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特許7550438流路型レベリング材攪拌装置及びレベリング材施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】流路型レベリング材攪拌装置及びレベリング材施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
E04G21/02 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020116062
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022013982
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-04-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイト(http://mito-k.net/)への公開,令和2年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】520208052
【氏名又は名称】有限会社三仁興業
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬三
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-096145(JP,A)
【文献】特開2017-039246(JP,A)
【文献】実開昭60-097847(JP,U)
【文献】特開2019-120074(JP,A)
【文献】特開2001-062813(JP,A)
【文献】特開2002-339375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベリング材を施工場所まで移送する移送流路に介在され、レベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないように移送中のレベリング材を攪拌する流路型レベリング材攪拌装置であって、
一端側から他端側に向かってレベリング材が流される筒状ケーシングと、
筒状ケーシング内を流れるレベリング材を攪拌する攪拌板と
を備え
攪拌板の一面側から他面側にレベリング材を通過させるための貫通孔が、攪拌板における複数個所に設けられ
ことを特徴とする流路型レベリング材攪拌装置。
【請求項2】
攪拌板が、筒状ケーシングの中心線に平行な方向に距離を隔てた複数個所に設けられた請求項記載の流路型レベリング材攪拌装置。
【請求項3】
攪拌板が、筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設けられた請求項1又は2記載の流路型レベリング材攪拌装置。
【請求項4】
レベリング材を施工場所まで移送する移送流路に介在され、レベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないように移送中のレベリング材を攪拌する流路型レベリング材攪拌装置であって、
一端側から他端側に向かってレベリング材が流される筒状ケーシングと、
筒状ケーシング内を流れるレベリング材を攪拌する攪拌板と
を備え
攪拌板が、筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設けられ、
攪拌板の回転中心となる中心軸体が、筒状ケーシングの中心線に沿って設けられ、
筒状ケーシングの中心線から中心軸体がずれないように中心軸体を筒状ケーシングに支持させる中心軸支持体が、中心軸体の外周部に取り付けられ
ことを特徴とする流路型レベリング材攪拌装置。
【請求項5】
レベリング材を施工場所まで移送する移送流路に介在され、レベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないように移送中のレベリング材を攪拌する流路型レベリング材攪拌装置であって、
一端側から他端側に向かってレベリング材が流される筒状ケーシングと、
筒状ケーシング内を流れるレベリング材を攪拌する攪拌板と
を備え
攪拌板が、筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設けられ、
攪拌板が、筒状ケーシングの中心線回りに回転対称に配された複数の分轄板によって構成され、
それぞれの分轄板が、筒状ケーシングの中心線に対して非垂直となるように傾斜して設けられ
ことを特徴とする流路型レベリング材攪拌装置。
【請求項6】
請求項1~いずれか記載の流路型レベリング材攪拌装置を用いてレベリング材を施工するレベリング材施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
レベリング材を施工場所まで移送する流路に介在される流路型レベリング材攪拌装置と、この流路型レベリング材攪拌装置を用いて行うレベリング材施工方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎は、鉄筋を組んで型枠で囲み、型枠内にコンクリートを打設することによって施工される。ところが、コンクリートは、流動性が低く(粘性が高く)、型枠内に流し込んでもその上面が水平になるとは限らないため、硬化した後のコンクリートの上面には、不陸が形成されやすい。このため、打設されたコンクリートの上面に、コンクリートよりも流動性の高いレベリング材を流し込んで硬化させることが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。これにより、コンクリートの上面に不陸があっても、レベリング材の上面(建物の基礎の上面)を不陸のない平坦面とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-207667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の施工方法では、レベリング材の原料をバケツに入れて撹拌機で攪拌した後、そのバケツを施工場所まで運び、そのバケツを傾けることで、レベリング材をその場所に流し込んでいる(例えば、特許文献1の図6及び図7を参照。)。このため、レベリング材を攪拌した場所から施工場所まで運搬するのに、多大な労力を要していた。加えて、作業現場は、鉄筋や木材等が転がっていて足場が悪いことも多いところ、レベリング材をバケツで運んでいるときに躓いてしまい、レベリング材をぶちまけてしまうことも少なからずあった。また、レベリング材を型枠内に流し込む際には、レベリング材が型枠から飛び出ないように、重いバケツの傾き角度や位置を調節しながら作業する必要がある等、作業性も悪かった。
【0005】
このような実状に鑑みて、本出願人は、攪拌後のレベリング材を貯留した貯留槽を施工現場に置き、その貯留槽にホースとポンプを接続することで、貯留槽から施工場所までレベリング材を移送する方法を考えた。しかし、この方法でレベリング材を施工していると、貯留槽内のレベリング材を十分に攪拌していても、そのレベリング材がホースを流れる際に固体成分と液体成分とに分離してしまうことがあった。レベリング材がホース内で分離すると、施工場所に供給されるレベリング材が薄まったり、ホースが詰まったりする不具合が生ずる。この不具合は、ホースの長さ(貯留槽から施工場所までの距離)が長くなればなるほど、発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、移送中のレベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる流路型レベリング材攪拌装置を提供するものである。また、この流路型レベリング材攪拌装置を使用することで、レベリング材を施工場所まで人為的に運搬することなく移送できるようにして作業性を高めたレベリング材施工方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、
レベリング材を施工場所まで移送する移送流路に介在され、レベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないように移送中のレベリング材を攪拌する流路型レベリング材攪拌装置であって、
一端側から他端側に向かってレベリング材が流される筒状ケーシングと、
筒状ケーシング内を流れるレベリング材を攪拌する攪拌板と
を備えたことを特徴とする流路型レベリング材攪拌装置
を提供することによって解決される。
【0008】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置は、レベリング材の移送流路に介在させる態様で使用されるものとなっており、移送流路を移送されている途中のレベリング材を攪拌するものとなっている。このため、移送流路を流れているレベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる。したがって、均一な品質のレベリング材を施工場所に供給することや、移送流路(ホース等)の詰まりを防止することも可能になる。よって、レベリング材施工方法として、レベリング材を貯留した貯留槽を施工現場に置き、その貯留槽にホース(移送流路)とポンプを接続することで、貯留槽から施工場所まで貯留槽を移送する方法を採用しやすくなり、レベリング材を施工する際の労力を軽減し、作業性を高めることも可能になる。
【0009】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置においては、攪拌板の一面側から他面側にレベリング材を通過させるための貫通孔を、攪拌板における複数個所に設けることが好ましい。これにより、筒状ケーシング内を流れるレベリング材の流通抵抗を抑えながらも(筒状ケーシング内をレベリング材が流れやすくしながらも)、筒状ケーシング内にレベリング材の複雑な流れができるようにして、レベリング材をしっかりと攪拌することが可能になる。
【0010】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置においては、攪拌板を、筒状ケーシングの中心線に平行な方向に距離を隔てた複数個所に設けることも好ましい。また、攪拌板を、筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設けることも好ましい。これにより、筒状ケーシング内でレベリング材をさらにしっかりと攪拌することが可能になる。
【0011】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置において、攪拌板を筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設ける場合には、攪拌板の回転中心となる中心軸体を、筒状ケーシングの中心線に沿って設け、筒状ケーシングの中心線から中心軸体がずれないように中心軸体を筒状ケーシングに支持させる中心軸支持体を、中心軸体の外周部に取り付けることが好ましい。これにより、攪拌板が回転する構造の流路型レベリング材攪拌装置をシンプルな構造で実現することが可能になる。
【0012】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置において、攪拌板を筒状ケーシングの中心線回りに回転可能な状態で設ける場合には、モータ等で攪拌板を回転させてもよい。しかし、この場合には、流路型レベリング材攪拌装置に電気ケーブルを接続する必要や、流路型レベリング材攪拌装置にバッテリーを備え付ける必要が生じる。このため、攪拌板は、筒状ケーシング内を流れるレベリング材の圧力のみで回転する(「電力等の動力を使用せずに回転する」の意。)ものとすることが好ましい。
【0013】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置において、筒状ケーシング内を流れるレベリング材の圧力のみで攪拌板を回転させる場合には、攪拌板を、筒状ケーシングの中心線回りに回転対称に配された複数の分轄板によって構成し、それぞれの分轄板を、筒状ケーシングの中心線に対して非垂直となるように傾斜して設けることが好ましい。これにより、攪拌板がレベリング材から圧力を受けて回転しやすくなる。このため、レベリング材の攪拌作用を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によって、移送中のレベリング材が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる流路型レベリング材攪拌装置を提供することが可能になる。また、この流路型レベリング材攪拌装置を使用することで、レベリング材を施工場所まで人為的に運搬することなく移送できるようにして作業性を高めたレベリング材施工方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の流路型レベリング材攪拌装置を用いたレベリング材施工方法の一例を示した図である。
図2】第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置を分解した状態を示した斜視図である。
図3】第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置を組み立てた状態を、筒状ケーシングの一部を破断して示した斜視図である。
図4】第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置を分解した状態を示した斜視図である。
図5】第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置を組み立てた状態を、筒状ケーシングの一部を破断して示した斜視図である。
図6】本発明のレベリング材施工方法で好適に用いることができる貯留槽の一例を示した斜視図である。
図7】本発明のレベリング材施工方法で好適に用いることができる貯留槽の一例を示した図であって、貯留槽を側方から見た状態を示した側面図である。
図8】本発明のレベリング材施工方法で好適に用いることができる貯留槽の一例を示した図であって、貯留槽を鉛直面で切断した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の流路型レベリング材攪拌装置と、それを用いたレベリング材施工方法の好適な実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。以下で述べる内容は、飽くまで好適な実施形態を説明したものであり、本発明の技術的範囲は、以下で述べる実施形態に限定されない。本発明の流路型レベリング材攪拌装置及びレベリング材施工方法には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0017】
1.レベリング材施工方法
まず、本発明に係るレベリング材施工方法について説明する。図1は、本発明のレベリング材施工方法の一例を示した図である。この図では、建物の基礎を施工している様子を示している。具体的には、地面Gに鉄筋1を組んで型枠2で囲み、型枠2内にコンクリート3(下地)を打設した後、コンクリート3の上面3aにレベリング材4を流し込んでいる様子を示している。
【0018】
コンクリート3は、硬化前の状態(生コンクリートの状態)でも流動性が低い(粘性が高い)ため、型枠2内に打設されたコンクリート3の上面3aが水平な平坦面になりにくく、コンクリート3の上面3aには、不陸が形成されやすい。この点、コンクリート3の上面3a(不陸面)の上側に、コンクリート3よりも粘性の低い(流動性の高い)レベリング材4を流し込んで硬化させることで、平坦で不陸のない上面4aを得ることが可能となっている。レベリング材4は、型枠2内にコンクリート3を打設した直後に流し込んでもよいが、以下の手順を踏んでから流し込むことが好ましい。
【0019】
すなわち、型枠2内にコンクリート3を打設した後には、そのコンクリート3が硬化するよりも前に、コンクリート3の上面3aをコテ等でできるだけ平坦に均しておくことが好ましい。また、予め、天端釘やマグネット等を用いてレベル出しをしておくことが好ましい。さらに、打設されたコンクリート3の上面3aから水がひいた直後に、その上面3aをブラシ等で目荒らしするとともに、上面3aのゴミや油分等を取り除くことも好ましい。このとき、コンクリート3の上面3aが乾きすぎた場合には、プライマー処理を行うとよい。以上の手順を踏んでから、レベリング材4を流し込むと、より平坦な上面4aを得るだけでなく、硬化後のレベリング材4をコンクリート3により強固に一体化させることができる。コンクリート3及びレベリング材4が完全に硬化すると、型枠2を取り除いて、建物の基礎が完成する。
【0020】
既に述べたように、従来の施工方法では、レベリング材4の流し込みは、バケツを用いて行われていた。ところが、このような作業は、重いバケツを抱えてのものとなるため、作業員の肉体的な負担が大きいだけでなく、手間も要していた。また、作業性も悪かった。これに対し、本発明の施工方法では、図1に示すように、レベリング材4を貯留した貯留槽10を施工現場に置き、その貯留槽10に移送流路6とポンプ5とを接続している。移送流路6としては、通常、樹脂チューブやゴムホース等、可撓性を有する管状部材(後述する流路型レベリング材攪拌装置20で構成された区間を除く。)が用いられる。移送流路6の先端部6bは、作業員7によって、レベリング材4を流し込む目的箇所(コンクリート3の上面3a)付近で保持される。レベリング材4は、ポンプ5によって移送流路6内を圧送され、移送流路6の先端部6bから目的箇所に流し込まれる。
【0021】
レベリング材4の種類は、それを施工する場所等によっても異なるところ、建物の基礎を施工する場合には、セメントに石膏等を添加した水硬性組成物(セメント系レベリング材)が用いられることが多い。本実施形態の施工方法でも、レベリング材4として、セメント系レベリング材を用いている。レベリング材4は、その原料を予め攪拌混合したものを貯留槽10に貯留するようにしてもよいが、本実施形態の施工方法では、貯留槽10にレベリング材4の原料を投入し、所定量の水を加えてから、貯留槽10で攪拌混合するようにしている。このため、貯留槽10として、撹拌機14(後掲の図8を参照。)を備えたものを使用している。これにより、レベリング材4を貯留槽10から送出される直前まで貯留槽10内で攪拌することができる。
【0022】
ただし、貯留槽10内に貯留されているレベリング材4がしっかりと攪拌された状態であったとしても、移送流路6内を移送されているときに、レベリング材4が固体成分と液体成分とに分離するおそれがある。このため、移送流路6の先端部6bから流れ出るレベリング材4が水っぽくなる(薄まる)おそれや、移送流路6内に沈殿・堆積した固体成分によって移送流路6が詰まるおそれがある。この不具合は、移送流路6の基端部6aから先端部6bまでの距離が長くなればなるほど、発生しやすくなる。このため、本発明の施工方法では、流路型レベリング材攪拌装置20を移送流路6に介在させており、レベリング材4が貯留槽10から出て移送流路6内を流れているときにおいても、レベリング材4を攪拌できるようにしている。
【0023】
流路型レベリング材攪拌装置20は、移送流路6の基端部6aから先端部6bに至るまでの少なくとも1箇所に設ければよいが、移送流路6が長い場合等には、複数個所に設けた方が好ましい。この場合において、流路型レベリング材攪拌装置20の設置間隔は、ある程度確保すべきである。流路型レベリング材攪拌装置20で攪拌された直後のレベリング材4は、十分に攪拌された状態を維持しているため、その十分に攪拌された状態のレベリング材4を次の流路型レベリング材攪拌装置20で攪拌してもあまり意味がないからである。流路型レベリング材攪拌装置20の設置間隔(移送流路6に沿った方向での間隔)は、1m以上確保することが好ましく、3m以上確保することがより好ましく、5m以上確保することがさらに好ましい。貯留槽10から最初の流路型レベリング材攪拌装置20(最も上流にある流路型レベリング材攪拌装置20)までの距離(移送流路6に沿った方向での距離)についても同様である。
【0024】
かといって、流路型レベリング材攪拌装置20の設置間隔を長くしすぎるのも好ましくない。流路型レベリング材攪拌装置20の設置間隔を長くしすぎると、レベリング材4が、一の流路型レベリング材攪拌装置20を出てから次の流路型レベリング材攪拌装置20に到達するまでの間に、固体成分と液体成分とに分離してしまうおそれがあるからである。流路型レベリング材攪拌装置20の設置間隔(移送流路6に沿った方向での間隔)は、30m以下に抑えることが好ましく、20m以下に抑えることがより好ましく、10m以下に抑えることがさらに好ましい。貯留槽10から最初の流路型レベリング材攪拌装置20(最も上流にある流路型レベリング材攪拌装置20)までの距離(移送流路6に沿った方向での距離)や、最後の流路型レベリング材攪拌装置20(最も下流にある流路型レベリング材攪拌装置20)から移送流路6の先端部6bまでの距離(移送流路6に沿った方向での距離)についても同様である。

【0025】
2.流路型レベリング材攪拌装置
流路型レベリング材攪拌装置20についてさらに詳しく説明する。以下においては、2つの実施形態(第一実施形態及び第二実施形態)の流路型レベリング材攪拌装置20について説明する。
【0026】
2.1 第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置
まず、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20について説明する。図2は、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20を分解した状態を示した斜視図である。図3は、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20を組み立てた状態を、筒状ケーシング21の一部を破断して示した斜視図である。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20は、図2及び図3に示すように、筒状ケーシング21と、攪拌板22と、中心軸体23と、中心軸支持体24とで構成されている。これらの部材は、通常、金属等の剛性を有する素材によって形成される。
【0027】
筒状ケーシング21は、その一端側から他端側に向かってレベリング材4を流すためのものとなっている。筒状ケーシング21は、図2に示すように、ケーシング本体21aと、一対のケーシング蓋体21bとで構成されている。ケーシング本体21aは、一端部及び他端部が開口された円筒状を為している。ケーシング本体21aの長さは、通常、100~500mmの範囲で設定される。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、ケーシング本体21aの長さを約145mmに設定している。また、ケーシング本体21aの内径は、通常、20~200mmの範囲で設定される。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、ケーシング本体21aの内径を約53mmに設定している。ケーシング本体21aの一端部及び他端部における外周部には、螺合部γが形成されている。
【0028】
一方、それぞれのケーシング蓋体21bは、径の大きな円筒状部分(大径部21b)と径の小さな円筒状部分(小径部21b)とを組み合わせた形態を為している。ケーシング蓋体21bの大径部21bにおける内周部には、被螺合部γが形成されている。この被螺合部γを、上記のケーシング本体21aの螺合部γに螺合させることによって、ケーシング蓋体21bをケーシング本体21aの一端部と他端部とにそれぞれ取り付けることができるようになっている。
【0029】
ケーシング蓋体21bにおける小径部21bには、移送流路6(図1)が接続される。一対のケーシング蓋体21bのうち、一方のケーシング蓋体21bにおける小径部21bからは、レベリング材4が導入され、他方のケーシング蓋体21bにおける小径部21bからは、レベリング材4が導出される。このため、筒状ケーシング21内には、筒状ケーシング21の一端側から他端側に向かって(筒状ケーシング21の中心線L図3)の一端側から他端側に向かって)レベリング材4が流れるようになっている。ケーシング蓋体21bにおける小径部21bの外周部には、小径部21bに接続された移送流路6(ホース等)が抜けないようにするための凹凸が形成されている。
【0030】
攪拌板22は、筒状ケーシング21内を流れるレベリング材4を攪拌するためのものとなっている。この攪拌板22によって、移送流路6を移送されている途中のレベリング材4が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる。攪拌板22の形態は、特に限定されない。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、攪拌板22を円板状に形成している。
【0031】
攪拌板22は、筒状ケーシング21内に、1箇所のみ設けてもよいが、複数個所に設けることが好ましい。これにより、筒状ケーシング21内を流れるレベリング材4をより確実に攪拌することが可能になる。図2の例では、攪拌板22を2箇所に設けている。攪拌板22の設置間隔は、通常、20~200mmの範囲で設定される。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、攪拌板22の設置間隔を50mm前後としている。
【0032】
攪拌板22には、攪拌板22の一面側から他面側にレベリング材4を通過させるための複数の貫通孔22aが設けられている。これにより、筒状ケーシング21内を流れるレベリング材4の流通抵抗を抑えながらも、筒状ケーシング21内にレベリング材4の複雑な流れができるようにして、レベリング材4をしっかりと攪拌することが可能となっている。貫通孔22aの直径や個数や配置は、特に限定されない。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20では、それぞれの攪拌板22に18個の貫通孔22aを回転対称(中心線Lを中心とした回転対称)に配置しており、各貫通孔22aの直径を約4mmに設定している。
【0033】
それぞれの攪拌板22は、中心軸体23に対して回転可能な状態で取り付けられている。具体的には、筒状ケーシング21内をレベリング材4が流れると、攪拌板4がレベリング材4から圧力を受けて中心線Lを中心として回転するようになっている。このように、攪拌板22を回転可能とすることによって、筒状ケーシング21内を流れるレベリング材4をさらに攪拌しやすくなる。ところで、攪拌板22の外周部が筒状ケーシング21(ケーシング本体21a)の内周部に接触すると、攪拌板22がスムーズに回転しにくくなる。このため、攪拌板22の外径は、ケーシング本体21aの内径よりも、1~2mm程度小さくされる。
【0034】
中心軸体23は、図2に示すように、芯棒23aと、芯棒23aに外挿されたスリーブ23bとで構成されている。芯棒23aは、攪拌板22の中心に挿通されている。芯棒23aと攪拌板22とは、互いに固定されていない。このため、攪拌板22が芯棒23a(中心軸体23)を中心として回転できるようになっている。一方、スリーブ23bは、攪拌板22と攪拌板22との間の区間、及び、攪拌板22と中心軸支持体24との間の区間のみに設けられており、攪拌板22には挿通されていない。このスリーブ23bは、攪拌板22が中心線Lの方向に移動しないように規制するためのスペーサとして機能するものとなっている。
【0035】
中心軸支持体24は、筒状ケーシング21の中心線Lから中心軸体23がずれないように中心軸体23を筒状ケーシング21の内周部に支持させるものとなっている。中心軸支持体24は、通常、中心軸体23における複数個所に設けられる。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20では、中心軸体23の両端部(一端部及び他端部)に中心軸支持体24を設けている。中心軸支持体24は、中心軸体23を回転可能な状態で支持(軸支)するものであってもよいが、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20では、中心軸体23のうち芯棒23aについては、中心軸支持体24に対して回転しない状態で固定している。
【0036】
中心軸支持体24は、筒状ケーシング21内におけるレベリング材4の流れを遮断しない状態で、中心軸体23を支持できるのであれば、その形態を限定されない。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20では、円板状の部材に円筒状の部材を接合した部品を中心軸支持体24として用いている。中心軸支持体24における円板状の部材には、攪拌板22と同様、レベリング材4を通過させるための複数の貫通孔を設けている。中心軸支持体24の外径は、筒状ケーシング21の内径と同程度に設定され、攪拌板22の外径よりも僅かに大きく(1~2mm程度大きく)設定されている。これにより、攪拌板22の外周部が筒状ケーシング21の内周部に接触しにくくなっている。
【0037】
以上のように、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20は、筒状ケーシング21内のレベリング材4の流れによって攪拌板22を回転させることで、筒状ケーシング21内のレベリング材4を攪拌するものとなっている。これにより、移送流路6(図1)を流れているレベリング材4が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる。したがって、移送流路6の先端部6bから目的箇所に流し込まれるレベリング材4の品質を均一に維持ことが可能となっている。
【0038】
2.2 第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置
続いて、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20について説明する。図4は、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20を分解した状態を示した斜視図である。図5は、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20を組み立てた状態を、筒状ケーシング21の一部を破断して示した斜視図である。第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20については、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20と異なる構成に絞って説明する。第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20で特に言及しない構成については、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20で採用したものと同様の構成を採用することができる。
【0039】
第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図4)では、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図2)と比較して、筒状ケーシング21のケーシング本体21aが長くなっている。具体的には、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、ケーシング本体21aの長さが約145mmとなっていたのに対し、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、ケーシング本体21aの長さが約300mmとなっている。このため、中心軸体23も長くなっている。
【0040】
ただし、中心軸体23が長くなると、中心軸体23が撓みやすくなり、攪拌板22の外周部が筒状ケーシング21の内周部に接触するおそれがある。このため、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20においては、中心軸支持体24を、中心軸体23の両端部(一端部及び他端部)だけでなく、中間部にも設けている。ただし、中心軸体23の中間部における中心軸支持体24は、中心軸体23の両端部における中心軸支持体24とは異なり、円盤状の部材のみで構成されている。
【0041】
また、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図2)では、それぞれの攪拌板22が1枚の円板状の部材によって形成されていたのに対して、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図4)では、それぞれの攪拌板22が、複数枚の分轄板22bによって構成されている。それぞれの攪拌板22を構成する複数枚の分轄板22bは、筒状ケーシング21の中心線L回りに回転対称に配されている。それぞれの攪拌板22を構成する分轄板22bの枚数は、特に限定されないが、通常、2~10枚の範囲とされ、好ましくは、3~8枚の範囲とされる。貫通孔22aは、それぞれの分轄板22bに同様に設けられている。
【0042】
加えて、それぞれの攪拌板22を構成する複数枚の分轄板22bは、筒状ケーシング21の中心線Lに対して非垂直となるように傾斜されている。このため、筒状ケーシング21内を流れるレベリング材4から分轄板22bが受けた圧力が、攪拌板22の回転力に変換されやすくなっている。これにより、攪拌板22をさらに回転しやすくして、レベリング材4をより効率的に攪拌することが可能となっている。分轄板22bの傾斜角度(中心線Lに垂直な面に対する傾斜角度)は、特に限定されないが、通常、10~80°の範囲とされ、好ましくは、20~70°の範囲とされ、より好ましくは、30~60°の範囲とされる。
【0043】
さらに、第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図2)では、中心軸体23に対して攪拌板22が固定されておらず、攪拌板22が中心軸体23に対して回転するようになっていたのに対し、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20(図4)では、中心軸体23に対して攪拌板22が固定(溶接等)されており、攪拌板22は、中心軸体23と一体となって回転するようになっている。このため、中心軸体23の両端部(一端部及び他端部)は、中心軸体の両端部に配された中心軸支持体24に対して回転可能な状態で支持(軸支)されている。第一実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20の中心軸体23を構成していたスリーブ23bは、第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20では採用されておらず、中心軸体23は、芯棒23aのみで構成されている。
【0044】
この第二実施形態の流路型レベリング材攪拌装置20も、筒状ケーシング21内のレベリング材4の流れによって攪拌板22を回転させることで、筒状ケーシング21内のレベリング材4を攪拌するものとなっている。これにより、移送流路6(図1)を流れているレベリング材4が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることができる。したがって、移送流路6の先端部6bから目的箇所に流し込まれるレベリング材4の品質を均一に維持ことが可能となっている。

【0045】
3.その他
以上のように、本発明のレベリング材施工方法は、レベリング材4の移送流路6(図1)に流路型レベリング材攪拌装置20を介在させることで、移送流路6を流れているレベリング材4が固体成分と液体成分とに分離しないようにすることに特徴を有するものであるところ、さらに、貯留槽10にも工夫を施すことができる。図6~8は、本発明のレベリング材施工方法で好適に用いることができる貯留槽10の一例を示した図である。図6は、貯留槽10の斜視図を、図7は、貯留槽10を側方から見た状態を示した側面図を、図8は、貯留槽10を鉛直面で切断した状態を示した断面図をそれぞれ示している。
【0046】
図6~8に示した貯留槽10は、貯留槽本体11と、蓋体12と、脚13と、撹拌機14とを備えている。貯留槽本体11は、図8に示すように、その内部でレベリング材4を貯留するだけでなく、レベリング材4を攪拌(同図における矢印Aを参照。)する部分にもなっている。貯留槽本体11におけるレベリング材4の攪拌は、撹拌機14の攪拌羽根14aによって行われる。貯留槽本体11の底部には、貯留槽本体11からレベリング材4を取り出すためのレベリング材取出部11aが設けられている。上述した移送流路6の基端部6aは、このレベリング材取出部11aに接続される。貯留槽本体11の底部付近には、予備のレベリング材取出部11bも設けられている。レベリング材取出部11a,11bには、通常、図示省略の開閉栓が設けられる。
【0047】
貯留槽本体11の形態は、四角筒状等、角部を有する形態としてもよい。しかし、貯留槽本体11を角部のある形態とすると、貯留槽本体11の内部で攪拌されているレベリング材4の固体成分が、貯留槽本体11の角部付近に滞留しやすくなり、レベリング材4の攪拌が不十分になるおそれがある。このため、貯留槽本体11は、円筒状等、できるだけ角部のない形態とすることが好ましい。本実施形態の貯留槽10においても、図6に示すように、貯留槽本体11を円筒状としている。
【0048】
また、本実施形態の貯留槽10においては、図8に示すように、貯留槽本体11の底部11dを、先細り(下細り)のテーパー状に形成している。上記のレベリング材取出部11aは、テーパー状に形成された底部11dの中心(最も低くなる箇所)に設けている。このため、貯留槽本体11の内部のレベリング材4の略全量を貯留槽本体11内に残すことなく、底部11dの中心に集めてレベリング材取出部22aからスムーズに取り出すことができるようになっている。
【0049】
貯留槽本体11の底部11dの傾斜角度θ(図8)は、特に限定されない。しかし、傾斜角度θを小さくしすぎる(0°に近づけすぎる)と、貯留槽本体11内のレベリング材4が貯留槽本体11の底部11dの中心(レベリング材取出部11aが設けられた箇所)にスムーズに集まりにくくなる。このため、傾斜角度θは、5°以上とすることが好ましく、10°以上とすることが好ましい。
【0050】
ただし、傾斜角度θを大きくしすぎる(90°に近づけすぎる)と、撹拌機14の攪拌羽根14aの直径を小さくしなければ、攪拌羽根14aをレベリング材取出部11aの近くに配置できなくなり、レベリング材4を効率的に攪拌しにくくなるおそれがある。このため、傾斜角度θは、45°以下とすることが好ましく、30°以下とすることがより好ましい。本実施形態の貯留槽10においては、傾斜角度θを14~15°程度に設定している。
【0051】
蓋体12は、貯留槽本体11の内部にゴミ等が混入しないようにするために、貯留槽本体11の上側開口を覆うためのものとなっている。本実施形態の貯留槽10においては、図6に示すように、貯留槽本体11の上側開口を略半分ずつ覆う一対の開閉板12aによって蓋体12を構成している。それぞれの開閉板12aの基端部には、図示省略のヒンジが取り付けられている。このため、それぞれの開閉板12aは、貯留槽本体11に対して回動(図6の矢印Aを参照。)させることで、開閉できるようになっている。
【0052】
脚13は、地面G(図1)に設置したときの貯留槽10が倒れないように、貯留槽本体11を支えるための部分となっている。本実施形態の貯留槽10においては、図6に示すように、貯留槽本体11の外周部に、4本の脚13をバランスよく(貯留槽本体11の中心線に対して回転対称に)配している。
【0053】
撹拌機14は、貯留槽本体11内に貯留されているレベリング材4を攪拌混合するためのものとなっている。撹拌機14は、貯留槽本体11の内部に配された攪拌羽根14aと、攪拌羽根14aから上方に延びるシャフト14bと、シャフト14bの上端部に連結された回転駆動装置14c(モータ等)とで構成されており、回転駆動装置14cが発生した回転力を、シャフト14bを介して攪拌羽根14aに伝達し、攪拌羽根14aを回転させることで、レベリング材4の攪拌を行うものとなっている。このように、貯留槽10自体にも撹拌機14を設けたことによって、レベリング材4の施工作業を中断した場合であっても、その中断時においても貯留槽本体11内のレベリング材4を攪拌し続けることが可能となっている。
【0054】
貯留槽本体11内における攪拌羽根14aの高さは、重要である。というのも、貯留槽本体11の内部における高い箇所に攪拌羽根14aを配すると、貯留槽本体11に溜まっているレベリング材4の上層付近しか攪拌できなくなるだけでなく、レベリング材取出部11aからレベリング材4が取り出されてレベリング材4の水位が低下したときに、攪拌羽根14aが水面よりも上側になり、レベリング材4の攪拌自体を行うことができなくなるからである。このため、攪拌羽根14aは、貯留槽本体11の底部11d(レベリング材取出部11aが設けられた箇所)に近い箇所に設けることが好ましい。
【0055】
ただし、攪拌羽根14aを、貯留槽本体11の底部11dに近づけすぎると、攪拌羽根14aの先端が底部11dに当たって(図8における部分αで攪拌羽根21が底部11dに当たって)、攪拌羽根14aが破損するおそれがある。このため、部分αにおける、攪拌羽根14aと底部11dとのクリアランス(上下方向のクリアランスのこと。以下同じ。)は、10mm以上確保することが好ましく、20mm以上確保することがより好ましい。
【0056】
ただし、部分αにおける、攪拌羽根14aと底部11dとのクリアランスを広くしすぎると、貯留槽本体11の底部11dと側壁部との間の部分β(図8)に、レベリング材4が滞留する滞留域が形成されやすくなる。このため、部分αにおける、攪拌羽根14aと底部11dとのクリアランスは、50mm以下に抑えることが好ましく、30mm以下に抑えることがより好ましい。本実施形態の貯留槽10において、部分αにおける、攪拌羽根14aと底部11dとのクリアランスは、約25mmに設定している。
【0057】
攪拌羽根14aの回転速度は、レベリング材4の種類等に応じて適宜決定される。しかし、攪拌羽根14aの回転速度が遅すぎると、レベリング材4の攪拌が不十分になるおそれがある。このため、攪拌羽根14aの回転速度は、100rpm以上とすることが好ましく、200rpm以上とすることがより好ましい。
【0058】
ただし、攪拌羽根14aの回転速度を速くしすぎると、貯留槽本体11の内部に、レベリング材4が攪拌されにくい領域が形成されやすくなる。この場合にも、レベリング材4の攪拌が不十分になるおそれがある。この点、バケツを地面に置いてハンドミキサで攪拌する従来の施工方法では、バケツの中のレベリング材4に気泡が形成される等して、攪拌が不十分な箇所を視認することができ、その攪拌が不十分な箇所にハンドミキサを移動して攪拌するといったことも可能であるところ、貯留槽10を宙吊りにしてレベリング材4の攪拌を行う本実施形態の貯留槽10では、レベリング材4の状態を確認しながら攪拌することが難しい。このため、本実施形態の貯留槽10においては、攪拌羽根14aの回転速度を、従来のハンドミキサによる値(通常、1200rpm程度)よりも遅くすることが好ましい。具体的には、攪拌羽根14aの回転速度を、1000rpm以下とすることが好ましく、800rpm以下とすることがさらに好ましい。攪拌羽根14aの回転速度は、インバーター等を備えたスピードコントローラにより、調節できるようにしておくとよい。
【0059】
攪拌羽根14aの寸法(外径)も、特に限定されない。しかし、攪拌羽根14aの外径が小さすぎると、貯留槽本体11の内部のレベリング材4を十分に攪拌しにくくなるおそれがある。このため、攪拌羽根14aの外径(以下、「外径D」と表記する。)は、貯留槽本体11の内径(以下、「内径D」と表記する。)に対する外径Dの比D/Dを0.2以上確保できる範囲で設定することが好ましく、0.3以上確保できる範囲で設定することがより好ましい。
【0060】
ただし、攪拌羽根14aの外径を大きくしすぎると、攪拌羽根14aの先端部が貯留槽本体11の周壁等にぶつかりやすくなり、攪拌羽根14aが破損するおそれがある。また、攪拌羽根14aがレベリング材4から大きな回転抵抗を受けるようになり、回転駆動装置14cとして能力が大きなものを使用する必要がでてくる。このため、貯留槽本体11の内径Dに対する攪拌羽根14aの外径Dの比D/Dは、0.8以下に抑えることが好ましく、0.5以下に抑えることがより好ましい。本実施形態の貯留槽10においては、攪拌羽根14aの外径Dが約25cmで、貯留槽本体11の内径Dが約80cmとなっており、比D/Dが0.3強となっている。
【符号の説明】
【0061】
1 鉄筋
2 型枠
3 コンクリート(下地)
3a コンクリート(下地)の上面(不陸面)
4 レベリング材
4a レベリング材の上面(平坦面)
5 ポンプ
6 移送流路
6a 移送流路の基端部
6b 移送流路の先端部
7 作業員
10 貯留槽
11 貯留槽本体
11a レベリング材取出部
11b 予備のレベリング材取出部
11c フランジ部
11d 貯留槽本体の底部
12 蓋体
12a 開閉板
13 脚
14 撹拌機
14a 攪拌羽根
14b シャフト
14c 回転駆動装置
15 フレーム
20 流路型レベリング材攪拌装置
21 筒状ケーシング
21a ケーシング本体
21b ケーシング蓋体
21b 大径部
21b 小径部
22 攪拌板
22a 貫通孔
22b 分轄板
23 中心軸体
23a 芯棒
23b スリーブ
24 中心軸支持体
G 地面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8