(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電気装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240906BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H01R25/00 A
H01R25/00 G
(21)【出願番号】P 2021091926
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松塚 凌
(72)【発明者】
【氏名】中村 守雄
(72)【発明者】
【氏名】京面 公士
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-297561(JP,A)
【文献】特開2008-084217(JP,A)
【文献】特開2015-154279(JP,A)
【文献】特開2005-312129(JP,A)
【文献】特開平10-303582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0080125(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0026087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01R 25/00
H05K 5/00-5/06
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸熱体と、
前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される通信基板と、
少なくとも一部が金属製の筐体と、
前記筐体内に配置される電源基板と、
前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する露出部と、
前記吸熱体と、前記筐体の金属製部分との間に挟み込まれる断熱部材と、を備える、
電気装置。
【請求項2】
前記露出部は、前記筐体を取付対象に取り付けるための取付枠の一部を構成する、
請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記取付枠は、大角形連用配線器具の取付枠である、
請求項2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記吸熱体と前記露出部とは、同一部材として一体となって形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項5】
前記通信基板は、
前記吸熱体の前面に配置される第1通信基板と、
前記吸熱体の後面に配置される第2通信基板と、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項6】
前記吸熱体と前記第1通信基板との間に配置される第1放熱材を更に備える、
請求項5に記載の電気装置。
【請求項7】
前記吸熱体と前記第2通信基板との間に配置される第2放熱材を更に備える、
請求項5又は6に記載の電気装置。
【請求項8】
前記電源基板と前記筐体の前記金属製部分との間に配置される第3放熱材を更に備える、
請求項5~7いずれか1項に記載の電気装置。
【請求項9】
前記第1通信基板及び前記第2通信基板の一方は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、
請求項5~8のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項10】
前記第1通信基板及び前記第2通信基板の他方は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である、
請求項9に記載の電気装置。
【請求項11】
前記第1通信基板は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板であり、
前記第2通信基板は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板であり、
前記第2通信基板と前記電源基板との間には、空気層が存在する、
請求項5~10のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項12】
前記吸熱体と、前記筐体の前記金属製部分と、を固定するためのネジを更に備える、
請求項5~11のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項13】
前記ネジは、電気絶縁性を有する材料で構成される、
請求項12に記載の電気装置。
【請求項14】
前記筐体の前記金属製部分は、前面が開放された箱状の筐体本体であり、
前記断熱部材は、前記吸熱体と、前記筐体本体の開放された前記前面の周縁に沿う周縁端面と、の間に挟み込まれた枠状の断熱部材である、
請求項5~13のいずれか1項に記載の電気装置。
【請求項15】
前記筐体本体の開放された前記前面に、前記吸熱体及び前記断熱部材を介して取り付けられる正面カバーを更に備える、
請求項14に記載の電気装置。
【請求項16】
前記筐体本体は、一の角部が更に開放され、
負荷のプラグが接続されるコンセントブロックと、
前記筐体本体の開放された前記一の角部に取り付けられ、前記コンセントブロックへの配線が差し込まれる差込孔を有する樹脂製の筐体ブロックと、を更に備える、
請求項15に記載の電気装置。
【請求項17】
前記第2通信基板と前記電源基板との間の空気層に配置され、前記差込孔を差し込まれた前記配線が接続される端子台と、
前記第2通信基板と前記端子台との間に設けられる絶縁板と、を更に備える、
請求項16に記載の電気装置。
【請求項18】
前記露出部に固定され、前記コンセントブロックと前記正面カバーとが貫通する開口部を有する固定プレートと、
前記固定プレートの前面を覆うように前記固定プレートに取り付けられ、前記コンセントブロックと前記正面カバーとが貫通する窓孔を有するカバープレートと、を更に備える、
請求項17に記載の電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気装置に関し、より詳細には、通信を行う通信回路と、前記通信回路に電力を供給する電源回路と、前記通信回路及び前記電源回路が発する熱を外部に放出する放熱機構と、を有する電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁埋め込み型のデジタル回線終端装置において、壁面に接触する部位の材質を金属で構成し、当該金属で構成した部位(金属部位)の付近に、高発熱部(特に、デジタル回線終端装置の電子回路及び電源部の2つの高発熱部)を集中的に配置することにより、壁面への放熱効率を高める技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般に、2つの発熱部の間で、発熱量は同じではなく、温度差が生じる。発熱部間で温度差が生じると、高温側から低温側に熱が伝わり、低温側の温度が上昇する。この点、特許文献1のデジタル回線終端装置では、電子回路が電源部よりも高温となって、電子回路側から電源部側への金属部位を介した熱伝導が生じ、電源部の温度が上昇する可能性がある。
【0005】
そして、上記のような、通信回路が実装された基板(通信基板)から、電源回路が実装された基板(電源基板)への熱伝導に起因する電源回路の温度上昇は、電源回路を構成する電解コンデンサ等の部品の短寿命化の要因となる。
【0006】
本開示の目的は、通信基板及び電源基板の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めつつ、通信基板から電源基板への熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できる電気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電気装置は、吸熱体と、通信基板と、筐体と、電源基板と、露出部と、断熱部材とを備える。前記通信基板は、前記吸熱体の前面及び後面の少なくとも一方に配置される。前記筐体は、少なくとも一部が金属製である。前記電源基板は、前記筐体内に配置される。前記露出部は、前記吸熱体と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体の外部に露出する。前記断熱部材は、前記吸熱体と、前記筐体の前記金属製部分との間に挟み込まれる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電気装置は、通信基板及び電源基板の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めつつ、通信基板から電源基板への熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る電気装置を正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電気装置を背面側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電気装置において、筐体本体の一角に取り付けられている筐体ブロックを取り外した状態を、背面側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電気装置の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の電気装置を構成する取付枠の正面図である。
【
図6】
図6は、同上の電気装置において、筐体を構成する正面カバーに取付枠を挟んで筐体本体がネジで取り付けられる様子を、背面側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
本開示の実施形態に係る電気装置1は、
図1~
図4に示すように、吸熱体A1と、第1通信基板11及び第2通信基板12と、筐体3と、電源基板80と、露出部B1と、断熱部材C1とを備える。
【0012】
第1通信基板11は、吸熱体A1の前面に配置され、第2通信基板12は、吸熱体A1の後面に配置される。筐体3は、少なくとも一部が金属製である。電源基板80は、筐体3内に配置される。露出部B1は、吸熱体A1と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が筐体3の外部に露出する。断熱部材C1は、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分との間に挟み込まれる。
【0013】
金属製部分とは、通常、筐体本体32であり、以下では「金属製部分(32)」のように記す場合がある。ただし、筐体3において、筐体本体32以外に、別の金属製部分が存在してもよい。その場合、断熱部材C1は、吸熱体A1と当該別の金属製部分との間にも挟み込まれることが好適であるが、挟み込まれなくてもよい。
【0014】
なお、筐体3の金属製部分(32)以外の部分(
図1~
図4では、正面カバー31及び筐体ブロック32B)は、通常、樹脂製であるが、樹脂以外の材料で構成されてもよい。
【0015】
この電気装置1において、第1通信基板11及び第2通信基板12で発生した熱は、吸熱体A1を介して露出部B1から外部に放出される。つまり、吸熱体A1及び露出部B1は、第1通信基板11及び第2通信基板12で発生した熱を放熱する第1の放熱機構の主要部として機能する。
【0016】
また、電源基板80で発生した熱は、金属製の筐体本体32を介して、筐体3の外部に放出される。つまり、筐体3の金属製部分は、電源基板80で発生した熱を放熱する第2の放熱機構の主要部として機能する。
【0017】
これによって、通信基板(第1通信基板11及び第2通信基板12)及び電源基板80の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めることができる。
【0018】
そして、吸熱体A1と筐体3の金属製部分(32)との間が、断熱部材C1で熱的に遮断(断熱)されたことで、第1通信基板11及び第2通信基板12から筐体3の金属製部分(32)への吸熱体A1を介した熱伝導に起因する電源基板80の温度上昇は抑制される。その結果、電源基板80に搭載された電解コンデンサ等の回路部品の短寿命化の予防が可能となる。
【0019】
(2)詳細
(2-1)発熱源
この電気装置1は、無線通信回路、有線通信回路、及び電源回路(いずれも図示しない)を有する。
【0020】
無線通信回路は、無線通信を行う。無線通信は、例えば、Wi‐Fi(登録商標)通信であるが、その方式は問わない。有線通信は、例えば、PLC(Power Line Communication:電力線搬送通信)であるが、その方式は問わない。電源回路は、無線通信回路及び有線通信回路に電力を供給する。
【0021】
この電気装置1では、電力系統からの交流電力が、図示しない配線を介して電源回路に供給され、電源回路は、当該供給された交流電力を直流電力に変換し、当該変換した直流電力を無線通信回路及び有線通信回路に供給する。無線通信回路及び有線通信回路は、電源回路から供給される直流電力で動作する。
【0022】
(2-1-1)通信基板
(2-1-1a)第1通信基板
第1通信基板11は、前述した無線通信回路が実装される実装基板である。第1通信基板11に実装された無線通信回路が電源基板80からの電力で動作し、その結果、第1通信基板11で熱が発生する。第1通信基板11で発生した熱は、吸熱体A1に伝わり、露出部B1を介して外部に放出される。
【0023】
なお、第1通信基板11で発生した熱が、吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分(筐体本体32)に伝わると、筐体3内の電源基板80の温度が上昇する。しかし、電気装置1では、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分(32)との間に断熱部材C1が介在することにより、無線通信用の第1通信基板11で発生した熱が吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分に伝わることに起因する電源基板80の温度上昇は抑制される。
【0024】
(2-1-1b)第2通信基板
第2通信基板12は、前述した有線通信回路の回路部品が実装される実装基板である。第2通信基板12に実装された有線通信回路が電源基板80からの電力で動作し、その結果、第2通信基板12で熱が発生する。第2通信基板12で発生した熱は、吸熱体A1に伝わり、露出部B1を介して外部に放出される。
【0025】
なお、第2通信基板12で発生した熱が、吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分に伝わると、筐体3内の電源基板80の温度が上昇する。しかし、電気装置1では、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分32との間に断熱部材C1が介在することにより、有線通信用の第2通信基板12で発生した熱が吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分に伝わることに起因する電源基板80の温度上昇は抑制される。
【0026】
(2-1-1c)通信基板の変形例
なお、前方の第1通信基板11に有線通信回路の回路部品が実装され、後方の第2通信基板12に無線通信回路の回路部品が実装されてもよい。この場合も、上記実施形態と同様、断熱部材C1によって、電源基板80の温度上昇を抑制する効果が得られる。また、無線通信用の第2通信基板12と電源基板80との間の空気層D1(
図3参照)によって、当該2基板間の絶縁性の向上を図る効果も得られる。
【0027】
(2-1-2)電源基板
電源基板80は、前述した電源回路が実装される実装基板である。電源回路は、電解コンデンサ等の部品を含む。一般に、部品の寿命は、使用される環境の温度が高くなるほど短くなる。そして、温度上昇による短寿命化は、電解コンデンサにおいて特に顕著であり、電解コンデンサの寿命が電気装置1の寿命となる場合が少なくない。
【0028】
電源回路へは、筐体ブロック32Bの差込孔321から差し込まれて端子台81に接続された配線を介して電力系統からの交流電力が供給される。電源回路は、当該供給された交流電力を直流電力に変換し、当該変換した直流電力を第1通信基板11及び第2通信基板12に供給する。
【0029】
電源回路が上記のような動作を行う結果、電源基板80で熱が発生する。電源基板80で発生した熱は、筐体3の金属製部分(筐体本体32の後面)に伝わり、当該金属製部分(筐体本体32の後面に設けられた放熱フィン32F等)から外部に放出される。
【0030】
なお、電気装置1は、第1通信基板11及び第2通信基板12のいずれか一方のみを備え、他方を備えていなくてもよい。すなわち、電気装置1が備える通信基板は、第1通信基板11及び第2通信基板12の少なくとも一方であり、以下では、「通信基板(第1通信基板11及び/又は第2通信基板12)」又は「通信基板(11及び/又は12)」のように記す。
【0031】
電気装置1において、通信基板(第1通信基板11及び/又は第2通信基板12)で発生した熱が、吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分に伝わると、筐体3内の電源基板80の温度が上昇する。しかし、電気装置1では、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分(32)との間に断熱部材C1が介在するため、通信基板(11及び/又は12)で発生した熱が吸熱体A1を介して筐体3の金属製部分に伝わることに起因する電源基板80の温度上昇は抑制される。これにより、電源基板80に搭載されている電解コンデンサ等の部品の短寿命化が回避される。
【0032】
(2-2)取付枠(第1の放熱機構の主要部)
この電気装置1において、露出部B1は、取付枠2の一部を構成する。取付枠2は、筐体3を取付対象(図示しない)に取り付けるための枠状の部材である。取付対象は、例えば、スイッチボックスであるが、スイッチボックス以外の器具でもよいし、壁面でもよく、その種類は問わない。なお、本実施形態におけるスイッチボックスは、壁に埋め込まれるタイプ(埋め込み式)であるが、壁から露出した状態での取り付けが可能なタイプ(露出取り付け式)でもよい。
【0033】
通信基板(11及び/又は12)で発生した熱は、吸熱体A1を介して、取付枠2を構成する露出部B1に伝わり、当該伝わった熱の少なくとも一部が、露出部B1から外部に放出される。
【0034】
なお、外部とは、例えば、取付対象であるが、壁面、壁の内部の空気、外気等、どこでもよい。また、露出部B1に伝わった熱の一部が、取付枠2の他の部分に伝わり、当該他の部分から外部に放出されてもよい。
【0035】
これにより、取付枠2の少なくとも一部を、通信基板(11及び/又は12)で発生した熱の外部への放出(放熱)に寄与させることができる。
【0036】
なお、少なくとも一部とは、例えば、取付枠2を構成する露出部B1であるが、露出部B1以外の一部を含んでもよいし、取付枠2の全部でもよい。
【0037】
また、この電気装置1では、吸熱体A1と露出部B1とは、同一部材として一体となって形成されている。つまり、吸熱体A1として機能する部分と、露出部B1として機能する部分とを有する取付枠2が、アルミ等の金属材料で一体形成される。
【0038】
これにより、吸熱体A1と露出部B1の間で、熱伝導率が同一となり、介在物による熱伝導の阻害もないので、放熱の効率を向上させることができる。
【0039】
取付枠2は、具体的には、例えば、
図5に示すような、大角形連用配線器具の取付枠(日本産業規格「JIS C8375 大角形連用配線器具の取付枠」参照)である。住宅で用いられているコンセントやスイッチの多くは、大角形連用配線器具の一種である。
図5の取付枠2は、コンセントブロック15(後述)が貫通する窓20を有する。
【0040】
これにより、大角形連用配線器具の取付枠の少なくとも一部を、放熱に寄与させることができる。
【0041】
ただし、取付枠2は、大角形連用配線器具以外の配線器具の取付枠でもよいし、配線器具以外の器具の取付枠でも構わない。
【0042】
(2-3)筐体本体(第2の放熱機構の主要部)
筐体本体32は、金属製であり、略箱の形状を有する。筐体本体32は、前面が開放されており、当該開放された前面の周縁に沿う周縁端面320を有する。つまり、筐体本体32の前面側は、枠状の周縁端面320である。
【0043】
筐体3内の電源基板80で発生した熱は、第3放熱材T3を介して筐体本体32の後面に伝わり、筐体3の外部に放出される。筐体本体32の後面には、放熱フィン32Fが形成されており、筐体本体32の後面に伝わった熱は、主として放熱フィン32Fを介して外部に放出される。
【0044】
また、筐体本体32は、一角が更に開放されている。一角とは、筐体本体32が有する複数の角部のうち、一の角部である。本実施形態では、後述する端子台81の位置に合わせて、筐体本体32の左下の角部が開放されている。なお、端子台81の位置が、
図3に示されるように、空気層D1の右下角である場合、筐体本体32において、開放される角は、右下の角部となる。
【0045】
(2-4)筐体ブロック
筐体ブロック32Bは、樹脂製であり、筐体本体32の開放された角に取り付けられる。筐体ブロック32Bは、2つの差込孔321を有する。2つの差込孔321には、電力系統からの配線(L1相又はL2相の電圧側線、及び中性線:図示しない)が差し込まれる。筐体ブロック32Bの差込孔321から筐体3内に差し込まれた配線は、後述する端子台81に接続される。
【0046】
なお、筐体3内の電源基板80で発生し、筐体本体32に伝わった熱の一部は、筐体ブロック32Bに伝わり、筐体ブロック32Bから外部に放出される。つまり、筐体3を構成する筐体ブロック32Bも、電源基板80で発生した熱の放熱に寄与するものであり、第2の放熱機構の一部である。
【0047】
(2-5)正面カバー
正面カバー31は、筐体本体32の開放された前面に取り付けられる。
【0048】
正面カバー31は、吸熱体A1及び断熱部材C1を介して、筐体本体32の前面側の周縁端面320に取り付けられる。
【0049】
正面カバー31は、一対の脚部31Fを有し、当該一対の脚部31Fの間をコンセントブロック15が貫通する。
【0050】
通信基板(11及び/又は12)で発生した熱の一部は、吸熱体A1及び露出部B1を介して正面カバー31に伝わり、正面カバー31から外部に放出される。つまり、筐体3を構成する正面カバー31は、通信基板(11及び/又は12)で発生した熱の放熱に寄与するものであり、第1の放熱機構の一部である。
【0051】
なお、筐体3内の電源基板80で発生した熱は、正面カバー31と、筐体本体32の周縁端面320(後述)との間に断熱部材C1が介在するため、正面カバー31には伝わりにくい。
【0052】
(2-6)放熱材
電気装置1は、第1放熱材T1、第2放熱材T2及び第3放熱材T3を更に備える。
【0053】
第1放熱材T1は、吸熱体A1と第1通信基板11との間に配置される。
【0054】
ここでいう配置とは、吸熱体A1と第1通信基板11との間に第1放熱材T1を挟み込むことであり、第1放熱材T1は、吸熱体A1及び第1通信基板11の各々と直に接する。ただし、第1放熱材T1と、吸熱体A1及び第1通信基板11の少なくとも一方との間に、空気層や他の介在物が存在しても、吸熱効率を高める効果は得られる。なお、このような事項は、第2放熱材T2及び第3放熱材T3にも当てはまる。
【0055】
これより、第1通信基板11で発生した熱を、効率的に吸熱体A1に吸熱させ、露出部B1から放熱させることができる。
【0056】
第2放熱材T2は、吸熱体A1と第2通信基板12との間に配置される。これによって、第2通信基板12で発生した熱を、効率的に吸熱体A1に吸熱させ、露出部B1から放熱させることができる。
【0057】
第3放熱材T3は、電源基板80と筐体3の金属製部分(筐体本体32)との間に配置される。第3放熱材T3は、詳しくは、電源基板80と、筐体本体32の後面との間に挟み込まれる。これによって、電源基板80で発生した熱を、効率的に筐体本体32に伝え、筐体3の外部に逃がすことができる。
【0058】
このように、第1放熱材T1及び第2放熱材T2は、第1の放熱機構の一部であり、通信基板(第1通信基板11及び第2通信基板12)側で発生する熱の放熱効率を向上させる作用を有する。
【0059】
一方、第3放熱材T3は、第2の放熱機構の一部であり、電源基板80で発生する熱の放熱効率を向上させる作用を有する。これによって、電源基板80に搭載されている電解コンデンサ等の部品の短寿命化がより効果的に回避される。
【0060】
(2-7)断熱部材
断熱部材C1は、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分(筐体本体32)との間に挟み込まれる。
【0061】
こうして、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分とを断熱部材C1で断熱することで、吸熱体A1から筐体3への熱伝導が阻害され、筐体3内の電源基板80の温度上昇が抑制される。
【0062】
特に、第1放熱材T1及び第2放熱材T2によって第1の放熱機構の放熱効率が向上しても、第1の放熱機構側から第2の放熱機構側に伝わる熱の増加が断熱部材C1で抑えられ、電源基板80の温度上昇は抑制される。
【0063】
これにより、電源基板80に搭載されている電解コンデンサ等の部品の短寿命化がより効果的に回避される。
【0064】
本実施形態における断熱部材C1は、吸熱体A1と、筐体本体32の前面側の周縁端面320と、の間に挟み込まれる枠状の断熱部材である。つまり、断熱部材C1は、筐体本体32の周縁端面320と略同形状である。
【0065】
こうして、吸熱体A1と、筐体本体32の周縁端面320とを、周縁端面320と同形状の断熱部材C1で断熱することで、吸熱体A1から筐体3への熱伝導を、少ない断熱材で効果的に阻害できる。
【0066】
(2-8)ネジ
電気装置1は、ネジJ1を更に備える。ネジJ1は、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分(筐体本体32)とを固定するための部材である。
【0067】
ネジJ1は、吸熱体A1と、筐体3の金属製部分である筐体本体32とを、筐体3の樹脂製部分である正面カバー31に固定する。
【0068】
詳しくは、吸熱体A1と筐体本体32とは、例えば、
図6に示すように、3本のネジJ1によって、正面カバー31に固定される。
【0069】
吸熱体A1は、3本のねじJ1がそれぞれ挿通される3つの挿通孔A11を有する。筐体本体32は、3本のねじJ1がそれぞれ挿通される3つの挿通孔32Jを有する。正面カバー31は、3本のねじJ1がそれぞれねじ込まれる3つのネジ孔31Jを有する。
【0070】
3本のねじJ1の各々の先端側が、挿通孔32J及び挿通孔A11を挿通され、ネジ孔31Jにねじ込まれることにより、吸熱体A1及び筐体本体32は、正面カバー31に固定される。
【0071】
本実施形態におけるネジJ1は、絶縁材で構成される。絶縁材とは、電気絶縁性を有する材料である。ネジJ1用の絶縁材は、例えば、セラミックであるが、樹脂でもよい。
【0072】
ネジJ1を絶縁材で構成することで、吸熱体A1と筐体本体32との電気的な絶縁を確保できる。
【0073】
また、絶縁材を用いてネジJ1の熱伝導率を下げることで、通信基板(11及び/又は12)から筐体3の金属製部分(筐体本体32)へのネジJ1を介した熱伝導が阻害され、筐体3内の電源基板80の温度上昇がより一層抑制される。その結果、電源基板80に搭載される電解コンデンサ等の部品の短寿命化の予防効果をより高めることができる。
【0074】
(2-9)端子台及び絶縁板
電気装置1は、端子台81と、絶縁板82とを更に備える。端子台81は、第2通信基板12と電源基板80との間(すなわち、前述した空気層D1)に配置される。本実施形態における端子台81は、
図3に示すように、速結端子(ねじなし端子)であり、空気層D1の左下角に配置される。
【0075】
ただし、端子台81は、配線の固定にねじを用いるタイプの端子でもよい。また、端子台81は、空気層D1の右下角に配置されてもよいし、空気層D1のどの位置に配置されてもよい。
【0076】
端子台81は、電源基板80に接続されている。また、端子台81には、筐体ブロック32Bの差込孔321から筐体3内に差し込まれた上記配線が接続される。電力系統からの交流電力は、当該配線及び端子台81を介して電源基板80に供給される。
【0077】
なお、端子台81は、図示しない送り配線(後述)を介して、コンセントブロック15内の端子台(後述)と接続されていてもよい。その場合、電力系統から端子台81への交流電力が、電源基板80と、コンセントブロック15に接続された負荷とに供給される。
【0078】
絶縁板82は、第2通信基板12と端子台81との間に設けられる。これによって、第2通信基板12と端子台81との間が電気に絶縁される。
【0079】
(2-10)固定プレート及びカバープレート
電気装置1は、固定プレート14と、カバープレート13とを更に備える。
【0080】
固定プレート14は、露出部B1に固定され、カバープレート13は、固定プレート14の前面を覆うように、固定プレート14に取り付けられる。
【0081】
固定プレート14は、コンセントブロック15と正面カバー31とが貫通する開口部140を有する。また、カバープレート13は、コンセントブロック15と正面カバー31とが貫通する窓孔130を有する。
【0082】
固定プレート14の開口部140は、正面カバー31と略同じ又はやや小さいサイズを有する。カバープレート13の窓孔130は、固定プレート14の開口部140よりもやや小さいサイズを有する。
【0083】
前述したように、コンセントブロック15は、正面カバー31を貫通する。そして、コンセントブロック15及び正面カバー31は、カバープレート13の窓孔130及び固定プレート14の開口部140を貫通する。
【0084】
通信基板(11及び/又は12)で発生し、吸熱体A1を介して露出部B1に伝わった熱の一部は、固定プレート14を介してカバープレート13に伝わり、筐体3の外部に放出される。つまり、カバープレート13及び固定プレート14も、第1の放熱機構の一部であり、通信基板(11及び/又は12)で発生した熱の放熱に寄与する。
【0085】
(2-11)コンセントブロック
電気装置1は、コンセントブロック15を更に有する。コンセントブロック15は、樹脂製であり、電力系統からの配線(図示しない)が接続される。
【0086】
本実施形態におけるコンセントブロック15は、背面側に差込孔(図示しない)が形成され、内部に、速結端子等の端子台(図示しない)が収納されている。電力系統からの配線は、当該差込孔からコンセントブロック15の内部に差し込まれ、当該端子台に接続される。電力系統からの交流電力は、当該配線及び当該端子台を介してコンセントブロック15に供給される。
【0087】
また、コンセントブロック15は、家電等の負荷のプラグを接続可能である。コンセントブロック15の前面側の差込口に負荷のプラグが接続されると、電力系統から上記配線、コンセントブロック15及び上記プラグを介して交流電力が負荷に出力される。
【0088】
なお、本実施形態において、コンセントブロック15の上記差込孔に差し込まれる配線と、筐体ブロック32Bの差込孔321に差し込まれる配線とは、別々の配線である。ただし、コンセントブロック15への配線は、筐体ブロック32B内の端子台81からの「送り配線」でもよい。
【0089】
つまり、コンセントブロック15内の上記端子台は、送り配線を介して、筐体ブロック32B内の端子台81と接続されてもよい。この場合、コンセントブロック15に負荷のプラグが接続されると、電力系統から端子台81への交流電力は、一部が電源基板80に供給され、他の一部が上記送り配線及び当該プラグを介して負荷に供給される。
【0090】
(3)具体例1
具体例1における電気装置1は、有線通信を行う有線通信機能と、無線通信を行う無線通信機能と、有線信号及び無線信号の間の変換を行う変換機能と、電力系統からの電力を家電等の負荷に供給するコンセントの機能と、を有する、埋め込み式の配線器具である。有線通信はPLCであり、無線通信はWi‐Fi通信である。
【0091】
すなわち、第1通信基板11に実装される無線通信回路は、具体例1では、Wi‐Fi通信を行うWi‐Fi回路であり、第2通信基板12に実装される有線通信回路は、具体例1では、PLCを行うPLC回路である。
【0092】
加えて、具体例1の電気装置1では、PLC方式の有線信号(PLC信号)とWi‐Fi方式の無線信号(Wi‐Fi信号)との間の変換を行う変換回路(図示しない)が、第2通信基板12に実装される。ただし、変換回路は、例えば、第1通信基板11に実装されてもよいし、他の基板(図示しない)に実装されてもよく、その所在は問わない。
【0093】
なお、このような電気装置1は、例えば、コンセント内蔵型の無線アクセスポイントやルータなどであるが、そのタイプは問わない。
【0094】
(4)具体例2
具体例2における電気装置1は、上記具体例1の電気装置1において、コンセントの機能を省略したものである。
【0095】
すなわち、具体例2では、
図1~
図4の構成からコンセントブロック15が省略される。また、正面カバー31は、一対の脚部31Fを有さず、取付枠2は、窓20を有さず、カバープレート13の窓孔130は、正面カバー31と略同サイズとなる。さらに、カバープレート13、固定プレート14及び取付枠2の各々の長手方向のサイズも、コンセントブロック15の省略に合わせて短縮される。
【0096】
なお、このような電気装置1は、例えば、無線アクセスポイントやルータなどであるが、そのタイプは問わない。
【0097】
(5)具体例3
具体例3における電気装置1は、上記具体例2の電気装置1において、有線通信及び信号変換の2つの機能を更に省略したものである。
【0098】
すなわち、具体例3では、
図1~
図4の構成から第2通信基板12及び第2放熱材T2が更に省略される。
【0099】
なお、このような電気装置1は、例えば、無線アクセスポイントや無線ルータなどであるが、そのタイプは問わない。
【0100】
(6)具体例4
具体例4における電気装置1は、上記具体例2の電気装置1において、無線通信及び信号変換の2つの機能を更に省略したものである。
【0101】
すなわち、具体例4では、
図1~
図4の構成から第1通信基板11及び第1放熱材T1が更に省略される。
【0102】
なお、このような電気装置1は、例えば、PLCアダプタや有線ルータ等であるが、そのタイプは問わない。
【0103】
(7)まとめ
第1の態様に係る電気装置(1)は、吸熱体(A1)と、通信基板(11及び/又は12)と、筐体(3)と、電源基板(80)と、露出部(B1)と、断熱部材(C1)とを備える。前記通信基板(11及び/又は12)は、前記吸熱体(A1)の前面及び後面の少なくとも一方に配置される。前記筐体(3)は、少なくとも一部が金属製である。前記電源基板(80)は、前記筐体(3)内に配置される。前記露出部(B1)は、前記吸熱体(A1)と熱的に結合され、かつ、少なくとも一部が前記筐体(3)の外部に露出する。断熱部材(C1)は、前記吸熱体(A1)と、前記筐体(3)の金属製部分(筐体本体32)との間に挟み込まれる。
【0104】
この態様では、通信基板で発生した熱は吸熱体を介して露出部から外部に、電源基板で発生した熱は筐体の金属製部分を介して筐体外に、それぞれ放出される。また、吸熱体と筐体の金属製部分との間は、断熱部材で熱的に遮断(断熱)される。
【0105】
これによって、通信基板及び電源基板の各々で発生した熱の外部への放熱効率を高めつつ、通信基板から筐体の金属製部分への吸熱体を介した熱伝導に起因する電源基板の温度上昇を抑制できる。その結果、電源基板に搭載された電解コンデンサ等の回路部品の短寿命化を予防できる。
【0106】
第2の態様に係る電気装置(1)では、第1の態様において、前記露出部(B1)は、取付枠(2)の一部を構成する。前記取付枠(2)は、前記筐体(3)を取付対象(図示しないスイッチボックス等)に取り付けるための枠である。
【0107】
この態様によれば、取付枠の少なくとも一部(例えば、吸熱部以外の部分、又は全部)を放熱に寄与させることができる。
【0108】
第3の態様に係る電気装置(1)では、第2の態様において、前記取付枠(2)は、大角形連用配線器具の取付枠である。
【0109】
この態様によれば、大角形連用配線器具の取付枠の少なくとも一部を放熱に寄与させることができる。
【0110】
第4の態様に係る電気装置(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、前記吸熱体(A1)と前記露出部(B1)とは、同一部材として一体となって形成されている。
【0111】
この態様によれば、吸熱体と露出部の間で熱伝導率が同一となり、介在物による熱伝導の阻害もないので、放熱効率を向上させることができる。
【0112】
第5の態様に係る電気装置(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、前記通信基板(11及び/又は12)は、第1通信基板(11)と、第2通信基板(12)とを含む。前記第1通信基板(11)は、前記吸熱体(A1)の前面に配置され、前記第2通信基板(12)は、前記吸熱体(A1)の後面に配置される。
【0113】
この態様によれば、吸熱体の前面及び後面に配置された第1及び第2の2つの通信基板で発生した熱が、吸熱体及び露出部を介して筐体の金属製部分に伝わることに起因する電源基板の温度上昇を抑制できる。その結果、2つの通信基板で多くの熱が発生しても、電源基板に搭載された電解コンデンサ等の部品の短寿命化を予防できる。
【0114】
第6の態様に係る電気装置(1)は、第5の態様において、第1放熱材(T1)を更に備える。前記第1放熱材(T1)は、前記吸熱体(A1)と前記第1通信基板(11)との間に配置される。
【0115】
この態様によれば、第1通信基板で発生した熱を、効率的に吸熱体に吸熱させることができる。
【0116】
第7の態様に係る電気装置(1)は、第5又は第6の態様において、第2放熱材(T2)を更に備える。前記第2放熱材(T2)は、前記吸熱体(A1)と前記第2通信基板(12)との間に配置される。
【0117】
この態様によれば、第2通信基板で発生した熱を、効率的に吸熱体に吸熱させることができる。
【0118】
第8の態様に係る電気装置(1)は、第5~第7いずれかの態様において、第3放熱材(T3)を更に備える。前記第3放熱材(T3)は、前記電源基板(80)と前記筐体(3)の前記金属製部分(筐体本体32)との間に配置される。
【0119】
この態様によれば、電源基板で発生した熱を、効率的に筐体の金属製部分に伝え、筐体外に逃がすことができる。
【0120】
第9の態様に係る電気装置(1)は、第5~第8のいずれかの態様において、前記第1通信基板(11)及び前記第2通信基板(12)の一方は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である。
【0121】
この態様によれば、無線通信用の第1通信基板で発生した熱が吸熱体を介して筐体の金属製部分に伝わることに起因する電源基板の温度上昇を抑制できる。
【0122】
第10の態様に係る電気装置(1)は、第9の態様において、前記第1通信基板(11)及び前記第2通信基板(12)の他方は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板である。
【0123】
この態様によれば、有線通信用の第2通信基板で発生した熱が吸熱体を介して筐体の金属製部分に伝わることに起因する電源基板の温度上昇を抑制できる。
【0124】
第11の態様に係る電気装置(1)は、第5~第10のいずれかの態様において、前記第1通信基板(11又は12)は、無線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板(11)である。前記第2通信基板(12)は、有線通信回路を構成する回路部品が実装される実装基板(12)である。前記第2通信基板(12)と前記電源基板(80)との間には、空気層(D1)が存在する。
【0125】
この態様によれば、有線通信用の第2通信基板と電源基板との間の絶縁性の向上を図ることができる。
【0126】
第12の態様に係る電気装置(1)は、第5~第11のいずれかの態様において、ネジ(J1)を更に備える。前記吸熱体(A1)と、前記筐体(3)の前記金属製部分(筐体本体32)とは、前記ネジ(J1)によって固定される。
【0127】
この態様によれば、吸熱体と、筐体の金属製部分とを固定できる。
【0128】
第13の態様に係る電気装置(1)は、第12の態様において、前記ネジ(J1)は、電気絶縁性を有する材料(絶縁材)で構成される。
【0129】
この態様によれば、絶縁材を用いてネジの熱伝導率を下げることで、通信基板から筐体の金属製部分へのネジを介した熱伝導が阻害され、電源基板の温度上昇がより一層抑制される。その結果、電源基板に搭載される電解コンデンサ等の部品の短寿命化の予防効果をより高めることができる。
【0130】
第14の態様に係る電気装置(1)は、第5~第13のいずれかの態様において、前記筐体(3)の前記金属製部分(32)は、前面が開放された箱状の筐体本体(32)である。前記断熱部材(C1)は、前記吸熱体(A1)と、前記筐体本体(32)の、開放された前記前面の周縁に沿う周縁端面(320)と、の間に挟み込まれた枠状の断熱部材である。
【0131】
この態様によれば、吸熱体と、電源基板を収納した筐体本体の周縁端面とを、枠状の断熱部材で断熱することで、吸熱体から筐体本体への熱伝導が阻害され、電源基板の温度上昇を抑制できる。
【0132】
第15の態様に係る電気装置(1)は、第14の態様において、正面カバー(31)を更に備える。前記正面カバー(31)は、前記筐体本体(32)の開放された前記前面に、前記吸熱体(A1)及び前記断熱部材(C1)を介して取り付けられる。
【0133】
この態様によれば、通信基板で発生した熱の一部が、吸熱体を介して正面カバーに伝わり、正面カバーから外部に放出される。つまり、正面カバーも放熱に寄与させることができる。
【0134】
第16の態様に係る電気装置(1)では、第15の態様において、前記筐体本体(32)は、一の角部が更に開放されている。前記電気装置(1)は、コンセントブロック(15)と、筐体ブロック(32B)とを更に備える。コンセントブロック(15)には、負荷のプラグが接続される。筐体ブロック(32B)は、前記筐体本体(32)の開放された前記一の角部に取り付けられ。筐体ブロック(32B)は、樹脂製であり、差込孔(321)を有する。差込孔(321)には、前記コンセントブロック(15)への配線(図示しない)が差し込まれる。
【0135】
この態様によれば、通信基板で発生した熱の一部が、コンセントブロックから外部に放出される。また、通信基板で発生した熱の他の一部が、挿通ブロックを介して外部に放出される。つまり、コンセントブロック及び挿通ブロックも放熱に寄与させることができる。
【0136】
第17の態様に係る電気装置(1)は、第16の態様において、端子台(81)と、絶縁板(82)とを更に備える。端子台(81)は、前記第2通信基板(12)と前記電源基板(80)との間の空気層(D1)に配置され、前記差込孔(321)から差し込まれた前記配線が接続される。前記絶縁板(82)は、前記第2通信基板(12)と前記端子台(81)との間に設けられる。
【0137】
この態様によれば、第2通信基板と、コンセントブロックへの配線が接続される端子台と、の間を電気に絶縁できる。
【0138】
第18の態様に係る電気装置(1)は、第17の態様において、固定プレート(14)と、カバープレート(13)とを更に備える。前記固定プレート(14)は、前記露出部(B1)に固定され、前記コンセントブロック(15)と前記正面カバー(31)とが貫通する開口部(140)を有する。前記カバープレート(13)は、前記固定プレート(14)の前面を覆うように前記固定プレート(14)に取り付けられ、前記コンセントブロック(15)と前記正面カバー(31)とが貫通する窓孔(130)を有する。
【0139】
この態様によれば、通信基板で発生し、吸熱体を介して露出部に伝わった熱が、固定プレートを介してカバープレートに伝わり、筐体外に放出される。つまり、カバープレートと固定プレートも放熱に寄与させることができる。
【符号の説明】
【0140】
1 電気装置
11 第1通信基板(通信基板)
12 第2通信基板(通信基板)
13 カバープレート
14 固定プレート
15 コンセントブロック
2 取付枠
3 筐体
31 正面カバー
32 筐体本体
320 周縁端面
32B 筐体ブロック
321 差込孔
80 電源基板
81 端子台
82 絶縁板
A1 吸熱体
B1 露出部
C1 断熱部材
D1 空気層
J1 ネジ
T1 第1放熱材
T2 第2放熱材
T3 第3放熱材