(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】センサパッケージ、センサモジュール、及びセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20240905BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240905BHJP
G01N 5/02 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
G01N27/04 G
G01N37/00 101
G01N5/02 A
(21)【出願番号】P 2023500777
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2022005139
(87)【国際公開番号】W WO2022176739
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021023740
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】坂井 久
(72)【発明者】
【氏名】田島 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】前原 忠智
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雅実
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100900(JP,A)
【文献】特開2012-112651(JP,A)
【文献】国際公開第2020/032029(WO,A1)
【文献】特開2011-053049(JP,A)
【文献】国際公開第2020/189785(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02952886(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
G01N 37/00
G01N 5/02
G01N 33/48-33/98
A61B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサが設けられ且つ流体を流動させる内部流路と、該内部流路への流入口及び該内部流路からの流出口が形成される第1の面とを有する容器と、を備え、
前記複数のセンサと電気的に接続された電極群が、前記容器における前記第1の面とは異なる面に設けられ
、
前記電極群は、いずれからも前記複数のセンサの検出を出力可能な第1の電極群及び第2の電極群を含み、
前記第1の電極群は、前記第1の面の裏面に設けられ、
前記第2の電極群は、前記第1の面及び該裏面の間の面に設けられる
センサパッケージ。
【請求項2】
請求項
1に記載のセンサパッケージにおいて、
前記第1の電極群を構成する電極は、第1の方向に並んで位置し、
前記第2の電極群を構成する電極は、前記第1の方向に、前記第1の電極群を構成する電極よりも幅広に並んで位置する
センサパッケージ。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載のセンサパッケージにおいて、
前記第1の電極群は、FPC端子に接続される
センサパッケージ。
【請求項4】
請求項
1又は
2に記載のセンサパッケージにおいて、
前記第2の電極群は、ソケット端子に接続される
センサパッケージ。
【請求項5】
流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサが設けられ且つ流体を流動させる内部流路と、該内部流路への流入口及び該内部流路からの流出口が形成される第1の面とを有する容器と、を備え、
前記複数のセンサと電気的に接続された電極群が、前記容器における前記第1の面とは異なる面に設けられるセンサパッケージへの流体の供給口及び排出口が設けられるパッケージ載置面と、
前記供給口及び前記排出口に設けられ、前記供給口及び前記流入口の接続部分と、前記排出口及び前記流出口の接続部分とを密封する密封体と、
前記センサパッケージを、前記パッケージ載置面に押圧するように、着脱自在に固定する固定部と、を備える
センサモジュール。
【請求項6】
請求項
5に記載のセンサモジュールにおいて、
前記固定部は、開閉可能な板状部を有する
センサモジュール。
【請求項7】
請求項
6に記載のセンサモジュールにおいて、
前記板状部は、前記供給口が前記流入口に接続され且つ前記排出口が前記流出口に接続されるように、前記センサパッケージを前記パッケージ載置面に載置した状態で、前記第1の面の裏面の一部を押圧可能な段部を有する
センサモジュール。
【請求項8】
請求項
5に記載のセンサモジュールを備える
センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月17日に日本国に特許出願された特願2021-023740の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、センサパッケージ、センサモジュール、及びセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
空間中のニオイを検出するために、流路配管内にセンサとして機能する水晶振動子を配置した計測装置が知られている(特許文献1参照)。ニオイは、分子単体、または複数の異なる分子からなる分子群に対して生物が知覚するものであり、ニオイの検出のために複数のセンサを用いることが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-2691号公報
【文献】国際公開2018/211642号
【発明の概要】
【0005】
第1の観点によるセンサパッケージは、
流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサと、
前記複数のセンサが設けられ且つ流体を流動させる内部流路と、該内部流路への流入口及び該内部流路からの流出口が形成される第1の面とを有する容器と、を備え、
前記複数のセンサと電気的に接続された電極群が、前記容器における前記第1の面とは異なる面に設けられる。
【0006】
また、第2の観点によるセンサモジュールは、
流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサが設けられ且つ流体を流動させる内部流路と、該内部流路への流入口及び該内部流路からの流出口が形成される第1の面とを含む容器と、を有し、前記複数のセンサと電気的に接続された電極群が、前記容器における前記第1の面とは異なる面に設けられるセンサパッケージへの流体の供給口及び排出口が設けられるパッケージ載置面と、
前記供給口及び前記排出口に設けられ、前記供給口及び前記流入口の接続部分と、前記排出口及び前記流出口の接続部分とを密封する密封体と、
前記センサパッケージを、前記パッケージ載置面に押圧するように、着脱自在に固定する固定部と、を備える。
【0007】
また、第3の観点によるセンサ装置は、
流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサが設けられ且つ流体を流動させる内部流路と、該内部流路への流入口及び該内部流路からの流出口が形成される第1の面とを含み容器と、を含み、前記複数のセンサと電気的に接続された電極群が、前記容器における前記第1の面とは異なる面に設けられるセンサパッケージへの流体の供給口及び排出口が設けられるパッケージ載置面と、前記供給口及び前記排出口に設けられ、前記供給口及び前記流入口の接続部分と、前記排出口及び前記流出口の接続部分とを密封する密封体と、前記センサパッケージを、前記パッケージ載置面に押圧するように、着脱自在に固定する固定部と、を有するセンサモジュールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るセンサモジュールの概略図である。
【
図2】
図1のセンサパッケージの第2の方向に垂直な面で切断した状態の斜視図である。
【
図3】
図2の主要部分の第1の方向に垂直な面の断面図である。
【
図5】
図2の内部流路を示す、センサパッケージを底面の法線方向から透視図である。
【
図6】
図2の内部流路の変形例を示す斜視図である。
【
図8】
図1のセンサパッケージにフレキシ基板を接続させた状態を示す外観図である。
【
図9】
図8のセンサパッケージの裏面を示す外観図である。
【
図10】
図1のセンサパッケージに嵌合可能なソケットの断面図である。
【
図12】
図2のセンサモジュールの第1の方向に垂直な面の断面図である。
【
図13】
図1のセンサパッケージを固定させたセンサモジュールの外観図である。
【
図14】
図1のセンサパッケージを外したセンサモジュールの部分外観図である。
【
図16】
図14においてパッケージ載置面にセンサパッケージを正位置及び正姿勢で載置した状態を示す外観図である。
【
図17】センサパッケージの変形例における断面図である。
【
図18】
図1のセンサモジュールの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図19】流体の流れの一例を模式的に示す図である。
【
図20】流体の流れの一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係るセンサパッケージ10を含むセンサモジュール11の概略図である。センサモジュール11は、例えば、センサ装置に組み込まれてよい。
【0011】
センサモジュール11は、例えば筐体12を備える。筐体12内には、センサモジュール11が備える各機能部が収納されていてよい。センサモジュール11には、流体が供給されてよい。センサモジュール11は、検査対象の流体(被検流体)と、比較対象となる流体(対照流体)とに基づき、被検流体中に含まれる検出対象成分である第1成分の濃度を算出できてよい。本明細書において、以下、流体が供給される側を上流側、流体が排出される側を下流側とも表現する。
【0012】
センサモジュール11は、筐体12内部に、切替部13と、センサパッケージ10と、測定部14と、ポンプ部15とを備えてよい。センサモジュール11において、切替部13と、センサパッケージ10と、測定部14と、ポンプ部15とは、1つの流路16において、この順で上流側から配置されていてよい。流路16は、例えばチューブ等の管状の部材により構成されてよい。切替部13には、さらに第1流路17aと第2流路17bとが、上流側に接続されていてよい。センサモジュール11には、第1流路17aおよび第2流路17bから内部に流体が供給され、ポンプ部15の下流側に接続される第3流路17cから外部に流体が排出されてよい。
【0013】
第1流路17aには、被検流体が供給されてよい。第2流路17bには、対照流体が供給されてよい。第3流路17cには、排気流体が排気されてよい。第1流路17a、第2流路17b、および第3流路17cは、例えばチューブ等の管状の部材により構成されてよい。
【0014】
切替部13は、第1流路17aおよび第2流路17bの開閉状態を選択的に切替えてよい。すなわち、切替部13は、第1流路17aと第2流路17bとのいずれか一方を、選択的に流路16に接続することができる。従って、切替部13により、第1流路17aが流路16に接続されている場合、第2流路17bは流路16に接続されていない。この場合、流路16には、第1流路17aを介して被検流体が供給される。一方、切替部13により、第2流路17bが流路16に接続されている場合、第1流路17aは流路16に接続されていない。この場合、流路16には、第2流路17bを介して対照流体が供給される。切替部13は、例えば、第1流路17aまたは第2流路17bを切替え可能なバルブを含んで構成されていてよい。
【0015】
図2に示すように、センサパッケージ10は、容器18および複数のセンサ19を有する。センサパッケージ10は、さらに、ヒータ20を備えてよい。
【0016】
容器18は、第1の表面(第1の面)os1を有する。第1の表面os1は、平面であってよく、湾曲面であってよい。
図3に示すように、容器18は、更に、第2の表面(裏面)os2及び容器側面csを有してよい。第2の表面os2は、第1の表面os1の裏面であってよい。容器側面csは、第1の表面os1及び第2の表面os2の間の面、例えば、第1の表面os1及び第2の表面os2を連結する面であってよい。容器側面csは、第1の方向d1に延びる面であってよい。第2の表面os2及び容器側面csは、平面であってよく、湾曲面であってよい。容器18は、直方体状であってよい。
【0017】
容器18は、セラミック、プラスチック、金属等によって形成されていてよい。本実施形態において、容器18が、セラミックで形成される場合、流体の吸着や容器18からの脱ガスを抑制できる。
【0018】
容器18は、内部流路21を内部に有する。内部流路21には、複数のセンサ19が設けられる。内部流路21は、流体を流動させる。内部流路21は、直線状の第1の方向d1に沿って流体を流動させてよい。
図4に示すように、内部流路21は、例えば、第1の方向d1に沿って延びる筒状内壁によって画定される主要部分22を有してよい。
図3に示すように、内部流路21の一部は、例えば、平面状の底面bsによって画定されてよい。内部流路21の一部は、例えば、底面bsに対向する平面状の天面tsによって画定されてよい。
【0019】
底面bsおよび天面tsの間隔gvは、後述するセンサ19の高さの1.5倍以上3倍以下であってよい。1.5倍以上であることにより、流体を十分に流動させる空間が確保される。また、1.5倍以上であることにより、圧力分布が均一化されセンサ19の出力が安定する。3倍以下であることにより、センサパッケージ10の不必要な大型化が防がれる。また、3倍以下であることにより、流速の低下、又は流体の滞留等を低減し得る。本実施形態においては、底面bsおよび天面tsの間隔gvは、センサ19の高さの2倍である。したがって、本実施形態において、底面bsに固定されるセンサ19各々と、天面tsとの間隔は、センサ19各々の高さと同じである。
【0020】
図3に示すように、主要部分22の一部は、底面bsに垂直且つ第1の方向d1に平行な側面ss1によって画定されてよい。側面ss1は、底面bsに平行且つ第1の方向d1に垂直な第2の方向d2における、底面bsの両端において底面bsに連結してよい。側面ss1は、第2の方向d2における、天面tsの両端において天面tsに連結してよい。両側面ss1の間隔、言換えると、内部流路21の第2の方向d2における幅w1は、後述するセンサ19の幅の1.5倍以上3倍以下であってよい。1.5倍以上であることにより、流体を十分に流動させる空間が確保される。また、1.5倍以上であることにより、圧力分布が均一化され、センサ19の出力が安定する。また、1.5倍以上であることにより、流速の低下を低減し得る。3倍以下であることにより、センサパッケージ10の不必要な大型化が防がれる。また、3倍以下であることにより、流速の低下を低減し得る。本実施形態においては、内部流路21の幅w1は、センサ19の幅の2倍である。
【0021】
主要部分22において、少なくとも一方の側面ss1には第1の方向d1に延びる段部23が形成されていてよい。本実施形態においては、両側面ss1に段部23が形成されている。段部23の天面tsに対向する面s1にはセンサ19と電気的に接続するための段部電極24が設けられていてよい。底面bsからの段部23の高さは、後述するセンサ19の高さ以上であってよい。両側面ss1に形成される段部23間の第2の方向d2における幅w2は、後述するセンサ19の幅の1.1倍以上1.5倍以下であってよい。1.1倍以上であることにより、流体を十分に流動させる空間が確保される。また、1.1倍以上であることにより、圧力分布が均一化され、センサ19の出力が安定する。1.5倍以下であることにより、センサパッケージ10の不必要な大型化が防がれる。また、第2の方向d2におけるセンサ19および段部23の天面tsに対向する面が連続することにより、流速の低下を低減するための空間が確保される。
【0022】
図5に示すように、内部流路21の第1の方向d1における両端は、底面bsの法線方向から見て、内部流路21の中心から離れるほど先細りの形状であってよい。容器18には、両端の当該先細り形状の先端近傍それぞれに、流出入口25が形成されていてよい。流出入口25の一方は、流体の内部流路21への流入口として機能してよい。流出入口25の他方は、流体の内部流路21からの流出口として機能してよい。主要部分22が、主要部分22の第1の方向d1における両端において、流出入部分26に連結されることによって、内部流路21が前述の先細りの形状を有していてよい。
【0023】
流出入部分26は、主要部分22と同じ底面bsおよび天面tsを有してよい。または、
図6に示すように、流出入部分26は、主要部分22と同じ天面tsを有し、主要部分22の底面bsと平行な、より天面tsに近い底面を有してよい。当該底面は段部23の天面tsに対向する面と連続してよい。
図5に示すように、流出入部分26は、主要部分22の側面ss1から第2の方向d2における内方に屈折または屈曲した側面ss2を有してよい。流出入部分26は、底面bsの法線方向から見て、第1の方向d1に延びる直線を軸に線対称な形状であってよい。流出入部分26は、底面bsの法線方向から見て、底辺において主要部分22に連通する略二等辺三角形状であってよい。本実施形態において、流出入部分26は、底面bsの法線方向から見て、略直角二等辺三角形状である。
【0024】
流出入部分26の両側面ss2の間の角度は、60°以上120°以下であってよい。流出入部分26の両側面ss2の間の角度が60°以上であれば、センサパッケージ10の大型化が防がれる。また、流出入部分26の両側面ss2の間の角度が120°以下であれば、内部流路21に流入する流体が主要部分22に向かうにつれ徐々に第2の方向d2に広がり得、流速および内圧の第2の方向d2における均等化に寄与し得る。
【0025】
図3に示すように、流出入口25は、底面bsに垂直な筒状の内周壁面によって画定されてよい。2つの流出入口25は、天面tsに位置してよい。2つの流出入口25は、天面tsの裏面である第1の表面os1まで貫通する。言換えると、2つの流出入口25は、第1の表面os1に形成される。
【0026】
図7に示すように、容器18における第1の表面os1とは異なる面に、電極群27が設けられる。第1の表面os1と異なる面は、第1の表面os1と不連続である面であってよい。電極群27は、第1の電極群28及び第2の電極群29を含んでよい。第1の電極群28は、第2の表面os2に設けられてよい。第2の電極群29は、第1の表面os及び第2の表面os2の間の面、例えば、容器側面csに少なくとも設けられてよい。第2の電極群29は、第2の表面os2と、容器側面csとに亘って設けられてよい。
【0027】
第1の電極群28を構成する電極30は、第1の方向d1に沿って、並んで位置してよい。第2の電極群29を構成する電極31は、第1の方向d1に沿って並んで位置してよい。第2の電極群29を構成する電極は、第1の電極群28を構成する電極よりも幅広に並んでよい。
【0028】
電極群27は、複数の段部電極24に接続される。後述するように、段部電極24はセンサ電極に接続されるので、電極群27は複数のセンサ19に電気的に接続される。
図3に示すように、各段部電極24は、第1の電極群28中の電極30、及び第2の電極群29中の電極31に接続される。例えば、このような構成により、第1の電極群28及び第2の電極群29のいずれからも、複数のセンサ19の検出が出力可能であってよい。
【0029】
図8に示すように、第1の電極群28は、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)33の第1の端子(FPC端子)32に接続可能であってよい。第1の端子32は、FPC33に設けられる。第1の端子32は、第1の電極群28中の各電極30に接続するための端子であってよい。第1の電極群28は、例えば、はんだ付けにより第1の端子32に接続されてよい。また、第1の電極群28は、異方性導電ペーストや異方性導電フィルムにより第1の端子32に接続されてよい。
図9に示すように、FPC33は、センサモジュール11のコネクタ49に着脱自在に接続するための第2の端子34を有してよい。
【0030】
図10に示すように、第2の電極群29は、ソケット端子35に接続可能であってよい。ソケット端子35は、ソケット36に設けられる、第2の電極群29中の各電極31に接続するための端子であってよい。ソケット36は、センサパッケージ10に着脱自在に嵌合してよい。ソケット36にセンサパッケージ10を嵌合させることにより、第2の電極群29中の各電極31は、対応するソケット端子35に接続してよい。
【0031】
図2に示すように、容器18は、本体部37および蓋部38によって構成されていてよい。本体部37は、主要部分22の底面bsおよび両側面ss1と流出入部分26の底面bsおよび両側面ss2によって画定される窪を有してよい。蓋部38には、流出入口25が形成されていてよい。本体部37の窪を蓋部38で覆うことにより、内部流路21が形成されてよい。
【0032】
センサ19は、流体中の検出対象成分を検出する。
【0033】
センサ19では、長さ方向、幅方向、および高さ方向が定められていてよい。
図11に示すように、センサ19は、長さ方向、幅方向、および高さ方向の中の2方向の組合せの平面を有する直方体形状であってよい。センサ19の高さ方向の一端側の面に、検出部39およびセンサ電極40が設けられていてよい。以後、検出部39およびセンサ電極40が設けられる面を検出面dsと呼ぶ。
【0034】
センサ電極40は、検出面ds上でセンサ19の幅方向の少なくとも一端近傍あるいは両端に位置してよい。検出部39は複数であってよく、長さ方向および幅方向に沿って並ぶように配置されていてよい。本実施形態において、センサ19には長さ方向および幅方向に沿って並ぶ複数の検出部39が設けられる。センサ19は、長さ方向および幅方向の長さが等しくてよい。複数のセンサ19の大きさ、言換えると、長さ方向、幅方向、および高さ方向の長さは等しくてよい。
【0035】
複数のセンサ19は、容器18の内部流路21において、第1の方向d1に沿って並ぶように、位置してよい。複数のセンサ19は、底面bsに位置するように固定されてよい。
図12に示すように、本明細書において、底面bsにおいて位置するとは、センサ19の検出面dsの裏面が底面bsに接することを意味する。センサ19は、長さ方向が第1の方向d1に平行且つ幅方向が第2の方向d2に平行になるように、底面bsに設けられてよい。
【0036】
センサ電極40は、当該センサ電極40に対して第2の方向d2に位置する段部電極24に接続配線41を用いて接続されてよい。第1の方向d1において互いに隣接する2つのセンサ19の間隔は、センサ19の長さの0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましい。0.1倍以上であることにより、センサ19の間の流体の滞留を抑制し、内部流路21内における流体の置換時間を速め、センサ19の実装マージンの空間が確保され得る。1.0倍以下であることにより、流速の低下を低減し、センサパッケージ10の不必要な大型化が防がれる。
【0037】
検出部39は、例えば、膜状である。検出部39は、特定の成分に特に大きく反応してよい。複数のセンサ19における検出部39のうち少なくともいずれかは、検出対象成分である第1成分に特に大きく反応する。すなわち、複数のセンサ19における検出部39のうち少なくともいずれかは、流体中の検出対象成分を検出する。検出部39は、例えば、流体に含まれる特定の成分を吸着することによって信号を出力する。検出部39は、例えば、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ポリメチルメタクリレートまたはニトロセルロース等の高分子材料、および酸化スズまたは酸化インジウム等の半導体材料等により構成される。検出部39は、特定の成分との反応に応じた信号を出力する。この信号は、例えば電圧値として出力される。
【0038】
図2に示すように、ヒータ20は、内部流路21およびセンサ19を加熱してよい。ヒータ20は、容器18に内層されていてよい。ヒータ20は、内部流路21の底面bs側に位置してよい。本実施形態において、ヒータ20は本体部37に内層されている。ヒータ20は、例えば、高抵抗金属ヒータやセラミックヒータである。
【0039】
図13に示すように、センサパッケージ10は、固定部44により着脱自在に、センサモジュール11に固定され得る。センサパッケージ10をセンサモジュール11に固定することにより、流路16と流出入口25とが連結されてよい。第2の端子34を、後述する、コネクタ49に接続することにより、センサパッケージ10と制御部50とが接続されてよい。
【0040】
図14に示すように、センサモジュール11は、センサモジュール11の流路16とセンサパッケージ10の流出入口25とを連結するようにセンサパッケージ10を固定するために、パッケージ載置面42、密封体43、及び固定部44を有してよい。センサモジュール11は、更に、第2の端子34と電気的に連結するために、コネクタ49を有してもよい。
【0041】
図15に示すように、パッケージ載置面42は、筐体12の一部の平面から陥凹させた陥凹部52の底面であってよい。陥凹部52は、センサパッケージ10に嵌合する形状であってよい。パッケージ載置面42には、センサパッケージ10への流体の供給口45及び排出口46が設けられてよい。
図15、16に示すように、パッケージ載置面42には、センサパッケージ10と陥凹部52とが嵌合するように、センサパッケージ10が載置されてよい。例えば、陥凹部52にセンサパッケージ10を嵌合させた状態で、パッケージ載置面42へのセンサパッケージ10の載置位置及び載置姿勢は、正位置及び正姿勢として予め定められていてよい。正位置及び正姿勢でセンサパッケージ10が載置されることにより、流入口として機能する流出入口25及び供給口45が接続し、流出口として機能する流出入口25及び排出口46が接続してよい。
【0042】
図14、15に示すように、密封体43は、供給口45及び排出口46に設けられてよい。密封体43は、例えば、Oリング等の環状の弾性体であってよい。密封体43は、流入口として機能する流出入口25及び供給口45の接続部分を密封してよい。密封体43は、流出口として機能する流出入口25及び排出口46の接続部分を密封してよい。
【0043】
図13に示すように、固定部44は、センサパッケージ10をパッケージ載置面42に押圧することにより固定してよい。固定部44を開くことにより、センサパッケージ10はセンサモジュール11から外され得てよい。
【0044】
図15に示すように固定部44は、板状部47を有してよい。板状部47は、パッケージ載置面42に平行な直線を軸に軸支されてよく、パッケージ載置面42に対して開閉可能であってよい。板状部47は、板状部47を閉じた状態でパッケージ載置面42に対向する面に、段部48を有してよい。
【0045】
段部48は、センサパッケージ10を正位置及び正姿勢でパッケージ載置面42に載置した状態で、第2の表面os2の一部を押圧してよい。第2の表面os2一部は、例えば、第1の電極群28から外れた領域であってよい。さらには、第2の表面の一部は、FPC33から外れた領域であってよい。
【0046】
センサモジュール11は、センサパッケージ10の電極群27に間接的に接続するためのコネクタ49及びソケット36の少なくとも一方を有してよい。
【0047】
例えば、
図14に示すように、センサモジュール11は、センサパッケージ10の第1の電極群28に接続されたFPC33の第2の端子34に着脱自在に接続するためのコネクタ49を有してよい。コネクタ49は、後述する、制御部50に接続されてよい。コネクタ49に第2の端子34を接続することにより、センサパッケージ10が、FPC33を介して制御部に電気的に接続されてよい。言換えると、センサ19が、接続配線41、段部電極24、第1の電極群28、FPC33、及びコネクタ49を介して、制御部50に電気的に接続されてよい。
【0048】
さらに、例えば、
図17に示すように、センサモジュール11は、センサパッケージ10の第2の電極群29に接続するためのソケット端子35を含むソケット36を有してよい。ソケット36は、板状部47において、段部48の代わりに、板状部47を閉じた状態でパッケージ載置面42に対向する面に設けられてよい。
【0049】
又は、ソケット36をパッケージ載置面42、陥凹部52の底面に上向きに置き、センサパッケージ10をソケット36に挿入し、板状部47によりセンサパッケージ10を固定することにより、センサパッケージ10とセンサモジュール11の流路を接続し、ソケット36を介してセンサパッケージ10と制御部50が電気的に接続されてもよい。
【0050】
ソケット端子35は、第1の電極群28の代わりに、FPC33の第1の端子32に接続されてよい。センサパッケージ10をソケット36に挿入し、FPC33の第2の端子34をコネクタ49に接続することにより、センサパッケージ10がソケット36及びFPC33を介して、制御部に電気的に接続されてよい。言換えると、センサ19が、接続配線41、段部電極24、第1の電極群28、FPC33、及びコネクタ49を介して、制御部50に電気的に接続されてよい。
【0051】
又は、ソケット端子35は、後述する制御部50に直接接続されてよい。ソケット端子35が制御部に直接接続される構成において、センサパッケージ10をソケット36に挿入することにより、センサパッケージ10がソケット36を介して、制御部に電気的に接続されてよい。言換えると、センサパッケージ10をソケット36に挿入することにより、センサ19がソケット36を介して、制御部50に電気的に接続されてよい。
【0052】
図1において、測定部14は、センサモジュール11に供給される流体に関する所定の性質または条件を測定可能なセンサを含んで構成されてよい。流体に関する所定の性質または条件は、センサパッケージ10における流体の検出精度に影響を与え得る性質または条件であってよい。流体に関する所定の性質または条件は、例えば流体の温度および湿度のいずれかを含んでよい。本明細書では、流体に関する所定の性質または条件は、流体の温度および湿度であるとして、以下説明する。この場合、測定部14は、例えば温湿度計を含んで構成されていてよい。温湿度計は、従来公知の方式で流体の温度および湿度を測定するものであってよい。測定部14で測定した流体の温度および湿度より、検出部39の信号を補正することもできる。ただし、センサモジュール11は、必ずしも測定部14を備えていなくてもよい。センサモジュール11は、測定部14を備えていなくとも、検出対象成分の濃度を算出することができる。
【0053】
ポンプ部15は、センサモジュール11に供給される流体を上流側から下流側へ引込み、センサモジュール11の外部へ排出してよい。すなわち、ポンプ部15の吸引により、第1流路17aまたは第2流路17bからセンサモジュール11に供給された流体は、切替部13、センサパッケージ10、測定部14、およびポンプ部15を通って、第3流路17cを介してセンサモジュール11の外部に排出される。ポンプ部15は、流体の引込量を制御することができる。ポンプ部15による流体の引込量の制御により、例えば流路16内を流れる流体の流速が制御される。ポンプ部15は、例えば、流路16内の流体の流速の変化を抑制するように、流体の引込量を制御してよい。ポンプ部15は、例えばピエゾポンプを含んで構成されていてよい。ポンプ部15は、1つのポンプを含んで構成されていてよい。ポンプ部15は、複数のポンプを含んで構成されていてもよい。この場合、複数のポンプは、流体の流れに対して並列に配置されていてよい。
【0054】
図18に示すように、センサモジュール11は、筐体12内に、電子回路基板をさらに備えていてよい。電子回路基板は、後述するセンサモジュール11の制御部50および記憶部51等を実装してよい。
【0055】
図18は、
図1のセンサモジュール11の概略構成を示す機能ブロック図である。
図18のセンサモジュール11は、制御部50と、記憶部51と、切替部13と、センサパッケージ10と、測定部14と、ポンプ部15と、を備えてよい。
【0056】
切替部13は、制御部50から制御信号を受信し、制御信号に基づいて、第1流路17aと第2流路17bとの切替えを行ってよい。これにより、流路16には、被検流体または対照流体のいずれかが供給されてよい。
【0057】
センサパッケージ10は、各センサ19との入出力信号を制御部50とに送受信してよい。
【0058】
測定部14は、測定した情報の信号を制御部50と送受信してよい。
【0059】
ポンプ部15は、制御部50から制御信号を受信してよい。ポンプ部15は、制御信号に基づいて、流体を下流側へ引込んでよい。ポンプ部15は、制御信号に応じた引込量で流体を引込んでよい。
【0060】
制御部50は、例えば、センサモジュール11の各機能ブロックをはじめとして、センサモジュール11の全体を制御および管理するプロセッサである。制御部50は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central processing Unit)等のプロセッサで構成されてよい。このようなプログラムは、例えば、記憶部51、またはセンサモジュール11に接続された外部の記憶媒体等に格納されてよい。
【0061】
制御部50は、センサパッケージ10から出力される信号に基づき、被検流体中における検出対象成分の濃度を算出してもよい。制御部50は、さらに、測定部14から出力される信号に基づいて、被検流体中における検出対象成分の濃度を算出してもよい。流体の性質または条件により、センサパッケージ10の各センサ19における検出対象成分の反応性が変化し得る。制御部50は、このように測定部14から出力される信号に基づいて被検流体中における検出対象成分の濃度を算出する場合、反応性を考慮して検出対象成分の濃度を算出できる。そのため、検出対象成分の濃度の算出精度が向上し得る。
【0062】
制御部50は、複数のセンサ19及び測定部14から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換してよい。制御部50は、変換したデジタルデータを記憶部51に格納してよい。制御部50は、センサモジュール11の外部機器であるパーソナルコンピュータ等制御装置により制御されてよい。
【0063】
記憶部51は、半導体メモリまたは磁気メモリ等で構成され得る。記憶部51は、各種情報、および/またはセンサモジュール11を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部51は、ワークメモリとして機能してもよい。
【0064】
次に、制御部50による、切替部13の制御と、検出対象成分の濃度の算出の詳細について説明する。
【0065】
第1流路17aには、被検流体(サンプルガス)が供給される。ここでは、一例として、被検流体が人間の呼気である場合について説明する。ただし、被検流体は、人間の呼気に限られず、任意の検査対象の流体とすることができる。被検流体が人間の呼気である場合、検出対象成分は、例えば、アセトン、エタノールまたは一酸化炭素等である。検出対象成分も、ここで挙げた例に限られない。被検流体には、第2成分であるノイズ成分(ノイズガス)が含まれる。ノイズ成分は、検出対象成分以外の成分である。ノイズ成分には、例えば、酸素、二酸化炭素、窒素および水蒸気等、検出対象成分以外の全ての成分が含まれる。
【0066】
第2流路17bには、対照流体(リフレッシュガス)が供給される。対照流体は、例えば検出対象成分を略含まない流体であってよい。ここで、検出対象成分を略含まないとは、検出対象成分を全く含まない場合の他、被検流体における検出対象成分の含有量に対し、対照流体における検出対象成分の含有量が、極めて少なく、実質的に含んでいないと考えてよい程度である場合も含まれることを意味する。被検流体が人間の呼気である場合、対照流体として、例えば空気を使用することができる。ただし、対照流体は空気に限られない。対照流体には、酸素、二酸化炭素、窒素および水蒸気等のノイズ成分が含まれる。
【0067】
制御部50は、ポンプ部15の引込量を一定とし、一定の時間間隔ごとに、切替部13を、第1流路17aと第2流路17bとで切替える。一定の時間間隔は、例えば被検流体の種類または性質等に応じて適宜定められてよい。ここでは、一例として、一定の時間間隔が5秒間であるとして説明する。従って、制御部50は、流路16に接続される流路を、5秒ごとに、第1流路17aと第2流路17bとで切替えるように、切替部13を制御する。
【0068】
図19、20は、流体の流れの一例を模式的に示す図である。
図19は、流路16に第1流路17aが接続された場合の一例を示す。
図20は、流路16に第2流路17bが接続された場合の一例を示す。すなわち、ここで説明する例では、
図19の状態と、
図20の状態とが、5秒ごとに交互に繰り返される。
図19、20における矢印は、流体の流れる方向を示す。
【0069】
図19に示すように、流路16に第1流路17aが接続されている場合、ポンプ部15の引込みにより、被検流体が第1流路17aからセンサパッケージ10に供給される。この場合、センサパッケージ10の各センサ19における各検出部39が、被検流体中に含まれる成分と反応する。各センサ19は、検出対象成分とノイズ成分とを含む被検流体の成分に応じた信号(第1信号)を出力する。
【0070】
図20に示すように、流路16に第2流路17bが接続されている場合、ポンプ部15の引込みにより、対照流体が第2流路17bからセンサパッケージ10に供給される。この場合、センサパッケージ10の各センサ19が、対照流体中に含まれる成分と反応する。各センサ19は、ノイズ成分を含む対照流体の成分に応じた信号(第2信号)を出力する。
【0071】
第1信号および第2信号は、センサパッケージ10がそれぞれ被検流体および対照流体と反応することにより制御部50に供給された信号である。そして、被検流体および対照流体は、いずれもノイズ成分を含む。そのため、第1信号および第2信号とも、センサパッケージ10に供給される流体に含まれるノイズ成分に対しては、同様の反応性が反映されている。
【0072】
これに対し、検出対象成分については、被検流体が検出対象成分を含んでいるのに対し、対照流体は検出対象成分を略含まない。そのため、第1信号は、検出対象成分に対する反応性が反映された信号であるのに対し、第2信号は、検出対象成分に対する反応性が実質的に反映されていない信号であると言える。そのため、センサパッケージ10から出力される第1信号と第2信号との差分は、実質的に被検流体に含まれる検出対象成分の濃度であると考えることができる。制御部50は、この差分に基づき、検出対象成分の濃度を算出することができる。
【0073】
以上のような構成の本実施形態のセンサパッケージ10は、複数のセンサ19が設けられ且つ流体を流動させる内部流路21と、当該内部流路21への流入口及び当該内部流路21からの流出口が形成される第1の表面os1とを有する容器18とを備え、複数のセンサ19と電気的に接続された電極群27が容器18における第1の表面os1とは異なる面に設けられる。このような構成により、センサパッケージ10は、流入口及び流出口として機能する流出入口25並びに電極群27を、センサモジュール11に容易に接続させ得る。それゆえ、センサパッケージ10は、センサモジュール11から容易に交換され得る。
【0074】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、電極群27はいずれからも複数のセンサ19の検出を出力可能な第1の電極群28及び第2の電極群29を有し、第1の電極群28は第1の表面os1の裏面(第2の表面os2)に設けられ、第2の電極群29は第1の表面os1及び当該裏面の間の面に設けられる。このような構成により、センサパッケージ10は、第1の端子32又はソケット端子35のいずれかを有するセンサモジュール11に電気的に接続され得る。
【0075】
また、本実施形態のセンサモジュール11は、流入口として機能する流出入口25及び供給口45の接続部分と流出口として機能する流出入口25及び排出口46の接続部分とを密封する密封体43と、センサパッケージ10をパッケージ載置面42に押圧するように着脱自在に固定する固定部44とを備える。このような構成によりセンサモジュール11は、流入口として機能する流出入口25及び供給口45、並びに流出口として機能する流出入口25及び排出口46を容易に接続した状態で、センサパッケージ10を固定し得る。
【0076】
また、本実施形態のセンサモジュール11では、固定部44は開閉可能な板状部47を有する。このような構成により、センサモジュール11は、容易に固定部44を開閉可能であるため、センサパッケージ10を容易に着脱させ得る。
【0077】
また、本実施形態のセンサモジュール11には、センサパッケージ10に嵌合する陥凹部52が形成される。このような構成により、センサモジュール11は、センサパッケージ10を容易に位置合わせさせ得る。
【0078】
また、本実施形態のセンサモジュール11では、板状部47は、第1の表面os1の裏面(第2の表面os2)の一部、例えばFPC33から外れる領域においてセンサパッケージ10を押圧可能な段部48を有する。一般的にFPCはうねるため、FPC33を介した押圧では、センサパッケージ10をパッケージ載置面42に安定的に押圧することが難しく、供給口45及び流入口の密封性、並びに排出口46及び流出口の密封性が低下し得る。一方で、上述の構成を有するセンサモジュール11は、FPC33から外れた位置でセンサパッケージ10を押圧し得るので、安定的に押圧し得る。
【0079】
また、本実施形態のセンサパッケージ10は、第1の方向d1に沿って流体を流動させる内部流路21を有する容器18と、第1の方向d1に沿って並ぶように内部流路21に位置し、流体中の検出対象成分を検出する複数のセンサ19と、を有する。このような構成により、センサパッケージ10は、内部流路21における流体の滞留を全体的に低減させ、滞留時間を短縮し得る。それゆえ、センサパッケージ10は、センサパッケージ10への流体の流入後の各センサ19の応答性を向上し得る。センサパッケージ10は、各センサ19の応答性が向上するので、複数のセンサ19各々の検出対象成分の組合せによるニオイを高い検出精度で検出し得る。また、上述の構成を有するセンサパッケージ10では、内部流路21における圧力が均等化されるので、複数のセンサ19への圧力の違いによる検出誤差を低減させる。したがって、センサパッケージ10はニオイの検出精度をさらに向上させ得る。
【0080】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、複数のセンサ19は平面状の底面bsに位置する。このような構成により、センサパッケージ10は、底面bsとセンサ19の検出面dsとが連続する平面とならずに、検出面dsに対して陥没した段差を生じさせている。この段差により、検出面dsと天面tsとの間の流体の流速が均質化され得る。このような作用は理論付けられているわけではないが、以下のように推定されている。流体は粘性を有するので、全面が平面である面に沿って流動する流体は、当該面近傍における流速が低下するものと考えられる。一方で、上述のセンサパッケージ10のように、検出面dsに対して陥没した段差を有する面に沿って流動する流体は当該陥没した段差により検出部39が形成される面近傍における流速の低下が抑制され、検出面dsと天面tsとの間の流体の流速が均質化され得ると考えられる。
【0081】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、内部流路21の第1の方向d1における両端は、底面bsの法線方向から見て、内部流路21の中心から離れる程先細りの形状であり、容器18には内部流路21の両端における先細りの形状の先端近傍に、流出入口25が形成されている。このような構成により、センサパッケージ10は、内部流路21の第2の方向d2における圧力および流体の濃度を均等化させ得る。したがって、センサパッケージ10は、ニオイの検出精度をさらに向上させ得る。
【0082】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、流出入口25は、底面bsに垂直な筒状の内周壁面によって画定されている。このような構成により、センサパッケージ10は、流出入口25から内部流路21に流入する流体を底面bsに衝突させ得るので、内部流路21全域における圧力を均等化させ得る。また、このような構成により、センサパッケージ10では、センサ19の側面と、段部23の側面と、底面bsとに囲まれた空間に流体が流れやすくなる。また、このような構成により、センサパッケージ10では、センサ19の間と底面bsとに囲まれた空間に流体が流れやすくなる。これらの結果、センサパッケージ10は、流体の滞留を抑制し、流体の第1の方向d1に沿った流速を増加させ得る。
【0083】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、容器18は、窪を有する本体部37、および流出入口25が形成されている蓋部38を含んで構成され、窪を蓋部38で覆うことにより内部流路21が形成される。このような構成により、センサパッケージ10は、簡易な方法で製造され得る。
【0084】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、容器18はセラミックによって形成される。このような構成により、センサパッケージ10は、容器18本体の液化または気化等により流体中に容器18の成分が混入することを抑制させ得る。したがって、センサパッケージ10は、検出対象成分の検出精度の低下を抑制し得る。
【0085】
また、本実施形態のセンサパッケージ10は、ヒータ20を備える。したがって、センサパッケージ10では、ヒータ20を用いて内部流路21およびセンサ19を加熱することにより、内部流路21およびセンサ19に吸着した流体が脱離し、内部流路21がリフレッシュされ得る。また、センサパッケージ10では、ヒータ20により内部流路21内の温度の変動を低減するので、被検流体の温度変化に関わらず、検出対象成分の検出精度の低下を抑制し得る。また、ヒータ20によりセンサ19の温度を変化させ、センサ19の検出感度、選択性を変化させることにより、検出対象成分の検出精度を向上し得る。
【0086】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、第2の方向d2における底面bsの両側において、第1の方向d1に延びる段部23が形成されている。このような構成により、センサパッケージ10は、センサ19の検出面dsと天面tsとの間の流体をより集め、流速を高め、流体到達時間を速めている。また、センサパッケージ10では、接続配線41を検出部39よりも第2の方向d2における側面ss1側に配置することにより、検出部39上に流体をスムーズに流せ、検出部39上の流体の流速を高めることができる。一方で、上述のセンサパッケージ10のように、センサ19の検出面dsと天面tsの間において、側面ss1がセンサ19から第2の方向d2に沿って離れて位置している。それゆえ、センサパッケージ10は、検出部39が形成される面および天面tsとの間において、第2の方向d2における端部周辺での流体の流速の低下が抑制され、第2の方向d2の位置の違いによる流速の差を低減し得る。なお、側面ss1全体をセンサ19から離すと、内部流路21の容積の増加により全体的に流速が低下する。一方で、上述の構成によれば、センサパッケージ10は、側面ss1全体をセンサ19から離していないので、全体的な流速低下を抑制しながら、検出精度の向上に寄与する領域における流速の差を低減し得る。
【0087】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、底面bsに対する段部23の高さは、センサ19の高さ以上である。このような構成により、センサパッケージ10は、段部23と天面tsの間の空間を狭くすることによりセンサ19上に多くの流体を流し、流速を高める。その結果、センサパッケージ10は、流体の滞留時間を短縮し、各センサ19の各検出部39の検出時間差を短くし得るので、検出対象成分の検出精度を向上させる。
【0088】
また、本実施形態のセンサパッケージ10では、検出部39が出力する信号をセンサパッケージ10外に送信するために、センサ電極40および段部電極24を接続配線41で接続する。この配線構造により、センサ19上において接続配線41による流体の流速低下を抑制し、検出対象成分の検出精度が向上する。
【0089】
また、本実施形態のセンサモジュール11は、流路16に設けられたポンプ部15により流体を引込んで、センサパッケージ10に流体を供給する。センサパッケージ10に供給される流体は、切替部13により、第1流路17aと第2流路17bとを切替えることにより、被検流体と対照流体とが切替えられる。そのため、センサパッケージ10に供給される流体が被検流体であるか対照流体かであるかにかかわらず、同一のポンプ部15により、流体が下流側に引き込まれる。仮に、センサパッケージ10に被検流体を供給するポンプと対照流体を供給するポンプとが異なる場合、各ポンプの性能の相違等によって、被検流体の供給量と対照流体の供給量とに差が発生する場合がある。しかしながら、本実施形態のセンサモジュール11は、1つのポンプ部15により、センサパッケージ10に供給される流体が制御されるため、供給する流体ごとに異なるポンプを用いる場合と比較して、より安定してセンサパッケージ10に流体を供給することができる。これにより、センサパッケージ10に対する、被検流体と対照流体との供給される条件が等しくなりやすい。そのため、センサパッケージ10は、より等しい条件下で被検流体と対照流体とを検出しやすくなる。従って、センサモジュール11によれば、検出対象成分の測定精度を向上可能である。
【0090】
本開示を諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および/または修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形および/または修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0091】
本開示において「第1」、「第2」などの記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」、「第2」などの記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」、「第2」などの識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0092】
10 センサパッケージ
11 センサモジュール
12 筐体
13 切替部
14 測定部
15 ポンプ部
16 流路
17a 第1流路
17b 第2流路
17c 第3流路
18 容器
19 センサ
20 ヒータ
21 内部流路
22 主要部分
23 段部
24 段部電極
25 流出入口
26 流出入部分
27 電極群
28 第1の電極群
29 第2の電極群
30 第1の電極群を構成する電極
31 第2の電極群を構成する電極
32 第1の端子
33 FPC
34 第2の端子
35 ソケット端子
36 ソケット
37 本体部
38 蓋部
39 検出部
40 センサ電極
41 接続配線
42 パッケージ載置面
43 密封体
44 固定部
45 供給口
46 排出口
47 板状部
48 段部
49 コネクタ
50 制御部
51 記憶部
52 陥凹部
bs 底面
cs 容器側面
d1 第1の方向
d2 第2の方向
ds 検出面
os1 第1の表面
os2 第2の表面
s1 天面に対向する面
ss1 主要部分の側面
ss2 流出入部分の側面
ts 天面
w1 内部流路の幅
w2 両側面に形成される段部の幅