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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
F25D17/08 308
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020053361
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152436
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】佐野 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】今田 寛訓
(72)【発明者】
【氏名】平 和也
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-101883(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202149(US,A1)
【文献】特開2018-155488(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196219(WO,A1)
【文献】特開平06-213550(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131157(WO,A1)
【文献】特開2017-101838(JP,A)
【文献】特開平09-138050(JP,A)
【文献】特開2002-257454(JP,A)
【文献】特開2006-183894(JP,A)
【文献】特開2015-025589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他室よりも高温に設定される野菜室と、
前記野菜室の奥部に配置される冷却器と、
前記冷却器を覆って冷却室を形成し、前記野菜室の背壁を形成する背壁構造体と、
を備え、
前記背壁構造体は、前記背壁構造体の前面カバーの裏面に、前記裏面の略全面を覆うように、真空断熱材を備え、
前記背壁構造体は、前記真空断熱材の後方で、前記野菜室の側壁に向けて吐出口が開口する、前記野菜室への行き風路を備える、冷蔵庫。
【請求項2】
前記野菜室への行き風路に、風量調整用の野菜室ダンパーが配置される、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記野菜室ダンパーが、前記野菜室の下方の他室に配置される、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記野菜室ダンパーが、前記野菜室の下方を仕切る下部断熱仕切壁に配置される、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記背壁構造体は、前記野菜室からの戻り風路を備え、
前記野菜室は、前記戻り風路に連通する野菜室戻りダクトを備え、前記野菜室戻りダクトは前記野菜室の天面を前方に延び、前端に冷気吸込み口を備える、請求項1ないし4の何れか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷気吸込み口は、前記吐出口が向かう前記野菜室の側壁とは反対側の側壁近傍に配置される、請求項5に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の室を有し、他室よりも高温に設定される貯蔵室と、貯蔵室の背面に配置される冷却器と、冷却器を覆って冷却室を形成し、貯蔵室の背壁を形成する背壁構造体と、を備える冷蔵庫が知られている(特許文献1)。
特許文献1の冷蔵庫は、背壁構造体の前面に、貯蔵室への吐出口を備えており、ここから貯蔵室に向けて冷気が直接吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/131157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、貯蔵室に冷気が直接吹き出される場合には、貯蔵室の温度管理が難しい、課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、貯蔵室の温度管理が容易な、冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、他室よりも高温に設定される野菜室と、前記野菜室の背面に配置される冷却器と、前記冷却器を覆って冷却室を形成し、前記野菜室の背壁を形成する背壁構造体と、を備え、前記背壁構造体は、前記背壁構造体の前面カバーの裏面に、前記裏面の略全面を覆うように、真空断熱材を備え、前記背壁構造体は、前記真空断熱材の後方で、前記野菜室の側壁に向けて吐出口が開口する、前記野菜室への行き風路を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貯蔵室の温度管理が容易な、冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷蔵庫の外観斜視図
図2】冷蔵庫の風路構成を示す模式図
図3】(A)は、背壁構造体の正面図、(B)は、(A)のA-A線断面図、(C)は、(A)のB-B線断面図
図4図3(A)のIV-IV線断面図
図5】背壁構造体の分解斜視図
図6】(A)は、図3(A)のVI-VI線断面図、(B)は、(A)のC-C線断面図、(C)は、(A)のD-D線断面図
図7】貯蔵室の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、他室よりも高温に設定される貯蔵室と、前記貯蔵室の背面に配置される冷却器と、前記冷却器を覆って冷却室を形成し、前記貯蔵室の背壁を形成する背壁構造体と、を備え、前記背壁構造体は、前記貯蔵室の側壁に向けて吐出口が開口する、前記貯蔵室への行き風路を備える。
これによれば、貯蔵室への行き風路を通る冷却空気は、貯蔵室の側壁に向けて開口する吐出口から吐出され、貯蔵室の側壁に衝突し、その側壁に沿って流れて、貯蔵室に還流するため、冷却空気が、貯蔵室に直接吹き出される場合に比べて、貯蔵室の内部の温度管理が容易となる。
【0010】
第2の発明は、前記貯蔵室への行き風路に、風量調整用の貯蔵室ダンパーが配置される。
これによれば、貯蔵室ダンパーによって、風量調整が行われるため、貯蔵室の内部の温度管理が、より容易となる。
【0011】
第3の発明は、前記貯蔵室ダンパーが、前記貯蔵室の下方の他室に配置される。
これによれば、背壁構造体の冷却室から送られる冷却空気が、貯蔵室の下方の他室に配置された、貯蔵室ダンパー内の風路を通ってから、貯蔵室に還流することになり、その分、貯蔵室への行き風路の全長が長くなり、短い風路の場合に比べて、貯蔵室の内部の温度管理が容易となる。
【0012】
第4の発明は、前記貯蔵室ダンパーが、前記貯蔵室の下方を仕切る下部断熱仕切壁に配置される。
これによれば、背壁構造体の冷却室から送られる冷却空気が、貯蔵室の下方の他室に配置された、貯蔵室ダンパー内の風路を通ってから、貯蔵室に還流することになり、その分、貯蔵室への行き風路の全長が長くなり、短い風路の場合に比べて、貯蔵室の内部の温度管理が容易となる。
【0013】
第5の発明は、前記背壁構造体は、前記貯蔵室からの戻り風路を備え、前記貯蔵室は、前記戻り風路に連通する貯蔵室戻りダクトを備え、前記貯蔵室戻りダクトは貯蔵室の天面を前方に延び、前端に冷気吸込み口を備える。
第6の発明は、前記冷気吸込み口は、前記吐出口が向かう前記貯蔵室の側壁とは反対側の側壁近傍に配置される。
これによれば、吐出口からの冷却空気は、貯蔵室の側壁に沿って流れ、貯蔵室を還流し、冷気吸込み口から吸い込まれるため、貯蔵室の内部の温度管理が容易となる。
【0014】
第7の発明は、前記貯蔵室が野菜室である。
これによれば、野菜室の内部の温度管理が容易となる。
【0015】
図1は冷蔵庫の外観斜視図である。
本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1内には、複数の室が断熱区画形成される。
冷蔵庫本体1内に形成した室は、最上部の冷蔵室14と、冷蔵室14の下に設けた製氷室16と、その横に設けた切換え室15と、切換え室15及び製氷室16の下に設けた野菜室(貯蔵室)17と、野菜室17の下に設けた冷凍室18と、で構成される。冷蔵室14には、複数の不図示の棚板が設けられ、下部には不図示のパーシャル室が設けられる。各室14~18は、冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式の扉7或いは引出し式の扉8、9、10、11により開閉自在である。
上記の野菜室17は貯蔵室を構成し、冷蔵室14と、切換え室15と、製氷室16と、冷凍室18とは他室を構成する。
【0016】
冷蔵室14は、冷蔵保存するための室で、凍らない程度の低い温度、具体的には、通常1~5℃に設定され冷却される。冷蔵室14内に設けたパーシャル室22は冷蔵室14よりも低い約-3℃前後の温度に設定され冷却される。
切換え室15は、例えば、-22~-18℃に設定され冷却される冷凍温度帯から、例えば、1~5℃に設定され冷却される冷蔵温度帯まで、冷却温度を幅広く切り替えることができるようになっている。
【0017】
野菜室17は、冷蔵室14と同等もしくは若干高く温度設定される室で、具体的には、2~7℃に設定され冷却される。
この野菜室17は野菜等の収納食品から発せられる水分により高湿度となるため、局所的に冷えすぎると結露することがある。
そのため、比較的高い温度に設定することで冷却量を少なくし、局所的な冷えすぎによる結露発生を抑制している。
【0018】
冷凍室18は、冷凍温度帯に設定される室で、具体的には、通常-22~-18℃に設定され冷却されるが、冷凍保存状態向上のためには、例えば-30℃や-25℃などの低温に設定され冷却される。
【0019】
図2は冷蔵庫の内部を示す図である。
冷蔵庫本体1は、金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2及び内箱3の間に発泡充填された発泡断熱材4とで構成される。冷蔵庫本体1の内箱3内は、中央の第1断熱仕切壁5により、最上部の冷蔵室14と、その下部の切換え室15及び製氷室16と、が断熱区画形成され、切換え室15と製氷室16とが、縦に延びた第4断熱仕切壁5Aにより断熱区画形成される。
【0020】
第2断熱仕切壁6により、切換え室15及び製氷室16と、その下に設けた野菜室17と、が断熱区画形成され、第3断熱仕切壁(下部断熱仕切壁)70により、野菜室17と、その下に設けた冷凍室18と、が断熱区画形成される。
【0021】
野菜室17の奥部には、冷気を生成するための冷却器24が配置される。
冷却器24は、冷却ユニット124(図1参照。)に接続され、冷凍サイクルを構成する。図1の冷却ユニット124は、不図示の圧縮機と、不図示のコンデンサと、不図示の放熱用の放熱パイプと、不図示のキャピラリーチューブと、を備える。不図示の圧縮機によって圧縮された冷媒の循環によって冷却が行われる。
【0022】
図3(A)は、背壁構造体の正面図、図3(B)は、(A)のA-A線断面図、図3(C)は、(A)のB-B線断面図である。
図4は、図3(A)のIV-IV線断面図である。
図3(A)に示すように、野菜室17は、冷蔵庫本体1の高さ方向の真ん中(図1参照。)に配置され、野菜室17の奥部には、野菜室17の背壁を形成する背壁構造体20が設けられる。背壁構造体20は、図4に示すように、冷蔵庫本体1の内箱3に取り付けられる。背壁構造体20は、冷却器24を覆って冷却室224を形成する。即ち、背壁構造体20と内箱3との間に、冷却室224が形成され、冷却室224には、冷却器24が配置される。26は除霜ヒーターである。
【0023】
図5は背壁構造体の分解斜視図である。
背壁構造体20は、前面カバー201と、ヒーター202と、保護シート203と、真空断熱材204と、第1中間カバー205と、成形断熱材206と、第2中間カバー207と、第3中間カバー208と、後面カバー209と、を順に積層して構成される。後面カバー209の上部には開口209Aが設けられ、開口209Aにはファン25が配置される。後面カバー209の背面と、冷蔵庫本体1の内箱3(図2参照。)との間には、冷却室224が形成される。
【0024】
前面カバー201は硬質樹脂によって形成され、背壁構造体20の前面を構成する。前面カバー201は、上部に、カバー部212を一体に備える。カバー部212は、切換え室15及び製氷室16内に延在し(図3(A)参照。)、各室15、16の背壁を構成する。前面カバー201は、カバー部212の下部において、上よりも下が前方に位置するように傾斜して形成される。カバー部212は、略垂直に形成される。
【0025】
ヒーター202は、前面カバー201の裏面に取り付けられる。ヒーター202は、前面カバー201の裏面の略全面を覆うように形成される。ヒーター202は、アルミ箔が貼り付けられた板状の部材であり、両面テープなどにより前面カバー201の裏面に貼られる。ヒーター202は蛇行状の電熱線202Aを備え、電熱線202Aは、ヒーター202の下部領域に設けられる。
【0026】
真空断熱材204は、図示は省略したが、板状の芯材を外被材により覆って、内部を減圧密封することにより構成される。真空断熱材204は板状であり、前面カバー201の裏面のリブ(不図示)に嵌合し、ヒーター202を挟んで、前面カバー201の裏面の略全面を覆って配置される。
【0027】
真空断熱材204の外被材は、内部に外気が侵入することを抑制し、屈曲性を有するものであればよい。外被材は、熱溶着フィルムと、中間層としてのガスバリアフィルムと、最外層の表面保護フィルムとを、ラミネートしたものでよい。熱溶着フィルムは、低密度ポリエチレンフィルムでよい。
真空断熱材204の芯材は、厚さ0.5mmのチョップドストランドマットを積層し、減圧状態の厚さは、例えば8mm~12mmである。芯材は、チョップドストランドマットに限定されず、断熱性を有し、可撓性を有するものであればよい。具体的には、繊維材料、発泡材料等の公知の材料が挙げられる。
【0028】
保護シート203は、ヒーター202と、真空断熱材204との間に配置される板状の部材である。保護シート203は、真空断熱材204の外被材が破れたりすることがないように、真空断熱材204を保護する。
【0029】
第1中間カバー205は、上下方向に延び、真空断熱材204の裏面に接触させて取り付けられる。成形断熱材206は、断熱性のある樹脂により形成される。第2中間カバー207は、成形断熱材206と、後面カバー209との間に挟んで配置され、第3中間カバー208は、後面カバー209と横並びに配置される。
【0030】
背壁構造体20には、図2に示すように、中央の冷却室224から、冷蔵室14、製氷室16、切換え室15、野菜室17、冷凍室18の、各室14~18に向かう行き風路14A~18Aが設けられる。また、背壁構造体20には、冷蔵室14、製氷室16、切換え室15、野菜室17、冷凍室18の、各室14~18から冷却室224につながる戻り風路14B~18Bと、が設けられる。
【0031】
行き風路14A~18Aは、図2に示すように、冷却器24で冷却された空気を、ファン25を介して各室14~18に供給するための風路である。冷却器24は、図5において、後面カバー209の後方の冷却室224に配置される。
図3(B)、図3(C)に示すように、冷却室224からの冷却空気は、ファン25を通して、実線矢印のように流れて、連通路301に入る。連通路301は、第2中間カバー207と、後面カバー209との間に形成される。連通路301は、各行き風路14A~18Aにつながる。
【0032】
連通路301を経た冷却空気は、図2に実線矢印で示すように、上方に向かう冷蔵室14への行き風路14Aと、切換え室15への行き風路15Aと、製氷室16への行き風路16Aと、野菜室17への行き風路17Aと、下方に向かう冷凍室18への行き風路18Aと、の各風路に分配されて、各室14~18に供給される。図3(B)では、連通路301を経た冷却空気は、上方に流れて冷蔵室14に供給され、下方に流れて冷凍室18に供給される。また、図3(C)では、連通路301を経た冷却空気は、上方に流れて製氷室16に供給され、下方に流れて冷凍室18に供給される冷却冷気の一部が第3断熱仕切壁70に開口した開口部で分岐して野菜室17に供給される。
【0033】
冷蔵室14と、切換え室15と、野菜室17と、への各行き風路14A、15A、17Aには、不図示の風量調整のダンパーが配置される。
行き風路14Aは、冷蔵室14の背面に設けられたダクト14C内に連通し、前方に開口する吐出口14D、14Eを経て冷蔵室14に連通する。
【0034】
各室14~18から戻る空気は、図2に破線矢印で示すように、戻り風路14B~18Bを通して、冷却室224に配置された冷却器24に向かう。
冷蔵室14からの戻り風路14Bは、図2に示すように、図中の右側を縦に延びて配置され、上端が冷蔵室14の下部に連通し、下端が冷却室224の冷却器24に向かう。この戻り風路14Bは、図4に示すように、図中の右側において、冷却器24と横並びに配置され、第3中間カバー208と、内箱3との間に形成される。
【0035】
切換え室15からの戻り風路15Bは、図2に示すように、図中の右側を縦に延びて配置され、上端開口15Cが切換え室15の下部に連通し、下端が冷却室224の冷却器24に向かう。この戻り風路15Bは、図4に示すように、図中の右側において、成形断熱材206と、第3中間カバー208との間に形成される。
【0036】
製氷室16からの戻り風路16Bは、図2に示すように、図中の左側を縦に延びて配置され、上端開口16Cが製氷室16の下部に連通し、下端が冷却室224の冷却器24に向かう。この戻り風路16Bは、図4に示すように、図中の左側において、第1中間カバー205と、成形断熱材206との間に形成される。
【0037】
野菜室17からの戻り風路17Bは、図2に示すように、最も図中の右端を縦に延びて配置され、上端開口17Cが野菜室17の上部に連通し、下端が冷却室224の冷却器24に向かう。この戻り風路17Bは、図4に示すように、図中の右端において、切換え室15からの戻り風路15Bの外側に横並びに配置されており、成形断熱材206と、第3中間カバー208との間に形成される。
【0038】
冷凍室18からの戻り風路18Bは、図2に示すように、冷凍室18と野菜室17とを断熱区画形成する、第3断熱仕切壁70を貫通する。
【0039】
図3(B)、図3(C)に示すように、冷却器24の下方には、結露水を受けるドレンパン303が配置され、ドレンパン303は、発泡断熱材305により覆われる。ドレンパン303の底には、ドレンの排水口を備え、排水口にはドレンホース(不図示)が接続される。ドレンパン303の内側には、除霜ヒーター26が配置される。
【0040】
冷却器24に接触する後面カバー209には、ドレンを案内するガイド部材307が配置される。図3(B)では、ガイド部材307は、冷凍室18からの戻り風路18B内を下方に延出し、冷却器24のドレンパン303内を指向する。図3(C)では、ガイド部材307は、製氷室16からの戻り風路16B内を下方に延出し、冷却器24のドレンパン303内を指向する。309はバイパス通路である。
即ち、ガイド部材307は、各戻り風路14B~18B内を下方に延出し、ドレンパン303内を指向している。
【0041】
図6(A)は、野菜室17の下部に対応したところの、図3(A)のVI-VI線断面図である。図6(B)は、図6(A)のC-C線断面図である。また、図6(C)は、図6(A)のD-D線断面図である。
上記図3(C)では、連通路301を経た冷却空気は、下方に流れて野菜室17に供給される。図6(B)、図6(C)は、野菜室17への行き風路17Aと、製氷室16からの戻り風路16Bと、を示している。
【0042】
図2に示すように、野菜室17への行き風路17Aと、製氷室16からの戻り風路16Bとは、第3断熱仕切壁70の一部を開口して形成し、行き風路17Aは、野菜室17の下部と、冷凍室18の上部と、に跨って形成されており、製氷室16からの戻り風路16Bは野菜室17の下部と第3断熱仕切壁70内に形成されている。
図6(C)に示すように、第3断熱仕切壁70には、野菜室17の下方の冷凍室18に突出させて、風量調整用の野菜室ダンパー(貯蔵室ダンパー)320が配置される。野菜室ダンパー320は、冷凍室18領域に配置される。野菜室ダンパー320は、仕切り壁321を備え、仕切り壁321の下端を回り込むように形成された、略U字状の風路322を備える。風路322にはダンパー板323が配置される。
【0043】
風路322の一端は、図6(C)に示すように、第3断熱仕切壁70の一部を開口して形成した、略S字状の入側行き風路17A-1につながり、入側行き風路17A-1は連通路301につながる。
【0044】
風路322の他端は、第3断熱仕切壁70を上下に貫通した、略I字状の出側行き風路17A-2につながり、出側行き風路17A-2は、背壁構造体20の内部を上方に延出して、背壁構造体20の側壁に開口した、吐出口17A-3につながる。吐出口17A-3は、野菜室17の側壁を形成する内箱3に対向する。
【0045】
図6(B)に示すように、製氷室16から戻る空気は、第3断熱仕切壁70の一部を凹ませて略U字状に形成した、下部戻り風路16B-1を通って、冷却器24に向かう。下部戻り風路16B内には、突出壁327が設けられ、突出壁327により略U字状の下部戻り風路16B-1が形成される。
【0046】
図7は野菜室17の断面図である。
野菜室17には、下段ケース117と上段ケース118とが配置される。119はボトル収納部である。上段ケース118は後端部118Aを有し、後端部118Aは、上段ケース118の収納時にシール部材120に当接し、後端部118Aと背壁構造体20との間が塞がれる。シール部材120は、背壁構造体20の前面カバー201に取り付けられる。前面カバー201には横方向へ延びる溝(不図示)が形成され、この溝内に、シール部材120が取り付けられる。
【0047】
上段ケース118は前端部118Bを有し、前端部118Bは、上段ケース118の収納時にシール部材121に当接し、前端部118Bと第2断熱仕切壁6との間が塞がれる。シール部材121は、第2断熱仕切壁6に取り付けられる。
【0048】
第2断熱仕切壁6の下面(野菜室17の天面)には、野菜室戻りダクト(貯蔵室戻りダクト)123が配置される。野菜室戻りダクト123は、野菜室17からの戻り風路17Bの上端開口17Cに連通する。野菜室戻りダクト123は、野菜室17の天面内を前方に延び、その前端には、冷気吸込み口125が形成される。冷気吸込み口125は、上段ケース118の前端部118Bよりも前方に形成される。
図2に示すように、野菜室17からの戻り風路17Bは、図中の右端に配置され、野菜室17への行き風路17Aは、図中の左端に配置される。
【0049】
戻り風路17Bに連なる冷気吸込み口125(図7参照。)は、図中右端の内壁3の上部に開口し、行き風路17Aに連なる吐出口17A-3(図6(C)参照。)は、図中左端の内壁3の下部に開口する。冷気吸込み口125は、吐出口17A-3が向かう野菜室17の側壁とは反対側の側壁近傍に配置される。
【0050】
本実施の形態では、背壁構造体20が、野菜室17の側壁に向けて開口する、野菜室17への行き風路17Aを備え、行き風路17Aを通る冷却空気が、吐出口17A-3から野菜室17の側壁に向けて吐出される。
したがって、吐出口17A-3からの冷却空気は、野菜室17の側壁に沿って流れて、野菜室17に還流するため、冷却空気が、野菜室17に直接吹き出される場合に比べて、野菜室17の内部の温度管理が容易となる。
【0051】
本実施の形態では、野菜室17への行き風路17Aに、風量調整用の野菜室ダンパー320が配置される。
したがって、野菜室17の内部の温度管理が、より容易となる。
【0052】
本実施の形態では、風量調整用の野菜室ダンパー320が、野菜室17の下方の冷凍室18に配置される。
したがって、背壁構造体20の冷却室224から送られる冷却空気が、野菜室ダンパー320内の風路322を通ってから、野菜室17に還流することになり、その分、野菜室17への行き風路17Aの全長が長くなり、短い風路の場合に比べて、野菜室17の内部の温度管理が容易となる。
【0053】
本実施の形態では、野菜室ダンパー320が、野菜室17の下方を仕切る第3断熱仕切壁(下部断熱仕切壁)70に配置される。
したがって、背壁構造体20の冷却室224から送られる冷却空気が、野菜室ダンパー320内の風路322を通ってから、野菜室17に還流することになり、その分、野菜室17への行き風路17Aの全長が長くなり、短い風路の場合に比べて、野菜室17の内部の温度管理が容易となる。
【0054】
本実施の形態では、野菜室17は、野菜室17からの戻り風路17Bに連通する野菜室戻りダクト123を備え、野菜室戻りダクト123は野菜室17の天面を前方に延び、前端に冷気吸込み口125を備える。
冷気吸込み口125は、行き風路17Aに連なる吐出口17A-3が向かう、野菜室17の側壁とは反対側の側壁近傍に配置される。
【0055】
したがって、吐出口17A-3からの冷却空気は、野菜室17の側壁に沿って流れ、野菜室17を還流し、冷気吸込み口125から吸い込まれるため、野菜室17の内部の温度管理が容易となる。
【0056】
上述の各実施の形態は、本発明の一実施の態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明に係る冷蔵庫は、他室よりも高温に設定される貯蔵室に冷却器を配置し、冷却器を覆って貯蔵室の奥部に冷却室を形成する、背壁構造体を備える冷蔵庫に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 冷蔵庫本体
3 内箱
14 冷蔵室
15 切換え室
16 製氷室
17 野菜室(貯蔵室)
17A-3 吐出口
18 冷凍室
14A~18A 行き風路
14B~18B 戻り風路
20 背壁構造体
24 冷却器
26 除霜ヒーター
123 野菜室(貯蔵室)戻りダクト
125 冷気吸込み口
201 前面カバー
202 ヒーター
202A 電熱線
203 保護シート
204 真空断熱材
205 第1中間カバー
206 成形断熱材
207 第2中間カバー
208 第3中間カバー
209 後面カバー
224 冷却室
303 ドレンパン
307 ガイド部材
320 野菜室(貯蔵室)ダンパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7