(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】モビリティ支援システム、車両配車装置およびモビリティ支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240906BHJP
B66B 1/18 20060101ALI20240906BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240906BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G06Q50/40
B66B1/18 F
G08G1/005
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2020114410
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】坂野 佑樹
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119038(JP,A)
【文献】特開2022-007216(JP,A)
【文献】特開2011-236020(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221296(WO,A1)
【文献】特許第6835263(JP,B2)
【文献】セコム株式会社,「バーチャル警備システム」による発熱者対応の実証実験を実施,2020年06月01日,[2024年2月5日検索],インターネット<URL:https://www.secom.co.jp/corporate/release/2020/pdf/nr_20200601.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B66B 1/18
G08G 1/005
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体調と当該体調に応じて利用可能な設備との対応を示す対応設備情報を記憶する記憶部と、
目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を
、前記利用者ごとに受信する体調情報受信部と、
前記記憶部に記憶されている前記対応設備情報と前記体調情報受信部によって受信された前記体調情報である受信体調情報とを用いて、
前記利用者ごとに前記受信体調情報に対応する前記利用者が前記目的地までの移動で利用する前記設備である利用設備を決定するモビリティ支援処理部と、
を備え
、
前記設備は車両を含み、前記車両は複数の前記利用者が同乗可能な車両を少なくとも含むことを特徴とするモビリティ支援システム。
【請求項2】
誘導装置と、
前記利用設備を前記誘導装置へ通知する送信部と、
を備え、
前記誘導装置は、前記利用設備へ前記受信体調情報に対応する前記利用者を誘導することを特徴とする請求項1に記載のモビリティ支援システム。
【請求項3】
前記設備の分類である設備分類ごとの、前記設備分類に対応する前記設備を示す情報を含む設備情報を受信する設備情報受信部と、
利用者の体調と前記設備分類との対応を示す対応関係の入力を受け付ける入力部とを備え、
前記モビリティ支援処理部は、前記対応関係と前記設備情報とに基づいて前記対応設備情報を生成して前記記憶部へ格納することを特徴とする請求項2に記載のモビリティ支援システム。
【請求項4】
モビリティ支援装置と、
前記設備を管理する管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、前記設備情報を前記モビリティ支援装置へ送信し、
前記モビリティ支援装置は、
前記記憶部、前記体調情報受信部、前記モビリティ支援処理部、前記設備情報受信部および前記入力部を備えることを特徴とする請求項3に記載のモビリティ支援システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記車両の配車を管理する車両配車装置であり、
前記モビリティ支援装置の前記送信部は、前記車両配車装置へ前記利用設備を通知し、
前記車両配車装置は、前記モビリティ支援装置から通知された前記利用設備を前
記誘導装置が前記利用者を誘導する場所へ配車することを特徴とする請求項4に記載のモビリティ支援システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記車両の配車を行う車両配車装置であり、
前記モビリティ支援装置の前記送信部は、前記車両配車装置へ前記利用設備を通知し、
前記車両配車装置は、前記モビリティ支援装置から通知された前記利用設備に対応する乗車券を発券するための発券処理を行うことを特徴とする請求項4に記載のモビリティ支援システム。
【請求項7】
前記設備は
、さらに病院内設備を含み、
前記設備情報は、出発地から前記目的地までの経路が分割された区間のそれぞれに関する前記設備分類ごとの前記設備分類に対応する前記設備を示す情報を含み、
前記モビリティ支援装置は、前記区間ごとに前記利用設備を決定することを特徴とする請求項4に記載のモビリティ支援システム。
【請求項8】
前記モビリティ支援装置は、
前記受信体調情報に対応する利用者の位置を示す位置情報を受信する位置情報受信部、
を備え、
前記モビリティ支援処理部は、前記区間ごとに定められた誘導開始位置と前記位置情報により示される位置との差がしきい値以下となった場合に、前記送信部に前記利用設備を誘導装置へ通知させることを特徴とする請求項
7に記載のモビリティ支援システム。
【請求項9】
前記設備は、移動設備および固定設備を含み、
前記移動設備は、前記車両を含み、
前記出発地は駅前を含み、前記目的地は、病院の診察室を含むことを特徴とする請求項7または8に記載のモビリティ支援システム。
【請求項10】
前記モビリティ支援処理部は、前記区間のうち少なくとも1つの区間に関して、前記受信体調情報に基づいて前記利用者が発熱していると判定した場合、当該利用者が利用する前記利用設備として、前記移動設備と当該利用者が前記移動設備を用いて移動する前記固定設備とを決定し、前記受信体調情報に基づいて前記利用者が発熱していないと判定した場合、当該利用者が利用する前記利用設備として、当該利用者が徒歩で移動する前記固定設備を決定することを特徴とする請求項9に記載のモビリティ支援システム。
【請求項11】
前記誘導装置は、前記利用者に対応する前記車両を識別する情報を表示することを特徴とする請求項2に記載のモビリティ支援システム。
【請求項12】
前記設備情報は、出発地から前記目的地までの経路が分割された区間のそれぞれに関する前記設備分類ごとの前記設備分類に対応する前記設備を示す情報を含み、
前記モビリティ支援装置は、前記区間ごとに前記利用設備を決定することを特徴とする請求項4に記載のモビリティ支援システム。
【請求項13】
前記車両はパーソナルモビリティビークルをさらに含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載のモビリティ支援システム。
【請求項14】
前記車両の出発地は駅前を含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1つに記載のモビリティ支援システム。
【請求項15】
前記目的地は、病院前のバス停およびサービス付き高齢者向け住宅のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項14に記載のモビリティ支援システム。
【請求項16】
設備の分類である設備分類と前記設備分類に属する前記設備を利用可能な利用者の体調との対応を示す対応関係を記憶する記憶部と、
目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を
、前記利用者ごとに受信する体調情報受信部と、
前記記憶部に記憶されている前記対応関係と前記体調情報受信部によって受信された前記体調情報である受信体調情報とを用いて、
前記利用者ごとに前記受信体調情報に対応する前記設備分類を決定するモビリティ支援処理部と、
前記設備分類ごとの、前記設備分類に対応する前記設備を示す情報を含む設備情報を記憶する設備情報記憶部と、
前記モビリティ支援処理部により決定された前記設備分類と前記設備情報記憶部に記憶されている前記設備情報とを用いて、
前記利用者ごとに前記受信体調情報に対応する前記利用者が前記目的地までの移動で利用する前記設備である利用設備を決定する設備決定部と、
を備え
、
前記設備は車両を含み、前記車両は複数の前記利用者が同乗可能な車両を少なくとも含むことを特徴とするモビリティ支援システム。
【請求項17】
設備を管理する管理装置と、
モビリティ支援装置と、
を備え、
前記モビリティ支援装置は、
前記記憶部、前記体調情報受信部および前記モビリティ支援処理部を備え、
前記管理装置は、
前記設備情報記憶部および前記設備決定部を備え、
前記モビリティ支援装置は、モビリティ支援処理部によって決定された前記設備分類を前記管理装置へ送信することを特徴とする請求項1
6に記載のモビリティ支援システム。
【請求項18】
車両である設備の分類である設備分類と前記設備分類に属する前記設備を利用可能な体調との対応を示す対応関係を記憶する記憶部と、
目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を
、前記利用者ごとに受信する体調情報受信部と、
前記記憶部に記憶されている前記対応関係と前記体調情報受信部によって受信された前記体調情報である受信体調情報とを用いて、
前記利用者ごとに前記受信体調情報に対応する前記設備分類を決定するモビリティ支援処理部と、
前記設備分類ごとの、前記設備分類に対応する前記設備を示す情報を含む設備情報を記憶する設備情報記憶部と、
前記モビリティ支援処理部により決定された前記設備分類と前記設備情報記憶部に記憶されている前記設備情報とを用いて、前記受信体調情報に対応する前記利用者が前記目的地までの移動で利用する前記設備である利用設備を決定する設備決定部と、
前記利用設備を配車する配車管理部と、
を備え
、
前記車両は複数の前記利用者が同乗可能な車両を少なくとも含むことを特徴とする車両配車装置。
【請求項19】
コンピュータに、
目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を
、前記利用者ごとに受信する体調情報受信ステップと、
体調と当該体調に応じて利用可能な設備との対応を示す対応設備情報と、前記体調情報受信ステップで受信された前記体調情報である受信体調情報とを用いて、
前記利用者ごとに前記受信体調情報に対応する前記利用者が前記目的地までの移動で利用する前記設備である利用設備を決定するモビリティ支援ステップと、
を実行させる
プログラムであって、
前記設備は車両を含み、前記車両は複数の前記利用者が同乗可能な車両を少なくとも含むことを特徴とするモビリティ支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者の移動を支援するモビリティ支援システム、車両配車装置、エレベータ管理装置、発券装置、設備管理装置およびモビリティ支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウィルス感染症(COVID-19:Coronavirus disease 2019)、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)をはじめとした感染症の拡大を抑制するための様々な対策が検討されている。特許文献1には、SARSに感染している人が他の人と接触することを避けるための技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、門などの前に設けられた温度センサーによって、門を通過して店舗などへ入場しようとする利用者の体温を検出し、検出された体温が38℃を超える場合にはドアロックを行うことにより、SARSの感染が疑われる利用者が、他の利用者および店員と接触することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、感染が疑われる利用者の入場を規制するのみである。このため、利用者が目的地へ移動する際に、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができない。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができるモビリティ支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかるモビリティ支援システムは、体調と当該体調に応じて利用可能な設備との対応を示す対応設備情報を記憶する記憶部、を備える。モビリティ支援システムは、さらに、目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を、利用者ごとに受信する体調情報受信部と、記憶部に記憶されている対応設備情報と体調情報受信部によって受信された体調情報である受信体調情報とを用いて、利用者ごとに受信体調情報に対応する利用者が目的地までの移動で利用する設備である利用設備を決定するモビリティ支援処理部と、を備え、設備は車両を含み、車両は複数の利用者が同乗可能な車両を少なくとも含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1のモビリティ支援装置における登録処理手順の一例を示すフローチャート
【
図3】実施の形態1の、利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係の一例を示す図
【
図4】実施の形態1の利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係の別の一例を示す図
【
図9】実施の形態1のモビリティ支援装置における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図10】実施の形態1のモビリティ支援装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【
図11】実施の形態1の変形例1のモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図12】実施の形態1の変形例1の登録処理手順の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態1の変形例1のモビリティ支援装置における利用する設備分類の決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図14】実施の形態1の変形例1の車両配車装置における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図15】実施の形態1の変形例2のモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図16】実施の形態1の変形例2の車両配車装置における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図17】実施の形態2にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図20】実施の形態3にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図23】実施の形態4にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図24】実施の形態4の発券装置における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図27】実施の形態5にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図28】実施の形態5の出発地から目的地までの複数の区間の一例を示す図
【
図29】実施の形態5の利用者が移動する病院の各階の概略見取り図
【
図30】実施の形態5のモビリティ支援装置の登録処理手順の一例を示すフローチャート
【
図32】実施の形態5の設備情報の別の一例を示す図
【
図33】実施の形態5における各ポイントのグループに属する位置を示すポイント位置情報の一例を示す図
【
図34】実施の形態5の対応設備情報の一例を示す図
【
図35】実施の形態5のモビリティ支援装置における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図36】実施の形態6にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図
【
図39】実施の形態6のモビリティ支援装置がエレベータ管理装置から受信する分類情報の一例を示す図
【
図40】実施の形態6のモビリティ支援装置が車両配車装置から受信する分類情報の一例を示す図
【
図41】実施の形態6のモビリティ支援装置が設備情報入力装置から受信する分類情報の一例を示す図
【
図42】実施の形態6のエレベータ管理装置が記憶する設備情報の一例を示す図
【
図43】実施の形態6の設備情報入力装置が記憶する設備情報の一例を示す図
【
図44】実施の形態6における区間ごとの利用可能な設備分類を総合的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかるモビリティ支援システム、車両配車装置、エレベータ管理装置、発券装置、設備管理装置およびモビリティ支援プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2、車両配車装置3および誘導装置4を備える。本実施の形態のモビリティ支援システムは、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者は車両を利用して移動を行うことを想定する。車両は、例えば、バス、タクシー、パーソナルモビリティビークル(PMV:Personal Mobility Vehicle)などである。
【0011】
ここでは、本実施の形態のモビリティ支援システムが、支援の対象とする移動の出発地と目的地が同一の利用者に関して移動の支援を行う例を説明する。しかしながら、本実施の形態のモビリティ支援システムは、出発地および目的地のいずれか1つが複数の場合にも適用可能である。以下では、出発地と目的地がそれぞれ1つの例について説明する。出発地は、例えば、電車の駅の駅前、バス停などであり、目的地は、例えば、病院前のバス停、サービス付き高齢者向け住宅などであるが、これらに限定されない。また、本実施の形態のモビリティ支援システムが、利用者の往復の移動を支援する場合には、復路に関しては、往路と目的地と出発地を入れ替えて同様の動作を行えばよい。
【0012】
体調情報入力装置1は、例えば、出発地または出発地の近傍に設置される。ここでいう出発地とはある地点に限らず、ある程度の広さをもった領域も含む。例えば、電車のA駅の駅前を出発地点とする場合、A駅の駅前のある地点だけでなくA駅から一定距離内の範囲全体が出発地点となる。後述するように、本実施の形態では、利用者の体調に応じて移動に用いられる車両が決定され、車両が配車される地点、すなわち利用者が誘導される地点は多少異なる場合もあるが、広い意味ではA駅の駅前である。本実施の形態では、出発地は、A駅の駅前などのようにある程度の広さを持った領域を含む。
【0013】
体調情報入力装置1は、出発地から離れた場所に設置されてもよいが、体調情報入力装置1が出発地から離れた場所に設置される場合には、体調情報入力装置1の設置場所から出発地までの移動は本実施の形態の移動の支援の対象外とし、利用者が任意の方法で出発地まで移動する。以下では、体調情報入力装置1は、出発地または出発地の近傍に設置される例を説明する。
【0014】
体調情報入力装置1は、目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を取得して、体調情報をモビリティ支援装置2へ送信する。体調情報入力装置1は、例えば、体温、血圧などの利用者の体調情報を取得する計測装置を備える。計測装置は、サーモグラフィ、カメラ、赤外線センサ、血圧計などである。体調情報入力装置1は、利用者から体調情報の入力を受け付けてもよい。例えば、体調情報入力装置1は、体調に関する質問事項に利用者が回答した結果を含む問診結果、利用者が体調に関する検査を行った検査結果を、体調情報として利用者からの入力を受け付けてもよい。検査結果には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)検査の結果、胸部CT(Computed Tomography)検査の結果などのように、感染症に感染しているか否かの検査結果が含まれていてもよい。また、検査結果には、ウィルスへの抗体の有無を調べた結果が含まれても良い。また、利用者が身に着けているウェアラブル端末など、利用者が保持する端末が利用者の体調情報を取得し、体調情報入力装置1は、当該端末から体調情報を受信することにより利用者の体調情報を取得してもよい。また、利用者が利用者の保持する端末に問診結果、検査結果などを入力し、当該端末が体調情報入力装置1へ送信することで、体調情報入力装置1が体調情報を取得してもよい。
【0015】
モビリティ支援装置2は、体調情報入力装置1から受信した体調情報に基づいて利用者の移動のために利用する設備である利用設備を決定し、決定した利用設備を車両配車装置3および誘導装置4へ通知する。
【0016】
車両配車装置3は、各車両の配車を管理する装置である。車両配車装置3は、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。車両配車装置3は、配車を決定すると、決定結果を各車両の運行計画として表示するまたは車両の運転者などに送信する。これにより、車両配車装置3により決定された運行計画にしたがった配車が実現される。また、車両配車装置3は、モビリティ支援装置2から利用設備を通知されると、通知された利用設備を、出発地の当該利用設備に対応する地点、すなわち誘導装置4が利用者を誘導する場所へ配車する。
【0017】
誘導装置4は、モビリティ支援装置2から通知された利用設備へ利用者を誘導する。例えば、誘導装置4は、利用設備を識別する情報、および利用設備へ向かう方向を示す情報のうち少なくとも一方を表示することにより利用者を利用設備へ誘導する。誘導装置4は、例えば、デジタルサイネージ、路面ライティング、デジタル表示、携帯端末への表示などによって、利用設備すなわち利用する車両の識別情報、利用設備が配車される地点への方向を示す情報などを表示する。利用設備の識別情報は、例えば、「乗合バス1号車」、「パーソナルモビリティビークル2号車」などである。利用設備が配車される地点への方向を示す情報の表示は、路面、柱などに表示される矢印であってもよいし、「直進して次の角を右手に進んでください」といった文字であってもよいし、地図に経路が矢印で示されたものであってもよく、利用者が方向を視認できる表示であればどのような表示が用いられてもよい。
【0018】
誘導装置4は、例えば、利用設備を識別する情報、および利用設備へ向かう方向を示す情報のうち少なくとも一方を音声により利用者へ通知してもよい。誘導装置4は、例えば、音声によって、利用設備が配車される地点への方向を示す利用者に通知する。例えば、誘導装置4がスピーカを備え、スピーカにより、利用設備が配車される地点がアナウンスされてもよい。
【0019】
また、誘導装置4は、開閉可能なゲートを制御する装置であってもよい。例えば、利用設備が配車される地点へ向かう経路にゲートを設け、利用者が利用する利用設備が配車される地点に対応するゲートを開放し、他のゲートを閉じるように制御することで、利用者を利用設備に誘導してもよい。
【0020】
また、誘導装置4は、移動可能であり、利用設備へ利用者とともに移動することにより利用者を利用設備へ誘導してもよい。具体的には、誘導装置4は、例えば、ロボットであってもよい。誘導装置4がロボットの場合、例えば、音声で利用者の移動方向を利用者へ伝えるとともに利用者とともに移動することで利用者を利用設備が配車される地点へ誘導する。また、誘導装置4はPMVであり、利用者を載せて移動することにより、利用者を利用設備が配車される地点へ誘導してもよい。
【0021】
誘導装置4は、上述した表示、音声、ゲートの開閉のうち2つ以上を組み合わせて実施してもよい。また、誘導装置4が複数設けられ、一部がロボット、PMVなどであり、残部が表示、音声、ゲートの開閉のうち1つ以上を実施するものであってもよい。また、誘導装置4は、利用設備に応じて、複数の誘導方法のなかから選択した誘導方法で誘導を行ってもよい。また、利用設備と利用者を誘導する地点との対応は誘導装置4に予め保持されていてもよいし、誘導装置4が、車両配車装置3に利用設備の配車される地点を問い合わせて取得してもよいし、モビリティ支援装置2が利用設備の配車される地点を決定し、利用設備を車両配車装置3および誘導装置4へ通知する際に、利用設備の配車される地点を示す情報を通知してもよい。
【0022】
次に、本実施の形態の車両配車装置3およびモビリティ支援装置2の構成例について説明する。車両配車装置3は、
図1に示すように、送信部31、受信部32、配車管理部33および設備情報記憶部34を備える。車両配車装置3は、本実施の形態の利用者の移動支援に用いられる車両以外の他の車両も管理する一般的な車両配車装置であってもよいし、本実施の形態の利用者の移動支援のために設けられる車両配車装置であってもよい。
【0023】
本実施の形態では、後述するように、利用者の体調を示す体調情報と設備の分類である設備分類とを対応づける。例えば、利用者の体温により、発熱している発熱状態と発熱していない通常状態とに分類し、この2つを発熱設備と通常設備との2つの設備分類に対応づける。本実施の形態では、設備は車両であるため、発熱車両と通常車両に分類される。配車管理部33は、発熱設備に属する設備と、通常設備に属する設備とを決定し、設備分類ごとの、対応する設備の識別情報である設備識別子を設備情報として設備情報記憶部34に格納する。設備情報は、設備の分類である設備分類ごとの、設備分類に対応する設備を示す情報を含む。なお、配車管理部33は、設備すなわち車両の管理者などから入力されることにより、設備分類ごとに当該設備分類に属する設備を決定してもよいし、あらかじめ定められた規則にしたがって設備分類ごとに当該設備分類に属する設備を決定してもよい。あらかじめ定められた規則の一例は、発熱設備としては、管理するPMVのうちあらかじめ定められたPMVを使用し、通常設備としては、乗り合いバスを使用するといった規則であるが、あらかじめ定められた規則はこれに限定されない。
【0024】
送信部31は、設備情報を設備情報記憶部34から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信する。送信部31は、設備情報が更新されるごとに設備情報を設備情報記憶部34から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよいし、定期的に設備情報を設備情報記憶部34から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよい。
【0025】
受信部32は、モビリティ支援装置2から、決定された利用設備を示す情報である利用設備の設備識別子を受信し、受信した設備識別子を配車管理部33へ通知する。配車管理部33は、通知された設備識別子に対応する設備を出発地に配車する。出発地内の配車する地点は、誘導装置4によって利用者が誘導される地点である。この地点は、設備分類ごとにあらかじめ定められていてもよいし、設備ごとすなわち車両ごとにあらかじめ定められていてもよい。また、配車管理部33は、利用設備である車両を配車する際に、配車する地点である配車位置を決定してもよい。この場合には、誘導装置4は、モビリティ支援装置2から利用設備を通知されると、配車管理部33から当該利用設備に対応する配車位置を取得してもよいし、配車管理部33が配車位置を決定すると誘導装置4へ通知してもよい。
【0026】
例えば、出発地が駅Aの駅前である場合、駅前のロータリーに発熱設備用の配車位置と通常設備用の配車位置とを定めておき、これらを示す情報を設備情報記憶部34へ記憶し、配車管理部33は、利用設備として通知された車両を、当該利用設備に対応する設備分類の配車位置へ配車することを決定する。または、車両ごとにあらかじめ配車位置を定めておき、これらを示す情報を設備情報記憶部34へ記憶し、配車管理部33は、利用設備として通知された車両を、当該利用設備に対応する配車位置へ配車することを決定してもよい。
【0027】
モビリティ支援装置2は、
図1に示すように、体調情報受信部21、モビリティ支援処理部22、設備情報受信部23、記憶部24、入力部25および送信部26を備える。体調情報受信部21は、体調情報入力装置1から利用者の体調情報を受信し、受信した体調情報をモビリティ支援処理部22へ通知する。設備情報受信部23は、車両配車装置3から設備情報を受信し、設備情報を記憶部24へ格納する。入力部25は、運用者などから各種設定内容などの入力を受け付ける。各種設定内容の一例は、利用者の体調と設備分類との対応を示す対応関係である。入力部25は、利用者の体調情報と、利用者が利用する設備分類との対応関係の入力を受け付けると、対応関係を記憶部24へ格納する。
【0028】
モビリティ支援処理部22は、記憶部24に格納されている設備情報と、記憶部24に格納されている利用者の体調情報と利用者が利用する設備分類との対応関係と、に基づいて、体調情報と設備識別子との対応を示す対応設備情報を生成して記憶部24に格納する。また、モビリティ支援処理部22は、体調情報受信部21から通知された体調情報と、記憶部24に格納されている対応設備情報とに基づいて、利用者が利用する利用設備を決定する。送信部26は、モビリティ支援処理部22により決定された利用設備を車両配車装置3および誘導装置4へ通知する。例えば、送信部26は、モビリティ支援処理部22により決定された利用設備を示す設備識別子を車両配車装置3および誘導装置4へ送信することにより、利用設備を車両配車装置3および誘導装置4へ通知する。
【0029】
次に、モビリティ支援装置2の動作について説明する。
図2は、本実施の形態のモビリティ支援装置2における登録処理手順の一例を示すフローチャートである。モビリティ支援装置2の入力部25は、利用者の体調情報と、利用者の体調に応じた利用可能な設備分類(利用可能な設備の設備分類)との対応関係の入力を受け付ける(ステップS1)。入力部25は、入力された対応関係を記憶部24へ格納する。
【0030】
図3は、本実施の形態の、利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係の一例を示す図である。
図3に示す例では、設備分類は2種類であり、体調情報として体温が用いられている。
図3に示す例では、体温が37.5度以上に対応する設備分類は発熱車両であり、体温が37.5度未満に対応する設備分類は通常車両である。すなわち、発熱車両は、体温が37.5度以上の利用者が利用する設備であり、通常車両は、体温が37.5度未満の利用者が利用する設備である。
【0031】
図4は、本実施の形態の利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係の別の一例を示す図である。
図4に示す例では、設備分類は3種類であり、体調情報として体温と問診結果とが用いられている。
図4に示した例では、問診結果に、年齢、基礎疾患の有無、妊娠しているか否かの回答が含まれている。これらの回答により、高齢者であるか、または基礎疾患があるか、または妊婦であるかが判断される。
図4に示す例では、体温が37.5度以上に対応する設備分類は上記の問診結果の回答によらず
図3の例と同様に発熱車両である。一方、体温が37.5度未満に対応する設備分類は、通常車両と専用車両の2種類である。体温が37.5度未満であり、高齢者でなく、かつ基礎疾患がなく、かつ妊婦でない場合には通常車両に対応付けられ、体温が37.5度未満であり、高齢者であるか、または基礎疾患があるか、または妊婦である場合は、専用車両に対応付けられる。
【0032】
図3、
図4に示した対応関係は例であり、利用者の体調情報と、利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係は、これらに限定されず、他の体調情報を用いて設備分類との対応関係が定義されてもよい。例えば、体調情報に、感染症の検査結果が含まれる場合、体温が37.5度以上の場合、または感染症の検査結果が陽性の場合に、発熱車両に対応づけられ、体温が37.5度未満でありかつ感染症の検査結果が陰性の場合に、通常車両に対応づけられてもよい。また、
図4の例において、体調情報としてさらに血圧を考慮し、体温が37.5度未満であり血圧が一定値以上の場合には、専用車用に対応づけられてもよい。
【0033】
図2の説明に戻る。モビリティ支援装置2の設備情報受信部23は、車両配車装置3から、設備分類ごとの当該設備分類に対応する設備(設備識別子)を示す設備情報を受信する(ステップS2)。設備情報受信部23は、受信した設備情報を記憶部24へ格納する。
【0034】
図5は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図5に示した例は、
図3に示した対応関係に対応しており、設備分類を発熱車両と通常車両との2種類としている。
図5に示した例では、発熱車両にはパーソナルモビリティビークルの1号車および2号車が属しており、設備情報の発熱車両に対応する設備識別子としてこれらの設備の設備識別子である「PMVNo.1,No.2」が含まれている。通常設備には乗合バスの1号車および2号車が属しており、設備情報の通常車両に対応する設備識別子としてこれらの設備の設備識別子である「乗合バスNo.1,No.2」が含まれている。
【0035】
このように、利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係と、設備情報との2段階で情報を管理することで、例えば、発熱車両に対応する体調の条件を変更するときには、利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係を変更すればよい。これにより、モビリティ支援装置2は、車両配車装置3から新たな情報を取得することなく、変更した体調の区分に応じた利用設備を決定することができる。
【0036】
図6は、本実施の形態の設備情報の別の一例を示す図である。
図6に示した例は、
図4に示した対応関係に対応しており、設備分類を発熱車両と通常車両と専用車両との3種類としている。
図6に示した例では、発熱車両にはパーソナルモビリティビークルの1号車および2号車が属しており、設備情報の発熱車両に対応する設備識別子としてこれらの設備の設備識別子である「PMVNo.1,No.2」が含まれている。通常車両には乗合バスの1号車が属しており、設備情報の通常車両に対応する設備識別子としてこの設備の設備識別子である「乗合バスNo.1」が含まれている。また、専用設備には乗合バスの2号車が属しており、設備情報の専用設備に対応する設備識別子としてこの設備の設備識別子である「乗合バスNo.2」が含まれている。
【0037】
図5、
図6に例示したように、設備情報は、設備分類ごとの各設備分類に属する設備の設備識別子を含む。設備情報は、
図5、
図6に示した例に限定されず、車両配車装置3が管理する車両の種類および台数と、設備分類の定義とに応じて適宜決定されればよい。設備分類の定義は、例えば、上述した体調情報との対応するものであり、例えば、発熱車両は発熱者が利用する設備という定義と考えることができる。発熱者は感染症に罹患している可能性が高いため、発熱車両として他の人との接触の少ない車両が用いられることが望ましい。一方、通常車両は感染症に罹患していない可能性が高い利用者が利用する設備であるため、乗合バスのように複数の利用者が同乗する車両を用いて問題ない可能性が高い。
【0038】
図2の説明に戻る。モビリティ支援装置2は、体調情報と利用可能な設備分類との対応関係、および設備情報を用いて、体調情報と設備識別子との対応関係を対応設備情報として記憶し(ステップS3)、登録処理を終了する。詳細には、ステップS3では、モビリティ支援処理部22が、記憶部24から、利用者の体調情報と利用者の体調に応じた利用可能な設備分類との対応関係、および設備情報を読み出し、読み出した情報をもとに、体調情報と設備識別子との対応関係を示す対応設備情報を生成し、生成した対応設備情報を記憶部24へ格納する。このように、記憶部24は、体調と当該体調に応じて利用可能な設備を示す対応設備情報を記憶する。
【0039】
図7は、本実施の形態の対応設備情報の一例を示す図である。
図7は、
図3および
図5に例示した対応関係および設備情報に基づいて生成された対応設備情報の一例を示している。
図7に示すように対応設備情報では、2種類の設備分類に対応する2種類の体調情報にそれぞれ設備識別子が対応付けられている。
【0040】
図8は、本実施の形態の対応設備情報の一例を示す図である。
図8は、
図4および
図6に例示した対応関係および設備情報に基づいて生成された対応設備情報の一例を示している。
図8に示すように対応設備情報では、3種類の設備分類に対応する3種類の体調情報にそれぞれ設備識別子が対応付けられている。
【0041】
以上のように、体調情報と設備識別子との対応を示す対応設備情報が生成される。体調情報と利用可能な設備分類との対応関係、および設備情報のうちいずれか一方が更新されると、
図2に示した登録処理が再度行われる。
【0042】
次に、モビリティ支援装置2における利用設備決定処理について説明する。
図9は、本実施の形態のモビリティ支援装置2における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャートである。モビリティ支援装置2は、体調情報入力装置1から利用者の体調情報を受信する(ステップS11)。詳細には、体調情報受信部21は、体調情報入力装置1から利用者の体調情報を受信し、受信した体調情報をモビリティ支援処理部22へ通知する。
【0043】
モビリティ支援装置2は、受信した体調情報と、対応設備情報とに基づき、利用者が利用する設備を決定する(ステップS12)。詳細には、モビリティ支援処理部22が、記憶部24に記憶されている対応設備情報と体調情報受信部21によって受信された体調情報である受信体調情報とを用いて、受信体調情報に対応する利用者が目的地までの移動で利用する設備である利用設備を決定する。例えば、
図7に示した対応設備情報が記憶部24に格納されており、体調情報受信部21から通知された体調情報に含まれる体温の情報が、体温が38度であることを示している場合、体温が37.5度以上であることからパーソナルモビリティビークルの1号車またはパーソナルモビリティビークルの2号車が利用設備として決定される。利用可能な設備が複数存在する場合には、任意の方法で複数の設備のなかから利用設備が決定される。利用可能な設備が複数存在する場合、例えば、各設備のうち最も出発地に近い位置に存在する車両を選択してもよいし、あらかじめ各設備に優先度を定めておき優先度の高い順に利用設備として決定してもよいし、番号の若い順に選択するなどといった選択の規則が予め定められた規則に従って利用設備が決定されてもよいし、複数の設備のなかからランダムに利用設備が決定されてもよいし、これら以外の方法で利用設備が決定されてもよい。なお、設備情報に含まれる設備識別子に対応する設備が満席の場合には、モビリティ支援処理部22は、次の候補の設備を利用設備に決定する。
【0044】
体調情報に対応する全ての設備が満席である場合、モビリティ支援装置2は、例えば、満席であるため待機する旨を利用者へ表示するよう誘導装置4へ通知する。または、モビリティ支援装置2は、車両配車装置3へ、該当する設備分類の設備を追加で割り当てることを要求してもよい。車両配車装置3は、当該要求を受信した場合、空いている車両があれば、要求のあった設備分類に空いている車両の設備識別子を追加するように設備情報を更新し、更新した設備情報をモビリティ支援装置2へ送信する。
【0045】
また、車両配車装置3は、利用設備が満席になった場合に設備情報から当該利用設備に対応する設備識別子を削除するように設備情報を更新し、更新した設備情報をモビリティ支援装置2へ送信してもよい。この場合、モビリティ支援装置2は、設備情報に含まれる設備識別子に対応する設備が満席であるか否かを管理する必要はない。
【0046】
モビリティ支援装置2は、決定した設備すなわち利用設備を示す利用設備情報(設備識別子)を誘導装置4および車両配車装置3へ通知し(ステップS13)、利用設備決定処理を終了する。ステップS13では、詳細には、モビリティ支援処理部22が、決定した利用設備に対応する設備識別子を利用設備情報として送信部26へ出力し、送信部26が利用設備情報を誘導装置4および車両配車装置3へ送信することにより、利用設備情報を誘導装置4および車両配車装置3へ通知する。
【0047】
利用設備情報を受信した車両配車装置3は、利用設備情報に対応する設備を配車する。詳細には、車両配車装置3の受信部32は、モビリティ支援装置2から、決定された利用設備を示す設備識別子を受信し、受信した設備識別子を配車管理部33へ通知し、配車管理部33は、通知された設備識別子に対応する設備を出発地に配車する。上述したように、出発地内の配車する地点は、誘導装置4によって利用者が誘導される地点であり、この地点は、設備分類ごとにあらかじめ定められていてもよいし、設備ごとすなわち車両ごとにあらかじめ定められていてもよい。また、利用設備がパーソナルモビリティビークルのように定員が1名の場合には、当該設備を速やかに出発地の配車位置へ配車することができるが、利用設備が乗合バスのように定員が複数の場合には当該設備をすぐに出発地の配車位置へ配車せずに、一定数の利用者に乗合バスが利用設備として割当てられるまで配車を待機してもよい。また、乗合バスについては10分に1台のように時刻表を定めておき、当該時刻表にしたがった運行を行ってもよい。この場合、車両配車装置3は、設備情報とともに各乗合バスの発車時刻をモビリティ支援装置2へ送信する、または設備情報に各乗合バスの発車時刻を含めておくことで、モビリティ支援装置2は乗合バスを利用設備とした場合に、誘導装置4へ当該乗合バスの発車時刻も通知することができる。これにより、誘導装置4は、設備を識別する情報とともに発車時刻を表示することができる。
【0048】
以上の処理により、体調情報入力装置1が体調情報を取得した利用者に対応する、設備すなわち車両が配車される。また、誘導装置4は、モビリティ支援装置2から通知された利用設備へ、モビリティ支援装置2が受信した体調情報である受信体調情報に対応する利用者を誘導する。詳細には、誘導装置4は、利用者を設備すなわち車両の配車位置へ誘導する。このように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、利用者の移動を支援することができる。
【0049】
なお、上述した例では、全ての利用者が出発地から目的地へ移動することを前提としていた。一方、目的地と体調情報によっては、利用者を目的地へ移動させない方が好ましい場合もある。例えば、目的地が病院である場合には、発熱している利用者を目的地へ移動させる必要があるが、目的地が病院以外の商業施設などである場合には、モビリティ支援装置2は、発熱している利用者には、利用設備を決定するかわりに、病院などへいくように誘導することを決定してもよい。この場合、モビリティ支援装置2は、誘導装置4へ、病院などへいくことを利用者に通知するように指示し、誘導装置4が利用者に病院などへいくことを表示、音声などで通知する。例えば、目的地がサービス付き高齢者向け住宅などである場合、当該住宅の居住者である高齢者については目的地へ移動させる必要があるが、訪問者については発熱していた場合には、目的地へ移動させない方が好ましい。このような場合には、たとえば、発熱している利用者には、利用設備を決定した上で、当該利用者に訪問者である場合には帰宅または病院での受診を促す通知を行うように誘導装置4へ指示する。または、体調情報入力装置1が体調情報とともに、当該サービス付き高齢者向け住宅の居住者であるか否かを示す情報を取得してモビリティ支援装置2へ体調情報とともに送信し、モビリティ支援装置2が居住者であるか否かにより、利用者が発熱している場合に利用設備を割当てるか否かを決定してもよい。
【0050】
また、出発地が同一で複数の目的地の移動に関して支援を行う場合には、目的地ごとに上述した動作を実施すればよい。この場合、モビリティ支援装置2は、目的地ごとに設備情報を車両配車装置3から取得し、目的地ごとに体調情報入力装置1から利用者の体調情報を取得する。この場合、目的地ごとに体調情報入力装置1を設けてもよいし、体調情報入力装置1に利用者が目的地を選択し、体調情報入力装置1が体調情報とともに目的地をモビリティ支援装置2に通知してもよい。また、目的地により、設備すなわち車両を管理する車両配車装置3が異なる場合には、モビリティ支援装置2は、複数の車両配車装置3から設備情報を取得し、目的地に応じた利用設備を決定し、対応する車両配車装置3へ通知すればよい。
【0051】
また、目的地が同一で複数の出発地の移動に関して支援を行う場合には、同様に、出発地ごとに上述した動作を実施すればよい。この場合、出発地ごとに体調情報入力装置1および誘導装置4を備える。モビリティ支援装置2は、出発地ごとに設備情報を車両配車装置3から取得し、出発地ごとに体調情報入力装置1から利用者の体調情報を取得する。また、出発地により、設備すなわち車両を管理する車両配車装置3が異なる場合には、モビリティ支援装置2は、複数の車両配車装置3から設備情報を取得し、出発地に応じた利用設備を決定し、対応する車両配車装置3へ通知すればよい。
【0052】
目的地、出発地がいずれも複数の場合にも、同様に、体調情報入力装置1を出発地ごとに設け、モビリティ支援装置2は、目的地と出発地の組み合わせごとに設備情報を車両配車装置3から取得し、体調情報入力装置1から体調情報および目的地を取得して、上述した動作を行えばよい。
【0053】
次に、本実施の形態のモビリティ支援装置2のハードウェア構成について説明する。本実施の形態のモビリティ支援装置2は、例えば、コンピュータシステムにより実現される。モビリティ支援装置2は、1つのコンピュータシステムにより実現されてもよいし、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、モビリティ支援装置2はクラウドシステムにより実現されてもよい。クラウドシステムでは、コンピュータシステムのハードウェアと、機能ごとのサーバ等の装置との切り分けを任意に設定できる。例えば、1台のコンピュータシステムが複数の装置としての機能を有していてもよいし、複数台のコンピュータシステムで1つの装置としての機能を有していてもよい。
【0054】
モビリティ支援装置2を実現するコンピュータシステムの構成例を説明する。
図10は、本実施の形態のモビリティ支援装置2を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図10に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0055】
図10において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部101は、本実施の形態のモビリティ支援装置2が実施する各処理が記述されたモビリティ支援プログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウス等で構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等の各種メモリおよびハードディスク等のストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ等を記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示パネル)等で構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する通信回路等である。通信部105は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部106は、プリンタ、外部記憶装置等の外部の装置へデータを出力する出力インタフェイスである。
【0056】
なお、
図10は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図10の例に限定されない。例えば、コンピュータシステムは出力部106を備えていなくてもよい。また、モビリティ支援装置2が複数のコンピュータシステムにより実現される場合、これらの全てのコンピュータシステムが
図10に示したコンピュータシステムでなくてもよい。例えば、一部のコンピュータシステムは
図10に示した表示部104、出力部106および入力部102のうち少なくとも1つを備えていなくてもよい。
【0057】
ここで、本実施の形態のモビリティ支援装置2の処理が記述されたモビリティ支援プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、モビリティ支援プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、モビリティ支援プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたモビリティ支援プログラムが記憶部103の主記憶装置となる領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたモビリティ支援プログラムに従って、本実施の形態のモビリティ支援装置2としての処理を実行する。
【0058】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、モビリティ支援装置2における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量等に応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネット等の伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0059】
本実施の形態のモビリティ支援プログラムは、コンピュータに、目的地まで移動する利用者の体調を示す体調情報を受信する体調情報受信ステップと、体調と当該体調に応じて利用可能な設備との対応を示す対応設備情報と体調情報受信ステップで受信された体調情報である受信体調情報とを用いて、受信体調情報に対応する利用者が目的地までの移動で利用する設備である利用設備を決定するモビリティ支援ステップと、を実行させる。
【0060】
図1に示した体調情報受信部21、設備情報受信部23および送信部26は、
図10に示した通信部105により実現され、
図1に示した記憶部24は
図10に示した記憶部103の一部であり、
図1に示したモビリティ支援処理部22は
図10に示した制御部101により実現され、
図1に示した入力部25は、
図10に示した入力部102により実現される。
【0061】
車両配車装置3についても、モビリティ支援装置2と同様に、1つまたは複数のコンピュータシステムにより実現される。車両配車装置3が本実施の形態で述べた動作を行うためのプログラムは、上述したモビリティ支援プログラムと同様に、記憶媒体、伝送媒体などにより提供され、コンピュータシステムにインストールされる。これにより、車両配車装置3における上述した動作が実現される。また、モビリティ支援装置2と車両配車装置3とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。この場合、設備情報受信部23、送信部26、送信部31、受信部32は、設けられなくてもよく、これらの機能はコンピュータシステム内部のデータのやりとりにより行われる。また、設備情報記憶部34と記憶部24は1つの記憶部であってもよい。
【0062】
図1に示した送信部31および受信部32は、
図10に示した通信部105により実現され、
図1に示した設備情報記憶部34は
図10に示した記憶部103の一部であり、
図1に示した配車管理部33は
図10に示した制御部101により実現される。
【0063】
なお、
図1に示した各装置における機能の切り分けは一例であり、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図1に示した例に限定されない。例えば、モビリティ支援装置2と車両配車装置3とを統合して、車両配車装置が、モビリティ支援装置2としての機能も有するようにしてもよい。すなわち、車両配車装置3が、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22を備えていてもよい。また、例えば、以下に変形例1として示すように、モビリティ支援装置が、利用者が利用する設備分類を決定して、車両配車装置が、モビリティ支援装置によって決定された設備分類に基づいて利用設備を決定してもよい。
【0064】
<変形例1>
図11は、本実施の形態の変形例1のモビリティ支援システムの構成例を示す図である。変形例1のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2a、車両配車装置3aおよび誘導装置4を備える。車両配車装置3aは、
図1に示した車両配車装置3に設備決定部35が追加されている。車両配車装置3aは、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。モビリティ支援装置2aは、
図1に示したモビリティ支援処理部22のかわりにモビリティ支援処理部22aを備える。体調情報入力装置1および誘導装置4は、
図1に示した例と同様である。
図1に示した例と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0065】
図12は、本実施の形態の変形例1の登録処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は、
図2に示したステップS1と同様である。モビリティ支援装置2aは、体調情報と利用可能な設備分類との対応関係を対応分類情報として記憶する(ステップS4)。詳細には、モビリティ支援装置2aの入力部25は、体調情報と利用可能な設備分類との対応関係を対応分類情報として記憶部24に格納する。これにより、
図3、
図4に例示したような、体調情報と設備分類の対応関係が対応分類情報として記憶部24に格納される。
【0066】
図13は、本実施の形態の変形例1のモビリティ支援装置2aにおける利用する設備分類の決定処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS11は、
図9に示したステップS11と同様である。モビリティ支援装置2aのモビリティ支援処理部22aは、受信した体調情報と、対応分類情報とに基づき、利用者が利用する設備分類を決定する(ステップS14)。モビリティ支援装置2aは、決定した設備分類を示す利用分類情報を車両配車装置3aへ通知する(ステップS15)。詳細には、モビリティ支援処理部22aが、決定した設備分類を示す情報を利用分類情報として送信部26へ出力し、送信部26が利用分類情報を車両配車装置3aへ送信することにより、利用設備情報を車両配車装置3aへ通知する。
【0067】
図14は、本実施の形態の変形例1の車両配車装置3aにおける利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャートである。車両配車装置3aの受信部32は、モビリティ支援装置2aから利用分類情報を受信する(ステップS16)。受信部32は、利用分類情報を設備決定部35へ通知する。車両配車装置3aは、利用分類情報と、設備情報とに基づき、利用者が利用する設備(設備識別子)を決定する(ステップS17)。詳細には、車両配車装置3aの設備決定部35は、設備情報記憶部34から設備情報を読み出し、読み出した設備情報から、利用設備情報として通知された設備分類の設備を抽出し、抽出した設備のなかから利用者が利用する設備である利用設備を決定する。すなわち、設備決定部35は、モビリティ支援処理部22aにより決定された設備分類と設備情報記憶部34に記憶されている設備情報とを用いて、利用者が目的地までの移動で利用する設備である利用設備を決定する。利用設備の決定方法は、ステップS12と同様であり、利用設備情報として通知された設備分類に属する設備が複数存在する場合には、複数の設備のなかから任意の方法で利用設備を決定する。
【0068】
車両配車装置3aは、決定した設備すなわち利用設備を、誘導装置4が誘導する場所へ配車する(ステップS18)。詳細には、設備決定部35が、利用設備を配車管理部33へ通知し、配車管理部33が利用設備を出発地における配車位置に配車するように運行計画を決定する。配車位置、すなわち誘導装置4が誘導する場所は、
図1に示した構成例における配車位置と同様であり、設備分類ごとに定められていてもよく設備ごとに定められていてもよい。
【0069】
車両配車装置3aは、決定した設備を、誘導装置4へ通知する(ステップS19)。詳細には、設備決定部35が、利用設備を送信部31へ通知し、送信部31が、利用設備を示す利用設備情報を誘導装置4へ送信する。
【0070】
変形例1のモビリティ支援装置2a、車両配車装置3aも、モビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2aと車両配車装置3aとが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、モビリティ支援装置2aと車両配車装置3aとを統合して、車両配車装置が、モビリティ支援装置2aとしての機能も有するようにしてもよい。すなわち、車両配車装置3aが、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22aを備えていてもよい。
【0071】
<変形例2>
次に、本実施の形態における設備である車両に利用者が乗車する際に、当該車両に対応した乗車券が必要となる変形例について説明する。
図15は、本実施の形態の変形例2のモビリティ支援システムの構成例を示す図である。変形例2のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2a、車両配車装置3b、誘導装置4および発券機5を備える。体調情報入力装置1および誘導装置4は、
図1に示した例と同様である。ただし、体調情報入力装置1は、体調情報とともに利用者識別情報を取得して、体調情報と利用者識別情報をモビリティ支援装置2aに送信する。
図1に示した例と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、モビリティ支援装置2aは、体調情報受信部21が体調情報入力装置1から受信した利用者識別情報をモビリティ支援処理部22aへ通知し、モビリティ支援処理部22aが利用分類情報とともに利用者識別情報を送信部26へ通知し、送信部26が利用分類情報とともに利用者識別情報を車両配車装置3bへ送信する。変形例2のモビリティ支援装置2aは、これらの動作以外は変形例1のモビリティ支援装置2aと同様であるため、重複する説明を省略する。利用者識別情報は、体調情報入力装置1に入力された利用者の氏名であってもよいし、このシステムを利用するために予め各利用者に対応して定められた識別情報であってもよいし、利用者が保持するスマートフォンなどの端末の識別情報であってもよいし、利用者が発券のために料金を支払う場合、当該料金の支払いに用いられるクレジットカードなどの番号であってもよい。
【0072】
車両配車装置3bは、
図11に示した車両配車装置3aに発券処理部36が追加されている。車両配車装置3bは、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。
図16は、本実施の形態の変形例2の車両配車装置3bにおける利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャートである。車両配車装置3bの受信部32は、モビリティ支援装置2aから利用分類情報および利用者識別情報を受信する(ステップS16a)。ステップS17~ステップS19は、変形例1と同様である。車両配車装置3bは、決定した設備を指定した発券を行うことを発券機5へ指示する(ステップS20)。詳細には、設備決定部35が発券処理部36へ、利用者識別情報と利用設備を通知する。発券処理部36は、利用設備に対応する乗車券を発券するため発券処理を行う。詳細には、発券処理部36は、利用設備に対応する乗車券を発券するための情報を生成し、送信部31へ出力する。送信部31は、利用設備に対応する乗車券を発券するための情報を発券機5へ送信する。これにより、発券機5は、利用設備に対応する乗車券を発券する。利用設備に対応する乗車券には、パーソナルモビリティビークル1号車などといったように設備を識別する情報と、発車時刻などが記載される。また、乗車券は、座席の指定を示す情報が記載されていてもよい。
【0073】
なお、発券処理部36が発券機5としての機能も有し、車両配車装置3bが発券も行うようにしてもよい。また、体調情報入力装置1と発券機5が近接している場合には、利用者識別情報は用いられてなくてもよい。例えば、発券機5と体調情報入力装置1とが一体化されている場合、発券機5が発券の要求を利用者から受け付けた場合に、体調情報が送信されるので、利用者識別情報を用いずに、発券が行われても、利用者に対応する発券を行うことができる。また、例えば、設備分類が発熱車両の場合には乗車券が発券され、通常車両の場合には乗車券が発行されないといったように、車両配車装置3bが管理する全ての車両で乗車券を発行するのではなく一部の車両に関して乗車券を発行してもよい。
【0074】
また、
図15に示した例では、変形例1に発券処理を組み合わせたが、
図1に示したモビリティ支援システムに、発券処理を組み合わせてもよい。
【0075】
変形例2のモビリティ支援装置2a、車両配車装置3bも、モビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2aと車両配車装置3bとが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。すなわち、車両配車装置3bが、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22aを備えていてもよい。
【0076】
以上のように、本実施の形態では、利用者の体調情報に応じて、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。
【0077】
実施の形態2.
図17は、実施の形態2にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図17に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2、エレベータ管理装置6および誘導装置4を備える。本実施の形態のモビリティ支援システムは、実施の形態1と同様に、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者はエレベータを利用して移動を行うことを想定する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0078】
本実施の形態では、出発地は、例えば、エレベータが設置されている建物のある階のエレベータホールであり、目的地は、例えば、エレベータが設置されている建物の別の階のエレベータホールである。出発地は、エレベータが設置されている建物の入口などであってもよい。
【0079】
エレベータ管理装置6は、エレベータの各かごの運行を管理する装置である。エレベータ管理装置6は、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。エレベータ管理装置6は、送信部61、受信部62、管理部63および設備情報記憶部64を備える。
【0080】
管理部63は、設備分類ごとに当該設備分類に属する設備であるかごを決定し、設備分類ごとの設備を示す情報を設備情報として設備情報記憶部64へ格納する。管理部63は、エレベータの管理者などから入力されることにより、設備分類ごとに当該設備分類に属する設備を決定してもよいし、あらかじめ定められた規則にしたがって設備分類ごとに当該設備分類に属する設備を決定してもよい。
【0081】
図18は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図18に示した例では、設備分類は発熱かごと通常かごの2種類である。設備情報には、各設備分類に対応するかごの識別情報である設備識別子が含まれる。発熱かごおよび通常かごは、実施の形態1の発熱車両および通常車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0082】
図19は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図19に示した例では、設備分類は発熱かご、通常かごおよび専用かごの3種類である。発熱かご、通常かご、専用かごは、実施の形態1の発熱車両、通常車両および専用車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0083】
送信部61は、設備情報を設備情報記憶部64から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信する。送信部61は、設備情報が更新されるごとに設備情報を設備情報記憶部64から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよいし、定期的に設備情報を設備情報記憶部64から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよい。
【0084】
受信部62は、モビリティ支援装置2から、決定された利用設備を示す情報である利用設備の設備識別子を受信し、受信した設備識別子を管理部63へ通知する。
【0085】
モビリティ支援装置2は、実施の形態1と同様に利用設備を決定し、利用設備を示す利用設備情報をエレベータ管理装置6および誘導装置4へ通知する。エレベータにおける各かごは、各階において停止する位置が決まっているため、出発地の階が決定されれば各かごの配置位置は決定されるので、誘導装置4は、利用設備に対応する配置位置へ利用者を誘導する。
【0086】
なお、エレベータ管理装置6が管理するエレベータは複数の箇所に分かれていてもよい。例えば、第1のエレベータホールにNo.1とNo.2のかごが配置され、第1のエレベータホールと異なる場所の第2のエレベータホールにNo.3~No.8のかごが配置されてもよい。この場合、出発地は建物の入口などでもよく、誘導装置4は建物の入口から対応する各かごの配置位置へ利用者を誘導する。かごの配置は第1のエレベータホールまたは第2のエレベータホールであってもよく、この場合、出発地とは異なるエレベータホールへ配置されているかごが利用設備として決定されると、誘導装置4は出発地ではないエレベータホールまでの誘導も行う。
【0087】
本実施の形態のモビリティ支援装置2、エレベータ管理装置6も、実施の形態1のモビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2とエレベータ管理装置6とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。モビリティ支援装置2とエレベータ管理装置6とを統合して、エレベータ管理装置が、モビリティ支援装置2としての機能も有するようにしてもよい。すなわち、エレベータ管理装置6が、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22を備えていてもよい。
【0088】
なお、実施の形態1と同様に、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図17に示した例に限定されない。例えば、実施の形態1の変形例1と同様に、モビリティ支援装置が、利用者が利用する設備分類を決定して、エレベータ管理装置が、モビリティ支援装置によって決定された設備分類に基づいて利用設備を決定してもよい。すなわち、
図17に示したエレベータ管理装置6に、実施の形態1の変形例1の車両配車装置3aと同様に設備決定部を追加し、モビリティ支援装置2のかわりにモビリティ支援装置2aを用いる。エレベータ管理装置の設備決定部は、モビリティ支援装置2aによって決定された設備分類にしたがって利用設備を決定することができる。
【0089】
以上のように、本実施の形態では、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備がエレベータの場合に、実施の形態1と同様に、利用者の体調情報に応じて、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。
【0090】
実施の形態3.
図20は、実施の形態3にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図20に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2、設備情報入力装置7および誘導装置4を備える。本実施の形態のモビリティ支援システムは、実施の形態1と同様に、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者は空港などのゲートが設けられる施設においてゲートを利用して移動を行うことを想定する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0091】
本実施の形態では、出発地は、例えば、ゲートの手前であり、目的地は、例えば、ゲートを通過した後の地点である。ゲートは、例えば、空港、施設などにおけるセキュリティチェックのためのゲートである。
【0092】
設備情報入力装置7は、設備分類ごとの当該設備分類に属する設備すなわちゲートの管理を行う装置である。設備情報入力装置7は、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。設備情報入力装置7は、送信部71、入力部72および設備情報記憶部73を備える。
【0093】
入力部72は、設備分類ごとに当該設備分類に属する設備であるゲートを示す情報の入力を受け付け、設備分類ごとの設備を示す情報を設備情報として設備情報記憶部73へ格納する。
【0094】
図21は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図21に示した例では、設備分類は発熱設備と通常設備の2種類である。設備情報には、各設備分類に対応するゲートの識別情報である設備識別子が含まれる。発熱設備および通常設備は、実施の形態1の発熱車両および通常車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0095】
図22は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図22に示した例では、設備分類は発熱設備、通常設備および専用設備の3種類である。発熱設備、通常設備および専用設備は、実施の形態1の発熱車両、通常車両および専用車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0096】
送信部71は、設備情報を設備情報記憶部73から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信する。送信部71は、設備情報が更新されるごとに設備情報を設備情報記憶部73から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよいし、定期的に設備情報を設備情報記憶部73から読みだしてモビリティ支援装置2へ送信してもよい。
【0097】
モビリティ支援装置2は、実施の形態1と同様に利用設備を決定し、利用設備を示す利用設備情報を誘導装置4へ通知する。誘導装置4は、利用設備として通知されたゲートへ利用者を誘導する。ゲートの位置は決まっているため、利用設備が決定されれば誘導装置4が利用者を誘導すべき位置は決定される。
【0098】
本実施の形態のモビリティ支援装置2、設備情報入力装置7も、実施の形態1のモビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2と設備情報入力装置7とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。モビリティ支援装置2と設備情報入力装置7とを統合して、設備情報入力装置が、モビリティ支援装置2としての機能も有するようにしてもよい。すなわち、設備情報入力装置7が、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22を備えていてもよい。
【0099】
なお、実施の形態1と同様に、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図20に示した例に限定されない。例えば、実施の形態1の変形例1と同様に、モビリティ支援装置が、利用者が利用する設備分類を決定して、設備情報入力装置7が、モビリティ支援装置によって決定された設備分類に基づいて利用設備を決定してもよい。すなわち、
図20に示し設備情報入力装置7のかわりに、設備情報入力装置7に実施の形態1の変形例1の車両配車装置3aと同様に設備決定部を追加することにより得られる設備管理装置を用い、モビリティ支援装置2のかわりにモビリティ支援装置2aを用いる。設備管理装置の設備決定部は、モビリティ支援装置2aによって決定された設備分類にしたがって利用設備を決定することができる。
【0100】
以上のように、本実施の形態では、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備がゲートの場合に、実施の形態1と同様に、利用者の体調情報に応じて、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。
【0101】
実施の形態4.
図23は、実施の形態4にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図23に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2a、発券装置8および誘導装置4を備える。モビリティ支援装置2aは、実施の形態1の変形例1のモビリティ支援装置2aと同様である。本実施の形態のモビリティ支援システムは、実施の形態1と同様に、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者は航空機、座席指定列車などのように、座席を指定された移動体を利用して移動を行うことを想定する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0102】
本実施の形態では、出発地は、移動体が航空機である場合には、出発地は航空機が出発する空港であり、目的地は、航空機が到着する空港である。また、出発地は、移動体が座席指定列車である場合には、出発地は利用者が乗車する乗車駅であり、目的地は、利用者が降車する降車駅である。以下では、移動体が航空機である例を説明するが、移動体は座席指定可能な移動体であればよく航空機に限定されない。
【0103】
発券装置8は、航空機の搭乗券を発券する装置である。発券装置8は、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。発券装置8は、送信部81、受信部82、設備情報記憶部83、座席決定部84および発券処理部85を備える。
【0104】
座席決定部84は、航空機の各便について、設備分類ごとに当該設備分類に属する設備である座席を決定し、設備分類ごとの設備を示す情報を設備情報として設備情報記憶部83へ格納する。座席決定部84は、航空機の管理者などから入力されることにより、便ごとに各設備分類に属する設備を決定してもよいし、あらかじめ定められた規則にしたがって設備分類ごとに当該設備分類に属する設備を決定してもよい。また、座席決定部84は、受信部82を介して、モビリティ支援装置2aから利用分類情報を受け取ると、利用分類情報により示される設備分類に基づいて、利用設備、すなわち利用者が利用する座席を決定する。
【0105】
送信部81は、座席決定部84により決定された利用設備を誘導装置4へ送信する。受信部82は、モビリティ支援装置2aから、決定された設備分類を示す情報である利用分類情報を受信し、受信した利用分類情報を座席決定部84へ通知する。
【0106】
発券処理部85は、座席決定部84により決定された座席と利用者識別情報とに基づいて搭乗券を発券する。
【0107】
図24は、本実施の形態の発券装置8における利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャートである。発券装置8の受信部82は、
図16のステップS16aと同様に、モビリティ支援装置2aから利用分類情報および利用者識別情報を受信する(ステップS16a)。発券装置8の受信部82は、利用分類情報および利用者識別情報を座席決定部84へ通知する。設備情報記憶部83には、上述したように設備情報が記憶されている。
【0108】
図25は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図25は、1つの便に関する設備情報の一例を示している。
図25に示した例では、設備分類は発熱設備と通常設備の2種類である。設備情報には、各設備分類に対応する座席の識別情報である設備識別子が含まれる。発熱設備および通常設備は、実施の形態1の発熱車両および通常車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0109】
図26は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図26は、1つの便に関する設備情報の一例を示している。
図26に示した例では、設備分類は発熱設備、通常設備および専用設備の3種類である。発熱設備、通常設備および専用設備は、実施の形態1の発熱車両、通常車両および専用車両と同様に、利用者の体調の分類に対応付けられる。
【0110】
座席決定部84は、設備情報記憶部83から設備情報を読み出す。座席決定部84は、利用分類情報と、設備情報とに基づき、利用設備、すなわち利用者が利用する座席を決定する(ステップS21)。座席決定部84は、決定した利用設備を利用者識別情報とともに、発券処理部85へ通知し、決定した利用設備を送信部81へ通知する。
【0111】
発券処理部85は、利用者識別情報と利用する座席を対応付けて発券する(ステップS22)。送信部81は、利用設備、すなわち座席を示す情報を誘導装置4へ通知する(ステップS23)。なお、座席を示す情報には便名も含まれている。このように、本実施の形態の発券装置8は、モビリティ支援装置2aから通知された利用設備に対応する搭乗券を発券する。
【0112】
誘導装置4は、座席を示す情報を通知されると、利用者を当該座席へ誘導する。なお、搭乗券の発券が搭乗カウンターなどで行われる場合、誘導装置4は、利用者に対応する便と座席の位置を表示、音声により利用者に通知してもよいし、誘導装置4がロボット、PMVである場合には該当する便の搭乗口まで誘導してもよい。
【0113】
なお、座席をあらかじめ予約していた利用者の場合、座席決定部84は、利用者識別情報に基づいて予約されていた座席を取得し、予約されていた座席がモビリティ支援装置2aから通知された利用分類情報に対応する設備分類に属する座席である場合には、予約した座席を、利用設備として決定する。予約されていた座席がモビリティ支援装置2aから通知された利用分類情報に対応する設備分類に属する座席でない場合、座席決定部84は、モビリティ支援装置2aから通知された利用分類情報に対応する設備分類に属する座席のなかから利用設備を決定する。すなわち、この場合には、利用者が利用する座席が予約されていた座席から変更されることになるので、座席決定部84は送信部81を介して誘導装置4へ座席が予約から変更された旨も通知する。これにより、誘導装置4は、利用者に、予約されていた座席から座席が変更された旨も通知する。また、座席があらかじめ予約されている場合、座席決定部84は、予め決められた利用分類情報(例えば「発熱設備」)を受け取った場合にのみ、利用分類情報により示される設備分類に基づいて、利用設備、すなわち利用者が利用する座席を決定してもよい。
【0114】
なお、利用者が利用する移動体が航空機ではなく、座席指定列車などである場合には、利用者識別情報は用いられなくてもよい。
【0115】
本実施の形態のモビリティ支援装置2a、発券装置8も、実施の形態1のモビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2aと発券装置8とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。モビリティ支援装置2aと発券装置8とを統合して、発券装置が、モビリティ支援装置2aとしての機能も有するようにしてもよい。すなわち、発券装置8が、さらに、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22aを備えていてもよい。
【0116】
なお、実施の形態1と同様に、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図23に示した例に限定されない。例えば、実施の形態1の
図1の例と同様に、発券装置が設備情報をモビリティ支援装置へ通知し、モビリティ支援装置が、利用設備を決定し、利用設備を発券装置と誘導装置4へ通知してもよい。
【0117】
以上のように、本実施の形態では、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備が座席指定の移動体の場合に、実施の形態1と同様に、利用者の体調情報に応じて、利用者が目的地までの移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。
【0118】
実施の形態5.
図27は、実施の形態5にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図27に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2b、誘導装置4、設備情報入力装置9および位置情報入力装置10を備える。本実施の形態のモビリティ支援システムは、実施の形態1と同様に、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者は病院などの施設に到着してから目的の施設内の目的の場所まで移動を行うことを想定する。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0119】
以下、出発地が病院の駐車場、または病院の敷地に入る際に通過する病院ゲートであり、目的地が病院の診察室である例を説明する。本実施の形態は、この例に限定されず、例えば、施設に到着してから施設内の目的の場所へ移動する場合に適用できる。
【0120】
本実施の形態では、出発地から目的地までの病院内の移動経路を、当該経路で用いられる設備の種類に応じて複数の区間に分割する。
図28は、本実施の形態の出発地から目的地までの複数の区間の一例を示す図である。
図28に示す例では、体調情報入力装置1が設置される出発地から病院の建物の4階にある診察階までの経路が区間#0~区間#3の4つの区間に分割されている。出発地は、例えば、徒歩、バスなどで来院した利用者については病院の敷地内に入る病院ゲートであり、自動車で来院した利用者については病院の駐車場である。これらの出発地には、体調情報入力装置1が設置される。
【0121】
区間#0は、出発地から病院の建物の1階の入口(以下、単に入口という)までの区間であり、区間#1は、入口から1階エレベータホールまでの区間である。区間#2は、1階エレベータホールから4階エレベータホールまでの区間であり、区間#3は、4階エレベータホールから診察室までの区間である。
【0122】
図29は、本実施の形態の利用者が移動する病院の各階の概略見取り図である。
図29の左側には1階と建物の外部の概略の平面図が示されており、
図29の右側には4階と建物の概略の平面図が示されている。利用者は、例えば、駐車場または病院ゲートから建物の1階の入口を経由して、1階エレベータホールへ移動し、1階エレベータホールからエレベータに乗って4階の4階エレベータホールに到着し、4階エレベータホールから4階の診察室へ向かう。
【0123】
ここでは、実施の形態1の
図3と同様に、利用者の体調情報に応じて利用者を発熱者と通常の体調の利用者とに分類し、各設備は、発熱者が利用する発熱設備と通常の体調の利用者が利用する通常設備とに分類される。
図29に示すように病院の建物には利用者が利用する設備である入口No.1~No.5の5つの入口があり、利用者の体調情報によって利用する入口が決定される。また、1階および4階のフロア内には利用者が移動する設備であるレッドゾーンとグリーンゾーンとの2種類の通路が設けられている。レッドゾーンは発熱設備であり、グリーンゾーンは通常設備である。レッドゾーンとグリーンゾーンとのどちらを利用するかは、利用者の体調情報によって決定される。また、エレベータのどのかごに乗るかについても、利用者の体調情報によって決定される。
【0124】
例えば、
図29に一点鎖線で示した経路は、駐車場に到着した体温が37.5度未満の利用者が利用する経路である。なお、
図29では、入口No.1から1階エレベータホールまでのレッドゾーンとグリーンゾーンの通路を図示している。また、図示は省略するが、No.2~No.5までの入口から1階エレベータホールまでの通路もレッドゾーンとグリーンゾーンとに区分されている。なお、後述するように入口No.1が通常設備に属する場合には、
図29に図示したレッドゾーンは用いられないが、ここでは入口と設備分類とが変更になってもよいように各入口からはレッドゾーンとグリーンゾーンとの両方が設けられる例を図示している。発熱設備に対応する入口が固定される場合には、レッドゾーンは当該入口から1階エレベータホールを繋ぐ経路だけに設けられていてもよい。
【0125】
図28の説明に戻る。
図29に示したように入口は複数である。このため、出発地が駐車場であるとしても、区間#0で用いられる設備である経路としては、駐車場-入口No.1、駐車場-入口No.2、駐車場-入口No.3、駐車場-入口No.4、および駐車場-入口No.5の合計5つがある。区間#1~#3に対応する設備もそれぞれ複数である。本実施の形態では、利用者の体調情報に応じて区間ごとに利用設備が決定される。また、出発地から入口までは、移動手段は徒歩のみであり、移動手段は用いられないが、区間#1である入口から1階エレベータホールの通路では、移動手段としてPMVが利用可能である。本実施の形態では、このPMVも利用者が利用する設備である。PMVに乗車した利用者は、目的地である4階の診察室までPMVに乗車する。
図28には、下段に区間ごとの利用可能な移動手段が記載されている。
【0126】
図28に示すように、区間#0と区間#1の境界をポイント#1とし、区間#1と区間#2の境界をポイント#2とし、区間#2と区間#3の境界をポイント#3とする。各区間で用いられる設備は、上述したようにそれぞれ複数であるため、ポイント#1~ポイント#3もそれぞれ複数である。したがって、ポイント#1は、例えば、区間#1に対応する複数の経路のそれぞれの開始位置を含む。このように、ポイント#1は、同一の意味を持つ1つ以上の位置の集まりを示すグループと考えることができる。なお、図示を省略しているが出発地はポイント#0である。本実施の形態では、モビリティ支援装置2bが利用者の位置を示す位置情報を位置情報入力装置10から取得し、利用者が各区間の開始位置などの各区間の誘導開始位置へ到着すると、当該区間に対応する利用設備へ利用者を誘導するよう誘導装置4へ通知する。これにより、利用者は、目的地まで移動する過程で区間ごとに適切な移動の支援を受けることができる。本実施の形態では、誘導装置4は、各区間に対応して複数設けられていてもよいし、利用者が保持するスマートフォン、タブレットなどが誘導装置4としての機能を有することにより、誘導装置4が利用者とともに移動しながら誘導を行ってもよい。
【0127】
図27の説明に戻る。設備情報入力装置9は、送信部91、設備情報記憶部92および入力部93を備える。設備情報入力装置9は、利用者が利用する病院内設備を管理する。病院内設備は、上述したように、エレベータ、通路、入口、PMVをはじめとした移動手段、などを含む。設備情報入力装置9は、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。入力部93は、各区間で用いられる設備に関して、設備分類と当該設備分類に属する設備を示す設備情報の入力を受け付け、入力された設備情報を設備情報記憶部92へ格納する。設備情報には、区間ごとに利用者への誘導を開始する誘導開始位置を示す情報も含まれる。
【0128】
送信部91は、設備情報を設備情報記憶部92から読みだしてモビリティ支援装置2bへ送信する。送信部91は、設備情報が更新されるごとに設備情報を設備情報記憶部92から読みだしてモビリティ支援装置2bへ送信してもよいし、定期的に設備情報を設備情報記憶部92から読みだしてモビリティ支援装置2bへ送信してもよい。
【0129】
位置情報入力装置10は、利用者の位置を示す位置情報を取得して、利用者の位置情報をモビリティ支援装置2bへ送信する。位置情報入力装置10は、利用者が携帯可能な端末である。位置情報入力装置10は、出発地などで利用者に貸与されて利用者が保持する専用の端末であってもよいし、利用者が保持するスマートフォン、タブレット、ウェアラブル端末などの端末であってもよい。位置情報入力装置10は、例えば、GPS(Global Positioning System)やビーコンなどを用いた測位機能によって、利用者の位置を示す位置情報を取得する。
【0130】
モビリティ支援装置2bは、モビリティ支援処理部22のかわりにモビリティ支援処理部22bを備え、位置情報受信部27が追加される以外は、実施の形態1の
図1に示したモビリティ支援装置2と同様である。
【0131】
図30は、本実施の形態のモビリティ支援装置2bの登録処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップS1は実施の形態1の
図2に示したステップS1と同様である。モビリティ支援装置2bは、設備情報入力装置9から、設備分類および区間ごとの当該設備分類に対応する設備(第1設備および第2設備の設備識別子)と誘導開始位置情報とを示す設備情報を受信する(ステップS2a)。
【0132】
本実施の形態では、利用者の移動に利用される設備は、通路など経路が固定された固定設備である第1設備と、PMVなどの移動手段すなわち移動設備である第2設備とに分類される。なお、エレベータは移動手段でもあるが、エレベータのかごが指定されることにより経路も固定されるため、エレベータのかごは固定の経路に対応するものであるため第1設備として扱う。例えば、
図29に示した1階のレッドゾーンおよびグリーンゾーンの通路は、第1設備に属する。利用者ごとに、レッドゾーン、またはグリーンゾーンが利用設備として割り当てられるが、利用者によっては、さらにレッドゾーンを移動するための利用設備としてPMVが割り当てられることもある。なお、レッドゾーンを移動する場合には必ずPMVを用いるといったように経路と移動手段が対応付けられている場合には、PMVを第1設備としてもよい。各区間には、第1設備のみが対応づけられていてもよく、第2設備のみが対応づけられていてもよく、第1設備および第2設備が対応付けられていてもよい。また、第1設備および第2設備のいずれも対応づけられない区間、すなわち利用する設備が決定されない区間があってもよい。
【0133】
図31は、本実施の形態の設備情報の一例を示す図である。
図31は、体調情報に応じて発熱設備と通常設備との2つの設備分類が定義されている場合の設備情報の一例を示す図である。
図31に示した設備情報には、区間ごとに、各設備分類に属する第1設備、第2設備の設備識別子が含まれている。また、各区間は、区間#0、区間#1などのように区間識別情報により識別され、設備情報には、区間に関する情報として、誘導開始位置を識別する誘導開始位置情報が含まれている。
図31に示した例では、誘導開始位置を示す誘導開始位置情報は、ポイント#0、ポイント#1などのように、ある地点自体を示すのではなくグループで示されている。なお、ポイント#0、ポイント#1などは、
図28を用いて説明したように、各区間の開始位置に対応する位置のグループである。
【0134】
図31に示した例では、区間#0で用いられる第1設備は、病院の建物の入口である。上述したように、病院ゲートまたは駐車場が区間#0の出発地であり、入口が区間#0の終了地点である。
【0135】
図31に示すように、例えば、区間#0では、発熱設備には、第1設備である入口No.5が属し、通常設備には、第1設備である入口No.1~No.4が属する。区間#0では、利用者に第2設備は提供されない。区間#0については、誘導開始位置はポイント#0すなわち区間#0の開始位置であるため、出発地である病院ゲートまたは駐車場で誘導が開始される。
【0136】
区間#1では、発熱設備には、第1設備としてレッドゾーン1階が属し、通常設備には、第1設備としてグリーンゾーン1階が属する。また、区間#1では、発熱設備には、第2設備としてPMVNo.1~No.10が属する。区間#1では、通常設備に属する第2設備はない。すなわち、区間#1では、通常設備を利用することが決定された利用者は徒歩で移動する。区間#1については、誘導開始位置はポイント#1すなわち区間#1の開始位置であるため、各入口で誘導が開始される。
【0137】
区間#2では、発熱設備には、第1設備としてエレベータのかごNo.1,No.2が属し、通常設備には、第1設備としてエレベータのかごNo.3~No.8が属する。また、区間#2では、発熱設備には、第2設備としてPMVNo.1~No.10が属する。区間#2では、通常設備に属する第2設備はない。区間#2については、誘導開始位置はポイント#2すなわち区間#2の開始位置であるため、1階エレベータホールで誘導が開始される。
【0138】
区間#3では、発熱設備には、第1設備としてレッドゾーン4階が属し、通常設備には、第1設備としてグリーンゾーン4階が属する。また、区間#3では、発熱設備には、第2設備としてPMVNo.1~No.10が属する。区間#3では、通常設備に属する第2設備はない。区間#3については、誘導開始位置はポイント#3すなわち区間#3の開始位置であるため、4階エレベータホールで誘導が開始される。また、目的地が発熱設備と通常設備とで別の診察室であっても良い。その場合、区間#3では、発熱設備と通常設備とで終了地点が異なることになる。
【0139】
図32は、本実施の形態の設備情報の別の一例を示す図である。
図32は、体調情報に応じて発熱設備と通常設備と専用設備との3つの設備分類が定義されている場合の設備情報の一例を示す図である。設備分類が3つの場合も、
図31の例と同様に、設備情報は、区間ごとに、設備分類ごとの設備識別子と誘導開始位置情報とを含む。
【0140】
図31、
図32に示した設備情報は例示であり、各区間に対応する設備は
図31、
図32に示した例に限定されない。例えば、出発地から入口までの間にPMVが用いられてもよいし、グリーンゾーンを利用する利用者にもPMVが提供されてもよい。
【0141】
図33は、本実施の形態における各ポイントのグループに属する位置を示すポイント位置情報の一例を示す図である。上述したように、ポイント#0、ポイント#1などは位置のグループを示しており、実際の位置は複数の場合もある。したがって、利用設備によって実際の位置が異なることになるため、
図33に示すように利用設備ごとに対応する位置を示すポイント位置情報が記憶部24に格納される。ポイント位置情報は、入力部25を用いて入力されてもよいし、設備情報とともに設備情報入力装置9から送信されてもよいし、設備情報の一部であってもよい。
【0142】
以上に述べた、各区間の定義と各区間で利用可能な設備とは例示であり、各区間の定義と各区間で利用可能な設備とは上述した例に限定されない。例えば、区間#1において、通常設備としても第2設備のPMVが用いられてもよいし、区間#1において、発熱設備としてもPMVを用いず利用者が徒歩で移動してもよい。また、例えば、区間#2において、1階から4階までの移動の通常設備としてエレベータだけでなく階段が用いられてもよい。この場合、設備情報の区間#2の開始位置を、1階エレベータホールのかわりに1階からの移動開始点と定義し、区間#2の終了位置を、4階エレベータホールのかわりに4階への移動終了点と定義すればよい。また、誘導開始位置も上述した例に限定されず、例えば、区間#1の入口から診察室に至るまでの全区間の移動に関する情報が一度に表示されてもよい。また、各区間の開始位置だけでなく、通路の分岐点など区間の途中の位置を誘導開始位置としてもよい。例えば、区間#1ではすでに入口が発熱設備と通常設備が分かれているので利用者が入り口から入った直後は通路が1つである場合も考えられる。このような場合には、利用者が通路を進んで分岐点に差しかかったところで誘導が開始されてもよい。このような場合には、誘導開始位置は、ポイント#1として定義されるかわりに、経路ごとに個別の位置で定義されてもよい。
【0143】
図30の説明に戻る。ステップS2aの後、モビリティ支援装置2bは、体調情報と利用可能な設備分類との対応関係、および設備情報を用いて、区間ごとの、体調情報と設備識別子との対応関係を対応設備情報として記憶し(ステップS3a)、登録処理を終了する。
図34は、本実施の形態の対応設備情報の一例を示す図である。
図34は、
図31に示した設備情報に基づいて生成されたものであり、体調情報と利用可能な設備分類との対応関係としては、体温が37.5度以上の場合が発熱設備に対応づけられ、体温が37.5未満の場合が通常設備に対応づけられる対応関係が用いられている。
【0144】
図35は、本実施の形態のモビリティ支援装置2bにおける利用設備決定処理手順の一例を示すフローチャートである。モビリティ支援装置2bは、体調情報入力装置1から利用者の体調情報および利用者識別情報を受信する(ステップS11a)。詳細には、体調情報受信部21は、体調情報入力装置1から利用者の体調情報および利用者識別情報を受信し、受信した体調情報および利用者識別情報をモビリティ支援処理部22bへ通知する。次に、モビリティ支援処理部22bは、受信した体調情報と、対応設備情報とに基づき、区間ごとに利用者が利用する設備を決定する(ステップS12a)。本実施の形態では区間ごとに利用設備が決定されるが、各区間の利用設備の決定方法は実施の形態1と同様である。
【0145】
ステップS12aの後、モビリティ支援装置2bは、利用者の位置情報を受信したか否かを判断する(ステップS31)。詳細には、位置情報受信部27が、位置情報入力装置10から、利用者識別情報とともに利用者の位置情報を受信すると、利用者識別情報および位置情報を、モビリティ支援処理部22bへ通知する。モビリティ支援処理部22bは、位置情報受信部27から通知された利用者識別情報がステップS11aで受信した体調情報に対応する利用者識別情報と一致する場合、利用者の位置情報を受信したと判断する。
【0146】
利用者識別情報として、利用者が保持する位置情報入力装置10の端末識別子などが用いられる場合には、体調情報入力装置1は、体調情報を取得する際に、利用者に対応する位置情報入力装置10から当該位置情報入力装置10の端末識別子を利用者識別情報として取得する。また、利用者識別情報として病院の診察券番号、定められたユーザID(Identifier)などが用いられる場合には、利用者は体調情報入力装置1へ利用者識別情報を入力するとともに、位置情報入力装置10にも利用者識別情報を登録する。この場合、位置情報入力装置10は、利用者識別情報の入力を受け付けて、利用者識別情報とともに位置情報を定期的に送信する機能を有することとする。この機能は、例えば、アプリケーションソフトウェアがインストールされることにより実現される。また、位置情報入力装置10が、利用者が保持するスマートフォンなどであり、上記のアプリケーションソフトウェアがインストールされる場合、位置情報入力装置10が体調情報入力装置1に接近すると、位置情報入力装置10が体調情報入力装置1と通信を行い、体調情報入力装置1が位置情報入力装置10から利用者識別情報を取得してもよい。
【0147】
利用者の位置情報を受信した場合(ステップS31 Yes)、モビリティ支援処理部22bは、利用者の位置と誘導開始位置との差がしきい値以下であるか否かを判断する(ステップS32)。詳細には、モビリティ支援処理部22bは、記憶部24に格納されているポイント位置情報を参照して、利用設備に対応する誘導開始位置の座標値を求め、利用者の位置情報が示す座標値との差を算出し、当該差がしきい値以下であるか否かを判断する。利用者の位置と誘導開始位置との差がしきい値以下である場合(ステップS32 Yes)、モビリティ支援処理部22bは、送信部26を介して、決定した設備を示す利用設備情報(設備識別子)を誘導装置4へ通知する(ステップS33)。すなわち、モビリティ支援処理部22bは、区間ごとに定められた誘導開始位置と位置情報により示される位置との差がしきい値以下となった場合に、送信部26に利用設備を誘導装置4へ通知させる。誘導装置4は、上述したように、各区間に対応して設けられていてもよいし、利用者が携帯する端末などであってもよい。
【0148】
モビリティ支援処理部22bは、利用者が目的地に到着したか否かを判断し(ステップS34)、目的地に到着した場合(ステップS34 Yes)、処理を終了する。例えば、目的地が診察室である場合には、診察室の領域をあらかじめ定義しておき、モビリティ支援装置2bが利用者の位置が当該領域内に入った否かにより目的地に到着した否かを判断する。
【0149】
利用者の位置情報を受信していない場合(ステップS31 No)、ステップS31の処理が繰り返される。利用者の位置と誘導開始位置との差がしきい値を超えている場合(ステップS32 No)、処理はステップS34へ進む。利用者が目的地に到着していない場合(ステップS34 No)、ステップS31からの処理が繰り返される。
【0150】
なお、
図35に示した例では、はじめに各区間の利用設備を一度に決定したが、利用者の位置に応じて、各区間の終了までに次の区間の利用設備を決定する手順であってもよい。
【0151】
本実施の形態のモビリティ支援装置2b、設備情報入力装置9も、実施の形態1のモビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、モビリティ支援装置2bと設備情報入力装置9とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。モビリティ支援装置2bと設備情報入力装置9とを統合して、設備情報入力装置が、モビリティ支援装置2bとしての機能も有するようにしてもよい。すなわち、設備情報入力装置9が、さらに、位置情報受信部27、記憶部24、体調情報受信部21およびモビリティ支援処理部22bを備えていてもよい。
【0152】
なお、実施の形態1と同様に、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図27に示した例に限定されない。例えば、実施の形態1の変形例1と同様に、モビリティ支援装置が、利用者が利用する設備分類を決定して、設備情報入力装置9が、モビリティ支援装置によって決定された設備分類に基づいて利用設備を決定してもよい。すなわち、
図27に示した設備情報入力装置9に、実施の形態1の変形例1の車両配車装置3aと同様の設備決定部と位置情報受信部とを追加した設備管理装置を用い、モビリティ支援装置2bのかわりに設備分類を決定するモビリティ支援装置2aを用いる。設備管理装置の設備決定部は、モビリティ支援装置によって決定された設備分類にしたがって、上述したモビリティ支援処理部22bと同様に区間ごとに利用設備を決定することができる。この場合、
図35に示したステップS11aのかわりに、モビリティ支援装置2が設備分類を決定して設備分類を利用者識別情報とともに設備管理装置へ通知する処理が行われる。設備管理装置の設備決定部は、設備管理装置の位置情報受信部が受信した位置情報を用いて、
図35に示したステップS12aと同様の処理を実施する。
【0153】
以上のように、本実施の形態では、利用者が目的地までの移動の際に、区間ごとに利用する設備が異なる場合に、区間ごとに、実施の形態1と同様に、利用者の体調情報に応じて、利用者が移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。また、誘導開始位置を区間ごとに決定し、区間ごとに誘導装置4が誘導を行うので、利用者は移動に伴って適切な位置で移動の支援を受けることができる。例えば、利用者が病院の建物の入口で、エレベータのどのかごを利用するかを示す情報の表示を誘導装置4が行ったとしても、エレベータホールに利用者が到着した時点で、利用者が上述した表示された情報を覚えていないこともある。これに対して、エレベータホールに利用者が近づいたときにエレベータのどのかごを利用するかを示す表示を誘導装置4が行うと利用者は速やかに移動を行うことができる。
【0154】
実施の形態6.
図36は、実施の形態6にかかるモビリティ支援システムの構成例を示す図である。
図36に示すように、本実施の形態のモビリティ支援システムは、体調情報入力装置1、モビリティ支援装置2c、車両配車装置3a、誘導装置4、設備情報入力装置9a、エレベータ管理装置6aおよび位置情報入力装置10を備える。本実施の形態のモビリティ支援システムは、実施の形態1と同様に、利用者の移動を支援するシステムである。本実施の形態では、利用者は駅などに到着してから目的の施設内の目的の場所まで移動を行うことを想定する。実施の形態1~5と同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1~5と異なる点を主に説明する。
【0155】
車両配車装置3aは、実施の形態1の変形例1で述べた車両配車装置3aと同様である。モビリティ支援装置2cは、モビリティ支援処理部22のかわりにモビリティ支援処理部22cを備える以外は、実施の形態1のモビリティ支援処理部22と同様である。エレベータ管理装置6aは、実施の形態2のエレベータ管理装置6の管理部63のかわりに管理部63aを備える以外は実施の形態2のエレベータ管理装置6と同様である。設備管理装置である設備情報入力装置9aは、実施の形態5の設備情報入力装置9に、受信部94および管理部95が追加されている。
【0156】
本実施の形態では、実施の形態5と同様に、出発地から目的地までが複数の区間に分割される。
図37は、本実施の形態の各区間を説明するための図である。区間#0は、駅Aの改札から駅Aの駅前のバス停Bまでの区間であり、区間#1は、バス停Bからバス停Cまでの区間である。バス停Cは、病院Dの最寄りのバス停であり、区間#2は、バス停Cから病院Dの建物の入口までの区間である。区間#3~区間#5は、実施の形態1で述べた病院の入口から診察室までの区間#1~区間#3(
図37では院内区間#1~#3と記載)と同様である。
【0157】
図38は、本実施の形態の移動経路の一例を示す図である。
図38は、
図37に対応した各区間を模式的な地図として示したものである。
図38に示すように、駅A改札は地下または2階以上の階にあり、駅A改札からバス停Bへの移動には、エレベータまたは階段が利用可能である。なお、以下の例では、利用者が階段を用いずエレベータを利用する例を説明するが、利用する設備分類として通常設備が選択された場合に階段を用いるように設備情報が決定されてもよい。バス停車Bからバス停Cまでは、実施の形態1と同様に利用者は車両により移動する。バス停Cからは利用者は徒歩で病院Dの建物の入口に移動する。病院D内の移動については実施の形態5と同様であるため説明を省略する。
【0158】
本実施の形態では、モビリティ支援装置2cの設備情報受信部23は、車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aから、それぞれ利用可能な設備分類を示す分類情報を受信する。すなわち、本実施の形態では、利用者が利用する設備は、車両、エレベータ、および病院内設備を含む。
図39は、本実施の形態のモビリティ支援装置2cがエレベータ管理装置6aから受信する分類情報の一例を示す図である。
図40は、本実施の形態のモビリティ支援装置2cが車両配車装置3aから受信する分類情報の一例を示す図である。
図41は、本実施の形態のモビリティ支援装置2cが設備情報入力装置9aから受信する分類情報の一例を示す図である。
【0159】
図39~
図41に示すように、分類情報は、各装置が管理する設備の移動区間を同じくする設備のグループを示すグループ識別情報と、誘導開始位置情報と、誘導目的位置情報と、利用可能な設備分類とを示す。例えば、1つエレベータの複数のかごは移動の開始位置と終了位置が同じと考えることができる。車両に関しては、移動の開始位置と終了位置が同じ車両を1つのグループとすることができる。ここでは、エレベータ、病院がそれぞれ1つであるとして、グループ識別情報をこれらの名称で示している。車両に関しても、車両配車装置3aが、移動の開始位置と終了位置が同一の車両を管理しているとし、このグループのグループ識別情報を車両と示している。例えば、移動の開始位置と終了位置のうちいずれか一方が異なる車両を管理している場合には、開始位置と終了位置の組み合わせごとに1つのグループとすればよい。誘導開始位置情報と誘導目的位置情報とは、それぞれ、各装置が管理する設備を用いて利用者が移動を行う区間の開始位置と終了位置とを示す。なお、ここでは、誘導開始位置が、対応する区間の移動の開始位置と一致する前提としているが、誘導開始位置が対応する区間の移動の開始位置と異なる場合には、分類情報には、誘導開始位置情報のかわりに対応する区間の移動の開始位置を示す情報が含まれる。すなわち、分類情報は、各装置が管理する設備を用いて利用者が移動を行う区間の開始位置と終了位置と示す情報を含んでいればよい。
【0160】
車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aの各装置は、設備情報を記憶している。車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aのそれぞれは、利用者が利用する設備を管理する管理装置の一例である。車両配車装置3aが記憶する設備情報は、実施の形態1の
図5と同様である。
図42は、本実施の形態のエレベータ管理装置6aが記憶する設備情報の一例を示す図である。エレベータ管理装置6aの管理部63aは、実施の形態2と同様に、エレベータの管理者からの入力などに応じて設備情報を決定し、決定した設備情報を設備情報記憶部64に格納する。
【0161】
図43は、本実施の形態の設備情報入力装置9aが記憶する設備情報の一例を示す図である。設備情報入力装置9aの管理部63aは、実施の形態5と同様に、病院の管理者からの入力などに応じて設備情報を決定し、決定した設備情報を設備情報記憶部92に格納する。
【0162】
モビリティ支援装置2cのモビリティ支援処理部22cは、実施の形態1の変形例1と同様に、利用者の体調情報と利用可能な設備分類との対応関係を記憶部24に格納している。
【0163】
モビリティ支援処理部22cは、体調情報入力装置1から体調情報および利用者識別情報を受信すると、上述した対応関係に基づいて、利用者が利用する設備分類を決定する。また、モビリティ支援処理部22cは、車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aの各装置から受信した分類情報に含まれる誘導開始位置情報と誘導目的位置情報に基づき、区間ごとに出発地から目的地までの移動に利用者が使用するグループを決定する。この例では、駅Aの改札から病院Dの診察室までで使用されるグループのグループ識別情報は、エレベータ、車両、病院の順になる。なお、ここでは、駅Aの改札から病院Dの診察室までで使用されるグループに関する分類情報だけを示しているが、モビリティ支援装置2cは、これら以外のグループに対応する分類情報も受信する場合には、多数の分類情報のなかから、利用者が出発地から目的地までの移動が可能なように、設備が使用されるグループを決定すればよい。例えば、モビリティ支援装置2cは、それぞれが異なるエレベータを管理する複数のエレベータ管理装置6aから分類情報を受信してもよい。
【0164】
モビリティ支援装置2cは、例えば、まず、出発地が誘導開始位置となっているグループを選択し、当該グループの誘導目的地が誘導開始位置となっている次のグループを選択するという処理を繰り返すことで、利用者が出発地から目的地までの移動に利用されるグループを決定する。なお、モビリティ支援処理部22cは、各グループの分類情報を参照し、決定した設備分類に対応していないグループについては選択の優先度を下げるようにしてもよい。
【0165】
モビリティ支援処理部22cは、決定した設備分類を示す利用分類情報を送信部26へ出力し、送信部26が、利用分類情報を、上記決定されたグループに対応する車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aへそれぞれ送信する。
【0166】
また、位置情報受信部27は、位置情報入力装置10から位置情報および利用者識別情報を受信すると、モビリティ支援処理部22cへ通知する。モビリティ支援処理部22cは、通知された位置情報および利用者識別情報を、送信部26を介して車両配車装置3a、設備情報入力装置9aおよびエレベータ管理装置6aへそれぞれ送信する。
【0167】
車両配車装置3aは、実施の形態1の変形例1と同様に、モビリティ支援装置2cから通知された利用設備情報と設備情報記憶部34に格納されている設備情報とに基づいて利用設備を決定し、配車する。また、車両配車装置3aは、利用設備を誘導装置4へ通知する。なお、車両配車装置3aに対応する誘導装置4の図示は省略している。誘導装置4は、実施の形態1の変形例1と同様に、車両の配車位置に利用者を誘導する。また、車両配車装置3aは、利用者の位置情報に基づいて、実施の形態5のステップS31~S33と同様の処理により、利用者が誘導開始位置の周辺に到着したときに、利用設備を誘導装置4へ通知してもよい。
【0168】
エレベータ管理装置6aの受信部62は、モビリティ支援装置2cから通知された情報を管理部63aへ通知する。管理部63aは、モビリティ支援装置2cから通知された利用設備情報と設備情報記憶部64に格納されている設備情報とに基づいて利用設備を決定する設備決定部である。管理部63aは、決定した利用設備を、送信部61を介して誘導装置4へ通知する。なお、エレベータ管理装置6aに対応する誘導装置4の図示は省略している。誘導装置4は、実施の形態2と同様に、対応するかごの乗り場に利用者を誘導する。また、エレベータ管理装置6aは、利用者の位置情報に基づいて、実施の形態5のステップS31~S33と同様の処理により、利用者が誘導開始位置の周辺に到着したときに、利用設備を誘導装置4へ通知してもよい。
【0169】
設備情報入力装置9aの受信部94は、モビリティ支援装置2cから通知された情報を管理部95へ通知する。管理部95は、モビリティ支援装置2cから通知された利用設備情報と設備情報記憶部92に格納されている設備情報とに基づいて利用設備を決定する設備決定部である。管理部95は、決定した利用設備を、送信部91を介して誘導装置4へ通知する。なお、管理部95は、実施の形態5と同様に、区間ごとに利用設備を決定する。また、管理部95は、利用者の位置情報に基づいて、実施の形態5のステップS31~S34と同様の処理を行う。すなわち、設備情報入力装置9aは、利用者が誘導開始位置の周辺に到着したときに、利用設備を誘導装置4へ通知する。
【0170】
なお、本実施の形態では、位置情報入力装置10から送信される利用者の位置情報および利用者識別情報が、モビリティ支援装置2cを介して車両配車装置3a、エレベータ管理装置6a、設備情報入力装置9aで受信されるが、これに限らず、利用者の位置情報および利用者識別情報は、位置情報入力装置10から車両配車装置3a、エレベータ管理装置6a、設備情報入力装置9aへモビリティ支援装置2cを介さずに送信されてもよい。
【0171】
本実施の形態のモビリティ支援装置2c、車両配車装置3a、エレベータ管理装置6a、設備情報入力装置9aも、実施の形態1のモビリティ支援装置2、車両配車装置3と同様に、それぞれ1つ以上のコンピュータにより実現される。また、本実施の形態のモビリティ支援装置2c、車両配車装置3a、エレベータ管理装置6aおよび設備情報入力装置9aのうち2つ以上が1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。本実施の形態のモビリティ支援装置2cはクラウドシステムにより実現されてもよい。本実施の形態のモビリティ支援装置2cがクラウドシステムで実現されることにより、複数の管理装置と接続、連携することが容易となり、より広範囲にわたり、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができるとの効果をえることができる。
【0172】
図44は、本実施の形態における区間ごとの利用可能な設備分類を総合的に示す図である。第1設備と第2設備の定義は実施の形態5と同様である。本実施の形態では、区間#1では、固定的な設備は決定されないため、
図44に示すように、区間#1では第2設備だけが決定されることになる。このように、本実施の形態では、性質の異なる多様な設備をモビリティ支援装置2cが統括的に管理し、車両配車装置3a、設備情報入力装置9a、エレベータ管理装置6aの各装置が、自身が管理する設備に対応する区間の利用設備を決定することで、利用者の出発地から目的地までの移動を総合的に支援することできる。
【0173】
以上のように、本実施の形態では、利用者が1つの施設内だけでなく駅から施設内のある部屋までといった移動を行う場合に、区間ごとに、利用者の体調情報に応じて、利用者が移動の際に利用する設備分類を決定し、決定された設備分類に属する設備を利用者が利用する設備として決定する。これにより、感染症の拡大を抑制しつつ利用者の目的地への移動を支援することができる。また、誘導開始位置を区間ごとに決定し、区間ごとに誘導装置4が誘導を行うので、利用者は移動に伴って適切な位置で移動の支援を受けることができる。
【0174】
なお、実施の形態1と同様に、モビリティ支援システムが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは
図36に示した例に限定されない。例えば、モビリティ支援装置が、実施の形態5などと同様に、車両配車装置、エレベータ管理装置、設備情報入力装置から設備情報を受信し、区間ごとの利用設備を決定してもよい。
【0175】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0176】
1 体調情報入力装置、2,2a,2b,2c モビリティ支援装置、3,3a,3b 車両配車装置、4 誘導装置、5 発券機、6,6a エレベータ管理装置、7,9,9a 設備情報入力装置、8 発券装置、10 位置情報入力装置、21 体調情報受信部、22,22a,22b,22c モビリティ支援処理部、23 設備情報受信部、24 記憶部、25,72,93 入力部、26,31,61,71,81,91 送信部、27 位置情報受信部、32,62,82,94 受信部、33 配車管理部、34,64,73,83,92 設備情報記憶部、35 設備決定部、36,85 発券処理部、63,63a,95 管理部、84 座席決定部。