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特許7550373画像符号化装置、画像符号化方法及び画像符号化プログラム、並びに画像復号化装置、画像復号化方法及び画像復号化プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】画像符号化装置、画像符号化方法及び画像符号化プログラム、並びに画像復号化装置、画像復号化方法及び画像復号化プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/11 20140101AFI20240906BHJP
   H04N 19/119 20140101ALI20240906BHJP
   H04N 19/157 20140101ALI20240906BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20240906BHJP
   H04N 19/186 20140101ALI20240906BHJP
【FI】
H04N19/11
H04N19/119
H04N19/157
H04N19/176
H04N19/186
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023090936
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2021141337の分割
【原出願日】2017-04-28
(65)【公開番号】P2023101760
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】513248094
【氏名又は名称】合同会社IP Bridge1号
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 茂
(72)【発明者】
【氏名】中村 博哉
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 徹
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034163(JP,A)
【文献】特開2013-005343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化を行う画像符号化装置であって、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割部と、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割部と、
輝度信号を予測する輝度信号予測部と、
色差信号を予測する色差信号予測部と、
予測モードを符号化してビットストリームを生成する符号化部とを含み、
前記輝度信号ブロック分割部は、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割部は、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測部は、符号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に送信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像符号化装置。
【請求項2】
画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化を行う画像符号化方法であって、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップと、
予測モードを符号化してビットストリームを生成する符号化ステップとを含み、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、符号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に送信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像符号化方法。
【請求項3】
画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化を行う画像符号化プログラムであって、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップと、
予測モードを符号化してビットストリームを生成する符号化ステップとをコンピュータに実行させ、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、符号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に送信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像符号化プログラム。
【請求項4】
画像を分割したブロック単位で復号を行う画像復号装置であって、
符号化されたビットストリームを復号して予測モードを得る復号部と、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割部と、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割部と、
輝度信号を予測する輝度信号予測部と、
色差信号を予測する色差信号予測部とを含み、
前記輝度信号ブロック分割部は、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割部は、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測部は、復号された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に受信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像復号装置。
【請求項5】
画像を分割したブロック単位で復号を行う画像復号方法であって、
符号化されたビットストリームを復号して予測モードを得る復号ステップと、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップとを含み、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、復号された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に受信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像復号方法。
【請求項6】
画像を分割したブロック単位で復号を行う画像復号プログラムであって、
符号化されたビットストリームを復号して予測モードを得る復号ステップと、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップとをコンピュータに実行させ、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、復号された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に受信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする画像復号プログラム。
【請求項7】
画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化したビットストリームを記録媒体に格納する格納方法であって、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップと、
予測モードを符号化してビットストリームを生成する符号化ステップと、
前記ビットストリームを記録媒体に格納する格納ステップと、を含み、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、符号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に送信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする格納方法。
【請求項8】
画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化したビットストリームを伝送する伝送方法であって、
前記画像の輝度信号を矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、
前記画像の色差信号を矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、
輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、
色差信号を予測する色差信号予測ステップと、
予測モードを符号化してビットストリームを生成する符号化ステップと、
前記ビットストリームを伝送する伝送ステップと、を含み、
前記輝度信号ブロック分割ステップは、画像の輝度信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記色差信号ブロック分割ステップは、画像の色差信号を水平方向及び垂直方向に再帰的に4分割又は水平方向若しくは垂直方向に再帰的に2分割し、
前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され
前記色差信号予測ステップは、符号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止し、
インター予測の場合、輝度信号ブロックと色差信号ブロックは、同一のサイズのブロックに分割され
前記ビットストリームは、4分割するかどうかを示す情報を、2分割するかどうかを示す情報よりも先に送信するシンタックス構造を有する
ことを特徴とする伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化及び復号化を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像符号化及び復号化では、画像を所定数の画素の集合であるブロックに分割し、ブロック単位で符号化及び復号化を行う。適切なブロックの分割を行うことで画面内予測(イントラ予測)及び画面間予測(インター予測)の符号化効率が向上する。また、イントラ予測において、プライマリ信号の復号画像からセカンダリ信号を予測することで符号化効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-90015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、プライマリ信号の復号画像からセカンダリ信号を予測すると、処理量が増大するとともにプライマリ信号に対する処理とセカンダリ信号に対する処理の依存関係が発生し並列処理が難しくなる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像符号化及び復号化に適したブロック分割を行うことにより、符号化効率を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像符号化装置は、画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化を行う画像符号化装置であって、前記画像の輝度信号を所定サイズの矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割部と、前記画像の色差信号を所定サイズの矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割部と、輝度信号を予測する輝度信号予測部と、色差信号を予測する色差信号予測部とを含み、前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され、インター予測の場合には一緒に分割され、前記色差信号予測部は、復号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止する。
【0007】
本発明の別の態様は、画像符号化方法である。この方法は、画像をブロックに分割し、分割されたブロック単位で符号化を行う画像符号化方法であって、前記画像の輝度信号を所定サイズの矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、前記画像の色差信号を所定サイズの矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、色差信号を予測する色差信号予測ステップとを含み、前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され、インター予測の場合には一緒に分割され、前記色差信号予測ステップは、復号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、画像復号化装置である。この装置は、画像を分割したブロック単位で復号化を行う画像復号化装置であって、前記画像の輝度信号を所定サイズの矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割部と、前記画像の色差信号を所定サイズの矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割部と、輝度信号を予測する輝度信号予測部と、色差信号を予測する色差信号予測部とを含み、前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され、インター予測の場合には一緒に分割され、前記色差信号予測部は、復号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、画像復号化方法である。この方法は、画像を分割したブロック単位で復号化を行う画像復号化方法であって、前記画像の輝度信号を所定サイズの矩形に分割して輝度信号ブロックを生成する輝度信号ブロック分割ステップと、前記画像の色差信号を所定サイズの矩形に分割して色差信号ブロックを生成する色差信号ブロック分割ステップと、輝度信号を予測する輝度信号予測ステップと、色差信号を予測する色差信号予測ステップとを含み、前記輝度信号ブロックと前記色差信号ブロックは、イントラ予測の場合にはそれぞれ独立して分割され、インター予測の場合には一緒に分割され、前記色差信号予測ステップは、復号化された輝度信号から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測が可能であり、前記輝度信号ブロックのサイズが所定サイズ以上の場合、前記輝度色差イントラ予測の使用を禁止する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像符号化及び復号化に適したブロック分割が可能になり、符号化効率を向上させ、処理量の少ない画像符号化及び復号化を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る画像符号化装置の構成図である。
図2】第1の実施の形態に係る画像復号化装置の構成図である。
図3】ツリーブロックへの分割及びツリーブロック内部の分割を説明するフローチャートである。
図4】入力された画像をツリーブロックに分割する様子を示す図である。
図5】z-スキャンを説明する図である。
図6】ツリーブロックを水平かつ垂直方向に4分割した図である。
図7】ツリーブロックを水平方向に2分割した図である。
図8】ツリーブロックを垂直方向に2分割した図である。
図9】ツリーブロックを水平方向及び垂直方向に4分割した場合の分割された各ブロックの処理を説明するフローチャートである。
図10】ツリーブロックを水平方向に2分割した場合の分割された各ブロックの処理を説明するフローチャートである。
図11】ツリーブロックの分割が水平方向に2分割された場合の分割されたブロックの再分割の様子を示す図である。
図12】ツリーブロックを垂直方向に2分割した場合の分割された各ブロックの処理を説明するフローチャートである。
図13】ツリーブロックの分割が垂直方向に2分割された場合の分割されたブロックの再分割の様子を示す図である。
図14】第1の実施の形態のブロック分割に関するシンタックスの例を示す図である。
図15】イントラ予測を説明する図である。
図16】インター予測を説明する図である。
図17】色差フォーマットを説明する図である。
図18】輝度色差イントラ予測を説明する図である。
図19】輝度色差イントラ予測を説明するフローチャートである。
図20】色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも大きい場合を説明する図である。
図21】色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合を説明する図である。
図22】イントラ色差予測モードのシンタックスの例を説明する図である。
図23】周辺画素を置き換えてイントラ色差予測を制限する例を説明する図である。
図24】輝度ブロックのサイズの違いによる輝度色差イントラ予測を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態は、画像を矩形ブロックに分割し、分割されたブロックを符号化・復号化する画像符号化技術を提供する。
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態1に係る画像符号化装置100及び画像復号化装置200について説明する。
【0015】
図1は第1の実施の形態に係る画像符号化装置100の構成図である。ここで、図1では画像信号に関するデータの流れのみを表しており、動きベクトルや予測モードなど画像信号以外の付加情報については各構成要素が符号化ビット列生成部105に供給して対応する符号化データを生成するが、付加情報に関するデータの流れは図示していない。
【0016】
ブロック分割部101は、画像を符号化の処理単位となる符号化対象ブロックに分割し、符号化対象ブロック内の画像信号を残差信号生成部103に供給する。また、ブロック分割部101は、予測画像の一致度を評価するために符号化対象ブロックの画像信号を予測画像生成部102に供給する。
【0017】
ブロック分割部101は、画像を所定サイズの矩形に再帰的に分割して符号化対象ブロックを生成する。ブロック分割部101は、再帰的分割における対象ブロックを水平方向かつ垂直方向に4分割して4つのブロックを生成する4分割部と、再帰的分割における対象ブロックを水平方向又は垂直方向に2分割して2つのブロックを生成する2分割部とを含む。ブロック分割部101の詳細の動作については後述する。
【0018】
予測画像生成部102は、復号画像メモリ108から供給される復号画像信号から、予測モードを基にピクチャ内予測(イントラ予測)或いはピクチャ間予測(インター予測)を行い、予測画像信号を生成する。ブロック分割部101から供給される符号化対象ブロック内の画像信号はイントラ予測及びインター予測の評価に用いられる。イントラ予測では、ブロック分割部101から供給される符号化対象ブロックの画像信号と、復号画像メモリ108から供給される符号化対象のブロックと同じピクチャ内に存在する符号化対象のブロックに近接する周囲の符号化済みブロックの画像信号を用いて予測画像信号を生成する。インター予測では、ブロック分割部101から供給され符号化対象ブロックの画像信号を、符号化対象ブロックを含むピクチャ(符号化ピクチャ)の時系列で前または後ろにある復号画像メモリ108に格納されている符号化済みピクチャを参照ピクチャとし、符号化ピクチャと参照ピクチャとの間でブロックマッチング等のブロック一致度評価を行い、動き量を示す動きベクトルを求め、この動き量を基に参照ピクチャから動き補償を行い、予測画像信号を生成する。予測画像生成部102は、こうして生成された予測画像信号を残差信号生成部103に供給する。
【0019】
残差信号生成部103は、符号化する画像信号と予測画像生成部102にて生成された予測信号との減算を行い残差信号を生成し、直交変換・量子化部104に供給する。
【0020】
直交変換・量子化部104は、残差信号生成部103から供給される残差信号を直交変換・量子化し、直交変換・量子化された残差信号を符号化ビット列生成部105及び逆量子化・逆直交変換部106に供給する。
【0021】
符号化ビット列生成部105は直交変換・量子化部104から供給される直交変換・量子化された残差信号に対する符号化ビット列を生成する。また、符号化ビット列生成部105は動きベクトルや予測モード、ブロック分割情報などの付加情報について、対応する符号化ビット列を生成する。
【0022】
逆量子化・逆直交変換部106は、直交変換・量子化部104から供給される直交変換・量子化された残差信号を逆量子化・逆直交変換し、逆量子化・逆直交変換された残差信号を復号画像信号重畳部107に供給する。
【0023】
復号画像信号重畳部107は、予測画像生成部102により生成された予測画像信号と逆量子化・逆直交変換部106で逆量子化及び逆直交変換された残差信号を重畳して復号画像を生成し、復号画像メモリ108に格納する。尚、復号画像に対して符号化によるブロック歪等を減少させるフィルタリング処理を施して、復号画像メモリ108に格納することもある。
【0024】
図2は実施の形態1に係る画像復号化装置200の構成図である。ここで、図2では画像信号に関するデータの流れのみを表しており、動きベクトルや予測モードなど画像信号以外の付加情報についてはビット列復号部201が各構成要素に供給して対応する処理に用いるが、付加情報に関するデータの流れは図示していない。
【0025】
ビット列復号部201は、供給された符号化ビット列を復号化して、直交変換・量子化された残差信号をブロック分割部202に供給する。
【0026】
ブロック分割部202は、復号化したブロック分割情報に基づいて復号化対象ブロックの形状を決定し、決定された復号化対象ブロックの直交変換・量子化された残差信号を逆量子化・逆直交変換部203に供給する。
【0027】
ブロック分割部202は、画像を復号化されたブロック分割情報に基づいて所定サイズの矩形に再帰的に分割して復号化対象ブロックを生成する。ブロック分割部202は、再帰的分割における対象ブロックを水平方向かつ垂直方向に4分割して4つのブロックを生成する4分割部と、再帰的分割における対象ブロックを水平方向又は垂直方向に2分割して2つのブロックを生成する2分割部とを含む。ブロック分割部202の詳細の動作については後述する。
【0028】
逆量子化・逆直交変換部203は、供給された直交変換・量子化された残差信号に対して、逆直交変換及び逆量子化を行い、逆直交変換・逆量子化された残差信号を得る。
【0029】
予測画像生成部204は、復号画像メモリ206から供給される復号画像信号から予測画像信号を生成し、復号画像信号重畳部205に供給する。
【0030】
復号画像信号重畳部205は、予測画像生成部204で生成された予測画像信号と、逆量子化・逆直交変換部203により逆直交変換・逆量子化された残差信号とを重畳することにより、復号画像信号を生成し、出力するとともに復号画像メモリ206に格納する。尚、復号画像に対して符号化によるブロック歪等を減少させるフィルタリング処理を施して、復号画像メモリ206に格納することもある。
【0031】
画像符号化装置100のブロック分割部101の動作について詳細に説明する。図3はツリーブロックへの分割及びツリーブロック内部の分割を説明するフローチャートである。
【0032】
まず、入力された画像を所定サイズのツリーブロックに分割する(S1000)。例えば、ツリーブロックを128画素x128画素とする。ただし、ツリーブロックは128画素x128画素に限定されず、矩形であればどのような大きさ及び形状を用いてもよい。また、ツリーブロックの大きさ及び形状は、符号化装置と復号化装置の間で固定の値を定めておいてもよいが、符号化装置が決定して符号化ビットストリーム内に記録し復号化装置が記録されたブロックサイズを用いる構成にしてもよい。入力された画像をツリーブロックに分割する様子を図4に示す。ツリーブロックは、ラスタスキャン順、すなわち左から右、上から下に符号化及び復号化される。
【0033】
ツリーブロックの内部をさらに矩形のブロックに分割していく。ツリーブロック内部はz-スキャン順に符号化・復号化していく。図5にz-スキャンの順序を示す。z-スキャンでは、左上、右上、左下、右下、の順序で符号化及び復号化する。ツリーブロック内部の分割は4分割と2分割が可能であり、4分割は水平方向かつ垂直方向に分割する。2分割は水平方向又は垂直方向に分割する。図6はツリーブロックを水平かつ垂直方向に4分割した図である。図7はツリーブロックを水平方向に2分割した図である。図8はツリーブロックを垂直方向に2分割した図である。
【0034】
再び図3を参照する。ツリーブロック内部を水平及び垂直方向に4分割するかどうかを判断する(S1001)。
【0035】
ツリーブロック内部を4分割すると判断した場合(S1001:Yes)、ツリーブロック内部を4分割し(S1002)、水平かつ垂直方向に4分割したブロックの各処理を行う(S1003)。4分割されたブロックの再分割処理については後述する(図9)。
【0036】
ツリーブロック内部を4分割しないと判断した場合(S1001:No)、ツリーブロック内部を2分割するかどうかを判断する(S1004)。
【0037】
ツリーブロック内部を2分割すると判断した場合(S1004:Yes)、2分割する方向を水平方向とするかどうかを判断する(S1005)。
【0038】
2分割する方向を水平方向と判断した場合(S1005:Yes)、ツリーブロック内部を水平方向に2分割し(S1006)、水平方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1007)。水平方向に2分割されたブロックの再分割処理については後述する(図10)。
【0039】
2分割する方向を水平方向ではなく垂直方向と判断した場合(S1005:No)、ツリーブロック内部を垂直方向に2分割し(S1008)、垂直方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1009)。水平方向に2分割されたブロックの再分割処理については後述する(図11)。
【0040】
ツリーブロック内部を2分割しないと判断した場合(S1004:No)、ツリーブロックの内部をブロック分割せずにブロック分割処理を終了する(S1010)。
【0041】
続いて、ツリーブロックを水平方向かつ垂直方向に4分割した場合の分割された各ブロックの処理について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
ブロック内部を水平かつ垂直方向に再び4分割するかどうかを判断する(S1101)。
【0043】
ブロック内部を再び4分割すると判断した場合(S1101:Yes)、ブロック内部を再び4分割し(S1102)、水平かつ垂直方向に4分割したブロックの各処理を行う(S1103)。
【0044】
ブロック内部を再び4分割しないと判断した場合(S1101:No)、ブロック内部を2分割するかどうかを判断する(S1104)。
【0045】
ブロック内部を2分割すると判断した場合(S1104:Yes)、2分割する方向を水平方向とするかどうかを判断する(S1105)。
【0046】
2分割する方向を水平方向と判断した場合(S1105:Yes)、ブロック内部を水平方向に2分割し(S1106)、水平方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1107)。
【0047】
2分割する方向を水平方向ではなく垂直方向と判断した場合(S1105:No)、ブロック内部を垂直方向に2分割し(S1108)、垂直方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1109)。
【0048】
ブロック内部を2分割しないと判断した場合(S1104:No)、ブロックの内部をブロック分割せずにブロック分割処理を終了する(S1110)。
【0049】
図9のフローチャートに示す処理が4分割された各ブロックについて実行される。4分割されたブロックの内部もz-スキャン順に符号化及び復号化していく。
【0050】
続いて、ツリーブロックを水平方向に2分割した場合の分割された各ブロックの処理について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
ツリーブロックを水平方向に2分割した場合、2分割された各ブロックは、まず、ブロック内部を水平及び垂直方向に4分割するかどうかを判断する(S1201)。
【0052】
ブロック内部を4分割すると判断した場合(S1201:Yes)、ブロック内部を4分割し(S1202)、水平かつ垂直方向に4分割したブロックの各処理を行う(S1203)。
【0053】
ブロック内部を4分割しないと判断した場合(S1201:No)、ブロック内部を再び2分割するかどうかを判断する(S1204)。
【0054】
再び2分割すると判断した場合(S1204:Yes)、ブロック内部を垂直方向に分割し(S1205)、垂直方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1206)。
【0055】
再び2分割しないと判断した場合(S1204:No)、ブロックの内部を再分割せずブロック分割処理を終了する(S1207)。
【0056】
図11にツリーブロックの分割が水平方向に2分割された場合の分割されたブロックの再分割の様子を示す。ここで、親ブロックであるツリーブロックが水平方向に2分割された場合、分割されたブロックの再2分割では、垂直方向のみの2分割を許容し、自動的に垂直方向に2分割する。また、親ブロックであるツリーブロックが2分割された場合、子ブロックでは4分割も完全に禁止することも可能である。これにより、親ブロックと同一方向にブロックが分割されることを禁止できるため、より横方向に細長い長方形となるブロック分割を防止でき、符号化・復号化の処理がしやすくなる。
【0057】
図10のフローチャートに示す処理が水平方向に2分割された各ブロックについて実行される。2分割されたブロックの内部も上、下の順に符号化及び復号化していく。
【0058】
続いて、ツリーブロックを垂直方向に2分割した場合の分割された各ブロックの処理について図12のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
ツリーブロックを垂直方向に2分割した場合、2分割された各ブロックは、まず、ブロック内部を水平及び垂直方向に4分割するかどうかを判断する(S1301)。
【0060】
ブロック内部を4分割すると判断した場合(S1301:Yes)、ブロック内部を4分割し(S1302)、水平かつ垂直方向に4分割したブロックの各処理を行う(S1303)。
【0061】
ブロック内部を4分割しないと判断した場合(S1301:No)、ブロック内部を再び2分割するかどうかを判断する(S1304)。
【0062】
再び2分割すると判断した場合(S1304:Yes)、ブロック内部を水平方向に分割し(S1305)、水平方向に2分割したブロックの各処理を行う(S1306)。
【0063】
再び2分割しないと判断した場合(S1304:No)、ブロックの内部を再分割せずブロック分割処理を終了する(S1307)。
【0064】
図13にツリーブロックの分割が垂直方向に2分割された場合の分割されたブロックの再分割の様子を示す。ここで、親ブロックであるツリーブロックが垂直方向に2分割された場合、分割されたブロックの再2分割では、水平方向のみの2分割を許容し、自動的に水平方向に2分割する。また、親ブロックであるツリーブロックが2分割された場合、子ブロックでは4分割も完全に禁止することも可能である。これにより、親ブロックと同一方向にブロックが分割されることを禁止できるため、より縦方向に細長い長方形となるブロック分割を防止でき、符号化・復号化の処理がしやすくなる。
【0065】
図12のフローチャートに示す処理が垂直方向に2分割された各ブロックについて実行される。2分割されたブロックの内部も左、右の順に符号化及び復号化していく。
【0066】
なお、ツリーブロックが分割された時の分割されたブロックの再分割について説明したが、親ブロックがツリーブロックでなくてもよい。例えば、ツリーブロック(128x128)を4分割し、4分割されたブロック(64x64)をさらに4分割又は2分割した場合に、再分割されたブロックの分割にも上記処理を適用していく。
【0067】
次に、画像復号化装置200のブロック分割部202の動作について説明する。画像符号化装置100のブロック分割部101と同じ処理手順でブロックを分割するが、画像符号化装置100のブロック分割部101では、ブロック分割のパターンを選択し、選択したブロック分割情報を出力するのに対して、画像復号化装置のブロック分割部202は、符号化ビットストリームから復号化されたブロック分割情報を用いてブロックを分割すること、また、符号化ビットストリームからブロック分割情報を復号化する際に、同一方向への再分割が禁止される状況では、選択肢のない情報はビットストリーム内で伝送しないシンタックス構造となっていることが異なる。
【0068】
第1の実施の形態のブロック分割に関するシンタックス(符号化ビットストリームの構文規則)の例を図14に示す。ツリーブロックの内部の分割は、まず4分割をするかどうかのフラグ(4_division_flag)を送受信する。4分割する場合(4_division_flagが1)は、ツリーブロック内を4分割して処理を終了する。その後4分割されたブロックについて再度図14に示すシンタックスで内部を再分割する。4分割しない場合(4_division_flagが0)は、2分割するかどうかのフラグ(2_division_flag)を送受信する。2分割する場合(2_division_flagが1)は、さらに、2分割する方向を示すフラグ(2_division_direction)を送受信する。2_division_directionが1の場合は垂直方向への分割を示し、2_division_directionが0の場合は水平方向への分割を示す。その後2分割されたブロックについて再度図14に示すシンタックスでブロック内部を再分割する。2分割しない場合(2_division_flagが0)は、ツリーブロックを分割せずに処理を終了する。
【0069】
ここで、4分割又は2分割されたブロックの内部を再分割する処理について説明する。ブロック内部を再分割する処理も図14に示すシンタックスを用いるが、ツリーブロックを分割する場合と比較して、2分割する場合の分割方向に制限があることが異なる。つまり、ツリーブロックを2分割している場合、2分割されたブロックの内部を再分割する場合には、ツリーブロックを2分割した分割方向と同一の方向で分割することを禁止する。これにより、分割されたブロックがより細長い長方形になることを防止し、イントラ予測やインター予測で必要となるメモリ帯域の増加を防止することができる。メモリ帯域の増加の防止についての詳細は後述する。
【0070】
また、同一方向に2分割した数をカウントして所定回数を超えた場合に同一方向に分割することを制限してももちろんよい。例えば、2回まで同一方向への2分割を許可するが、3回目からは同一方向への2分割を禁止する。
【0071】
図14では、4分割を優先して選択し、4分割するかどうかの情報を2分割するかどうかの情報よりも先に送受信するシンタックスとした。一方、2分割を優先して選択する場合、2分割するかどうかの情報を4分割するかどうかの情報よりも先に送受信するシンタックスとすることも可能である。確率的により発生しやすい事象を先に送受信する方がビットストリームとして伝送する符号量が少なくなるためである。つまり、予め4分割と2分割のどちらが発生しやすいか推定し、より発生しやすい分割情報を先にする送受信するシンタックスとしてもよい。例えば、画像のヘッダ情報で4分割を優先するか、2分割を優先するかを送受信することで、符号化装置が適応的に符号化効率の高い優先分割数を決定して、復号化装置では選択された優先分割数に基づいたシンタックスでツリーブロック内部を分割することもできる。
【0072】
画像符号化装置100及び画像復号化装置200において、分割されたブロックを用いてイントラ予測やインター予測が行われる。イントラ予測、インター予測ともにメモリからの画素のコピーを伴う。
【0073】
図15(a)~図15(d)にイントラ予測の一例を示す。図15(a)及び図15(b)はイントラ予測の予測方向とモード番号を示す。イントラ予測は、図15(c)及び図15(d)に示すように、符号化・復号化対象ブロックに近接する符号化・復号化済の画素から画素をコピーすることで符号化・復号化対象ブロックの予測画像を生成する。イントラ予測では、ブロック単位で予測画像生成から符号化・復号化画素生成を繰り返すため、処理順序がブロック単位でシーケンシャルとなり、ブロック内部を小さく分割するほど全体の処理の負荷が大きくなる。また、ブロックの形状が細長い長方形になるほどメモリからの画素コピーの処理が大きくなる。また、符号化・復号化には残差信号の直交変換を行うため、長方形のサイズの種類が多くなればなるほど必要な直交変換の種類が多くなり、その結果回路規模の増大につながる。そのため、ブロック内部を2分割する場合に、親ブロックの分割方法と同一方向に2分割することを制限することで、イントラ予測で必要となるメモリ帯域の増加を防止することができる。
【0074】
図16にインター予測の一例を示す。インター予測は、符号化・復号化済の画像に含まれる画素からブロック単位で画素をコピーすることで符号化・復号化対象ブロックの予測画像を生成する。インター予測では、参照画像からブロック単位で画素をコピーする際に、必要な画素が含まれるメモリの管理単位での取得が必要な装置の構成となることが多い。そのため、ブロックを小さく分割するほど、また、ブロックの形状が細長い長方形になるほど、全体の処理の負荷が大きくなる。また、参照画像に対して補間フィルタを用いた小数精度の動き補償を行う場合には、ブロック内に含まれる画素に数画素を加えた画素のコピーが必要となり、ブロックの大きさが小さいほど、追加する数画素の相対的な比率が大きくなり、全体の処理の負荷が大きくなる。そのため、ブロック内部を2分割する場合に、親のブロックの分割方向と同一方向に2分割することを制限することで、インター予測で必要となるメモリ帯域の増加を防止することができる。
【0075】
続いて、イントラ予測での輝度信号と色差信号の関係について説明する。輝度信号と色差信号間のフォーマットとして、4:2:0、4:2:2、4:4:4などが従来から知られている。図17(a)に示す4:2:0フォーマットは、輝度信号を水平/垂直方向ともに2画素をサンプリングするのに対して、色差信号を水平/垂直方向ともに1画素をサンプリングする。人間の目は色差信号よりも輝度信号をより敏感に知覚できるため、輝度信号よりも色差信号の情報量を減らしている。図17(b)に示す4:2:2フォーマットは、輝度信号を水平方向に2画素をサンプリングするのに対して、色差信号を水平方向に1画素サンプリングする。垂直方向については、輝度信号を垂直方向に2画素をサンプリングするのに対して、色差信号を垂直方向に2画素サンプリングする。図17(c)に示す4:4:4フォーマットは、輝度信号を水平/垂直方向に2画素をサンプリングするのに対して、色差信号を水平/垂直方向ともに2画素をサンプリングする。
【0076】
画像符号化で最も広く使用されている4:2:0フォーマットを例として本実施の形態を説明する。ブロック分割部101、202は、画像の輝度信号を分割して輝度ブロックを生成する輝度ブロック分割部と、画像の色差信号を分割して色差ブロックを生成する色差ブロック分割部とを含み、イントラ予測において、輝度信号と色差信号をそれぞれ独立してブロック分割する。つまり、イントラ予測では輝度ブロックの大きさと色差ブロックの大きさは独立して決定される。イントラ予測では、輝度信号と色差信号のそれぞれが周辺画素から画素値をコピーするため、輝度信号と色差信号を独立してブロック分割すると予測効率が高まる。それに対して、インター予測については輝度信号と色差信号を一緒に扱ってブロック分割する。つまり、インター予測では輝度ブロックの大きさと色差ブロックの大きさは同一である。インター予測では動き補償において輝度と色差を区別する必要がないためである。
【0077】
予測画像生成部102、204は、輝度信号を予測する輝度信号予測部と、色差信号を予測する色差信号予測部とを含み、色差信号予測部は、イントラ予測における色差信号の予測効率を高めるため、輝度信号の符号化・復号化済画素から色差信号を予測する輝度色差イントラ予測を行う。輝度色差イントラ予測では、プライマリ信号をセカンダリ信号よりも先に符号化・復号化し、符号化・復号化済のプライマリ信号を用いてセカンダリ信号を予測する。ここで、4:2:0フォーマットや4:2:2フォーマットでは色差信号よりも輝度信号の情報量が多いため、輝度信号をプライマリ信号とし、色差信号をセカンダリ信号とする。4:4:4フォーマットでは、輝度信号と色差信号の情報量は同じであるが、他のフォーマットに合わせて、輝度信号をプライマリ信号とし、色差信号をセカンダリ信号とするのが普通である。
【0078】
図18は、輝度色差イントラ予測を説明する図であり、図19は、輝度色差イントラ予測を説明するフローチャートである。
【0079】
図18に示すように、輝度色差イントラ予測は、輝度ブロック10の符号化・復号化済の周辺画素12a、12bと、色差ブロック14の符号化・復号化済の周辺画素16a、16bとの間の相関度合いに基づいて行われる。輝度色差イントラ予測は、色差信号を予測するものであるから、相関度合いを算出する対象となる周辺画素は、符号化・復号化対象の色差ブロックの周辺画素を基準にして規定される。すなわち、色差ブロックに対して決まる周辺画素と同一位置にある輝度ブロックの周辺画素が相関度合いの算出の対象となる。
【0080】
まず、符号化・復号化済の輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出する(S1901)。続いて、符号化・復号化対象ブロックの符号化・復号化済輝度信号をダウンサンプルする(S1902)。ここで、ダウンサンプルするフィルタタイプを複数準備してフィルタタイプを選択できるようにしてもよい。例えば、強度の異なるフィルタを準備して複数のフィルタタイプを選択する、又は、フィルタのタップ数が異なるフィルタを準備して複数のフィルタタイプを選択するようにしてもよい。フィルタタイプは周辺画素間の相関度合いを用いて自動選択してもよく、フィルタタイプをビットストリーム内に符号化・復号化して伝送してもよい。また、周辺画素間の相関度合いを用いて符号化・復号化対象ブロックの輝度信号のダウンサンプルフィルタを決定するのでなければ、ステップS1901とステップS1902の処理は順不同であり、ステップS1901とステップS1902は並列処理可能である。
【0081】
最後に、周辺画素間の相関度合いに基づいて、ダウンサンプルした輝度信号から色差信号を予測する(S1903)。ダウンサンプルは、4:2:0フォーマットの場合は、水平/垂直方向に1/2となる。4:2:2フォーマットの場合は、水平方向に1/2となり、垂直方向にはダウンサンプルしない。4:4:4フォーマットの場合は、水平/垂直方向ともにダウンサンプルしない。
【0082】
輝度色差イントラ予測では、符号化・復号化対象ブロックの輝度信号の符号化・復号化が完了した後に、色差信号の予測処理を開始できる。そのため、色差ブロックの予測処理を開始できるタイミングは、輝度ブロックのサイズと色差ブロックのサイズに依存する。
【0083】
図20(a)及び図20(b)は、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも大きい場合の輝度色差イントラ予測を説明する図である。図20(a)に示す4分割された第1~第4輝度ブロック20a、20b、20c、20dの画素数は16x16であり、図20(b)に示す色差ブロック20eの画素数は16x16である。
【0084】
ここで、輝度ブロックと色差ブロックのサイズの比較は、ブロック内の画素数での比較ではなく、色差フォーマットを考慮した面積での比較である。即ち、4:2:0フォーマットにおいて、輝度ブロックが占める面積は、色差ブロックが占める面積の1/2であるから、輝度ブロックの画素数が16x16であり、色差ブロックの画素数が16x16である場合、輝度ブロックのサイズの方が小さい。4:2:0フォーマットにおいて、輝度ブロックの画素数が16x16であり、色差ブロックの画素数が8x8である場合、両者のブロックが占める面積は同一であり、輝度ブロックと色差ブロックは同一のサイズである。
【0085】
輝度ブロックと色差ブロックのサイズの比較を、ブロックの面積の比較ではなく、ブロック内の画素数の比較で行うには、色差フォーマットにおける輝度信号と色差信号の比率で色差ブロックの画素数を輝度ブロックの画素数に換算すればよい。4:2:0フォーマットの場合、輝度信号の画素数は色差信号の画素数の2倍であるから、色差ブロックの縦横の画素数を2倍して輝度ブロックの縦横の画素数に換算する。たとえば、4:2:0フォーマットにおいて、輝度ブロックのサイズが16x16であり、色差ブロックのサイズが16x16である場合、輝度ブロックの画素数に換算した色差ブロックの換算サイズは32x32になり、色差ブロックのサイズの方が大きいことがわかる。
【0086】
イントラ予測はブロック単位で復号処理を完了した後に、続くブロックの予測処理が可能になる。つまり、第1輝度ブロック20aの復号が完了した後に、第2輝度ブロック20bの復号が可能になり、第2輝度ブロック20bの復号が完了した後に、第3輝度ブロック20cの復号が可能になり、第3輝度ブロック20cの復号が完了した後に、第4輝度ブロック20dの復号が可能になる。
【0087】
色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも大きい場合、色差ブロック20eの予測処理に必要な周辺画素は、輝度画素、色差画素ともに4つの輝度ブロック20a、20b、20c、20dの復号前に存在しており、4つの輝度ブロック20a、20b、20c、20dの復号を待たずに、図19のステップS1901の輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出可能である。
【0088】
次に、第1輝度ブロック20aの復号完了後、図19のステップS1902の輝度信号のダウンサンプルを実行する。第2輝度ブロック20bの復号完了を待たずに、第1輝度ブロック20aの位置に対応する色差ブロック20eの画素が予測可能である。同様に、第2輝度ブロック20bの復号完了後、輝度信号のダウンサンプルを実行し、第3輝度ブロック20cの復号完了を待たずに、第2輝度ブロック20bの位置に対応する色差ブロック20eの画素を予測する。さらに、第3輝度ブロック20cの復号完了後、輝度信号のダウンサンプルを実行し、第4輝度ブロック20dの復号完了を待たずに、第3輝度ブロック20cの位置に対応する色差ブロック20eの画素を予測する。最後に、第4輝度ブロック20dの復号完了後、輝度信号のダウンサンプルを実行し、第4輝度ブロック20dの位置に対応する色差ブロック20eの画素を予測する。
【0089】
図21(a)及び図21(b)は、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合の輝度色差イントラ予測を説明する図である。図21(a)に示す輝度ブロック21aの画素数は16x16であり、図21(b)に示す4分割された第1~第4色差ブロック21b、21c、21d、21eの画素数は4x4である。
【0090】
4:2:0フォーマットにおいて、輝度ブロックが占める面積は、色差ブロックが占める面積の1/2であるから、輝度ブロックの画素数が16x16であり、色差ブロックの画素数が4x4である場合、色差ブロックのサイズの方が小さい。輝度ブロックと色差ブロックのサイズの比較を、ブロックの面積の比較ではなく、ブロック内の画素数の比較で行うには、4:2:0フォーマットの場合、色差ブロックの縦横の画素数を2倍して輝度ブロックの縦横の画素数に換算する。4:2:0フォーマットにおいて、輝度ブロックのサイズが16x16であり、色差ブロックのサイズが4x4である場合、輝度ブロックの画素数に換算した色差ブロックの換算サイズは8x8になり、色差ブロックのサイズの方が小さいことがわかる。
【0091】
色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合、第1色差ブロック21bの周辺画素は、輝度画素、色差画素ともに輝度ブロック21aの復号前から利用できるが、第2~第4色差ブロック21c、21d、21eの周辺画素は、輝度ブロック21aの復号が完了しないと利用できない。つまり、輝度ブロック21aの復号が完了し、第1色差ブロック21bの復号が完了しないと、第2色差ブロック21cについて、図19のステップS1901の輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出できない。同様に、第3色差ブロック21dについて、輝度ブロック21aの復号が完了し、第1、第2色差ブロック21b、21cの復号が完了しないと、第3色差ブロック21dについて、輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出できない。同様に、第4色差ブロック21eについて、輝度ブロック21aの復号が完了し、第1~第3色差ブロック21b、21c、21dの復号が完了しないと、第4色差ブロック21eについて、輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出できない。
【0092】
このように、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合、輝度色差イントラ予測を行うと、色差ブロックの予測処理において、輝度ブロックと色差ブロック間及び色差ブロック間で処理の依存関係があり並列処理に向かない。そこで、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合、輝度色差イントラ予測を制限する。輝度色差イントラ予測を制限する方法としては、(1)シンタックスで制限する、(2)イントラ色差モードを置き換える、(3)周辺画素を置き換える、などがある。
【0093】
図22にイントラ色差予測モードのシンタックスの例を示す。色差予測モードの番号が0の場合、輝度予測モードと同一のイントラ予測モードを色差予測モードに使用する。例えば、輝度予測モードが水平予測モードの場合、色差予測モードも水平予測モードとなる。色差予測モードの番号が1の場合、平均値モード(DCモード)を使用する。DCモードは周辺画素の平均値でイントラ予測する。色差予測モードの番号が2の場合、輝度色差イントラ予測モードを使用する。
【0094】
輝度色差イントラ予測を制限する方法として、(1)シンタックスで制限する場合、モード2は輝度色差イントラ予測を表すため使用禁止となる。つまり、モード2は伝送されず、イントラ色差モードはモード0とモード1から選択される。
【0095】
輝度色差イントラ予測を制限する方法として、(2)イントラ色差モードを置き換える場合、色差予測モードの番号がモード2として指定された場合に、輝度色差イントラ予測モードではなく、代わりに垂直予測モードを使用する。ただし、置き換える予測モードは垂直予測モードに限らず、他の予測モードでもよい。また、モード0の輝度予測モードとモード2で置き換えるモードが同一になり、使用するモードが重複することがないようにすることがより好ましい。
【0096】
輝度色差イントラ予測を制限する方法として、(3)周辺画素を置き換える場合、図19のステップS1901の輝度信号の周辺画素と色差信号の周辺画素間の相関度合いを算出するための周辺画素を置き換える。図21の第2~第4色差ブロック21c、21d、21eにおいても輝度ブロック21aの復号を待たずに周辺画素の相関度合いを算出できるようにする。
【0097】
周辺画素の置き換えの例を図23に示す。第2色差ブロック21cの左辺の周辺画素として通常は第1色差ブロック21b内の画素を使用するが、第1色差ブロック21b内の画素を使用するには、輝度ブロック21a及び第1色差ブロック21bの復号完了を待つ必要がある。そこで、輝度ブロック21aの復号完了を待たずに使用可能な領域21fを第2色差ブロック21cの周辺画素として使用する。同様に、第3色差ブロック21dについても、輝度ブロック21aの復号完了を待たずに使用可能な領域21fを第3色差ブロック21dの周辺画素として使用する。同様に、第4色差ブロック21eについても、輝度ブロック21aの復号完了を待たずに使用可能な領域21fを第4色差ブロック21eの周辺画素として使用する。
【0098】
このように、第1の実施の形態では、輝度色差イントラ予測を行う際に、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さい場合、輝度色差イントラ予測を制限することにより、輝度ブロックと色差ブロック間で処理の依存関係を緩和することが可能になる。これにより、輝度ブロックと色差ブロックの並列処理が可能になり、符号化・復号化の処理量を削減できる。
【0099】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、輝度ブロックと色差ブロックのサイズの大小関係ではなく、輝度ブロックのサイズと色差ブロックのサイズのそれぞれを独立に評価して輝度色差イントラ予測を制限することが第1の実施の形態とは異なり、それ以外の構成と動作は第1の実施の形態と同じである。
【0100】
まず、輝度ブロックのサイズに基づく制限について説明する。図24(a)~図24(c)に輝度ブロックのサイズの違いによる輝度色差イントラ予測を示す。図24(a)、図24(b)に示すように、第1輝度ブロック24aは第1色差ブロック24eの位置に対応し、第2輝度ブロック24bは第2色差ブロック24fの位置に対応し、第3輝度ブロック24cは第3色差ブロック24gの位置に対応し、第4輝度ブロック24dは第4色差ブロック24hの位置に対応する。また、図24(c)の輝度ブロック24iは、図24(b)の第1~第4色差ブロック24e、24f、24g、24hの位置に対応する。
【0101】
輝度ブロックと色差ブロックの依存関係について説明する。図24(a)のように輝度ブロックのサイズが小さい場合、第1輝度ブロック24aの復号が完了すると、第1色差ブロック24eの復号が可能になる。第2輝度ブロック24bの復号が完了すると、第2色差ブロック24fの復号が可能になる。第3輝度ブロック24cの復号が完了すると、第3色差ブロック24gの復号が可能になる。第4輝度ブロック24dの復号が完了すると、第4色差ブロック24hの復号が可能になる。
【0102】
一方、図24(c)のように輝度ブロックのサイズが大きい場合、輝度ブロック24iの復号が完了しないと、第1~第4色差ブロック24e、24f、24g、24hの復号はすべて可能にならない。
【0103】
輝度ブロックの分割と色差ブロックの分割を独立して決定する場合、輝度ブロックの絶対サイズが大きいと、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さくなる可能性が高まる。そこで、輝度ブロックの絶対サイズが所定サイズ以上の場合、対応する色差ブロックの輝度色差イントラ予測を制限する。
【0104】
同様に、色差ブロックの絶対サイズが小さいと、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さくなる可能性が高まる。そこで、色差ブロックの絶対サイズが所定サイズ以下の場合、色差ブロックの輝度色差イントラ予測を制限する。
【0105】
輝度色差イントラ予測の制限方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0106】
このように、第2の実施の形態では、輝度ブロックの絶対サイズが閾値よりも大きい場合、又は、色差ブロックの絶対サイズが閾値よりも小さい場合に、輝度色差イントラ予測を制限する。これにより、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズよりも小さくなる場合を予想して、輝度色差イントラ予測を制限し、輝度ブロックと色差ブロック間で処理の依存関係を確率的に緩和することが可能になる。
【0107】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、ブロック分割部101において、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズより小さくならないように、色差ブロックを分割することが第1の実施の形態とは異なり、それ以外の構成と動作は第1の実施の形態と同じである。ブロック分割部101は、色差ブロックを分割する際、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズ未満になるような分割を禁止する。これにより、輝度色差イントラ予測において、色差ブロックのサイズが輝度ブロックのサイズより小さくなることが回避され、輝度ブロックと色差ブロックの並列処理が常に可能になる。
【0108】
以上述べた実施の形態の画像符号化装置が出力する画像の符号化ビットストリームは、実施の形態で用いられた符号化方法に応じて復号化することができるように特定のデータフォーマットを有しており、画像符号化装置に対応する画像復号化装置がこの特定のデータフォーマットの符号化ビットストリームを復号化することができる。
【0109】
画像符号化装置と画像復号化装置の間で符号化ビットストリームをやりとりするために、有線または無線のネットワークが用いられる場合、符号化ビットストリームを通信路の伝送形態に適したデータ形式に変換して伝送してもよい。その場合、画像符号化装置が出力する符号化ビットストリームを通信路の伝送形態に適したデータ形式の符号化データに変換してネットワークに送信する送信装置と、ネットワークから符号化データを受信して符号化ビットストリームに復元して画像復号化装置に供給する受信装置とが設けられる。
【0110】
送信装置は、画像符号化装置が出力する符号化ビットストリームをバッファするメモリと、符号化ビットストリームをパケット化するパケット処理部と、パケット化された符号化データをネットワークを介して送信する送信部とを含む。受信装置は、パケット化された符号化データをネットワークを介して受信する受信部と、受信された符号化データをバッファするメモリと、符号化データをパケット処理して符号化ビットストリームを生成し、画像復号化装置に提供するパケット処理部とを含む。
【0111】
また、画像復号化装置で復号化された画像を表示する表示部を構成に追加することで、表示装置とすることも可能である。その場合、表示部は、復号画像信号重畳部205により生成され、復号画像メモリ206に格納された復号画像信号を読み出して画面に表示する。
【0112】
また、撮像部を構成に追加し、撮像した画像を画像符号化装置に入力することで、撮像装置とすることも可能である。その場合、撮像部は、撮像した画像信号をブロック分割部101に入力する。
【0113】
以上の符号化及び復号化に関する処理は、ハードウェアを用いた伝送、蓄積、受信装置として実現することができるのは勿論のこと、ROM(リード・オンリ・メモリ)やフラッシュメモリ等に記憶されているファームウェアや、コンピュータ等のソフトウェアによっても実現することができる。そのファームウェアプログラム、ソフトウェアプログラムをコンピュータ等で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することも、有線あるいは無線のネットワークを通してサーバから提供することも、地上波あるいは衛星ディジタル放送のデータ放送として提供することも可能である。
【0114】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0115】
100 画像符号化装置、 101 ブロック分割部、 102 予測画像生成部、 103 残差信号生成部、 104 直交変換・量子化部、 105 符号化ビット列生成部、 106 逆量子化・逆直交変換部、 107 復号画像信号重畳部、 108 復号画像メモリ、 200 画像復号化装置、 201 ビット列復号部、 202 ブロック分割部、 203 逆量子化・逆直交変換部、 204 予測画像生成部、 205 復号画像信号重畳部、 206 復号画像メモリ。
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