(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61H7/00 320A
(21)【出願番号】P 2023212129
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2019025480の分割
【原出願日】2019-02-15
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 将吾
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 晃司
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-000668(JP,A)
【文献】特開2016-016196(JP,A)
【文献】実開平03-114235(JP,U)
【文献】中国実用新案第204618808(CN,U)
【文献】特開2012-040175(JP,A)
【文献】特開2002-159547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機構を収納する収納体と、
前記収納体から分離可能な帯状体と、
を備え、
前記収納体は、
被施療者の被施療部位に接触させる接触面と、
前記接触面とは反対側の背面と、
前記背面に設けられ前記帯状体を通す通し部と、
を備え、
前記マッサージ機構は、2つのアームを備え、
各々の前記アームは施療子を有し、
一方の前記アームは、前記収納体の長手方向中心と前記収納体の長手方向一方端との間に設けられ、
他方の前記アームは、前記収納体の長手方向中心と前記収納体の長手方向他方端との間に設けら
れ、
前記帯状体の長手方向中央部分の少なくとも一部の幅を前記帯状体の他の部分の幅よりも狭くしている、
マッサージ機。
【請求項2】
マッサージ機構を収納する収納体と、
前記収納体から分離可能な帯状体と、
を備え、
前記収納体は、
被施療者の被施療部位に接触させる接触面と、
前記接触面とは反対側の背面と、
前記背面に設けられ前記帯状体を通す通し部と、
を備え、
前記マッサージ機構は、2つのアームを備え、
各々の前記アームは施療子を有し、
一方の前記アームは、前記収納体の長手方向中心と前記収納体の長手方向一方端との間に設けられ、
他方の前記アームは、前記収納体の長手方向中心と前記収納体の長手方向他方端との間に設けら
れ、
前記帯状体の長手方向長さは、前記収納体の長手方向外周長さ以下であり、
前記帯状体が前記収納体の前記接触面側に回らないようにし、前記帯状体の一方端部と、前記帯状体の他方端部との接触状態を保持し、前記接触部分及びその周囲を取っ手として利用する、
マッサージ機。
【請求項3】
各々の前記アームは、前記施療子として、第1施療子と、第2施療子とを備え、
各々の前記アームにおいて、前記第1施療子は、前記接触面に交差する方向に延びる回転軸を中心に回転する、
請求項1または2に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、施療時に被施療者による把持が可能なマッサージ機が開示されている。特許文献1に開示されているマッサージ機は、マッサージ機構と、マッサージ機構を固定するマッサージ機構取付部と、マッサージ機構取付部の両側に設けられた一対の袖部と、一対の袖部それぞれの先端に設けられる把持部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-40175号公報
【文献】特開昭54-70686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、マッサージ機の使用方法として、マッサージ機を首の周りに巻き掛けて把持部を把持する使用方法、マッサージ機を背中に背負って把持部を把持する使用方法、マッサージ機を腰に巻いて把持部を把持する使用方法が開示されている。
【0005】
特許文献1には開示されていないが、把持部を把持しない使用方法も考えられる。把持部を把持しない使用方法としては、例えば、太腿の前側にマッサージ機を押し当てる使用方法、背中又は腰と椅子の背凭れ部との間にマッサージ機を挟む使用方法等が挙げられる。
【0006】
把持部を把持しない使用方法に則って特許文献1に開示されているマッサージ機を使用すると、袖部及び把持部が邪魔になり、使い勝手が悪くなる。
【0007】
なお、特許文献2には、振動発生源と、両端が振動発生源に結合される共振用ベルトと、を備える携帯ベルトマッサージャが開示されている。共振用ベルトは、振動発生源の振動と共振することによって被施療者に対してマッサージを施す構成であって、把持部が設けられていない。また、特許文献2に開示されている携帯ベルトマッサージャは、振動発生源と共振用ベルトの両端とを着脱自在に結合するための連結具が複雑な構造であるため、着脱に手間がかかるという問題も有している。
【0008】
本発明は、有用なマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書中に開示されているマッサージ機は、マッサージ機構を収納する収納体と、前記収納体から分離可能な帯状体と、を備え、前記収納体は、被施療者の被施療部位に接触させる接触面と、前記接触面とは反対側の背面と、前記背面に設けられ前記帯状体を通す通し部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0010】
上記第1の構成のマッサージ機において、第1目印が前記収納体の第1位置に設けられ、第2目印が前記第1位置に対応する前記帯状体の第2位置に設けられる構成(第2の構成)にしてもよい。
【0011】
上記第1または第2の構成のマッサージ機において、前記収納体は、前記通し部を2つ備え、一方の前記通し部は、前記背面の長手方向中心と前記背面の長手方向一方端との間に設けられ、他方の前記通し部は、前記背面の長手方向中心と前記背面の長手方向他方端との間に設けられる構成(第3の構成)にしてもよい。
【0012】
上記第1~第3いずれかの構成のマッサージ機において、前記帯状体は、前記帯状体の一方端部と前記帯状体の他方端部との接触状態を保持する保持部材を備える構成(第4の構成)にしてもよい。
【0013】
上記第4の構成のマッサージ機において、前記帯状体の長手方向長さは、前記収納体の長手方向外周長さよりも長い構成(第5の構成)にしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本明細書中に開示されているマッサージ機によれば、両手を体の後ろ側に回すことなく被施療部位および両手によってマッサージ機を支持して体の後ろ側に位置する被施療部位を施療する使用方法以外の使用方法において使い勝手を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】帯状体を通し部に通している最中の状態を示す図
【
図5】帯状体を通し部に通している最中の状態を示す図
【
図6】収納体から帯状体を分離した状態を示す背面図
【
図7】収納体から帯状体を分離していない状態を示す後方斜視図
【
図14】収納体から帯状体を分離した状態を示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は一実施例に係るマッサージ機100(以下、「マッサージ機100」と称す)の後方斜視図である。
図2はマッサージ機100の正面図である。
図3は収納体1の後方斜視図である。
【0017】
マッサージ機100は、マッサージ機構を収納する収納体1と、収納体1から分離可能な帯状体2と、を備える。マッサージ機構の詳細については後述する。
【0018】
収納体1は、被施療者の被施療部位に接触させる接触面F1と、接触面F1とは反対側の背面F2と、背面F2に設けられ帯状体2を通す通し部11及び12と、を備える。
【0019】
通し部11は、背面F2の長手方向中心と背面F2の長手方向一方端との間に設けられる。通し部12は、背面F2の長手方向中心と背面F2の長手方向他方端との間に設けられる。つまり、通し部11と通し部12との間に背面F2の長手方向中心が存在する。背面F2の長手方向中心に目印M1が設けられる。目印M1の態様は特に限定されないが、例えば縫い目、インクプリント、刺繍、溝等を利用することができる。
【0020】
収納体1は、操作者による操作を受け付ける操作部13と、ACコード14と、をさらに備える(
図6、
図9、及び
図14参照)。操作者と被施療者とは通常同一人物であるが、異なる人物であってもよい。ACコード14の端部にはACプラグ(不図示)が設けられる。収納体1は、ACプラグ(不図示)及びACコード14を経由して供給されるAC電圧を電源電圧として用いる。なお、
図6、
図9、及び
図14以外は操作部13の図示を省略しており、
図6及び
図14以外はACコード14の図示を省略している。
【0021】
また、本実施形態とは異なり、収納体1がバッテリを搭載し、収納体1がバッテリから出力されるDC電圧を電源電圧として用いてもよい。バッテリの充電方式は、有線での充電でもよく、ワイヤレス充電であってもよい。
【0022】
帯状体2の端部21及び22はそれぞれループ形状を有する。被施療者は、例えば端部21及び22の各ループに四指を通して端部21及び22を把持した状態又は端部21及び22の各ループに手首を通した状態で、端部21及び22に力を加えることができる。
【0023】
背面F2の長手方向中心に対応する帯状体2の長手方向中心に目印M2が設けられる。目印M2の態様は特に限定されないが、例えば縫い目、インクプリント、刺繍、溝等を利用することができる。
【0024】
帯状体2を通し部11及び12に通す場合、例えば
図4に示すように帯状体2の端部22を通し部11、通し部12の順に通してもよく、また例えば
図5に示すように帯状体2の端部22を通し部12のみに通し次に帯状体2の端部21(
図5において不図示)を通し部11のみに通してもよい。そして、収納体1の目印M1と帯状体2の目印M2とが収納体1の長手方向において略一致するように、収納体1に対する帯状体2の位置を調整する。目印M1及びM2により、収納体1に対する帯状体2の位置を理想的な位置に近づけることが容易になる。
【0025】
帯状体2は、端部21と端部22との接触状態を保持する保持部材をさらに備える。保持部材としては、例えば端部21及び端部22それぞれに設けられる一対の磁石、端部21及び端部22の一方に設けられる磁石と端部21及び端部22の他方に設けられる磁性体との組み合わせ、端部21及び端部22に設けられる留め具等を挙げることができる。なお、保持部材に対して所定の大きさ以上の外力を加えたり保持部材に対して所定の操作を行ったりすることで、保持部材による保持を解除することができる。
【0026】
保持部材によって帯状体2の端部21と帯状体2の端部22との接触状態を保持することができるので、
図6に示すように収納体1から帯状体2を分離した場合に帯状体2をコンパクトな形態に維持することができる。つまり、帯状体2が長手方向に拡がることを防止することができる。
【0027】
また、マッサージ機100を使用しないときに、
図7に示すように収納体1から帯状体2を分離させずに帯状体2で収納体1を囲った状態で、保持部材によって帯状体2の端部21と帯状体2の端部22との接触状態を保持すると、通し部11と通し部12との間に位置する帯状体2の長手方向中央部分(
図7中の網掛け部分)を取っ手として利用することができる。これにより、マッサージ機100を持ち運ぶ際の利便性が向上する。
【0028】
そして、通し部11と通し部12との間に背面F2の長手方向中心が存在するので、通し部11と通し部12との間に位置する帯状体2の長手方向中央部分(
図7中の網掛け部分)を取っ手として利用する場合に、マッサージ機100をバランス良く持ち運ぶことができる。
【0029】
なお、帯状体2の背面側中央部分(
図7中の斜線部分)を取っ手として利用する際に取っ手を握り易くするために、帯状体2の長手方向中央部分(
図7中の斜線部分)の少なくとも一部の幅を帯状体2の他の部分の幅よりも狭くしてもよい。つまり、帯状体2は、幅狭部と、幅狭部の一方端に繋がる第1非幅狭部と、幅狭部の他方端に繋がる第2非幅狭部と、を備え、幅狭部の短手方向幅が第1非幅狭部の短手方向幅及び第2非幅狭部の短手方向幅よりも短い構成にしてもよい。
【0030】
マッサージ機100では、帯状体2の長手方向長さを、収納体1の長手方向外周長さよりも長くしている。これにより、
図7に示すように収納体1から帯状体2を分離させずに帯状体2で収納体1を囲うことができる。
【0031】
ただし、本実施形態とは異なり、帯状体2の長手方向長さを、収納体1の長手方向外周長さ以下にしてもよい。帯状体2の長手方向長さを、収納体1の長手方向外周長さ以下にする場合、帯状体2を
図7とは反対の方向に曲げて帯状体2が収納体1の接触面F1側に回らないようにする。そして、保持部材によって帯状体2の端部21と帯状体2の端部22との接触状態を保持すると、帯状体2の端部21と帯状体2の端部22との接触部分及びその周囲を取っ手として利用することができる。しかしながら、帯状体2の端部21と帯状体2の端部22との接触部分及びその周囲を取っ手として利用する形態は、
図7に示す形態と比較してコンパクトさに欠けるため、
図7に示す形態の方が好ましい。
【0032】
次に、収納体1が収納するマッサージ機構の一例を
図8に示す。
図8に示すマッサージ機構は、アーム31及び32と、アーム31に取り付けられる施療子33及び34と、アーム32に取り付けられる施療子35及び36と、を備える。各施療子33~36は、収納体1の背面F2(
図8において不図示)側から接触面F1(
図8において不図示)側に向かって突出する。施療子33は回転軸AX1を中心に回転し、施療子35は回転軸AX2を中心に回転する。さらに、アーム31及び32の往復運動により、回転軸AX1と回転軸AX2との距離が拡がるにつれて施療子34と施療子36との距離が狭くなる期間と、回転軸AX1と回転軸AX2との距離が狭くなるにつれて施療子34と施療子36との距離が拡がる期間とが交互に訪れる。
【0033】
さらに、
図8に示すマッサージ機構の施療子33及び35の内部にはヒーターが設けられており、施療子33及び35を温めることができる。
【0034】
最後に、マッサージ機100の使用例について説明する。
【0035】
図9及び
図10は、首を施療する場合の使用例を示す図である。
図9及び
図10では、被施療者H1がマッサージ機100を首の周りに巻き掛け、端部21に左手首を通し端部22に右手首を通して端部21及び22を前方斜め下に引っ張っている。端部21及び22の引っ張り度合いによって施療の強さを調整することができる。
【0036】
図11は、右腕を施療する場合の使用例を示す図である。
図11では、収納体1が机D1に置かれており、被施療者H1が右腕をマッサージ機100の接触面F1に載せている。
【0037】
図12は、右太腿の前側を施療する場合の使用例を示す図である。
図12では、被施療者H1が、左手を通し部11に通し、右手を通し部12に通して、収納体1の接触面F1を右太腿の前側に押し当てている。
【0038】
図13は、腰を施療する場合の使用例を示す図である。
図13では、被施療者H1の腰と椅子C1の背凭れ部との間に収納体1が挟まれており、収納体1の接触面F1を腰に押し当てている。
【0039】
図11~
図13に示す各使用例は、両手を体の後ろ側に回すことなく被施療部位および両手によってマッサージ機を支持して体の後ろ側に位置する被施療部位を施療する使用方法以外の使用方法に該当する。
図11~
図13に示す各使用例では、帯状体2が収納体1から分離しているので、帯状体2が邪魔にならず、使い勝手がよい。
【0040】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0041】
例えば、
図14に示すように、収納体1から目印M1を除き、目印M2の代わりに目印M3及びM4を帯状体2に設けてもよい。この場合、通し部11の両側面を目印M5及びM6として利用すればよい。目印M3と目印M4との距離を目印M5と目印M6との距離より若干短くしておくことで、目印M3及びM4が通し部11によって隠れるように収納体1に対する帯状体2の位置を調整すればよい。
【0042】
本実施形態では、収納体に通し部を2つ設けたが、通し部は単数であってもよく、3つ以上であってもよい。また、通し部の短手方向一方端は、留め具等により収納体の背面から着脱可能な構造であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 収納体
2 帯状体
11、12 通し部
21、22 端部
F1 接触面
F2 背面
M1、M2 目印