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特許7550369移動装置、制御方法、取得方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】移動装置、制御方法、取得方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240906BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240906BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H05B47/19
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022533727
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2021019048
(87)【国際公開番号】W WO2022004173
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020113584
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚武
(72)【発明者】
【氏名】有井 康孝
(72)【発明者】
【氏名】上野 喜昭
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014213(JP,A)
【文献】特開2019-033355(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084767(WO,A1)
【文献】特開2009-164800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H05B 47/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
電気機器が設置された対象空間内で、前記対象空間における前記電気機器の場所を示す場所情報に基づいて、前記装置本体を前記電気機器に向けて移動させる駆動部と、
前記装置本体が前記電気機器に接近した近接状態において、前記電気機器が有する機器情報を前記電気機器からの電磁波を介して取得する第1取得部と、
前記近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を前記電気機器へ送信する送信部と、
前記近接状態において、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する第2取得部と、
を備え
前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含み、
前記指示信号は、前記識別情報を含み、
前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行し、
前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置され、
前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有し、
前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記第2取得部が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態であり、
前記第1取得部が、前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記送信部は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する、
移動装置。
【請求項2】
前記移動装置は、記憶部を更に備え、
前記2以上の電気機器は、特定電気機器を含み、
前記近接状態は、前記装置本体が前記特定電気機器に接近した状態であり、
前記近接状態において、前記第1取得部が前記識別情報として第1識別情報と第2識別情報とを取得した場合、
前記送信部は、前記指示信号として、前記第1識別情報を含む第1指示信号を送信し、
前記第1指示信号の送信に応じて前記特定電気機器が前記応答動作を実行したことを示す前記確認情報を、前記第2取得部が取得した場合、前記第1識別情報が前記特定電気機器の前記場所情報と紐付けて前記記憶部に記憶され、
前記第1指示信号の送信に応じて前記特定電気機器が前記応答動作を実行したことを示す前記確認情報を、前記第2取得部が取得しなかった場合、前記送信部は、前記指示信号として、前記第2識別情報を含む第2指示信号を送信し、
前記第2指示信号の送信に応じて前記特定電気機器が前記応答動作を実行したことを示す前記確認情報を、前記第2取得部が取得した場合、前記第2識別情報が前記特定電気機器の前記場所情報と紐付けて前記記憶部に記憶される、
請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記2以上の電気機器から、それぞれ無線信号により前記識別情報を取得し、
前記所定の順番は、前記2以上の電気機器からそれぞれ受信した前記無線信号の受信信号強度が大きい順である、
請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記第1取得部は、前記電気機器と無線通信を行うことで、前記機器情報を取得する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記第2取得部は、撮像部を備え、
前記確認情報は、前記撮像部により撮像された前記電気機器の画像を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記電気機器は光源を備え、
前記応答動作は、前記光源を点灯又は点滅させる動作を含み、
前記確認情報は、前記光源が点灯又点滅していることを示す画像を含む、
請求項5に記載の移動装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記装置本体を飛行させる飛行駆動部を備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項8】
前記装置本体と前記電気機器との間の相対的な位置関係が適切であるか否かを報知する適正位置報知部を更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項9】
装置本体と、電気機器が設置された対象空間内で前記装置本体を移動させる駆動部と、前記電気機器が有する機器情報を前記電気機器からの電磁波により取得する第1取得部と、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を前記電気機器に送信する送信部と、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する第2取得部と、を備える移動装置の制御方法であって、
前記駆動部により、前記電気機器に接近した近接状態へと前記装置本体を移動させることと、
前記近接状態において前記第1取得部により前記機器情報を取得することと、
前記近接状態において前記送信部により前記指示信号を送信することと、
前記近接状態において前記第2取得部により前記確認情報を取得することと、
を含み、
前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含み、
前記指示信号は、前記識別情報を含み、
前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行し、
前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置され、
前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有し、
前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記第2取得部が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態であり、
前記第1取得部が、前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記送信部は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する、
制御方法。
【請求項10】
電気機器が設置された対象空間内を移動可能な移動装置と、前記移動装置と無線通信可能な情報端末と、を用いた、前記電気機器の機器情報の取得方法であって、
前記情報端末を用いて前記電気機器を選択することと、
前記情報端末による前記電気機器の選択に応じて、前記情報端末から前記移動装置に、前記電気機器の場所を示す場所情報を無線通信により送信することと、
前記場所情報に基づいて、前記移動装置が前記電気機器に向かって移動することと、
前記移動装置が前記電気機器に接近した近接状態において、前記電気機器が有する前記機器情報を前記電気機器からの電磁波を介して取得することと、
前記近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を、前記移動装置から前記電気機器へ送信することと、
前記近接状態において、前記移動装置が、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得することと、
前記情報端末が、前記移動装置から前記機器情報を取得することと、
前記情報端末の端末側記憶部に、前記情報端末が前記移動装置から取得した前記機器情報を、選択された前記電気機器の前記場所情報と紐付けて記憶することと、
を含み、
前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含み、
前記指示信号は、前記識別情報を含み、
前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行し、
前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置され、
前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有し、
前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記移動装置が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態であり、
前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記移動装置は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する、
取得方法。
【請求項11】
前記移動装置は、前記対象空間内を飛行可能な飛行装置であり、
前記移動装置が前記電気機器へ向かって移動することは、前記移動装置が飛行により上昇して前記電気機器へ向かうことを含む、
請求項10に記載の取得方法。
【請求項12】
前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置され、
前記情報端末を用いて前記電気機器を選択することは、前記情報端末を用いて前記複数の電気機器を選択することを含み、
前記場所情報を無線通信により送信することは、前記複数の電気機器間をつなぐ経路の情報を送信することを含む、
請求項10又は11に記載の取得方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、請求項9に記載の制御方法を実行させるための、プログラム。
【請求項14】
1以上のプロセッサに、請求項10~12のいずれか1項に記載の取得方法を実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、移動装置、制御方法、取得方法及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、対象空間に設置された電気機器から機器情報を取得するための移動装置、移動装置の制御方法、移動装置を用いた取得方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器・センサの設置位置登録の方法が記載されている。この方法では、まず、施工者が、端末装置の画面上において機器・センサを指定するとともに、機器・センサのトリガ信号受信部を狙ってトリガ信号を送信する。トリガ信号は、光、例えばレーザである。次に、トリガ信号受信部がトリガ信号を受信すると、機器・センサが、機器IDを送信する。次に、端末装置で機器IDを受信し、受信した機器IDと指定した機器・センサの3次元位置情報とを紐付けて施工マスタファイルに登録する。そして、機器IDと3次元位置情報とが紐付けられた施工マスタファイルによって、ネットワークを介してサーバ内の施工マスタファイルを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-5459号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の方法では、施工者が、機器・センサのトリガ信号受信部を狙って、レーザ発光器のような施工ツールから光を送信する作業が必要となり、施工者の負担が大きい。特に、機器・センサの台数が多く、機器・センサが広い空間に設置されている場合には、施工者が、個々の機器・センサの近くに移動してそこで光を照射する作業が必要となるので、長時間の作業が必要となり、施工者の負担が更に大きくなる。
【0005】
本開示は、電気機器の機器情報を取得する際の、ユーザの負担の軽減を図ることを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る移動装置は、装置本体と、駆動部と、第1取得部と、送信部と、第2取得部と、を備える。前記駆動部は、電気機器が設置された対象空間内で、前記対象空間における前記電気機器の場所を示す場所情報に基づいて、前記装置本体を前記電気機器に向けて移動させる。前記第1取得部は、前記装置本体が前記電気機器に接近した近接状態において、前記電気機器が有する機器情報を前記電気機器からの電磁波を介して取得する。前記送信部は、前記近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を前記電気機器へ送信する。前記第2取得部は、前記近接状態において、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する。前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含む。前記指示信号は、前記識別情報を含む。前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行する。前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置される。前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有する。前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記第2取得部が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態である。前記第1取得部が、前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記送信部は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する。
【0008】
本開示の一態様に係る制御方法は、移動装置の制御方法である。前記移動装置は、装置本体と、駆動部と、第1取得部と、送信部と、第2取得部と、を備える。前記駆動部は、電気機器が設置された対象空間内で前記装置本体を移動させる。前記第1取得部は、前記電気機器が有する機器情報を前記電気機器からの電磁波により取得する。前記送信部は、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を前記電気機器に送信する。前記第2取得部は、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する。前記制御方法は、前記駆動部により、前記電気機器に接近した近接状態へと前記装置本体を移動させることを含む。前記制御方法は、前記近接状態において前記第1取得部により前記機器情報を取得することを含む。前記制御方法は、前記近接状態において前記送信部により前記指示信号を送信することを含む。前記制御方法は、前記近接状態において前記第2取得部により前記確認情報を取得することを含む。前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含む。前記指示信号は、前記識別情報を含む。前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行する。前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置される。前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有する。前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記第2取得部が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態である。前記第1取得部が、前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記送信部は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する。
【0010】
本開示の一態様に係る取得方法は、電気機器が設置された対象空間内を移動可能な移動装置と、前記移動装置と無線通信可能な情報端末と、を用いた、前記電気機器の機器情報の取得方法である。前記取得方法は、前記情報端末を用いて前記電気機器を選択することを含む。前記取得方法は、前記情報端末による前記電気機器の選択に応じて、前記情報端末から前記移動装置に、前記電気機器の場所を示す場所情報を無線通信により送信することを含む。前記取得方法は、前記場所情報に基づいて、前記移動装置が前記電気機器に向かって移動することを含む。前記取得方法は、前記移動装置が前記電気機器に接近した近接状態において、前記電気機器が有する前記機器情報を前記電気機器からの電磁波を介して取得することを含む。前記取得方法は、前記近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を、前記移動装置から前記電気機器へ送信することを含む。前記取得方法は、前記近接状態において、前記移動装置が、前記指示信号に応答して前記電気機器が前記応答動作を実行したことを示す確認情報を取得することを含む。前記取得方法は、前記情報端末が、前記移動装置から前記機器情報を取得することを含む。前記取得方法は、前記情報端末の端末側記憶部に、前記情報端末が前記移動装置から取得した前記機器情報を、選択された前記電気機器の前記場所情報と紐付けて記憶することを含む。前記機器情報は、前記電気機器に固有の識別情報を含む。前記指示信号は、前記識別情報を含む。前記電気機器は、自身の前記識別情報を含む前記指示信号を受け取ると、前記応答動作を実行する。前記対象空間には、複数の前記電気機器が設置される。前記複数の電気機器は、互いに異なる固有の前記識別情報をそれぞれ有する。前記近接状態は、前記複数の電気機器が前記応答動作を実行した場合に、前記移動装置が1つの電気機器のみから前記確認情報を取得する状態である。前記複数の電気機器のうちの2以上の電気機器から前記識別情報を含む前記機器情報をそれぞれ取得した場合、前記移動装置は、前記指示信号に含まれる前記識別情報を変えながら、2以上の前記指示信号を所定の順番で送信する。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記制御方法を実行させるための、プログラムである。
【0012】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記取得方法を実行させるための、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る移動装置及び情報端末を備えた取得システム、及び取得システムによりその機器情報が取得される電気機器の概略を示す概略図である。
図2図2は、同上の移動装置のブロック図である。
図3図3は、同上の情報端末のブロック図である。
図4図4は、同上の電気機器としての照明器具のブロック図である。
図5図5は、同上の電気機器が設置された対象空間の概略を示す側面図である。
図6図6は、同上の電気機器が設置された対象空間の概略を示す平面図である。
図7図7は、同上の情報端末の表示部に表示される対象空間画像の一例を示す図である。
図8図8は、同上の情報端末を用いて複数の電気機器間をつなぐ経路を生成する方法を説明する図である。
図9図9は、同上の情報端末を用いて複数の電気機器間をつなぐ別の経路を生成する方法を説明する図である。
図10図10は、同上の取得システムの一動作例における情報端末の動作のフローチャートである。
図11図11は、同上の一動作例における移動装置の動作のフローチャートである。
図12図12は、同上の一動作例における電気機器の動作のフローチャートである。
図13図13は、同上の一動作例において複数の電気機器からそれぞれ送信される機器情報の送信のタイミングを示すタイミングチャートである。
図14図14は、同上の一動作例において情報端末の表示部に表示される画像の一例を示す図である。
図15図15は、同上の一動作例において移動装置の移動経路を説明するための図である。
図16図16は、同上の一動作例において移動装置の移動経路を説明するための図である。
図17図17は、同上の一動作例において移動装置の移動経路を説明するための図である。
図18図18は、一変形例における照明器具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の移動装置10及び情報端末20を備えた取得システム100、制御方法、取得方法、及びプログラムについて、図面を参照しながら説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
(1)概要
本実施形態の取得システム100は、対象空間S1(図1参照)に設置されている電気機器90の機器情報を取得するためのシステムである。
【0016】
図1に示すように、取得システム100は、移動装置10と、情報端末20と、を備える。
【0017】
図2に示すように、移動装置10は、装置本体11と、駆動部12と、第1取得部131と、送信部132と、第2取得部14と、を備えている。
【0018】
駆動部12は、例えばモータ及びモータにより駆動される駆動機構を備えている。駆動部12は、対象空間内S1で、装置本体11を電気機器90に向けて移動させる。要するに、移動装置10は、対象空間S1内を移動可能である。
【0019】
図3に示すように、情報端末20は、無線通信部21と、端末側記憶部22と、操作部23と、を備えている。
【0020】
端末側記憶部22は、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報を記憶する。操作部23は、電気機器90の選択を受け付ける。情報端末20の無線通信部21は、移動装置10と無線通信を行う。無線通信部21は、操作部23で選択された電気機器90の場所情報を、移動装置10へ送信する。
【0021】
移動装置10は、情報端末20からの場所情報を、受信する。移動装置10の駆動部12は、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報(情報端末20から受信した場所情報)に基づいて、装置本体11を電気機器90に向けて移動させる。装置本体11が電気機器90に向けて移動することで、移動装置10は、装置本体11が電気機器90に接近した近接状態となり得る。
【0022】
第1取得部131は、近接状態において、電気機器90が有する機器情報を電気機器90からの電磁波を介して取得する。
【0023】
送信部132は、近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器90へ送信する。
【0024】
第2取得部14は、近接状態において、確認情報を取得する。確認情報は、電気機器90が指示信号に応答して応答動作を実行したことを示す情報である。
【0025】
情報端末20の無線通信部21は、移動装置10から機器情報を取得する。端末側記憶部22は、無線通信部21で取得された機器情報を、操作部23で選択された電気機器90の場所情報と紐付けて記憶する。
【0026】
本実施形態の取得システム100によれば、情報端末20の操作部23により選択された電気機器90の機器情報を、移動装置10を用いて取得することが可能である。そのため、ユーザ自身が電気機器90の近くに赴いて、レーザ発光器等により電気機器90を選択する(トリガ信号としてのレーザ光を送信する)等の作業が不要となり、電気機器90の機器情報を取得する際のユーザの負担の軽減を図ることが可能となる。
【0027】
更に、本実施形態の取得システム100では、移動装置10は、機器情報の送信を行った電気機器90に対して送信部132によって応答動作の実行を指示し、電気機器90が指示信号に応答して応答動作を実行したことを示す確認情報を第2取得部14によって取得している。そのため、機器情報の送信元の電気機器90の確認を行うことが可能となり、この電気機器90を別の機器情報と紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0028】
(2)詳細
以下、本実施形態の移動装置10及び情報端末20を備えた取得システム100、移動装置10の制御方法、情報端末20の制御方法、取得システム100による取得方法、及びプログラムについて、図1図17を参照しながら、より詳細に説明する。
【0029】
以下では、対象空間S1としての大規模構造物の部屋内に、電気機器90が複数台設置されている場合(図5図6参照)に、各電気機器90から機器情報としての識別情報を取得する例について、説明する。図5は、対象空間S1を側方から見た側面図である。図6は、対象空間S1を上方から見た平面図である。図5図6の例では、14台の電気機器90が、対象空間S1の天井900に、平面視において7台ずつ2列に並んで配置されている。
【0030】
大規模構造物は、例えばショッピングモールである。ただし、これに限らず、大規模構造物は、例えばオフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、学校、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港、球場、トンネル、住戸等であってもよい。
【0031】
(2.1)電気機器
電気機器90は、例えば照明器具91である。照明器具91は、対象空間S1の天井900に設置されており、下方の空間を照明する。
【0032】
ここでは、図1図5図6に示すように、複数台(図1では3台のみ図示)の電気機器90としての複数の照明器具91が、対象空間S1の天井900の異なる位置に、それぞれ取り付けられている。複数の照明器具91は、互いに同一の構造を有している。
【0033】
照明器具91は、図4に示すように、光源部911と、記憶部912と、無線通信部913と、電源接続部914と、制御部915と、筐体916と、を備えている。
【0034】
光源部911は、白熱灯、蛍光灯、LED等の光源と、光源を点灯させる点灯回路と、を備える。
【0035】
記憶部912は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等を含む。記憶部912には、照明器具91の工場出荷時或いは工場出荷前に、予め、個々の照明器具91毎に定めた固有の識別情報が記憶される。すなわち、複数の照明器具91には、互いに異なる固有の識別情報が割り当てられており、複数の照明器具91(電気機器90)は互いに異なる固有の識別情報を有している。
【0036】
無線通信部913は、例えばアンテナと通信回路とを備えている。無線通信部913は、電波を媒体として無線通信を行う機能を有する。無線通信部913は、情報端末20から送信される、情報送信要求(後述する)を含む無線信号(以下、「情報要求信号」ともいう)を受信する。無線通信部913は、機器情報を含む無線信号(以下、「機器情報信号」ともいう)を送信(ブロードキャスト)する。無線通信部913は、移動装置10から送信された指示信号を受信する。
【0037】
電源接続部914は、商用電源等の外部電源に接続される。電源接続部914は、外部電源から供給される電力を適宜に変換して、光源部911の点灯用の電力、無線通信部913及び制御部915の動作用の電力等を生成する。
【0038】
筐体916は、光源部911、記憶部912、無線通信部913、電源接続部914及び制御部915を保持する。
【0039】
制御部915は、照明器具91の各部(光源部911、記憶部912、無線通信部913)の動作を制御する。制御部915は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この制御部915では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、制御部915のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。記憶部912が、制御部915のメモリと兼用されてもよい。
【0040】
制御部915は、情報要求信号を無線通信部913を介して受け取ると、自身(自身が含まれる照明器具91)の機器情報を含む無線信号(機器情報信号)を、無線通信部913から送信させる。機器情報は、この照明器具91(電気機器90)に固有の識別情報を含んでいる。
【0041】
制御部915は、自身の識別情報を含む指示信号を、無線通信部913を介して受け取ると、応答動作を実行させる。指示信号は、所定の応答動作の実行を指示する無線信号である。すなわち、照明器具91(電気機器90)は、自身の識別情報を含む指示信号を受け取ると、応答動作を実行する。応答動作は、ここでは、光源部911の光源を点滅させる動作である。制御部915は、自身の識別情報を含まない指示信号を受け取っても、応答動作を実行させない。
【0042】
(2.2)移動装置
移動装置10は、ここでは、対象空間S1内を飛行可能な飛行装置である。より詳細には、移動装置10は、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものであって構造上人が乗ることができないもの、すなわちドローンである。
【0043】
図2に示すように、移動装置10は、装置本体11と、駆動部12と、無線通信部13と、第2取得部(以下、単に「取得部」ともいう)14と、記憶部15と、適正位置報知部16と、制御用のセンサユニット17と、電源部18と、制御部19と、を備える。
【0044】
装置本体11は、駆動部12と、無線通信部13と、取得部14と、記憶部15と、適正位置報知部16と、センサユニット17と、電源部18と、制御部19と、を保持する。
【0045】
装置本体11は、図1に示すように、矩形の箱状の本体部と、本体部の下面から四方に延びる4本の脚部と、を有している。装置本体11の本体部の上面の一端(前端)には、移動装置10の前方を示す進行方向マーク111としての矢印マークが設けられ、上面の他端(後端)には、電源スイッチ181が設けられている。
【0046】
駆動部12は、対象空間S1内で、装置本体11を移動させる。ここでは、駆動部12は、対象空間S1内で装置本体11を飛行させる飛行駆動部121を備えている。飛行駆動部121は、モータと、モータにより駆動されるプロペラ122と、を備えている。飛行駆動部121は、プロペラ122を4つ備えている。4つのプロペラ122は、4本の脚部の先端にそれぞれ設けられている。
【0047】
無線通信部13は、例えばアンテナと通信回路とを備えている。無線通信部13は、電波を媒体として無線通信を行う機能を有する。
【0048】
無線通信部13は、情報端末20から、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報を含む無線信号(以下、「場所情報信号」ともいう)を受信する。
【0049】
無線通信部13は、電気機器90からブロードキャストされる機器情報信号を受信する。すなわち、無線通信部13は、電気機器90が有する機器情報を電気機器90からの電磁波(無線信号)を介して取得する第1取得部131としての機能を有する。第1取得部131は、電気機器90と無線通信を行うことで機器情報を取得する。
【0050】
無線通信部13は、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を送信する。すなわち、無線通信部13は、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器90へ送信する送信部132としての機能を有する。指示信号には、応答動作の実行対象である電気機器90の識別情報が含まれる。
【0051】
無線通信部13は、電気機器90から取得した電気機器90の機器情報を含む無線信号を、情報端末20へ送信する。
【0052】
取得部14は、確認情報を取得する。確認情報は、電気機器90が指示信号に応答して応答動作を実行したことを示す情報である。
【0053】
ここでは、取得部14は、画像を撮像する撮像部(カメラ)141を備えている。撮像部141が撮像する画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。ここでは、撮像部141は動画を撮像する。
【0054】
上述のように、電気機器90としての照明器具91は、自身の識別情報を含む指示信号を受信した場合、応答動作として、光源部911の光源を点滅させる動作を実行する。そこで、移動装置10は、識別情報を含む指示信号を無線通信部13(送信部132)から送信した後に、撮像部141により照明器具91を撮像する。
【0055】
指示信号に含まれる識別情報が、撮像部141が撮像中の照明器具91の識別情報と一致する場合、撮像部141で撮像される照明器具91の光源が点滅する。一方、指示信号に含まれる識別信号が、撮像部141が撮像中の照明器具91の識別情報と一致しない場合、撮像部141で撮像される照明器具91の光源は点滅しない。そのため、移動装置10は、撮像部141が撮像している画像で光源の点滅が確認できれば、この照明器具91の識別情報は、指示信号に含まれていた識別情報である、と確定することができる。このようにして、移動装置10は、照明器具91に割り当てられている識別情報を確定することができる。要するに、指示信号に応答して照明器具91(電気機器90)が応答動作を実行したことを示す確認情報は、撮像部141により撮像された照明器具91(電気機器90)の画像を含む。また、確認情報は、光源が点滅していることを示す画像を含む。
【0056】
図1に示すように、撮像部141は、装置本体11の上面に設けられており、装置本体11の上方の空間を撮像する。
【0057】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等を含む。記憶部15には、情報端末20から送信される、電気機器90の場所情報が記憶される。また、記憶部15には、電気機器90から取得した機器情報が記憶される。
【0058】
適正位置報知部16は、装置本体11と電気機器90(照明器具91)との間の相対的な位置関係が適切であるか否かを報知する。適正位置報知部16は、例えば、駆動部12によって装置本体11が移動する前に動作する。ここでは、適正位置報知部16は、第1ランプ(OKランプ)161と第2ランプ(NGランプ)162とを備えている。第1ランプ161は、装置本体11と電気機器90との間の位置関係が適切な場合に点滅される。第2ランプ162は、装置本体11と電気機器90との間の位置関係が適切でない場合に点滅される。図1に示すように、第1ランプ161及び第2ランプ162は、いずれも装置本体11の上面に設けられている。適正位置報知部16の詳細については後述する。
【0059】
センサユニット17は、制御部19が移動装置10の動作(駆動部12の動作)を制御する際に用いられる。センサユニット17は、ここでは、移動装置10の移動距離を認識するための加速度センサユニット171と、移動装置10の姿勢制御のための角速度センサユニット172と、を備える。加速度センサユニット171は、例えば、装置本体11に仮想的に設定された互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の方向の加速度をそれぞれ検出する3つの加速度センサを備える。角速度センサユニット172は、例えば、装置本体11に仮想的に設定された互いに直交する3軸(ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)の方向の周りの角速度を検出する3つの角速度センサを備える。加速度センサユニット171及び角速度センサユニット172は、単一の筐体に収容されてユニット化されていてもよいし、別々に設けられていてもよい。センサユニット17は、加速度センサ及び角速度センサを備える構成に限られない。センサユニット17は、例えば、地磁気センサ等を更に備えていてもよい。
【0060】
電源部18は、移動装置10の各部(駆動部12、無線通信部13、取得部14、記憶部15、適正位置報知部16、センサユニット17、制御部19)の動作用の電力を供給する。電源部18は、ここでは電池及び電力変換回路を備えている。電池は、一次電池でもよいし、二次電池でもよい。電源スイッチ181を操作することで、電源部18から各部への電力の供給の可否が切り換えられる。
【0061】
制御部19は、移動装置10の各部(駆動部12、無線通信部13、取得部14、記憶部15、適正位置報知部16、センサユニット17、電源部18)の動作を制御する。制御部19は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この制御部19では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、制御部19のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。記憶部15が、制御部19のメモリと兼用されてもよい。
【0062】
制御部19は、情報端末20から、無線通信部13を介して、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報を含む無線信号(場所情報信号)を受け取る。制御部19は、場所情報信号を介して受け取った場所情報を、記憶部15に記憶させる。場所情報は、複数の電気機器90の間の位置関係の情報、複数の電気機器90間をつなぐ経路を示す経路情報等を含み得る。
【0063】
制御部19は、情報端末20から、無線通信部13を介して開始要求(後述する)を含む無線信号(以下、「開始要求信号」ともいう)を受け取ると、取得部14(撮像部141)を用いて、装置本体11が適正位置に配置されているか否かを判断する。制御部19は、適正位置に配置されている場合には第1ランプ161を点滅させ、適正位置に配置されていない場合には第2ランプ162を点滅させる。
【0064】
制御部19は、開始要求信号を受け取り装置本体11が適正位置に配置されていると判断すると、駆動部12を動作させ、記憶部15に記憶されている場所情報に基づいて、対象空間S1内での移動装置10の移動を開始させる。
【0065】
制御部19は、電気機器90の場所情報に基づいて、装置本体11を電気機器90に向けて移動させる。制御部19は、装置本体11が電気機器90(照明器具91)に接近した近接状態にあるか否かを判断する。ここでは、制御部19は、撮像部141で撮像された画像を用いて、近接状態にあるか否かの判断を行う。例えば、記憶部15には、装置本体11が電気機器90に接近した近接状態において撮像部141で撮像された参照画像内での、電気機器90(或いは照明器具91の光源)の大きさ(専有面積)の情報(大きさ保存情報)が記憶されている。制御部19は、撮像部141で現在撮像された画像内の電気機器90(或いは光源)の大きさと、大きさ保存情報で示される大きさとを比較することで、近接状態にあるか否かを判断する。
【0066】
つまり、ここでの近接状態とは、移動装置10と電気機器90との間の距離が、所定の距離閾値よりも近い状態である。ただし、これに限らず、近接状態とは、例えば、移動装置10と電気機器90との間で送受信される無線信号の受信信号強度が、所定の強度閾値よりも大きくなる状態であってもよい。
【0067】
なお、対象空間S1に電気機器90が複数台配置されている場合(図1等参照)、装置本体11は、複数の電気機器90に同時に接近した状態となることがあり得る。そこで、本実施形態では、近接状態とは、複数の電気機器90が応答動作を実行した場合に、取得部14が1つの電気機器90のみから確認情報を取得する状態である、と規定する。具体的には、近接状態とは、複数の照明器具91(電気機器90)が同時に応答動作(光源の点滅動作)を実行した場合に、取得部14が1つの照明器具91のみの光源が点滅していることを確認可能となる状態である。より詳細には、近接状態とは、複数の照明器具91のうちの1つの照明器具91(光源)のみが、撮像部141の撮像範囲内にある状態である。
【0068】
制御部19は、近接状態において、無線通信部13を介して電気機器90から機器情報信号を受け取る。
【0069】
制御部19は、機器情報信号を電気機器90から受け取ると、無線通信部13(送信部132)を介して、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器90へ送信する。
【0070】
制御部19は、指示信号を送信した後、(所定の制限時間内に)取得部14を介して確認情報を取得する。制御部19は、確認情報を取得する(撮像部141で撮像された画像内の照明器具91の光源が、点滅していることを確認する)と、情報端末20から受け取った場所情報(複数の電気機器90の場所情報を受け取っている場合、参照中の場所情報)が、応答動作を実行した電気機器90(撮像中の画像内の電気機器90)の場所情報であると確定する。また、制御部19は、確認情報を取得すると、無線通信部13を介して受け取った機器情報信号に含まれる識別情報が、応答動作を実行した電気機器90(撮像中の画像内の電気機器90)の識別情報であると確定する。制御部19は、これらの場所情報と機器情報とを紐付けて、記憶部15に記憶させる。
【0071】
なお、対象空間S1に複数の電気機器90が設置されている場合、無線通信部13(第1取得部131)は、近接状態において、2以上の電気機器90から同時に機器情報信号を受信することがあり得る。例えば、2個の電気機器90が比較的近い距離で隣り合って設置されている場合、このうちの1つの電気機器90に装置本体11が接近すると、無線通信部13が、これら2個の電気機器90からの無線信号(機器情報信号)を両方とも受信可能な状態となり得る。この場合、制御部19は、受信した2つの機器情報信号のうちのいずれの信号が、現在近接状態にある電気機器90から送信された機器情報信号であるかを、判断する必要がある。
【0072】
本実施形態の移動装置10では、送信部132と取得部14とを用いることで、この判断を可能としている。すなわち、異なる機器情報(識別情報)を含む2以上の機器情報信号を無線通信部13(第1取得部131)が受信すると、無線通信部13(送信部132)は、取得した2以上の識別情報のうちの一つの識別情報を含む指示信号を、送信する。そして、取得部14によって、現在近接状態にある(撮像部141の撮像範囲内にある)電気機器90が応答動作を実行したことを示す確認情報(照明器具91の光源が点滅している動画)が得られたか否かが、判断される。確認情報が得られれば、この電気機器90(撮像部141の撮像範囲内にある照明器具91)の識別情報は、送信した指示信号に含まれる上記「一つの識別情報」である、と確定できる。一方、確認情報が得られなければ(撮像部141で撮像中の照明器具91の光源が点滅しなければ)、この電気機器90の識別情報は、上記「一つの識別情報」ではないことがわかる。そこでこの場合、無線通信部13(送信部132)は、取得した2以上の識別情報のうちの他の一つの識別情報を含む指示信号を、送信する。そして取得部14によって、現在近接状態にある電気機器90が応答動作を実行したことを示す確認情報が得られたか否かが、判断される。確認情報が得られれば、この電気機器90の識別情報は、送信した指示信号に含まれる上記「他の一つの識別情報」である、と確定できる。
【0073】
要するに、移動装置10では、第1取得部131が、複数の電気機器90のうちの2以上の電気機器90から識別情報を含む機器情報をそれぞれ取得した場合、送信部132は、指示信号に含まれる識別情報を変えながら、2以上の指示信号を所定の順番で送信する。
【0074】
更に言い換えると、複数の電気機器90のうちの特定電気機器に装置本体11が接近した近接状態において、識別情報として第1識別情報及び第2識別情報を取得した場合、移動装置10は、以下のように動作する。すなわち、送信部132は、指示信号として、第1識別情報を含む第1指示信号を送信する。第1指示信号の送信に応じて、特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報(動画)を、取得部14が取得した場合、第1識別情報が特定電気機器の場所情報と紐付けて記憶部15に記憶される。第1指示信号の送信に応じて特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報(動画)を、取得部14が取得できなかった場合、送信部132は、指示信号として、第2識別情報を含む第2指示信号を送信する。第2指示信号の送信に応じて、特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報を、取得部14が取得した場合、第2識別情報が特定電気機器の場所情報と紐付けて記憶部15に記憶される。
【0075】
ここで、上記の「所定の順番」は、例えば、機器情報信号の受信信号強度が大きい順である。つまり、無線通信部13(第1取得部131)が、2以上の電気機器90から機器情報信号をそれぞれ受信した場合、無線通信部13(送信部132)は、受信した機器情報信号の受信信号強度が大きい順番(降順)で指示信号に含まれる識別情報を変えながら、2以上の指示信号を順に送信する。
【0076】
制御部19は、電気機器90の場所情報と機器情報とを紐付けて記憶部15に記憶させると、次の電気機器90の場所情報(例えば相対位置の情報)に基づき、次の電気機器90に向かって移動する。そして、この電気機器90についても、機器情報の取得、及び確認情報の取得等を行う。
【0077】
制御部19は、取得した機器情報を、無線通信部13を介して情報端末20へ送信する。制御部19は、機器情報とそれに紐付けた場所情報とを一組の情報として、情報端末20へ送信する。
【0078】
(2.3)情報端末
図3に示すように、情報端末20は、無線通信部21と、端末側記憶部22と、操作部23と、表示部24と、電源部25と、制御部26と、を備えている。情報端末20は、撮像部(カメラ)27を更に備えていてもよい。
【0079】
無線通信部21は、例えばアンテナと通信回路とを備えている。無線通信部21は、電波を媒体として無線通信を行う機能を有する。
【0080】
無線通信部21は、電気機器90に対して、機器情報の送信(ブロードキャスト)を要求する情報送信要求を含む無線信号(情報要求信号)を送信する。無線通信部21は、移動装置10に、場所情報信号を送信する。無線通信部21は、移動装置10から、機器情報を含む無線信号を受信する。
【0081】
表示部24は、種々の情報を表示する。表示部24は、例えば、液晶パネルとバックライトとを組み合わせた液晶ディスプレイ装置を備える。表示部24は、液晶ディスプレイ装置に限られず、例えば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の自発光型のディスプレイ装置を備えていてもよい。
【0082】
操作部23は、ユーザの操作を受け付ける。操作部23は、ここでは、表示部24の液晶ディスプレイ装置に組み合わされるタッチスイッチを備える。タッチスイッチは、例えば静電容量方式、電磁誘導方式のタッチスイッチである。
【0083】
端末側記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等を含む。端末側記憶部22には、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報が記憶される。端末側記憶部22には、対象空間S1を模擬した対象空間画像Im1の情報、対象空間画像Im1において電気機器90の位置に対応する仮想位置の情報等も、記憶される。場所情報、対象空間画像Im1の情報、仮想位置の情報等は、例えば、電気通信回線、或いは光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体等を介して、端末側記憶部22に予め記憶される。
【0084】
場所情報は、例えば、複数の電気機器90の各々についての対象空間S1での絶対位置の情報を含み得る。場所情報は、例えば、複数の電気機器90についての相対位置の情報を含み得る。場所情報は、例えば、1つの電気機器90の位置を基準として定められる、基準となる電気機器90と他の各電気機器90との間の相対的な位置関係の情報を含み得る。
【0085】
電源部25は、情報端末20の各部(無線通信部21、端末側記憶部22、操作部23、表示部24、制御部26)の動作用の電力を供給する。電源部25は、ここでは電池及び電力変換回路を備えている。電池は、一次電池でもよいし、二次電池でもよい。
【0086】
制御部26は、情報端末20の各部(無線通信部21、端末側記憶部22、操作部23、表示部24、電源部25)の動作を制御する。制御部26は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この制御部26では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、制御部26のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。端末側記憶部22が、制御部26のメモリと兼用されてもよい。
【0087】
制御部26は、端末側記憶部22に記憶されている対象空間画像Im1の情報に基づいて、表示部24に、対象空間画像Im1を表示させる。また、制御部26は、端末側記憶部22に記憶されている仮想位置の情報に基づいて、照明器具91を模擬した仮想機器A0を対象空間画像Im1に重ねて表示部24に表示する。すなわち、表示部24は、対象空間S1を模擬した対象空間画像Im1を表示する。また、表示部24は、仮想位置の情報に基づいて、電気機器90を模擬した仮想機器A0を対象空間画像Im1において電気機器90の位置に対応する仮想位置に表示する。
【0088】
図7に、表示部24に表示される対象空間画像Im1の一例を示す。ここでの対象空間画像Im1は、対象空間S1を上方から見たときの画像に相当する。また、図7では、複数(14個)の仮想機器A0(A1~A14)が、丸形のアイコンで対象空間画像Im1に重ねて表示されている。
【0089】
制御部26は、操作部23により、ユーザからの電気機器90の選択を受け付ける。本実施形態では、ユーザから選択される電気機器90とは、機器情報の取得対象となる機器である。つまり、情報端末20は、ユーザから選択された電気機器90の機器情報を、移動装置10を用いて取得することになる。
【0090】
本実施形態では、制御部26は、表示部24に表示されている仮想機器A0が操作部23としてのタッチスイッチによって選択されると、この仮想機器A0に対応する電気機器90が選択されたと判断する。要するに、操作部23は、表示部24に表示されている仮想機器A0の選択を受け付けることで、対応する電気機器90の選択を受け付ける。図7では、ユーザにより選択された(選択済みの)仮想機器A0(A1)を黒丸で示し、選択されていない(未選択の)仮想機器A0(A2~A13)を白丸で示している。
【0091】
なお、操作部23は、選択された仮想機器A0について、選択の解除を受け付けてもよい。例えば、選択済みの仮想機器A0を操作部23で再度選択することで、選択が解除されてもよい。
【0092】
制御部26は、複数の仮想機器A0の選択を許容する。つまり、制御部26は、複数の電気機器90の選択を許容する。複数の仮想機器A0が選択された場合、移動装置10は、複数の仮想機器A0にそれぞれ対応する複数の電気機器90の機器情報を、順番に取得することになる。
【0093】
複数の電気機器90が選択された場合、制御部26は、複数の電気機器90間をつなぐ経路を示す経路情報を生成する。
【0094】
経路は、例えば、仮想機器A0が選択された順番に従って生成される。例えば、図7に示す14個の仮想機器A0が、A1,A14,A13,A2,A3,A12,A11,A4,A5,A10,A9,A6,A7,A8の順に選択されたとする。この場合、制御部26は、例えば図8に点線矢印で示すような経路R1を生成する。つまり、制御部26は、最初に選択された仮想機器A1を始点として、この仮想機器A1と次(2番目)に選択された仮想機器A14との間の平面上の最短距離を結ぶ経路をまず生成する。そして制御部は、2番目に選択された仮想機器A14を始点として、この仮想機器A14と次(3番目)に選択された仮想機器A13との間の平面上の最短距離を結ぶ経路を、次に生成する。このようにして、制御部26は、最後に選択された仮想機器A8までの経路を順に生成する。そして、最初に選択された仮想機器A1を終点として、最後に選択された仮想機器A8と最初に選択された仮想機器A1との間の平面上の最短距離を結ぶ経路を最後に生成する。
【0095】
ただし、これに限らず、制御部26は、仮想機器A0が選択された順番に関係なく自動で経路を生成してもよい。例えば、制御部26は、移動装置10の平面上の総距離が最も短くなるように、経路を生成してもよい。例えば、制御部26は、図9に点線矢印で示すように、14個の仮想機器A0を、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13,A14,A1の順につなぐ経路R2を生成してもよい。制御部26が生成した経路情報は、電気機器90の場所を示す場所情報に含めて、無線通信部21から移動装置10へと送信される。すなわち、情報端末20の無線通信部21は、経路情報を含む場所情報を、移動装置10へ送信する。言い換えれば、場所情報を送信することは、複数の電気機器90間をつなぐ経路の情報を送信することを含む。
【0096】
制御部26は、移動装置10から送信される機器情報を、無線通信部21により受信させる。制御部26は、無線通信部21により、機器情報と場所情報とを一組とした情報を受信させる。制御部26は、受信した機器情報を、電気機器90の場所情報と紐付けて端末側記憶部22に記憶させる。制御部26は、機器情報と場所情報とを組とする情報を複数組受け取った場合、受信した情報に含まれる場所情報と端末側記憶部22に記憶されている場所情報とを参照し、取得した機器情報を、端末側記憶部22に記憶されている場所情報であって受信した情報に含まれる場所情報と一致する場所情報と紐付けて、端末側記憶部22に記憶させる。
【0097】
(3)動作例
以下、本実施形態の取得システム100の一動作例について、図10図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0098】
例えば、複数の電気機器90としての複数の照明器具91が対象空間S1に設置されている場合において、各照明器具91を遠隔制御したり、複数の照明器具91についての照明制御プランを設計したりしたいという要望がある。この場合、ユーザは、照明器具91の位置と照明器具91の識別情報との間の対応関係を、予め把握しておく必要がある。
【0099】
このような対応関係を把握する方法の第1例としては、例えば、照明器具91の設置前に照明器具91の識別情報を確認しておき、その照明器具91を予め定めた位置に設置していくことで、位置と識別情報とを対応付ける方法が挙げられる。しかしながら、この方法では極めて煩雑な作業が必要となり、ユーザ(作業者)の負担が大きい。
【0100】
一方、対応関係を把握する方法の第2例としては、複数の照明器具91をその識別情報を確認することなく適宜の位置にそれぞれ設置し、その後、各照明器具91について、位置と識別情報との対応関係を把握する方法が挙げられる。この方法では、複数の照明器具91の設置作業自体は、極めて効率的に行うことができる。ただし、複数の照明器具91の設置後に、位置と識別情報との対応関係を把握することが必要となる。
【0101】
本動作例では、上記の第2例において、対象空間S1への複数の照明器具91の設置後、各照明器具91の位置と識別情報との対応関係を把握するために本実施形態の取得システム100が用いられる場合について説明する。
【0102】
本動作例では、図5図6に示すように、対象空間S1の天井900に、複数台(14台)の照明器具91(電気機器90)が設置されている。14台の照明器具91は、対象空間S1の天井900に、平面視において7台ずつ2列に並んで配置されている。以下では、必要に応じて、14台の照明器具91(電気機器90)を、「B1」~「B14」の符号を用いて区別する場合がある。
【0103】
ユーザは、まず、情報端末20に、対象空間S1の施工図面の情報を取り込ませる(図10のST1)。取り込まれた施工図面の情報は、端末側記憶部22に記憶される。施工図面の情報は、例えば、対象空間S1の上面図、底面図、正面図、背面図、右側側面図、左側側面図を含んでいる。また、施工図面の情報は、対象空間画像Im1の情報、対象空間S1における複数台(14台)の照明器具91の設置予定位置の情報、複数台(14台)の照明器具91の識別情報を含んでいる。ただし、施工図面の情報では、設置予定位置の情報と識別情報とは互いに紐付けられてはいない。
【0104】
情報端末20は、取り込んだ施工図面の情報に基づき、表示部24に対象空間画像Im1を表示させる。図7に示すように、対象空間画像Im1には、照明器具91の設置予定位置の情報に基づいて複数(14個)の仮想機器A0(A1~A14)も表示されている。
【0105】
情報端末20は、ユーザからの操作部23への操作に応じて、照明器具91の選択を受け付ける(図10のST2)。また、複数の照明器具91が選択された場合、情報端末20は、複数の照明器具91間をつなぐ経路を作成する(図10のST3)。具体的には、情報端末20は、仮想機器A0を含む対象空間画像Im1を、表示部24に表示させる。これに応じてユーザは、取得対象の照明器具91に対応する仮想機器A0を、表示部24上で順番にタッチ(選択)する。ここでは、情報端末20は、ユーザが複数の仮想機器A0をタッチした順番に従って、複数の照明器具91において識別情報を取得する順番を決定する。
【0106】
例えば、図7に示す14個の仮想機器A0について、A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13,A14の順番で、ユーザがタッチしたとする。この場合、情報端末20は、14個の照明器具91について、B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7,B8,B9,B10,B11,B12,B13,B14(図6参照)の順番(図9の経路R2)で識別情報を取得することを決定する。
【0107】
経路の決定後、ユーザは例えば、対象空間S1以外の場所にいる場合は対象空間S1へと移動する。そして、ユーザは、情報端末20に対して適宜の操作を行うことで、複数台(14台)の照明器具91から機器情報信号を送信させる(ST4)。具体的には、情報端末20は、作業者から適宜の操作を受け付けることで、機器情報の送信を要求する情報送信要求を含む無線信号(情報要求信号)を、無線通信部21からブロードキャストさせる。なお、情報要求信号は、機器情報信号の送信を要求する複数の照明器具91を指定する識別情報を含んでいてもよい。
【0108】
一方、照明器具91は、情報端末20からの情報要求信号を待ち受けている(図12のST201)。照明器具91は、情報要求信号を受信すると(ST201:Yes)、機器情報信号を、間欠的にブロードキャストする(図12のST202)。
【0109】
ここでは、複数台の照明器具91は、互いに異なるタイミングで機器情報信号をブロードキャストする。例えば、複数台の照明器具91(B1~B14)の各々は、図13に示すように、1フレームを分割した複数のタイムスロットのうち自身にランダムに割り当てられたタイムスロットを用いて、機器情報信号をブロードキャストする。複数台の照明器具91は、いわゆるランダムバックオフの技術に基づいて、互いに異なるタイミングで機器情報信号をブロードキャストしてもよい。
【0110】
情報端末20は、複数台の照明器具91の各々から送信(ブロードキャスト)される機器情報信号を受信することで、すべての照明器具91が機器情報信号の送信を行っているか否かを確認してもよい。
【0111】
次に、ユーザは、移動装置10を対象空間S1の床面上の所定の位置に配置し、電源スイッチ181を操作して、移動装置10の電源をオンにする(図11のST101)。また、作業者は、情報端末20を操作して、開始要求を含む無線信号(開始要求信号)を情報端末20から移動装置10へ送信させる(図10のST5,図11のST102)。開始要求は、移動装置10に、照明器具91(電気機器90)の機器情報(識別情報)の取得動作の開始を指示するための要求である。ここでは、開始要求と一緒に、場所情報(対象空間S1における複数の照明器具91の場所を示す情報)が無線送信される。ただし、これに限らず、場所情報は、開始要求と別に移動装置10へ無線送信されてもよい。
【0112】
本動作例では、情報端末20から移動装置10へ送信される「場所情報」は、経路R2の始点となる照明器具91(B1)を原点として、この照明器具91(B1)と残りの照明器具91とをつなぐ経路R2を示す経路情報(照明器具91間の相対位置の情報を含む)のみを含んでいる。つまり、本動作例では、「場所情報」には、対象空間S1における各照明器具91の絶対位置の情報は含まれておらず、基準となる照明器具91と各照明器具91との間の相対的な位置関係の情報のみが含まれている。これは、大規模構造物内ではGPS(Global Positioning System)が利用できず、移動装置10が対象空間S1内で自身の絶対位置を把握することが難しいため、照明器具91の絶対位置の情報を得たとしてもその情報を移動装置10が有効に利用できないからである。
【0113】
このように「場所情報」として経路情報のみ(照明器具91間の相対位置の情報を含む)を利用する場合には、移動装置10が最初の照明器具91をまず把握する必要がある。そこで、本動作例では、ユーザは、最初の照明器具91(B1)の直下の位置に移動装置10を配置させる作業を行う。
【0114】
この作業の際、移動装置10は、上述の適正位置報知部16により、装置本体11と照明器具91との間の相対的な位置関係が適切であるか否かをユーザへ報知する。具体的には、移動装置10の制御部19は、撮像部141で撮像された画像を解析することで、装置本体11が照明器具91(B1)の直下(適正位置)にあるか否かを判断する(図11のST103)。制御部19は、装置本体11が適正位置にあると判断すると(ST103:Yes)、第1ランプ161を点滅させて、その旨をユーザに報知させる(図11のST104)。一方、制御部19は、装置本体11が適正位置に無いと判断すると(ST103:No)、第2ランプ162を点滅させてその旨を作業者に報知させ(図11のST105)、情報端末20へ、移動装置10の位置を修正すべき旨を示す位置修正要求を含む無線信号を送信する(図11のST106)。移動装置10は、適正位置に配置される(ST103:Yes)まで、報知を続ける(ST105,ST106)。
【0115】
情報端末20は、位置修正要求を含む無線信号を受信すると(図10のST6:Yes)、例えば「ドローンの位置を修正してください」のような、移動装置10の位置を修正させるための表示を表示部24に表示させる(図10のST7)。
【0116】
また、このとき情報端末20の表示部24には、図14に示すような、移動装置10の撮像部141で撮像された画像Im2が表示される。この画像Im2では、撮像部141の撮像範囲80内に、適正位置の領域を示す境界線81が示されている。また、この画像Im2では、移動装置10の前方(進行方向)を示す矢印82も示されている。この画像Im2では、例えば、境界線81の内側に照明器具91(B1)がある場合には、照明器具91を示す実線M1の領域内にOKマークが表示され、境界線81の外側に照明器具91(B1)がある場合には、照明器具91を示す点線M2の領域内にNGマークが表示される。要するに、表示部24は、移動装置10と照明器具91(電気機器90)との間の相対的な位置関係を示す画像Im2を表示する。この画像Im2が表示部24に表示されることで、ユーザは画像Im2を見ながら移動装置10を適正位置に配置することができ、ユーザによる移動装置10の配置作業が容易になる。また、このときユーザは、図15に示すように、移動装置10の進行方向マーク111を見ながら、移動装置10の前側が経路において1番目の照明器具91(B1)から2番目の照明器具91(B2)へ向かう向きを向くように、移動装置10を配置する。
【0117】
移動装置10が適正位置に配置されると(ST6:No)、情報端末20は、移動装置10が適正位置に配置されていることを示す適正位置表示を、表示部24に表示させる(図10のST8)。また、適正位置に配置されると(ST103:Yes)、移動装置10は、上述のように第1ランプ161を点灯させる(ST104)。そして、移動装置10は、駆動部12(飛行駆動部121)を駆動させて、最初の照明器具91(B1)へ向かって移動を開始する(図11のST107)。具体的には、移動装置10は、図16の実線矢印で模式的に示すように、直上にある照明器具91(B1)へ向かって上昇する(図11のST108)。すなわち、移動装置10が照明器具91へ向かって移動することは、移動装置10が飛行により上昇して照明器具91へ向かうことを含んでいる。
【0118】
移動装置10は、装置本体11が照明器具91(B1)に接近した近接状態となるまで、照明器具91(B1)へ向かって移動(上昇)する。上述のように、近接状態とは、複数の照明器具91が同時に応答動作を実行した場合に、取得部14が1つの照明器具91のみから確認情報を取得する状態であり、より詳細には、複数の照明器具91のうちの1つの照明器具91(B1)のみが、撮像部141の撮像範囲内にある状態である。移動装置10は、撮像部141で撮像された画像に基づいて、近接状態になったか否かの判定を行う(図11のST109)。移動装置10は、近接状態となるまで、照明器具91(B1)に向かって移動(上昇)する。本動作例では、移動装置10は、装置本体11が照明器具91(B1)の下方50cmの位置に達すると、近接状態になったと判断する(ST109:Yes)。
【0119】
照明器具91(B1)に接近した近接状態において、移動装置10は、照明器具91からブロードキャストされている無線信号(機器情報信号)を、無線通信部13(第1取得部131)により受信する(図11のST110)。上述のように、複数の照明器具91は、図13に示すタイミングで、それぞれ機器情報信号をブロードキャストしている。そこで、移動装置10は、少なくとも1フレームの長さに対応する時間の間、無線信号の受信動作を行い(図11のST111)、受信可能な全ての無線信号(機器情報信号)を受信して、それらに含まれている識別情報をそれぞれ取得する。なお、移動装置10は、機器情報信号の受信信号強度に対して閾値を設定し、受信信号強度が閾値以上の機器情報信号についてのみ、識別情報を取得してもよい。
【0120】
受信可能な全ての機器情報信号の受信を完了すると(ST111:Yes)、移動装置10は、所定の応答動作(光源の点滅動作)の実行を指示する指示信号を、無線通信部13(送信部132)から送信する(図11のST112)。指示信号には、無線通信部13(第1取得部131)で受信した識別情報が1つのみ含まれている。
【0121】
上述のように、移動装置10は、複数の照明器具91から識別情報を取得していた場合、指示信号に含まれる識別情報を順に変えながら、複数の指示信号を所定の順番で送信する。例えば、移動装置10は、受信した機器情報信号の受信信号強度の高い順に、識別情報を変えながら複数の指示信号を送信する。移動装置10は、照明器具91(B1)に接近した近接状態にあるので、一般的には、この照明器具91(B1)が送信した機器情報信号の受信信号強度が最も高くなるはずである。
【0122】
つまり、移動装置10は、受信した機器情報信号のうちで受信信号強度が最も大きい機器情報信号に含まれていた識別情報(便宜上、「第1識別情報」という)を含む指示信号を、まず送信する(ST112)。そして、移動装置10は、第1識別情報を含む指示信号の送信に応答して、照明器具91(B1)が応答動作(光源の点滅動作)を実行したか否かを確認する(図11のST113)。照明器具91(B1)は、自身の識別情報を含む指示信号を待ち受けている(図12のST203)。照明器具91(B1)は、自身の識別情報が「第1識別情報」である場合、第1識別情報を含む指示信号を受信すると(ST203:Yes)、応答動作(光源の点滅動作)を実行する。移動装置10は、照明器具91(B1)が応答動作を実行したことを確認した場合(ST113:Yes)、この最初の照明器具91(B1)の識別情報が「第1識別情報」である、と確定する。そして、移動装置10は、最初の照明器具91の場所情報と第1識別情報とを紐付けて、記憶部15に記憶させる(図11のST114)。
【0123】
一方、第1識別情報を含む指示信号の送信に応答して照明器具91(B1)が応答動作を実行しなかった場合(ST113:No)、移動装置10は、受信した機器情報信号のうちで受信信号強度が2番目に大きい機器情報信号に含まれていた識別情報(便宜上、「第2識別情報」という)を含む指示信号を、送信する(図11のST115)。そして、移動装置10は、第2識別情報を含む指示信号の送信に応答して、照明器具91(B1)が応答動作を実行したか否かを確認する(ST113)。照明器具91(B1)が応答動作を実行したことを確認した場合(ST113:Yes)、移動装置10は、この最初の照明器具91(B1)の識別情報が「第2識別情報」である、と確定する。そして、移動装置10は、最初の照明器具91(B1)の場所情報と第2識別情報とを紐付けて、記憶部15に記憶させる(ST114)。
【0124】
移動装置10は、照明器具91(B1)の識別情報が確定するまで、受信したすべての機器情報信号に含まれていた識別情報について上述の指示信号の送信及び応答動作の実行の確認を順次行う(ST115,ST113)。これにより、移動装置10は、照明器具91(B1)の識別情報を確定させる。
【0125】
なお、受信したすべての機器情報信号に含まれていた識別情報について、照明器具91(B1)の応答動作の実行を確認できない場合、移動装置10は、識別情報の取得の動作(ST110,ST111)を再度行ってもよい。また、受信したすべての機器情報信号に含まれていた識別情報について、照明器具91(B1)の応答動作の実行を確認できない場合、移動装置10は、この照明器具91(B1)の場所情報に、識別情報が取得できなかったことを示すエラー情報を紐付けてもよい。
【0126】
最初の照明器具91(B1)についての識別情報を確定すると、移動装置10は、照明器具91(B1)の場所情報(相対位置の情報)と確定させた識別情報とを一組の情報として、無線信号により情報端末20へ送信する。情報端末20は、無線信号を受信すると(図10のST9)、受け取った識別情報を、最初の照明器具91(B1)の場所情報と紐付けて、端末側記憶部22へ記憶させる(図10のST10)。
【0127】
また、照明器具91(B1)についての識別情報を確定すると、移動装置10は、選択された全ての照明器具91についての識別情報の取得が完了したか否かを判断する(図11のST116)。
【0128】
全ての照明器具91についての識別情報の取得が完了していない場合(ST116:No)、移動装置10は、次(2番目)の照明器具91(B2)へ向かって移動する。具体的には、移動装置10は、図17に実線矢印で模式的に示すように、一旦下降した後、水平に移動し、その後上昇するという順番に移動して、次(2番目)の照明器具91(B2)へ向かって移動する。
【0129】
すなわち、移動装置10は、まず、鉛直方向に所定距離(例えば1.0m)だけ下降する(図11のST117)。この所定距離は、例えば、移動装置10が床面にぶつからず、かつ、移動装置10の撮像部141の撮影範囲内に次の照明器具91(B2)を捉えることが可能な距離であり得る。所定距離に関する情報は、例えば、情報端末20から、無線信号によって開始要求と一緒に送信されてもよい。
【0130】
下降した移動装置10は、撮像部141で次(2番目)の照明器具91(B2)を捉えながら2番目の照明器具91(B2)の下方へと水平に移動し(図11のST118)、次(2番目)の照明器具91(B2)へ向かって上昇して(ST108)接近する。そして、最初の照明器具91(B2)の場合と同様、機器情報信号の受信、指示信号の送信、応答動作の確認、識別情報の確定、及び識別情報の送信の各動作(ST110~ST115)を行う。
【0131】
移動装置10は、同様の手順で、残りの照明器具91(B3~B14)についても、識別情報を確定させる。
【0132】
全ての照明器具91(B1~B14)についての識別情報の取得が完了したと判断すると(ST116:Yes)、移動装置10は、終了位置(ここでは、最初の照明器具91の直下の位置)へと移動し(図11のST119)、作業が完了したことを示す完了通知を含む無線信号を情報端末20へ送信する(図11のST120)。ユーザは、情報端末20により完了通知を受け取る(図10のST11:Yes)ことで作業の完了を知ることができ、移動装置10の電源スイッチ181を操作することで電源をオフし、作業を終了する。
【0133】
このように、全ての照明器具91について識別情報と場所情報との間の対応関係が得られれば、この対応関係に基づいて、各照明器具91を遠隔制御したり、複数の照明器具91についての照明制御プランを設計したりすることが可能となる。例えば、情報端末20を用いて、各照明器具91を点灯、点滅、消灯させたり、調光、調色させたりすることができる。また、所定の時間帯の開始時点で所定の照明器具91を自動で点灯させ、終了時点でこの照明器具91を消灯させたりすることができる。
【0134】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、移動装置10の制御部19、情報端末20の制御部26、及び取得システム100と同様の機能は、制御方法及び取得方法の他に、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0135】
一態様に係る制御方法は、移動装置10の制御方法である。移動装置10は、装置本体11と、駆動部12と、第1取得部131と、送信部132と、第2取得部14と、を備える。駆動部12は、電気機器90が設置された対象空間S1内で装置本体11を移動させる。第1取得部131は、電気機器90が有する機器情報を電気機器90からの電磁波により取得する。送信部132は、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器90に送信する。第2取得部14は、指示信号に応答して電気機器90が応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する。制御方法は、駆動部12により、電気機器90に接近した近接状態へと装置本体11を移動させること(ST108,ST109、ST117,ST118)を含む。制御方法は、近接状態において第1取得部131により機器情報を取得すること(ST110,ST111)を含む。制御方法は、近接状態において送信部132により指示信号を送信すること(ST112,ST115)を含む。制御方法は、近接状態において第2取得部14により確認情報を取得すること(ST113)を含む。
【0136】
一態様に係る制御方法は、情報端末20の制御方法である。情報端末20は、無線通信部21と、端末側記憶部22と、操作部23と、を備える。無線通信部21は、電気機器90が設置された対象空間S1内を移動可能な移動装置10と無線通信する。端末側記憶部22は、対象空間S1における電気機器90の場所を示す場所情報を記憶する。操作部23は、電気機器90の選択を受け付ける。制御方法は、操作部23により、電気機器90の選択を受け付けること(ST2)を含む。制御方法は、無線通信部21により、操作部23で選択された電気機器90の場所情報を、移動装置10へ送信すること(ST5)を含む。制御方法は、無線通信部21により、移動装置10から機器情報を取得すること(ST9)を含む。制御方法は、端末側記憶部22に、無線通信部21で取得された機器情報を、操作部23で選択された電気機器90の場所情報と紐付けて記憶すること(ST10)を含む。
【0137】
一態様に係る取得方法は、電気機器90が設置された対象空間S1内を移動可能な移動装置10と、移動装置10と無線通信可能な情報端末20と、を用いた、電気機器90の機器情報の取得方法である。取得方法は、情報端末20を用いて電気機器90を選択すること(ST2)を含む。取得方法は、情報端末20による電気機器90の選択に応じて、情報端末20から移動装置10に、電気機器90の場所を示す場所情報を無線通信により送信すること(ST5,ST102)を含む。取得方法は、場所情報に基づいて、移動装置10が電気機器90に向かって移動すること(ST108,ST109、ST117,ST118)を含む。取得方法は、移動装置10が電気機器90に接近した近接状態において、電気機器90が有する機器情報を電気機器90からの電磁波を介して取得すること(ST110,ST111)を含む。取得方法は、近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を、移動装置10から電気機器90へ送信すること(ST112,ST115)を含む。取得方法は、近接状態において、移動装置10が、指示信号に応答して電気機器90が応答動作を実行したことを示す確認情報を取得すること(ST113)を含む。取得方法は、情報端末20が、移動装置10から機器情報を取得すること(ST9)を含む。取得方法は、情報端末20の端末側記憶部22に、情報端末20が移動装置10から取得した機器情報を、選択された電気機器90の場所情報と紐付けて記憶すること(ST10)を含む。
【0138】
一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法又は取得方法を実行させるための、プログラムである。プログラムは、コンピュータ可読な非一時的記録媒体に記録されていてもよい。
【0139】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0140】
本開示における取得システム100は、移動装置10の制御部19、情報端末20の制御部26等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部19、制御部26としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(UltraLarge Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0141】
また、移動装置10及び情報端末20の各々における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは取得システム100に必須の構成ではない。移動装置10及び情報端末20の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、移動装置10及び情報端末20の各々の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0142】
一変形例において、照明器具91は、下方を照明する構造を有していなくてもよい。例えば、図18に示すように、照明器具91は、一方向(図18の左向き)に光を放射可能であってその放射方向が可変なスポットライト状の構造を有していてもよい。この場合、照明器具91は、一方向とは別の方向(図18の右向き)にも光を放射可能であることが好ましい。この照明器具91では、例えば、図18に示すように、筐体916が筒状であって、筐体916の一面(図18の左面)に開口9160が形成されている。また、光源部911は、光源からの光が開口9160に向けて放射されるように、筐体916内に配置されている。光源の光の放射方向の前方にはレンズ917が配置されており、筐体916内には1以上(例えば4つ)の反射体(ミラー)918が配置されている。この照明器具91では、光源から放射されレンズ917を通った光の一部が、反射体918によって反射されて、光源部911に電力を供給するためのケーブル919を照射する。この光は、筐体916の他面(図18の右面)に形成された孔9161から外部に漏れるため、外部からこの光を確認することができる。すなわち、この照明器具91では、開口9160が鉛直上方(或いは斜め上方)を向いていて上方に光を照射する状態であっても、孔9161から、光源から放射される光の一部を確認可能である。そのため、移動装置10が照明器具91の直下にある近接状態において、移動装置10は、照明器具91の応答動作(光源の点滅動作)を確認可能である。
【0143】
一変形例において、電気機器90は、照明器具91に限られない。例えば、電気機器90は、火災報知機、監視カメラ、空調設備等であってもよい。複数の電気機器90は、異なる種類の電気機器(例えば照明器具91と空調設備と)を含んでいてもよい。照明器具91以外の電気機器90において応答動作を実行するための光源は、例えば動作灯等であってもよい。
【0144】
一変形例において、応答動作は、光源の点滅動作に限られない。例えば、応答動作は、光源の点灯動作であってもよい。
【0145】
一変形例において、応答動作は、光源を用いた動作でなくてもよく、例えば、スピーカによる発音動作であってもよい。この場合、移動装置10は、第2取得部14として、スピーカからの音声を取得するマイクロフォンを備えていてもよい。或いは、応答動作は、空間の温度を変更する動作(冷房動作/暖房動作)、又は風を送る動作であってもよい。この場合、移動装置10は、第2取得部14として、温度センサ又は風量センサを備えていてもよい。
【0146】
一変形例において、電気機器90から送信される機器情報は、識別情報を含まなくてもよい。この場合、例えば、移動装置10は、電気機器90の場所情報と識別情報とを紐付けた情報を情報端末20から受け取り、電気機器90に接近して電気機器90から機器情報を受け取り、この電気機器90に対して指示信号の送付及び応答動作の実行の確認を行ってもよい。機器情報は、例えば、電気機器90の動作履歴(動作時間等)の情報等を含んでいてもよい。
【0147】
一変形例において、移動装置10がGPSを利用できる場合、場所情報は、各電気機器90の絶対位置の情報であってもよい。また、適正位置報知部16は、省略されてもよい。
【0148】
一変形例において、電気機器90は、機器情報を、電波以外の方法で送信してもよい。電気機器90は、例えば、赤外線通信、可視光通信等の方法で送信してもよい。
【0149】
(5)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0150】
第1の態様の移動装置(10)は、装置本体(11)と、駆動部(12)と、第1取得部(131)と、送信部(132)と、第2取得部(14)と、を備える。駆動部(12)は、電気機器(90)が設置された対象空間(S1)内で、対象空間(S1)における電気機器(90)の場所を示す場所情報に基づいて、装置本体(11)を電気機器(90)に向けて移動させる。第1取得部(131)は、装置本体(11)が電気機器(90)に接近した近接状態において、電気機器(90)が有する機器情報を電気機器(90)からの電磁波を介して取得する。送信部(132)は、近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器(90)へ送信する。第2取得部(14)は、近接状態において、指示信号に応答して電気機器(90)が応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する。
【0151】
この態様によれば、電気機器(90)の機器情報を取得する際のユーザの負担の軽減を図ることが可能となる。また、電気機器(90)に対して別の機器情報を紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0152】
第2の態様の移動装置(10)では、第1の態様において、機器情報は、電気機器(90)に固有の識別情報を含む。指示信号は、識別情報を含む。電気機器(90)は、自身の識別情報を含む指示信号を受け取ると、応答動作を実行する。
【0153】
この態様によれば、電気機器(90)に対して別の識別情報を紐付ける等の誤りを更に低減することが可能となる。
【0154】
第3の態様の移動装置(10)では、第2の態様において、対象空間(S1)には、複数の電気機器(90)が設置される。複数の電気機器(90)は、互いに異なる固有の識別情報をそれぞれ有する。近接状態は、複数の電気機器(90)が応答動作を実行した場合に、第2取得部(14)が1つの電気機器(90)のみから確認情報を取得する状態である。第1取得部(131)が、複数の電気機器(90)のうちの2以上の電気機器(90)から識別情報を含む機器情報をそれぞれ取得した場合、送信部(132)は、指示信号に含まれる識別情報を変えながら、2以上の指示信号を所定の順番で送信する。
【0155】
この態様によれば、電気機器(90)に対して、別の電気機器の識別情報を紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0156】
第4の態様の移動装置(10)では、第3の態様において、移動装置(10)は、記憶部(15)を更に備える。2以上の電気機器(90)は、特定電気機器を含む。近接状態は、装置本体(11)が特定電気機器に接近した状態である。近接状態において、第1取得部(131)が識別情報として第1識別情報と第2識別情報とを取得した場合、送信部(132)は、指示信号として、第1識別情報を含む第1指示信号を送信する。第1指示信号の送信に応じて特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報を、第2取得部(14)が取得した場合、第1識別情報が特定電気機器の場所情報と紐付けて記憶部(15)に記憶される。第1指示信号の送信に応じて特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報を、第2取得部(14)が取得しなかった場合、送信部(132)は、指示信号として、第2識別情報を含む第2指示信号を送信する。第2指示信号の送信に応じて特定電気機器が応答動作を実行したことを示す確認情報を、第2取得部(14)が取得した場合、第2識別情報が特定電気機器の場所情報と紐付けて記憶部(15)に記憶される。
【0157】
この態様によれば、特定電気機器に対して、第1識別情報と第2識別情報とのうちで正しい識別情報を紐付ける信頼性が向上する。
【0158】
第5の態様の移動装置(10)では、第3又は第4の態様において、第1取得部(131)は、2以上の電気機器(90)から、それぞれ無線信号により識別情報を取得する。所定の順番は、2以上の電気機器(90)からそれぞれ受信した無線信号の受信信号強度が大きい順である。
【0159】
この態様によれば、取得した2以上の識別情報のうちで、移動装置(10)が近接状態にある電気機器(90)の識別情報である可能性が高い識別情報から順番に、指示信号に含めて送信する。そのため、電気機器(90)の識別情報を早期に確定できる可能性が高くなる。
【0160】
第6の態様の移動装置(10)では、第1~第5のいずれか1つの態様において、第1取得部(131)は、電気機器(90)と無線通信を行うことで、機器情報を取得する。
【0161】
この態様によれば、機器情報の取得の信頼性が向上する。
【0162】
第7の態様の移動装置(10)では、第1~第6のいずれか1つの態様において、第2取得部(14)は、撮像部(141)を備える。確認情報は、撮像部(141)により撮像された電気機器(90)の画像を含む。
【0163】
この態様によれば、確認情報の取得の信頼性が向上する。
【0164】
第8の態様の移動装置(10)では、第7の態様において、電気機器(90)は光源を備える。応答動作は、光源を点灯又は点滅させる動作を含む。確認情報は、光源が点灯又点滅していることを示す画像を含む。
【0165】
この態様によれば、確認情報の取得の信頼性が向上する。
【0166】
第9の態様の移動装置(10)では、第1~第8のいずれか1つの態様において、駆動部(12)は、装置本体(11)を飛行させる飛行駆動部(121)を備える。
【0167】
この態様によれば、高所にある電気機器(90)の機器情報の取得が容易になる。
【0168】
第10の態様の移動装置(10)は、第1~第9のいずれか1つの態様において、装置本体(11)と電気機器(90)との間の相対的な位置関係が適切であるか否かを報知する適正位置報知部(16)を更に備える。
【0169】
この態様によれば、装置本体(11)と電気機器(90)との間の相対的な位置関係が適切又は不適切であることを報知することが可能となる。
【0170】
第11の態様の情報端末(20)は、無線通信部(21)と、端末側記憶部(22)と、操作部(23)と、を備える。無線通信部(21)は、第1~第10のいずれか1つの態様の移動装置(10)と無線通信を行う。端末側記憶部(22)は、対象空間(S1)における電気機器(90)の場所を示す場所情報を記憶する。操作部(23)は、電気機器(90)の選択を受け付ける。無線通信部(21)は、操作部(23)で選択された電気機器(90)の場所情報を、移動装置(10)へ送信する。無線通信部(21)は、移動装置(10)から機器情報を取得する。端末側記憶部(22)は、無線通信部(21)で取得された機器情報を、操作部(23)で選択された電気機器(90)の場所情報と紐付けて記憶する。
【0171】
この態様によれば、電気機器(90)の機器情報を取得する際のユーザの負担の軽減を図ることが可能となる。また、電気機器(90)に対して別の機器情報を紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0172】
第12の態様の情報端末(20)は、第11の態様において、対象空間(S1)を模擬した対象空間画像(Im1)を表示する表示部(24)を、更に備える。表示部(24)は、場所情報に基づいて、対象空間画像(Im1)において電気機器(90)の位置に対応する仮想位置に電気機器(90)を模擬した仮想機器(A0)を表示する。操作部(23)は、表示部(24)に表示されている仮想機器(A0)の選択を受け付けることで、対応する電気機器(90)の選択を受け付ける。
【0173】
この態様によれば、電気機器(90)の選択が容易になる。
【0174】
第13の態様の情報端末(20)は、第11又は第12の態様において、表示部(24)を更に備える。表示部(24)は、移動装置(10)と電気機器(90)との間の相対的な位置関係を示す画像(Im2)を表示する。
【0175】
この態様によれば、移動装置(10)と電気機器(90)との間の相対的な位置関係を視覚的に確認することが可能となる。
【0176】
第14の態様の制御方法は、移動装置(10)の制御方法である。移動装置(10)は、装置本体(11)と、駆動部(12)と、第1取得部(131)と、送信部(132)と、第2取得部(14)と、を備える。駆動部(12)は、電気機器(90)が設置された対象空間(S1)内で装置本体(11)を移動させる。第1取得部(131)は、電気機器(90)が有する機器情報を電気機器(90)からの電磁波により取得する。送信部(132)は、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を電気機器(90)に送信する。第2取得部(14)は、指示信号に応答して電気機器(90)が応答動作を実行したことを示す確認情報を取得する。制御方法は、駆動部(12)により、電気機器(90)に接近した近接状態へと装置本体(11)を移動させることを含む。制御方法は、近接状態において第1取得部(131)により機器情報を取得することを含む。制御方法は、近接状態において送信部(132)により指示信号を送信することを含む。制御方法は、近接状態において第2取得部(14)により確認情報を取得することを含む。
【0177】
この態様によれば、電気機器(90)の機器情報を取得する際のユーザの負担の軽減を図ることが可能となる。また、電気機器(90)に対して別の機器情報を紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0178】
第15の態様の制御方法は、情報端末(20)の制御方法である。情報端末(20)は、無線通信部(21)と、端末側記憶部(22)と、操作部(23)と、を備える。無線通信部(21)は、電気機器(90)が設置された対象空間(S1)内を移動可能な移動装置(10)と無線通信する。端末側記憶部(22)は、対象空間(S1)における電気機器(90)の場所を示す場所情報を記憶する。操作部(23)は、電気機器(90)の選択を受け付ける。制御方法は、操作部(23)により、電気機器(90)の選択を受け付けることを含む。制御方法は、無線通信部(21)により、操作部(23)で選択された電気機器(90)の場所情報を、移動装置(10)へ送信することを含む。制御方法は、無線通信部(21)により、移動装置(10)から機器情報を取得することを含む。制御方法は、端末側記憶部(22)に、無線通信部(21)で取得された機器情報を、操作部(23)で受け付けた電気機器(90)の場所情報と紐付けて記憶することを含む。
【0179】
この態様によれば、電気機器(90)の機器情報を取得する際のユーザの負担の軽減を図ることが可能となる。また、電気機器(90)に対して別の機器情報を紐付ける等の誤りを低減することが可能となる。
【0180】
第16の態様の取得方法は、電気機器(90)が設置された対象空間(S1)内を移動可能な移動装置(10)と、移動装置(10)と無線通信可能な情報端末(20)と、を用いた、電気機器(90)の機器情報の取得方法である。取得方法は、情報端末(20)を用いて電気機器(90)を選択することを含む。取得方法は、情報端末(20)による電気機器(90)の選択に応じて、情報端末(20)から移動装置(10)に、電気機器(90)の場所を示す場所情報を無線通信により送信することを含む。取得方法は、場所情報に基づいて、移動装置(10)が電気機器(90)に向かって移動することを含む。取得方法は、移動装置(10)が電気機器(90)に接近した近接状態において、電気機器(90)が有する機器情報を電気機器(90)からの電磁波を介して取得することを含む。取得方法は、近接状態において、所定の応答動作の実行を指示する指示信号を、移動装置(10)から電気機器(90)へ送信することを含む。取得方法は、近接状態において、移動装置(10)が、指示信号に応答して電気機器(90)が応答動作を実行したことを示す確認情報を取得することを含む。取得方法は、情報端末(20)が、移動装置(10)から機器情報を取得することを含む。取得方法は、情報端末(20)の端末側記憶部に、情報端末(20)が移動装置(10)から取得した機器情報を、選択された電気機器(90)の場所情報と紐付けて記憶することを含む。
【0181】
第17の態様の取得方法では、第16の態様において、移動装置(10)は、対象空間(S1)内を飛行可能な飛行装置である。移動装置(10)が電気機器(90)へ向かって移動することは、移動装置(10)が飛行により上昇して前記電気機器(90)へ向かうことを含む。
【0182】
この態様によれば、高所にある電気機器(90)の機器情報の取得が容易になる。
【0183】
第18の態様の取得方法では、第16又は第17の態様において、対象空間(S1)には、複数の電気機器(90)が設置される。情報端末(20)を用いて電気機器(90)を選択することは、情報端末(20)を用いて複数の電気機器(90)を選択することを含む。場所情報を無線通信により送信することは、複数の電気機器(90)間をつなぐ経路(R1,R2)の情報を送信することを含む。
【0184】
この態様によれば、複数の電気機器(90)間の経路を指定することが可能となる。
【0185】
第19の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様の制御方法を実行させるための、プログラムである。
【0186】
第20の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第15の態様の制御方法を実行させるための、プログラムである。
【0187】
第21の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第16~第18のいずれか1つの態様の取得方法を実行させるための、プログラムである。
【符号の説明】
【0188】
10 移動装置
11 装置本体
12 駆動部
121 飛行駆動部
131 第1取得部
132 送信部
14 第2取得部
141 撮像部
15 記憶部
16 適正位置報知部
20 情報端末
21 無線通信部
22 端末側記憶部
23 操作部
24 表示部
90 電気機器
A0 仮想機器
S1 対象空間
Im1 対象空間画像
R1,R2 経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18