(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】靴底およびこれを備えた靴
(51)【国際特許分類】
A43B 13/22 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A43B13/22 A
(21)【出願番号】P 2020148216
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱川 文智
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕彰
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0036740(US,A1)
【文献】特開2006-334400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095033(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0056172(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2097381(KR,B1)
【文献】特開2018-202196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部、着用者の足の踏まず部を支持する中足部、および、着用者の足の踵部を支持する後足部が、前後方向に連なって設けられた靴底であって、
前記前足部から前記後足部にかけて連続して位置するソール本体部と、
前記前足部から前記後足部にかけて連続して位置しつつ前記ソール本体部に接合され、前記ソール本体部を構成する材料より剛性の高い材料により構成された、プレート部とを備え、
前記プレート部は、
少なくとも前記前足部において、前記靴底の接地面を構成する露出領域と、
少なくとも前記後足部において、前記ソール本体部の内部に収容される収容領域とを有し、
前記プレート部は、前記中足部の少なくとも一部と、前記後足部の少なくとも一部とにおいて、後方に向かうにしたがって上方に傾いている、靴底。
【請求項2】
前記プレート部は、前記中足部の前端から後端にかけて、後方に向かうにしたがって上方に傾いている、請求項1に記載の靴底。
【請求項3】
前記プレート部は、前記後足部の前端から後端にかけて、後方に向かうにしたがって上方に傾いている、請求項1または請求項2に記載の靴底。
【請求項4】
前記プレート部は、前記収容領域全体において、後方に向かうにしたがって上方に傾いている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項5】
着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部、着用者の足の踏まず部を支持する中足部、および、着用者の足の踵部を支持する後足部が、前後方向に連なって設けられた靴底であって、
前記前足部から前記後足部にかけて連続して位置するソール本体部と、
前記前足部から前記後足部にかけて連続して位置しつつ前記ソール本体部に接合され、前記ソール本体部を構成する材料より剛性の高い材料により構成された、プレート部とを備え、
前記プレート部は、
前後方向に沿って延び、着用者の足の外足側を支持する外足側領
域と、
前後方向に沿って延び、着用者の足の内足側を支持する内足側領
域と、
少なくとも前記プレート部の後端部に位置して前記外足側領
域と前記内足側領
域とを接続する後側領
域とを含み、
前記内足側領
域は、前記前足部において少なくとも一部が足幅方向において前記外足側領
域と離間して
おり、
前記プレート部は、
少なくとも前記前足部において、前記靴底の接地面を構成する露出領域と、
少なくとも前記後足部において、前記ソール本体部の内部に収容される収容領域とを有し、
前記プレート部は、前記露出領域において、下方に突出する複数の突起部を有しており、
前記露出領域は、
前記靴底において着用者の外足側を支持する部分の少なくとも一部に位置して、前記複数の突起部が配置された第1露出領域と、
前記靴底において着用者の内足側を支持する部分の少なくとも一部に位置して、前記第1露出領域に配置された前記複数の突起部とは形状の異なる前記複数の突起部が配置された第2露出領域とを有している、靴底。
【請求項6】
前記プレート部は、互いに離間した前記外足側領
域の前端および前記内足側領
域の前端を接続する先端領域をさらに含む、請求項5に記載の靴底。
【請求項7】
前記プレート部は、前記先端領域および前記後側領
域のいずれとも離間しつつ、足幅方向に沿って延び、互いに離間した前記外足側領
域および前記内足側領
域を接続する少なくとも1つの梁部を有する、請求項6に記載の靴底。
【請求項8】
前記プレート部は、1つのみの前記梁部を有し、
前記梁部は、前記先端領域より、前記後側領
域の近くに位置している、請求項7に記載の靴底。
【請求項9】
前記プレート部は、前記先端領域および前記後側領
域の間において前記外足側領
域と前記内足側領
域を網目状に繋ぐ網目部を有する、請求項6に記載の靴底。
【請求項10】
前記プレート部は、前記中足部の少なくとも一部と、前記後足部の少なくとも一部とにおいて、後方に向かうにしたがって上方に傾いている、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項11】
前記プレート部は、前記露出領域において、下方に突出する複数の突起部を有しており、
前記露出領域は、
前記靴底において着用者の外足側を支持する部分の少なくとも一部に位置して、前記複数の突起部が配置された第1露出領域と、
前記靴底において着用者の内足側を支持する部分の少なくとも一部に位置して、前記第1露出領域に配置された前記複数の突起部とは形状の異なる前記複数の突起部が配置された第2露出領域とを有している、請求項1から請求項4のいずれか1
項に記載の靴底。
【請求項12】
前記第1露出領域に位置する前記複数の突起部は、突起部の先端の後側に位置する第1傾斜面と、該第1傾斜面より勾配が急峻であって突起部の先端の前側に位置する第1急傾斜面とを有する複数の第1突起部を含み、
前記第2露出領域に位置する前記複数の突起部は、突起部の先端の前側に位置する第2傾斜面と、該第2傾斜面より勾配が急峻であって突起部の先端の後側に位置する第2急傾斜面とを有する複数の第2突起部を含む、
請求項5から請求項11
のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項13】
前記露出領域のうち着用者のMP関節を支持する領域においては、着用者の外足側を支持する部分に前記第1露出領域が位置し、着用者の内足側を支持する部分に前記第2露出領域が位置している、請求項12に記載の靴底。
【請求項14】
前記露出領域のうち前記プレート部の前端部に位置する領域には、前記第2露出領域が位置している、
請求項5から請求項12
のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項15】
前記露出領域は、前記前足部から前記中足部の少なくとも一部にかけて連続するように位置しており、
前記露出領域のうち、前記中足部のうちの前側の部分においては、外足側に前記第1露出領域が位置しており、内足側に前記第2露出領域が位置している、
請求項5から請求項14のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項16】
前記露出領域の後端は、着用者の外足側を支持する部分に位置している、請求項1か
ら請求項15のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項17】
前記露出領域の後端は、着用者の内足側を支持する部分に位置している、請求項1か
ら請求項15のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項18】
前記露出領域の後端は、前記靴底の足幅方向中央に位置している、請求項1か
ら請求項15のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項19】
上下方向から見て、前後方向における前記靴底の先端から前記露出領域の後端までの寸法は、前記靴底の前後方向の寸法の20%以上75%以下である、請求項1か
ら請求項18のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項20】
前記プレート部は、前記中足部において、内足側の側端縁が足幅方向中央に向かって凹状に湾曲するくびれ領域を有しており、
前記くびれ領域において、前記プレート部は下方に向かって凸状に湾曲している、請求項1か
ら請求項19のいずれか1項に記載の靴底。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の前記靴底と、
前記靴底の上部に位置するアッパーとを備える、靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底およびこれを備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴底およびこれを備えた靴の構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2018/123509号(特許文献1)、国際公開第2012/127556号(特許文献2)、国際公開第2016/163393号(特許文献3)および米国特許出願公開第2017/0095034号明細書(特許文献4)がある。
【0003】
特許文献1に記載された靴底においては、ミッドソールが靴の前後方向に延びるトンネル状または溝状の空洞を定義している。特許文献2に記載された靴底は、スパイクソールであって、強化繊維で強化されたFRP(繊維強化プラスチック)製であって、多数のスパイクを有するソール本体を備える。特許文献3に記載された靴底は、非発泡体の樹脂成分を含む硬質のソール本体を備えている。特許文献4に記載された靴底において、ソール構造は、アウトソールとアッパーとの間に配置される板を備えている。当該板は、最前方の点と最後方の点との間で延び、最前方の点からソール構造の中足指節(MTP)点まで一定の曲率半径を含む凹部分を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/123509号
【文献】国際公開第2012/127556号
【文献】国際公開第2016/163393号
【文献】米国特許出願公開第2017/0095034号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の靴底として、靴を着用した着用者の走行時において、着用者の足から受ける荷重に対しての曲げ剛性を有するプレート部を備えることにより、走行性を向上させる靴底がある(なお、特許文献1に開示された靴底は、プレート部を備えておらず、特許文献2および特許文献3には、比較的硬質のソール本体が開示されているが、ソール本体の曲げ剛性については開示されていない)。たとえば特許文献4に開示された板は、足のMTP関節に近接してエネルギー損失を低減する長手方向の剛性を有している。これにより、足首関節における負担を軽減させている。しかしながら、靴底に備えられたプレート部は、その形状または剛性をより適切に設計することにより、靴の走行性をさらに向上できる余地がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、靴の走行性を向上させる靴底を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面に基づく靴底は、着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部、着用者の足の踏まず部を支持する中足部、および、着用者の足の踵部を支持する後足部が、前後方向に連なって設けられている。当該靴底は、ソール本体部と、プレート部とを備えている。ソール本体部は、前足部から後足部にかけて連続して位置する。プレート部は、前足部から後足部にかけて連続して位置しつつソール本体部に接合され、ソール本体部を構成する材料より剛性の高い材料により構成されている。プレート部は、露出領域と、収容領域とを有している。露出領域は、少なくとも前足部において、靴底の接地面を構成する。収容領域は、少なくとも後足部において、ソール本体部の内部に収容されている。プレート部は、中足部の少なくとも一部と、後足部の少なくとも一部とにおいて、後側に向かうにしたがって上方に傾いている。
【0008】
本発明の第2局面に基づく靴底は、着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部、着用者の足の踏まず部を支持する中足部、および、着用者の足の踵部を支持する後足部が、前後方向に連なって設けられている。当該靴底は、ソール本体部と、プレート部とを備えている。ソール本体部は、前足部から後足部にかけて連続して位置する。プレート部は、少なくとも前足部において前後方向に沿って延びつつソール本体部に接合され、ソール本体部を構成する材料より剛性の高い材料により構成されている。プレート部は、外足側領域と、内足側領域と、後側領域とを含んでいる。外足側領域は、前後方向に沿って延び、着用者の足の外足側を支持する。内足側領域は、前後方向に沿って延び、着用者の足の内足側を支持する。内足側領域は、前足部において少なくとも一部が足幅方向において外足側領域と離間している。後側領域は、少なくともプレート部の後端部に位置して、外足側領域と内足側領域とを接続する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、靴の走行性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る靴を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る靴底を下方から示す底面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る靴底を、外足側から見た側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る靴底を、内足側から見た側面図である。
【
図5】
図2の靴底をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】
図2の靴底をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
【
図7】
図2の靴底をVII-VII線矢印方向から見た図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るプレート部を下方から見た底面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るプレート部を下方から見た斜視図である。
【
図10】
図8および
図9に示したプレート部のうちX領域に位置する突起部を、下方から見た底面図である。
【
図11】
図10で示した突起部を矢印XI方向から見た図である。
【
図12】
図11で示した突起部を矢印XII方向から見た図である。
【
図13】
図8および
図9に示したプレート部のうちXIII領域に位置する突起部を、下方から見た底面図である。
【
図14】
図13で示した突起部を矢印XIV方向から見た図である。
【
図15】
図13で示した突起部を矢印XV方向から見た図である。
【
図16】第1変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図17】第2変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図18】第3変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図19】第4変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図20】第5変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図21】第6変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図22】第7変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図23】第8変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図24】第9変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図25】第10変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図26】第11変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図27】第12変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図28】第13変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図29】第14変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図31】第15変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図33】第16変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図34】第17変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図35】第18変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図37】第19変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図38】第20変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図39】第21変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図40】第22変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図41】第23変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図42】第24変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図43】第25変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図44】第26変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
【
図45】第27変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図46】第28変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図47】第29変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図48】第30変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図49】第31変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図50】第32変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図51】第33変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
【
図52】第34変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図53】第35変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図54】第36変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図55】第37変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図56】第38変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図57】第39変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図58】第40変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
【
図59】第41変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
【
図60】第42変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
【
図61】第43変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
【
図62】第44変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
【
図63】第45変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から見た図である。
【
図64】第46変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【
図65】第47変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【
図66】第48変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【
図67】第49変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【
図68】第50変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【
図69】第51変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態および変形例に係る靴底およびこれを備えた靴について図を参照して説明する。以下の実施形態および変形例の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
なお、本明細書における「上下方向」とは、接地面が地面に接するように靴底を平坦な地面に載置した場合において、地面に直交する方向を意味し、「上方」は靴底から見たときの地面側とは反対側の方向を意味し、「下方」は靴底から見たときの地面側の方向を意味する。本明細書における「前方」は、靴の着用者が向いている方向を意味し、「後方」は、「前方」とは反対方向を意味し、「前後方向」は、「前方」および「後方」に沿う方向である。本明細書における「足幅方向」は、「上下方向」および「前後方向」の両方に直交する方向である。
【0013】
また、靴底の説明において単に「内足側」という場合には、靴底のうち、靴底の足幅方向中心から見て、靴の着用者の足の内足側(解剖学的正位における正中側)を支持する部分の側を意味する。単に「外足側」という場合には、靴底の足幅方向中心から見て、靴底のうち靴の着用者の足の外足側(解剖学的正位における正中側とは反対側)を支持する部分の側を意味する。
【0014】
また、本明細書において、「着用者の足を支持する」の語は、着用者の足に直接接触して支持する意味に限定されず、着用者の足の下方から他の部材を介して着用者の足を支持する意味が含まれる。また、本明細書における靴および靴底の各構成の説明は、着用者が走行しているときの状態の説明を除いて、着用者が着用していない状態における各構成についての説明である。
【0015】
(一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る靴を示す斜視図である。
図1に示すように、靴1は、靴底100と、靴底100の上部に位置するアッパー10とを備えている。靴底100は、靴1の着用者の足を主に下方から支持する。アッパー10は、靴1の着用者の足を主に側方および上方から保持する。アッパー10は、靴底100と接合されている。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係る靴底を下方から示す底面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る靴底を、外足側から見た側面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る靴底を、内足側から見た側面図である。
図5は、
図2の靴底をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【0017】
図2から
図5に示すように、本発明の実施形態1に係る靴底100は、着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部100F、着用者の足の踏まず部を支持する中足部100M、および、着用者の足の踵部を支持する後足部100Rが、前後方向yに連なって設けられている。たとえば、前足部100Fの前後方向yの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法のおよそ40%以上60%以下であり、中足部100Mの前後方向yの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法のおよそ20%以上30%以下であり、後足部100Rの前後方向yの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法のおよそ20%以上30%以下である。本実施形態を説明する図においては、靴底100の前後方向yに対して、前足部100Fの前後方向yの寸法が50%、中足部100Mの前後方向yの寸法が25%、後足部100Rの前後方向yの寸法が25%となるように、靴底100を図示している。
【0018】
靴底100は、ソール本体部110と、アウトソール140と、プレート部150とを備えている。なお、靴底100は、ソール本体部110の上方z1に位置してアッパー10と接続される中底をさらに備えていてもよい。靴底100は、靴底100の最も上側に位置して着用者の足底と直接接触する中敷を備えていてもよい。
【0019】
ソール本体部110は、合成樹脂もしくはゴムの発泡体または非発泡体により構成されている。ソール本体部110は、たとえば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の発泡体、熱可塑性ポリウレタンの発泡体、熱可塑性ポリアミド系エラストマーの発泡体、熱可塑性ポリエステル系エラストマーの発泡体、または、ブタジエンゴムの発泡体などで構成される。これにより、ソール本体部110は比較的軽量となり、かつ、靴1の着用者の足の屈曲変形に応じて可逆的に変形可能である。すなわち、ソール本体部110は、一般的にミッドソール材と呼ばれる材料により構成することができる。ソール本体部110は、さらにゲル状の緩衝部材を有していてもよい。
【0020】
ソール本体部110は、前足部100Fから後足部100Rにかけて連続して位置している。より具体的には、ソール本体部110は、靴底100の前端から後端にかけて位置している。
【0021】
図5に示すように、前足部100Fにおいて、ソール本体部110の下面111は、前方y1に向かうにしたがって上方に傾いており、かつ、下方z2に向かって凸状に湾曲している。中足部100Mにおいては、ソール本体部110の下面111から、後方y2に向かって延びる孔部112が形成されている。本実施形態において、孔部112は、中足部100Mおよび後足部100Rに位置している。孔部112は、前足部100Fにおけるソール本体部110の下面111または後足部100Rにおけるソール本体部110の下面111から後方に向かって延びるように形成されていてもよい。すなわち、孔部112は、前足部100Fに位置していてもよく、後足部100Rにのみ位置していてもよい。孔部112は、後方に向かうにつれて上方に傾くように形成されている。
【0022】
また、ソール本体部110の下面111の後端部分は、後方y2に向かうにつれて上方z1に傾いている。これにより、ソール本体部110の後端部によって着用者の足の接地が妨げられることが抑制され、着用者の足の接地がスムーズになる。
【0023】
図6は、
図2の靴底をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
図7は、
図2の靴底をVII-VII線矢印方向から見た図である。
図6および
図7に示すように、ソール本体部110の上面113は、前後方向yから見たときに凹状に湾曲している。
【0024】
図3、
図6および
図7に示すように、靴底100の外足側S1における上面113の端部である外足側上端部114は、前後方向yに沿って延びている。中足部100Mにおいて、外足側上端部114は、足幅方向xから見て上方z1に向かって凸状に湾曲している。中足部100Mにおいて外足側上端部114のうち最も上方z1に位置する部分である外足側頂上部115は、前後方向yにおける中足部100Mの中央より後方y2に位置している。これにより、接地後における着用者の足のサポート性が向上する。
【0025】
図4、
図6および
図7に示すように、靴底100の内足側S2における上面113の端部である内足側上端部116は、前後方向yに沿って延びて位置している。中足部100Mにおいて、内足側上端部116は、足幅方向から見て上方z1に向かって凸状に湾曲している。中足部100Mにおいて内足側上端部116のうち最も上方に位置する部分である内足側頂上部117は、前後方向yにおける中足部100Mの略中央に位置している。これにより、着用者の足の荷重の重心の遷移の際に生じるプロネーションを抑制できる。
【0026】
図2および
図7に示すように、ソール本体部110の下面111には、凹部118が設けられている。これにより、ソール本体部110の緩衝性が向上する。凹部118は、靴底100の足幅方向x中央において、前後方向yに延びるように位置している。凹部118は、孔部112の下方z2に位置している。
【0027】
図2から
図7に示すように、ソール本体部110は、第1本体部120と第2本体部130とを有している。第1本体部120は、第2本体部130の上側に位置している。第1本体部120は、ソール本体部110の上面113の全部を構成している。第2本体部130は、孔部112から見て外足側S1の部分、内足側S2の部分、孔部112から見て靴底100の後側の部分において、第1本体部120と接続されている。すなわち、上下方向zにおいて第1本体部120と第2本体部130とが互いに離間していることで、孔部112が形成されている。凹部118は、下面111のうち第2本体部130の下面に形成されている。
【0028】
本実施形態においては、第1本体部120と第2本体部130とが、それぞれ個別に成形された成形体であり、第1本体部120および第2本体部130の接続部分において互いに接合されている。第1本体部120および第2本体部130は、同一の材料で構成されている。なお、第1本体部120および第2本体部130は、互いに異なる材料でそれぞれ構成されていてもよい。また、ソール本体部110は単一の成形体で構成されていてもよい。
【0029】
アウトソール140は、ソール本体部110よりヤング率が高くかつ硬質の材料により構成されている。アウトソール140は、たとえばゴムの発泡体もしくは非発泡体、または、ポリウレタンなどの合成樹脂の発泡体または非発泡体により構成されている。本実施形態においてはアウトソール140の靴底100全体に占める割合は比較的小さいため、非発泡の合成樹脂で構成されてもよい。
【0030】
アウトソール140は、靴底100の接地面101の一部を構成する。アウトソール140は、ソール本体部110の下面111上に位置している。より具体的には、第2本体部130における下面111上に位置している。アウトソール140は、上下方向zから見たときに、孔部112から見て靴底100の外足側および内足側のそれぞれに位置している。すなわち、アウトソール140は、靴底100の外足側S1および内足側S2のそれぞれに分離して位置していることで、靴底100の耐久性を向上させるとともに、靴底100を軽量化させることができる。なお、凹部118には、アウトソール140は設けられていない。
【0031】
アウトソール140には、接地面101側においてグリップ性を高めるためのトレッドパターンが設けられてもよいし、下方に向かって突出する複数の凸部が設けられていてもよい。
【0032】
プレート部150は、ソール本体部110を構成する材料より剛性の高い材料により構成されている。プレート部150は、たとえば繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)により構成される。本実施形態においては、プレート部150は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)により構成されている。CFRPで構成されるプレート部150内には、全体にわたって強化繊維が位置している。CFRPで構成されるプレート部150は、たとえば熱プレス成形により形成され、より具体的にはいわゆるヒート&クール法により形成される。
【0033】
図2および
図5に示すように、プレート部150は、少なくとも前足部100Fにおいて前後方向yに沿って延びている。より具体的には、プレート部150は、前足部100Fから後足部100Rにかけて連続して位置している。
【0034】
プレート部150は、ソール本体部110に接合されている。プレート部150は、ソール本体部110の孔部112に挿入されている。孔部112は、プレート部150で埋められている。本実施形態においては、前足部100Fにおいて、ソール本体部110は、ソール本体部110(第1本体部120)の下面111上に位置している。プレート部150は、後足部100Rにおいて孔部112内に位置しており、換言すれば、第1本体部120と第2本体部130との間に位置している。すなわち、プレート部150は、前足部100F、中足部100Mおよび後足部100Rにおいて、第1本体部120の下面上に位置している。
【0035】
プレート部150は上記のように孔部112に挿入されているため、露出領域150Aと、収容領域150Bとを有している。露出領域150Aは、少なくとも前足部100Fにおいて、靴底100の接地面101を構成する領域である。露出領域150Aは、前足部100Fから中足部100Mの少なくとも一部にかけて連続するように位置している。収容領域150Bは、少なくとも後足部100Rにおいて、ソール本体部110の内部(孔部112)に収容されている領域である。すなわち露出領域150Aは、プレート部150のうち収容領域150B以外の領域である。
【0036】
本実施形態において、露出領域150Aの後端150AEは、着用者の外足側を支持する部分(靴底100の外足側S1)に位置している。このため、
図2、図5および
図6に示すように、前後方向yから見た
ときに、露出領域150Aの後端150AEの近傍においては、靴底100の外足側S1から内足側S2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。また、
図2および
図6に示すように、上下方向zにおいて、露出領域150Aの後端150AEは、下方z2に向かって凸状に湾曲している。
【0037】
上下方向zから見て、前後方向yにおける靴底100の先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法の20%以上、40%以上、または、60%以上でもよいし、80%以下、または、75%以下でもよいが、20%以上70%以下であることが好ましい。本実施形態において、靴底100の先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法のおよそ65%である。
【0038】
プレート部150のうち前足部100Fに位置する部分は、その部分の一部に露出領域150Aが位置してもよいし、その部分の全部に露出領域150Aが位置していてもよい。プレート部150の後足部100Rに位置する部分において、その部分の一部に収容領域150Bが位置してもよいし、その部分の全部に収容領域150Bが位置していてもよい。
【0039】
図5に示すように、本実施形態において、プレート部150は、中足部100Mの少なくとも一部と、後足部100Rの少なくとも一部とにおいて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。プレート部150は、中足部100Mの前端から後端にかけて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。プレート部150は、後足部100Rの前端から後端にかけて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。プレート部150は、収容領域150B全体において、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。なお、プレート部150は、後足部100Rにおいては、足幅方向xから見て上下方向zに直交するように延びていてもよい。
【0040】
また、
図2に示すように、プレート部150は、中足部100Mにおいて、内足側S2の側端縁が足幅方向x中央に向かって凹状に湾曲するくびれ領域150Gを有している。そして、
図6に示すように、くびれ領域150Gにおいて、プレート部150は下方に向かって凸状に湾曲している。なお、くびれ領域150Gにおいて、プレート部150は平坦状であってもよい。くびれ領域150Gにおいて、プレート部150は、前後方向yから見て足幅方向xに対して傾いている。
【0041】
図2に示すように、プレート部150は、外足側領域150Cと、内足側領域150Dと、後側領域150Eと、先端領域150Fとを含んでいる。
【0042】
外足側領域150Cは、前後方向yに沿って延び、着用者の足の外足側を支持する。本実施形態において、外足側領域150Cは前足部100Fに位置しているが、さらに中足部100Mに位置していてもよく、後足部100Rにも位置してもよい。
【0043】
内足側領域150Dは、前後方向yに沿って延び、着用者の足の内足側を支持する。内足側領域150Dは、前足部100Fにおいて少なくとも一部が足幅方向xにおいて外足側領域150Cと離間している。本実施形態において、内足側領域150Dは前足部100Fおよび中足部100Mに位置しているが、前足部100Fにのみ位置してもよく、後足部100Rに位置してもよい。なお、内足側領域150Dは、外足側領域150Cと離間していなくてもよい。
【0044】
後側領域150Eは、少なくともプレート部150の後端部に位置して、外足側領域150Cと内足側領域150Dとを接続する。本実施形態において、後側領域150Eは、前足部100F、中足部100Mおよび後足部100Rに位置しているが、前足部100Fにのみ位置してもよく、中足部100Mおよび後足部100Rにのみ位置してもよく、後足部100Rにのみ位置していてもよい。
【0045】
先端領域150Fは、互いに離間した外足側領域150Cの前端および内足側領域150Dの前端を接続する。先端領域150Fは、靴底100において着用者のつま先を支持する部分に位置している。
【0046】
プレート部150は、先端領域150Fおよび後側領域150Eのいずれとも離間しつつ、足幅方向xに沿って延び、互いに離間した外足側領域150Cおよび内足側領域150Dを接続する少なくとも1つの梁部151を有している。本実施形態において、プレート部150は、1つのみの梁部151を有している。梁部151は、先端領域150Fより、後側領域150Eの近くに位置している。また、梁部151は、靴底100において、着用者の足のMP関節を支持する部分(一点鎖線MPで示す部分)に位置している。これにより、着用者が、蹴り出し時において効果的に地面に力を加えることができる。
【0047】
なお、プレート部150の厚さは、前後方向yにかけて、厚みが変化するように構成されていてもよい。前後方向yにかけてプレート部150の厚さを変化することで、プレート部150の各領域における剛性の高さを各領域において互いに異ならせることができる。
【0048】
図8は、本発明の一実施形態に係るプレート部を下方から見た底面図である。
図9は、本発明の一実施形態に係るプレート部を下方から見た斜視図である。
図8および
図9に示すように、プレート部150は、露出領域150Aにおいて、下方に突出する複数の突起部160を有している。これにより、プレート部150が接地する際において、突起部160はスパイクのように地面に突き刺さり、靴底100の地面に対するグリップ力を高める。本実施形態において、複数の突起部160は、露出領域150Aの略全体に位置している。
【0049】
図10は、
図8および
図9に示したプレート部のうちX領域に位置する突起部を、下方から見た底面図である。
図11は、
図10で示した突起部を矢印XI方向から見た図である。
図12は、
図11で示した突起部を矢印XII方向から見た図である。
図10から
図12に示すように、突起部160は、下方z2から見て突起部160の先端161の一方側に位置する傾斜面162と、下方z2から見て先端161の他方側に位置して、傾斜面162より勾配が急峻な急傾斜面163とを有している。なお、
図8および
図10において、傾斜面162の一部は小さなドット状で示しており、急傾斜面163は大きなドット状で示している。なお、その他の図面においても、突起部160において小さなドット状で示した部分は傾斜面162の一部を示しており、突起部160において大きなドット状で示した部分は急傾斜面163を示している。着用者による接地時または蹴り出し時に突起部160の先端161が地面に突き刺さっている状態においては、下方z2から見て、急傾斜面163が位置する側から傾斜面162が位置する側に向かって、地面からの摩擦力が特に大きく働く。この大きな摩擦力が働く方向を、以下、突起部160の「グリップ方向(Gr)」という場合がある。
図10およびその他の図面においては、グリップ方向Grを矢印で示す場合がある。
【0050】
また、本実施形態において、突起部160の先端161は、下方z2から見て、直線状の外形を有している。このため、
図10に示した突起部160のグリップ方向Grは、下方z2から見て先端161に略直交するように一方向を向いている。
【0051】
突起部160は、下方z2から見たときの突起部160の外形を規定する周縁164をさらに有している。周縁164は、突起部160においてプレート部150の厚みが最も薄くなる部分である。下方z2から見たときの周縁164の外形は特に限定されないが、本実施形態においては六角形状の外形を有している。これにより露出領域150Aにおいて複数の突起部160が最密に敷き詰められる。なお、周縁164は下方から見て円状等の曲線状の外形を有していてもよい。
【0052】
また、
図10および
図11に示すように、突起部160のグリップ方向Grの沿う方向から見て、先端161から下方z2に向かって延びる側斜面165が、周縁164と接続してもよい。これにより、突起部160が幅広となり、突起部160の地面に対するグリップ力が高くなるとともに、成形性が向上する。また、
図11に示すように、側斜面165が、凹状に湾曲していてもよい。
【0053】
さらに、
図10および
図12に示すように、突起部160のグリップ方向Grに直交する方向から見て、傾斜面162が、周縁164と接続していてもよく、急傾斜面163が、周縁164と接続していてもよい。これにより、突起部160のグリップ方向Grにおける長さが長くなり、突起部160の地面に対するグリップ力が高くなる。また、
図12に示すように、傾斜面162が、上下方向zおよびグリップ方向Grの両方に直交する方向から見たときに凹状に湾曲しており、急傾斜面163が、上下方向zおよびグリップ方向Grの両方に直交する方向から見たときに凹状に湾曲していてもよい。
【0054】
図8に示すように、露出領域150Aは、第1露出領域150AAと、第2露出領域150ABとを有している。
図8においては、第1露出領域150AAと、第2露出領域150ABとの境界を、太い二点鎖線で示している。
【0055】
第1露出領域150AAは、靴底100において着用者の外足側を支持する部分の少なくとも一部に位置しており、複数の突起部160が配置されている。より具体的には、第1露出領域150AAに位置する複数の突起部160は、複数の第1突起部160Aを含んでいる。すなわち、本実施形態において、複数の第1突起部160Aは、靴底100の外足側S1に少なくとも配置されている。
【0056】
図10から
図12に示した突起部160は、第1突起部160Aである。第1突起部160Aは、傾斜面162として第1傾斜面162Aを有し、かつ、急傾斜面163として第1急傾斜面163Aを有している。第1傾斜面162Aは、下方z2から見たときに第1突起部160Aの先端161Aの後側に位置している。第1急傾斜面163Aは、第1傾斜面162Aより勾配が急峻であって、下方z2から見たときに第1突起部160Aの先端161Aの前側に位置している。すなわち、第1突起部160Aにおいては、グリップ方向Grが、足幅方向xから見て後方を向いている。これにより、複数の第1突起部160Aが配置された第1露出領域150AAを介して着用者の足の接地が開始したときに、靴底100が地面に対して前方y1に滑ろうとする動きに対する摩擦力が大きく働く。この効果を以下、単に「ブレーキ効果」という場合がある。ブレーキ効果により、接地時における靴底100の地面に対するグリップ力が高くなり、ひいては、靴底100の走行性が高くなる。
【0057】
なお、複数の第1突起部160Aの形状は、グリップ方向Grが、足幅方向xから見て後方y2を向いている限りにおいては、互いに異なっていてもよい。
【0058】
図8に示すように、第2露出領域150ABは、靴底100において着用者の内足側を支持する部分の少なくとも一部に位置している。第1露出領域150AAに配置された複数の突起部160とは形状の異なる複数の突起部160が配置されている。なお、突起部160の「形状が異なる」の語には、突起部160のグリップ方向Grが異なるように形状が異なるという意味が含まれる。
【0059】
具体的には、第2露出領域150ABに位置する複数の突起部160は、複数の第2突起部160Bを含んでいる。すなわち、本実施形態において、複数の第2突起部160Bは、靴底100の内足側S2に少なくとも配置されている。
【0060】
図13は、
図8および
図9に示したプレート部のうちXIII領域に位置する突起部を、下方から見た底面図である。
図14は、
図13で示した突起部を矢印XIV方向から見た図である。
図15は、
図13で示した突起部を矢印XV方向から見た図である。
【0061】
図13から
図15に示した突起部160は、第2突起部160Bである。第2突起部160Bは、傾斜面162として第2傾斜面162Bを有し、かつ、急傾斜面163として第2急傾斜面163Bを有している。第2傾斜面162Bは、下方z2から見たときに第2突起部160Bの先端161Bの前側に位置している。第2急傾斜面163Bは、第2傾斜面162Bより勾配が急峻であって、下方z2から見たときに第2突起部160Bの先端161Bの後側に位置している。すなわち、第2突起部160Bにおいては、グリップ方向Grは、足幅方向xから見て前方y1を向いている。これにより、複数の第2突起部160Bが配置された第2露出領域150ABを介して着用者が地面を蹴り出そうとしたときに、靴底100が地面に対して後方y2に滑ろうとする動きに対する摩擦力が大きく働く。この効果を以下、単に「アクセル効果」という場合がある。アクセル効果により、蹴り出し時における靴底100の地面に対するグリップ力が高くなり、ひいては、靴底100の走行性が向上する。
【0062】
なお、複数の第2突起部160Bの形状は、グリップ方向Grが足幅方向xから見て後方y2を向いている限りにおいては、互いに異なっていてもよい。
【0063】
図8に示すように、露出領域150Aのうち着用者のMP関節を支持する領域においては、着用者の外足側を支持する部分に第1露出領域150AAが位置し、着用者の内足側を支持する部分に第2露出領域150ABが位置している。より具体的には、MP関節を支持する領域においては、靴底100の外足側S1に第1突起部160Aが少なくとも位置し、靴底100の内足側S2に第2突起部160Bが少なくとも位置している。
図8においては、MP関節を支持する部分を一点鎖線MPで示している。
【0064】
露出領域150Aのうちプレート部150の前端部に位置する領域(着用者のつま先を少なくとも支持する領域)には、第2露出領域150ABが位置している。より具体的には、プレート部150の着用者のつま先を少なくとも支持する領域には、第2突起部160Bが位置している。また、
図9に示すように、プレート部150において着用者のつま先を少なくとも支持する領域に位置する複数の第2突起部160Bには、MP関節を支持する部分に位置する突起部160より高さの低い突起部が含まれる。これにより、MP関節を支持する部分においてはプレート部150の剛性が比較的高くなり、プレート部150の前端部においては剛性が比較的低くなる。
【0065】
中足部100Mに位置する露出領域150Aのうちの前側の部分においては、外足側に第1露出領域150AAが位置しており、内足側に第2露出領域150ABが位置している。より具体的には、中足部100Mに位置する露出領域150Aのうちの前側の部分においては、靴底100の外足側S1に第1突起部160Aが位置しており、内足側に第2突起部160Bが位置している。中足部100Mに位置する露出領域150Aのうちの後側の部分においては、第2露出領域150ABが位置している。より具体的には、中足部100Mに位置する露出領域150Aのうちの後側の部分においては、第2突起部160Bが位置している。
【0066】
図8においては、靴底100を備える靴1の着用者が走行したときに、着用者の足からプレート部150にかかる荷重の重心の遷移を、概略的に、点線Cで示している。
図8に示すように、走行時において着用者の足から荷重がかかり始めるとき、すなわち、着用者の足がプレート部150を介して接地し始めたときは、第1露出領域150AAにおける第1突起部160Aのブレーキ効果により、地面に対するグリップ力が向上する。そして、接地後において重心は第1露出領域150AAから第2露出領域150ABに遷移する。そして、走行時において着用者の足からの荷重が小さくなり始めるとき、すなわち、着用者の足がプレート部150を介して地面を蹴り出し始めたときには、第2露出領域150ABにおける第2突起部160Bのアクセル効果により、地面に対するグリップ力が向上する。このように、本実施形態に係る靴底100においては、上述のようなブレーキ効果およびアクセル効果により、着用者の走行時における推進力を高めることができる。
【0067】
上述のように、本発明の実施形態1に係る靴底100は、着用者の足の足趾部と踏み付け部とを支持する前足部100F、着用者の足の踏まず部を支持する中足部100M、および、着用者の足の踵部を支持する後足部100Rが、前後方向yに連なって設けられている。靴底100は、ソール本体部110と、プレート部150とを備えている。ソール本体部110は、前足部100Fから後足部100Rにかけて連続して位置している。プレート部150は、前足部100Fから後足部100Rにかけて連続して位置しつつソール本体部110に接合され、ソール本体部110を構成する材料より剛性の高い材料により構成されている。プレート部150は、露出領域150Aと、収容領域150Bとを有している。露出領域150Aは、少なくとも前足部100Fにおいて、靴底100の接地面101を構成する。収容領域150Bは、少なくとも後足部100Rにおいて、ソール本体部110の内部に収容されている。プレート部150は、中足部100Mの少なくとも一部と、後足部100Rの少なくとも一部とにおいて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。
【0068】
これにより、靴底100を備える靴1を着用した着用者の走行時において、靴底100が接地したときに、プレート部150は着用者の足から下方に向かって荷重を受ける。ここで、プレート部150が上記のように露出領域150Aと収容領域150Bとを有し、かつ、プレート部150が上記のように傾いているため、上記荷重によってプレート部150のうち中足部100Mおよび後足部100Rに位置する部分が、下方に大きく沈み込むように曲げ変形する。そして、プレート部150は比較的剛性が高いため、上記のように沈み込んだプレート部150は、元の形状に戻ろうとする。このときに、中足部100Mおよび後足部100Rにおいて、プレート部150はその上方に位置する着用者の足を下方から上方に向かって付勢する。上記の曲げ変形とこれに伴う付勢力、すなわちプレート部150の反発力により、蹴り出し時において着用者の踵部を大きく跳ね上げることができる。このようにして、靴1の走行性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態において、プレート部150は、中足部100Mの前端から後端にかけて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。
【0070】
これにより、接地時において、中足部100Mの前端から見たときの中足部100Mおよび後足部100Rにおけるプレート部150の上下方向zにおける変位量が大きくなり、プレート部150の反発力に伴う着用者の足の踵部の跳ね上げ効果をより向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態において、プレート部150は、後足部100Rの前端から後端にかけて、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。
【0072】
これにより、接地時において、後足部100Rの前端から見たときの後足部100Rにおけるプレート部150の上下方向zにおける変位量が大きくなり、プレート部150の反発力に伴う着用者の足の踵部の跳ね上げ効果をより向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態において、プレート部150は、収容領域150B全体において、後方y2に向かうにしたがって上方z1に傾いている。
【0074】
これにより、接地時において、露出領域150Aから見たときの収容領域150Bにおけるプレート部150の上下方向zにおける変位量が大きくなり、プレート部150の反発力に伴う着用者の足の踵部の跳ね上げ効果をより向上させることができる。
【0075】
本発明の実施形態1に係る靴底100においては、プレート部150は、少なくとも前足部100Fにおいて前後方向yに沿って延びつつソール本体部110に接合され、ソール本体部110を構成する材料より剛性の高い材料により構成されている。プレート部150は、外足側領域150Cと、内足側領域150Dと、後側領域150Eとを含んでいる。外足側領域150Cは、前後方向yに沿って延び、着用者の足の外足側を支持する。内足側領域150Dは、前後方向yに沿って延び、着用者の足の内足側を支持する。内足側領域150Dは、前足部100Fにおいて少なくとも一部が足幅方向xにおいて外足側領域150Cと離間している。後側領域150Eは、少なくともプレート部150の後端部に位置して、外足側領域150Cと内足側領域150Dとを接続する。
【0076】
これにより、後側領域150Eにおいてプレート部150の剛性が比較的高くなり、互いに離間する外足側領域150Cおよび内足側領域150Dにおいてはプレート部150の剛性が低くなる。そして、靴底100を備える靴1を着用した着用者の走行時においては、後側領域150Eにおけるプレート部150の反発力により着用者の蹴り出しをサポートしつつ、外足側領域150Cおよび内足側領域150Dにおいては、着用者の蹴り出し時における足の屈曲を阻害することが抑制され、足への負担を軽減することができる。このようにして、靴1の走行性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態において、プレート部150は、互いに離間した外足側領域150Cの前端および内足側領域150Dの前端を接続する先端領域150Fをさらに含んでいる。
【0078】
これにより、先端領域150Fにおいてはプレート部150の剛性が比較的高くなり、蹴り出し時において、着用者のつま先からの力がプレート部150の先端領域150Fを介して地面に伝達しやすくなる。
【0079】
また、本実施形態において、プレート部150は、先端領域150Fおよび後側領域150Eのいずれとも離間しつつ、足幅方向xに沿って延び、互いに離間した外足側領域150Cおよび内足側領域150Dを接続する少なくとも1つの梁部151を有している。
【0080】
これにより、外足側領域150Cおよび内足側領域150Dが互いに離間することで前後方向における剛性を低くしつつ、梁部151においては一部分の剛性を高めることができ、着用者の走行者の蹴り出し方に応じてプレート部150の剛性の分布を適切に調整することができる。
【0081】
また、本実施形態において、プレート部150は、1つのみの梁部151を有している。梁部151は、先端領域150Fより、後側領域150Eの近くに位置している。
【0082】
これにより、プレート部150は、梁部151より前側に位置している部分が、梁部151より後側に位置している部分と比較して剛性が小さくなり、変形しやすくなる、ひいては、着用者のつま先の動きをプレート部150が阻害することを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態において、プレート部150は、露出領域150Aにおいて、下方に突出する複数の突起部160を有している。露出領域150Aは、第1露出領域150AAと、第2露出領域150ABとを有している。第1露出領域150AAは、靴底100において着用者の外足側を支持する部分の少なくとも一部に位置しており、複数の突起部160が配置されている。第2露出領域150ABは、靴底100において着用者の内足側を支持する部分の少なくとも一部に位置しており、第1露出領域150AAに配置された複数の突起部160とは形状の異なる複数の突起部160が配置されている。
【0084】
これにより、走行中の着用者が靴底100を介して接地して蹴り出すまでの間において、突起部160が刺さる地面に対して突起部160のグリップ力の高くなる向きを適切に調整することができ、走行時における靴1の推進力を高めることができる。
【0085】
また、本実施形態において、第1露出領域150AAに位置する複数の突起部160は、複数の第1突起部160Aを含んでいる。第1突起部160Aは、第1突起部160Aの先端161Aの後側に位置する第1傾斜面162Aと、該第1傾斜面162Aより勾配が急峻であって第1突起部160Aの先端161Bの前側に位置する第1急傾斜面163Aとを有している。第2露出領域150ABに位置する複数の突起部160は、複数の第2突起部160Bを含んでいる。第2突起部160Bは、第2突起部160Bの先端161Bの前側に位置する第2傾斜面162Bと、該第2傾斜面162Bより勾配が急峻であって第2突起部160Bの先端161Bの後側に位置する第2急傾斜面163Bとを有している。
【0086】
これにより、走行時において着用者の足のうち外足側から接地が開始する際には、第1急傾斜面163Aにより、靴底100が前方y1に滑ろうとする動きに対する摩擦力を高めることができる(ブレーキ効果)。さらには、走行時において着用者が足のうち内足側で地面を蹴り出す際には、靴底100が後方に滑ろうとする動きに対する摩擦力を高めることができる(アクセル効果)。ひいては、着用者の走行中において、地面へのグリップ力を高めて、靴1の着用者を推進させる力を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態において、露出領域150Aのうち着用者のMP関節を支持する領域においては、着用者の外足側を支持する部分に第1露出領域150AAが位置し、着用者の内足側を支持する部分に第2露出領域150ABが位置している。
【0088】
これにより、走行時において着用者の足の接地面側に対して荷重がかかったときにその重心がMP関節に沿って遷移した場合においても、外足側S1においてブレーキ効果を高めるとともに、内足側S2においてアクセル効果を高めることができる。
【0089】
また、本実施形態において、露出領域150Aのうちプレート部150の前端部に位置する領域には、第2露出領域150ABが位置している。
【0090】
これにより、走行時において着用者が最終的につま先で蹴り出す場合には、第2露出領域150ABの第2突起部160Bによってアクセル効果をより高めることができる。
【0091】
また、本実施形態において、露出領域150Aは、前足部100Fから中足部100Mの少なくとも一部にかけて連続するように位置している。中足部100Mに位置する露出領域150Aのうちの前側の部分においては、外足側に第1露出領域150AAが位置しており、内足側に第2露出領域150ABが位置している。
【0092】
これにより、走行時において着用者の足の荷重が中足部100Mの前側の部分にもかかる場合において、外足側におけるブレーキ効果および内足側におけるアクセル効果をより高めることができる。
【0093】
また、本実施形態において、露出領域150Aの後端150AEは、着用者の外足側を支持する部分に位置している。
【0094】
これにより、後端150AE近傍においては、プレート部150の着用者の足の内足側を支持する部分が、外足側を支持する部分に対して、接地時において捻れるように下方z2に変位することを抑制できる。
【0095】
また、本実施形態において、上下方向zから見て、前後方向yにおける靴底100の先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100の前後方向yの寸法の20%以上75%以下である。
【0096】
これにより、収容領域150Bとなる部分をある程度確保できるため、中足部100Mまたは後足部100Rにおける上方z1への傾きを十分に大きくでき、プレート部150による着用者の足の踵部の跳ね上げ効果をより向上できる。
【0097】
また、本実施形態において、プレート部150は、中足部100Mにおいて、内足側の側端縁が足幅方向x中央に向かって凹状に湾曲するくびれ領域150Gを有している。くびれ領域150Gにおいて、プレート部150は下方に向かって凸状に湾曲している。
【0098】
これにより、比較的足幅方向x長さが短くなるくびれ領域150Gにおいて、剛性の低下を抑制することができる。
【0099】
(変形例)
以下、本発明の一実施形態の各変形例に係る靴底について説明する。以下の変形例の説明においては、本発明の一実施形態に係る靴底100の同様の構成またはこれに対応する構成については同一の符号を付し、靴底100と同様の構成については説明を繰り返さない。また、以下の変形例に係る靴底の構成のうち、本発明の一実施形態の構成に対応する構成については、本実施形態の構成の符号にa~z、aa~azおよびba~bcの符号を付加している場合がある。
【0100】
なお、以下の各変形例に係る靴底を示す図においては、突起部が示されていない場合があるが、以下の各変形例においては、露出領域全体に複数の突起部が設けられている。
【0101】
図16は、第1変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図16に示すように、第1変形例に係る靴底100aにおいては、プレート部150が、上述した一実施形態における梁部151を有していない。このため、外足側領域150Cの全部と、内足側領域150Dの全部とが、互いに離間している。このため、第1変形例においては、プレート部150のうち、前後方向yにおいて外足側領域150Cおよび内足側領域150D領域の位置する部分の剛性が低くなり、屈曲性が比較的向上する。また、プレート部150の重量が軽くなる。
【0102】
図17は、第2変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図17に示すように、第2変形例に係る靴底100bにおいては、梁部151が、前後方向yにおいて、先端領域150Fと後側領域150Eの間の中央に位置している。これにより、走行時においてプレート部150が湾曲しやすい方向が限定されにくくなる。また、プレート部150に設けられた突起部によるグリップ力が比較的向上する。
【0103】
図18は、第3変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図18に示すように、第3変形例に係る靴底100cにおいては、梁部151が、後側領域150Eより先端領域150Fの近くに位置している。これにより、MP関節を支持する部分においてプレート部150の剛性が小さくなり、屈曲性が向上する。
【0104】
図19は、第4変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図19に示すように、第4変形例に係る靴底100dにおいては、梁部151のうち、外足側領域150Cに接続される部分より、内足側領域150Dに接続される部分が、前方y1に位置している。これにより、接地時においてプレート部150が内足側S2に変形しにくくなり、着用者の足のプロネーションを抑制できる。
【0105】
図20は、第5変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図20に示すように、第5変形例に係る靴底100eにおいては、梁部151のうち、内足側領域150Dに接続される部分より、外足側領域150Cに接続されている部分が、前方y1に位置している。これにより、蹴り出し時においてプレート部150が外足側S1に変形しにくくなり、スムーズに地面を蹴り出すことができる。
【0106】
図21は、第6変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図21に示すように、第6変形例に係る靴底100fにおいては、プレート部150において、収容領域150Bが存在することにより、外足側領域150Cと内足側領域150Dとが互いに離間していない。つまり、上下方向から見て、前足部100Fにおいて、露出領域150Aに囲まれるように収容領域150Bがさらに位置している。これにより、靴底100fの反発性が比較的向上する。
【0107】
図22は、第7変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図22に示すように、第7変形例に係る靴底100gにおいて、プレート部150は、先端領域150Fおよび後側領域150Eの間において外足側領域150Cと内足側領域150Dを網目状に繋ぐ網目部152を有している。これにより、プレート部150のうち後側領域150Eより前側に位置する部分について、着用者の蹴り出し時において着用者の負担が大きくなりすぎることを抑制しつつ、プレート部150の剛性を高めることができる。
【0108】
図23は、第8変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図23に示すように、第8変形例に係る靴底100hにおいては、プレート部150は、互いに離間する複数の梁部151を有している。複数の梁部151の各々は、足幅方向xに沿って延びている。これにより、梁部151に設けられた突起部によって靴底100hのグリップ力が向上する。また、前足部100Fの屈曲性を高めることができる。
【0109】
図24は、第9変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図24に示すように、第9変形例に係る靴底100iにおいては、プレート部150は、互いに離間する複数の梁部151を有している。複数の梁部151の各々は、梁部151のうち、外足側領域150Cに接続される部分より、内足側領域150Dに接続されている部分が、前方y1に位置している。これにより、蹴り出し時においてプレート部150が内足側S2に変形しにくくなり、着用者の足のプロネーションを抑制できる。
【0110】
図25は、第10変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図25に示すように、第10変形例に係る靴底100jにおいては、外足側領域150Cと内足側領域150Dとが、前足部100F、中足部100Mおよび後足部100Rにわたって位置している。また、外足側領域150Cの全部と、内足側領域150Dの全部とが、互いに離間している。これにより、靴底100jの剛性を維持しつつ靴底100jを軽量化できる。
【0111】
図26は、第11変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図26に示すように、第11変形例に係る靴底100kにおいては、上下方向から見て露出領域150Aが略U字状に形成されている。また、収容領域150Bが、前足部100F、中足部100Mおよび後足部100Rにわたって位置している。これにより、靴底100kの反発性が向上する。
【0112】
図27は、第12変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図27に示すように、第12変形例に係る靴底100mにおいては、外足側領域150Cと内足側領域150Dとが、前足部100F、中足部100Mおよび後足部100Rにわたって位置している。また、靴底100mにおいては、先端領域150Fおよび後側領域150Eの間において外足側領域150Cと内足側領域150Dを網目状に繋ぐ網目部152を有している。これにより、プレート部150の剛性を高くすることができる。また、プレート部150を軽量化することができる。
【0113】
図28は、第13変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図28に示すように、第13変形例に係る靴底100nにおいては、前後方向yにおける靴底100nの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100nの前後方向yの寸法のおよそ20%である。これにより、靴底100nの剛性が小さくなるように、プレート部150を配置できる。
【0114】
図29は、第14変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図30は、第14変形例に係る靴底の断面図である。
図30においては、
図5と同様の断面視にて靴底を示している。
図29および
図30に示すように、第14変形例に係る靴底100pにおいては、前後方向yにおける靴底100pの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100nの前後方向yの寸法のおよそ40%である。これにより、プレート部150による跳ね上げ効果が高くなるように、プレート部150を形成できる。
【0115】
図31は、第15変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図32は、第15変形例に係る靴底の断面図である。
図32においては、
図5と同様の断面視にて靴底を示している。
図31および
図32に示すように、第15変形例に係る靴底100qにおいては、プレート部150の前後方向yにおける中央において、上下方向zに直交する方向に延びる部分を有している。
【0116】
図33は、第16変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図33に示すように、第16変形例に係る靴底100rにおいては、露出領域150Aの後端150AEが、靴底100rの足幅方向x中央に位置している。これにより、後端150AE近傍においては、接地時において、プレート部150が、外足側S1および内足側S2のいずれか一方にのみ捻れやすくなることを抑制することができる。
【0117】
図34は、第17変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図34に示すように、第17変形例に係る靴底100sにおいては、露出領域150Aの後端150AEが、着用者の内足側を支持する部分(靴底100sの内足側S2)に位置している。これにより、後端150AE近傍においては、接地時において、プレート部150のうち、着用者の外足側を支持する部分(S1)が、内足側を支持する部分(S2)に対して、接地時において下方に変位することを抑制できる。
【0118】
図35は、第18変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図36は、第18変形例に係る靴底の断面図である。
図36においては、
図5と同様の断面視にて靴底を示している。
図35および
図36に示すように、第18変形例に係る靴底100tにおいては、前後方向yにおける靴底100tの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法が、靴底100tの前後方向yにおける寸法のおよそ80%である。これにより、プレート部150の剛性が高くなるようにプレート部150を形成できる。また、露出領域150Aに設けられた突起部によるグリップ力が向上する。
【0119】
図37は、第19変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図37に示すように、第19変形例に係る靴底100uは、前後方向yにおける靴底100uの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法が、靴底100uの前後方向yの寸法のおよそ80%である。これにより、プレート部150の剛性が高くなるようにプレート部150を形成できる。なお、靴底100uにおいては、露出領域150Aの後端150AEが、靴底100の足幅方向x中央に位置している。
【0120】
図38は、第20変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図38に示すように、第20変形例に係る靴底100vは、前後方向yにおける靴底100vの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法が、靴底100の前後方向yの寸法のおよそ80%である。これにより、プレート部150の剛性が高くなるようにプレート部150を形成できる。なお、靴底100uにおいては、露出領域150Aの後端150AEが、着用者の内足側を支持する部分(靴底100の内足側S2)に位置している。
【0121】
図39は、第21変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図39に示すように、第19変形例に係る靴底100wにおいては、プレート部150が、前足部100Fにのみ位置している。また、前後方向yにおける靴底100wの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100wの前後方向yの寸法のおよそ20%である。これにより、プレート部150を軽量化できる。
【0122】
図40は、第22変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図40に示すように、第22変形例に係る靴底100xにおいては、プレート部150が、前足部100Fおよび中足部100Mにのみ位置している。また、靴底100xの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100xの前後方向yの寸法のおよそ20%である。これにより、プレート部150を軽量化できる。
【0123】
図41は、第23変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図41に示すように、第23変形例に係る靴底100yにおいては、プレート部150が、後足部100Rの前後方向yにおける中央より前側に位置している。また、靴底100yの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100yの前後方向yの寸法のおよそ20%である。これにより、靴底100yの剛性が低くなるようにプレート部150を配置できる。
【0124】
図42は、第24変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図42に示すように、第24変形例に係る靴底100zにおいては、プレート部150が、前足部100Fおよび中足部100Mにのみ位置している。また、靴底100zの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100zの前後方向yの寸法のおよそ40%である。
【0125】
図43は、第25変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図43に示すように、第25変形例に係る靴底100aaにおいては、プレート部150が、後足部100Rの前後方向yにおける中央より前側に位置している。また、靴底100aaの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100zの前後方向yの寸法のおよそ40%である。
【0126】
図44は、第26変形例に係る靴底を下方から見た底面図である。
図44に示すように、第26変形例に係る靴底100abにおいては、プレート部150が、後足部100Rの前後方向yにおける中央より前側に位置している。また、靴底100abの先端102から露出領域150Aの後端150AEまでの寸法は、靴底100zの前後方向yの寸法のおよそ60%である。これにより、プレート部150の曲げ剛性が高くなるように、プレート部150を形成できる。
【0127】
なお、
図28から
図44に示す第13変形例から第26変形例においては、プレート部150の外足側領域と内足側領域とが互いに離間していないが、本発明の一実施形態に係る靴底100のように、互いに離間していてもよい。
【0128】
図45は、第27変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図45に示すように、第27変形例のプレート部150acにおいては、中足部100Mに位置する露出領域150Aのうち全部において、外足側S1に第1露出領域150AAが位置しており、内足側S2に第2露出領域150ABが位置している。これにより、
図45に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合において、着用者の走行時における推進力を高めることができる。
【0129】
図46は、第28変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図46に示すように、第28変形例のプレート部150adにおいては、露出領域150Aの全体において、外足側に第1露出領域150AAが位置しており、内足側に第2露出領域150ABが位置している。これにより、
図46に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合(外足側S1で接地し、内足側S2で蹴り出す場合)において、推進力を高めることができる。
【0130】
図47は、第29変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図47に示すように、第29変形例のプレート部150aeにおいては、露出領域150Aにおいて、MP関節を支持する部分より後側に第1露出領域150AAが位置し、前側に第2露出領域150ABが位置している。これにより、
図47に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合(主にMP関節で接地する場合)において、推進力を高めることができる。
【0131】
図48は、第30変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図48に示すように、第30変形例のプレート部150afにおいては、露出領域150Aにおいて、後側の部分に第1露出領域150AAが位置し、前側の部分に第2露出領域150ABが位置する。そして、第1露出領域150AAと第2露出領域150ABとの境界は、前方y1に向かうにしたがって内足側S2に傾いている。これにより、
図48に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合(着用者の足が主に外足側S1に向かって蹴り出す場合)において、推進力を高めることができる。
【0132】
図49は、第31変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図49に示すように、第31変形例のプレート部150agにおいては、露出領域150Aにおいて、後側の部分に第1露出領域150AAが位置し、前側の部分に第2露出領域150ABが位置する。そして、第1露出領域150AAと第2露出領域150ABとの境界は、前方y1に向かうにしたがって外足側S1に傾いている。これにより、
図49に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合(着用者の足が主に内足側S2に向かって蹴り出す場合)において、推進力を高めることができる。
【0133】
図50は、第32変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図50に示すように、第32変形例のプレート部150ahにおいては、露出領域150Aが、第3露出領域150ACをさらに備えている。第3露出領域150ACは、第1露出領域150AAから見て、内足側S2に位置している。第1露出領域150AAおよび第3露出領域150ACより前側には、第2露出領域150ABが位置している。第3露出領域150ACには、複数の第2突起部が位置していてもよいし、後で述べるように、下方から見て突起部の中央を中心として回転するようなグリップ方向を有する複数の突起部が位置してもよい。これにより、
図50に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合(着用者の足が接地から蹴り出しの過程において接地面にかける力の方向が回転する場合)において、推進力を高めることができる。
【0134】
図51は、第33変形例に係る靴底のプレート部を下方から見た底面図である。
図51に示すように、第33変形例のプレート部150aiにおいては、露出領域150Aの全部に第2露出領域150ABが位置している。これにより、
図51に示すように荷重の重心が点線Cのように遷移する場合、または、重心の遷移が不安定な場合において、推進力を高めることができる。
【0135】
なお、
図45から
図51に示す第27変形例から第33変形例においては、プレート部の外足側領域と内足側領域とが互いに離間していないが、本発明の一実施形態に係る靴底100のように、互いに離間していてもよい。
【0136】
図52は、第34変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図52に示すように、第34変形例における突起部の先端161ajは、下方から見て、十字状の外形を有していてもよい。当該突起部は、グリップ方向Grを2つ有する。
【0137】
図53は、第35変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図53に示すように、第35変形例における突起部の先端161akは、下方から見て、三角形状の外形を有していてもよい。当該突起部は、グリップ方向Grを3つ有する。
【0138】
図54は、第36変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図54に示すように,第36変形例における突起部の先端161amは、下方から見て、環状の外形を有していてもよい。当該突起部は、多数のグリップ方向Grを有する。
【0139】
図55は、第37変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図55に示すように、第37変形例における突起部の先端161anは、下方から見て、放射状に3方向に延出してもよい。当該突起部は、グリップ方向Grを3つ有する。
【0140】
図56は、第38変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図56に示すように、第38変形例における突起部の先端161apは、下方から見て、波状の外形を有していてもよい。当該突起部は、回転方向のグリップ方向Grを有する。
【0141】
図57は、第39変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図57に示すように、第39変形例における突起部の先端161aqは、下方から見て、円状の外形を有する。当該突起部は、強度が比較的強い。
【0142】
図58は、第40変形例に係る靴底における突起部の先端のみを、下方から示す図である。
図58に示すように、第40変形例における突起部の先端161arは、下方から見て、V字状の外形を有する。当該突起部は、一方向のグリップ方向Grを有するとともに、グリップ力が高くなる。
【0143】
なお、
図52、
図53、
図55および
図58に示した、第34、第35、第37および40変形例に係る突起部は、第1突起部または第2突起部であってもよい。
【0144】
図59は、第41変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
図59に示すように、第41変形例においては、突起部160asが、平面状の傾斜面162および急傾斜面163を有していてもよい。
【0145】
図60は、第42変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
図60に示すように、第42変形例においては、突起部160atが、凸状に湾曲する傾斜面162を有していてもよい。
【0146】
図61は、第43変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
図61に示すように、第43変形例においては、突起部160auが、急傾斜面を有しておらず、下方z2から見たときに先端161の一方側および他方側の両方に傾斜面162(一対の傾斜面162)を有していてもよい。
【0147】
図62は、第44変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から示す図である。
図62に示すように、第44変形例においては、突起部160avが、第43変形例と同様に急傾斜面を有さず、かつ、一対の傾斜面162の各々が平面状であってもよい。
【0148】
図63は、第45変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向および上下方向に直交する方向から見た図である。
図63に示すように、第45変形例においては突起部160awが、第43変形例と同様に急傾斜面を有さず、かつ、一対の傾斜面162の各々が凸状に湾曲してもよい。
【0149】
なお、
図61から
図63に示した、第43から第45変形例における突起部160au,160av,160awは、本発明の一実施形態における第1突起部および第2突起部のいずれでもないが、第1露出領域および第2露出領域は、これらの突起部がさらに配置されていてもよい。
【0150】
また、
図59から
図63に示した第41から第45変形例における突起部は、いずれも、
図10から
図15に示した一実施形態における突起部160と比較して、グリップ力が低いが、耐久力は高い。また、突起部のグリップ力は、第45、第44、第43、第42、第41変形例の順に高くなっていき、突起部の耐久性は、第41、第42、第43、第44、第
45変形例の順に高くなっていく。
【0151】
図64は、第46変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図64に示すように、第46変形例における突起部160axでは、側斜面165が、上下方向zに沿って延びていてもよい。
【0152】
図65は、第47変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図65に示すように、第47変形例における突起部160ayでは、側斜面165が、凸状に湾曲していてもよい。また、突起部160ayの先端161は、直線状に延びておらず、下方z2から見て点状の外形を有していてもよい。
【0153】
図66は、第48変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図66に示すように、第48変形例における突起部160azでは、一対の側斜面165の一方が、上下方向に沿って延び、他方が、凸状に湾曲していてもよい。また、突起部160azの先端161は、直線状に延びておらず、下方z2から見て点状の外形を有していてもよい。
【0154】
図67は、第49変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図67に示すように、第49変形例における突起部160abでは、グリップ方向から見たときの側斜面165が直線状であってもよく、かつ、突起部160baの先端161は、直線状に延びておらず、下方z2から見て点状の外形を有していてもよい。
【0155】
図68は、第50変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図68に示すように、第50変形例における突起部160bbでは、一対の側斜面165の傾きが互いに異なり、かつ、グリップ方向から見たときに直線状であってもよい。
【0156】
図69は、第51変形例に係る靴底における突起部を、グリップ方向に沿う方向から見た図である。
図69に示すように、第51変形例における突起部160bcは、下方z2から見たときに点状である先端161を、2つ有していてもよく、かつ、2つの先端161を結ぶ稜線が、グリップ方向から見て凹状に湾曲してもよい。
【0157】
なお、
図64から
図69に示した変形例にかかる突起部160ax~bcは、第1突起部または第2突起部であってもよい。また、
図64から
図69に示した変形例にかかる突起部160ax~bcは、
図10から
図15に示した突起部160と比較してグリップ力が低いが、重量を軽くすることができる。また、突起部のグリップ力は、第51、第50、第49、第48、第47、第46変形例の順に高くなっていき、突起部の重量は、第46、第47、第48、第49、第50、第51変形例の順に軽くすることができる。
【0158】
上述した実施形態および変形例においては、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0159】
今回開示された実施形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0160】
1 靴、10 アッパー、100 靴底、100F 前足部、100M 中足部、100R 後足部、101 接地面、110 ソール本体部、111 下面、112 孔部、113 上面、114 外足側上端部、115 外足側頂上部、116 内足側上端部、117 内足側頂上部、118 凹部、120 第1本体部、130 第2本体部、140 アウトソール、150 プレート部、150A 露出領域、150AA 第1露出領域、150AB 第2露出領域、150AC 第3露出領域、150AE 後端、150B 収容領域、150C 外足側領域、150D 内足側領域、150E 後側領域、150F 先端領域、150G くびれ領域、151 梁部、152 網目部、160 突起部、160A 第1突起部、160B 第2突起部、162 傾斜面、162A 第1傾斜面、162B 第2傾斜面、163 急傾斜面、163A 第1急傾斜面、163B 第2急傾斜面、164 周縁、165 側斜面。