IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 関西電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-充放電管理システム 図1
  • 特許-充放電管理システム 図2
  • 特許-充放電管理システム 図3A
  • 特許-充放電管理システム 図3B
  • 特許-充放電管理システム 図3C
  • 特許-充放電管理システム 図4
  • 特許-充放電管理システム 図5
  • 特許-充放電管理システム 図6A
  • 特許-充放電管理システム 図6B
  • 特許-充放電管理システム 図7
  • 特許-充放電管理システム 図8
  • 特許-充放電管理システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】充放電管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240906BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240906BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240906BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240906BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240906BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240906BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/00 170
H02J7/00 P
H02J7/34 B
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
G06Q50/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020107603
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003849
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】井上 和茂
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 正也
(72)【発明者】
【氏名】小川 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158363(JP,A)
【文献】特開2015-204698(JP,A)
【文献】特開2012-196028(JP,A)
【文献】特開2020-096416(JP,A)
【文献】特開2014-054123(JP,A)
【文献】特開2012-249505(JP,A)
【文献】特開2013-183588(JP,A)
【文献】特開2019-140840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0017045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/00
H02J 7/00
H02J 7/34
H02J 13/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力事業者から電力を受給する事業所の充放電管理システムであって、
前記電力事業者の送電系統から電力を受電する受電設備と、
充放電可能な電池を備える複数の電気自動車と、
前記複数の電気自動車のうちの何れかの電気自動車と前記受電設備とに電気的に接続され、前記受電設備が受電した受電電力を用いて前記電気自動車の電池に充電する充電動作と、前記電気自動車の電池から、前記受電設備に電気的に接続された負荷に電力を供給する放電動作と、を行う充放電器と、
前記充放電器の前記充電動作及び前記放電動作を制御するV2Bコントローラと、
を備え、
前記V2Bコントローラは、
ユーザから、所定の枠時間単位で、前記充放電器に前記充電動作を行わせる充電コマと前記充放電器に前記放電動作を行わせる放電コマとの設定を受け付け、
至近の所定期間における、前記負荷による前記受電電力の使用電力量に基づき、前記充電コマにおける充電電力量又は前記放電コマにおける放電電力量を設定し、
前記充電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された放電電力量で前記放電動作を行わせ
前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、
予め定められた、前記枠時間における第一目標ピーク電力量と、当該放電コマの開始直前の所定の第一時間における前記使用電力量と、に基づいて当該放電コマにおける超過電力量を予測し、当該予測した超過電力量に基づいて当該放電コマにおける放電電力量を設定し、
前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、
単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該放電コマの開始直前の前記第一時間における前記使用電力量を当該放電コマにおける前記使用電力量に換算し、
当該換算の結果から前記第一目標ピーク電力量を減算した結果を、当該放電コマにおける超過電力量として予測し、
当該予測した超過電力量が0より大きい場合、現時点における前記電気自動車の電池の充電量から、前記電気自動車の利用に必要な所定の下限充電量を減算し、当該減算の結果を、現時点から前記事業所の所定の終業時刻までの期間に設定されている前記放電コマの数である残存放電コマ数で除算した結果に基づいて、当該放電コマにおける放電電力量を設定し、当該予測した超過電力量が0以下の場合、当該放電コマにおいて、前記充放電器に前記放電動作を行わせない、
充放電管理システム。
【請求項2】
前記V2Bコントローラは、前記充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、
予め定められた、前記枠時間における第一目標ピーク電力量と、当該充電コマの開始直前の所定の第一時間における前記使用電力量と、に基づいて当該充電コマにおける余剰電力量を予測し、当該予測した余剰電力量に基づいて当該充電コマにおける充電電力量を設定する、
請求項1に記載の充放電管理システム。
【請求項3】
前記V2Bコントローラは、前記充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、
単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該充電コマの開始直前の前記第一時間における前記使用電力量を当該充電コマにおける前記使用電力量に換算し、
当該換算の結果を前記第一目標ピーク電力量から減算した結果を、当該充電コマにおける余剰電力量として予測し、
当該予測した余剰電力量が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量を当該充電コマにおける充電電力量として設定し、当該予測した余剰電力量が0以下の場合、当該充電コマにおいて、前記充放電器に前記充電動作を行わせない、
請求項2に記載の充放電管理システム。
【請求項4】
前記V2Bコントローラは、
前記充電コマの開始時から前記第一時間が経過する度に、前記第一目標ピーク電力量と当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間における充電電力量とに基づいて当該充電コマの残りの期間における余剰電力量を予測し、当該予測した余剰電力量に基づいて当該残りの期間における充電電力量を設定する、
請求項2又は3に記載の充放電管理システム。
【請求項5】
前記V2Bコントローラは、
前記充電コマにおいて前記第一時間が経過する度に、単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該第一時間における前記使用電力量を前記残りの期間における前記使用電力量に換算し、
当該換算の結果と当該充電コマの開始時から現時点までの経過時間における前記使用電力量と前記経過時間における充電電力量との和を、前記第一目標ピーク電力量から減算した結果を、前記残りの期間における余剰電力量として予測し、
当該予測した余剰電力量が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量を前記残りの期間における充電電力量として設定し、当該予測した余剰電力量が0以下の場合、前記残りの期間において、前記充放電器に前記充電動作を行わせない、
請求項4に記載の充放電管理システム。
【請求項6】
前記V2Bコントローラは、
前記事業所の営業時間外の時間を、前記枠時間単位で、前記充電コマとして設定し、
前記営業時間外の前記充電コマにおいて、前記充放電器に定格の充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記第一時間が経過する度に、当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間において前記充放電器が前記受電電力を使用した電力量との和である至近使用電力量と、予め定められた、前記第一時間における第二目標ピーク電力量と、を比較し、前記至近使用電力量が前記第二目標ピーク電力量よりも大きいときは、当該充電コマにおける残りの期間、前記充放電器に前記充電動作を行わせない、
請求項2から5の何れか一項に記載の充放電管理システム。
【請求項7】
前記複数の電気自動車は、社用優先車とピークカット優先車とに分類され、
前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、
前記社用優先車の電池の充電量が前記下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量を設定し、
前記終業時刻における前記ピークカット優先車の電池の充電量が前記下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量を設定する、
請求項に記載の充放電管理システム。
【請求項8】
前記V2Bコントローラは
前記放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量を設定する場合に、現時点における前記社用優先車の電池の充電量から前記下限充電量を減算した結果を前記残存放電コマ数で除算した結果を、当該放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量として設定し、
前記放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量を設定する場合に、現時点から前記終業時刻までの期間に前記電気自動車の電池に充電する予定の計画充電量と、現時点における前記ピークカット優先車の電池の充電量から前記下限充電量を減算した結果と、の和を前記残存放電コマ数で除算した結果を、当該放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量として設定する、
請求項に記載の充放電管理システム。
【請求項9】
前記V2Bコントローラは、
ユーザから、マニュアルモード及びオートモードのうちの何れか一の充放電モードに切り替える指示を受け付け、
前記マニュアルモードに切り替える指示を受け付けた場合、
ユーザから、記枠時間単位で、前記充電コマと前記放電コマとの設定を受け付け、
前記充電コマにおいて前記充放電器に定格の充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて前記充放電器に定格の放電電力量で前記放電動作を行わせ、
前記オートモードに切り替える指示を受け付けた場合、
過去の所定日数についての前記事業所の一営業日における前記使用電力量の時系列変化を示す第一ロードカーブに基づき、前記事業所の当日における前記使用電力量の時系列変化を示す第二ロードカーブを予測し、
前記第二ロードカーブと、予め定められた、単位時間当たりの目標ピーク電力量と、に基づいて、前記枠時間単位で前記充電コマと前記放電コマとを設定し、
至近の前記所定期間における前記使用電力量に基づき、前記充電コマにおける充電電力量又は前記放電コマにおける放電電力量を設定し、
前記充電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された放電電力量で前記放電動作を行わせる、
請求項1からの何れか一項に記載の充放電管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電気自動車の電池の充放電管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1及び2等に記載のように、発電所で発電された電力を、電力需要が少ないときに蓄電設備に蓄電し、電力需要が逼迫したときに、蓄電設備から各受電施設に電力を供給するエネルギーマネジメント技術が知られている。近年では、充放電可能な複数の電気自動車(EV:Electric Vehicle)の電池を蓄電設備として利用し、複数の電気自動車とビルや工場等の事業所との間で電力を相互供給する所謂V2B(Vehicle to Building)サービスの実現が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-129911号公報
【文献】特開2019-58007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、V2Bサービスを導入するメリットを大きくするため、V2Bサービスにおいて、事業所の負荷による使用電力量が、事業所が電力事業者と契約している上限を超えないように、事業所の負荷への電力供給を制御する所謂ピークカットを行うことを検討している。具体的には、本発明者は、事業所の負荷の電力需要が減少した時間に電気自動車の電池を充電し、事業所の負荷の電力需要が増大した時間に電気自動車の電池に適した電力量の放電を行わせることを検討している。
【0005】
しかし、事業所の負荷の電力需要を正確に予測することは困難であるため、適切なピークカットを行うことは困難である。また、ピークカットを行うために電気自動車の電池に放電させる電力量が多くなると、ユーザが希望するタイミングで電気自動車を利用することが困難になる。
【0006】
そこで、電気自動車の電池の充放電を行うタイミングと当該充放電時の電力量とをユーザに設定させ、手動でピークカットを行うことが考えられる。しかし、この場合、ユーザは、事業所での実務経験等から事業所の負荷の電力需要を的確に把握し、電気自動車の電池の充放電のタイミング及び当該充放電時の電力量を適切に設定しなければならない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、ユーザが希望する時間に電気自動車を利用可能にし、且つ、適切にピークカットを行うことができる充放電管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による生活リズム判定装置は、電力事業者から電力を受給する事業所の充放電管理システムであって、前記電力事業者の送電系統から電力を受電する受電設備と、充放電可能な電池を備える複数の電気自動車と、前記複数の電気自動車のうちの何れかの電気自動車と前記受電設備とに電気的に接続され、前記受電設備が受電した受電電力を用いて前記電気自動車の電池に充電する充電動作と、前記電気自動車の電池から、前記受電設備に電気的に接続された負荷に電力を供給する放電動作と、を行う充放電器と、前記充放電器の前記充電動作及び前記放電動作を制御するV2Bコントローラと、を備え、前記V2Bコントローラは、ユーザから、所定の枠時間単位で、前記充放電器に前記充電動作を行わせる充電コマと前記充放電器に前記放電動作を行わせる放電コマとの設定を受け付け、至近の所定期間における、前記負荷による前記受電電力の使用電力量に基づき、前記充電コマにおける充電電力量又は前記放電コマにおける放電電力量を設定し、前記充電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された放電電力量で前記放電動作を行わせ、前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、予め定められた、前記枠時間における第一目標ピーク電力量と、当該放電コマの開始直前の所定の第一時間における前記使用電力量と、に基づいて当該放電コマにおける超過電力量を予測し、当該予測した超過電力量に基づいて当該放電コマにおける放電電力量を設定し、前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該放電コマの開始直前の前記第一時間における前記使用電力量を当該放電コマにおける前記使用電力量に換算し、当該換算の結果から前記第一目標ピーク電力量を減算した結果を、当該放電コマにおける超過電力量として予測し、当該予測した超過電力量が0より大きい場合、現時点における前記電気自動車の電池の充電量から、前記電気自動車の利用に必要な所定の下限充電量を減算し、当該減算の結果を、現時点から前記事業所の所定の終業時刻までの期間に設定されている前記放電コマの数である残存放電コマ数で除算した結果に基づいて、当該放電コマにおける放電電力量を設定し、当該予測した超過電力量が0以下の場合、当該放電コマにおいて、前記充放電器に前記放電動作を行わせない
【0009】
本構成によれば、ユーザによって設定された充電コマにおいて、至近の所定期間における、負荷による受電電力の使用電力量に基づく充電電力量で充電動作が行われる。また、ユーザによって設定された放電コマにおいて、至近の所定期間における前記使用電力量に基づく放電電力量で放電動作が行われる。このため、本構成は、ユーザが希望する時間に、事業所の負荷の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車の電池の充放電を行うことができる。これにより、本構成は、ユーザが希望する時間に電気自動車を利用可能にし、且つ、適切にピークカットを行うことができる。
本構成によれば、放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、枠時間における第一目標ピーク電力量と当該放電コマの開始直前の第一時間における前記使用電力量とに基づいて当該放電コマにおける超過電力量が予測される。そして、当該放電コマでは、当該予測された超過電力量に基づいて設定された放電電力量で放電動作が行われる。このため、本構成は、放電コマにおいて、負荷による受電電力の使用電力量が第一目標ピーク電力量を下回るように、事業所の負荷の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車の電池を放電させることができる。
本構成によれば、放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、当該放電コマの開始直前の第一時間における前記使用電力量が当該放電コマにおける前記使用電力量に換算され、当該換算の結果から第一目標ピーク電力量を減算した結果が当該放電コマにおける超過電力量として予測される。そして、当該予測された超過電力量が0より大きい場合、現時点における複数の電気自動車の電池の充電量から下限充電量を減算した結果を残存放電コマ数で除算した結果に基づいて設定された放電電力量で放電動作が行われる。一方、当該予測された超過電力量が0以下の場合、当該放電コマでは、放電動作が行われなくなる。
このため、本構成は、ユーザが希望する時間に、負荷による受電電力の使用電力量が第一目標ピーク電力量を下回り、且つ、複数の電気自動車を利用できるように、事業所の負荷の電力需要と複数の電気自動車の電池の充電状態に適した電力量で、複数の電気自動車の電池を放電させることができる。これとともに、本構成は、事業所の負荷の電力需要及び複数の電気自動車の電池の充電状態に応じて適切に複数の電気自動車の電池の放電を停止することができる。
【0010】
また、前記V2Bコントローラは、前記充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、予め定められた、前記枠時間における第一目標ピーク電力量と、当該充電コマの開始直前の所定の第一時間における前記使用電力量と、に基づいて当該充電コマにおける余剰電力量を予測し、当該予測した余剰電力量に基づいて当該充電コマにおける充電電力量を設定してもよい。
【0011】
本構成によれば、充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、枠時間における第一目標ピーク電力量と当該充電コマの開始直前の第一時間における前記使用電力量とに基づいて当該充電コマにおける余剰電力量が予測される。そして、当該充電コマでは、当該予測された余剰電力量に基づいて設定された充電電力量で充電動作が行われる。このため、本構成は、充電コマにおいて、負荷及び充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えないよう、事業所の負荷の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車の電池の充電を行うことができる。
【0012】
また、前記V2Bコントローラは、前記充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該充電コマの開始直前の前記第一時間における前記使用電力量を当該充電コマにおける前記使用電力量に換算し、当該換算の結果を前記第一目標ピーク電力量から減算した結果を、当該充電コマにおける余剰電力量として予測し、当該予測した余剰電力量が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量を当該充電コマにおける充電電力量として設定し、当該予測した余剰電力量が0以下の場合、当該充電コマにおいて、前記充放電器に前記充電動作を行わせないようにしてもよい。
【0013】
本構成によれば、充電コマにおける充電電力量を設定する場合に、当該充電コマの開始直前の第一時間における前記使用電力量が当該充電コマにおける前記使用電力量に換算され、当該換算の結果を第一目標ピーク電力量から減算した結果が当該充電コマにおける余剰電力量として予測される。そして、当該予測された余剰電力量が0より大きい場合、当該充電コマでは、当該予測された余剰電力量と同じ充電電力量で充電動作が行われる。一方、当該予測された余剰電力量が0以下の場合、当該充電コマでは、充電動作が行われなくなる。
【0014】
このため、本構成は、ユーザが希望する時間に、負荷と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えないよう、事業所の負荷の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車の電池の充電を行うことができる。これとともに、本構成は、余剰電力量が0以下となり、負荷と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えるときには、事業所の負荷の電力需要に応じて複数の電気自動車の電池の充電を適切に停止することができる。
【0015】
また、前記V2Bコントローラは、前記充電コマの開始時から前記第一時間が経過する度に、前記第一目標ピーク電力量と当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間における充電電力量とに基づいて当該充電コマの残りの期間における余剰電力量を予測し、当該予測した余剰電力量に基づいて当該残りの期間における充電電力量を設定してもよい。
【0016】
本構成によれば、充電コマの開始時から第一時間が経過する度に、第一目標ピーク電力量と当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間における充電電力量とに基づいて、当該充電コマの残りの期間における余剰電力量が予測される。そして、当該予測した余剰電力量に基づいて当該残りの期間における充電電力量が設定される。
【0017】
このため、本構成は、充電コマにおける充電動作中に、負荷と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えないよう、充電電力量を事業所の負荷の電力需要により適した電力量に補正することができる。
【0018】
また、前記V2Bコントローラは、前記充電コマにおいて前記第一時間が経過する度に、単位時間当たりの前記使用電力量が一定であるものとして、当該第一時間における前記使用電力量を前記残りの期間における前記使用電力量に換算し、当該換算の結果と当該充電コマの開始時から現時点までの経過時間における前記使用電力量と前記経過時間における充電電力量との和を、前記第一目標ピーク電力量から減算した結果を、前記残りの期間における余剰電力量として予測し、当該予測した余剰電力量が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量を前記残りの期間における充電電力量として設定し、当該予測した余剰電力量が0以下の場合、前記残りの期間において、前記充放電器に前記充電動作を行わせないようにしてもよい。
【0019】
本構成によれば、充電コマにおいて第一時間が経過する度に、当該第一時間における前記使用電力量が充電コマの残りの期間における前記使用電力量に換算される。そして、当該換算の結果と当該充電コマの開始時から現時点までの経過時間における前記使用電力量と当該経過時間における充電電力量との和を、第一目標ピーク電力量から減算した結果が、充電コマの残りの期間における余剰電力量として予測される。そして、当該予測された余剰電力量が0より大きい場合、当該予測された余剰電力量が充電コマの残りの期間における充電電力量として設定される。一方、当該予測された余剰電力量が0以下の場合、充電コマの残りの期間において充電動作が行われなくなる。
【0020】
このため、本構成は、充電コマにおける充電動作中に、負荷と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えないよう、充電電力量を事業所の負荷の電力需要により適した電力量に補正することができる。これとともに、本構成は、充電コマにおける充電動作中に、余剰電力量が0以下となり、負荷と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量を超えるときには、事業所の負荷の電力需要に応じて適切に複数の電気自動車の電池の充電を停止することができる。
【0021】
また、前記V2Bコントローラは、前記事業所の営業時間外の時間を、前記枠時間単位で、前記充電コマとして設定し、前記営業時間外の前記充電コマにおいて、前記充放電器に定格の充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記第一時間が経過する度に、当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間において前記充放電器が前記受電電力を使用した電力量との和である至近使用電力量と、予め定められた、前記第一時間における第二目標ピーク電力量と、を比較し、前記至近使用電力量が前記第二目標ピーク電力量よりも大きいときは、当該充電コマにおける残りの期間、前記充放電器に前記充電動作を行わせないようにしてもよい。
【0022】
本構成によれば、事業所の営業時間外の充電コマにおいて、定格の充電電力量で充電動作が行われる。そして、営業時間外の充電コマにおいて、第一時間が経過する度に、当該第一時間における前記使用電力量と当該第一時間において充放電器が受電電力を使用した電力量との和である至近使用電力量が第二目標ピーク電力量よりも大きいときは、当該充電コマにおける残りの期間、充電動作が行われなくなる。
【0023】
このため、本構成は、事業所の営業時間外の時間において、複数の電気自動車の電池の充電を迅速に行え、且つ、至近使用電力量が第二目標ピーク電力量を超えないように、事業所の負荷の電力需要に応じて適切に複数の電気自動車の電池の充電を停止することができる。
【0029】
また、前記複数の電気自動車は、社用優先車とピークカット優先車とに分類され、前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける放電電力量を設定する場合に、前記社用優先車の電池の充電量が前記下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量を設定し、前記終業時刻における前記ピークカット優先車の電池の充電量が前記下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量を設定してもよい。
【0030】
本構成によれば、社用優先車の電池の充電量が下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおける社用優先車の放電電力量が設定される。このため、本構成は、ユーザが希望する時間に社用優先車を利用させることができる。
【0031】
また、本構成では、終業時刻におけるピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量を下回らないように、当該放電コマにおけるピークカット優先車の放電電力量が設定される。このため、本構成は、現時点から終業時刻までの期間の各放電コマにおいて、ピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量を下回ったとしても、終業時刻にピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量を下回らないように、ピークカット優先車の電池を放電させることができる。これにより、本構成は、営業時間内においてピークカット優先車の電池をピークカットを行うために有効に利用することができ、且つ、営業時間外において、ユーザが希望する時間にピークカット優先車を利用させることができる。
【0032】
また、前記V2Bコントローラは、前記放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量を設定する場合に、現時点における前記社用優先車の電池の充電量から前記下限充電量を減算した結果を前記残存放電コマ数で除算した結果を、当該放電コマにおける前記社用優先車の放電電力量として設定し、前記放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量を設定する場合に、現時点から前記終業時刻までの期間に前記電気自動車の電池に充電する予定の計画充電量と、現時点における前記ピークカット優先車の電池の充電量から前記下限充電量を減算した結果と、の和を前記残存放電コマ数で除算した結果を、当該放電コマにおける前記ピークカット優先車の放電電力量として設定してもよい。
【0033】
本構成によれば、現時点における社用優先車の電池の充電量から下限充電量を減算した結果を残存放電コマ数で除算した結果が当該放電コマにおける社用優先車の放電電力量として設定される。このため、本構成は、現時点から終業時刻までの期間、社用優先車の電池の充電量が下限充電量を下回らないように、社用優先車の電池を放電させることができる。
【0034】
また、本構成では、現時点から終業時刻までの期間に複数の電気自動車の電池に充電する予定の計画充電量と、現時点におけるピークカット優先車の電池の充電量から下限充電量を減算した結果と、の和を残存放電コマ数で除算した結果が当該放電コマにおけるピークカット優先車の放電電力量として設定される。
【0035】
このため、本構成は、現時点から終業時刻までの期間の各放電コマにおいて、ピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量を下回ったとしても、終業時刻には複数の電気自動車の電池が計画充電量だけ充電されているものとして、終業時刻にピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量を下回らないように、ピークカット優先車の電池を放電させることができる。
【0036】
また、前記V2Bコントローラは、ユーザから、マニュアルモード及びオートモードのうちの何れか一の充放電モードに切り替える指示を受け付け、前記マニュアルモードに切り替える指示を受け付けた場合、ユーザから、記枠時間単位で、前記充電コマと前記放電コマとの設定を受け付け、前記充電コマにおいて前記充放電器に定格の充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて前記充放電器に定格の放電電力量で前記放電動作を行わせ、前記オートモードに切り替える指示を受け付けた場合、過去の所定日数についての前記事業所の一営業日における前記使用電力量の時系列変化を示す第一ロードカーブに基づき、前記事業所の当日における前記使用電力量の時系列変化を示す第二ロードカーブを予測し、前記第二ロードカーブと、予め定められた、単位時間当たりの目標ピーク電力量と、に基づいて、前記枠時間単位で前記充電コマと前記放電コマとを設定し、至近の前記所定期間における前記使用電力量に基づき、前記充電コマにおける充電電力量又は前記放電コマにおける放電電力量を設定し、前記充電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された充電電力量で前記充電動作を行わせ、前記放電コマにおいて、前記充放電器に、当該設定された放電電力量で前記放電動作を行わせてもよい。
【0037】
本構成によれば、ユーザからマニュアルモードに切り替える指示が受け付けられた場合、ユーザが設定した充電コマにおいて定格の充電電力量で充電動作が行われ、ユーザが設定した放電コマにおいて定格の放電電力量で放電動作が行われる。このため、本構成は、至近の所定期間における前記使用電力量を取得できない事業所等のユーザに、マニュアルモードに切り替える指示を行わせ、当該ユーザの希望する時間に、複数の電気自動車の電池の充放電を迅速に行わせることができる。
【0038】
一方、本構成によれば、ユーザからオートモードに切り替える指示が受け付けられた場合、第一ロードカーブに基づき予測された第二ロードカーブと、単位時間当たりの目標ピーク電力量と、に基づいて、充電コマと放電コマとが設定される。そして、充電コマでは、至近の所定期間における負荷による受電電力の使用電力量に基づき設定された充電電力量で充電動作が行われる。また、放電コマでは、至近の所定期間における負荷による受電電力の使用電力量に基づき設定された放電電力量で放電動作が行われる。このため、本構成は、第一ロードカーブを取得可能な事業所のユーザに、オートモードに切り替える指示を行わせるだけで、事業所の負荷の需要電力に応じて充電コマK1及び放電コマK2を適切に設定することができ、事業所の負荷の需要電力に適した電力量で、複数の電気自動車の電池の充放電を行わせることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ユーザが希望する時間に電気自動車を利用可能にし、且つ、適切にピークカットを行うことができる充放電管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】充放電管理システムの概略構成図である。
図2】充電コマと放電コマの設定例を示す図である。
図3A】充電コマにおける充電電力量の設定方法の一例を示す図である。
図3B】充電コマにおける充電電力量の補正方法の第一例を示す図である。
図3C】充電コマにおける充電電力量の補正方法の第二例を示す図である。
図4】営業時間外の充電コマにおいて充電動作を継続させるか否かを判定する方法の一例を示す図である。
図5】放電コマの開始時における事業所の使用電力量の一例を示す図である。
図6A】社用優先車の電池の充電量の時系列変化を示すグラフの一例を示す図である。
図6B】ピークカット優先車の電池の充電量の時系列変化を示すグラフの一例を示す図である。
図7】当日のロードカーブの予測方法の一例を示す図であり、(A)は過去5日分のロードカーブの一例を示し、(B)は予測された当日のロードカーブの一例を示す。
図8】第二ロードカーブの補正方法の一例を示す図であり、(A)は予測誤差の算出方法の一例を示し、(B)は第二ロードカーブと電力需要予測カーブとの関係の一例を示す。
図9】オートモードにおいて営業時間内における充電コマ及び放電コマを自動設定する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る充放電管理システムの実施形態の一例について説明する。図1は、充放電管理システム100の概略構成図である。図1に示すように、充放電管理システム100は、受電設備2と、複数の電気自動車31及び一以上の充放電器32と、V2Bコントローラ12と、を備えている。
【0042】
受電設備2は、電力事業者の送電系統90から供給される電力を受電する設備である。具体的には、受電設備2は、変圧器21と、分電盤22と、電力需給用計器用変成器(以降、VCT)23と、電力量計24と、通信装置25と、を備える。
【0043】
変圧器21は、電力事業者の送電系統90から受電した電力(以降、受電電力)を、事業所1の負荷10及び駐車場3に配置された一以上の充放電器32の動力用の所定電圧に変換する。分電盤22は、変圧器21による変圧後の受電電力を、事業所1の負荷10及び駐車場3に配置された一以上の充放電器32へ分配する。
【0044】
尚、事業所1とは、電力事業者からの受電を契約した事業者が所有する施設のうち、受電設備2及び駐車場3を除いた施設を示している。例えば、事業所1には、工場、事務所、守衛室及び機械室等が含まれる。負荷10とは、分電盤22に電気的に接続され、分電盤22によって分配された変圧器21による変圧後の電力で動作する電気機器のうち、駐車場3に配置された一以上の充放電器32を除いた電気機器を示している。例えば、負荷10には、図1に示す通信装置11、V2Bコントローラ12及び操作端末13が含まれる。また、負荷10には、不図示の照明、電話機やファクシミリ装置等の通信機器、及びタブレット端末やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置等が含まれる。通信装置11、V2Bコントローラ12及び操作端末13の詳細については後述する。
【0045】
駐車場3には、一以上の充放電器32が配置され、複数の電気自動車31が駐車される。図1は、駐車場3に、三個の充放電器32が配置され、三台の電気自動車31が駐車された例を示している。尚、駐車場3には、三個に限らず、一個以上の充放電器32が配置されてもよい。また、駐車場3は、三台に限らず、二台以上の電気自動車31が駐車可能であればよい。
【0046】
VCT23は、送電系統90から受電した高圧及び大電流の受電電力を、電力量計24が利用可能な低電圧及び小電流の電力に変換する。
【0047】
電力量計24は、事業所1の負荷10及び駐車場3に配置された一以上の充放電器32のそれぞれ(以降、各電気機器)が変圧器21及び分電盤22を介して使用した、受電電力の使用電力量を、VCT23による変換後の電圧及び電流に基づき、単位時間(例えば10分)毎に計測する。本実施形態では、当該単位時間を10分であるものとする。電力量計24は、各電気機器の識別情報と、当該各電気機器による受電電力の使用電力量と、を含む電力量情報を、ネットワーク9を介して、事業所1のV2Bコントローラ12へ送信する。尚、ネットワーク9は、電力供給会社が提供する専用通信網やインターネット等の公衆のネットワークによって構成されている。
【0048】
通信装置25は、電力量計24が外部装置とネットワーク9を介して通信するための不図示の各種通信インターフェイス回路を備えている。外部装置には、例えば、事業所1が備えるV2Bコントローラ12が含まれる。
【0049】
電気自動車31は、例えばリチウムイオン電池等の充放電可能な不図示の電池を備え、当該電池に充電された電力を用いて動作可能な自動車である。電気自動車31は、事業所1の営業時間内に利用することを優先する社用優先車と、ピークカットを優先するために用いられるピークカット優先車とに、分類されている。ピークカットとは、電力量計24によって計測される、負荷10及び一以上の充放電器32による単位時間当たりの受電電力の使用電力量の和が、事業所1が電力事業者と契約している上限(以降、目標ピーク電力量)を超えないように、負荷10又は一以上の充放電器32へ供給する受電電力の電力量を制御することを示す。電気自動車31は、事業所1の営業時間外においても、事業所1の所員の通勤等に利用される。
【0050】
充放電器32は、受電設備2の分電盤22と電気的に接続されている。充放電器32には、駐車場3に駐車された複数の電気自動車31のうちの何れかの電気自動車31が電気的に接続される。充放電器32は、分電盤22によって分配された受電電力を用いて、当該充放電器32に接続された電気自動車31の電池に充電する充電動作を行う。また、充放電器32は、電気自動車31の電池から、受電設備2の分電盤22に電気的に接続された事業所1の負荷10に電力を供給する放電動作を行う。尚、本実施形態では、一個の充放電器32にそれぞれ一台の電気自動車31が電気的に接続されるものとする。ただし、これに限らず、一個の充放電器32に、それぞれ、複数の電気自動車31が電気的に接続されてもよい。
【0051】
また、充放電器32には、不図示の外部装置とネットワーク9を介して通信するための不図示の各種通信インターフェイス回路が内蔵されている。当該外部装置には、例えば、事業所1が備えるV2Bコントローラ12が含まれる。例えば、充放電器32は、内蔵された各種通信インターフェイス回路を用いてV2Bコントローラ12との間で通信することで、V2Bコントローラ12による制御の下、前記充電動作及び前記放電動作を行う。
【0052】
通信装置11は、V2Bコントローラ12が外部装置とネットワーク9を介して通信するための不図示の各種通信インターフェイス回路を備えている。外部装置には、例えば、受電設備2が備える電力量計24及び充放電器32等が含まれる。
【0053】
V2Bコントローラ12は、所定の演算処理を実行する不図示のCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read‐Only Memory)等の不図示の不揮発性メモリー、データを一時的に記憶するための不図示のRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成された記憶部121及びこれらの周辺回路等を備えている。
【0054】
V2Bコントローラ12は、不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムをCPUに実行させることで、各種制御を行う。例えば、V2Bコントローラ12は、電力量計24が定期的に送信する電力量情報を通信装置11を介して取得する度に、当該取得した電力量情報を記憶部121に記憶する。また、V2Bコントローラ12は、通信装置11を介して充放電器32との間で通信を行うことにより、充放電器32の充電動作及び放電動作を制御する。また、V2Bコントローラ12は、通信装置11を介して充放電器32との間で通信を行うことにより、所定期間における充放電器32の充電量又は放電量を取得する。
【0055】
操作端末13は、V2Bコントローラ12を操作するためのタブレット端末やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。操作端末13には、V2Bコントローラ12と通信するための不図示の各種通信インターフェイス回路が内蔵されている。操作端末13は、内蔵された各種通信インターフェイス回路を用いてV2Bコントローラ12との間で通信を行うことにより、V2Bコントローラ12の操作を行う。
【0056】
以下、V2Bコントローラ12による充放電器32の充電動作及び放電動作の制御について詳述する。
【0057】
(充電コマと放電コマの設定)
V2Bコントローラ12は、先ず、ユーザから、予め定められた枠時間単位で、充放電器32に充電動作を行わせる充電コマと充放電器32に放電動作を行わせる放電コマとの設定を受け付ける。尚、本実施形態では、枠時間が30分に定められいるものとする。また、事業所1の営業時間が8時から17時30分に定められているものとする。ただし、枠時間及び営業時間は、これらに限定されず、任意に定められてよい。
【0058】
図2は、充電コマK1、K3と放電コマK2の設定例を示す図である。図2の上図は、ロードカーブG10の一例を示す図である。ロードカーブG10とは、事業所1の一営業日における負荷10による受電電力の使用電力量の時系列変化を示すグラフである。V2Bコントローラ12は、定期的に、記憶部121に記憶されている電力量情報に基づき、例えば、high4 of 5等の公知の手法で、事業所1の営業日毎にロードカーブG10を予測し、当該予測したロードカーブG10を記憶部121に記憶する。尚、ユーザは、操作端末13によって、記憶部121に記憶されているロードカーブG10を参照可能となっている。
【0059】
ユーザは、操作端末13において、ロードカーブG10を参照し、例えば図2の下図に示すように、ロードカーブG10が示す使用電力量が比較的小さい、8時から13時までに含まれる10個の枠時間と、15時から17時30分までに含まれる5個の枠時間と、を充電コマK1として設定する操作を行う。一方、ユーザは、操作端末13において、ロードカーブG10が示す使用電力量が比較的大きい13時から15時までに含まれる4個の枠時間を、放電コマK2として設定する操作を行う。
【0060】
操作端末13は、ユーザにより設定された充電コマK1及び放電コマK2を示す情報をV2Bコントローラ12に送信する。これにより、V2Bコントローラ12は、受信した情報が示す、充電コマK1及び放電コマK2を、ユーザが設定した充電コマK1及び放電コマK2として受け付ける。
【0061】
V2Bコントローラ12は、更に、事業所1の営業時間外の時間(本実施形態では、0時から8時及び17時半から24時までの時間)を枠時間単位で分割する。そして、V2Bコントローラ12は、分割された各枠時間を、営業時間外における充電コマK3として設定する。
【0062】
(充電コマにおける充電電力量の設定と充電動作の実行)
次に、V2Bコントローラ12は、至近の所定期間における、負荷10による受電電力の使用電力量に基づき、充電コマK1における充電電力量又は放電コマK2における放電電力量を設定する。
【0063】
具体的には、V2Bコントローラ12は、記憶部121に記憶されている、至近の所定期間に電力量計24によって計測された受電電力の使用電力量から、一以上の充放電器32から取得した当該所定期間における一以上の充放電器32の充電量又は放電量を除いた結果を、当該所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量として取得する。つまり、V2Bコントローラ12は、記憶部121に記憶されている、当該所定期間に電力量計24によって計測された受電電力の使用電力量に対し、前記取得した充電量を減算した結果又は前記取得した放電量を加算した結果を、当該所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量として取得する。
【0064】
つまり、V2Bコントローラ12は、ユーザにより設定された充電コマK1の開始時刻になると、至近の所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量を取得し、当該取得した使用電力量に基づき、充電コマK1における充電電力量を設定する。そして、V2Bコントローラ12は、当該設定した充電電力量で充放電器32に充電動作を行わせる。
【0065】
具体的には、V2Bコントローラ12は、充電コマK1における充電電力量を設定する場合に、予め定められた、枠時間における第一目標ピーク電力量と、当該充電コマK1の開始直前の所定の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と、に基づいて、当該充電コマK1における余剰電力量を予測する。そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した余剰電力量に基づいて当該充電コマK1における充電電力量を設定する。
【0066】
以下、V2Bコントローラ12が10時から10時30分までの充電コマK1における充電電力量を設定し、充放電器32に充電動作を行わせる具体例について図3Aを用いて説明する。尚、本実施形態では、第一時間が10分に定められているものとする。
【0067】
図3Aは、充電コマK1における充電電力量の設定方法の一例を示す図である。図3Aに示すグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は、負荷10及び充放電器32のそれぞれによる受電電力の使用電力量を示している。尚、枠時間における第一目標ピーク電力量WDMは、太字実線矩形で示すように、電力量計24によって計測される、負荷10と充放電器32とによる単位時間(例えば10分)当たりの受電電力の使用電力量の和が所定の目標ピーク電力量PPKである場合に、当該負荷10と充放電器32とが枠時間である30分の間に使用する受電電力の電力量の和に定められている。
【0068】
V2Bコントローラ12は、負荷10による単位時間当たりの受電電力の使用電力量が一定であるものとして、充電コマK1の開始直前の9時50分から10時までの第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量「C」と、枠時間を第一時間で除算した結果である「3」と、の積「3C」を算出する。これにより、V2Bコントローラ12は、太字点線矩形で示すように、当該算出した積「3C」を、充電コマK1の30分間における負荷10による受電電力の使用電力量Wpとして換算する。
【0069】
次に、V2Bコントローラ12は、当該換算した充電コマK1における負荷10による受電電力の使用電力量Wp「3C」を、第一目標ピーク電力量WDMから減算した結果「3α(=WDM-3C)」を、当該充電コマK1における余剰電力量として予測する。そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した余剰電力量「3α」が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量「3α」を当該充電コマK1における充電電力量として設定する。
【0070】
そして、V2Bコントローラ12は、当該設定した充電電力量で充放電器32に充電動作を行わせる。具体的には、V2Bコントローラ12は、充電コマK1において、充放電管理システム100が備える全ての充放電器32によって、上述の設定した充電電力量の充電が完了するように、当該設定した充電電力量を、充放電管理システム100が備える充放電器32の個数で除算する。そして、V2Bコントローラ12は、充電コマK1において、当該除算した結果の充電電力量の充電を完了させることを指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信する。これにより、電気自動車31が電気的に接続されている充放電器32は、充電コマK1において、ネットワーク9を介して受信した指示信号が示す充電電力量で当該電気自動車31の電池を充電する。
【0071】
一方、V2Bコントローラ12は、予測した余剰電力量「3α」が0以下の場合、充電コマK1において各充放電器32に充電動作を行わせないようにする。具体的には、V2Bコントローラ12は、予測した余剰電力量「3α」が0以下の場合、充電動作を停止するように指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信する。これにより、各充放電器32は、充電コマK1において、ネットワーク9を介して受信した指示信号に従って充電動作を停止する。
【0072】
つまり、本構成によれば、ユーザによって設定された充電コマK1において、至近の所定期間における、負荷10による受電電力の使用電力量に基づく充電電力量で充電動作が行われる。具体的には、充電コマK1における充電電力量を設定する場合、枠時間における第一目標ピーク電力量WDMと当該充電コマK1の開始直前の第一時間における、負荷10による受電電力の使用電力量とに基づいて当該充電コマK1における余剰電力量が予測される。そして、当該充電コマK1では、当該予測された余剰電力量に基づいて設定された充電電力量で充電動作が行われる。また、当該予測された余剰電力量が0以下の場合、当該充電コマでは、充電動作が行われなくなる。
【0073】
このため、本構成は、充電コマK1において、負荷10及び充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量WDMを超えないよう、事業所1の負荷10の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車31の電池の充電を行うことができる。これとともに、本構成は、余剰電力量が0以下となり、負荷10と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量WDMを超えるときには、事業所1の負荷10の電力需要に応じて複数の電気自動車31の電池の充電を適切に停止することができる。これにより、本構成は、適切にピークカットを行うことができる。
【0074】
(充電コマにおける充電電力量の補正)
また、V2Bコントローラ12は、充電コマK1の開始時から第一時間が経過する度に、当該充電コマK1の残りの期間における充電電力量を補正する。具体的には、V2Bコントローラ12は、充電コマK1の開始時から第一時間が経過する度に、第一目標ピーク電力量WDMと当該第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と当該第一時間における充電電力量とに基づいて、当該充電コマK1の残りの期間における余剰電力量を予測する。そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した余剰電力量に基づいて、当該残りの期間における充電電力量を設定する。
【0075】
以下、V2Bコントローラ12が、10時から10時30分までの充電コマK1の開始時から第一時間が経過する度に、充電コマK1の残りの期間における充電電力量を設定する具体例について図3B及び図3Cを用いて説明する。
【0076】
図3Bは、充電コマK1における充電電力量の補正方法の第一例を示す図である。具体的には、図3Bは、充電コマK1の開始時刻である10時から、第一時間である10分が経過した10時10分の時点における充電電力量の補正方法の一例を示している。
【0077】
図3Bに示すように、V2Bコントローラ12は、充電コマK1の開始時刻である10時から第一時間が経過した10時10分になると、負荷10による受電電力の単位時間当たりの使用電力量が一定であるものとして、10時から10時10分までの第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量「D」と、充電コマK1の残りの期間を第一時間で除算した結果である「2」と、の積「2D」を算出する。これにより、V2Bコントローラ12は、当該算出した積「2D」を、充電コマK1の残りの期間である、10時10分から10時30分までの期間における、負荷10による受電電力の使用電力量として換算する。
【0078】
次に、V2Bコントローラ12は、当該換算した充電コマK1の残りの期間における負荷10による受電電力の使用電力量「2D」と、当該充電コマK1の開始時から現時点までの経過時間における負荷10による受電電力の使用電力量「D」と、前記経過時間における充電電力量「α」との和「3D+α」を算出する。V2Bコントローラ12は、当該算出した和「3D+α」を第一目標ピーク電力量WDMから減算した結果「2β(=WDM--3D-α)」を、充電コマK1の残りの期間である、10時10分から10時30分までの期間における余剰電力量として予測する。
【0079】
そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した余剰電力量「2β」が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量「2β」を、当該充電コマK1の残りの期間における充電電力量として設定する。そして、V2Bコントローラ12は、当該設定した充電電力量で充放電器32に充電動作を行わせる。一方、V2Bコントローラ12は、予測した余剰電力量「2β」が0以下の場合、充電動作を停止するように指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信し、充電コマK1の残りの期間において、充放電器32に充電動作を行わせないようにする。
【0080】
図3Cは、充電コマK1における充電電力量の補正方法の第二例を示す図である。具体的には、図3Cは、充電コマK1の開始時刻である10時から、第一時間である10分が経過した後、更に第一時間が経過した10時20分の時点における充電電力量の補正方法の一例を示している。
【0081】
図3Cに示すように、V2Bコントローラ12は、充電コマK1の開始時刻である10時から第一時間が経過した後、更に第一時間が経過した10時20分になると、負荷10による受電電力の単位時間当たりの使用電力量が一定であるものとして、10時10分から10時20分までの第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量「E」を、充電コマK1の残りの期間である、10時20分から10時30分までの期間における、負荷10による受電電力の使用電力量として換算する。
【0082】
次に、V2Bコントローラ12は、当該換算した充電コマK1の残りの期間における負荷10による受電電力の使用電力量「E」と、当該充電コマK1の開始時から現時点までの経過時間における負荷10による受電電力の使用電力量「D+E」と、前記経過時間における充電電力量「α+β」との和「D+2E+α+β」を算出する。そして、V2Bコントローラ12は、当該算出した和「D+2E+α+β」を第一目標ピーク電力量WDMから減算した結果「γ(=WDM--D-2E-α-β)」を、充電コマK1の残りの期間である、10時20分から10時30分までの期間における余剰電力量として予測する。
【0083】
そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した余剰電力量「γ」が0より大きい場合、当該予測した余剰電力量「γ」を、当該充電コマK1の残りの期間における充電電力量として設定する。そして、V2Bコントローラ12は、当該設定した充電電力量で充放電器32に充電動作を行わせる。一方、V2Bコントローラ12は、予測した余剰電力量「γ」が0以下の場合、充電動作を停止するように指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信し、充電コマK1の残りの期間において、充放電器32に充電動作を行わせないようにする。
【0084】
つまり、本構成によれば、充電コマK1の開始時から第一時間が経過する度に、第一目標ピーク電力量WDMと当該第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と当該第一時間における充電電力量とに基づいて、当該充電コマK1の残りの期間における余剰電力量が予測される。そして、当該予測した余剰電力量に基づいて当該残りの期間における充電電力量が設定される。尚、当該予測された余剰電力量が0以下の場合、充電コマK1の残りの期間において充電動作が行われなくなる。
【0085】
このため、本構成は、充電コマK1における充電動作中に、負荷10と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量WDMを超えないよう、充電電力量を事業所1の負荷10の電力需要により適した電力量に補正することができる。これとともに、本構成は、充電コマK1における充電動作中に、余剰電力量が0以下となり、負荷10と充電動作による受電電力の使用電力量の和が第一目標ピーク電力量WDMを超えるときには、事業所1の負荷10の電力需要に応じて適切に複数の電気自動車31の電池の充電を停止することができる。
【0086】
(営業時間外の充電コマにおける充電動作)
尚、V2Bコントローラ12は、営業時間外における充電コマK3においては、充放電器32に定格の充電電力量で充電動作を行わせる。また、V2Bコントローラ12は、営業時間外における充電コマK3において第一時間が経過する度に、至近使用電力量に基づき、当該充電コマにおける残りの期間、充放電器32に充電動作を継続させるか否かを判定する。至近使用電力量とは、電力量計24が計測した、直近の第一時間における受電電力の使用電力量であり、具体的には、当該第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と当該第一時間において充放電器32が受電電力を使用した電力量との和である。
【0087】
以下、V2Bコントローラ12が、20時から20時30分までの営業時間外の充電コマK3の開始時から第一時間が経過する度に、充放電器32に充電動作を継続させるか否かを判定する具体例について図4を用いて説明する。
【0088】
図4は、営業時間外の充電コマK3において充電動作を継続させるか否かを判定する方法の一例を示す図である。具体的には、図4は、V2Bコントローラ12が、営業時間外の充電コマK3の開始時刻である20時から、第一時間である10分が経過した20時10分と、更に第一時間が経過した20時20分とにおいて、充電動作を継続させるか否かを判定した例を示している。
【0089】
図4に示すように、V2Bコントローラ12は、充電コマK3の開始時刻である20時から第一時間が経過した20時10分になると、20時から20時10分までの直近の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量「D」と、当該第一時間において充放電器32が受電電力を使用した電力量「δ」との和である至近使用電力量「D+δ」と、予め定められた第一時間における第二目標ピーク電力量WDM2と、を比較する。尚、第一時間における第二目標ピーク電力量WDM2は、太字実線矩形で示すように、電力量計24によって計測される、負荷10と充放電器32とによる受電電力の単位時間当たりの使用電力量の和が目標ピーク電力量PPKである場合に、当該負荷10と充放電器32とが第一時間である10分の間に使用する受電電力の電力量の和に定められている。
【0090】
V2Bコントローラ12は、当該比較の結果、前記至近使用電力量「D+δ」が第二目標ピーク電力量WDM2以下であるときは、当該充電コマK3における残りの期間である、20時10分から20時30分までの期間、充放電器32に充電動作を継続させると判定する。この場合、V2Bコントローラ12は、充放電器32に定格の充電電力量で充電動作を継続させる。
【0091】
更に、第一時間が経過した20時20分になると、V2Bコントローラ12は、20時10分から20時20分までの直近の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量「E」と、当該第一時間において充放電器32が受電電力を使用した電力量「δ」との和である至近使用電力量「E+δ」と、第二目標ピーク電力量WDM2と、を比較する。
【0092】
V2Bコントローラ12は、当該比較の結果、前記至近使用電力量「E+δ」が第二目標ピーク電力量WDM2より大きいときは、当該充電コマK3における残りの期間である、20時20分から20時30分までの期間、充放電器32に充電動作を停止させると判定する。この場合、V2Bコントローラ12は、充電動作を停止するように指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信し、当該充電コマK3の残りの期間である20時20分から20時30分までの期間において、充放電器32に充電動作を行わせないようにする。
【0093】
つまり、本構成によれば、事業所1の営業時間外の充電コマK3において、定格の充電電力量で充電動作が行われる。営業時間外の充電コマK3では、第一時間が経過する度に、当該第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と当該第一時間において充放電器32が受電電力を使用した電力量との和である至近使用電力量が第二目標ピーク電力量WDM2よりも大きいときは、当該充電コマK3における残りの期間、充電動作が行われなくなる。
【0094】
このため、本構成は、事業所1の営業時間外の時間において、複数の電気自動車31の電池の充電を迅速に行え、且つ、至近使用電力量が第二目標ピーク電力量WDM2を超えないように、事業所1の負荷10の電力需要に応じて適切に複数の電気自動車31の電池の充電を停止することができる。
【0095】
(放電コマにおける放電電力量の設定と放電動作の実行)
一方、V2Bコントローラ12は、ユーザにより設定された放電コマK2の開始時刻になると、記憶部121に記憶されている至近の所定期間の負荷10の使用電力量に基づき、放電コマK2における放電電力量を設定する。そして、V2Bコントローラ12は、当該設定した放電電力量で充放電器32に放電動作を行わせる。
【0096】
具体的には、V2Bコントローラ12は、放電コマK2における放電電力量を設定する場合に、枠時間における第一目標ピーク電力量WDMと、当該放電コマK2の開始直前の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と、に基づいて、当該放電コマK2における超過電力量を予測する。そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した超過電力量に基づいて、当該放電コマK2における放電電力量を設定する。
【0097】
以下、V2Bコントローラ12が13時から13時30分までの放電コマK2における放電電力量を設定し、充放電器32に放電動作を行わせる具体例について図5図6A及び図6Bを用いて説明する。
【0098】
尚、放電コマK2は、図2に示すように設定されているものとする。したがって、13時から13時30分までの放電コマK2の開始時である13時から、事業所1の終業時刻である17時30分までの期間に設定されている放電コマK2の数は、4であるものとする。
【0099】
図5は、放電コマK2の開始時における事業所1の使用電力量の一例を示す図である。図5に示すグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は、負荷10及び充放電器32のそれぞれによる受電電力の使用電力量を示している。太字実線矩形は、枠時間における第一目標ピーク電力量WDMを示している。
【0100】
V2Bコントローラ12は、負荷10による単位時間当たりの受電電力の使用電力量が一定であるものとして、放電コマK2の開始直前の12時50分から13時の10分間における負荷10による受電電力の使用電力量「C」と、枠時間を第一時間で除算した結果である「3」と、の積「3C」を算出する。これにより、V2Bコントローラ12は、太字点線矩形で示すように、当該算出した積「3C」を、放電コマK2の30分間における負荷10による受電電力の使用電力量Wpとして換算する。
【0101】
次に、V2Bコントローラ12は、当該換算した放電コマK2における負荷10による受電電力の使用電力量Wp「3C」から第一目標ピーク電力量WDMを減算した結果「3α(=3C-WDM)」を、当該放電コマK2における超過電力量として予測する。
【0102】
そして、V2Bコントローラ12は、当該予測した超過電力量「3α」が0より大きい場合、現時点における電気自動車31の電池の充電量から、電気自動車31の利用に必要な所定の下限充電量THを減算した結果を、現時点から事業所1の所定の終業時刻までの期間に設定されている放電コマK2の数である残存放電コマ数で除算した結果に基づいて、当該放電コマK2における放電電力量を設定する。
【0103】
図6Aは、社用優先車の電池の充電量(SoC(State Of Charge))の時系列変化を示すグラフG20の一例を示す図である。図6Aに示すグラフG20の横軸は時刻を示し、縦軸は、社用優先車の電池の充電量を示す。具体的には、図6Aに示すように、V2Bコントローラ12は、放電コマK2における放電電力量を設定する場合に、社用優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、当該放電コマK2における社用優先車の放電電力量を設定する。
【0104】
詳述すると、V2Bコントローラ12は、現時点である当該放電コマK2の開始時刻「13:00」における社用優先車の電池の充電量から下限充電量THを減算する。V2Bコントローラ12は、当該減算の結果「λ’」を、現時点「13:00」から事業所1の終業時刻「17:30」までの期間に設定されている放電コマK2の個数である残存放電コマ数「4」で除算した結果「λ’/4」を、当該放電コマK2における社用優先車の放電電力量として設定する。
【0105】
図6Bは、ピークカット優先車の電池の充電量の時系列変化を示すグラフG21の一例を示す図である。図6Bに示すグラフG21の横軸は時刻を示し、縦軸は、ピークカット優先車の電池の充電量を示す。一方、図6Bに示すように、V2Bコントローラ12は、放電コマK2における放電電力量を設定する場合に、終業時刻「17:30」におけるピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、当該放電コマK2におけるピークカット優先車の放電電力量を設定する。
【0106】
具体的には、V2Bコントローラ12は、現時点である当該放電コマK2の開始時刻「13:00」におけるピークカット優先車の電池の充電量から下限充電量THを減算する。V2Bコントローラ12は、当該減算の結果「λ’」と、予め定められた、現時点「13:00」から終業時刻「17:30」までの期間に電気自動車31の電池に充電する予定の計画充電量「σ’」との和を、残存放電コマ数「4」で除算した結果「(λ’+σ’)/4)」を、当該放電コマにおけるピークカット優先車の放電電力量として設定する。
【0107】
計画充電量は、例えば、high4 of 5と呼ばれる公知の方法で、以下のように算出される。図7は、当日のロードカーブG1の予測方法の一例を示す図であり、(A)は過去5日分のロードカーブG11~G15の一例を示し、(B)は予測された当日のロードカーブG1の一例を示す。
【0108】
例えば、図7(A)に示すように、V2Bコントローラ12は、記憶部121に記憶されている、直近の過去5日分のロードカーブG11~G15を取得する。そして、V2Bコントローラ12は、当該取得した5日分のロードカーブG11~G15から、営業時間内における負荷10による受電電力の使用電力量の総和が最小のものを除いた4日分のロードカーブを抽出する。
【0109】
そして、V2Bコントローラ12は、当該抽出した4日分のロードカーブのそれぞれから、負荷10による受電電力の30分間の使用電力量を時系列に順次取得する。V2Bコントローラ12は、前記抽出した4日分のロードカーブのそれぞれから、負荷10による受電電力の30分間の使用電力量を取得する度に、当該取得した4日分の使用電力量の平均値を算出する。そして、V2Bコントローラ12は、図7(B)に示すように、算出した各平均値を時系列に並べたグラフを当日のロードカーブG1として予測する。
【0110】
V2Bコントローラ12は、前記予測した当日のロードカーブG1において、現時点「13:00」から終業時刻「17:30」までの期間のうち、負荷10による単位時間当たりの受電電力の使用電力量が目標ピーク電力量PPKよりも低い期間における、目標ピーク電力量PPKから当該使用電力量を減算した結果の積分値を、計画充電量として設定する。
【0111】
この場合、現時点から終業時刻までの期間、事業所1の負荷10による単位時間当たりの受電電力の使用電力量が、予め定められた単位時間当たりの目標ピーク電力量PPKを超えないようにして、複数の電気自動車31の電池を充電した場合に電池に充電される電力量を、現時点から終業時刻までの期間に複数の電気自動車31の電池に充電する予定の計画充電量として、適切に設定することができる。
【0112】
尚、計画充電量の設定方法は、これに限らない。例えば、現時点「13:00」から終業時刻「17:30」までの期間に設定されている充電コマK1の個数と所定の充電電力量との積を、計画充電量として設定してもよい。
【0113】
V2Bコントローラ12は、放電コマK2における放電電力量の設定を行うと、当該設定した放電電力量で充放電器32に放電動作を行わせる。具体的には、V2Bコントローラ12は、放電コマK2において、通信装置11を介して社用優先車に接続された各充放電器32を制御し、上述の設定した社用優先車の放電電力量の放電が完了するように、当該各充放電器32に接続された社用優先車の電池から放電させる。つまり、V2Bコントローラ12は、社用優先車に接続された各充放電器32を制御し、放電動作中の全ての時間において、社用優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らない範囲で、同じ放電量で且つ最大の放電量で、当該各充放電器32に接続された社用優先車の電池から放電させる。これにより、社用優先車の電池から放電された電力は、分電盤22を介して負荷10に送電(供給)される。
【0114】
また、V2Bコントローラ12は、放電コマK2において、通信装置11を介してピークカット優先車に接続された各充放電器32を制御し、上述の設定したピークカット優先車の放電電力量の放電が完了するように、当該各充放電器32に接続されたピークカット優先車の電池から放電させる。つまり、V2Bコントローラ12は、ピークカット優先車に接続された各充放電器32を制御し、終業時刻「17:30」においてピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らない範囲で、放電動作中の全ての時間において同じ放電量で且つ最大の放電量で、当該各充放電器32に接続されたピークカット優先車の電池から放電させる。これにより、ピークカット優先車の電池から放電された電力は、分電盤22を介して負荷10に送電される。
【0115】
一方、V2Bコントローラ12は、予測した超過電力量「3α」が0以下の場合、当該放電コマK2において充放電器32に放電動作を行わせないようにする。具体的には、V2Bコントローラ12は、予測した超過電力量「3α」が0以下の場合、放電動作を停止するように指示する指示信号を、通信装置11を介して各充放電器32に送信する。これにより、各充放電器32は、放電コマK2において、ネットワーク9を介して受信した指示信号に従って放電動作を停止する。
【0116】
つまり、本構成によれば、ユーザによって設定された放電コマK2において、至近の所定期間における、負荷10による受電電力の使用電力量に基づく放電電力量で放電動作が行われる。具体的には、放電コマK2における放電電力量を設定する場合に、枠時間における第一目標ピーク電力量WDMと当該放電コマK2の開始直前の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量とに基づいて当該放電コマK2における超過電力量が予測される。そして、当該放電コマK2では、当該予測された超過電力量に基づいて設定された放電電力量で放電動作が行われる。尚、当該予測された超過電力量が0以下の場合、当該放電コマK2では、放電動作が行われなくなる。
【0117】
このため、本構成は、放電コマK2において、負荷10による受電電力の使用電力量が第一目標ピーク電力量WDMを下回るように、事業所1の負荷10の電力需要に適した電力量で、複数の電気自動車31の電池を放電させることができる。これとともに、本構成は、事業所1の負荷10の電力需要及び複数の電気自動車31の電池の充電状態に応じて適切に複数の電気自動車31の電池の放電を停止することができる。これらにより、本構成は、ユーザが希望する時間に複数の電気自動車31を利用可能にすることができる。
【0118】
また、本構成によれば、社用優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、当該放電コマK2における社用優先車の放電電力量が設定される。具体的には、放電コマK2において、現時点における社用優先車の電池の充電量から下限充電量THを減算した結果を残存放電コマ数で除算した結果が当該放電コマにおける社用優先車の放電電力量として設定される。このため、本構成は、現時点から終業時刻までの期間、社用優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、社用優先車の電池を放電させることができる。このため、本構成は、ユーザが希望する時間に社用優先車を利用させることができる。
【0119】
また、本構成では、終業時刻におけるピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、当該放電コマK2におけるピークカット優先車の放電電力量が設定される。具体的には、放電コマK2において、現時点から終業時刻までの期間に複数の電気自動車31の電池に充電する予定の計画充電量と、現時点におけるピークカット優先車の電池の充電量から下限充電量THを減算した結果と、の和を残存放電コマ数で除算した結果が当該放電コマにおけるピークカット優先車の放電電力量として設定される。
【0120】
このため、本構成は、現時点から終業時刻までの期間の各放電コマK2において、ピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回ったとしても、終業時刻には複数の電気自動車31の電池が計画充電量だけ充電されているものとして、終業時刻にピークカット優先車の電池の充電量が下限充電量THを下回らないように、ピークカット優先車の電池を放電させることができる。これにより、本構成は、営業時間内においてピークカット優先車の電池をピークカットを行うために有効に利用することができ、且つ、営業時間外において、ユーザが希望する時間にピークカット優先車を利用させることができる。
【0121】
(変形実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0122】
(1)上記実施形態では、ユーザが充電コマK1及び放電コマK2を設定し、V2Bコントローラ12が、至近の所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量に基づき、充電コマK1における充電電力量及び放電コマK2における放電電力量を設定する構成について説明した。
【0123】
しかし、受電設備2とV2Bコントローラ12とが長距離離間している又は両者の間に遮蔽物があること等により、受電設備2とV2Bコントローラ12との間の通信環境に問題があること等が原因で、V2Bコントローラ12において、至近の所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量の取得が困難な場合がある。一方、事業所1の営業日における負荷10による受電電力の使用電力量について把握している担当者が存在しないこと等が原因で、充電コマK1及び放電コマK2の設定をユーザに行わせることが困難な場合がある。
【0124】
これらの場合を考慮して、上記実施形態に示した構成を、更に、ユーザが充電コマK1及び放電コマK2の設定だけでなく、充電コマK1における充電電力量及び放電コマK2における放電電力量も設定できるマニュアルモードに切り替え可能な構成にしてもよい。また、上記実施形態に示した構成を、更に、ユーザに充電コマK1及び放電コマK2の設定と充電コマK1における充電電力量及び放電コマK2における放電電力量の設定とを行わせないオートモードに切り替え可能な構成にしてもよい。
【0125】
本構成は、例えば以下のように構成される。V2Bコントローラ12は、操作端末13の操作によって、ユーザからマニュアルモード及びオートモードのうちの何れか一の充放電モードに切り替える指示を受け付ける。
【0126】
V2Bコントローラ12は、マニュアルモードに切り替える指示を受け付けた場合、上記実施形態と同様に、ユーザから枠時間単位で充電コマK1と放電コマK2との設定を受け付ける。そして、V2Bコントローラ12は、充電コマK1において充放電器32に定格の充電電力量で充電動作を行わせ、放電コマK2において充放電器32に定格の放電電力量で放電動作を行わせる。
【0127】
一方、V2Bコントローラ12は、オートモードに切り替える指示を受け付けた場合、図7を用いて上述したように、過去の所定日数についての事業所1の一営業日における負荷10による受電電力の使用電力量の時系列変化を示すロードカーブ(第一ロードカーブ)に基づき、事業所1の当日における負荷10による受電電力の使用電力量の時系列変化を示すロードカーブG1(第二ロードカーブ)を予測する。
【0128】
そして、V2Bコントローラ12は、ロードカーブG1と、予め定められた、単位時間当たりの目標ピーク電力量PPKと、に基づいて、枠時間単位で、営業時間内における充電コマK1と放電コマK2とを設定する。
【0129】
具体的には、V2Bコントローラ12は、枠時間が経過する度に、当該枠時間における負荷10の受電電力の使用電力量に基づき、ロードカーブG1を補正する。
【0130】
図8は、ロードカーブG1の補正方法の一例を示す図であり、(A)は予測誤差ΔGの算出方法の一例を示し、(B)はロードカーブG1と電力需要予測値G40との関係の一例を示す。例えば、図8(A)に示すように、10時から枠時間である30分が経過した10時30分になると、V2Bコントローラ12は、10時から10時30分における負荷10による受電電力の使用電力量の平均値G30を算出する。
【0131】
V2Bコントローラ12は、当該算出した平均値G30から、ロードカーブG1が示す、現時点である10時30分における負荷10による受電電力の使用電力量を減算した結果を、予測誤差ΔGとして算出する。そして、V2Bコントローラ12は、図8(B)に示すように、当該算出した予測誤差ΔGを、ロードカーブG1が示す負荷10の受電電力の使用電力量のそれぞれに加算することでロードカーブG1を補正する。これにより、V2Bコントローラ12は、補正後のロードカーブG1である電力需要予測値G40を算出する。
【0132】
次に、V2Bコントローラ12は、営業時間内において、枠時間が経過する度に、枠時間単位で、現時点以降の補正後のロードカーブG1である電力需要予測値G40が示す負荷10による受電電力の使用電力量と、と単位時間当たりの目標ピーク電力量PPKとを比較する。
【0133】
図9は、オートモードにおいて営業時間内における充電コマK1及び放電コマK2を自動設定する方法の一例を示す図である。図9に示すように、V2Bコントローラ12は、電力需要予測値G40が示す負荷10による受電電力の使用電力量が、目標ピーク電力量PPKよりも小さい枠時間を、充電コマK1に設定する。一方、V2Bコントローラ12は、電力需要予測値G40が示す負荷10による受電電力の使用電力量が、目標ピーク電力量PPK以上の枠時間を、放電コマK2に設定する。尚、V2Bコントローラ12は、営業時間外の時間については、上記実施形態と同様に、枠時間単位で、営業時間外の充電コマK3を設定する。
【0134】
そして、V2Bコントローラ12は、上記実施形態と同様、充電コマK1又は放電コマK2の開始時刻になると、至近の第一時間における負荷10の受電電力の使用電力量に基づき、当該充電コマK1における充電電力量又は当該放電コマK2における放電電力量を設定する。また、V2Bコントローラ12は、上記実施形態と同様、充電コマK1において、充放電器32に、当該設定された充電電力量で充電動作を行わせ、放電コマK2において、充放電器32に、当該設定された放電電力量で放電動作を行わせる。
【0135】
尚、V2Bコントローラ12は、上記実施形態と同様、充電コマK3においては、充放電器32に定格の充電電力量で充電動作を行わせる。また、V2Bコントローラ12は、上記実施形態と同様、営業時間外における充電コマK3において第一時間が経過する度に、至近使用電力量に基づき、当該充電コマK3における残りの期間、充放電器32に充電動作を継続させるか否かを判定する。至近使用電力量とは、上述のように、直近の第一時間における負荷10による受電電力の使用電力量と当該第一時間において充放電器32が受電電力を使用した電力量との和である。
【0136】
本構成によれば、至近の所定期間における負荷10による受電電力の使用電力量を取得できない事業所等のユーザに、マニュアルモードに切り替える指示を行わせ、当該ユーザの希望する時間に、複数の電気自動車31の電池の充放電を迅速に行わせることができる。一方、第一ロードカーブを取得可能な事業所1のユーザに、オートモードに切り替える指示を行わせるだけで、事業所1の負荷10の需要電力に応じて充電コマK1及び放電コマK2を設定することができ、事業所1の負荷の需要電力に適した電力量で、複数の電気自動車31の電池の充放電を行わせることができる。
【0137】
(2)上記実施形態では、複数の電気自動車31が、社用優先車とピークカット優先車とに分類されている場合について説明した。しかし、これに限らず、複数の電気自動車31は、社用優先車とピークカット優先車とに分類されなくてもよい。この場合、V2Bコントローラ12が、放電コマK2における放電電力量を、上記実施形態で説明した、放電コマK2における社用優先車の放電電力量と同様に設定すればよい。
【0138】
(3)V2Bコントローラ12が、上記実施形態で説明した方法とは他の方法で、予測した超過電力量に基づき、放電コマK2における放電電力量を設定するようにしてもよい。例えば、V2Bコントローラ12が、予測した超過電力量よりも所定の電力量だけ大きい電力量を、当該放電コマK2における放電電力量として設定するようにしてもよい。
【0139】
(4)V2Bコントローラ12が、営業時間外の充電コマK3において、第一時間が経過する度に、当該充電コマK3における残りの期間、充放電器32に充電動作を継続させるか否かを判定しないようにしてもよい。
【0140】
(5)V2Bコントローラ12が、充電コマK1の開始時から第一時間が経過する度に、当該充電コマK1の残りの期間における充電電力量を補正しないようにしてもよい。
【0141】
(6)V2Bコントローラ12が、上記実施形態で説明した方法とは他の方法で、予測した余剰電力量に基づき、充電コマK1における充電電力量を設定するようにしてもよい。例えば、V2Bコントローラ12が、予測した余剰電力量よりも所定の電力量だけ小さい電力量を、充電コマK1における充電電力量として設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0142】
1 :事業所
2 :受電設備
10 :負荷
12 :V2Bコントローラ
31 :電気自動車
32 :充放電器
90 :送電系統
100 :充放電管理システム
G1 :ロードカーブ
K1 :充電コマ
K2 :放電コマ
K3 :充電コマ
PK :目標ピーク電力量
TH :下限充電量
DM :第一目標ピーク電力量
DM2 :第二目標ピーク電力量
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9