(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】レール吊上げ装置
(51)【国際特許分類】
E01B 29/04 20060101AFI20240906BHJP
B66C 1/42 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E01B29/04
B66C1/42 B
(21)【出願番号】P 2020195657
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-09-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 第6回鉄道技術展2019 開催場所 幕張メッセ 開催日 令和1年11月27日~令和1年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390041379
【氏名又は名称】株式会社山崎歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】山崎 清水
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034431(JP,A)
【文献】特開2016-160650(JP,A)
【文献】特開2016-135693(JP,A)
【文献】特許第6488422(JP,B1)
【文献】特開2016-089503(JP,A)
【文献】実開昭54-030405(JP,U)
【文献】特開2013-043771(JP,A)
【文献】米国特許第08684279(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 29/04
B66C 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、
前記レール保持
部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、
前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、
前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され
、
前記入力部は、前記脚部の上端側に支持され且つ工具から入力された動力によって回転駆動される水平方向の入力軸に設けられ、
前記支持部には、前記入力軸を含み且つ該入力軸の回転によって前記レール保持部を昇降させる伝動機構が設けられた
ことを特徴とするレール吊上げ装置。
【請求項2】
前記入力部は、電動式のドライバと接続可能に構成された
請求項1に記載のレール吊上げ装置。
【請求項3】
レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、
前記レール保持部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、
前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、
前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され、
前記レール保持部は、前記レールを挟持するように開閉可能に構成された一対のフック体と、前記フック体の開作動を操作する操作具とを有し、
前記操作具は、上方に向けて引張操作可能な取手状に形成されて、前記操作具を上方に向けて引っ張り操作することにより、前記フック体を開作動させることができるように構成された
ことを特徴とするレール吊上げ装置。
【請求項4】
前記フック体は、前記操作具が操作されない場合には自動的に閉作動させるように構成された
請求項3に記載のレール吊上げ装置。
【請求項5】
レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、
前記レール保持部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、
前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、
前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され、
前記支持部は、前記入力部から入力された回転トルクをギヤ減速する減速機構を有し、
前記レール保持部は、上下方向に延設されて前記支持部側に上下動可能に支持された筒状部材を有し、
前記入力部は、前記筒状部材と交差する水平方向に延設されて、前記回転トルクによって軸回転する入力軸を有し、
前記減速機構は、前記入力軸の軸回りに形成されたウォームギヤ部と、外周側で前記ウォームギヤ部と噛合うとともに、内周側で前記筒状部材の外周面と噛合うように設けられた減速ギヤ部とを有する
ことを特徴とするレール吊上げ装置。
【請求項6】
前記脚部は、その下端側に作業環境に応じたアタッチメントを着脱可能に取付けることができるように構成された
請求項1乃至
5の何れかに記載されたレール吊上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール吊上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、前記レール保持体を昇降操作可能に支持する支持部と、前記レールを跨ぐ逆U字状に形成された脚部とを備え、前記支持部によって前記レールが保持された前記レール保持部を上昇させることにより、前記レールを吊上げることができる特許文献1に記載のレール吊上げ装置が従来公知である。
【0003】
上記文献のレール吊上げ装置によれば、前記レール保持部により前記レールを一時的に吊上げて前記レールのメンテナンスを行ったり、前記レールの真下に移動用のローラを設置する作業を行ったりすることができるものであるが、前記レール吊上げ装置は、前記支持部に手動操作する回転ハンドルが設けられるとともに、前記レール保持部がチェーンブロックにフック部材を吊下げることで構成されているため、前記レールの吊上げ作業に手間と労力が掛かるとともに、前記レール吊上げ装置が大型で重くなる。
【0004】
これにより、従来の前記レール吊上げ装置によれば、延設方向に複数並べて連結されている前記レールの吊上げ作業を連続して行う場合に、作業者への負担が大きく、メンテナンス作業に手間と時間が掛かり過ぎる場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、装置全体をコンパクト且つ軽量に構成するとともに、前記レールの吊上げ作業をスムーズ且つ容易に行うことができるレール吊上げ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のレール吊上げ装置は、レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、前記レール保持部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され、前記入力部は、前記脚部の上端側に支持され且つ工具から入力された動力によって回転駆動される水平方向の入力軸に設けられ、前記支持部には、前記入力軸を含み且つ該入力軸の回転によって前記レール保持部を昇降させる伝動機構が設けられたことを特徴としている。
【0008】
前記入力部は、電動式のドライバと接続可能に構成されたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明のレール吊上げ装置は、レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、前記レール保持部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され、前記レール保持部は、前記レールを挟持するように開閉可能に構成された一対のフック体と、前記フック体の開作動を操作する操作具とを有し、前記操作具は、上方に向けて引張操作可能な取手状に形成されて、前記操作具を上方に向けて引っ張り操作することにより、前記フック体を開作動させることができるように構成されたことを特徴としている。
【0010】
前記フック体は、前記操作具が操作されない場合には自動的に閉作動させるように構成されたことを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明のレール吊上げ装置は、レールを吊下げ可能に保持するレール保持部と、前記レール保持部を昇降操作可能な状態で支持する支持部と、前記レールを跨ぐ逆U字状に形成されて前記支持部を支持する脚部とを備え、前記支持部は、工具を用いて回転トルクが入力可能に構成された入力部を有し、前記入力部に入力された回転トルクによって前記レール保持部で保持された前記レールを吊上げることができるように構成され、前記支持部は、前記入力部から入力された回転トルクをギヤ減速する減速機構を有することを特徴としている。
【0012】
前記レール保持部は、上下方向に延設されて前記支持部側に上下動可能に支持された筒状部材を有し、前記入力部は、前記筒状部材と交差する水平方向に延設されて、前記回転トルクによって軸回転する入力軸であり、前記減速機構は、前記入力軸の軸回りに形成されたウォームギヤ部と、外周側で前記ウォームギヤ部と噛合うとともに、内周側で前記筒状部材の外周面と噛合うように設けられた減速ギヤ部とを有することを特徴としている。
【0013】
前記脚部は、その下端側に作業環境に応じたアタッチメントを着脱可能に取付けることができるように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
前記レール保持部により保持された前記レールを吊上げるレール吊上げ装置において、工具を用いて前記入力部に入力された回転トルクによって、前記レールを吊上げることができるように構成されたことにより、前記レールの吊上げ作業をよりスムーズ且つ簡易に行うことができるとともに、前記入力部に手動で動力を入力するためのハンドル等の操作具を設ける必要がないため、装置全体をより軽量且つコンパクトに構成することができる。
【0015】
また、前記入力部は、電動式のドライバと接続可能に構成されたものによれば、保線(メンテナンス)作業で一般的に常時携行されている電動式のドライバを利用することにより、手動で前記レールを吊上げる場合と比較して前記レールの吊上げ作業をより簡易且つスムーズに行うことができるとともに、装置全体も小型・軽量化することができる。
【0016】
また、前記レール保持部は、前記レールを挟持するように開閉可能に構成された一対のフック体と、前記フック体の開作動を操作する操作具とを有し、前記操作具は、上方に向けて引張操作可能な取手状に形成されて、前記操作具を上方に向けて引っ張り操作することにより、前記フック体を開作動させることができるように構成されたものによれば、作業者は、前記操作具を持って引き上げることにより、本装置を持ち上げる動作と、前記フック体の開操作とを同時に行うことができるため、次の作業位置への移動をよりスムーズに行うことができる。
【0017】
また、前記フック体は、前記操作具が操作されない場合には自動的に閉作動させるように構成されたものによれば、作業者は、前記操作具を持って前記フック体を開作動させた状態で本装置を所定の箇所に設置すると、前記フック体が自動的に閉作動されて前記レールを把持(係止)するため、本装置の設置作業をよりスムーズに行うことができる。
【0018】
また、前記支持部は、前記入力部から入力された回転トルクをギヤ減速する減速機構を有するものによれば、回転トルクの出力が大きくない電動式の工具を用いても前記レールの吊上げ作業をスムーズに行うことができる。
【0019】
また、前記レール保持部は、上下方向に延設されて前記支持部側に上下動可能に支持された筒状部材を有し、前記入力部は、前記筒状部材と交差する水平方向に延設されて、前記回転トルクによって軸回転する入力軸であり、前記減速機構は、前記入力軸の軸回りに形成されたウォームギヤ部と、外周側で前記ウォームギヤ部と噛合うとともに、内周側で前記筒状部材の外周面と噛合うように設けられた減速ギヤ部とを有するものによれば、前記減速機構を構成する部品点数を削減することができるため、装置全体をよりコンパクト且つ軽量化することができる。
【0020】
なお、前記支持部は、その下端側に作業環境に応じたアタッチメントを着脱可能に取付けることができるように構成されたものによれば、吊上げ作業を行うレールの種類や設置箇所に応じて、前記レール保持部の高さ位置を調整することができるため、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のレール吊上げ装置を示した正面図である。
【
図4】(A)は、フック体を閉姿勢に切換えた状態を示し、(B)は、フック体を開姿勢に切換えた状態を示し、(C)は、開閉操作具を持ってレール吊上げ装置を持ち上げた状態を示すモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明のレール吊上げ装置を示した正面図であり、
図2は、支持部を示した要部平面図であり、
図3は、レール吊上げ装置を示した側面図であり、
図4(A)は、フック体を閉姿勢に切換えた状態を示し、
図4(B)は、フック体を開姿勢に切換えた状態を示し、
図4(C)は、開閉操作具を持ってレール吊上げ装置を持ち上げた状態を示すモデル図である。
【0023】
図示する例より、前記レール吊上げ装置1は、レール10の上部側を挟持するようにして保持するレール保持部2と、前記レール保持部2を昇降操作可能に支持する支持部3と、前記レール10を跨ぐ逆U字状に形成された脚部4とを備え、枕木15等の上に設置された前記レール10を一時的に吊上げることができるように構成されている。
【0024】
まず、前記レール保持部2は、図示されるように、前支持部3側に支持された上下方向の筒状部材6と、前記筒状部材6の下端側に設けられたフック体7と、前記フック体7を開閉可能に支持する開閉機構8とを有し、開閉作動する前記フック体7によって前記レール10の上部側を挟持するようにして保持(係止)できるように構成されている(
図1乃至4等参照)。
【0025】
前記筒状部材6は、前記支持部3を上下方向に貫通するようにして該支持部3側に支持されており、その上端側には、後述する開閉操作具17が設けられ、その下端側には、前記フック体7が支持されている。
【0026】
また、前記筒状部材6(レール保持部2)は、後述する伝動機構23によって前記支持部3(脚部4)に対して昇降操作可能に構成されている。詳しくは後述する。
【0027】
前記フック体7は、上下方向に延設されて面同士を対向させるように設けられた一対のフック支持板11、11と、一対の前記フック支持板11の下端側に設けた第1揺動支点12を介して揺動可能な状態で挟持(取付固定)された第1フック体7Aと、前記第1揺動支点12の上方に設けた第2揺動支点13を介して前記フック支持板11側に揺動可能に挟持(取付固定)された第2フック体7Bとから構成され、前記フック支持板11の上端側で挟持される連結体14を介して前記開閉機構8(筒状部材6)側に取付固定されている。
【0028】
上記第1フック体7Aと第2フック体7Bとは、対向する左右内側が開放されるコ字状に形成されるとともに、前記開閉機構8によってそれぞれ上下揺動操作ができる状態で支持されている。これにより前記フック体7は、前記第1フック体7Aと第2フック体7Bとの間を閉じるようにそれぞれを下方揺動させることによって、前記レール10の上部を挟むように係止する閉姿勢(閉状態)と(
図1及び
図4(A)参照)、前記第1フック体7Aと第2フック体7Bとの間を開放するように上方揺動させた開姿勢(開状態)と(
図4(B)及び(C)参照)に姿勢切換えすることができるように構成されている。前記開閉機構8の具体的な構成については後述する。
【0029】
このとき、上記第2フック体7Bは、上記第1フック体7Aよりも上下方向が長く形成されるとともに、前記第2揺動支点13を前記第1揺動支点12の上方で且つ、左右方向が前記第1フック体7A側に寄せた位置となるように配置されている(
図1等参照)。
【0030】
該構成によれば、前記フック体7は、前記レール10を吊上げる際に前記レール10の重量によって前記フック体7がより締まるように作用するため、前記フック体7(レール保持部2)は、前記レール10をより強固に保持した状態で前記レール10を吊上げることができる。
【0031】
前記開閉機構8は、前記筒状部材6の内部をスライド移動する上下方向のスライド部16と、前記スライド部16の上端側に設けられて前記フック体7の開閉作動を操作する開閉操作具(操作具)17と、前記フック体7と前記スライド部16との間に設けられた紐状の連係部材18A、18Bとを有し、前記スライド部16の下端側には、前記連結体14を介して前記フック体7が吊下げるようにして取付固定されている(
図1等参照)。
【0032】
上記開閉操作具17は、図示する例では前記スライド部16の上端側から上方に向けて突設されたT字状(取手状)に形成された部材であって、前記スライド部16が前記筒状部材6内の下端側まで下降された閉操作位置(
図1乃至3、
図4(A)等参照)と、前記スライド部16が前記筒状部材6の上端側の位置まで上方に向けて引張操作された開操作位置(
図4(B)及び(C)参照)とに操作できるように構成されている。
【0033】
また、上記開閉操作具17が操作されない場合には、該開閉操作具17は、前記スライド部16(及びフック体7)の重さによって下端側の前記閉操作位置まで自動的に下降操作されるように構成されている。すなわち、作業者が前記開閉操作具17を前記スライド部16等の重さに抗して上方に引張操作することによって、前記開閉操作具17を前記開操作位置に操作することができるように構成されている。
【0034】
なお、上記開閉操作具17は、前記筒状部材6の上端側に突出する取手状に形成されたことにより、作業者は、前記開閉操作具17を把持した状態で前記レール吊上げ装置1全体を持ち上げることができるように構成されている(
図4(C)参照)。
【0035】
さらに、上記開閉操作具17は、昇降作動する前記筒状部材6の上端側に設けられたことによって、前記レール保持部2が昇降作動されると前記開閉操作具17も一体的に昇降作動するため、前記開閉操作具17の上下操作(前記フック体7を開閉操作)するためのストロークを常に維持することができる。
【0036】
上記連係部材18は、前記第1フック体7A上部の屈曲部分と前記スライド部16の下部側との間を連結する第1連係部材18Aと、前記第2フック体7B上部の屈曲部分と前記スライド部16の下部側との間を連結する第2連係部材18Bとを有し、前記開閉操作具17によって操作される前記スライド部16の昇降作動(上下動)と、前記フック体7の開閉作動とを連係させることができるように構成されている。
【0037】
具体的に説明すると、上記連係部材18は、前記開閉操作具17が開操作位置に操作された(前記スライド部16が前記筒状部材6内の上端側に操作された)場合には、前記フック体7を上方に引っ張ることにより、該フック体7を開姿勢(開状態)に切換えるように構成されている(
図4(B)及び(C)参照)。
【0038】
これに対し、上記連係部材18は、前記開閉操作具17が閉操作位置に操作された(前記スライド部16が前記筒状部材6内の下端側に操作された)場合には、前記フック体7が下降作動させることにより、該フック体7を閉姿勢(閉状態)に切換えるように構成されている(
図1及び
図4(A)参照)。
【0039】
上述の構成によれば、前記レール吊上げ装置1は、作業者が取手状の開閉操作具17を把持した状態で前記レール吊上げ装置1を持ち上げると、前記開閉操作具17が、前記レール吊上げ装置1(前記支持部3、脚部4)の自重によって、自動的に閉操作位置から開操作位置へと操作されるため、これに伴って、前記フック体が閉状態から開状態へと自動的に切換えられるように構成されている(
図4(A)→(B)→(C)参照)。
【0040】
その一方で、前記レール吊上げ装置1は、作業者によって前記開閉操作具17を把持して持ち上げられた状態から、レールの吊上げ作業を行う所定の作業位置(枕木上)に載置(設置)されると、前記開閉操作具17が、前記レール保持部2(前記フック体7)の自重によって、自動的に開操作位置から閉操作位置に操作されるため、これに伴って、前記フック体が開状態から閉状態に切換えられるように構成されている(
図4(C)→(B)→(A)参照)。
【0041】
すなわち、前記レール吊上げ装置1は、前記開閉操作具17を把持して、前記レール吊上げ装置1を持ち運ぶことによって、前記開閉操作具17の切換操作を意識しなくとも、前記レール10の吊上げ作業を行う作業位置への設置した後に前記レール10を保持する(前記フック体7を閉姿勢に切換える)操作と、前記レール10の吊上げ作業が完了した後に前記レール10の保持を解除する(前記フック体7を開姿勢に切換える)操作とが自動的に行われるため、連続した前記レールの吊上げ作業をよりスムーズに行うことができる。
【0042】
次に、前記支持部3は、図示されるように、上下方向の前記筒状部材6を貫通させるようにして支持した状態で前記脚部4の上端側に取付固定された箱状のケース部21と、該ケース部21の側面側に配置されて前記レール保持部2(筒状部材6)を昇降作動させるための動力(回転トルク)を入力するための入力部22と、前記入力部22に入力された回転トルクによって前記筒状部材(レール保持部)を昇降作動させる伝動機構(減速機構)23とを備えている(
図2等参照)。
【0043】
前記入力部22は、前記ケース部21の側面側に露出されたボルトであって、電動式の工具(電動式のドライバ、インパクトレンチ)30から回転トルクを入力可能に構成されている(
図1乃至4参照)。図示する例では、前記入力部22は、後述する入力軸26と一体回転するように該入力軸26の端部側に設けられたボルト(六角ボルト)であり、前記入力部22と電動式のドライバ30の駆動軸とを接続するアタッチメントとして、電動式ドライバ30の駆動軸側に前記入力部(ボルト)を囲繞するようにして係止する接続ソケット31が設けられている(
図1等参照)。
【0044】
該構成によれば、前記入力部22は、前記レール10を吊上げるための動力として、前記レール10のメンテナンス作業(保線作業)をする作業者が通常携帯している電動式のドライバ30等を兼用して入力できるように構成されている。これにより、作業者は持込む道具の種類を増やすことなく、前記レール10の吊上げ作業をスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0045】
前記伝動機構23は、前記ケース部21内に軸回転自在に収容されて水平方向に延設された入力軸26と、前記ケース部21内で前記筒状部材6の外周面側の一部を囲繞するように設けられた筒状の減速ギヤ部28とを有し、前記筒状部材6の外周面側には、前記減速ギヤ部28の内周面側と上下動可能に接続される前記台形ネジ部25が形成されている(
図2及び
図3等参照)。
【0046】
上記入力軸26は、その外周面側に該入力軸26と一体的に軸回転するように形成されたウォームギヤ部27が形成されている。
【0047】
上記減速ギヤ28部は、前記ケース部21内で回転駆動可能に軸支された筒状の歯車であって、その外周面側には前記ウォームギヤ部27と噛合う減速ギヤ28aが形成され、その内周面側には前記筒状部材6外周面側の前記台形ネジ部25と噛合う減速側台形ネジ28bが形成されている。
【0048】
すなわち、前記伝動機構23は、電動式のドライバ30等の工具によって前記入力部22に入力された動力を、前記入力軸26→前記ウォームギヤ部27→前記減速ギヤ部28(前記減速ギヤ28a→前記減速側台形ネジ28b)→前記台形ネジ部25の順番で減速伝動することにより、前記減速ギヤ部28の内周面側に接続(支持)されている前記台形ネジ部25(前記筒状部材6)を軸回転(昇降作動)させることができるように構成されている。
【0049】
具体的に説明すると、前記伝動機構23は、前記入力部22を介して回転トルクが入力されることにより、前記入力軸26が一方側に回転駆動(正回転)された場合には、前記減速ギヤ部28を介して前記筒状部材6が前記ケース部21(前記減速ギヤ部28の内周面側)内を上昇作動するように構成され、前記入力軸26が他方側に回転駆動(逆回転)した場合には、前記減速ギヤ部28を介して前記筒状部材6が前記ケース部21(前記減速ギヤ部28の内周面側)29内を下降作動するように構成されている。
【0050】
このとき、前記減速ギヤ部28は、前記入力軸26側の前記ウォームギヤ部27と比較して大径に構成されているため、前記伝動機構23(減速機構)は、前記入力部22から入力された回転トルクを大きく減速して前記減速ギヤ部28(筒状部材6)側に伝動するように構成されている。これにより、一般的に使われる前記電動式のドライバ30の出力で重量のある前記レール10をスムーズに吊上げることができる。
【0051】
上述の構成によれば、前記レール10を吊上げるための動力として、保線作業を行う作業者が通常携行している電動式のドライバ30を利用するため、前記レール吊上げ装置1に動力を入力するためのモータや電源、手動で動力を入力するためのハンドル等を設ける必要がなく、装置全体を軽量且つコンパクトに構成することができる。これにより、例えば、前記レール10を一時的に吊上げて、前記レール10の下に低ローラを設置するために、前記レール10の吊上げ作業を連続して行う必要がある場合に、作業箇所を変更する際の前記レール吊上げ装置1の持運び作業が容易になり、作業効率が向上する。
【0052】
ちなみに、前記台形ネジ部25は、前記筒状部材6の外周面側に一体的に形成される構成の他、前記筒状部材6の外周面側に筒状の部材を別体で外装した構成としても良い。
【0053】
また、前記筒状部材6は、その上端側に前記ケース部21の上面側と当接することにより前記筒状部材6の下降作動を規制する下限規制部6aが形成され、その下端側に前記ケース部21の下面側と当接することにより前記筒状部材6の上昇作動を規制する上限規制部6bが形成されている。
【0054】
次に、前記脚部4は、図示されるように、正面視で逆U字状に形成された前後一対の板状の脚部材37と、該脚部材37の上端側を前記支持部3の前部と後部とに取付固定する連結体38と、前記脚部材37の下端側に着脱可能に構成された補助体36とから構成されている(
図1及び
図3等参照)。
【0055】
該構成によれば、前記脚部4が一対の板状部材によって構成されたことで、前記フック体7の側方側も開放することができるため(
図3参照)、前記レール吊上げ装置1全体の重量をより軽く構成することができる。
【0056】
上記補助体36は、前記レール吊上げ装置1によって吊上げる前記レール10の種類や用途(具体的には、前記レール10の大きさの他、前記レール10が枕木15上に設置されているか、軌道スラブ上に設置されているかの違い)等に応じて、前記脚部4(脚部材37)の下端側に付け替えることができる補助体(アタッチメント)36の種類を任意に変更できるように構成されている(
図1、
図3、
図4等参照)。
【0057】
該構成によれば、前記レール吊上げ装置1は、レールの大きさや、レールの設置状況に応じて、適切な高さの前記補助体36を取付けることにより、前記フック体7の吊上げ開始位置を調整することができるため、汎用性が向上する。
【0058】
また、前記補助体36によって前記レール吊上げ装置1の高さ方向を任意に調整することができるため、前記脚部部材37の上下方向の長さを最低限に抑えることができるため、装置全体の重量も低く抑えやすくなる。
【0059】
上記連結体38は、前記レール10の吊上げ作業を行う現場の状況に応じて、前記脚部4を適切な構成となるような前記脚部材37に交換可能に構成しても良い。該構成によれば、前記脚部4の高さ方向だけでなく、幅方向も調整することができるため、汎用性がより向上する。
【符号の説明】
【0060】
2 レール保持部
3 支持部
4 脚部
6 筒状部材
7 フック体
17 開閉操作具(操作具)
22 入力部
23 伝動機構(減速機構)
26 入力軸
27 ウォームギヤ部
28 減速ギヤ部
30 電動式のドライバ(工具)
36 補助体(アタッチメント)