(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】巡回支援システム、巡回支援システム用補助具及び巡回支援システム用プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20240906BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240906BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240906BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240906BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240906BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240906BHJP
G08B 29/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G08B25/04 K
G08B25/00 510M
G08B21/02
G06T1/00 330B
H04N7/18 D
G08B29/00 A
H04N7/18 E
(21)【出願番号】P 2022032750
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2024-07-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】713005141
【氏名又は名称】株式会社想画
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 統蔵
(72)【発明者】
【氏名】西村 達也
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106703(JP,A)
【文献】米国特許第9676325(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0311476(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111696364(CN,A)
【文献】特開2010-108146(JP,A)
【文献】特開2018-163536(JP,A)
【文献】特開2019-91230(JP,A)
【文献】特開2021-135854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
G08B 29/00
G08B 25/04
G08B 25/00
G08B 21/02
G06T 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像を行い、撮像データを取得する撮像部と、
表示データを受信し、表示データに基づいた表示を行う表示部と、
前記撮像部で撮像された撮像データを受信し、撮像データに基づいた表示データを生成し、生成した表示データを前記表示部に送信する制御部と、
前記制御部から送信されるデータを記憶し、記憶したデータを前記制御部に送信する記憶部と、を有する情報処理端末装置を用いて、駐車場に駐車中の車両内の人の存否確認のための巡回を支援する巡回支援システムであって、
前記制御部が、受信した撮像データを画像解析し、撮像データに映り込んでいる車両のナンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ることで、読み取りデータを取得し、
読み取りデータを前記記憶部に記憶させると共に、読み取りデータが前記記憶部に既に存在するか否かを照合し、
照合の結果に応じて、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成することを特徴とする巡回支援システム。
【請求項2】
撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際、
照合の結果に応じて、表示データにおける読み取りデータを囲む枠の色を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の巡回支援システム。
【請求項3】
撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際、
照合の結果に応じて、表示データで表示する記号を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の巡回支援システム。
【請求項4】
前記情報処理端末装置は、前記制御部からの発音指令を受信し発音するスピーカーを有しており、
前記制御部が、照合の結果に応じて、発音指令により発音する音を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の巡回支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の巡回支援システムによる巡回作業に用いられ、当該作業を補助する巡回支援システム用補助具であって、
基台と、
前記基台の下方側に取り付けられる3輪以上の車輪と、
前記基台から延在するように設けられるハンドル部材と、
前記基台の上方側で前記情報処理端末装置を着脱可能に保持するホルダー部材と、を少なくとも含むことを特徴とする巡回支援システム用補助具。
【請求項6】
前記ホルダー部材は、天井がない箱体の内部に設けられることを特徴とする請求項5に記載の巡回支援システム用補助具。
【請求項7】
前記ホルダー部材が2つ設けられることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の巡回支援システム用補助具。
【請求項8】
前記ハンドル部材には、前記車輪の回転を止めるブレーキの操作に用いられるブレーキレバーが設けられることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の巡回支援システム用補助具。
【請求項9】
情報処理端末装置に、駐車場に駐車中の車両内の人の存否確認のための巡回を支援する処理を実行させる巡回支援システム用プログラムであって、
情報処理端末装置は、
データ処理を実行するプロセッサーと、
データを記憶する記憶部と、
撮像データを取得する撮像部と、
表示データに基づいた表示を行う表示部と、を有しており、
前記プロセッサーが、
撮像データを画像解析し、撮像データに映り込んでいる車両のナンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ることで、読み取りデータを取得するステップと、
読み取りデータを前記記憶部に記憶させると共に、読み取りデータが前記記憶部に既に存在するか否かを照合するステップと、
照合の結果に応じて、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成するステップの各ステップを実行することを特徴とする巡回支援システム用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場や百貨店、モール等の商業施設の駐車場において、駐車中の車両に子供の置き去りなどがないかを確認するための巡回を支援する巡回支援システム、及び、当該巡回支援システムによる巡回作業を補助する巡回支援システム用補助具、及び、巡回支援システムを情報処理端末装置で実現する巡回支援システム用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
子供を連れて遊技場などに車で来場し、子供を車内に放置したまま、親はホールで遊技に興ずるようなことがある。このような場合、夏場において車内温度が上昇し、子供が熱中症となり死亡してしまうような痛ましい事故がこれまで報告されている。
【0003】
遊技場などの運営者としては、このような事故を未然に防ぐべく、何らかの対策を打つ必要がある。このような対策の一例として、駐車場を監視する監視装置が特許文献1(特開2008-83944号公報)で提案されている。
【0004】
特許文献1には、子連フラグ設定部228は、駐車場に入場する人物が子供を連れているか否かを示す子連フラグを設定し、車両情報登録部225は、子連フラグを車両情報データベースに登録し、預入フラグ設定部231aは、駐車場に入場する車両に搭乗する人物が、自らの子供を託児所に預けているか否かを示す預入フラグを、子供を預けた人物の顔画像に対応付けて、車両情報データベースに設定する監視装置が開示されている。
【文献】特開2008-83944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術においては、ホールの各遊技台36-1乃至36-mに対応して設けられている遊技台周辺端末37-1乃至37-m(複数の台間機)に対して、それぞれ遊技者の顔画像を取得するカメラ38-1乃至38-mを設けるようにしたり、或いは、生体情報管理データベース3を管理したりする必要があり、多大なコストがかかる、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するものであって、本発明に係る巡回支援システムは、撮像を行い、撮像データを取得する撮像部と、表示データを受信し、表示データに基づいた表示を行う表示部と、前記撮像部で撮像された撮像データを受信し、撮像データに基づいた表示データを生成し、生成した表示データを前記表示部に送信する制御部と、前記制御部から送信されるデータを記憶し、記憶したデータを前記制御部に送信する記憶部と、を有する情報処理端末装置を用いて、駐車場に駐車中の車両内の人の存否確認のための巡回を支援する巡回支援システムであって、前記制御部が、受信した撮像データを画像解析し、撮像データに映り込んでいる車両のナンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ることで、読み取りデータを取得し、読み取りデータを前記記憶部に記憶させると共に、読み取りデータが前記記憶部に既に存在するか否かを照合し、照合の結果に応じて、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る巡回支援システムは、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際、照合の結果に応じて、表示データにおける読み取りデータを囲む枠の色を異ならせることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る巡回支援システムは、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際、照合の結果に応じて、表示データで表示する記号を異ならせることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る巡回支援システムは、前記情報処理端末装置は、前記制御部からの発音指令を受信し発音するスピーカーを有しており、前記制御部が、照合の結果に応じて、発音指令により発音する音を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の巡回支援システム。
【0010】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具は、前記のいずれかに記載の巡回支援システムによる巡回作業に用いられ、当該作業を補助する巡回支援システム用補助具であって、基台と、前記基台の下方側に取り付けられる3輪以上の車輪と、前記基台から延在するように設けられるハンドル部材と、前記基台の上方側で前記情報処理端末装置を着脱可能に保持するホルダー部材と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具は、前記ホルダー部材は、天井がない箱体の内部に設けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具は、前記ホルダー部材が2つ設けられることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具は、前記ハンドル部材には、前記車輪の回転を止めるブレーキの操作に用いられるブレーキレバーが設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る巡回支援システム用プログラムは、情報処理端末装置に、駐車場に駐車中の車両内の人の存否確認のための巡回を支援する処理を実行させる巡回支援システム用プログラムであって、情報処理端末装置は、データ処理を実行するプロセッサーと、データを記憶する記憶部と、
撮像データを取得する撮像部と、表示データに基づいた表示を行う表示部と、を有しており、前記プロセッサーが、撮像データを画像解析し、撮像データに映り込んでいる車両のナンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ることで、読み取りデータを取得するステップと、読み取りデータを前記記憶部に記憶させると共に、読み取りデータが前記記憶部に既に存在するか否かを照合するステップと、照合の結果に応じて、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成するステップの各ステップを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る巡回支援システムは、ハードウエアとして、スマートフォンなどの情報処理端末装置を用いるために、非常に安価にシステムを構築することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る巡回支援システムにおいては、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際には、読み取りデータが記憶部に既に存在するか否かを照合した結果に応じて変更することで、巡回要員が、既に確認を行った車両かを、直感的に把握することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具によれば、本発明に係る巡回支援システムによる巡回作業を補助することで、巡回要員の作業効率を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る巡回支援システム用プログラムは、巡回要員が既に確認を行った車両かを、直感的に把握することを可能とする動作を、スマートフォンなどの情報処理端末装置に実行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る巡回支援システムを用いて巡回を行っている様子を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る巡回支援システムで用いられる情報処理端末装置の一例であるスマートフォン10のブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る巡回支援システムによる巡回支援処理のフローチャート例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る巡回支援システムにデータベース18のデータ構造例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る巡回支援システムによるタッチパネル部30の表示例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る巡回支援システムによるバックグランド処理のフローチャート例を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システムによるタッチパネル部30の表示例を示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システムによるタッチパネル部30の表示例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る巡回支援システム用補助具70を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100の斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100を側方から見た図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100における箱体130の内部構造を示す図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100における箱体130内の第1ホルダー部材133でスマートフォン10を保持する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る巡回支援システムは、人手による駐車場の巡回を支援するシステムであることを特徴としている。より具体的には、遊技場や百貨店、モール等の商業施設の駐車場において、駐車中の車両の中(主として後部座席)に、人(主として子供や乳幼児)がいないかを、巡回しながら車両毎に確認していく作業を行う人(以下、「巡回要員」という)の手間を軽減することを、発明の目的としている。
【0021】
駐車場を巡回しながら、駐車中の1台1台の車両に子供がいないかをチェックする場合、特に、手間がかかるのは、車両の後方へと進み後部座席側をのぞき込み、子供がいないかを確認する作業である。
【0022】
上記のような作業を回避するためには、既に巡回して確認済みの車両については、再度後部座席確認のための動作を省略することで、巡回の作業時間の短縮化を図ることが可能となる。本発明に係る巡回支援システムは、巡回要員に対して、既に巡回して確認済みの車両であるか否かを報知することで、巡回を効率的に行えるように巡回要員の支援を行うように設計されたものである。
【0023】
本発明に係る巡回支援システムでは、例えば、商業施設の営業時間中、およそ1時間に1回程度、駐車場に駐車されている各車両に子供が置き去りにされていないかを、巡回要員が巡回しながら確認していくような状況を想定している。この際、巡回要員Pは、
図1に示すように、現在広く普及しているスマートフォン10などの情報処理端末装置を手持ちして、各車両VのナンバープレートN記載の情報を撮像しながら、1台1台の車両について確認を行うことが想定されている。スマートフォン10では、ナンバープレートN記載の情報を読み取り、読み取った情報に基づいて、既に過去に確認が済んでいる車両Vであるか否かを巡回要員Pに対して報知する。
【0024】
本発明に係る巡回支援システムで利用され得るスマートフォン10の構成について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る巡回支援システムで用いられる情報処理端末装置の一例であるスマートフォン10のブロック図である。なお、本実施形態では、情報処理端末装置としてスマートフォンを用いる例に基づいて説明するが、本発明に係る巡回支援システムでは情報処理端末装置としてはタブレット端末装置など他のものも利用され得る。
【0025】
制御部11は、演算処理装置(プロセッサー、Central Processing Unit)や、この演算処理装置上で実行される各種プログラムなどに相当する構成である。前記演算処理装置上で動作する基本オペレーティングシステム16には、カレンダーや時計などの基本的な計時機能を実現するプログラムも含まれている。
【0026】
また、記憶部15は、データを記憶しておく揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)や不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)などのストレージである。この記憶部15においては、制御部11が書き込んだデータを保持したり、書き込まれているデータが制御部11によって参照されたり、或いは、制御部11が不要となったデータを消去したりすることができるようになっている。
【0027】
記憶部15には、基本オペレーティングシステム16と、この基本オペレーティングシステム16上で動作する本発明の巡回支援システムアプリケーションプログラム17と、この巡回支援システムアプリケーションプログラム17によって、データが書き込まれたり、データが参照されたり、或いはデータが消去されたりするデータベース18が記憶されている。記憶部15に記憶されている各プログラムは、制御部11において実行される。
【0028】
本発明に係る巡回支援システムは、記憶部15にインストールされたアプリケーションソフトウェアである巡回支援システムアプリケーションプログラム17に基づいて、制御部11が各種処理を実行することで各種機能が実現されるようになっている。
【0029】
図において、制御部11と連結されたブロック構成(例えば、タッチパネル部30など)に対して各種制御指令を発したり、各種データを転送したり、また、当該ブロック構成で取得されたデータを受けたりすることができるようになっている。
【0030】
通信部20は、無線通信によって外部の機器とデータ通信、音声通話を実現するものでる。通信部20は、制御部11の指令に基づいて、例えば、記憶部15に書き込まれたデータを外部機器に送信したり、外部機器からの受信したデータを制御部11に転送したりすることなどができる。
【0031】
GPS受信部23は、複数の衛星からのGPS(Global Positioning System )信号を受信することで、自らの緯度・経度を特定する構成である。GPS受信部23で特定された緯度・経度は制御部11に送信される。制御部11は、記憶部15に記憶されている地図データ・アプリケーション(不図示)と連携することで、地図上におけるスマートフォン10自身の存在位置、ひいては、スマートフォン10を携帯していることが想定されるユーザーの位置を割り出す。
【0032】
撮像部25は、静止画像撮像データや動画像撮像データを取得する構成である。このような撮像部25で取得された静止画像撮像データや動画像撮像データは、制御部11で画像処理され、タッチパネル部30に表示されたり、必要に応じて記憶部15に保存されたりする。記憶部15に保存された静止画像撮像データや動画像撮像データは、巡回支援システムで利用可能に構成することができる。なお、本発明に係る巡回支援システムでは、基本的に動画像撮像データを利用することが想定されている。
【0033】
スマートフォン10に設けられているタッチパネル部30は、ユーザーインターフェースとして利用される。タッチパネル部30は、ユーザーの指の接触を検知することで、ユーザーが情報を入力できる入力部31と共に、ユーザーに対して情報を表示する表示部32とが一体となったものである。タッチパネル部30において、表示部32と入力部31とは重ねられるように設けられると共に、入力部31は透明とされているので、ユーザーは表示部32の表示に対して指を接触させることで、表示に基づいた入力を行うことができるようになっている。このようなタッチパネル部30に基づいたユーザーによる入力操作については、従来周知の技術が本発明に適用される。
【0034】
タッチパネル部30の入力部31は、例えば静電容量方式のものを用いることができる。また、タッチパネル部30の表示部32には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)などの表示装置を用いることができる。
【0035】
スマートフォン10におけるタッチパネル部30で一般的に知られている「タップ」、「ダブルタップ」、「ロングタップ」、「ドラッグ」、「ムーブ」、「フリック」、「スワイプ」、「ピンチ」、「ピンチアウト」と称される各入力操作は、本発明に係る巡回支援システムにおいても採用されている。
【0036】
音声処理部35は、音声信号の変復調を行う。音声処理部35は、マイク36から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部11へ与える。また、音声処理部35は、音声信号をスピーカー37へ与える。音声処理部35は、例えば、音声処理用のプロセッサーによって実現される。マイク36は、音声信号の入力を受け付けて制御部11へ出力するための音声入力部として機能する。スピーカー37は、音声信号を、スマートフォン10の外部へ出力するための音声出力部として機能する。
【0037】
加速度センサー41は、スマートフォン10に対して加えられる加速度を計測する慣性センサーであり、例えば、加速度の検出方式としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を応用したMEMS加速度センサーを利用することができる。
【0038】
地磁気センサー42は、磁場(磁界)の大きさ、方向を計測するセンサーである。地磁気センサー42としては、ホール素子のホール効果を利用したホール素子センサーや、磁気抵抗素子を用いたMRセンサーなどを用いることができる。
【0039】
また、ジャイロセンサー43は、スマートフォン10の回転角速度を計測する角速度センサーである。このようなジャイロセンサー43としては、MEMS技術を用いた振動式ジャイロセンサーを好適に用い得る。
【0040】
さて、以上のように構成されるスマートフォン10で実行される、本発明に係る巡回支援システムの処理について説明する。
図3は本発明の実施形態に係る巡回支援システムによる巡回支援処理のフローチャート例を示す図である。このようなフローチャートは、制御部11によって実行される。また、このようなフローチャートは、あくまで一例であり、他のフローチャートによっても、本発明に係る巡回支援システムを実現することができる。また、
図3のフローチャートは、車両Vが撮像される毎に実行される。
【0041】
図3において、ステップS100で巡回支援処理が開始されると続いて、ステップS101に進み、撮像部から撮像データが取得される。続いて、ステップS102においては、撮像データにおける車両の画像からナンバープレートの箇所を抽出し、次にステップS103では、当該ナンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ることで、読み取りデータを取得する。
【0042】
ここで、ステップS102にナンバープレートの箇所を抽出したり、ステップS103において、ンバープレート記載の情報を、テキストデータとして読み取ったりする技術には任意の画像認識技術を用いることができるが、画像認識の精度を向上させるためにニューラルネットワークモデルによる学習モデルを用いた機械学習や、ディープラーニング(深層学習)よる学習モデルを用いた機械学習を採用することができる。さらに、上記実施形態における撮像データ及び読み取りデータの相関関係を学習データから機械学習するものであれば、上記の例に限られるものでなく、他の学習手法を採用してもよい。例えば、学習モデルは、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)やアンサンブル学習を用いたものでもよい。また、回帰問題として扱う場合には、学習モデルは、統計的な学習手法を採用したものでもよく、例えば、自己回帰和分移動平均(ARIMA)モデルやベイズ推定等の統計的モデルを用いたものでもよい。
【0043】
ステップS104では、読み取りデータと、記憶部15に記憶されているデータベース18に登録済みの読み取りデータとを、照合していく。
図4は本発明の実施形態に係る巡回支援システムにデータベース18のデータ構造例を示す図である。データベース18には、過去に読み取られた車両VのナンバープレートNの読み取りデータが蓄積されている。照合とは、例えば、
図5に示すような読み取りデータ「川口 300 わ 17-77」が取得されると、データベース18中の登録済みの読み取りデート一つずつと付き合わせて行き、マッチするものが存在するか否かを検証する処理である。
【0044】
データベース18のデータ構造は、大きな分類では、データベース18に蓄積されるデータの「ID番号」、「ナンバープレート読み取りデータ」、「読み取り時刻データ」を含めることができる。
【0045】
「ID番号」は唯一無二の固有のデータとして、ナンバープレート読み取りデータが最初にデータベース18に蓄積される際に割り当てられるデータである。本実施形態では、「ID番号」は4桁の自然数を割り当てていく例で説明しているが、「ID番号」の割り当て方がこれに限定されるものではない。
【0046】
「ナンバープレート読み取りデータ」は、車両のナンバープレート記載の情報に係るテキストデータである。「ナンバープレート読み取りデータ」の下には、ナンバープレートの「地名部」のテキストデータ、「分類番号部」のテキストデータ、「平仮名部」のテキストデータ、「車両番号部」のテキストデータの各データが分類・蓄積されている。
【0047】
なお、本実施形態では、「地名部」、「分類番号部」、「平仮名部」、「車両番号部」のナンバープレート記載の全ての情報を、ナンバープレート読み取りデータとして扱うようにしているが、スマートフォン10の制御部11における演算処理能力が乏しいような場合には、ナンバープレート読み取りデータとして扱う情報を、「分類番号部」、「車両番号部」などの数字のテキストデータに限定することができる。「分類番号部」、「車両番号部」のテキストデータのみを扱うことで、車両特定の精度は低下するが、実用上大きな支障はない。
【0048】
データベース18に蓄積される「読み取り時刻データ」は、「ナンバープレート読み取りデータ」が取得された時刻に係るデータである。駐車場に長い間駐車してある車両の場合には、巡回のたび毎に、「ナンバープレート読み取りデータ」が蓄積されていくが、ある車両がいつの時刻から、車両が駐車されてあるのかを把握するために、「読み取り時刻データ」の項目を設けるようにしている。
【0049】
さて、フローチャートに戻り、ステップS105においては、照合の結果、上記のようなデータベース18に既に、登録済みのナンバープレート読み取りデータが存在するか否か判定される。ステップS105における判定がTRUEであれば、ステップS106に進み、FALSEであれば、ステップS112に進む。
【0050】
ステップS112では、ステップS103で取得した読み取りデータと、当該読み取りデータを取得した読み取り時刻とを、先に説明したデータベース18に登録する。続いて、ステップS113では、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示用のデータを生成する。ここで、読み取りデータのテキスト(読み取りデータ表示63)は、
図5に示すように枠(枠表示60)で囲むようにして表示するよう設定されているが、この枠表示60は、赤色で表示されるように、表示データを生成し、タッチパネル部30に表示させる。本実施形態では、信号をイメージして、タッチパネル部30に表示させる枠表示60の色を変えるようにしている。赤色の枠が表示された場合には、前回の巡回後、新たに駐車された車両であることを巡回要員に報知するものであり、巡回要員は後部座席の確認を行うことが想定されている。
【0051】
このように、本発明に係る巡回支援システムにおいては、記憶部15に記憶されている登録済みの読み取りデータと、今回の巡回で読み取った読み取りデータとを照合し、この照合の結果に応じて、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成するようにしているので、巡回要員が既に確認を行った車両かを、直感的に把握することが可能となり、巡回を効率的に行える。
【0052】
なお、本実施形態では、信号をイメージして、タッチパネル部30に表示させる枠の色を、赤色、黄色、緑色としているが、枠表示60に用いる色がこれらに限定されるものではない。
【0053】
さて、フローチャートに戻り、ステップS105における判定がTRUEであれば、ステップS106に進む。ステップS106においては、データベース18に登録済みの読み取りデータの第1回目の読み取り時刻と、現在時刻との差分を算出する。
【0054】
ステップS107では、算出された差分の時間が、所定時間以上であるか否かが判定される。ステップS107における判定がTRUEであれば、ステップS108に進み、FALSEであれば、ステップS110に進む。
【0055】
ステップS110においては、既に登録済みの読み取りデータにおける今回の読み取り時刻をデータベース18に登録する。続いて、ステップS111では、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示用のデータを生成するが、読み取りデータのテキス(読み取りデータ表示63)を囲む枠表示60の色は、黄色の枠とする。黄色の枠が表示された場合には、前回の巡回時には確認した車両であるが、まだ、駐車してからそれほどの時間が経っていない車両であることを巡回要員に報知するものであり、この場合、巡回要員は一応の注意を促すようにしている。
【0056】
ステップS107における判定がTRUEであれば、ステップS108に進む。ステップS108においては、既に登録済みの読み取りデータにおける今回の読み取り時刻をデータベース18に登録する。続いて、ステップS109では、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示用のデータを生成するが、読み取りデータのテキスト(読み取りデータ表示63)を囲む枠表示60の色は、緑色の枠とする。緑色の枠が表示された場合には、これまでの巡回で駐車が確認されており、かつ、初回の読み取りデータの取得から十分時間が経過している車両であるので、後部座席の確認作業等が不要な車両であることを巡回要員に報知するものである。
【0057】
ステップS114で、巡回支援処理を終了する。
【0058】
以上のように、本発明に係る巡回支援システムは、ハードウエアとして、スマートフォン10などの情報処理端末装置を用いるために、非常に安価にシステムを構築することが可能となる。
【0059】
また、本発明に係る巡回支援システムにおいては、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際には、読み取りデータが記憶部15に既に存在するか否かを照合した結果に応じて変更することで、巡回要員が、既に確認を行った車両かを、直感的に把握することが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態に係る巡回支援システムでは、1台のスタンドアロンのスマートフォン10を、およそ1時間に1回程度の巡回に共通で用いるように構成したが、先のデータベース18をスマートフォンとデータ通信可能な外部機器に設け、複数のスマートフォンによってこのデータベース18の更新・参照を行うように構成すれば、複数人の巡回要員によって同時並行的に巡回を行うことが可能となる。
【0061】
ところで、
図4に示したデータベース18においては、巡回のたびにデータが増えていき、制御部11や記憶部15におけるデータ処理の負荷となる。そこで、本発明に係る巡回支援システムにおいては、適時(例えば、30分ごと)バックグランド処理を行い、データベース18に記憶されているデータの整理を行うようにしている。
図6は本発明の実施形態に係る巡回支援システムによるバックグランド処理のフローチャート例を示す図である。このようなフローチャートは、制御部11によって実行される。また、このようなフローチャートは、あくまで一例であり、他のフローチャートによってもバックグランド処理を実現することができる。
【0062】
図6において、ステップS200で、バックグランド処理が開始されると、ステップS201 に進み、変数nに0001がセットされる。続いて、ステップS202に進み、データベース18において、IDがn=0001である車両の登録済みの読み取りデータの最新の読み取り時刻と現在時刻との差分を算出する。
【0063】
続いて、ステップS203においては、算出された差分の時間が所定時間以上であるか否かが判定される。このステップにおける判定がTRUEであれば、ステップS204に進み、当該登録済みの読み取りデータを破棄せずに維持し、FALSEであれば、ステップS205に進み、当該登録済みの読み取りデータを消去する。
【0064】
ステップS206では、データベース18で登録された最後のIDに相当するnであるか否かが判定され、この判定がFALSEであれば、全ての車両についてチェックが完了されていないことになるので、ステップS207に進み、nを1インクリメントとして、ステップS202に戻る。一方、この判定がTRUEであれば、ステップS208に進み、バックグランド処理を終了する。
【0065】
本発明に係る巡回支援システムにおいては、以上のようなバックグランド処理を適時実行するので、既に駐車場から退去した車両の読み取りデータを、データベース18から削除することが可能となり、制御部11や記憶部15におけるデータ処理の負荷を軽減することが可能となる。
【0066】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態に係る巡回支援システムは、タッチパネル部30における表示が、先の実施形態と相違するのみであり、他の構成は同様なので、以下、タッチパネル部30における表示の相違を中心として説明する。
【0067】
先の実施形態では、読み取りデータのテキスト(読み取りデータ表示63)を囲む枠表示60の色を変更することで、(a)前回の巡回後、新たに駐車された車両であることを巡回要員に報知したり、(b)前回の巡回時には確認した車両であるが、まだ、駐車してからそれほどの時間が経っていない車両であることを巡回要員に報知したり、(c)これまでの巡回で駐車が確認されており、かつ、初回の読み取りデータの取得から十分時間が経過している車両であることを巡回要員に報知したりしていた。すなわち、(a)の場合には枠表示60を赤色とし、(b)の場合には枠表示60を緑色とし、(c)の場合には枠表示60を緑色としていた。
【0068】
これに対して、他の実施形態に係る巡回支援システムにおいては、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際、照合の結果に応じて、表示データで表示する記号を異ならせることで、当該車両についての情報を巡回要員に報知するようにしている。
図7は本発明の他の実施形態に係る巡回支援システムによるタッチパネル部30の表示例を示す図である。
図7に示すように、他の実施形態に係る巡回支援システムでは、撮像した車両の前の部分に記号表示65が重畳されるようにしている。ここで、一例として、先の(a)の場合では「×」の記号表示65を、(b)の場合では「△」の記号表示65を、(c)の場合では「○」の記号表示65とすることができるが、どのような種類の記号表示65を用いるかは任意である。
【0069】
なお、スピーカー37は、制御部11からの発音指令を受信し発音する機能を有しているが、照合の結果に応じて、発音指令によりスピーカー37で発音させる音を異ならせるような設定とすることもできる。例えば、(a)の場合に枠表示60を赤色としたり、「×」の記号表示65としたりする際、ブザーのような音をスピーカー37から発するようにすることで、巡回要員に対して、より注意喚起を促すこともできる。ここで、(a)、(b)、(c)のどのパターンで、どのような音をスピーカー37から発するように設定するかは任意である。
【0070】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。この他の実施形態に係る巡回支援システムが、これまでの実施形態と相違する点は、タッチパネル部30における表示に「要再確認」のボタンBが設けられている点である。
図8は、「要再確認」のボタンBが設けられているタッチパネル部30の表示例を示している。
【0071】
図8に示すように、巡回要員による巡回時、駐車中の車両に人が確認できることがある。この場合、以後、車中の人がどのような行動をするのか巡回の時点では不明である。巡回支援システムによれば、当該車両のナンバープレートの読み取りデータはデータベース18に残ることとなり、次回の巡回時に、緑色の枠表示60や「○」の記号表示65が、タッチパネル部30に表示される可能性がある。
【0072】
そこで、他の実施形態に係る巡回支援システムでは、駐車中の車両に人の存在が確認できたような場合に、「要再確認」のボタンBをタップすることで、次回の巡回時におけるタッチパネル部30の表示を、赤色の枠表示60としたり、「×」の記号表示65としたりするようにしている。
【0073】
このために、「要再確認」のボタンBがタップされた、対象の車両のデータベース18には、例えば、「要再確認」のフラグなどを立てておく。次回の巡回時、データベース18中で、このようなフラグが立てられている車両に対しては、タッチパネル部30の表示を、赤色の枠表示60としたり、「×」の記号表示65としたりすることで、他の実施形態に係る巡回支援システムを実現することができる。
【0074】
以上のような実施形態によれば、次回の巡回時において注意を喚起すべき車両についての記録を、ボタンBのタップ操作により簡単に残すことができ、より効率的で確度の高い巡回を実現することができる。
【0075】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これまで説明した巡回支援システムにおいては、車両のナンバープレートは比較的低い位置に取り付けられているため、スマートフォン10を手持ちした状態での撮像がしにくく問題であった。そこで、本実施形態に係る巡回支援システムにおいては、巡回支援システム用補助具70を用いることで、このような問題を解消する。
図9は本発明の実施形態に係る巡回支援システム用補助具70を示す図である。本発明に係る巡回支援システム用補助具は、本発明に係る巡回支援システムと共に用いることで、巡回支援システムによる巡回作業を行う巡回要員の作業効率を高めることができる。
【0076】
巡回支援システム用補助具70は、巡回要員が握る取っ手部73と、この取っ手部73から延出する棹部71と、棹部71の先端側に設けられた第1装着部75と、棹部71の取っ手部73近傍に設けられた第2装着部76とを有している。
【0077】
第1装着部75には、車両のナンバープレートの撮像を行うためのスマートフォン10を、また、第2装着部76には、巡回要員がタッチパネル部30’の表示を参照するためのスマートフォン10’をそれぞれ取り付けておく。第1装着部75に取り付けられたスマートフォン10では、これまで説明した巡回支援システムアプリケーションプログラム17が実行されると共に、第2装着部76に取り付けられたスマートフォン10’のタッチパネル部30’では、スマートフォン10のタッチパネル部30での表示をミラーリングにより表示するように設定する。
【0078】
以上のような本発明に係る巡回支援システム用補助具70の構成によれば、巡回要員は取っ手部73を持ちながら、手元のスマートフォン10’のタッチパネル部30’を参照しつつ巡回作業を行うことができ、低い位置の車両のナンバープレートの撮像に労力を使う必要がなくなり、巡回作業の効率を高めることができる。
【0079】
なお、本実施形態ではスマートフォン10’を用いるようにしたが、スマートフォン10’の代わりに、巡回要員が装着するスマートグラスなどのデバイスを用いるようにしてもよい。この場合、スマートフォン10で実行されている巡回支援システムアプリケーションプログラム17の表示が、スマートグラスに表示されるように設定する。
【0080】
これまで説明した本発明に係る巡回支援システムは、プログラムの態様で提供されることで、スマートフォンなどの種々の情報処理端末装置上で、巡回支援システムの動作を実行させることが可能となる。
【0081】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図10は本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100の斜視図である。
図11は本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100を側方から見た図である。
【0082】
図9に示した巡回支援システム用補助具70は、比較的長尺の棹部71を有するものであり、巡回要員はこれを手持ちしつつ巡回作業を行う必要があり、腕力等が必要となるものであった。これに対して、他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100は、車輪を利用してスマートフォン10を運搬しつつ、撮像を行うようにするものである。これによれば、巡回要員にとっては省力となるし、ほぼ一定の高さに保たれたスマートフォン10からの撮像となるので、画像認識の精度を向上させることも期待できる。
【0083】
なお、巡回支援システム用補助具100に用いる車輪の数は、3つ以上であることが好ましい。仮に、巡回支援システム用補助具100に用いる車輪の数が1つ(1輪車の場合)や、2つ(2輪車の場合)、進行方向に対してロールのバラツキが発生し、スマートフォン10によって撮像する高さがぶれてしまう可能性があるからである。
【0084】
以下に説明する本実施形態では、車輪の数はコストについても考慮し、3つとしているが、4つ以上の車輪を備える巡回支援システム用補助具100を構成することも可能である。また、以下に説明する本実施形態に係る巡回支援システム用補助具100は、前輪が1輪で後輪が2輪である例に基づいて説明を行うが、前輪が2輪で後輪が1輪である巡回支援システム用補助具100を構成することも可能である。
【0085】
また、本実施形態に係る巡回支援システム用補助具100は、後輪の2輪がキャスター式の車輪で、前輪の1輪がそうでない車輪を採用するが、逆に、前輪の1輪をキャスター式の車輪として、後輪の2輪をそうでない車輪とすることもできる。
【0086】
以下、
図10及び
図11を参照しつつ、本実施形態に係る巡回支援システム用補助具100について説明する。
図10及び
図11において、紙面の左方向を巡回支援システム用補助具100の進行方向とする。この進行方向に対して右方向を「第1方向」とし、進行方向に対して左方向を「第2方向」とする。これらの「第1」や「第2」については、本実施形態で左右に同様の構成がある場合に、左右の別を表す接頭語として用いることとする。
【0087】
巡回支援システム用補助具100は平板状の基台101を有している。この基台101に対して下方側に車輪が配され、上方側にスマートフォン10が配されるようなレイアウトとなっている。
【0088】
基台101における進行方向側の下方においては、右側にコ字状の第1フレーム部材103が、また左側に同じくコ字状の第2フレーム部材104が取り付けられている。第1フレーム部材103と、第2フレーム部材104との間には、前輪110が設けられている。前輪110の車軸は、第1フレーム部材103及び第2フレーム部材104のそれぞれが受ける構造となっている。
【0089】
また、基台101における進行方向側でない方の下方においては、下方延出部材107が取り付けられている。下方延出部材107の下端部の右側には、第1キャスター式後輪111が設けられており、方延出部材107の下端部の左側には、第2キャスター式後輪112が設けられている。ここで、
図11の第2キャスター式後輪112を例にとれば、キャスター式の車輪とはX-X’を軸として自在に回動するように構成されてなるものである。従って、第1フレーム部材103と第2フレーム部材104との間に設けられ、旋回方向に追随不能な前輪110と異なり、第1キャスター式後輪111及び第2キャスター式後輪112は自在に旋回方向に追随することができるようになっている。
【0090】
基台101における進行方向側でない方の上方においては、基台101から延在するようにハンドル部材120が設けられている。巡回要員は、このハンドル部材120の手押し部123を押しつつ、巡回支援システム用補助具100を進行方向に進めていくことが想定されている。
【0091】
スマートフォン10は、後述するように箱体130に収納された状態で設けられている。巡回支援システム用補助具100を進行方向に進めるに従い、スマートフォン10は、各車両のナンバープレート記載の情報を撮像しながら、1台1台の車両についてチェックが行われていくことが想定されている。
【0092】
ハンドル部材120には、スマートフォン10のタッチパネル部30での表示を表示することが可能なモニター127が設けられている。巡回要員は巡回支援システム用補助具100を進行方向に押し進めつつ、このようなモニター127により、巡回支援システムによる、登録済みの読み取りデータと、今回の巡回で読み取った読み取りデータとの照合結果を、参照することが可能となる。
【0093】
ハンドル部材120の手押し部123には、ブレーキレバー125が設けられている。このブレーキレバー125が操作されることで、前輪110の回転を抑制するブレーキ(不図示)が機能するように構成されている。このようなブレーキの作動により、巡回支援システム用補助具100が制動することができるようになっている。巡回支援システム用補助具100で用いるブレーキレバー125には、ブレーキが効いた状態をロックしたり、或いはロック状態を解放したりする機構が設けられていることが好ましい。
【0094】
例えば、
図5に示す枠で、赤色の枠が表示された場合には、前回の巡回後、新たに駐車された車両であることが巡回要員に報知されるものである。このとき、巡回要員は後部座席の確認を行う必要があるが、巡回要員が後部座席の確認のために巡回支援システム用補助具100を離れているとき、先のロックに係る機構が設けられていれば、巡回支援システム用補助具100が動き出すようなことがなく巡回支援システム用補助具100を安全に運用することが可能となる。
【0095】
基台101における進行方向側の上方においては、スマートフォン10を収納する箱体130が配されている。箱体130の底部の四隅には、防振材108が設けられており、路面からの振動が箱体130に収納されているスマートフォン10に伝達することを防ぐようにしている。
【0096】
前記の箱体130は天井がなく、この天井部分には蓋体140が嵌合することにより、後述する開口部以外は閉じた空間となる。なお、本実施形態では、箱体130は天井と、蓋体140が嵌合により着脱されるようになっているが、箱体130と蓋体140とをヒンジ構造で連結しておく構造なども適宜採用することができる。
【0097】
本実施形態に係る巡回支援システム用補助具100においては、箱体130の天井がない構造となっているので、箱体130内へのスマートフォン10の出し入れが可能となる。一方で、箱体130には蓋体140が嵌合し、上方を塞ぐことができる構造であるので、雨などの進入を防止し、降雨の中でも巡回作業を行うことが可能となる。なお、箱体130の内部は、スマートフォン10に給電を行い得るモバイルバッテリー(不図示)などの収容部としても活用することができる。
【0098】
上記のような箱体130の内部には、巡回支援システムのアプリケーションが動作するスマートフォン10を着脱可能に保持することができるホルダー部材が設けられている。以下、箱体130の内部等のレイアウトについて説明する。
図12は本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100における箱体130の内部構造を示す図である。また、
図13は本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100における箱体130内の第1ホルダー部材133でスマートフォン10を保持する様子を示す図である。
【0099】
箱体130の第1方向側の側面を第1側面131とし、第2方向側の側面を第2側面132とする。第1側面131の内壁面、及び、第2側面132の内壁面のそれぞれには、スマートフォン10を着脱可能に保持することができる第1ホルダー部材133、及び、第2ホルダー部材134が設けられている。また、第1ホルダー部材133、及び、第2ホルダー部材134にスマートフォン10を装着したとき、スマートフォン10の撮像部25の光学レンズ(不図示)が配される位置に、箱体130側面の貫通孔である、第1撮像用開口部135、及び、第2撮像用開口部136がそれぞれ設けられている。なお、それぞれの開口部には、光学レンズによる撮像を可能としつつも、雨水の進入を防止するために、ガラス、プラスチックなどの透明素材を設けておくこともできる。
【0100】
スマートフォン10は、撮像方向の相違により、第1ホルダー部材133、又は、第2ホルダー部材134のいずれかに装着することが想定されている。スマートフォン10を第1ホルダー部材133に装着することで、第1方向側の撮像を行いつつ巡回作業を行うことができるし、スマートフォン10を第2ホルダー部材134に装着することで、第2方向側の撮像を行いつつ巡回作業を行うことができる。このように、本実施形態に係る巡回支援システム用補助具100は、第1方向、第2方向のいずれに駐車されている車両に対する巡回にも対応することが可能となる。
【0101】
以上のよう本発明の他の実施形態に係る巡回支援システム用補助具100によれば、巡回要員の作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0102】
以上、本発明に係る巡回支援システムは、ハードウエアとして、スマートフォンなどの情報処理端末装置を用いるために、非常に安価にシステムを構築することが可能となる。
【0103】
また、本発明に係る巡回支援システムにおいては、撮像データと読み取りデータとを重畳した表示データを生成する際には、読み取りデータが記憶部に既に存在するか否かを照合した結果に応じて変更することで、巡回要員が、既に確認を行った車両かを、直感的に把握することが可能となる。
【0104】
また、本発明に係る巡回支援システム用補助具によれば、本発明に係る巡回支援システムによる巡回作業を補助することで、巡回要員の作業効率を向上させることが可能となる。
【0105】
また、本発明に係る巡回支援システム用プログラムは、巡回要員が既に確認を行った車両かを、直感的に把握することを可能とする動作を、スマートフォンなどの情報処理端末装置に実行させることが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
10、10’・・・スマートフォン(情報処理端末装置)
11・・・制御部
15・・・記憶部
16・・・基本オペレーティングシステム
17・・・巡回支援システムアプリケーションプログラム
18・・・データベース
20・・・通信部
23・・・GPS受信部
25・・・撮像部
30、30’・・・タッチパネル部
31・・・入力部
32・・・表示部
35・・・音声処理部
36・・・マイク
37・・・スピーカー
41・・・加速度センサー
42・・・地磁気センサー
43・・・ジャイロセンサー
60・・・枠表示
63・・・読み取りデータ表示
65・・・記号表示
70・・・巡回支援システム用補助具
71・・・棹部
73・・・取っ手部
75・・・第1装着部
76・・・第2装着部
100・・・巡回支援システム用補助具
101・・・基台
103・・・第1フレーム部材
104・・・第2フレーム部材
107・・・下方延出部材
108・・・防振材
110・・・前輪(車輪)
111・・・第1キャスター式後輪(車輪)
112・・・第2キャスター式後輪(車輪)
120・・・ハンドル部材
123・・・手押し部
125・・・ブレーキレバー
127・・・モニター
130・・・箱体
131・・・第1側面
132・・・第2側面
133・・・第1ホルダー部材
134・・・第2ホルダー部材
135・・・第1撮像用開口部
136・・・第2撮像用開口部
140・・・蓋体
P・・・巡回要員
V・・・車両
N・・・ナンバープレート
B・・・ボタン