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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】発注システムおよび重量計
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240906BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20240906BHJP
   G01G 23/365 20060101ALI20240906BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20240906BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G01G19/52 Z
G01G23/365
G06Q10/087
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020110746
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007657
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】関根 正直
(72)【発明者】
【氏名】上野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】福繁 竜也
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-008331(JP,A)
【文献】特開2005-170599(JP,A)
【文献】特開2019-200636(JP,A)
【文献】特開2018-005408(JP,A)
【文献】特開2017-219543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01G 1/00 - 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の重量を測定した重量データを外部に送信するように構成される重量計と、
前記重量計が送信した前記重量データを取得するように構成される発注装置と、
を備える発注システムであって、
前記発注装置は、
前記測定対象物の残量データを記憶する記憶部と、
前記重量データが前記残量データよりも減少している場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記重量データが前記残量データよりも増加している場合、前記残量データを変化させない算出部と、
前記残量データに基づいて前記測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部と、
を備える発注システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発注システムにおいて、
前記重量計は、
前記測定対象物に対する使用操作を示す情報を取得する少なくとも一つのセンサと、
前記使用操作を示す情報及び前記重量データを外部に送信する送信部と、をさらに備え、
前記発注装置の前記算出部は、前記使用操作を示す情報に基づいて、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させるか否かを決定する、発注システム。
【請求項3】
請求項2に記載の発注システムにおいて、
前記重量計は、前記センサとして、前記測定対象物を収容した容器の振動を検出する加速度センサを備え、
前記重量計の前記送信部は、前記加速度センサが検出した振動の検出回数を示す検出回数データを外部に送信し、
前記発注装置の前記算出部は、前記検出回数データが判定条件を満たす場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記検出回数が前記判定条件を満たしていない場合、前記残量データを変化させない、発注システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発注システムにおいて、
前記発注装置は、前記測定対象物の利用開始に応じて取得した前記重量データを、前記残量データの初期値として前記記憶部に設定する設定部をさらに備える、発注システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の発注システムにおいて、
前記発注装置は、前記発注部が発注した前記測定対象物の発注量を前記残量データに加算する加算部をさらに備える、発注システム。
【請求項6】
測定対象物の重量データを測定する重量センサと、
前記測定対象物の残量データを記憶する記憶部と、
前記重量データが前記残量データよりも減少している場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記重量データが前記残量データよりも増加している場合、前記残量データを変化させない算出部と、
前記残量データに基づいて前記測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部と、
を備える重量計。
【請求項7】
請求項6に記載の重量計において、
前記測定対象物を収容した容器の振動を検出する加速度センサと、
前記算出部は、前記加速度センサが検出した振動の検出回数を示す検出回数データが判定条件を満たす場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記検出回数が前記判定条件を満たしていない場合、前記残量データを変化させない、重量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、発注システムおよび重量計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、物品の使用に伴い変化する物品の残量と物品を使用可能な状態に保つための物品の在庫とを管理し、残量の管理によって得られた残量データを在庫の管理に反映し、当該在庫の管理に基づき物品を発注することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-112499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、発注に用いる重量データにばらつきが生じた場合、残量を正確に管理することができずに、物品を誤って発注する可能性がある。このため、従来の技術は、重量データに基づく発注の精度に改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様の1つに係る発注システムは、測定対象物の重量を測定した重量データを外部に送信するように構成される重量計と、前記重量計が送信した前記重量データを取得するように構成される発注装置と、を備える発注システムであって、前記発注装置は、前記測定対象物の残量データを記憶する記憶部と、前記重量データが前記残量データよりも減少している場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記重量データが前記残量データよりも増加している場合、前記残量データを変化させない算出部と、前記残量データに基づいて前記測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部と、を備える。
【0006】
態様の1つに係る重量計は、測定対象物の重量データを測定する重量センサと、前記測定対象物の残量データを記憶する記憶部と、前記重量データが前記残量データよりも減少している場合、前記重量データに基づいて前記残量データを変化させ、前記重量データが前記残量データよりも増加している場合、前記残量データを変化させない算出部と、前記残量データに基づいて前記測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部と、を備える。
【0007】
態様の1つに係る重量計は、測定対象物の重量データを測定する重量センサと、前記測定対象物の残量データを記憶する記憶部と、前記測定対象物に対する使用操作を検出する検出部と、検出した前記使用操作に応じて、前記重量センサが測定した前記重量データに基づいて前記残量データを変化させるか否かを決定する算出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る発注システムの概要の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る残量データの変化の一例を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る重量計を正面側から見た斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る重量計を背面側から見た斜視図である。
図5図5は、測定対象物を載置した重量計を正面側から見た斜視図である。
図6図6は、図3に示す重量計からトレイを取り外した状態を示す斜視図である。
図7図7は、図3に示す重量計の分解図である。
図8図8は、図4に示す重量計における通信部配置部を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る重量計の装置構成を示すブロック図である。
図10図10は、実施形態に係る重量計で重量を測定する際の動作の流れを示すフロー図である。
図11図11は、実施形態に係る発注装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、発注装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、発注装置の制御部による処理手順の変形例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施形態の変形例に係る重量計の装置構成を示すブロック図である。
図15図15は、重量計のコントローラによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、実施形態の他の変形例に係る重量計の装置構成を示すブロック図である。
図17図17は、実施形態の他の変形例に係る重量計のコントローラによる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
本出願に係る発注システム及び重量計を実施するための複数の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下の説明において、同様の構成要素について同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は省略することがある。
【0010】
図1は、実施形態に係る発注システムの概要の一例を示す図である。図1に示す一例では、発注システム1000は、ユーザが使用する測定対象物の残量を管理し、当該残量に基づいて測定対象物を自動発注するシステム構成の一例を示している。本出願では、測定対象物は、ハンドソープである場合について説明するが、これに限定されない。測定対象物は、ユーザによって消費される消費財を含む。測定対象物は、例えば、洗剤、消毒液、医薬品、化学薬品、化粧品、飲料および油等の容器に収容される液状の消費財を含む。消費財は、例えば、重量を測定可能な粉末状、固形状、ゲル状、泡状等の消耗品を含んでよい。
【0011】
発注システム1000は、重量計1と、発注装置300と、を備える。重量計1は、測定対象物200が載置され、当該測定対象物200の重量を測定可能なように構成されている。発注装置300は、重量計1が計測した測定対象物200の重量データD10を取得し、重量データD10に基づいて測定対象物200の自動発注を行うように構成されている。重量計1と発注装置300とは、通信ネットワーク400を介して相互に通信可能なように構成されている。
【0012】
本開示では、説明を簡単化するために、発注システム1000は、重量計1と発注装置300とを一対一に対応させる場合について説明するが、これに限定されない。例えば、発注装置300は、複数の重量計1ごとに測定対象物200の残量を管理する構成とすることができる。
【0013】
重量計1は、荷重センサによって測定対象物200の重量を所定のタイミングで測定する。所定のタイミングは、例えば、予め設定されたタイミング、測定対象物200に対する操作を検出したタイミング等を含む。重量計1は、測定した重量を示す重量データD10を、通信ネットワーク400を介して発注装置300に送信する。重量データD10は、例えば、測定対象物200またはユーザのID、重量等を示すデータを有する。
【0014】
測定対象物200は、ハンドソープである場合、一般的に、使用する人が容器の押圧部201を押圧することによるポンプ作用により、容器内から押し出され、使用することができる。例えば、重量計1は、測定対象物200の重量を常時測定せずに、ユーザが測定対象物200を使用しないタイミングで、重量センサ30によって重量データD10を測定できる。
【0015】
発注装置300は、重量計1から重量データD10を受信すると、重量データD10と管理している残量データとの差分を算出する。残量データは、例えば、測定対象物200の残量(重量)を示すデータを含む。例えば、重量データD10は、ユーザが測定対象物2002を使用した場合、重量データD10が残量データよりも減少する。また、重量データD10は、ユーザが測定対象物200を使用していない場合、重量データD10が残量データと一致する。これにより、発注装置300は、重量データD10が残量データよりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データを変化させる。また、重量データD10が残量データよりも増加している場合、重量計1の重量センサゆらぎにより、測定結果にばらつきが生じている可能性がある。このため、発注装置300は、重量データD10が残量データよりも増加している場合、残量データを変化させない。
【0016】
発注装置300は、残量データに基づいて測定対象物200の発注に関する処理を実行する。例えば、発注装置300は、残量データが発注閾値よりも少なくなった場合に、測定対象物200の発注に関する処理を実行する。発注閾値は、例えば、ユーザ等が設定した閾値、測定対象物200の減少率に基づく閾値等を含む。発注に関する処理は、例えば、測定対象物200を供給元、予め設定された取引先等に、通信ネットワーク400を介して発注する処理、測定対象物200を発注する量を算出する処理、測定対象物200の届け先を設定する処理等を含む。
【0017】
発注装置300は、発注に関する処理の実行により、測定対象物200の発注を示す発注データD30を作成し、通信ネットワーク400を介して、発注データD30を発注先に送信する。その結果、発注システム1000は、測定対象物200の補充物210を、測定対象物200のユーザに届けさせることができる。補充物210は、例えば、新しい測定対象物200、測定対象物200に補充する物体等を含む。図1に示す一例では、測定対象物200がハンドソープである場合、補充物210は、ハンドソープの詰め替えとなっている。図1に示す一例では、発注装置300は、3つの補充物210を発注しているが、これに限定されない。
【0018】
図2は、実施形態に係る残量データの変化の一例を説明するための図である。図2に示すように、ステップS1では、発注装置300は、測定対象物200の初期状態の残量を示す残量データD20を管理している。この状態で、発注装置300は、測定対象物200が5[ml]使用された重量データD10を重量計1から取得すると、重量データD10が残量データD20よりも減少しているので、重量データD10に基づいて残量データD20を減少(変化)させる。
【0019】
ステップS2では、発注装置300は、差分である-5[ml]を反映した残量データD20を管理している。この状態で、発注装置300は、測定対象物200が残量データD20よりも+2[ml]増加した重量データD10を重量計1から取得している。この場合、重量計1は、重量センサのばらつきの発生等により、増加した重量データD10を測定し、当該重量データD10を発注装置300に送信している。発注装置300は、重量データD10が残量データD20よりも増加しているので、残量データD20を変化させない。
【0020】
ステップS3では、発注装置300は、残量データD20を変化させていないので、ステップS2と同一の残量を示す残量データD20を管理している。その後は同様に、発注装置300は、重量データD10が残量データD20よりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させる。発注装置300は、重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、残量データD20を変化させない。
【0021】
その後、ステップS11では、発注装置300は、残量データD20を変化させた結果、残量データD20が発注閾値よりも少なくなっている。発注装置300は、通信ネットワーク400を介して、発注データD30を発注先に送信し、発注した発注量を残量データD20に反映する。ステップS12では、発注装置300は、発注した補充物210の発注量を反映した残量データD20を管理している。
【0022】
このように、発注システム1000は、重量計1からの重量データD10が残量データよりも増加している場合、発注装置300が残量データを変化させないので、重量計1における揺らぎの影響等を受けることなく、測定対象物200の残量を管理することができる。その結果、発注システム1000は、発注装置300が誤って発注することを防止できるので、重量データD10に基づく発注の精度を向上させることができる。
【0023】
次に、図1に示した発注システム1000における重量計1の一例について説明する。図3は、実施形態に係る重量計1を正面側から見た斜視図である。図4は、実施形態に係る重量計1を背面側から見た斜視図である。図5は、測定対象物200を載置した重量計1を正面側から見た斜視図である。図5において、測定対象物200の押圧部201は、形状を簡単化している。
【0024】
本実施形態に係る重量計1は、重量計1に載置した測定対象物200の重量を測定し、測定した重量の測定値を無線通信によって外部の機器に送信することが可能になっている。重量計1は、重量測定部10と、通信部配置部50とを有している。このうち、重量測定部10は、測定対象物200を載置し、測定対象物200の重量を測定することが可能になっている。通信部配置部50は、重量測定部10から上側に向かって形成されており、内側に後述する通信モジュール60が配置されている。
【0025】
本実施形態では、重量測定部10は、上下方向に見た形状が、角部が円弧となる略矩形状の形状で形成されている。通信部配置部50は、重量測定部10の形状である矩形の一辺から上側に向かって延びて形成されている。一方、重量測定部10の形状である矩形の4つの辺のうち、通信部配置部50が配置された辺以外の3つの辺は、上側が開放されている。
【0026】
重量測定部10は、後述する重量センサ30を有する重量測定部本体部11と、測定対象物200を載置する載置部であるトレイ40を有している。重量測定部本体部11は、重量測定部10のベースとなる部位になっており、上下方向に見た形状が、角部が円弧となる略区形状の形状で形成されている。重量測定部本体部11の下側の面には、ゴム材料が取り付けられた、重量計1における足となる部材であるゴム足8が複数配置されている。重量測定部10の一辺から上側に向かって延びて形成される通信部配置部50は、重量測定部本体部11から上側に向かって形成されている。
【0027】
トレイ40は、上下方向に見た形状が、重量測定部10を上下方向に見た場合の形状と同様に、角部が円弧となる略区形状の形状で形成されている。また、トレイ40は、外周部分が上側に立ち上がる形状で形成されている。これにより、トレイ40は、トレイ40に載置されるものを保持することができる形状で形成されている。
【0028】
トレイ40は、重量測定部本体部11の上面側に配置され、重量測定部本体部11に対して着脱可能になっている。重量計1により重量が測定される測定対象物200は、重量を測定する際には、重量測定部10が有するトレイ40に載置される。測定対象物200が載置されるトレイ40には、上面41に、測定対象物200を保持する保持部材42が形成されている。測定対象物200が重量測定部10に載置された状態では、重量測定部10から上側に向かって形成される通信部配置部50は、測定対象物200に対して水平方向に重なった状態になる。
【0029】
図6は、図3に示す重量計1からトレイ40を取り外した状態を示す斜視図である。トレイ40(図1参照)は、重量測定部本体部11から取り外すことが可能になっている。重量計1におけるトレイ40以外の部分は、重量計1の本体5になっている。即ち、重量計1は、本体5と、本体5に対して着脱可能なトレイ40とを有して構成されている。詳しくは、重量測定部本体部11には、上面15側にトレイ受け21が配置されている。トレイ40は、トレイ受け21に対して着脱可能になっている。トレイ受け21は、上下方向に見た形状が略円形状の形状で形成されており、重量測定部本体部11の上面15における中央付近に配置されている。
【0030】
図7は、図3に示す重量計1の分解図である。重量計1は、筐体6と、トレイ40と、トレイ受け21と、基板70と、重量センサ30とを有している。このうち、筐体6は、重量測定部10と通信部配置部50との外郭を連続して形成している。基板70と重量センサ30とは、筐体6における重量測定部10を形成する部分の内側に配置されている。このうち、重量センサ30は、重量計1で測定対象物200の重量の測定する際における重量の検出手段になっている。本実施形態では、重量センサ30は、検出した荷重を電気信号に変換して出力する、いわゆるロードセルが用いられている。重量センサ30は、トレイ40で受けた荷重を検出することにより、トレイ40に載置される測定対象物200の重量を測定することが可能になっている。
【0031】
詳しくは、重量センサ30には、トレイ受け21を取り付けることが可能になっており、トレイ受け21にはトレイ40を取り付けることが可能になっている。このため、重量センサ30は、トレイ40で受けた荷重を、トレイ受け21を介して受けることができる。これにより、重量センサ30は、トレイ40に載置される測定対象物200の重量を測定することが可能になっている。つまり、測定対象物200の載置部であるトレイ40は、トレイ40に載置した測定対象物200からの荷重を重量センサ30に伝達し、重量センサ30は、トレイ40から伝達された荷重を測定することにより、測定対象物200の重量を測定する。
【0032】
基板70は、重量計1における電力や電気信号が流れる電気回路が配線されている。重量センサ30は、基板70に電気的に接続されている。また、本実施形態に係る重量計1では、電源に市販の乾電池75を用いている。乾電池75は複数が用いられ、複数の乾電池75は、重量測定部本体部11の内側に配置されている。重量測定部本体部11の下面には、乾電池75を重量測定部本体部11から出し入れする際に着脱する蓋である電池蓋7が配置されている。
【0033】
図8は、図4に示す重量計1における通信部配置部50を示す斜視図である。通信部配置部50の内側には、重量測定部10で測定した測定対象物200の重量の測定値を送信する通信部である通信モジュール60が配置されている。通信モジュール60は、無線により通信を行うモジュールになっており、任意の情報を、搬送波である電波を用いた無線通信によって送受信することが可能になっている。本実施形態では、通信モジュール60は、重量センサ30で測定した重量の測定値を、無線通信によって送信することが可能になっている。
【0034】
通信モジュール60は、例えば、LTE Cat.M1(カテゴリーM1)等の通信規格等の無線通信規格が適用される。通信モジュール60に適用される無線通信規格は、重量計1の使用態様等に応じて適宜設定されるのが好ましい。重量計1は、重量センサ30で測定した重量の測定値を、通信モジュール60による無線通信によって送信することにより、測定対象物200の重量の測定値を、測定対象物200の管理を行う外部の装置(図示省略)に対して伝達する。この場合における測定対象物200の管理を行う外部の装置は、例えば、測定対象物200の重量の測定値に基づいて、測定対象物200の補充の要否を判断する発注装置300になっている。
【0035】
通信モジュール60は、背面側に重量計1のキャリブレーションを行うためのスイッチであるキャリブレーションスイッチ63を有している。重量計1のキャリブレーションは、通信部配置部50の背面側に形成されているキャリブレーションスイッチ穴51(図4参照)から、細い棒状のもので押すことにより操作をする。
【0036】
通信モジュール60は、上下方向における位置が、重量測定部10よりも上側に位置して配置されている。このため、通信モジュール60は、上下方向における位置が、重量測定部10が有するトレイ40よりも上側に位置している。
【0037】
図9は、実施形態に係る重量計1の装置構成を示すブロック図である。重量計1は、重量測定部10に配置される重量センサ30と、通信部配置部50に配置される通信モジュール60と、加速度センサ62と、コントローラ80とを有している。
【0038】
コントローラ80は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System-on-a-Chip)、MCU(Micro Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、及びコプロセッサを含む演算処理装置になっている。コントローラ80は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。コントローラ80には、図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリはコントローラ80におけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0039】
通信モジュール60は、アンテナ61を有している。アンテナ61は、通信モジュール60で電波を用いて情報の送受信を行う際における、電波の送受信を行う部位になっている。通信モジュール60は、コントローラ80から伝達される情報を、アンテナ61から送信可能な信号に変換し、アンテナ61から電波として送信をする。アンテナ61は、通信モジュール60に対して一体となって構成されており、通信モジュール60は、上下方向における位置が重量測定部10よりも上側に位置して配置されている。このため、アンテナ61も、上下方向における位置が重量測定部10よりも上側に位置して配置されており、上下方向における位置が、重量測定部10が有するトレイ40よりも上側に位置している。
【0040】
加速度センサ62は、通信モジュール60に作用する加速度、即ち、重量計1に作用する加速度の方向及び大きさを検出する加速度検出部になっている。本実施形態では、加速度センサ62は、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する3軸型の加速度センサ62になっている。加速度センサ62は、ピエゾ抵抗型、静電容量型、圧電素子型(圧電式)、熱検知型によるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)式、動作させた可動コイルをフィードバック電流により元に戻すサーボ式、あるいは歪みゲージ式などにより構成することができる。加速度センサ62は、検出結果をコントローラ80に送出する。コントローラ80は、加速度センサ62の検出結果に基づいて各種制御を実行することが可能になっている。また、本実施形態では、加速度センサ62は、基板70に含まれるが、その搭載位置は限定されない。たとえば、加速度センサ62は、通信モジュール60等に設置されてもよい。
【0041】
本実施形態に係る重量計1は、以上のような構成からなり、以下、その作用の一例について説明する。重量計1は、重量測定部10が有するトレイ40に測定対象物200を載置した状態で使用する。測定対象物200は、例えば、測定対象物200の使用に伴って測定対象物200の重量が変化するものが用いられる。本実施形態では、測定対象物200として、容器に入れられた液体状の石鹸である、いわゆるハンドソープが用いられ、測定対象物200は、ハンドソープの容器を含んだものになっている。ハンドソープは、使用する度に容器内の液体状の石鹸が減っていくため、ハンドソープである測定対象物200は、使用するに従って重量が減少する。重量計1は、このように変化する測定対象物200の重量を測定し、測定値を、測定対象物200の管理を行う外部の装置に対して、無線通信を用いて伝達する。
【0042】
図10は、実施形態に係る重量計1で重量を測定する際の動作の流れを示すフロー図である。重量計1を使用する際には、まず、システムをONにする(ステップST11)。重量計1のシステムのONは、例えば、重量計1に備えられる電源スイッチ(図示省略)をONにすることにより行う。重量計1は、電源スイッチへ操作等によってシステムをONにすることにより、電源である乾電池75から供給される電力を用いて、測定対象物200の重量を測定することが可能になる。測定対象物200であるハンドソープは、システムをONにする前にトレイ40に載置してもよく、システムをONにした後にトレイ40に載置してもよい。
【0043】
重量計1は、システムをONした場合でも、測定対象物200が使用されていない待機時では、重量センサ30はOFFの状態が継続される。一方、加速度センサ62は、乾電池75から供給される電力によって作動し、加速度センサ62に伝えられる加速度を検出する。
【0044】
加速度センサ62で検出する加速度のデータは、コントローラ80で取得し、コントローラ80は、加速度データの変化量が一定以上であるか否かを判定する(ステップST12)。この場合における加速度データの変化量の閾値は、測定対象物200の押圧部201が押圧され、測定対象物200が使用されていると判断できることのできる閾値して予め設定され、コントローラ80で記憶されている。コントローラ80は、加速度センサ62で検出した加速度データの変化量と閾値とを比較することにより、加速度データの変化量が一定以上であるか否かの判定を行う。
【0045】
この判定により、加速度データの変化量が一定以上ではないと判定した場合(ステップST12でNo)は、コントローラ80は、加速度センサ62で検出する加速度データを継続して取得し、加速度データの変化量が一定以上であるか否かの判定を引き続き行う。
【0046】
これに対し、加速度データの変化量が一定以上ではあると判定した場合(ステップST12でYes)は、コントローラ80は、重量センサ30をONにする(ステップST13)。これにより、重量センサ30は、乾電池75から供給される電力により作動する。
【0047】
コントローラ80は、ONになった重量センサ30を用いて、重量のセンシングを行う(ステップST14)。つまり、重量センサ30は、トレイ40に載置された測定対象物200の重量を測定する。重量センサ30は、重量の測定値をコントローラ80に送信し、コントローラ80は、測定対象物200の重量の測定値を示す重量データD10を、通信モジュール60により、測定対象物200の管理を行う外部の発注装置300に送信する。これにより、重量計1は、ハンドソープのような、使用することによって変化する現時点での残量を、測定対象物200の重量データD10によって送信する。その結果、重量データD10を受信した外部の発注装置300は、測定対象物200の残量を管理することができる。
【0048】
なお、重量計1から送信する測定対象物200の重量の測定値は、測定対象物200は、例えば、真夜中等、測定対象物200を使用しない時間帯に一日一回送信する等、送信するタイミングは、測定対象物200の使用態様や管理方法に応じて適宜設定してもよい。
【0049】
コントローラ80は、加速度データの変化量が一定以上ではあると判定した後(ステップST12でYes)、所定の時間が経過したら、重量センサ30をOFFにする(ステップST15)。つまり、コントローラ80は、測定対象物200が使用されていると判断されてから所定の時間が経過することにより、測定対象物200の重量が変化しないと判断できる状況になったら、重量センサ30をOFFにし、測定対象物200の重量の測定を停止する。
【0050】
コントローラ80は、重量センサ30をOFFにしたら、ステップST12に戻り、加速度センサ62で検出する加速度のデータの変化量が一定以上であるか否かの判定を行う。
【0051】
重量センサ30は、加速度センサ62と比較して、動作時の電力消費量が大きくなっている。このため、重量センサ30がONの状態(ステップST13、ST14)では、重量計1は、電力消費量が大きくなるが、重量センサ30がOFFの状態(ステップST12)では、重量計1は、電力消費量が小さい状態で、加速度センサ62によって加速度を検出する。
【0052】
次に、図1に示した発注システム1000の発注装置300の一例について説明する。図11は、実施形態に係る発注装置300の機能構成の一例を示すブロック図である。図11に示す発注装置300は、例えば、重量計1と連携して、測定対象物200を管理する処理を行うコンピュータ、電子機器等で実現される。電子機器は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、エージェント装置等を含む。本実施形態では、発注装置300は、重量計1と通信可能なクラウドサーバ(Cloud Server)である場合について説明する。
【0053】
発注装置300は、表示部310と、操作部320と、通信部330と、記憶部340と、制御部350と、を有する。制御部350は、表示部310、操作部320、通信部330及び記憶部340と電気的に接続されている。
【0054】
表示部310は、制御部350の制御によって各種データを表示可能なように構成されている。表示部310は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display)等の表示パネルを有する。
【0055】
操作部320は、ユーザの操作を受け付けるための1ないし複数のデバイスを有する。ユーザの操作を受け付けるためのデバイスは、例えば、キー、ボタン、タッチスクリーン等を含む。操作部320は、受け付けた操作に応じた信号を制御部350へ入力する。
【0056】
通信部330は、無線により通信できる。通信部330は、無線通信規格をサポートする。通信部330によってサポートされる無線通信規格には、例えば、2G、3G、4G、5G等のセルラーフォンの通信規格と、近距離無線の通信規格とが含まれる。セルラーフォンの通信規格としては、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、WiMAX(登録商標)(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy-phone System)等がある。近距離無線の通信規格としては、例えば、IEEE802.11(IEEEは、The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略称である)、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)、WPAN(Wireless Personal Area Network)等が含まれる。WPANの通信規格には、例えば、ZigBee(登録商標)、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、Z-Wave、WiSun(Wireless Smart Utility Network)が含まれる。IoT用の通信規格としては、LPWA(Low Power Wide Area)に準拠した通信規格、例えば、LoRa(登録商標)(Long Range)、LoRaWAN(登録商標)(Long Range Wide Area Network)、SIGFOX(登録商標)、Cat.NB1(カテゴリーNB1)、Cat.M1等、が含まれる。通信部330は、上述した通信規格の1つ又は複数をサポートしていてもよい。
【0057】
記憶部340は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部340は、制御部350の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。記憶部340は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non-transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部340は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部340は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部340は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
【0058】
記憶部340は、例えば、発注プログラム341、設定データ342等のデータを記憶する。発注プログラム341は、発注装置300を動作させるための各種制御に関する機能を提供できる。発注プログラム341は、例えば、通信部330を制御することによって、重量計1等の電子機器との通信を実現させる。発注プログラム341は、制御部350(コンピュータ)に、重量データD10が残量データD20よりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させ、重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、残量データD20を変化させない算出部351と、残量データD20に基づいて測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部352として機能させるプログラムを含む。
【0059】
設定データ342は、発注装置300の発注に関する各種の設定に関する情報を含む。設定データ342は、測定対象物200のユーザに関する情報を含んでよい。設定データ342は、測定対象物に対応した上記の発注閾値を含んでよい。
【0060】
記憶部340は、上述した残量データD20、発注データD30を記憶できる。残量データD20は、測定対象物200の残量を示すデータを含む。残量データD20は、測定対象物200を使用するユーザに関する各種情報が紐付けられている。本実施形態では、残量データD20は、例えば、重量計1または発注先を識別可能なID、測定対象物200の残量等の情報を有する。
【0061】
発注データD30は、測定対象物200または測定対象物200を補充する補充物210を発注するためのデータを含む。発注データD30は、例えば、発注する個数、量、届け先等の各種情報を有する。
【0062】
記憶部340は、重量計1から取得した重量データD10を時系列に記憶できる。記憶部340は、測定対象物200または測定対象物200を使用するユーザに関する情報に紐付けて、重量データD10を記憶できる。
【0063】
制御部350は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU、SoC、MCU、FPGA、及びコプロセッサを含むが、これらに限定されない。制御部350は、発注装置300の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0064】
具体的には、制御部350は、記憶部340に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部340に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。そして、制御部350は、データ及び命令に応じて機能部を制御し、それによって各種機能を実現する。機能部は、例えば、表示部310及び通信部330を含むが、これらに限定されない。
【0065】
制御部350は、算出部351、発注部352、設定部353及び加算部354の機能部を有する。制御部350は、発注プログラム341を実行することによって、算出部351、発注部352、設定部353及び加算部354を実現する。
【0066】
算出部351は、重量データD10に基づいて、測定対象物200の重量を示す重量データD10を算出する。算出部351は、重量データD10が残量データD20よりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させる機能を実現する。算出部351は、重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、残量データD20を変化させない機能を実現する。
【0067】
発注部352は、残量データD20に基づいて、上述した測定対象物200の発注に関する処理を実行する機能を実現する。発注部352は、発注する発注データD30を生成し、発注データD30を発注先に送信する。発注部352は、発注データD30を測定対象物200のユーザ、管理者等に提示して発注させてもよい。発注部352は、発注データD30の発注が確定したことを管理する機能を有する。例えば、発注部352は、発注データD30の発注先から確定の通知を受けた場合に、発注が確定したことを記憶する。
【0068】
設定部353は、測定対象物200の利用開始に応じて取得した重量データD10を、残量データD20の初期値として記憶部340に設定する機能を実現する。設定部353は、例えば、測定対象物200のデフォルトの重量データD10を供給元、データベース等から取得し、取得した重量データD10を残量データD20に設定する。設定部353は、測定対象物200の種類、型式等を特定してデフォルトの残量(容量)を取得してもよい。設定部353は、測定対象物200のデフォルトの残量を、ユーザ、管理者等に設定させるように構成してもよい。
【0069】
加算部354は、発注部352が発注した測定対象物200の発注量を残量データD20に加算する機能を実現する。加算部354は、例えば、確定した発注量を残量データD20に加算する。例えば、複数の補充物210を発注した場合、加算部354は、複数の補充物210の合計の容量を残量データD20に加算する。これにより、発注装置300は、発注処理を頻繁に行うことがなくなるので、処理負担の増加を抑制することができる。
【0070】
図12は、発注装置300の制御部350による処理手順の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理手順は、制御部350が発注プログラム341を実行することによって実現される。図12に示す処理手順は、制御部350によって所定のタイミングに実行される。所定のタイミングは、例えば、測定対象物200の管理を開始するタイミング、重量計1に測定対象物200が載置されたタイミング等を含む。
【0071】
図12に示すように、発注装置300の制御部350は、測定対象物200のデフォルトの残量を残量データD20に設定する(ステップS100)。例えば、制御部350は、測定対象物200の容量情報、重量計1に載置開始時の測定対象物200の重量等のデフォルトの残量を取得し、取得した残量を残量データD20に設定する。制御部350は、ステップS100の処理が終了すると、処理をステップS101に進める。
【0072】
制御部350は、残量が通知されたか否かを判定する(ステップS101)。換言すると、制御部350は、重量計1から重量データD10を受信したか否かを判定する。例えば、制御部350は、通信部330を介して、重量計1からの重量データD10を受信している場合に、残量が通知されたと判定する。例えば、重量計1が一日一回の割合で重量データD10を送信する場合、制御部350は、一日一回の割合で残量が通知されたと判定する。制御部350は、残量が通知されていないと判定した場合(ステップS101でNo)、処理を後述するステップS111に進める。また、制御部350は、残量が通知されたと判定した場合(ステップS101でYes)、処理をステップS102に進める。
【0073】
制御部350は、重量データD10と残量データD20との差分を算出する(ステップS102)。例えば、制御部350は、重量データD10から残量データD20を差し引いて差分を算出し、算出した差分を記憶部340に記憶する。制御部350は、ステップS102の処理が終了すると、処理をステップS103に進める。
【0074】
制御部350は、重量が残量よりも増加したか否かを判定する(ステップS103)。例えば、制御部350は、ステップS102で重量から残量を差し引いた差分がプラスである場合に、重量が残量よりも増加したと判定する。制御部350は、重量が残量よりも増加したと判定した場合(ステップS103でYes)、処理をステップS104に進める。制御部350は、残量データD20を変化させない(ステップS104)。すなわち、重量計1からの重量データD10が重量センサ30のゆらぎ等の影響を受けている可能性があるため、制御部350は、重量データD10を残量データD20に反映しない。制御部350は、ステップS104の処理が終了すると、処理を後述するステップS106に進める。
【0075】
また、制御部350は、重量が残量よりも増加していないと判定した場合(ステップS103でNo)、重量が残量よりも減少しているので、処理をステップS105に進める。制御部350は、残量データD20に差分を反映する(ステップS105)。例えば、制御部350は、残量データD20から差分の絶対値を減算する、重量データD10を残量データD20に設定する等の処理を行う。これにより、制御部350は、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させることができる。制御部350は、ステップS105の処理が終了すると、処理をステップS106に進める。
【0076】
制御部350は、残量が発注閾値を下回ったか否かを判定する(ステップS106)。例えば、制御部350は、残量データD20が示す残量値が、設定データ342の発注閾値よりも小さい場合に、残量が発注閾値を下回ったと判定する。制御部350は、残量が発注閾値を下回っていないと判定した場合(ステップS106でNo)、処理を後述するステップS109に進める。
【0077】
また、制御部350は、残量が発注閾値を下回ったと判定した場合(ステップS106でYes)、処理をステップS107に進める。制御部350は、発注処理を開始する(ステップS107)。発注処理を開始するとは、例えば、発注処理を実行することを含む。発注処理は、例えば、通信部330を介して測定対象物200の補充物210を発注する処理、通信部330を介して新たな測定対象物200を発注する処理等を含む。発注処理は、例えば、重量データD10のIDに基づいて測定対象物200を特定して発注内容を決定する処理を含む。発注処理は、例えば、発注内容、納品先等の情報を有する発注データD30を作成する処理を含む。発注処理は、例えば、発注データD30の送信先から発注が確定したことの通知を受け、発注で確定した発注量を示す情報を発注データD30に紐付ける処理を含む。発注処理は、例えば、重量計1から発注後の新たな重量データD10を、発注で確定した発注量として取得する処理を含む。制御部350は、発注処理が終了すると、処理をステップS108に進める。
【0078】
制御部350は、発注で確定した発注量を残量データD20に加算する(ステップS108)。例えば、制御部350は、確定した発注量の値を残量データD20に加算することで、残量データD20に発注した結果を反映する。制御部350は、ステップS108の処理が終了すると、処理をステップS109に進める。
【0079】
制御部350は、ユーザ操作ありか否かを判定する(ステップS109)。例えば、制御部350は、操作部320または通信部330を介した変更操作情報を取得した場合に、ユーザ操作ありと判定する。制御部350は、ユーザ操作がないと判定した場合(ステップS109でNo)、処理を後述するステップS111に進める。また、制御部350は、ユーザ操作ありと判定した場合(ステップS109でYes)、処理をステップS110に進める。
【0080】
制御部350は、残量データD20の変更処理を実行する(ステップS110)。変更処理は、例えば、残量データD20を変更する変更画面を表示させ、変更画面に対する加算、減算の操作に応じて残量データD20が示す残量の値を変更する処理を含む。変更処理は、例えば、制御部350が取得した変更情報に基づいて、残量データD20が示す残量の値を変更する処理を含む。制御部350は、変更処理が終了すると、処理をステップS111に進める。
【0081】
制御部350は、図12に示す処理手順を終了か否かを判定する(ステップS111)。例えば、制御部350は、処理手順の終了タイミングである場合に終了と判定する。終了タイミングは、例えば、発注サービスの終了、終了要求の発生等のタイミングを含む。制御部350は、終了ではないと判定した場合(ステップS111でNo)、処理を既に説明したステップS101に戻し、処理手順を継続する。また、制御部350は、終了と判定した場合(ステップS111でYes)、図12に示す処理手順を終了させる。
【0082】
図12に示す処理手順は、制御部350は、ステップS100の処理を実行することで、設定部353として機能する。制御部350は、ステップS102からステップS105の処理を実行することで、算出部351として機能する。制御部350は、ステップS106からステップS107の処理を実行することで、発注部352として機能する。制御部350は、ステップS108の処理を実行することで、加算部354として機能する。
【0083】
図12に示す処理手順は、ステップS100の処理を、測定対象物200の残量が発注装置300の外部から通知された場合に、通知された値を残量データD20に設定するように構成してもよい。これにより、発注装置300は、利用できるフェーズや重量計1に用いることができる製品を広げることが可能となり、初期設定を簡単化することができる。
【0084】
また、発注システム1000は、発注装置300が発注した測定対象物200の発注量を残量データD20に加算することができる。これにより、発注装置300は、発注量を残量データD20に反映することで、発注後も正確な残量に基づいて発注を管理することができる。発注装置300は、残量データD20に発注量を反映する処理を不要とすることで、利便性を向上させることができる。例えば、測定対象物200が収容可能な量(容量)よりも多くの量を発注しても、発注装置300は、測定対象物200の重量に基づく残量と、予備の残量とを組み合わせて管理することができる。
【0085】
例えば、図12に示す処理手順は、残量データD20の精度をさらに向上させる処理を追加することができる。図13は、発注装置300の制御部350による処理手順の変形例を示すフローチャートである。図13に示す処理手順は、制御部350が発注プログラム341を実行することによって実現される。図13に示す処理手順は、制御部350によって所定のタイミングに実行される。
【0086】
図13に示すステップS100からステップS102及びステップS104からステップS111の処理は、図12に示すステップS100からステップS102及びステップS104からステップS111の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0087】
図13に示すように、制御部350は、重量が残量よりも増加したか否かを判定する(ステップS103)。制御部350は、重量が残量よりも増加したと判定した場合(ステップS103でYes)、処理をステップS104に進める。また、制御部350は、重量が残量よりも増加していないと判定した場合(ステップS103でNo)、重量が残量よりも減少しているので、処理をステップS120に進める。
【0088】
制御部350は、振動検出回数が0回であるか否かを判定する(ステップS120)。例えば、制御部350は、通信部330を介して、重量計1から取得した加速度データに基づいて、操作に応じた振動検出回数を検出して、振動検出回数が0回であるか否かを判定する。制御部350は、振動検出回数が0回であると判定した場合(ステップS120でYes)、測定対象物200が使用されていない可能性が高いため、処理を既に説明したステップS104に進める。これにより、制御部350は、重量が残量よりも増加していない場合でも、測定対象物200が使用されていないため、残量データD20を変化させない。制御部350は、ステップS104の処理が終了すると、上述したように、ステップS106以降の処理を実行する。
【0089】
また、制御部350は、振動検出回数が0回でないと判定した場合(ステップS120でNo)、測定対象物200が使用されている可能性が高いため、処理を既に説明したステップS105に進める。制御部350は、残量データD20に差分を反映する(ステップS105)。これにより、制御部350は、測定対象物200の使用状況に応じて、残量データD20を更新することができるので、残量データD20の精度を向上させることができる。制御部350は、ステップS105の処理が終了すると、上述したように、ステップS106以降の処理を実行する。
【0090】
このように、発注システム1000は、振動検出回数が0回でない場合、すなわち、操作が行われたという判定条件を満たす場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させる。発注システム1000は、振動検出回数が0回である、すなわち、操作が行われたという判定条件を満たしていない場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させない。これにより、発注システム1000は、重量の変化及び測定対象物200に対する操作の有無に基づいて、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させるか否かを判定することができる。その結果、発注システム1000は、発注装置300が誤って発注することを防止できる可能性を向上させることで、重量データD10に基づく発注の精度をより一層向上させることができる。
【0091】
[変形例]
上述の実施形態では、発注システム1000は、重量計1及び発注装置300を用いて、測定対象物200に関する発注を自動で行う場合について説明したが、これに限定されない。本変形例では、上述した重量計1によって発注システム100の各種機能を実現する場合の一例について説明する。
【0092】
図14は、実施形態の変形例に係る重量計1の装置構成を示すブロック図である。重量計1は、重量測定部10に配置される重量センサ30と、通信部配置部50に配置される通信モジュール60と、コントローラ80と、記憶部90とを有している。
【0093】
記憶部90は、プログラム及びデータを記憶する。記憶部90は、コントローラ80の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。記憶部90は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的な記憶媒体を含んでよい。記憶部90は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部90は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。記憶部90は、RAM等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
【0094】
記憶部90は、例えば、発注プログラム91、設定データ92等のデータを記憶する。発注プログラム91は、重量計1で発注動作をさせるための各種制御に関する機能を提供できる。発注プログラム91は、例えば、通信モジュール60を制御することによって、外部の電子機器との通信を実現させる。発注プログラム91は、コントローラ80(コンピュータ)に、重量データD10が残量データD20よりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させ、重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、残量データD20を変化させない算出部81と、残量データD20に基づいて測定対象物の発注に関する処理を実行する発注部82として機能させるプログラムを含む。
【0095】
設定データ92は、発注装置300の発注に関する各種の設定に関する情報を含む。設定データ92は、測定対象物200のユーザに関する情報を含んでよい。設定データ92は、測定対象物に対応した上記の発注閾値を含んでよい。
【0096】
記憶部90は、上述した残量データD20、発注データD30を記憶できる。残量データD20は、測定対象物200の残量を示すデータを含む。残量データD20は、測定対象物200を使用するユーザに関する各種情報が紐付けられている。残量データD20は、例えば、重量計1または発注先を識別可能なID、測定対象物200の残量等の情報を有する。
【0097】
記憶部90は、重量センサ30が測定した重量データD10を時系列に記憶できる。記憶部90は、測定対象物200または測定対象物200を使用するユーザに関する情報に紐付けて、重量データD10を記憶できる。
【0098】
コントローラ80は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部90に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。そして、コントローラ80は、データ及び命令に応じて機能部を制御し、それによって各種機能を実現する。機能部は、例えば、表示部310及び通信部330を含むが、これらに限定されない。
【0099】
コントローラ80は、算出部81及び発注部82の機能部を有する。コントローラ80は、発注プログラム91を実行することによって、算出部81及び発注部82を実現する。
【0100】
算出部81は、重量データD10と残量データD20との差分を算出する。算出部81は、重量データD10が残量データD20よりも減少している場合、重量データD10に基づいて残量データD20を変化させる機能を実現する。算出部81は、重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、残量データD20を変化させない機能を実現する。
【0101】
発注部82は、残量データD20に基づいて、上述した測定対象物200の発注に関する処理を実行する機能を実現する。発注部82は、発注する発注データD30を生成し、発注データD30を発注先に送信する。発注部82は、発注データD30の発注が確定したことを管理する機能を有する。例えば、発注部82は、発注データD30の発注先から確定の通知を受けた場合に、発注が確定したことを記憶する。
【0102】
図15は、重量計1のコントローラ80による処理手順の一例を示すフローチャートである。図15に示す処理手順は、コントローラ80が発注プログラム91を実行することによって実現される。図15に示す処理手順は、コントローラ80によって上述した所定のタイミングに実行される。
【0103】
図15に示すように、発注装置300のコントローラ80は、測定対象物200のデフォルトの残量を残量データD20に設定する(ステップST100)。例えば、コントローラ80は、測定対象物200の容量情報、重量計1に載置開始時の測定対象物200の重量等のデフォルトの残量を残量データD20に設定する。コントローラ80は、ステップST100の処理が終了すると、処理をステップST101に進める。
【0104】
コントローラ80は、測定タイミングであるか否かを判定する(ステップST101)。例えば、コントローラ80は、タイマーがタイムアウトしたタイミング、予め設定されたタイミング、所定の振動が発生したタイミング等を検出した場合に、測定タイミングであると判定する。コントローラ80は、測定タイミングではないと判定した場合(ステップST101でNo)、処理を後述するステップST113に進める。また、コントローラ80は、測定タイミングであると判定した場合(ステップST101でYes)、処理をステップST102に進める。
【0105】
コントローラ80は、重量センサ30で重量データD10を測定する(ステップST102)。例えば、コントローラ80は、重量センサ30をONさせて測定対象物200の重量を測定させ、重量データD10を記憶部90に記憶する。コントローラ80は、重量の測定が終了すると、重量センサ30をOFFさせてもよい。コントローラ80は、ステップST102の処理が終了すると、処理をステップST103に進める。
【0106】
コントローラ80は、重量データD10と残量データD20との差分を算出する(ステップST103)。例えば、コントローラ80は、重量データD10から残量データD20を差し引いて差分を算出し、算出した差分を記憶部90に記憶する。コントローラ80は、ステップST103の処理が終了すると、処理をステップST104に進める。
【0107】
コントローラ80は、重量が残量よりも増加したか否かを判定する(ステップST104)。例えば、コントローラ80は、ステップST103で重量から残量を差し引いた差分がプラスである場合に、重量が残量よりも増加したと判定する。コントローラ80は、重量が残量よりも増加したと判定した場合(ステップST104でYes)、処理をステップST105に進める。コントローラ80は、残量データD20を変化させない(ステップST105)。すなわち、重量データD10が重量センサ30の揺らぎ等の影響を受けている可能性があるため、コントローラ80は、重量データD10を残量データD20に反映しない。コントローラ80は、ステップST105の処理が終了すると、処理を後述するステップST108に進める。
【0108】
また、コントローラ80は、重量が残量よりも増加していないと判定した場合(ステップST104でNo)、重量が残量よりも減少しているので、処理をステップST106に進める。コントローラ80は、振動検出回数が0回であるか否かを判定する(ステップST106)。例えば、コントローラ80は、加速度センサ62が測定した加速度データに基づいて、操作に応じた振動検出回数を検出して、振動検出回数が0回であるか否かを判定する。コントローラ80は、振動検出回数が0回であると判定した場合(ステップST106でYes)、測定対象物200が使用されていない可能性が高いため、処理を既に説明したステップST105に進める。これにより、コントローラ80は、重量が残量よりも増加していない場合でも、測定対象物200が使用されていないため、残量データD20を変化させない(ステップST105)。コントローラ80は、ステップST105の処理が終了すると、処理を後述するステップST108に進める。
【0109】
また、コントローラ80は、振動検出回数が0回でないと判定した場合(ステップST106でNo)、測定対象物200が使用されている可能性が高いため、処理をステップST107に進める。コントローラ80は、残量データD20に差分を反映する(ステップST107)。これにより、コントローラ80は、測定対象物200の使用状況に応じて、残量データD20を更新することができるので、残量データD20の精度を向上させることができる。コントローラ80は、ステップST107の処理が終了すると、処理をステップST108に進める。
【0110】
コントローラ80は、残量が発注閾値を下回ったか否かを判定する(ステップST108)。例えば、コントローラ80は、残量データD20が示す残量値が、設定データ92の発注閾値よりも小さい場合に、残量が発注閾値を下回ったと判定する。コントローラ80は、残量が発注閾値を下回っていないと判定した場合(ステップST108でNo)、処理を後述するステップST111に進める。
【0111】
また、コントローラ80は、残量が発注閾値を下回ったと判定した場合(ステップST108でYes)、処理をステップST109に進める。コントローラ80は、発注処理を開始する(ステップST109)。発注処理は、例えば、通信モジュール60を介して測定対象物200の補充物210を発注する処理、通信モジュール60を介して新たな測定対象物200を発注する処理等を含む。発注処理は、例えば、重量データD10のIDに基づいて測定対象物200を特定して発注内容を決定する処理を含む。発注処理は、例えば、発注内容、納品先等の情報を有する発注データD30を作成する処理を含む。発注処理は、例えば、発注データD30の送信先から発注が確定したことの通知を受け、発注で確定した発注量を示す情報を発注データD30に紐付ける処理を含む。発注処理は、例えば、発注後の新たな重量データD10を、発注で確定した発注量として設定する処理を含む。コントローラ80は、発注処理が終了すると、処理をステップST110に進める。
【0112】
コントローラ80は、発注で確定した発注量を残量データD20に加算する(ステップST110)。例えば、コントローラ80は、確定した発注量の値を残量データD20に加算することで、残量データD20に発注した結果を反映する。コントローラ80は、ステップST110の処理が終了すると、処理をステップST111に進める。
【0113】
コントローラ80は、ユーザ操作ありか否かを判定する(ステップST111)。例えば、コントローラ80は、通信モジュール60を介して、他の電子機器等から変更操作情報を受信した場合に、ユーザ操作ありと判定する。コントローラ80は、ユーザ操作がないと判定した場合(ステップST111でNo)、処理を後述するステップST113に進める。また、コントローラ80は、ユーザ操作ありと判定した場合(ステップST111でYes)、処理をステップST112に進める。
【0114】
コントローラ80は、残量データD20の変更処理を実行する(ステップST112)。変更処理は、例えば、受信した変更操作情報に基づいて、残量データD20が示す残量の値を変更する処理を含む。コントローラ80は、変更処理が終了すると、処理をステップST113に進める。
【0115】
コントローラ80は、図15に示す処理手順を終了か否かを判定する(ステップST113)。例えば、コントローラ80は、処理手順の終了タイミングである場合に終了と判定する。終了タイミングは、例えば、発注サービスの終了、終了要求の発生等のタイミングを含む。コントローラ80は、終了ではないと判定した場合(ステップST113でNo)、処理を既に説明したステップST101に戻し、処理手順を継続する。また、コントローラ80は、終了と判定した場合(ステップST113でYes)、図15に示す処理手順を終了させる。
【0116】
図15に示す処理手順は、ステップST100の処理を、測定対象物200の残量が重量計1の外部から通知された場合に、通知された値を残量データD20に設定するように構成してもよい。これにより、重量計1は、利用できるフェーズや重量計1が計測する測定対象物200の種類を広げることができる。
【0117】
図15に示す処理手順は、コントローラ80は、ステップST103からステップS107の処理を実行することで、算出部81として機能する。コントローラ80は、ステップST108からステップST109の処理を実行することで、発注部82として機能する。
【0118】
以上のように、重量計1は、重量センサ30で測定した重量データD10が残量データD20よりも増加している場合、発注装置300が残量データD20を変化させないので、重量センサ30における揺らぎの影響を受けることなく、測定対象物200の残量データD20を管理することができる。その結果、重量計1は、残量データD20に基づいて誤って発注することを防止できるので、重量データD10に基づく発注の精度を向上させることができる。
【0119】
上述した変形例に係る重量計1は、測定対象物200に対するユーザの操作に応じて残量を管理するように、変形することもできる。
【0120】
図16は、実施形態の他の変形例に係る重量計1の装置構成を示すブロック図である。重量計1は、重量測定部10に配置される重量センサ30と、通信部配置部50に配置される通信モジュール60と、コントローラ80と、記憶部90とを有している。
【0121】
記憶部90の発注プログラム91は、コントローラ80を、測定対象物200に対する使用操作を検出すること、使用操作を検出した場合、重量センサ30が測定した重量データD10に基づいて、残量データD20を変化させ、使用操作を検出していない場合、前記残量データD20を変化させないこと、残量データD20に基づいて測定対象物200の発注に関する処理を実行すること、を実行させるプログラムを含む。
【0122】
記憶部90は、回数データD40をさらに記憶できる。回数データD40は、使用操作を検出した回数を示すデータを含む。例えば、測定対象物200がハンドソープである場合、回数データD40は、押圧部201を押圧した回数を示すデータを含む。すなわち、使用操作は、例えば、測定対象物200を使用するための操作を含む。ハンドソープの場合は、使用操作は、測定対象物200の押圧部201を押圧(プッシュ)する操作である。回数データD40は、例えば、押圧部201の押圧に応じた重量の変化の回数を示すデータを含んでよい。回数データD40は、1回の使用ごとに、使用操作の回数を記録することで、ユーザが測定対象物200を使用する際の特徴や使用量の解析、機械学習等に用いるが可能になる。
【0123】
記憶部90の重量データD10は、例えば、押圧部201の押圧から所定周期で所定時間内の重量の波形データを含んでよい。所定時間は、例えば、使用操作に応じて重量が安定するまでの時間等を設定できる。所定時間は、例えば、数秒の時間等を含む。これにより、重量計1は、重量データD10を、押圧部201の使用操作に応じた重量の変化のパターンとする機械学習に用いることができる。
【0124】
コントローラ80は、算出部81、発注部82及び検出部83の機能部を有する。コントローラ80は、発注プログラム91を実行することによって、算出部81、発注部82及び検出部83を実現する。
【0125】
検出部83は、測定対象物に対する使用操作を検出する機能を提供できる。検出部83は、例えば、重量センサ30が計測した重量データD10の変化等に基づいて、使用操作を検出する。測定対象物200がハンドソープである場合、使用操作は、押圧部201の押圧する操作を含む。この場合、重量センサ30が測定する重量データD10は、押圧に応じて変化するパターンを示す。検出部83は、重量データD10が示す押圧に応じた重量の変化のパターンに基づいて、使用操作を検出する。検出部83は、使用操作の検出結果を記憶部90に記憶する。
【0126】
算出部81は、検出部83が使用操作を検出した場合、重量センサ30が測定した重量データD10に基づいて、残量データD20を変化させる機能を実現する。算出部81は、検出部83が使用操作を検出していない場合、残量データD20を変化させない機能を実現する。算出部81は、使用操作を検出した場合に、重量センサ30の活動を開始させ、重量センサ30が測定した重量データD10に基づいて、残量データD20を変化させると、重量センサ30の活動を停止させる機能を実現する。
【0127】
図17は、実施形態の他の変形例に係る重量計1のコントローラ80による処理手順の一例を示すフローチャートである。図17に示す処理手順は、コントローラ80が発注プログラム91を実行することによって実現される。図17に示す処理手順は、コントローラ80によって上述した所定のタイミングに実行される。
【0128】
図17に示すように、発注装置300のコントローラ80は、測定対象物200のデフォルトの残量を残量データD20に設定する(ステップST200)。コントローラ80は、重量センサ30をOFFさせる(ステップST201)。これにより、コントローラ80は、重量センサ30を活動させないことで、重量計1における電力消費を抑制する。コントローラ80は、ステップST201の処理が終了すると、処理をステップST202に進める。
【0129】
コントローラ80は、所定の震度ありか否かを判定する(ステップST202)。例えば、重量計1の加速度センサ62は、ユーザが測定対象物200を使用操作した場合に発生する加速度を計測することができる。このため、コントローラ80は、加速度センサ62の測定した加速度データが所定の振動を示している場合に、所定の振動ありと判定する。所定の振動は、例えば、測定対象物200の使用操作に応じた振動を含む。コントローラ80は、所定の振動がないと判定した場合(ステップST202でNo)、処理を後述するステップST213に進める。また、コントローラ80は、所定の振動ありと判定した場合(ステップST202でYes)、処理をステップST203に進める。
【0130】
コントローラ80は、重量センサ30をONして重量データD10を測定する(ステップST203)。例えば、コントローラ80は、電力消費を抑えていた重量センサ30を活動させ、重量センサ30によって重量データD10を測定する。コントローラ80は、ステップST203の処理が終了すると、処理をステップST204に進める。
【0131】
コントローラ80は、使用操作を検出したか否かを判定する(ステップST204)。例えば、コントローラ80は、重量データD10に基づいて、所定の振動を検出してから数秒の間の重量の変化を検出した場合に、使用操作を検出したと判定する。コントローラ80は、使用操作を検出したと判定した場合(ステップST204でYes)、処理をステップST205に進める。
【0132】
コントローラ80は、測定した重量データD10を記憶部90に記憶する(ステップST205)。例えば、コントローラ80は、重量センサ30の重量データD10を時系列で記憶部90に記憶する。コントローラ80は、重量データD10に基づいて残量データD20を変更する(ステップST206)。例えば、コントローラ80は、重量データD10に基づいて残量の値を算出し、算出した残量の値を示すように残量データD20を変更する。コントローラ80は、検出した操作の回数データD40を記憶部90に記憶する(ステップST207)。例えば、コントローラ80は、重量データD10及び加速度データに基づいて、ユーザの操作回数をカウントし、当該操作回数を回数データD40に反映する。コントローラ80は、ステップST207の処理が終了すると、処理を後述するステップST209に進める。
【0133】
また、コントローラ80は、使用操作を検出していないと判定した場合(ステップST204でNo)、処理をステップST208に進める。コントローラ80は、残量データD20を変化させない(ステップST208)。すなわち、使用操作を検出していないため、コントローラ80は、重量データD10を残量データD20に反映しない。コントローラ80は、ステップST208の処理が終了すると、処理を後述するステップST209に進める。
【0134】
コントローラ80は、重量センサ30をOFFさせる(ステップST209)。コントローラ80は、残量が発注閾値を下回ったか否かを判定する(ステップST210)。例えば、コントローラ80は、残量データD20が示す残量の値が、設定データ92の発注閾値よりも小さい場合に、残量が発注閾値を下回ったと判定する。コントローラ80は、残量が発注閾値を下回っていないと判定した場合(ステップST210でNo)、処理を後述するステップST213に進める。
【0135】
また、コントローラ80は、残量が発注閾値を下回ったと判定した場合(ステップST210でYes)、処理をステップST211に進める。コントローラ80は、上述したステップST109と同様に、発注処理を開始する(ステップST211)。コントローラ80は、発注処理が終了すると、処理をステップST212に進める。
【0136】
コントローラ80は、発注で確定した発注量を残量データD20に加算する(ステップST212)。例えば、コントローラ80は、確定した発注量の値を残量データD20に加算することで、残量データD20に発注した結果を反映する。コントローラ80は、ステップST212の処理が終了すると、処理をステップST213に進める。
【0137】
コントローラ80は、図17に示す処理手順を終了か否かを判定する(ステップST213)。例えば、コントローラ80は、処理手順の終了タイミングである場合に終了と判定する。終了タイミングは、例えば、発注サービスの終了、終了要求の発生等のタイミングを含む。コントローラ80は、終了ではないと判定した場合(ステップST213でNo)、処理を既に説明したステップST202に戻し、処理手順を継続する。また、コントローラ80は、終了と判定した場合(ステップST213でYes)、図17に示す処理手順を終了させる。
【0138】
図17に示す処理手順は、コントローラ80は、ステップST204からステップS208の処理を実行することで、算出部81として機能する。コントローラ80は、ステップST210からステップST211の処理を実行することで、発注部82として機能する。
【0139】
図17に示す処理手順は、ステップSST208の処理を変更する、あるいは、ステップST208の前後に処理を追加してもよい。追加する処理は、例えば、残量データD20、デバッグ用途のデータ、1日当たりの使用操作の回数を示すデータ等をサーバ、管理装置等に送信する処理や記録する処理を含む。これにより、重量計1は、残量データD20を変化させない状況の解析を支援することができる。
【0140】
以上のように、重量計1は、測定対象物200に対する使用操作を検出していない場合、発注装置300が残量データD20を変化させないので、重量計1における揺らぎ等の影響を受けることなく、測定対象物200の残量を管理することができる。その結果、重量計1は、残量データD20に基づいて誤って発注することを防止できるので、重量データD10に基づく発注の精度を向上させることができる。
【0141】
上述した変形例に係る重量計1は、算出部81及び発注部82の双方を実行する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、重量計1は、算出部81または発注部82の機能を、連携するクラウドサーバ等で実施するように構成してよい。
【0142】
上述した本実施形態に係る発注システム1000及び変形例に係る重量計1は、重量データD10を用いて測定対象物200を自動発注する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、発注システム1000及び重量計1は、発注に係る処理として、ユーザ、管理者等に発注を促す処理を実行して発注を行うように構成してもよい。
【0143】
上述した本実施形態に係る発注システム1000及び変形例に係る重量計1おいては、使用操作を検出するためのセンサとして、重量センサ30および加速度センサ62を一例として示したが、重量計1は、使用操作を検出するためのセンサとして他のセンサを備えてもよい。重量計1は、使用操作を検出するためのセンサとして、例えば、赤外線センサ、近接センサ、ToF(Time of Flight)カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、カメラを用いてよい。具体的には、重量計1は、赤外線センサ、近接センサ、ToFカメラ、LIDAR、カメラ又はマイクロフォン(マイク)等を用いてよい。重量計1は、赤外線センサ、近接センサ、ToFカメラ、LIDAR又はカメラにより取得した情報に基づき、重量計1の近傍にユーザが所定の時間継続していないと判断すると、重量計1が使用操作されなかった(言い換えると、使用操作を検出しなかった)とみなしてよい。重量計1は、赤外線センサ、近接センサ、ToFカメラ、LIDAR又はカメラにより取得した情報に基づき、重量計1の近傍にユーザが所定の時間継続していると判断すると、重量計1が使用操作された(言い換えると、使用操作を検出した)とみなしてよい。
【0144】
また、重量計1は、使用操作を検出するためのセンサとして、例えば、マイクロフォンを用いてよい。具体的に、重量計1は、マイクロフォンから、所定以上のユーザの音声を取得しなければ、重量計1が使用操作されなかった(言い換えると、使用操作を検出しなかった)とみなしてよい。重量計1は、マイクロフォンから、所定以上のユーザの音声を取得すれば、重量計1が使用操作された(言い換えると、使用操作を検出した)とみなしてよい。重量計1は、マイクロフォンから、特定の音声(例えば、蛇口から水がでる音、等)を所得しなければ、重量計1が使用操作されなかった(言い換えると、使用操作を検出しなかった)とみなしてよい。重量計1は、マイクロフォンから、特定の音声(例えば、蛇口から水がでる音、等)を所得すれば、重量計1が使用操作された(言い換えると、使用操作を検出した)とみなしてよい。
【0145】
また、重量計1は、使用操作を検出するためのセンサとして上記で説明したセンサを複数備え、複数の当該センサを用いて、使用操作を検出したか否かを検出してもよい。
【0146】
また、重量計1の使用操作を検出したか否かの機能を、重量計1と連携するクラウドサーバ等で実施するように構成してよい。例えば、クラウドサーバが重量計1から、上述した使用操作を検出するためのセンサの情報を受信し、クラウドサーバが、受信した情報に基づいて重量計1の使用操作を検出してもよい。
【0147】
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【符号の説明】
【0148】
1 重量計
10 重量測定部
11 重量測定部本体部
30 重量センサ
40 トレイ
50 通信部配置部
60 通信モジュール
61 アンテナ
62 加速度センサ
80 コントローラ
90 記憶部
91 発注プログラム
92 設定データ
200 測定対象物
201 押圧部
300 発注装置
330 通信部
340 記憶部
341 発注プログラム
342 設定データ
350 制御部
351 算出部
352 発注部
353 設定部
354 加算部
1000 発注システム
D10 重量データ
D20 残量データ
D30 発注データ
D40 回数データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17