(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】浮上装置
(51)【国際特許分類】
B60V 1/18 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
B60V1/18
(21)【出願番号】P 2020186981
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】517032783
【氏名又は名称】株式会社ピーケア
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂戸 孝志
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-002187(JP,A)
【文献】特開2020-132128(JP,A)
【文献】特開平06-056030(JP,A)
【文献】特開2004-142880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60V 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の動きに応じて浮上移動する浮上装置であって、
前記浮上装置は、
流体を供給する供給装置と
人体を支持するベース部と、
前記ベース部に設けられ、靴を取り付けることが可能な取り付け部と、
前記ベース部の所定の一面に少なくとも一つ設けられるシール部と
を備え、
前記ベース部は、
前記供給装置から流体が供給される供給口と、
前記所定の一面に形成される少なくとも一つの排出口と、
前記供給口と前記排出口とを連通する流路と
を備え、
前記シール部は、
前記ベース部の周縁部に沿って設けられ、
前記所定の一面から突出するように形成され、
前記浮上装置の中央側から外側に向かうにつれて、前記シール部の先端へ向けて傾斜する勾配部を備える
浮上装置。
【請求項2】
前記シール部の先端は、鋭角に形成されている
請求項1に記載の浮上装置。
【請求項3】
前記シール部の先端は、平坦状に形成される
請求項1に記載の浮上装置。
【請求項4】
前記シール部は、前記浮上装置の中央側から外側に向かうにつれて、多重に設けられる
請求項1に記載の浮上装置。
【請求項5】
前記供給装置は、外部の流体を前記浮上装置へ供給する圧送装置または加圧された流体を有する圧縮空気貯蔵容器である
請求項1に記載の浮上装置。
【請求項6】
前記供給装置は、前記ベース部に設けられる
請求項1に記載の浮上装置。
【請求項7】
前記浮上装置は、板状に形成される
請求項1に記載の浮上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮上装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のホバークラフト玩具が知られている。ホバークラフト玩具は、玩具本体を浮上および推進させるための送風を行うファンと、ファンを回転駆動させるモータと、モータに給電する蓄電池と、玩具本体に設けられてファン、モータ、および蓄電池を上部に支持するベースと、ベースの底部側の周縁部分に設けられ、膨張および収縮自在な袋状に形成されたスカートとを備える。
【0003】
スカートは、開口を有し、ベースの底部側の周縁部分に沿って取り付けられる。スカートは、送風される空気によってベースの底部側の周縁部分に沿って袋状に膨張する。スカートの開口から外部に空気が放出されることにより、ホバークラフト玩具は、バランス良く浮上させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人体を浮上させる場合には、装置本体のみを浮上させる場合と比較して、浮上するのに求められる流体の量が多くなる。
【0006】
さらに、室内等の限られた領域で使用する場合には、装置の大きさおよび流体の供給装置の大きさが制限されるため、流体の供給量に制限がかかる。ボンベ等を使用する場合には、流体の総量が定められているため、使用可能な時間に制限がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、利便性を向上可能な浮上装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
人体の動きに応じて浮上移動する浮上装置は、流体を供給する供給装置とベース部と、ベース部の所定の一面に少なくとも一つ設けられるシール部とを備え、ベース部は、供給装置から流体が供給される供給口と、所定の一面に形成される少なくとも一つの排出口と、供給口と排出口とを連通する流路とを備え、シール部は、ベース部の周縁部に沿って設けられ、所定の一面から突出するように形成され、浮上装置の中央側から外側に向かうにつれて、シール部の先端へ向けて傾斜する勾配部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、浮上装置の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態を各図面に基づいて説明するが、本実施形態は、各図面に記載の実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、利便性を向上可能な浮上装置に関するものである。本実施形態の浮上装置は、人体の動きに応じて浮上移動可能である。
【0012】
すなわち、例えば、本浮上装置を靴に適用する場合には、装着者は、人体が地面や床面を蹴って前方に進む時に摩擦が低減し、いわば滑るようにして移動可能である。このように本実施形態では、装着者が歩行する時の床面を蹴る足の動きに応じて、人体が一時的に浮上しうる。装着者は、例えば、スケートリンクまたは体育館等の各種施設において、床を蹴ることによって滑るように移動し、遊ぶことができる。
【0013】
なお、本実施形態において、浮上装置の長手方向をx方向と示し、浮上装置の短手方向をy方向と示し、x方向およびy方向に直交する方向をz方向と示す。z方向において、ベース部に対して排出口が位置する方向を下方向と示す。下方向に対する方向を上方向と示す。浮上装置の上方向における面を上面と示し、浮上装置の下方向における面を下面と示す。
【実施例1】
【0014】
図1(1)は、浮上装置1の断面図である。
図1(2)は、浮上装置1の下面図である。浮上装置1は、供給装置10から供給される「流体」の一例としての空気によって床面から浮上する。
図2に示すように、装着者6は、靴4を浮上装置1に取り付けることによって滑るように移動することができる。
【0015】
浮上装置1は、例えば、供給装置10と、ベース部11と、取り付け部12と、シール部13とを備える。供給装置10は、例えば、外部の空気を浮上装置1へ供給するタービン型圧縮機などの圧送装置または加圧された空気を有する圧縮空気ボンベなどの圧縮空気貯蔵容器の少なくともいずれか一方である。ベース部11と供給装置10とは、例えば、空気パイプ101によって機械的に接続される。
【0016】
なお、供給装置10は、圧送装置または圧縮空気貯蔵容器に限られない。供給装置10から供給される流体は、圧縮性流体、非圧縮性流体のいずれでもよい。すなわち、浮上に利用する流体は、空気、二酸化炭素、窒素、水等でもよい。供給装置10は、ボンベ10と示す場合がある。
【0017】
ベース部11には、例えば、着座部111と、供給口112と、少なくとも一つの排出口113と、流路114とが形成される。着座部111には、靴4が載置される。着座部111は、ベース部11の上面に形成される。取り付け部12は、靴4を浮上装置1に取り付けることができる。取り付け部12は、例えば、靴4を挿入可能な溝、フックまたは紐等でもよい。ユーザ6は、靴4を履かずに足を着座部111に挿入してもよい。
【0018】
供給口112には、空気パイプ101を介して、供給装置10から空気が供給される。供給口112は、例えば、浮上装置1の上面側に形成される。なお、供給口112は、浮上装置1の上面側に形成されることに限られない。
【0019】
排出口113は、供給装置10から供給される空気を排出する。排出口113は、例えば、ベース部11の「所定の一面」の一例としての下面に少なくとも一つ形成される。
図1(2)に示すように、排出口113は、例えば、9か所に形成されてもよい。なお、排出口113は、9か所に形成されることに限らず、8か所以下または10か所以上に形成されてもよい。排出口113の形成位置は均一である必要はない。例えば、つま先、かかと、足の両側などの各領域で排出口113の形成個数を変えてもよい。
【0020】
各排出口113は、全体として例えば、四角系状に配列される。なお、各排出口113は、全体として四角系状に配列されることに限らず、線状、円状または多角形状等に配列されてもよい。上述の通り、各排出口113は、例えば、着座部111にかかる装着者6の体重等によって、形成される位置、形状または数等が設定されてもよい。
【0021】
流路114は、供給口112と排出口113とを連通するように形成される。流路114は、例えば、複数の排出口113と連通するようにy方向に所定の長さの幅w1を有する。なお、流路114は、幅w1を有することに限らず、各排出口113と連通するように分岐が形成されてもよい。
【0022】
シール部13は、ベース部11の下面に設けられる。シール部13は、ベース部11の周縁に沿って設けられる。シール部13は、例えば、排出口113群の外側を取り囲むように設けられる。シール部13は、ベース部11の下面から下方向に突出するように形成される。なお、シール部13によって囲われる空間を浮上室14と示す場合がある。
【0023】
シール部13は、浮上装置1の中央側から外側に向かうにつれて、シール部13の先端132へ向けて傾斜する勾配部131を備える。すなわち、シール部13は、先端側に向かうにつれて先細る。シール部13の先端132は、勾配部131によって鋭角に形成される。なお、シール部13は樹脂材料から形成される。浮上装置1は、主に合成樹脂から形成することができる。
【0024】
勾配部131は、例えば、浮上装置1の中央側から外側に向かうにつれて、シール部13の先端132へと向かう斜面を形成する。なお、勾配部131は、斜面に限らず曲面を形成してもよい。
【0025】
供給装置10から供給される空気は、空気パイプ101を通り、流路114へと至る。流路114内を通過する空気は、排出口113から浮上室14に排出される。排出された空気は、シール部13によってシールされ、浮上室14に滞留する。浮上室14内の空気圧が上昇することにより、装着者6と浮上装置1とは床面から浮上する。
【0026】
浮上装置1が床面から離れて浮上することによって、浮上室14内の空気が外部へと漏洩する。これにより、浮上室14内の空気圧が下降し、床面と接触する。すなわち、浮上装置1は、一時的に浮上することによって、床面との摩擦抵抗が低減する。
【0027】
図2(1)には、ストック5を使用した場合の使用例を示す。浮上装置1は、例えば、スケートリンクまたは体育館等の床面が滑らかな場所で使用してもよい。
【0028】
装着者6は、靴4を取り付け部12に固定することにより浮上装置1を身に着ける。装着者6は、ボンベ10を背中に身に着ける。装着者6は、ボンベ10から浮上装置1へ空気が供給されるように、ボンベ10と浮上装置1とを空気パイプ101で機械的に接続する。
【0029】
装着者6は、ボンベ10を開弁することによって浮上装置1に空気を供給させる。浮上装置1が地面から浮上するため、装着者6は、滑るように移動することができる。浮上装置1が浮上する高さh1は、例えば、数mm程度である。装着者6は、ストック5を使用することによって移動してもよい。
【0030】
図2(2)には、携帯端末7を使用した場合の使用例を示す。浮上装置1またはボンベ10には、例えば、携帯端末の操作によって空気の流量を制御する制御部(不図示)が備えられる。装着者6は、携帯端末7によって、ボンベ10から供給される流量を制御することができる。例えば、ボンベ10は、空気の供給開始および供給停止を携帯端末7からの信号によって制御される。
【0031】
なお、装着者6は、背中に取り付けたプロペラ(不図示)から推力を得ることによって水平方向へ移動してもよい。装着者6は、携帯端末7を操作することによって、プロペラによる移動方向を制御することができる。なお、装着者6は、プロペラに限らず、他の方法を用いて推力を得ることにより移動してもよい。例えば、ボンベ10からの空気の一部をユーザ6の後方へ排気させることにより、ユーザ6は前進することができる。
【0032】
以上に示す浮上装置1は、床面から一時的に浮上することにより、床面との摩擦抵抗を低減することができる。これにより、装着者6は、滑るように移動することができる。その結果、浮上装置1は、装着者6に対して、例えば浮遊感、興奮、刺激、遊び心を提供することができる。さらに、浮上装置1は、装着者6が身に着けることが可能な大きさであるため、室内等の限られた領域でも使用することができる。
【0033】
浮上装置1は、シール部13を備えることにより、空気の漏れ量を少なくすることができる。これにより、浮上室14内の空気が外部に漏洩するのを抑制でき、浮上装置1を浮上させるための空気量を少なくすることができる。したがって、浮上装置1は、ボンベ10の空気を節約したり、タービンの騒音を抑制したりすることができ、利便性を向上させることができる。
【0034】
シール部13は、勾配部131を備えることにより、勾配部131を備えない場合と比較して、床面とシール部13との接触面積をより少なくすることができる。これにより、浮上装置1は、より滑らかに移動することができる。
【0035】
図3~6に示す浮上装置1a,1b,1c,1dは、浮上装置1の変形例である。以下、浮上装置1a,1b,1c,1dについて、浮上装置1との相違を中心に説明する。
【0036】
図3は、浮上装置1aの概略断面図である。浮上装置1aは、例えば、靴部4aと、ベース部11と、シール部13とを備える。
【0037】
靴部4aは、ベース部11の上側に一体的に形成される。靴部4aとベース部11とは、例えば、同一部材で形成される。なお、靴部4aとベース部11とは別部材で形成され、接着部材等で固着されることによって一体的に設けられてもよい。
【0038】
図4は、浮上装置1bの概略断面図である。浮上装置1bは、例えば、ベース部11と、靴部4aと、シール部13bとを備える。
【0039】
シール部13bは、ベース部11の下面に設けられる。シール部13bは、ベース部11の周縁に沿って設けられる。シール部13bは、例えば、排出口113を取り囲むように設けられる。シール部13bは、ベース部11の下面から下方向に突出するように形成される。
【0040】
シール部13bは、浮上装置1bの中央側から外側に向かうにつれて、シール部13bの先端132bへ向けて傾斜する勾配部131bを備える。すなわち、シール部13bは、先端側に向かうにつれて先細る。
【0041】
勾配部131bは、例えば、浮上装置1bの中央側から外側に向かうにつれてシール部13bの先端132bへと向かう斜面を形成する。なお、勾配部131bは、斜面に限らず曲面を形成してもよい。シール部13bの先端132bは、平坦状に形成される。先端132bは、例えば、所定の長さw2の幅を備える。
【0042】
以上に示す浮上装置1bは、シール部13bの先端132bが平坦状に形成されることにより、凹凸のある床面で使用してもシール性を確保することができる。これにより、浮上装置1bは、利便性が向上する。
【0043】
図5(1)は、浮上装置1cの概略的断面図である。
図5(2)は、浮上装置1cの下面図である。浮上装置1cは、複数のシール部13c(1)~13c(4)を備える。なお、各シール部13c(1)~13c(4)を特に区別しない場合には、シール部13cと示す場合がある。浮上装置1cは、例えば、ベース部11と、靴部4aと、流路114と、シール部13cとを備える。
【0044】
シール部13cは、ベース部11の下面に設けられる。シール部13cは、ベース部11の周縁に沿って設けられる。シール部13cは、例えば、排出口113を取り囲むように設けられる。シール部13cは、ベース部11の下面から下方向に突出するように形成される。
【0045】
各シール部13cは、浮上装置1cの中央側から外側に向かうにつれて多重に設けられる。各シール部13cは、例えば、四重に設けられる。図中において、浮上装置1の中央側からシール部13c(1)~13c(4)と示す。なお、各シール部13cは、四重に設けられることに限らず、二重、三重または五重以上で設けられてもよい。
【0046】
各シール部13cは、突出方向に向かうにつれて先細る。各シール部13cは、例えば、中央側から外側に向かうにつれて先端側へ向けて傾斜する勾配部が形成されてもよい。各シール部13cの先端は、鋭角または平坦状の少なくともいずれか一方に形成されてもよい。
【0047】
以上に示す浮上装置1cは、複数のシール部13cを備えることによって、シール性を向上させることができる。これにより、浮上装置1cは、空気の使用量をより節約することができ、利便性を向上させることができる。
【0048】
図6は、浮上装置1dの概略断面図である。浮上装置1dは、例えば、供給装置10dと、ベース部11dと、シール部13とを備える。供給装置10dは、例えば、外部の空気を浮上装置1dへ供給するタービンまたは加圧された空気を有するボンベの少なくともいずれか一方である。供給装置10dは、ベース部11dに設けられる。
【0049】
ベース部11dには、例えば、着座部111と、供給口112dと、少なくとも一つの排出口113と、流路114dとが形成される。供給口112dには、供給装置10dから空気が供給される。
【0050】
流路114dは、供給口112dと排出口113とを連通するように形成される。流路114dは、例えば、複数の排出口113と連通するようにy方向に所定の長さの幅w1を有する。なお、流路114dは、幅w1を有することに限らず、各排出口113と連通するように分岐が形成されてもよい。
【実施例2】
【0051】
本実施例は、第1実施例の変形例に相当するため、第1実施例との相違を中心に説明する。
図7(1)は、浮上装置1eの概略断面図である。
図7(2)は、浮上装置1eの下面図である。浮上装置1eは、板状に形成され、供給装置10eから供給される空気によって浮上する。浮上装置1eは、例えば、スノーボードまたはローラーボード等と同様に、装着者6を滑るように移動させることができる。
【0052】
浮上装置1eは、例えば、供給装置10eと、ベース部11eと、シール部13eとを備える。ベース部11eには、例えば、支持部111eと、供給口112eと、少なくとも一つの排出口113eと、流路114eとが形成される。支持部111eは、浮上装置1eの上面に備えられ、装着者6を支持する。
【0053】
供給装置10eは、例えば、タービンまたはボンベ等である。なお、供給装置10eをボンベ10eと示す場合がある。供給装置10eは、例えば、浮上装置1eの上面に設けられる。
【0054】
供給口112eには、供給装置10eから空気が供給される。供給口112eは、例えば、浮上装置1eの上面側に形成される。なお、供給口112eは、浮上装置1eの上面側に形成されることに限られない。
【0055】
排出口113eは、供給装置10eから供給される空気を排出する。排出口113eは、例えば、ベース部11eの下面に少なくとも一つ形成される。
図7(2)に示すように、排出口113eは、例えば、3か所に形成されてもよい。なお、排出口113は、3か所に形成されることに限らず、2か所以下または4か所以上に形成されてもよい。
【0056】
各排出口113eは、例えば、線状に配列される。なお、各排出口113eは、線状に配列されることに限らず、四角形状、円状または多角形状等に配列されてもよい。各排出口113eは、例えば、支持部111eにかかる装着者6の体重等によって、形成される位置、形状または数等が設定されてもよい。
【0057】
流路114eは、供給口112eと各排出口113eとを連通するように形成される。流路114eは、各排出口113eと連通するように分岐または所定の長さの幅が形成されてもよい。
【0058】
シール部13eは、ベース部11eの下面に設けられる。シール部13eは、ベース部11eの周縁に沿って設けられる。シール部13eは、例えば、排出口113eを取り囲むように設けられる。シール部13eは、ベース部11eの下面から下方向に突出するように形成される。なお、シール部13eによって囲われる領域を浮上室14eと示す場合がある。
【0059】
シール部13eは、浮上装置1eの中央側から外側に向かうにつれて、シール部13eの先端132eへ向けて傾斜する勾配部131eを備える。すなわち、シール部13eは、先端側に向かうにつれて先細る。シール部13eの先端132eは、勾配部131eによって鋭角に形成される。
【0060】
勾配部131eは、例えば、浮上装置1eの中央側から外側に向かうにつれてシール部13eの先端132eへと向かう斜面を形成する。なお、勾配部131eは、斜面に限らず曲面を形成してもよい。
【0061】
供給装置10eから供給される空気は、流路114eへと至る。流路114e内を通過する空気は、排出口113eから浮上室14eに排出される。排出された空気は、シール部13eによってシールされ、浮上室14eに滞留する。浮上室14e内の空気圧が上昇することによって、装着者6と浮上装置1eとは、床面から浮上することができる。
【0062】
浮上装置1eが床面から浮上することによって、浮上室14e内の空気が外部へと漏洩する。これにより、浮上室14e内の空気圧が下降し、浮上装置1eは床面に接触する。すなわち、浮上装置1eは、一時的に浮上することによって、床面との摩擦抵抗を低減する。
【0063】
図8(1)には、浮上装置1eを使用した場合の使用例を示す。浮上装置1eは、例えば、スケートリンクまたは体育館等の床面が滑らかな環境にて使用する場合が考えられる。なお、床面が滑らかな場合に限らず、床面に凹凸形状がある場合に使用してもよい。
【0064】
装着者6は、浮上装置1eの支持部111eに乗る。装着者6は、ボンベ10eを開弁することによって浮上装置1eに空気を供給させる。浮上装置1eが地面から浮上するため、装着者6は、滑るように移動することができる。浮上装置1eが浮上する高さh2は、例えば、数mm程度である。
【0065】
装着者6は、ストック等を使用することによって移動してもよい。なお、浮上装置1eには、プロペラ等の推進器が設けられてもよい。装着者6は、推進器を制御することによって、浮上装置1eに乗ったまま移動してもよい。
【0066】
ボンベ10eは、浮上装置1eに設けられることに限らず、
図8(2)に示すように装着者6に身に付けられてもよい。ボンベ10eから浮上装置1eまで空気が供給されるように、ボンベ10eと浮上装置1eとは、空気パイプ101によって機械的に接続されてもよい。
【0067】
以上に示す浮上装置1eは、床面から浮上することにより、床面との摩擦抵抗を低減することができる。これにより、装着者6は、滑るように移動することができる。その結果、浮上装置1eは、装着者6に浮上する感覚を提供することができる。さらに、浮上装置1eは、装着者6が乗ることが可能な大きさであるため、室内等の限られた領域でも使用することができる。
【0068】
浮上装置1eは、シール部13eを備えることにより、空気の漏れ量を抑制することができる。これにより、浮上室14eに滞留する空気が外部に漏洩することを抑制することができ、浮上装置1eを浮上させるための空気量を少なくすることができる。これにより、浮上装置1eは、供給装置10eの空気の節約または、タービンの騒音を抑制することができ、利便性を向上させることができる。
【0069】
シール部13eは、勾配部131eを備えることにより、勾配部131eを備えない場合と比較して、床面とシール部13eとの接触面積をより少なくすることができる。これにより、浮上装置1は、より滑らかに移動することができる。
【0070】
図9,10に示す浮上装置1f,1gは、浮上装置1eの変形例である。以下、浮上装置1f,1gについて、浮上装置1eとの相違を中心に説明する。
【0071】
図9は、浮上装置1fの概略断面図である。浮上装置1fは、例えば、ベース部11eと、シール部13fとを備える。
【0072】
シール部13fは、ベース部11eの下面に設けられる。シール部13fは、ベース部11eの周縁に沿って設けられる。シール部13fは、例えば、排出口113eを取り囲むように設けられる。シール部13fは、ベース部11eの下面から下方向に突出するように形成される。
【0073】
シール部13fは、浮上装置1fの中央側から外側に向かうにつれて、シール部13fの先端132fへ向けて傾斜する勾配部131fを備える。すなわち、シール部13fは、先端側に向かうにつれて先細る。シール部13fの先端132fは、勾配部131fによって鋭角に形成される。
【0074】
勾配部131fは、例えば、浮上装置1fの中央側から外側に向かうにつれてシール部13fの先端132fへと向かう斜面を形成する。なお、勾配部131fは、斜面に限らず曲面を形成してもよい。シール部13fの先端132fは、平坦状に形成される。先端132fは、例えば、所定の長さw3の幅を備える。
【0075】
以上に示す浮上装置1fは、シール部13fの先端132fが平坦状に形成されることにより、凹凸のある床面で使用してもシール性を確保することができる。これにより、浮上装置1fは、利便性が向上する。
【0076】
図10(1)は、浮上装置1gの概略的断面図である。
図5(2)は、浮上装置1gの下面図である。浮上装置1gは、例えば、ベース部11eと、複数のシール部13g(1)~13g(3)とを備える。なお、各シール部13g(1)~13g(3)を特に区別しない場合には、シール部13gと示す場合がある。
【0077】
シール部13gは、ベース部11eの下面に設けられる。シール部13gは、ベース部11eの周縁に沿って設けられる。シール部13gは、例えば、排出口113eを取り囲むように設けられる。シール部13gは、ベース部11eの下面から下方向に突出するように形成される。
【0078】
各シール部13gは、浮上装置1gの中央側から外側に向かうにつれて多重に設けられる。各シール部13gは、例えば、三重に設けられる。図中において、浮上装置1gの中央側からシール部13g(1)~13g(3)と示す。なお、各シール部13gは、三重に設けられることに限らず、二重または四重以上で設けられてもよい。
【0079】
各シール部13gは、突出方向に向かうにつれて先細る。各シール部13gは、例えば、中央側から外側に向かうにつれて先端側へ向けて傾斜する勾配部を備える。各シール部13gの先端は、鋭角または平坦状の少なくともいずれか一方に形成されてもよい。
【0080】
以上に示す浮上装置1gは、複数のシール部13gを備えることによって、シール性を向上させることができる。これにより、浮上装置1gは、空気の使用量をより節約することができ、利便性を向上させることができる。
【0081】
図11は、浮上装置1hの変形例の説明図である。浮上装置1hは、浮上装置1eの変形例であるため、浮上装置1eとの相違を中心に説明する。浮上装置1hは、例えば、ベース部11hと、シール部13eとを備える。ベース部11eの上面には、例えば、ボンベ10eとハンドル8とが備えられる。
【0082】
ベース部11hは、例えば、円盤状に形成される。なお、ベース部11hは、円盤状に限らず、板状に形成されてもよい。浮上装置1hは、ボンベ10eから空気が供給されることにより、床面から浮上する。浮上装置1hが浮上する高さh3は、例えば、数mm程度である。
【0083】
装着者6は、例えば、ハンドル18を操作することによって、浮上装置1hを制御することができる。浮上装置1hには、例えば、ハンドル8によって制御される推進器が複数設けられてもよい。浮上装置1hは、例えば、推進器によって移動されてもよい。推進器は、例えば、プロペラ等でもよい。
【0084】
なお、本実施形態の浮上装置は、装着者に浮上する感覚を提供すればよく、継続的に浮上し続けることに限られない。浮上装置は、一時的に浮上することが可能であり、床面との摩擦を減らし装着者に浮上する感覚を提供することができる。すなわち、浮上装置は、床面との摩擦を低減させる摩擦低減装置と示されてもよい。
【0085】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・浮上装置,10・・・供給装置,101・・・空気パイプ,11・・・ベース部,111・・・着座部,112・・・供給口,113・・・排出口,114・・・流路,12・・・取り付け部,13・・・シール部,131・・・勾配部,132・・・先端,14・・・浮上室,4・・・靴