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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電気装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240906BHJP
   H02G 3/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H02G3/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020042354
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021145034
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-02-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松塚 凌
(72)【発明者】
【氏名】中村 守雄
(72)【発明者】
【氏名】京面 公士
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】村松 貴士
【審判官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-87934(JP,A)
【文献】特開平3-55705(JP,A)
【文献】特開2015-154279(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0259403(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H02G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸熱体と、
前記吸熱体の一の方向における両側にそれぞれ配置される第1基板及び第2基板と、
前記吸熱体、前記第1基板及び前記第2基板を収容するハウジングと、
前記吸熱体と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部が前記ハウジングの外部に露出する露出部と、
前記ハウジングを取付対象に取り付けるための取付枠と、
を備え、
前記吸熱体は、前記取付枠の一部として構成されていて、かつ、前記取付枠の周縁部位より凹んだ板状の部位であり、
前記第1基板は、凹んだ前記吸熱体内に収まるように配置され、
前記吸熱体、前記第1基板、及び前記第2基板は、これらの厚み方向が揃うように、かつ前記吸熱体が前記第1基板と前記第2基板との間に位置するように、かつ、前記一の方向に沿って見て、これらの投影領域が互いに合致するように配置され
前記第1基板と前記吸熱体との間に放熱材が介在し、
前記吸熱体の深さは、前記放熱材の厚みよりも大きい、
電気装置。
【請求項2】
吸熱体と、
前記吸熱体の一の方向における両側にそれぞれ配置される第1基板及び第2基板と、
前記吸熱体、前記第1基板及び前記第2基板を収容するハウジングと、
前記吸熱体と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部が前記ハウジングの外部に露出する露出部と、
を備え、
前記ハウジングは、前記吸熱体と対向する一面が開放された箱状のケースを有し、
前記ケースは、前記一面の周縁に周縁端面を有し、
前記第2基板は、前記吸熱体と対向する前記第2基板の前面が前記周縁端面よりも手前に位置するように、前記ケース内に収容される、
電気装置。
【請求項3】
前記露出部は、前記ハウジングを取付対象に取り付けるための取付枠の一部を構成する、
請求項1又は2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記取付枠は、大角形連用配線器具の取付枠である、
請求項3に記載の電気装置。
【請求項5】
前記吸熱体と前記露出部とは、同一部材として一体となって形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項6】
前記ハウジングの少なくとも一部は、金属製である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項7】
前記第1基板は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項8】
前記第2基板は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項9】
前記有線通信回路は、電力線搬送通信方式により通信を行う、
請求項8に記載の電気装置。
【請求項10】
前記一の方向とは、前記ハウジングの前後方向に沿った方向であり、
前記吸熱体は、前記露出部より後ろに位置する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項11】
前記吸熱体及び前記露出部の少なくとも一方と、前記ハウジングとの間に配置される断熱部材を、更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項12】
前記断熱部材は、枠状に形成されていて、前記第2基板の厚み方向に沿って見て、前記第2基板の周囲を囲むように配置される、
請求項11に記載の電気装置。
【請求項13】
前記第1基板、及び前記第2基板の少なくとも一方の一面には、発熱部品が実装され、
前記一面は、前記吸熱体と対向する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項14】
前記第1基板、及び前記第2基板の少なくとも一方の一面には、ICを構成する前記発熱部品が表面実装されている、
請求項13に記載の電気装置。
【請求項15】
前記吸熱体は、板状の部位であり、
前記吸熱体、前記第1基板、及び前記第2基板は、これらの厚み方向が揃うように、かつ前記吸熱体が前記第1基板と前記第2基板との間に位置するように、配置される、
請求項2に記載の電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電気装置に関する。より詳細には、本開示は、ハウジングを備える電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁埋め込み型デジタル回線終端装置の構造が開示されている。この構造によれば、装置を収容するプラスチック製の外部筐体は、内部スペースに装置の回路機能を有するパッケージが組み込まれたパネル部と、スイッチボックス部と、パネル部及びスイッチボックス部を接合させるアタッチメント部とからなる。そして、スイッチボックス部の壁面に接触する部位の材質を金属で構成し、回路機能のうち高発熱部を集中的に配置する。その結果、壁面への放熱効率が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-340664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における壁埋め込み型デジタル回線終端装置の構造では、依然として十分な放熱効果が望めない可能性があり、更なる放熱の改善が要望される。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、ハウジング内部の放熱に関する改善を図ることができる、電気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の電気装置は、吸熱体と、第1基板及び第2基板と、ハウジングと、露出部と、前記ハウジングを取付対象に取り付けるための取付枠と、を備える。前記第1基板及び前記第2基板は、前記吸熱体の一の方向における両側にそれぞれ配置される。前記ハウジングは、前記吸熱体、前記第1基板及び前記第2基板を収容する。前記露出部は、前記吸熱体と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部が前記ハウジングの外部に露出する。前記吸熱体は、前記取付枠と一体となって形成されていて、かつ、前記取付枠より凹んだ板状の部位である。前記第1基板は、凹んだ前記吸熱体内に収まるように配置される。前記吸熱体、前記第1基板、及び前記第2基板は、これらの厚み方向が揃うように、かつ前記吸熱体が前記第1基板と前記第2基板との間に位置するように、かつ、前記一の方向に沿って見て、これらの投影領域が互いに合致するように配置される。前記第1基板と前記吸熱体との間に放熱材が介在する。前記吸熱体の深さは、前記放熱材の厚みよりも大きい。
本開示の別の一態様の電気装置は、吸熱体と、第1基板及び第2基板と、ハウジングと、露出部と、を備える。前記第1基板及び前記第2基板は、前記吸熱体の一の方向における両側にそれぞれ配置される。前記ハウジングは、前記吸熱体、前記第1基板及び前記第2基板を収容する。前記露出部は、前記吸熱体と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部が前記ハウジングの外部に露出する。前記ハウジングは、前記吸熱体と対向する一面が開放された箱状のケースを有する。前記ケースは、前記一面の周縁に周縁端面を有する。前記第2基板は、前記吸熱体と対向する前記第2基板の前面が前記周縁端面よりも手前に位置するように、前記ケース内に収容される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジング内部の放熱に関する改善を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電気装置の正面から見た斜視図である。
図2図2は、同上の電気装置の背面から見た斜視図である。
図3図3は、同上の電気装置の正面から見た分解斜視図である。
図4図4は、同上の電気装置における要部の正面から見た分解斜視図である。
図5図5は、同上の電気装置における第2基板及びケースの斜視図である。
図6図6Aは、同上の電気装置における取付枠の正面図であり、図6Bは、当該取付枠の上面図である。
図7図7は、同上の電気装置を複数備えるネットワークシステムを概念的に示すブロック図である。
図8図8は、同上の電気装置の変形例1における要部の正面から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
本実施形態に係る電気装置1(図1参照)は、図4に示すように、吸熱体A1と、第1基板11及び第2基板12と、ハウジング3と、露出部B1と、を備えている。第1基板11及び第2基板12は、吸熱体A1の一の方向における両側にそれぞれ配置される。ハウジング3は、吸熱体A1、第1基板11及び第2基板12を収容する。吸熱体A1は、一例として板状の部位であり、ここでいう「一の方向」は、吸熱体A1の厚み方向とする。
【0011】
ここでは一例として、電気装置1は、通信端末6と、Wi-Fi(登録商標)等の規格に準拠した無線通信を行う無線LAN(Local Area Network)等のアクセスポイント101としての機能を有する装置であることを想定する。通信端末6は、アクセスポイントに接続されることでLAN等のネットワークに接続される。また電気装置1は、電力線L1を介した、電力線搬送通信方式(PLC:Power Line Communication)により通信を行う機能を有する装置であることを想定する。つまり、電気装置1は、Wi-Fi(登録商標)用の無線通信信号(以下、第1信号と呼ぶ)と、PLC用の有線通信信号(以下、第2信号と呼ぶ)との相互変換の機能を有する装置であることを想定する。ハウジング3は、施工面300(図1参照)に固定される。
【0012】
ここでは第1基板11は、無線通信回路4(図7参照)を構成する回路部品40(図4参照)が実装される実装基板である。また第2基板12は、有線通信回路5(図7参照)を構成する回路部品50(図4参照)が実装される実装基板である。
【0013】
そして本実施形態では、露出部B1は、吸熱体A1と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部がハウジング3の外部に露出する(図2参照)。ここでは一例として、吸熱体A1と露出部B1とは、同一部材として一体となって形成されている。
【0014】
この構成によれば、第1基板11及び第2基板12が吸熱体A1の一の方向における両側にそれぞれ配置されて、吸熱体A1と熱的に結合されている露出部B1の少なくとも一部がハウジング3の外部に露出する。そのため、第1基板11及び第2基板12における熱が、吸熱体A1及び露出部B1を介して、ハウジング3の外部に放出されやすくなる。結果的に、電気装置1には、ハウジング3内部の放熱に関する改善を図ることができる、という利点がある。
【0015】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る電気装置1、及び電気装置1を複数備えるネットワークシステム100の全体構成について、図1図7を参照しながら詳しく説明する。
【0016】
(2.1)全体構成
本実施形態では、電気装置1は、施設の施工面300に固定される。本開示でいう「施工面」は、電気装置1が固定される部材の表面であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物の表面、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)の表面等を含む。電気装置1が設置される施設は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設である。本実施形態では一例として、電気装置1は、戸建住宅の壁面からなる施工面300に取り付けられる、埋込型の装置あると仮定する。
【0017】
以下では、施工面300(壁面)に電気装置1が取り付けられた状態(図1参照)での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、電気装置1を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する場合がある。また、上下方向と直交し、かつ施工面300に平行な方向を「左右方向」とし、電気装置1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり施工面300に直交する方向を「前後方向」とし、施工面300の裏面側(壁裏側)を「後方」として説明する場合がある。図1及び図2では、上下、左右、及び前後の方向を矢印で図示するが、これらの矢印は、説明の便宜上、図示されているだけに過ぎず、実体を伴うものではない。またこれらの方向は、電気装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。ここでは、上述した「一の方向」、すなわち吸熱体A1の厚み方向は、ハウジング3の前後方向に沿った方向である。
【0018】
通信端末6は、アクセスポイント101と無線通信を行う機能を持つ端末であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、コンピュータゲーム機、設備機器又は家電機器等である。家電機器の例としては、ネットワークテレビ、冷蔵庫、洗濯機又は空調機器等がある。これらの通信端末6は、それぞれ人の操作を受け付ける機能として、例えば、タッチパネルディスプレイ又は外付けの操作デバイス(キーボード及びポインティングデバイス等)からの入力信号を受け付ける操作入力機能を有している。また、これらの通信端末6は、それぞれ人に情報を提示する機能として、例えば、ディスプレイに情報を表示する表示機能を有している。
【0019】
本実施形態では、アクセスポイント101(電気装置1)と通信端末6とは、双方向に通信可能である。本実施形態では一例として、アクセスポイント101(電気装置1)と通信端末6との間の無線通信は、Wi-Fi(登録商標)に準拠した無線通信であることとする。つまり、電気装置1は、無線通信回路4(図7参照)を備え、無線通信回路4により、各電気装置1と通信端末6との間の通信は、電波を伝送媒体とする無線通信にて実現されることになる。
【0020】
本開示でいう「メッシュネットワーク」は、複数のアクセスポイント101を含み、かつ通信端末6が、複数のアクセスポイント101に対してシームレスに接続可能な態様であるネットワークを意味する。メッシュネットワークを構築する複数のアクセスポイント101は、相互に通信して連携することにより、通信端末6と通信を行うアクセスポイント101のシームレスな切り替えを実現する。その結果、1つのアクセスポイント101の通信可能範囲に比べて、1つのメッシュネットワークの通信可能範囲を拡大することが可能である。本実施形態は、上述のようにアクセスポイント101(電気装置1)と通信端末6とはWi-Fi(登録商標)により通信するので、複数のアクセスポイント101にて構築されるメッシュネットワークはメッシュWi-Fi(登録商標)である。一般的に、メッシュWi-Fi(登録商標)を構築する複数のアクセスポイント101は、共通のSSID(Service Set Identifier)及びパスワード(パスフレーズ)を有する。
【0021】
そして、電気装置1を含む複数のアクセスポイント101は、メッシュネットワークからなるネットワークシステム100を構築する。言い換えれば、本実施形態に係るネットワークシステム100は、電気装置1を含む複数のアクセスポイント101を備える。このネットワークシステム100は、これら複数のアクセスポイント101にて、メッシュネットワークを構築する。これら複数のアクセスポイント101のうちの少なくとも1つは、本実施形態に係る電気装置1である。本実施形態では一例として、図7に示すように、ネットワークシステム100を構成する複数(図示例では3つ)のアクセスポイント101は、いずれも電気装置1である。すなわち、複数のアクセスポイント101は、同一の構成を有する複数台の電気装置1からなる。そのため、以下では、特に断りがない限り、1台の電気装置1について述べる構成は、複数のアクセスポイント101の全てにおいて共通の構成であることとする。複数のアクセスポイント101は、施設内において分散して配置される。例えば1つのアクセスポイント101は、施設内の1つの部屋に設置され得る。
【0022】
ここで複数のアクセスポイント101である複数の電気装置1は、互いに通信可能に構成されている。本実施形態では、複数の電気装置1は、いずれも例えば施工面300(壁面)の裏側に配置された電力線L1に接続されることで有線接続されている。複数の電気装置1は、電力線搬送通信方式(PLC)により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受する。つまり、電気装置1は、有線通信回路5(図7参照)を更に備え、有線通信回路5により、各電気装置1と他の電気装置1(アクセスポイント101)との間の通信は、電力線L1を媒体とする有線通信にて実現されることになる。
【0023】
ところで、ネットワークシステム100は、メッシュネットワークとは別の外部ネットワークNT1(図7参照)に接続されている。外部ネットワークNT1は、例えば、インターネット等の公衆網である。ネットワークシステム100は、外部ネットワークNT1に対して、光回線終端装置7を介して接続される。図7では、光回線終端装置7を「ONU」(Optical Network Unit)と表記する。光回線終端装置7は、施設に設置されており、施設に引き込まれた光ファイバに接続される。光回線終端装置7は、光回線(光ファイバ)により外部ネットワークNT1に接続され、光信号と電気信号との相互変換を行う。これにより、ネットワークシステム100は、光回線終端装置7及び光回線(光ファイバ)を介して外部ネットワークNT1に接続されることになる。
【0024】
複数のアクセスポイント101は、例えば、親機又は子機のいずれかに分類される。親機はネットワークシステム100内に1台のみ存在し、子機はネットワークシステム100内に1台以上存在する。本実施形態では、ネットワークシステム100は、1台の親機としてのアクセスポイント101と、複数台(図7では2台)の子機としてのアクセスポイント101と、を備えている。親機は外部ネットワークNT1に接続され、1台以上の子機は親機に接続される。ここでは、親機としてのアクセスポイント101(電気装置1)は、光回線終端装置7に接続されることにより、光回線終端装置7を介して間接的に、外部ネットワークNT1に接続される。親機としてのアクセスポイント101と光回線終端装置7との間は、例えば、LANケーブルにて接続される。親機は「ルータ」としての機能を有し、子機は「サテライト」としての機能を有する。そのため、1台以上の子機のSSID及びパスワードは、親機のSSID及びパスワードと共通である。すなわち、複数のアクセスポイント101は、メッシュネットワークとは別の外部ネットワークNT1に接続される親機と、親機に接続される1台以上の子機と、を含む。子機は、親機の識別子(一例としてSSID)と同一の識別子を使用する。
【0025】
このようにネットワークシステム100は、インターネット等の外部ネットワークNT1に接続されている。したがって、通信端末6は、メッシュネットワークに接続されることで、メッシュネットワークを介して、インターネット等の外部ネットワークNT1に接続される。本実施形態では、施設の全体が、メッシュネットワークの通信可能範囲に含まれる。そのため、通信端末6は、施設のどこにあっても、メッシュネットワークを介して外部ネットワークNT1に接続可能となる。
【0026】
(2.2)電気装置
次に、本実施形態に係る電気装置1について、図1図7を参照して説明する。
【0027】
上述したように、本実施形態では一例として、電気装置1は、施設の壁面からなる施工面300に取り付けられる、埋込型の装置である。つまり、電気装置1は、施工面300に固定され、施工面300の裏側を通した配線(電力線L1を含む)を接続可能に構成される。特に、この電気装置1は、施工面300に形成されている施工孔に、ハウジング3の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、施工面300に固定される、埋込型の装置である。
【0028】
また本実施形態では一例として、電気装置1は、負荷のプラグが接続されて負荷への電力供給を行うコンセント(Outlet)の機能を有している。電気装置1は、接地極無しの交流100V用であって、1個のプラグを接続可能な1個口タイプのコンセントブロック15を備えている。つまり、本実施形態では、電気装置1が、コンセントの機能を有した埋込型の配線器具として提供されることを想定する。
【0029】
ここではコンセントブロック15について詳細な説明を省略するが、コンセントブロック15は、電気装置1を正面から見て中央よりも下側の領域(上下方向における約三分の一の領域)に配置される。コンセントブロック15は、負荷の栓刃であるAタイプのプラグが差し込まれる一対の差込口150(図1参照)を有し、差込口150に栓刃が差し込まれることで、その内部に配置される刃受け部材と電気的及び機械的に接続される。
【0030】
図示例では、電気装置1は、Aタイプのプラグ用のコンセントブロック15を備えているが、ピンであるBタイプ又はCタイプのプラグ用のコンセントブロックを備えてもよい。また電気装置1は、2個のプラグを同時に接続可能な2個口タイプのコンセントブロックを備えてもよい。
【0031】
コンセントブロック15は、その背面側に電線挿通孔を有している(図2では図示を省略)。電線挿通孔には、例えば単相100V、60Hzの商用の交流電源(系統電源)と電気的に接続されている配線(電力線L1を含む)が差し込まれて、コンセントブロック15の内部にある速結端子(ねじなし端子)等に固定される。したがって、負荷は、プラグをコンセントブロック15に差し込むことで、上記交流電源から電力供給を受けることができる。
【0032】
電気装置1は、コンセントブロック15に加えて、回路ブロック10(図7参照)と、取付枠2と、ハウジング3と、化粧プレート13と、固定プレート14と、第1放熱材T1及び第2放熱材T2と、断熱部材C1とを更に備えている。
【0033】
回路ブロック10は、複数の回路基板(プリント配線板)と、複数の回路基板に実装された種々の電子部品(回路部品40,50)と、を有している。詳しくは後述するが、回路ブロック10は、無線通信回路4と有線通信回路5(図7参照)を含んでいる。回路ブロック10は、回路基板として、少なくとも2枚の基板(第1基板11及び第2基板12)を含んでいる。
【0034】
ハウジング3は、施工面300に固定される。ハウジング3は、無線通信回路4と有線通信回路5とを含む回路ブロック10を収容する。ハウジング3には、回路ブロック10の他、端子を構成する端子板等の内部部品が適宜収容される。ハウジング3は、電気絶縁性を有する合成樹脂製であるカバー31と、一部が金属製のケース32とを有している。言い換えると、ハウジング3の少なくとも一部は、金属製である。
【0035】
本実施形態では、ハウジング3は、全体として略直方体状であって、正面から見ると、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。ただし、ケース32は、2個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。
【0036】
カバー31は、図1に示すように、ハウジング3が施工面300に取り付けられた状態で前方(室内側)に露出する前面310を有している。ここでは、カバー31の前面310が、ハウジング3の前面に相当する。前面310は、鉛直方向の寸法が水平方向の寸法よりも大きい長方形状である。
【0037】
カバー31は、図3に示すように、カバー本体311と、一対の脚部312と、一対の爪片313(図2参照)とを有している。カバー本体311、一対の脚部312、及び一対の爪片313は、同一部材から一体となって形成されている。カバー31は、ケース32に対して取外し可能に取り付けられる。
【0038】
カバー本体311は、正面視が略正方形である。カバー本体311は、前後方向において扁平な箱状であり、背面が開放されている。カバー本体311の背面側には、3本のねじJ1をねじ止めするためのねじ穴を有した3つのボス、及び2本のねじJ2をねじ止めするためのねじ穴を有した2つのボスが設けられている。ケース32及び取付枠2は、3本のねじJ1を介して、カバー本体311に固定される。第1基板11は、2本のねじJ2を介して、カバー本体311に固定される。
【0039】
一対の脚部312は、略帯板状の部位であり、カバー本体311の下縁における左右両隅から下方に突出している。各脚部312の下端部は、後方に突出している。ケース32及び取付枠2がカバー31に組み付けられた状態では、下端部の後方に突出した部位が、取付枠2の前面に接触するため、脚部312が安定的に位置決めされる。一対の脚部312は、コンセントブロック15を左右両側から挟み込むように配置される。各脚部312の前面は、カバー本体311の前面と連続的に形成されていて面一である。また各脚部312の前面は、コンセントブロック15の前面151と略面一である。要するに、一対の脚部312が設けられていることで、カバー31の前面310には、コンセントブロック15の前面151をハウジング3の外部に露出するための窓部314が形成されている。窓部314は、カバー31の下縁から上方へ、矩形状に凹むように形成されている。結果的に、カバー31は、正面から見て、その下側の領域が逆U字状となっている。
【0040】
一対の爪片313は、カバー本体311の背面側の下縁における左右の両端からそれぞれ後方に突出する板状の部位である。一対の爪片313は、それぞれ厚み方向(上下方向)に貫通した孔部315(図2参照)を有している。
【0041】
ハウジング3の組立の際には、まず、カバー31の2個の爪片313を、取付枠2に形成されているスリット24(図4及び図6A参照)に挿入する。そして、2個の爪片313の孔部315に、ケース32の下面から突出する2個の凸部をそれぞれ嵌め込み、カバー31をケース32に仮保持させる。その仮保持の状態で、3本のねじJ1でねじ止めすることで、カバー31とケース32とが組み付けられる。
【0042】
このように構成されたカバー31は、カバー本体311の裏側に配置される第1基板11等をカバー本体311で覆いつつ、前面310とコンセントブロック15の前面151とが略面一となる形態で、コンセントブロック15を露出する。したがって、電気装置1は、外観上の見栄えがよい。
【0043】
ケース32は、全体として前面が開放された略矩形の箱状となっている。本実施形態では一例として、ケース32は、図2に示すように、金属製の第1ブロック32Aと、樹脂製の第2ブロック32Bとから構成される。第2ブロック32Bは、ケース32の左下の一角を占める部位であり、第1ブロック32Aは、左下の一角を除くケース32の大半を占める部位である。
【0044】
第1ブロック32Aには、(後述する)電源回路8を構成する複数の回路部品が実装される第3基板80(電源基板:図5参照)等が収容される。第2ブロック32Bは、その背面側に、一対の電線(電力線L1:図7では1本で図示)が挿通される一対の挿通孔321(図2参照)を有している。第2ブロック32Bには、一対の挿通孔321に挿通された一対の電線(電力線L1)がそれぞれ接続される速結端子(ねじなし端子)が収容されている。一対の電線(電力線L1)が速結端子に接続されることで、例えば、有線通信回路5のカプラにおける結合トランスの一次巻線を介して、電源回路8に電力供給が達成される。なお、結合トランスは、一次巻線と電磁結合される二次巻線とを含み、電力線L1に重畳される第2信号(PLC用の有線通信信号)は、二次巻線を介して、有線通信回路5のメイン回路に入力される。
【0045】
第1ブロック32Aは、例えばアルミダイカストにより形成されている。第1ブロック32Aは、図2に示すように、その背面側に、放熱用のフィン部322を有している。その結果、電源回路8等で発生する熱が、フィン部322を通じて効率良く放出され得る。特に本実施形態では、第1ブロック32Aは、その表面全体にアルマイト処理が施されて黒色に着色される。そのため、更に熱の放射率が向上される。
【0046】
ケース32は、その前面に、断熱部材C1(図4参照)と接触する周縁端面320(図5参照)を有している。周縁端面320は、互いに略面一となっている第1ブロック32Aの前端面と第2ブロック32Bの前端面とから構成される。第2基板12は、その前面が周縁端面320よりも僅かに手前に位置するようにケース32内に収容される。
【0047】
取付枠2は、一例として金属製である。取付枠2は、例えば日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。具体的には、取付枠2は、コンセントブロック15を最大で3個まで上下方向に並べて取り付けることができる「3個用」の大角形連用配線器具の取付枠と同程度の上下及び左右の寸法を有している。ただし、本実施形態の取付枠2は、正面視において下側の領域(三分の一の領域)に、前後方向に貫通し、1個分のコンセントブロック15のみを取り付けることが可能な窓20を有している。
【0048】
窓20の左右の両縁には、図6Aに示すように、コンセントブロック15を固定するための固定部23(左側の突起片23Aと右側のかしめ片23B)が設けられている。例えばコンセントブロック15の左壁にある溝部に突起片23Aを差し込み、ドライバ等の工具でかしめ片23Bを左方にかしめることで、かしめ片23Bがコンセントブロック15の右壁にある溝部152(図4参照)に差し込まれる。その結果、コンセントブロック15が取付枠2に取り付けられる。
【0049】
取付枠2は、正面視において中央及び上側の領域(三分の二の領域)は塞がっている。具体的には、取付枠2は、中央及び上側の領域(三分の二の領域)に、板状の部位を有していて、当該部位が、本開示における「吸熱体A1」に相当する。すなわち、電気装置1は、吸熱体A1を備える。取付枠2は金属製であるため、吸熱体A1も金属製の部位である。吸熱体A1は、全体的に後方に凹んだ板状の部位である。したがって、図6Bに示すように、取付枠2を上方から見ると、吸熱体A1が取付枠2の周縁部位よりも後方に突出している。吸熱体A1は、その厚み方向が前後方向に沿うように配置される。図6Aでは、吸熱体A1をドットハッチングで示す。
【0050】
取付枠2は、吸熱体A1と、コンセントブロック15を固定する固定部23との間に、カバー31の2個の爪片313を挿通するためのスリット24を有している。スリット24は、前後方向に貫通する。スリット24は、窓20と連通している。
【0051】
回路ブロック10の第1基板11及び第2基板12は、吸熱体A1の厚み方向における両側にそれぞれ配置される。ここでは一例として、吸熱体A1、第1基板11、及び第2基板12は、これらの厚み方向が揃うように、かつ吸熱体A1が第1基板11と第2基板12との間に位置するように、配置される。カバー31とケース32とは、前後方向において、第1基板11及び第2基板12を覆うように、吸熱体A1を含む取付枠2を挟み込んだ形態で組み付けられる。結果的に、吸熱体A1、第1基板11及び第2基板12は、ハウジング3内に収容される。このように板状の吸熱体A1、第1基板11、及び第2基板12がこれらの厚み方向を揃えて配置されることで、電気装置1全体としての薄型化を図ることができる。
【0052】
具体的には、第1基板11は、図4に示すように、前後方向における端面として、第1面11A及び第2面11Bを有している。第1面11Aは前面である。第2面11Bは背面である。第1基板11は、第2面11B(背面)が第1放熱材T1を間に介して吸熱体A1の前面A10(内底面)と対向するように、吸熱体A1の前側に配置される。
【0053】
第2基板12は、図4及び図5に示すように、前後方向における端面として、第1面12A及び第2面12Bを有している。第1面12Aは前面である。第2面12Bは背面である。第2基板12は、第1面12A(前面)が第2放熱材T2を間に介して吸熱体A1の背面A12(図6B参照)と対向するように、吸熱体A1の後ろ側に配置される。
【0054】
第1基板11及び第2基板12は、上述の通り、プリント配線板である。第1基板11及び第2基板12は、互いに略同形(正面視において略正方形状)で略同寸法を有している。第1基板11は、正面視において、その投影領域が第2基板12とほぼ重なり合うように配置される。そして、本実施形態では、第1基板11及び第2基板12の少なくとも一方(ここでは両方)の、吸熱体Aと対向する一面には、後述する発熱部品X1が実装される。
【0055】
第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、熱源(発熱部品X1)が発した熱を効果的に吸熱体A1に伝える放熱材料(TIM:Thermal Interface Material)から形成されている。第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、例えば、シリコーンシート又はエラストマーシート等のシート状の部材である。第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、電気絶縁性を有しており、熱を効果的に吸熱体A1に伝える一方で、第1基板11及び第2基板12と(金属製の)吸熱体A1と電気絶縁距離を確保する。本実施形態では、第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、互いに略同形(正面視において略正方形状)で略同寸法を有している。特に第1放熱材T1及び第2放熱材T2の厚みは、互いに略同じである。
【0056】
本実施形態では、第1放熱材T1及び第2放熱材T2の各々は、その上下及び左右の寸法が、第1基板11及び第2基板12の各々と略同じである。そして、第1基板11、第1放熱材T1、吸熱体A1、第2放熱材T2、及び第2基板12は、前方からこの順番で配置され、正面視において、これらの投影領域は全て概ね合致する。なお、第1放熱材T1及び第2放熱材T2の各々の厚みは、第1基板11及び第2基板12の各々の厚みより大きい。
【0057】
第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、右下隅近傍において、基板接続用のコネクタ16(図4及び図5参照)を通すための孔部H1,H2をそれぞれ有している。また吸熱体A1もコネクタ16を通すための孔部H3を有している。
【0058】
第1放熱材T1は、四隅のうち左下隅を除く三隅に、3本のねじJ1の接触を回避するための3つの切欠きK1を有している。同様に第2放熱材T2、第1基板11及び第2基板12も、四隅のうち左下隅を除く三隅に、3本のねじJ1の接触を回避するための3つの切欠きK2、3つの切欠きK3、及び3つの切欠きK4をそれぞれ有している。吸熱体A1は、四隅のうち左下隅を除く三隅に、3本のねじJ1がそれぞれ挿通される3つの挿通孔A11を有している(図6A参照)。第1基板11は、四隅のうち左下隅の近傍と右上隅の近傍とに、2本のねじJ2がそれぞれ挿通される2つの挿通孔M1を有している。
【0059】
第1基板11と第1放熱材T1とは、互いに概ね面接触した形態で、全体的に後方に凹んだ吸熱体A1内に収まるように配置される。第1放熱材T1は、吸熱体A1の前面A10(底面)と接触する。したがって、第1基板11は、第1放熱材T1を介して、吸熱体A1と熱的に結合されている。なお、吸熱体A1の前後方向における深さは、第1放熱材T1の厚みよりも僅かに大きい。したがって、第1基板11と第1放熱材T1が吸熱体A1内に収まった状態において、第1基板11だけが僅かに取付枠2の前面よりも前方に突き出た形態となっている。
【0060】
第2基板12と第2放熱材T2とは、互いに概ね面接触した形態で配置される。第2放熱材T2は、吸熱体A1の背面A12と接触する。したがって、第2基板12は、第2放熱材T2を介して、吸熱体A1と熱的に結合されている。
【0061】
また取付枠2における枠状の周縁部位が、本開示における「露出部B1」に相当する。すなわち、電気装置1は、露出部B1を備える。露出部B1は、吸熱体A1と熱的に結合されている。露出部B1は、図2に示すように、少なくとも一部がハウジング3の外部に露出する。図2では、露出部B1をドットハッチングで示す。本実施形態では、露出部B1の前面は、その手前に位置する固定プレート14によって概ね覆われるため、電気装置1全体で見れば、露出部B1の上下及び左右の周面、並びに背面が電気装置1の外部に露出することになる。
【0062】
本実施形態では一例として、吸熱体A1及び露出部B1の各々が取付枠2の一部を構成する。つまり、吸熱体A1と露出部B1とは、同一部材として一体となって形成されている。図6Bに示すように、吸熱体A1は、露出部B1より後ろに位置する。
【0063】
本実施形態では、取付枠2は、カバー31とケース32とで前後方向において挟み込むように一体的に組み付けられる。取付枠2は、正面視において、上下方向に長尺の矩形枠状に形成されている。
【0064】
取付枠2は、例えばアルミダイカストにより形成されている。特に本実施形態では、取付枠2は、その表面全体にアルマイト処理が施されて黒色に着色される。そのため、露出部B1における熱の放射率が更に向上される。
【0065】
断熱部材C1は、正面視において正方形の枠状の、樹脂製の部位である。断熱部材C1は、第2基板12及び第2放熱材T2の上下及び左右の周囲を囲むように配置される。特に断熱部材C1は、吸熱体A1及び露出部B1の少なくとも一方と、ハウジング3との間に配置される。ここでは一例として、断熱部材C1は、吸熱体A1の背面A12における周縁と、全周にわたって接触する。断熱部材C1は、ケース32の前面における周縁端面320(図5参照)と略同形で、かつ略同寸法である。断熱部材C1は、周縁端面320と全周にわたって接触する。要するに、断熱部材C1は、吸熱体A1とケース32との間に配置される。断熱部材C1が配置されることで、吸熱体A1の熱が、ケース32(ハウジング3)に伝わりにくくなる。
【0066】
取付枠2は、一対の取付孔21と、一対のプレート固定孔22とを更に有している。一対の取付孔21を通して、一対の取付ねじが、施工面300の施工孔に埋込設置されるスイッチボックス等の取付対象200(図3参照)に締め付けられることで、取付枠2は、施工面300に取り付けられる。言い換えると、取付枠2は、ハウジング3を取付対象200に取り付けるための部位である。一対のプレート固定孔22は、固定ねじで固定プレート14を取付枠2に取り付けるための孔である。
【0067】
固定プレート14及び化粧プレート13の各々は、一例として合成樹脂製であり、正面視において枠状の部材である。固定プレート14は、取付枠2に固定される。化粧プレート13は、固定プレート14の前面を覆うように、固定プレート14に取り付けられる。このように、化粧プレート13は、ハウジング3と一体的に組み付けされる取付枠2に対し、固定プレート14を介して間接的に固定される。化粧プレート13の中央部には、前後方向に貫通する窓孔130が形成されている。また固定プレート14の中央部には、前後方向に貫通する開口部140が形成されている。開口部140及び窓孔130から、カバー31の前面310及びコンセントブロック15の前面151が露出することになる。したがって、固定プレート14及び化粧プレート13がハウジング3と共に施工面300に取り付けられた状態で、ハウジング3及びコンセントブロック15の周囲を覆うことになり、取付枠2及び施工面300の施工孔等が露出せずに見映えがよくなる。
【0068】
化粧プレート13は、スナップフィット構造により、取外し可能な状態で、固定プレート14と機械的に結合される。すなわち、化粧プレート13及び固定プレート14は、化粧プレート13の複数の爪を、その弾性を利用して、固定プレート14の複数(ここでは6つ)の孔141にそれぞれ引っ掛けることにより、機械的に結合される。
【0069】
固定プレート14には、図3に示すように、一対の透孔142が形成されている。一対の透孔142を通して、一対の固定ねじが取付枠2の一対のプレート固定孔22に締め付けられることで、固定プレート14は、取付枠2に取り付けられる。
【0070】
回路ブロック10は、上述の通り無線通信回路4と有線通信回路5とを含み、更に電源回路8を含む。回路ブロック10は、ハウジング3に収容される。
【0071】
無線通信回路4は、上述したように、通信端末6と無線通信を行うアクセスポイント101として機能する。ここでは、無線通信回路4は、通信端末6とはWi-Fi(登録商標)により通信する。本実施形態では一例として、無線通信回路4は、IEEE(Institute of Electricaland Electronics Engineers)802.11ac/11n/11a/11g/11bに対応している。また無線通信回路4は、2.4GHzと5GHzとの両方の周波数帯を、同時に利用可能である。無線通信回路4を構成する複数の回路部品40は、第1基板11に実装されている。なお、第1基板11には、回路部品40以外の部品が実装されてもよい。
【0072】
無線通信回路4は、通信端末6との間で送受信される第1信号(Wi-Fi(登録商標)用の無線通信信号)に関する信号処理を行う1又は複数のIC(Integrated Circuit)41(図4参照)を含む。具体的には、無線通信回路4は、例えば、アンテナ素子、ベースバンド回路、及びRF(Radio Frequency)回路等から構成され、ベースバンド回路及びRF回路の少なくとも一部が、IC41として実現される。無線通信回路4は、有線通信回路5からの第2信号(PLC用の有線通信信号)に基づくデータを含むベースバンド信号を、対応する無線周波数の信号に変換(変調)して、変調した信号をアンテナ素子から通信端末6に送信する。また無線通信回路4は、アンテナ素子で通信端末6から受信した受信信号をベースバンド信号に変換(復調)して、受信データを有線通信回路5に送出する。
【0073】
ここではIC41が、本開示における発熱部品X1の1つに相当する。発熱部品X1は、回路ブロック10の中で比較的発熱が大きい回路部品である。そして、発熱部品X1であるIC41は、第1基板11の第1面11A及び第2面11Bのうち、吸熱体A1の前面A10と対向する第2面11B(背面)に、表面実装されている。第2面11Bと吸熱体A1の前面A10との間には、第1放熱材T1が介在しているため、IC41は、第1放熱材T1と接触している。したがって、IC41で発せられた熱は、第1放熱材T1を介して吸熱体A1に効率良く伝わり、更に露出部B1から外部に放出され得る。
【0074】
複数の回路部品40がIC41以外にも発熱部品X1を含む場合、当該発熱部品X1も、第2面11Bに実装される。複数の回路部品40のうち、比較的発熱が小さい回路部品40については、第1面11A又は第2面11Bに実装される。
【0075】
なお、第1信号を送受信するためのアンテナ素子は、カバー31のカバー本体311の背面と第1基板11の第1面11Aとの間に配置される。例えば、アンテナ素子は、カバー本体311の背面側に固定される。つまり、カバー31における上側三分の二の領域の裏側に、無線通信用のモジュール(アンテナ素子を含む無線通信回路4)が配置される。
【0076】
第1基板11と第2基板12とは、基板接続用のコネクタ16(図4及び図5参照)を介して、互いに電気的に接続されている。無線通信回路4は、コネクタ16を介して、有線通信回路5とのデータの送受信を行う。また無線通信回路4は、コネクタ16を介して、動作電源を電源回路8から受け取る。
【0077】
有線通信回路5は、無線通信回路4と他のアクセスポイント101(他の電気装置1)との間の通信を、上述した商用の交流電源(系統電源)と電気的に接続されている電力線L1を媒体とする有線通信にて実現する。すなわち、有線通信回路5は、電力線搬送通信方式により通信を行う。これにより、複数のアクセスポイント101を接続するためのバックホールが実現される。有線通信回路5を構成する複数の回路部品50は、第2基板12に実装されている。なお、第2基板12には、回路部品50以外の部品が実装されてもよい。例えば、電源回路8を構成する回路部品の一部が、第2基板12に実装されてもよい。
【0078】
ここでは一例として、有線通信回路5は、高速電力線通信(HD-PLC:High Definition Power Line Communication)を採用している。ただし、電力線搬送通信の方式は、高速電力線通信に限定されない。
【0079】
有線通信回路5は、回路部品50として、電力線L1に重畳されて送受信される第2信号(PLC用の有線通信信号)に関するデータ処理を行う1又は複数のIC(Integrated Circuit)51(図4参照)を含む。
【0080】
具体的には、有線通信回路5は、例えば、メイン回路、メモリ、ローパスフィルタ(LPF)、バンドパスフィルタ(BPF)、及び、(結合トランスを含む)カプラ等を備えている。
【0081】
メイン回路は、1以上のプロセッサを含むCPU(Central Processing Unit)を含む。またメイン回路は、送信信号及び受信信号のMAC層を管理するPLC・MAC(Power Line Communication・Media Access Control layer)ブロックを更に含む。またメイン回路は、送信信号及び受信信号のPHY層(Physical layer)を管理するPLC・PHY(Power Line Communication・Physical layer)ブロックを更に含む。またメイン回路は、デジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器、及びアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を更に含む。またメイン回路は、PLC・PHYブロックからのデジタル信号の周波数を変換し、AD変換器からのデジタル信号の周波数を変換する周波数変換器を更に含む。またメイン回路は、バンドパスフィルタから入力される信号を増幅するVGA(Variable Gain Amplifier)等を更に含む。
【0082】
メイン回路は、電力線通信を行う制御回路として機能する集積回路である。上述したIC51は、主にこのメイン回路に相当する。
【0083】
例えば、メイン回路は、無線通信回路4から入力されるデータに対してデジタル信号処理を施すことによってデジタルの送信信号を生成する。そして、メイン回路は、生成したデジタルの送信信号の周波数を周波数変換器で変換し、DA変換器でアナログ信号に変換する。有線通信回路5は、アナログ信号を、ローパスフィルタ及びカプラを介して電力線L1に出力する。
【0084】
一方、有線通信回路5は、電力線L1から受信したアナログ信号を、カプラを介してバンドパスフィルタに送る。そして、メイン回路は、アナログ信号を、可変増幅器でゲイン調整をし、AD変換器でデジタル信号に変換する。そして、変換されたデジタル信号は、周波数変換器で周波数を変換され、デジタル信号処理を施すことによって、デジタルデータに変換される。デジタルデータは、無線通信回路4に出力される。
【0085】
ここで、IC51も、本開示における発熱部品X1の1つに相当する。そして、発熱部品X1であるIC51は、第2基板12の第1面12A及び第2面12Bのうち、吸熱体A1の背面A12と対向する第1面12A(前面)に、表面実装されている。第1面12Aと吸熱体A1の背面A12との間には、第2放熱材T2が介在しているため、IC51は、第2放熱材T2と接触している。したがって、IC51で発せられた熱は、第2放熱材T2を介して吸熱体A1に効率良く伝わり、更に露出部B1から外部に放出され得る。
【0086】
複数の回路部品50がIC51以外にも発熱部品X1を含む場合、当該発熱部品X1も、第1面12Aに実装される。複数の回路部品50のうち、比較的発熱が小さい回路部品50については、第1面12A又は第2面12Bに実装される。
【0087】
電源回路8は、電力線L1を介して供給される交流電力から、無線通信回路4及び有線通信回路5等の動作用の直流電力を生成する。電源回路8は、スイッチング電源、及び雑音阻止回路等を含む。
【0088】
スイッチング電源は、例えば、電力線L1からの交流電圧を整流する整流回路と、整流回路で整流された脈流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換する降圧チョッパ回路とを有している。降圧チョッパ回路は、スイッチング素子をスイッチングすることによって、脈流電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換する。雑音阻止回路は、スイッチング電源で発生する高周波のノイズが電力線L1に流れ出ることを抑制するための回路である。無線通信回路4及び有線通信回路5は、スイッチング電源から電力供給を受ける。つまり、電気装置1は、ケース32の挿通孔321に挿入されて一対の端子に接続される2本の電線(電力線L1)にて、内部回路の動作用の電力をも確保できる、いわゆる2線式の配線器具である。
【0089】
電源回路8を構成する複数の回路部品は、ケース32内において、第2基板12の背面側に配置される第3基板80(図5参照:電源基板)に実装される。第3基板80には、他にも、有線通信回路5のカプラ(結合トランス等)も実装される。第2基板12と第3基板80とはリード線等を介して電気的に接続される。有線通信回路5は、結合トランスの二次巻線を介して、電力線L1に重畳されてきた第2信号を取得する。
【0090】
[利点]
このように本実施形態によれば、第1基板11及び第2基板12が吸熱体A1の前後の両側にそれぞれ配置されて、露出部B1の少なくとも一部がハウジング3の外部に露出する。そのため、第1基板11及び第2基板12における熱が、吸熱体A1及び露出部B1を介して、ハウジング3の外部に放出されやすくなる。結果的に、電気装置1には、ハウジング3内部の放熱に関する改善を図ることができる、という利点がある。
【0091】
また第1基板11が無線通信回路4を構成する回路部品40が実装される実装基板であるため、無線通信回路4で発生する熱を、吸熱体A1及び露出部B1を介して、より効率良くハウジング3の外部に放出できる。また第2基板12が有線通信回路5を構成する回路部品50が実装される実装基板であるため、有線通信回路5で発生する熱を、吸熱体A1及び露出部B1を介して、より効率良くハウジング3の外部に放出できる。特に発熱部品X1(IC41及び51)が、対応する基板の、吸熱体A1と対向する一面に実装されているため、発熱部品X1で発生する熱を更に効率良くハウジング3の外部に放出できる。
【0092】
また本実施形態では、吸熱体A1及び露出部B1がいずれも同一部材として一体となって形成されているため、これらが互いに別体の部材で形成される場合に比べて、より放熱に関する改善を図れ、また部品点数を減らすことができる。また吸熱体A1及び露出部B1がいずれも大角形連用配線器具の取付枠2の一部を構成するため、部品点数を減しつつも、電気装置1を配線器具用のスイッチボックス等に容易に取り付けることができる。
【0093】
特に配線器具のようにスイッチボックス等に取り付けられて壁材等に埋め込み設置される場合、そのハウジングが概ね壁材の内側に配置されることから熱が籠りやすい。さらに通信モジュールの類は、消費電力が比較的大きく温度が上昇しやすい。この点で、吸熱体A1及び露出部B1が設けられていることで、無線通信回路4及び有線通信回路5を有した電気装置1であっても、ハウジング3内部の放熱に関する改善を図りつつも、取付枠2を用いた埋め込み設置が可能となる。また電気装置1の小型化(特に前後方向の薄型化)も改善されやすくなる。
【0094】
また本実施形態では一例として、樹脂製の断熱部材C1が、吸熱体A1とケース32との間に配置されているため、IC41及びIC51の熱は、ケース32に伝わりにくくなっている。特に吸熱体A1とケース32の第1ブロック32Aとが金属製であることを考慮すると、これらの間に断熱部材C1が介在することで、第1ブロック32Aへの熱伝導が、効果的に抑制され得る。言い換えると、金属製の吸熱体A1と金属製の第1ブロック32Aとで均熱化が抑制され得る。結果的に、第1ブロック32A内の電源回路8が、IC41及びIC51からの熱を受けて、相乗的に温度が上昇してしまう可能性を低減できる。
【0095】
ところで本実施形態では、上述の通り、吸熱体A1が露出部B1より後ろに位置する。これにより、吸熱体A1の前方のスペースを確保しやすくなる。ここでは吸熱体A1が全体として後方に凹んでいるため、その凹みの中に第1放熱材T1を収め易くしている。結果的に、第1基板11の前方のスペースも確保しやすくなり、例えばアンテナ素子を第1基板11の手前に配置しやすくなる。したがって、電気装置1全体として見れば、施工面300又は化粧プレート13等に対するハウジング3の前面(カバー31の前面310)の突出量を抑えることができ、外観上の見栄えもよくなる。
【0096】
さらに本実施形態では、金属製の吸熱体A1は、後方に凹んでいるため、無線通信モジュール、すなわちアンテナ素子を含む無線通信回路4から、一定の距離を離した配置構造となっている。そのため、無線通信に関する感度の劣化を抑制できる。
【0097】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0098】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0099】
(3.1)変形例1
以下、変形例1の電気装置1Xについて、図8を参照しながら説明する。以下では、基本例と実質的に共通する構成要素については、同じ参照符号を付して適宜にその説明を省略する場合がある。
【0100】
本変形例の電気装置1Xは、主に、取付枠2X及びハウジング3Xの構造において、基本例の取付枠2及びハウジング3の構造と相違する。したがって、説明の便宜上、図8では、固定プレート14及び化粧プレート13の図示を省略する。
【0101】
具体的には、基本例の電気装置1のハウジング3においては、カバー31とケース32とが、爪片313による仮保持の構造に加えて、3本のねじJ1を用いて組み付けられている。一方、電気装置1Xは、ハウジング3Xにおけるカバー31とケース32とが、ねじJ1を用いずに、スナップフィット構造で組み付け可能に構成される。
【0102】
本変形例のカバー31は、基本例の一対の爪片313に加えて、一対の爪片316を更に有している。一対の爪片316は、カバー本体311の背面側の上縁における左右の両端からそれぞれ後方に突出する板状の部位である。一対の爪片316は、それぞれ厚み方向(上下方向)に貫通した孔部317を有している。
【0103】
また本変形例の取付枠2Xは、一対の爪片313を挿通するためのスリット24に加えて、一対の爪片316をそれぞれ挿通するための一対のスリット25を更に有している。
【0104】
ハウジング3の組立の際には、まず、カバー31の合計4個の爪片313,316を、取付枠2に形成されているスリット24,25にそれぞれ挿入する。そして、4個の爪片313,316を、前方から、ケース32の上面及び下面から突出する4個の凸部32Cに接触させる。そして、ケース32に対してカバー31を押し込むことで、4個の爪片313,316が、凸部32Cからの応力により外方に弾性変形しながら後方へ移動し、各凸部32Cが対応する孔部(315又は317)にそれぞれ係合する。その結果、カバー31がケース32に保持される。
【0105】
なお、本変形例では、ケース32の第2ブロック32Bは、ケース32の右上の一角を占める部位であり、第1ブロック32Aは、右上の一角を除くケース32の大半を占める部位である点でも基本例と相違する。また本変形例では、第1基板11が、4本のねじJ2でカバー本体311に固定される点でも基本例と相違する(基本例では2本のねじJ2を使用)。
【0106】
この本変形例の構成においても、ハウジング3X内部の放熱に関する改善を図ることができる。また基本例に比べて、ハウジング3Xの組立作業が容易となる。
【0107】
(3.2)その他の変形例
基本例では、吸熱体A1及び露出部B1の各々が、取付枠2の一部を構成している。しかし、吸熱体A1及び露出部B1のうち少なくとも一方は、取付枠2とは別体の部材であって、ねじ止め又はかしめ等によって取付枠2に固定されるか、或いは、単に取付枠2と接触した状態で、ハウジング3に保持されてもよい。
【0108】
基本例では、電気装置1は、コンセントブロック15を備えた配線器具であることを想定している。しかし、コンセントブロック15は、電気装置1にとって必須の構成要素ではなく、省略されてもよい。つまり、電気装置1は、配線器具ではなく、アクセスポイント101としての機能だけを有してもよい。この場合、カバー31は、コンセントブロック15の前面151を露出する窓部314を有していなくてよい。
【0109】
基本例では、吸熱体A1の一の方向における「両側」とは、吸熱体A1が一例として板状であることから、厚み方向の両側であり、また前後方向の両側でもある。しかし、吸熱体A1の一の方向における「両側」は、左右方向の両側でも、或いは上下方向の両側もよく、例えば板状の吸熱体A1は、その厚み方向を左右方向に向いて配置されてもよい。また吸熱体A1が板状であることに限定されず、例えば直方体形状でもよい。
【0110】
基本例では、ハウジング3の一対の挿通孔321に挿通される一対の電線と、コンセントブロック15の一対の電線挿通孔に挿通される一対の電線とが、別々であることを想定する。しかし、ハウジング3とコンセントブロック15とが「送り」配線で接続されてもよい。
【0111】
基本例では、無線通信回路4の第1基板11は、1枚であるが、2枚以上から構成されてもよい。この場合、複数の回路部品40は、2枚以上の第1基板11に分散して実装されてもよい。ただし、2枚以上の第1基板11のうちの、発熱部品X1が実装される第1基板11は、第1放熱材T1を介して吸熱体A1と対向することが望ましい。同様に、基本例では、有線通信回路5の第2基板12は、1枚であるが、2枚以上から構成されてもよい。この場合、複数の回路部品50は、2枚以上の第2基板12に分散して実装されてもよい。ただし、2枚以上の第2基板12のうちの、発熱部品X1が実装される第2基板12は、第2放熱材T2を介して吸熱体A1と対向することが望ましい。
【0112】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る電気装置(1,1X)は、吸熱体(A1)と、第1基板(11)及び第2基板(12)と、ハウジング(3,3X)と、露出部(B1)と、を備える。第1基板(11)及び第2基板(12)は、吸熱体(A1)の一の方向における両側にそれぞれ配置される。ハウジング(3,3X)は、吸熱体(A1)、第1基板(11)及び第2基板(12)を収容する。露出部(B1)は、吸熱体(A1)と熱的に結合されていて、かつ、少なくとも一部がハウジング(3,3X)の外部に露出する。第1の態様によれば、ハウジング(3,3X)内部の放熱に関する改善を図ることができる。
【0113】
第2の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1の態様において、露出部(B1)は、ハウジング(3,3X)を取付対象(200)に取り付けるための取付枠(2,2X)の一部を構成する。第2の態様によれば、取付枠(2,2X)とは別体で、露出部(B1)を設ける場合に比べて、より放熱に関する改善を図れ、また部品点数を減らすことができる。
【0114】
第3の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第2の態様において、取付枠(2,2X)は、大角形連用配線器具の取付枠である。第3の態様によれば、電気装置(1,1X)を配線器具用のスイッチボックス等に容易に取り付けることができる。
【0115】
第4の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、吸熱体(A1)と露出部(B1)とは、同一部材として一体となって形成されている。第4の態様によれば、吸熱体(A1)と露出部(B1)とが互いに別体の部材で形成される場合に比べて、より放熱に関する改善を図れ、また部品点数を減らすことができる。
【0116】
第5の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、ハウジング(3,3X)の少なくとも一部は、金属製である。第5の態様によれば、より放熱に関する改善を図れる。
【0117】
第6の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、第1基板(11)は、無線通信回路(4)を構成する回路部品(40)が実装される実装基板である。第6の態様によれば、無線通信回路(4)の回路部品(40)で発生する熱をより効率良くハウジング(3,3X)の外部に放出できる。
【0118】
第7の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、第2基板(12)は、有線通信回路(5)を構成する回路部品(50)が実装される実装基板である。第7の態様によれば、有線通信回路(5)の回路部品(50)で発生する熱をより効率良くハウジング(3,3X)の外部に放出できる。
【0119】
第8の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第7の態様において、有線通信回路(5)は、電力線搬送通信方式により通信を行う。第8の態様によれば、電力線搬送通信方式により通信を行う有線通信回路(5)の回路部品(50)で発生する熱をより効率良くハウジング(3,3X)の外部に放出できる。
【0120】
第9の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、一の方向とは、ハウジング(3,3X)の前後方向に沿った方向である。吸熱体(A1)は、露出部(B1)より後ろに位置する。第9の態様によれば、吸熱体(A1)の前方のスペースを確保しつつ、ハウジング(3,3X)の前面の突出量を抑えることができる。
【0121】
第10の態様に係る電気装置(1,1X)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、吸熱体(A1)及び露出部(B1)の少なくとも一方と、ハウジング(3,3X)との間に配置される断熱部材(C1)を、更に備える。第10の態様によれば、吸熱体(A1)及び露出部(B1)の少なくとも一方の熱が、ハウジング(3,3X)に伝わりにくくなる。
【0122】
第11の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、第1基板(11)、及び第2基板(12)の少なくとも一方の一面には、発熱部品(X1)が実装される。上記一面は、吸熱体(A1)と対向する。第11の態様によれば、発熱部品(X1)で発生する熱をより効率良くハウジング(3,3X)の外部に放出できる。
【0123】
第12の態様に係る電気装置(1,1X)に関して、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、吸熱体(A1)は、板状の部位である。吸熱体(A1)、第1基板(11)、及び第2基板(12)は、これらの厚み方向が揃うように、かつ吸熱体(A1)が第1基板(11)と第2基板(12)との間に位置するように、配置される。第12の態様によれば、電気装置(1,1X)全体としての薄型化を図りつつ、よりハウジング(3,3X)内部の放熱に関する改善を図ることができる。
【0124】
第2~第12の態様に係る構成については、第1の態様に係る電気装置(1,1X)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0125】
1,1X 電気装置
11 第1基板
12 第2基板
2,2X 取付枠
3,3X ハウジング
4 無線通信回路
40 回路部品
5 有線通信回路
50 回路部品
200 取付対象
A1 吸熱体
B1 露出部
C1 断熱部材
X1 発熱部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8