の構成例を示すブロック図である。
図12に示す構成例は、第1実施形態で説明した図2に示す構成例に比べて、出口料金所機器3が基本テーブルT1を含む記憶部36を具備し、エリア管理装置が基本テーブルを具備しなくても良い点が異なる。それ以外の構成については、第1実施形態で説明した図2に示す構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
また、基本テーブルT1の内容は第1実施形態で説明した図3に示す構成で良く、変動課金テーブルT2(T2A、T2B)の内容は第1実施形態で説明した図4に示す構成で良いため、詳細な説明を省略するものとする。
【0110】
次に、第2実施形態において各エリアのエリア管理装置1A、1Bが各機器から取得する情報について説明する。
図13は、第2実施形態に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図13は、図5に示す例と同様に、エリアAの入口料金所「IC:A」から入場した車両が、エリアAの経路a、関所、エリアBの経路cを通過した後に、エリアBの出口料金所「IC:C」から出場する様子を模式的に例示する図である。
【0111】
まず、入口料金所機器2aは、入口料金所「IC:A」に進入する車両に搭載された車載器Sと通信し、当該車載器に有効なETCカードCが正常にセットされていること確認する。入口料金所機器2aは、車載器Sに有効なETCカードCが正常にセットされていることを確認すると、当該ETCカードCの記憶領域Eに入口および入場日時を示す情報を書き込み、当該車両の入場を許可する。
【0112】
ただし、入口料金所機器2は、図5に示す入場情報Data1と同様な内容の入場情報Data21をエリア管理装置1Aへ送信するようにしても良い。例えば、変動額を設定する条件に入場情報が含める場合、入口料金所機器2は、車載器Sとの通信によって車載器Sから取得する情報に基づいて作成する入場情報Data21をエリア管理装置1Aへ送信する。この場合、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2aから取得する入場情報Data21を記憶部12に記憶する。
【0113】
次に、入口料金所「IC:A」から入場した車両がエリアAにおける経路aを通過する場合、経路機器4aは、車両が経路aを通過したことを示す通過経路情報Data22を作成し、作成した通過経路情報Data22をエリア管理装置1Aへ送信する。この通過経路情報Data22は、図5に示す通過経路情報Data2と同様な内容で構成されるもので良い。
エリア管理装置1Aは、経路aに設置した経路機器4aから通過経路情報Data22を取得(受信)すると、エリアA用の変動課金テーブルT2Aから経路aに応じた変動額(割引額)を引き当てる。経路aに応じた変動額を引当てると、エリア管理装置1Aは、引当てた変動額を当該車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に対応づけた累積変動額として記憶部12に記憶(または更新)する。
なお、エリア管理装置は、変動額の引き当てを、通過経路情報を受信するごとではなく、エリア跨ぎ情報を受信したタイミングで実行しても良いし、出場情報を受信したタイミングで実行しても良い。
【0114】
次に、経路aを通過した車両が関所を通過する場合、関所機器5は、関所を通過する車両に搭載されている車載器Sと通信し、関所を通過する車両に関する情報を取得する。関所機器5は、車載器Sから取得する情報に基づいてエリア跨ぎ情報Data23を作成し、作成したエリア跨ぎ情報Data23をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。ここで、エリア跨ぎ情報Data23は、関所を通過して隣接するエリアに移動したことを示す情報であり、図5に示すエリア跨ぎ情報Data3と同様な内容で構成されるもので良い。
なお、関所機器5は、エリア跨ぎ情報Data23を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bに送信するようにしても良いし、移動元のエリアAのエリア管理装置1Aと移動先のエリアBのエリア管理装置1Bとの両方に送信しても良い。
【0115】
エリア管理装置1Aは、関所機器5からエリア跨ぎ情報Data23を取得(受信)すると、関所を通過した車両に対する変動額に関する情報を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ引き継ぐための引継情報Data24を作成する。
第2実施形態において、引継情報Data24は、車両の識別情報(カードID、車載器ID)と累積変動額とを含む情報であれば良い。第2実施形態では、入口を示す入場情報を車両に搭載した車載器SにセットされるETCカードCに書込むため、引継情報Data24には入場情報を含めなくても良い。引継情報Data24を作成すると、エリア管理装置1Aは、当該車両の移動先であるエリアBのエリア管理装置1Bへ当該引継情報Data24を送信する。
【0116】
次に、関所からエリアBへ進入した車両が経路cを通過する場合、経路機器4cは、各経路cを通過する車両の車載器Sと通信し、経路cを通過したことを示す通過経路情報Data25を作成する。経路機器4cは、作成した通過経路情報Data25をエリア管理装置1Bへ送信する。通過経路情報Data25は、上述した通過経路情報Data22と同様なフォーマット(構成)で良い。
【0117】
エリア管理装置1Bは、エリアAからエリアBへ移動した車両の通過経路情報Data25を受信すると、通過した経路cに応じた変動額を変動課金テーブルT2Bから引当てて当該車両に対する累積変動額を更新する。これにより、エリアB(移動先のエリア)のエリア管理装置1Bは、引継情報Data24に含まれるエリアBへ移動する前までの累積変動額と当該エリアB内で通過した経路に応じた変動額とに基づいてエリアBを通行する車両に対する累積変動額を管理できる。
【0118】
次に、車両が出口料金所「IC:C」に進入すると、出口料金所機器3cは、車両に搭載されている車載器Sと通信して車両に関する情報を取得し、当該車両に対する累積変動額を要求するための出場情報Data26を作成する。
第2実施形態では、エリア管理装置1は、基本テーブルに基づく基本料金や通行料金の計算を行わない。このため、出場情報Data26は、出場する車両の識別情報を含む情報であれば良く、出口を示す情報や出場日時を示す情報などの情報を省略したものであっても良い。
ただし、出場情報Data26は、図5に示す出場情報Data6と同様な内容であっても良い。例えば、変動額を設定する条件に出場情報が含まれる場合、出口料金所機器3は、車載器Sとの通信によって車載器Sから取得する情報に基づいて作成する出場情報Data26をエリア管理装置1Aへ送信するようにしても良い。
【0119】
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから出場情報Data26を取得すると、記憶部12に記憶している当該車両に対する累積変動額を検索し、当該車両に対する累積変動額を示す累積変動額情報Data27を作成する。
累積変動額情報Data27は、車両の識別情報(カードID、車載器ID)に対応づけた累積変動額を示す情報である。エリア管理装置1Bは、作成した累積変動額情報Data27を出場情報Data26の送信元である出口料金所機器3cへ返信する。
【0120】
一方、出口料金所機器3は、出場する車両の車載器Sとの通信によってETCカードCの記憶領域Eに記録した当該車両の入口を示す入場情報を取得し、車載器Sから取得する入口と出口との組み合わせに基づき基本テーブルT1から基本料金を引き当てる。さらに、出口料金所機器3は、基本テーブルT1から引当てた基本料金に、エリア管理装置1Bから受信する累積変動額情報Data27が示す累積変動額を適用して通行料金を算出する。
これにより、出口料金所の出口料金所機器3は、算出した通行料金に基づいて当該車両に対する出場処理を実行する。この出場処理において、出口料金所機器3は、車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eに出口および出場日時を示す情報を書き込み、当該車両の出場を許可する。
【0121】
次に、第2実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の動作について説明する。 まず、第2実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図14は、第2実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
第2実施形態において、各エリア管理装置1は、エリア内における経路機器4から通過経路情報を取得して自エリア内での経路に応じた変動額を引き当て、車両ごとの累積変動額として管理する。また、エリア管理装置1は、関所を通過して自エリア内に移動してきた車両に対する累積変動額を含む引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から取得する。
【0122】
すなわち、入口料金所機器2からの入場情報を受信した場合(ST211、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST212)。ただし、エリア管理装置が入場情報を管理する必要がない運用であれば、ST211およびST212の処理は省略して良い。例えば、入場情報に含まれる情報を変動額の条件としない場合には、ST211およびST212の処理は省略して良い。
【0123】
経路機器4からの通過経路情報を受信した場合(ST213、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報から当該車両が通過した経路を特定し、通過した経路に対して設定される変動額を当該エリアの変動課金テーブルT2から引当てる(ST214)。ただし、ST214の処理は、通過経路情報を受信する度に実行するのではなく、後述するST216の処理またはST221の処理の後にまとめて実行するようにしても良い。
通過した経路に変動額が設定されている場合、制御部11は、当該車両に対する累積変動額を計算し、計算した累積変動額を記憶部12に記憶(更新)する(ST215)。
【0124】
例えば、制御部11は、当該通過経路情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両に対する累積変動額を記憶部12から検索する。
当該車両に対する累積変動額が記憶部12に記憶されていれば、制御部11は、通過した経路に応じた変動額を累積変動額に加算し、累積変動額を更新する。
また、累積変動額が記憶部12に記憶されていなければ、制御部11は、通過した経路に応じた変動額を累積変動額として当該車両の識別情報に対応づけて記憶する。なお、受信した通過経路情報が示す通過した経路に変動額が設定されていない場合、制御部11は、ST215の処理を省略する。
【0125】
また、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST216、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両に対する変動額に関する情報を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST216)。上述したように、第2実施形態において、引継情報は、自エリア内での通過経路に応じた変動額を含むこれまでの累積変動額を次のエリアへ通知する(引き継ぐ)情報である。
【0126】
制御部11は、当該エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両の入場情報と当該車両のこれまでの累積変動額とを記憶部12から検索する。
当該車両に対するこれまでの累積変動額が記憶部12に記憶されていれば、制御部11は、当該車両の識別情報と累積変動額とを含む引継情報を作成する。制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST218)。
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST219、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる累積変動額を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST220)。
【0127】
また、出口料金所機器3から出場情報を受信した場合(ST221、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12において出場情報に含まれる識別情報で特定される車両の累積変動額を検索する(ST222)。
当該出場情報に含まれる識別情報の車両に対する累積変動額を特定すると、制御部11は、特定した累積変動額を出場情報に含まれる車両の識別情報に対応づけた累積変動額情報を作成する(ST224)。
そして、作成した累積変動額情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST225)。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、前エリアまでに通過した全ての経路も含めた全変動額を累計した累計変動額をエリア内の出口料金所機器3へ提供できる。
【0128】
なお、第2実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器5は、図7に示すような第1実施形態で説明した関所機器と同様な動作を行うもので良い。このため、第2実施形態においては、関所機器5の動作については詳細な説明を省略するものとする。
【0129】
次に、第2実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作について説明する。
図15は、第2実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
出口料金所機器3の制御部31は、出口料金所に進入する車両を検知すると(ST251)、車両通信部33によって当該車両に搭載されている車載器Sとの通信を開始する。車載器Sとの通信が確立すると、制御部31は、車載器Sとの通信によって当該車両に関する各種の情報を取得する(ST252)。例えば、第2実施形態において、制御部31は、カードIDおよび車載器IDなどの識別情報、車種を示す情報、および、入場情報などの情報を車載器Sから取得する。
【0130】
車載器Sから車両を特定するための識別情報(カードID、車載器ID)を取得すると、制御部31は、当該車両に対する累積変動額を要求する情報として車載器Sから取得した識別情報を含む出場情報を作成し、作成した出場情報を自エリアのエリア管理装置1へ送信する(ST253)。
【0131】
また、制御部31は、車載器Sから取得する入場情報に基づいて入口を特定し(ST254)、車載器Sから取得する車種を示す情報に基づいて車種を特定する(ST255)。
そして、車載器Sからの情報によって入口と車種とを特定すると、制御部31は、入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を当該車種に対応する基本テーブルT1から引当てる(ST256)。
【0132】
また、出場情報をエリア管理装置1へ送信した後、制御部31は、当該エリア管理装置1からの累積変動額を示す累積変動額情報を受信し(ST257)、受信した累積変動額情報が示す累積変動額を基本料金に適用した合計の金額を当該車両に課する通行料金として算出する(ST258)。
通行料金を算出すると、制御部31は、算出した通行料金を路側表示器35に表示し(ST259)、発進制御器34により当該車両の出場を許可する(ST260)。
さらに、制御部31は、当該車両の車載器SにセットされているETCカードCに出場情報を書込み(ST261)、当該車両に対する出場処理を終了する。
【0133】
以上のように、第2実施形態によれば、各エリア管理装置1は、自エリアにおける経路別の混雑度などに基づく経路に応じた変動額を示すエリア別の変動課金テーブルを具備し、エリア別の変動課金テーブルから自エリア内での通過経路に応じた変動額を引き当て車両に対する累積変動額を管理する。
車両が他のエリアへ移動する場合、移動元のエリアのエリア管理装置は、移動先のエリア管理装置へ移動した車両に対する累積変動額を示す引継情報を送信する。移動先のエリア管理装置は、移動元のエリア管理装置から取得する累積変動額に自エリア内での通行経路に応じた変動額を加えていくことにより累積変動額を更新する。さらに、各エリア管理装置1は、出場情報に応じて累積変動額を出口料金所機器へ送信する。
これにより、出口料金所機器は、入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を示す基本テーブルを具備し、この基本テーブルから引き当てる基本料金にエリア管理装置から取得する累積変動額を適用することによって通行料金を算出する。
【0134】
これにより、第2実施形態に係る料金処理システムでは、各エリアのエリア管理装置が他のエリアでの変動額を引き継ぎながら自エリア内での通行経路に応じた変動額を加算した累積変動額を管理でき、広大な地域にまたがる大規模な有料道路において経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を効率良く管理できる。
また、第2実施形態に係る料金処理システムは、各エリア管理装置が自エリア内の経路に対する変動額を示すエリア別の変動課金テーブルを保持することで効率良く変動額の引当を行うことができ、処理を高速化できる。
さらに、第2実施形態に係る料金処理システムでは、各エリア管理装置がエリア間を移動した車両の累積変動額を送受信するため、大量のデータをエリア間で転送する必要が無く、通信データ量を少なくでき、エリア間での通信負荷を軽減できる。
【0135】
(第2実施形態における第1変形例)
上述した第2実施形態では、各エリア管理装置が具備する変動課金テーブルは、エリア別の変動課金テーブルであった。しかしながら、エリア管理装置変動課金テーブルは、有料道路全体(全てのエリア)の各経路に対する変動額を示す共通の変動課金テーブルとしても良い。
【0136】
ここでは、第2実施形態の第1変形例として、上述した第2実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルに置き換えたものについて説明する。
【0137】
図16は、第2実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図16に示すように、第2実施形態の第1変形例に係る料金処理システムは、上述した図13に示すような構成の第2実施形態に係る料金処理システムにおいて各エリア管理装置が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成を具備するものである。全エリアに共通の変動課金テーブルT2は、上述した第1実施形態の第1変形例で説明したもので良く、各エリア管理装置1(1A、1B)が実施する処理は、各エリア管理装置が変動額を引き当てるテーブルを共通の変動課金テーブルT2とする以外は上述した第2実施形態と同様な処理で実現できる。
【0138】
図16に示す構成において、共通の変動課金テーブルT2は、全てのエリアにおける全ての経路に対する変動額を格納するため、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bに比べてデータ量が多くなるが、エリアごとに作成したり更新したりする必要がなく、有料道路全体における全ての経路に応じた変動額を一元的に管理できる。
【0139】
(第2実施形態における第2変形例)
上述した第2実施形態の第1変形例では、各エリア管理装置が自エリアで通過した経路に応じた変動額を累積変動額として更新していき、移動先のエリアのエリア管理装置へ累積変動額を引き継ぐようにした。しかしながら、各エリア管理装置が通過した経路を示す経路情報を蓄積していき、移動先のエリアのエリア管理装置へ経路情報を引き継ぐようにしても良い。
【0140】
第2実施形態の第2変形例としては、上述した第2実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が累積変動額ではなく経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信するものについて説明する。
【0141】
図17は、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図17に示すように、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムは、上述した図13に示す構成において変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成で実現されるものである。
【0142】
図17に示す例において、エリア管理装置1Aは、エリアA内の経路機器4aから取得する経路情報を記憶部12に記憶する。また、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2aからの入場情報も変動額を特定するための条件を示す経路情報の1つとして記憶部12に記憶しても良い。
エリア管理装置1Aは、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信すると、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報に対応する全ての経路情報とを記憶部12から抽出し、全経路情報を含む引継情報Data24´を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ送信する。
【0143】
エリア管理装置1Bは、エリア管理装置1Aからの引継情報に含まれる全経路情報(前エリアまでの全経路情報)を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する。エリア管理装置1Bは、エリアB内の経路機器4cから通過経路情報を受信すると、自エリアでの経路情報として記憶部12に記憶する。
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから出場情報を受信すると、受信した出場情報に含まれる車両の識別情報に対応する全ての経路情報(前エリアまでの全経路と自エリアでの全経路)とを記憶部12から抽出する。エリア管理装置1Bは、抽出した全ての経路情報に応じた変動額を変動課金テーブルT2から引当てる。エリア管理装置1Bは、全ての変動額の合計を計算し、計算した変動額の合計を示す情報を出口料金所機器3cへ送信する。
【0144】
次に、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図18は、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
第2実施形態の第2変形例において、各エリア管理装置1は、エリア内における入口料金所機器2からの入場情報、経路機器4からの通過経路情報、関所機器5からのエリア跨ぎ情報、および、出口料金所機器3からの出場情報を随時受信する。また、エリア管理装置1は、関所を通過してエリア内に移動してきた車両がこれまでに通行した全ての経路を示す情報を含む引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信する。
【0145】
入口料金所機器2からの入場情報を受信した場合(ST271、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST272)。ただし、入場情報に含まれる情報を変動額の条件としない場合などには、エリア管理装置1は、ST271及びST272の処理を省略して良い。
【0146】
経路機器4からの通過経路情報を受信した場合(ST273、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報を記憶部12に記憶する(ST274)。制御部11は、経路機器4から受信する通過経路情報をカードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報で検索できるように、カードIDおよび車載器IDなどの車両の識別情報に対応づけた経路、通過日時および車種などの情報を経路情報として記憶部12に記憶する。
【0147】
また、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST275、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両に関する全ての経路情報を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST276)。
制御部11は、エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に基づいて当該車両のこれまでの全ての経路情報を記憶部12から検索する。全ての経路情報を抽出すると、制御部11は、当該車両の識別情報と抽出した全ての経路情報とを含む引継情報を作成する。さらに、制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST277)
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST278、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる前エリアまでの全ての経路情報を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST279)。
【0148】
また、出口料金所機器3から出場情報を受信した場合(ST280、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12において受信した出場情報に含まれる識別情報で特定される車両の全ての経路情報を検索する(ST281)。
全ての経路情報を抽出すると、制御部11は、抽出した全ての経路に応じた変動額を変動課金テーブルT2からそれぞれ引当てる(ST282)。
全ての経路に応じた変動額を引き当てると、制御部11は、特定した全ての変動額の合計を計算する(ST283)。そして、計算した変動額の合計を示す合計の変動額情報(累積変動額)を作成する(ST284)。
そして、作成した合計の変動額情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST285)。
これにより、エリア管理装置は、出場情報に応じて、出場する車両に対する全エリアでの全経路に応じた変動額の合計を示す情報を出口料金所機器へ提供できる。
【0149】
なお、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムおいて、関所機器5は第1実施形態として上述した図7に示す処理と同様な処理を行うもので良く、出口料金所機器3は、第2実施形態として上述した図15に示す処理と同様な処理を行うもので良い。このため、第2実施形態の第2変形例としては、関所機器5および出口料金所機器3の処理についての詳細な説明を省略する。
【0150】
以上のように、第2実施形態の第2変形例によれば、エリア管理装置は、自エリア内の通過した経路を示す経路情報を蓄積し、関所機器からのエリア跨ぎ情報に応じてこれまでの全経路情報を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ提供する。移動先のエリアのエリア管理装置は、引継情報に含まれる全経路情報を保持し、さらに自エリア内で当該車両が通過した経路を示す経路情報も保持する。
エリア管理装置は、出場情報に応じて、出場する車両の全経路情報に基づいて全エリアでの全経路に応じた変動額の共通の変動課金テーブルから引当て、全経路に応じた変動額の合計を示す情報を出口料金所機器へ提供する。
【0151】
これにより、第2実施形態の第2変形例に係る料金処理システムでは、自エリアまでの全ての経路情報を移動先のエリア管理装置に引き継ぎことができ、広大な地域にまたがるような大規模な有料道路であっても車両が通行した全ての経路情報の確実に管理でき、経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を適用した通行料金の処理を円滑に行うことができる。
【0152】
(第3実施形態)
第3実施形態は、基本課金テーブルと変動課金テーブルの両方を出口料金所が管理し、更に経路情報をエリア管理装置が管理する実施の形態である。
【0153】
第3実施形態は、各エリア管理装置が、自エリア内での経路情報を蓄積し、車両が他のエリアへ移動する場合には自エリア内の全経路情報に応じた累積変動額を移動先のエリア管理装置へ提供し、自エリアで出場する場合には自エリア内の全経路情報と前エリアまでの累積変動額とを通行料金の計算を担う出口料金所機器へ提供するものである。
【0154】
第3実施形態に係る料金処理システムは、第1実施形態と同様に、図1に示すような各種の装置で実現される。ただし、第3実施形態に係る料金処理システムは、各装置が実施する処理が第1実施形態とは異なるため、基本テーブルを具備することが必要な装置と変動課金テーブルを具備することが必要な装置とが第1実施形態とは異なる。
【0155】
以下、第3実施形態に係る料金処理システムについて詳細に説明する。
図19は、第3実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1、入口料金所機器2、出口料金所機器3、経路機器4および関所機器5の制御系の構成例を示すブロック図である。
図19に示す第3実施形態に係る料金処理システムの構成は、第1実施形態で説明した図2に示す構成例と比べて、出口料金所機器3が基本テーブルT1および自エリアの変動課金テーブルT2A、T2Bを設けた記憶部36をさらに具備する点が異なる。また、図19に示す構成では、各エリア管理装置1A、1Bが、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bを具備し、基本テーブルT1を具備しなくても良い点が図2に示す構成例とは異なる。
【0156】
なお、図19に示す第3実施形態に係る料金処理システムは、上記以外の構成については第1実施形態で説明した図2に示す構成と同様な構成で実現できるため、詳細な説明を省略するものとする。また、基本テーブルT1の内容は第1実施形態で説明した図3に示す構成で良く、変動課金テーブルT2A、T2Bの内容は第1実施形態で説明した図4に示す構成で良いため、詳細な説明を省略するものとする。
【0157】
次に、第3実施形態において各エリアのエリア管理装置1A、1Bが各機器から取得する情報について説明する。
図20は、第3実施形態に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図20は、図5に示す例と同様に、エリアAの入口料金所「IC:A」から入場した車両が、エリアAの経路a、関所、エリアBの経路cを通過した後に、エリアBの出口料金所「IC:C」から出場する様子を模式的に例示する図である。
【0158】
まず、入口料金所機器2aは、入口料金所「IC:A」に進入する車両に搭載された車載器Sと通信し、当該車載器に有効なETCカードCが正常にセットされていること確認する。入口料金所機器2aは、車載器Sに有効なETCカードCが正常にセットされていることを確認すると、当該ETCカードCの記憶領域Eに入口および入場日時を示す情報を書き込み、当該車両の入場を許可する。
【0159】
ただし、入口料金所機器2aは、図5に示す入場情報Data1と同様な内容の入場情報Data31をエリア管理装置1Aへ送信するようにしても良い。例えば、変動額を設定する条件に入場情報の情報が含まれる場合、入口料金所機器2aは、車載器Sとの通信によって車載器Sから取得する情報に基づいて作成する入場情報Data31をエリア管理装置1Aへ送信する。この場合、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2aから取得する入場情報Data31を記憶部12に記憶すれば良い。
【0160】
次に、入口料金所「IC:A」から入場した車両がエリアAにおける経路aを通過する場合、経路機器4aは、車両が経路aを通過したことを示す通過経路情報Data32を作成し、作成した通過経路情報Data32をエリア管理装置1Aへ送信する。通過経路情報Data32は、図5に示す通過経路情報Data2と同様な内容で構成されるもので良い。
エリア管理装置1Aは、経路機器4aから受信した通過経路情報Data32を記憶部12に記憶する。例えば、エリア管理装置1Aは、受信した通過経路情報Data32を車両の識別情報ごとに整理した経路情報として記憶部12に蓄積する。
【0161】
次に、経路aを通過した車両が関所を通過する場合、関所機器5は、関所を通過する車両に搭載されている車載器Sと通信することにより車載器Sから取得する情報に基づいてエリア跨ぎ情報Data33を作成し、作成したエリア跨ぎ情報Data33をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。
ここで、エリア跨ぎ情報Data33は、関所を通過して隣接するエリアに移動したことを示す情報であり、図5に示すエリア跨ぎ情報Data3と同様な内容で構成されるもので良い。なお、関所機器5は、エリア跨ぎ情報Data33を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bに送信するようにしても良いし、移動元のエリアAのエリア管理装置1Aと移動先のエリアBのエリア管理装置1Bとの両方に送信しても良い。
【0162】
エリア管理装置1Aは、関所機器5からエリア跨ぎ情報Data33を取得(受信)すると、関所を通過する車両に対する累積変動額を示す情報を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ引き継ぐための引継情報Data34を作成する。例えば、エリア管理装置1Aは、関所を通過する車両の識別情報に基づいて当該車両のエリアA(自エリア)における全ての経路情報を記憶部12から抽出し、エリアAにおける全ての経路に対する変動額をエリアA用の変動課金テーブルT2Aから引き当て、全経路に応じた変動額の合計値を累積変動額として算出する。
【0163】
なお、第3実施形態では、入口を示す入場情報を車両に搭載した車載器SにセットされるETCカードCに書込むため、引継情報Data34は、入場情報を含まなくても良く、車両の識別情報(カードID、車載器ID)と累積変動額とを含む情報であれば良い。また、自エリアの前エリアまでの累積変動額を記憶部12に記憶している場合、エリア管理装置1Aは、自エリアでの変動額の合計値を前エリアまでの累積変動額に加算することにより自エリアまでの累積変動額を算出する。
【0164】
累積変動額を算出すると、エリア管理装置1Aは、算出した自エリアまでの累積変動額と当該車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)とを含む引継情報Data34を作成する。引継情報Data34を作成すると、エリア管理装置1Aは、当該車両の移動先であるエリアBのエリア管理装置1Bへ当該引継情報Data34を送信する。
これにより、移動先のエリア管理装置1Bは、移動元のエリア管理装置1Bからの引継情報Data34に含まれる累積変動額を前エリアまでの累積変動額として記憶部12に記憶する。
【0165】
次に、関所からエリアBへ進入した車両が経路cを通過する場合、経路機器4cは、各経路cを通過する車両の車載器Sと通信し、経路cを通過したことを示す通過経路情報Data35を作成する。経路機器4cは、作成した通過経路情報Data35をエリア管理装置1Bへ送信する。通過経路情報Data35は、上述した通過経路情報Data32と同じフォーマット(構成)で良い。
【0166】
エリア管理装置1Bは、通過経路情報Data35を受信すると、通過経路情報Data35をエリアB(自エリア)における経路情報として記憶部12に記憶する。これにより、エリア管理装置1Bは、自エリアにおける全経路情報と前エリアまでの累積変動額とを記憶部12に記憶する。
【0167】
次に、車両が出口料金所「IC:C」に進入すると、出口料金所機器3cは、車両に搭載されている車載器Sと通信して車両に関する情報を取得し、当該車両に対する累積変動額と自エリアの全経路情報とを要求するための出場情報Data36を作成する。
ただし、第3実施形態では、エリア管理装置1は、基本テーブルに基づく基本料金や通行料金の計算を行わない。このため、出場情報Data36は、単に出場する車両に対する前エリアまでの累積変動額と自エリアでの全経路情報とを要求する情報であれば良く、出場する車両の識別情報を含む情報であれば良い。
【0168】
なお、出場情報Data36は、図5に示す出場情報Data6と同様な内容であっても良い。例えば、変動額を設定する条件に出場情報の情報が含まれる場合、出口料金所機器3は、車載器Sとの通信によって車載器Sから取得する情報に基づいて作成する出場情報Data36をエリア管理装置1Aへ送信するようにしても良い。
【0169】
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから出場情報Data36を取得すると、記憶部12に記憶している当該車両に対する前エリアまでの累積変動額と自エリアの全経路情報とを検索し、当該車両に対する前エリアまでの累積変動額と自エリアの全経路情報とを含む変動額の関連情報Data37を作成する。
変動額の関連情報Data37は、車両の識別情報(カードID、車載器ID)に対応づけた累積変動額と全経路情報とを示す情報である。エリア管理装置1Bは、作成した変動額の関連情報Data37を出場情報Data36の送信元である出口料金所機器3cへ返信する。
【0170】
一方、出口料金所機器3cは、出場する車両の車載器Sとの通信によってETCカードCに記録されている当該車両の入口を示す情報を取得し、車載器Sから取得する入口と出口との組み合わせに基づき基本テーブルT1から基本料金を引き当てる。
さらに、出口料金所機器3cは、エリア管理装置1Bから受信する変動額の関連情報Data37に含まれるエリアBの全経路情報に基づいてエリアB内の全経路に対する変動額をエリアB用の変動課金テーブルT2Bから引当てる。出口料金所機器3cは、エリアBの全経路に対する変動額の合計と前エリアまでの累積変動額との合計と計算する。
出口料金所機器3cは、基本テーブルT1から引当てた基本料金に、合計の変動額を適用して通行料金を算出する。これにより、出口料金所の出口料金所機器3cは、算出した通行料金に基づいて当該車両に対する出場処理を実行する。この出場処理において、出口料金所機器3cは、出場する車両に搭載された車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eに出口および出場日時を示す情報を書き込む処理を行う。
【0171】
次に、第3実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の動作について説明する。 第3実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図21は、第3実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
入口料金所機器2からの入場情報を機器通信部13により受信した場合(ST311、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST312)。ここで、入口料金所機器2は、入場する車両に搭載された車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eに入口および入場日時を示す情報を書き込む処理を行う。ただし、エリア管理装置が入場情報を管理する必要がない運用であれば、ST311およびST312の処理は省略して良い。
また、経路機器4からの通過経路情報を受信した場合(ST313、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報を記憶部12に記憶する(ST314)。
【0172】
また、関所機器5からエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST315、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両の自エリアにおける全ての経路情報を記憶部12から検索し、自エリアにおける全ての経路に対する変動額をエリア別の変動課金テーブルT2A(T2B)から引当てる(ST316)。
そして、自エリアにおける全ての経路に対する変動額を引き当てると、制御部11は、変動額の合計を累積変動額として算出する(ST317)。
【0173】
ここで、当該車両に対する前エリアまでの累積変動額を記憶部12にしている場合、制御部11は、自エリアにおける全ての経路に対する変動額の合計を前エリアまでの累積変動額に加算することで自エリアまでの累積変動額を計算する。また、当該車両に対する前エリアまでの累積変動額が記憶部12に記憶されていなければ、制御部11は、自エリアにおける全ての経路に対する変動額の合計を自エリアまでの累積変動額とする。
【0174】
自エリアまでの累積変動額を算出すると、制御部11は、自エリアまでの累積変動額を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST318)。例えば、制御部11は、当該エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)に対応づけた自エリアまでの累積変動額を示す引継情報を作成する。
制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST319)
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST320、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる前エリアまでの累積変動額を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST321)。この場合、制御部11は、前エリアまでの累積変動額を記憶した後、当該車両の自エリアでの経路情報を記憶部12に蓄積するものとなる。
【0175】
また、出口料金所機器3から出場情報を受信した場合(ST322、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、出場情報に含まれる識別情報で特定される車両に対する前エリアまでの累積変動額と自エリアにおける全ての経路情報とを記憶部12から検索する(ST323)。
出場情報に含まれる識別情報の車両に対する前エリアまでの累積変動額と自エリアの全経路情報とを特定すると、制御部11は、特定した前エリアまでの累積変動額と自エリアの全経路情報とを示す変動額の関連情報を作成し(ST324)、作成した変動額の関連情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST325)。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、前エリアまでの累積変動額と自エリアにおける全経路情報とを出口料金所機器3へ提供できる。
出口料金所機器3は、エリア管理装置1からの情報に基づいて、出場する車両に搭載された車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eに出口および出場日時を示す情報を書き込む処理を含む出場処理を実行する。
【0176】
なお、第3実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器5は、図7に示すような第1実施形態で説明した関所機器と同様な動作を行うもので良い。このため、第3実施形態においては、関所機器5の動作については詳細な説明を省略するものとする。
【0177】
次に、第3実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作について説明する。
図22は、第3実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
出口料金所機器3の制御部31は、出口料金所に進入する車両を検知すると(ST351)、車両通信部33によって当該車両に搭載されている車載器Sとの通信を開始する。
車載器Sとの通信が確立すると、制御部31は、車載器Sとの通信によって当該車両に関する各種の情報を取得する(ST352)。例えば、第3実施形態において、制御部31は、カードIDおよび車載器IDなどの識別情報、車種を示す情報、および、入場情報などの情報を車載器Sから取得する。
【0178】
車載器Sから車両を特定するための識別情報(カードID、車載器ID)を取得すると、制御部31は、当該車両に対する変動額に関連する情報(前エリアまでの累積変動額と自エリアの全経路情報)を要求する情報として車載器Sから取得した識別情報を含む出場情報を作成し、作成した出場情報を自エリアのエリア管理装置1へ送信する(ST353)。
【0179】
また、制御部31は、車載器Sから取得する入場情報に基づいて入口を特定し(ST354)、車載器Sから取得する車種を示す情報に基づいて車種を特定する(ST355)。
これらの当該車両に対する入口と車種とを特定すると、制御部31は、入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を当該車種に対応する基本テーブルT1から引当てる(ST356)。
【0180】
出場情報を送信したエリア管理装置1から変動額に関連する情報を受信すると、制御部31は、エリア管理装置1から受信した自エリアの全経路情報に基づいて自エリアにおける全ての経路に対する変動額を変動課金テーブルT2A(T2B)から引当てる(ST357)。
自エリアにおける全ての経路に対する変動額を引き当てると、制御部31は、自エリアの全経路に対する変動額の合計と前エリアまでの累積変動額とを加算することにより全エリアの累積変動額を計算する(ST358)。
【0181】
全エリアの累積変動額を計算すると、制御部31は、計算した全エリアの累積変動額を基本料金に適用した合計の金額を当該車両に課する通行料金として算出する(ST359)。
通行料金を算出すると、制御部31は、算出した通行料金を路側表示器35に表示し(ST360)、発進制御器34により当該車両の出場を許可する(ST361)。
さらに、制御部31は、当該車両の車載器SにセットされているETCカードCに出場情報を書込み(ST362)、当該車両に対する出場処理を終了する。
【0182】
以上のように、第3実施形態によれば、エリア管理装置は、エリア別の変動課金テーブルを具備し、自エリアでの経路情報を蓄積する。
車両が他のエリアへ移動する場合、移動元のエリアのエリア管理装置は、自エリアでの全経路情報に基づく自エリアでの全経路に応じた変動額を含む累積変動額を移動先のエリア管理装置へ送信する。
移動先のエリア管理装置は、移動元のエリア管理装置からの前エリアまでの累積変動額を保持し、さらに自エリアでの経路情報も保持する。さらに、各エリア管理装置1は、出場情報に応じて前エリアまでの累積変動額と自エリアでの全経路情報と出口料金所機器へ送信する。
出口料金所機器は、基本テーブルとエリア別の変動課金テーブルとを具備し、自エリアでの全経路に応じた変動額を引き当て前エリアまでの累積変動額に加算することで全エリアの全経路に応じた変動額の合計を算出し、入口と出口との組み合わせに基づく基本料金に全エリアの全経路に応じた変動額の合計を適用することによって通行料金を算出する。
【0183】
これにより、第3実施形態に係る料金処理システムでは、各エリアのエリア管理装置が他のエリアから前エリアまでの累積変動額を引き継ぐことにより、前エリアまでの累積変動額と自エリアでの全経路情報とを出口料金所機器へ提供することができ、広大な地域にまたがる大規模な有料道路において、経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を効率良く処理することができる。
また、第3実施形態に係る料金処理システムでは、各エリア管理装置がエリア間を移動した車両の累積変動額を送受信するため、大量のデータをエリア間で転送する必要が無く、通信データ量を少なくでき、エリア間での通信負荷を軽減できる。
【0184】
(第3実施形態における第1変形例)
上述した第3実施形態では、各エリア管理装置と各出口料金所機器とが自エリアに対応するエリア別の変動課金テーブルを具備するものとした。しかしながら、各エリア管理装置および各出口料金所機器が具備する変動課金テーブルは、有料道路全体(全てのエリア)の各経路に対する変動額を示す共通の変動課金テーブルとしても良い。
【0185】
ここでは、第3実施形態の第1変形例として、上述した第3実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルに置き換えたものについて説明する。
【0186】
図23は、第3実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図23に示すように、第3実施形態の第1変形例に係る料金処理システムは、上述した図20に示すような構成の第3実施形態に係る料金処理システムにおいて各エリア管理装置および各出口料金所機器が具備するエリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成を具備するものである。
全エリアに共通の変動課金テーブルT2は、上述した第1実施形態の第1変形例で説明したもので良く、各エリア管理装置1(1A、1B)が実施する処理は、各エリア管理装置が変動額を引き当てるテーブルを共通の変動課金テーブルT2とする以外は上述した第3実施形態と同様な処理で実現できる。
【0187】
図23に示す構成によれば、共通の変動課金テーブルT2は、全てのエリアにおける全ての経路に対する変動額を格納するため、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bに比べてデータ量が多くなるが、エリアごとに作成したり更新したりする必要がなく、有料道路全体における全ての経路に応じた変動額を一元的に管理できる。
【0188】
(第3実施形態における第2変形例)
上述した第3実施形態の第1変形例では、各エリア管理装置が、自エリアにおいて通過した経路を示す経路情報を蓄積し、関所を通過して車両が他のエリアへ移動した場合に当該車両に対する自エリアでの全経路に応じた変動額の合計額を含む累積変動額を移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐようにした。
しかしながら、各エリア管理装置は、自エリアにおいて通過した全ての経路を示す全経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐようにしても良い。これによって、エリア管理装置は変動課金テーブルを具備する必要もなくなる。
【0189】
第3実施形態の第2変形例としては、上述した第3実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が累積変動額ではなく経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信するものについて説明する。
【0190】
図24は、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図24に示すように、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムは、上述した図20に示す構成において変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成で実現されるものである。
【0191】
図24に示す例において、エリア管理装置1Aは、エリアA内の経路機器4aから取得する通過経路情報Data32を記憶部12に記憶する。
また、エリア管理装置1Aは、入口料金所機器2aからの入場情報Data31も変動額を特定するための条件を示す経路情報の1つとして記憶部12に記憶しても良い。
エリア管理装置1Aは、関所機器5からのエリア跨ぎ情報Data33を受信すると、受信したエリア跨ぎ情報Data33に含まれる車両の識別情報に対応する全ての経路情報を記憶部12から抽出し、全経路情報を含む引継情報Data34´を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ送信する。
【0192】
エリア管理装置1Bは、エリア管理装置1Aからの引継情報Data34´に含まれる全経路情報(前エリアまでの全経路情報)を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する。
エリア管理装置1Bは、エリアB内の経路機器4cから通過経路情報Data35を受信すると、自エリアでの経路情報として記憶部12に記憶する。
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから出場情報Data36を受信すると、受信した出場情報Data36に含まれる車両の識別情報に対応する全ての経路情報(前エリアまでの全経路と自エリアでの全経路)とを記憶部12から抽出する。
エリア管理装置1Bは、抽出した全エリアの全ての経路情報を含む変動額の関連情報Data37´を出口料金所機器3cへ送信する。これにより、出口料金所機器3cは、全ての経路情報に対する変動額を変動課金テーブルT2から引当て、変動額の合計を基本テーブルから引当てる基本料金に適用して通行料金を計算する。
【0193】
次に、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図25は、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
第3実施形態の第2変形例において、各エリア管理装置1は、エリア内における入口料金所機器2からの入場情報、経路機器4からの通過経路情報、関所機器5からのエリア跨ぎ情報、および、出口料金所機器3からの出場情報を随時受信する。
また、エリア管理装置1は、関所を通過してエリア内に移動してきた車両がこれまでに通行した全ての経路を示す情報を含む引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信する。
【0194】
入口料金所機器2からの入場情報を受信した場合(ST371、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12に入場情報を記憶する(ST372)。ただし、入場情報に含まれる情報を変動額の条件としない場合などには、エリア管理装置1は、入口料金所機器2から入場情報を取得しなくても良い。
経路機器4からの通過経路情報を受信した場合(ST373、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した通過経路情報を記憶部12に記憶する(ST374)。
【0195】
また、関所機器5からのエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST375、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる識別情報で特定される車両に関する全ての経路情報を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST376)。
制御部11は、エリア跨ぎ情報に含まれる車両の識別情報に基づいて当該車両のこれまでの全ての経路情報を記憶部12から抽出し、抽出した全ての経路情報と当該車両の識別情報とを含む引継情報を作成する(ST376)。
さらに、制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST377)。
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST378、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる前エリアまでの全ての経路情報を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST379)。
【0196】
また、出口料金所機器3から出場情報を受信した場合(ST380、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、記憶部12において受信した出場情報に含まれる識別情報で特定される車両の全ての経路情報を検索する(ST381)。
全ての経路情報を抽出すると、制御部11は、抽出した全ての経路情報を含む変動額に関連する情報を作成する(ST382)。
制御部11は、作成した全ての経路情報を含む変動額に関連する情報を出場情報の送信元である出口料金所機器3へ送信する(ST383)。これにより、エリア管理装置は、車両が通過した全エリアの全経路情報を含む情報を出口料金所機器3へ提供することできる。
【0197】
なお、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムおいて、関所機器5は第1実施形態として上述した図7に示す処理と同様な処理を行うもので良く、出口料金所機器3は、上述した図22に示す処理と同様な流れで、エリア管理装置から受信する変動額の関連情報に含まれる全経路情報に基づいて全エリアでの全経路に応じた変動額を共通の変動課金テーブルT2からそれぞれ引当てて全ての経路に応じた変動額の合計(累積変動額)を算出し、基本テーブルT1から引当てる基本料金に全エリアでの全経路に応じた変動額の合計を適用して通行料金を算出するようにすれば良い。
【0198】
以上のように、第3実施形態の第2変形例によれば、エリア管理装置は、自エリア内の経路機器から収集する通過経路情報を蓄積する。エリア管理装置は、関所機器からエリア跨ぎ情報を受けた場合、自エリアまでの全ての経路情報を引継情報として移動先のエリア管理装置へ送信する。また、エリア管理装置は、出口料金所機器から出場情報を受けた場合、前エリアまでの全経路と自エリアでの全経路とを示す全エリアの全経路を示す情報を出口料金所機器へ送信する。
【0199】
これにより、第3実施形態の第2変形例に係る料金処理システムでは、自エリアまでの全ての経路情報を移動先のエリア管理装置に引き継ぎことができ、広大な地域にまたがるような大規模な有料道路であっても車両が通行した全ての経路情報の確実に管理でき、経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を適用した通行料金の処理を円滑に行うことができる。
【0200】
(第4実施形態)
第4実施形態は、基本課金テーブルと変動課金テーブルの両方を出口料金所が管理する実施の掲載で、更に入場情報、経路情報をETCカードに記憶して管理する実施の形態である。
【0201】
なお、エリア間を移動する場合には、エリア管理装置が関所機器を介してETCカード内のメモリに書込んだ自エリア内の全経路情報を取得し、自エリア内の全経路情報に応じた累積変動額を移動先のエリア管理装置へ提供する。さらに、出場する場合には、エリア管理装置から移動元のエリアのエリア管理装置から引き継いだ前エリアまでの累積変動額を出口料金所機器へ提供するものである。
【0202】
以下、第4実施形態に係る料金処理システムについて詳細に説明する。
第4実施形態に係る料金処理システムは、第1実施形態で説明した図1に示すような各種の装置で実現され、各装置が第3実施形態で説明した図19に示すような構成を具備するものである。
すなわち、第4実施形態に係る料金処理システムは、図19に示すように、出口料金所機器3が基本テーブルT1および自エリアの変動課金テーブルT2A(T2B)を設けた記憶部36を具備し、各エリア管理装置1A、1Bが、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bを具備する構成である。
【0203】
図26は、第4実施形態に係る料金処理システムの運用例を説明するための模式図である。
図26は、図5に示す例と同様に、エリアAの入口料金所「IC:A」から入場した車両が、エリアAの経路a、関所、エリアBの経路cを通過した後に、エリアBの出口料金所「IC:C」から出場する様子を模式的に例示する図である。
【0204】
入口料金所機器2aは、入口料金所「IC:A」に進入する車両に搭載された車載器Sと通信し、当該車載器Sに有効なETCカードCが正常にセットされていることを確認すると、当該ETCカードC内のメモリに記憶領域Eを確保し、当該記憶領域Eに入口および入場日時を示す入場情報を書き込み、当該車両の入場を許可する。
【0205】
次に、入口料金所「IC:A」から入場した車両がエリアAにおける経路aを通過する場合、経路機器4aは、車両に搭載された車載器Sと通信し、当該車載器SにセットされているETCカードC内の記憶領域Eに経路aを通過したことを示す経路情報を書き込む。ETCカードCの記憶領域Eに書込む経路情報は、例えば、通過した経路を示す情報と通過日時とである。
【0206】
次に、経路aを通過した車両が関所を通過する場合、関所機器5は、関所を通過する車両に搭載されている車載器Sと通信し、車載器SからETCカードCのメモリに記録されている全ての経路情報を取得する。関所機器5は、取得した全経路情報と関所通過を示す情報と車両の識別情報とを含むエリア跨ぎ情報Data43を作成し、作成したエリア跨ぎ情報Data43をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。なお、関所機器5は、車載器からETCカードCのメモリに記録されている入場情報も取得し、取得した入場情報を含めたエリア跨ぎ情報を作成するようにしても良い。
【0207】
エリア管理装置1Aは、関所機器5からエリア跨ぎ情報Data43を受信すると、関所を通過する車両に対する累積変動額を移動先のエリアBのエリア管理装置1Bへ引き継ぐための引継情報Data44を作成する。
例えば、エリア管理装置1Aは、受信したエリア跨ぎ情報43に含まれる当該車両のエリアA(自エリア)における全ての経路情報に対する変動額をエリアA用の変動課金テーブルT2Aから引き当て、エリアAでの全経路に応じた変動額の合計値を累積変動額として算出する。なお、ここで、エリアAよりも前のエリアからの累積変動額(前エリアまでの累積変動額)を引き継いでいれば、エリア管理装置1Aは、エリアAでの全経路に応じた変動額の合計を前エリアまでの累積変動額に加算したものを累積変動額として算出する。
【0208】
累積変動額を算出すると、エリア管理装置1Aは、算出した自エリアまでの累積変動額と当該車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)とを含む引継情報Data44を作成する。なお、エリア管理装置1Aは、入場情報を含むエリア跨ぎ情報を取得した場合、入場情報を含めた引継情報を作成するようにしても良い。
引継情報Data44を作成すると、エリア管理装置1Aは、当該車両の移動先であるエリアBのエリア管理装置1Bへ当該引継情報Data44を送信する。これにより、移動先のエリア管理装置1Bは、移動元のエリア管理装置1Aからの引継情報Data44に含まれる累積変動額を前エリアまでの累積変動額として記憶する。
【0209】
また、関所機器5は、車載器SからETCカードC内の記憶領域Eに記録されている移動元のエリアにおける全ての経路情報を取得した後(あるいは、エリア跨ぎ情報Data43をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信した後)、当該ETCカードCの記憶領域Eから移動元のエリアによる全経路情報(記録している全経路情報)を削除する。
これは、移動元のエリアにおける全経路情報の記録を削除することで、ETCカードCの記憶領域Eにおける経路情報の記憶領域を確保するものである。図26に示す例では、関所機器5が移動元のエリアにおける経路情報を削除した状態を示している。
【0210】
次に、関所からエリアBへ進入した車両が経路cを通過する場合、経路機器4cは、各経路cを通過する車両の車載器Sと通信し、ETCカードCの記憶領域EにエリアBの経路cを通過したことを示す経路情報を書込む。
【0211】
次に、車両が出口料金所「IC:C」に進入すると、出口料金所機器3cは、車両に搭載されている車載器Sと通信により当該車両の識別情報を取得し、当該車両の識別情報に対応する前エリアまでの累積変動額をエリア管理装置1Bへ要求する。
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから要求に応じて当該車両の識別情報に対する前エリアまでの累積変動額を記憶部12で検索する。
前エリアまでの累積変動額があれば、エリア管理装置1Bは、前エリアまでの累積変動額を示す情報を含む当該車両に対する変動額に関する情報としての応答を出口料金所機器3cへ送信する。なお、要求された車両の識別情報に対応する前エリアまでの累積変動額がなければ、エリア管理装置1Bは、当該車両に対する累積変動額がない旨の応答を出口料金所へ送信するようにしても良い。
【0212】
また、出口料金所機器3cは、出場する車両の車載器Sとの通信によってETCカードCに記録されている当該車両の入口を示す情報を取得し、車載器Sから取得する入口と出口との組み合わせに基づき基本テーブルT1から基本料金を引き当てる。
また、出口料金所機器3cは、車載器Sから取得する自エリアでの全ての経路情報に基づいて自エリアでの全経路に応じた変動額を変動課金テーブルT2Bから引当て、自エリアでの変動額の合計を算出する。さらに、出口料金所機器3cは、エリア管理装置1Bから前エリアまでの累積変動額を受信した場合、自エリアでの変動額の合計と前エリアまでの累積変動額とを加算した合計の変動額を計算する。出口料金所機器3cは、基本テーブルT1から引当てた基本料金に、合計の変動額を適用して通行料金を算出する。
これにより、出口料金所の出口料金所機器3cは、算出した通行料金に基づいて当該車両に対する出場処理を実行し、当該車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eを入口および出場日時を示す出場情報を書き込み、当該車両の出場を許可する。
【0213】
次に、第4実施形態に係る料金処理システムにおける各機器の動作について説明する。 まず、第4実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図27は、第4実施形態に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
上述したように第4実施形態に係る料金処理システムのエリア管理装置1は、関所機器5から他のエリアへ移動する車両が自エリア内で通過した全ての経路を示す全経路情報を含むエリア跨ぎ情報を受信する(ST411)。
ここで、関所機器5からエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST411、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる全ての経路情報について経路に応じた変動額を自エリア用の変動課金テーブルT2A(T2B)から引当てる(ST412)。
自エリアにおける全ての通過経路に対する変動額を引き当てると、制御部11は、変動額の合計を累積変動額として算出する(ST413)。
【0214】
ここで、当該車両に対する前エリアまでの累積変動額を記憶部12に記憶している場合、制御部11は、自エリアにおける全ての経路に対する変動額の合計を前エリアまでの累積変動額に加算することで自エリアまでの累積変動額を計算する。当該車両に対する前エリアまでの累積変動額が記憶部12に記憶されていなければ、制御部11は、自エリアにおける全ての経路に対する変動額の合計を自エリアまでの累積変動額とする。
【0215】
自エリアまでの累積変動額を算出すると、制御部11は、自エリアまでの累積変動額を次のエリアへ引き継ぐための引継情報を作成する(ST414)。
自エリアまでの累積変動額を示す引継情報を作成すると、制御部11は、エリア跨ぎ情報に基づいて移動先のエリアを担当するエリア管理装置を特定し、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST415)
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST416、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる前エリアまでの累積変動額を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST417)。
【0216】
また、出口料金所機器3から前エリアまでの累積変動額の要求を受けた場合(ST418、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、指定される車両に対する前エリアまでの累積変動額を記憶部12から検索する(ST419)。
当該車両に対する前エリアまでの累積変動額を検索すると、制御部11は、検索結果としての前エリアまでの累積変動額を示す応答情報としての累積変動額情報を作成する(ST420)。そして、作成した累積変動額情報を出口料金所機器3へ送信する(ST421)。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、前エリアまでの累積変動額を自エリアの出口料金所機器3へ提供できる。
【0217】
次に、第4実施形態に係る料金処理システムにおける関所機器5の動作について説明する。
図22は、第3実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
関所機器5の制御部51は、関所を通過する車両を検知すると(ST431、YES)、車両通信部53によって関所を通過する車両が搭載する車載器Sと通信を実行する(ST432)。
【0218】
制御部51は、車両通信部53によって関所を通過する車両に搭載された車載器Sとの通信が確立すると、当該車載器SからETCカードCに記憶している自エリア内の全ての経路情報を取得する。
車載器Sから自エリア内の全経路情報を取得すると、制御部51は、車載器Sから取得した自エリア内の全経路情報を含むエリア跨ぎ情報を作成する(ST433)。第4実施形態において、例えば、制御部51は、車両の識別情報(カードID、車載器ID)、通過する関所を示す情報、移動先のエリアを示す情報、自エリア(移動元のエリア)内の全経路情報などを含むエリア跨ぎ情報を作成する。ここで、車載器Sから入場情報も取得した場合、制御部51は、入場情報を含むエリア跨ぎ情報を作成するようにしても良い。
【0219】
エリア跨ぎ情報を作成すると、制御部51は、作成したエリア跨ぎ情報を移動元のエリアのエリア管理装置1へ送信する(ST434)。ただし、関所機器5は、エリア跨ぎ情報を移動先のエリアのエリア管理装置1へ送信するようにしても良いし、移動元のエリアのエリア管理装置と移動先のエリアのエリア管理装置との両方に送信するようにしても良い。
【0220】
また、制御部51は、関所を通過する車両の車載器SからETCカードCが記憶する移動元のエリア内での経路情報を取得した後、当該車載器SにセットされているETCカードCに記憶されている移動元のエリア内の全経路情報をクリアする処理を行う(ST435)。
これにより、関所を通過する車両の車載器SにセットされているETCカードCは、経路情報を記憶する領域が開放され、移動先のエリアでの経路情報を書き込めるものとなる。この結果として、記憶領域の容量が小さいETCカードCであっても、経路情報を確実に記録できるようにすることができる。
【0221】
次に、第4実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作について説明する。
図29は、第4実施形態に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
出口料金所機器3の制御部31は、出口料金所に進入する車両を検知すると(ST451)、車両通信部33によって当該車両に搭載されている車載器Sとの通信を開始する。
車載器Sとの通信が確立すると、制御部31は、車載器Sとの通信によって当該車両に関する各種の情報を取得する(ST452)。例えば、第4実施形態において、制御部31は、カードIDおよび車載器IDなどの識別情報、車種を示す情報、および、入場情報などの情報を車載器Sから取得する。
【0222】
車載器Sから車両を特定するための識別情報(カードID、車載器ID)を取得すると、制御部31は、当該車両に対する前エリアまでの累積変動額を自エリアのエリア管理装置1へ要求する(ST453)。
【0223】
また、制御部31は、車載器Sから取得する入場情報に基づいて入口を特定し(ST454)、車載器Sから取得する車種を示す情報に基づいて車種を特定する(ST455)。
これらの当該車両に対する入口と車種とを特定すると、制御部31は、入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を当該車種に対応する基本テーブルT1から引当てる(ST456)。
さらに、制御部31は、車載器Sから取得する自エリア内での全経路情報に基づいて自エリアにおける全ての通過経路に対する変動額を自エリア用の変動課金テーブルT2A(T2B)から引当てる(ST457)。
【0224】
また、エリア管理装置1へ累積変動額を要求した後、制御部31は、エリア管理装置1から前エリアまでの累積変動額を示す応答情報を取得し、エリア管理装置1から取得する前エリアまでの累積変動額と自エリアでの変動額の合計とを加算することにより全エリアの累積変動額を計算する(ST458)。
【0225】
全エリアの累積変動額を計算すると、制御部31は、計算した全エリアの累積変動額を基本料金に適用した合計の金額を当該車両に課する通行料金として算出する(ST459)。
通行料金を算出すると、制御部31は、算出した通行料金を路側表示器35に表示し(ST460)、発進制御器34により当該車両の出場を許可する(ST461)。
さらに、制御部31は、当該車両の車載器SにセットされているETCカードCに出場情報を書込み(ST462)、当該車両に対する出場処理を終了する。
【0226】
以上のように、第4実施形態によれば、車両の車載器にセットしたETCカードは入場情報と経路情報とを記憶し、関所機器は、関所を通過する車両の車載器にセットしたETCカードに記録されている自エリア内の全経路情報を取得し、自エリア内の全経路情報を含むエリア跨ぎ情報をエリア管理装置に送信するとともに、ETCカードに記録されている自エリア内の全経路情報を削除する。
各エリア管理装置1は、関所機器から自エリア内の経路情報を含むエリア跨ぎ情報を受信した場合、エリア別の変動課金テーブルT2から自エリア内での通過経路に応じた変動額を引き当てて累積変動額を計算し、累積変動額を含む引継情報を移動先のエリア管理装置へ送信する。さらに、各エリア管理装置1は、自エリアにおける出口料金所機器からの要求に応じて、前エリアまでの累積変動額を示す応答情報を出口料金所機器へ提供する。
出口料金所機器は、車載器から取得する自エリアの全経路情報に基づいて自エリアの全経路に応じた変動額を引き当てて前エリアまでの累積変動額に加算した全エリアの全経路に応じた変動額の合計を計算する。出口料金所機器は、計算した変動額が合計を基本テーブルによって引き当てる基本料金に適用することによって通行料金を算出する。
【0227】
これにより、第4実施形態に係る料金処理システムでは、各エリアのエリア管理装置が自エリアでの変動額を移動先のエリアのエリア管理装置に引き継ぐことができ、広大な地域にまたがる大規模な有料道路において経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を効率良く処理することができる。
また、第4実施形態に係る料金処理システムでは、各エリア管理装置がエリア間を移動した車両の累積変動額を送受信するため、大量のデータをエリア間で転送する必要が無く、通信データ量を少なくでき、エリア間での通信負荷を軽減できる。
【0228】
(第4実施形態における第1変形例)
上述した第4実施形態では、エリア管理装置と出口料金所機器とが自エリアに対応するエリア別の変動課金テーブルを具備するものとした。しかしながら、エリア管理装置および出口料金所機器が具備する変動課金テーブルは、有料道路全体(全てのエリア)の各経路に対する変動額を示す共通の変動課金テーブルとしても良い。
【0229】
第4実施形態の第1変形例は、上述した第4実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置および各出口料金所機器が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルに置き換えたものである。
【0230】
図30は、第4実施形態の第1変形例に係る料金処理システムの運用例を示す模式図である。
図30に示すように、第4実施形態の第1変形例に係る料金処理システムは、上述した図20に示すような構成の料金処理システムにおいて各エリア管理装置および各出口料金所機器が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換えた構成を具備するものである。
全エリアに共通の変動課金テーブルT2は、上述した第1実施形態の第1変形例で説明したもので良く、各エリア管理装置1(1A、1B)が実施する処理は、各エリア管理装置が変動額を引き当てるテーブルを共通の変動課金テーブルT2とする以外は上述した第4実施形態と同様な処理で実現できる。
【0231】
図30に示す構成によれば、共通の変動課金テーブルT2は、全てのエリアにおける全ての経路に対する変動額を格納するため、エリア別の変動課金テーブルT2A、T2Bに比べてデータ量が多くなるが、エリアごとに作成したり更新したりする必要がなく、有料道路全体における全ての経路に応じた変動額を一元的に管理できる。
【0232】
(第4実施形態における第2変形例)
上述した第4実施形態の第1変形例では、各エリア管理装置は、車両が関所を通過する場合に関所機器から取得する全経路情報に基づく自エリアでの変動額の合計額を累積変動額として移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐようにした。しかしながら、各エリア管理装置は、関所機器から取得する自エリアでの通過経路を示す全経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐようにしても良い。
第4実施形態の第2変形例では、上述した第4実施形態に係る料金処理システムにおいてエリア管理装置が累積変動額ではなく自エリアまでの全経路情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ引き継ぐものについて説明する。
【0233】
図31は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムの運用例を示す図である。
図31に示すように、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムは、上述した図20に示す構成において出口料金所機器が具備する変動課金テーブルを全エリアに対応する共通の変動課金テーブルT2に置き換え、さらに、各エリア管理装置が変動課金テーブルを不要とする構成で実現されるものである。
【0234】
図31に示す例において、まず、入口料金所機器2aは、入場する車両の車載器SにセットされているETCカードC内のメモリの記憶領域Eに入口および入場日時を示す入場情報を書き込み、当該車両の入場を許可する。次に、経路機器4aは、経路aを通過する車両の車載器SにセットされているETCカードCの記憶領域Eに経路aを通過したことを示す経路情報を書き込む。
【0235】
次に、関所機器5は、関所を通過する車両の車載器SにセットされているETCカードCから移動元のエリアにおける全ての経路情報を取得する。関所機器5は、取得した全経路情報と関所通過を示す情報と車両の識別情報とを含むエリア跨ぎ情報Data43をエリアAのエリア管理装置1Aへ送信する。
エリア管理装置1Aは、関所機器5から受信するエリア跨ぎ情報Data43に含まれるエリアA(自エリア)における全ての経路情報と当該車両の識別情報(カードIDまたは車載器ID)とを含む引継情報Data44´を作成し、当該車両の移動先であるエリアBのエリア管理装置1Bへ引継情報Data44を送信する。
これにより、移動先のエリア管理装置1Bは、移動元のエリア管理装置1Aからの引継情報Data44に含まれる全ての経路情報を前エリアまでの全ての経路情報として記憶する。
【0236】
また、関所機器5は、車載器SからETCカードC内の記憶領域Eに記録されている全ての経路情報を取得した後、当該ETCカードCの記憶領域Eから移動元のエリアでの経路情報(記録している全経路情報)を削除する。
【0237】
次に、経路機器4cは、各経路cを通過する車両の車載器SにセットされるETCカードCの記憶領域Eに経路cを通過したことを示す情報と通過日時を示す情報とを書込む。 次に、出口料金所機器3cは、車両に搭載されている車載器Sと通信し、当該車両に対応する前エリアまでの全経路情報をエリア管理装置1Bへ要求する。
エリア管理装置1Bは、出口料金所機器3cから要求に応じて当該車両の識別情報に対する前エリアまでの全経路情報を記憶部12から抽出し、前エリアまでの全経路情報を示す情報Data46´を含む応答を出口料金所機器3cへ送信する。
【0238】
この結果、出口料金所機器3cは、車両の車載器SからETCカードCに記録されているエリアBにおける全経路情報を取得し、前エリアまでの全経路情報をエリア管理装置1Bから取得することで、当該車両の全エリアの全経路情報を取得できる。これにより、出口料金所機器3cは、全エリアの全経路情報に対する変動額を変動課金テーブルT2から引当て、全エリアでの変動額の合計を基本テーブルから引当てる基本料金に適用することによって当該車両に課する通行料金を算出する。
【0239】
次に、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作について説明する。
図32は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおけるエリア管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
関所機器5からエリア跨ぎ情報を受信した場合(ST471、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信したエリア跨ぎ情報に含まれる全ての経路情報を含む引継情報を作成する(ST472)。
そして、移動先のエリアのエリア管理装置へ作成した引継情報を送信する(ST473)。ただし、当該車両に対する前エリアまでの経路情報を記憶部12に記憶している場合、制御部11は、自エリアにおける全経路情報と前エリアまでの全経路情報とからなる自エリアまでの全経路情報を含む引継情報を作成して移動先のエリアのエリア管理装置へ送信するものとする。
【0240】
また、他のエリアのエリア管理装置から引継情報を受信した場合(ST474、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、受信した引継情報に含まれる前エリアまでの全経路情報を車両の識別情報に対応づけて記憶部12に記憶する(ST475)。
【0241】
また、出口料金所機器3から前エリアまでの経路情報の要求を受けた場合(ST476、YES)、エリア管理装置1の制御部11は、指定される識別情報の車両に対する前エリアまでの全経路情報を記憶部12から検索する(ST477)。
そして、検索結果として得られた前エリアまでの全経路情報を示す応答情報を作成し(ST478)、作成した応答情報を出口料金所機器3へ送信する(ST479)。これにより、出口料金所のエリアのエリア管理装置は、前エリアまでの全経路情報と自エリアの出口料金所機器3へ提供できる。
【0242】
次に、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作について説明する。
図33は、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムにおける出口料金所機器3の動作例を説明するためのフローチャートである。
出口料金所機器3の制御部31は、出口料金所に進入する車両を検知すると(ST481)、車両通信部33によって当該車両に搭載されている車載器Sと通信し、当該車両に関する各種の情報を取得する(ST482)。例えば、制御部31は、カードIDおよび車載器IDなどの識別情報、車種を示す情報、入場情報、自エリアの全経路情報などの情報を車載器Sから取得する。
【0243】
車載器Sから車両を特定するための識別情報(カードID、車載器ID)を取得すると、制御部31は、当該車両に対する前エリアまでの全経路情報を自エリアのエリア管理装置1へ要求する(ST483)。
【0244】
また、制御部31は、車載器Sから取得する入場情報に基づいて入口を特定し(ST484)、車載器Sから取得する車種を示す情報に基づいて車種を特定する(ST485)。
そして、当該車両に対する入口と車種とを特定すると、制御部31は、入口と出口との組み合わせに応じた基本料金を当該車種に対応する基本テーブルT1から引当てる(ST486)。
【0245】
さらに、エリア管理装置1から前エリアまでの全経路情報を取得すると、制御部31は、車載器Sから取得する自エリア内での全経路情報とエリア管理装置1から取得する前エリアまでの全経路情報とに基づいて、全エリアにおける全ての通過経路に対する変動額を共通の変動課金テーブルT2から引当てる(ST487)。
【0246】
制御部31は、共通の変動課金テーブルT2から引当てた全エリアでの全経路に応じた変動額の合計を計算する(ST488)。そして、全エリアの変動額の合計を基本料金に適用した金額を当該車両に課する通行料金として算出する(ST489)。
通行料金を算出すると、制御部31は、算出した通行料金を路側表示器35に表示し(ST490)、発進制御器34により当該車両の出場を許可する(ST491)。
さらに、制御部31は、当該車両の車載器SにセットされているETCカードCに出場情報を書込み(ST492)、当該車両に対する出場処理を終了する。
【0247】
以上のように、第4実施形態の第2変形例によれば、エリア管理装置は、関所機器からのエリア跨ぎ情報に含まれる自エリア内の全経路機器を取得し、自エリアまでの全経路情報を示す引継情報を移動先のエリア管理装置へ送信する。移動先のエリア管理装置は、前エリアまでの全経路情報の要求を受けた場合、前エリアまでの全経路を示す情報を出口料金所機器へ送信する。
出口料金所機器は、エリア管理装置から取得する前エリアまでの全経路情報と車載器にセットされたETCカードから取得する自エリアの全経路情報とに基づいて全エリアにおける全経路に応じた変動額を引き当てて通行料金を計算する。
【0248】
これにより、第4実施形態の第2変形例に係る料金処理システムでは、自エリアまでの全ての経路情報を移動先のエリア管理装置に引き継ぐことができる。このため、広大な地域にまたがるような大規模な有料道路であっても車両が通行した全ての経路情報の確実に管理でき、経路別の混雑度などに基づいて設定される経路に応じた変動額を適用した通行料金の処理を円滑に行うことができる。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムであって、
前記有料道路における前記エリアに対応して設けられたエリア管理装置と、
前記有料道路への入場処理を行う入口料金所機器と、
前記有料道路からの出場処理を行う出口料金所機器と、
前記有料道路において車両が通過した経路を検出する経路機器と、
他のエリアの境界となる関所を通過する車両を検出する関所機器と、
を具備し、
前記関所機器は、
前記関所を通過する車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記エリア管理装置と通信する中央通信部と、
前記関所を通過する車両と通信した場合、移動元のエリアのエリア管理装置と、移動先のエリアのエリア管理装置の両方または少なくとも一方に対し、当該車両がエリアを移動したことを示すエリア跨ぎ情報を送信する関所制御部と、を有し、
前記エリア管理装置は、
他のエリアのエリア管理装置と通信するエリア間通信部と、
当該エリア管理装置が対応する自エリア内の入口料金所機器、前記自エリア内の出口料金所機器、前記自エリア内の経路機器、および、前記自エリアと前記自エリアに隣接する他のエリアとの接続部分に設けられた関所機器と通信する機器通信部と、
前記関所機器または隣接エリアのエリア管理装置から、エリアを移動した車両を示すエリア跨ぎ情報を受信した場合、前記車両が通行した経路または経路に応じた変動額を示す引継情報を、隣接エリアのエリア管理装置との間で引継を行う中央制御部と、を有し
前記出口料金所機器は、
前記有料道路における前記エリア毎に設けられたエリア管理装置のうち出口料金所が配置される自エリアに設けられたエリア管理装置と通信する通信部と、
前記出口料金所に車両が進入してきた時に、当該車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記車両通信部によって通信した前記車両に関する情報と、当該車両が他のエリアから自エリアへ移動してきた車両である場合に当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と、前記自エリア内で当該車両が通行した経路とに基づいて前記車両に対する出場処理を行う出口制御部と、を有する、
料金処理システム。
[2]
前記エリア管理装置は、少なくとも入口と出口との対応により設定される基本テーブルと、経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、
前記出口料金所機器から要求を受けた時に、更新された当該車両に関する情報と前記基本テーブルと前記変動課金テーブルに基づく料金に関する情報を前記出口料金所機器に送信し、
前記出口料金所機器は、前記車両通信部によって通信した前記車両の料金に関する情報を前記自エリアのエリア管理装置へ要求し、前記エリア管理装置から取得する情報に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[1]に記載の料金処理システム。
[3]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額に前記車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[2]に記載の料金処理システム。
[4]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額に前記車両が自エリア内で通行した経路に対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[2]に記載の料金処理システム。
[5]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とに対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[2]に記載の料金処理システム。
[6]
前記エリア管理装置は、経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、
前記出口料金所機器は、少なくとも入口と出口との対応により設定される基本課金テーブルを有し、
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、
前記出口料金所機器から要求を受けた時に、更新された当該車両に関する情報と変動課金テーブルとに基づく変動額に関する情報を前記出口料金所機器に送信し、
前記出口料金所機器は、前記車両通信部によって通信した前記車両の変動額に関する情報を前記自エリアのエリア管理装置へ要求し、前記エリア管理装置から取得する変動額に関する情報と基本テーブルに基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[1]に記載の料金処理システム。
[7]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額に当該車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[6]に記載の料金処理システム。
[8]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額に当該車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[6]に記載の料金処理システム。
[9]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とに対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[6]に記載の料金処理システム。
[10]
前記出口料金所機器は、少なくとも入口と出口との対応により設定される基本課金テーブルと、経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、
前記出口料金所機器は、前記エリア管理装置から取得する情報と基本テーブルに基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[1]に記載の料金処理システム。
[11]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額と当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す全経路情報とを含む情報を前記出口料金所機器へ提供する、 [10]に記載の料金処理システム。
[12]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額と当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す全経路情報とを含む情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[10]に記載の料金処理システム。
[13]
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とを示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[10]に記載の料金処理システム。
[14]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[10]に記載の料金処理システム。
[15]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[10]に記載の料金処理システム。
[16]
前記エリア管理装置の前記中央制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる全経路を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[10]に記載の料金処理システム。
[17]
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理するために、前記エリア毎に設けられるエリア管理装置であって、
当該エリア管理装置が対応するエリアとしての自エリア内の出口料金所機器、および、前記自エリアと前記自エリアに隣接する隣接エリアとの間に設けた関所を通過する車両を検出する関所機器と通信する機器通信部と、
前記隣接エリアのエリア管理装置と通信するエリア間通信部と、
前記関所機器から前記自エリアから前記隣接エリアへ移動した車両を示すエリア跨ぎ情報を受信した場合、前記車両が通行した経路または経路に応じた変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから前記要求に応じて出口料金所機器へ提供する応答情報を作成し、作成した応答情報を前記出口料金所機器へ送信する、制御部と、
を有するエリア管理装置。
[18]
前記エリア管理装置は、少なくとも入口と出口との対応により設定される基本テーブルと、経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、
前記出口料金所機器から要求を受けた時に、更新された当該車両に関する情報と前記基本テーブルと前記変動課金テーブルに基づく料金に関する情報を前記出口料金所機器に送信する、
[17]に記載のエリア管理装置。
[19]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額に前記車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[18]に記載のエリア管理装置。
[20]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて、前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額に前記車両が自エリア内で通行した経路に対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[18]に記載のエリア管理装置。
[21]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とに対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額の合計を、前記車両の入口と出口との組み合わせに応じた基本料金に適用した通行料金を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[18]に記載のエリア管理装置。
[22]
前記エリア管理装置は、経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、
前記出口料金所機器から要求を受けた時に、更新された当該車両に関する情報と変動課金テーブルに基づく変動額に関する情報を前記出口料金所機器に送信する、
[17]に記載のエリア管理装置。
[23]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路におけるエリア毎に設定される変動課金テーブルのうち前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額に当該車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[22]に記載のエリア管理装置。
[24]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額に当該車両が自エリア内で通行した全ての経路に対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[22]に記載のエリア管理装置。
[25]
前記変動課金テーブルは、前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルであり、
前記制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とに対して前記共通の変動課金テーブルから引当てた変動額の合計を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[22]に記載のエリア管理装置。
[26]
前記エリア管理装置の中央制御部は、
当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから当該車両に関する情報を更新し、エリア内の前記出口料金所機器に配信する、
[17]に記載のエリア管理装置。
[27]
前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、 前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額と当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す全経路情報とを含む情報を前記出口料金所機器へ提供する、 [26]に記載のエリア管理装置。
[28]
前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルを有し、
前記制御部は、
前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当て、前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額と当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す全経路情報とを含む情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[26]に記載のエリア管理装置。
[29]
前記制御部は、
前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報が示す全経路と前記自エリアで当該車両が通行した全ての経路とを示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[26]に記載のエリア管理装置。
[30]
前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルを有し、 前記制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記変動課金テーブルから引当て、当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した前記引継情報に含まれる累積変動額を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[26]に記載のエリア管理装置。
[31]
前記有料道路全体における経路に対して設定される変動額を示す共通の変動課金テーブルを有し、
前記制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で車両が通行した経路に応じた変動額を前記共通の変動課金テーブルから引当てて、当該車両が前記自エリア内で通行した全ての経路に応じた変動額の合計を含む累積変動額を示す引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる累積変動額を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[26]に記載のエリア管理装置。
[32]
前記制御部は、
前記関所機器から前記自エリアから他のエリアへ移動する車両が前記自エリア内で通行した全ての経路を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を受信し、当該車両が前記自エリア内で通行した全経路を示す全経路情報を含む引継情報を移動先のエリアのエリア管理装置へ送信し、
前記自エリアへ進入する車両に関する引継情報を移動元のエリアのエリア管理装置から受信し、前記自エリア内の出口料金所機器からの要求に応じて前記移動元のエリアのエリア管理装置から取得した引継情報に含まれる全経路を示す情報を前記出口料金所機器へ提供する、
[26]に記載のエリア管理装置。
[33]
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムに用いられる関所機器であって、
前記有料道路における第1エリアと前記第1エリアに隣接する第2エリアとの境界となる関所を通過する車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記第1エリアに対応する第1のエリア管理装置と前記第2エリアに対応する第2のエリア管理装置の両方または少なくとも一方と通信する中央通信部と、
前記車両通信部により前記関所を前記第1エリアから前記第2エリアへ移動する車両と通信した場合、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両を示す情報を含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する制御部と、
を有する関所機器。
[34]
前記制御部は、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両の識別情報を含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する、
[33]に記載の関所機器。
[35]
前記制御部は、前記第1エリアから前記第2エリアへ移動した車両の識別情報と前記車両が第1エリアにおいて通行した全ての経路を示す情報とを含むエリア跨ぎ情報を前記第1のエリア管理装置と前記第2のエリア管理装置との両方または少なくとも一方へ送信する、
[33]に記載の関所機器。
[36]
複数のエリアに分けられた有料道路における通行料金を処理する料金処理システムに用いられ、出口料金所で車両の出場処理を行う出口料金所機器であって、
前記有料道路における前記エリア毎に設けられたエリア管理装置のうち前記出口料金所が配置される自エリアに設けられたエリア管理装置と通信する通信部と、
前記出口料金所に進入する車両に搭載された車載器と通信する車両通信部と、
前記車両通信部によって通信した前記車両に関する情報を前記自エリアのエリア管理装置へ要求し、当該車両が他のエリアから自エリアへ移動した車両である場合には前記自エリアのエリア管理装置が当該車両の移動元のエリアに対応するエリア管理装置からの引継情報と前記自エリア内で当該車両が通行した経路とから作成された応答情報を取得し、取得した応答情報に基づいて前記車両に対する出場処理を行う制御部と、
を有する出口料金所機器。
[37]
前記制御部は、前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に課する通行料金を示す情報を取得し、取得した通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[36]に記載の出口料金所機器。
[38]
さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルを有し、
前記制御部は、前記車両通信部によって前記車載器から取得する前記車両の入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を基本テーブルから引当て、前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に対する変動額の合計を示す情報を取得し、前記基本料金に変動額を適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[36]に記載の出口料金所機器。
[39]
さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルと、前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルと、を有し、
前記制御部は、前記車両通信部によって前記車載器から取得する前記車両の入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を基本テーブルから引当て、前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に対する前記移動元のエリアまでの累積変動額と前記自エリアにおける全経路を示す全経路情報とを含む情報を取得し、前記移動元のエリアまでの累積変動額に前記自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した変動額の合計を前記基本料金に適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[36]に記載の出口料金所機器。
[40]
さらに、前記有料道路全体における入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を示す基本テーブルと、
前記自エリアにおける経路に対して設定される変動額を示す変動課金テーブルと、を有し、
前記制御部は、前記車両通信部によって前記車載器から取得する前記車両の入口と出口との組み合わせに対応する基本料金を基本テーブルから引当て、前記自エリアのエリア管理装置から前記車両に対する前記移動元のエリアまでの累積変動額を取得し、前記車両通信部によって前記車載器から前記自エリアにおける全経路を示す全経路情報を取得し、前記移動元のエリアまでの累積変動額に前記自エリア内で通行した全ての経路に対して前記変動課金テーブルから引当てた変動額を加算した全エリアでの変動額の合計を前記基本料金に適用して算出する通行料金に基づいて前記車両に対する出場処理を行う、
[36]に記載の出口料金所機器。
【符号の説明】
【0250】
1(1A、1B)…エリア管理装置、2…入口料金所機器、3…出口料金所機器、4…経路機器、5…関所機器、11…制御部、12…記憶部、13…機器通信部、14…エリア間通信部、31…制御部、32…上位通信部、33…車両通信部、34…発進制御器、35…路側表示器、36…記憶部、41…制御部、42…上位通信部、42…上位通信部、43…車両通信部、43…情報、51…制御部、52…上位通信部、53…車両通信部、C…ETCカード、S…車載器、T1(T1a、T1b、T1c)…基本テーブル、T2A、T2B、T2…変動課金テーブル
図1
図2
図3
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図5
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