(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】低分子EGFR阻害剤を含む医薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240906BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240906BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240906BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240906BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240906BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K9/20
A61K9/48
A61P35/00
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2020555179
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2019086569
(87)【国際公開番号】W WO2019218958
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】201810463668.8
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】317010428
【氏名又は名称】ジエンス ハンセン ファーマセウティカル グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ジュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シァオレイ
(72)【発明者】
【氏名】イン、バオチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シァオ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/161937(WO,A1)
【文献】特表2017-532326(JP,A)
【文献】特表2017-517535(JP,A)
【文献】特開平09-316005(JP,A)
【文献】国際公開第2016/096999(WO,A1)
【文献】特表2002-517430(JP,A)
【文献】特表2017-502062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてのN-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミド、その溶媒和物、水和物、薬剤的に許容される塩、またはそれらの組み合わせ、及び少なくとも1種の薬剤的に許容される賦形剤を含み、該賦形剤は、1つ以上の充填剤を含み、該充填剤は、微結晶性セルロースおよび乳糖であり、微結晶性セルロースと乳糖の重量比は1:3~3:1である、医薬組成物。
【請求項2】
前記有効成分が、N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記有効成分が、1~60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記有効成分が、35~50重量%の量で存在することを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記有効成分の単位用量は、10~200 mgであることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記有効成分の単位用量は、55~110 mgであることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記有効成分の単位用量は、55 mg
又は110 mgであることを特徴とする、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記微結晶性セルロースが、1~60重量%の量で存在し、前記乳糖が、1~60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記微結晶性セルロースが、10~40重量%の量で存在し、前記乳糖が、5~30重量%の量で存在することを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記微結晶性セルロースが、
10~40重量%の量で存在し、前記乳糖が、5~15重量%の量で存在することを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記微結晶性セルロースと乳糖との重量比は、2~3:1であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記充填剤が、微結晶性セルロース及び無水乳糖であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記微結晶性セルロースが、1~60重量%の量で存在し、前記無水乳糖が、1~60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記微結晶性セルロースが、10~40重量%の量で存在し、前記無水乳糖が、5~30重量%の量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記微結晶性セルロースが、
10~40重量%の量で存在し、前記無水乳糖が、5~15重量%の量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記微結晶性セルロースと無水乳糖との重量比は、1:3~3:1であることを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記微結晶性セルロースと無水乳糖との重量比は、2~3:1であることを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記充填剤が、20~80重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記充填剤が、30~50重量%の量で存在することを特徴とする、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記賦形剤が、1種または複数種の崩壊剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチル澱粉ナトリウム及びクロスポビドンからなる群より選択される1種または複数種であることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記崩壊剤が、カルボキシメチル澱粉ナトリウムであることを特徴とする、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記崩壊剤が、1~30重量%の量で存在することを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記崩壊剤が、10~20重量%の量で存在することを特徴とする、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記崩壊剤が、顆粒内に添加されることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記賦形剤が、1種または複数種の潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記潤滑剤が、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム及び微粉化シリカゲルからなる群より選択される1種または複数種であることを特徴とする、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択される1種または複数種であることを特徴とする、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記潤滑剤が、0.1~10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記潤滑剤が、0.2~5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択され、該フマル酸ステアリルナトリウムが、0.1~5重量%の量で存在し、該ステアリン酸マグネシウムが、0.1~5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選択され、該フマル酸ステアリルナトリウムが、0.3~3重量%の量で存在し、該ステアリン酸マグネシウムが、0.2~2重量%の量で存在することを特徴とする、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
以下の成分を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
有効成分 35~50重量%
乳糖
10.2~15重量%
微結晶性セルロース 30~50重量%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 10~20重量%
潤滑剤 0.5~5重量%
【請求項34】
以下の成分を含むことを特徴とする、請求項33に記載の医薬組成物。
有効成分 43.3重量%
乳糖 10.2重量%
微結晶性セルロース 30.0重量%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 14重量%
潤滑剤 2.5重量%
【請求項35】
前記医薬組成物が、経口製剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記医薬組成物が、錠剤またはカプセルであることを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記医薬組成物が、コーティング錠であることを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、即放性フィルムコーティング錠であることを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記即放性フィルムコーティング錠のコーティング剤は、腸溶性フィルムコーティングプレミックスであることを特徴とする、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
以下の具体的な工程を含む、請求項1から32のいずれか1項に記載の医薬組成物を製造するための方法。
1)原料の前処理:後で使用するために微結晶性セルロース、乳糖、フマル酸ステアリルナトリウム及びカルボキシメチル澱粉ナトリウムをふるいにかける。
2)混合:処方量に従って顆粒内用の原料を秤量し、ホッパーミキサーを用いて微結晶性セルロース、乳糖、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、前記有効成分及びステアリン酸マグネシウムを混合する。
3)乾式造粒:上記の混合粉末を乾式造粒機で造粒する。
4)全体混合:ホッパーミキサーを用いて、得られた細粒と処方量の顆粒外用のフマル酸ステアリルナトリウムを混合する。
5)任意に錠剤化する。
6)任意にコーティングする。
i)コーティング液の配合:攪拌下で精製水に処方量のOpadryを加えて固形分10重量%のコーティング液を配合し、該コーティング液を均一に攪拌し、後で使用するためにふるいにかける。
ii)コーティングの重量増が約2.0~4.0%に達するまでコーティングを仕上げる。
【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤の分野に属し、具体的には、第3世代の低分子EGFR阻害剤を含む医薬組成物及びその製造方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
EGFR(上皮成長因子受容体)は、膜貫通型タンパク質チロシンキナーゼ受容体を含むerbB受容体ファミリーの一員である。EGFRは、上皮成長因子(EGF)等のリガンドに結合することにより、細胞膜上にホモダイマーを形成したり、erbB2、erbB3、erbB4等の該ファミリーの他の受容体とヘテロダイマーを形成したりできる。これらのダイマーの形成は、EGFR細胞における重要なチロシン残基のリン酸化を引き起こし、それによって細胞における多くの下流シグナル伝達経路を活性化する可能性がある。これらの細胞内シグナル伝達経路は、細胞の増殖、生存、及び抗アポトーシスにおいて重要な役割を果たす。リガンド及び受容体の発現の増加、EGFR遺伝子の増幅及び突然変異等を含むEGFRシグナル伝達経路の障害は、細胞の悪性形質転換を促進し、腫瘍細胞の増殖、浸潤、転移及び血管新生において重要な役割を果たすことができる。従って、EGFRは抗がん剤の開発のための合理的な標的である。
【0003】
第3世代の低分子EGFR阻害剤に属する、N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドは、EGFR T790M変異体を阻害する選択性が高く、野生型EGFRに対する活性がないか低いため、EGFR-T790Mの二次変異によって引き起こされる薬剤耐性腫瘍の治療に使用できる。該化合物(以下、式Iの化合物と称する)は、国際特許出願WO2016054987に最初に開示され、その構造は次の式Iに示されている。
【化1】
【発明の概要】
【0004】
本発明は、第3世代の低分子EGFR阻害剤を含む医薬組成物を提供する。
該医薬組成物は、有効成分として、N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩、多形体、溶媒和物、水和物、それらの薬剤的に許容される塩またはそれらの組み合わせ、及び少なくとも1種の薬剤的に許容される賦形剤を含む。
本発明による医薬組成物において、該有効成分は1~60%の量で存在する。
本発明による医薬組成物において、該有効成分の単位用量は、10~200 mg、好ましくは55~110 mg、より好ましくは55 mgまたは110 mgである。
【0005】
本発明による医薬組成物において、該賦形剤は、グルカン、澱粉、セルロース、乳糖、マルトースまたはスクロース等の少なくとも1種の二糖または多糖を含む1種または複数種の充填剤を含む。該澱粉は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、アミロペクチン、アルファ化澱粉等からなる群より選択できる。該二糖または多糖は、1~60%、好ましくは5~55%、より好ましくは5~30%、さらに好ましくは5~15%の量で存在する。
該充填剤は、好ましくは乳糖等の二糖であり、1~60%、好ましくは5~55%、より好ましくは5~30%、さらに好ましくは5~15%の量で存在する。
本発明による医薬組成物において、該賦形剤は、1種または複数種の充填剤、崩壊剤または潤滑剤を含む。
【0006】
本発明による医薬組成物において、各成分の重量百分率は次のとおりである:
有効成分 1~60%
充填剤 20~80%
崩壊剤 1~30%
潤滑剤 0.1~10%
好ましくは、各成分の重量百分率は次のとおりである:
有効成分 35~50%
充填剤 30~50%
崩壊剤 10~20%
潤滑剤 0.5~5%
より好ましくは、各成分の重量百分率は次のとおりである:
有効成分 43.3%
充填剤 40.2%
崩壊剤 14%
潤滑剤 2.5%
【0007】
本発明による医薬組成物において、該充填剤は、微結晶性セルロース、乳糖、無水乳糖、コーンスターチ、アルファ化澱粉、マンニトール、ソルビトール、リン酸ヒドロカルシウム及び硫酸カルシウムのうちの1種または複数種を含み、ここで、該充填剤は、20~80%、好ましくは30~50%の量で存在する。好ましくは、該充填剤は、上記の成分のうちの2種を含み、該2成分の重量比は1:3~3:1である。
本発明による医薬組成物において、該充填剤は、好ましくは微結晶性セルロース及び乳糖である。微結晶性セルロースは、錠剤コアの重量に対して、1~60%、好ましくは10~40%、より好ましくは20~40%の量で存在し;乳糖は、錠剤コアの重量に対して、1~60%、好ましくは5~30%、より好ましくは5~15%の量で存在する。任意の技術的解決策には、微結晶性セルロースが1~60%の量で、乳糖が1~60%の量で存在し;微結晶性セルロースが10~40%の量で、乳糖が5~30%の量で存在し;微結晶性セルロースが20~40%の量で、乳糖が5~15%の量で存在することが含まれるが、これらに限定されない。
さらに好ましくは、微結晶性セルロースと乳糖との重量比は、1:3~3:1、より好ましくは2~3:1である。
さらに好ましくは、乳糖は無水乳糖である。微結晶性セルロースは、錠剤コアの重量に対して、1~60%、好ましくは10~40%、より好ましくは20~40%の量で存在し;無水乳糖は、錠剤コアの重量に対して、1~60%、好ましくは5~30%、より好ましくは5~15%の量で存在する。任意の技術的解決策には、微結晶性セルロースが1~60%の量で、無水乳糖が1~60%の量で存在し;微結晶性セルロースが10~40%の量で、無水乳糖が5~30%の量で存在し;微結晶性セルロースが20~40%の量で、無水乳糖が5~15%の量で存在することが含まれるが、これらに限定されない。
さらに好ましくは、微結晶性セルロースと無水乳糖との重量比は、1:3~3:1、より好ましくは2~3:1である。
乳糖を添加することにより、式Iの化合物を高含有量で含む該医薬組成物を製造することができ、その薬物負荷容量は40%を超えることができる。同時に、得られた医薬組成物は、良好な圧縮性及び均一な溶出性を有する。
【0008】
本発明による医薬組成物において、該崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチル澱粉ナトリウム及びクロスポビドンのうちの1種または複数種を含み、好ましくはカルボキシメチル澱粉ナトリウムである。該崩壊剤は、1~30%、好ましくは10~20%の量で存在する。完全に顆粒内の方法で添加される崩壊剤は、錠剤の良好な崩壊及び製造を確実にすることができる。カルボキシメチル澱粉ナトリウムの添加により、該製剤の安定性をさらに改善できる。好ましくは、該崩壊剤は顆粒内に添加される。
【0009】
本発明による医薬組成物において、該潤滑剤は、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、及び微粉化シリカゲルのうちの1種または複数種を含む。該潤滑剤は、錠剤コアの重量に対して0.1~10%、好ましくは0.2~5%の量で存在する。
さらに、該潤滑剤は、好ましくは、フマル酸ステアリルナトリウム及びステアリン酸マグネシウムである。フマル酸ステアリルナトリウムは、0.1~5%、好ましくは0.3~3%の量で存在し、ステアリン酸マグネシウムは、0.1~5%、好ましくは0.2~2%の量で存在する。該フマル酸ステアリルナトリウムとステアリン酸マグネシウムの組み合わせは、原料の装置表面への付着を明らかに改善し、スムーズな製造プロセスを確実にし、最終製品が優れた溶出効果を有することを可能にする。
【0010】
本発明による医薬組成物において、量は該薬物の総重量に対する百分率を指す。ここで、該薬物の総重量はコーティングの重量を含まない。具体的な剤形に関しては、量は錠剤コアまたは顆粒の重量に対する百分率を指す。
【0011】
本発明による医薬組成物は次の成分を含む:
有効成分 35~50%
乳糖 5~15%
微結晶性セルロース 30~50%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 10~20%
潤滑剤 0.5~5%
好ましくは、次の成分を含む:
有効成分 43.3%
乳糖 10.2%
微結晶性セルロース 30.0%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 10.4%
潤滑剤 0.5~5%
より好ましくは、次の成分を含む:
有効成分 43.3%
乳糖 10.2%
微結晶性セルロース 30.0%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 14%
潤滑剤 2.5%
最も好ましくは、次の成分を含む:
有効成分 43.3%
乳糖 10.2%
微結晶性セルロース 30.0%
カルボキシメチル澱粉ナトリウム 14%
ステアリン酸マグネシウム 1%
フマル酸ステアリルナトリウム 1.5%
【0012】
本発明の医薬組成物は、錠剤及びカプセルからなる群より選択される経口製剤であり、好ましくはフィルム錠、より好ましくは即放性フィルムコーティング錠である。コーティング剤は、腸溶性フィルムコーティングプレミックスであり、好ましくは、Opadry 85F140124(主成分:ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化チタン、酸化鉄赤及び酸化鉄黒)及びOpadry 85F12300(主成分:ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、タルク、二酸化チタン、酸化鉄イエロー)である。
【0013】
さらに、本発明は該医薬組成物の製造方法を提供する。該方法は主に以下の工程を含む:
1)原料の前処理:後で使用するために充填剤、崩壊剤及び潤滑剤をふるいにかける。
2)混合:所定量に従って顆粒内用の原料を秤量し、混合する。
3)乾式造粒:乾式造粒により混合した上記粉末を造粒する。
4)全体混合:得られた顆粒と顆粒外用の潤滑剤を混合する。
5)任意な錠剤化:錠剤重量の理論値に従って得られた混合物を錠剤に圧縮する。
6)任意なコーティング。
【0014】
上記方法は以下の具体的な工程を含む:
1)原料の前処理:
微結晶性セルロースと無水乳糖を60メッシュのふるいにかける。後で使用するためにフマル酸ステアリルナトリウム及びカルボキシメチル澱粉ナトリウムを80メッシュのふるいにかける。
2)混合:
処方量に応じて顆粒内用の原料を秤量し、ホッパーミキサーを用いて微結晶性セルロース、無水乳糖、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、該有効成分及びステアリン酸マグネシウムを混合する。
3)乾式造粒:
上記で混合した粉末を乾式造粒機で造粒する。
4)全体混合:
ホッパーミキサーを用いて得られた細粒と処方量の顆粒外用のフマル酸ステアリルナトリウムを混合する。
5)任意な錠剤化:
錠剤重量の理論値に従って得られた混合物を錠剤に圧縮する。
6)任意なコーティング:
i)コーティング液の配合:攪拌しながら処方量のOpadryを精製水に加え、固形分10%のコーティング液を配合する。Opadryの添加後に、該コーティング液を60分間撹拌し、均一に分散させる。後で使用するために配合したコーティング液を100メッシュのふるいにかける。
ii)プロセス規格に従ってパラメータを設定し、コーティングの重量増が約2.0~4.0%に達するまでコーティングを仕上げる。
【0015】
本発明者は、多数の研究を通じて、第3世代の低分子EGFR阻害剤としてのN-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドが透過性の低い薬物であることを発見した。その溶解度はpHに大きく依存する。本発明に従って製造された医薬組成物は、異なる溶解媒体中で良好かつ均一な溶出性を有する。
【発明の詳細な説明】
【0016】
充填剤について:
表1から分かるように、該充填剤が乳糖を含む場合、式Iの化合物を高い含有量で含む医薬組成物を製造することができ、得られる医薬組成物は良好な圧縮性を有する。
【表1】
1注:該有効成分はメシル酸塩として算出。以下同様。
【0017】
錠剤中の有効成分の薬物負荷容量をさらに増やした。該有効成分が43.3%の量で存在した時に、錠剤は依然として非常に良好な圧縮性を有していた。パンチ付着はなかった。得られた未コーティング錠は滑らかで完全に適格であり、完全な形状と良好な外観を有していた。
【表2】
【0018】
さらに、未コーティング錠の硬度も溶出率に影響を与える要因の1つである。硬度が不均一な場合、溶出が不均一になり、薬効に影響を与える可能性がある。下の表3は、異なる硬度での本発明の処方の対応する溶出プロファイルを示している。この表から分かるように、本発明の処方は、異なる硬度条件下での未コーティング錠の溶出結果に対する硬度変化の影響を排除し、製品が良好な溶出率を維持することを可能にする。従って、本発明の処方は、未コーティング錠の異なる硬度によって引き起こされる悪影響を克服することができる。
【表3】
【0019】
崩壊剤について:
本発明の医薬組成物システムにおいて、崩壊剤の添加も錠剤の溶出率に影響を及ぼし得る。本発明者は、崩壊剤が1~30%の量で存在する場合に溶出率が良好であることを発見した。詳細については表4を参照されたい。崩壊剤として使用されるカルボキシメチル澱粉ナトリウムは、錠剤の良好な崩壊及び製造を確実にすることができ、その好ましい分量は10~20%である。
【表4】
【実施例】
【0020】
実施例1
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、64.9 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、45.0 mgの微結晶性セルロース(KG802)、15.3 mgの無水乳糖(21AN)、21.0 mgのカルボキシメチル澱粉ナトリウム(タイプA)、0.8 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.5 mgの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び1.5 mgのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。該処方は次のとおりである:
【0021】
以下の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
(1)原料の前処理
(2)秤量
スケジュールリストに従って原料を秤量した。
(3)混合
1)予備混合I:ホッパーミキサーを用いて顆粒内用の原料を混合した(速度:15 rpm、時間:10分間)。
2)粉砕:ふるいサイズ:1.0 mm、粉砕速度:350~800 rpm。
3)予混合II:ホッパーミキサーを用いて粉砕された材料とステアリン酸マグネシウムを混合した(速度:15 rpm、時間:10分間)。
(4)乾式造粒
配信周波数変換(Hz):7~13;錠剤周波数変換(Hz):20~40; 造粒周波数変換(Hz):30~50; 造粒ふるいサイズ:1.0 mm;パウダーメッシュ数:60メッシュ。
(5)全体混合
ホッパーミキサーを用いて15 rpmの速度で乾式造粒により得られた細粒と処方量の顆粒外用のフマル酸ステアリルナトリウムを10分間混合した。
(6)錠剤化
粒子含有量に従って錠剤重量の理論値を計算した。錠剤の重量と硬度を調整した後、該混合物を錠剤に圧縮した。
(7)コーティング
1)コーティング液の配合:フィルムコーティングプレミックス(腸溶性タイプ)と処方量の精製水で固形分10%のコーティング液を配合した。該コーティング液を60分間撹拌し、後で使用するために100メッシュのふるいで濾過した。
2)コーティング:プロセス要件に従って対応パラメータを設定した。コーティングの過程において床温度を30~40℃に制御した。コーティングの重量増は2.0~4.0%であった。
(8)包装
実施例2
【0022】
【0023】
以下の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
(1) 原料の前処理
(2)秤量
スケジュールリストに従って、原料を秤量した。
(3)混合
1)予備混合I:顆粒内用の原料(微結晶性セルロース(KG802)、無水乳糖(21AN)、カルボキシメチル澱粉ナトリウム(タイプA)、フマル酸ステアリルナトリウム、該医薬品有効成分)をホッパーミキサーで(速度:15 rpm、時間:20分間)混合した。
2)予備混合II:予備混合Iが完了した後、ステアリン酸マグネシウム(顆粒内用)をホッパーミキサーに加えて混合した(速度:15 rpm、時間:10分間)。
(4)乾式造粒
HFS速度:30~45 rpm、VFS速度:200~240 rpm、圧力輪速度:3~7 rpm、圧力輪圧:20~25 KN、粉砕刀速度:1000~1500 rpm、圧力輪ギャップ:1.0 mm、造粒ふるいサイズ:1.6 mm。
(5)全体混合
ホッパーミキサーを用いて15 rpmの速度で乾式造粒により得られた細粒と処方量の顆粒外用のフマル酸ステアリルナトリウムを10分間混合した。
(6)錠剤化
粒子含有量に従って錠剤重量の理論値を計算した。錠剤の重量と硬度を調整した後、該混合物を錠剤に圧縮した。
(7)コーティング
1)コーティング液の配合:フィルムコーティングプレミックス(腸溶性タイプ)と処方量の精製水で固形分10%のコーティング液を配合した。該コーティング液を60分間撹拌し、後で使用するために80メッシュのふるいで濾過した。
2)コーティング:プロセス要件に従って対応パラメータを設定した。コーティングの過程において床温度を30~40℃に制御した。コーティングの重量増は2.0~4.0%であった。
(8)包装
実施例3
【0024】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、5.9 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、25.0 mgの微結晶性セルロース、54.7 mgの無水乳糖、15.0 mgのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、0.5 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、0.9 mgの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び0.5 mgのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。該処方は次のとおりである:
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例4
【0025】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、31.8 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、30.0 mgの微結晶性セルロース、89.4 mgの無水乳糖、30.0 mgのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、1.0 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.8 mgの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び1.0 mgのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例2の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例5
【0026】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、47.2 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、30.0 mgの微結晶性セルロース、93 mgの無水乳糖、30.0 mgのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、1.0 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.8 mgの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び2.0 mgのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例6
【0027】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、97.35 gの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、67.5 gの微結晶性セルロース、22.95 gの無水乳糖、31.5 gのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、1.2 gの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、2.25 gの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び2.25 gのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例2の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例7
【0028】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、259.6 gの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、180.0 gの微結晶性セルロース、61.2 gの無水乳糖、84.0 gのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、3.2 gの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、6.0 gの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び6.0 gのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例8
【0029】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、97.35 gの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、67.5 gの微結晶性セルロース、22.95 gの無水乳糖、31.5 gのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、1.2 gの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、2.25 gの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び2.25 gのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例2の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例9
【0030】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、47.2 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、30.0 mgのソルビトール、93 mgのリン酸ヒドロカルシウム、30.0 mgのクロスポビドンXL、1.0 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.8 mgの顆粒外ステアリン酸、及び2.0 mgのタルクの成分を含有する。
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例10
【0031】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、47.2 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、30.0 mgのスクロース、93 mgのリン酸ヒドロカルシウム、30.0 mgのクロスポビドンXL、1.0 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.8 mgの顆粒外ステアリン酸、及び2.0 mgのタルクの成分を含有する。
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例11
【0032】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、97.35 gの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、67.5 gの微結晶性セルロース、22.95 gのマルトース、31.5 gのカルボキシメチル澱粉ナトリウム、1.2 gの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、2.25 gの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び2.25 gのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。
実施例2の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
実施例12
【0033】
N-(5-((4-(1-シクロプロピル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-2-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-4-メトキシフェニル)アクリルアミドのメシル酸塩を含む医薬組成物は、64.9 mgの有効成分(C
30H
35N
7O
2・CH
3SO
3Hとして算出)、45.0 mgの微結晶性セルロース(KG802)、15.3 mgのコーンスターチ、21.0 mgのカルボキシメチル澱粉ナトリウム(タイプA)、0.8 mgの顆粒内フマル酸ステアリルナトリウム、1.5 mgの顆粒外フマル酸ステアリルナトリウム、及び1.5 mgのステアリン酸マグネシウムの成分を含有する。該処方は次のとおりである:
実施例1の製造方法で上記成分を含む即放性フィルムコーティング錠を製造した。
安定性試験及び結果分析
【0034】
1.異なる溶解媒体における製品の安定性
クロマトグラフィー条件:
機器及び試薬 高速液体クロマトグラフ、電子分析天びん、リン酸二水素カリウム(クロマトグラフィー用純度)、アセトニトリル(クロマトグラフィー用純度)、類縁物質のシステム適合性用の参照物質
クロマトグラフィー条件 充填剤としてのオクタデシルシラン結合シリカゲル(Waters XBridge C18、4.6 mm×150 mm、3.5 μmまたは同等の性能のカラム);流速:1.0 ml/分;検出波長:220 nm;カラム温度:35℃;注入量:10 μl。
移動相A 2.72 gのリン酸二水素カリウムを約900 mlの水に溶解し、水酸化ナトリウム溶液でpHを6.0に調整し、容量が1000 mlに達するまで水を加え、次に溶液をよく混合し、濾過して脱気した。
移動相B アセトニトリル
次の表に従ってグラジエント溶出を行った(移動相の量は比例的に増減できる)。
0.05%リン酸溶液 0.5 mlのリン酸を1000 mlの水に加え、よく混合した。
希釈液 800 mlの0.05%リン酸溶液と200 mlのアセトニトリルをよく混合した。
【0035】
【0036】
発明者は、例として0.1 mol/L塩酸溶液、酢酸塩緩衝液(pH4.5)、リン酸塩緩衝液(pH6.8)、0.1%SDS含有リン塩酸緩衝液(pH6.8)、水、及び0.1%SDS含有水における実施例1で製造した錠剤の溶液安定性を調べた。50 rpmの条件下での溶解及び放出速度試験(中国薬局方2015年版の第IV巻の一般規則0931に記載されている第2の方法)に従って、30分に溶出液を採取して濾過した。該濾液を試験溶液として用い、室温で24時間以内の溶液安定性を調べた。溶液安定性のデータを表5に示す。
この結果に示されたように、本発明で製造された錠剤が、0.1 mol/L塩酸溶液、酢酸塩緩衝液(pH4.5)、0.1%SDS含有リン酸塩緩衝液(pH6.8)、水及び0.1%SDS含有水の中で24時間以内に安定であった。該錠剤はリン酸塩緩衝液(pH6.8)の中でわずかに分解した。
【0037】
2.光、高温または高湿度の条件下での安定性
【表6】
2注:不純物AのRRTは約1.23である。
不純物Aの構造は次のとおりである:
【化2】
【0038】
【0039】
【0040】
その結果を表6~8に示す。影響要因の検討は30日間行った(光条件下での検討は10日間行い、総照度は1.2×106ルクス・時以上であった)。その結果に示されたように、該製品は光条件下(総照度1.2×106ルクス/時)で分解することなく安定し、様々な品質指標には明らかな変化はなかった。高温(40℃)、高温(60℃)、及び25℃/RH75%の条件下では、類縁物質はわずかに分解したが、他の品質指標に明らかな変化はなく、該試料の安定性は良好であった。
【0041】
3.製品の安定性
【表9】
安定性試験における製品品質試験の結果(実施例1の製品)
【0042】
【0043】
表9及び10から分かるように、本発明で製造された錠剤は良好な品質を有し、該製品の品質は安定性試験において安定であった。該製品の処方と製造過程は安定し、再現性は良好であった。
他の実施例で製造された試料はすべて、実施例1及び2の試料と同様の安定性結果を示した。
【0044】
溶出試験及び結果分析
1.実施例1で製造された製品4つバッチを試験のためにランダムに選択した。その結果を表11に示す。
【表11】
この結果に示されたように、得られた試料がすべて良好な溶解均一性を有する。
【0045】
2.異なる媒体における実施例2で製造した製品の溶出試験を行った。その結果を表12に示す。
【表12】
この結果に示されたように、本発明で製造された製品が、異なる媒体において良好な溶出率を有する。
他の実施例で製造された試料は、実施例1及び2の試料のものと同様の溶解プロファイルを有する。