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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020111553
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010810
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】三觜 紳平
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-342894(JP,A)
【文献】特表2017-509356(JP,A)
【文献】中国実用新案第205000151(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第03572575(EP,A1)
【文献】中国実用新案第210420591(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、洗濯物の洗濯が行われる洗濯槽と、
前記筐体の上部を構成し、投入口を有する上面板と、
液体の洗剤が貯められる洗剤タンクと、
液体の柔軟剤が貯められる柔軟剤タンクと、
前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクから、それぞれ、洗剤および柔軟剤が導入され、導入された洗剤および柔軟剤を、前記洗濯槽に供給される水により前記洗濯槽内に流し込む給水部と、
前記洗剤タンクの排出口と前記給水部とに接続される第1パイプと、
前記柔軟剤タンクの排出口と前記給水部とに接続される第2パイプと、
を備え、
前記給水部は、前記上面板の内部における前記投入口の後方の空間に配置され、
前記洗濯槽に供給される水が流れる第1水路と、
前記第1水路に配置されて前記第1パイプに接続され、洗剤が前記第1水路に流入できる状態と流入できない状態との間で切り替えを行う第1切替部と、
前記第1水路に配置されて前記第2パイプに接続され、柔軟剤が前記第1水路に流入できる状態と流入できない状態との間で切り替えを行う第2切替部と、
前記第1水路に配置され、前記第1水路内を負圧にすることにより洗剤および柔軟剤を前記第1水路内に吸引するポンプと、を含み、
前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクのうち、一方のタンクは、前記給水部の左方に配置され、当該一方のタンクの一部が前記投入口の左端と前記上面板の左端との間の空間に収まり、他方のタンクは、前記給水部の右方に配置され、当該他方のタンクの一部が前記投入口の右端と前記上面板の右端との間の空間に収まり、
前記第1切替部が前記第2切替部よりも前記ポンプに近いことにより、前記洗剤タンクの排出口から前記ポンプまでの洗剤の吸引経路が前記柔軟剤タンクの排出口から前記ポンプまでの柔軟剤の吸引経路よりも短い、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記第1切替部および前記第2切替部のうち少なくとも一つの切替部は、前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクのうち対応するタンクに上下方向において重なり、
前記対応するタンクの底面には、上方に凹み、前記少なくとも一つの切替部が収まる第1凹部が形成される、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記対応するタンクの底面には、前記第1凹部に繋がり、前記第1パイプおよび前記第2パイプのうち前記少なくとも一つの切替部に接続されるパイプが収まる第2凹部が形成される、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記給水部は、
前記第1水路に接続される第1バルブと、
前記洗濯槽に供給される水が流れる、前記第1水路よりも許容流量が多い第2水路と、
前記第2水路に接続され、前記第1バルブよりも定格流量が多い第2バルブと、をさらに含み、
前記第1水路内に洗剤または柔軟剤が溜められた後に前記第1バルブを開放して前記第1水路内に水を流すときに、前記第2バルブを開放して前記第2水路内に水を流す、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯兼脱水槽内に液体の洗剤を自動投入できる洗濯機が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1の洗濯機は、外郭カバー内に設けられ、液体の洗剤が収容される洗剤タンクを備える。洗剤タンクは、洗剤を補給する補給口が洗剤タンク蓋により閉じられることにより内部が密閉されるとともに、空気流入口と液体排出口とを有している。空気流入口には、空気ポンプが繋がる。空気ポンプが動作すると、密閉された洗剤タンク内の空気圧が高まり、洗剤タンク内の洗剤が液体排出口から押し出され、洗濯兼脱水槽内に投入される。ユーザは、洗濯運転の都度、1回分の洗剤を洗濯機に投入せずに済み、便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-259290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗剤に加えて、柔軟剤を自動投入できると、ユーザの利便性をより高めることができる。
【0006】
そこで、洗剤タンクに加えて、液体の柔軟剤が収容される柔軟剤タンクを、洗濯機に設けることができる。そして、この場合に、水道栓からの水を洗濯脱水槽に供給する給水部に、洗剤タンクおよび柔軟剤タンクから洗剤および柔軟剤を導入し、給水部を流れる水により、洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽へ流し込むような構成を採ることができる。
【0007】
洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部は、外郭カバー、即ち上面板に設けられた投入口の周囲に配置することができる。
【0008】
ところで、洗濯機では、定格の洗濯容量が変わると、洗濯脱水槽のサイズが変えられ、これに伴って上面板や投入口のサイズが変えられ得る。上面板や投入口のサイズが変えられると、洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部の三者が配置できるスペースが変わることになるが、このように上面板のサイズが異なる機種の間において、上記三者を共通部品として使用できれば、製品コストを低減につながりやすい。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、上面板のサイズが異なる機種の間において、洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部を共通部品として使用でき得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体内に配置され、洗濯物の洗濯が行われる洗濯槽と、前記筐体の上部を構成し、投入口を有する上面板と、液体の洗剤が貯められる洗剤タンクと、液体の柔軟剤が貯められる柔軟剤タンクと、前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクから、それぞれ、洗剤および柔軟剤が導入され、導入された洗剤および柔軟剤を、前記洗濯槽に供給される水により前記洗濯槽内に流し込む給水部と、前記洗剤タンクの排出口と前記給水部とに接続される第1パイプと、前記柔軟剤タンクの排出口と前記給水部とに接続される第2パイプと、を備える。ここで、前記給水部は、前記上面板の内部における前記投入口の後方の空間に配置され、前記洗濯槽に供給される水が流れる第1水路と、前記第1水路に配置されて前記第1パイプに接続され、洗剤が前記第1水路に流入できる状態と流入できない状態との間で切り替えを行う第1切替部と、前記第1水路に配置されて前記第2パイプに接続され、柔軟剤が前記第1水路に流入できる状態と流入できない状態との間で切り替えを行う第2切替部と、前記第1水路に配置され、前記第1水路内を負圧にすることにより洗剤および柔軟剤を前記第1水路内に吸引するポンプと、を含む。前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクのうち、一方のタンクは、前記給水部の左方に配置され、当該一方のタンクの一部が前記投入口の左端と前記上面板の左端との間の空間に収まり、他方のタンクは、前記給水部の右方に配置され、当該他方のタンクの一部が前記投入口の右端と前記上面板の右端との間の空間に収まる。前記第1切替部が前記第2切替部よりも前記ポンプに近いことにより、前記洗剤タンクの排出口から前記ポンプまでの洗剤の吸引経路が前記柔軟剤タンクの排出口から前記ポンプまでの柔軟剤の吸引経路よりも短い。
【0011】
上記の構成によれば、上面板の内部における、投入口の後方の空間、投入口と左端との間の空間および投入口と右端との間の空間を利用して、洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部を配置できる。また、機種に応じて上面板や投入口のサイズが変更された場合は、それに応じて洗剤タンクと給水部の端部との距離、および、柔軟剤タンクと給水部の端部との距離が調整される。これらの距離が変わることにより、第1パイプおよび第2パイプについては、その長さが異なるものに取り換えられ得るが、少なくとも洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部については、共通部品として利用できる。これにより、洗濯機の製品コストの低減を図ることが可能となる。
【0013】
また、上記の構成によれば、第1切替部を切り替えることにより、洗剤タンクから第1水路内に洗剤を導入し、その後、第1水路内に水を流して、導入された洗剤を洗濯槽内へ流し込むことができる。さらに、第2切替部を切り替えることにより、柔軟剤タンクから第1水路内に柔軟剤を導入し、その後、第1水路内に水を流して、導入された柔軟剤を洗濯槽内へ流し込むことができる。
さらに、上記の構成によれば、ポンプにより、洗剤および柔軟剤が第1水路内に吸引されるので、洗剤および柔軟剤を第1水路内へ良好に導入できる。しかも、第1切替部が第2切替部よりもポンプに近いので、ポンプが動作したとき、洗剤タンクから洗剤を第1水路へ吸引する圧力が、柔軟剤タンクから柔軟剤を第1水路へ吸引する圧力よりも高くなりやすく、柔軟剤に比べて使用頻度が高い洗剤を、より良好に第1水路に導入することが可能となる。
【0014】
上記の構成とされた場合、前記第1切替部および前記第2切替部のうち少なくも一つの切替部は、前記洗剤タンクおよび前記柔軟剤タンクのうち対応するタンクに上下方向において重なるような構成とされ得る。この場合、前記対応するタンクの底面には、上方に凹み、前記少なくとも一つの切替部が収まる第1凹部が形成され得る。
【0015】
このような構成とされれば、洗剤タンクおよび/または柔軟剤タンクの容量低下を抑えつつ、洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部を含む給水装置を、左右方向および上下方向にコンパクトにでき、サイズの小さな上面板の内部に配置しやすくできる。
【0016】
上記の構成とされた場合、さらに、前記対応するタンクの底面には、前記第1凹部に繋がり、前記第1パイプおよび前記第2パイプのうち前記少なくとも一つの切替部に接続されるパイプが収まる第2凹部が形成され得る。
【0017】
このような構成とされれば、第1パイプと第1切替部とを、および/または、第2パイプと第2切替部とを、円滑に接続することが可能となる。
【0020】
本態様に係る洗濯機において、前記給水部は、前記第1水路に接続される第1バルブと、前記洗濯槽に供給される水が流れる、前記第1水路よりも許容流量が多い第2水路と、前記第2水路に接続され、前記第1バルブよりも定格流量が多い第2バルブと、をさらに含むような構成とされ得る。前記第1水路内に洗剤または柔軟剤が溜められた後に前記第1バルブを開放して前記第1水路内に水を流すときに、前記第2バルブを開放して前記第2水路内に水を流す。
【0021】
このような構成とされれば、第2水路から第1水路からよりも多くの流量で洗濯槽内に給水でき、第1水路のみから洗濯槽内へ洗剤や柔軟剤の投入とともに給水が行われる場合に比べて、給水時間を短くできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上面板のサイズが異なる機種の間において、洗剤タンク、柔軟剤タンクおよび給水部を共通部品として使用でき得る洗濯機を提供できる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が運転位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。図2(b)および(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が待機位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、給水装置、貯留タンクおよび供給ノズルが配置された上面板の平面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、給水装置の底面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、底面側から見た、給水装置の洗剤タンク側半分の分解斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る、底面側から見た、給水装置の柔軟剤タンク側半分の分解斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係る、給水装置の構成を模式的に示す図である。
図8図8(a)および(b)は、実施の形態の効果について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。図2(a)は、超音波洗浄部51と貯水部52が運転位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。図2(b)および(c)は、超音波洗浄部51と貯水部52が待機位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。図2(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー55の図示が省略されている。
【0027】
図1を参照して、全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、マイクロコンピュータ等により構成され、全自動洗濯機1による洗濯運転および後述する超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0028】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、洗濯脱水槽22は、本発明の「洗濯槽」に相当する。
【0029】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0030】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0031】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0032】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、ワイシャツの袖や襟口の部分に付着した皮脂汚れ、作業着に付着した油汚れなど、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0033】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽52aに供給される洗剤を含む水が、洗浄水として溜められる。
【0034】
排水受け部70は、貯水槽52aから排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。
【0035】
図2(a)ないし(c)を参照して、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部51と、貯水部52と、本体部53とを備える。超音波洗浄部51は、超音波を発生させる超音波発生体51aを有する。本体部53は、超音波洗浄部51を保持する。貯水部52は、本体部53に装着され、超音波発生体51aの下方に位置する。貯水部52には、洗浄水が溜められる貯水槽52aが設けられる。貯水槽52aには、貯留タンク60に繋がる供給ノズル54から洗浄水が供給される。
【0036】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口17aとして開口する。出入口17aには、投光性を有する、ほぼ方形状のカバー55が設けられる。
【0037】
図2(a)に示すように、超音波洗浄装置50が使用され、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部51と貯水部52とが収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す状態となる。カバー55は、ほぼ全体が収納部17内に収納される。このときの超音波洗浄部51と貯水部52の位置が運転位置となる。
【0038】
一方、図2(b)および(c)に示すように、超音波洗浄装置50が使用されず、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部51と貯水部52とが収納部17に収納される状態となる。収納部17の出入口17aがカバー55により閉じられ、超音波洗浄部51の前方がカバー55により覆われる。このときの超音波洗浄部51と貯水部52の位置が待機位置となる。
【0039】
洗浄運転の際には、被洗浄物の汚れの付着部分が貯水槽52aと超音波発生体51aとの間にセットされる。汚れの付着部分が貯水槽52a内に溜められた洗浄水で浸される。超音波発生体51aが作動すると、その先端から超音波が発生する。超音波振動の作用によって被洗浄物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0040】
図2(a)に示すように、上面板12には、投入口14の左後方に漏斗状の洗剤注ぎ口18が形成され、投入口14の右後方に漏斗状の柔軟剤注ぎ口19が形成される。洗剤注ぎ口18の中央部に形成された開口18aが、後述する洗剤タンクの投入口に繋がる。開口18aを通じて投入口にフィルタ110が装着される。また、柔軟剤注ぎ口19の中央部に形成された開口19aが、後述する柔軟剤タンクの投入口に繋がる。開口19aを通じて投入口にフィルタ210が装着される。洗剤注ぎ口18を通じて洗剤タンク内に液体の洗剤が投入され、柔軟剤注ぎ口19を通じて柔軟剤タンク内に液体の柔軟剤が投入される。洗剤および柔軟剤が投入されないとき、洗剤注ぎ口18および柔軟剤注ぎ口19は、それぞれ、図示しないカバーで覆われる。
【0041】
上面板12の後部には、給水装置80が配置される。給水装置80は、水道栓に繋がり、洗濯脱水槽22内へ給水を行う機能を有する。また、給水装置80は、液体の洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入する自動投入装置としても機能する。さらに、給水装置80は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。以下、給水装置80について、詳細に説明する。
【0042】
図3は、給水装置80、貯留タンク60および供給ノズル54が配置された上面板12の平面図である。図4は、給水装置80の底面図である。図5は、底面側から見た、給水装置80の洗剤タンク100側半分の分解斜視図である。図6は、底面側から見た、給水装置80の柔軟剤タンク200側半分の分解斜視図である。図7は、給水装置80の構成を模式的に示す図である。なお、図3では、便宜上、上面板12が透明な状態に描かれている。
【0043】
給水装置80は、洗剤タンク100と、柔軟剤タンク200と、給水ユニット300と、洗剤供給パイプ400と、柔軟剤供給パイプ500とで構成される。
【0044】
洗剤タンク100には、液体の洗剤が貯められる。柔軟剤タンク200には、液体の柔軟剤が貯められる。給水ユニット300には、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200から、それぞれ、洗剤および柔軟剤が導入される。給水ユニット300は、導入された洗剤および柔軟剤を、洗濯脱水槽22に供給される水により洗濯脱水槽22内に流し込む。
【0045】
給水ユニット300は、上面板12の内部における投入口14の後方の空間に配置される。洗剤タンク100は、給水ユニット300の左方に配置され、前側部分が投入口14と上面板12の左端との間の空間に収まる。柔軟剤タンク200は、給水ユニット300の右方に配置され、前側部分が投入口14と上面板12の右端との間の空間に収まる。洗剤供給パイプ400は、洗剤タンク100と給水ユニット300とに接続される。また、柔軟剤供給パイプ500は、柔軟剤タンク200と給水ユニット300とに接続される。
【0046】
給水ユニット300は、本発明の「給水部」に相当する。洗剤供給パイプ400は、本発明の「第1パイプ」に相当し、柔軟剤供給パイプ500は、本発明の「第2パイプ」に相当する。
【0047】
なお、上面板12の内部において、貯留タンク60は、給水ユニット300の後方に配置される。貯留タンク60から前方へ供給ノズル54が延び出す。また、図3には図示されていないが、左右と後の三方を給水ユニット300に囲まれた空間に、超音波洗浄装置50が配置される。このように、給水ユニット300が、上方から見て、超音波洗浄装置50を取り囲むような凹形状とされているので、給水ユニット300を、上面板12の後部に効率的に配置できる。
【0048】
洗剤タンク100は、たとえば樹脂材料により形成され、前後に長い箱状を有する。洗剤タンク100の上面には、前側に、円形の投入口101が形成される。投入口101には、フィルタ110が装着される。フィルタ110は、投入口101から洗剤タンク100内へ侵入した異物を捕獲する。洗剤タンク100の底面には、前側に、下方に突き出す円形の排出部102が形成される。排出部102の周面には、後方へ延びる円筒状の排出口103が形成される。また、洗剤タンク100の底面には、排出部102の後方であって給水ユニット300側に第1凹部104が形成される。第1凹部104は、前後に長いほぼ方形状を有し、給水ユニット300側が開放されている。さらに、洗剤タンク100の底面には、排出部102の後方に、第1凹部104に繋がる、ほぼL字状の第2凹部105が形成される。
【0049】
柔軟剤タンク200は、たとえば樹脂材料により形成され、前後に長い箱状を有する。柔軟剤タンク200の上面には、前側に、円形の投入口201が形成される。投入口201には、フィルタ210が装着される。フィルタ210は、投入口201から柔軟剤タンク200内へ侵入した異物を捕獲する。柔軟剤タンク200の底面には、前側に、下方に突き出す円形の排出部202が形成される。排出部202の周面には、後方へ延びる円筒状の排出口203が形成される。また、柔軟剤タンク200の底面には、排出部202の後方であって給水ユニット300側に第1凹部204が形成される。第1凹部204は、前後に細長いほぼ方形状を有し、給水ユニット300側が開放されている。さらに、柔軟剤タンク200の底面には、排出部202の後方に、第1凹部204に繋がる、ほぼL字状の第2凹部205が形成される。
【0050】
給水ユニット300は、水路部材310と、給水バルブ320と、第1三方バルブ330と、第2三方バルブ340と、第3三方バルブ350と、ポンプ360とを含む。第1三方バルブ330は、本発明の「第1切替部」に相当し、第2三方バルブ340は、本発明の「第2切替部」に相当し、ポンプ360は、本発明の「吸引部」に相当する。
【0051】
水路部材310は、それぞれが樹脂材料からなる第1水路部310aと第2水路部310bと第3水路部310cとを連結することにより形成される。第1水路部310aは、洗剤タンク100側に位置し、第2水路部310bは、柔軟剤タンク200側に位置し、第3水路部310cは、第1水路部310aと第2水路部310bの間に位置する。
【0052】
水路部材310には、第1水路部310aに、注水室311が設けられる。注水室311の底部には、前端部に、注水口311aが形成される。注水口311aは、洗濯脱水槽22の上方に臨む。
【0053】
図7に示すように、水路部材310には、注水室311に繋がる第1水路312と第2水路313が形成される。第1水路312と第2水路313には、洗濯脱水槽22内に供給される水が流れる。第1水路312への水の流入口314と第2水路313への水の流入口315は、第2水路部310bに設けられる。第2水路313の平均的な流路面積は、第1水路312の平均的な流路面積よりも大きく、第2水路313の許容流量は、第1水路312の許容流量よりも多くなる。さらに、水路部材310には、第1水路部310aに、貯留タンク60内への給水のために第1水路312から分岐する分岐水路316が形成される。分岐水路316の流出口316aが貯留タンク60の流入口に接続される。
【0054】
第1水路312には、流入口314から注水室311までの経路の途中に、上流から順に、第2三方バルブ340と、第1三方バルブ330と、ポンプ360と、第3三方バルブ350とが配置される。このため、第1水路312は、これら第2三方バルブ340、第1三方バルブ330、ポンプ360および第3三方バルブ350の位置で分断され、それぞれの位置に、上流側接続口317a、317b、317c、317dと下流側接続口318a、318b、318c、318dと有する。また、第1三方バルブ330は、第2三方バルブ340よりもポンプ360の近くに位置する。
【0055】
図5に示すように、第1水路部310aには、洗剤タンク100側の側面の前側に、第1三方バルブ330に対応する上流側接続口317bと下流側接続口318bが形成され、後側に、第3三方バルブ350に対応する上流側接続口317d、下流側接続口318dおよび分岐水路316との接続口316bが形成される。また、第1水路部310aには、前側に、底面が開口するポンプ収容室319が設けられ、ポンプ収容室319の天面に、ポンプ360に対応する上流側接続口317cと下流側接続口318cが形成される。
【0056】
図6に示すように、第2水路部310bには、柔軟剤タンク200側の側面の前側に、第2三方バルブ340に対応する上流側接続口317aと下流側接続口318aが形成され、後側に、第1水路312の流入口314と第2水路313の流入口315が形成される。
【0057】
給水バルブ320は、いわゆる2連バルブであり、第1バルブ321と、第1バルブ321よりも定格流量が多い第2バルブ322とを有する。給水バルブ320の入水口323は、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。第2水路部310bにおいて、第1バルブ321の出水口324が、第1水路312の流入口314に接続され、第2バルブ322の出水口325が、第2水路313の流入口315に接続される。
【0058】
第1三方バルブ330および第2三方バルブ340は、第1入水口331、341と、第2入水口332、342と、出水口333、343とを有し、第1入水口331、341と出水口333、343とを連通する状態と、第2入水口332、342と出水口333、343とを連通する状態とに切り替えられる。第2入水口332、342は、第1入水口331、341と反対方向を向き、出水口333、343は、第1入水口331、341と同じ方向を向く。
【0059】
第3三方バルブ350は、入水口351と、第1出水口352と、第2出水口353とを有し、入水口351と第1出水口352とを連通する状態と、入水口351と第2出水口353を連通する状態とに切り替えられる。入水口351、第1出水口352および第2出水口353は、同じ方向を向く。
【0060】
第1水路部310aにおいて、第1三方バルブ330の第1入水口331および出水口333が、それぞれ、上流側接続口317bおよび下流側接続口318bに接続され、第3三方バルブ350の入水口351、第1出水口352および第2出水口353が、それぞれ、上流側接続口317d、下流側接続口318dおよび接続口316bに接続される。
【0061】
第2水路部310bにおいて、第2三方バルブ340の第1入水口341および出水口343が、それぞれ、上流側接続口317aおよび下流側接続口318aに接続される。
【0062】
ポンプ360は、ピストン式ポンプであり、ピストンが内蔵されたケーシング361と、ピストンを駆動するためのモータ362と、を含む。ケーシング361には、吸込口363と吐出口364が形成される。また、ケーシング361には、カバー365が一体形成される。モータ362の軸には、カム366が設けられる。
【0063】
ケーシング361は、第1水路部310aのポンプ収容室319に収容される。ケーシング361の吸込口363および吐出口364が、それぞれ、ポンプ収容室319の天面の上流側接続口317cおよび下流側接続口318cに接続される。ポンプ収容室319の底面の開口が、カバー365により覆われる。モータ362が第1水路部310aの前面に取り付けられて、カム366がピストンに連結される。
【0064】
洗剤タンク100、柔軟剤タンク200および給水ユニット300が、上面板12の内部に配置された状態において、給水ユニット300の第1三方バルブ330のほぼ半分が、洗剤タンク100の底面の第1凹部104に収まり、上下方向において、洗剤タンク100と重なる。また、給水ユニット300の第2三方バルブ340のほぼ3分の1の部分が、柔軟剤タンク200の底面の第1凹部204に収まり、上下方向において、柔軟剤タンク200と重なる。これにより、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の容量低下を抑えつつ、給水装置80を、左右方向および上下方向にコンパクトにできる。
【0065】
洗剤供給パイプ400の一端が、第1三方バルブ330の第2入水口332に接続され、洗剤供給パイプ400他端が、洗剤タンク100の排出口103に接続される。洗剤供給パイプ400の一端側が、洗剤タンク100の底面の第2凹部105に収まる。即ち、第1凹部104に収容された第1三方バルブ330の第2入水口332は、第2凹部105へと延び、第2凹部105内で、洗剤供給パイプ400の一端と接続される。これにより、第1三方バルブ330と洗剤供給パイプ400の円滑な接続が可能となる。
【0066】
また、柔軟剤供給パイプ500の一端が、第2三方バルブ340の第2入水口342に接続され、柔軟剤供給パイプ500他端が、柔軟剤タンク200の排出口203に接続される。柔軟剤供給パイプ500の一端側が、柔軟剤タンク200の底面の第2凹部205に収まる。即ち、第1凹部204に収容された第2三方バルブ340の第2入水口342は、第2凹部205へと延び、第2凹部205内で、柔軟剤供給パイプ500の一端と接続される。これにより、第2三方バルブ340と柔軟剤供給パイプ500の円滑な接続が可能となる。
【0067】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0068】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0069】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0070】
洗い工程での給水時には、給水装置80により、洗濯脱水槽22内に洗剤が自動投入される。このとき、第3三方バルブ350は、入水口351と第1出水口352が連通する状態に切り替えられており、第1水路312が、貯留タンク60と遮断されて注水室311と繋がる状態となっている。また、第2三方バルブ340は、第1入水口341と出水口343が連通する状態に切り替えられており、第1水路312が、第2三方バルブ340の位置で繋がった状態となっている。
【0071】
まず、第1三方バルブ330が、第2入水口332と出水口333とが連通する状態に切り替えられる。これにより、洗剤が第1水路312に流入できる状態となる。ポンプ360が作動し、第1水路312内のポンプ360の上流側の空気が吸引されて上流側が負圧になる。これにより、図7の一点鎖線に示すように、洗剤タンク100内の液体の洗剤が、洗剤供給パイプ400を介して第1水路312内に吸引される。ポンプ360は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の洗剤が第1水路312内に溜まる。
【0072】
次に、第1三方バルブ330が、第1入水口331と出水口333とが連通する状態に切り替えられる。これにより、洗剤が第1水路312に流入できない状態となる。また、第1水路312が、第1三方バルブ330の位置で繋がった状態となる。給水バルブ320の第1バルブ321が開かれ、図7の実線矢印に示すように、水道栓からの水が第1水路312内に供給される。第1水路312内を流れる水は、第1水路312内に溜まった洗剤を押し流す。水に押し流された洗剤は、水とともに注水室311へと流れ、注水口311aから洗濯脱水槽22内へ投入される。
【0073】
さらに、給水バルブ320では、第1バルブ321が開かれると同時に第2バルブ322が開かれて、洗濯脱水槽22内への給水が行われる。図7の破線矢印に示すように、水道栓からの水が第2水路313内に供給され、第2水路313内を流れて注水室311に至り、注水口311aから洗濯脱水槽22内に放出される。このとき、第2水路313を流れる水の流量は、第1水路312を流れる水の流量より多くなる。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、第1バルブ321と第2バルブ322が閉じられて、給水が終了する。
【0074】
最終すすぎ工程での給水時には、給水装置80により、洗濯脱水槽22内に柔軟剤が自動投入される。このとき、洗い工程と同様、第1水路312は、注水室311と繋がった状態となっている。また、第1三方バルブ330は、第1入水口331と出水口333が連通する状態に切り替えられており、第1水路312が、第1三方バルブ330の位置で繋がった状態となっている。
【0075】
まず、第2三方バルブ340が、第2入水口342と出水口343とが連通する状態に切り替えられる。これにより、柔軟剤が第1水路312に流入できる状態となる。ポンプ360が作動し、図7の二点鎖線に示すように、柔軟剤タンク200内の液体の柔軟剤が、柔軟剤供給パイプ500を介して第1水路312内に吸引される。ポンプ360は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の柔軟剤が第1水路312内に溜まる。
【0076】
次に、第2三方バルブ340が、第1入水口341と出水口343とが連通する状態に切り替えられる。これにより、柔軟剤が第1水路312に流入できない状態となる。また、第1水路312が、第2三方バルブ340の位置で繋がった状態となる。第1バルブ321が開かれ、図7の実線矢印に示すように、水道栓からの水が第1水路312内に供給される。第1水路312内に溜まった柔軟剤は、第1水路312内を流れる水に押し流されて注水室311へと流れ、注水口311aから洗濯脱水槽22内へ投入される。
【0077】
さらに、洗い工程と同様、第1バルブ321と同時に第2バルブ322が開かれて、洗濯脱水槽22内への給水が行われる。
【0078】
全自動洗濯機1では、上述した、超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。洗浄運転での給水時には、貯水槽52aへ給水が行われる前に、給水装置80により貯留タンク60内に洗浄水が供給される。
【0079】
まず、第3三方バルブ350が、入水口351と第2出水口353が連通する状態に切り替えられる。これにより、第1水路312は、注水室311と遮断され、分岐水路316を介して貯留タンク60と繋がった状態となる。洗い工程と同様、第1三方バルブ330が、洗剤が第1水路312に流入できる状態に切り替えられた後、ポンプ360が作動し、洗剤タンク100内の液体の洗剤が第1水路312内に吸引される。ポンプ360は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の洗剤が第1水路312内に溜まる。
【0080】
次に、第1三方バルブ330が、洗剤が第1水路312に流入できず、第1水路312が第1三方バルブ330の位置で繋がる状態に切り替えられる。その後、給水バルブ320の第1バルブ321が開かれ、水道栓からの水が第1水路312内に供給される。第1水路312内に溜まった洗剤が、第1水路312内を流れる水に押し流され、洗剤が水に混合されて洗浄水となる。洗浄水は、分岐水路316を通り、貯留タンク60内に流入する。貯留タンク60内に所定量の洗浄水が溜まると、第1バルブ321が閉じられる。
【0081】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、上面板12の内部における、投入口14の後方の空間、投入口14と左端との間の空間および投入口14と右端との間の空間を利用して、洗剤タンク100、柔軟剤タンク200および給水ユニット300を配置できる。
【0082】
また、機種に応じて上面板12と投入口14のサイズが変わることにより、左右の空間のピッチが変化した場合は、それに応じて洗剤タンク100と給水ユニット300の左端部、即ち第1三方バルブ330との距離、および、柔軟剤タンク200と給水ユニット300の右端部、即ち第2三方バルブ340との距離が調整される。たとえば、図8(a)に示すように、上面板12のサイズが小さく、それに伴い投入口14のサイズが小さくなった場合、洗剤タンク100と給水ユニット300の第1三方バルブ330との距離がなくなって、これらが上下方向に重なるようになされ、柔軟剤タンク200と給水ユニット300の第2三方バルブ340との距離がなくなって、これらが上下方向に重なるようになされる。一方、図8(b)に示すように、上面板12のサイズが大きく、それに伴い投入口14のサイズが大きくなった場合、洗剤タンク100と給水ユニット300の第1三方バルブ330との距離が大きくされ、柔軟剤タンク200と給水ユニット300の第2三方バルブ340との距離が大きくされる。
【0083】
これら洗剤タンク100、柔軟剤タンク200および給水ユニット300の左右方向の距離が変わることで、たとえば、図8(a)および(b)のように、洗剤供給パイプ400および柔軟剤供給パイプ500については、その長さが異なるものが用意されることになる。しかしながら、洗剤タンク100、柔軟剤タンク200および給水ユニット300については、共通部品として利用できる。これにより、全自動洗濯機1の製品コストの低減を図ることが可能となる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、第1三方バルブ330を切り替えることにより、洗剤タンク100から第1水路312内に洗剤を導入し、その後、第1水路312内に水を流して、導入された洗剤を洗濯脱水槽22内へ流し込むことができる。さらに、第2三方バルブ340を切り替えることにより、柔軟剤タンク200から第1水路312内に柔軟剤を導入し、その後、第1水路312内に水を流して、導入された柔軟剤を洗濯脱水槽22内へ流し込むことができる。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、第1三方バルブ330および第2三方バルブ340が、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200に上下方向において重なり、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の底面には、上方に凹み、第1三方バルブ330および第2三方バルブ340が収まる第1凹部104、204が形成されている。これにより、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の容量低下を抑えつつ、給水装置80を、左右方向および上下方向にコンパクトにでき、サイズの小さな上面板12の内部に配置しやすくできる。
【0086】
さらに、本実施の形態によれば、洗剤タンク100の底面には、第1凹部104に繋がり、洗剤供給パイプ400が収まる第2凹部105が形成されるので、第2凹部105内で、洗剤供給パイプ400と第1三方バルブ330とを円滑に接続することが可能となる。さらに、柔軟剤タンク200の底面には、第1凹部204に繋がり、柔軟剤供給パイプ500が収まる第2凹部205が形成されるので、第2凹部205内で、柔軟剤供給パイプ500と第2三方バルブ340とを円滑に接続することが可能となる。
【0087】
さらに、本実施の形態によれば、ポンプ360により、洗剤および柔軟剤が第1水路312内に吸引されるので、洗剤および柔軟剤を第1水路312内へ良好に導入できる。しかも、第1三方バルブ330が第2三方バルブ340よりもポンプ360に近いので、ポンプ360が動作したとき、洗剤タンク100から洗剤を第1水路312へ吸引する圧力が、柔軟剤タンク200から柔軟剤を第1水路312へ吸引する圧力よりも高くなりやすく、柔軟剤に比べて使用頻度が高い洗剤を、より良好に第1水路312に導入することが可能となる。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、給水ユニット300には、第1水路312よりも許容流量が多い第2水路313が設けられているので、第2水路313から第1水路312からよりも多くの流量で洗濯脱水槽22内に給水でき、第1水路312のみから洗濯脱水槽22内に洗剤や柔軟剤の投入とともに給水が行われる場合に比べて、給水時間を短くできる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0090】
たとえば、上記実施の形態では、全自動洗濯機1に、超音波洗浄装置50が設けられ、超音波洗浄装置50への給水のために供給ノズル54と貯留タンク60とが設けられた。しかしながら、全自動洗濯機1は、超音波洗浄装置50、供給ノズル54および貯留タンク60が設けられない構成とされてもよい。この場合、給水装置80には、第3三方バルブ350と分岐水路316が設けられない。
【0091】
また、上記実施の形態では、給水ユニット300の左方に洗剤タンク100が配置され、給水ユニット300の右方に柔軟剤タンク200が配置された。しかしながら、これとは反対に、給水ユニット300の左方に柔軟剤タンク200が配置され、給水ユニット300の右方に洗剤タンク100が配置されてもよい。この場合、給水ユニット300では、水路部材310の第1水路部310aと第2水路部310bの左右の位置が変えられてもよい。
【0092】
さらに、上記実施の形態では、洗剤および柔軟剤が第1水路312に流入できる状態と流入できない状態との間で切り替えを行うために、それぞれ、第1三方バルブ330および第2三方バルブ340が用いられた。しかしながら、洗剤供給パイプ400および柔軟剤供給パイプ500を、それぞれ、開閉バルブを介して第1水路312に接続するような構成が採られてもよい。この構成では、開閉バルブの開閉により、洗剤および柔軟剤が第1水路312に流入できる状態と流入できない状態とに切り替えられる。
【0093】
さらに、上記実施の形態では、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200から洗剤および柔軟剤を第1水路312内に吸引するためにポンプ360が用いられた。しかしながら、ポンプ360以外の吸引可能な機器が用いられてもよい。さらには、ポンプ360等の吸引機器が設けられず、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の底面が第1水路312よりも高くされ、重力により、洗剤および柔軟剤が第1水路312内に導入されるようにしてもよい。
【0094】
さらに、上記実施の形態では、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の双方に、第1凹部104、204が形成され、これら第1凹部104、204に第1三方バルブ330および第2三方バルブ340が収められた。しかしながら、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200のうち一方に、第1凹部104(204)が形成され、この第1凹部104(204)に、第1三方バルブ330および第2三方バルブ340のうち、対応する三方バルブが収められる構成が採られてもよい。この場合、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200のうち、第1凹部104(204)が形成されたタンクに第2凹部105(205)が形成される。さらには、洗剤タンク100および柔軟剤タンク200の双方に、第1凹部104、204および第2凹部105、205が形成されない構成が採られてもよい。
【0095】
さらに、上記実施の形態では、洗剤タンク100の底面の第1凹部104は、第1三方バルブ330の一部が収まる大きさとされ、柔軟剤タンク200の底面の第1凹部204は、第2三方バルブ340の一部が収まるような大きさとされた。しかしながら、洗剤タンク100の第1凹部104は、第1三方バルブ330全体が収まる大きさとされてもよく、柔軟剤タンク200の第1凹部204は、第2三方バルブ340全体が収まる大きさとされてもよい。このように構成された場合、洗剤タンク100と第1三方バルブ330全体を上下方向に重ねることができ、柔軟剤タンク200と第2三方バルブ340全体を上下方向に重ねることができる。
【0096】
さらに、上記実施の形態では、洗い工程およびすすぎ工程の給水時に、給水バルブ320の第1バルブ321と第2バルブ322が同時に開かれ、第1水路312と第2水路313に同時に水が流された。しかしながら、第1バルブ321が開かれて第1水路312に流された水により洗剤や柔軟剤が洗濯脱水槽22に投入され、洗剤や柔軟剤の投入が完了して第1バルブ321が閉じられたのちに、第2バルブ322が開かれて第2水路313に水が流されるようにしてもよい。
【0097】
さらに、上記実施の形態では、給水ユニット300に第2水路313が設けられた。しかしながら、給水ユニット300に第2水路313が設けられない構成が採られてもよい。この場合、給水バルブ320は、第1バルブ321のみを備える構成となる。
【0098】
さらに、上記実施の形態では、全自動洗濯機1が示された。しかしながら、本発明は、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機にも適用できる。
【0099】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
12 上面板
14 投入口
22 洗濯脱水槽(洗濯槽)
80 給水装置
100 洗浄タンク
104 第1凹部
105 第2凹部
200 柔軟剤タンク
204 第1凹部
205 第2凹部
300 給水ユニット(給水部)
312 第1水路
313 第2水路
330 第1三方バルブ(第1切替部)
340 第2三方バルブ(第2切替部)
360 ポンプ(吸引部)
400 洗剤供給パイプ(第1パイプ)
500 柔軟剤供給パイプ(第2パイプ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8