(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】終端器設定支援システム、自動火災報知システム、終端器設定支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/00 B
(21)【出願番号】P 2020110948
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】珍坂 舞
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157435(JP,A)
【文献】特開平09-204586(JP,A)
【文献】特開2017-084180(JP,A)
【文献】特開2016-149028(JP,A)
【文献】特開2015-118527(JP,A)
【文献】特開2005-043964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
19/00-31/00
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続線を介して受信機と子機とが接続される自動火災報知システムに用いられ、
前記接続線が接続される接続部と、
前記接続線の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、前記接続線に対する接続対象の終端器を提案する提案処理を行う提案部と、
を備え
、
前記接続線の状況は、前記接続線に接続されている前記子機の台数を含み、
前記提案部は、前記子機の台数に応じて、前記終端器の種類を提案する、
終端器設定支援システム。
【請求項2】
前記接続対象の終端器は、終端抵抗を含み、
前記探索処理は、前記接続線に流れる電流を計測することを含
み、
前記提案部は、前記電流の値に応じて、前記終端抵抗の抵抗値を提案する、
請求項1に記載の終端器設定支援システム。
【請求項3】
前記提案処理による提案結果を提示する提示部を、更に備える、
請求項1又は2に記載の終端器設定支援システム。
【請求項4】
前記提案処理による提案結果に基づいて、前記終端器の情報を記憶部に登録する登録処理を行う登録部を、更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の終端器設定支援システム。
【請求項5】
前記記憶部に登録されている前記終端器の情報が前記提案処理で提案された前記接続対象の終端器の情報と異なる場合に報知する報知部を、更に備える
請求項4に記載の終端器設定支援システム。
【請求項6】
前記提案部は、前記提案処理を実行する第1モードと、前記接続線に終端器が接続されているか否かを通知する第2モードと、を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の終端器設定支援システム。
【請求項7】
前記受信機と一体である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の終端器設定支援システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の終端器設定支援システムと、
前記受信機と、
前記終端器と、
前記子機と、
を備える、
自動火災報知システム。
【請求項9】
受信機と子機とが接続線を介して接続される自動火災報知システムに用いられ、
前記接続線の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、前記接続線に対する接続対象の終端器を提案する提案処理を含み、
前記接続線の状況は、前記接続線に接続されている前記子機の台数を含み、
前記提案処理は、前記子機の台数に応じて、前記終端器の種類を提案することを含む、
終端器設定支援方法。
【請求項10】
1以上のプロセッサに、請求項9に記載の終端器設定支援方法を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に終端器設定支援システム、自動火災報知システム、終端器設定支援方法、及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、自動火災報知システムに用いられる終端器設定支援システム、終端器設定支援システムを備える自動火災報知システム、自動火災報知システムに用いられる終端器設定支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、火災受信機が開示されている。この火災受信機は、表示線に接続された終端抵抗器の抵抗値を入力設定する操作部と、設定された抵抗値に基づいて断線閾値を選択する閾値選択部と、を備えている。
【0003】
特許文献1には、自動火災報知設備に不慣れな者でも、既存の表示線の終端抵抗器に合わせて火災受信機を簡単に調節、初期設定できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の火災受信機では、ユーザ自身が表示線に接続されている終端抵抗器の抵抗値を調べ、操作部を用いて自身で抵抗値の入力を行う必要がある。そのため、特許文献1の火災受信機では、利便性に向上の余地がある。
【0006】
本開示は、利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る終端器設定支援システムは、自動火災報知システムに用いられる。自動火災報知システムでは、受信機と子機とが接続線を介して接続される。前記終端器設定支援システムは、接続部と、提案部と、を備える。前記接続部には、前記接続線が接続される。前記提案部は、提案処理を行う。前記提案処理は、前記接続線の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、前記接続線に対する接続対象の終端器を提案することを含む。前記接続線の状況は、前記接続線に接続されている前記子機の台数を含む。前記提案部は、前記子機の台数に応じて、前記終端器の種類を提案する。
【0008】
本開示の一態様に係る自動火災報知システムは、前記終端器設定支援システムと、前記受信機と、前記終端器と、前記子機と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る終端器設定支援方法は、自動火災報知システムに用いられる。前記自動火災報知システムでは、受信機と子機とが接続線を介して接続される。前記終端器設定支援方法は、提案処理を含む。前記提案処理は、前記接続線の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、前記接続線に対する接続対象の終端器を提案することを含む。前記接続線の状況は、前記接続線に接続されている前記子機の台数を含む。前記提案処理は、前記子機の台数に応じて、前記終端器の種類を提案することを含む。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記終端器設定支援方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、利便性を向上させることが可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る終端器設定支援システムを備えた受信機の概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の終端器設定支援システムとともに自動火災報知システムに用いられる子機の概要を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の自動火災報知システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の自動火災報知システムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図6】
図6は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図7】
図7は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図8】
図8は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図9】
図9は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図10】
図10は、同上の自動火災報知システムの第1動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図11】
図11は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図12】
図12は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図13】
図13は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図14】
図14は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図15】
図15は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図16】
図16は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図17】
図17は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図18】
図18は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図19】
図19は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【
図20】
図20は、同上の自動火災報知システムの第2動作例において表示部に表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)概要
図3に示すように、本実施形態の終端器設定支援システム10は、自動火災報知システム100に用いられる。自動火災報知システム100は、受信機(火災受信機、防災受信機)1と、接続機器9と、を備えている。
図1に示すように、本実施形態では、終端器設定支援システム10は、受信機1と一体である。
【0014】
自動火災報知システム100では、受信機1と接続機器9とが、接続線L1を介して接続される。ここで、接続機器9は、接続線L1に接続されている装置のうちで受信機1以外の装置を意味する。接続機器9の例は、子機2と、終端器8と、を含み得る。
【0015】
本実施形態の自動火災報知システム100では、接続線L1には、1台以上の子機2が接続される。すなわち、自動火災報知システム100は、1台以上の子機2を備えている。子機2は、接続線L1を介して受信機1と接続されている。接続線L1は、一対の電線31,32を含んでいる。
【0016】
各子機2は、通知機能を有している。通知機能は、一対の電線31,32(接続線L1)間を、短絡していない状態から短絡している状態に切り替える機能である。子機2は、火災の発生を検知した場合に、通知機能によって、火災の発生を通知する信号(以下、「火災報」という)を受信機1に送信する。要するに、ここでの子機2は、いわゆるP型(Proprietary-type)の自動火災報知システムに使用されている接点型火災感知器である。
【0017】
また、子機2は、通知機能に加えて、通信機能を有している。通信機能は、一対の電線31,32(接続線L1)を伝送される伝送信号を用いて、受信機1と双方向に通信する機能である。子機2は、発報時(火災報の送信時)に、火災報の発報元のアドレス(識別子)を要求するアドレス要求を含む伝送信号を受信機1から受け取ると、通信機能を用いて、自身に割り当てられたアドレスを受信機1に送信する。これにより、受信機1は、火災報の発報元の子機2の判別が可能となる。
【0018】
子機2のアドレスは、例えば、有線通信又は無線通信等の通信手段によって子機2と通信可能なアドレス設定器によって、子機2の記憶部27に設定され得る。ただし、これに限らず、接続線L1に接続されている1台以上の子機2と受信機1とが伝送信号を用いて互いに通信することで、各子機2にアドレスが設定されてもよい。各接続線L1に複数の子機2が接続される場合、各子機2には、固有のアドレス(例えば、受信機1に近い子機2から順に、1から始まる整数)が割り当てられる。
【0019】
図3に示すように、各接続線L1には、終端器8が接続される。終端器8は、各接続線L1の終端、すなわち、各接続線L1において受信機1と反対側の端部に接続される。
【0020】
終端器8は、ユーザによって、複数の候補から選択され得る。終端器8の候補は、例えば、終端抵抗と、アドレス付終端装置とを含み得る。
【0021】
終端器8の候補としての終端抵抗は、異なる抵抗値を有する複数の抵抗器を含み得る。終端器8の候補としての終端抵抗は、例えば、抵抗値が10kΩの抵抗器と、抵抗値が20kΩの抵抗器と、を含み得る。
【0022】
本開示において、「アドレス付終端装置」とは、接続線L1を介して受信機1との間で通信が可能であって、アドレス(識別子)として特定の終端アドレスが割り当てられた装置を意味し得る。アドレス付終端装置の内部抵抗は、終端抵抗の抵抗値(10kΩ、20kΩ)よりも小さい。本開示において、「終端アドレス」とは、この装置(アドレス付終端装置)が接続線L1(一対の電線31,32)の終端に接続されていると受信機1が判断するためのアドレスを意味し得る。すなわち、受信機1は、アドレスの返信を要求する伝送信号(要求信号)に応じて、終端アドレスを含む伝送信号(応答信号)を受信した場合、この接続線L1には終端器8としてアドレス付終端装置が接続されていると判断する。例えば、接続線L1に接続されている複数の子機2に、固有のアドレスとして異なる整数が割り当てられる場合、終端アドレスは、複数の子機2に割り当てられることになる整数よりも大きな整数(例えば「64」)である。
【0023】
図1に示すように、受信機1は、接続部14と、提案部172と、を備えている。すなわち、終端器設定支援システム10は、接続部14と、提案部172と、を備えている。
【0024】
接続部14には、接続線L1が接続される。接続部14は、一対の接続端子141,142を含む。一対の接続端子141,142に、一対の電線31,32が接続される。
【0025】
提案部172は、提案処理を行う。提案処理は、探索処理の結果に基づいて、接続線L1に対する接続対象の終端器8を提案することを含む。探索処理は、接続線L1の状況を探索することを含む。
【0026】
本開示において、「接続線L1に対する接続対象の終端器8」は、探索処理の実行時において接続線L1に既に接続されている終端器8であり得る。また、本開示において、「接続線L1に対する接続対象の終端器8」は、探索処理の実行時において接続線L1に接続されていない終端器8であって接続線L1への接続が推奨される終端器8であり得る。
【0027】
上述のように、本実施形態の終端器設定支援システム10では、提案処理によって、接続線L1に対する接続対象の終端器8が提案される。そのため、ユーザは、探索処理の実行時に接続線L1に接続されている終端器8、又は接続線L1に接続すべき終端器8を知ることができる。これにより、本実施形態の終端器設定支援システム10によれば、ユーザの利便性が向上する。本開示における「ユーザ」は、自動火災報知システム100が設置されている施設の利用者、受信機1及び子機2を設置する施工者、自動火災報知システム100を管理する管理者等を含み得る。
【0028】
(2)詳細
以下、本実施形態の終端器設定支援システム10、及び終端器設定支援システム10を備えた自動火災報知システム100について、図面を参照しながらより詳細に説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0029】
(2.1)全体構成
以下では、
図3に示すように、本実施形態の自動火災報知システム100が集合住宅200(例えば、マンション)に用いられる場合を例示する。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、集合住宅200に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に用いられてもよい。
【0030】
本実施形態の自動火災報知システム100では、
図3に示すように、1棟の集合住宅200に対して、1台の受信機1と、複数台の子機2と、が設けられている。また、この自動火災報知システム100では、一対の電線31,32を1つの接続線L1として、複数(ここでは4つ)の接続線L1(第1接続線L11~第4接続線L14)が受信機1に接続されている。各接続線L1には、N台(Nは自然数)の子機2が接続されている。なお、受信機1に接続される接続線L1の数は、4に限られない。受信機1に接続される接続線L1の数の上限は、特に限定されないが、例えば120程度である。
【0031】
図3に示す例では、4つの接続線L1のうちの第1接続線L11には、N1台(N1は自然数;
図3には、4台のみ図示)の子機2が接続されている。また、4つの接続線L1のうちの第2接続線L12には、N2台(N2は自然数;
図3には、4台のみ図示)の子機2が接続されている。4つの接続線L1のうちの第3接続線L13には、N3台(N3は自然数;
図3には、4台のみ図示)の子機2が接続されている。4つの接続線L1のうちの第4接続線L14には、N4台(N4は自然数;
図3には、4台のみ図示)の子機2が接続されている。
【0032】
各接続線L1において、N台の子機2は、互いに直列に接続されている。各子機2は、
図2に示すように、第1接続部(一対の第1端子201,202)と第2接続部(一対の第2端子203,204)とを備えている。子機2の内部において、一対の第1端子201,202のうちの一方の第1端子201と一対の第2端子203,204のうちの一方の第2端子203とが電気的に接続され、一対の第1端子201,202のうちの他方の第1端子202と一対の第2端子203,204のうちの他方の第2端子204とが電気的に接続されている。本開示において、「N台の子機2が互いに直列に接続されている」とは、直列接続において隣り合う2つの子機2のうちの一方の子機2の一対の第1端子201,202と他方の子機2の一対の第2端子203,204とが接続線L1によって接続されることで、N台の子機2が直列に接続されていることを意味し得る。
【0033】
図3に示すように、各接続線L1には、終端器8が接続されている。より詳細には、各接続線L1の終端(受信機1と反対側の端部)において、一対の電線31,32同士が、終端器8を介して互いに電気的に接続されている。つまり、各接続線L1においては、受信機1の接続部14の一対の接続端子141,142(つまり、受信機1の接続部14と接続線L1との間の2つの接続点)を始点及び終点とするループが、形成されている。このループは、一対の電線31,32、各子機2内の内部配線(一対の第1端子201,202と一対の第2端子203,204とをつなぐ一対の内部配線)、及び終端器8を含んでいる。そのため、受信機1は、一対の電線31,32間に流れる電流を監視することで、一対の電線31,32(接続線L1)の断線を検知することが可能である。
【0034】
各接続線L1には、1台以上の子機2が接続可能である。接続線L1に接続が許容される子機2の台数の上限は、接続線L1に接続される終端器8の特性に依存し得る。より詳細には、接続線L1に接続が許容される子機2の台数は、接続線L1に断線が発生した場合にこの断線を受信機1が検知可能となるように、接続線L1に接続される終端器8の特性に応じて決められ得る。逆に言えば、接続線L1に接続すべき終端器8は、この接続線L1に接続される子機2の台数に応じて決められ得る。
【0035】
一例において、接続線L1に、抵抗値が10kΩの終端抵抗が終端器8として接続される場合、この接続線L1に接続が許容される子機2の台数の上限は、30台程度(例えば30台)である。一例において、接続線L1に、アドレス付終端装置が終端器8として接続される場合、この接続線L1に接続が許容される子機2の台数の上限は、60台程度(例えば63台)である。
【0036】
自動火災報知システム100は、基本的には、熱感知器、煙感知器、又は炎感知器等からなる子機2にて火災の発生を検知し、子機2から受信機1へ火災発生の通知(火災報)が為されるように構成されている。ただし、子機2は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機を含んでいてもよい。発信機は、押しボタンスイッチを有しており、人が火災を発見した場合に押しボタンスイッチを手動で操作する(押す)ことにより、受信機1へ火災発生の通知を行う装置である。
【0037】
なお、自動火災報知システム100は、防排煙設備又は非常用放送設備等の他設備との連動機能を有していてもよい。この場合、自動火災報知システム100は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響又は音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
【0038】
ところで、一般的な自動火災報知システムには、P型(Proprietary-type)とR型(Record-type)との2種類のシステムが存在する。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線間を電気的に短絡することで受信機に火災発生を通知する。R型の自動火災システムは、伝送線(接続線)を伝送される伝送信号を用いて、子機が通信により受信機に火災発生を通知する。
【0039】
本実施形態の自動火災報知システム100は、P型を基本としている。例えば、自動火災報知システム100は、P型の自動火災報知システムが設置されていた集合住宅200において、既存の配線(接続線L1)をそのまま使用し、既存の受信機を本実施形態の受信機1に入れ替え、既存の複数の子機を子機2に入れ替えることで、構成されてもよい。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、新規に導入される自動火災報知システムとしても採用可能である。
【0040】
(2.2)子機
次に、
図2を参照して、子機2としての感知器の構成について説明する。
図2に示すように、子機2は、第1接続部(一対の第1端子201,202)と、第2接続部(一対の第2端子203,204)と、ダイオードブリッジ(
図2では、「DB」と省略して記載している)21と、電源部22と、センサ23と、送信部24と、受信部25と、制御部26と、記憶部27と、を備えている。
【0041】
ダイオードブリッジ21は、入力端に、一対の第1端子201,202を介して一対の電線31,32が電気的に接続され、出力端に電源部22と、送信部24と、受信部25とが電気的に接続されている。電源部22は、一対の電線31,32から電力を供給されることで、子機2の動作用の電力を生成する。センサ23は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、又は炎の発生を検知することで、火災の発生を検知する。制御部26は、送信部24及び受信部25を制御して、センサ23の出力に応じて、送信部24から受信機1に火災報及び伝送信号を送信したり、受信機1からの伝送信号を受信部25で受信したりする。
【0042】
送信部24は、一対の電線31,32に流れる電流を変化させることで、受信機1に信号を送信する。つまり、送信部24は、一対の電線31,32から電流を引き込んで変化させることで、電流信号を受信機1に送信する。
【0043】
また、送信部24は、一対の電線31,32間に適宜の大きさのインピーダンス要素を接続し、一対の電線31,32を擬似的に短絡させることで、火災報を送信する。すなわち、送信部24は、非短絡状態から短絡状態に切り替わったと受信機1の識別部130(後述する)が判断できる程度の大きさの電流が、一対の電線31,32に流れるように、所定のインピーダンス要素を一対の電線31,32間に接続する。さらに、送信部24は、一対の電線31,32を擬似的に短絡させた状態で、一対の電線31,32から引き込む電流の電流値を増減させることで、電流信号を受信機1に送信することが可能である。
【0044】
すなわち、送信部24は、一対の電線31,32から引き込む電流を第1レベルの電流値から第2レベルの電流値に増加させることで、火災報を送信する。また、送信部24は、一対の電線31,32から引き込む電流を第2レベルの電流値に増加させた状態で、第2レベルの電流値よりも大きい第3レベルの電流値と第2レベルの電流値との間で増減させることにより、電流信号を受信機1に送信する。
【0045】
受信部25は、受信機1からの伝送信号を、一対の電線31,32上の電圧信号(電圧変化)として受信する。つまり、受信機1の送信部132は、一対の電線31,32から引き込む電流を変化させることで伝送信号を送信するので、子機2の受信部25は、受信機1で引き込まれ抵抗器12(後述する)で電圧に変換された電流(伝送信号)を、電圧信号として受信する。
【0046】
このように、子機2は、送信部24及び受信部25によって、一対の電線31,32を介して受信機1との間で双方向に通信する。本実施形態では、送信部24は、制御部26に制御されることにより、子機2のアドレスを含む応答信号を一対の電線31,32(接続線L1)を介して受信機1へ送信する機能を有している。また、本実施形態では、受信部25は、制御部26に制御されることにより、受信機1から一対の電線31,32(接続線L1)へ送出される、子機2のアドレスの返信を要求する伝送信号(要求信号)を受信する機能を有している。
【0047】
記憶部27は、子機2に割り当てられているアドレスを記憶する。上述のように、子機2には、アドレス設定器を用いて、又は受信機1との通信によって、アドレスが割り当てられ得る。各接続線L1において、N台の子機2には、それぞれ固有のアドレスが割り当てられている。各アドレスは、各子機2の設置場所(例えば、部屋番号)と対応付けられて受信機1の記憶部19に登録される。
【0048】
上記の構成により、子機2は、火災の発生を検知すると、まず、送信部24で一対の電線31,32を擬似的に短絡させることで、火災報を送信する。そして、子機2は、火災報の発報元のアドレスを要求するアドレス要求を受信機1から受け取ると、一対の電線31,32を擬似的に短絡させたまま、一対の電線31,32から流れ込む電流を変化させることで、受信機1にアドレスを送信する。
【0049】
また、子機2は、非発報時(平常時)、受信機1と子機2との間で伝送信号を用いて通信を行うことにより、受信機1と子機2との間の通信状況、及び/又は子機2の動作等について自動試験を実施することができる。
【0050】
(2.3)受信機
次に、終端器設定支援システム10を備える受信機1について、説明する。上述のように、終端器設定支援システム10は、受信機1と一体に設けられている。本実施形態では、受信機1は、子機2から火災発生の通知を受けるP型受信機である。受信機1は、例えば建物(集合住宅200)の管理室に設置される。
【0051】
受信機1は、
図1に示すように、印加部11と、抵抗器12と、通信部13と、接続部14と、表示部151と、操作部16と、制御部17と、記憶部19と、を備えている。通信部13は、識別部130と、受信部131と、送信部132と、を備えている。
【0052】
なお、受信機1は、複数の接続線L1(
図3参照)に対応して、印加部11、抵抗器12及び接続部14をそれぞれ複数備えている。また、通信部13は、複数の接続線L1に対応して、識別部130、受信部131及び送信部132をそれぞれ複数備えている。ただし、説明の便宜上、
図1では1つの接続線L1及びそれに対応する構成のみを図示し、この接続線L1に着目して説明を行うこととする。
【0053】
接続部14には、接続線L1が接続される。接続部14は、一対の接続端子141,142を備えており、一対の電線(及び抵抗器12)を介して印加部11に接続されている。
【0054】
印加部11は、制御部17に制御されることにより、所定の電圧を一対の電線に対して印加する。ここでは一例として、印加部11が一対の電線間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
【0055】
抵抗器12は、印加部11と一対の接続端子141,142の少なくとも一方との間に接続されている。
図1に示す例では、抵抗器12は、一対の接続端子141,142のうちの一方(高電位側)の接続端子141と印加部11との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗器12は、他方(低電位側)の接続端子142と印加部11との間に挿入されていてもよいし、一対の接続端子141,142の両方と印加部11との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
【0056】
抵抗器12は、抵抗器12を流れる電流を電圧降下により抵抗器12の両端間の電位差(電圧)に変換する第1の機能と、一対の電線31,32間が短絡した場合に一対の電線31,32に流れる電流を制限する第2の機能と、の2つの機能を有している。要するに、抵抗器12は、電流-電圧変換素子としての第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗器12の抵抗値は470Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
【0057】
識別部130は、印加部11と一対の接続端子141,142との間に電気的に接続されている。識別部130は、一対の電線31,32間が子機2により短絡されている状態(以下、「短絡状態」という)と、短絡されていない状態(以下、「非短絡状態」という)とを識別する。識別部130は、一対の電線31,32間を流れる電流の大きさを監視し、この電流が所定の閾値(以下、「短絡判定閾値」という)以上か否かによって、短絡状態と非短絡状態とを区別する。つまり、識別部130は、一対の電線31,32間を流れる電流が短絡判定閾値未満であれば非短絡状態と判断し、一対の電線31,32間を流れる電流が短絡判定閾値以上であれば短絡状態であると判断する。本実施形態では、通信部13は、非短絡状態から短絡状態に切り替わったことを識別部130により検知することで、子機2からの火災報を受信する。
【0058】
受信部131は、抵抗器12と一対の接続端子141,142との間に電気的に接続されている。受信部131は、子機2が一対の電線31,32から電流を引き込むことで子機2から送信される電流信号を、一対の電線31,32間の電圧変化として受信する。つまり、子機2が一対の電線31,32から引き込む電流の電流値は、抵抗器12での電圧降下の大きさに相当する。したがって、受信部131は、子機2が一対の電線31,32から引き込む電流を変化させた場合に一対の電線31,32上に生じる電圧変化(電圧信号)を、伝送信号として受信する。
【0059】
送信部132は、抵抗器12と一対の接続端子141,142との間に電気的に接続されている。送信部132は、一対の電線31,32から流れ込む電流を変化させることで、伝送信号を子機2に送信する。つまり、送信部132は、印加部11から抵抗器12に流れる電流の引き込みにより、一対の電線31,32を流れる電流を変化させることで、伝送信号を子機2に送信する。
【0060】
このように、通信部13は、受信部131及び送信部132によって、一対の電線31,32を介して子機2と双方向に通信する。
【0061】
本実施形態では、送信部132は、制御部17(探索部171)に制御されることにより、アドレスの返信を要求する要求信号を、一対の電線31,32(接続線L1)に送出する。また、本実施形態では、受信部131は、制御部17(探索部171)に制御されることにより、接続機器9(子機2、終端器8等)から一対の電線31,32(接続線L1)へ送出される、接続機器9のアドレスを含む伝送信号(応答信号)を受信する機能を有している。
【0062】
表示部151は、各種の表示を行う。表示部151は、たとえばLED(Light Emitting Diode)、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を備えている。ここでは、表示部151は、モノクロの液晶ディスプレイを備えている。表示部151は、例えば、火災の発生、又は火災の発生した階(フロア)を表示する。表示部151は、火災を検知した子機2からアドレスを取得した場合は、このアドレスに対応付けられた子機2の設置場所を表示することで、発報元の子機2の設置場所を表示することも可能である。
【0063】
また、表示部151は、制御部17(提案部172、登録部173)に制御されることにより、提案処理の結果を示す情報を表示する。要するに、受信機1(終端器設定支援システム10)は、提案部172による提案結果を提示する提示部15(表示部151)を備える。
【0064】
操作部16は、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作部16は、自動火災報知システム100の各種の設定等を行う際の入力操作を受け付ける。操作部16は、ユーザの入力操作を受け付けるディップスイッチ、押し釦スイッチ等を備えている。
【0065】
本実施形態では、操作部16は、受信機1に提案処理を開始させるための操作入力(以下、「提案要求」という)を受け付ける開始釦160を含む。
【0066】
また、本実施形態では、操作部16は、表示部151の表示内容を切り換えるための複数の操作釦を含む。複数の操作釦は、第1選択釦161と、第2選択釦162と、実行釦163と、取消釦164と、を含む。第1選択釦161及び第2選択釦162は、表示部151に表示されている画面を遷移させるための釦である。第1選択釦161又は第2選択釦162が操作されると、表示部151に表示されている画面が、その画面の1つ後又は1つ前として設定されている画面へと遷移する。例えば、第1選択釦161が操作されると、表示部151に表示されている画面が1つ後の画面へと遷移し、第2選択釦162が操作されると、表示部151に表示されている画面が1つ前の画面へと遷移する。実行釦163が操作されると、表示部151に表示されている画面の選択内容が実行(決定)される。取消釦164が操作されると、実行釦163で実行(決定)された内容が取り消される。
【0067】
記憶部19は、自動火災報知システム100の各種の設定等の種々の情報を記憶する。記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等を含み得る。記憶部19は、制御部17の有するメモリであってもよい。記憶部19が記憶する情報は、各子機2に割り当てられているアドレス(識別子)を含む。記憶部19が記憶する情報は、各子機2の設置場所の情報を含む。記憶部19が記憶する情報は、接続線L1に接続されている終端器8の情報(登録処理により登録された情報)を含む。
【0068】
制御部17は、受信機1の各部を制御する。制御部17は、通信部13を制御して、一対の電線31,32間が短絡しているか否かを識別部130で判断させたり、送信部132から信号を送信させたり、接続機器9からの信号を受信部131で受信させたりする。制御部17は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この制御部17では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、制御部17のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0069】
図1に示すように、本実施形態では、制御部17は、探索部171と、提案部172と、登録部173と、報知部174と、断線検出部175と、を備えている。探索部171、提案部172、登録部173、報知部174及び断線検出部175は、実体のある構成を示しているわけではなく、制御部17により実現される機能を示している。
【0070】
探索部171は、探索処理を行う。探索処理は、接続線L1の状況を探索することを含む。接続線L1の状況は、接続線L1に対する探索処理を行うことによって得られ得る。
【0071】
本実施形態では、探索処理は、接続線L1に流れる電流を計測すること(電流計測処理)を含む。電流計測処理は、例えば、抵抗器12の両端間の電圧(抵抗器12での電圧降下)を計測することで、抵抗器12に流れる電流を計測することを含み得る。
【0072】
本実施形態では、探索処理は、接続線L1に接続されている接続機器9との間で、接続線L1を介して通信すること(通信処理)を含む。
【0073】
通信処理において受信機1との間で通信する接続機器9は、子機2を含み得る。子機2との間で通信を行うことで、探索部171は、接続線L1に接続されている子機2の台数を判定可能である。また、子機2との間で通信を行うことで、探索部171は、各子機2のアドレスの情報を取得可能である。
【0074】
通信処理において受信機1との間で通信する接続機器9は、終端器8としてのアドレス付終端装置を含み得る。上述のように、アドレス付終端装置は、受信機1(探索部171)からアドレスの返信を要求する要求信号を接続線L1を介して受信すると、自身のアドレス(終端アドレス)を含む応答信号を接続線L1を介して送信する。そのため、終端器8に対して要求信号を送信し、終端器8からの応答信号の有無を検出することで、受信機1は、アドレス付終端装置が接続線L1に接続されているか否かを判定可能(応答有の場合、アドレス付終端装置が接続されていると判断)である。
【0075】
要するに、探索処理により得られる接続線L1の状況は、接続線L1に接続されている接続機器9(子機2、終端器8)のアドレスと接続線L1に接続されている接続機器の台数(子機2、終端器8)とのうちの少なくとも一方を含み得る。
【0076】
提案部172は、提案処理を行う。提案処理は、探索処理で得られた接続線L1の状況を示す状況情報に基づいて、この接続線L1に対する接続対象の終端器8を提案することを含む。
【0077】
提案部172が提案処理を行う際に参照する状況情報は、電流計測処理により得られた、接続線L1に流れる電流の値Iの情報を含む。
【0078】
例えば、提案部172は、接続線L1に流れる電流の値Iが第1閾値Ith1以上の場合、接続線L1が短絡しているとして、接続線L1に配線異常があると判断する。そして、提案部172は、接続対象の終端器8の判定が不可能であると判断し、接続対象の終端器8の提案を行わない。すなわち、この場合、提案部172は、接続対象の終端器8の判定が不可能であることを提案する。第1閾値Ith1は、例えば、上記の短絡判定閾値と同じであってもよい。なお、いずれかの子機2の送信部24が、一対の電線31,32を擬似的に短絡させることで火災報の報知を行っている場合にも、接続線L1に流れる電流の値Iは第1閾値Ith1以上となる。この場合にも、提案部172は、接続対象の終端器8の判定が不可能であると判断し、接続対象の終端器8の提案を行わない。
【0079】
例えば、提案部172は、接続線L1に流れる電流の値Iが第1閾値Ith1未満かつ第2閾値Ith2以上の場合、接続線L1に1台以上の接続機器9(子機2と終端器8とのうちの少なくとも一方)が接続されていると判断する。第2閾値Ith2は、第1閾値Ith1よりも小さい(第2閾値Ith2<第1閾値Ith1)。この場合、提案部172は、接続線L1に接続されている接続機器9の情報(例えば、子機2の台数の情報、終端器8のアドレスの情報等)を更に参照して、接続対象の終端器8を提案し得る。
【0080】
例えば、提案部172は、接続線L1に流れる電流の値Iが第2閾値Ith2未満の場合、接続線L1に終端器8が接続されていないと判断する。この場合、提案部172は、接続線L1に接続されている接続機器9の情報(例えば、子機2の台数の情報等)を更に参照して、接続対象の終端器8を提案し得る。
【0081】
提案部172が提案処理を行う際に参照する状況情報は、通信処理により得られた、接続線L1に接続されている接続機器9の情報を含む。
【0082】
提案部172が提案処理を行う際に参照する状況情報は、接続線L1に接続されている子機2の情報を含み得る。接続線L1に接続されている子機2の情報は、接続線L1に接続されている子機2のアドレスの情報を含み得る。接続線L1に接続されている子機2の情報は、接続線L1に接続されている子機2の台数Nの情報を含み得る。
【0083】
例えば、提案部172は、接続線L1に接続されている子機2の台数Nが閾値台数Nth(例えば31台)以上の場合、接続線L1に対する接続対象の終端器8としてアドレス付終端装置を提案する。
【0084】
例えば、提案部172は、接続線L1に接続されている子機2の台数Nが閾値台数Nth未満かつ1台以上の場合、接続線L1に対する接続対象の終端器8として終端抵抗を提案する。
【0085】
また、提案部172が提案処理を行う際に参照する状況情報は、接続線L1に接続されている終端器8の情報を含み得る。接続線L1に接続されている終端器8の情報は、接続線L1に接続されている終端器8(アドレス付終端装置)のアドレスの情報を含み得る。つまり、接続線L1に接続されている終端器8の情報は、接続線L1にアドレス付終端装置が終端器8として接続されているか否かの情報を含み得る。
【0086】
例えば、提案部172は、接続線L1にアドレス付終端装置が終端器8として接続されているとの結果が探索処理によって得られた場合、接続線L1に対する接続対象の終端器8としてアドレス付終端装置を提案する。
【0087】
要するに、提案部172が提案処理を行う際に参照する接続線L1の状況は、接続線L1に接続されている接続機器(子機2、終端器8)のアドレス及び/又は接続線L1に接続されている接続機器(子機2、終端器8)の台数を含む。
【0088】
登録部173は、登録処理を行う。登録処理は、提案処理による提案結果に基づいて、終端器8の情報を記憶部19に登録することを含む。
【0089】
登録部173は、例えば、表示部151と操作部16とを用いることによって、記憶部19に登録されるべき終端器8の情報を、ユーザに対話的に選択させる。具体的には、登録部173は、探索処理及び提案処理の終了後、提案処理にて提案された接続対象の終端器8(提案結果)を、表示部151に表示させる。そして、登録部173は、表示部151に表示された提案結果をユーザが操作部16を用いて承認した場合に、この提案結果(接続対象の終端器8)を接続線L1に紐付けて登録する。つまり、本実施形態では、提案処理による提案結果(接続対象の終端器8の情報)がそのまま記憶部19に登録されるのではなく、操作部16を介してユーザの承認が得られた場合に、提案結果が記憶部19に登録される。そのため、本実施形態の終端器設定支援システム10では、誤登録の可能性を低減することが可能となる。
【0090】
また、登録部173は、接続線L1に対する接続対象の終端器8の提案結果を表示部151に表示させる前に、この接続線L1に接続されている子機2の情報、具体的にはこの接続線L1に接続されている子機2の台数の情報を、表示部151に表示させる。これにより、ユーザは、接続線L1に接続されている子機2の情報を考慮しながら、終端器8の承認、変更等を行うことができる。そのため、本実施形態の終端器設定支援システム10では、誤登録の可能性を更に低減することが可能となる。
【0091】
報知部174は、記憶部19に既に終端器8の情報が登録されている場合において、提案処理で提案された接続対象の終端器8の情報(提案結果)が記憶部19に登録されている終端器8の情報と異なる場合に、報知を行う。報知部174による報知の方法は、特に限定されないが、例えば表示部151に所定の警告を表示させてもよいし、提示部15としてのスピーカから警告音声を出力させてもよい。要するに、報知部174は、記憶部19に登録されている終端器8の情報が、提案処理で提案された接続対象の終端器8の情報と異なる場合に、報知する。
【0092】
断線検出部175は、接続線L1(上記の「ループ」)の断線を検出する。断線検出部175は、一対の電線31,32間を流れる電流の大きさ(抵抗器12での電圧降下の大きさ)を監視し、この電流に基づいて、接続線L1が断線しているか否かを判定する。
【0093】
接続線L1が断線を判定するための基準は、接続線L1に接続されている終端器8の種類、より詳細には、この接続線L1に紐付けて記憶部19に登録されている終端器8の情報に、依存する。
【0094】
例えば、終端器8がアドレス付終端装置の場合、断線検出部175は、アドレスの送信を要求する要求信号を終端器8へ送信した場合に、終端アドレスを含む応答信号を受け取るか否かによって、接続線L1が断線しているか否かを判定する。断線検出部175は、終端アドレスを含む応答信号を受け取ると、接続線L1が断線していないと判断し、終端アドレスを含む応答信号を受け取らないと、接続線L1が断線していると判断する。
【0095】
例えば、終端器8が終端抵抗の場合、断線検出部175は、一対の電線31,32間を流れる電流の大きさが所定の閾値(以下、「断線判定閾値」という)以上であるか否かによって、接続線L1が断線しているか否かを判定する。断線判定閾値は、上記の短絡判定閾値よりも小さい(断線判定閾値<短絡判定閾値)。断線判定閾値は、例えば、上記の第2閾値Ith2と同じであってもよい。断線検出部175は、一対の電線31,32間を流れる電流が断線判定閾値未満であれば接続線L1が断線していると判断し、一対の電線31,32間を流れる電流が断線判定閾値以上であれば接続線L1が断線していないと判断する。
【0096】
断線判定閾値は、終端抵抗の抵抗値によって変わり得る。例えば、抵抗値が10kΩの終端抵抗の場合の断線判定閾値(以下、「第1断線判定閾値」という)は、抵抗値が20kΩの終端抵抗の場合の断線判定閾値(以下、「第2断線判定閾値」という)よりも大きく設定され得る。ただし、これに限らず、第1断線判定閾値と第2断線判定閾値は同じであってもよい。
【0097】
図1に示すように、受信機1は、停電に際しても自動火災報知システム100の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源18をさらに備えている。受信機1は、商用電源、自家発電設備等を主電源としている。印加部11は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源18に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源18から主電源に自動的に切り替える。
【0098】
(3)動作
以下、本実施形態の受信機1(終端器設定支援システム10)の動作の一例について、図面を参照して説明する。
【0099】
(3.1)第1動作例
以下に示す第1動作例は、ユーザによる開始釦160への操作(提案要求)に応じて、探索部171が探索処理を行い、提案部172が探索処理の結果に基づいて提案処理を行う場合の受信機1の動作の一例である。なお、便宜上、「アドレス付終端装置」を、
図4及び以下の表1では「AD」と表記し、
図6、
図7では「AD64」と表記している。
【0100】
開始釦160が操作されることでユーザからの提案要求を受け付けると、受信機1はまず、探索部171が電流計測処理を行うことで、接続線L1に流れる電流の値Iを計測する(S1)。
【0101】
電流計測処理で計測された電流の値Iが、上述の第1閾値I
th1以上である場合(S2:Yes)、提案部172は、接続線L1に配線異常があると判断する。接続線L1の配線異常は、接続線L1の短絡の場合もあれば、接続線L1の擬似的な短絡(子機2での火災報の報知)の場合もあり得る。そして、提案部172は、例えば、接続線L1に配線異常がある旨の情報を提示部15から提示させる(S3)。一例において、提案部172は、配線異常を意味する「ハイセンイジョウ」のような文字情報C1等を含む画面A1(
図5参照;以下、「画面I」ともいう)を、表示部151に表示させる。なお、
図5~
図10の画面A1~A6は、複数の配線L1のうちの第1配線L11を表す「L001」のような文字情報も、含んでいる。
【0102】
電流計測処理で計測された電流の値Iが、第1閾値Ith1未満の場合(S2:No)、探索部171は、通信処理を行い、接続線L1を介して、接続線L1に接続されている接続機器9と通信する(S4)。通信処理において、探索部171は、例えば、各接続機器9にアドレスを要求する要求信号を送信する。そして、各接続機器9からの応答信号に基づいて、探索部171は、接続線L1に接続されている接続機器9の情報を取得する。具体的には、探索部171は、接続線L1に接続されている子機2の台数の情報を取得する。また、探索部171は、接続線L1に終端器8としてアドレス付終端装置が接続されているか否かの判断を行う(S5)。
【0103】
接続線L1にアドレス付終端装置が接続されていると判断した場合(つまり、終端器8から終端アドレスを含む応答信号を受信した場合)(S5:Yes)、提案部172は、終端器8としてアドレス付終端装置が接続線L1に接続されていると判断する。そして、提案部172は、例えば、接続線L1に終端器8としてアドレス付終端装置が接続されている旨の情報を、提示部15から提示させる(S6)。一例において、提案部172は、アドレス付終端装置を意味する「AD64シュウタンキ」のような文字情報C2等を含む画面A2(
図6参照;以下、「画面II」ともいう)を、表示部151に表示させる。
【0104】
一方、接続線L1にアドレス付終端装置が接続されていないと判断した場合(S5:No)、提案部172は、接続線L1に接続されている子機2の台数Nの判定を行う(S7)。
【0105】
接続線L1に接続されている子機2の台数Nが、閾値台数N
th(例えば31台)以上の場合(S7:Yes)、提案部172は、接続線L1にアドレス付終端装置が接続されていないにもかかわらず、多数(31台以上)の子機2が接続線L1に接続されていると判断する。そして、提案部172は、例えば、接続線L1にアドレス付終端装置を接続すべき旨の示唆(或いは警告)を含む情報を、提示部15から提示させる(S8)。一例において、提案部172は、アドレス付終端装置が未接続であることを意味する「ミセツゾク AD64シュウタンキ」のような文字情報C3等を含む画面A3(
図7参照;以下、「画面III」ともいう)を、表示部151に表示させる。
【0106】
接続線L1に接続されている子機2の台数が、閾値台数Nth未満の場合(S7:No)、提案部172は、接続線L1に流れる電流の値Iが第2閾値Ith2以上であるか否かを判定する(S9)。ここでは、処理S9での判定に用いられる「接続線L1に流れる電流の値I」は、処理S1で計測された値である。ただし、これに限らず、処理S9での判定に用いられる「接続線L1に流れる電流の値I」は、処理S1とは別に計測された値(例えば、処理S7の後に再度計測された値)であってもよい。
【0107】
処理S9において、接続線L1に流れる電流の値Iが、第2閾値I
th2以上(かつ第1閾値I
th1未満)である場合(S9:Yes)、提案部172は、終端器8としてアドレス付終端装置以外の終端器(例えば終端抵抗)が接続線L1に接続されている、と判断する。そして、提案部172は、例えば、終端器8としてアドレス付終端装置以外の終端器が接続されている旨の情報を、提示部15から提示させる(S10)。一例において、提案部172は、終端器8としての終端抵抗の抵抗値を示す「10kΩ」のような文字情報C4等を含む画面A4(
図8参照;以下、「画面IV」ともいう)を、表示部151に表示させる。要するに、接続対象の終端器8は終端抵抗を含み、提案処理は、終端抵抗の抵抗値を提案することを含む。
【0108】
接続線L1に流れる電流の値Iが、第2閾値Ith2未満の場合(S9:No)、提案部172は、接続線L1に子機2が接続されているか否か、すなわち接続線L1に接続されている子機2の台数Nが1台以上か否かを判定する(S11)。
【0109】
接続線L1に接続されている子機2の台数Nが1台以上の場合(S11:Yes)、提案部172は、接続線L1に子機2が接続されているにもかかわらず接続線L1に終端器8が接続されていないと判断する。そして、提案部172は、例えば、接続線L1に終端器8が接続されていない旨の情報を、提示部15から提示させる(S12)。一例において、提案部172は、終端器8が接続されていないことを意味する「ミセツゾク 10kΩ」のような文字情報C5等を含む画面A5(
図9参照;以下、「画面V」ともいう)を、表示部151に表示させる。
【0110】
接続線L1に接続されている子機2の台数Nが0の場合(S11:No)、提案部172は、接続線L1には子機2が接続されておらず、この接続線L1は使用されていないと判断する。そして、提案部172は、例えば、接続線L1が使用されていないことを示す情報を、提示部15から提示させる(S13)。一例において、提案部172は、接続線L1が空き回線(未使用)であることを意味する「アキカイセン」のような文字情報C6等を含む画面A6(
図10参照;以下、「画面VI」ともいう)を、表示部151に表示させる。
【0111】
本動作例において、探索部171による探索処理の結果と、提案部172による提案処理の結果(提案内容、表示部151に表示させる画面の種類)との関係をまとめると、以下の表1の通りである。
【0112】
【0113】
なお、本実施形態では、受信機1は複数の接続部14を備えており、複数の接続部14の各々に対して接続線L1が接続可能である。つまり、受信機1には、複数の接続線L1が接続され得る。例えば
図3に示すように、受信機1には、4つの接続部14に対して4本の接続線L1(第1接続線L11~第4接続線L14)が接続され得る。
【0114】
このように複数の接続線L1が受信機1に接続されている場合、受信機1は、ユーザから提案要求を受け付けると、複数の接続線L1について探索処理及び提案処理を順次実行する。具体的には、受信機1は、まず第1接続線L11について探索処理及び提案処理を実行し、続いて第2接続線L12について探索処理及び提案処理を実行し、第3接続線L13について探索処理及び提案処理を実行し、第4接続線L14について探索処理及び提案処理を実行する。
【0115】
ただし、これに限らず、受信機1は、複数の接続線L1について探索処理及び提案処理を同時に実行してもよい。また、提案要求が、探索処理及び提案処理を行う処理対象の接続線L1を指定する入力内容を含む場合、提案要求にて指定された接続線L1についてのみ、受信機1が探索処理及び提案処理を行ってもよい。
【0116】
(3.2)第2動作例
以下に示す第2動作例は、ユーザによる開始釦160への操作(提案要求)に応じて探索部171及び提案部172が複数の接続線L1に対して探索処理及び提案処理を行い、その後、登録部173が、複数の接続線L1に対して登録処理を行う場合の受信機1の動作の一例である。
【0117】
本動作例は、例えば、ユーザとしての施工者が、複数の接続線L1に対して終端器8の接続作業を完了し、その情報を記憶部19に登録したい場合に行われ得る。ただし、これに限らず、本動作例は、記憶部19に既に終端器8の情報が登録されている場合において、ユーザとしての管理者が終端器8の情報を登録し直す場合に行われてもよい。本動作例においてユーザは、基本的には、各接続線L1に実際に接続されている終端器8の種類を把握しているものとする。
【0118】
本動作例において、各接続線L1に対して行われる探索処理及び提案処理の内容は、動作例1の場合と同様なので、その詳細については適宜説明を省略する。
【0119】
開始釦160が操作されると、探索部171及び提案部172は、各接続線L1に対して、探索処理及び提案処理を行う。探索処理及び提案処理の実行中において、登録部173は、例えば、探索処理及び提案処理を実行中である旨の情報を提示部15から提示させる。一例において、登録部173は、
図11に示すような案内画面A11を表示部151に表示させる。案内画面A11は、探索処理及び提案処理を実行中であることを意味する「タンマツ トウロク カクニンチュウ」のような文字情報C11、及び処理の進捗状況を示すバーグラフD11等を含んでいる。
【0120】
探索処理及び提案処理が完了すると、登録部173は、例えば、各接続線L1についての終端器8の情報の登録処理を開始する旨の情報を、提示部15から提示させる。一例において、登録部173は、
図12に示すような案内画面A12を表示部151に表示させる。案内画面A12は、登録を開始することを意味する「ナイヨウ カクニン ジッコウ デ シュウセイ」のような文字情報C12等を含んでいる。案内画面A11から案内画面A12への遷移は、ユーザからの入力無しで自動で行われてもよいし、ユーザからの操作部16への操作(例えば、第1選択釦161への押操作)に応じて行われてもよい。
【0121】
表示部151に案内画面A12が表示されている状態において、ユーザから操作部16への適宜の操作(例えば、第1選択釦161への押操作)を受け付けると、登録部173は、各接続線L1(第1接続線L11~第4接続線L14)についての終端器8の情報の登録処理を開始する。
【0122】
登録部173は、例えば、まず、探索処理及び提案処理の結果得られた、第1接続線L11に接続されている子機2の台数N1を示す情報、及び第1接続線L11に接続されている終端器8の情報を、提示部15から提示させる。
【0123】
例えば、第1接続線L11についての探索処理及び提案処理の結果、第1接続線L11に接続されている子機2(感知器)の台数が20台であり、第1接続線L11に終端器8として抵抗値が10kΩの終端抵抗が接続されていると判断されたとする。
【0124】
この場合、登録部173は、
図13に示すような表示画面A13を表示部151に表示させる。表示画面A13は、第1接続線L11を表す「001L」のような文字情報B13、及び第1接続線L11に接続されている子機2の台数N1を表す「20 コ」のような文字情報C13等を含んでいる。
【0125】
そして、表示画面A13が表示されている状態で、ユーザから操作部16への操作(例えば、第1選択釦161への押操作)を受け付けると、登録部173は、
図14に示すような登録画面A14を表示部151に表示させる。登録画面A14は、第1接続線L11を表す「001L」のような文字情報B14、及び提案処理による提案結果としての抵抗値が10kΩの終端抵抗を表す「10k」のような文字情報C14等を含んでいる。
【0126】
登録画面A14が表示されると、ユーザは、登録画面A14の表示内容を確認し、登録画面A14に表示されている情報(第1接続線L11の抵抗器8が、抵抗値が10kΩの終端抵抗であるという情報)を承認すべきか或いは変更すべきかを判断する。
【0127】
登録画面A14に表示されている情報を承認する場合、ユーザは、登録画面A14が表示部151に表示されている状態で、操作部16へ適宜の操作(例えば、第1選択釦161への押操作)を行う。登録部173は、ユーザからの承認(第1選択釦161への押操作)を受け付けると、提案処理により提案された結果(登録画面A14に表示されている、終端器8が抵抗値10kΩの終端抵抗であるという情報)が承認された、と判断する。
【0128】
一方、登録画面A14に表示されている情報(終端器8の情報)を変更する場合、ユーザは、登録画面A14が表示部151に表示されている状態で、操作部16へ適宜の操作(例えば、実行釦163への押操作)を行う。登録部173は、ユーザから、終端器8の情報を変更するための操作を受け付けると、
図15に示すような、終端器8の情報を変更するための変更画面A15を表示部151に表示させる。変更画面A15は、第1接続線L11を表す「001L」のような文字情報B15、及び変更対象である終端器8の種類を鉤括弧付で表す「[10k]」のような文字情報C15等を含んでいる。変更画面A15が表示部151に表示されている状態で、第1選択釦161が押操作されると、変更画面A15が変更画面A16(
図16参照)に切り換わる。変更画面A16は、第1接続線L11を表す「001L」のような文字情報B16、及び変更された終端器8の種類を鉤括弧付で表す「[20k]」のような文字情報C16等を含んでいる。
【0129】
ユーザは、終端器8の種類を、変更画面A16に表示されている情報(抵抗値が20kΩの終端抵抗であるという情報)へ変更するか否かを判断する。変更する場合、ユーザは、変更画面A16が表示部151に表示されている状態で、操作部16へ適宜の操作(例えば、実行釦163への押操作)を行う。登録部173は、実行釦163が押操作されると、終端器8の種類を変更すべきと判断し、
図17に示すような登録画面A17を表示部151に表示させる。登録画面A17は、第1接続線L11を表す「001L」のような文字情報B17、及び変更された接続対象の終端器8としての終端抵抗の抵抗値を表す「20k」のような文字情報C17等を含んでいる。
【0130】
一方、終端器8の種類を変更しない場合、ユーザは、変更画面A16が表示部151に表示されている状態で、操作部16へ適宜の操作(例えば、取消釦164への押操作)を行う。登録部173は、取消釦164が押操作されると、終端器8の種類の変更が取り消されたと判断し、再度、登録画面A14を表示部151に表示させる。なお、変更画面A15が表示部151に表示されている状態で、実行釦163又は取消釦164が押操作された場合も、登録部173は、終端器8の種類の変更が取り消されたと判断し、登録画面A14を表示部151に表示させる。
【0131】
なお、登録画面A14が表示部151に表示されている状態で、第2選択釦162又は取消釦164が押操作されると、登録部173は、表示画面A13を表示部151に表示させる。
【0132】
ユーザから、終端器8の種類の承認(登録画面A14又は登録画面A17が表示されている状態で、第1選択釦161への押操作)を受け付けると、登録部173は、登録画面A14又はA17に表示されている内容(例えば、終端器8が、抵抗値が10kΩ又は20kΩの終端抵抗であるという情報)が承認された、と判断する。
【0133】
第1接続線L11に対する接続対象の終端器8の情報の承認の受付が終わると、登録部173は、続いて、第2接続線L12の接続対象の終端器8の情報の登録のための表示画面A18及び登録画面A19等を表示部151に表示させる。そして、第2接続線L12に対して、第1接続線L11の場合と同様に、接続対象の終端器8の提示及び承認の受付を行う。なお、表示画面A18は、表示画面A13と同様、第2接続線L12を表す「002L」のような文字情報B18、及び第2接続線L12に接続されている子機2の台数N2を表す「0 コ」のような文字情報C18等を含む。また、登録画面A19は、登録画面A14と同様、第2接続線L12を表す「002L」のような文字情報B19、及び提案処理による提案結果としての第2接続線L12が空き回線(未使用)であることを表す「空き回線」のような文字情報C19等を含む。ユーザは、登録画面A19の表示内容を確認し、登録画面A19に表示されている情報を承認すべきか或いは変更すべきか等を判断する。
【0134】
このようにして、登録部173は、複数の接続線L1(第1接続線L11~第4接続線L14)に対して、接続対象の終端器8の情報の承認の受付を行う。
【0135】
全ての接続線L1について、接続対象の終端器8の情報の承認を受け付けると、登録部173は、確認画面A20を表示部151に表示させる。確認画面A20は、例えば、ユーザに、承認された終端器8の情報を記憶部19に登録するか否かを問い合わせる「トウロクシマスカ?」のような文字情報C20等を含む。確認画面A20において、ユーザからの承認(例えば、実行釦163への押操作)を受け付けると、登録部173は、接続対象の終端器8の情報を、各接続線L1に紐付けて記憶部19に登録(記録)する。
【0136】
なお、いずれかの接続線L1について、画面III又は画面Vが表示部151に表示された場合、つまり、アドレス付終端装置又は終端抵抗が接続線L1に接続されていないため、これらを接続すべき旨の提案を受けた場合、ユーザは、提案内容に従って、対応する接続線L1に適切な終端器8を接続すればよい。
【0137】
(4)小括
上述のように、本実施形態では、提案部172が、探索処理の結果に基づいて、接続線L1に対する接続対象の終端器8を提案する。そのため、ユーザは、探索処理の実行時に接続線L1に接続されている終端器8、又は接続線L1に接続すべき終端器8を知ることができる。これにより、本実施形態の終端器設定支援システム10によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0138】
また、本実施形態では、登録部173が、提案処理による提案結果に基づいて、終端器8の情報を記憶部19に登録する。そのため、提案結果をそのまま記憶部19に登録する場合と比較して、誤登録の可能性を低減できる。
【0139】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、受信機1と同様の機能は、終端器設定支援方法の他に、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0140】
一態様に係る終端器設定支援方法は、自動火災報知システム100に用いられる。自動火災報知システム100では、受信機1と子機2とが接続線L1を介して接続される。終端器設定支援方法は、提案処理(S3,S6,S8,S10,S12,S13)を含む。提案処理は、接続線L1の状況を探索する探索処理(S1,S4)の結果に基づいて、接続線L1に対する接続対象の終端器8を提案することを含む。
【0141】
一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の終端器設定支援方法を実行させるための、プログラムである。プログラムは、コンピュータ可読な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0142】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0143】
本開示における受信機1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における受信機1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0144】
また、受信機1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは受信機1に必須の構成ではない。受信機1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、受信機1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0145】
一変形例において、探索処理は、電流計測処理と通信処理との組み合わせに限られない。例えば、探索処理は、電流計測処理と通信処理とのうちの一方と、他の処理とを含んでいてもよい。他の処理は、例えば、記憶部19に記憶されている子機2の情報(アドレスの情報及び/又は台数の情報)を、記憶部19から取得する処理を含み得る。例えば、操作部16を用いてユーザが直接、記憶部19に子機2の情報を入力可能であってもよい。
【0146】
一変形例において、提案部172は、終端抵抗の抵抗値を、複数の候補から選択して提案してもよい。例えば、接続線L1に接続されている終端抵抗の抵抗値が、第1の値(例えば10kΩ)と第2の値(例えば20kΩ)とのうちのいずれであるかは、接続線L1に接続されている子機2の台数N、接続線L1に流れる電流の値I等を用いて決定可能である。
【0147】
一変形例において、探索処理は、提案処理に先駆けて予め(例えば定期的に)実行され、その結果が記憶部19に記憶されていてもよい。提案処理は、記憶部19に記憶されている探索処理の結果に基づいて、行われてもよい。
【0148】
一変形例において、提案部172は、上記実施形態の提案処理を実行する第1モードと、第2モードと、を有していてもよい。第2モードは、例えば、電流計測処理の結果のみに基づいて、接続線L1に終端器8が接続されているか否かのみを判断するモードである。例えば、提案部172は、操作部16(開始釦160)への操作内容に応じて、第1モードと第2モードとのうちのいずれを行うかを切り換えてもよい。例えば、提案部172は、操作部16(開始釦160)が所定時間(例えば3秒)以上操作(長押し)された場合には第1モードを行い、操作部16が所定時間未満操作された場合には第2モードを行ってもよい。
【0149】
一変形例において、終端器設定支援システム10は、登録部173を備えていなくてもよい。例えば、終端器設定支援システム10は、提案処理により提案された終端器8の情報を、記憶部19に登録する構成であってもよい。
【0150】
一変形例において、第1動作例の処理S8において、「画面II」が表示されてもよい。また、第2動作例の処理S12において、「画面IV」が表示されてもよい。この場合、表示部151には、接続線L1に対する終端器8の接続未接続にかかわらず、接続線L1に接続すべき終端器8の情報が提示されることになる。
【0151】
一変形例において、提示部15は、表示部151に代えて又は加えて、他の提示手段を備えていてもよい。他の提示手段の例は、音声により情報を提示するスピーカ、所定の情報を印字出力するプリンタ等を含み得る。
【0152】
一変形例において、第1動作例及び第2動作例で示した画面は、単に例示に過ぎず、他の画面が表示部151に表示されてもよい。
【0153】
一変形例において、終端器設定支援システム10は、受信機1と別体であってもよい。
【0154】
一変形例において、自動火災報知システム100は、受信機1に接続される接続線L1を複数に分岐させる中継器を備えていてもよい。終端器設定支援システム10は、中継器に備えられていてもよい。
【0155】
一変形例において、提案部172で提案される終端器8の候補は、アドレス付終端装置と終端抵抗とに限られない。提案部172で提案される終端器8の候補は、ダイオード、コンデンサ、アドレス付感知器等を含んでもよい。
【0156】
一変形例において、受信機1はP型に限られず、R型等であってもよい。
【0157】
(6)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0158】
第1の態様の終端器設定支援システム(10)は、自動火災報知システム(100)に用いられる。自動火災報知システム(100)では、受信機(1)と子機(2)とが接続線(L1)を介して接続される。終端器設定支援システム(10)は、接続部(14)と、提案部(172)と、を備える。接続部(14)には、接続線(L1)が接続される。提案部(172)は提案処理を行う。提案処理は、接続線(L1)の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、接続線(L1)に対する接続対象の終端器(8)を提案することを含む。
【0159】
この態様によれば、ユーザは、探索処理の実行時に接続線(L1)に接続されている終端器(8)、又は接続線(L1)に接続すべき終端器(8)を知ることができる。そのため、ユーザの利便性が向上する。
【0160】
第2の態様の終端器設定支援システム(10)では、第1の態様において、探索処理は、接続線(L1)に流れる電流を計測することを含む。
【0161】
この態様によれば、接続線(L1)に流れる電流の計測結果に基づいて、接続対象の終端器(8)が提案されるので、提案処理による提案結果の信頼性が向上する。
【0162】
第3の態様の終端器設定支援システム(10)では、第1又は第2の態様において、探索処理は、接続線(L1)に接続されている接続機器(9)と接続線(L1)を介して通信することを含む。
【0163】
この態様によれば、接続機器(9)との通信結果に基づいて、接続対象の終端器(8)が提案されるので、提案処理による提案結果の信頼性が向上する。
【0164】
第4の態様の終端器設定支援システム(10)では、第1~第3のいずれか1つの態様において、接続対象の終端器(8)は、終端抵抗を含む。提案処理は、終端抵抗の抵抗値を提案することを含む。
【0165】
この態様によれば、提案処理により終端抵抗の抵抗値が提案され得る。
【0166】
第5の態様の終端器設定支援システム(10)では、第1~第4のいずれか1つの態様において、接続線(L1)の状況は、接続線(L1)に接続されている接続機器(9)のアドレスと接続線(L1)に接続されている接続機器(9)の台数とのうちの少なくとも一方を含む。
【0167】
この態様によれば、接続線(L1)に接続されている接続機器(9)のアドレスの情報又は接続線(L1)に接続されている接続機器(9)の台数の情報に基づいて、接続対象の終端器(8)が提案されるので、提案処理による提案結果の信頼性が向上する。
【0168】
第6の態様の終端器設定支援システム(10)は、第1~第5のいずれか1つの態様において、提示部(15)を更に備える。提示部(15)は、提案処理による提案結果を提示する。
【0169】
この態様によれば、ユーザは、提案処理による提案結果を、終端器設定支援システム(10)で確認することが可能となる。
【0170】
第7の態様の終端器設定支援システム(10)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、登録部(173)を更に備える。登録部(173)は、登録処理を行う。登録処理は、提案処理による提案結果に基づいて、終端器(8)の情報を記憶部(19)に登録することを含む。
【0171】
この態様によれば、提案処理による提案結果をそのまま記憶部(19)に登録する場合と比較して、誤登録の可能性を低減できる。
【0172】
第8の態様の終端器設定支援システム(10)は、第7の態様において、報知部(174)を更に備える。報知部(174)は、記憶部に登録されている終端器(8)の情報が提案処理で提案された接続対象の終端器(8)の情報と異なる場合に報知する。
【0173】
この態様によれば、例えば接続間違い等を報知することが可能となる。
【0174】
第9の態様の終端器設定支援システム(10)では、第1~第8のいずれか1つの態様において、提案部(172)は、提案処理を実行する第1モードと、接続線(L1)に終端器(8)が接続されているか否かを通知する第2モードと、を有する。
【0175】
この態様によれば、ユーザは、必要に応じて第1モードと第2モードとを使い分けることが可能となる。
【0176】
第10の態様の終端器設定支援システム(10)は、第1~第9のいずれか1つの態様において、受信機(1)と一体である。
【0177】
この態様によれば、自動火災報知システム(100)に含まれる受信機(1)によって、提案処理が行われるので、自動火災報知システム(100)に他の装置を追加する手間が省ける。
【0178】
第11の態様の自動火災報知システム(100)は、第1~第10のいずれか1つの態様の終端器設定支援システム(10)と、受信機(1)と、終端器(8)と、子機(2)と、を備える。
【0179】
この態様によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0180】
第12の態様の終端器設定支援方法は、自動火災報知システム(100)に用いられる。自動火災報知システム(100)では、受信機(1)と子機(2)とが接続線(L1)を介して接続される。終端器設定支援方法は、探索処理を含む。探索処理は、接続線(L1)の状況を探索する探索処理の結果に基づいて、接続線(L1)に対する接続対象の終端器(8)を提案することを含む。
【0181】
この態様によれば、ユーザの利便性が向上する。
【0182】
第13の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様の終端器設定支援方法を実行させるための、プログラムである。
【0183】
この態様によれば、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0184】
1 受信機
2 子機
8 終端器
9 接続機器
10 終端器設定支援システム
14 接続部
15 提示部
172 提案部
173 登録部
174 報知部
100 自動火災報知システム
L1 接続線