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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】輸送用冷凍機械、及び輸送機械
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240906BHJP
   B60P 3/20 20060101ALI20240906BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
F25D11/00 101F
B60P3/20 Z
F25B49/02 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020110181
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007289
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山岸 弘季
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-061697(JP,A)
【文献】特開2019-174062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0105969(US,A1)
【文献】特開2017-198377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
B60P 3/20
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、
冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、
前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、
前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、
前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、
を備え
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態とし、
前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記補器を駆動する状態とする輸送用冷凍機械。
【請求項2】
輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、
冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、
前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、
前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、
前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値未満である場合に、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態とし、
前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記補器を駆動する状態とする輸送用冷凍機械。
【請求項3】
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値未満である場合に、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態とする請求項1に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項4】
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値未満である場合に、前記オルタネータによって前記補器を駆動する状態とする請求項1から3のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項5】
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値以上である場合であっても、前記オルタネータの使用制限、前記バッテリーの温度、及び前記圧縮機の負荷の少なくとも一つが条件を満たさない場合に、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態とする請求項1から4のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項6】
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合であっても、前記オルタネータによる電力供給を優先させるべきであると判定された場合に、前記オルタネータによって前記補器を駆動する状態とする請求項1から5のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械。
【請求項7】
輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、
冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、
前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、
前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、
前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態とし、
前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、
前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合であっても、前記オルタネータによる電力供給を優先させるべきであると判定された場合に、前記オルタネータによって前記補器を駆動する状態とする輸送用冷凍機械。
【請求項8】
前記エンジン、及び前記オルタネータが設けられたトラクターと、
請求項1から7のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機械が設けられ、前記トラクターによってけん引されるトレーラーと、
を備える輸送機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送用冷凍機械、及び輸送機械に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍トラックのように、貨物を冷凍装置によって冷却した状態で運搬する輸送機械が広く用いられている。この種の冷凍装置は、トラックの走行用エンジンからオルタネータを介して取り出された電力のみによって駆動されることが従来一般的であった。一方で、省エネルギー化を図るため、走行用エンジンからの電力に加えて、バッテリーから供給される電力を併用して冷凍装置を駆動する構成も実用化されている。このような構成を備える輸送機械(車両システム)の具体例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された車両システムは、エンジンから電力を取り出すオルタネータ(発電機)と、バッテリーと、これらオルタネータ及びバッテリーによって駆動される冷凍機(冷蔵ユニット)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-513137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、オルタネータとバッテリーとを常態的に併用することは、省エネルギーの観点から最善とは言えない。特に、オルタネータを駆動し続けることは、エンジンに対する負荷が高く、経済的ではない。このため、冷凍機の運転状態に基づいてオルタネータによる発電をオン/オフすることが可能な技術に対する要請が高まっていた。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より効率的に運転することが可能な輸送用冷凍機械、及び輸送機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る輸送用冷凍機械は、輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態とし、前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記補器を駆動する状態とする
本開示に係る輸送用冷凍機械は、輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値未満である場合に、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態とし、前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記補器を駆動する状態とする。
本開示に係る輸送用冷凍機械は、輸送機械に設けられた冷凍室を冷却するための輸送用冷凍機械であって、冷媒を圧縮する圧縮機を有する冷凍ユニットと、前記輸送機械に設けられたエンジンの駆動力によって前記圧縮機を駆動する電力を発生させるオルタネータと、前記圧縮機を駆動する電力を発生可能なバッテリーと、前記オルタネータによって前記圧縮機を駆動する状態、及び前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態を、前記冷凍ユニットの運転状態に基づいて切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態にあり、かつ前記バッテリーの残量が予め定められた第一閾値以上である場合に、前記オルタネータを停止し、前記バッテリーによって前記圧縮機を駆動する状態とし、前記冷凍ユニットを駆動するための補器をさらに備え、前記切替部は、前記冷凍ユニットが運転状態にあるとともに前記圧縮機が運転状態ではなく、かつ前記補器が運転状態にあり、さらに前記バッテリーの残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合であっても、前記オルタネータによる電力供給を優先させるべきであると判定された場合に、前記オルタネータによって前記補器を駆動する状態とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より効率的に運転することが可能な輸送用冷凍機械、及び輸送機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る輸送機械の構成を示す模式図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る冷凍ユニットの構成を示す図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る切替部の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】輸送用冷凍機械が図3中のパターン1の状態にある場合を示す説明図である。
図5】輸送用冷凍機械が図3中のパターン2の状態にある場合を示す説明図である。
図6】輸送用冷凍機械が図3中のパターン3の状態にある場合を示す説明図である。
図7】輸送用冷凍機械が図3中のパターン4の状態にある場合を示す説明図である。
図8】本開示の第二実施形態に係る切替部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る輸送機械100、及び輸送用冷凍機械Rについて、図1から図7を参照して説明する。
【0010】
(輸送機械の構成)
図1に示すように、輸送機械100は、トラクター1と、トレーラー2と、を備えている。トラクター1は、キャブ1Cと、エンジン11と、電磁クラッチ12と、オルタネータ13と、を有している。キャブ1Cは、運転台等の居住スペースを形成する。エンジン11は、トラクター1自体に推進力を与えるための駆動装置であり、キャブ1Cの下部に収容されている。エンジン11として具体的にはディーゼルエンジンや、ハイブリッドエンジンが用いられる。
【0011】
エンジン11の出力軸には、電磁クラッチ12を介してオルタネータ13が接続されている。電磁クラッチ12は、外部からの操作や指令に基づいて、エンジン11の出力軸とオルタネータ13との接続と切り離しを行う。オルタネータ13は、エンジン11の出力軸の回転に伴ってともに回転することで電力を発生する。オルタネータ13が発生させた電力は、後述する切替部3の動作に基づいて、後述する冷凍ユニット31、補器32、及びバッテリー4に分配される。
【0012】
トレーラー2は、トラクター1によってけん引される車両である。トレーラー2は、冷凍室21と、冷凍ユニット31と、補器32と、バッテリー4と、を有している。冷凍室21は、トレーラー2の内部に形成された空間であり、冷蔵・冷凍が必要な貨物を積載する。冷凍ユニット31は、この冷凍室21内の温度を下げるために設けられている。冷凍ユニット31の構成については後述する。
【0013】
補器32は、冷凍ユニット31を駆動するために必要な機器であり、後述するコンデンサファン61やエバポレータファン91を含む。トレーラー2の下部にはバッテリー4が設けられている。バッテリー4は、上述のオルタネータ13が発生させた電力、又は商用電源によって充電し、冷凍ユニット31、及び補器32に対して電力を供給することが可能とされている。上記の切替部3、冷凍ユニット31、補器32、及びバッテリー4は、輸送用冷凍機械Rを構成する。この輸送用冷凍機械Rは、オルタネータ13、バッテリー4による電力供給に加えて、外部の商用電源からの電力供給によって駆動することが可能とされている。これら電力供給源の切り替えは、後述する切替部3によって行われる。
【0014】
(冷凍ユニットの構成)
次に、図2を参照して、冷凍ユニット31の構成について説明する。冷凍ユニット31は、冷凍サイクルによって冷媒と空気との間で熱交換を行う。図2に示すように、冷凍ユニット31は、冷媒が充填された冷媒配管Pと、この冷媒配管P上に設けられた圧縮機5、コンデンサ6、レシーバ7、膨張弁8、アキュムレータ10、及びエバポレータ9と、コンデンサファン61と、エバポレータファン91と、を有している。
【0015】
冷媒配管Pは、冷媒を流通させる管材であり、内部には冷媒が充填されている。冷媒配管Pは、第一配管P1と、第二配管P2と、第三配管P3と、第四配管P4と、第五配管P5と、第六配管P6と、を有している。第一配管P1は、圧縮機5の吐出側とコンデンサ6とを接続している。第二配管P2は、コンデンサ6の下流側とレシーバ7とを接続している。第三配管P3は、レシーバ7の下流側と膨張弁8とを接続している。第四配管P4は、膨張弁8の下流側とエバポレータ9の上流側とを接続している。第五配管P5は、エバポレータ9の下流側とアキュムレータ10とを接続している。第六配管P6は、アキュムレータ10の下流側と圧縮機5の吸入側とを接続している。
【0016】
圧縮機5は、第六配管P6側から吸入された低圧の気相冷媒を圧縮して、高温高圧の気相冷媒を生成する。この高温高圧の気相冷媒は、第一配管P1を通じてコンデンサ6に流入する。コンデンサ6は、上述の冷凍室21の外部に設けられている。コンデンサ6は、外部の空気と冷媒との間で熱交換を行う。コンデンサファン61は、コンデンサ6に向かって外部の空気を送るために設けられている。これにより、コンデンサ6では気相冷媒が凝縮し、高圧の液相冷媒が生成される。
【0017】
高圧の相冷媒は、第二配管P2を通じてレシーバ7に流入する。レシーバ7は、冷媒中に含まれる水分を除去したり、冷媒を液相成分と気相成分とに分離したりするために用いられる。レシーバ7内で分離された冷媒のうち、液相成分のみが第三配管P3を通じて膨張弁8に送られる。レシーバ7から第三配管P3を通じて流入した低温高圧の液相冷媒は、膨張弁8を通過することで圧力が下がり、低温低圧の液相冷媒となる。
【0018】
膨張弁8を経て低温低圧となった液相冷媒は、第四配管P4を通じてエバポレータ9に流入する。エバポレータ9は、冷凍室21の内部に設けられている。エバポレータ9では、冷凍室21内の空気と冷媒との間で熱交換が行われる。エバポレータファン91は、エバポレータ9に冷凍室21内の空気を送るために設けられている。低温の液相冷媒によって冷凍室21内の熱が吸収されることで、冷凍室21内の温度が低くなる方向に変化する。これに伴って、液相冷媒の温度が上昇するとともに、液相から気相に変化し、低圧の気相冷媒となる。
【0019】
エバポレータ9を経て低圧となった気相冷媒は、第五配管P5を通じてアキュムレータ10に流入する。アキュムレータ10は、冷媒を一時的に貯留し、圧縮機5に定量の冷媒を安定的に供給するために設けられている。アキュムレータ10を通過した低圧の気相冷媒は、第六配管P6を通じて再び圧縮機5に吸入される。このようなサイクルが連続的に行われることで、冷凍室21内の温度が所望の値に調節される。
【0020】
(切替部の動作)
続いて、図3から図7を参照して、切替部3の動作について説明する。本実施形態では、切替部3は冷凍ユニット31に付随してトレーラー2側に設けられている。一方で、切替部3をトラクター1側に設けることも可能である。切替部3は、主として冷凍ユニット31の運転状態に基づいて、オルタネータ13、及びバッテリー4からの電力供給を切り替える。図3に示すように、切替部3の動作フローは、第一判定ステップS1と、第二判定ステップS2と、第三判定ステップS3と、第四判定ステップS4と、第五判定ステップS5と、を含む。
【0021】
第一判定ステップS1では、まず輸送用冷凍機械Rが商用電源に接続されているか否かを判定する。商用電源に接続されていると判定された場合(S1:Yes)、切替部3はオルタネータ13をOFF状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とを切り離す。この状態をパターン1と呼ぶ。図4に示すように、パターン1では、商用電源によってバッテリー4が充電されるとともに、圧縮機5、及び補器32が駆動する状態となる。商用電源は、輸送機械100が車庫や物流拠点に停留している場合に提供される。なお、図4、及び以下で説明する図5から図7中では、通電している配線を実線で示し、通電していない配線を破線で示している。
【0022】
第一判定ステップS1で、商用電源に接続されていないと判定された場合(S1:No)、切替部3は、第二判定ステップS2を実行する。第二判定ステップS2では、冷凍ユニット31が運転状態にあるか否か(ON状態かOFF状態か)を判定する。第二判定ステップS2で、冷凍ユニット31が運転状態にないと判定された場合(S2:No)、切替部3は、オルタネータ13をOFF状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とを切り離す。この状態をパターン2と呼ぶ。図5に示すように、パターン2では、オルタネータ13、及びバッテリー4から、圧縮機5、及び補器32のいずれにも電力が供給されない。
【0023】
一方で、第二判定ステップS2で、冷凍ユニット31が運転状態にあると判定された場合(S2:Yes)、切替部3は、第三判定ステップS3を実行することで、圧縮機5が運転状態にあるか否かを判定する。第三ステップS3で、圧縮機5が運転状態にあると判定された場合(S3:Yes)、切替部3はさらに第四判定ステップS4を実行する。第四判定ステップS4では、切替部3は、バッテリー4の残量(充電容量の残り)が、予め定められた第一閾値以上であるか否かを判定する。第四判定ステップS4で、バッテリー4の残量が第一閾値以上であると判定された場合(S4:Yes)、切替部3は、オルタネータ13をOFF状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とを切り離す。この状態をパターン3と呼ぶ。図6に示すように、パターン3では、オルタネータ13は電力を供給せず、バッテリー4のみから、圧縮機5、及び補器32に電力が供給される。
【0024】
第四判定ステップS4で、バッテリー4の残量が第一閾値未満であると判定された場合(S4:No)、切替部3は、オルタネータ13をON状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とが接続された状態とする。これにより、オルタネータ13で発生した電力が、圧縮機5、補器32、及びバッテリー4に供給された状態となる。
【0025】
上記の第三判定ステップS3で、圧縮機5が運転状態にないと判定された場合(S3:No)、切替部3は、第五判定ステップS5を実行する。なお、冷凍ユニット31が運転状態にありながらも圧縮機5が運転されていない状態とは、一例として、上述のコンデンサファン61、又はエバポレータファン91を含む補器32のみを運転し、冷凍室21内に送風を行う状態を指す。第五判定ステップS5では、補器32が運転状態にあるか否か、及びバッテリー4の残量が第二閾値以上であるか否かが判定される。なお、第二閾値は、上述の第一閾値よりも小さな値である。
【0026】
第五判定ステップS5で、補器32が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第二閾値以上であると判定された場合(S5:Yes)、切替部3は、オルタネータ13をOFF状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とを切り離す。この状態をパターン4と呼ぶ。図7に示すように、パターン4では、バッテリー4によって補器32のみに電力が供給された状態となる。
【0027】
第五判定ステップS5で、補器32が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第二閾値未満であると判定された場合(S5:No)、切替部3は、オルタネータ13をON状態とする。つまり、電磁クラッチ12によってエンジン11とオルタネータ13とが接続された状態とする。これにより、オルタネータ13で発生した電力が補器32に供給された状態となる。
【0028】
(作用効果)
ここで、オルタネータ13とバッテリー4とを電力供給源として常態的に併用することは、省エネルギーの観点から最善とは言えない。特に、オルタネータ13を駆動し続けることは、エンジン11に対する負荷が高く、経済的ではない。このため、冷凍ユニット31の運転状態に基づいてオルタネータ13による発電をON/OFFすることが可能な技術に対する要請が高まっていた。
【0029】
上記構成によれば、冷凍ユニット31の運転状態に基づいて、切替部3は、オルタネータ13によって圧縮機5を駆動する状態、及びバッテリー4によって圧縮機5を駆動する状態を切り替えることができる。これにより、オルタネータ13は必要な場合のみ稼働することとなり、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。その結果、輸送用冷凍機械R、及び輸送機械100をより効率的に運用することが可能となる。
【0030】
さらに、上記構成によれば、切替部3は、冷凍ユニット31が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第一閾値以上である場合に、バッテリー4によって圧縮機5を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されている場合にはオルタネータ13ではなく、バッテリー4による圧縮機5の駆動を優先する。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0031】
加えて、上記構成によれば、切替部3は、冷凍ユニット31が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第一閾値未満である場合に、オルタネータ13によって圧縮機5を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されていない場合にはオルタネータ13による圧縮機5の駆動を優先する。このように、必要な場合のみオルタネータ13を稼働させることとなる。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0032】
さらに加えて、上記構成によれば、切替部3は、圧縮機5が運転状態にない一方で、補器32を駆動する必要があり、かつバッテリー4の残量が第二閾値以上である場合には、バッテリー4によって補器32を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されている場合にはオルタネータ13ではなく、バッテリー4による補器32の駆動を優先する。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。また、補器32は圧縮機5に比べて駆動に要する電力が小さいことから、第二閾値は上述の第一閾値よりも小さい値とすることができる。つまり、バッテリー4による駆動を行える残量の最低値を小さく抑えることができる。これにより、バッテリー4をより効果的に使用し、オルタネータ13の使用頻度を最小限に抑えることができる。
【0033】
また、上記構成によれば、切替部3は、圧縮機5が運転状態になく、かつバッテリー4の残量が第二閾値未満である場合に、オルタネータ13によって補器32を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されていない場合にはオルタネータ13による補器32の駆動を優先する。このように、必要な場合のみオルタネータ13を稼働させることとなる。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0034】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、切替部3によってオルタネータ13のON/OFFが自律的に切り替えられる構成について説明した。つまり、切替部3は、プログラムとして予め記憶した上述の動作フローに基づいて、オルタネータ13のON/OFFを切り替えるコンピュータである。しかしながら、切替部3の構成はこれに限定されず、例えば上述の第一判定ステップS1から第五判定ステップS5をそれぞれ操作者が手動で実行する構成を採ることも可能である。
【0035】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図8を参照して説明する。なお、上述の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図8に示すように、本実施形態では、動作フロー中で、切替部3は第四判定ステップS4の後で第六判定ステップS6を実行する。また、第五判定ステップS5の後で第七判定ステップS7を実行する。
【0036】
第六判定ステップS6では、先行する第四判定ステップS4でバッテリー4の残量が第一閾値以上であると判定された場合に、なおもバッテリー4ではなくオルタネータ13による電力供給を優先させるべきであるか否かが判定される。具体的には、第六判定ステップS6では、切替部3は、「ON条件」を満たすか否かを判定する。ON条件を満たす状態とは、一例として、オルタネータ13の使用制限、バッテリー4の温度、及び圧縮機5の負荷に関する各閾値が満たされている状態を指す。
【0037】
オルタネータ13とエンジン11との間では、電磁クラッチ12による機械的な接続と切り離しとが行われる。このため、短時間のうちに多数回の接続と切り離しを繰り返すことは、電磁クラッチ12の損耗につながる虞がある。そこで、ON条件の1つとして、電磁クラッチ12の使用回数の制限や、接続と切り離しのインターバルを設けることが望ましい。
【0038】
さらに、バッテリー4の温度が過度に上昇した場合には、バッテリー4の使用を制限することが安全上望ましい。そこで、ON条件の1つとして、バッテリー4の上限温度が定められている。
【0039】
また、冷凍室21の内外の温度差が大きく、圧縮機5の負荷が過度に高まっている場合には、電力供給源としてより長い時間にわたって安定的に電力を供給することが可能なオルタネータ13を優先的に用いることが望ましい。そこで、ON条件の1つとして、圧縮機5の負荷上限値が定められている。
【0040】
第六判定ステップS6で、上記のON条件に含まれる基準のうち、少なくとも1つが満たされていない場合(S6:No)、切替部3は、上述したパターン3の動作を行う。つまり、オルタネータ13をOFF状態とし、バッテリー4のみによって圧縮機5、及び補器32を駆動する状態とする。一方で、第六判定ステップS6で、ON条件が満たされていると判定された場合(S6:Yes)、切替部3は、オルタネータ13をON状態とし、オルタネータ13による圧縮機5及び補器32への電力供給を優先させる。
【0041】
第七判定ステップS7は、先行する第五判定ステップS5で、補器32が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第二閾値以上であると判定された場合に、なおもバッテリー4ではなくオルタネータ13による電力供給を優先させるべきであるか否かが判定される。具体的には、第七判定ステップS7では、切替部3は、上記の「ON条件」を満たすか否かを判定する。
【0042】
第七判定ステップS7で、上記のON条件に含まれる基準のうち、少なくとも1つが満たされていない場合(S7:No)、切替部3は、上述したパターン4の動作を行う。つまり、オルタネータ13をOFF状態とし、バッテリー4のみによって補器32を駆動する状態とする。一方で、第七判定ステップS7で、ON条件が満たされていると判定された場合(S7:Yes)、切替部3は、オルタネータ13をON状態とし、オルタネータ13による補器32への電力供給を優先させる。
【0043】
ここで、冷凍ユニットRが運転状態にあるとともに圧縮機5が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が予め定められた第一閾値以上である場合であっても、オルタネータ13による電力供給を優先させるべき場合がある。一例として、オルタネータ13の使用制限、バッテリー4の温度、及び圧縮機5の負荷の少なくとも一つが条件を満たさない場合には、オルタネータ13によって前記圧縮機5を駆動する状態とすることが望ましい。ここで、オルタネータ13をエンジン11と接続したり切り離したりする際には、機械的な負荷が生じる。上記の構成によれば、例えばこのような負荷を伴う切替動作が連続的に行われてしまう可能性を低減することができる。また、バッテリー4の温度が過度に高い場合にも、当該バッテリー4の使用継続を中断し、オルタネータ13による駆動とすることができる。さらに、外気温が冷凍庫内温度と大きく乖離している場合、つまり圧縮機5の負荷が過度に高い場合にもオルタネータ13によって圧縮機5を駆動することで、バッテリー4よりも安定的に運転を継続することができる。
【0044】
また、上記の状態に加えて、冷凍ユニットRが運転状態にあるとともに圧縮機5が運転状態ではなく、かつ補器32が運転状態にあり、さらにバッテリー4の残量が第二閾値以上である場合であっても、オルタネータ13による電力供給を優先させるべき場合がある。一例として、オルタネータ13の使用制限、バッテリー4の温度、及び圧縮機5の負荷の少なくとも一つが条件を満たさない場合に、オルタネータ13によって補器32を駆動する状態とすることが望ましい。ここで、オルタネータ13をエンジン11と接続したり切り離したりする際には、機械的な負荷が生じる。上記の構成によれば、例えばこのような負荷を伴う切替動作が連続的に行われてしまう可能性を低減することができる。また、バッテリー4の温度が過度に高い場合にも、当該バッテリー4の使用継続を中断し、オルタネータ13による駆動とすることができる。さらに、外気温が冷凍庫内温度と大きく乖離している場合、つまり圧縮機5の負荷が過度に高い場合にもオルタネータ13によって補器32を駆動することで、バッテリー4よりも安定的に運転を継続することができる。
【0045】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上述のON条件に含まれる各種の基準は一例であり、これら基準のうちいずれか1つ、又は2つのみをON条件とすることも可能である。つまり、オルタネータ13による電力供給を優先させるべきであると判定されれば、いかなる場合であっても、切替部3に上記と同様の動作を行わせることが可能である。なお、各種条件は、オルタネータ13がONとなる条件で規定してもよい。
【0046】
<付記>
各実施形態に記載の輸送用冷凍機械R、及び輸送機械100は、例えば以下のように把握される。
【0047】
(1)第1の態様に係る輸送用冷凍機械Rは、輸送機械100に設けられた冷凍室21を冷却するための輸送用冷凍機械Rであって、冷媒を圧縮する圧縮機5を有する冷凍ユニット31と、前記輸送機械100に設けられたエンジン11の駆動力によって前記圧縮機5を駆動する電力を発生させるオルタネータ13と、前記圧縮機5を駆動する電力を発生可能なバッテリー4と、前記オルタネータ13によって前記圧縮機5を駆動する状態、及び前記バッテリー4によって前記圧縮機5を駆動する状態を、前記冷凍ユニット31の運転状態に基づいて切り替える切替部3と、を備える。
【0048】
上記構成によれば、冷凍ユニット31の運転状態に基づいて、切替部3は、オルタネータ13によって圧縮機5を駆動する状態、及びバッテリー4によって圧縮機5を駆動する状態を切り替えることができる。これにより、オルタネータ13は必要な場合のみ稼働することとなり、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0049】
(2)第2の態様に係る輸送用冷凍機械Rでは、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態にあり、かつ前記バッテリー4の残量が予め定められた第一閾値以上である場合に、前記オルタネータ13を停止し、前記バッテリー4によって前記圧縮機5を駆動する状態とする。
【0050】
上記構成によれば、切替部3は、冷凍ユニット31が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第一閾値以上である場合に、バッテリー4によって圧縮機5を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されている場合にはオルタネータ13ではなく、バッテリー4による圧縮機5の駆動を優先する。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0051】
(3)第3の態様に係る輸送用冷凍機械Rでは、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態にあり、かつ前記バッテリー4の残量が予め定められた第一閾値未満である場合に、前記オルタネータ13によって前記圧縮機5を駆動する状態とする。
【0052】
上記構成によれば、切替部3は、冷凍ユニット31が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が第一閾値未満である場合に、オルタネータ13によって圧縮機5を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されていない場合にはオルタネータ13による圧縮機5の駆動を優先する。このように、必要な場合のみオルタネータを稼働させることとなる。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0053】
(4)第4の態様に係る輸送用冷凍機械Rは、前記冷凍ユニット31を駆動するための補器32をさらに備え、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態ではなく、かつ前記補器32が運転状態にあり、さらに前記バッテリー4の残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合に、前記オルタネータ13を停止し、前記バッテリー4によって前記補器32を駆動する状態とする。
【0054】
上記構成によれば、切替部3は、圧縮機5が運転状態にない一方で、補器32を駆動する必要があり、かつバッテリー4の残量が第二閾値以上である場合には、バッテリー4によって補器32を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されている場合にはオルタネータ13ではなく、バッテリー4による補器32の駆動を優先する。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。また、補器32は圧縮機に比べて駆動に要する電力が小さいことから、第二閾値は上述の第一閾値よりも小さい値とすることができる。つまり、バッテリー4による駆動を行える残量の最低値を小さく抑えることができる。これにより、バッテリー4をより効果的に使用し、オルタネータ13の使用頻度を最小限に抑えることができる。
【0055】
(5)第5の態様に係る輸送用冷凍機械Rは、前記冷凍ユニット31を駆動するための補器32をさらに備え、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態ではなく、かつ前記補器32が運転状態にあり、さらに前記バッテリー4の残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値未満である場合に、前記オルタネータ13によって前記補器を駆動する状態とする。
【0056】
上記構成によれば、切替部3は、圧縮機5が運転状態になく、かつバッテリー4の残量が第二閾値未満である場合に、オルタネータ13によって補器32を駆動する状態とする。つまり、バッテリー4の残量が十分に残されていない場合にはオルタネータ13による補器32の駆動を優先する。このように、必要な場合のみオルタネータ13を稼働させることとなる。これにより、例えばオルタネータ13を常態的に稼働させ続ける場合に比べて、オルタネータ13自身への負荷、及びエンジン11への負荷を低減することができる。
【0057】
(6)第6の態様に係る輸送用冷凍機械Rでは、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態にあり、かつ前記バッテリー4の残量が予め定められた第一閾値以上である場合であっても、前記オルタネータ13による電力供給を優先させるべきであると判定された場合に、前記オルタネータ13によって前記圧縮機5を駆動する状態とする。
【0058】
ここで、冷凍ユニットRが運転状態にあるとともに圧縮機5が運転状態にあり、かつバッテリー4の残量が予め定められた第一閾値以上である場合であっても、オルタネータ13による電力供給を優先させるべき場合がある。一例として、オルタネータ13の使用制限、バッテリー4の温度、及び圧縮機5の負荷の少なくとも一つが条件を満たさない場合には、オルタネータ13によって前記圧縮機5を駆動する状態とすることが望ましい。ここで、オルタネータ13をエンジン11と接続したり切り離したりする際には、機械的な負荷が生じる。上記の構成によれば、例えばこのような負荷を伴う切替動作が連続的に行われてしまう可能性を低減することができる。また、バッテリー4の温度が過度に高い場合にも、当該バッテリー4の使用継続を中断し、オルタネータ13による駆動とすることができる。さらに、外気温が冷凍庫内温度と大きく乖離している場合、つまり圧縮機5の負荷が過度に高い場合にもオルタネータ13によって圧縮機5を駆動することで、バッテリー4よりも安定的に運転を継続することができる。
【0059】
(7)第7の態様に係る輸送用冷凍機械Rは、前記冷凍ユニット31を駆動するための補器32をさらに備え、前記切替部3は、前記冷凍ユニット31が運転状態にあるとともに前記圧縮機5が運転状態ではなく、かつ前記補器32が運転状態にあり、さらに前記バッテリー4の残量が前記第一閾値よりも小さい第二閾値以上である場合であっても、前記オルタネータ13による電力供給を優先させるべきであると判定された場合に、前記オルタネータ13によって前記補器32を駆動する状態とする。
【0060】
ここで、冷凍ユニットRが運転状態にあるとともに圧縮機5が運転状態ではなく、かつ補器32が運転状態にあり、さらにバッテリー4の残量が第二閾値以上である場合であっても、オルタネータ13による電力供給を優先させるべき場合がある。一例として、オルタネータ13の使用制限、バッテリー4の温度、及び圧縮機5の負荷の少なくとも一つが条件を満たさない場合に、オルタネータ13によって補器32を駆動する状態とすることが望ましい。ここで、オルタネータ13をエンジン11と接続したり切り離したりする際には、機械的な負荷が生じる。上記の構成によれば、例えばこのような負荷を伴う切替動作が連続的に行われてしまう可能性を低減することができる。また、バッテリー4の温度が過度に高い場合にも、当該バッテリー4の使用継続を中断し、オルタネータ13による駆動とすることができる。さらに、外気温が冷凍庫内温度と大きく乖離している場合、つまり圧縮機5の負荷が過度に高い場合にもオルタネータ13によって補器32を駆動することで、バッテリー4よりも安定的に運転を継続することができる。
【0061】
(8)第8の態様に係る輸送機械100は、前記エンジン11、及び前記オルタネータ13が設けられたトラクター1と、輸送用冷凍機械Rが設けられ、前記トラクター1によってけん引されるトレーラー2と、を備える。
【0062】
上記構成によれば、より効率的に運転可能な輸送用冷凍機械Rを備える輸送機械100を提供することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 輸送機械
R 輸送用冷凍機械
1 トラクター
2 トレーラー
3 切替部
4 バッテリー
5 圧縮機
6 コンデンサ
7 レシーバ
8 膨張弁
9 エバポレータ
10 アキュムレータ
1C キャブ
11 エンジン
12 電磁クラッチ
13 オルタネータ
21 冷凍室
31 冷凍ユニット
32 補器
P 冷媒配管
P1 第一配管
P2 第二配管
P3 第三配管
P4 第四配管
P5 第五配管
P6 第六配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8