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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】医用撮影装置リースシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20240906BHJP
   G16H 40/00 20180101ALI20240906BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G16H40/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020110369
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007415
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502346275
【氏名又は名称】株式会社近畿レントゲン工業社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】勝部 祐一
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-272762(JP,A)
【文献】特開2018-041252(JP,A)
【文献】特開2017-000386(JP,A)
【文献】特開2004-097634(JP,A)
【文献】特開2002-269241(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0122587(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部撮影用の医用撮影装置のリースシステムであって、
前記医用撮影装置により撮影された医用画像を示す画像データを記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部を参照し、所定期間内に撮影された前記医用画像の枚数を示す使用実績データを生成する撮影枚数カウント部と、
前記医用画像の撮影に対して定められている診療報酬を示す診療報酬データを記憶する診療報酬記憶部と、
前記使用実績データが示す前記医用画像の枚数と、前記診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出して出力するリース料金算出部とを備える、医用撮影装置のリースシステム。
【請求項2】
前記画像記憶部が、撮影方式が互いに異なる複数の前記医用撮影装置により撮影された前記画像データを記憶するものであり、
前記撮影枚数カウント部が生成する前記使用実績データが、撮影方式毎の前記医用画像の撮影枚数を示すものであり、
前記診療報酬記憶部が記憶する診療報酬データが、前記医用画像の撮影方式と、各撮影方式による前記医用画像の撮影に対して定められている前記診療報酬との対応関係を示すものである、請求項1に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項3】
前記画像記憶部がクライアント端末に設けられており、
前記クライアント端末から抽出された操作ログを示す操作ログデータを記憶する操作ログ記憶部と、
前記操作ログ記憶部を参照して、前記所定期間内に前記画像記憶部から削除された前記医用画像の枚数をカウントし、当該削除枚数を示す削除枚数データを生成する削除枚数カウント部とを更に備え、
前記リース料金算出部が、前記使用実績データが示す前記医用画像の枚数と前記削除枚数データが示す前記医用画像の枚数とを足し合わせた合計枚数と、前記診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出する請求項1又は2に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項4】
前記操作ログデータには、前記医用画像の削除操作がユーザによるものか管理者によるものかを識別するための識別情報が含まれており、
前記削除枚数カウント部が、前記操作ログデータに含まれる前記識別情報を参照し、ユーザの削除操作により削除された前記医用画像の枚数のみをカウントし、前記削除枚数データを生成する請求項3に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項5】
前記リース料金算出部は、前記医用画像の枚数に応じて異なる計算式を用いて前記リース料金を算出するように構成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項6】
診療報酬の改定情報を示す診療報酬改定データを受け付け、これを前記診療報酬記憶部に格納する改定情報受付部をさらに備え、
前記診療報酬記憶部が、前記診療報酬改定データを受け取ると、記憶している前記診療報酬データを更新する請求項1~5のいずれか一項に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項7】
前記医用撮影装置が歯科用のものである請求項1~6のいずれか一項に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【請求項8】
前記画像記憶部に記憶された前記医用画像に基づき、口腔内装置作成用のモデリングデータを生成するモデリングデータ生成部と、
前記所定期間内に前記モデリングデータを用いて作成した前記口腔内装置の個数をカウントし、当該作成個数を示す第2使用実績データを生成する作成個数カウント部とを更に備え、
前記診療報酬記憶部が、前記口腔内装置の作成に対して定められている診療報酬を示す第2診療報酬データを更に記憶しており、
前記リース料金算出部が、前記使用実績データが示す前記医用画像の撮影枚数と、前記第2使用実績データが示す前記口腔内装置の作成個数と、前記診療報酬データが示す診療報酬と、前記第2診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出する、請求項7に記載の医用撮影装置のリースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部撮影用の医用撮影装置のリースシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば歯科や耳鼻科等で用いられる頭部撮影用の医用撮影装置として、顔周りをX線撮影してこれを画像処理することにより、歯列や頭蓋骨の三次元画像を撮影することができるX線CT撮影装置の開発が行われている(例えば特許文献1)。このようなX線CT撮影装置を用いれば、患部の状態を立体的に知ることができるので、例えば歯科医院において、インプラント手術のような高度な治療の他、虫歯治療等の歯科治療全般を正確かつ安全に行うことができる。
【0003】
しかしながら、上記したX線CT撮影装置のような頭部撮影用の医用撮影装置は非常に高額であるため、歯科医院や耳鼻科医院においてこれを導入するためには高額な資金調達が必要となる。また使用頻度が少ない場合には無駄な設備投資となる恐れがある。そのため歯科医院や耳鼻科医院等では、このような高額な頭部用の医用撮影装置の導入が進んでおらず、国内においてもその普及率が低いというのが昨今の現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-188611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、頭部撮影用の医用撮影装置を医院において無理なく導入することができるリースシステムを提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る医用撮影装置のリースシステムは、頭部撮影用の医用撮影装置のリースシステムであって、前記医用撮影装置により撮影された医用画像を示す画像データを記憶する画像記憶部と、前記画像記憶部を参照し、所定期間内に撮影された前記医用画像の枚数を示す使用実績データを生成する撮影枚数カウント部と、前記医用画像の撮影に対して定められている診療報酬を示す診療報酬データを記憶する診療報酬記憶部と、前記使用実績データが示す前記医用画像の枚数と、前記診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出して出力するリース料金算出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成であれば、医院は医用撮影装置を購入するのではなくリースという形で使用でき、そのリース料金が医用撮影装置を用いて撮影した医用画像の枚数と診療報酬とに基づいて決定するので、医院における金銭的な負担を軽減でき、高額な医用撮影装置を無理なく導入することができる。
すなわち、医用画像の枚数に基づいてリース料金が決まる、所謂従量課金制の料金設定とすることにより、医用撮影装置をあまり使用しなかった場合には、そのリース料金を安く抑えることができる。また診療報酬に基づいてそのリース料金が決まるようにしているので、例えば、医用画像の撮影の1枚当たりに係るリース料金を、医用画像の撮影に対して定められている診療報酬よりも安くなるように設定すれば、医院は医用撮影装置を使用する程大きな利益が得られるようになる。
そのため歯科医院や耳鼻科医院において、高額な頭部用の医用撮影装置を無理なく導入することができる。
なお、本明細書でいう“診療報酬に基づいてリース料金を算出する”とは、診療報酬そのものを用いてリース料金を算出するだけでなく、例えば、診療報酬点数、診療報酬に所定の係数を掛けた値、診療報酬に基づいて(加味して)設定した値等、診療報酬に関連する各種の値を用いてリース料金を算出することを含む。
【0008】
前記医用撮影装置のリースシステムは、前記画像記憶部が、撮影方式が互いに異なる複数の前記医用撮影装置により撮影された前記画像データを記憶するものであり、前記撮影枚数カウント部が生成する前記使用実績データが、撮影方式毎の前記医用画像の撮影枚数を示すものであり、前記診療報酬記憶部が記憶する診療報酬データが、前記医用画像の撮影方式と、各撮影方式による前記医用画像の撮影に対して定められている前記診療報酬との対応関係を示すものであることが好ましい。
このようにすれば、例えばX線CT装置やパノラマX線装置等、撮影方式が異なる複数の頭部用医用撮影装置を医院において無理なく導入することができる。
【0009】
また前記医用撮影装置のリースシステムは、前記画像記憶部がクライアント端末に設けられており、前記クライアント端末から抽出された操作ログを示す操作ログデータを記憶する操作ログ記憶部と、前記操作ログ記憶部を参照して、前記所定期間内に前記画像記憶部から削除された前記医用画像の枚数をカウントし、当該削除枚数を示す削除枚数データを生成する削除枚数カウント部とを更に備え、前記リース料金算出部が、前記使用実績データが示す前記医用画像の枚数と前記削除枚数データが示す前記医用画像の枚数とを足し合わせた合計枚数と、前記診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出するように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、クライアント端末の操作ログを参照することにより、例えば医院において撮影失敗等により画像記憶部から削除された医用画像の枚数をカウントし、これをリース料金に反映することができる。
【0010】
この場合、前記操作ログデータには、前記医用画像の削除操作がユーザによるものか管理者によるものかを識別するための識別情報が含まれており、前記削除枚数カウント部が、前記操作ログデータに含まれる前記識別情報を参照し、ユーザの削除操作により削除された前記医用画像の枚数のみをカウントし、前記削除枚数データを生成するように構成していれば、より好ましい。
リース期間中には、医用撮影装置のメンテナンス等の目的により、リースシステムの管理者により医用撮影装置のテスト撮影が行われ、メンテナンス完了後にそのテスト画像が削除されることがある。上記した構成であれば、医用画像の削除操作がユーザによるものか管理者によるものかを識別でき、ユーザの削除操作により削除された枚数のみをカウントできるので、管理者のメンテナンス操作によるテスト撮影をリース料金に含めることなく、より適切なリース料金を算出することができる。
【0011】
前記リース料金算出部は、前記医用画像の枚数に応じて異なる計算式を用いて前記リース料金を算出するように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、例えば二段階定額型、キャップ型、変動従量型等の多様なリース料金を設定することができるので、医院は医用撮影装置の使用状況に応じて最適な料金プランを選択できるようになる。
【0012】
診療報酬を決定する診療報酬点数表は国の行政機関により定められるものであり、随時改定が行われる。
そのため、前記医用撮影装置のリースシステムは、診療報酬の改定情報を示す診療報酬改定データを受け付け、これを前記診療報酬記憶部に格納する改定情報受付部をさらに備え、前記診療報酬記憶部が、前記診療報酬改定データを受け取ると、記憶している前記診療報酬データを更新するように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、診療報酬の改定情報を示す診療報酬改定データを受け付け、これを診療報酬記憶部に格納している診療報酬データを更新するようにしているので、算出されるリース料金に対して最新の診療報酬を適用することができる。
【0013】
前記医用撮影装置の具体例として、歯科用、耳鼻科用又は眼科用のものを挙げることができる。特に本発明のリースシステムは歯科用の医用撮影装置をリースするものであれば、その効果が顕著になる。
すなわち歯科医院では、矯正治療等の審美目的のために医用撮影装置を使用することがあるが、この場合における医用撮影装置の使用は保険外診療であるため、診療報酬明細書(所謂レセプト)には診療報酬点数は記載されない。そのため、医用撮影装置の使用料をレセプトに記載された診療報酬点数に基づいて算出する場合には、その実際の使用状況をリース料金に正確に反映することができない。
しかしながら本発明のリースシステムは、医用撮影装置により撮影された医用画像を記憶する画像記憶部を参照することにより使用量をカウントするように構成しているので、歯科医院における医用撮影装置の実際の使用状況をリース料金に正確に反映することができる。
【0014】
歯科医院では、歯科用X線CT装置により撮影されたX線CT画像や、口腔内スキャナにより撮影された口腔内3D画像を用いて、マウスピースや義歯等の口腔内装置作成用のモデリングデータを作成し、これを用いて口腔内装置を作成することがある。
そのため歯科用の医用撮影装置をリースする場合、前記医用撮影装置のリースシステムは、前記画像記憶部に記憶された前記医用画像に基づき、口腔内装置作成用のモデリングデータを生成するモデリングデータ生成部と、前記所定期間内に前記モデリングデータを用いて作成した前記口腔内装置の個数をカウントし、当該作成個数を示す第2使用実績データを生成する作成個数カウント部とを更に備え、前記診療報酬記憶部が、前記口腔内装置の作成に対して定められている診療報酬を示す第2診療報酬データを更に記憶しており、前記リース料金算出部が、前記使用実績データが示す前記医用画像の撮影枚数と、前記第2使用実績データが示す前記口腔内装置の作成個数と、前記診療報酬データが示す診療報酬と、前記第2診療報酬データが示す診療報酬とに基づいて、前記医用撮影装置のリース料金を算出するように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、歯科医院は、高額な医用撮影装置を購入することなく、リースすることにより、口腔内装置を作成することができる。
なお、“所定期間内にモデリングデータを用いて作成した口腔内装置の個数”とは、所定期間内に作成を発注した口腔内装置の個数でもよいし、作成完了した口腔内装置の個数でもよい。
【0015】
前記医用撮影装置のリースシステムは、前記診療報酬記憶部と前記リース料金算出部はサーバ装置に設けられ、前記画像記憶部と前記撮影枚数カウント部は、前記サーバ装置にアクセス可能なクライアント端末装置に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、高額な頭部用の医用撮影装置を医院において無理なく導入することができるリースシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の医用撮影装置リースシステムの全体構成を模式的に示す図。
図2】本実施形態のクライアント端末装置の機能ブロックを示す図。
図3】本実施形態のサーバ装置の機能ブロックを示す図。
図4】本実施形態のリース料金算出部によるリース料金の算出方法の一例を示す図。
図5】他の実施形態のクライアント端末装置の機能ブロックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る頭部用の医用撮影装置リースシステム100の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の頭部用の医用撮影装置リースシステム100は、歯科医院DCに対して歯科用撮影装置10をリースし、当該歯科医院DCにおける歯科用撮影装置10の使用実績に基づいて月々のリース料金(月額料金)を決定する従量課金型のリースシステムである。
【0020】
具体的にこの医用撮影装置リースシステム100は、図1に示すように、歯科医院DCに納入される歯科用撮影装置(本発明の医用撮影装置に相当)10と、LAN等の医院内ネットワークを介して当該歯科用撮影装置とデータ通信可能に接続されるクライアント端末装置20と、インターネット等の外部ネットワークINTを介してクライアント端末装置20とデータ通信可能に接続されるサーバ装置30と、を備えるサーバクライアントシステムである。サーバ装置30には、外部ネットワークINTを介して1又は複数のクライアント端末装置20が接続されている。各クライアント端末装置20は、リース契約した各歯科医院DCに設置されているコンピュータ等が考えられ、サーバ装置30との間で例えばVPNを備えたセキュア通信によりデータ通信を行う。
【0021】
歯科用撮影装置10は、歯科診療において画像診断に用いられるものであり、患者の歯列や頭部骨格等を撮影する歯科専用のものである。具体的にこの歯科用撮影装置10は、図2に示すように、例えば歯科用X線CT撮影装置、パノラマX線撮影装置、デンタルX線撮影装置、セファロX線撮影装置等のX線を利用した撮影装置や、例えば口腔内スキャナ等のX線を利用しない撮影装置等である。各歯科医院DCには、1種類又は複数種類の歯科用撮影装置10がリースされている。
【0022】
クライアント端末装置20は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス等を備えた、汎用乃至専用のコンピュータであり、そのメモリに記憶させた所定のプログラムに従ってCPUや周辺機器を協働させることにより、図2に示すように、撮影装置制御部21、患者情報受付部22、画像記憶部23、撮影枚数カウント部24、使用実績送信部25、操作ログ抽出部26及び操作ログ送信部27としての機能を少なくとも発揮する。
【0023】
撮影装置制御部21は、ユーザから所定の入力操作を受け付けて、歯科用撮影装置10を動作させるものである。具体的にこの撮影装置制御部21は、歯科用撮影装置10により撮影が行われると撮影画像(本発明の医用画像に相当)を示す画像データを取得し、その画像データを、撮影方式(例えばCT、パノラマ、デンタル等)及び撮影日時等の撮影情報を示す撮影情報データとともに画像記憶部23に格納する。なお歯科用撮影装置10と撮影装置制御部21とのデータのやり取りは、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0024】
患者情報受付部22は、ユーザの入力により患者の氏名やID等の患者情報を受け付け、これを示す患者情報データを画像記憶部23に格納するものである。
【0025】
画像記憶部23は、メモリの所定領域に設定されており、撮影装置制御部21から受け取った画像データ及び撮影情報データと、患者情報受付部22から受け取った患者情報データとを関連付けて記憶する。すなわち画像記憶部23には、撮影画像、撮影方式、撮影日時及び患者情報が互いに紐づくように記憶されており、ユーザはこれらの情報を確認することができる。歯科用撮影装置10が歯科医院DCに納入された後、撮影が行われる度に、画像データ及び撮影情報データが画像記憶部23に格納される。画像記憶部23に記憶された画像は、ユーザの入力操作により削除することもできる。
【0026】
撮影枚数カウント部24は、所定期間内における歯科用撮影装置10による撮影枚数をカウントするものである。具体的にこの撮影枚数カウント部24は、所定のタイミングで画像記憶部23を参照し、前回の参照時以降新たに追加された撮影画像の枚数を撮影方式毎にカウントし、撮影方式毎の撮影画像の撮影枚数を示す使用実績データを生成する。この使用実績データには、カウントした各撮影における患者情報及び撮影日時に関する情報も含まれている。撮影枚数カウント部24は、月に1回以上の頻度で画像記憶部23を参照し、使用実績データを生成する。撮影枚数カウント部24が使用実績データを生成するタイミングは任意のものであってよい。
【0027】
使用実績送信部25は、撮影枚数カウント部24により生成された使用実績データをサーバ装置30に送信するものである。使用実績送信部25は、月に1回以上の頻度で使用実績データを送信する。使用実績送信部25は、1つの使用実績データが生成される毎にこれを送信してもよいし、複数の使用実績データが生成される毎にこれらをまとめて送信するようにしてもよい。
【0028】
操作ログ抽出部26は、クライアント端末装置20の操作ログを抽出し、これを操作ログデータとして出力するものである。この操作ログデータが示す情報は、画像の撮影操作を示す撮影ログと、撮影画像の削除操作を示す削除ログと、を少なくとも含んでいる。撮影ログには、撮影した画像の撮影方式、患者情報及び撮影日時等の情報が含まれている。削除ログには、削除日時の他、削除した画像の撮影方式、患者情報及び撮影日時等が含まれている。
【0029】
ここで、クライアント端末装置20は、歯科医院DCの先生(ユーザ)により操作されるだけでなく、例えば歯科用撮影装置10のメンテナンス等の目的により、医用撮影装置リースシステム100の管理者により操作されることがある。そのため操作ログデータが示す情報には、各操作が、歯科医院DCの先生による操作なのか、管理者による操作なのかを識別するための識別情報が含まれるようにしている。
【0030】
例えば撮影ログ及び削除ログでは、その患者情報が識別情報として機能するようにしている。具体的には、管理者により歯科用撮影装置10のテスト撮影が行われ、その撮影したテスト画像が削除された場合には、撮影ログ及び削除ログが含む患者情報が、「近畿太郎」等の所定の患者名を示すようにしている。
【0031】
操作ログ送信部27は、操作ログ抽出部26が抽出した操作ログデータを、月に1回以上の頻度でサーバ装置30に送信する。
【0032】
サーバ装置30は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス等を備えた、汎用乃至専用のコンピュータである。サーバ装置30は、そのメモリに記憶させた所定のプログラムに従ってCPUや周辺機器を協働させることにより、図3に示すように、使用実績受信部31、操作ログ受信部32、操作ログ記憶部33、削除枚数カウント部34、使用実績管理部35、診療報酬記憶部36、改定情報受付部37及びリース料金算出部38等としての機能を少なくとも発揮するように構成されている。
【0033】
使用実績受信部31は、クライアント端末装置20から送信される使用実績データを外部ネットワークINTを介して受信するとともに、これを使用実績管理部35に送信する。
【0034】
操作ログ受信部32は、クライアント端末装置20から送信される操作ログデータを外部ネットワークINTを介して受信するとともに、これを操作ログ記憶部33に送信する。操作ログ記憶部33は、メモリの所定領域に設定されており、操作ログ受信部32から操作ログデータを受け付けるとこれを記憶する。
【0035】
削除枚数カウント部34は、操作ログ記憶部33が記憶する操作ログデータ(具体的には削除ログ)を参照し、クライアント端末装置20における削除操作により、所定期間内に画像記憶部23から削除された撮影画像の枚数を撮影方式毎にカウントし、当該削除枚数を示す削除枚数データを生成する。この削除枚数データには、カウントした削除画像に関連する患者情報、撮影日時及び削除日時に関する情報も含まれている。
【0036】
ここで削除枚数カウント部34は、操作ログデータに含まれる識別情報(ここでは患者情報)を参照し、管理者により削除された撮影画像の枚数をカウントせず、ユーザにより削除された枚数のみをカウントするように構成されている。具体的には、操作ログデータが含む患者情報が「近畿太郎」等の所定の患者名を示す場合、当該削除操作による削除枚数をカウントしない。
【0037】
使用実績管理部35は、受信した使用実績データに基づき、各歯科医院DCでの所定の一定期間(ここでは1カ月間)における撮影方式毎の撮影画像の合計撮影枚数を算出し、これを示す合計使用実績データを生成するとともに、これをリース料金算出部38に送信する。
【0038】
ここで使用実績管理部35は、合計使用実績データを生成する際に、使用実績データに加えて、削除枚数カウント部が生成する削除枚数データを参照するように構成されている。具体的にこの使用実績管理部35は、使用実績データが示す撮影方式毎の撮影画像の枚数に、削除枚数データが示す削除操作された撮影画像の撮影方式毎の枚数をさらに足し合わせることにより、所定の一定期間(例えば1カ月間)における撮影方式毎の撮影画像の合計撮影枚数を算出するように構成されている。これにより、歯科医院DCにおいて撮影失敗等により削除された画像の枚数をカウントし、これをリース料金に反映することができる。また、管理者のメンテナンス操作による撮影をリース料金に含めないようにしている。
【0039】
診療報酬記憶部36は、メモリの所定領域に設定されており、撮影画像の撮影に対して定められている診療報酬を示す診療報酬データを記憶するものである。診療報酬データは、より具体的には、撮影画像の撮影方式と、各撮影方式による画像撮影に対して定められている診療報酬との対応関係を示すものである。この診療報酬は、国の行政機関により告示される診療報酬点数表に基づいて定まるものである。
【0040】
改定情報受付部37は、診療報酬の改定情報を示す診療報酬改定データを受け付けるとともに、これを診療報酬記憶部36に格納するものである。診療報酬記憶部36は、診療報酬改定データを受け取ると、記憶している診療報酬データを更新し、その内容を最新のものにアップデータするように構成されている。改定情報受付部37は、診療報酬改定データを、インターネットなどの外部ネットワークINTを介して受け付けてもよく、ユーザの入力により受け付けてもよい。
【0041】
リース料金算出部38は、撮影画像の撮影枚数と、撮影画像の撮影に対する診療報酬とに基づいて、各歯科医院DCにおける月々のリース料金を算出し、これを出力するものである。具体的にこのリース料金算出部38は、合計使用実績データが示す撮影方式毎の撮影画像の合計撮影枚数と、診療報酬データが示す各撮影方式による画像撮影に対する診療報酬とに基づき、月々のリース料金(月額料金)を算出する。
【0042】
ここで、本実施形態のリース料金算出部38によるリース料金(月額料金)の算出方法の一例を示す。図4に示すように、本実施形態のリース料金算出部38は、二段階定額の従量課金制となるようにそのリース料金を算出する。具体的にリース料金算出部38は、月々の合計の撮影枚数(x)に応じて、異なる計算式を用いてリース料金(y)を算出する。
【0043】
(1)基本料金区間
合計撮影枚数xが所定の第1基準枚数X以下の場合、リース料金算出部38は、以下の(1)式によりリース料金(y)を算出する。この第1基準枚数Xは、例えば、歯科医院DCにおける平均的な撮影枚数の25%程度である。
y=Z×X (1)
(Z:画像撮影に対する診療報酬)
(1)式から分かるように、この場合には、リース料金は撮影枚数に関わらず定額となる。
【0044】
(2)従量課金区間
合計撮影枚数xが、第1基準枚数X超、所定の第2基準枚数X以下の場合、リース料金算出部38は、以下の(2)式によりリース料金(y)を算出する。
y=Z×X+a×Z×(x-X) (2)
(Z:画像撮影に対する診療報酬、a:1以下の掛け率)
(2)式から分かるように、この場合にはリース料金は撮影枚数に応じて増加する。またこの区間においては、撮影画像の1枚当たりのリース料金が、診療報酬よりも安くなるように設定されている。
【0045】
(3)上限料金区間
合計撮影枚数xが、第2基準枚数X超の場合、リース料金算出部38は、以下の(3)式によりリース料金(y)を算出する。
y=Z×X+a×Z×(X-X) (3)
(Z:画像撮影に対する診療報酬、a:掛け率)
(3)式から分かるように、この場合にはリース料金は撮影枚数に関わらず定額となる。またこの区間においては、従量課金区間同様に、撮影画像の1枚当たりのリース料金が、診療報酬よりも安くなるように設定されている。
【0046】
図4から分かるように、この料金算出例では、リース契約した歯科医院DCは、月々の合計撮影枚数が、平均的な歯科医院DCにおける合計撮影枚数の25%程度であれば、歯科用撮影装置10の撮影により得られる診療報酬と月々のリース料金とが同程度になる。そして、歯科用撮影装置10により撮影を多く行うほど、利益(診療報酬-リース料金)が大きくなり、お得になることがわかる。
【0047】
本実施形態では、リース料金算出部38は、上記計算式を用いて撮影方式毎にリース料金を算出し合算するようにしている。なおリース料金の計算式は、撮影方式毎に違ってもよく、同じでもよい。
【0048】
このように構成した本実施形態の頭部撮影用の医用撮影装置リースシステム100によれば、歯科医院DCは歯科用撮影装置10を購入するのではなくリースという形で使用でき、そのリース料金が歯科用撮影装置10を用いて撮影した撮影画像の枚数と診療報酬とに基づいて決定するので、歯科医院DCにおける金銭的な負担を軽減でき、高額な歯科用撮影装置10を無理なく導入することができる。
すなわち、撮影画像の枚数に基づいてリース料金が決まる、所謂従量課金制の料金設定とすることにより、歯科用撮影装置10をあまり使用しなかった場合には、そのリース料金を安く抑えることができる。また診療報酬に基づいてそのリース料金が決まるようにしているので、例えば、撮影画像の1枚当たりに係るリース料金を、画像撮影に対して定められている診療報酬よりも安くなるように設定すれば、歯科医院DCは歯科用撮影装置10を使用する程大きな利益が得られるようになる。そのため歯科医院DCにおいて、高額な歯科用撮影装置10を無理なく導入することができる。
【0049】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0050】
例えば他の実施形態の医用撮影装置リースシステム100は、リースした歯科用撮影装置10による撮影画像を用いて作成したマウスピースや義歯等の口腔内装置の個数と、口腔内装置の作成に対して定められている診療報酬とに基づいて、そのリース料金を算出するように構成されてもよい。
【0051】
この場合、例えば図5に示すように、クライアント端末装置20が、モデリングデータ生成部281、口腔内装置発注部282及び作成個数カウント部283としての機能を更に発揮してもよい。
【0052】
モデリングデータ生成部281は、画像記憶部23を参照し、歯科用X線CT装置10により撮影されたX線CT画像と、口腔内スキャナ10により撮影された口腔内3D画像とに基づいて、マウスピースや義歯を制作するためのモデリングデータを生成するものである。口腔内装置発注部282は、ユーザからの所定の入力を受け付けると、モデリングデータ生成部281が生成したモデリングデータを、インターネットを介して、例えば口腔内装置メーカ等に出力するものである。作成個数カウント部283は、口腔内装置発注部282によりモデリングデータが出力された回数をカウントし、口腔内装置の種類毎の作成個数、作成日時、患者情報等を示す第2使用実績データを生成する。この第2使用実績データは、使用実績送信部25によりサーバ装置30に送信される。
【0053】
そしてこの実施形態では、診療報酬記憶部36が、口腔内装置の作成に対して定められている診療報酬を示す第2診療報酬データを更に記憶している。この第2診療報酬データには、口腔内装置の種類(マウスピース、義歯等)と診療報酬との対応関係を示す情報が含まれている。リース料金算出部38は、第2使用実績データが示す口腔内装置の作成個数と、口腔内装置の作成に対して定められた診療報酬とに基づいて月々のリース料金を算出する。より詳細には、リース料金算出部38は、撮影画像の撮影枚数に基づく料金と口腔内装置の作成個数に基づく料金とを合算し、これを各歯科医院DCにおける月々のリース料金として出力する。
【0054】
また他の実施形態の医用撮影装置リースシステム100は、歯科用ではなく、耳鼻科用や眼科用の撮影装置のリース料金を算出するものであってもよい。耳鼻科用撮影装置とは、耳鼻科診療において画像診断に用いられるものであり、例えばX線を用いて患者の副鼻腔等を撮影する耳鼻科用X線撮影装置(CT撮影装置等)や、X線を使用しない耳鼻科用の撮影装置である。眼科用の撮影装置についても同様である。
【0055】
また前記実施形態の医用撮影装置リースシステム100は、操作ログ記憶部33、削除枚数カウント部34、使用実績管理部35、診療報酬記憶部36、改定情報受付部37及びリース料金算出部38としての機能をサーバ装置30が備えていたが、これに限らない。他の実施形態の医用撮影装置リースシステム100では、これらの機能の一部又全部を、クライアント端末装置20が備えていてもよい。また他の実施形態の医用撮影装置リースシステム100では、撮影枚数カウント部24としての機能をサーバ装置30が備えていてもよい。また一部の機能が、インターネットに接続されていないローカルコンピュータに設けられていてもよい。また、サーバ装置30を複数備え、各機能(例えば使用実績管理部35とリース料金算出部38)が異なるサーバ装置30により発揮されてもよい。
【0056】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100 ・・・頭部撮影用の医用撮影装置リースシステム
10 ・・・医用撮影装置(歯科用撮影装置)
23 ・・・画像記憶部
24 ・・・撮影枚数カウント部
33 ・・・診療報酬記憶部
35 ・・・リース料金算出部
DC ・・・歯科医院
図1
図2
図3
図4
図5