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特許7550425炎症性疾患の処置のためのキノリン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】炎症性疾患の処置のためのキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20240906BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240906BHJP
   C07D 215/38 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K31/47 ZNA
A61P29/00
C07D215/38 CSP
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023001382
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2020154962の分割
【原出願日】2015-07-17
(65)【公開番号】P2023052265
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】14306164.6
(32)【優先日】2014-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515048803
【氏名又は名称】アビバックス
(73)【特許権者】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(73)【特許権者】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ジャマル タツィ
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ナジマン
(72)【発明者】
【氏名】フロランス マウトー
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ シェラー
(72)【発明者】
【氏名】カリム シェブリ
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ハーン
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6884690(JP,B2)
【文献】特表2013-545798(JP,A)
【文献】特表2012-529495(JP,A)
【文献】特表2012-529494(JP,A)
【文献】特表2012-529493(JP,A)
【文献】特表2006-504646(JP,A)
【文献】特表2005-504728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 215/38
A61K 31/47
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
8-クロロ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)]キノリン-2-アミンもしくはその薬学的に許容される塩の水和物または溶媒和物含む、炎症性疾患の処置および/または予防の為の剤。
【請求項2】
前記炎症性疾患を処置すること、発症する可能性を減らすこと、又は発生を遅延させることにおいて使用する為の、請求項1記載の
【請求項3】
前記炎症性疾患が、自己免疫疾患に関連づけられた炎症性疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、関節炎疾患、炎症性消化管疾患、炎症性の皮膚疾患および上皮細胞に関連づけられた他の炎症性疾患、及び癌に関連づけられた炎症、刺激に関連づけられた炎症、および損傷に関連づけられた炎症からなるリストから選択される、請求項1又は2に記載の
【請求項4】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン、変形性関節症、アテローム性動脈硬化、強直性脊椎炎、乾癬、皮膚炎、シェ―グレン症候群、気管支炎、喘息、および大腸癌に関連づけられた炎症からなるリストから選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の
【請求項5】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、変形性関節症、強直性脊椎炎、乾癬、シェ―グレン症候群、気管支炎、および大腸癌に関連づけられた炎症からなるリストから選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の
【請求項6】
前記炎症性疾患が、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、および強直性脊椎炎からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~5のいずれか1項に記載の剤。
【請求項7】
前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、クローン病又は潰瘍性大腸炎である、請求項1~6のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
炎症性疾患を処置するおよび/または予防するために効率的である新規キノリン誘導体の同定、並びに炎症性疾患に対するキノリン誘導体の新規な治療的使用に、本発明は関する。
【0002】
本発明は、このような炎症性疾患に関連した生物マーカーの分野にも関する。
【背景技術】
【0003】
炎症は、組織の損傷および感染に対する、免疫系による保護反応である。しかしながら、炎症反応は、いくつかの状況において体に害を与え得る。急性期において、炎症は、痛み、熱、発赤、腫脹、および機能の喪失によって特徴づけられる。世界的に数百万人に影響を及ぼす、広範囲にわたる炎症性の症状がある。
【0004】
実際、炎症性疾患は、自己免疫疾患に関連づけられた炎症性疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、関節炎疾患、炎症性消化管疾患、および炎症性皮膚を含む、広範囲にわたる症状を含む。それらの中で、炎症性腸疾患、関節リウマチ、および多発性硬化症は、特に興味深い。
【0005】
炎症性腸疾患(IBD)は、複合多因子疾患である(PerseおよびCerar, 2012)。それは、一般に潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)(腸の炎症を含む2つの慢性症状)を指す。IBDは、先進諸国において一般的であり、これらの疾患に影響を受ける北部ヨーロッパ地域の200人に一人に及ぶ。IBD患者は、いくつかの臨床的に困難な課題を、医師に提示する。DSSにより誘発された大腸炎は、TNFαおよびIFNγを含む種々の炎症誘発性サイトカインのアップレギュレーションに伴われる。近年では、miR-124は、活動性のUCをもつ小児患者において特異的に脱制御され、シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)の発現、及び炎症誘発性サイトカインのうちその下流の標的の転写活性化を高いレベルに導くことが示された(Koukos et al.; Gastroenterology; 145(4):842-52: 2013)。しかしながら、最近の進歩にもかかわらず、安全性、急速な発症に良い耐性の治療、および長期の寛解を維持する為の高められた能力の必要性は、残っている。
【0006】
関節リウマチ(RA)は、世界中の人口の約0.3~1%の有病率を持つ最も頻繁な自己免疫疾患であり、低下した運動能、高められた社会依存、および作業障害をしばしば伴う。RAは、関節滑膜と呼ばれる関節表層組織に影響を及ぼす全身性炎症性疾患である。内膜表層中の繊維芽細胞様の滑膜細胞(FLS)の過剰な増殖、およびマクロファージ、TおよびB細胞および、骨および軟骨の炎症および破壊を促進する他の炎症細胞による表層下への浸潤によって、リウマチ様滑膜組織は特徴づけられる。例えばRA FLSの過剰増殖に関与することによって、炎症誘発性サイトカイン、特に腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン-1(IL-1)および-6(IL-6)(主に滑膜マクロファージによって作られる)の関節内および全身性発現は、RAの病因において、例えばRA FLSの過剰発現に寄与することによって重要な役割を果たす。疾患修飾抗リウマチ剤(DMARD)と呼ばれる一群の低分子薬物によって、RA患者は一般に治療される。DMARDは何らかの様式で体の過剰免疫および/または炎症システムを抑制し、それによって、疾患進行を遅らせる。DMARDに反応しないRA患者は、生物学的薬剤(例えば腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト)で治療される。しかしながら、TNFアンタゴニストが患者の約2/3に効果的であるが、反応する患者はしばしば5年以内に反応しなくなる。従って、他の処置が必要とされる。特に、疾患が慢性化する前に、早期のRA患者のために設計された新規な治療アプローチが特に重要である。
【0007】
多発性硬化症(MS)は、炎症性自己免疫疾患(ミエリン、オリゴデンドロサイト、およびアクソンを破壊する中枢神経系の脱髄疾患)である。MSは、炎症の複数の病巣および中枢神経系中のマクロファージおよび脳炎誘発性T細胞の浸潤によって特徴づけられる。ミクログリアは、中枢神経系の全体にわたって見つかり、CNS炎症反応の発症および進行に関与する。ミクログリアは、活性化されると、ニューロトキシンの産生、炎症細胞(炎症性たんぱく質-10、マクロファージ炎症性たんぱく質-1、マクロファージ炎症性たんぱく質-2、C-C ケモカインリガンド 19、単球走化性タンパク質-1、単球走化性タンパク質-2)および、抗体を作る免疫細胞の生産によりCNS官能性に非常に害を与える。外部からの侵入物に対する免疫細胞によってならびにミエリンタンパク質を破壊するT細胞によって脳および脊髄が浸潤される結果となり得る直接の炎症反応を、ミクログリアは指令する。末梢マクロファージは、炎症の間にCNS中に現れ、そしてこれらの細胞は高度に活性化された表現型を有し、効率的に脳炎誘発性T細胞の拡大を刺激して、ニューロン組織破壊に関与すると考えられる。
【0008】
マイクロRNA(miRNA)(最も包括的なノンコーディング群)は、標的mRNA転写産物の翻訳されない領域(UTR)への結合を介した遺伝子発現を阻害する約22ntのノンコーディングRNAのクラスである(Lai et al., Nature Genetics, vol. 30, no. 4, pp. 363-364, 2002; Bartel et al., Cell, vol. 136, no. 2, pp.215-233,2009)。miRNA遺伝子は、公知の真核ゲノムの約1~2%を表す。各miRNAが200以上の転写産物を標的とすることができ、そして単一のmRNAが、複数のmiRNAにより制御され得ることを、予測は示唆する(LINDOW, DNA Cell Biol.,vol. 26(5), p. 339-351, 2007)。miRNAは内在性のヘアピン形の転写産物から生成され、そして標的mRNAとの塩基対合によって作用し、それは塩基対合の程度に応じて、メッセンジャーRNA切断または翻訳の抑制に導く。2つのプロセシングイベントは、成熟したmiRNAの形成をもたらす:第一に、初期のmiRNA転写産物(pri-miRNA)は、70のヌクレオチド前駆体(前miRNA)へと処理され、それは核から輸出され、そして細胞質において切断されて、短い(約22のヌクレオチド長)成熟したmiRNAが生成される(LEE, EMBO J., vol. 21, p; 4663-4670, 2002)。miRNAは、遺伝子内または遺伝子間に配置されることができる。遺伝子間の場合、それらの発現はクラスターとして他のmiRNAと統合される(Altuvia et al.,Nucleic Acids Research,vol.33, no. 8, pp. 2697-2706, 2005, Ozsolak et al., Genes and Development,vol. 22, no. 22, pp. 3172-3183, 2008)。遺伝子内、すなわちタンパク質-コード遺伝子内(ほぼ専らイントロン内)に配置された場合、それらは、それらの宿主遺伝子と同じストランドから(Liu et al., Cell Research, vol. 18, no. 10, pp. 985-996, 2008, Kim et al., EMBO Journal,vol. 26, no. 3, pp. 775-783, 2007)、互いに関連づけられたレベルでしばしば発現する(Baskerville et al.,RNA, vol. 11, no. 3, pp. 241-247, 2005)。
【0009】
miRNA(すなわち、miR-124)の過剰発現が炎症性マクロファージを不活性化させ、そしてそれらをミクログリア様の細胞に変換することが今わかった。CEBPα(骨髄性系統細胞の分化に対して責任を負う転写因子)を標的とすることによって、miR-124がマクロファージの活性化を阻害すると考えられる。miR-124を含有しているリポソームの静脈注射は、臨床上のEAE症状を著しく抑制し、CNS中への脳炎誘発性T細胞および炎症性マクロファージの浸潤を阻害する。
【0010】
実際、Ponomarevら("microRNA-124 promotes microglia quiescence and suppresses EAE by deactivating macrophages via the C/EBP-α-PU.1 pathway"; Nature Medicine (2011);17:1: 64-71)は、miR-124がミクログリア静止のキイレギュレーターとして、そして単球およびマクロファージ活性化のモジュレーターとしての役割を果たすことができることを示唆している。実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルに基づいて、miR-124発現パターンがEAEをもつマウスにおいて調整される(細胞型に応じてアップレギュレート又はダウンレギュレートされる)ことを、この研究は示唆する。
【0011】
WO2010/151755も、中枢神経系(CNS)炎症性疾患を処置するためのmiR-124の投与を教示している。
【0012】
Sunら("microRNA-124 mediates the cholinergic anti-inflammatory action through inhibiting the production of pro-inflammatory cytokines"; Cell Research (2013);23:1270-1283)も、miR-124がSTAT3およびTACEを標的とすることを通して、コリン作動性抗炎症作用を仲介できることを教示している。
【0013】
一方、本明細書中で「キノリン誘導体」と呼ばれる新規化合物は、別記ないかぎり、同定された。
【0014】
参考として、キノリンは、以下の式の複素環式芳香族有機化合物である:
【化1】
【0015】
つまり、「キノリン誘導体」は、置換されたキノリン(例えばモノ-または多置換されたキノリン)を含む。
【0016】
WO2010/143170は、早老に伴う症状を処置する為の化合物の使用を教示する。
【0017】
WO2010/143169およびWO2012/080953は、AIDSを処置するための化合物の使用を教示する。
【0018】
WO2010/143168は、選択された癌の処置のための化合物の使用を教示する。それらの化合物は、選択的スプライシングの欠陥を修正することが可能なことが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
下記で式(I)に定義された化合物が、炎症性疾患の処置および/または予防に有用であることが今わかった。
【0020】
それ故本発明は、炎症性疾患の処置および/または予防における使用の為の、下記で定義された式(I)の化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
特に本発明は、炎症、および/またはこのような炎症性疾患とともに発生し得る炎症の処置および/または予防における使用の為の、下記で定義された式(I)の化合物に関する。
【0022】
本発明は少なくとも一つのmiRNAのin vitro 又は ex vivoの使用にも関し、ここで前記少なくとも一つのmiRNAが、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定されるキノリン誘導体、および特に式(I)の化合物、をスクリーニングするためのバイオマーカーとしてのmiR-124である。
【0023】
以下に定義されるように、本発明は式(Id)または(Ie)の化合物に更に関する。
【0024】
本発明は、式(Id)または(Ie)の少なくとも一つの化合物を含有する医薬品組成物に更に関する。
【0025】
それは、以下からなるリストにおいて選択される化合物自体にも関する:
-(8)8-クロロ-5-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(9)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2,4-ジアミン
-(10)8-クロロ-Nーメチル-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(11)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2,4-ジアミン
-(13)4,8-ジクロロ-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(14)8-クロロ-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(15)8-クロロ-6-(2-モルホリノエトキシ)-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(16)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(17)8-クロロ-6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(18)8-クロロ-6-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(19)8-クロロ-6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(20)8-クロロ-N-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(21)N-(5-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-8-クロロキノリン-2-アミン
-(22)N-(8-クロロキノリン-2-イル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2,5-ジアミン
-(28)8-クロロ-Nーメチル-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(29)8-クロロ-5-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(30)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(31)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(32)8-クロロ-N-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(33)8-クロロ-N-(4-モルホリノブチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(34)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2,4-ジアミン
-(35)4,8-ジクロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(36)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(37)N-(4,8-ジクロロキノリン-2-イル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(38)4,8-ジクロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(39)8-クロロ-6-(2-モルホリノエトキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(40)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2,4-ジアミン
-(41)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(2-ニトロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(42)N-(8-クロロキノリン-2-イル)-N-(2-モルホリノエチル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(43)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(44)N-(8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)キノリン-2-イル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(46)8-クロロ-2-((4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)キノリン
-(47)4-(2-((8-クロロ-2-((4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)キノリン-6-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(48)8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン
-(49)4-(2-((8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン-6-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(50)4-(2-((8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン-5-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(51)リン酸モノ[8-クロロ-2-(4-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イルアミノ)-キノリン-6-イル]エステル
-(52)リン酸モノ[2-(8-クロロ-キノリン-2-イルアミノ)-5-トリフルオロメトキシ-フェニル]エステル
-(53)リン酸モノ[8-クロロ-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-キノリン-6-イル]エステル
-及びそれらの薬学的に許容される塩、およびより特別には上記の化合物(8)、(9)、(10)、(11)、(30)、(46)、(47)、(48)、(49)、および(50)から選択される化合物またはその薬学的な塩の一つ。
【0026】
本発明はまた、上記で定義した式 (Id)または (Ie)の少なくとも一つの化合物、又は上記の(8), (9), (10), (11),(13), (14), (15), (16), (17), (18), (19), (20),(21), (22), (28), (29), (30),(31), (32), (33), (34), (35), (36), (37), (38),(39), (40), (41), (42), (43),(44), (46), (47), (48), (49), (50), (51), (52)、及び (53)の化合物の内の一つ、及びより特別には(8), (9), (10), (11),(30), (46), (47), (48), (49)、及び(50)の化合物の内の一つを含有する医薬組成物に関する。
【0027】
真核細胞におけるmiR-124の発現を増加させるためのin vitroまたは ex vivoでの方法に、本発明は更に関し、少なくとも以下の工程を含む:
a) 真核細胞を用意すること、
b) 前記細胞をキノリン誘導体、特に式(I)の化合物と接触させること。
【0028】
炎症性疾患を治療しおよび/または予防することにおいて効果的であると推定される誘導体、特に式(I)の化合物をスクリーニングするためのin vitro または ex vivoの方法に、本発明は更に関し、本方法は少なくとも以下の工程を含む:
a) 真核細胞を用意すること、
b) 前記細胞を式(I)の化合物と接触させること、
c) 前記細胞中のmiR-124の発現を測定すること、及び
d) 工程c)において測定されたmiR-124の発現レベルが基準値に対して相対的に増加された場合、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定される候補を選択すること。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデル1 ―以下に定義されるキノリン誘導体化合物(24)の存在下での、DSS-マウスモデルにおける経時(経日)的な体重減少のパーセンテージ変化を示す図である。体重減少のパーセンテージ(%)は、y-軸に示される。DSS処置は、第3~10日にわたり行われる(x-軸)。メチルセルロース(MC)中のキノリン誘導体又はMCのみの胃管による強制投与は、第3~29日に行われる。
図2】硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデル2 ―以下に定義されるキノリン誘導体化合物(24)の存在下でのDSSの第2サイクル後の、DSS-マウスモデルにおける経時(経日)的な体重減少のパーセンテージ変化を示す図である。体重減少のパーセンテージ(%)は、y-軸に示される。DSS処置は、12日目に開始され、5日間行われた(x-軸)。メチルセルロース(MC)中のキノリン誘導体又はMCのみの胃管による強制投与は、3~29日間に行われる。
図3】硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデル-大腸は2回目のDSS処置(5日間)の後2~3日後に取り出され、そして大腸のサイズ(cm)の変化が測定された。(ns)は統計的に有意差がないことを示す。統計解析はMann-Whitney検定を使用して実施され、アスタリスク1つは有意差(p < 0.5)を示し、アスタリスク2つは大きな有意差(p < 0.05)を示す。
図4】硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデル-大腸は2回目のDSS処置のあと、3日後に取り出され、そして病変の数が測定された。病変は、顕微鏡の下で観察され、そして測定された。
図5】硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデル-大腸は2回目のDSS処置のあと、3日後に取り出され、そして病変面積(mm)が測定された。
図6】コラーゲンにより誘発された関節炎モデル ― 10個体のコホートの平均に関する経時(経週)的な関節腫脹(mm)の変化。関節の腫脹(mm)は、y-軸に示される。未処置群対処置群の間の変化は、12週間にわたって評価される。
【発明の詳細な説明】
【0030】
炎症性疾患の処置および/または予防における使用の為の、新規な化合物の同定の必要性がある。
【0031】
炎症性疾患に対するキノリン誘導体のような候補薬物の活性を評価するための、新規なバイオマーカーの必要性もある。
【0032】
本発明の目的は、これらの必要性を満たすことである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
キノリン誘導体
第1の局面に従い、本発明の主題は、炎症性疾患の処置および/または予防における式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩のいずれか一つの使用に関する。
【化2】
ここで:
Zは、CまたはNであり、
Vは、CまたはNであり、
【化3】

は芳香環を意味し、ここでVはCまたはNであり、そしてVがNであるとき、VはZのオルト、メタ、またはパラ位にあり、すなわちそれぞれピリジン、ピリダジン、ピリミジン、またはピラジン基を形成し、
Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、または-CN基、ヒドロキシル基、-COOR基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、(C-C)シクロアルキル基、-NO基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、フェノキシ基、-NR-SO-NR基、-NR-SO-R基、-NR-C(=O)R基、-NR-C(=O)-NR基、-SO-NR基、-SOH基、-O-SO-OR基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、-O-CH-COOR基、および(C-C)アルキル基から選択される基を表し、ここで前記アルキルはヒドロキシル基によって、任意的にモノ置換されていてもよく、
Qは、N又はOであり、ただしQがOであるときに、R’’は存在せず、
およびRは、独立して水素原子または(C-C)アルキル基であり、
およびRは、独立して水素原子、Li、Na、K、N(Ra)またはベンジル基を表し、
nは、1、2、または3であり、
n’は、1、2、または3であり、
R'は、独立して水素原子、または(C-C)アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、-COOR基、-NO基、-NR基、モルホリニルまたはモルホリノ基、N-メチルピペラジニル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)アルコキシ基、-O-P(=O)-(OR)(OR)基、および-CN基の中から選択される基を表し、更に以下の中から選択される基であることができ:
【化4】

ここで、
Aは、共有結合、酸素原子、またはNHであり、
Bは、共有結合またはNHであり、
mは、1、2、3、4、または5であり、
pは、1、2、または3であり、
RaおよびRbは、独立して水素原子、(C-C)アルキル基、または(C-C)シクロアルキル基を表し、
RaおよびRbは、それらが結合されている窒素原子と共に、任意的に更にN、O、およびSの中から選ばれるヘテロ原子を有している飽和の5-または6-員環のヘテロ環をさらに形成することができ、ここで前記ヘテロ環は任意的に1以上のRaで置換されることができ、但しR’が基(IIa)または(IIIa)である時、他のR’基が前記基(IIa)または(IIIa)と異なる場合だけ、n’が2又は3でありえ、
R''は、水素原子、(C1-C4)アルキル基、または上記の基(IIa)である。
【0034】
好ましい実施形態に従い、Qは、Nである。
【0035】
他の好ましい実施形態に従い、nは、1又は2である。
【0036】
他の好ましい実施形態に従い、n’は、1又は2である。
【0037】
他の好ましい実施形態に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、基
【化5】

であり、ここでmは2又は3であり、及びX1はO、CH、またはN-CHである。
【0038】
他の好ましい実施形態に従い、Rは独立して水素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子および、-O-P(=O)(OR)(OR)基、より特別にはフッ素または塩素原子、トリフルオロメトキシ基、およびアミノ基を表す。
【0039】
他の好ましい実施形態に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子および特にフッ素または塩素原子、アミノ基、メチル基、-O-P(=O)(OR)(OR)基または基
【化6】

を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0040】
他の好ましい実施形態に従い、R’は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子および特にフッ素または塩素原子、メチル基、または基
【化7】
を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0041】
すべての前記および後記の特定の実施形態は、もちろん一緒に組み合わせられることができ、そして本発明の一部を構成できる。
【0042】
式(I)の化合物は、以下定義される式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)の化合物を包含する。
【0043】
特定の実施形態に従い、本発明の他の主題は、式(Ia)の化合物
【化8】
(ここで、R、R’、R’’、n、およびn’は上記のとおりである)を炎症性疾患の処置および/または予防において使用することである。
【0044】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1又は2である。
【0045】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、n’は、1又は2である。
【0046】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、および(C-C)アルキル基の中から選択される基を表す。
【0047】
前記の好ましい実施形態に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子、または(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、-NRR3基,または基
【化9】

の中から選択される基を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0048】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、又は基
【化10】
であり、ここでmは2又は3であり、及びX1はO、CH、またはN-CHであり、及び好ましくはR’’は、水素原子又はメチル基である。
【0049】
特定の実施形態に従い、本発明の他の主題は、式(Ib)の化合物
【化11】
(ここで、R、R’、R’’、n、およびn’は上記のとおりである)を、炎症性疾患の処置および/または予防において使用することである。
【0050】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1又は2である。
【0051】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1、2、又は3である。
【0052】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、-O-P-(=O)(OR)(OR)基、および(C-C)アルキル基の中から選択される基を表す。
【0053】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子、または(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、-NR基、または基
【化12】
の中から選択される基を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0054】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、R'は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、または、(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、または-NR基の中から選択される基を表す。
【0055】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、又は基
【化13】
であり、ここでmは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHであり、及び好ましくはR’’は、水素原子又はメチル基である。
【0056】
特定の実施形態に従い、本発明の他の主題は、式(Ic)の化合物
【化14】
(ここで、R、R’、R’’、n、およびn’は上記の通りである)を、炎症性疾患の処置および/または予防において使用することである。
【0057】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1である。
【0058】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、n’は、1である。
【0059】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、および(C-C)アルキル基の中から選択される基を表す。
【0060】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは、互いに独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。
【0061】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子、または(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、-NR基または基
【化15】
の中から選択される基を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0062】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、R’は、互いに独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。
【0063】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、又は基
【化16】
であり、ここでmは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHであり、及び好ましくはR’’は、水素原子又はメチル基である。
【0064】
特定の実施形態に従い、本発明の他の主題は、式(Id)の化合物の使用であり
【化17】

(ここで、R、R’、n、およびn’は上記の通りである)を、炎症性疾患の処置および/または予防において使用することである。
【0065】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1である。
【0066】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、n’は、1である。
【0067】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、および(C-C)アルキル基の中から選択される基を表す。
【0068】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、Rは互いに独立して水素原子、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【0069】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子、または(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、-NR基または基
【化18】
の中から選択される基を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0070】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、R’は、互いに独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。
【0071】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、又は基
【化19】

であり、ここでmは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHであり、及び好ましくはR’’は、水素原子又はメチル基である。
【0072】
特定の実施形態に従い、本発明の他の主題は、式(Ie)の化合物
【化20】

(ここで、R、R’、n、およびn’は上記の通りである)を、炎症性疾患の処置および/または予防において使用することである。
【0073】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、nは、1である。
【0074】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、n’は、1である。
【0075】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、またはヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、および(C-C)アルキル基の中から選択される基を表す。
【0076】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、Rは互いに独立して水素原子、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【0077】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’は独立して水素原子、ハロゲン原子、または(C-C)アルキル基、ヒドロキシル基、-NR基、または基
【化21】

の中から選択される基を表し、ここでAは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる。
【0078】
前記好ましい実施形態の一局面に従い、R’は、互いに独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。
【0079】
前記の好ましい実施形態の一局面に従い、R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、又は基
【化22】
であり、ここでmは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHであり、及び好ましくはR’’は、水素原子又はメチル基である。
【0080】
他の特定の実施形態に従い、上記の化合物(Id)および(Ie)は自体、本発明の一部を構成する。
【0081】
本発明の好ましい実施形態に従い、式(I)のいくつかの化合物は、新規であり、本発明の一部を構成し、そして以下の中から選択をされる(以下の表1に番号で示される):
-(8)8-クロロ-5-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(9)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2,4-ジアミン
-(10)8-クロロ-Nーメチル-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(11)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2,4-ジアミン
-(13)4,8-ジクロロ-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(14)8-クロロ-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(15)8-クロロ-6-(2-モルホリノエトキシ)-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(16)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(3-モルホリノプロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(17)8-クロロ-6-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(18)8-クロロ-6-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(19)8-クロロ-6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(20)8-クロロ-N-(3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2-アミン
-(21)N-(5-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-8-クロロキノリン-2-アミン
-(22)N-(8-クロロキノリン-2-イル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2,5-ジアミン
-(28)8-クロロ-Nーメチル-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(29)8-クロロ-5-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(30)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(31)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(32)8-クロロ-N-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(33)8-クロロ-N-(4-モルホリノブチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(34)8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2,4-ジアミン
-(35)4,8-ジクロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(36)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(37)N-(4,8-ジクロロキノリン-2-イル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(38)4,8-ジクロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(39)8-クロロ-6-(2-モルホリノエトキシ)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(40)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2,4-ジアミン
-(41)8-クロロ-N-(2-モルホリノエチル)-N-(2-ニトロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(42)N-(8-クロロキノリン-2-イル)-N-(2-モルホリノエチル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(43)8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)-N-(2-モルホリノエチル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン
-(44)N-(8-クロロ-5-(2-モルホリノエトキシ)キノリン-2-イル)-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン-1,2-ジアミン
-(46)8-クロロ-2-((4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)キノリン
-(47)4-(2-((8-クロロ-2-((4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)キノリン-6-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(48)8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン
-(49)4-(2-((8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン-6-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(50)4-(2-((8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン-5-イル)オキシ)エチル)モルホリン
-(51)リン酸モノ[8-クロロ-2-(4-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イルアミノ)-キノリン-6-イル]エステル
-(52)リン酸モノ[2-(8-クロロ-キノリン-2-イルアミノ)-5-トリフルオロメトキシ-フェニル]エステル
-(53)リン酸モノ[8-クロロ-2-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルアミノ)-キノリン-6-イル]エステル
-および、それらの薬学的に許容される塩。
【0082】
本発明の目的ために、式(I)の化合物は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)の化合物いずれか一つ、ならびにそれらの組み合わせを含む。式(I)の化合物は、表Iに定義された化合物(1)~(53)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0083】
本発明の化合物は、遊離塩基又は薬学的に許容される酸との付加塩の形で存在してもよい。
【0084】
式(I)の適切な生理学的に許容される酸付加塩は、臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、およびフマル酸塩を含む。
【0085】
式(I)の化合物およびそれらの塩は、溶媒和物または水和物を形成することができ、そして本発明はこのようなすべての溶媒和物および水和物を含む。
【0086】
本発明に従う化合物(I)が水和物または溶媒和物(すなわち一つ以上の水または溶媒分子と結合または会合された)の形でありえることを、語「水和物」および「溶媒和物」は単に意味する。このことは、このような化合物の化学的属性に過ぎず、このことは、このタイプのすべての有機化合物について適用されることができる。
【0087】
式(I)の化合物は、一つ以上の不斉炭素原子を有することができる。それらは、つまりエナンチオマー又はジアステレオマーの形で存在できる。ラセミ混合物を含むこれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらのラセミ混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0088】
本発明の文脈に置いて、以下の語:
-「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素を意味すると理解され、特に塩素、フッ素、または臭素を意味し、
-本明細書で用いられる「(C-C)アルキル」は、夫々C-Cの一級、二級、又は三級飽和炭化水素を指す。例は、これに限定されないが、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルである。
-本明細書で用いられる「(C-C)シクロアルキル」は、環式の飽和炭化水素を指す。例は、これに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
-本明細書で用いられる「(C-C)アルコキシ」はO-(C-C)アルキル部分を指し、ここでアルキルは上記の通りである。例は、これに限定されないが、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシである。
-「フルオロアルキル基」および「フルオロアルコキシ基」は、夫々上記のアルキル基およびアルコキシ基が少なくとも一つのフッ素原子により置換されているものを指す。例は、パーフルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチルまたはパーフルオロプロピル)である。
-本明細書で用いられる「5-または6-員環の飽和ヘテロ環」は、それぞれ少なくとも一つのヘテロ原子を有する飽和環を指す。例は、これに限定されないが、モルホリン、ピペラジン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジンである。
-「患者」は、ヒトまたは哺乳類(例えばネコまたはイヌ)まで広がることができる。
【0089】
WO2010/143170、WO2010/143169、WO2012/080953、およびWO2010/143168に記載されているようにおよび/または以下で更に記載されるように、本発明に適している式(I)の化合物を調製できる。
【0090】
より特別には、式(I)において、R’が
【化23】
から選ばれる化合物は、WO2012/080953に記載された合成経路に従い調製されることができ、より特別にはAがOである場合である。
【0091】
AがNである場合に、以下の合成経路が行われることができる。付加クロスカップリング反応の前に、式(VII)のキノリン誘導体は、ビルディングブロックとして合成されることができる。
【0092】
式(VII)の前記化合物を得るために、以下のスキーム1に示されているように、以下の反応系列が実施されることができる。
【化24】
【0093】
式(II)(ここでR’は、Hとは異なり、及び上記の通りであり、特に塩素原子でもよい)の化合物は、ピリジン中に置かれることができ、式(III)の化合物は、その後式(II)の化合物に対して1~2(例えば1.5)のモル比で加えられることが可能である。反応混合物は110~150℃の温度(例えば130℃)で、8時間~18時間(例えば14時間)撹拌されることができる。室温に冷却してから、反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして残渣はジクロロメタンのような有機溶媒で希釈されることができる。有機相は、その後NaCOのような無機塩基の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IV)の化合物を与えることができる。
【0094】
式(IV)の化合物は、THF/水混合液中に置かれることができ、水酸化ナトリウムが、その後式(IV)の化合物に対して1~1.5(例えば1.2)のモル比で加えられることができ、そして反応混合物は、室温で8時間から18時間(例えば14時間)撹拌されることができる。濃塩酸が、その後pH2に到達するまで加えられることができ、そして得られた溶液は、酢酸エチルのような有機溶媒により抽出されることができる。有機相は、その後MgSOで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、式(V)の化合物を与えることができる。
【0095】
式(V)の化合物は、式(V)の化合物に対して5~15(例えば10)のモル比で加えられたポリリン酸中に置かれることができ、そして反応混合物は、110~150℃(例えば130℃)の温度で8時間~18時間(例えば14時間)撹拌されることができる。室温に冷却した後、1~5M(例えば2M)のモル濃度を有する水酸化ナトリウムの水溶液は、ゆっくり加えられることが可能である。得られた沈殿は、濾過され、水で洗われ、デシケータ中の減圧下で乾燥されて、式(VI)の化合物を与えることができる。
【0096】
式(VI)の化合物は、式(VI)の化合物に対して5~15(例えば10)のモル比で加えられたポリリン酸中に置かれることができ、そして反応混合物は、80~120℃(例えば100℃)の温度で1時間~5時間(例えば2時間)撹拌されることができる。室温に冷却した後、水が、ゆっくり加えられることが可能である。得られた沈殿は、濾過され、水で洗われ、デシケータ中の減圧下で乾燥されて、式(VII)の化合物を与えることができる。
【0097】
WO2010/143170、WO2010/143169、WO2012/080953、およびWO2010/143168中に記載されているように、および/または以下で更に記載されるように、式(VII)の前記中間化合物は、それをアニリン誘導体、アミノピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ヒドロキシピリジン誘導体、フェノール誘導体、またはヒドロキシピリミジン誘導体とクロスカップリングすることにより式(I)の化合物を形成するために使用されることができる。
【0098】
式(VII)の中間化合物の4位の塩素は、その後アミンにより置換されて、A=NHを有する式(IIa)の基を担うキノリン誘導体を形成できる。
【0099】
Q=N、及びR’’がHと異なる場合、スキーム2および3で示された以下の経路を実施できる。
【0100】
式(IX)の化合物を得るために、以下のスキーム2に示されているように、以下の反応が実施されることができる。
【化25】
【0101】
式(VIII)(ここでZ、V、n、n’、R、及びR’は、上記の通りである)の化合物は、(VIII)の化合物に対して1~2(例えば1.1)のモル比のAlkHal(ここでAlkは(C-C)アルキル基を表し、そしてHalはハロゲン原子を表す)の存在下で、及び1~2(例えば1.1)のモル比のカリウムtert-ブトキシドのような無機塩基の存在下で、無水N,Nジメチルホルムアミドのような無水極性溶媒中に置かれることができる。反応混合物は、室温で7時間~24時間(例えば16時間)撹拌されることができる。反応混合物は、水と酢酸エチルのような有機溶媒の間に分配されることができる。有機相は、その後集められ、塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(IX)の化合物を与えることができる。
【0102】
式(XII)の化合物を得るために、以下のスキーム3に示されているように、以下の反応が実施されることができる。
【化26】
【0103】
式(X)(ここでZ、V、n、n’、R、及びR’は上記の通りである)の化合物は、2~5(例えば3)のモル比のNaHの存在下で無水N,Nジメチルホルムアミドのような無水極性溶媒中に置かれることができ、そして反応混合物は室温で10分~50分(例えば30分)の間、撹拌されることができる。式(XI)(ここでm、B、RaおよびRbは上記のとおりである)の化合物は、その後式(X)の化合物に対して1~2(例えば1)のモル比のKIの存在下で、及び1~2(例えば1)のモル比のEtNのような有機塩基の存在下で、1~2(例えば1)のモル比で無水N、N-ジメチルホルムアミドのような無水極性溶媒中に置かれ、そして反応混合物は、アルゴンのような不活性雰囲気の下で、室温で10分間~50分間(例えば30分)の間撹拌されることができる。その後、該活性化された化合物(X)は、化合物(XI)に加えられ、そして得られた反応混合物は、70~110℃の温度(例えば90℃)で、2時間~10時間(例えば4時間)、撹拌されることができる。室温に冷却した後、反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして得られた残渣は酢酸エチルのような有機溶媒で希釈されることができる。有機相は、その後塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(XII)の化合物を与えることができる。
【0104】
【化27】

が式(IIa)のアミノ基(ここでAがNHである)である置換基を担う場合、以下の経路がスキーム4のように実施されることができる。
【化28】
【0105】
式(XIII)(ここでZ、V、n’、R、およびR’は、上記の通りであり、Xは、Brのようなハロゲン原子である)の化合物は、ジオキサン/N、N-ジメチルホルムアミド混合物のような極性溶媒の混合物中に置かれることができる。式(XIV)(ここでB、RaおよびRbは、上記の通りのである)の化合物はその後、式(XIII)の化合物に対して2から5(例えば3)のモル比のナトリウムtert-ブトキシドまたはカリウムtert-ブトキシドのような非求核有機塩基の存在下、式(XIII)の化合物の総量と比較して5mol%~40mol%の量のXantPhos(4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン)またはX-ホス(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)のようなジホスフィンの存在下、及び式(XIII)の化合物の総量と比較して2mol%~15mol%の量のPd(OAc)またはPd(dba)のような触媒の存在下で、式(XIII)の化合物に対して1から2(例えば1.5)のモル比で、加えられる。反応混合物は、マイクロ波反応器中で、90~150℃(例えば120℃)の温度で、30分~100分(例えば70分)の間、加熱されることができる。反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして該残渣は酢酸エチルのような有機溶媒で希釈されることができる。有機相は、水で洗浄され、デカントされ、MgSOで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮されて、式(XV)の化合物を与えることができる。
【0106】
上記の一般式(Id)の化合物は、以下のスキーム5に従って調製されることができる。
【化29】
【0107】
式(XVI)(ここでn´及び R’は上記の通りのであり、そしてXは、Clのようなハロゲン原子である)の化合物は、2~5(例えば3)のモル比のCsCOのような無機塩基の存在下、及び1~2(例えば1)のモル比のCuIの存在下で、N、N-ジメチルホルムアミドのような極性溶媒中に置かれることができる。式(XVII)(ここでR、Vおよびnは、上記の通り)の化合物がその後、式(XVI)の化合物に対して1~2(例えば1)のモル比で、加えられることが可能である。反応混合物は、マイクロ波反応器中で、130~170℃(例えば150℃)の温度で、30分~100分(例えば50分)の間、加熱されることができる。室温に冷却した後、水が反応混合物に加えられることができ、溶解されていない固体は、セライトを通してろ過されることができ、そして得られた濾液は、酢酸エチルのような有機溶媒により抽出されることができる。有機相はその後、水、および塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(Id)の化合物を与えることができる。
【0108】
上記の一般式(Ie)の化合物は、以下のスキーム6に従って調製されることができる。
【化30】
【0109】
式(XVI)(ここでn´及び R’は上記の通りであり、そしてXは、Clのようなハロゲン原子である)の化合物は、2~5(例えば3)のモル比のCsCOのような無機塩基の存在下、及び1~2(例えば1)のモル比のCuIの存在下で、N、N-ジメチルホルムアミドのような極性溶媒中に置かれることができる。式(XIX)(ここでR、Vおよびnは、上記の通り)の化合物は、式(XVI)の化合物に対して1~2(例えば1)のモル比で、その後加えられることが可能である。反応混合物は、マイクロ波反応器中で、130~170℃(例えば150℃)の温度で、30分~100分(例えば50分)の間、加熱されることができる。室温に冷却した後、水が反応混合物に加えられることができ、溶解されていない固体は、セライトを通してろ過されることができ、そして得られた濾液は、酢酸エチルのような有機溶媒により抽出されることができる。有機相はその後、水、および塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(Ie)の化合物を与えることができる。
【0110】
より特別には、式(I)(ここでR’は、-O-P(=O)-(OR)(OR)基を表す)の化合物は、OH基であるR’基を有する式(XX)の化合物から出発して、以下の経路を通って調整されることができる:
【化31】
【0111】
式(XX)(ここでZ、V、n、n’、R、およびR’は、上記に定義された通り)の化合物は、式(XX)の化合物に対して1のモル比のジエチルクロロホスフェートの存在下、及び1~2(例えば1.2)のモル比のトリエチルアミンのような有機塩基の存在下、不活性ガス(例えばアルゴン)の雰囲気下0℃で、無水ジクロロメタンのような無水クロロアルカン溶媒中に置かれることができる。反応混合物は、室温で7時間~24時間(例えば14時間)撹拌されることができる。その後、反応混合物は減圧下で濃縮されることができ、そして得られた残渣は、1~2M(例えば1M)のモル濃度を有する塩酸水溶液と、酢酸エチルのような有機溶媒の間に、分配されることができる。有機相はその後、集められ、NaCOのような無機塩基の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、式(XXI)の化合物を与えることができる。
【0112】
式(XXI)の化合物に対して1~5(例えば4)のモル比のトリメチルシリルブロミドの存在下で、式(XXI)の化合物は、アセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒中に置かれることができる。反応混合物は、マイクロ波照射の下で、50~70℃(例えば60℃)の温度で、15分~60分(例えば30分)の間、撹拌されることができる。室温に冷却した後、MeOH/水(95/5)混合物は、ゆっくり加えられることが可能である。得られた沈殿は、濾過され、水で洗われ、そしてデシケータ中の減圧下で乾燥されて、式(XXII)の化合物を与えることができる。
【0113】
式(I)(ここでRは、-O-P(=O)-(OR)(OR)基を表す)の化合物を得る為に、OH基であるR基を有する式(I)の化合物から出発して、同じ手順が適用されることができる。
【0114】
炎症性疾患
このように、本発明は、炎症性疾患の処置および/または予防における使用の為の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)の化合物にも関する。
【0115】
驚くべきことに、式(I)の化合物が、in vivoの2つのマウスモデルに基づいて、炎症性腸疾患(IBD)及び関節リウマチ炎症性疾患(RA)のような炎症性疾患に伴う徴候の劇的な改善を導いたことを、発明者らは示すことができた。
【0116】
式(I)の化合物の炎症を調整する能力は、2つの炎症性疾患(炎症性腸疾患(IBD)及び関節リウマチ炎症性疾患(RA))、のための2つの確立したマウスモデルにおいて、今や評価された。硫酸デキストランナトリウム(DSS)により誘発された大腸炎モデルが、炎症性腸疾患を研究するために用いられた( Perse & Cerar; "Dextran Sodium Sulphate ColitisMouseModel: Traps and Tricks"; Journal of Biomedicine and Biotechnology(2012);718617参照)。Brandら("Collagen-inducedarthritis"; Nature Protocols; (2007); 2(5):1269-75)に示されているように、コラーゲンにより誘発された関節炎モデルが、関節リウマチを研究するために使われた。
【0117】
実際、式(I)に属する化合物の投与が、in vivoで、(DSS)により誘発された大腸炎マウスモデル上において大腸の長さの改善、およびパイエル板のようなリンパ様器官の変質の減少を導くことを、発明者は示した。式(I)の化合物の投与が、コラーゲンにより誘発された関節炎マウスモデルに基づいて、腫脹の有意な減少、及び炎症の徴候の減少を導くことを、発明者は更に示した。
【0118】
本発明に従い、「炎症」は、痛み、熱、発赤、および腫脹によって特徴づけられ、感染、刺激、または損傷から生じることがあり得る。
【0119】
つまり、「炎症性疾患」は、過剰なまたは調節されない炎症によって引き起こされる一群の疾患および/または障害を指す。
【0120】
本発明に従い、「炎症性疾患を処置するおよび/または予防する」は、炎症性疾患または炎症そのもの(それは個体における前記炎症性疾患とともに発生し得る)の処置および/または予防の両方を言う。
【0121】
このように、炎症性疾患の処置および/または予防は、炎症自体の処置および/または予防も含む。
【0122】
本発明に従い、炎症性疾患を「処置するおよび/または予防する」は、前記炎症性疾患を処置すること、発症する可能性を減らすこと、又は疾患の発生を遅延させることを含む。
【0123】
本発明に従い、「個体」は、ヒトまたはヒト以外の哺乳類、及び好ましくはヒトに関することができる。
【0124】
非制限的な意味において、炎症性疾患は以下を含む:自己免疫疾患に関連づけられた炎症性疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、関節炎疾患、炎症性消化管疾患、炎症性の皮膚疾患および気管支炎のような上皮細胞に関連づけられた他の炎症性疾患、大腸癌のような癌に関連づけられた炎症、刺激に関連づけられた炎症、および損傷に関連づけられた炎症。
【0125】
このように、炎症性疾患は、以下からなるリストにおいて選択されることができる:自己免疫疾患に関連づけられた炎症性疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、関節炎疾患、炎症性消化管疾患、炎症性の皮膚疾患および上皮細胞に関連づけられた他の炎症性疾患、癌に関連づけられた炎症、刺激に関連づけられた炎症、および損傷に関連づけられた炎症。
【0126】
特に、炎症性疾患は、以下からなるリストにおいて選択されることができる:炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン、変形性関節症、アテローム性動脈硬化、強直性脊椎炎、乾癬、皮膚炎、シェ―グレン症候群、気管支炎、喘息、および大腸癌に関連づけられた炎症。
【0127】
より特別には、炎症性疾患は、以下からなるリストにおいて選択されることができる:炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、変形性関節症、強直性脊椎炎、乾癬、シェ―グレン症候群、気管支炎、および大腸癌に関連づけられた炎症。
【0128】
より特別には、炎症性疾患は、以下からなるリストにおいて選択されることができる:炎症性腸疾患、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、変形性関節症、強直性脊椎炎、及び乾癬。
【0129】
好ましくは、本発明に従う炎症性疾患は、以下を含む:炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、及び多発性硬化症。
【0130】
さらに好ましくは、本発明に従う炎症性疾患は、以下を含む:炎症性腸疾患、関節リウマチ、および多発性硬化症。
【0131】
炎症性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン、喘息、アテローム性動脈硬化、および皮膚炎も包含できる。
【0132】
皮膚炎として、湿疹があげられ得る。
【0133】
上記からみて、炎症性疾患(炎症自体を包含する)、および炎症性疾患に伴う炎症の処置および/または予防の為の式(I)の化合物に、本発明は関する。
【0134】
このように、炎症性疾患(炎症自体を包含する)、および炎症性疾患に伴う炎症の処置および/または予防の為の式(I)の化合物にも、本発明は関する。
【0135】
他の局面に従って、本発明の主題は、薬物としての使用の為の、単独でまたは組み合わせでの、化合物(Ie)(Id)(8)、(9)、(10)、(11)、(44)、(46)、(47)、(48)、(49)、(50)、(51)、(52)、(53)、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0136】
他の目的に従って、本発明は、単独でまたは組み合わせでの、化合物(Ie)(Id)(8)、(9)、(10)、(11)、(44)、(46)、(47)、(48)、(49)、(50)、(51)、(52)、(53)、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0137】
炎症性(炎症自体を包含する)、および炎症性疾患に伴う炎症を処置するおよび/または予防することの為の組成物、たとえば医薬、の調製の為に式(I)の化合物を使用することにも、本発明は関する。
【0138】
炎症性疾患(炎症自体を含む)、および前記炎症性疾患に関連づけられた炎症を処置するおよび/または予防する為の方法であって、それを必要とする患者に式(I)の化合物を投与する工程を含む方法にも本発明は関する。
【0139】
miRNA-124
マイクロRNA(miRNA)は、それらのコグネートな標的メッセンジャーRNAの発現またはメッセンジャーRNAのタンパク質生成物の翻訳の減少を引き起こすために、細胞の細胞質において作用できる、小さい、一本鎖のノンコーディングRNAである。成熟したmiRNAは、典型的には長さが約19~23ヌクレオチドである。それらの標的タンパク質の産生を阻害するmiRNAのこの能力は、多くのタイプの細胞活性(例えば細胞運命決定、アポトーシス、分化、および発癌)の制御をもたらす。
【0140】
miR-124は、マウスにおいてまずクローン化された。ヒトmiR-124前駆体(すなわちmiRN-124すなわちmiRNA-124すなわちミクロRNA 124)は、胚幹細胞からクローン化された。miR-124前駆体の9つのハプロタイプが今までに確認され(Guo et al., PLoS ONE, 2009, 4(11):e7944)、そのうち3つは、ヒトhsa-miR-124-1、hsa-miR-124-2、およびhsa-miR-124-3に存在する。(それぞれSEQ ID NO:1、 SEQ ID NO:2、及び SEQ ID NO:3)。
【0141】
miR-124マイクロRNA前駆体は、小さい、ノンコーディングRNA分子である。成熟した~21ヌクレオチドのマイクロRNAは、ダイサー酵素によって、ヘアピン前駆体配列から処理される。成熟した配列は、miR-124-3pに関してSEQ ID NO: 4、およびmiR-124-5pに関してSEQ ID NO: 5である。
【0142】
本発明に従い、miR-124の発現レベルを測定することは、前駆体の、または成熟したmiR-124の両方の発現レベルを測定することを包含する。
【0143】
生物学的試料中のmiR-124中での発現を増加させるための式(I)の化合物にも、本発明は関する。
【0144】
このように、他の目的に従い本発明は、真核細胞におけるmiR-124の発現を増加させるためのin vitro または ex vivoの方法であって、少なくとも以下の工程を含む方法に関する:
a) 真核細胞を用意すること、
b) 前記細胞を誘導体化合物、特に式(I)の化合物と接触させること。
【0145】
候補化合物をスクリーニングする方法。
所定の薬物またはワクチンの開発の成功のための1つの鍵となる要因は、効率的に且つ迅速にその有効性を評価することの可能性である。それ故、薬物またはワクチンの効能を評価するために頼る、特定のバイオマーカーのような適切なツールを有することが重要である。
【0146】
驚くべきことに、miR-124は炎症の間に重要な役割を演ずることが見出された。実際、式(I)の化合物がmiR-124の発現を制御できることを、発明者は今、示した。特に、FICOLL(商標)勾配による遠心分離により分離された、ドナー由来の末梢血単核細胞(PBMC)上のmiR-124の発現を、本発明の化合物がアップレギュレート(100倍の増加まで)することができることを、今、発明者は示した。
【0147】
式(I)の化合物がmiR-124の発現を制御できることを、発明者が今立証したので、炎症性疾患を治療しおよび/または予防することにおいて効果的であると推定されるキノリン誘導体、特に式(I)の化合物をスクリーニングするためのin vitro または ex vivoの方法にも、本発明は関する。
【0148】
このように、他の目的に従い、本発明は少なくとも一つのmiRNAのin vitro 又は ex vivoの使用において、前記少なくとも一つのmiRNAが、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定されるキノリン誘導体、特に式(I)の化合物をスクリーニングするためのバイオマーカーとしてのmiR-124である方法に関する。
【0149】
本発明は、炎症性疾患を処置しおよび/または予防することにおいて効果的であると推定されるキノリン誘導体、特に式(I)の化合物をスクリーニングするためのin vitro または ex vivoの方法であって少なくとも以下の工程:
a) 真核細胞を用意すること、
b) 前記細胞を式(I)の化合物と接触させること、
c) 前記細胞中のmiR-124の発現を測定すること、及び
d) 工程c)において測定されたmiR-124の発現レベルが基準値に対して相対的に制御された場合、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することに効果的であると推定される候補を選択すること
を含む方法に関する。
【0150】
本発明に従い、発現レベルの「制御」は、発現レベルのアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションを含む。本発明の意味において、miR-124の発現レベルの「制御」は、好ましくはアップレギュレーションを指す。
【0151】
本発明は特に、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定されるキノリン誘導体、特に式(I)の化合物をスクリーニングするためのin vitro または ex vivoの方法であって、少なくとも以下の工程:
a)真核細胞を用意すること、
b) 前記細胞を式(I)の化合物と接触させること、
c) 前記細胞中のmiR-124の発現を測定すること、及び
d) 工程c)において測定されたmiR-124の発現レベルが基準値に対して相対的に増加された場合、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定される候補を選択すること
を含む方法に関する。
【0152】
一の実施態様に従い、miR-124の存在または発現レベルは、生物学的試料由来の真核細胞から測定され、そして対照基準値と比較される。
【0153】
特に、本発明に適している「生物学的試料」は、生物学的流体(例えば血液の血漿、または血清、唾液、間質液、または尿試料)、細胞試料(例えば細胞培養物、細胞株、幹細胞株、末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料)、組織生検(例えば口腔組織、胃腸組織、皮膚、口腔粘膜試料、または臨床治験からの複数の試料)である。試料は、未精製試料でありうるか、または貯蔵、加工または測定の前に種々の程度に精製されることができる。
【0154】
特に、本発明に適している生物学的試料は、末梢血単核細胞(PBMC)またはPBMC含有試料である。このように、本発明の生物学的試料は、当技術分野にける通常の技術、例えば密度勾配遠心法、及びより特別にはFICOLL(商標)勾配を用いて、末梢全血液から処理され得る。
【0155】
PBMC試料、特にFICOLL(商標)勾配を利用して処理されたものは、リンパ球(T細胞、B細胞およびNK細胞)、単球、および樹状細胞を含むことに、影響を受けやすい。ヒトにおいて、これらの母集団の頻度は、各個人間で異なる。
【0156】
このように、そして非制限的であるが、真核細胞は、上記の細胞型(例えばリンパ球(T細胞、B細胞、およびNK細胞)、単球、および樹状細胞)のいずれか一つを含む。
【0157】
本発明の使用及び方法のために生物学的試料を集める工程は、本発明を実施する前に実施され、そして本発明に従う使用又は方法の工程ではない。
【0158】
miRNA評価のための試料は、いかなる所望の間隔でも採取されることができる。例えば、試料は、1時間毎、1日につき2回、毎日、毎週、毎月、一か月おき、毎年等で採取されることができる。試料は、直ちにテストされることができるか、または後のテストのために保管されることができる。
【0159】
試料は、試験の前に精製されることができる。いくつかの実施形態においては、miR-124は、試験の前に残留する細胞含有物から単離されることができる。更に、必要に応じて、miR-124分子は、試料中のmRNAの残部から分離されることができる。例えば、miR-124は、試験の前にサイズの違いに基づいてmRNAから分離されることができる。
【0160】
試験された生物学的試料中のmiR-124の測定された発現レベルを比較するために使われる対照基準値は、対照試料から得られる。
【0161】
対照試料は、種々の源から採取されることができる。いくつかの実施形態においては、対照試料は、処置の前に、または疾患の存在の前に患者から採取される(例えば保管された血液試料)。他の実施形態に従い、対照試料は、母集団の、一組の正常な、罹患していないメンバーから採取される。他の実施形態においては、細胞アッセイは対照の細胞培養物について実施されることができ、例えばそれは試験化合物で処理されていないか、又はDMSO、メチルセルロース(MC)、または水のような対照化合物で処理された培養物である。
【0162】
一の実施形態に従い、患者における炎症性疾患の決定またはモニタリングのために、このような状態を患っていないことが知られている個人又は個人の群において得られた単離された生物学的試料から、対照基準値は得られることが可能である。
【0163】
他の実施形態に従い、患者における炎症性疾患の処置の有効性の決定またはモニタリングのために、このような状態を患っていないことが知られている、及び/またはその有効性が決定されまたはモニタリングされるところの処置を受けていない個人又は個人の群から得られた単離された生物学的試料から、対照基準値は得られることが可能である。あるいは、炎症性疾患を患いかつその有効性が決定またはモニタリングされることになっているところの処置を受ける患者から得られた単離された生物学的試料から、対照基準値は得られることができ、ただし該単離された生物学的試料は、処置の投与の前に患者から採取される。
【0164】
miR-124バイオマーカーの存在または発現レベルを測定する為に、当業者は多くの方法を入手できる。
【0165】
例えば、核酸アッセイまたはアレイは、試料中のmiR-124の存在および/または発現レベルを評価するために用いらることができる。
【0166】
これに限定されないが、ノーザンブロットおよびPCRを基礎とした方法(例えば、リアルタイム逆転写-PCRすなわちqRT-PCR)のような、試料中のmiR-124バイオマ-カ-の発現または存在を検出するための種々の核酸アッセイにおいて用いられる相補型プローブまたはプライマーとして作用する、対応するヌクレオチドを調製するために、miR-124の配列は用いることができる。qRT-PCRのような方法は、試料中のmiRNAの量を正確に定量するために用いることができる。
【0167】
本発明に従うセンスおよびアンチセンスのプロ-ブ又はプライマ-は、当業者、特にSambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ED., 2001, Cold Spring Harbour, N. Y.)に記載さ入れた者らに知られたあらゆる方法を使用して、得られることが可能である。
【0168】
RNAまたはDNAの検出および定量に関連する方法は、当技術分野で周知技術である。当業者は、例えばWangら(1989, Proc Natl Acad Sci USA, Vol. 86 :917-921)、 Wong ら(2005, Bio Techniques, Vol. 39 (1): 75-85)、Nolanら(2006, Nat Protoc, Vol. 1(3) :1559-1582)、Klinckら(2008, Cancer Research, Vol. 68 : 657-663)、またはBustin (2000, Journal of Molecular Endocrinology, Vol. 25 :169-193)により刊行された一般的なレビューをも参照できる。
【0169】
miR-124の存在または発現レベルを測定するのに適している単離された核酸プローブは、特にmiR-124(例えば前駆体または成熟したmiR-124)にハイブリダイズすることができる核酸プローブである。
【0170】
このような核酸プローブは、18~30核酸、特に20~27、好ましくは20~25、好ましくは20、22、または25、及びより好ましくは約25核酸である。前述のように、このような核酸プローブは、従来技術において、公知の任意の方法に従って調製されることができる。
【0171】
所定のプローブおよび所定の標的のための最適なハイブリダイゼーション温度を予測するための方法および公式は、周知である。
【0172】
このように、当業者は、1組のプローブ、所定の標的配列に基づいて、及びハイブリダイゼーションの特定の条件において、最適なハイブリダイゼーション温度を容易に算出できる。
【0173】
有利には、前記プローブの最適なハイブリダイゼーション温度は40℃~60℃、及びより特別に45℃~55℃、及び好ましくは約48℃である。
【0174】
本発明のバイオマーカーに本発明の核酸プローブをハイブリダイズさせることに役立つバッファーの例として、ハイブリダイゼーションバッファーとして、100mMのMES、1M[Na]、20mMのEDTA、0.01%のTween-20を含有するバッファー、ノンストリンジェント洗浄バッファーとして、6XSSPE、0.01%のTween-20を含有するバッファー、及びストリンジェント洗浄バッファーとして、100mMのMES、0.1M[Na]、0.01%のTween-20を含有するバッファーを挙げることができる。
【0175】
一の実施形態において、核酸の検出および定量のための方法は、蛍光染料を基礎とする方法でもよく、ここで、核酸に結合する染料のようなリガンドの蛍光強度を測定することによって、前記核酸の濃度は評価される。蛍光染料は、周知である。
【0176】
あるいは、前記核酸は、分光光度法を使用して定量されることができる。
【0177】
他の実施形態において、核酸の検出および定量のための方法は、ハイブリダイゼーションを基礎とする方法でもよい。前記ハイブリダイゼーションを基礎とする方法は、PCR及び定量的PCR(qRT-PCRまたはq-PCR)技術または逆転写酵素/ポリメラーゼを基礎とした技術を含むことができる。有利には、前記方法は、更にシークエンシング工程を含むかまたは更にそれと組み合わされることができる。
【0178】
(i)細胞mRNAの抽出工程、(ii)逆転写酵素を使用する、mRNAのDNAへの逆転写の工程、および(iii)前の工程で得られたDNAからのDNA増幅工程を、それらの方法は含むことができる。通常、同じ試料から出発して、以下の核酸が増幅される:(a)標的mRNAの逆転写工程の後に得られたDNAおよび(b)細胞によって、構成的に、そして常に発現されるmRNA(「ハウスキーピング遺伝子」)、例えば遺伝子MRPL19、PUM1、およびGADPH、によってコードされたRNAの逆転写の後に得られる1つのDNAまたは複数のDNA。
【0179】
電気泳動による分離およびDNAバンドの測定の後に、増幅されたDNAを定量できる。「ハウスキーピング」遺伝子によってコードされるmRNAと比較した相対的な単位として、標的mRNAに関連した結果は表される。いくつかの実施形態において、デンシトメトリーによる泳動バンド中に含有されているDNAの定量の前に、アガロースゲル電気泳動、そしてその後の臭化エチジウムによるDNAバンドの呈色の後に、増幅されたDNAの分離工程は達成される。他の実施態様において、レーザー光線を使用した放出された信号の定量の前に、増幅されたDNAがキャピラリー電気泳動により分離されるマイクロチャンネル装置を、人は使用できる。このような装置は、例えばキャリパーライフサイエンス社(Hopkinton、MA、米国)によって商品化された「GX」シリーズからのLabChip(商標)装置でもよい。
【0180】
qRT-PCRによって得られた定量的結果は、時々、定性的なデータより有益であり得、そしてアッセイの標準化および品質管理を単純化できる。このように、いくつかの実施形態において、qRT-PCRを基礎としたアッセイは、細胞を基礎としたアッセイの間のmiRNAレベルを測定するために有用であり得る。qRT-PCR法は、患者治療をモニターすることにも役立ち得る。商業的に入手可能なqRT-PCRを基礎とする方法(例えば、TaqmanR Array(商標))
【0181】
任意の適切なアッセイプラットフォームが、試料中のmiRNAの発現または存在を決定するために用いられることが可能である。例えばアッセイは、ディップスティック、膜、チップ、ディスク、試験片、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート、または光ファイバの形であり得る。miRNAに対応するオリゴヌクレオチドが取り付けられる固形の支持体を、アッセイシステムは有することができる。固形の支持体は、例えば、プラスチック、ケイ素、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレート、またはスライドグラスを包含できる。アッセイ成分は、miRNAを検出するためのキットとして調製され一緒に包装されることができる。
【0182】
いくつかの実施形態において、生物学的試料中のキノリン誘導体または薬物候補の活性試験のためのオリゴヌクレオチドアレイは、調製されることができ、または購入できる。アレイは典型的には、固形の支持体及び該支持体に接触する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを有し、該オリゴヌクレオチドは、miR-124バイオマーカーの少なくとも一部に対応する。いくつかの実施形態において、miR-124バイオマーカーの一部は、少なくとも5、10、15、20以上の塩基を有する。
【0183】
一の実施形態に従い、miR-124の存在または発現は、バイオマーカーとしても用いられる他のmiRNAと組み合わせてアッセイされ得る。そのような実施形態では、アレイは、試料中のmiRNA-124を含む複数のmiRNAの発現または存在を評価するために、用いられることが可能である。一般に、該方法は、次の工程を含む:a)特異的バインディングが起こる為に充分な条件の下で、プローブセットを含むアレイを試料に接触させること、及び、b)何らかの検出可能ラベルの存在を検出する為に該アレイを検査し、それにより試料中のそれぞれの標的miRNAの量を評価すること。発現アレイの使用は、所定の試料のためのmiRNA発現プロフィールを得ることを許す。
【0184】
miRNAをアッセイするためのアッセイまたはアレイを調製する方法は、周知技術であり、そしてここで更に詳述される必要はない。
【0185】
核酸アレイは、生物学的試料中のmiRNAの存在または示差的発現を検出するために用いられることが可能である。ポリヌクレオチドアレイ(例えばDNAまたはRNAアレイ)は、支持体上の予め定められた位置に置かれた、通常異なる配列のポリヌクレオチド(捕捉剤)の領域を典型的に含む。これらの領域(時々アレイフィーチャー「array features」と呼ばれる)が、アレイの支持体上の種々の予め定められた位置(アドレス「addresses」)を有するという点で、アレイはアドレッサブル「addressable」である。アレイ上の特定の予め定められた位置(すなわちアドレス「address」)の領域(すなわち、アレイのフィーチャー「feature」またはスポット「spot」)は、特定のmiRNA標的を検出するだろう。あらかじめ得られたポリヌクレオチドを位置特異的な様式で支持体上へ置くことにより、または支持体上での位置特的なポリヌクレオチドのin situ合成により、ポリヌクレオチドアレイは、平面支持体上で典型的に作成される。前駆体ユニット(例えばヌクレオチドまたはアミノ酸モノマー)またはあらかじめ合成された捕捉剤を置くことによって(例えば、接触またはジェットを基礎とした方法または写真平版法によって)、miRNA発現を検出する為のアレイを作成できる。支持体上へポリヌクレオチド捕捉剤を置いた後に、該支持体は、使用の前に典型的には処理され(例えば洗浄され、そして例えばブロックされ)、保存される。
【0186】
miRNA発現を検出する為のアレイは、少なくとも2、3、4、または5の異なる対象プローブを有する。しかしながら、ある実施形態において、対象アレイは、対応する数のmiRNAを検出できる、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、または少なくとも1,000又はそれ以上のプローブを有するプローブセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、対象アレイは、生物の特定されたmiRNAの少なくとも一部または全てを検出するためのプローブを含むことができ、または複数の生物からオルソロガスプローブを含むことができる。
【0187】
アレイ上に存在する捕捉剤の一つ以上への試料中のmiRNAの特異的バインディングを促進する条件の下で、miRNA検体を含有している試料または標識された試料と核酸アレイを接触させて、観察されたバインディングパターンを呈示することができる。このバインディングパターンは、アレイをインテロゲートすると検出されることができる。例えば、試料中の標的miRNAは、適切なラベル(例えば蛍光化合物)によってラベルされることができ、そしてラベルはその後、アレイの試料への暴露の後でアレイ上で正確に観察されることができる(例えば蛍光パターンを観察することによって、)。観察されたバインディングパターンは、該試料の一つ以上のmiRNA成分の存在および/または濃度を示すことができる。
【0188】
miRNAのラベリングは、周知技術、例えばDNAリガーゼ、ターミナルトランスフェラーゼを使用して、またはRNA骨格構造等をラべルすることによって実施できる。
いくつかの実施形態において、miRNAは、蛍光標識でラベルされ得る。例示的な蛍光染料は、これに限定されないが、キサンテン染料、フルオレセイン染料、ローダミン染料、フルオレッセイン イソチオシアネート(FITC)、6カルボキシフルオレセイン(FAM)、6カルボキシ-2l ,4 l ,7',4,7-6塩化フルオレセイン(HEX)、6カルボキシ4’、5’ジクロロ2’、7’ジメトキシフルオレセイン(JOE又はJ)、N,N,N’,N’テトラメチル6カルボキシローダミン(TAMRA又はT)、6カルボキシXローダミン(ROX又はR)、5カルボキシローダミン6G(R6G5又はG5)、6カルボキシローダミン6G(R6G6又はG6)およびローダミン110、シアニン染料(例えばCy3、Cy5、およびCy7染料);Alexa染料(例えばAlexa-fluor-555);クマリン、ジエチルアミノクマリン、ウンベリフェロン;ベンズイミド染料(例えばヘキスト33258);フェナントリジン染料(例えばTexas Red);エチジウム染料;アクリジン染料;カルバゾール染料;フェノキサジン染料;ポルフィリン染料;ポリメチン染料、ボディピィ染料、キノリン染料、ピレン、フルオレセイン クロロトリアジニル、Rl10、Eosin、JOE、R6G、テトラメチルローダミン、リサミン、ROX、ナフトフルオレセインなどを包含する。
【0189】
いくつかの実施形態において、免疫調節活性を評価するためのオリゴヌクレオチドアレイは、調製されまたは例えばアフィメトリクスから購入されることができる。アレイは、固形の支持体、及び該支持体に接触している複数のオリゴヌクレオチドを含むことができる。オリゴヌクレオチドは、固形の支持体上の特定の、アドレッサブルな位置に存在してもよく、各位置は、細胞または患者中のキノリン誘導体または薬物候補の処置の後に、示差的発現され得るmiRNA配列の少なくとも一部に対応する。miRNA配列は、少なくとも一つのmiR-124配列を有する。
【0190】
アレイがmiRNAを評価するために用いられる場合、典型的方法は、以下の工程を含むことができる:1)表面にバインドされた対象プローブを有しているアレイを得ること;2)特異的バインディングを提供するために十分な条件のもとで、該表面にバインドされたプローブへmiRNAの母集団をハイブリダイゼーションすること;3)ハイブリダイゼーションにおいて、バインドされなかった核酸を除去するために、ポストハイブリダイゼーション洗浄を行うこと;及び4)ハイブリダイズされたmiRNAを検出すること。これらの工程の各々で使用される試薬およびそれらの使用条件は、個々の適用に依存して変化し得る。
【0191】
ハイブリダイゼーションは、適切なハイブリダイゼーション条件の下で実施されることができ、後者は望まれるストリンジェンシーにおいて変化できる。典型的条件は、相補的なバインディングメンバーの間(すなわち表面にバインドされた対象プローブと試料中の相補的miRNAの間)で、アレイ表面上でプローブ/標的複合体を作成するのに十分である。ある実施形態において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が使用されることができる。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で典型的には実行される。周知である標準的なハイブリダイゼーション技術(例えばアレイ上のプローブに試料中の標的miRNAの特異的バインディングを与えるのに十分な条件の下で)は、核酸アレイに試料をハイブリダイズさせるために用いられる。温度、塩濃度、ポリヌクレオチド濃度、ハイブリダイゼーション時間、ストリンジェンシー洗浄条件等を含む適切な条件の選択は、試料の由来、捕捉剤の種類、予想される相補性の程度等を含む実験計画に依存し、そして当業者にとってルーチンな実験の問題として決定されることができる。一般に、核酸ハイブリダイゼーションの文脈において、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、典型的には配列に依存し、異なる実験条件の下で異なる。ハイブリダイゼーションは、約12~約24時間にわたってなされ得る。ストリンジェンシー洗浄条件は、miRNA配列が相補的な捕捉剤にハイブリダイズされる度合いに影響を及ぼすことができる。代替であるが同等のハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が、類似のストリンジェンシーの条件を準備する為に利用できることを、当業者は容易に認識するであろう。
【0192】
例示としての一の実施形態において、アフィメトリクスのGenechip miRNA Array 2.0を使用して、取扱説明書に記載されているプロトコールに従って、miRNA発現プロファイリング実験を、行うことができる。
【0193】
一の特定の実施例において、前記ハイブリダイゼーションは、GeneChip(商標)ハイブリダイゼーション、洗浄、および染色キット(アフィメトリクスRef.#900720)を使用して実施されることができる。有利には、前記ハイブリダイゼーションは、製造業者のプロトコールに従うことにより実施される。
【0194】
miRNAハイブリダイゼーション手順の後、アレイ表面にバインドされたポリヌクレオチドは、バインドしていない核酸を除去するために、典型的には洗浄される。洗浄は、任意の手ごろな洗浄プロトコールも使用して実施されることができ、洗浄条件は、上記のように典型的にはストリンジェントである。例えば、アフィメトリクス社より販売されている洗浄バッファー(ref.#900721および#900722)を使用して、洗浄工程を、実施できる。プローブに対する標的miRNAのハイブリダイゼーションは、その後アレイを読み取る標準的な技術を使用して検出される。miRNA/プローブバインディング複合体を検出する為に例えば、アレイを照らし、該アレイの各フィーチャーで、得られた蛍光の位置および強度を読み取ることによって得られたハイブリダイズされたアレイを読み取ることは達成されることができる。
【0195】
対照基準、例えば健康なドナーからの対照基準値に比較してのmiR-124の存在または発現レベルの調節は、炎症性疾患の表示であることができる。特に、対照基準値(即ち健康なドナーからの対照基準値)に比較して、前記miR-124の減少されたまた抑制された存在、または低下された発現レベルは、炎症性疾患の表示であることができる。
【0196】
このように、一の実施形態において、本発明の使用は、単離された生物学的試料中へのmiR-124の発現レベルを得る又は測定し、及び前記測定された発現レベルを対照基準値と比較することを包含できる。前記対照基準値と比較した前記測定されたレベルの変化の観察は、炎症性疾患、又は前記炎症性疾患の処置の表示であることができる。
【0197】
対照基準値(すなわちキノリン誘導体のような薬物候補による処置なし)と比較して、薬物候補存在下でのmiR-124の高められたまたはアップレギュレートされた発現レベルは、炎症性疾患を処置するおよび/または予防することにおいて効果的であると推定される薬物候補の表示である。
【0198】
したがって、対照基準値と比較して、試料由来のmiR-124が生物学的試料中で「増加され」または「アップレギュレートされる」場合、この増加は比較対照基準値(すなわち、キノリン誘導体による処置なし)の、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、又は5,000%以上であり得る。
【0199】
特にmiR-124の測定された発現レベルは、前記対照基準値に比較して少なくとも2倍、好ましくは少なくとも4倍、好ましくは少なくとも6倍、好ましくは少なくとも8倍、及び好ましくは少なくとも10倍の増加であり得る。
【0200】
好ましい実施形態に従い、miR-124の測定された発現レベルは、前記対照基準値と比較して、少なくとも100倍の増加であり得る。
【0201】
一の実施形態に従い、本発明に従う使用または方法は、患者の投与計画を最適化するために行われることができる。年齢、健康、遺伝的背景、他の合併症の存在、疾患進行度、及び他の薬物の同時投与などの因子に依存して、患者は、所与のキノリン誘導体、特に式(I)の化合物に対して様々な反応をし得る。患者におけるキノリン誘導体の投与計画、例えば用量および/または投与スケジュールを評価し、そして最適化するために、miR-124バイオマーカーを利用することは、役立ち得る。この点に関して、経時的に個々の患者の処置効果を追跡し、調整するためにも、miR-124を基礎とするバイオマーカーは、用いられることが可能である。該バイオマーカーは、必要に応じて剤の用量を増加または減少して、患者の処置の調整をするために必要な情報を集めるために用いることができる。投与量が有効になりつつあるか、またはより積極的処置計画が実施される必要があるかをみるために、キノリン誘導体を投与されている患者は、miR-124を基礎としたバイオマーカーを用いて検査をされることができる。投与される薬物の量、投与のタイミング、投与頻度、投与の期間は、miR-124バイオマーカー測定に応じて、その後調整されることができる。
【0202】
miR-124バイオマーカーは、個人の処置計画の間、または臨床試験の間、患者の遵守を追跡する為に用いられることもできる。これは、試験に入れられた患者が指示どおり薬物を服用していることを確認にするために、設定された間隔で追跡されることができる。よりさらに、患者が処置計画の投与計画を順守するかどうか決定するために、キノリン誘導体を投与されている患者は、miR-124バイオマーカーを使用して検査をされることができる。無治療対照試料のそれと比較したバイオマーカーの高められた発現レベルは、プロトコールの遵守を表す。
【0203】
このように、そして本発明の範囲を逸脱することなく、対照基準値は、以下に由来する真核細胞から得られることが可能である:健康なドナー及び/または所定の候補薬物(例えば所定のキノリン誘導体)であらかじめ処理されなかったドナーからの生物学的試料。
【0204】
キノリン誘導体、特に式(I)の化合物の有効性を評価し、追跡するために、本発明のバイオマーカーを、実施できる。したがって、キノリン誘導体、例えば式(I)の化合物によりあらかじめ処理された患者から得られた単離された生物学的試料において、miR-124の存在または発現レベルを測定できる。
【0205】
そして、単離された生物学的試料におけるmiR-124の測定された存在または発現レベルは、対照基準値と比較されることができる。
【0206】
対照基準値と比較して、miR-124の測定された発現レベルの増加が観察される場合、該測定はキノリン誘導体、及び特に式(I)の化合物の活性を表す。
【0207】
他の実施形態において、対照基準値と比較して、miR-124の測定された発現レベルの増加が観察される場合、該測定は前記キノリン誘導体、特に式(I)の前記化合物での処置に対する患者の反応性を表し得る。
【0208】
他の実施形態において、対照基準値と比較して、測定されたレベルの増加が観察される場合、該測定は前記キノリン誘導体、特に式(I)の前記化合物での処置の有効性を表す。
【0209】
他の実施形態において、対照基準値と比較して、測定されたレベルの増加が観察される場合、該測定は、炎症性疾患を予防し、および/または処置するための治療剤としての前記キノリン誘導体、特に式(I)の前記化合物の治療有効性を表す。
【0210】
他の実施形態において、対照基準値と比較して、miR-124の測定された発現レベルの増加が観察される場合、もしも他の投与計画により治療される患者から取り出された生物学的試料から対照基準値が測定されたならば、該測定は、炎症性疾患を予防するおよび/または処置するための治療剤としての前記キノリン誘導体、特に式(I)の前記化合物の特定の投与計画の治療有効性を表す。
【0211】
本発明の式(I)のいくつかの化合物の化学構造および分光学的データは、以下の表Iおよび表IIにおいて、それぞれ示される(実施例参照)。
【表1】
【0212】
本明細書において提示された実施例は、単に例示である事を意図され、そして当業者はルーチンの実験を越えるものは使用せずに、特定の化合物の多数の等価の物質、および手順を認識し、または確認できるであろう。このような等価物のすべては、本発明の範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲により包含される。
【実施例
【0213】
【実施例1】
【0214】
8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)キノリン-2,4-ジアミン;化合物(9)
o-クロロアニリン(5.3mL、50mmol、1当量)は、ピリジン(8mL)中に置かれた。マロン酸ジエチル(11.4mL、75mmol、1.5当量)はその後加えられ、そして該反応混合物は、130℃で14時間撹拌された。室温に冷却した後、該反応混合物は減圧の下で濃縮され、そして得られた残渣は、ジクロロメタンで希釈された。有機相は、その後NaCOの飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、減圧の下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、エチル2-[(2-クロロフェニル)カルバモイル]アセテート(2.7g、22%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.74 (br s, 1H), 8.38(dd, J =8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.28 (td, J = 8.1,1.5 Hz,1H), 7.07 (td, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 4.30 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.54 (s,2H),1.34 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0215】
エチル2-[(2-クロロフェニル)カルバモイル]アセテート(2.4g、9.93mmol、1当量)が、THF(9.9mL)/水(3.8mL)混合物中に置かれた。水酸化ナトリウム(477mg、11.92mmol、1.2当量)が加えられ、そして該反応混合物は室温で14時間撹拌された。その後濃塩酸は、pH2に到達するまで加えられ、そして得られた溶液は、酢酸エチルにより抽出された。有機相は、その後MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮されて、2-[(2-クロロフェニル)カルバモイル]酢酸(2g、94%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, MeOD) δ 7.98 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H),7.45 (dd, J =8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.30 (td, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.16 (td, J =8.1, 1.5 Hz,1H), 3.54 (s, 2H)。
【0216】
ポリリン酸(17g、173.2のmmoles、10当量)中の2-[(2-クロロフェニル)カルバモイル]酢酸(3.7g、17.32mmol、1当量)の反応混合物は、130℃で14時間撹拌された。該反応混合物は室温に冷やされ、その後2Mの水酸化ナトリウム水溶液が、ゆっくり加えられた。得られた沈殿は、濾過され、水で洗われ、そしてデシケータ中で減圧下で乾燥されて、8-クロロキノリン-2,4-ジオール(3g、89%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, DMSO) δ 11.66 (br s, 1H), 10.40 (br s,1H), 7.78 (d,J = 7.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 7.8 Hz,1H), 5.81 (s,1H)。
MS (ESI) [M-H]- = 194.1
【0217】
POCl(7.1mL、76.7mmol、10当量)中の8-クロロキノリン-2,4-ジオール(1.5g、7.67mmol、1当量)の反応混合物は、100℃で2時間撹拌された。該反応混合物は室温まで冷やされ、その後水がゆっくり加えられた。得られた沈殿は、濾過され、水で洗われ、そしてデシケータ中で減圧下で乾燥されて、2,4,8-トリクロロキノリン(1.6g、90%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, DMSO) δ 8.21 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.14(d, J = 8.4Hz, 1H), 8.11 (s, 1H), 7.78 (t, J = 8.4 Hz, 1H)。
【0218】
t-BuOH(17.2mL)中の2,4,8-トリクロロキノリン(1g、4.30mmol、1当量)、2-アミノ-4-トリフリオロメチルピリジン(768mg、4.73mmol、1.1当量)、Pd(OAc)(19mg、0.09mmol、2mol%)、XantPhos(50mg、0.09mmol、2mol%)、およびCsCO(3.9g、12.04mmol、2.8当量)の反応混合物は、90℃で2日間加熱された。室温に冷却した後、該反応混合物は減圧の下で濃縮され、そして得られた残渣は、酢酸エチルで希釈された。該有機相は、その後水で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮された。得られた残渣はシリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、(4,8-ジクロロ-キノリン-2-イル)-(4-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-アミン(13)(588mg、38%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.40 (s, 1H), 8.46(d, J = 5.4Hz, 1H), 8.06 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.86 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz,1H), 7.81(s, 1H), 7.40 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.22 (d, J = 5.4 Hz,1H)。
MS (ESI) [M+H]+ = 358.1
【0219】
DMSO(1.4mL)中の(4,8-ジクロロ-キノリン-2-イル)-(4-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-アミン(200mg、0.54mmol、1当量)、3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-アミン(94μL、0.59mmol、1.1当量)、CuI(10mg、0.05mmol、0.1等量)、Lプロリン(9mg、0.11mmol、0.2当量)、炭酸カリウム(148mg、1.01mmol、2当量)の反応混合物は、アルゴンの不活性雰囲気の下で、90℃で24時間撹拌された。反応混合物は、酢酸エチルと水の間にその後分配された。デカンテーションした後、水相はジクロロメタンによって、さらに抽出された。該有機相は集められ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮された。得られた残渣はシリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、8-クロロ-N-(3-ピペリジン-1-イル-プロピル)-N-(4-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-キノリン-2,4-ジアミン(9)(48mg、7%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.55 (s, 1H), 8.40(d, J = 4.8Hz, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.77 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 7.8Hz, 1H), 7.62(s, 1H), 7.18 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.88(s, 1H), 3.41- 3.31 (m, 2H), 2.59 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 2.57 - 2.43 (m, 4H),2.01 - 1.92 (m,2H), 1.79 - 1.70 (m, 4H), 1.65 - 1.54 (m, 2H)。
13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 154.9, 154.0, 152.3,148.5,144.2, 132.2, 129.7, 121.7, 119.7, 118.4, 112.4, 109.8, 88.0, 59.6,55.1, 44.9,26.1, 24.4, 23.4。
MS (ESI) [M+H]+ = 464.2
【実施例2】
【0220】
2-N-(8-クロロキノリン-2-イル)-5-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2,5-ジアミン;化合物(22)
t-BuOH(4mL)中の2,8-ジクロロキノリン(198mg、1.0mmol、1当量)、5-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-アミン(241mg、1.0mmol、1当量)、Pd(OAc)2(4.5mg、0.02mmol、2mol%)、XantPhos(11.6mg、0.02mmol、2mol%)、およびCsCO(782mg、2.4mmol、2.4当量)の反応混合物は、120℃で70分間、マイクロ波反応器中で加熱された。室温に冷却した後、該反応混合物は減圧の下で濃縮され、そして得られた残渣は、酢酸エチルで希釈された。該有機相は、その後水で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、N-[5-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-8-クロロキノリン-2-アミン(21)(300mg、75%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.71 (s, 1H), 8.51(s, 1H), 8.06(d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.81 (m, 2H), 7.65 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.33(t, J = 7.8Hz, 1H), 7.00 (d, J = 9.0 Hz, 1H)。
MS (ESI) [M+H]+ = 403.7
【0221】
ジオキサン(1mL)/DMF(0.1mL)混合物中のN-[5-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-8-クロロキノリン-2-アミン(101mg、0.250mmol、1当量)、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロパン-1-アミン(64μL、0.375mmol、1.5当量)、Pd(dba)(28mg、0.030mmol、12mol%)、XantPhos(43.4mg、0.075mmol、30mol%)、およびナトリウム3級-ブトキシド(72mg、0.75mmol、3当量)の反応混合物は、120℃で70分間、マイクロ波反応器中で加熱された。室温に冷却した後、該反応混合物は減圧の下で濃縮され、そして得られた残渣は、酢酸エチルで希釈された。該有機相は、その後水で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、減圧下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、2-N-(8-クロロキノリン-2-イル)-5-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2,5-ジアミン(22)(52mg、43%)を得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.39 (s, 1H), 7.97 -7.86 (m,2H), 7.82 (br s, 1H), 7.73 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 7.5 Hz,1H), 7.23(t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 3.34 - 3.22 (m, 2H),2.80 - 2.44(m, 10H), 2.37 (s, 3H), 1.87 (t, J = 6.0 Hz, 2H)。
MS (ESI) [M+H]+ = 479.0
【実施例3】
【0222】
8-クロロ-Nメチル-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン;化合物(28)
実施例5において、8-クロロ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]キノリン-2-アミン、すなわち化合物(24)は、WO2010/143169におけるように合成された。
【0223】
DMF(2mL)中の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(24)(340mg、1.0のmmol、1当量)、カリウム3級-ブトキシド(124mg、1.1mmol、1.1当量)、およびヨードメタン(69μL、1.1mmol、1.1当量)の反応混合物は、室温で4時間撹拌された。反応混合物は、酢酸エチルと水の間にその後分配された。該有機相は集められ、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、そして減圧下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、8-クロロ-Nメチル-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(28)(247mg、70%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.69 (d, J = 9.0 Hz,2H), 7.49(d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.36 - 7.25 (m, 4H), 7.14 (t, J = 7.8 Hz, 1H),6.75 (d, J =9.0 Hz, 1H), 3.69 (s, 3H)
MS (ESI) [M+H]+ = 353.1
【実施例4】
【0224】
8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン;化合物(30)
実施例5において、8-クロロ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]キノリン-2-アミン、すなわち化合物(24)は、WO2010/143169におけるように合成された。
【0225】
無水DMF(2mL)中の8-クロロ-N-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]キノリン-2-アミン(24)(500mg、1.47mmol、1当量)およびNaH(177mg、4.43mmol、3当量)の反応混合物は、室温で30分間撹拌された。無水DMF(5mL)中の1-(3-クロロプロピル)ピペリジン塩酸(292mg、1.47mmol、1当量)、KI(245mg、1.47mmol、1当量)、およびEtN(205μL、1.47mmol、1当量)の反応混合物は、アルゴンの不活性雰囲気の下で、室温で30分間撹拌された。該活性化されたキノリンはその後、ピペリジン鎖に付加され、そして得られた反応混合物は、90℃で4時間撹拌された。該反応混合物は減圧の下で濃縮され、そして得られた残渣は、酢酸エチルで希釈された。有機相は、塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧の下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、8-クロロ-N-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(30)(472mg、69%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73 - 7.63 (m, 2H),7.48 (d, J =7.9 Hz, 1H), 7.39 - 7.26 (m, 4H), 7.13 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.67(d, J = 9.1 Hz,1H), 4.26 - 4.14 (m, 2H), 2.52 - 2.33 (m, 6H), 2.11 - 1.97 (m,2H), 1.64 - 1.52(m, 4H), 1.45 (s, 2H)。
13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 156.5, 147.3, 144.1,143.5,137.1, 130.8, 129.7, 129.1, 126.4, 124.7, 122.7, 122.4, 118.9 (t, J =222 Hz),112.5, 56.9, 54.5, 49.6, 25.6, 24.6, 24.3。
MS (ESI) [M+H]+ = 464.4
【実施例5】
【0226】
8-クロロ-2-((4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)キノリン;化合物(46)
DMF(6mL)中の2,8-ジクロロキノリン(79mg、0.4mmol、1当量)、2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン(65mg、0.4mmol、1当量)、CuI(76mg、0.4mmol、1当量)、およびCsCO(391mg、1.2mmol、3当量)の反応混合物は、150℃で50分間、マイクロ波反応器中で加熱された。室温に冷却した後、水が反応混合物に加えられた。溶解されていない固体はセライトを通してろ過され、そして得られた濾過物は酢酸エチルによって二回抽出された。有機相は、水そして塩の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧の下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、8-クロロ-2-{[4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}キノリン(46)(68mg、52%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.40 (d, J = 7.2 Hz,1H), 8.34(d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 7.2 Hz,1H), 7.85(d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.98 (s, 1H), 6.53 (d,J = 7.9Hz, 1H)。
13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 161.6, 151.2, 143.4,142.3,138.7, 138.2, 137.4, 133.4, 130.6, 129.1, 127.6, 126.7, 120.2, 119.7,102.3.
MS (ESI) [M+H]+ = 325.1
【実施例6】
【0227】
8-クロロ-2-(4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ)キノリン;化合物(48)
DMF(2×6mL)中の2,8-ジクロロキノリン(2×79 mg、2×0.4mmol、1当量)、4-(トリフルオロメトキシ)フェノール(2×52μL、2×0.4mmol(1当量)、CuI(2×76 mg、2×0.4mmol(1当量)およびCsCO(2×391 mg、2×1.2mmol、3当量)の反応混合物は、150℃で50分間、マイクロ波反応器中で加熱された。室温に冷却した後、水が反応混合物に加えられた。溶解されていない固体はセライトを通してろ過され、そして得られた濾過物は酢酸エチルによって二回抽出された。有機相は、水および塩水の飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥され、濾過され、そして減圧の下で濃縮された。得られた残渣は、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィにより精製されて、8-クロロ-2-[4-(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]キノリン(48)(212mg、78%)を与えた。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.12 (d, J = 8.8 Hz,1H), 7.73(d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 9.1 Hz,2H), 7.38 -7.22 (m, 3H), 7.12 (d, J = 8.8 Hz, 1H)。
13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 161.5, 151.9, 145.9,142.7,140.5, 132.0, 130.3, 127.0, 126.4, 125.1, 122.8, 122.2, 119.0 (t, J =255 Hz),113.6。
MS (ESI) [M+H]+ = 340.1
【0228】
本発明の他の化合物の構造は、NMRスペクトルにより確認された。
【表2】
【0229】
薬理データ
本発明の化合物は、治療において、特に炎症性疾患を予防するための活性物質として、それらの適性を示した薬理学的試験の対象物である。
【実施例7】
【0230】
In vivoモデルにおける炎症性腸炎に対するキノリン誘導体のmiR-124発現の調節
【0231】
A.材料及び方法
Ex vivo研究
FICOLL(商標)勾配を用いたPBMCの抽出
このために、健康なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)は、標準プロトコールに従い、FICOLL(商標)勾配での遠心分離により単離された。
【0232】
簡潔には、60~70mLのバフィーコートが、175cm2のフラスコに注がれ、そしてPBSを使用して体積を300mLに調整して、バフィーコートの約5倍の希釈液を得た。希釈されたバフィー38mLが、環境温度でFICOLL(商標)(Histopack-1077)12mLを含有する50mLのFalcon(商標)試験管にその後加えられる。調製物は、環境温度で515rcfで30分間遠心分離される。リンパ球環は、転送ピペット(Pastette、商標)でFalcon(商標)試験管から回収され、上澄みが澄明になるまで、290rcfで、かつ環境温度で10分間の遠心分離を使用し、PBSで洗浄された。
【0233】
10%のウシ胎仔血清(FCS)(Thermo Fischer RefSV30160.03)を補われ、かつ活性化なしのRPMI Glutamax培地(LifeTechnologies Ref 61870-010)中で1,5x10 細胞/mLの密度に、細胞はその後37℃で再懸濁される。細胞は、5%のCOの下で37℃で48時間インキュベートされる。
【0234】
スクリーニングされた分子による細胞の処置
6ウェルプレートは、スクリーニングの為に使用される。3.10細胞/(10%ウシ胎仔血清を補充されたRPMI4ml)、および IL-2(Peprotech Ref 200-02)40U/mLを含有するそれぞれのウェル中に、スクリーニングされた分子が添加される。100%のDMSO(4μL)がウェルに加えられ、そしてネガティブコントロールとしてテストされる。
【0235】
本明細書中で以下に記載されるように、夫々テストされる条件が準備され、そして最終な対応する容量が、従って該ウェル中で調整される:
1) 100%DMSO 中のキノリン誘導体― (5μMおよび最終的な容量4μL)
2) 抗レトロウイルス薬物:マラビロク(Maraviroc)、エファビレンツ(Efavirenz)、ダッルナビル(Darunavir)、AZT(全てについてで10μM-最終的な容量4μL)。
【0236】
該ウェルは、5%COの下で、37℃で3日間インキュベートされた。培地は、標準プロトコールに従って変えられる(3日目)。簡潔には、プレートは290rcfで5分間遠心分離され、そして3mLの上澄みが取り除かれる。10%のウシ胎仔血清およびIL-2の40U/mLを補充されたRPMI3mLは、100%DMSO中のスクリーニングされた分子5mMの保存溶液3μL又はネガティブ対照としての100%DMSO3μLを、その後加えられる。
【0237】
miRNAの抽出(6日目)
細胞は、15mLのFalcon(商標)試験管中で回収され、290rcfで5分間遠心分離され、そしてその後PBS10mLで洗われ、そして290rcfで5分間、更に遠心分離される。細胞は、その後PBS1mL中に再懸濁され、計数される。
【0238】
6x10細胞が回収され、290rcfで5分間遠心分離される。細胞ペレットは、 Macherey Nagel Nucleospin(商標)miRNA抽出キット(Macherey Nagel Ref740971)からのML溶解緩衝液300μL中で溶解され、そしてさ-20℃で更に保存される。
【0239】
スパイク・イン対照( QIAGEN(著作権)からのCe_miR-39ー SEQ ID N°6のreference 219610)の2x10コピー/μLの5μLが、試料ごとに加えられる。RNA50μLおよびmiRNA30μLのための溶出量を用いたMacherey Nagel Nucleospin(商標)miRNA抽出キットからのプロトコールを使用して、50μlのRNA及び30μlのmiRNAの溶解体積を用いてmiRNA抽出は達成され、そして-20℃で更に保存される。
【0240】
miRNAの逆転写(6日目)
逆転写工程は、miScript HiSpec緩衝液を使用する、QIAGEN(著作権)からのmiScript RT II逆転写(RT)キットを使用して、miRNA12μLについて行われ、-20℃で更に保存される。
【0241】
miRNAの定量的PCR(6日目)
定量的PCR工程は、製造業者のプロトコールに従って、QIAGEN(著作権) miScript SYBR(商標) Green PCRキットおよびmiScript プライマーアッセイを使用して達成される。
【0242】
【0243】
反応は、LightCycler(商標)380 RocheReal-Time PCR システムに関する製造業者のプロトコールに従って、384-ウェルプレート中で3回繰り返される。サイクリング条件も、製造業者のプロトコールに従って準備される:
【0244】
qPCRの相対的な定量は、当技術分野において公知であり、以下で更に詳述される。
【0245】
相対的な定量
miR-124 qPCR (Hs_miR-124a)についてHO中1/10への希釈、またはレファレンス/ハウスキーピング遺伝子qPCR(Hs_miR-26aおよびHs_miR-191)について1/100への希釈から、miScript Primer アッセイ(Hs_miR-124a, Hs_miR-26a、及び Hs_miR-191、又は QIAGEN(著作権) - レファレンス ms00006622, ms00029239 及び ms00003682))を用いる。
【0246】
miR-124の3回繰り返しからの交点(Cp)の値の平均、およびmiR-26aおよびmiR-191の3回繰り返しの平均を使用する、効率修正(2ーCp)のない相対的定量モデルを使用して、分析は達成される。
【0247】
B.結果
1セットのドナー(各化合物のために検査を受ける1~7のドナー)は、式(I)の種々の化合物の存在下で評価された。
【0248】
上記のプロトコールを使用して、miR-124発現における平均変化倍数(DMSOと比較して)は、種々のドナー(1~7のいずれか)を用いて相対的な定量により評価され、そして以下の表IIIにおいて示される:
【表3】
【0249】
このように、未処置のPBMCについて確立された基準値と比較された場合、上記の式(I)のキノリン誘導体が、PBMCにおいてmiR-124の発現レベルをアップレギュレートすることを、実験的証拠は示す。
【0250】
対照的に、公知の抗レトロウイルス剤(マラビロク、エファビレンツ、ダルナビル、またはAZT)のいずれも、4のドナーからのPBMCにおけるmiR-124の過剰発現に有意な影響を及ぼさない。
【実施例8】
【0251】
(DSS-)で誘発された大腸炎モデルに対するキノリン誘導体の効果
A.材料及び方法
マウスモデル
DSSモデル
炎症性大腸疾患の一般的に用いられるマウスモデルは、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS-)により誘発された大腸炎モデルである。急性DSS-大腸炎の典型的な組織学的変化は、ムチン減少、上皮退化、及び炎症および大腸炎へ導く粘膜障壁の最終的な破壊である。
【0252】
6週齢のC57BL/6マウスの3つの群(各々8匹のマウス)は、9日間の飲料水中のDSS(2.5%)の投与を受けた(図1及び2)。体重減少および水の消費量は、毎日測定された。それぞれの装置中の飲料水の容量減少を測定することによって、後者は決定された。200μlの0.5MC単独で(DSS+MC群)、または40mg/kgの化合物24と共に(DSS+MC+24群)、マウスは処置された。対照マウス(DSS)がそれらの体重の20%までを失った時点で、DSSによる処置は止められ、飲料水で置き換えられる。その他の処置は、21日間続けられた。
【0253】
16週齢のC57BL/6マウスの3群(各々7匹のマウス)は、飲料水中2.5%のDSSを受けた(図3)。200μlの0.5MC単独で(DSS+MC群)、または40mg/kgの化合物24と共に(DSS+MC+24群)、マウスは処置された。マウスは6日間のDSSで処置され、そして対照マウス(DSS)がそれらの体重の15%までを失った時点で、すべてのマウスは安楽死され、そして大腸は更なる分析のためにとり出された。
【0254】
大腸は定規を用いて測定され、そして大腸全体が、組織学的分析のためにスイスロール法(Whittem etal.; "Murine Colitis Modeling using Dextran SulfateSodium (DSS)", JVis Exp 2010 (35) 1652)に従って、ホルムアルデヒドで固定され、パラフィン中に埋め込まれて準備された。4μmの切片が、脱パラフィン処理され、そしてヘマトキシリン及びエオジンにより染色され、病変のサイズおよび他の変化に関して分析された(図4-6)。メチルセルロース中に懸濁されたキノリン誘導体またはメチルセルロース(MC)単独でのDSSサイクルの間、処置されていない及び処置さえたマウスを我々は比較した。統計解析はMann-Whitney検定を使用して実施され、星印一つは有意差(p < 0.5)を示し、星印二つは重大な有意差(p < 0.05)を示す。
【0255】
B.結果
示された結果は、キノリン誘導体化合物(24)を使用して確定されたものであり、該化合物の構造は参照のため以下に示される:
【化32】
【0256】
10%~20%の体重減少を示したMC群又は処理されていないマウスとは対照的に、DSS-投与の5日後にキノリン誘導体で処理されたマウスは、平均で1%未満の体重減少を示した(図1および2)。
【0257】
特に、我々は、薬物処置をうけているマウスのより多い水の消費が、キノリン誘導体の疾患減弱効果を又映しているのに気がついた。DSSの第2の投与の間に、キノリン誘導体の処置は、マウスの体重減少を著しく抑制した。このことは、マウスが感受性が鈍くならず、そしてキノリン誘導体が反復投与に適していることを示す。1サイクルのDSSの後、キノリン誘導体で処理されたマウスの大腸の長さ(6.4cm+/-0.6cm)が、MC単独で処理された(5.9cm+/-0.8cm)及び処理されなかった(5.8cm+/-0.8cm)マウスに比較して、有意に長かった(図3)。この差異は、2サイクルのDSSを受けたマウスにおいてより大きく、キノリン誘導体で処理されたマウスの大腸の長さ(5.7cm+/-0.9cm)が、MC単独で処理された(4.3cm+/-0.5cm)及び処理されなかった(4.4cm+/-0.4cm)マウスに比較して、有意に長かった(図3)。異なるコホートのマウスが、同等の数の病変を発症し(図4)、しかし病変領域の平均サイズは、キノリン-誘導体処置されたマウスにおいて著しく低く、すなわち2.1 mm対MC単独処置されたマウスにおける8.4 mmであった(図5)。DSS-2サイクルにさらされたマウスにおいて、この違いは維持された(3.8mm対12.2mm)。
【0258】
最終的に、DSS-2サイクル後に、パイエル板のようなリンパ様器官における病変の減少を、我々は観察した。このことは、キノリン誘導体処置が免疫応答を調整することを示唆している。
【実施例9】
【0259】
コラーゲンにより誘発された関節炎モデルに対するキノリン誘導体の効果
A.材料及び方法
マウスモデル
コラーゲンにより誘発された関節炎モデル:
9~-10週齢のDBA/1マウスの群は、完全フロイントアジュバントで1:1の割合で乳化されたウシII型コラーゲンの皮内投与によって、免疫された。マウスは第1の免疫感作後21日間チャレンジされ、そして一日おきに各後足の厚さをモニターすることによって、関節炎の表現型の出現が評価された。厚み計を使用し、ダイヤルカリパス(0~10mm)試験ゲージを使用して、足関節の厚さが測定された。マウスは、メチルセルロース中に懸濁されたキノリン誘導体候補化合物又はメチルセルロース(MC)単独で2週間毎日処理され、そして該疾患の発症がモニターされた。統計解析はMann-Whitney検定を使用して実施され、星印一つは有意差(p < 0.5)を示す。
【0260】
B.結果
テストされたキノリン誘導体化合物(24)で処理された10匹のマウス中1匹だけが、炎症の徴候を示した(これに対して、MCで処理された10匹のマウス中8匹が疾患を発症した)。キノリン誘導体で処理されたマウスは、MC単独で処理されたマウスと比較して腫脹の有意な減少を示した(1.9mm対約2.2mm)(図6)。
【0261】
従って、上で更に記載されているように、本発明で開示された化合物に実施された該試験の結果は、炎症性疾患を処置するおよび/または予防するために前記化合物が有用であり得ることを示す。
【0262】
このために、該化合物の有効量が、炎症性疾患を患っている個体に与えられることが可能である。
【0263】
このように、前記化合物の有効量および一つ以上の医薬補剤を含むことができる医薬品組成物の範囲内で、本発明に従う化合物を実施できる。
【0264】
前述の補剤は、剤形および所望の投与様式に従って選択される。
【0265】
この文脈において、活性物質0.1~1000mgの毎日投与を可能にする用量において、適切な賦形剤と共に腸内又は非経口投与に適しているいかなる剤型、例えば裸錠または被覆錠、硬質ゼラチン、ソフトシェルカプセルおよび他のカプセル、坐薬、例えば懸濁液、シロップのような飲めるもの、又は注射可能な溶液または懸濁液の形において、補剤は存在できる。
【0266】
任意の投与経路が用いられることが可能である。例えば、式(I)の化合物は、経口、非経口、静脈、経皮、筋肉内、直腸、舌下、粘膜、鼻、又は他の手段により投与されることができる。加えて、公式(I)の化合物は、医薬品組成物の型式および/または単位用量形態の型式において投与されることができる。
【0267】
特に、本発明の医薬品組成物は、経口的におよび/または非経口的に投与されることができる。
【0268】
適切な剤形は、これに限定されないが、カプセル、錠剤(急速溶解錠および徐放錠を含む)、粉末、シロップ、口腔懸濁液、および非経口投与用の溶液を含む。
【0269】
医薬品組成物は、本発明の化合物と組みあわされた、当業者に周知の他の抗炎症剤を含むこともできる。
【0270】
本発明の1つの実施態様を以下にまとめる。
[項1]
下記の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効性を評価し、追跡する方法であって、前記式Iの化合物と接触された単離された生物学的試料又は前記式Iの化合物であらかじめ処理された患者から得られた単離された生物学的試料において、miR-124の存在または発現レベルを測定することを含む前記方法:
【化33】
ここで、
Zは、CまたはNであり、
Vは、CまたはNであり、
【化34】
は芳香環を意味し、ここでVは、CまたはNであり、そしてVがNである場合に、VはZのオルト、メタ、又はパラ位にあり、すなわちそれぞれピリジン、ピリダジン、ピリミジン、またはピラジン基を形成し、
Rは独立して、水素原子、ハロゲン原子、または-CN基、ヒドロキシル基、(C-C)フルオロアルキル基、(C-C)フルオロアルコキシ基、(C-C)シクロアルキル基、-NO基、-NR基、(C-C)アルコキシ基、フェノキシ基、-NR-SO-NR基、-NR-SO-R基、-NR-C(=O)R基、-NR-C(=O)-NR基、-SO-NR基、-SOH基、-O-SO-OR基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、-O-CH-COOR基、および(C-C)アルキル基から選択される基を表し、ここで前記アルキルはヒドロキシル基によって、任意的にモノ置換されていてもよく、
Qは、N又はOであり、ただしQがOであるときに、R’’は存在せず、
およびRは、独立して水素原子または(C-C)アルキル基であり、
およびRは、独立して水素原子、Li、Na、K、N(Ra)またはベンジル基を表し、
nは、1、2、または3であり、
n’は、1、2、または3であり、
R’は、独立して水素原子、または(C-C)アルキル基、ハロゲン原子、-NO基、-NR基、モルホリニルまたはモルホリノ基、N-メチルピペラジニル基、(C-C)フルオロアルキル基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、および-CN基の中から選択される基を表し、更に以下の中から選択される基であることができ:
【化35】
ここで、
Aは、共有結合、酸素原子、またはNHであり、
Bは、共有結合またはNHであり、
mは、1、2、3、4、または5であり、
pは、1、2、または3であり、
RaおよびRbは、独立して水素原子、(C-C)アルキル基、または(C-C)シクロアルキル基を表し、
RaおよびRbは、それらが結合されている窒素原子と共に、任意的に更にN、O、およびSの中から選ばれるヘテロ原子を有していてもよい飽和の5-または6-員環のヘテロ環を形成することができ、ここで前記ヘテロ環は任意的に1以上のRaで置換されることができ、但しR’が基(IIa)または(IIIa)である時、他のR’基が前記基(IIa)または(IIIa)と異なる場合だけ、n’が2又は3であり得、
R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、または上記の基(IIa)であり、及び
ここで、式Iの上記化合物におけるキノリン構造の8位が塩素原子である。
[項2]
Rは独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、又は-O-P(=O)(OR)(OR)基を表し、ここで、R及びRは、請求項1で定義されている通りである、
R’は独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、メチル基、-O-P(=O)(OR)(OR)基、または基
【化36】
を表し、ここで、Aは、OまたはNHであり、mは2又は3であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただし、R’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なり、
R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、または基
【化37】
であり、ここで、mは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHである、項1に記載の方法。
[項3]
miR-124の存在または発現レベルが、生物学的試料からの真核細胞から測定され、そして対照参照値と比較される、項1又は2に記載の方法。
[項4]
前記生物学的試料が、血液;血漿;血清;唾液;間質液;尿試料;細胞試料;組織生検;または臨床治験からの複数の試料、から選択される、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[項5]
前記細胞試料が、細胞培養物、細胞株、幹細胞株、または末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料である、項4に記載の方法。
[項6]
前記組織生検が、口腔組織、胃腸組織、皮膚、または口腔粘膜試料である、項4に記載の方法。
[項7]
前記試料が、未精製試料であるか、または貯蔵、加工もしくは測定の前に種々の程度に精製される、項4~6のいずれか1項に記載の方法。
[項8]
対照基準値が、炎症性疾患を患っていないことが知られている及び/またはその有効性が決定されたまたはモニタリングされるところの処置を受けていない個人又は個人の群から得られた単離された生物学的試料から得られたものであり、あるいは、
対照基準値が、炎症疾患を患いかつその有効性が決定されたまたはモニタリングされるところの処置を受けている患者から得られた単離された生物学的試料から得られたものであり、
ここで、該単離された生物学的試料は、処置の投与の前に患者から採取される、項1~7のいずれか1項に記載の方法。
[項9]
miR-124の存在または発現レベルが、核酸アッセイ又はアレイを使用して評価される、項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項10]
前記核酸アッセイ又はアレイが、ノーザンブロットまたはPCRを基礎とした方法である、項9に記載の方法。
[項11]
前記方法は、核酸の検出および定量化のための方法を実装する、項1~10のいずれか1項に記載の方法。
[項12]
核酸の検出および定量化のための前記方法がハイブリダイゼーションを基礎とする方法である、項11に記載の方法。
[項13]
前記ハイブリダイゼーションを基礎とする方法は、PCR及び定量的PCR(qRT-PCRまたはq-PCR)技術または逆転写酵素/ポリメラーゼを基礎とした技術を含む、項12に記載の方法。
[項14]
前記ハイブリダイゼーションを基礎とする方法は、更にシークエンシング工程を含むかまたは更にそれと組み合わされる、項12又は13に記載の方法。
[項15]
(i)細胞mRNAの抽出工程、(ii)逆転写酵素を使用する、mRNAのDNAへの逆転写の工程、および(iii)前の工程で得られたDNAからのDNA増幅工程を含む、項1~14のいずれか1項に記載の方法。
[項16]
対照基準値に比較してのmiRNA-124の減少された若しくは抑制された存在または低下された発現レベルは、炎症性疾患を示す、項1~15のいずれか1項に記載の方法。
[項17]
前記対照基準値が、健康なドナーからの対照基準値である、項16に記載の方法。
[項18]
Rは独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、又は-O-P(=O)(OR)(OR)基を表し、ここで、R及びRは、項1で定義されている通りである、
R’は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、メチル基、または基
【化38】
を表し、ここで、Aは、OまたはNHであり、mは2であり、およびXは、O、CH、またはN-CHであり、ただしR’がこのような基である場合、n’は1又は2であり、そしてn’が2の場合、その他のR’基は前記基と異なる、
R’’は、水素原子、(C-C)アルキル基、または基
【化39】
であり、ここで、mは2又は3であり、及びXはO、CH、またはN-CHである、項1~17のいずれか1項に記載の方法。
[項19]
Rは独立して、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、またはアミノ基を表す、項1又は2に記載の方法。
[項20]
以下の式(Ia)、(Ib)、および(Ic)、またはその薬学的に許容される塩のいずれか一つから選ばれる、
【化40】
ここでR、R’、R’’、n、およびn’は、項1~2及び19のいずれか1項において定義されている通りである、項1~2及び19のいずれか1項に記載の方法。
【0271】
SEQUENCE LISTING

<110> ABIVAX
UNIVERSITE DE MONTPELLIER
CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (CNRS)
INSTITUT CURIE

<120> QUINOLINE DERIVATIVES FOR THE TREATMENT OF INFLAMMATORY DISEASES

<130> PR72917

<140>JP2017-502214
<140>JP2020-154962

<141>2015-07-17

<150> EP14306164.6
<151> 2014-07-17

<160> 6

<170> BiSSAP 1.3

<210> 1
<211> 85
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 1
aggccucucu cuccguguuc acagcggacc uugauuuaaa uguccauaca auuaaggcac 60

gcggugaaug ccaagaaugg ggcug 85


<210> 2
<211> 109
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 2
aucaagauua gaggcucugc ucuccguguu cacagcggac cuugauuuaa ugucauacaa 60

uuaaggcacg cggugaaugc caagagcgga gccuacggcu gcacuugaa 109


<210> 3
<211> 87
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 3
ugagggcccc ucugcguguu cacagcggac cuugauuuaa ugucuauaca auuaaggcac 60

gcggugaaug ccaagagagg cgccucc 87


<210> 4
<211> 20
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 4
uaaggcacgc ggugaaugcc 20


<210> 5
<211> 22
<212> RNA
<213> Homo sapiens

<400> 5
cguguucaca gcggaccuug au 22


<210> 6
<211> 22
<212> RNA
<213> Caenorhabditis elegans

<400> 6
ucaccgggug uaaaucagcu ug 22
図1
図2
図3
図4
図5
図6