(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ミニエマルション重合による狭い粒径分布の金属/ポリマーハイブリッドナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/102 20220101AFI20240906BHJP
B22F 1/14 20220101ALI20240906BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240906BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240906BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20240906BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
B22F1/102
B22F1/14 600
B22F1/00 M
B22F1/00 S
B22F1/00 L
B22F1/00 K
B82Y40/00
B82Y30/00
B22F1/054
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020024408
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール・ヴィアラ
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-536763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321018(US,A1)
【文献】特表2015-527430(JP,A)
【文献】特表2010-539221(JP,A)
【文献】特開2010-251697(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107266082(CN,A)
【文献】Herman, V., et al.,"Core double-shell cobalt/graphene/polystyrene magnetic nanocomposites synthesized by in situ sonochemical polymerization",RSC Advances,2015年06月02日,Vol. 5, No. 63,pp. 51371~51381
【文献】TAKACS, H., et al.,"Non-conductive ferromagnetic carbon-coated (Co, Ni) metal/polystyrene nanocomposites films",JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,米国,2016年03月07日,Vol. 119, No. 9,pp. 093907-1~093907-10
【文献】Takacs, H., et al.,"Non-conductive ferromagnets based on core double-shell nanoparticles for radio-electric applications",SpringerPlus,2016年12月01日,Vol. 5, No. 1,pp. 496-1~496-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-1/18
B82Y 5/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料の層(23)で被覆された金属コア(21)を含むナノ粒子(20)を製造する方法であって、
a)有機相(12)中に分散した水性相の液滴(11)を含む油中水型エマルション(10)を調製する工程と、
b)炭素質材料(22)のシェルで被覆された金属コア(21)を含むナノ粒子(20)を添加し、それによって、液滴に閉じ込められたナノ粒子(20)を得る工程と、
c)ポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
d)重合開始剤を添加する工程と
を含み、
ポリマー材料の前駆体モノマー及び重合開始剤を添加することにより、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相(12)に分散した、ポリマー材料の層(23)で被覆されたナノ粒子(20)が得られる、方法。
【請求項2】
炭素質材料が、組織化二次元炭
素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭素質材料が、グラフェンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ナノ粒子のコア(21)が、コバルト、鉄、ニッケル、銅、銀、金、又はそれらの合金の1つ、又はそれらの窒化物の1つでできていることを特徴とする、請求項1
から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー材料が、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びピレン基を有するポリマーの中から選択されることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ポリマー材料の層(23)の厚さが1nm~100n
mであることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
液滴(11)の直径が20nm~1μ
mであることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電気絶縁性ナノ粒子がエマルションに添加されることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
電気絶縁性ナノ粒子が、金属酸化
物でできていることを特徴とする、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
電気絶縁性ナノ粒子が、酸化バリウム及び/若しくは酸化ストロンチウム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、又は六方晶窒化ホウ素でできていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の寸法の金属-ポリマーナノ複合材料の分野に関し、詳細にはコア/シェル構造ナノ粒子の製造に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、ポリマー材料の層で被覆された金属コアを含む、狭い粒径分布を有するナノ粒子を製造する方法に関する。
【0003】
本発明はまた、そのような方法で得られるナノ粒子粉末、及びそのような粉末の使用にも関する。
【0004】
本発明は、光学からエネルギー変換に及ぶ電磁気学の分野、又は更に言えば生物学の分野に利用できる。
【背景技術】
【0005】
金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子は、生物医学、コーティング剤(例えば、抗菌及び抗真菌)、塗料、光学、電子工学、磁気学、及び触媒系等、数々の分野で使用されている。
【0006】
金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子とは、ポリマーで被覆された金属コアを含むナノ粒子である。
【0007】
従来は、そのような材料を製造するために、懸濁金属ナノ粒子が溶解ポリマーを含む溶液と混合されている。
【0008】
例えば、Shenらによる論文(「High dielectric performance of polymer composite films induced by a percolating interparticle barrier layer」、Advanced Materials 2007、19(10)、1418~1422頁)では、ポリマー(PVP)の薄層が、水熱法により、銀ナノ粒子の周囲にグラフト化される。このために、グルコース、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びAgNO3(0.1M)が水溶液中で混合される。次いで、この溶液は、オートクレーブに入れて密閉されて、180℃で4時間維持され、遠心分離及び洗浄後、被覆されたナノ粒子が回収される。
【0009】
ナノ粒子表面が炭素でできている場合、ポリマーグラフト化が促進され、非局在化した電子の移動によって、ポリマーとナノ粒子表面との間でπ-π結合が容易に形成される。しかしながら、このような結合は、共有結合よりも弱く、経時的な機械的安定性はより低い。
【0010】
ポリマーとナノ粒子との間に共有結合を形成するためには、モノマーを使用してin situ重合を実施することができる。in situ重合は、共有結合の形成を自然に促進するフリーラジカルを含む。そのような重合は、例えば、Hermanらによる論文(「Core double-shell cobalt/graphene/polystyrene magnetic nanocomposites synthesized by in situ sonochemical polymerization」、RSC Advances (2015)、5(63)、51371~51381頁)に記載されている。多層グラフェンで被覆されたコバルトナノ粒子が、スチレン及び重合開始剤と混合される。重合は、出力100Wの超音波の存在下で(すなわち、超音波化学によって)実施される。
【0011】
しかしながら、この重合プロセスを実施するためには、ナノ粒子とモノマーとの均一混合物中に大量のキャビテーションエネルギーを供給する必要がある。この方法は、ナノ粒子に対する損傷、具体的には、グラフェンシェルの分解、並びに/又はグラフェン及び/若しくはもはやグラフェンで充分に保護されていないナノ粒子の金属コアの酸化をもたらす可能性がある。
【0012】
更に、金属/ポリマーハイブリッドナノ粒子の最終粒径は、出発ナノ粒子の初期粒径に左右される。しかしながら、この粉末は、広い粒径分散(size dispersion)を有することが多く、これは、5nm未満から300nmを超える範囲に及びうる。しかしながら、ナノ粒子の特性は、しばしばその粒径と関連することから、単分散金属/ポリマーハイブリッドナノ粒子を提供できることが重要である。例えば、コンデンサーの分野では、ナノ誘電体複合材料は、ナノ粒子の粒径が分散しすぎていると、破壊電界が無制御となりやすい。インダクターの分野では、過度に小さいナノ粒子は、効果がなく(周囲条件で非磁性)、極めて大きいナノ粒子は、高周波抵抗損失(渦電流)をもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Shenら、「High dielectric performance of polymer composite films induced by a percolating interparticle barrier layer」、Advanced Materials 2007、19(10)、1418~1422頁
【文献】Hermanら、「Core double-shell cobalt/graphene/polystyrene magnetic nanocomposites synthesized by in situ sonochemical polymerization」、RSC Advances (2015)、5(63)、51371~51381頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、規定の厚さのポリマー材料の層で被覆された金属コアを含む、狭い粒径分布を有するナノ粒子を製造する方法であって、ポリマー材料の層が良好な経時的機械抵抗性を有するように意図されている、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このため、本発明は、ポリマー材料の層で被覆された金属コアを含むナノ粒子を製造する方法であって、
a)有機相に分散した水性相の液滴を含む油中水型エマルションを調製する工程と、
b)炭素質材料のシェルで被覆された金属コアを含むナノ粒子を添加し、それによって、液滴に閉じ込められたナノ粒子を得る工程と、
c)ポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
d)重合開始剤を添加する工程と
を含み、
ポリマー材料の前駆体モノマーと重合開始剤とを接触させることにより、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相に分散した、ポリマー材料の層で被覆されたナノ粒子が得られる、方法に関する。
【0016】
本発明は、エマルション中で、規定の粒径のナノ粒子の周囲に制御された厚さのポリマーの層をin situ形成する点で、従来技術とは根本的に異なる。
【0017】
エマルションとは、2つの非混和性の液体、例えば、油と水の不均一混合物を意味する。2つの相の一方(いわゆる分散相であり、ここでは水性相)は、他方(いわゆる分散媒)中に液滴の形態で分散している。液滴の粒径は、数十ナノメートルから数ミクロンの範囲である。
【0018】
液滴は、フィルター及び重合反応器の双方としての役目を果たす。
【0019】
本方法において、直径が液滴の直径より小さいナノ粒子のみが液滴に閉じ込められ、ポリマーの層で被覆される。
【0020】
直径が液滴の直径以上のナノ粒子は、未加工の沈降物(ポリマーを含まない)を形成し、これは、その後容易に除去される。更に、最も小さいナノ粒子(例えば、直径10nm未満のもの)は、炭素質層で不完全に被覆され、急速に酸化されることにより、炭素質層で完全に被覆されたナノ粒子と比較して、より疎水性の性質となることが観察されている。このような粒子は、水性相を含む液滴には侵入せず、分散媒に懸濁したままで、その後容易に除去することができる。
【0021】
液滴は、マイクロリアクターとなるミセルを形成し、その中で重合反応が起きる。重合反応中、モノマーは、ミセルが飽和するまで徐々に消費される。これは、ミセル成長と称される。形成される最終粒子の粒径は、ミセルの直径と同様である。最後に、単分散ポリマービーズ(金属ナノ粒子を含まないミセル)及び金属-ポリマーハイブリッドナノ粒子(金属ナノ粒子を含むミセル)を含む、ラテックスと称される生成物が得られる。
【0022】
金属ナノ粒子は、ナノ粒子の酸化を効果的に防ぎ、ナノ粒子に親水性の特性を与える炭素質材料の層で被覆される(金属/Cナノ粒子であり、Cは、炭素質材料の層を示す)。したがって、ナノ粒子は、水性相を含む液滴に侵入することができる。炭素質層は、有利には、それぞれのナノ粒子の周囲に連続層を形成する。この炭素質シェルがなければ、金属ナノ粒子は、自然に水と接触して酸化し、及び/又は金属水酸化物を形成するが、これは、金属ナノ粒子を疎水性にし、それらがミセルから放出されて分散媒(油)に加わる一因となる。
【0023】
有利には、炭素質材料は、組織化二次元炭素(organized 2D carbon)である。好ましくは、炭素質材料は、グラフェンである。炭素質層は、グラフェン数層から数十層の繰り返しから形成され、二次元組織化炭素構造を保持する。例えば、炭素質層は、数層(例えば、2~5層)のグラフェンを含む。有利には、ナノ粒子に充分な親水性特性を与え、ファンデルワールス結合が形成できるように、少なくとも2層のグラフェンを含む炭素質層が選択される。有利には、層に欠陥が生じるのを防ぎ、例えば、水素化表面又は黒鉛型の表面等、疎水性の表面上に非組織化二次元炭素配列を有するように、100未満の数の層が選択される。
【0024】
有利には、ナノ粒子のコアは、コバルト、鉄、ニッケル、銅、銀、金、又はそれらの合金の1つ、又はそれらの窒化物の1つでできている。例えば、コバルトと鉄の合金(CoFe)、コバルト、鉄とニッケルの合金(CoFeNi)、ニッケルと鉄の合金(NiFe)、又は鉄窒化物Fe4N若しくはFe16N2が選択される。
【0025】
有利には、ポリマー材料は、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びピレン基を有するポリマーの中から選択される。
【0026】
有利には、ポリマー材料の層の厚さは、1nm~100nm、好ましくは2nm~50nm、より優先的には5nm~15nmである。
【0027】
有利には、液滴の直径は、20nm~1μmである。平均ミセル粒径は、所望のナノ粒子の粒径に容易に適合させることができる。有利には、ミセルは、エマルションを不安定にすることなく、ナノ粒子を選択的にミセルに取り込むことができるように、閉じ込められるナノ粒子の粒径よりもやや大きい粒径を有するものが選択される。
【0028】
有利には、液滴の直径は、30nm~100nmである。
【0029】
有利には、電気絶縁性ナノ粒子がエマルションに添加される。そのような粒子は、有利には、モノマーと共に有機相に分散するように、疎水性である。重合中、これらの電気絶縁性ナノ粒子の一部は、モノマーに担持されて、金属ナノ粒子を被覆しているポリマー層中に閉じ込められる、及び/又はその層上に捕捉されることになる。
【0030】
有利には、電気絶縁性ナノ粒子は、金属酸化物(例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、HfO2、Ta2O5、BaTiO3、又はSrTiO3)でできている。より有利には、電気絶縁性ナノ粒子は、半導体材料、好ましくは炭化ケイ素、ダイヤモンド及び/又は六方晶窒化ホウ素のようなワイドバンドギャップ半導体材料でできている。これらの粒子は、六方晶窒化ホウ素の場合、ナノチューブ及び/又はナノプレートからなってもよい。
【0031】
分散型媒体中での重合法には、従来の均一媒体中での重合と比較して、多数の利点がある。とりわけ、これにより、
- ナノ粒子を著しく酸化することなく、その初期の特性(例えば、磁気及び/又は電気特性)を保持する金属ナノ粒子上に、ポリマーを共有結合的にグラフト化させる、
- ナノ粒子と混合した既存のポリマーのいわゆるex situグラフト化と比較して、ポリマーの厚み(例えば、5nm、10nm、又は15nm)をより精密に制御する、
- ナノ粒子をエマルション中に均一に分散させる、
- 凝集体の存在を制限又は排除する、
- 反応温度を容易に制御する、
- 反応媒体の粘度(ポリマーの主な問題である)を下げる、
- すぐに使用できる複合材料(コロイド又は粉末)を得る
ことが可能となる。
【0032】
更に、この方法は、実施しやすく、原料をほとんど必要としない。
【0033】
本発明はまた、上述の方法によって得られるナノ粒子粉末であって、ナノ粒子が、炭素質材料の層とポリマー材料でできた層とで逐次的に被覆された金属コアを有し、ナノ粒子が、低多分散度を有する(すなわち、粒径分布が狭い)、ナノ粒子粉末にも関する。
【0034】
低多分散度とは、凝集体又は極めて大きいナノ粒子(例えば、ナノ粒子の平均粒径の最大100倍、最大30倍、又は最大10倍の大きさの粒径又は寸法を有する)が存在せず、極めて小さい粒子(例えば、ナノ粒子の平均粒径の最小6分の1又は最小10分の1の粒径を有する)が存在しないことを意味する。ナノ粒子の最大直径とナノ粒子の最小直径の比は、5以下、好ましくは3以下である。
【0035】
有利には、ナノ粒子の最大直径/最小直径比は、2以下であり、より有利には、1.5以下である。そのような極めて狭い粒径分布は、上述のミニエマルション法によって可能になる。
【0036】
不均一媒体中での重合は、より少ないラジカル及びより少量の酸化剤を必要とする。有利には、この方法で得られるナノ粒子、例えば、コバルト又は鉄コアを有するナノ粒子は、100emu/g以上の磁化を有するという磁気特性を有する。
【0037】
本発明はまた、インダクター、フィルター、又はコンデンサーを実現するための、上記に規定のナノ粒子粉末の使用にも関する。例えば、それは、好ましくはシリコン製である基板上の薄層でできたインダクター、フィルター(ローパス、ハイパス、バンドパス、バンドカット、又はコモンモードフィルター)、又はコンデンサーからなる。さらなる基板、例えば、ガラス、アルミナ、フェライト、及びポリマー薄膜、例えば、ポリイミド(カプトン等)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)等も使用することができる。
【0038】
本発明はまた、マトリックスに分散した上述により定義したナノ粒子を含む電子デバイス、例えば、インダクター、フィルター、又はコンデンサー、例えば、好ましくはシリコン製である基板上の薄層でできたインダクター、フィルター、又はコンデンサーにも関する。そのような粒子は、例えば、コンデンサーに使用すると、誘電率を著しく増加させることができる。
【0039】
マトリックスは、有利には、無機又はポリマーマトリックスである。
【0040】
有利には、マトリックスは、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリスルホン、場合により芳香族のポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、及びエポキシドの中から選択されるポリマー材料でできている。
【0041】
有利には、ポリマー材料は、紫外線に対して感光性の基を含む。
【0042】
有利には、マトリックスは、電気絶縁性ナノ粒子を更に含む。
【0043】
本発明のさらなる特徴及び利点は、下記の補足的記載により明らかになるであろう。
【0044】
この補足的記載が本発明の主題を説明するために示されるにすぎず、決してこの主題を限定するものと解釈すべきでないことは明白である。
【0045】
本発明は、添付の図面を参照しながら、指標として示されるにすぎず、限定するものではない実施形態例の記載を読むことによって、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明による方法の特定の実施形態の工程を示す図である。
【
図2】本発明による方法の特定の実施形態の工程を示す図である。
【
図3】本発明による方法の特定の実施形態の工程を示す図である。
【
図4】本発明による方法の特定の実施形態の工程を示す図である。
【
図5】本発明による方法の特定の実施形態の工程を示す図である。
【
図6】水性相中の添加剤の百分率(質量)に応じて、動的光散乱法(DLS)で得た平均ミセル粒径を示すグラフである。
【
図7】本発明の特定の実施形態により、ポリマー層で被覆される前のナノ粒子を概略的に示す断面図である。
【
図8】本発明の特定の実施形態により、ポリマー層で被覆された後のナノ粒子を概略的に示す断面図である。
【
図9】本発明による方法の特定の実施形態による、溶媒と金属/Cナノ粒子(左)とを含む分散体、及び安定化エマルション(右)を示す写真画像である。
【
図10】本発明の特定の実施形態によって得られた、ポリマーの薄層で被覆された金属/Cナノ粒子の均質懸濁液を示す、写真画像である。
【
図11】本発明による方法の特定の実施形態によって得られたコア/シェル構造ナノ粒子の、透過電子顕微鏡法によって得られた画像である。
【
図12a】Co/Cナノ粒子、既存のポリマーを含む均一媒体中での非共有結合グラフト法によりポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「ex situ」と示す)、超音波化学による均一媒体中でのin situ重合を用いた共有結合グラフト法によりポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「超音波化学」と示す)、本発明による方法の特定の実施形態により、すなわち、不均一媒体又はミニエマルション中でのin situ重合を用いた共有結合グラフト化法により、ポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「エマルション」と示す)で得られた、グラフェンの主線を中心にしたラマンスペクトルである。
【
図12b】Co/Cナノ粒子、既存のポリマーを含む均一媒体中での非共有結合グラフト法によりポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「ex situ」と示す)、超音波化学による均一媒体中でのin situ重合を用いた共有結合グラフト法によりポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「超音波化学」と示す)、本発明による方法の特定の実施形態により、すなわち、不均一媒体又はミニエマルション中でのin situ重合を用いた共有結合グラフト化法により、ポリマーの層で被覆されたCo/Cナノ粒子(「エマルション」と示す)で得られた、酸化コバルトの主線を中心にしたラマンスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図に示されるさまざまな部分は、図をよりわかりやすくするために、必ずしも一律の縮尺比で示していない。
【0048】
さまざまな可能性(代替的実施形態及び実施形態)は、互いに排他的ではないと理解すべきであり、互いと組み合わせることができる。
【0049】
まず、制御された厚さのポリマーの層23でナノ粒子20を被覆する方法のさまざまな工程を示す
図1~
図5を参照する。この方法は、
a)有機相12中に分散した水性相の液滴11を含む油中水型エマルション10を調製する工程(
図1)と、
b)炭素質材料22のシェルで被覆された金属コア21を含むナノ粒子20を添加し、それによって、液滴11に閉じ込められたナノ粒子20を得る工程(
図2)と、
c)ポリマー材料の前駆体モノマーを添加する工程と、
d)重合開始剤を添加する工程
とを含み、モノマーと重合開始剤とを接触させることにより、モノマーの重合がもたらされ、それによって、有機相12に分散した、ポリマー材料の層23で被覆されたナノ粒子20が得られる(
図3、4、及び5)。
【0050】
工程a)では、水性相と有機相とを接触させて二相混合物を得てから、界面活性剤(又は乳化剤)の存在下でその二相混合物の乳化を実施し、それによって、有機相12に分散した水性相の液滴11からなる油中水型エマルション10が得られる。液滴11は、ミセル(親水性コア-疎水性テール)を形成する。
【0051】
乳化は、例えば、攪拌(超音波処理)によって形成される。混合物は、乳化剤の添加により、安定を維持する。この混合物は、速度(velocity)又は発生反応速度(evolution kinetics)がほぼゼロであり、そのことにより、この混合物は、モノマー重合によるポリマー合成において、とりわけ安定且つ有利な限定された反応媒体となる。
【0052】
エマルション10は、非反応性であるがエマルション安定化に必要な成分を更に含んでもよい。
【0053】
図6に示されるように、ミセル11の粒径は、エマルション中に存在する界面活性剤(添加剤)の量に応じて変化する。一方、ミセル11の粒径は、ナノ粒子の添加によって変化しない。
【0054】
本明細書及び以下に示す粒径は、平均粒径である。
【0055】
好ましくは、エマルション10は、ミニエマルションであり、すなわち、有機相12に分散した液滴11の粒径は、20nm~1μm、好ましくは30nm~100nm、より優先的には30nm~60nmである。液滴11の粒径は、所望のナノ粒子20の粒径及びポリマーの層23の厚さに応じて選択される。
【0056】
工程b)では、ナノ粒子20が、事前に形成されたエマルションに添加される。
【0057】
ナノ粒子とは、例えば、球形、細長い形状、又は卵形のサブミクロンサイズ(典型的には、1μm未満)の要素を意味する。好ましくは、これらは、球状粒子からなる。これらの最大寸法は、直径又は粒径と称される。
【0058】
これらは、広い粒径分布を有する場合があり、例えば、直径5nm~1μmを有する。この粒径は、光子相関分光法によって測定することができる。
【0059】
図7に示されるように、粒子20は、コア-シェル構造を有する。シェル22は、粒子のコア21に強固に接合されている。
【0060】
コア21、すなわち核は、金属材料である。金属材料とは、金属又は金属合金を意味する。好ましくは、これは、金属からなる。好ましくは、これは、コバルト、ニッケル、鉄、銅、銀、又は金からなる。これはまた、上記金属の合金の1つ、例えば、コバルトと鉄の合金(CoFe)、コバルト、鉄とニッケルの合金(CoFeNi)、ニッケルと鉄の合金(NiFe)、又は上記金属の窒化物、例えば、鉄窒化物Fe4N若しくはFe16N2からなってもよい。
【0061】
コア21は、コーティング22又はシェルで被覆されている。コーティング22は、有機又は無機炭素質材料でできている。好ましくは、これは、無機コーティング22からなる。
【0062】
このコーティングは、非平面表面上(例えば、ナノ粒子表面上)の組織化二次元炭素コーティングである。
【0063】
好ましくは、コーティング22は、グラフェンでできている。これは、1層又は複数の層(2層、3層、4層等)のグラフェンを含んでもよい。例えば、これは、グラフェンの薄層を1~50枚、好ましくは2~10枚、例えば、2~5枚、より優先的には3~10枚含む。
【0064】
好ましくは、炭素質シェル22は、ナノ粒子のコアの酸化を防ぎ、このコアをより親水性にするために、粒子20のコア21を完全に覆うように連続的である。
【0065】
工程b)で添加されるナノ粒子20は、金属/Cナノ粒子として注釈が付される。
【0066】
ナノ粒子20は、火炎、レーザー、若しくはプラズマ式噴霧熱分解法(SP)、又は化学蒸着法(CVD)によって製造することができる。このタイプの粉末の粒径分布は、かなり広い。
【0067】
炭素質シェル22は、SP又はCVDによる、炭素を含む前駆体ガス、例えば、アセチレンの分解によって製造することができる。
【0068】
エマルションは、これらのナノ粒子20をその粒径によってより分ける(sort)ことを可能にする。例えば、ナノ粒子20の平均直径が30nm程度の粉末では、粒径分散は広く、5nm未満から300nm超に及び得る。これは、制御された特性を有するナノ複合材料を製造する上で不利となる。
【0069】
好ましくは、ミセル11の粒径は、ナノ粒子20の平均粒径の2~3倍の大きさ(例えば、30nmの場合、60nmから90nmの間)である。平均粒径が30nm程度のナノ粒子20のみが、エマルションに閉じ込められ、これらのナノ粒子20のみが、続いてポリマーの層23で被覆される。このように、最も大きいナノ粒子20(例えば、100nm又は300nm)は、ポリマーで被覆されていない沈降物を形成し、その後容易に除去される。炭素質コーティング22で不完全に被覆された最も小さいナノ粒子20(例えば、10nm以下)は、急速に酸化され(カルボキシル及び/又は金属酸化物の形成)、その結果、より疎水性となり、有機相中にとどまる(
図1~
図4)。
【0070】
図2に示されるように、目的の直径を有するナノ粒子20の約3分の1は、ミセル11中で安定化される。残りのナノ粒子20は、有機相又は沈降物中に懸濁し、重合には関与しない。
【0071】
ナノ粒子20の粒径によって、ミセル11は、単一のナノ粒子20を含んでもよく、又は複数のナノ粒子20を、例えば凝集体の形態で含んでもよい。有利には、ミセル11は、単一のナノ粒子20を含む。
【0072】
図示されていない、本方法の代替的実施形態によれば、エマルション10は、疎水性要素を更に含む。疎水性要素は、分散媒(すなわち、有機相)に分散している。好ましくは、これらの要素は、電気絶縁性である。電気絶縁性とは、1012Ω・cmを超える固有の電気抵抗を意味する。
【0073】
これらの要素は、無機ナノ粒子、例えば、シリカナノ粒子、複合酸化物のナノ粒子、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)若しくは/及びチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)のナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、並びに/又は炭化ケイ素(SiC)ナノ粒子からなってもよい。
【0074】
これらは、管状又は層状ナノ粒子からなってもよい。
【0075】
管状又は層状ナノ粒子とは、寸法の1つがあとの2つの寸法よりも実質的に小さい粒子を意味する。そのような管状又は層状粒子は、厚みe(又は直径d)が、その長さL又は幅lよりも実質的に小さい場合が最も多い。好ましくは、e/L(又はd/L)比及びe/l(又はd/l)比は、0.5以下であり、好ましくは0.1以下又は0.01以下である。
【0076】
有利には、管状又は層状ナノ粒子は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)でできている。これらはまた、酸化グラフェンGOからなってもよい。
【0077】
層状ナノ粒子は、例えば、剥離したものであってもよい。剥離するとは、層状ナノ粒子を形成している積み重なった薄層又はシートを取り外して、1枚又は数枚(例えば、2枚、3枚、4枚、又は5枚)のシートから形成される層状粒子を得ることを意味する。管状ナノ粒子は、SP又はCVDによる前駆体ガスの分解によって製造することができる。
【0078】
工程b)で形成されたエマルション10に、重合開始剤及びモノマー(ポリマーの前駆体)が添加される。有利には、開始剤及びモノマーの量は、ナノ粒子20の表面上に極めて薄いポリマーの層23(例えば、5nm~10nm)を作成するために、低い重合率が得られるように選択される。低いとは、重合率が、50%未満、好ましくは25%未満、優先的には20%未満、例えば、10%程度であることを意味する。消費されるモノマーの量は、重合率によって決定される。
【0079】
有利には、ポリマーは、ポリスチレン(PS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、及びポリエーテルイミド(PEI)の中から選択される。ポリマーは、ピレンのようなπ共役基で機能化されたポリマーであってもよい。これは、例えば、ピレン基で機能化されたポリスチレン(Py-PS)、又はピレン基で機能化されたポリアクリル酸(Py-PAA)からなる。
【0080】
第1の代替的実施形態によれば、工程c)及びd)は、同時に実施される。
【0081】
さらなる代替的実施形態によれば、本方法は、工程c)、d)、及びc)を逐次的に含む。
【0082】
さらなる実施形態によれば、工程c)は、工程b)の前に実施される。
【0083】
ポリマー前駆体を重合開始剤に接触させると、重合が開始する(
図3)。
【0084】
重合は、ラジカル重合である。これは、事前に水性相中に形成された(親水性)オリゴラジカルがミセル11に侵入することによって開始され、このオリゴラジカルは、分散媒(ここでは油)中に含まれる(疎水性)モノマーが、ミセルが飽和するまで徐々に消費されるよう誘導する。
【0085】
重合プライマーを反応させるのに適した条件は、典型的には、温度を上げることによって、及び/又は超音波処理によって設定される。
【0086】
例えば、重合は、エマルションを40℃~80℃、好ましくは50℃~80℃、優先的には60℃~70℃の温度まで加熱することによって実施される。このような温度範囲は、重合プライマーが反応性を示す温度によって適合させることができる。
【0087】
重合工程は、一般に、数分から数十分、例えば、約20分持続する。この工程は、超音波プローブを用いて、超音波処理下で実施してもよい。
【0088】
重合工程(
図4)後、エマルション10の液滴11は、有機相に分散した固体要素に変換される。「分散体」とは、液体連続相中の固体要素、好ましくは、個々に分かれ、塊を形成していない固体要素の安定な懸濁液を意味する。これらの要素の平均粒径は、これらの起源であるエマルション10の液滴11の平均粒径と等しい。
【0089】
固体要素は、重合時にミセルが金属/Cナノ粒子20を含まない場合に得られる、ポリマー材料のビーズ30であってもよい。代替的に、
図8に示されるように、固体要素は、重合時にミセルが金属/Cナノ粒子20を含む場合には、金属/C/ポリマーとして注釈が付される、ポリマーの層23で被覆された金属/Cナノ粒子20であってもよい。
【0090】
重合工程の開始時に、ミセル11が複数のナノ粒子20を含む場合、ポリマーの層23は、それらすべてのナノ粒子20を被覆する。
【0091】
本方法は、ポリマーの層23をナノ粒子20の表面に共有結合的にグラフト化することを可能にする。
【0092】
本方法は、密閉チャンバー、例えばガラス製の密閉チャンバー内で、常圧(1バール)で実施される。本方法は、有利には、反応媒体を脱酸素化するために、窒素バブリング下で実施される。
【0093】
この重合工程後、有利には、「洗浄」(沈殿/希釈手順)を実施し、未使用の反応生成物を除去し、ラテックスを回収する。ラテックスは、凝集性の粉末と同様に、極めて均一な粒径(例えば、40nm±2nm)の金属/C/ポリマーナノ粒子20、及びポリマービーズ30からなる(
図4)。
【0094】
次に、遠心分離工程を実施して、金属/C/ポリマーナノ粒子をポリマービーズから分離してもよい(
図5)。導入したナノ粒子20の約3分の1は、このようにして回収することができる。
【0095】
本方法で得られるナノ粒子20は、粉末を形成する。ナノ粒子は、単分散であり、すなわち、これらのナノ粒子の最大直径から最小直径の間の粒径分布は、その比が、5以下、3以下、又は2以下、有利には、1.5以下、例えば、1.3又は1.2又は1.1となるような粒径分布である。そのような粉末(1.1比)の特徴は、例えば、ナノ粒子の平均直径40nm、最大直径42nm、最小直径38nmである。ナノ粒子20の直径は、レーザー粒度計で又は動的光散乱法(DLS)によって、溶液中で測定することができる。
【0096】
また、上記及び下記の寸法特性はすべて、SEM(走査型電子顕微鏡法)及びTEM(透過型電子顕微鏡法)、偏光解析法、並びに分光光度法の技法を用いて測定することもできる。
【0097】
金属/C/ポリマーナノ粒子20は、続いて、別の材料を製造するために使用してもよい。例えば、これらを溶媒に分散させて、安定なコロイド溶液を形成してもよい。これらは、無機マトリックス又はポリマーマトリックス(シェルのものと同一の又は異なるポリマー)に分散させてもよい。これは、熱可塑性ポリマー又は感光性樹脂からなってもよい。例として、これらは、均質金属-ポリマーナノ複合薄膜を形成するように、(例えば、ポリスチレン、エポキシ、又はポリイミドでできた)ポリマーマトリックスで被覆してもよい。
【0098】
ポリマーマトリックス、例えば、PI又はエポキシドでできたポリマーマトリックスは、感光性架橋剤、好ましくは、紫外線(UV)に対する感光性架橋剤を含んでいてもよい。
【0099】
この薄膜は、基板、例えばシリコン製の基板上に、スピンコーティングによって形成することができる。ディップコーティング、スクリーン印刷、又はインクジェット等のさらなる堆積法も想定することができる。生じる温度がナノ粒子のポリマーシェルの融点を超えないような堆積法が選択される。
【0100】
薄膜は、光源、好ましくは、紫外線(UV)源に曝露してもよい。薄膜は、好ましくはガラス転移温度前後で、加熱加圧してもよい。
【0101】
そのような薄膜は、粒径分散が狭い金属ナノ粒子の均一分散体を含む。更に、ナノ粒子が誘電体ポリマーの一様な薄膜でしっかりと被覆されると、ナノ粒子間を隔てる距離が制御される。例えば、直径φの2つの金属/C粒子間を隔てるエッジ間距離は、1×φ、1/2×φ、又は2/3×φ、有利には、1/3×φ以下である。例えば、そのような薄膜は、平均粒子間距離が10nm(最小5nm)である、平均直径30nmのCo/Cナノ粒子の均一分散体に特徴付けられる。
【0102】
複合材料中のナノ粒子の体積百分率は、例えば、0.01~30%である。
【0103】
有利には、コンデンサーを形成するためには、体積百分率は、例えば、0.01%~10%、例えば、0.01%~5%、好ましくは0.1%~2%である。
【0104】
有利には、インダクター又はフィルターの場合、体積百分率は、10%超、例えば、10%~30%、又は30%を超える。複合材料中のナノ粒子の質量百分率は、例えば、コンデンサーでは0.5%~90%、好ましくは0.5%~10%、インダクター又はフィルターでは50%~90%である。
【0105】
そのような薄膜は、高抵抗(例えば、1012~1015μΩ・cm)を有する。
【0106】
そのような複合材料は、例えば、電子デバイス要素、例えば、インダクター、フィルター、又はコンデンサー、より具体的には、シリコン若しくはフェライト上の薄層でできたインダクター若しくはフィルター、又はシリコン上の薄層でできたコンデンサーを形成してもよい。そのようなインダクター及びそのようなフィルターは、RFフィルタリング又は電力変換モジュール、例えば5G電話用のものの集積化に使用することができる。そのようなコンデンサーは、電力変換モジュール、例えば電気自動車用のものの集積化に使用することができる。
【0107】
実施形態の例示的且つ非限定的な例
使用するナノ粒子:Co/C、直径30~50nm
in situ重合に使用する生成物及び条件:
- モノマー:スチレン99%、
- 界面活性剤:デオキシコール酸ナトリウム(DOC)97%、
- 開始剤:2、2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)98%、
- 比率:DOC+AIBN=1%スチレン(質量比)、
- 反応温度=65℃、
- N2バブリング、
- 超音波処理:20kHzで500W、
- 持続時間:20~30分。
ラテックスの回収(沈殿/洗浄)に使用する生成物及び条件:
- エマルション生成物(粗ラテックス、残留モノマー、開始剤、界面活性剤)、
- 析出溶媒:メタノール98%、
- 希釈溶媒(スチレン):トルエン98%、
- 沈殿/希釈手順を4回繰り返す、
- 真空風乾。
ポリマー被覆ナノ粒子を回収するために使用する生成物及び条件:
- 洗浄したラテックス(被覆されたナノ粒子及びポリマーナノビーズ)、
- 溶媒:クロロホルム98%、
- 攪拌+遠心分離12×103rpmで20分間、
- 上澄みの回収、
- 手順を4回繰り返す、
ポリマー被覆ナノ粒子を含む薄膜の堆積に使用する生成物及び条件:
- 被覆された粒子、
- 溶媒:クロロホルム98%、
- 基板ポリマーの添加:ポリスチレン0.75g/mL(35kg/mol)、
- 超音波処理:20kHzで500W、
- 持続時間:20分、
- スピンコーティング:1000rpm、
- 65℃のホットプレート上で10分間乾燥させる。
【0108】
Co/Cナノ粒子表面上のグラフトポリマーの厚さは、5nm程度である(
図11)。
【0109】
これらのナノ粒子20で得られるラマンスペクトルは、均一媒体中でのin situ重合(又は、超音波化学)、又は事前に別個に(又はex situ)重合されたポリマーでナノ粒子20を被覆することからなる技法等、ナノ粒子を被覆するために常用されている他の技法とは異なり、炭素層が損傷していないこと、及び/又は酸化が抑制されていることを示している(
図12a及び
図12b)。
【0110】
同じ結果は、ポリスチレン層で被覆されたNi/Cナノ粒子でも観察された。
【符号の説明】
【0111】
10 油中水型エマルション、エマルション
11 液滴、ミセル
12 有機相
20 ナノ粒子、粒子、金属/Cナノ粒子、金属/C/ポリマーナノ粒子
21 金属コア、コア
22 炭素質材料、シェル、コーティング、無機コーティング、炭素質シェル
23 ポリマーの層、ポリマー材料の層、ポリマー材料でできた層