(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】化粧用シートおよびその製造方法、化粧用セット、ならびに薄膜シートの貼付方法
(51)【国際特許分類】
A45D 44/22 20060101AFI20240906BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240906BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A45D44/22 C
A45D44/22 Z
A61K8/02
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2021501737
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2020002169
(87)【国際公開番号】W WO2020170704
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2019030616
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 真里
(72)【発明者】
【氏名】篠田 雅世
(72)【発明者】
【氏名】竹下 さち子
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-028552(JP,A)
【文献】特許第4632333(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
A61K 8/02
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性基板と、
前記親水性基板上に配置された、厚みが10μm以下の薄膜シートと、
前記薄膜シート上に配置された、支持体と、
を含み、
前記親水性基板および前記薄膜シートとの間、もしくは前記薄膜シートと前記支持体との間に、保湿成分を含む保湿剤層を有し、
前記薄膜シートが、薄膜と、着色層および光散乱層からなる群から選ばれる一種以上の層と、を含
み、
前記保湿剤層が、水と、
脂肪酸、グリセリン、プロピレングリコール、コレステロール、スクアレン、パーム油、およびヤシ油からなる群から選ばれる一種以上の前記保湿成分と、
を含む、
化粧用シート。
【請求項2】
前記保湿剤層が、コーンプレート型粘度計にて、剪断速度2000s
-1で測定される粘度が、1.1mPa・s以上である液体で構成される、
請求項
1に記載の化粧用シート。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の化粧用シートと、
前記化粧用シートに隣接して配置された、前記保湿成分を含む液体が充填された容器と、
を有する、
化粧用セット。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の化粧用シートと、
前記化粧用シートの前記薄膜シート、前記支持体、および前記保湿剤層を少なくとも覆う保護部材と、
を有する、
化粧用セット。
【請求項5】
薄膜シートおよび支持体が積層された積層体を準備する工程と、
親水性基板を準備し、前記親水性基板が前記薄膜シートに面するように、前記積層体および前記親水性基板を積層する工程と、
前記支持体上に保湿成分を含む液体を塗布する工程と、
を含
み、
前記薄膜シートが薄膜と、着色層および光散乱層からなる群から選ばれる一種以上の層と、を含
み、
前記保湿成分が、脂肪酸、グリセリン、プロピレングリコール、コレステロール、スクアレン、パーム油、およびヤシ油からなる群から選ばれる一種以上の成分である、
化粧用シートの製造方法。
【請求項6】
薄膜シートおよび支持体が積層された積層体を準備する工程と、
親水性基板を準備し、前記親水性基板の少なくとも一方の面に、保湿成分を含む液体を塗布する工程と、
前記親水性基板の前記液体が塗布された面に前記薄膜シートが面するように、前記積層体および前記親水性基板を積層する工程と、
を含み、
前記薄膜シートが薄膜と、着色層および光散乱層からなる群から選ばれる一種以上の層と、を含
み、
前記保湿成分が、脂肪酸、グリセリン、プロピレングリコール、コレステロール、スクアレン、パーム油、およびヤシ油からなる群から選ばれる一種以上の成分である、
化粧用シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1
または2に記載の化粧用シートが含む前記薄膜シートを被貼付面に貼付する方法であって、
前記化粧用シートから前記支持体を剥離する工程と、
前記薄膜シート表面、または被貼着面に水を塗布する工程と、
前記薄膜シートを被貼付面に密着させる工程と、
を含む、
薄膜シートの貼付方法。
【請求項8】
前記親水性基板が、凸部および/または凹部を有する、
請求項1に記載の化粧用シート。
【請求項9】
前記支持体は、水との接触角が90°以下であり、かつ弾性率が100~100000MPaである、
請求項1に記載の化粧用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は化粧用シートおよびその製造方法、化粧用セット、ならびに薄膜シートの貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜に各種色材を含むインクを塗布し、これを人体に貼り付けて、肌に生じたシミや痣、傷跡(以下、「変色領域」とも称する)等を目立ち難くすることが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、肌を撮像し、変色領域を識別する。そして、変色領域の周囲の色と同様の色を薄膜シートに印刷し、これを肌に貼り付けることで、変色領域を目立ち難くしている。
【0003】
このような薄膜シートは、通常、台紙と積層されて流通され、ユーザが台紙から剥離して肌に貼り付ける。しかしながら、薄膜シートは、非常に薄いことから、シワ等を生じさせることなく肌に貼り付けることが難しい。そこで、治具を用いて肌に貼り付ける方法が特許文献2に提案されている。例えば、台紙と薄膜シートとが積層された積層体を、薄膜シートと治具とが面するように治具上に載置し、台紙側に水を吹きつける。そして、台紙を剥離し、露出した薄膜シートを肌に密着させた後、治具を薄膜シートから剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-43836号公報
【文献】国際公開第2018/061486号
【発明の概要】
【0005】
特許文献2の方法のように、水を吹き付けると、水を吹き付けない場合と比較して、格段に薄膜シートを貼付しやすくなる。ただし、従来の方法で貼付した薄膜シートは、貼付してから時間が経過すると乾燥しやすく、薄膜シートの密着性が低下したり、擦ると剥離しやすい。
【0006】
本開示は、被貼付面に薄膜シートを貼付した後、時間が経過しても被貼付面との密着性が高く、薄膜シートが乾燥し難い化粧用シート、およびその製造方法を提供する。
【0007】
本開示は、以下の化粧用シートを提供する。
【0008】
本開示の化粧用シートは、親水性基板と、前記親水性基板上に配置された、厚みが10μm以下の薄膜シートと、前記薄膜シート上に配置された、支持体と、を含み、前記親水性基板および前記薄膜シートとの間、もしくは前記薄膜シートと前記支持体との間に、保湿成分を含む保湿剤層と、から構成される。
【0009】
本開示の化粧用シートによれば、被貼付面に薄膜シートを貼付した後、時間が経過しても剥がれにくい。また、当該化粧用シートによれば、薄膜シートを貼付した後、薄膜シートが乾燥し難く、摩擦等によっても剥離し難い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る化粧用シートの概略断面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る化粧用セットの概略断面図である。
【
図3】本開示の第2実施形態に係る化粧用セットの概略断面図である。
【
図4】本開示の第3実施形態に係る化粧用セットの概略断面図である。
【
図5】本開示の第4実施形態に係る化粧用セットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.化粧用シート
図1に、本開示の一実施形態に係る化粧用シートの断面図を示す。本実施形態の化粧用シートは、親水性基板11と、肌の彩色や美化のために、肌に貼付するための薄膜シート12と、支持体13が積層された構造を有し、親水性基板11と薄膜シート12との間、もしくは薄膜シート12と支持体13との間に、保湿成分を含む保湿剤層(図示せず)を有する。
【0012】
当該化粧用シート100の薄膜シート12は、公知のメイク支援システム等を通じて、特定の個人の肌の変色部位に応じて作製された、特定の人が使用するためのシート(オンデマンドで作製されるシート)であってもよい。一方で、薄膜シート12は、不特定多数の人の平均的な肌の色に合わせて作製された、不特定多数の人が使用するためのシート等であってもよい。当該薄膜シート12は、肌の彩色等のためだけでなく、肌の変色部位の上に貼付することで、変色部位を目立たなくしたり、当該変色部位を装飾したりする用途にも用いることもできる。
【0013】
従来、薄膜シートを被貼付面に貼付する際、水を薄膜シート表面に塗布することが提案されていた。当該方法によれば、薄膜シートと被貼付面とが密着しやすくなるという利点がある。しかしながら、当該方法で薄膜シートを貼付すると、時間の経過とともに、薄膜シートが被貼付面から剥離したり、薄膜シートが乾燥したりしやすかった。また、摩擦等によって剥離してしまうこともあった。
【0014】
これに対し、本開示の化粧用シート100では、薄膜シート12の少なくとも一方の面に、保湿成分を含む保湿剤層が配置されている。例えば、被貼付面側に保湿剤層が配置されている場合には、薄膜シート12を被貼付面(図示せず)に貼付した後、当該保湿成分が、被貼付面(図示せず)と薄膜シート12とを結びつける役割を果たし、薄膜シート12が被貼付面から剥離し難くなる。また、保湿剤層がいずれの面に配置されている場合にも、保湿成分が、薄膜シート12表面に留まりやすく、薄膜シート12の乾燥を防いだり、薄膜シート12の表面を滑らかに保つ役割も果たす。さらに、保湿成分が薄膜シート12の表面を滑らかに保つことで、薄膜シート12を貼付した部分の外観にツヤを付与することが可能となる。
【0015】
また、本開示によれば、擦っても薄膜シート12が剥離し難くなるだけでなく、水に濡れても薄膜シート12の密着性が低下し難くなる。したがって、被貼付面に貼付した薄膜シート12を様々な環境で、長時間シワや剥離のない状態で安定して使用することが可能となる。
【0016】
以下、本開示の化粧用シートの各構成について説明する。
【0017】
(薄膜シート)
薄膜シート12は、肌に貼着するための厚みが10μm以下のシートである。薄膜シート12の厚みは、10nm~10μmであることが好ましく、10nm~1000nmであることがより好ましい。薄膜シート12の厚みが当該範囲であると、肌等の被貼付面に貼着した際に、違和感が無い。
【0018】
当該薄膜シート12は、例えば透液性を有する薄膜(図示せず)と着色層や光散乱層等(図示せず)とから構成されるシートとすることができる。薄膜シート12が薄膜の他に着色層や光散乱層等を有すると、薄膜シート12の貼付によって、被貼付面(例えば肌等)の色を任意の色に着色可能となる。より具体的には、肌を彩色したり、肌の変色部位を正常な色に見せたりすることが可能となる。なお、薄膜シート12が着色層等を有する場合、薄膜シート12内の薄膜が被貼付面と接するように貼付することが好ましい。被貼付面が人体の皮膚である場合、生体適合性のある薄膜を皮膚と接するように貼り付けることで、皮膚に対する刺激等を生じさせにくくなる。そこで、薄膜シート12が着色層を有する場合、薄膜が後述の支持体13と面するように、薄膜シート12を支持体13に積層する。
【0019】
薄膜シート12が含む薄膜は、人の肌に貼付しても違和感が無く、生体適合性を有するシート状の部材であることが好ましい。また、薄膜は、通常、無色透明、または半透明であることが好ましい。
【0020】
薄膜シート12中の薄膜の厚さは、10nm~10μmが好ましく、10nm~1000nmがより好ましい。また特に、薄膜が疎水性である場合、薄膜の薄さは特に10nm~800nmであることが好ましい。
【0021】
薄膜の平面視形状は特に制限されず、薄膜シート12の貼付部位の形状や、用途に応じて適宜選択される。なお、薄膜には、薄膜シート12の貼付部位の形状に適合するように、外周部および/または面内に切り込みが形成されてもよい。
【0022】
ここで、薄膜は、スピンコート法もしくはロールツーロール法、LB法(ラングミュア・ブロジェット法)等で形成されるシートであってもよく、電界紡糸法等で生成されるファイバーが折り重なるファイバーシート等であってもよい。
【0023】
薄膜の材料の例には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、またはこれらの共重合体に代表されるポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールに代表されるポリエーテル類;ナイロン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、またはこれらの塩に代表されるポリアミド類;プルラン、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コーンスターチに代表される多糖類またはこれらの塩;アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸に代表されるシリコーン類;アクリル酸アルキル、アクリル酸シリコーン、アクリル酸アミドや、これらの共重合体に代表されるアクリル酸類;ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリ酸無水物;ポリエチレン;ポリプロピレン;多孔質層コーティングシート、ナノファイバーシート、等が含まれる。これらの中でも、薄膜の材料が、ポリ乳酸、セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、デンプン、キチン、キトサン、アルギン酸、コーンスターチ、またはポリウレタンであると、生体適合性や入手容易性、取り扱い性等が良好になる。
【0024】
一方、薄膜上に配置される着色層には、色材とバインダとが含まれる。着色層には、皮膜形成剤や分散剤、各種添加剤等がさらに含まれていてもよい。着色層の色は通常、肌に合わせた色とすることができるが、薄膜シート12を、チーク、アイシャドウまたはボディペインティングなど、化粧用品として使用する場合は、任意の色とすることができる。また、薄膜シート12全体が同一の色であってもよいが、一部に、色が異なる領域が配置されていてもよい。
【0025】
また、着色層は、一層からなるものであってもよく、二層以上から構成されていてもよい。着色層が複数層から構成される場合、各層に含まれる色材の種類は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、各層に含まれる色材の量は同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、肌色の着色層の上に、任意の色の着色層が積層されたような構成であってもよい。
【0026】
着色層に含まれる色材の例には、酸化鉄、水酸化鉄等のチタン酸鉄等の無機赤色顔料;γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料;マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料;水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料;紺青(フェロシアン化第二鉄)、群青(ウルトラマリン青)、瑠璃、岩群青、アルミ-コバルト酸化物、アルミ-亜鉛-コバルト酸化物、ケイ素-コバルト酸化物、ケイ素-亜鉛-コバルト酸化物、コバルト顔料、花紺青、コバルト青、錫酸コバルト、コバルトクロム青、コバルト-アルミニウム-ケイ素酸化物、マンガン青等の無機青色系顔料;インディゴ、フタロシアニン、インダンスレンブルー、およびこれらのスルホン化物等の有機青色顔料もしくは青色染料;各種タール系色素をレーキ化したもの、各種天然色素をレーキ化したもの、これらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が含まれる。
【0027】
一方、着色層に含まれるバインダの形状は特に制限されないが、粒子状であることが好ましく、特に(メタ)アクリル系樹脂からなる粒子(以下、単に「アクリル系粒子」とも称する)であることが好ましい。バインダが、アクリル系粒子からなると、上述の色材の定着性が良好になりやすく、着色層の耐久性が良好になりやすい。バインダは、皮膚刺激性のない(メタ)アクリル系樹脂からなる粒子であることがさらに好ましい。そこで、上記アクリル系粒子は、日本の薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分や、EU化粧品規制(Cosmetics Directive 76/768/EEC)に則った成分、米国CTFA(Cosmetic,Toiletry & Fragrance Association,U.S.)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2002年1月1日、9th版)に記載されている成分等から選択されることが好ましく、公知の化粧料等に適用されているアクリル系樹脂の粒子とすることが好ましい。
【0028】
着色層に含まれるバインダの量は、色材の量を10質量部としたとき、0.5~10質量部であることが好ましく、1.5~5.7質量部であることがより好ましい。色材の量に対するバインダの量が上記範囲であると、色材の定着性が高まる。また、バインダの量が上記範囲であると、相対的に色材の量が十分になりやすく、着色層を所望の色とすることができる。
【0029】
着色層の厚さは、所望の色の濃さ等に合わせて適宜選択されるが、10nm~15μmであることが好ましく、10nm~3μmであることがより好ましい。着色層の厚みが当該範囲であると、厚塗り感を生じさせることなく、所望の発色が得られやすくなる。なお、着色層を複数積層する場合、これらの合計の厚みが、当該範囲であることが好ましい。このような着色層は、例えばインクジェット印刷法や、スクリーン印刷法、オフセット印刷、グラビア印刷等によって薄膜上に色材およびバインダを含むインクを塗布することで形成できる。これらの中でも、オンデマンド印刷を行いやすかったり、化粧料インクを複数回に亘って塗布する、積層印刷を行うことができる等の観点から、インクジェット法が好ましい。
【0030】
一方、光散乱層には、反射材料とバインダとが含まれる。光散乱層には、皮膜形成剤や分散剤、各種添加剤等がさらに含まれていてもよい。光散乱層は、一層からなるものであってもよく、二層以上から構成されていてもよい。光散乱層が複数層から構成される場合、各層に含まれる反射材料の種類は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、各層に含まれる反射材料の量は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
光散乱層に含まれる反射材料は、紫外光および可視光(例えば、波長200~780nmの光)を散乱もしくは反射する粒子であればよく、例えば、パール剤や、ソフトフォーカス剤、ラメ剤等とすることができる。パール剤、ソフトフォーカス剤、およびラメ剤は、皮膚刺激性がないものであることが好ましい。
【0032】
光散乱層に含まれるバインダの量は、上記反射材料の量を10質量部としたとき、0.5~10質量部であることが好ましく、1.5~5.7質量部であることがより好ましい。反射材料の量に対するバインダの量が上記範囲であると、反射材料の定着性が高まる。また、バインダの量が当該範囲であると、相対的に反射材料の量が十分になりやすく、光散乱層によって、十分に光を反射したり散乱させたりすることができる。
【0033】
光散乱層の厚さは、10nm~120μmであることが好ましく、10nm~100μmであることがより好ましい。光散乱層の厚みが当該範囲であると、肌の表面で反射された光が光散乱層で十分に反射されやすくなる。
【0034】
なお、薄膜シート12には、本実施形態の目的および効果を損なわない範囲で、さらに光沢層や吸湿層等が積層されていてもよい。吸湿層が配置されていると、薄膜シート12の表面側の湿度が制御され、快適性が高まる。吸湿層には通常吸湿剤が含まれ、吸湿剤の例には、真球状シリカ、多孔質アクリル粒子、ナイロン6(ポリアミド6)等が含まれる。
【0035】
(保湿剤層)
保湿剤層は、上述の薄膜シート12に隣接して配置される。より具体的には、親水性基板11と薄膜シート12との間、もしくは薄膜シート12と支持体13との間に配置される、保湿成分を少なくとも含む液体で構成される層である。本明細書において、保湿成分とは、水より高沸点であるである成分をいう。当該保湿成分は、皮膚の角質層に潤いやバリア機能を持たせる機能を持つことが好ましい。また、皮膚から分泌される皮脂の機能を補助する役割を果たす成分であることがより好ましい。保湿剤層(保湿剤層を構成する液体)は、必要に応じて、当該保湿成分を分散させるための溶媒を含有していてもよい。
【0036】
保湿成分は、日本の薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分や、EU化粧品規制(Cosmetics Directive 76/768/EEC)に則った成分、米国CTFA(Cosmetic,Toiletry & Fragrance Association,U.S.)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2002年1月1日、9th版)に記載されている成分等から選択されることが好ましい。その例には、脂肪酸(例えばステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸等)、脂肪アルコール、コレステロール、スクアレン、パーム油、ヤシ油(ココナッツ油)、尿素、乳酸、グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸、アルファヒドロキシ酸(AHA)、ハチミツ、鉱油、石油原料、ワセリン、ミツロウ、シリコーン、酸化亜鉛、レシチン、植物油(例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、グレープシードオイル、ヤシ油、ベニバナ種子油、アルガン油、大豆油、ピーナッツ油、ゴマ油、アボカド油、ルリジサ油、ホホバオイル、オートムギ油、ザクロ種子油、アーモンドオイル、ビターアプリコットオイル、ローズヒップオイル、ジャーマン・カモミールオイル、シアバター等)等が含まれ、これらを一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
これらの中でも、脂肪酸(ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸)、脂肪アルコール、コレステロール、スクアレン、パーム油、ヤシ油(ココナッツ油)が生体安全性の観点でより好ましい。なお、脂肪アルコールの例には、3価のアルコールであるグリセリンや、2価のアルコールであるジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール等、1価のアルコールであるプロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール等が含まれる。
【0038】
保湿剤層中(保湿剤層を構成する液体中)の保湿成分の量は、薄膜シート12の肌との密着性を高めたり、薄膜シート12を被貼付面に貼付した後にツヤを生じさせたりしやすいとの観点で1質量%以上が好ましく、1~100質量%がより好ましく、1~50質量%がさらに好ましい。なお、保湿剤層中の保湿成分の量が多くなると、薄膜シート12がべたつきやすくなることがある。そして、薄膜シート12から支持体13を剥離し難くなったり、薄膜シート12が親水性基板11から剥がれ難くなったりすることがある。この場合、後述するが薄膜シート12を貼付する際に、薄膜シート12表面や被貼付面に水等の溶媒を後から噴霧してもよい。
【0039】
一方、溶媒は、皮膚刺激性のないものであればよく、水、エタノール、多価アルコール(1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等)が好ましく、これらの中でも水がより好ましい。液体中の溶媒の量は、液体の所望の粘度に応じて適宜選択されるが、99質量%以下が好ましく、50~99質量%がより好ましい。
【0040】
液体には、上記保湿成分および溶媒以外に、界面活性剤や美容成分等のその他の成分を含んでいてもよい。界面活性剤の例には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が含まれ、日本の薬事法に基づく化粧品の成分表示名称リストに掲載のある成分や、EU化粧品規制(Cosmetics Directive 76/768/EEC)に則った成分、米国CTFA(Cosmetic,Toiletry & Fragrance Association,U.S.)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2002年1月1日、9th版)に記載されている成分等から選択されることが好ましい。
【0041】
一方、美容成分の例には、ビタミンC、ビタミンE、アルブチン、レチノール、ヒアルロン酸、コラーゲン、ハトムギエキス、海藻エキス、トラネキサム酸、エラスチン等が含まれる。
【0042】
その他の成分の量は、本開示の目的および効果を損なわない範囲であれば特に制限されないが、保湿剤層中(保湿剤層を構成する液体中)のその他の成分の量は50質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0043】
保湿剤層を構成する液体のコーンプレート型粘度計にて、剪断速度2000s-1で測定される粘度は、1.1mPa・s以上が好ましく、1.2mPa・s以上がより好ましく、1.3~1500mPa・sがさらに好ましい。液体の粘度が1.1mPa・s以上であると、保湿剤層が薄膜シート12表面に留まりやすく、上述の効果が得られやすい。また、液体の粘度が1.1mPa・s以上であると、保湿剤層によって、薄膜シート12および親水性基板11、もしくは薄膜シート12および支持体13が十分に密着し、これらがずれ難くなる。したがって、化粧用シート100を保管したり移動させたりする時に、薄膜シート12にシワが生じ難くなる。
【0044】
当該液体の調製方法は特に制限されず、公知の保湿成分を含む化粧料の調製方法と同様とすることができる。
【0045】
(親水性基板)
上述のように、本開示の化粧用シート100は、親水性を有する親水性基板11を含有する。本明細書において、基板が親水性を有するとは、当該基板の水との接触角が90°以下であることをいう。親水性基板11は、上述の薄膜シート12の一方の面に配置される。当該親水性基板11は、薄膜シート12を貼付する際の治具等として使用することができる。
【0046】
親水性基板11の平面視形状は、本実施形態では、上記薄膜シート12の平面視形状より大きければよく、特に限定されない。親水性基板11は平板状であってもよく、曲面(凹面または凸面)を有していてもよい。また、その厚みも特に制限されず、取扱性の観点から、0.1~15mm程度が好ましく、0.1~8mm程度がさらに好ましい。
【0047】
またさらに、親水性基板11は、後述の化粧用セットとする際に、容器や保護部材等と接合するための構造(たとえば側面に設けられたねじ山等)や、これらと位置合わせするための凸部や凹部等を有していてもよい。また、化粧用セットから薄膜シート12を取り出しやすいように、薄膜シート12を囲む位置に切り取り線が形成されていてもよい。
【0048】
親水性基板11は、透明性を有していてもよく、有していなくてもよいが、被貼付面に薄膜シート12を貼付する際、薄膜シート12の貼付位置を視認しやすいとの観点で、透明性を有することが好ましい。
【0049】
親水性基板11は、例えばレーヨン、ポリエステル、アラミド、ガラス繊維、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン等)、エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、共重合ポリアミド樹脂、または共重合ポリエステル樹脂等を含むシート、親水剤を含むシリコン(Si)系のシート、親水剤を含むエラストマーシート、水性ゲル等から構成されるゴムシート等が含まれる。これらのシートは、各種親水化処理が施されたものであってもよい。
【0050】
(支持体)
また、本開示の化粧用シート100は、支持体13を有する。支持体13は、上述の薄膜シート12の他方の面(親水性基板11の積層面とは反対の面)に配置される板状の部材であり、上述の薄膜シート12を保護するために用いられる。
【0051】
支持体13の形状は薄膜シート12の一方の面を覆うことが可能であれば特に制限されない。支持体13の平面視形状は薄膜シート12と同じであってもよく、薄膜シート12より大きくてもよい。例えば、薄膜シート12から剥離する際につかむためのつかみシロ等を有していてもよい。
【0052】
また、支持体13の厚みは、50~2000μmが好ましく、100~1500μmがより好ましい。支持体13の厚みが当該範囲であると、支持体13を薄膜シート12から剥離する際に、支持体13が任意の方向に変形しやすくなる。
【0053】
支持体13は、親水性を有する材料、もしくは内部に水を保持可能な吸水性を有する材料から構成される。本本明細書において、親水性を有する材料とは、接触角が90°以下である材料をいい、吸水性を有する材料とは、内部に水を保持可能な構造(例えば孔等)を有する材料をいう。
【0054】
支持体13の材料の例には、紙(セルロース)、レーヨン、ポリエステル、アラミド、ガラス繊維、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等)、エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、共重合ポリアミド樹脂、共重合ポリエステル樹脂、多孔質フィルム、ナノファイバーシート等が含まれる。これらの中でも、薄膜シート12から剥離しやすいとの観点で、紙(セルロース)、レーヨン、ポリエステルが好ましい。また、支持体13は、光透過性を有していてもよく、有していなくてもよい。また、着色されていてもよい。
【0055】
また、支持体13は可撓性を有することが好ましく、その弾性率は、100~100000MPaが好ましく、100~5000MPaがより好ましい。当該弾性率は、静的試験法、横振動法、超音波法のいずれかにより測定される値である。弾性率測定に関するJIS規格は、JIS Z2280、JIS R1602、JIS R1605であり、弾性率は、これらのいずれかに準拠して測定した値である。支持体13の弾性率が当該範囲であると、薄膜シート12から剥離する際に破断等が生じ難く、また適度に変形可能となる。
【0056】
2.化粧用シートの製造方法
上述の化粧用シートの製造方法について、以下、2つの実施形態を説明するが、上述の化粧用シートの製造方法は、当該方法に制限されない。
【0057】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の化粧用シートの製造方法は、上述の薄膜シート12および支持体13が積層された積層体を準備する工程(以下、「積層体準備工程」とも称する)と、上述の親水性基板11を準備し、当該親水性基板11を、先に作製した積層体の薄膜シート12に面するように積層する工程(以下、「親水性基板積層工程」とも称する)と、当該支持体13上に、保湿成分を含む液体を塗布する工程(以下、「液体塗布工程」とも称する)と、を含む。ただし、本実施形態の化粧用シートの製造方法は、必要に応じて他の工程を含んでいてもよい。
【0058】
(積層体準備工程)
積層体準備工程では、上述の薄膜シート12および支持体13が積層された積層体を準備する。本工程では、先に支持体13を準備し、当該支持体13上に、薄膜シート12を成膜してもよい。また、別々に作製した支持体13および薄膜シート12を重ね合わせてもよい。なお、薄膜シート12が薄膜と着色層や光散乱層等との積層体である場合、薄膜が支持体と面するように重ね合わせる。
【0059】
また、薄膜シート12における着色層や光散乱層等の形成タイミングは特に制限されず、例えば、薄膜上に着色層等を形成して薄膜シート12(薄膜および着色層等の積層体)としてから、支持体13と積層してもよい。一方、薄膜と支持体13とを積層した後、薄膜上に着色層等を形成してもよい。
【0060】
(親水性基板積層工程)
親水性基板積層工程では、上述の親水性基板11を準備する。そして、当該親水性基板11と、上述の積層体準備工程で準備した積層体の薄膜シート12とが面するように、積層体と親水性基板とを重ね合わせる。なお、これらの間には接着層等は設けない。
【0061】
(液体塗布工程)
親水性基板積層工程後、支持体13上に、保湿成分を含む上述の液体を塗布する。液体の塗布方法は、支持体13および薄膜シート12が十分に濡れる程度、液体を塗布可能であれば特に制限されない。例えば、インクジェット印刷法や、スクリーン印刷法、オフセット印刷、グラビア印刷等、公知の印刷方法によって塗布できる。
【0062】
支持体13上に液体を塗布すると、液体が支持体13に染みこみ、薄膜シート12側に移動する。そして、薄膜シート12と支持体13との間に、保湿成分を含む保湿剤層が形成される。
【0063】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の化粧用シートの製造方法は、上述の薄膜シート12および支持体13が積層された積層体を準備する工程(以下、「積層体準備工程」とも称する)と、上述の親水性基板11を準備し、当該親水性基板11の少なくとも一方の面に、保湿成分を含む上述の液体を塗布する工程(以下、「液体塗布工程」とも称する)と、当該親水性基板11の液体が塗布された面と薄膜シート12とが面するように、親水性基板11および積層体を積層する工程(以下、「積層工程」とも称する)と、を含む。なお、積層体準備工程は、第1の実施形態の積層体準備工程と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。また、本実施形態の化粧用シートの製造方法は、必要に応じて他の工程を含んでいてもよい。
【0064】
(液体塗布工程)
液体塗布工程では、親水性基板11の少なくとも一方の面に、上述の液体を塗布する。液体塗布工程における液体の塗布方法は、十分な量の液体を塗布可能であれば特に制限されない。例えば、インクジェット印刷法や、スクリーン印刷法、オフセット印刷、グラビア印刷等、公知の印刷方法によって塗布できる。
【0065】
(積層工程)
上記液体塗布工程により親水性基板11の液体が塗布された面と、積層体準備工程で準備した積層体の薄膜シート12とが面するように、親水性基板11および積層体を積層する。当該積層工程を行うと、親水性基板11と薄膜シート12との間に保湿成分を含む保湿剤層が形成される。
【0066】
[その他の実施形態]
なお、化粧用シート100は、保湿成分を含む保湿剤層、および薄膜シート12から構成されていてもよい。この場合、化粧用シート100を製造する方法としては、薄膜シート12を所望の治具に載置し、保湿成分を含む液体を塗布すればよい。液体の塗布方法は特に制限されず、例えば、インクジェット印刷法や、スクリーン印刷法、オフセット印刷、グラビア印刷等、公知の印刷方法によって塗布できる。
【0067】
3.薄膜シートの貼付方法
次に、上述の化粧用シート100が含む薄膜シート12を被貼付面に貼付する方法について説明する。本開示の薄膜シート12の貼付方法は、化粧用シート100の構成に応じて適宜選択される。例えば、上述の化粧用シート100が、薄膜シート12およびこれに隣接する保湿剤層から構成される場合、薄膜シート12を、所望の治具に載置し、当該治具を用いて、薄膜シート12を被貼付面に密着させる。そして、治具を取り外すことで、薄膜シート12を被貼付面に貼付することができる。このとき、薄膜シート12と被貼付面とを密着させる前に、薄膜シート12、もしくは被貼付面に水あるいは保湿成分を含む上述の液体を塗布してもよい。水や保湿成分を含む液体の塗布によって、薄膜シート12に隣接して配置された保湿剤層中の保湿成分の濃度を調整できる。その結果、薄膜シート12と被貼付面とが密着しやすくなり、治具が剥がれやすくなる。また水を塗布した場合、被貼付面(例えば肌)と薄膜シート12との間に水の層ができるため、ユーザがべた付きを感じ難くなる。
【0068】
一方、化粧用シート100が、親水性基板11、薄膜シート12、および支持体13を含む場合、化粧用シート100から支持体13を剥離し、薄膜シート12を露出させる工程と、当該薄膜シート12を被貼付面に重ね合わせた後、親水性基板11を薄膜シート12から剥離する工程と、を行うことで、薄膜シート12を被貼付面に貼付できる。支持体13を剥離する際、水あるいは保湿成分を含む上述の液体を支持体13側から塗布してもよい。その場合、支持体13や薄膜シート12が水を含み、薄膜シート12と支持体13との間、および薄膜シート12と親水性基板11との間に、それぞれ非常に薄い水の層が形成される。その結果、薄膜シート12と支持体13とが離間し、支持体13を剥離しやすくなる。
【0069】
また、この場合においても、薄膜シート12と被貼付面とを密着させる前に、薄膜シート12、もしくは被貼付面に水あるいは保湿成分を含む上述の液体を塗布してもよい。これにより、薄膜シート12に隣接して配置された保湿剤層中の保湿成分の濃度を調整できる。その結果、薄膜シート12と被貼付面とが密着しやすくなり、親水性基板11から薄膜シート12を剥離しやすくなる。
【0070】
いずれの場合においても、水や液体の塗布方法は特に制限されず、例えば霧吹き等により塗布することができる。またその量は特に制限されず、薄膜シート12表面全体、もしくは被貼付面全体に満遍なく塗布可能な量であればよい。
【0071】
(その他)
なお、被貼付面が曲面を有する場合等には、被貼付面に貼付後の薄膜シート12にシワが発生したりする可能性がある。この場合、シワが生じた部分や、密着が不十分である部分を、ブラシや筆で撫でることが好ましい。ブラシや筆で薄膜シート12表面を撫でることで、薄膜シート12を被貼付面に密着させたり、シワを薄膜シート12の外縁側に移動させたりできる。また、よれた端を紐状にし、除去することも可能となる。
【0072】
使用する筆またはブラシの毛の硬さは、85N/cm2以下が好ましく、60N/cm2以下がより好ましい。毛の硬さが当該範囲であると、薄膜シート12を破損することなく、シワを解消することが可能となる。毛の硬さは、JIS S3016(1995)に準拠し、圧縮試験器により測定可能である。
【0073】
また、筆またはブラシの毛の薄膜シート12との接触面積は、3cm2以下が好ましい。接触面積が広すぎる場合、薄膜シート12を破損してしまう可能性が高まり、さらには広い面積に圧力が分散され、シワ等の解消が難しいことがある。
【0074】
また、筆またはブラシの毛の長さは均一であってもよいが、長さの異なる毛を2種以上含むことがより好ましい。長さの異なる毛を含むと、毛先と薄膜シート12とが接する点が最小限となる。そして、毛で薄膜シート12を撫でた際に生じる摩擦が抑制され、薄膜の破損が抑制されやすい。この場合、筆またはブラシの最長の毛と最短の毛の長さの差は、1~10mmが好ましく、1~5mmがより好ましい。
【0075】
また、上記の説明では、予め薄膜シート12と保湿剤層とが隣接して配置されている場合を説明したが、例えば薄膜シート12を被貼付面に貼付する前、もしくは貼付した後に、保湿成分を含む液体を薄膜シート12に塗布しても、同様の効果が得られる。
【0076】
4.化粧用セット
本開示の化粧用セットは、上述の化粧用シートと、当該化粧用シートに上述の液体を供給するための容器、もしくは保護部材と、を含む。以下、化粧用セットについて、4つの実施形態を説明するが、化粧用セットは、これらに限定されない。
【0077】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態に係る化粧用セットの断面図を
図2に示す。
図2に示すように、本実施形態に係る化粧用セット200は、上述の化粧用シート100(親水性基板21、薄膜シート22、支持体23、および保湿剤層(図示せず))と、支持体23側に接合された容器28と、を有する。
【0078】
支持体側に配置される容器28は、支持体23と略同一、もしくはこれより小さい開口を有する凹部28aを有する。当該化粧用セット200では、化粧用シート100が当該容器28(凹部28a)の蓋となる。当該容器28内には、上述の保湿成分を含む液体が収容される。
【0079】
当該容器28は、内部に収容する液体によって侵食されないものであれば、その材料は特に制限されず、その例には、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の樹脂材料;サトウキビ・葦・ケナフ等の自然素材で作られた材料;アルミ、ステンレス、ブリキ、スチール等の金属系材料;が含まれる。また、その形状は特に制限されず、十分な量の液体を収容可能であればよく、凹部28aの深さ等は適宜選択される。
【0080】
また、当該容器28は、接合部29によって親水性基板21に接合されている。接合部29は、支持体23や薄膜シート22を囲むように、接合していてもよい。また、接合部29は、例えば2点、もしくは3点以上で、容器28および親水性基板21を接合していてもよい。当該接合部29は、疎水性接着剤で構成されることが好ましい。本明細書でいう疎水性接着剤とは、疎水性ポリマーから構成され、硬化後も水に殆ど溶解しない接着剤をいう。疎水性接着剤の例には、各種熱可塑性樹脂接着剤や熱硬化性樹脂接着剤が含まれ、より具体的には、フェノール樹脂接着剤、酢酸ビニル系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコン系接着剤等が含まれる。
【0081】
当該化粧用セット200では、支持体23側から、容器28内に充填された液体が供給され、薄膜シート22側に保湿成分を含む液体が常に供給されている状態となる。そして、当該化粧用セット200の薄膜シート22を使用する際には、容器28から親水性基板21を取り外す。このとき、親水性基板21に薄膜シート22が配置されるように親水性基板21を取り外す。そして、親水性基板21を治具等として使用することで、被貼付面に薄膜シート22を貼付できる。
【0082】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態に係る化粧用セットの断面図を
図3に示す。また、
図3に示すように、本実施形態の化粧用セット300は、化粧用シート(支持体33、薄膜シート32、親水性基板31、および保湿剤層(図示せず))と、親水性基板31側に配置された容器38と、を有する。
【0083】
支持体に面するように配置される容器38は、親水性基板31と略同一、もしくはこれより小さい開口を有する凹部38aを有する。当該化粧用セット300でも、化粧用シート100が当該容器38(凹部38a)の蓋となる。当該容器38内には、上述の保湿成分を含む液体が収容される。当該容器38の材料や形状は、第1実施形態の化粧用セット200の容器28と同様とすることができる。
【0084】
また、当該化粧用セット300では、容器38が、接合部39によって親水性基板31と接合されている。接合部39は、親水性基板31の外周を囲むように、容器38と親水性基板31とを接合していてもよい。また、親水性基板31の外周を囲んでいなくてもよく、接合部39は、例えば2点、もしくは3点以上で、容器38および親水性基板31を接合していてもよい。当該接合部39は、疎水性接着剤で構成されることが好ましく、第1実施形態の化粧用セット200の接合部29と同様の疎水性接着剤を用いることができる。
【0085】
当該化粧用セット300では、親水性基板31側から、容器38内に充填された液体が供給され、薄膜シート32側に保湿成分を含む液体が常に供給される。そして、当該化粧用セット300の薄膜シート32を使用する際には、支持体33を薄膜シート32から剥離する。そして、親水性基板31や容器38を治具等として利用することで、被貼付面に薄膜シート32を貼付できる。
【0086】
[第3実施形態]
本開示の第3実施形態に係る化粧用セットの断面図を
図4に示す。
図4に示すように、本実施形態の化粧用セット400は、化粧用シート100(親水性基板41、薄膜シート42、支持体43、および保湿剤層(図示せず))と、当該化粧用シート100の薄膜シート42および支持体43を挟んで、親水性基板41に対向するように配置された保護部材47と、を有する。当該保護部材47は、化粧用シート100の薄膜シート42および支持体43を囲むように、親水性基板41と接合されている。
【0087】
保護部材47は、薄膜シート42および支持体43を覆い、かつ親水性基板41と接合可能な形状であればよい。本実施形態では、薄膜シート42および支持体43を収容するための凹部47aを囲む壁面および天面と、当該凹部47aの開口縁を囲むように配置された鍔部47bとを有する。当該保護部材47では、凹部47aに薄膜シート42および支持体43が収容され、鍔部47bと親水性基板41とが接着剤で接着される。ただし、保護部材47の形状はこれに限定されず、例えば平坦なシートであってもよい。
【0088】
保護部材47の材料は特に制限されず、上述の液体によって侵食されない材料であればよく、第1実施形態の化粧用セット200の容器28と同様の材料とすることができる。また、親水性基板41と保護部材47とを接着する接着剤は、疎水性接着剤であることが好ましく、第1実施形態の化粧用セット200の接合部29と同様の材料を用いることができる。
【0089】
当該化粧用セット400は、保護部材47および親水性基板41によって密封されているため、薄膜シート42に隣接して形成された保湿剤層(保湿成分を含む液体)が揮発し難い。そのため、親水性基板41と保護部材47とから構成される空間の内部に液体を充填しなくてもよいが、液体を充填したほうが、長期間に亘って、安定して保湿剤層を維持することが可能となる。
【0090】
当該化粧用シート400を使用する際には、保護部材47を剥がすことで、親水性基板41、薄膜シート42、および支持体43を取り出せる。そして、支持体43を剥離し、親水性基板41を治具等として利用することで、被貼付面に薄膜シート42を貼付できる。
【0091】
なお、親水性基板41に切り取り線が形成されている場合には、親水性基板41の切り取り線に沿って親水性基板41の一部を切り離すことで、薄膜シート42等を外部に取り出してもよい。
【0092】
また、上記の説明では、親水性基板41と保護部材47とを接着剤で接着していたが、親水性基板41と保護部材47との接合方法は特に制限されない。例えば親水性基板41の側面にねじ山が配置されており、保護部材47側に、当該ねじ山と嵌合可能なねじ部が設けられていてよい。この場合、保護部材47を一定方向に回転させることで、保護部材47を取り外すことができる。また、ゴム等の弾性体によって、親水性基板41の外縁部および保護部材47の鍔部47bを上下から挟み込み、親水性基板41と保護部材47とを密封してもよい。
【0093】
[第4実施形態]
本開示の第4実施形態に係る化粧用セット500の断面図を
図5に示す。化粧用セット500は、化粧用シート100と、当該化粧用シート100(親水性基板51、薄膜シート52、支持体53、および保湿剤層(図示せず))を覆う保護部材57と、を有する。
【0094】
本実施形態において、化粧用シート100を覆う保護部材57は、内部に化粧用シート100を収容可能であれば特に制限されない。保護部材57は、シート状の部材を接着剤等により貼り合わせた袋状の容器であってもよく、箱状の部材と、蓋となる部材とを接着剤等で貼り合わせた箱状の容器等であってもよい。当該保護部材57の材料は特に制限されず、第1実施形態の化粧用セット200の容器28と同様の材料とすることができる。
【0095】
当該化粧用セット500は、保護部材57によって密封されているため、薄膜シート52に隣接して配置された保湿剤層(保湿成分を含む液体)が揮発し難い。そのため、保護部材57の内部に液体を充填しなくてもよいが、液体を充填したほうが、長期間に亘って、安定して保湿剤層を維持することが可能となる。なお、保護部材57内には、各種気体(例えば不活性ガスや空気等)が封入されていてもよい。また、保護部材57内は減圧されていてもよい。
【0096】
本実施形態の化粧用セット500では、保護部材57の一部を切り取ったり、剥がしたりすることで、化粧用シート100を取り出すことができる。そして、取り出した化粧用シート100から、支持体53を剥離する。そして、親水性基板51を治具等として利用することで、被貼付面に薄膜シート52を貼付できる。
【実施例】
【0097】
以下において、実施例を参照して本開示を説明する。実施例によって、本開示の範囲は限定して解釈されない。
【0098】
[実施例1-1]
親水性基板を準備し、その上に、保湿成分を含む液体(グリセリン100質量%)を塗布した。一方、厚みが200nmのポリ乳酸シート(薄膜シート)を、平面視形状がポリ乳酸シートより大きい、ろ紙からなる支持体に貼り付けた。そして、薄膜シートが親水性基板の液体の塗布面(保湿剤層)に面するように薄膜シートおよび支持体を親水性基板に貼り付けた。その後、支持体を剥離し、露出した薄膜シートを被貼付面に貼付した。
【0099】
[実施例1-2~1-5、および比較例1]
親水性基板上に塗布する液体(保湿剤層)中のグリセリンの濃度を、表1に示すように変更した。なお、表1における残部は水である。液体の種類を変更した以外は、実施例1-1と同様にし、薄膜シートを被貼付面に貼付した。
【0100】
[評価]
被貼付面に貼付した薄膜シートについて、水に濡らしたり、擦ったり、一定時間放置し、以下のように評価した。なお、A~Dが実用上問題ないレベルである。
A:支持体を容易に剥離可能であり、12時間以上密着性が良好であり、水に濡れても、擦っても剥離が生じない
B:支持体を容易に剥離可能であり、12時間以上密着性が良好であり、擦っても剥離が生じないが、水に濡れると一部剥離発生
C:支持体を容易に剥離可能であり、12時間以上密着性は良好であるが、擦ると一部剥離発生
D:支持体を剥離し難いが、剥離できた場合には、12時間以上密着性が良好であり、擦ると一部剥離発生
E:支持体を容易に剥離可能であるが、12時間以内に乾燥して一部剥離発生
【0101】
【0102】
[結果]
上記表1に示されるように、保湿成分を含む保湿剤層を薄膜シートと親水性基板との間に形成し、薄膜シートを被貼付面に貼付した場合、時間が経過しても密着性が良好であった(実施例1-1~実施例1-5)。また特に、液体中の保湿成分(グリセリン)濃度が1~20質量%である場合には、密着性が良好であり、擦っても薄膜シートに剥離が生じなかった(実施例1-3~実施例1-5)。なお、上記実施例1-1~1-5では、親水性基板と薄膜シートとの間に保湿剤層を有するため、保湿剤層の厚み等にムラが生じ難かった。そのため、薄膜シート貼付の際に、薄膜シート(治具側)から被貼付面側に薄膜シートが容易に均一に移動しやすく、キワまでよれ難く、密着性が良好であった。
【0103】
なお、薄膜シートに隣接するように、保湿剤層を形成しなかった場合には、乾燥しやすく、経時で薄膜シートに一部剥がれが生じた(比較例1)。
【0104】
[実施例2-1]
厚みが200nmのポリ乳酸シート(薄膜シート)を、平面視形状がポリ乳酸シートより大きい、ろ紙からなる支持体に貼り付けた。別途親水性基板を準備し、薄膜シートが親水性基板に面するように貼り付けた。そして、支持体側から、保湿成分を含む液体(グリセリン100質量%)を塗布し、薄膜シートおよび支持体の間に保湿剤層を形成した。その後、支持体を剥離し、露出した薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0105】
[実施例2-2~実施例2-5、および比較例2]
支持体に塗布する液体(保湿剤層)中のグリセリンの濃度を、表2に示すように変更した。なお、表2における残部は水である。液体の種類を変更した以外は、実施例2-1と同様にし、薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0106】
【0107】
[結果]
上記表2に示されるように、保湿成分を含む保湿剤層を薄膜シートおよび支持体との間に形成し、薄膜シートを被貼付面に貼付した場合、時間が経過しても密着性が良好であった(実施例2-1~実施例2-5)。また特に、液体中の保湿成分(グリセリン)濃度が1質量%である場合には、密着性が良好であり、擦っても剥離が生じなかった(実施例2-5)。なお、上記実施例2-1~2-5では、支持体と薄膜シートとの間に保湿剤層を有するため、保湿剤層の厚み等にムラが生じ難かった。そのため、薄膜シート貼付の際に、薄膜シート(治具側)と被貼付面とが密着しやすかった。またこのとき、キワまでよれ難く、密着性が良好であった。
【0108】
なお、薄膜シートに隣接するように、保湿剤層を形成しなかった場合には、乾燥しやすく、経時で薄膜シートに一部剥がれが生じた(比較例2)。
【0109】
[実施例3-1]
親水性基板を準備し、その上に、保湿成分を含む液体(グリセリン100質量%)を塗布した。一方、厚みが200nmのポリ乳酸シート(薄膜シート)を、平面視形状がポリ乳酸シートより大きい、ろ紙からなる支持体に貼り付けた。そして、薄膜シートが親水性基板の液体の塗布面(保湿剤層)に面するように貼り付けた。その後、支持体を剥離し、露出した薄膜シートに水を噴霧した。そして、当該薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0110】
[実施例3-2~実施例3-5、および比較例3]
親水性基板上に塗布する液体中のグリセリンの濃度を、表3に示すように変更した。なお、表3における残部は水である。液体を変更した以外は、実施例3-1と同様にし、薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0111】
【0112】
[結果]
上記表3に示されるように、保湿成分を含む保湿剤層を薄膜シートに隣接して形成し、薄膜シートを被貼付面に貼付した場合、時間が経過しても密着性が良好であった(実施例3-1~実施例3-5)。また特に、液体中の保湿成分(グリセリン)濃度が20~100質量%である場合には、密着性が良好であり、水に濡れても擦っても剥離が生じなかった(実施例3-1~実施例3-3)。なお、上記実施例3-1~3-5では、親水性基板と薄膜シートとの間に保湿剤層を有するため、保湿剤層の厚み等にムラが生じ難かった。そのため、薄膜シート貼付の際に、薄膜シート(治具側)から被貼付面側に薄膜シートが容易に均一に移動しやすく、キワまでよれ難く、密着性が良好であった。
【0113】
なお、薄膜シートに保湿成分を含む保湿剤層を隣接させなかった場合には、乾燥しやすく、経時で薄膜シートに一部剥がれが生じた(比較例3)。
【0114】
[参考例4-1]
厚みが200nmのポリ乳酸シート(薄膜シート)を、被貼付面に貼り付けた。当該薄膜シートに、保湿成分を含む液体(グリセリン100質量%)を塗布した。そして、実施例1-1等と同様に評価した。
【0115】
[参考例4-2~4-5、および比較例4]
塗布する液体中のグリセリンの濃度を、表4に示すように変更した。なお、表4における残部は水である。液体の種類を変更した以外は、参考例4-1と同様にし、薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0116】
【0117】
[結果]
上記表4に示されるように、保湿成分を含む液体を薄膜シートに塗布した場合、時間が経過しても密着性が良好であった(参考例4-1~参考例4-5)。また特に、液体中の保湿成分(グリセリン)濃度が20~100質量%である場合には、密着性が良好であり、擦っても剥離が生じなかった(参考例4-1~参考例4-3)。
【0118】
なお、薄膜シートに保湿成分を含む液体を塗布しなかった場合には、乾燥しやすく、経時で薄膜シートに一部剥がれが生じた(比較例4)。
【0119】
[参考例5-1]
被貼付面に保湿成分を含む液体(グリセリン100質量%)を塗布した。そして、被貼付面に厚みが200nmのポリ乳酸シート(薄膜シート)を貼り付けた。そして、実施例1-1等と同様に評価した。
【0120】
[参考例5-2~5-5、および比較例5]
被貼付面に塗布する液体中のグリセリンの濃度を、表5に示すように変更した。なお、表5における残部は水である。液体の種類を変更した以外は、参考例5-1と同様にし、薄膜シートを被貼付面に貼付し、実施例1-1等と同様に評価した。
【0121】
【0122】
[結果]
上記表5に示されるように、保湿成分を含む液体を被貼付面に塗布した場合、時間が経過しても密着性が良好であった(参考例5-1~参考例5-5)。なお、被貼付面に保湿成分を含む液体を塗布しなかった場合には、乾燥しやすく、経時で薄膜シートに一部剥がれが生じた(比較例5)。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示の化粧用シートは、薄膜シートを貼付した後に、薄膜シートが乾燥し難く、剥離等が生じ難い。したがって、変色部位を目立たなくしたり、当該変色部位を装飾したりする用途等に非常に有用である。
【符号の説明】
【0124】
11、21、31、41、51 親水性基板
12、22、32、42、52 薄膜シート
13、23、33、43、53 支持体
28、38 容器
47、57 保護部材
100 化粧用シート
200、300、400、500 化粧用セット