(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-04
(45)【発行日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240905BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
(21)【出願番号】P 2024087695
(22)【出願日】2024-05-30
【審査請求日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】202311276972.9
(32)【優先日】2023-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522401992
【氏名又は名称】中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CATARC New Energy Vehicle Test Center (Tianjin) Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Xiongzi Road,Dongli District,Tianjin 300300,China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】王 芳
(72)【発明者】
【氏名】張 宝強
(72)【発明者】
【氏名】樊 彬
(72)【発明者】
【氏名】鄭 天雷
(72)【発明者】
【氏名】曹 冬冬
(72)【発明者】
【氏名】陳 赫
(72)【発明者】
【氏名】徐 月
(72)【発明者】
【氏名】王 建波
(72)【発明者】
【氏名】王 朝暉
(72)【発明者】
【氏名】李 政
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-315063(JP,A)
【文献】特開2022-103492(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110018374(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110907150(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105572035(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106291206(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113155419(CN,A)
【文献】中国実用新案第215338842(CN,U)
【文献】中国実用新案第213148180(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2021/0063462(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01M 13/00
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池側のプラグと車体側のソケットとを備えた電池交換電気インターフェースの信頼性試験装置に基づいて実現される電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法であって、
前記信頼性試験装置は、
互いに隣接して設けられた第1プラットフォーム(3)およびマニピュレータ(4)を含み、前記第1プラットフォーム(3)には、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケット(1)を取り付けるための少なくとも1つの試験ステーションが設けられ、前記マニピュレータ(4)は、試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグ(2)を把持するための少なくとも1つの把持端を有するとともに、前記把持端に電気的に接続された制御モジュールをさらに有し、前記制御モジュールは、前記プラグ(2)と前記ソケット(1)の相対位置を変化させるために前記プラグ(2)を移動させるよう前記把持端を制御し、
第2プラットフォーム(5)をさらに含み、前記第2プラットフォーム(5)は、前記ソケット(1)を支持する車体側のソケットトレイと電池交換電気インターフェースとの間のバネをシミュレートする弾性柱(6)によって、前記試験ステーションから離れた前記第1プラットフォーム(3)の表面に接続され、前記第2プラットフォーム(5)には、ハーネス固定部材(7)が設けられ、前記ハーネス固定部材(7)は、前記ソケット(1)のハーネス(8)を固定するために使用され、
電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法は、
試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを検査するステップと、
損傷がない場合、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケット(1)の試験指標を取得するステップであって、前記試験指標は、前記ソケット(1)の挿抜方向をZ方向とするとともに、Z方向に対し相互に直交する方向をX方向およびY方向とした場合の6自由度に対応する6つの指標を、それぞれX方向浮動指標、Y方向浮動指標、Z方向浮動指標、X軸回転角度補償指標、Y軸回転角度補償指標またはZ軸回転角度補償指標のうちのいずれか1つまたは複数の浮動指標を含むステップと、
試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグ(2)およびソケット(1)の、第1試験条件により前記プラグ(2)を前記ソケット(1)に前記6自由度のいずれかに偏らせた状態としてから嵌合させたときの前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第1相対変位および第1挿抜力を取得するステップと、
前記第1相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定条件を満たしていると判断した場合、第2試験条件により前記プラグ(2)を前記ソケット(1)に前記6自由度のいずれかに偏らせた状態としてから嵌合させたときの前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第2相対変位および第2挿抜力を取得するステップと、
前記第2相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第2挿抜力が前記第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定条件を満たしていると判断した場合、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)を所定回数で繰り返し挿抜するステップと、
前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定回数で繰り返し挿抜された後、前記第1試験条件前記プラグ(2)を前記ソケット(1)に嵌合させたときの前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第3相対変位および第3挿抜力を取得するステップと、
前記第3相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第3挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定条件を満たしていると判断した場合、所定の試験条件により前記プラグ(2)を移動させて、予め設定された挿抜変位および予め設定された挿抜頻度に従って前記ソケット(1)および前記プラグ(2)を挿抜するステップと、
前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定回数で繰り返し挿抜された後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査するステップと、
損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断するステップと、を含み、
ここで、各試験条件に基づく試験において前記挿抜力を取得するにあたり、前記プラグ(2)をZ方向に移動させる際には、
前記ソケット(1)および前記プラグ(2)がぴったりと正確に嵌合させる場合、前記ソケット(1)のZ方向における浮動能力を作動させないように第1段階のZ方向の移動を行い、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が正確に嵌合した後に、前記ソケット(1)のZ方向における浮動能力を作動させるよう第2段階のZ方向の移動を行い、
さらに、前記電池交換電気インターフェースがソケットトレイと電池交換電気インターフェースの間に弾性が付与されている場合、前記第1段階のZ方向の移動と前記第2段階のZ方向の移動を行った後、前記弾性柱(6)によるZ方向の浮動能力を作動させるよう第3段階のZ方向の移動を行い、
ここで、前記第1相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定条件を満たしていると判断した後、第2試験条件における前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第2相対変位および第2挿抜力を取得する前に、さらに、
試験対象となる電池交換電気インターフェースの現在の応用環境を取得するステップと、
前記応用環境の少なくとも1つの影響要因を変更し、前記第1試験条件における前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第4相対変位および第4挿抜力を取得するステップと、
を実行し、前記第4相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第4挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が所定条件を満たしていると判断した場合に、第2試験条件における前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の第2相対変位および第2挿抜力を取得するステップに進むことを特徴とする、電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法。
【請求項2】
前記所定条件は、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が電気接続試験に合格すること、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が絶縁抵抗試験に合格すること、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が密封性試験に合格すること、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が温度上昇試験に合格することのいずれかを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法。
【請求項3】
前記第1試験条件は、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が1自由度で偏った状態として試験される条件であり、前記第2試験条件は、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が少なくとも2つの自由度で偏った状態として試験される条件であることを特徴とする、請求項1に記載の電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法。
【請求項4】
前記試験装置は、マルチメータをさらに含み、前記マルチメータは、2つの接触端を有し、両者は、それぞれ前記ソケット(1)および前記プラグ(2)の接続端子に接続され、前記ソケット(1)および前記プラグ(2)が電気的に接続されているか否かを試験するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電気インターフェース試験の技術分野に関し、具体的には、電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車では、エネルギー源として動力電池を使用し、電気モーターに電気エネルギーを供給して車両の走行を駆動する。電気自動車のエネルギーを補給するために、車内の動力電池を充電するか、フル充電された動力電池と交換することは、一般的な方法である。後者については、実用性のレベルを高めるために、車両の動力電池の迅速な着脱、すなわち動力電池の迅速な交換(電池交換と略称してもよい)を可能にする特別な設計がよく用いられている。
【0003】
電池交換電気インターフェースは、電池クイック交換システムの重要な部品として、全車と電池クイック交換システムとの間の電気的な高速接続・分離を実現するために使用される特別なコネクタであり、当該コネクタは、ソケットおよびプラグを含む。動力電池を迅速に交換する電気自動車製品の生産において、電池交換電気インターフェース試験は、製品が工場から出荷される前の最後の、そして最も重要なプロセスである。従来の試験方法では、プラグおよびソケットの手動による挿抜を繰り返すのが一般的であり、労力消費が高く、効率が低い。
【0004】
「プローブインターフェース製品用マルチステーション自動試験ライン」(特許CN107037301A)で開示されたマルチステーション自動試験ラインでは、プローブインターフェース製品を試験経路に順番に入れ、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)によって伝送機構を制御し、突き上げクランプ機構は、製品を自動的に伝送してクランプし、シリンダーを介して差込部材を製品に自動的に接触させるように駆動し、さらに工業用制御コンピュータを使用して試験とデータ保存を実現する。しかし、その解決策では、手動で挿抜する作業の代わりにシリンダーを使用することだけで、試験方法は比較的単一であり、製品の実際の応用から考慮されていないため、最終的に得られた試験結果は、製品自体の信頼性を直接代表することができない。そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために、電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法および装置を提案する。
【発明の概要】
【0005】
従来技術における上記の欠陥または欠点に鑑み、試験結果の精度を向上させ、電池交換電気インターフェースの信頼性を確保する電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法および装置を提供することが望まれている。
【0006】
第1態様によれば、本発明は、電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法を提供し、以下のステップを含む。
試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを検査するステップと、
損傷がない場合、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケットの試験指標を取得するステップと、前記試験指標は、6自由度に対応する6つの指標、それぞれX方向浮動指標、Y方向浮動指標、Z方向浮動指標、X軸回転角度補償指標、Y軸回転角度補償指標またはZ軸回転角度補償指標を含むが、これらに限定されなく、
試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグおよびソケットの、第1試験条件における第1相対変位および第1挿抜力を取得するステップと、
前記第1相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケットおよび前記プラグが所定条件を満たしていると判断した場合、第2試験条件における前記ソケットおよび前記プラグの第2相対変位および第2挿抜力を取得するステップと、
前記第2相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第2挿抜力が前記第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケットおよび前記プラグが所定条件を満たしていると判断した場合、前記ソケットおよび前記プラグを繰り返し挿抜するステップと、
前記ソケットおよび前記プラグが所定回数で繰り返し挿抜された後、前記第1試験条件における前記ソケットおよび前記プラグの第3相対変位および第3挿抜力を取得するステップと、
前記第3相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第3挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケットおよび前記プラグが所定条件を満たしていると判断した場合、任意の試験条件において、予め設定された挿抜変位および予め設定された挿抜頻度に従って前記ソケットおよび前記プラグを挿抜するステップと、
前記ソケットおよび前記プラグが所定回数で繰り返し挿抜された後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査するステップと、
損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断するステップ。
【0007】
本発明が提供する技術的解決手段によれば、前記第1相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケットおよび前記プラグが所定条件を満たしていると判断した後、第2試験条件における前記ソケットおよび前記プラグの第2相対変位および第2挿抜力を取得する前に、さらに、
試験対象となる電池交換電気インターフェースの現在のさまざまな影響要因を含む応用環境を取得するステップと、
前記応用環境の少なくとも1つの影響要因を変更し、前記第1試験条件における前記ソケットおよび前記プラグの第4相対変位および第4挿抜力を取得するステップと、を実行し、
前記第4相対変位が対応する前記試験指標内にあり、前記第4挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつ前記ソケットおよび前記プラグが所定条件を満たしていると判断した場合に、第2試験条件における前記ソケットおよび前記プラグの第2相対変位および第2挿抜力を取得するステップに進む。
【0008】
本発明が提供する技術的解決手段によれば、前記所定条件は、以下に限定されないが、前記ソケットおよび前記プラグが電気接続試験に合格すること、前記ソケットおよび前記プラグが絶縁抵抗試験に合格すること、前記ソケットおよび前記プラグが密封性試験に合格すること、前記ソケットおよび前記プラグが温度上昇試験に合格することを含む。
【0009】
本発明が提供する技術的解決手段によれば、前記第1試験条件は、前記ソケットおよび前記プラグが1自由度で偏った状態として試験される条件であり、前記第2試験条件は、前記ソケットおよび前記プラグが少なくとも2自由度で偏った状態として試験される条件である。
【0010】
第2態様によれば、本発明は、上述した電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法を実現できる電池交換電気インターフェースの信頼性試験装置を提供し、前記試験装置は、
互いに隣接して設けられた第1プラットフォームおよびマニピュレータを含み、
前記第1プラットフォームには、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケットを取り付けるための少なくとも1つの試験ステーションが設けられ、
前記マニピュレータは、試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグを把持するための少なくとも1つの把持端を有し、前記マニピュレータは、前記把持端に電気的に接続された制御モジュールをさらに有し、前記制御モジュールは、前記把持端を制御して前記プラグを移動させ、それにより前記プラグと前記ソケットの相対位置を変化させるために使用される。
【0011】
本発明が提供する技術的解決手段によれば、
第2プラットフォームをさらに含み、前記第2プラットフォームは、弾性柱によって、前記試験ステーションから離れた前記第1プラットフォームの表面に接続され、
前記第2プラットフォームには、ハーネス固定部材がさらに設けられ、前記ハーネス固定部材は、前記ソケットのハーネスを固定するために使用される。
【0012】
本発明が提供する技術的解決手段によれば、マルチメータをさらに含み、前記マルチメータは、2つの接触端を有し、両者は、それぞれ前記ソケットおよび前記プラグの接続端子に接続され、前記ソケットおよび前記プラグが電気的に接続されているか否かを試験するために使用される。
【0013】
要約すると、本発明は、電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法の具体的な流れを開示する。本発明では、まず、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを検査し、損傷がない場合、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケットの試験指標を取得し、さらに、試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグおよびソケットの、第1試験条件における第1相対変位および第1挿抜力を取得し、次に、第1相対変位が対応する試験指標内にあり、第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、第2試験条件におけるソケットおよびプラグの第2相対変位および第2挿抜力を取得し、続いて、第2相対変位が対応する試験指標内にあり、第2挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、ソケットおよびプラグを繰り返し挿抜し、ソケットおよびプラグが所定回数で繰り返し挿抜された後、第1試験条件におけるソケットおよびプラグの第3相対変位および第3挿抜力を取得し、続いて、第3相対変位が対応する試験指標内にあり、第3挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、任意の試験条件において、予め設定された挿抜変位および予め設定された挿抜頻度に従ってソケットおよび前記プラグを挿抜し、ソケットおよびプラグが所定回数で繰り返し挿抜された後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査し、損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断する。
【0014】
本発明では、1自由度、複合自由度において試験条件の影響要因を変更したり、繰り返し挿抜による疲労試験を行ったりする複数の試験観点からソケットおよびプラグの試験を行い、各試験に合格した後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査し、損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断する。本解決手段によって試験された電池交換電気インターフェースの試験結果はより正確で、電池交換電気インターフェースはより高い信頼性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の図面を参照して行われた非限定的な実施例の詳細な説明を閲覧することにより、より明らかになる。
【
図1】電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法の流れを示すフローチャートである。
【
図2】応用環境の影響要因を変更して第1試験条件で試験を実施する流れを示すフローチャートである。
【
図3】電池交換電気インターフェースの信頼性試験装置の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1、ソケット;2、プラグ;3、第1プラットフォーム;4、マニピュレータ;5、第2プラットフォーム;6、弾性柱;7、ハーネス固定部材;8、ハーネス。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面および実施例を組み合わせて、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、関連する発明を解釈するためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことが理解され得る。また、記述を容易にするために、図面には本発明に関連する部分のみが示されていることに留意されたい。
【0018】
さらに、本発明における実施例および実施例における特徴は、矛盾することなく、互いに組み合わせることができることに留意されたい。以下、図面を参照しながら、実施例に併せて本発明を詳しく説明する。
【0019】
実施例1
図1に示す本発明による電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法の第1実施例のフロー図を参照し、以下のS10~S90のステップを含む。
【0020】
S10、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否か、すなわち、ソケット1およびプラグ2に損傷があるか否かを検査する。
【0021】
ここで、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かの判断基準は、試験対象となる電池交換電気インターフェースの外観に変形、亀裂、緩みがあるか否かを含むが、これらに限定されない。
【0022】
試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷がある場合、その続きの操作をしなくても、現在の電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断することができる。ここで、基準要件とは、ソケット1およびプラグ2に損傷がなく、また、後述するように、ソケット1とプラグ2の相対変位が、対応する自由度の浮動指標に属し、挿抜力が第1所定範囲にあり、ソケット1とプラグ2が所定条件を満たしていることを意味する。ここで、挿抜力は、EIA-364-13C(国際電気協会挿抜力試験仕様)に従って求めることができ、また、所定条件には、ソケット1とプラグ2が電気的に接続され、かつソケット1とプラグ2に対して絶縁抵抗、密封性および温度上昇試験を実行した後は対応する参考指標、例えばGB/T37133-2018に適合していることが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
ソケット1とプラグ2が電気的に接続されているか否かを例に挙げると、以下のステップに従って、ソケット1とプラグ2が差し込まれたときに電気的に接続されているか否かを判断し、
ソケット1とプラグ2の接続端子をそれぞれマルチメータの2つの接触端に接続し、
マルチメータがビープ音を発する場合、ソケット1とプラグ2が電気的に接続されていると判断する。
【0024】
マルチメータがビープ音を発しない場合、ソケット1とプラグ2が接続されていないことを意味する。
【0025】
S20、電池交換電気インターフェースのソケット1およびプラグ2に損傷がない場合、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケット1の試験指標を取得し、試験指標は、6自由度に対応する6つの指標、それぞれX方向浮動指標、Y方向浮動指標、Z方向浮動指標、X軸回転角度補償指標、Y軸回転角度補償指標またはZ軸回転角度補償指標を含むが、これらに限定されない。また、これらの試験指標のうち、以下のステップにて必要な自由度のみを取得すればよい。
【0026】
ここで、電池交換電気インターフェースは、電池クイック交換システムの重要な部品として、全車と電池クイック交換システムとの間の電気的な高速接続・分離を実現するために使用される特別なコネクタである。ソケット1は、車両側の電池交換電気インターフェースであり、プラグ2は、動力電池側の電池交換電気インターフェースである。ここで、ソケット1は浮動能力を有し、試験指標は当業者によって設定できる。
【0027】
なお、上述のXYZの各方向は、ソケット1の長さ方向をX方向とし、ソケット1の幅方向をY方向とし、ソケット1の高さ方向であってプラグ2との嵌合方向をZ方向とした相互に直交する方向であって、上記各指標は、設定された方向に応じて名称が付けられる。
【0028】
S30、試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグ2およびソケット1の、第1試験条件における第1相対変位および第1挿抜力を取得する。
【0029】
ここで、第1試験条件は、ソケット1およびプラグ2が1自由度で偏ったときに試験される条件である。
【0030】
例えば、ソケット1のX方向浮動指標を取得し、それに対応して、ソケット1およびプラグ2が後述の初期状態から1自由度としてX方向に偏った状態として試験され、ソケット1とプラグ2の第1相対変位、例えば0.5mmを取得し、同時に、ソケット1およびプラグ2の第1挿抜力を取得する。
【0031】
ここで、ソケット1およびプラグ2の初期状態は、ソケット1およびプラグ2の中心軸が一致する状態であってもよく、このように、ソケット1およびプラグ2は、初期状態の中心軸からX方向に偏り、すなわち、プラグ2の中心軸がソケット1の中心軸に対して一致しなくなり、両者の中心軸が互いに平行になる。第1相対変位とは、ソケット1に対するプラグ2の相対変位を指す。ここで、第1相対変位は、マニピュレータ4の移動を制御する制御モジュールによって取得することができる。
【0032】
なお、上述したステップS30は、1自由度で試験され、X方向またはY方向において電池交換電気インターフェースの挿抜試験を実行する場合、プラグ2とソケット1の相対変位は、対応するX方向またはY方向に偏った変位のみであり、その後、挿抜時にプラグ2とソケット1がぴったりと嵌合し、他の自由度の浮動能力を作動させることはない。
【0033】
ここで、Z方向の挿抜試験は、プラグ2とソケット1がぴったりと嵌合した時にZ方向の浮動能力を作動させないという点で特殊であり、両者がぴったりと正確に嵌合した後もプラグ2を下方へ移動させ続ける必要があり、すなわち、ソケット1に対するプラグ2の相対変位がZ方向に偏り、それによってソケット1のZ方向の浮動能力を作動させる。
【0034】
さらに、実際の全車における電池交換電気インターフェースのソケット1を支持するソケットトレイと電池交換電気インターフェースの間にバネが設けられ弾性が付与されている場合、この車体側の浮動能力を考慮する必要があり、例えば、Z方向の挿抜において、プラグ2およびソケット1がぴったりと正確に嵌合させるZ方向への第1段階の移動を行い、この移動ではZ方向の浮動能力を作動させず、その後、さらに下方へ引き続き第2段階の移動を行うことで、Z方向のソケット1の浮動能力を作動させ、さらに下方へ引き続き第3段階の移動を行うことで、ソケット1のZ方向の浮動能力に加え車体のソケットトレイ側の浮動能力を作動させ、このように、ソケット1およびプラグ2のZ方向に移動した距離は、三段階に徐々に増加する。
【0035】
S40、S30の第1試験条件における第1相対変位が対応する試験指標内にあり、第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が下記の所定条件を満たしていると判断した場合、第2試験条件におけるソケット1およびプラグ2の第2相対変位および第2挿抜力を取得する。
【0036】
ソケット1およびプラグ2は、少なくとも1つの条件が基準要件に適合していない場合、現在の電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断でき、その後続のステップを実行する必要がない。
【0037】
さらに、S30で取得した第1相対変位が対応する試験指標内にあり、第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしていると判断した後、第2試験条件におけるソケット1およびプラグ2の第2相対変位および第2挿抜力を取得する前に、さらに
図2に示す、以下のS1~S3のステップを含む。
【0038】
S1、試験対象となる電池交換電気インターフェースの現在の応用環境を取得する。なお、応用環境には、さまざまな影響要因がある。
【0039】
ここで、応用環境とは、電池交換電気インターフェースが実際に使用される周囲環境、例えば海辺環境、鉱山環境などを指し、影響要因として、温度、湿度、塩水噴霧、砂や埃などが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
S2、応用環境の少なくとも1つの影響要因を変更し、第1試験条件におけるソケット1およびプラグ2の第4相対変位および第4挿抜力を取得する。
【0041】
例えば、現在の応用環境の1つの影響要因である温度を上昇させ、温度上昇した環境において電池交換電気インターフェースを所定時間放置し、その後、ソケット1およびプラグ2を試験する。具体的には、この試験のために取得した試験指標はX方向浮動指標であり、それに対応して、ソケット1およびプラグ2がX方向に偏った状態として試験され、ソケット1とプラグ2の第4相対変位、例えば0.5mmを取得し、同時に、ソケット1およびプラグ2の第4挿抜力を取得する。ここで、所定時間は、例えば10分である。
【0042】
S3、第4相対変位が対応する試験指標内にあり、第4挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしていると判断した場合、第2試験条件におけるソケット1およびプラグ2の第2相対変位および第2挿抜力を取得する。
【0043】
すなわち、応用環境の少なくとも1つの影響要因を変更し、第1試験条件においてソケット1およびプラグ2を再度試験することにより、異なる試験環境におけるソケット1およびプラグ2の性能の違いを判定し、これらの性能は、挿抜後に得られた第4相対変位および第4挿抜力、ならびにソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしているか否かによって示すことができる。ソケット1およびプラグ2は、少なくとも1つの条件が基準要件に適合していない場合、現在の電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断でき、その後続のステップを実行する必要がない。
【0044】
S50、第2相対変位が対応する試験指標内にあり、第2挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしていると判断した場合、ソケット1およびプラグ2を繰り返し挿抜する。
【0045】
なお、第2試験条件において、ソケット1およびプラグ2の第2相対変位および第2挿抜力を取得する過程は以下の通りであり、例えば、ソケット1のX方向浮動指標およびX軸向回転角度補償指標を取得し、それに対応して、ソケット1およびプラグ2は、X方向およびX軸向において所定角度で回転して偏った状態として試験され、第2相対変位は、X方向に偏ったソケット1とプラグ2の変位、およびX軸向に偏ったソケット1とプラグ2の変位を含み、X方向に偏ったソケット1とプラグ2の変位がX方向浮動指標内にあるか否か、X軸向に偏ったソケット1とプラグ2の変位がX軸向回転角度補償指標内にあるか否かをそれぞれ判断し、同時に、第2挿抜力を取得し、第2挿抜力が第1所定範囲内にあるか否かを判断し、第2相対変位が対応する試験指標内にあり、第2挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしていると判断した場合、ソケット1およびプラグ2を所定回数だけ繰り返し挿抜する。ソケット1およびプラグ2は、少なくとも1つの条件が基準要件に適合していない場合、現在の電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断でき、その後続のステップを実行する必要がない。
【0046】
S60、ソケット1およびプラグ2が所定回数で繰り返し挿抜した後、第1試験条件におけるソケット1およびプラグ2の第3相対変位および第3挿抜力を取得する。
【0047】
ここで、所定回数は、例えば10000回である。
【0048】
ここで、ソケット1とプラグ2の繰り返し挿抜試験は、第1試験条件において、1自由度で行われた挿抜試験を複数回行ってもよいし、応用環境の影響要因を変化させ、第1試験条件において行われた複数回の挿抜試験であってもよいし、第2試験条件において、複合自由度で行われた複数回の挿抜試験であってもよく、あるいは、前述の3つの挿抜試験を所定回数内で自由に組み合わせる。ここで、繰り返し挿抜の条件だけでは、相対変位などのデータを収集する必要がなく、挿抜すればよい。
【0049】
S70、第3相対変位が対応する試験指標内にあり、第3挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケット1およびプラグ2が所定条件を満たしていると判断した場合、所定の試験条件において、予め設定された挿抜変位および予め設定された挿抜頻度に従ってソケット1およびプラグ2を挿抜する。
【0050】
ソケット1およびプラグ2は、少なくとも1つの条件が基準要件に適合していない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断する。
【0051】
さらに、所定の試験条件において、予め設定された挿抜変位および予め設定された挿抜頻度に従ってソケット1およびプラグ2を挿抜し、具体的には、所定の試験条件とは、第1試験条件または第2試験条件のいずれか1つを意味し、すなわち、1自由度での複数回の挿抜試験であってもよいし、応用環境の影響要因を変化させた複数回の挿抜試験であってもよいし、または複合自由度での複数回の挿抜試験であってもよい。予め設定された挿抜変位の範囲は、例えば1mm以下であり、予め設定された挿抜頻度は、例えば1秒間に50回である。
【0052】
S80、ソケット1およびプラグ2が所定回数で繰り返し挿抜された後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査する。
【0053】
ここで、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かの検査方法は、ステップS10の方法と同様であり、ここでは繰り返さない。
【0054】
S90、損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断する。
【0055】
さらに、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷がある場合、現在の電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していないと判断することができる。
【0056】
本発明では、1自由度、複合自由度において試験環境の影響要因を変更したり、繰り返し挿抜による疲労試験を行ったりする複数の試験観点からソケット1およびプラグ2の試験を行い、各試験に合格した後、試験対象となる電池交換電気インターフェースに損傷があるか否かを再度検査し、損傷がない場合、現在の試験対象となる電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断し、さまざまな方法で試験された電池交換電気インターフェースにより高い信頼性を持たせる。
【0057】
実施例2
本発明はさらに、実施例1に記載の電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法を実現できる電池交換電気インターフェースの信頼性試験装置を提供し、
図3に示すように、当該試験装置は、
互いに隣接して設けられた第1プラットフォーム3およびマニピュレータ4を含み、
第1プラットフォーム3には、試験対象となる電池交換電気インターフェースのソケット1を取り付けるための少なくとも1つの試験ステーションが設けられ、
マニピュレータ4は、試験対象となる電池交換電気インターフェースのプラグ2を把持するための少なくとも1つの把持端を有し、マニピュレータ4は、把持端に電気的に接続された制御モジュールをさらに有し、前記制御モジュールは、把持端を制御してプラグ2を移動させ、それによりプラグ2とソケット1の相対位置を変化させるために使用される。
【0058】
ここで、制御モジュールのモデル番号は、例えばシーメンスS7-1200である。
【0059】
さらに、
図3に示すように、第2プラットフォーム5をさらに含み、第2プラットフォーム5は、弾性柱6によって、試験ステーションから離れた第1プラットフォーム3の表面に接続され、
第2プラットフォーム5には、ハーネス固定部材7がさらに設けられ、ハーネス固定部材7は、ソケット1のハーネス8を固定するために使用される。
【0060】
ここで、弾性柱6は、全車における電池交換電気インターフェースのソケットトレイと電池交換電気インターフェースとの間のバネをシミュレートするために使用される。
【0061】
さらに、マルチメータも含み、マルチメータは、2つの接触端を有し、両者は、それぞれソケット1およびプラグ2の接続端子に接続され、ソケット1およびプラグ2が電気的に接続されているか否かを試験するために使用される。制御モジュールは、このマルチメータからの入力や、マニピュレータ4によるプラグ2とソケット1の相対位置を変化量や、挿抜した際の反力が入力され、それにより、各相対変位や各挿抜力を検出できる。
【0062】
ここで、マルチメータのモデル番号は、例えばUNI-T T33B+である。
【0063】
以上は、本発明の好ましい実施例、採用された技術的原理を説明するためのものに過ぎない。当業者であれば、本発明に関わる発明の範囲は、上記技術的特徴の特定の組み合わせから生じる技術的解決手段に限定されるものではなく、さらに、前記発明の概念から逸脱することなく、上記技術的特徴またはそれらと同等の特徴を任意に組み合わせて形成された他の技術的解決手段も本発明の範囲に属するべきである。例えば、上記の特徴を、本発明で開示された同様の機能を有する技術的特徴と交換することによって形成される技術的解決手段を挙げる。
【要約】 (修正有)
【課題】電池交換電気インターフェースの信頼性試験方法および装置を提供する。
【解決手段】第1試験条件におけるプラグおよびソケットの第1相対変位および第1挿抜力を取得するステップと、第1相対変位が対応する試験指標内にあり、第1挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、さらに、第2相対変位が対応する試験指標内にあり、第2挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、ソケットおよびプラグを繰り返し挿抜し、第1試験条件における第3相対変位および第3挿抜力を取得するステップと、第3相対変位が対応する試験指標内にあり、第3挿抜力が第1所定範囲内にあり、かつソケットおよびプラグが所定条件を満たしていると判断した場合、電池交換電気インターフェースが基準要件に適合していると判断するステップと、を含む。
【選択図】
図1