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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】洗濯機及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 15/02 20060101AFI20240906BHJP
   D06F 33/36 20200101ALI20240906BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
D06F15/02
D06F33/36
D06F35/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020501730
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2019005541
(87)【国際公開番号】W WO2019163667
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018028418
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀端 裕司
(72)【発明者】
【氏名】西村 誠
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】伊藤 秀行
【審判官】窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016332(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F15/02
D06F35/00
D06F33/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、
それぞれが、前記被洗浄物の押圧及び前記押圧の解除を行う、複数の押圧部と、
前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる前記被洗浄物の押圧を解除する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の他の少なくとも一つによる前記被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う、
洗濯機。
【請求項2】
前記複数の押圧部は、第1の押圧部及び第2の押圧部を含み、
前記制御部は、
前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部により前記被洗浄物を押圧させた状態から前記第1の押圧部による前記被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う第1押圧動作、及び、
前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部により前記被洗浄物を押圧させた状態から前記第2の押圧部による前記被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う第2押圧動作の少なくともいずれかを行う、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1押圧動作及び前記第2押圧動作を交互に行う、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1押圧動作及び前記第2押圧動作の少なくともいずれかを、複数回連続して行う、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1押圧動作又は前記第2押圧動作を行う前の準備工程において、
前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部により、同時に前記被洗浄物を押圧させる、請求項2~4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1押圧動作又は前記第2押圧動作を行う前の準備工程において、
前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部のいずれか一方により前記被洗浄物を押圧させた後、前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部の、他方により前記被洗浄物を押圧させる、
請求項2~4のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記洗浄槽に洗浄水を給水する給水弁をさらに有し、
前記制御部は、
前記複数の押圧部の少なくともいずれか一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記給水弁を開放する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記複数の押圧部を、膨張、及び、収縮させる、加圧減圧部をさらに有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記加圧減圧部は、
加圧ポンプと、
前記複数の押圧部と前記加圧ポンプとを連通する連通部と、
前記連通部に設けられた開閉弁と、
を有する、
請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記複数の押圧部が前記被洗浄物を押圧する押圧力を検知する押圧検知部をさらに有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の洗濯機。
【請求項11】
被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、
前記被洗浄物を押圧する複数の押圧部と、
前記複数の押圧部を膨張させる加圧ポンプと、前記加圧ポンプと前記複数の押圧部とを連通して接続する連通部と、前記連通部を開閉する開閉弁と、を有する加圧減圧部と、
前記被洗浄物の洗い工程において、前記複数の押圧部の少なくとも一つを膨張させて前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の、他の少なくとも一つを膨張及び減縮させて前記被洗浄物の押圧及び前記押圧の解除を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記洗い工程において、前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の他の少なくとも一つによる前記被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う、
洗濯機。
【請求項12】
被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、
それぞれが、前記被洗浄物の押圧及び前記押圧の解除を行う、複数の押圧部と、
前記複数の押圧部を制御する制御部と、
を有する洗濯機における洗浄方法であって、
前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させる工程と、
前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる前記被洗浄物の押圧を解除する工程と、
を含み、
前記複数の押圧部の少なくとも一つにより前記被洗浄物を押圧させた状態で、前記複数の押圧部の他の少なくとも一つによる前記被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う、
洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類等の洗濯物を洗う洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯機としては、衣類等の洗濯物を回転槽の内部で撹拌して洗う、所謂縦型洗濯機がある。また、回転槽の内部において、洗濯物を回転槽の回転方向へ持ち上げて上方から落下させて叩き洗いする、所謂ドラム式洗濯機がある。これらの洗濯機はいずれも、洗濯物に機械力を作用させて、洗濯物を揉むようにしたり、洗濯物を擦り合わせるようにしたりして洗うため、洗濯物が傷みやすい。そのため、特に、布傷みが生じ易い洗濯物、及び、洗濯物同士が絡んで引っ張られることにより型崩れしやすい洗濯物は、手洗いによって押し洗いされるのが一般的である。また、洗濯物に機械力が激しく作用しないようにして洗濯物を洗う洗濯機についても、種々考えられている。
【0003】
一例として、洗濯物を収容する小型槽に、可動の洗濯作用部材を配置させた洗濯機が考えられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1においては、洗濯用部材を往復運動させることにより、洗濯物に押圧作用及び弛緩作用を繰り返し与えて洗濯することが考えられている。
【0004】
特許文献1に記載された従来の洗濯機は、図8に示されるように、小型槽51を有する。小型槽51は、洗濯物が載置される、網又は格子状の棚52と、洗濯物に押圧作用及び弛緩作用を与える、網又は格子状の板で構成される洗濯作用部材53と、を備えている。洗濯作用部材53は、モータ54及び偏心カム55等から構成される。洗濯作用部材53は、軸56を介して、洗濯作用部材53を往復運動させる往復運動発生装置57に連結されている。洗濯作用部材53及び往復運動発生装置57は、回転軸58の周りに回転させることができる。
【0005】
セータ等の洗濯物が洗われるときは、折り畳まれた洗濯物が棚52に載置される。洗濯作用部材53が回動されて洗濯物の上に重ねられた後、制御部59は、小型槽51への給水を行う。そして、制御部59は、モータ54を駆動させて洗濯作用部材53を軸56とともに振り動かせ、洗濯物に押圧作用及び弛緩作用を繰り返し与えて洗濯を行う。
【0006】
特許文献1に記載された従来の洗濯機は、軸を中心とした洗濯用部材53の回動によって、洗濯物が押圧される。このため、洗濯物が、弾力性に富み、押圧された場合の変形量の大きいニット等である場合には、洗濯物の形を整えた状態で洗濯を行うことができる。しかしながら、洗濯物が、吸水性が低く、かつ、比重の小さい薄手の化繊ブラウス等の場合、洗浄水の中で洗濯物が浮遊するため、軸を中心とした洗濯用部材53の回動による押し洗いでは、洗濯物を押圧して動きを抑制しながら洗うことができない。また、洗濯物は、洗濯中の押し洗いにより発生する水流によって、当初セットされた場所から移動するため、洗濯物が偏った状態で押圧されることとなり、大きな押圧力によって洗濯物が型崩れする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭57-175394号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示は、被洗浄物が浮遊することを抑制し、被洗浄物に対して的確に押圧力を作用させ、被洗浄物の布傷み及び型崩れ等を抑えて洗濯を行うことができる洗濯機を提供する。
【0009】
本開示の一態様に係る洗濯機は、被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、それぞれが、被洗浄物の押圧及び押圧の解除を行う、複数の押圧部と、複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧を解除する制御部と、を有し、制御部は、複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う
【0010】
これによって、洗濯中に発生する水流によって被洗浄物が浮遊することを抑制して、セットされた場所からの移動を抑制できる。従って、被洗浄物に対して的確に押圧力を作用させることができる。これにより、被洗浄物の布傷み及び型崩れを抑えることができる。また、被洗浄物の内部に水流を発生させることができ、被洗浄物に対する洗浄効果を高めることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る洗浄方法は、被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、それぞれが、被洗浄物の押圧及び押圧の解除を行う、複数の押圧部と、複数の押圧部を制御する制御部と、を有する洗濯機における洗浄方法であって、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させる工程と、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧を解除する工程と、を含み、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う、洗浄方法である。
【0012】
これにより、被洗浄物の浮遊を抑制することができ、被洗浄物を、撹拌することなく洗浄することができる。従って、被洗浄物の布傷み及び型崩れを抑えて、洗浄効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の実施の形態1における洗濯機の要部の断面図である。
図2図2は、同実施の形態1における洗濯機について、蓋体を開いた状態を示す、要部の断面図である。
図3図3は、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作を示す図である。
図4A図4Aは、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作を示す他の図である。
図4B図4Bは、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作を示す他の図である。
図4C図4Cは、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作を示す他の図である。
図5図5は、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作を示すタイムチャートである。
図6図6は、同実施の形態1における洗濯機の洗い工程での動作の他の例を示すタイムチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態2における洗濯機の洗い工程での動作を示すタイムチャートである。
図8図8は、従来の洗濯機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の一態様に係る洗濯機は、被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、それぞれが、被洗浄物の押圧及び押圧の解除を行う、複数の押圧部と、複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧を解除する制御部と、を有し、制御部は、複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う
【0015】
これにより、被洗浄物が、比重の軽い、薄手のブラウス等であっても、浮遊することなく、セットされた場所からの移動を抑制することができる。また、洗浄槽の内部で広げられた被洗浄物の複数の部分に対して押圧することができる。このため、被洗浄物を撹拌することなく洗浄することができ、布傷み及び型崩れを抑えて、洗浄効果を高めることができる。また、複数の押圧部を有することにより、被洗浄物が洗浄槽の内部に配置された際に、被洗浄物の厚みが異なる部分が存在しても、被洗浄物を確実に押圧することができる。
【0016】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、複数の押圧部が、第1の押圧部及び第2の押圧部を含み、制御部は、第1の押圧部及び第2の押圧部により被洗浄物を押圧させた状態から第1の押圧部による被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う第1押圧動作、及び、第1の押圧部及び第2の押圧部により被洗浄物を押圧させた状態から第2の押圧部による被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う第2押圧動作の少なくともいずれかを行うように構成されてもよい。
【0017】
これにより、被洗浄物を撹拌することなく洗浄することができ、布傷み及び型崩れを抑えて、洗浄効果を高めることができる。
【0018】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、制御部が、第1押圧動作及び第2押圧動作を交互に行うように構成されてもよい。
【0019】
これにより、第1の押圧部及び第2の押圧部によって被洗浄物が圧縮され、被洗浄物中に含まれる空気の被洗浄物外への排出が促進される。従って、被洗浄物の浮遊による移動、及び、それにより発生する型崩れを防止することができる。
【0020】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、制御部が、第1押圧動作及び第2押圧動作の少なくともいずれかを、複数回連続して行うように構成されてもよい。
【0021】
これにより、被洗浄物の浮遊を抑制しつつ、被洗浄物の内部における多方向の水流の発生を促進することができ、押し洗いによる洗浄効果を高めることができる。
【0022】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、制御部が、第1押圧動作又は第2押圧動作を行う前の準備工程において、第1の押圧部及び第2の押圧部により、同時に被洗浄物を押圧させるように構成されてもよい。
【0023】
これにより、準備工程において、第1の押圧部及び第2の押圧部によって同時に被洗浄物を押圧することで、被洗浄物を確実に押圧することができる。従って、被洗浄物の浮遊による移動、及び、それにより発生する型崩れを防止することができる。
【0024】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、制御部が、第1押圧動作又は第2押圧動作を行う前の準備工程において、第1の押圧部及び第2の押圧部のいずれか一方により被洗浄物を押圧させた後、第1の押圧部及び第2の押圧部の、他方により被洗浄物を押圧させるように構成されてもよい。
【0025】
これにより、被洗浄物中に含まれる空気を効率よく被洗浄物外に排出することができる。すなわち、被洗浄物内の空気が被洗浄物外に排出される際の空気の移動距離を短くできる。従って、空気の残留を抑制し、被洗浄物の浮遊による移動、及び、それにより発生する型崩れを効率よく防止することができる。
【0026】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、洗浄槽に洗浄水を給水する給水弁をさらに有し、制御部は、複数の押圧部の少なくともいずれか一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、給水弁を開放するように構成されてもよい。
【0027】
これにより、給水時の水流による被洗浄物の浮遊を抑制することができ、浮遊による移動、及び、それにより発生する型崩れを防止することができる。また、給水が行われる前に、被洗浄物内に含まれる空気を排出することができるため、洗剤を含む洗浄水が被洗浄物内に浸透する時間が速められる。従って、より短い時間で所定の洗浄性能を得ることができる。
【0028】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、複数の押圧部を、膨張、及び、収縮させる、加圧減圧部をさらに有してもよい。
【0029】
これにより、複数の押圧部による被洗浄物の押圧及び押圧の解除を確実に行うことができる。
【0030】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、加圧減圧部が、加圧ポンプと、複数の押圧部と加圧ポンプとを連通する連通部と、連通部に設けられた開閉弁と、を有してもよい。
【0031】
これにより、複数の押圧部による被洗浄物の押圧及び押圧の解除を確実に行うことができる。
【0032】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、複数の押圧部が被洗浄物を押圧する押圧力を検知する押圧検知部をさらに有してもよい。
【0033】
これにより、被洗浄物を所定の押圧力で押圧させて、被洗浄物を洗浄槽の底部に対して確実に押圧することができる。従って、被洗浄物が、押圧時の水流によって浮遊することを回避して、被洗浄物の型崩れを防止することができる。
【0034】
本開示の他の一態様に係る洗濯機は、被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、被洗浄物を押圧する複数の押圧部と、複数の押圧部を膨張させる加圧ポンプ、加圧ポンプと複数の押圧部とを連通して接続する連通部、連通部を開閉する開閉弁、を有する加圧減圧部と、被洗浄物の洗い工程において、複数の押圧部の少なくとも一つを膨張させて被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の、他の少なくとも一つを膨張及び減縮させて被洗浄物の押圧及び押圧の解除を行う制御部と、を有し、制御部は、洗い工程において、複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う
【0035】
これにより、被洗浄物の浮遊を抑制することができ、被洗浄物を、撹拌することなく洗浄することができる。従って、被洗浄物の布傷み及び型崩れを抑えて、洗浄効果を高めることができる。
【0036】
本開示の一態様に係る、洗濯機の洗浄方法は、被洗浄物及び洗浄水を収容する洗浄槽と、それぞれが、被洗浄物の押圧及び押圧の解除を行う、複数の押圧部と、複数の押圧部を制御する制御部と、を有する洗濯機における洗浄方法であって、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させる工程と、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の、他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧を解除する工程と、を含み、
複数の押圧部の少なくとも一つにより被洗浄物を押圧させた状態で、複数の押圧部の他の少なくとも一つによる被洗浄物の押圧の解除及び押圧を行う押圧動作を複数回行う、洗浄方法である。
【0037】
これにより、被洗浄物の浮遊を抑制することができ、被洗浄物を、撹拌することなく洗浄することができる。従って、被洗浄物の布傷み及び型崩れを抑えて、洗浄効果を高めることができる。
【0038】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
【0039】
(実施の形態1)
[1-1.全体構成]
図1は、本開示の実施の形態1における洗濯機の要部の断面図である。図2は、本実施の形態における洗濯機について、蓋体を開いた状態を示す、要部の断面図である。
【0040】
図1に示すように、洗濯機1は、下部の水槽部6と、上部の蓋体5とを有する。また、洗濯機1は、制御部26と、操作表示部27と、を有する。
【0041】
水槽部6は、所定の深さを有する洗浄槽4を備えている。本実施の形態では、洗浄槽4は、方形状に形成されている。洗浄槽4の上面には開口部3が形成されている。衣類等の洗濯物(以下、被洗浄物2という)は、開口部3から出し入れされる。
【0042】
蓋体5は、洗浄槽4の開口部3を開閉する。蓋体5は、水槽部6の上辺の後縁に、ヒンジ部6aによって、矢印R1の方向(図2参照)に回動自在となるように、取り付けられている。
【0043】
洗浄槽4には、被洗浄物2が収容される。被洗浄物2は、使用者によって、形が整えられた状態で洗浄槽4の底部4aに載置される。本実施の形態の洗濯機1において、被洗浄物2は、機械力が作用する一般的な洗濯機で洗われると、型崩れしたり、痛みやすいものであったりする場合に有効である。このような被洗浄物2は、例えば、比重の軽い薄手の化繊ブラウス、セーター及びカーディガン等の毛織物、並びに、極細の繊維で作られたデリケートな素材のスカーフ等である。
【0044】
蓋体5の前面には、ハンドル5aが設けられている。使用者がハンドル5aを持って矢印R1の方向へ回動させることにより、蓋体5によって開口部3が開閉される。また、蓋体5は、開いた状態で保持されるように構成されている。蓋体5は、開口部3が閉じられると、ロック装置(図示せず)により施錠され、閉じた状態に保持される。また、蓋体5を開くときは、使用者がハンドル5aを操作する。これにより、ロック装置が解錠される。
【0045】
蓋体5の内側には、複数の押圧部8(例えば、2つの押圧部8a,8b)が設けられている。詳細については、後述する。
【0046】
図2に示すように、洗浄槽4の開口部3の周縁部の上面には、パッキン15が設けられている。パッキン15は、中空状に形成されており、変形自在となっている。蓋体5には、洗浄槽4の開口部3の周縁部に対向する位置に、シール部15aが設けられている。蓋体5が閉じられた際に、パッキン15とシール部15aとが密接する。これにより、蓋体5が閉じられると、開口部3の周縁部は水密状態となる。従って、洗い工程、すすぎ工程、及び脱水工程等の各工程の実行中に、水及び空気が、開口部3から洗浄槽4の外部に漏れることが回避される。
【0047】
図1に示すように、蓋体5には、洗浄槽4に洗浄水を供給する給水経路16が設けられている。給水経路16には給水弁17が設けられている。給水経路16は、洗剤ケース18を介して洗浄槽4の内部に連通している。これにより、給水口16aから洗浄槽4の内部に水道水(洗浄水)が給水される。給水弁17が開閉されることにより、給水とその停止が行われる。
【0048】
また、図1に示すように、洗濯機1には、洗浄槽4内の水位を検知する水位検知部19が、洗浄槽4の内部と連通するように設けられている。水位検知部19は、上方に開口部を有する水位検知槽20と、水位検知槽20内の水位の変動に応じて上下に動くフロート21と、フロート21が所定の位置まで上昇したことを検知する水位スイッチ21aと、を有している。
【0049】
洗浄槽4の底部4aには、洗い工程等で使用された洗浄水を排出するための排水孔22が形成されている。排水孔22は、排水経路24に連通している。排水経路24には、排水弁23が設けられている。排水弁23が開閉されることにより、洗浄槽4の内部の洗浄水の排水とその停止が行われる。
【0050】
また、水槽部6には、洗浄槽4の内部の水位が所定以上になったときに、洗浄槽4の内部の洗浄水を外部に排水するための溢水経路25が設けられている。溢水経路25は、洗浄槽4の上部において洗浄槽4内に向けて開口する、溢水孔25aを有する。溢水経路25は、排水弁23の下流側において、排水経路24と接続されている。
【0051】
制御部26は、蓋体5に設けられている。より具体的には、制御部は、図1に示すように、蓋体5の内部における側面部に設けられている。また、操作表示部27は、蓋体5の上面に、使用者によって操作可能に配置されている。より具体的には、操作表示部27は、制御部26の上部に設けられている。制御部26は、加圧ポンプ10、排出弁11、開閉弁12、給水弁17及び排水弁23等の動作を制御して、洗い工程、すすぎ工程、及び脱水工程等を実行し、洗濯機1による洗濯運転を制御する。
【0052】
[1-2.押圧部の構成]
本実施の形態においては、図1に示されるように、複数の押圧部8は、押圧部8a,8bを含む。これらの押圧部8a,8bは、蓋体5の内側に、並べて設けられている。本実施の形態では、押圧部8が膨張及び収縮することにより、被洗浄物2の押圧及び押圧の解除が行われる例を示している。
【0053】
図1に示すように、洗濯機1は、加圧減圧部7を有する。本実施の形態では、複数の加圧減圧部7(7a,7b)が設けられている。加圧減圧部7(7a,7b)は、加圧ポンプ10と、連通部9と、排出弁11(11a,11b)と、開閉弁12(12a,12b)と、を有する。加圧ポンプ10は、押圧部8(8a,8b)の内部に気体又は液体等の流体を供給する。排出弁11aを介して、一方の押圧部8aの内部の流体が外部に排出される。また、排出弁11bを介して、他方の押圧部8bの内部の流体が外部に排出される。
【0054】
なお、本実施の形態では、押圧部8(8a,8b)の内部に供給される流体が空気であるものとして説明するが、もちろん流体は空気に限られない。
【0055】
加圧ポンプ10は、連通部9及び開閉弁12(12a,12b)を介して押圧部8(8a,8b)と連通している。
【0056】
押圧部8は、例えば、ゴム又は合成樹脂等によって形成されている。また、押圧部8は蛇腹状に形成されており、伸縮自在である。押圧部8は、可撓性を有し、袋状、すなわち内部が中空に構成されている。
【0057】
押圧部8(8a,8b)は、蓋体5の洗浄槽4側に取り付けられている。押圧部8(8a,8b)は、膨張及び収縮することによって伸縮自在な構成である。これにより、押圧部8(8a,8b)は、洗浄槽4の底部4aに収容された被洗浄物2の押圧及び押圧の解除を行うことができるように構成されている。押圧部8(8a,8b)は、被洗浄物2を押圧する押圧面81(81a,81b)と、蛇腹状の伸縮部82(82a,82b)と、を有する。また、押圧部8(8a,8b)は、押圧面8(81a,81b)が洗浄槽4の底部4aに届く程度まで伸長可能に構成されている。
【0058】
連通部9(9a,9b)は、ゴム又は合成樹脂等で形成された、可撓性を有するホースで構成されている。連通部9(9a,9b)は、加圧ポンプ10と、押圧部8(8a,8b)と、を連通接続している。加圧ポンプ10と押圧部8aを繋ぐ連通部9aに開閉弁12aが設けられ、加圧ポンプ10と押圧部8bを繋ぐ連通部9bに開閉弁12bが設けられている。
【0059】
また、図3に示すように、洗濯機1は押圧検知部13を有する。押圧検知部13は、押圧部8が被洗浄物2を押圧する押圧力を検知する。本実施の形態では、押圧検知部13(13a,13b)は、押圧部8(8a,8b)の内部圧力を検知することにより、押圧部8(8a,8b)が膨張して被洗浄物2を押圧する押圧力を検知する。
【0060】
また、加圧減圧部7(7a,7b)は、解放弁14(14a,14b)を有する。解放弁14(14a,14b)は、押圧部8(8a、8b)の内部の圧力が高くなって所定値を超えると、当該圧力を開放して、押圧部8(8a,8b)の内部に供給された流体を外部へ排出する、定圧開放弁である。これにより、押圧部8(8a,8b)が所定の圧力を超えて加圧されることが防止される。
【0061】
[1-3.動作]
以上のように構成された洗濯機1について、以下その動作及び作用を説明する。
【0062】
使用者が蓋体5の上面前部に設けられた操作表示部27を操作することにより、運転コース及び洗濯運転の各工程の時間等が設定され、当該設定内容が制御部26に入力される。制御部26は、設定内容に基づいて、洗い工程から脱水工程までの工程を一連の動作として実行する。使用者は、洗い工程のみを実行させる等、洗濯機に実行させる動作を任意に選択することができる。なお、この使用者による設定作業は、被洗浄物2を洗浄槽4内にセットした後に行われてもよい。
【0063】
使用者は、ハンドル5aを操作して解錠した後、蓋体5を開いて被洗浄物2を洗浄槽4内にセットする。このとき、被洗浄物2は、洗浄槽4内の底部4aに、形が整えられて、押圧面81(81a,81b)と対向するように広げられて、セットされる。被洗浄物2の大きさによっては、被洗浄物2は折り畳んでセットされてもよい。
【0064】
被洗浄物2のセットが完了し、蓋体5が閉じられて施錠された後、操作表示部27に設けられたスタートボタン(図示せず)が操作されると、制御部26は、設定された運転コースに基づいて運転を開始する。
【0065】
[1-3-1.洗い工程]
図3は、本実施の形態における洗濯機の洗い工程の動作を示す図である。図4A図4Cは、本実施の形態における洗濯機の洗い工程の動作を示す他の図である。図5は、本実施の形態における洗濯機の洗い工程での動作を示すタイムチャートである。
【0066】
洗濯運転においては、最初に洗い工程が実行される。洗い工程においては、準備工程、給水工程、及び押圧工程がこの順に実行される。準備工程は、被洗浄物2が動かないように被洗浄物2を拘束する工程である。これにより、被洗浄物2は、セットされた場所からの移動が抑制される。給水工程は、洗浄槽4内に洗浄水が給水される工程である。押圧工程は、被洗浄物2が押し洗いされる工程である。
【0067】
なお、図5及び、後述の図6及び図7において、2つの押圧部8a及び押圧部8bにそれぞれ対応する、排出弁11(11a,11b)、開閉弁12(12a,12b)、押圧力、及び押圧部8(8a,8b)の状態であることを示すために、左側の列の末尾に(a)又は(b)が記載されている。また、図5図7中の、「膨張」及び「収縮」は、それぞれ、押圧部8(8a,8b)による被洗浄物2の「押圧」及び「押圧の解除」を意味している。
【0068】
まず、準備工程において、図5に示されるように、押圧部8a(第1の押圧部)及び押圧部8b(第2の押圧部)により、被洗浄物2が押圧される。具体的には、制御部26は、排出弁11a,11bを閉止、すなわち閉状態とする(T500)。制御部26は、同時に、開閉弁12a,12bを開放、すなわち開状態とし、加圧ポンプ10を駆動する(T500)。これにより、加圧ポンプ10からの空気が開状態の開閉弁12a,12bを通り、連通部9a,9bを通じて押圧部8a,8bの内部に供給される。
【0069】
これにより、図3に示すように、押圧部8a(第1の押圧部)が膨張(矢印A1)するとともに、押圧部8b(第2の押圧部)が膨張(矢印B1)する。このとき、伸縮部82a,82bが被洗浄物2に向かって伸長する。そして、被洗浄物2は、押圧面81a,81bによって、洗浄槽4の底部4aに対して押圧される(T501)。
【0070】
押圧部8a,8bの膨張に伴う、押圧部8a,8bの内部の圧力の上昇、すなわち、押圧部8a,8bによる押圧力は、それぞれ押圧検知部13a,13bによって検知される。
【0071】
制御部26は、準備圧力P1(押圧力)に上昇するまで加圧ポンプ10を駆動させる。P1は、被洗浄物2が、洗浄水中で押圧部8a、8bによる押圧を受けて圧縮されて、平面方向(本実施の形態では、上下方向)の動きが拘束される状態となる際の圧力である。押圧部8a,8bの内部の圧力が準備圧力P1まで上昇すると、制御部26は加圧ポンプの駆動を停止させる(T502)。また、制御部26は、同時に、開閉弁12a,12bを閉止、すなわち閉状態とする(T502)。このとき、押圧部8a,8bは膨張した状態であり、押圧部8a,8bの内部の圧力は、準備圧力P1に維持される。また、被洗浄物2は、押圧面81a,81bにより押圧されており、洗浄槽4の底部4aにセットされた状態で保持される。
【0072】
次に、給水工程が実行される(T502)。給水工程において、被洗浄物2は洗浄槽4の底部4aに押圧された状態である。制御部26は、図1に示す給水弁17を開放、すなわち開状態とする(T502)。洗剤は、洗剤ケース18に予め投入されている。これにより、水道水及び洗剤が、洗浄水として、給水経路16を通して給水口16aから洗浄槽4の内部に供給される。
【0073】
洗浄槽4内に供給された洗浄水は、徐々に被洗浄物2に浸透し、被洗浄物2の繊維の間に含まれた状態、すなわち洗浄水が被洗浄物2の繊維の間に存在している状態となる。洗浄水が洗浄槽4の内部の所定の水位まで供給されると、水位検知部19の水位スイッチ21aが動作する。制御部26は、水位検知部19により洗浄水が所定の水位まで供給されたことを検知すると、給水弁17を閉止、すなわち閉状態とする(T503)。ここで、所定の水位とは、例えば、使用者が操作表示部27により入力することで設定される水位、又は、制御部26が被洗浄物2の量に基づいて計算して設定した水位であってもよい。
【0074】
給水時において、被洗浄物2は押圧部8a,8bによって押圧力P1で押圧されている。このため、洗浄槽4内に洗浄水が供給される際の水流によって被洗浄物2が流されたり、浮遊したりすることが抑制される。従って、被洗浄物2は、洗浄槽4の底部4aにセットされた場所からの移動が抑制される。
【0075】
なお、被洗浄物2が、複数の押圧部8のうちの一部の押圧部8で押圧される場合は、給水口16aに近い押圧部8bによって被洗浄物2が押圧されることが好ましい。すなわち、被洗浄物2は、少なくとも給水口16aに近い部分が押圧されている状態であることが好ましい。これにより、給水口16aから供給される洗浄水の水流による、被洗浄物2の移動が防止される。また、給水口16aに近い部分において被洗浄物2は広い範囲で押圧されることが、より好ましい。
【0076】
次に、図5に示すように、押圧工程が実行される(T503)。制御部26は、複数の押圧部8の少なくとも一つにより被洗浄物2を押圧させた状態で、複数の押圧部8の、他の少なくとも一つによる被洗浄物2の押圧を解除する。
【0077】
具体的には、押圧工程において、制御部26は、まず、排出弁11bを開放、すなわち開状態とする(T503)。これにより、図4Aに示されるように、押圧部8b内部の空気が排出弁11bから排出されて押圧部8bが収縮(矢印B2)し、押圧部8bの押圧面81bは被洗浄物2から離れる。すなわち、被洗浄物2は、押圧部8a,8bによって押圧されている状態から、押圧部81bによる押圧力が解放され、押圧部8bによる押圧が解除される(T504)る。このとき、被洗浄物2は、押圧部8aによって準備圧力P1で押圧されている状態であり、加圧ポンプ10は停止している。
【0078】
その後、制御部26は、再び排出弁11bを閉止し、開閉弁12bを開放する(T505)。また、制御部26は、加圧ポンプ10を駆動させる(T505)。これにより、図4Bに示されるように、押圧部8bが膨張(矢印B3)する。そして、押圧部8bの内部の圧力が、切換圧力P2(押圧力)に到達すると、制御部26は排出弁11aを開放、すなわち開状態とする(T506)。
【0079】
ここで、切換圧力P2は、被洗浄物2が、洗浄水中で押圧部8による押圧によって圧縮を受けて平面方向の動きが拘束される圧力、すなわち、被洗浄物2が押圧部8により押圧された状態となる圧力である。言い換えると、P2は、押圧部8による押圧及び押圧の解除の状態が切り換わる圧力である。すなわち、押圧力がP2以上の場合は、被洗浄物2が押圧部8によって押圧されて移動しない状態であり、押圧力がP2よりも小さい場合は、押圧部8による押圧が解除されている状態である。
【0080】
T506において排出弁11aが開状態になると、押圧部8a内部の空気が排出弁11aから排出可能となり、押圧部8aが収縮(矢印A2)可能となる。このとき、被洗浄物2は、押圧部8bによって押圧されている状態である。なお、準備圧力P1及び切換圧力P2は、同じ値であってもよい。
【0081】
これにより、押圧部8b内に空気が供給され、押圧部8bが膨張するとともに、図4Bに示されるように、伸縮部82bが伸長する。そして、押圧部8bが被洗浄物2に向かって伸びると、押圧部8bの下方の被洗浄物2は、押圧面81bで押圧された部分が圧縮されて厚みが薄くなる。
【0082】
図4Bに示されるように、押圧部8bの膨張(矢印B3)により、被洗浄物2が圧縮されて体積変化する。これに伴い、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水は、被洗浄物2から押し出される。これによって、被洗浄物2の内部で水流が発生する。被洗浄物2に付着していた汚れは、その水流により繊維から離れ、被洗浄物2から除去される。
【0083】
また、被洗浄物2が圧縮されると、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水は、被洗浄物2の内部において、押圧部8bの下方から押圧部8aの下方へ向かう。すなわち、洗浄水は、矢印C1で示される方向に沿って移動し、矢印C1で示される、洗浄水による水流が発生する。そして、このように押圧部8bの下方から押圧部8aの下方に向けて移動する洗浄水は、押圧部8aの下方の被洗浄物2を膨張させながら押圧部8aの押圧面81aを上方へ押し上げる。押圧部8aの押圧面81aが上方へ押し上げられることで、開放されている排出弁11aから空気が排出されて、押圧部8aが収縮(矢印A2)する。そして、押圧部8aによる押圧力がP2まで減少すると、押圧部8aによる被洗浄物2の押圧が解除された状態となる(T507)。
【0084】
押圧部8aの内部の圧力が開放圧力P0に到達すると、制御部26は、再び、排出弁11aを閉止するとともに開閉弁12aを開放し、押圧部8aと加圧ポンプ10とを連通させる(T508)。また、制御部26は、開閉弁12bを閉止する(T508)。これにより、押圧部8aが膨張される。そして、制御部26は、押圧部8aによる押圧力が切換圧力P2に到達すると、すなわち、被洗浄物2が押圧部8aにより押圧された状態となると、排出弁11bを開放し、押圧部8bを収縮可能にする(T509)。
【0085】
これにより、図4Cに示されるように、押圧部8a内に空気が供給されて、押圧部8aが膨張(矢印A3)するとともに、伸縮部82aが伸長する。そして、押圧部8aが被洗浄物2に向かって伸びると、押圧部8aの下方の被洗浄物2は、押圧面81aで押圧された部分が圧縮されて厚みが薄くなる。
【0086】
押圧部8aの膨張(矢印A3)により、被洗浄物2が圧縮されて体積変化する。これに伴い、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水は、被洗浄物2から押し出される。これによって、被洗浄物2の内部で水流が発生する。被洗浄物2に付着していた汚れは、その水流により被洗浄物2の繊維から離れ、被洗浄物2から除去される。
【0087】
また、被洗浄物2が圧縮されると、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水は、被洗浄物2の内部において押圧部8aの下方から押圧部8bの下方へ向かうように、矢印C2で示される方向に沿って移動する(図4C参照)。すなわち、矢印C2で示される、洗浄水による水流が発生する。そして、押圧部8aの下方から押圧部8bの下方に向けて移動する洗浄水は、押圧部8bの下方の被洗浄物2を膨張させながら押圧部8bの押圧面81bを上方へ押し上げる。押圧部8bの押圧面8cが上方へ押し上げられることで、開放されている排出弁11bから空気が排出されて押圧部8bが収縮(矢印B4)する。そして、押圧部8bによる押圧力がP2まで減少すると、押圧部8bによる被洗浄物2の押圧が解除された状態となる(T510)。
【0088】
ここで、上述した、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bにより被洗浄物2を押圧させた状態から第1の押圧部8aによる被洗浄物2の押圧の解除及び押圧を行う動作を、「第1押圧動作」とする。具体的には、「第1押圧動作」のときに第1の押圧部8aが収縮する。
【0089】
また、上述した、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bにより被洗浄物2を押圧させた状態から第2の押圧部8bによる被洗浄物2の押圧の解除及び押圧を行う動作を、「第2押圧動作」とする。具体的には、「第2押圧動作」のときに第2の押圧部8bが収縮する。
【0090】
本実施の形態では、上述のように、押圧工程において、押圧部8a(第1の押圧部)及び押圧部8b(第2の押圧部)が、それぞれ異なるタイミング(本実施の形態では交互)において、膨張及び収縮をする。すなわち、第1押圧動作及び第2押圧動作が交互に行われる。言い換えると、第1押圧動作と第2押圧動作とが排他的に行われる。
【0091】
また、本実施の形態の例では、第1押圧動作及び第2押圧動作が繰り返される。膨張及び収縮のタイミングとしては、例えば、押圧部8aの膨張による加圧が1秒間、押圧部8bの収縮による減圧が1秒間行われる。また、押圧部8bによる加圧及び減圧が所定時間の間(例えば、10分)繰り返される。これにより、被洗浄物2に対する押し洗いが行われ、被洗浄物2の洗浄効果を向上することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、第1押圧動作及び第2押圧動作が、交互で、ともに行われる場合について説明したが、第1押圧動作及び第2押圧動作のすくなくともいずれかが行われる構成であってもよい。これにより、被洗浄物2が移動することを抑制しつつ、被洗浄物2の部分的な押し洗いを行うことができる。
【0093】
なお、本実施の形態では、2つの押圧部8(8a,8b)について説明したが、複数の押圧部8(例えば3つ以上)の少なくとも一つの押圧部8により被洗浄物2を押圧させた状態で、複数の押圧部8の、他の少なくとも一つによる被洗浄物2の押圧の解除を行うように構成されていてもよい。すなわち、被洗浄物2は、洗い工程において、複数の押圧部8のうちのいずれかによって押圧されている状態であればよい。
【0094】
なお、複数の押圧部8のうち、少なくとも一つの押圧部8によって、常に被洗浄物2を押圧させる構成としてもよい。このとき、当該少なくとも一つの押圧部8は、被洗浄物2の動きを拘束可能な押圧力(本実施の形態では、切換圧力P2)以上で、被洗浄物2を押圧するように構成されていてもよい。これにより、被洗浄物2の浮遊を抑制することができる。すなわち、被洗浄物2に対して、撹拌又は叩き洗い等による機械力が作用することがない。そして、被洗浄物2の浮遊による移動を抑制しつつ、複数の押圧部の、他の少なくとも一つの押圧部を動作させることによって、被洗浄物2の内部に多方向の水流を発生させて、汚れを除去することができる。
【0095】
[1-3-2.すすぎ工程及び脱水工程]
洗い工程から脱水工程までを連続して実行する洗濯コースが設定された場合、制御部26は、洗い工程に続いて、すすぎ工程及び脱水工程を実行する。
【0096】
すすぎ工程では、例えば、排水動作、予備脱水動作の後、ためすすぎ動作が行われる。
【0097】
排水工程では、排水弁23が開放され、洗浄槽4の内部の洗浄水が排水経路24を介して洗濯機1の外部に排水される。
【0098】
予備脱水動作では、排水弁23が開放された状態で、排出弁11a、11bが閉じられて加圧ポンプ10が駆動される。これにより、被洗浄物2が押圧されて圧縮され、被洗浄物2が含んでいる洗浄水の一部が強制的に排水される。
【0099】
ためすすぎ動作では、給水弁17が開放され、洗浄槽4の内部に所定量の洗浄水(水道水)が供給される。その後、洗い工程と同様に、加圧ポンプ10が駆動され、押圧部8a,8bの膨張と収縮が異なるタイミングで繰り返される。本実施の形態では、第1押圧動作と第2押圧動作とが排他的に行われる。これにより、被洗浄物2の内部の洗浄水の洗剤濃度が希釈される。すすぎ工程では、このためすすぎ動作が複数回(例えば、2回)繰り返される。
【0100】
制御部26は、上述のすすぎ工程を実行した後、脱水工程を実行する。脱水工程では、排水弁23が開放され、洗浄槽4の内部の洗浄水が外部に排水される。その後、排水弁23が開放された状態において、排出弁11a,11bが閉じられて、加圧ポンプ10が駆動される。押圧部8a,8bが膨張することにより被洗浄物2が押圧されて圧縮され、被洗浄物2が含んでいる洗浄水の一部が強制的に排水される。これにより、被洗浄物2の脱水が行われる。
【0101】
[1-4.変形例]
図6は、本実施の形態における洗濯機の洗い工程の他の例の動作を示すタイムチャートである。
【0102】
図6に示す例では、準備工程において、第1の押圧部に被洗浄物2を押圧させた後に、給水とともに第2の押圧部に被洗浄物2を押圧させる構成である。そして、給水により洗浄水が所定の水位となるまでに、押圧工程を開始してもよい。
【0103】
なお、押圧工程における動作については、図5に示す場合と同様である。すなわち、制御部26は、押圧工程において、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bが被洗浄物2を押圧している状態から、第1の押圧部8aを収縮させた後に再び第1の押圧部8aを膨張させる(第1押圧動作)。また、制御部26は、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bによって被洗浄物2を押圧させた状態において、第2の押圧部8bを収縮させた後、再び第2の押圧部8bを膨張させる(第2押圧動作)。制御部26は、第1押圧動作と第2押圧動作とを交互に繰り返し行う。
【0104】
そして、被洗浄物2は、押圧工程において、第1押圧部8a及び第2押圧部8bの少なくともいずれかによって絶えず押圧されている。
【0105】
以下、図6を参照しながら説明する。
【0106】
図6に示されるように、制御部26は、準備工程において、排出弁11a,11bを閉止する(T600)。また、同時に、制御部26は、開閉弁12aを開放するとともに、開閉弁12bを閉止して、加圧ポンプ10を駆動させる(T600)。このとき、加圧ポンプ10から供給される空気が第1の押圧部8a内に移動し、第1の押圧部8aが膨張して伸縮部82aが伸長する。これにより、押圧面81aが被洗浄物2を押圧する(T601)。制御部26は、被洗浄物2が押圧部8aにより押圧された状態となると、給水弁17を開放して給水工程を開始する(T602)。
【0107】
このような構成により、準備工程での給水の開始前において、一方の押圧部のみを膨張させればよいため、1つの加圧ポンプ10により2つの押圧部8a,8bを膨張させる場合と比較して、給水までの時間が短くてすみ、結果として洗濯運転に必要な時間を短縮することができる。
【0108】
また、制御部26は、第1の押圧部8aが準備圧力P1に上昇したことを押圧検知部13aが検知するまで、開閉弁12aを開放して押圧部8aと加圧ポンプ10とを連通する(T602)。そして、制御部26は、開閉弁12aを閉止し、開閉弁12bを開放する(T602)。このとき、加圧ポンプ10は引き続き駆動されている。そして、加圧ポンプ10から供給される空気が第2の押圧部8b内に移動し、第2の押圧部8bが膨張して伸縮部82bが伸長する。そして、押圧面81bが被洗浄物2を押圧する(T603)。
【0109】
制御部26は、第2の押圧部8bが準備圧力P1となったことを押圧検知部13bが検知するまで、開閉弁12bを開放して押圧部8bと加圧ポンプ10とを連通する(T604)。
【0110】
その後、制御部26は、押圧工程において、図5に示す場合と同様に、押圧部8a及び押圧部8bの少なくともいずれか一方の押圧部8が切換圧力P2以上となるように、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bを制御する。
【0111】
具体的には、制御部26は、第2の押圧部8bによって被洗浄物2を押圧させた状態から第2の押圧部8bの押圧を解除させ(T605)、その後、第2の押圧部8bによって押圧させる(T607)、第2押圧動作を行う。また、制御部26は、第1の押圧部8aによって被洗浄物2を押圧させた状態から第1の押圧部8aによる被洗浄物2の押圧を解除させ(T608)、その後、第1の押圧部8aによって押圧させる(T610)、第1押圧動作を行う。
【0112】
図6に示すように、押圧部8a,8bによって、第1押圧動作と第2押圧動作とが交互に行われる。制御部26は、第1の押圧部8a及び2の押圧部8bの膨張及び収縮が交互に繰り返されるように押圧部8a,8bを制御する。このとき、図6に示すように、一方の押圧部8が膨張した後、他方の押圧部8が収縮する。また、他方の押圧部8が膨張した後、一方の押圧部8が収縮する。これにより、被洗浄物2の浮遊による移動を抑制して洗濯が行われる。このように、洗い工程において押圧工程が実行されることで被洗浄物2の洗浄効果が得られる。
【0113】
なお、給水工程について、制御部26は、洗浄水が洗浄槽4内に供給されて洗浄槽4の内部の所定の水位となるまで、給水弁17を開放する。そして、水位検知部19により所定の水位となったことが検知されると、制御部26は給水弁17を閉止する。
【0114】
図6において、給水弁17が閉止されるタイミングが便宜上設定されているが(T604)、上記理由により、給水弁17が閉止されるタイミングはこれに限られず、給水中に押圧工程が開始されてもよい。すなわち、給水を行いながら被洗浄物2の押圧を行うことが可能である。これにより、給水途中の、洗剤の濃度が高い洗浄水によって被洗浄物2の押し洗いをすることができるため、洗浄性能を向上することができる。
【0115】
なお、本実施の形態では、制御部26は、第1押圧動作と第2押圧動作とを交互に繰り返し行うものとして説明したが、第1押圧動作及び第2押圧動作の少なくともいずれかを行うものであってもよい。
【0116】
なお、本実施の形態では、押圧部8は、加圧減圧部7が作動することによって膨張及び収縮し、これにより被洗浄物2の押圧及び押圧の解除が行われる構成として説明した。しかしながら、押圧部8の構成はこれに限られない。例えば、押圧部8は、ステッピングモータ等によって上下に駆動されることで、被洗浄物2の押圧及び押圧の解除を行う構成であってもよい。
【0117】
なお、本実施の形態では、加圧減圧部7は、前述のように、可撓性を有する押圧部8の内部に流体を供給して押圧部8を膨張させる加圧ポンプ10と、押圧部8の内部の流体を排出して押圧部8を収縮させる排出弁11と、を含んで構成されている。しかし、加圧減圧部7は、当該構成に限られるものではなく、例えば、押圧部8を収縮させるための減圧が、排出弁11に代えて減圧ポンプ(図示せず)により行われてもよい。
【0118】
減圧ポンプが使用される場合は、押圧部8から排出される流体の量及び排出速度を制御することができる。従って、被洗浄物2がスカーフ等の弾力性に乏しい薄手のものであったり、又は、ニット等の弾力性に富む厚手のものであったりしても、被洗浄物2の状態に合わせて押圧部8の収縮を適切に行うことができ、安定した洗浄性能を実現することができる。
【0119】
また、本実施の形態では、加圧減圧部7が2つ(7a、7b)設けられ、2つの押圧部8(8a,8b)が交互に膨張及び収縮するように構成されている。しかし、加圧減圧部7の数はこれに限られず、3つ以上設けられていてもよい。そして、3つ以上の加圧減圧部7によって、押圧部8が、順次、膨張及び収縮して、それぞれ異なるタイミングで動作するように構成されてもよい。この場合、いずれのタイミングにおいても、少なくとも1つの押圧部8が、切換圧力P2以上で被洗浄物2を押圧するように構成される。すなわち、少なくとも1つの押圧部8が膨張し、切換圧力P2到達した時以降において、他の押圧部8が収縮するように構成される。なお、複数の押圧部8が膨張及び収縮する順序は、規則的及びランダムのいずれであってもよい。
【0120】
また、押圧部8の内部に供給されて押圧部8を膨張させる流体としては、気体及び液体のいずれが用いられてもよい。流体として気体が用いられる場合は、加圧ポンプ10等によって周囲の空気が吸気され、そのまま排気される構成とすればよく、洗濯機1を簡易な構成とすることが可能である。また、流体として液体が用いられる場合は、水、水溶液及びオイル等の少なくともいずれかを使用することができる。この際、加圧減圧部7には、使用される液体を溜める貯留部があることが望ましい。なお、液体は、空気より密度が高く、気体のように弾性が大きくない。このため、流体として液体が使用された場合には、押圧部8を確実に膨張させることができる。
【0121】
また、本実施の形態では、押圧部8(8a,8b)による押圧力を検知する押圧検知部13について、押圧部8(8a,8b)の内部圧力を検知することにより押圧力を検知する構成としたが、これに限られない。例えば、押圧面82に設けられた押圧検知部13により、押圧力を直接的に検知する構成であってもよい。
【0122】
[1-5.効果等]
本実施の形態の洗濯機は、被洗浄物2及び洗浄水を収容する洗浄槽4と、洗浄槽4内の被洗浄物2を押圧する複数の押圧部8と、加圧減圧部7と、加圧減圧部7を制御し洗濯運転を制御する制御部26と、を備える。
【0123】
加圧減圧部7は、押圧部8を膨張させる加圧ポンプ10と、加圧ポンプ10と押圧部8とを連通接続する連通部9と、連通部9を開閉する開閉弁12と、を有する。
【0124】
制御部26は、洗い工程において、複数の押圧部8のうちの少なくとも1つの押圧部8を膨張させて被洗浄物2を押圧している状態で、他の少なくとも1つの押圧部8による被洗浄物2の押圧及び押圧の解除を行うことにより、被洗浄物2を収縮及び膨張させる。これにより、被洗浄物2の内部に多方向の水流が発生する。
【0125】
このような構成により、被洗浄物2が、比重が軽く薄手のブラウス等であっても、押し洗いにより発生する水流によって被洗浄物2が浮遊することが抑制され、洗濯開始時にセットされた場所から移動することを抑制できる。また、洗浄槽4の内部で広げられた被洗浄物2の複数の部分に対して、交互又は順次等の、互いに異なるタイミングで押圧を行うことができる。従って、被洗浄物2が洗浄槽4の内部で撹拌されることがない。そして、被洗浄物2の内部にくまなく多方向の水流を発生させることができるため、被洗浄物2の布傷み及び型崩れ等を抑えつつ、被洗浄物2の洗浄効果を高めることができる。また、洗濯機1が複数の押圧部8を有することにより、洗浄槽4の内部で被洗浄物2の厚みが異なる部分が存在しても、これらの部分をそれぞれ確実に押圧し、押し洗いを行うことができる。
【0126】
また、本実施の形態の洗濯機1は、加圧減圧部7が、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bを備える。そして、制御部26は、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bを膨張させて被洗浄物2を押圧した状態から、第2の押圧部8bを収縮させた後に再び第2の押圧部8bを膨張させて被洗浄物2を押圧する第1押圧工程と、第1の押圧部8aを収縮させた後に再び第1の押圧部8aを膨張させて被洗浄物2を押圧する第2押圧工程と、を交互に繰り返し行うように構成されたものである。
【0127】
これにより、被洗浄物2全体が圧縮されることになり、被洗浄物2中に含まれる空気の被洗浄物2外への排出が促進される。従って、被洗浄物2の浮遊による移動、及び、被洗浄物2の移動により発生する型崩れを防止することができる。
【0128】
なお、制御部26は、第1の押圧部8aを膨張させて被洗浄物2を押圧した状態から、第2の押圧部8bを膨張させて被洗浄物2を押圧した後に、第1の押圧部8aを収縮させた後に再び膨張させて被洗浄物2を押圧する第1押圧工程と、第2の押圧部8bを収縮させた後に再び膨張させる第2押圧工程とを交互に繰り返し行うように構成されてもよい。
【0129】
これにより、被洗浄物2に対する押圧力の作用する部分が、複数に分割される。従って、被洗浄物2中に含まれる空気が被洗浄物2外に排出される際に、空気の移動距離を短くできる。これにより、被洗浄物2内の空気の残留が抑制されるため、被洗浄物2の浮遊による移動及び被洗浄物2の移動により発生する被洗浄物2の型崩れを効果的に防止することができる。
【0130】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗浄槽4に洗浄水を給水する給水弁17を備えている。そして、制御部26は、洗い工程において、押圧部8により被洗浄物2を押圧する準備工程を実行した後に、給水弁17を開放して、洗浄槽4に洗浄水を給水する給水工程を実行するように構成されたものである。
【0131】
これにより、給水時の水流による被洗浄物2の浮遊を抑制することができ、浮遊による被洗浄物2の移動、及び被洗浄物2の移動により発生する被洗浄物2の型崩れを防止することができる。また、被洗浄物2内に含まれる空気を被洗浄物2の外部に排出することができるため、洗剤を含む洗浄水が被洗浄物2内へ浸み込む時間が速められる。従って、より短い時間で所定の洗浄性能を得ることができる。
【0132】
また、本実施の形態の洗濯機は、被洗浄物2を押圧する押圧力を検知する押圧検知部13を備える。そして、制御部26は、押圧部8を膨張させて所定の押圧力で被洗浄物2を押圧するように構成されたものである。
【0133】
これにより、被洗浄物2が過剰に加圧されることを防止しつつ、被洗浄物2を洗浄槽4の底部に確実に押圧することができる。従って、押圧部8による押圧時において、水流による被洗浄物2の浮遊及び浮遊による移動を抑制することができる。また、被洗浄物2の移動が抑制されるため、被洗浄物2の型崩れが発生することを防止することができる。
【0134】
(実施の形態2)
本実施の形態では、押圧工程において複数の押圧部8により被洗浄物2を押圧させる際の、押圧及び押圧の解除のタイミングが、実施の形態1に示す例と異なる。
【0135】
[2-1.洗い工程]
図7は、本開示の実施の形態2における洗濯機の洗い工程の動作を示すタイムチャートである。
【0136】
本実施の形態では、一方の押圧部8(第1の押圧部8a)が膨張して被洗浄物2を押圧している状態において、他方の押圧部8(第2の押圧部8b)が、膨張及び収縮する動作を複数回繰り返す。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0137】
図7に示されるように、制御部26は、準備工程において、まず、排出弁11aを閉じるとともに開閉弁12aを開く(T700)。また、制御部26は、開閉弁12bを閉じる(T700)。そして、この状態において、制御部26は、押圧部8aが準備圧力P1に到達するまで加圧ポンプ10を駆動させる。これにより、被洗浄物2が押圧される(T701)。図示しないが、制御部26は、被洗浄物2が押圧部8aによって押圧された状態であれば、給水工程を開始してもよい。そして、押圧部8aの圧力が準備圧力P1に到達すると、準備工程から押圧工程に移行する(T702)。
【0138】
押圧工程では、制御部26は、まず、排出弁11bを閉じた状態で開閉弁12bを開く(T702)。また、制御部26は、開閉弁12aを閉じる(T702)。このとき、加圧ポンプ10は駆動させた状態である。これにより、第2の押圧部8b内に空気が供給されて第2の押圧部8bが膨張して、被洗浄物2が押圧される(T703)。
【0139】
なお、本実施の形態では、押圧工程が開始されるとともに、洗浄槽4への給水が開始される。すなわち、給水を行いながら被洗浄物2の押圧を行うことができる。これにより、給水途中の、洗剤の濃度が高い洗浄水によって被洗浄物2の押し洗いをすることができるため、洗浄性能を向上することができる。
【0140】
次に、制御部26は、排出弁11bを開放して(T704)第2の押圧部8bを収縮させ、第2の押圧部8bによる被洗浄物2の押圧を解除する(T705)。
【0141】
第2の押圧部8bが収縮して第2の押圧部8bの体積が変化するのに伴い、被洗浄物2は膨張し、被洗浄物2内に洗浄水が流入する。
【0142】
このように、制御部26は、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bにより被洗浄物2を押圧させた状態から、第2の押圧部8bによる被洗浄物2の押圧の解除及び押圧を行う(第2押圧動作)。また、制御部26は、第2の押圧部8bによる第2押圧動作を複数回(図7の例では、2回)繰り返して行う。なお、第2の押圧部8bが収縮及び膨張動作を複数回繰り返して行っている間、第1の押圧部8aは継続して被洗浄物2を押圧している。
【0143】
その後、制御部26は、第2の押圧部8bを膨張させて、第2押圧部8bによって被洗浄物2を押圧させる(T711)。そして、第2押圧部8bにより被洗浄物2を押圧させた状態で、排出弁11aを開いて(T712)、第1の押圧部8aを収縮させる。これにより、第1の押圧部8aによる被洗浄物2の押圧が解除される(T713)。第1の押圧部8aの体積の変化に伴い、被洗浄物2は膨張し、被洗浄物2内に洗浄水が流入する。
【0144】
制御部26は、次に、排出弁11aを閉じて開閉弁12aを開く(T714)。また、制御部26は、加圧ポンプ10を駆動して第1の押圧部8a内に空気を供給する(T714)。これにより、第1の押圧部8aが膨張して被洗浄物2を押圧する(T715)。
【0145】
このように、制御部26は、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bにより被洗浄物2を押圧させた状態から第1の押圧部8aによる被洗浄物2の押圧の解除及び押圧を行う(第1押圧動作)。また、制御部26は、第1の押圧部8aによる第1押圧動作を複数回繰り返して行う。なお、第1の押圧部8aが収縮及び膨張の動作を複数回繰り返して行っている間、第2の押圧部8bは継続して被洗浄物2を押圧している。
【0146】
押圧部8aの膨張により被洗浄物2の体積が変化することに伴い、被洗浄物2の内部に含まれる洗浄水は、被洗浄物2から押し出される。また、押圧部8aの収縮により押圧部8aの体積が変化することに伴い、被洗浄物2は膨張し、被洗浄物2内に洗浄水が流入する。これによって、被洗浄物2の内部で水流が発生する。そして、水流によって、被洗浄物2に付着していた汚れが、被洗浄物2の繊維から離れて被洗浄物2から除去される。
【0147】
なお、本実施の形態では、押圧工程において、第2押圧動作が複数回連続して行われた後、第1押圧動作が複数回連続して行われる構成について説明した。しかしながら、これに限られず、第1押圧動作及び第2押圧動作の少なくともいずれかが、複数回連続して行われる構成であればよい。
【0148】
[2-2.効果等]
本実施の形態の洗濯機1は、第1の押圧部8a及び第2の押圧部8bを備える。そして、制御部26は、第1の押圧部8aを膨張させて被洗浄物2を押圧した状態で第2の押圧部8bの膨張及び収縮動作を行う第2押圧動作を、複数回連続して行う。また、制御部26は、第2の押圧部8bを膨張させて被洗浄物2を押圧した状態で第1の押圧部8aの膨張及び収縮動作を行う第1押圧動作を、複数回連続して行う。また、制御部26は、これらの動作を交互に繰り返し行う。
【0149】
これにより、被洗浄物2の浮遊を抑制できるとともに、被洗浄物2の内部における多方向の水流の発生を促進することができる。従って、押し洗いによる被洗浄物2の洗浄効果を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、本開示にかかる洗濯機は、被洗浄物を押圧することにより発生する水流によって被洗浄物の洗浄を行うため、布傷み及び型崩れ等を抑えて洗浄効果を高めることができる。従って、種々の洗濯機として有用である。
【符号の説明】
【0151】
1 洗濯機
2 被洗浄物
3 開口部
4 洗浄槽
4a 底部
5 蓋体
5a ハンドル
7(7a,7b) 加圧減圧部
8(8a,8b) 押圧部
81(81a,81b) 押圧面
82(82a,82b) 伸縮部
9(9a、9b) 連通部
10 加圧ポンプ
11(11a,11b) 排出弁
12(12a,12b) 開閉弁
13(13a,13b) 押圧検知部
14(14a,14b) 解放弁
15 パッキン
16 給水経路
17 給水弁
18 洗剤ケース
19 水位検知部
20 水位検知槽
21 フロート
22 排水孔
23 排水弁
24 排水経路
25 溢水経路
26 制御部
27 操作表示部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8