(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20240906BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20240906BHJP
B65H 31/22 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G07D9/00 481F
G07D11/12
B65H31/22
(21)【出願番号】P 2020153988
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泰治
(72)【発明者】
【氏名】上原 磨
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-083340(JP,A)
【文献】特開平05-062042(JP,A)
【文献】特開2018-032266(JP,A)
【文献】特開2015-143896(JP,A)
【文献】特開平11-175805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、前記排出機構を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを有する紙葉類処理機と、
前記紙葉類処理機に着脱可能であり、前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具と、
を備え、
前記紙葉類処理機は、当該紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を有しており、
前記制御部は、前記排出部に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出動作の態様を変えるよう前記駆動部を制御され、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合とは異なる速度で前記排出機構が紙葉類を排出するよう前記駆動部を制御され、
前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合における紙葉類の排出速度は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合における紙葉類の排出速度よりも大きい、紙葉類回収システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合に、前記排出機構により紙葉類を第1の態様で排出させるよう前記駆動部を制御し、
前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されている場合に、前記排出機構により紙葉類を前記第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙葉類を前記紙葉類回収具に収納させるよう前記駆動部を制御する、請求項1記載の紙葉類回収システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出量を、前記排出部から排出されるべき紙葉類の排出方向の長さよりも大きくするよう前記駆動部を制御する、請求項1または2記載の紙葉類回収システム。
【請求項4】
前記紙葉類回収具には磁石が設けられており、
前記検知部は、前記磁石を検知する磁気検知センサを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紙葉類回収システム。
【請求項5】
前記紙葉類回収具には凸部が設けられており、
前記検知部は、前記凸部を直接的または間接的に検知するための光学センサを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紙葉類回収システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、予め設定されている所定枚数毎に前記排出機構が紙葉類をまとめて排出するよう前記駆動部を制御する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の紙葉類回収システム。
【請求項7】
前記紙葉類回収具は係合部を有し、前記係合部が前記紙葉類処理機に係合されることにより前記紙葉類回収具が前記紙葉類処理機に装着される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の紙葉類回収システム。
【請求項8】
前記紙葉類回収具はベース部を有し、前記係合部は前記ベース部に設けられている、請求項7記載の紙葉類回収システム。
【請求項9】
紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、
前記排出機構を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具が着脱可能であり、
前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を更に備え、
前記制御部は、前記排出部に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出動作の態様を変えるよう前記駆動部を制御され
、紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合とは異なる速度で前記排出機構が紙葉類を排出するよう前記駆動部を制御され、
前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合における紙葉類の排出速度は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合における紙葉類の排出速度よりも大きい、紙葉類処理機。
【請求項10】
紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、前記排出機構を駆動する駆動部とを備え、前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具が着脱可能であり、前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を更に備えた紙葉類処理機による紙葉類処理方法であって、
前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されているか否かを前記検知部により検知する工程と、
前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合に、前記排出機構により紙葉類を第1の態様で排出させる工程と、
前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されている場合に、前記排出機構により紙葉類を前記第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合とは異なる速度で前記排出機構が紙葉類を排出し、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合における紙葉類の排出速度を、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合における紙葉類の排出速度よりも大きくし、排出された紙葉類を前記紙葉類回収具に収納させる工程と、
を備えた、紙葉類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケット等の商業施設の店舗において、紙幣および硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣釣銭機が精算所に設置されている。精算所では、店員が顧客から商品の代金として貨幣を受け取ると、店員は受け取った貨幣を貨幣釣銭機に入金する。また、貨幣釣銭機に入金された貨幣の金額が商品の合計金額よりも多い場合には、釣銭としての貨幣が貨幣釣銭機から出金される。そして、店員は貨幣釣銭機から出金された貨幣を釣銭として顧客に手渡す。また、近年では精算を顧客自身が行うセルフ方式の精算所も増えてきている。このような場合では、顧客自身が商品の代金を貨幣釣銭機に入金し、必要に応じてつり銭としての貨幣が貨幣釣銭機から出金される。
【0003】
このような貨幣釣銭機に入金された売上金としての貨幣を当該貨幣釣銭機から回収するにあたり、従来では例えば特許文献1に開示される紙幣回収庫(具体的には、紙幣収納カセット)が用いられていた。より詳細には、特許文献1には、貨幣釣銭機等の金銭処理装置に紙幣回収庫が着脱自在に装着されるようになっており、この紙幣回収庫は、金銭処理装置内部から紙幣を回収する目的で、その内部に複数枚の紙幣を集積保持するものであることが記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される金銭処理装置では、紙幣回収庫に紙幣を送る紙幣搬送路は、通常の払出口に紙幣を送る紙幣搬送路とは別のものであるため、搬送路の構造が複雑になり、装置の大型化やコストアップにつながるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、紙葉類を排出する排出機構を有する排出部から紙葉類回収具に紙葉類を送って紙葉類回収具に収納させることができるため紙葉類処理機の内部構成をシンプルにできる紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙葉類回収システムは、紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、前記排出機構を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを有する紙葉類処理機と、前記紙葉類処理機に着脱可能であり、前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具と、を備え、前記紙葉類処理機は、当該紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を有しており、前記制御部は、前記排出部に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出動作の態様を変えるよう前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の紙葉類回収システムにおいては、前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合に、前記排出機構により紙葉類を第1の態様で排出させるよう前記駆動部を制御し、前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されている場合に、前記排出機構により紙葉類を前記第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙葉類を前記紙葉類回収具に収納させるよう前記駆動部を制御してもよい。
【0009】
また、前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出量を、前記排出部から排出されるべき紙葉類の排出方向の長さよりも大きくするよう前記駆動部を制御してもよい。
【0010】
また、前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合とは異なる速度で前記排出機構が紙葉類を排出するよう前記駆動部を制御してもよい。
【0011】
また、前記紙葉類回収具には磁石が設けられており、前記検知部は、前記磁石を検知する磁気検知センサを含んでもよい。
【0012】
あるいは、前記紙葉類回収具には凸部が設けられており、前記検知部は、前記凸部を直接的または間接的に検知するための光学センサを含んでもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、予め設定されている所定枚数毎に前記排出機構が紙葉類をまとめて排出するよう前記駆動部を制御してもよい。
【0014】
また、前記紙葉類回収具は係合部を有し、前記係合部が前記紙葉類処理機に係合されることにより前記紙葉類回収具が前記紙葉類処理機に装着されてもよい。
【0015】
この場合、前記紙葉類回収具はベース部を有し、前記係合部は前記ベース部に設けられていてもよい。
【0016】
本発明の紙葉類処理機は、紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、前記排出機構を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具が着脱可能であり、前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を更に備え、前記制御部は、前記排出部に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知された場合に、前記排出機構による紙葉類の排出動作の態様を変えるよう前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の紙葉類処理方法は、紙葉類を排出する排出機構を有する排出部と、前記排出機構を駆動する駆動部とを備え、前記排出機構から排出された紙葉類が収納される紙葉類回収具が着脱可能であり、前記紙葉類回収具が装着されたことを検知するための検知部を更に備えた紙葉類処理機による紙葉類処理方法であって、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されているか否かを前記検知部により検知する工程と、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されていない場合に、前記排出機構により紙葉類を第1の態様で排出させる工程と、前記紙葉類処理機に前記紙葉類回収具が装着されたことが前記検知部により検知されている場合に、前記排出機構により紙葉類を前記第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙葉類を前記紙葉類回収具に収納させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法によれば、紙葉類を排出する排出機構を有する排出部から紙葉類回収具に紙葉類を送って紙葉類回収具に収納させることができるため紙葉類処理機の内部構成をシンプルにできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態による貨幣釣銭機およびPOSレジスタの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す貨幣釣銭機における紙幣釣銭機の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す紙幣釣銭機の内部の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図4】
図1に示す貨幣釣銭機における硬貨釣銭機の内部の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図5】
図1等に示す貨幣釣銭機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図1等に示す紙幣釣銭機に装着される紙幣回収具の構成の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す紙幣回収具を別の角度からみたときの構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す紙幣回収具の蓋部が開いたときの構成を示す斜視図である。
【
図9】
図6等に示す紙幣回収具が
図1等に示す紙幣釣銭機に装着されたときの状態を示す斜視図である。
【
図10】
図6等に示す紙幣回収具に設けられている磁石および
図1等に示す紙幣釣銭機に設けられている検知部の構成を示す斜視図である。
【
図11】
図1等に示す紙幣釣銭機に装着される紙幣回収具の構成の他の例を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す紙幣回収具を別の角度からみたときの構成を示す斜視図である。
【
図13】
図12に示す紙幣回収具の蓋部が開いたときの構成を示す斜視図である。
【
図14】
図11等に示す紙幣回収具が
図1等に示す紙幣釣銭機に装着されたときの状態を示す斜視図である。
【
図16】
図15に示す紙幣回収具の蓋部が開いたときの構成を示す側面図である。
【
図17】
図1等に示す紙幣釣銭機を正面側から見た時の構成を拡大して示す斜視図である。
【
図18】
図1等に示す紙幣釣銭機に設けられている検知部の構成を示す斜視図である。
【
図19】
図11等に示す紙幣回収具に設けられている凸部および
図1等に示す紙幣釣銭機に設けられている検知部の構成を示す斜視図である。
【
図20】
図1等に示す貨幣釣銭機における硬貨釣銭機の硬貨受入部の構成を示す構成図である。
【
図21】
図1等に示す貨幣釣銭機における硬貨釣銭機の硬貨払出部の構成を示す構成図である。
【
図22】棒金硬貨を包装している包装媒体を切断するための切断具の構成を示す斜視図である。
【
図24】
図22等に示す切断具の使用方法を示す説明図である。
【
図25】(a)(b)は、硬貨投入口のアタッチメントを示す上面図である。
【
図26】紙幣釣銭機の紙幣受入口に設けられた入金台を示す斜視図である。
【
図27】硬貨釣銭機において硬貨払出部の側方上方に形成された硬貨排除穴を示す斜視図である。
【
図28】硬貨釣銭機の硬貨収納部にある異物が硬貨排除穴から外部に排除される動作を示す説明図である。
【
図29】硬貨釣銭機において硬貨払出部に着脱自在に取り付けられているカバーを示す斜視図である。
【
図30】
図29に示す状態からカバーが硬貨払出部から取り外されたときの状態を示す斜視図である。
【
図31】更なる変形例に係る硬貨釣銭機において、硬貨払出部の上部側方にスロープを設けられた構成を示す斜視図である。
【
図32】スロープが設けられていない場合に硬貨払出部の片側に硬貨が集積されている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図19は、本実施の形態に係る貨幣釣銭機およびこの貨幣釣銭機の紙幣釣銭機に装着される紙幣回収具を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による貨幣釣銭機およびPOSレジスタの外観を示す斜視図である。また、
図2および
図3は、
図1に示す貨幣釣銭機における紙幣釣銭機を示す図であり、
図4は、
図1に示す貨幣釣銭機における硬貨釣銭機を示す図である。また、
図5は、
図1等に示す貨幣釣銭機の制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、
図6乃至
図10は、
図1等に示す紙幣釣銭機に装着される紙幣回収具の構成の一例を示す図である。また、
図11乃至
図19は、
図1等に示す紙幣釣銭機に装着される紙幣回収具の構成の他の例を示す図である。
【0021】
まず、本実施の形態による貨幣釣銭機1およびPOSレジスタ300について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣釣銭機1は、上下に並べて配置された硬貨釣銭機100および棒金収納装置180と、これらの硬貨釣銭機100や棒金収納装置180の隣に並べて配置された紙幣釣銭機10とを備えている。紙幣釣銭機10および硬貨釣銭機100は、それぞれ紙幣および硬貨の入出金処理を行うようになっている。また、棒金収納装置180は、各金種の棒金硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等の包装媒体により包装したもの)や貨幣以外の物品(例えば、売上伝票やレシート等)を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ300は、紙幣釣銭機10、硬貨釣銭機100および棒金収納装置180の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
【0022】
次に、紙幣釣銭機10の構成の詳細について説明する。
図2に示すように、本実施の形態による紙幣釣銭機10は、その前面に開口が設けられた略直方体形状のケーシング12と、ケーシング12の内部から手前側に引き出し可能となっている本体部14とを備えている。具体的には、本体部14の下部には左右一対の引き出しレール16が設けられており、各引き出しレール16に沿って本体部14をケーシング12の内部から手前側に引き出すことができるようになっている。なお、
図2では本体部14がケーシング12の内部から引き出されたときの状態が示されているが、紙幣釣銭機10が実際に使用される際には本体部14はケーシング12の内部に収容された状態で紙幣の入出金処理等の様々な処理が行われるようになっている。
【0023】
図3に示すように、本体部14には紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部30が設けられている。搬送部30は本体部14の中央位置に配置された周回搬送部30aおよび複数の接続搬送部30bから構成されている。また、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、紙幣収納カセット26および3つの紙幣収納部34、36、38が、それぞれ、周回搬送部30aを外側から取り囲むように配置されている。また、
図3に示すように、複数の接続搬送部30bの各々により、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、紙幣収納カセット26および各紙幣収納部34、36、38と、周回搬送部30aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部30aには識別部32が設けられており、この識別部32は、周回搬送部30aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別を行うようになっている。
【0024】
周回搬送部30aは、
図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、搬送部30において、周回搬送部30aと各接続搬送部30bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部30aに沿って配置されている。
【0025】
図2および
図3に示すように、本体部14の前面には、紙幣受入部20の紙幣受入口20aと、紙幣払出部22の紙幣払出口22aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣収納カセット26は本体部14に対して着脱可能に設置されている。
【0026】
紙幣受入部20には繰出機構21が設けられており、紙幣受入口20aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると繰出機構21が駆動されることにより紙幣が接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
【0027】
紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣払出口22aにより本体部14の外部へ放出するようになっている。より詳細には、紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣が集積されるステージ22bと、ステージ22bを支持するアーム部材22dと、ステージ22b上の紙幣を繰り出す繰出ベルト22cとを有している。また、
図3に示すように、紙幣釣銭機10には、アーム部材22dおよび繰出ベルト22cを駆動する駆動部23が設けられている。アーム部材22dは、ステージ22bを昇降させるよう移動可能となっており、アーム部材22dが移動することによりステージ22bは繰出ベルト22cに向かって進退可能となっている。そして、ステージ22bが繰出ベルト22cに向かって接近し、ステージ22b上に集積された紙幣がステージ22bと繰出ベルト22cとの間に挟まれている状態で駆動部23により繰出ベルト22cが駆動されることにより、ステージ22b上に集積された紙幣が一括して繰り出されて紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出される。本実施の形態では、このようなステージ22b、繰出ベルト22cおよびアーム部材22dにより、紙幣を排出する排出機構22eが構成されている。
【0028】
本実施の形態では、紙幣払出部22の排出機構22eは紙幣をその長手方向に沿って払い出すようになっている。なお、本実施の形態はこのような態様に限定されることはなく、他の例として紙幣払出部22の排出機構22eは紙幣をその短手方向に沿って払い出すようになっていてもよい。
【0029】
出金リジェクト部24は、出金処理時において各紙幣収納部34、36、38から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部32で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、本実施の形態の紙幣釣銭機10では、入金処理時において紙幣受入部20から紙幣釣銭機10の筐体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により識別部32で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部22から本体部14の外部に返却されるようになっている。
【0030】
本体部14の前面下部にはカセット収容部が設けられており、このカセット収容部に紙幣収納カセット26が着脱可能に収容されるようになっている。紙幣収納カセット26は本体部14の前面から手前側に引き出すことにより当該本体部14の外部に取り出すことができるようになっている。紙幣収納カセット26を着脱する際に、本体部14をケーシング12から引き出す必要がないためセキュリティ性が高くなる。
【0031】
各紙幣収納部34、36、38は、識別部32の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部34、36、38にはそれぞれ繰出機構35、37、39が設けられており、これらの紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣は各繰出機構35、37、39により接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
【0032】
本実施の形態では、紙幣釣銭機10から紙幣を回収するための紙幣回収具60(
図6乃至
図10参照)が当該紙幣釣銭機10に着脱可能に装着されるようになっている。また、紙幣釣銭機10は、後述する紙幣回収具60が当該紙幣釣銭機10に装着されたことを検知するための検知部28を備えている。このような検知部28の構成の詳細については後述する。
【0033】
次に、硬貨釣銭機100の構成について
図1および
図4を用いて簡単に説明する。
図1に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
【0034】
硬貨受入部114は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部114には繰出ベルト114a(
図20参照)が設けられており、硬貨投入口に投入された硬貨を検知するとこの繰出ベルト114aが駆動されることにより当該繰出ベルト114aが硬貨を硬貨釣銭機100の筐体110内に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、
図1に示すように、硬貨受入部114の硬貨投入口には当該硬貨投入口の開閉を行うシャッタ118が設けられており、シャッタ118が開かれたときに硬貨受入部114に硬貨を投入することができるようになっている。また、
図4に示すように、硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により筐体110内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
【0035】
図4に示すように、入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を入金搬送部103から出金搬送部108へ分岐させるようになっている。
【0036】
一方、正常硬貨等の筐体110内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの硬貨収納部106が設けられており、入金搬送部103の上流側(すなわち、
図4における下側)から低額順に各硬貨収納部106に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、硬貨収納部106には、当該硬貨収納部106に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部108に繰り出す繰出機構(図示せず)が設けられている。
【0037】
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104により入金搬送部103から分岐されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている
【0038】
硬貨払出部116には、出金搬送部108から硬貨払出部116に送られて当該硬貨払出部116に集積された硬貨を検知する硬貨残留検知センサ(図示せず)が設けられている。このような硬貨残留検知センサにより、出金搬送部108から硬貨払出部116に送られた硬貨が当該硬貨払出部116から操作者によって全て抜き取られたときにこのことが検知されるようになる。
【0039】
次に、本実施の形態による紙幣釣銭機10を備えた貨幣処理システムの制御系の構成について
図5を用いて説明する。
図5は、
図1等に示す貨幣釣銭機1における紙幣釣銭機10、硬貨釣銭機100およびPOSレジスタ300等の制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【0040】
図5に示すように、紙幣釣銭機10、硬貨釣銭機100およびPOSレジスタ300にはそれぞれ紙幣釣銭機制御部50、硬貨釣銭機制御部130およびPOS制御部302がそれぞれ設けられている。ここで、紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部50および硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130は互いに通信可能となるよう接続されている。また、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130およびPOSレジスタ300のPOS制御部302は互いに通信可能となるよう接続されている。
【0041】
紙幣釣銭機10において、紙幣釣銭機制御部50には、インターフェース51、紙幣受入部20に設けられた繰出機構21、紙幣払出部22に設けられた排出機構22eを駆動する駆動部23、搬送部30、後述する紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されたことを検知するための検知部28、識別部32、各紙幣収納部34、36、38に設けられた繰出機構35、37、39がそれぞれ接続されている。ここで、識別部32による紙幣の識別結果に係る情報や検知部28による検知結果に係る情報等は紙幣釣銭機制御部50に送られるようになっている。また、紙幣釣銭機制御部50は、繰出機構21、駆動部23、搬送部30、各繰出機構35、37、39等にそれぞれ指令を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、紙幣釣銭機制御部50はインターフェース51により硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0042】
硬貨釣銭機100において、硬貨釣銭機制御部130には、インターフェース131、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等がそれぞれ通信可能に接続されている。このような硬貨釣銭機制御部130には、硬貨識別部101から硬貨の識別結果に係る情報が送られるようになっている。また、硬貨釣銭機制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、硬貨釣銭機制御部130はインターフェース131により紙幣釣銭機10の紙幣釣銭機制御部50やPOSレジスタ300のPOS制御部302に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0043】
上述したように、本実施の形態では、紙幣釣銭機10から紙幣を回収するための紙幣回収具60が当該紙幣釣銭機10に着脱可能に装着されるようになっている。このような紙幣回収具60の構成の詳細について
図6乃至
図10を用いて説明する。
図6は、紙幣回収具60の構成の一例を示す斜視図であり、
図7は、
図6に示す紙幣回収具60を別の角度からみたときの構成を示す斜視図であり、
図8は、
図7に示す紙幣回収具60の蓋部70が開いたときの構成を示す斜視図である。また、
図9は、
図6等に示す紙幣回収具60が
図1等に示す紙幣釣銭機10に装着されたときの状態を示す斜視図であり、
図10は、
図6等に示す紙幣回収具60に設けられている磁石76および
図1等に示す紙幣釣銭機10に設けられている検知部28の構成を示す斜視図である。
【0044】
紙幣回収具60は、紙幣釣銭機10に装着されたときに、この紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aにより本体部14の外部へ放出された紙幣を回収するようになっている。具体的には、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aにより本体部14の外部へ放出された紙幣は、紙幣釣銭機10に装着された紙幣回収具60の内部に収納される。
【0045】
図6等に示すように、紙幣回収具60は、プラスチック樹脂等から構成されるベース部62と、布等から構成される収容部64とを有している。また、収容部64には線ファスナー66が設けられており、金属製の留め具67を移動させることにより線ファスナー66の開閉を行うことができるようになっている。留め具67の先端にはリング68が取り付けられている。
【0046】
また、ベース部62には、プラスチック樹脂等から構成される蓋部70が設けられている。蓋部70はベース部62に対して軸72を中心として回転可能となっている。具体的には、ベース部62には、左右一対の軸支持部材62aが設けられており、各軸支持部材62aには軸72が通る貫通穴が形成されている。また、蓋部70に取り付けられている棒状の軸72は、各軸支持部材62aの貫通穴を通るようになっている。このことにより、蓋部70はベース部62に対して軸72を中心として
図6および
図7に示すような閉止位置と
図8に示すような開口位置との間で回転可能となる。蓋部70が
図6および
図7に示すような閉止位置に位置しているときには、紙幣回収具60の外部から当該紙幣回収具60の内部に紙幣を入れることができないようになっている。一方、蓋部70が
図8に示すような開口位置にあるときには、紙幣回収具60の外部から開口74を介して当該紙幣回収具60の内部に紙幣を入れることができるようになる。
【0047】
図6に示すように、ベース部62には突起部材63が設けられている。また、蓋部70にも突起部材71が設けられている。突起部材63には貫通穴63aが形成されており、突起部材71には貫通穴71aが形成されている。蓋部70が
図6および
図7に示すような閉止位置にあるときには、突起部材63の貫通穴63aおよび突起部材71の貫通穴71aは略同一直線上に位置する。このため、
図6に示すようにリング68が突起部材63に嵌った状態で図示しない市販の南京錠の棒状部分を突起部材63の貫通穴63aおよび突起部材71の貫通穴71aに通すことにより、蓋部70が
図8に示すように開くことを防止することができる。また、このときに、南京錠の胴体部分が留め具67の前面を覆うように位置するようになるため、留め具67が
図6に示す位置から下方に移動してしまうことを防止することができる。よって、南京錠により突起部材63、突起部材71およびリング68をロックすることによって、紙幣回収具60の内部に紙幣が新たに入れられたり、紙幣回収具60に収納されている紙幣がこの紙幣回収具60から第三者により取り出されたりすることを防止することができる。
【0048】
ベース部62にはレバー等の係合部75が設けられている。係合部75は例えば細長い金属を折り曲げることにより形成されるようになっており、
図6乃至
図8に示す状態から係合部75をベース部62から起立させることができるようになっている。
図9に示すように、ベース部62から起立した状態の係合部75が紙幣釣銭機10に係合されることにより、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着される。
【0049】
また、
図8に示すように、紙幣回収具60には、蓋部70が開口位置に位置しているときに露出するような磁石76が設けられている。なお、蓋部70が
図6および
図7に示すような閉止位置に位置しているときには磁石76は蓋部70により覆われた状態となる。このようにすることにより、蓋部70が閉止位置にある状態で誤って磁気カードを近づけてしまったとしても、磁石76によって磁気カードに記憶された情報が消去されてしまう事を防止することができる。また、
図10に示すように、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22には、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されたことを検知するための検知部28を有している。具体的には、検知部28は、紙幣回収具60に設けられた磁石76を検知する磁気近接スイッチを含んでいる。この磁気近接スイッチは、磁気検知センサの一例である。なお磁気検知センサには、コイルの誘導起電力を検知する方式や、ホール素子を用いた方式や磁気抵抗素子を用いた方式などの方式を利用することができる。このことにより、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されると磁石76が磁気近接スイッチに近接するためこの磁石76が磁気近接スイッチにより検知される。このようにして、検知部28は、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されたことを検知する。
【0050】
次に、このような構成からなる紙幣釣銭機10による入出金処理等の様々な処理内容について以下に説明する。なお、以下に示すような紙幣の処理方法は、紙幣釣銭機制御部50が紙幣釣銭機10の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
【0051】
まず、紙幣釣銭機10において入金処理が行われる際の動作について説明する。紙幣釣銭機10の紙幣受入口20aに紙幣が投入されると、紙幣受入部20は、紙幣受入口20aに投入された入金紙幣を一括で取り込んで、接続搬送部30bを介して周回搬送部30aに紙幣を1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部30aに繰り出された紙幣は当該周回搬送部30aにより搬送され、この際に識別部32により紙幣の識別が行われる。
【0052】
識別部32により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は、その金種に対応する各紙幣収納部34、36、38に送られ、これらの紙幣収納部34、36、38に収納される。具体的には、紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納される。一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣は入金リジェクト紙幣として搬送部30により紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22に集積される。そして、紙幣受入口20aに投入された入金紙幣が全て各紙幣収納部34、36、38または紙幣払出部22に送られた後、紙幣払出部22に集積された入金リジェクト紙幣が排出機構22eにより紙幣払出口22aに送られる。このことにより、操作者は、入金リジェクト紙幣を紙幣払出口22aから取り出して紙幣受入部20の紙幣受入口20aに再投入することができるようになる。
【0053】
次に、紙幣釣銭機10において出金処理が行われる際の動作について以下に説明する。出金される紙幣の合計金額あるいは金種別の枚数等を含む出金処理の開始指令が紙幣釣銭機制御部50に入力されると、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が、各紙幣収納部34、36、38に対応する各繰出機構35、37、39により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで
図3における時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別が行われる。識別部32により識別が行われた紙幣のうち正常な紙幣であると判別された紙幣は紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22のステージ22b上に集積される。
【0054】
一方、識別部32による識別結果により正常な紙幣ではないと判別された紙幣(例えば、重送や斜行等の搬送異常の紙幣)は出金リジェクト紙幣として搬送部30により出金リジェクト部24に搬送され、この出金リジェクト部24に集積される。出金リジェクト部24に集積された出金リジェクト紙幣は、管理者等の所定の権限を有する者が紙幣釣銭機10のケーシング12から本体部14を手前側に引き出すことにより取り出すことができるようになる。
【0055】
そして、出金されるべき紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、駆動部23が排出機構22eを駆動することにより、紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出される。具体的には、ステージ22bが繰出ベルト22cに向かって接近し、ステージ22b上に集積された紙幣がステージ22bと繰出ベルト22cとの間に挟まれている状態で駆動部23により繰出ベルト22cが駆動されることにより、ステージ22b上に集積された紙幣が一括して繰り出されて紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出される。このことにより、操作者は、出金紙幣を紙幣払出口22aから取り出すことができるようになる。
【0056】
次に、紙幣釣銭機10において回収処理が行われる際の動作について以下に説明する。操作者は、まず紙幣回収具60を紙幣釣銭機10に装着する。具体的には、突起部材63、突起部材71およびリング68をロックしている南京錠を外すことにより、蓋部70を
図6および
図7に示すような閉止位置から
図8に示すような開口位置に開くことができるようにする。そして、蓋部70が開いた状態で係合部75をベース部62から起立させてこの係合部75を
図9に示すように紙幣釣銭機10に係合させる。このことにより、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着される。また、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着された状態では、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aと紙幣回収具60の開口74とが互いに面するようになる。
【0057】
紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着された後、回収処理の開始指令が紙幣釣銭機制御部50に入力されると、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が、各紙幣収納部34、36、38に対応する各繰出機構35、37、39により1枚ずつ接続搬送部30bに繰り出され、この接続搬送部30bから周回搬送部30aに紙幣が受け渡される。周回搬送部30aに送られた紙幣は当該周回搬送部30aで
図3における時計回りの方向に少なくとも1周回るよう搬送され、この際に識別部32により紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別が行われる。識別部32により識別が行われた紙幣は紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22のステージ22b上に集積される。
【0058】
そして、予め設定されている所定枚数の紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、駆動部23が排出機構22eを駆動することにより、紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出され、この放出された紙幣は開口74を介して紙幣回収具60の内部に入れられる。このような紙幣払出口22aからの紙幣の排出動作は、予め設定されている所定枚数毎に行われる。このような予め設定されている所定枚数毎の紙幣の処理は、各紙幣収納部34、36、38が空状態になるまで、あるいは各紙幣収納部34、36、38に釣銭として残置すべき紙幣が残されてその他の紙幣が紙幣回収具60に送られる。そして、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が紙幣回収具60に送られてこの紙幣回収具60に収納されると、紙幣の回収処理が完了する。
【0059】
また、本実施の形態では、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、排出機構22e(具体的には、ステージ22b、繰出ベルト22cおよびアーム部材22d)による紙幣の排出動作の態様を変えるよう駆動部23を制御する。具体的には、紙幣釣銭機10において紙幣の出金処理が行われる際に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合に、紙幣釣銭機制御部50は、排出機構22eにより紙幣を第1の態様で排出させるよう駆動部23を制御する。この際に、排出機構22eによる紙幣の排出量は、紙幣払出部22から排出されるべき紙幣の排出方向の長さの約半分の大きさとなる。具体的には、紙幣の排出方向の長さが例えば160mmである場合に、排出機構22eによる紙幣の排出量は例えば70mm程度となる。このことにより、紙幣払出口22aから排出される紙幣の束は、その排出方向における約半分のみが紙幣払出口22aの外側に露出し、残りの半分については紙幣払出部22の内部に残ったままとなる。このような場合でも、操作者は紙幣払出口22aの外部に露出している紙幣の束の約半分の部分を掴んで引っ張ることにより、出金紙幣を紙幣払出口22aから取り出すことができるようになる。なお、紙幣の出金処理が行われる際に、排出機構22eにより紙幣が排出される際に紙幣払出部22の内部に紙幣の束は残らずに全て紙幣払出口22aから外部に排出されると、排出された紙幣の束は紙幣払出口22aから地面に落下してしまうため、操作者はこの地面に落下した紙幣の束を拾わなければならず、操作者にとって不便であるとともにセキュリティ性が悪化するという問題がある。
【0060】
一方、紙幣釣銭機10において紙幣の回収処理が行われる際に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されている場合に、紙幣釣銭機制御部50は、排出機構22eにより紙幣を第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙幣を紙幣回収具60に収納させるよう駆動部23を制御する。この際に、排出機構22eによる紙幣の排出量は、紙幣払出部22から排出されるべき紙幣の排出方向の長さよりも大きくなるよう紙幣釣銭機制御部50は駆動部23を制御する。具体的には、紙幣の排出方向の長さが例えば160mmである場合に、排出機構22eによる紙幣の排出量は例えば220mm以上となる。このことにより、排出機構22eにより紙幣が排出される際に紙幣払出部22の内部に紙幣の束は残らずに全て紙幣払出口22aから外部に排出されるため、紙幣払出部22から払い出される紙幣を全て確実に紙幣回収具60に収納させることができるようになる。
【0061】
また、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合とは異なる速度で排出機構22eが紙幣を排出するよう駆動部23を制御する。具体的には、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合よりも排出機構22eによる紙幣の排出速度を大きくする。このことにより、大量の紙幣を紙幣払出部22から払い出す必要がある紙幣の回収処理では、排出機構22eによる紙幣の排出速度を大きくすることにより、回収処理にかかる時間を短縮することができるだけでなく、排出された紙幣を確実に紙幣回収具60内に収納することができる。
【0062】
次に、硬貨釣銭機100による入出金処理等の様々な処理内容について簡単に説明する。なお、以下に示すような紙幣の処理方法は、硬貨釣銭機制御部130が硬貨釣銭機100の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
【0063】
まず、硬貨釣銭機100において硬貨の入金処理を行う場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を繰出ベルト114aにより1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
【0064】
次に、硬貨釣銭機100において硬貨の出金処理を行う場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部302から出金指令が硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、紙幣を排出する排出機構22eを有する紙幣払出部22(排出部)と、排出機構22eを駆動する駆動部23と、駆動部23を制御する紙幣釣銭機制御部50(制御部)とを有する紙幣釣銭機10(紙葉類処理機)と、紙幣釣銭機10に着脱可能であり、排出機構22eから排出された紙幣が収納される紙幣回収具60(紙葉類回収具)とを組み合わせることにより、紙幣回収システム(紙葉類回収システム)が構成される。そして、このような紙幣回収システムでは、紙幣釣銭機10は、当該紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことを検知するための検知部28を有しており、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、排出機構22eによる紙幣の排出動作の態様を変えるよう駆動部23を制御する。このような紙葉類回収システムによれば、紙幣の回収処理を行う際に、紙幣を排出する排出機構22eを有する紙幣払出部22から紙幣回収具60に紙幣を送って紙幣回収具60に収納させることができるため紙幣釣銭機10の内部構成をシンプルにできる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合に、排出機構22eにより紙幣を第1の態様で排出させるよう駆動部23を制御する。また、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されている場合に、排出機構22eにより紙幣を第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙葉類を紙幣回収具60に収納させるよう駆動部23を制御する。この場合には、紙幣の出金処理を行う場合には第1の態様で排出機構22eにより紙幣を排出させ、紙幣の回収処理を行う場合には第2の態様で排出機構22eにより紙幣を排出させることができるため、出金処理と回収処理とで排出機構22eによる紙幣の排出動作の態様を変えるようにすることができ、各々の種類の処理に適した態様で紙幣の排出動作を行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、排出機構22eによる紙幣の排出量を、紙幣払出部22から排出されるべき紙幣の排出方向の長さよりも大きくするよう駆動部23を制御する。この場合には、排出機構22eにより紙幣が排出される際に紙幣払出部22の内部に紙幣の束は残らずに全て紙幣払出口22aから外部に排出されるため、紙幣払出部22から払い出される紙幣を全て確実に紙幣回収具60に収納させることができるようになる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合とは異なる速度で排出機構22eが紙幣を排出するよう駆動部23を制御する。この場合には、出金処理と回収処理とで排出機構22eによる紙幣の排出速度を変えるようにすることができる。なお、上記の説明では、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合よりも排出機構22eによる紙幣の排出速度を大きくするような態様について述べた。しかしながら、別の態様として、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知されていない場合よりも排出機構22eによる紙幣の排出速度を小さくしてもよい。この場合には、紙幣の出金処理が行われる場合には紙幣の排出速度が大きくなることにより釣銭としての紙幣を迅速に出金することにより顧客を待たせることを防止することができる。一方、紙幣の回収処理を営業時間外に行うようにすれば、紙幣の回収処理が行われる場合に紙幣の排出速度を小さくすることによって紙幣の回収処理にかかる時間が長くなっても営業時間外なので大きな問題とはならない。また、紙幣の排出速度を上げることにより生じる、紙幣の詰まりや、排出機構の劣化を防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、紙幣回収具60には磁石76が設けられており、検知部28は、磁石76を検知する磁気近接スイッチを含んでいる。このことにより、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されると磁石76が磁気近接スイッチに近接するためこの磁石76が磁気近接スイッチにより検知される。このようにして、検知部28は、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着されたことを検知する。
【0070】
また、本実施の形態によれば、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具60が装着されたことが検知部28により検知された場合に、予め設定されている所定枚数毎に排出機構22eが紙幣をまとめて排出するよう搬送部30および駆動部23を制御する。このことにより、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣の枚数が多い場合でも、所定枚数毎に各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に紙幣を送ってこの紙幣払出部22から所定枚数の紙幣をまとめて排出することにより、紙幣の回収処理をスムーズに行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、紙幣回収具60は係合部75を有し、係合部75が紙幣釣銭機10に係合されることにより紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着される。また、紙幣回収具60はベース部62を有し、係合部75はベース部62に設けられている。
【0072】
なお、本実施の形態による紙幣回収システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0073】
例えば、紙幣回収具60の係合部75が紙幣釣銭機10に係合されたときに、紙幣釣銭機10に設けられた図示しないロック機構により紙幣回収具60がロックされ、このような状態では紙幣回収具60を紙幣釣銭機10から取り外すことができないようになっていてもよい。この場合には、紙幣の回収処理が行われる際に、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が全て紙幣払出部22に送られてこの紙幣払出部22から排出された紙幣が紙幣回収具60に収納されるまでは、ロック機構による紙幣回収具60のロックが外れないようになっていてもよい。また、紙幣回収具60が紙幣釣銭機10に装着された場合に、紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出されるとしたが、これに限らず、1枚ずつ放出するようにしてもよい。
【0074】
また、紙幣回収具は、
図6乃至
図10に示すような構成の紙幣回収具60に限定されることはない。紙幣回収具の他の例として、
図11乃至
図19に示すような構成の紙幣回収具80が用いられてもよい。
図11は、
図1等に示す紙幣釣銭機10に装着される他の構成の紙幣回収具80を示す斜視図であり、
図12は、
図11に示す紙幣回収具80を別の角度からみたときの構成を示す斜視図である。また、
図13は、
図12に示す紙幣回収具80の蓋部90が開いたときの構成を示す斜視図である。また、
図14は、
図11等に示す紙幣回収具80が
図1等に示す紙幣釣銭機10に装着されたときの状態を示す斜視図である。また、
図15は、
図11に示す紙幣回収具80の側面図であり、
図16は、
図15に示す紙幣回収具80の蓋部90が開いたときの構成を示す側面図である。また、
図17は、
図1等に示す紙幣釣銭機10を正面側から見た時の構成を拡大して示す斜視図であり、
図18は、
図1等に示す紙幣釣銭機10に設けられている検知部29の構成を示す斜視図である。また、
図19は、
図11等に示す紙幣回収具80に設けられている凸部96および
図1等に示す紙幣釣銭機10に設けられている検知部29の構成を示す斜視図である。
【0075】
紙幣回収具80は、紙幣釣銭機10に装着されたときに、この紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aにより本体部14の外部へ放出された紙幣を回収するようになっている。具体的には、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aにより本体部14の外部へ放出された紙幣は、紙幣釣銭機10に装着された紙幣回収具80の内部に収納される。
【0076】
なお、
図11乃至
図19に示すような構成の紙幣回収具80が用いられる場合は、紙幣釣銭機10において、磁石76を検知する磁気近接スイッチを含む検知部28の代わりに、紙幣回収具80に設けられた凸部96を直接的または間接的に検知するための光学センサを含む検知部29が用いられる。このような検知部29の構成のついては後述する。
【0077】
図11等に示すように、紙幣回収具80は、プラスチック樹脂等から構成されるベース部82と、布等から構成される収容部84とを有している。また、収容部84には線ファスナー86が設けられており、金属製の留め具87を移動させることにより線ファスナー86の開閉を行うことができるようになっている。留め具87の先端にはリング88が取り付けられている。
【0078】
また、ベース部82には、プラスチック樹脂等から構成される蓋部90が設けられている。蓋部90はベース部82に対してその根元に設けられた軸を中心として回転可能となっている。具体的には、蓋部90はベース部82に対してその根元に設けられた軸を中心として
図11および
図12に示すような閉止位置と
図13に示すような開口位置との間で回転可能となる。蓋部90が
図11および
図12に示すような閉止位置に位置しているときには、紙幣回収具80の外部から当該紙幣回収具80の内部に紙幣を入れることができないようになっている。一方、蓋部90が
図13に示すような開口位置にあるときには、紙幣回収具80の外部から開口94を介して当該紙幣回収具80の内部に紙幣を入れることができるようになる。
【0079】
図11に示すように、ベース部82には突起部材83が設けられている。また、蓋部90にも突起部材91が設けられている。突起部材83には貫通穴83aが形成されており、突起部材91には貫通穴91aが形成されている。蓋部90が
図11および
図12に示すような閉止位置にあるときには、突起部材83の貫通穴83aおよび突起部材91の貫通穴91aは略同一直線上に位置する。このため、
図11に示すようにリング88が突起部材83に嵌った状態で図示しない市販の南京錠の棒状部分を突起部材83の貫通穴83aおよび突起部材91の貫通穴91aに通すことにより、蓋部90が
図13に示すように開くことを防止することができる。また、このときに、南京錠の胴体部分が留め具87の前面を覆うように位置するようになるため、留め具87が
図11に示す位置から下方に移動してしまうことを防止することができる。よって、南京錠により突起部材83、突起部材91およびリング88をロックすることによって、紙幣回収具80の内部に新たな紙幣が入れられたり、紙幣回収具80に収納されている紙幣がこの紙幣回収具80から第三者により取り出されたりすることを防止することができる。
【0080】
また、蓋部90は、紙幣回収具80を紙幣釣銭機10に装着するための係合部としても機能する。具体的には、蓋部90には左右一対の爪部材92が設けられている。そして、
図14に示すように、開口位置にある蓋部90の各爪部材92を紙幣釣銭機10に引っ掛けることにより、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着されるようになる。
【0081】
また、
図11乃至
図13、
図15および
図16に示すように、紙幣回収具80の前面には凸部96が設けられている。より詳細には、蓋部90には切り欠きが形成されており、蓋部90が閉止位置に位置しているときには凸部96はこの切り欠きから突出するようになる。また、蓋部90が開口位置にあるときには
図13に示すように凸部96が露出するようになる。
【0082】
また、
図17に示すように、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の前面には貫通穴27が形成されており、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着されたときにこの紙幣回収具80に設けられた凸部96は貫通穴27に入るようになっている。また、
図18に示すように、紙幣払出部22の内部には、貫通穴27に入った凸部96を検知するための検知部29が設けられている。検知部29は、軸29bを中心として回転する被検知板29aと、被検知板29aの先端に設けられた被検知部分29cを検知するためのフォトインタラプタ等の光学センサ29dとを有している。軸29bにはねじりバネが設けられており、ねじりバネが軸29bを回転させることによって被検知板29aが
図19に示す位置から
図18に示す位置に向かって付勢されるようになっている。
【0083】
ここで、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着されていないときは、
図18に示すように、被検知板29aの先端に設けられた被検知部分29cは光学センサ29dにより検知されない。
【0084】
一方、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着されると、紙幣回収具80に設けられた凸部96は貫通穴27に入ることにより、紙幣払出部22の内部に凸部96が進入する。このことにより、被検知板29aが凸部96により押され、この被検知板29aが軸29bを中心として回転する。このため、
図19に示すように、被検知板29aの先端に設けられた被検知部分29cが光学センサ29dにより検知される。このようにして、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着されたことを検知部29が検知する。
【0085】
次に、紙幣釣銭機10において紙幣回収具80を用いて回収処理を行う際の動作について以下に説明する。操作者は、まず紙幣回収具80を紙幣釣銭機10に装着する。具体的には、突起部材83、突起部材91およびリング88をロックしている南京錠を外すことにより、蓋部90を
図11および
図12に示すような閉止位置から
図13に示すような開口位置に開くことができるようにする。そして、
図14に示すように、開口位置にある蓋部90に設けられた左右一対の爪部材92を紙幣釣銭機10に引っ掛ける。このことにより、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着される。また、紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着された状態では、紙幣釣銭機10の紙幣払出部22の紙幣払出口22aと紙幣回収具80の開口94とが互いに面するようになる。
【0086】
紙幣回収具80が紙幣釣銭機10に装着された後、回収処理の開始指令が紙幣釣銭機制御部50に入力されると、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が紙幣払出部22に搬送され、この紙幣払出部22のステージ22b上に集積される。そして、予め設定されている所定枚数の紙幣が各紙幣収納部34、36、38から紙幣払出部22に送られた後、駆動部23が排出機構22eを駆動することにより、紙幣払出口22aから本体部14の外部に紙幣が束状態で放出され、この放出された紙幣は開口74を介して紙幣回収具80の内部に入れられる。このような予め設定されている所定枚数毎の紙幣の処理は、各紙幣収納部34、36、38が空状態になるまで、あるいは各紙幣収納部34、36、38に釣銭として残置すべき紙幣が残されてその他の紙幣が紙幣回収具80に送られる。そして、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が紙幣回収具80に送られてこの紙幣回収具80に収納されると、紙幣の回収処理が完了する。
【0087】
また、本実施の形態では、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具80が装着されたことが検知部29により検知された場合に、排出機構22e(具体的には、ステージ22b、繰出ベルト22cおよびアーム部材22d)による紙幣の排出動作の態様を変えるよう駆動部23を制御する。具体的には、紙幣釣銭機10において紙幣の出金処理が行われる際に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具80が装着されたことが検知部29により検知されていない場合に、紙幣釣銭機制御部50は、排出機構22eにより紙幣を第1の態様で排出させるよう駆動部23を制御する。紙幣回収具80を用いた場合の第1の態様による紙幣の排出動作は、紙幣回収具60を用いた場合の第1の態様による紙幣の排出動作と略同一であるため説明を省略する。
【0088】
一方、紙幣釣銭機10において紙幣の回収処理が行われる際に、紙幣釣銭機10に紙幣回収具80が装着されたことが検知部29により検知されている場合に、紙幣釣銭機制御部50は、排出機構22eにより紙幣を第1の態様とは異なる第2の態様で排出させ、排出された紙幣を紙幣回収具80に収納させるよう駆動部23を制御する。紙幣回収具80を用いた場合の第2の態様による紙幣の排出動作は、紙幣回収具60を用いた場合の第2の態様による紙幣の排出動作と略同一であるため説明を省略する。
【0089】
以上のように、本実施の形態の他の例によれば、紙幣を排出する排出機構22eを有する紙幣払出部22(排出部)と、排出機構22eを駆動する駆動部23と、駆動部23を制御する紙幣釣銭機制御部50(制御部)とを有する紙幣釣銭機10(紙葉類処理機)と、紙幣釣銭機10に着脱可能であり、排出機構22eから排出された紙幣が収納される紙幣回収具80(紙葉類回収具)とを組み合わせることにより、紙幣回収システム(紙葉類回収システム)が構成される。そして、このような紙幣回収システムでは、紙幣釣銭機10は、当該紙幣釣銭機10に紙幣回収具80が装着されたことを検知するための検知部29を有しており、紙幣釣銭機制御部50は、紙幣釣銭機10に紙幣回収具80が装着されたことが検知部29により検知された場合に、排出機構22eによる紙幣の排出動作の態様を変えるよう駆動部23を制御する。このような紙葉類回収システムによれば、紙幣の回収処理を行う際に、紙幣を排出する排出機構22eを有する紙幣払出部22から紙幣回収具80に紙幣を送って紙幣回収具80に収納させることができるため紙幣釣銭機10の内部構成をシンプルにできる。
【0090】
また、紙幣回収具80に凸部96が設けられているような態様において、被検知板29aが凸部96により押され、この被検知板29aが軸29bを中心として回転することにより、被検知板29aの先端に設けられた被検知部分29cが光学センサ29dにより検知される代わりに、検知部29が凸部96を直接検知してもよい。すなわち、検知部29が凸部96を直接するようなフォトインタラプタ等の光学センサを有していてもよい。
また、凸部96が、検知部29として紙幣釣銭機10内に設けられたマイクロスイッチを直接押すようにしてもよい。
【0091】
また、紙幣回収具80の蓋部90が紙幣釣銭機10に係合されたときに、紙幣釣銭機10に設けられた図示しないロック機構により紙幣回収具80がロックされ、このような状態では紙幣回収具80を紙幣釣銭機10から取り外すことができないようになっていてもよい。この場合には、紙幣の回収処理が行われる際に、各紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が全て紙幣払出部22に送られてこの紙幣払出部22から排出された紙幣が紙幣回収具80に収納されるまでは、ロック機構による紙幣回収具80のロックが外れないようになっていてもよい。
【0092】
更なる変形例において、紙幣釣銭機10から紙幣回収具60、80により紙幣が回収される代わりに、紙幣収納カセット26により紙幣が回収されるようになっていてもよい。より詳細には、
図1乃至
図5に示す紙幣釣銭機10は、店舗のバックオフィス領域に設けられた貨幣処理機との間で紙幣収納カセット26により紙幣の受け渡しが行われるようになっていてもよい。
【0093】
具体的には、紙幣収納カセット26は、紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出機構(図示せず)により外部に繰り出し可能となっている。また、紙幣収納カセット26は、紙幣釣銭機10に着脱自在に装着されるとともに、貨幣処理機にも着脱自在に装着されるようになっている。また、紙幣収納カセット26にはICタグが設けられており、紙幣釣銭機10および貨幣処理機は、それぞれ、紙幣収納カセット26が装着されたときにこの紙幣収納カセット26のICタグに情報を書き込んだりICタグから情報を読み取ったりするリーダライタが設けられている。
【0094】
紙幣収納カセット26には、レジ締め用および通常運用用の2つの種類があり、この種類はICタグに記憶されている。レジ締め用の紙幣収納カセット26が紙幣釣銭機10に装着されると、予め設定された回収パターンで紙幣の回収処理が実行される。具体的には、回収処理が開始されると、釣銭としての紙幣を各紙幣収納部34、36、38に残し、その他の紙幣を各紙幣収納部34、36、38から紙幣収納カセット26に送るような残置回収処理が行われる。
【0095】
ここで、ある紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣が少ない場合には、上述した残置回収処理が行われたときに、釣銭としての紙幣が不足するため、店舗の営業時間帯において紙幣釣銭機10の運用開始直後に釣銭としての紙幣を補充する必要が生じる場合がある。
【0096】
これに対し、紙幣釣銭機10に紙幣収納カセット26が装着される前にこの紙幣収納カセット26に予め残置対象となる(すなわち、釣銭として用いられる)金種の紙幣を収納させておけば、このような問題が生じることを抑制することができる。具体的には、例えば店舗のバックオフィス領域に設けられた貨幣処理機により紙幣収納カセット26に予め残置対象となる金種の紙幣を収納させておく。その後、この紙幣収納カセット26が紙幣釣銭機10に装着されて紙幣の残置回収処理が開始されたときに、紙幣釣銭機10において釣銭としての紙幣が不足している金種があるか否かが紙幣釣銭機制御部50により判断される。そして、釣銭としての紙幣が不足している金種があると紙幣釣銭機制御部50により判断された場合には、紙幣収納カセット26から紙幣が繰り出されてこの金種に対応する紙幣収納部34、36、38に紙幣が送られる。このことにより、紙幣収納部34、36、38に釣銭として十分な枚数の紙幣を残置することができる。その後、その他の紙幣が各紙幣収納部34、36、38から繰り出されて紙幣収納カセット26に送られる。このようにして残置回収処理が完了する。
【0097】
また、このような態様では、店舗の売上金は、紙幣収納カセット26による紙幣の回収金額+(紙幣釣銭機10に元々入っていた紙幣の金額-紙幣収納カセット26から繰り出されて紙幣収納部34、36、38に送られた紙幣の金額)の式により算出される。あるいは、紙幣収納カセット26に設けられたICタグに書き込まれた売上金の金額を読み取ることによりこれを正としてもよい。
【0098】
また、紙幣釣銭機10に装着する前に、紙幣収納カセット26に予め釣銭として千円札および五千円札を入れておき、紙幣釣銭機10に釣銭としての千円札が不足する場合には、紙幣収納カセット26に収納されている五千円札を一時的に紙幣収納部36等に入れ、その後に紙幣収納カセット26に収納されている千円札を紙幣収納部34に収納した後、紙幣収納部36に送られた五千円札を紙幣収納カセット26に戻すようにしてもよい。
【0099】
また、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114が
図20に示すような構成になっていてもよい。具体的には、硬貨受入部114は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨が集積される繰出ベルト114aと、繰出ベルト114aに対して硬貨1枚分の厚さよりもわずかに大きな隙間を隔てて設けられた逆転ローラ114bとを有しており、繰出ベルト114aが駆動されることによりこの繰出ベルト114a上に集積された硬貨が1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込まれる。また、繰出ベルト114aの上方には複数の光源114c、114dおよびジェスチャーセンサ114eが設けられている。各光源114c、114dは、予め設定されている所定の間隔で順に点灯および消灯を行うようになっている。言い換えると、各光源114c、114dは同時には点灯しない。ジェスチャーセンサ114eは、各光源114c、114dから発せられて物体により反射した光を受けるようになっている。また、ジェスチャーセンサ114eは、物体の移動方向も判別可能である。
【0100】
複数の光源114c、114dのうち、繰出ベルト114aに近い側に配置される各光源114cは、繰出ベルト114a上に残留する硬貨に光を照射することにより残留硬貨を検知する残留検知用光源として用いられる。一方、複数の光源114c、114dのうち、繰出ベルト114aから遠い側に配置される光源114dは、硬貨受入部114に進入する操作者の手や硬貨等に光を照射することにより硬貨受入部114への進入を検知する進入検知用光源として用いられる。
【0101】
ここで、
図20に示す硬貨受入部114ではジェスチャーセンサ114eが用いられるため、硬貨受入部114の内部における物体の移動方向を判別することができる。具体的には、硬貨受入口から硬貨受入部114に硬貨が投入された場合には、進入検知用光源114dから発せられた光に基づいて下方向に落下する硬貨をジェスチャーセンサ114eは検知することができる。また、硬貨受入部114に操作者の手、指、髪等が進入した場合には、これらの手等は硬貨受入部114の内部で停滞するため、進入検知用光源114dから発せられた光に基づいて静止している手等をジェスチャーセンサ114eは検知することができる。また、硬貨受入部114の繰出ベルト114a上に硬貨や異物が残留している場合には、残留検知用光源114cから発せられた光に基づいて繰出ベルト114a上に残留している硬貨や異物をジェスチャーセンサ114eは検知することができる。硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130は、ジェスチャーセンサ114eで操作者の手、指、髪等が進入したことを検知した場合には、繰出ベルト114aの動きが動かないように制御する。このようにすることにより、操作者の手、指、髪等が硬貨釣銭機100内に巻き込まれることを防止することができる。また、報知部を更に備え、ジェスチャーセンサ114eで操作者の手、指、髪等が進入したことを検知した場合には、警告音や音声で警告を報知するようにしてもよい。
【0102】
また、貨幣釣銭機1を操作する操作者(具体的には、レジのキャッシャー)が貨幣釣銭機1から離れる場合は休止モードとすることにより、上方から硬貨受入部114に進入する物体があっても貨幣釣銭機1は動作しない運用としてもよい。なお、貨幣釣銭機1がセルフレジで用いられる場合は、貨幣釣銭機1は通常時に休止モードとする。
【0103】
また、硬貨受入部114において、ジェスチャーセンサ114eではなく、カメラによる判別によって硬貨受入部114の内部に進入する物体を検知したり、複数の遮光センサを配置することによってこれらの遮光センサが遮光する順番に基づいて硬貨受入部114における物体の進入方向を検知したりようにしてもよい。
【0104】
また、硬貨釣銭機100の硬貨払出部116として
図21に示すようなものが用いられてもよい。
図21に示すように、硬貨払出部116における硬貨受け部分には、単一の受光素子を有する光センサからなるジェスチャーセンサ116aが設けられている。ジェスチャーセンサ116aは、硬貨払出部116の内部への物体の移動方向を判別することができるようになっている。このため、硬貨釣銭機100の内部から出金搬送部108により硬貨払出部116に送られる硬貨の移動方向と、硬貨払出部116に払い出された硬貨を取り出すためにこの硬貨払出部116の内部にアクセスする操作者の手の移動方向とが異なることにより、ジェスチャーセンサ116aは両者を区別することができる。
【0105】
このことにより、硬貨釣銭機100において硬貨の出金処理が行われていないにもかかわらず硬貨払出部116の内部に操作者の手や異物が入ったことがジェスチャーセンサ116aにより検知された場合には、いたずら防止の警告が音声または表示により行われる。また、硬貨釣銭機100の内部から出金搬送部108により硬貨払出部116に送られる硬貨がジェスチャーセンサ116aにより検知された場合には、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことを操作者に促す旨の報知が音声または表示により行われる。
【0106】
また、硬貨払出部116に払い出された硬貨を取り出すためにこの硬貨払出部116の内部にアクセスする操作者の手がジェスチャーセンサ116aにより検知された後、硬貨払出部116に硬貨が残っているか否かがジェスチャーセンサ116aにより検知される。ここで、硬貨払出部116に硬貨が残っていない場合には、硬貨釣銭機100は追加の出金処理を行うことができる。一方、追加の出金処理が行われない場合、硬貨払出部116に硬貨が残っているときには、硬貨払出部116からの硬貨の取り忘れがある旨の警告が音声または表示により行われる。
【0107】
また、硬貨払出部116において、ジェスチャーセンサ116aではなく、カメラによる判別によって硬貨払出部116の内部に進入する物体を検知したり、複数の遮光センサを配置することによってこれらの遮光センサが遮光する順番に基づいて硬貨払出部116における物体の進入方向を検知したりようにしてもよい。
【0108】
また、貨幣釣銭機1において、今でも額面通りに使用することができる古い紙幣や硬貨である旧貨幣も取り扱うことができるようになっていてもよい。このような旧貨幣が貨幣釣銭機1に入金されると、識別部により識別された後に収納部には収納されずに筐体の外部に払い出される。その後、貨幣釣銭機1を操作する操作者(具体的には、レジのキャッシャー)は、払い出された旧貨幣を棒金収納装置180の収納ドロアや貨幣釣銭機1とは別に設けられた収納ドロア等に収納する。このことにより、旧貨幣を迅速に処理することができるようになる。
【0109】
より詳細には、紙幣釣銭機10に旧紙幣が入金された場合には、紙幣受入部20により内部に受け入れられた旧紙幣は識別部32により識別された後、紙幣払出部22に送られる。この際に、この旧紙幣分の在高カウントは増加される。このことにより、この旧紙幣分の金額も入金額に加算される。また、硬貨釣銭機100に旧硬貨が入金された場合には、硬貨受入部114により内部に受け入れられた旧硬貨は硬貨識別部101により識別された後、分岐部104により入金搬送部103から分岐させられて硬貨払出部116に送られる。この際に、この旧硬貨分の在高カウントは増加される。このことにより、この旧硬貨分の金額も入金額に加算される。
【0110】
旧紙幣または旧硬貨の在高カウントが増加すると、操作表示部112には、紙幣払出部22や硬貨払出部116から紙幣や硬貨を取り出して棒金収納装置180の収納ドロアや貨幣釣銭機1とは別に設けられた収納ドロア等に収納することを操作者に促す旨のメッセージが表示される。このことにより、外国人等、日本の通貨に詳しくない者でも操作表示部112に表示されるメッセージに従って旧紙幣や旧硬貨を収納ドロアに収納させることができる。また、収納ドロアが引き出された後、再び収納ドロアが戻されると入金処理が確定し、貨幣釣銭機1において別の取引に係る貨幣の入金処理を行うことができるようになる。
【0111】
従来では、外国人等、日本の通貨に詳しくない者が貨幣釣銭機1を取り扱う際に、顧客から旧紙幣や旧硬貨を受け取って貨幣釣銭機1に入金した場合にはこれらの旧紙幣や旧硬貨はリジェクトされて紙幣払出部22や硬貨払出部116に送られるが、外部に排出された旧紙幣や旧硬貨を操作者が見慣れていない場合には処理に時間がかかってしまい貨幣釣銭機1を使用することができない状態になってしまう。これに対し、上述した態様の貨幣釣銭機1によれば、旧貨幣を識別した後にリジェクトし、リジェクトされた貨幣を収納ドロア等に収納させる旨の報知を行うことにより、誰でも旧貨幣を迅速に取り扱うことができるようになる。なお、通常の貨幣の在高と、旧貨幣の在高をそれぞれ分けて管理するようにしてもよい。また、在高カウントが増加したときにこの増加した在高カウントと旧貨幣の現物とを紐づけておいた場合には、旧貨幣のトレースを行うことができるようになる。
【0112】
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1では、店舗において釣銭が大量に必要な日(例えば、特売日や近所でイベントが行われる日)に備えて、売上金としての貨幣から釣銭としての貨幣に資金移動を行うことができるようになっていてもよい。このような資金移動は、実際の貨幣をある場所から別の場所に移動させるものではなく、貨幣釣銭機1や店舗のバックオフィス領域に設けられた貨幣処理機による貨幣の管理において電子的に行われるものである。
【0113】
具体的には、店舗において釣銭が大量に必要な日の前日の営業が終了した後、貨幣釣銭機1の締め処理が行われる際に、翌日の営業で釣銭として必要な貨幣を貨幣釣銭機1に残すとともに残りの貨幣を回収するような残置回収処理が行われる。ここで、このような締め処理が行われる際に、自動で売上金としての貨幣から釣銭としての貨幣に資金移動を行うことを前もって設定しておくことができる。このような資金移動を行うことが設定されている場合には、残置回収処理が行われる際に売上金としての貨幣から釣銭としての貨幣に資金移動が行われるため、貨幣釣銭機1に残される釣銭としての貨幣の量が多くなる。
【0114】
このような資金移動を行うことを前もって設定しておくことができない場合には、釣銭が大量に必要な日の当日の朝に釣銭としての貨幣を補充する必要があり、このような貨幣の補充を忘れてしまった場合には釣銭としての貨幣がすぐに不足してしまうという問題がある。これに対し、資金移動を行うことを前もって設定しておくことができる場合には、前日の貨幣釣銭機1の締め処理が行われる際に、貨幣釣銭機1に残される釣銭としての貨幣の量が多くなるよう残置回収処理を行うことができるため、このような問題が生じることを抑制することができる。また、資金移動の設定を前もって行っておくことにより、開店前や閉店後などの忙しい時間帯を避けることもできる。
【0115】
次に、資金移動の設定を行う方法について説明する。以下の説明では貨幣釣銭機1の操作表示部112により資金移動の設定を行う方法について述べるが、店舗のバックオフィス領域に設けられた貨幣処理機により資金移動の設定を行う場合も同様の方法で行われる。
【0116】
操作表示部112に表示される管理画面において、資金移動の設定を行うという項目を選択すると、資金移動金額の入力画面が操作表示部112に表示される。なお、この際に資金移動が行われる日付も設定することができるようになっていてもよい。そして、資金移動金額および日付を入力すると、資金移動の設定が行われる。
【0117】
また、資金移動の設定が行われている場合には、貨幣釣銭機1において締め処理が行われる際に、操作表示部112には売上金の金額、貨幣釣銭機1に残す釣銭としての貨幣の金額に加えて、資金移動金額が表示される。このことにより、締め処理を行う操作者は資金移動金額を確認することができるようになる。
【0118】
なお、店舗のバックオフィス領域に設けられた貨幣処理機により資金移動の設定を行う場合には、釣銭準備金としての貨幣を貨幣処理機から出金して貨幣釣銭機1に補充する際に、貨幣処理機が売上金の一部を釣銭準備金として出金するようにしてもよい。
【0119】
次に、本実施の形態の貨幣釣銭機1で用いられる、棒金硬貨を包装している包装紙や包装フィルム等の包装媒体を切断するための切断具190について
図22乃至
図24を用いて説明する。
図22は、切断具190の構成を示す斜視図であり、
図23は、
図22に示す切断具190の断面図である。また、
図24は、
図22等に示す切断具190の使用方法を示す説明図である。
【0120】
切断具190は、例えばウレタンスポンジ等の材料から構成されるベース部192と、切断カッター196と、切断カッター196の基端部に設けられた操作部194とを備えており、切断カッター196の先端により棒金硬貨を包装している包装フィルムや包装紙等の包装媒体が切断されるようになっている。
【0121】
具体的には、ベース部192は、様々なサイズの棒金硬貨を収容するような空間が内部に形成されるよう、断面が略C字形状となっており、ベース部192の内側には湾曲面が形成されている。ベース部192の空間に収容される様々なサイズの棒金硬貨を
図22乃至
図24において参照符号Wで示す。また、ベース部192には返し部分198が設けられている。このような返し部分198により、ベース部192の空間に収容された棒金硬貨がベース部192から落下しにくくなる。
【0122】
また、ベース部192には貫通穴が形成されており、切断カッター196はこの貫通穴を通るようになっている。また、切断カッター196の基端に設けられた操作部194は、ベース部192の外側に位置している。ここで、ベース部192に何ら力が加えられていない場合には、切断カッター196は、図示しないバネによって、ベース部192の内部に形成された空間から退避するような力が付勢される。このことにより、切断カッター196の先端は、ベース部192の内部に形成された空間に進出しない。一方、ベース部192を握った操作者が指で操作部194を押した場合には、切断カッター196の先端が、ベース部192の内部に形成された空間に進出する。このことにより、ベース部192の内部に形成された空間に収容された棒金硬貨を操作者が手で回転させると、棒金硬貨を包装している包装フィルムや包装紙等の包装媒体が、切断カッター196の先端により、
図22において点線で示すラインに沿って切断される。このことにより、操作者は、棒金収納装置180から棒金硬貨を取り出した後、棒金硬貨から容易に包装媒体を剥がしてバラ硬貨にし、このバラ硬貨を硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に投入することができるようになる。
【0123】
次に、操作者が切断具190を用いて棒金硬貨の包装媒体を切断する動作について
図24を用いて説明する。操作者は例えば左手で切断具190のベース部192を外側から掴み、右手でこのベース部192の内側に形成された空間に棒金硬貨を入れる。そして、ベース部192全体を手の平で包むように掴む。この時、人差し指と親指でベース部192を内側に押し曲げるとともに、人差し指の付け根等で操作部194を押すことにより、切断カッター196の先端を、ベース部192の内部に形成された空間に進出させる。また、操作者は右手で掴んでいる棒金硬貨を回転させる。このことにより、切断カッター196の先端により棒金硬貨の包装媒体が切断される。
【0124】
本実施の形態の切断具190によれば、どのようなサイズの棒金硬貨に対しても、シンプルな方法で誰でも容易に棒金硬貨の包装媒体を切断することができるようになる。
【0125】
また、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に
図25(a)(b)に示すような硬貨投入口のアタッチメント200を着脱自在に取り付けることができるようになっていてもよい。なお、
図25(a)(b)において硬貨を参照符号Cで示す。アタッチメント200には細長い硬貨投入スリット202が形成されており、この硬貨投入スリット202に硬貨を入れると当該硬貨は硬貨受入部114で受け入れられるようになる。また、アタッチメント200は上方から見て正方形形状となっており、アタッチメント200を硬貨受入部114に取り付ける際に、当該アタッチメント200を90°回転させた状態で硬貨受入部114に取り付けることができるようになっていてもよい。すなわち、
図25(a)に示すようにアタッチメント200の硬貨投入スリット202が横向きの状態でも、
図25(b)に示すようにアタッチメント200の硬貨投入スリット202が縦向きの状態でも、アタッチメント200を硬貨受入部114に取り付けることができるようになっている。このことにより、アタッチメント200の硬貨投入スリット202に硬貨を投入するときの硬貨の向きを縦向きおよび横向きの中から選択することができるため、操作性を向上させることができる。
【0126】
また、
図26に示すように、紙幣釣銭機10の紙幣受入口20aに入金台210を設け、この入金台210の裏側にLEDランプ212を設けてもよい。そして、紙幣払出口22aから外部に払い出された紙幣に向かってLEDランプ212により光が照射されるようになっていてもよい。このことにより、紙幣払出口22aから外部に払い出された紙幣が目立つようになり、払い出された紙幣の取り忘れを防止することができるため、操作性を向上させることができる。また、入金台210の裏面は奥側から手前側に向かって高くなるよう傾斜しており、この傾斜面にLEDランプ212が配置されていてもよい。このことにより、LEDランプ212によって紙幣釣銭機10の前方方向に光を照らすことができる。また、入金台210の上面にもLEDランプ214が配置されていてもよい。LEDランプ214が光ることにより、操作が不慣れな操作者に対して紙幣受入口20aの位置を認識させることができる。また、LEDランプ214は文字や絵等のピクトサインを光らせるようになっている。このことにより、紙幣受入口20aへの紙幣の入金位置を明示することができるため、操作性をより一層向上させることができる。またこの場合、LEDランプ212と、LEDランプ214を同一基板の表裏に設けるようにしてもよい。このようにすることで、部品点数を減らすことができ、紙幣釣銭機10のコストダウンを図ることができる。入金台210の内部にはLED基板(図示せず)が配置されており、当該LED基板によって各LEDランプ212、214により光を照射させることができるようになっている。
【0127】
また、紙幣釣銭機10において、光学センサ等から構成される残留検知センサ(図示せず)が紙幣受入口20aに設けられている場合に、以下のような残留検知動作が行われるようになっていてもよい。具体的には、貨幣釣銭機1の一取引中に残留検知センサが一度遮光した場合においてのみ以下に示すような残留検知動作を行うことにより、残留検知センサによる検知をすり抜ける領域を一部に有するような油券や破れ券も確実に筐体の内部に繰り出すことができるようになっている。より詳細には、紙幣受入口20aに複数の紙幣が積層状態で投入された場合に、1枚目の紙幣を繰出機構21により繰り出した後に残留検知センサによる検知が行わなければ繰出機構21による紙幣の繰出動作が停止してしまうが、紙幣受入口20aに油券や破れ券が残っている場合には残留検知センサによりこれらの紙幣が検知されずに紙幣受入口20aに残ってしまうおそれがある。一方、1枚目の紙幣を繰出機構21により繰り出した後にしばらく繰出機構21による紙幣の繰出動作を続けると、騒音が発生したり耐久面で問題が生じたりするおそれがある。これに対し、本実施の形態では、残留検知センサが一度遮光した場合のみ紙幣受入口20aに紙幣が存在するかもしれないと認識し、残留検知センサが透光していても以下に示すような残留検知動作を行うようにする。残留検知動作とは、まず繰出機構21による紙幣の繰出方向とは逆方向に紙幣を移動させることで紙幣の位置をずらし、次に残留検知センサにより紙幣受入口20aに紙幣が残留しているか否かを検知する動作のことをいう。このような残留検知動作では、光学センサ等から構成される残留検知センサによる検知をすり抜ける領域を一部に有するような油券や破れ券であっても、位置をずらすことにより検知することができるようになる。また、このような紙幣釣銭機10では、紙幣の繰出動作が行われるのは紙幣釣銭機10を起動した後や紙幣受入口20aに紙幣をセットした場合のみに限られるため、必要以上に紙幣釣銭機10が動作せず、紙幣受入部20に設けられた繰出機構21しか動作しないため、大きな騒音が発生することを抑制することができる。
【0128】
また、硬貨釣銭機100において、
図27に示すように硬貨払出部116の側方上方に異物排除穴220が形成されていてもよい。また、硬貨受入部114に投入された硬貨が硬貨釣銭機100内に繰り出される際に、この硬貨は
図28に示すガイド222により案内されることによって硬貨受入部114から繰り出されるが、硬貨受入部114に入った微小な異物(
図28において参照符号Dで表示)はガイド222により案内されずに異物排除穴220に送られ、この異物排除穴220から外部に排出されるようになっていてもよい。異物排除穴220から外部に排出された異物は硬貨払出部116近傍に払い出される。このような異物排除穴220を設けることにより、硬貨釣銭機100内に異物が蓄積されることを防止し、検知不良や動作不良が発生することを抑制することができる。
【0129】
また、硬貨釣銭機100において、硬貨の入金処理時に硬貨識別部101によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨がリジェクト口(図示せず)により筐体110の外部に投出されるようになっていてもよい。このリジェクト口にはLEDランプが設けられており、硬貨の入金動作が完了した後でリジェクト口に設けられたLEDランプを点灯させることにより、リジェクト硬貨の飛び出しや取りこぼしを防止することができるようになっていてもよい。具体的には、リジェクト口にはカバーが設けられており、このカバーはリジェクト口に搬送された硬貨を外部に排出させずにリジェクト口の内部に収める機能を果たしている。そして、リジェクト硬貨を抜き取るときにはカバーを押し開けてリジェクト口の内部に収められている硬貨を抜き取る。従来は、リジェクト硬貨が発生した時点でリジェクト口に設けられたLEDランプを点灯させることにおり、リジェクト口からのリジェクト硬貨の抜き取りを操作者に促していた。しかしながら、このような場合、カバーを押し開けているときに後続のリジェクト硬貨がリジェクト口に送られると、このリジェクト硬貨がリジェクト口から飛び出してしまうおそれがある。これに対し、本実施の形態では、リジェクト硬貨が発生した時点ではなく硬貨の入金動作が完了した後でリジェクト口に設けられたLEDランプを点灯させることにより、リジェクト口からのリジェクト硬貨の飛び出しや取りこぼしを防止することができる。
【0130】
また、
図29に示すように、硬貨釣銭機100において硬貨払出部116にはカバー230が設けられており、このカバー230はネジ232により着脱自在に筐体110に取り付けられるようになっていてもよい。この場合は、
図29に示すように子どもがいたずらで硬貨払出部116に手を入れてしまいこの子どもの手がカバー230の下端縁と硬貨払出部116との間に挟まって抜けなくなってしまったときに、係員による操作で筐体110をケーシング12から引き出した上でネジ232をドライバー等で回してカバー230を筐体110から取り外すことにより、子どもの手を硬貨払出部116から抜くことができるようになる。また、別の態様として、筐体110に対して回転自在に取り付けられたカバー230をロックするロック機構(図示せず)を設け、筐体110をケーシング12から引き出した際にロック機構によるカバー230のロックが外れることによりカバー230を手前側に回転させることができるようになっていてもよい。このように係員の操作によって筐体110をケーシング12から引き出した上でカバー230を外せるようにすることによって、故意にカバー230を外すいたずら等を抑制しつつ、異常時には迅速な対応をすることができるようになる。
【0131】
また、
図31に示すように、更なる変形例に係る硬貨釣銭機において、硬貨払出部240の上部側方にスロープ242を設けることにより、硬貨払出部240に硬貨が均等に集積されるようになっていてもよい。なお、
図31において硬貨を参照符号Cで示す。このようなスロープ242が設けられていない場合は、
図32に示すように各硬貨収納部244から繰り出された硬貨が硬貨払出部240に送られる際に硬貨払出部240の片側に硬貨が集積されてしまい、硬貨払出部240がフル状態となっていないにもかかわらず硬貨フルセンサ246により硬貨がフル状態であると検知されてしまうことによって、硬貨払出部240に多くの硬貨を払い出すことができないという問題があった。これに対し、硬貨払出部240の上部側方にスロープ242を設けた場合には、各硬貨収納部244から繰り出された硬貨が硬貨払出部240に送られる際に硬貨がスロープ242に当たることにより硬貨払出部240に送られる硬貨の挙動を変えることができるため、硬貨払出部240に均等に硬貨が集積されるようになり、硬貨払出部240の大きさを変えることなく多くの硬貨を硬貨払出部240に払い出すことができるようになる。
【0132】
また、本発明に係る紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法は、紙幣の処理を行うものに限定されない。本発明に係る紙葉類回収システム、紙葉類処理機および紙葉類処理方法として、商品券や小切手等の紙幣以外の紙葉類の処理を行うものが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 貨幣釣銭機
10 紙幣釣銭機
12 ケーシング
14 本体部
16 引き出しレール
20 紙幣受入部
20a 紙幣受入口
21 繰出機構
22 紙幣払出部
22a 紙幣払出口
22b ステージ
22c 繰出ベルト
22d アーム部材
22e 排出機構
23 駆動部
24 出金リジェクト部
26 紙幣収納カセット
27 貫通穴
28、29 検知部
29a 被検知板
29b 軸
29c 被検知部分
29d 光学センサ
30 搬送部
30a 周回搬送部
30b 接続搬送部
32 識別部
34、36、38 紙幣収納部
35、37、39 繰出機構
50 紙幣釣銭機制御部
51 インターフェース
60 紙幣回収具
62 ベース部
62a 軸支持部材
63 突起部材
63a 貫通穴
64 収容部
66 線ファスナー
67 留め具
68 リング
70 蓋部
71 突起部材
71a 貫通穴
72 軸
74 開口
75 係合部
76 磁石
80 紙幣回収具
82 ベース部
83 突起部材
83a 貫通穴
84 収容部
86 線ファスナー
87 留め具
88 リング
90 蓋部
91 突起部材
91a 貫通穴
92 爪部材
94 開口
96 凸部
100 硬貨釣銭機
101 硬貨識別部
103 入金搬送部
104 分岐部
106 硬貨収納部
108 出金搬送部
110 筐体
112 操作表示部
114 硬貨受入部
114a 繰出ベルト
114b 逆転ローラ
114c 残留検知用光源
114d 進入検知用光源
114e ジェスチャーセンサ
116 硬貨払出部
116a ジェスチャーセンサ
118 シャッタ
130 硬貨釣銭機制御部
131 インターフェース
180 棒金収納装置
190 切断具
192 ベース部
194 操作部
196 切断カッター
198 返し部分
200 アタッチメント
202 硬貨投入スリット
210 入金台
212、214 LEDランプ
220 異物排除穴
222 ガイド
230 カバー
232 ネジ
240 硬貨払出部
242 スロープ
244 硬貨収納部
246 硬貨フルセンサ
300 POSレジスタ
302 POS制御部