(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】切削深さ計測装置、切削深さ計測方法、及び建設機械
(51)【国際特許分類】
E01C 23/01 20060101AFI20240906BHJP
E01C 23/07 20060101ALI20240906BHJP
E01C 23/088 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E01C23/01
E01C23/07
E01C23/088
(21)【出願番号】P 2020153893
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(73)【特許権者】
【識別番号】512155836
【氏名又は名称】ユナイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】梶原 覚
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸
(72)【発明者】
【氏名】笹原 久之
(72)【発明者】
【氏名】出村 博之
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-172507(JP,U)
【文献】実開昭59-142704(JP,U)
【文献】特開昭53-111760(JP,A)
【文献】実開平05-003981(JP,U)
【文献】特開2009-270968(JP,A)
【文献】特開2000-336614(JP,A)
【文献】特開2005-146587(JP,A)
【文献】実開平03-052617(JP,U)
【文献】特許第4348690(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2020/0131722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 21/00-23/24
G01B 3/00-3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の切削深さを計測する切削深さ計測装置であって、
平面視で長方形の第1の板材、及び前記第1の板材の長辺の中間部から垂直方向に延びる平面視で長方形の第2の板材を含むフレームと、
前記フレームの
第1の板材の下面に固定された走行車輪と、
前記フレーム
の第2の板材に対して上下方向に移動可能に固定された計測車輪と、
前記計測車輪の上下方向の変位量を計測するセンサと、
を備え、
前記走行車輪が未切削の路面上を走行し、前記計測車輪が切削された路面上を走行する、切削深さ計測装置。
【請求項2】
前記走行車輪の少なくとも一部は、自在車輪からなる、
請求項1に記載の切削深さ計測装置。
【請求項3】
現在位置を測位する測位装置と、
前記センサによって計測された変位量に応じて切削深さを求めるコントローラと、
前記測位装置によって測位された現在位置と前記コントローラによって求められた切削深さとを関連付けて記録する記録装置と、
を更に備えた、請求項1又は請求項2に記載の切削深さ計測装置。
【請求項4】
現在位置を測位する測位装置と、
前記センサによって計測された変位量に応じて切削深さを求めるコントローラと、
前記測位装置によって測位された現在位置と前記コントローラによって求められた切削深さとを外部に送信する送信装置と、
を更に備えた、請求項1又は請求項2に記載の切削深さ計測装置。
【請求項5】
前記フレーム
の第1の板材に固定され、作業者が把持可能なハンドルを更に備えた、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の切削深さ計測装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の切削深さ計測装置を使用し、前記走行車輪を未切削の路面上を走行させつつ前記計測車輪を切削された路面上を走行させ、前記センサによって測定された変位量から切削深さを計測する、
切削深さ計測方法。
【請求項7】
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の切削深さ計測装置を
取り付けた建設機械。
【請求項8】
前記切削深さ計測装置は、平行リンク機構を介して
取り付けられた、
請求項7に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面の切削深さを計測する切削深さ計測装置、及び切削深さ計測方法に関する。また、本発明は、このような切削深さ計測装置を取り付けた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装などの路面の表装に凹凸が発生して平坦性が低下した場合、路面表層を切削して舗装し直す切削オーバーレイ工法が知られている。この切削オーバーレイ工法においては、例えば、特開2000-336614号公報(特許文献1)に記載の路面切削機を使用して、路面表層を所定深さだけ切削している。そして、切削深さを確認するために、作業者が切削箇所に水糸を張って、定規を使用して切削深さを複数個所計測していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような水糸を使用した切削深さの計測は、複数の作業員が必要であるとともに、ある程度の計測時間を確保する必要があった。このため、路面を補修する工期として、路面を切削及び舗装する工数に加え、路面の切削深さを計測する工数も考慮しなくてはならず、工期の長期化及びコスト上昇を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、路面の切削深さを計測する工数を削減可能な、切削深さ計測装置、切削深さ計測方法、及び切削深さ計測装置を取り付けた建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、路面の切削深さを計測する切削深さ計測装置は、平面視で長方形の第1の板材、及び第1の板材の長辺の中間部から垂直方向に延びる平面視で長方形の第2の板材を含むフレームと、フレームの第1の板材の下面に固定された走行車輪と、フレームの第2の板材に対して上下方向に移動可能に固定された計測車輪と、計測車輪の上下方向の変位量を計測するセンサと、を備えている。そして、走行車輪が未切削の路面上を走行し、計測車輪が切削された路面上を走行する。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、切削深さ計測方法は、上記の切削深さ計測装置を使用し、走行車輪を未切削の路面上を走行させつつ計測車輪を切削された路面上を走行させ、センサによって計測された変位量から切削深さを計測する。本発明の第3の態様によれば、建設機械は、上記の切削深さ計測装置を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、路面の切削深さを計測する工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】切削深さ計測装置の基本構成の一例を示す平面図である。
【
図2】切削深さ計測装置の基本構成の一例を示す正面図である。
【
図3】切削深さ計測装置の基本構成の一例を示す左側面図である。
【
図4】切削深さ計測装置の第1応用例を示す平面図である。
【
図5】切削深さ計測装置の第1応用例を示す正面図である。
【
図6】切削深さ計測装置の第1応用例を示す左側面図である。
【
図7】切削深さ計測装置の制御系の一例を示す概要図である。
【
図8】切削深さ計測処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】記録装置に記録されるレコードの一例を示す説明図である。
【
図10】切削深さ計測装置の第2応用例を示す平面図である。
【
図11】切削深さ計測装置の第2応用例を示す左側面図である。
【
図12】切削深さ計測装置の第2応用例を示す背面図である。
【
図13】切削深さ計測装置の第2応用例の変形例を示す平面図である。
【
図14】切削深さ計測装置の第2応用例の変形例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
最初に、
図1~
図3を参照して、切削深さ計測装置100の基本構成(最小構成)について説明する。
【0011】
切削深さ計測装置100は、フレーム120と、フレーム120の下面に固定された4つの走行車輪140と、フレーム120に対して上下方向に移動可能に固定された1つの計測車輪160と、計測車輪160の上下方向の変位量Δを計測する変位センサ180と、を備えている。ここで、走行車輪140は、未切削の路面(未切削路面)RD1上を走行し、計測車輪160は、切削された路面(切削路面)RD2上を走行する。なお、変位センサ180は、センサの一例として挙げられる。
【0012】
フレーム120は、所定の板厚を有する板材からなり、平面視で長方形の第1の板材120Aと、平面視で長方形の第2の板材120Bと、を含んで構成されている。第2の板材120Bは、第1の板材120Aの一方の長辺の中間部から垂直方向に延びるように、第1の板材120Aに一体的に連接されている。ここで、長方形とは、厳密な長方形に限らず、見た目で長方形であると認識できる程度でよい(以下、形状については同様)。従って、第1の板材120A及び第2の板材120Bは、強度を確保するためのリブなどがあってもよい。
【0013】
4つの走行車輪140は、フレーム120の下面、具体的には、その第1の板材120Aの四隅近傍に固定されている。4つの走行車輪140のうち、第1の板材120Aの一方の短辺側に位置する一対の走行車輪140は、上下方向に延びる旋回軸周りに旋回可能な自在車輪とし、第1の板材120Aの他方の短辺側に位置する一対の走行車輪140は、旋回できない固定車輪とすることが望ましい。このようにすれば、例えば、旋回路(曲折路)の切削深さを計測するとき、その旋回路に沿って切削深さ計測装置100を走行させることが容易になる。要するに、走行車輪140の少なくとも一部を自在車輪とすることで、旋回路における切削深さの計測を容易にすることができる。
【0014】
計測車輪160は、フレーム120の第2の板材120Bに対して、その板面に垂直な方向(上下方向)に移動可能に固定されている。具体的には、計測車輪160は、第2の板材120Bに対して上下方向に移動可能に配置された棒状の支持脚160Aと、支持脚160Aの下端に固定された固定車輪160Bと、を含んで構成されている。ここで、支持脚160A及び固定車輪160Bは、フレーム120の第1の板材120Aに固定された走行車輪140から所定距離だけ離間した位置に取り付けられている。
【0015】
変位センサ180は、支持脚160Aの上下方向の変位量を計測可能なように、フレーム120の第2の板材120Bの所定箇所に配置されている。従って、変位センサ180は、支持脚160Aの上下方向の変位量を計測することで、固定車輪160Bひいては計測車輪160の上下方向の変位量Δを計測することができる。
【0016】
そして、走行車輪140を未切削路面RD1上に位置させ、計測車輪160の固定車輪160Bを切削路面RD2上に位置させた状態で、切削深さ計測装置100を切削箇所に沿って走行させると、計測車輪160の固定車輪160Bが自重を利用して切削路面RD2の表面をなぞって上下する。このとき、変位センサ180の出力信号を読み込んで処理可能なコントローラがあれば、未切削路面RD1に対する走行車輪140の走行面を基準位置として、変位センサ180によって計測された変位量Δから、未切削路面RD1に対する切削路面RD2の相対高さ、即ち、切削路面RD2の切削深さDEPを求めることができる。要するに、走行車輪140を未切削路面RD1上を走行させつつ、計測車輪160を切削路面RD2上を走行させ、変位センサ180によって測定された変位量Δから切削深さDEPを計測することができる。
【0017】
従って、従来技術のように、作業者が水糸を使用して切削深さを定規で計測しなくても、切削深さを連続して容易に計測することができる。このため、切削路面RD2の切削深さDEPを計測する工数を削減することが可能となり、工期を短縮することができるとともにコスト低減も図ることができる。
【0018】
図3~
図6は、切削深さ計測装置100の第1応用例を示している。
なお、以下の説明においては、
図1~
図3に示す切削深さ計測装置100と異なる構成について主に説明する。切削深さ計測装置100の説明が必要であれば、先の説明を参照されたい。
【0019】
フレーム120の第1の板材120Aの上面には、作業者OPRが把持して切削深さ計測装置100を走行させる、コ字形状のハンドル200が固定されている。ハンドル200は、第1の板材120Aの他方の短辺側の近傍に、その自由端部(開口側端部)が折り畳み可能に固定されている。従って、ハンドル200を折り畳むことでコンパクトになり、例えば、切削深さ計測装置100を保管するスペースを小さくしたり、これを搬送し易くしたりすることができる。なお、フレーム120の第1の板材120A、並びにこれに取り付けられる走行車輪140及びハンドル200としては、市販の台車を流用することもできる。この場合、台車に対して公知の手段によって、第2の板材120B、並びにこれに取り付けられる計測車輪160及び変位センサ180を取り付けるようにすればよい。
【0020】
フレーム120の上面の所定箇所、例えば、第1の板材120Aの上面には、
図7に示すように、マイクロコンピュータを内蔵したコントローラ220、現在位置POSを測位するGPS(Global Positioning System)240が固定されている。また、フレーム120の所定箇所には、変位センサ180、コントローラ220及びGPS240に給電するためのバッテリ(図示せず)が固定されている。そして、変位センサ180の出力信号及びGPS240の出力信号は、コントローラ220に入力されている。なお、バッテリによる給電に代えて、外部の商用電源などから給電するようにしてもよい。ここで、GPS240が、測位装置の一例として挙げられる。
【0021】
図8は、コントローラ220が起動されたことを契機として、コントローラ220のマイクロコンピュータが繰り返し実行する、切削深さ計測処理の一例を示している。ここで、コントローラ220のマイクロコンピュータは、例えば、GPS240により測位された現在位置POSが所定距離変化したとき、計測深さ計測処理を逐次実行する。
【0022】
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様。)では、コントローラ220のマイクロコンピュータが、GPS240から現在位置POSを読み込む。
ステップ2では、コントローラ220のマイクロコンピュータが、変位センサ180から計測車輪160の上下方向の変位量Δを読み込む。
【0023】
ステップ3では、コントローラ220のマイクロコンピュータが、ステップ2で読み込んだ変位量Δから切削深さDEPを求める。
ステップ4では、コントローラ220のマイクロコンピュータが、
図9に示すように、現在位置POSと切削深さDEPとを関連付けたレコードを作成する。
【0024】
ステップ5では、コントローラ220のマイクロコンピュータが、
図9に示すように、ステップ3で作成されたレコードを時系列で記録する。レコードの記録媒体(記録装置)としては、例えば、コントローラ220に内蔵されたハードディスクドライブやフラッシュROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、又はコントローラ220に着脱可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカードなどとすることができる。
【0025】
かかる切削深さ計測装置100によれば、コントローラ220を起動させた状態で、作業者OPRがハンドル200を把持して切削深さ計測装置100を走行させると、現在位置POSと切削深さDEPが関連付けられたレコードが時系列で記録される。従って、このレコードを確認すれば、切削路面RD2の切削面の形状を把握することができ、例えば、切削作業品質などを判断する資料として活用することができる。
【0026】
切削深さ計測装置100は、記録媒体にレコードを時系列で記録する代わりに、図示しない送信装置を介して、外部に現在位置POS及び変位量Δを送信するようにしてもよい。この場合、例えば、この送信データを受信した事務所のコンピュータは、変位量Δから切削深さDEPを求め、現在位置POSと切削深さDEPとを関連付けたレコードを作成し、これを記録媒体に時系列で記録することができる。なお、送信装置としては、無線又は有線でデータ送信可能な送信機とすることができる。
【0027】
図10~
図12は、切削深さ計測装置100の第2応用例を示している。
第2応用例に係る切削深さ計測装置100は、先の第1応用例とは異なり、路面切削機(ロードカッター)300に取り付けられ、路面を切削しながら路面切削深さをリアルタイムに測定することができる。
【0028】
最初に、路面切削機300の概要について説明する。
路面切削機300は、自走車両320と、自走車両320の底面に取り付けられた切削ユニット340と、切削ユニット340によって切削された路面表層の廃材を前方に搬送するコンベアユニット360と、を備えている。
【0029】
自走車両320は、前部車体322と、後部車体324と、を備えている。前部車体322及び後部車体324は、上下方向に延びるセンターピン326を介して、相互に屈折可能に連結されている。
【0030】
前部車体322の前方下部には、例えば、ゴムタイヤ及びホイールを含んだ、左右一対の前輪328が取り付けられている。後部車体324の中央下部には、例えば、ゴムタイヤ及びホイールを含んだ、左右一対の後輪330が2組取り付けられている。また、後部車体324の所定箇所には、図示しない原動機としてのディーゼルエンジンが搭載され、その上面及び両側面を覆うエンジンフードが開閉可能に取り付けられている。さらに、後部車体324には、左右一対のステアリングシリンダ(図示せず)の基端部が、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能に固定されている。左右一対のステアリングシリンダの先端部は、前部車体322の後部において左右方向に離間した2位置に、上下方向に延びる回転軸周りに回転可能に固定されている。従って、左右一対のステアリングシリンダの一方を伸ばし、その他方を縮めるように作動させることで、後部車体324に対して前部車体322が折り曲げられ、自走車両320を操舵することができる。また、後部車体324の前部上面の左右には、路面切削機300のオペレータのための運転台332が夫々設けられている。
【0031】
なお、後部車体324に搭載されたディーゼルエンジンは、ステアリングシリンダを作動させるための油圧を発生させるとともに、前部車体322の前輪328及び後部車体324の後輪330を駆動する。ここで、前輪328及び後輪330は、油圧で駆動されるようにしてもよい。
【0032】
切削ユニット340は、自走車両320の前部車体322と後部車体324との間に配置されている。切削ユニット340は、車幅方向にスライド可能に取り付けられた第1の油圧シリンダ及び上下方向にスライド可能に取り付けられた第2の油圧シリンダ(図示せず)によって、自走車両320の左右方向及び上下方向に所定距離だけスライド可能に取り付けられている。従って、第1の油圧シリンダに対する作動油の供給及び排出を適宜制御することで、自走車両320の左右方向に切削ユニット340をスライドさせることができ、例えば、縁石一杯まで路面表層を切削することができる。また、第2の油圧シリンダに対する作動油の供給及び排出を適宜制御することで、自走車両320の上下方向に切削ユニット340をスライドさせることができ、路面表層の切削深さを任意に設定することができる。
【0033】
切削ユニット340は、左右方向に延びる回転軸周りに回転可能に取り付けられた円筒形状の切削ドラム342を備えている。切削ドラム342の外周面には、複数のカッタービット(図示せず)が交換可能に取り付けられている。切削ドラム342は、例えば、ベルトやチェーンを介して後部車体324に搭載されたディーゼルエンジンによって回転駆動され、その外周面に取り付けられたカッタービットが路面表層を切削する。なお、切削ドラム342は、ディーゼルエンジンによる機械的な回転駆動に限らず、例えば、油圧モータや電動モータによって回転駆動されてもよい。
【0034】
コンベアユニット360は、自走車両320の前部車体322の下部を斜めに貫通する状態で取り付けられた第1のコンベア362と、その前部車体322の前部に左右方向及び上下方向に回転可能に取り付けられた第2のコンベア364と、を備えている。第1のコンベア362は、例えば、カバーによって周囲が覆われているベルトコンベアからなり、切削ユニット340によって切削された廃材を受けて前部車体322の前方上部まで搬送する。第2のコンベア364は、例えば、カバーによって周囲が覆われているベルトコンベアからなり、第1のコンベア362によって搬送された廃材を受けて更に前方上部へと搬送し、路面切削機300の前方を走行するダンプトラック(図示せず)の荷台に廃材を積み込む。なお、第1のコンベア362及び第2のコンベア364は、油圧モータや電動モータによって駆動することができる。
【0035】
かかる路面切削機300によれば、切削オーバーレイ工法によって路面表層を切削する場合、切削開始位置に路面切削機300を搬送して設置した後、切削ユニット340の切削ドラム342を回転させつつ、第2の油圧シリンダを適宜作動させて所望の切削深さまで切削ユニット340を降下させる。そして、路面切削機300の走行を開始するとともに、その走行速度に合わせて前方にダンプトラックを走行させる。切削ユニット340の切削ドラム342を回転させることで、その外周面に取り付けられたカッタービットが路面表層を切削して廃材を生み出し、これがコンベアユニット360の第1のコンベア362及び第2のコンベア364によって前方へと搬送され、前方を走行するダンプトラックの荷台に積み込まれる。
【0036】
このように切削された路面の切削深さをリアルタイムに計測するため、切削ユニット340と自走車両320の後部車体324との間に、基本構成の切削深さ計測装置100が搭載されている。具体的には、後部車体324の所定箇所には、ここから左右外方へと向かって延びるブラケット380の基端部が固定されている。ブラケット380の先端部は、後部車体324の前後方向及び上下方向によって規定される平面上で搖動する平行リンク機構400を介して、切削深さ計測装置100の所定箇所に連結されている。ここで、切削深さ計測装置100に対する平行リンク機構400の連結箇所は、左右方向に延びる回転軸周りに回転可能になっている。従って、切削深さ計測装置100が上記平面上で搖動しても、その姿勢を一定に保持、即ち、切削深さ計測装置100を平行移動させることができる。なお、切削深さ計測装置100は、ブラケット380を使用せずに、平行リンク機構400を介して、後部車体324の所定箇所に連結されていてもよい。
【0037】
また、切削深さ計測装置100のフレーム120の上面には、先の第1変形例と同様に、コントローラ220及びGPS240が配置されており、現在位置POSと切削深さDEPとが関連付けられたレコードが記録媒体に時系列で順次記録される。なお、フレーム120に配置されたコントローラ220及びGPS240に代えて、自走車両320のコントローラ及びGPSを使用してレコードを時系列で順次記録するようにしてもよい。さらに、先の第1変形例と同様に、切削深さ計測装置100は、現在位置POSと変位量Δとを送信装置によって外部に送信するようにしてもよい。
【0038】
かかる第2変形例によれば、路面切削機300によって路面表層を切削しながら、切削深さDEPをリアルタイムで計測することができる。このため、測定された切削深さDEPが目標切削深さに近づくように第2の油圧シリンダを制御することで、路面切削精度を向上させることもできる。
【0039】
路面切削機300に取り付けられる切削深さ計測装置100は、
図13及び
図14に示すように、フレーム120の第1の板材120Aに走行方向に沿った一列の走行車輪140が取り付けられていてもよい。そして、このような切削深さ計測装置100は、後部車体324の左右方向及び上下方向で規定される平面上で搖動する平行リンク機構400を介して、後部車体324の所定箇所に連結されている。なお、切削深さ計測装置100は、先の第1変形例と同様に、ブラケット380及び平行リンク機構400を介して、後部車体324の所定箇所に連結されていてもよい。
【0040】
なお、当業者であれば、上記実施形態及び各変形例の様々な技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置き換えることで、新たな実施形態及び変形例を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0041】
その一例を挙げると、切削深さ計測装置100は、路面切削機300に限らず、周知の建設機械に取り付けるようにしてもよい。また、路面切削機300は、前輪328及び後輪330に限らず、クローラで走行するようにしてもよい。
【0042】
切削深さ計測装置100のフレーム120は、走行車輪140及び計測車輪160を離間して配置可能であれば、上記の形状に限らず、任意の形状であってもよい。さらに、走行車輪140及び計測車輪160は、上記の個数に限らず、任意の個数であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 切削深さ計測装置
120 フレーム
140 走行車輪
160 計測車輪
180 変位センサ(センサ)
200 ハンドル
220 コントローラ
240 GPS(測位装置)
300 路面切削機(建設機械)
400 平行リンク機構
RD1 未切削路面
RD2 切削路面