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▶ アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップの特許一覧

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  • 特許-流体を膨張させるための方法及び装置 図1
  • 特許-流体を膨張させるための方法及び装置 図2A
  • 特許-流体を膨張させるための方法及び装置 図2B
  • 特許-流体を膨張させるための方法及び装置 図2C
  • 特許-流体を膨張させるための方法及び装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】流体を膨張させるための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   F01K 27/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F01K27/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023518976
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 IB2021058302
(87)【国際公開番号】W WO2022064321
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】2020/5659
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ヘイルマン ペーター ヨゼフ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-217800(JP,A)
【文献】特開2016-035254(JP,A)
【文献】中国特許第107575744(CN,B)
【文献】中国実用新案第207599346(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0017752(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/00-27/02
F01K 1/00-21/06
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F17D 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体のための入口(2)と、低圧流体のための出口(3)と、流体を膨張させるための前記入口(2)と前記出口(3)との間の制御弁(4)と、前記制御弁(4)と並列に接続される1又は2以上の膨張器(5)とを備える装置(1)によって前記流体を膨張させる方法であって、
一方では、前記出口(3)における圧力が所定の圧力レベルに調節されるように、前記制御弁(4)を通過する前記流体の流量(Qklep)を制御するステップと、
他方では、前記制御弁(4)を通過する前記流量(Qklep)に基づいて前記膨張器(5)を通過する前記流体の流量を制御するステップと、
を含み、
前記1又は2以上の膨張器(5)を通過する前記流量を制御するために、前記方法は、
-前記制御弁(4)を通る前記流量(Qklep)がQmin+Qdelta+Qi以上であり、前記1又は2以上の膨張器(5)の全てがまだスイッチオンされていない場合、流量Qiの膨張器(5)をスイッチオンするステップと、
-前記制御弁(4)を通る前記流量(Qklep)がQminより小さくなり、前記1又は2以上の膨張器(5)の全てがまだスイッチオフされていない場合、膨張器(5)をスイッチオフするステップと、
を含み、ここで、
-Qminは、前記制御弁(4)の制御上の理由又は安全上の理由のために、流体が前記制御弁(4)のみを通過することができ、流体が何らかの膨張器(5)を通過することができない、前記装置(1)を通る前記流体の総流量の最大値であり、
-Qdeltaは、ヒステリシス値であり、膨張器(5)が絶えずスイッチオンその後のスイッチオフしないように、前記流体の前記総流量の変動に対応して選択され、
-Qiは、膨張器(5)を通過することができる前記流量である、
方法。
【請求項2】
前記制御弁(4)を通る前記流量(Qklep)を決定するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記制御弁(4)を通る前記流量(Qklep)を決定するために、前記制御弁(4)の位置を使用する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記膨張器(5)がスイッチオン及びスイッチオフに切り替えられる順序は、エネルギー生成が最大になるように及び/又は前記膨張器(5)の運転時間数が最適化されるように決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を膨張させるための方法及び装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、例えば天然ガスのようなガスを膨張させること、又は、例えば水蒸気のような、過熱、飽和、過飽和の又はそうではない蒸気を膨張させることに関する。
【背景技術】
【0003】
膨張とは、流体を高圧から低圧にすることを意味する。
【0004】
このような装置において、流量とは無関係に、例えば一定の低圧、又は低圧の限られた一定間隔の範囲内の低圧のような、低圧に関する所定の圧力レベルを得る試みがなされることが知られている。
【0005】
これを実現する方法として、圧力制御弁、いわゆる調圧弁を使用し、圧力制御様式で流量を調節する方法が既に知られている。
【0006】
これにより、所定の圧力レベルまで、非常に堅牢で信頼性の高い低圧制御が可能となる。
【0007】
別の方法は、エネルギー生成膨張装置、いわゆる「膨張器」を使用してガスを膨張させることである。このような膨張器は、高圧と低圧との間の流体のエネルギー差を利用して、流体のエンタルピーを減少させ、軸の回転エネルギーなどの別の形態のエネルギーに変換する。
【0008】
これは、発電プラントから知られており、発電プラントでは、例えば、高圧高温の蒸気を用いて膨張器を駆動し、膨張器が結果として発電機を駆動する。
【0009】
膨張器からのエネルギー生成の利点にもかかわらず、多くの場合、依然として調圧弁が使用されており、その理由は、この場合、低圧が全ての状況で所定の圧力レベルに制御され、いかなる状況でも装置の下流で過剰な圧力が発生する可能性がないという、非常に高い確実性が要求されるからである。
【0010】
このような厳しい要件は、一般的に天然ガス供給の場合であり、非常に厳しい規制を満たす必要があるため、圧力調整装置としての膨張器の使用は、困難であるか又は認められない。
【0011】
従って、このような状況では、天然ガスの膨張中にエネルギーを生成することは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の欠点及び他の欠点の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、流体を膨張させるための装置であり、装置は、高圧流体のための入口と、低圧流体のための出口と、流体を所定の圧力レベルまで膨張させるための入口と出口との間の制御弁とを備え、装置は、制御弁に並列に接続されている、流体を膨張させるための1又は2以上の膨張器をさらに備え、装置は、制御弁を通る流体の流量に基づいて膨張器を制御するよう構成されているコントローラを備える。
【0014】
この関連において「高圧流体のための入口及び低圧流体のための出口」は、入口における流体が出口における流体よりも高圧であること、換言すると、出口における流体が入口における流体よりも低圧であることを意味する。
【0015】
利点は、このような装置では、制御弁が出口での流体圧力を依然として決定することになるが、流体の流量の一部でエネルギーを生成することになるので、信頼性のある圧力制御が得られることである。
【0016】
換言すれば、装置を用いて非常に信頼性のある圧力制御を実現することができ、一方で依然としてエネルギーを生成することができる。
【0017】
圧力制御は膨張器によって実現されないので、膨張器は厳しい要件を満たす必要はなく、圧力制御のために既に存在し、広範囲に試験された制御弁を使用することができる。
【0018】
好ましくは、膨張器の流量を調節するための手段が提供される。
【0019】
これらの手段は、例えば、弁を含むことができる。
【0020】
実用的な実施形態では、これらは、通過する流量を調節することができるタイプの上記の膨張器の1又は2以上、又はいわゆる流量制御付き膨張器である。
【0021】
別の実用的な実施形態では、これらは、通過する流量を調節できないタイプの上記の膨張器の1又は2以上、又はいわゆるオン/オフ膨張器である。
【0022】
本発明による同一の装置において、1又は2以上の流量制御付き膨張器と、1又は2以上のオン/オフ膨張器との組み合わせも可能である。
【0023】
また、本発明は、高圧流体のための入口と、低圧流体のための出口と、流体を膨張させるための入口と出口との間の制御弁と、制御弁と並列に接続される1又は2以上の膨張器とを含む装置によって流体を膨張させる方法に関し、本方法は、一方では、出口における圧力が所定の圧力レベルに調節されるように、制御弁を通過する流体の流量を制御するステップと、他方では、制御弁を通過する流量に基づいて膨張器を通過する流体の流量を制御するステップと、を含む。
【0024】
明らかに、このような方法の利点は、装置の上記の利点に類似している。
【0025】
好ましくは、本方法は、制御弁を通過する流量を決定するための手段を含む。
【0026】
好ましい実施形態では、制御弁の位置は、制御弁を通る流量を決定するために使用される。
【0027】
これは、制御弁に関して、弁の位置とそれを通過する流量との間に関係を確立することができるため、流量計を設ける必要がないという利点を有する。
【0028】
これは、流体を膨張させるための既存の装置を拡張して1又は2以上の膨張器を含むようにした場合に、既存の装置に流量計を設置する十分なスペースがない場合に特に有益である。
【0029】
もちろん、総流量と、動作中の各膨張器の既知又は計算された流量とに基づいて、制御弁を通過する流量を計算することも可能である。
【0030】
実用的な実施形態では、上記の膨張器は、通過する流量が調節できないタイプであり、膨張器を通過する流量を調節するために、本方法は、
-制御弁を通る流量がQmin+Qdelta+Qi以上であり、全ての膨張器がまだスイッチオンされていない場合、流量Qiの膨張器をスイッチオンするステップと、
-制御弁を通る流量がQminより小さくなり、全ての膨張器がまだスイッチオフされていない場合、膨張器をスイッチオフするステップと、
を含み、ここで、
-Qminは、制御弁の制御上の理由又は安全上の理由のために、流体が制御弁のみを通過することができ、流体が何らかの膨張器を通過することができない、装置を通る流体の総流量の最大値であり、
-Qdeltaは、ヒステリシス値であり、膨張器が絶えずスイッチオンその後のスイッチオフしないように、流体の総流量の変動に対応して選択され、
-Qiは、膨張器を通過することができる流量である。
【0031】
このような方法は、膨張器の制御又は動作が、安全弁を通過する流量に完全に依存することになるという結果をもたらす。
【0032】
上記の膨張器は同じ流量Qiを有する必要はないが、このことはもちろん可能である。
【0033】
流量が異なる複数の膨張器が存在する場合、膨張器のスイッチオンは、この膨張器の流量の関数として行われる。
【0034】
その場合、1又は2以上の膨張器をスイッチオフし、より効率的な1つの大きな膨張器をスイッチオンするなどの、生成されるエネルギーの総量を最大化するより高度な制御戦略も可能である。
【0035】
別の実用的な実施形態では、上記の膨張器は、通過する流量が調節可能なタイプであり、膨張器を通過する流量を調節するために、本方法は、制御弁を通過する流量との明確な関係を表す曲線に従って、膨張器の流量を調節するステップを含む。
【0036】
つまり、これはマスター/スレーブ調節と考えることができる。
【0037】
上記の曲線は、直線的な曲線である必要はなく、流量が増加したときに、その流量のほとんどが膨張器を通過するが、制御弁を通過する流量がほとんど増加しないようなものとすることができる。
【0038】
このような高度な制御戦略は、生成されるエネルギーを最大化するだけでなく、例えば、全ての膨張器のメンテナンスを同じ日に1つずつ行うことを保証することもできる。
【0039】
上述のように、上述の方法又は制御戦略の両方を組み合わせる、流量制御付き膨張器とオン/オフ膨張器との組み合わせも可能である。
【0040】
本発明の特徴を良好に示す目的で、流体を膨張させるための本発明に基づく方法及び装置の多数の好ましい実施形態が、非制限的に添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による構成を概略的に示す。
図2a】本発明による方法を概略的に示す。
図2b】本発明による方法を概略的に示す。
図2c】本発明による方法を概略的に示す。
図3図1の代替実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1に概略的に示される流体を膨張させるための装置1は、高圧流体のための入口2及び低圧流体のための出口3を含む。
【0043】
この実施例での上記の流体は天然ガスであるが、本発明はこれに限定されるものではない。水蒸気、空気、水素、及び他のガス又は蒸気、並びにそれらの混合物も可能である。
【0044】
上記の入口2と出口3との間には制御弁4が設置されており、これによって制御弁4は流体を膨張させることになる。
【0045】
本発明によれば、装置1はさらに、複数の膨張器5、この場合は4つの膨張器5を備えるが、膨張器5が4つよりも多い又はそれよりも少ないことは排除されない。
【0046】
膨張器5は、制御弁4と同様に、流体を膨張させることができる。この膨張の際に、エネルギーが生成されることになる。
【0047】
このため、この場合の膨張器5の各々は、発電機6を備えており、これらは電力網7を介して電気開閉装置(electrical switchgear)に接続されている。
【0048】
全ての膨張器5は、制御弁4と並列に設置されている。
【0049】
この場合、必須ではないが、上記の膨張器5は、そこを通過する流量Qiを調節できないタイプである。
【0050】
このような膨張器5はオン/オフ膨張器5とも呼ばれ、このような膨張器5は、流量を通過させないか(膨張器5のオフ位置)又は一定の流量Qiを通過させるか(膨張器5のオン位置)のいずれかである。
【0051】
本発明によれば、コントローラ8が設けられ、これは膨張器5を制御することになる。
【0052】
実際には、コントローラ8から膨張器5への信号は、例えば、膨張器5の弁への、発電機6の電気接触器へのなどの、複数の部分信号で構成されることになる。もちろん、膨張器5及び発電機6に加えて、コントローラ8によって制御可能な他の要素を設けることも可能である。
【0053】
装置1の動作は非常に単純であり、以下の通りである。
【0054】
動作は、図2a、2b、2cに概略的に示される方法に基づく。
【0055】
装置1の動作中、制御弁4を通過する流量Qklepは、上記の出口3における圧力が一定のままであるように調節される。
【0056】
このような調節は、公知の装置から既に知られている。
【0057】
制御弁4の調節と同時に、本発明による方法は、制御弁4を通過する流量Qklepに基づいて膨張器5を通過する流量Qiを調節することを含む。
【0058】
この目的のために、本方法は、制御弁4を通過する流量Qklepを決定するステップを含む。
【0059】
このために、好ましくは、制御弁4の位置が利用される。
【0060】
例えば、弁軸の位置を利用する、すなわち、制御弁4がどの程度開いているかを利用する。このようにして、流量計は不要である。
【0061】
制御弁4を通る流量Qklepの決定は、必要に応じて、流量Qklepの直接的又は間接的な指標となる別の測定値を使用して行うこともできる。
【0062】
例えば、入口2又は出口3のいずれかにおいて、制御弁4及び膨張器5の両方を通過する総流量を測定し、次に、膨張器5を通過する流量を減算することによって決定することができる。次に、制御は、この算出された流量Qklepに基づいて行うことになる。
【0063】
本発明によれば、膨張器5を通過する流量を制御するために、以下のステップを実行することができる。すなわち、
-制御弁4を通る流量QklepがQmin+Qdelta+Qi以上であり、全ての膨張器5がまだスイッチオンされていない場合、流量Qiの膨張器5をスイッチオンし、
-流量QklepがQminより小さくなり、全ての膨張器5がまだスイッチオフされていない場合、膨張器5をスイッチオフする、
ステップであり、ここで、
-Qminは、制御弁4の制御上の理由又は安全上の理由などで、流体が制御弁4のみを通過することができ、流体が何らかの膨張器5を通過することができない、装置を通る流体の総流量の最大値であり、
-Qdeltaは、ヒステリシス値であり、膨張器5が、絶えずスイッチオンその後スイッチオフしないように、流体の総流量の変動に対応して選択され、
-Qiは、膨張器5を通過することができる流量である。
【0064】
図2aは、全ての膨張器5がオン/オフ膨張器5であり、同じ流量Qiを有する場合についての本方法を概略的に示す。
【0065】
図2aは、制御弁4を通る流量Qklepの時間的経過を示す。
【0066】
時刻t1において、流量Qklepは、Qmin+Qdelta+Qiまで増加する。その後、膨張器5がスイッチオンされる。
【0067】
その結果、流量Qiがこの膨張器5を流れることになる。この膨張器5は、すぐに電気エネルギーを生成することになる。
【0068】
その後、制御弁4を通る流量Qklepは、図2aに示すように、Qmin+Qdeltaまで減少する。
【0069】
その後、図2aの例では、流量が増加し続けるので、流量Qklepは増加し続ける。結局、膨張器5を通る流量はQiで固定される。
【0070】
時刻t2において、流量Qklepは再びQmin+Qdelta+Qiまで増加する。追加の膨張器5がスイッチオンされ、現在2つの膨張器5がスイッチオンされ、従ってエネルギーを生成する。
【0071】
その後、制御弁を通る流量Qklepは、Qmin+Qdeltaまで再び減少する。
【0072】
その後、流量が減少し、制御弁4を通る流量Qklepは減少する。
【0073】
時刻t3において、流量QklepはQminまで減少する。この流量Qmin以下では、スイッチオンの全ての膨張器の動作が許可されないため、この時点で1つの膨張器5がスイッチオフされ、制御弁を通る流量QklepがQmin+Qiに再び増加する。
【0074】
膨張器5のスイッチオンとスイッチオフの順序は、エネルギー生成が最大になるように及び/又は膨張器5の運転時間数が最適化されるように決定される。
【0075】
Qdeltaを用いることで、スイッチオン点とスイッチオフ点との間にヒステリシスマージンが設けられるため、膨張器5が絶えずスイッチオン/オフすることを防止することができる。
【0076】
以上説明したような制御がQklepの計算値に基づいて行われる場合、Qmin(制御弁4にのみ流体が流れる可能性のある総流量の最大値)は、この測定及び計算の不正確さを考慮したものになる。
【0077】
図2b及び2cは、それぞれ、異なる一定流量を有するオン/オフ膨張器5に関する、又は一定流量及び調整可能な流量を有する膨張器5の組み合わせに関する同様の状況を示す。
【0078】
図2bでは、流量Q1と流量Q2の2つの膨張器5があり、時刻t1で流量Q1の第1の膨張器5がオンになり、その後、時刻t2で流量Q2の第2の膨張器がオンになる。
【0079】
時刻t3及びt4において、第2の膨張器5及び第1の膨張器5は、それぞれスイッチオフされる。
【0080】
図2cでは、4つの膨張器5があり、1つは可変流量「EXv」であり、3つは一定流量Q1、Q2、Q3である。
【0081】
図2cは、流量調整可能な膨張器5を通過する流量Qexpの時間経過を示し、QminEは、流量調整可能な膨張器5を通過する必要がある最小流量である。
【0082】
この図は、一定流量を有する異なる膨張器5が、異なる時間にスイッチオン及びスイッチオフに切り替えられることを示す。この機能として、流量調整可能な膨張器5を通過する流量Qexpも変化する。
【0083】
膨張器5のスイッチオン及びスイッチオフを系統化するためのいくつかの可能な戦略が存在する。すなわち、
-膨張器5を通過する流量を最大化し、可能な限り多くのエネルギー生成量を得る、
-比エネルギー生産量、すなわちガス量あたりのエネルギー生成量を最大にする、
-メンテナンスの最適化、全ての膨張器5が均等に使用されることを保証することで、全ての膨張器のメンテナンスを同じ日に1つずつ行うことを保証することができる、
-膨張器5のスイッチオン及びスイッチオフの回数を最小限に抑える、
である。
【0084】
図3は、図1の変形例を示し、この場合、1つの膨張器5が設けられており、膨張器5は、そこを通過する流量が調節可能なタイプである。
【0085】
さらに、この装置1は、流体が膨張器5に到達しないように膨張器5をシールする手段9を備える。
【0086】
この場合、これらの手段9は、安全弁10の形態で実装される。
【0087】
複数の膨張器5の場合、各膨張器5がそれ自身の安全弁を備えること、すなわち、各安全弁10が1つの特定の膨張器5を閉鎖できることは、もちろん除外されない。
【0088】
最後に、装置1は、好ましくは、出口3の圧力を特定するための手段11を備え、この場合、これは圧力センサ12に関係する。
【0089】
このような装置1を制御する方法は、上記で説明したのとほぼ同じであるが、膨張器5を通過する流量を制御するために、この方法は、今度は、制御弁4を通過する流量Qklepと明確な関係を示す曲線に従って膨張器5の流量を制御するステップを含むことになる。
【0090】
これは、制御弁4を通過する各流量Qklepに関して、対応する値が膨張器5を通過する流量に関連付けられることを意味する。
【0091】
制御弁4を通過する流量Qklepは、流量計で測定すること又は上述のように制御弁4の位置に基づいて決定することができる。
【0092】
上述の曲線は、直線とすること又は非直線とすることができる、すなわち、制御弁4の流量Qklepと膨張器5の流量との比率は、一定とすること又は変えることができる。
【0093】
好ましい変形例では、曲線は、要求された流量がより高いとき(出口での圧力を一定に保つため)、膨張器5がこの追加流量のほとんどを分担し、従ってより多くのエネルギーを生成するが、制御弁4を通る流量Qklepはわずかに増加するだけであるような曲線である。
【0094】
膨張器5を通る流量の制御はいくつかの方法で行うことができる。例えば、容積式膨張器5の速度又は入口圧力を制御することによって行うこと、ターボ膨張器5のいわゆる入口ガイドベーンを制御することによって行うことができる。
【0095】
好ましくは、本方法は、
-出口3における圧力が最大値pmaxよりも上昇した場合、膨張器5への流量は遮断され、全ての流量が制御弁4を通過する、
ステップを含む。
【0096】
このステップは、例えば、安全弁10を閉じることによって達成される。
【0097】
このようにして、過剰な圧力上昇に対して即座に応答することができる。図1に示す例では、安全弁10はコントローラ8によって制御されるが、この目的のために別の制御ユニットを設けることは排除されない。
【0098】
上記では常に1つの制御弁4について言及しているが、装置1が並列に接続された複数の制御弁4を含むことは排除されない。
【0099】
本発明は、例示的に図示された実施形態に限定されず、流体を膨張させるためのこのような方法及び装置は、本発明の範囲を超えることなく、異なる変形例で実施することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 装置
2 入口
3 出口
4 制御弁
5 膨張器
8 コントローラ
図1
図2A
図2B
図2C
図3