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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】改札システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240906BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240906BHJP
【FI】
G07B15/00 501
G06Q50/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020185650
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075088
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-07-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(74)【代理人】
【識別番号】100113712
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】末廣 和弥
(72)【発明者】
【氏名】岸根 大伍
(72)【発明者】
【氏名】天野 勝裕
(72)【発明者】
【氏名】原田 航太郎
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191172(JP,A)
【文献】特開2020-135081(JP,A)
【文献】特開2007-058446(JP,A)
【文献】特開2019-053611(JP,A)
【文献】特開2013-065185(JP,A)
【文献】特開2019-032812(JP,A)
【文献】特開2016-085744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入場駅又は出場駅を判定する改札システムであって、
一意のビーコンIDを近距離無線通信で発信するビーコンと、
旅客に携行され、前記ビーコンIDを受信する機能を有するモバイル端末と、
前記モバイル端末と通信回線で接続されるサーバとを備え、
前記ビーコンは、駅、又は駅及び車両に設置され、
前記ビーコンを設置する位置と、ビーコンからモバイル端末がビーコンIDを受信するレンジの設定により、前記モバイル端末が前記ビーコンIDを受信するビーコン検知エリアは、乗車又は下車をする旅客の動線上に設定され、
前記ビーコン検知エリアは、その全部又は一部に、鉄道を利用する人が通るエリアであることを示す表示を有し、
前記サーバは、前記ビーコンIDを発信するビーコンの設置箇所の情報を有し、
前記モバイル端末は、前記ビーコンから受信した電波強度から、そのビーコンからのレンジを判別し、前記ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID、及びそのモバイル端末を一意に識別する端末識別情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、モバイル端末から受信した前記端末識別情報及び前記ビーコンIDに基づいて、そのモバイル端末を携行する旅客の入場駅又は出場駅を判定し、前記モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した時、駅に入場したことをそのモバイル端末に報知させ、前記モバイル端末を携行する旅客の出場駅を判定した時、駅から出場したことをそのモバイル端末に報知させることを特徴とする改札システム。
【請求項2】
前記ビーコンは、ホームに入る通路が限定されている駅に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記通路に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から端末識別情報及び前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項3】
前記ビーコンは、ホームから出る通路が限定されている駅に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記通路に設定され、
前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から端末識別情報及び前記入場駅と異なる駅に設置された前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項4】
前記ビーコンは、駅に複数設置され、
前記各ビーコン検知エリアは、前記駅の入口からホームに向かう旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報、及び全ての前記ビーコンのビーコンIDを前記ホームに近づく順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項5】
前記ビーコンは、駅に複数設置され、
前記各ビーコン検知エリアは、前記駅のホームを出て出口に向かう旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定され、
前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記入場駅と異なる駅に設置された全ての前記ビーコンのビーコンIDを前記ホームから遠ざかる順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項6】
前記ビーコンは、駅に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から端末識別情報及び前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項7】
前記ビーコンは、駅に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上に設定され、
前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から端末識別情報及び前記入場駅と異なる駅に設置された前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項8】
前記ビーコンは、駅に複数設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、複数の前記ビーコンのビーコンIDを前記駅舎内、前記ホーム上の順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項9】
前記ビーコンは、駅に複数設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、複数の前記ビーコンのビーコンIDを前記ホーム上、前記駅舎内の順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項10】
前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上並びに前記車両の車内に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記駅舎内、前記ホーム上、前記車内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項11】
前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上並びに前記車両の車内に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記車内、前記ホーム上、前記駅舎内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項12】
前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上及び前記車両の車内に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記ホーム上、前記車内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項13】
前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、
前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上及び前記車両の車内に設定され、
前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記車内、前記ホーム上の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項14】
前記サーバは、駅間の運賃を計算するためのデータ及びプログラムを有し、判定した前記入場駅及び出場駅に基づいて、運賃を計算することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項15】
前記サーバは、電子決済サービスを提供する電子決済システムに接続され、
計算した前記運賃を前記電子決済システムで請求することを特徴とする請求項14に記載の改札システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道を利用する旅客の入場駅又は出場駅を判定する改札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大都市圏等の駅において、ICカードを用いる自動改札システムが導入されている(例えば、特許文献1参照)。そのようなICカード式自動改札システムは、自動改札機のリーダー(かざし部)がICカードから近距離無線通信でデータを読み取り、そのデータを処理して自動改札機のドア(ゲート)を開閉制御する。
【0003】
しかし、このようなICカードを用いるシステムは、ハード・ソフトともに高コストであるので、輸送人員が少ない線区には導入が難しい。
【0004】
ICカードではなく携帯電話機を用いる自動改札装置(自動改札機)が提案されている(特許文献2参照)。この自動改札装置は、携帯電話機との間で通信することによって、その自動改札装置が通過可能とされる(請求項1参照)。
【0005】
しかしながら、自動改札装置(自動改札機)は、高コストであるので、利用者が少ない駅には設置が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-293867号公報
【文献】特開2003-99826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決するものであり、旅客の入場駅又は出場駅を低コストに判定する改札システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の改札システムは、入場駅又は出場駅を判定するシステムであって、一意のビーコンIDを近距離無線通信で発信するビーコンと、旅客に携行され、前記ビーコンIDを受信する機能を有するモバイル端末と、前記モバイル端末と通信回線で接続されるサーバとを備え、前記モバイル端末が前記ビーコンIDを受信するビーコン検知エリアは、乗車又は下車をする旅客の動線上に設定され、前記サーバは、前記ビーコンIDを発信するビーコンの設置箇所の情報を有し、前記モバイル端末は、前記ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID、及びそのモバイル端末を一意に識別する端末識別情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、モバイル端末から受信した前記端末識別情報及び前記ビーコンIDに基づいて、そのモバイル端末を携行する旅客の入場駅又は出場駅を判定することを特徴とする。
【0009】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、ホームに入る通路が限定されている駅に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記通路に設定され、前記サーバは、モバイル端末から端末識別情報及び前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を入場駅と判定することが好ましい。
【0010】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、ホームから出る通路が限定されている駅に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記通路に設定され、前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から端末識別情報及び前記入場駅と異なる駅に設置された前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を出場駅と判定することが好ましい。
【0011】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に複数設置され、前記各ビーコン検知エリアは、前記駅の入口からホームに向かう旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報、及び全ての前記ビーコンのビーコンIDを前記ホームに近づく順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を入場駅と判定してもよい。
【0012】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に複数設置され、前記各ビーコン検知エリアは、前記駅のホームを出て出口に向かう旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定され、前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記入場駅と異なる駅に設置された全ての前記ビーコンのビーコンIDを前記ホームから遠ざかる順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を出場駅と判定してもよい。
【0013】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上に設定され、前記サーバは、モバイル端末から端末識別情報及び前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を入場駅と判定してもよい。
【0014】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上に設定され、前記サーバは、モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した後、同じモバイル端末から端末識別情報及び前記入場駅と異なる駅に設置された前記ビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコンが設けられた駅を出場駅と判定してもよい。
【0015】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に複数設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、複数の前記ビーコンのビーコンIDを前記駅舎内、前記ホーム上の順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を入場駅と判定してもよい。
【0016】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅に複数設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、複数の前記ビーコンのビーコンIDを前記ホーム上、前記駅舎内の順序で受信したとき、その複数のビーコンが設けられた駅を出場駅と判定してもよい。
【0017】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上並びに前記車両の車内に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記駅舎内、前記ホーム上、前記車内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を入場駅と判定してもよい。
【0018】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅の駅舎内及びホーム上並びに前記車両の車内に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記車内、前記ホーム上、前記駅舎内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を出場駅と判定してもよい。
【0019】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上及び前記車両の車内に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記ホーム上、前記車内の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を入場駅と判定してもよい。
【0020】
この改札システムにおいて、前記ビーコンは、駅及び車両に設置され、前記ビーコン検知エリアは、前記駅のホーム上及び前記車両の車内に設定され、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報及び、前記ビーコンのビーコンIDを前記車内、前記ホーム上の順序で受信したとき、前記ビーコンが設けられた駅を出場駅と判定してもよい。
【0021】
この改札システムにおいて、前記ビーコンが駅に少なくとも3つ設置され、前記ビーコン検知エリアは、ビーコンからの距離に応じた複数の距離範囲に区分され、前記モバイル端末は、受信した前記ビーコンIDの電波強度から前記距離範囲を判別し、そのビーコンID及び端末識別情報を前記サーバに送信する時、前記距離範囲をさらに前記サーバに送信し、前記サーバは、モバイル端末から同一の端末識別情報並びに複数の前記ビーコンのビーコンID及びその距離範囲を受信したとき、前記各ビーコンID及びその距離範囲から前記モバイル端末の移動軌跡を算出し、その移動軌跡のホームに対する移動方向に基づいて、前記ビーコンが設けられた駅を入場駅及び出場駅のいずれかと判定してもよい。
【0022】
この改札システムにおいて、前記ビーコン検知エリアは、鉄道を利用する人が通るエリアであることを示す表示を有することが好ましい。
【0023】
この改札システムにおいて、前記サーバは、前記モバイル端末を携行する旅客の入場駅を判定した時、駅に入場したことをそのモバイル端末に報知させることが好ましい。
【0024】
この改札システムにおいて、前記サーバは、前記モバイル端末を携行する旅客の出場駅を判定した時、駅から出場したことを前記モバイル端末に報知させることが好ましい。
【0025】
この改札システムにおいて、駅間の運賃を計算するためのデータ及びプログラムを有し、判定した前記入場駅及び出場駅に基づいて、運賃を計算することが好ましい。
【0026】
この改札システムにおいて、前記サーバは、電子決済サービスを提供する電子決済システムに接続され、計算した前記運賃を前記電子決済システムで請求することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の改札システムによれば、モバイル端末は、ビーコンIDを受信する機能を有し、ビーコンIDを受信するビーコン検知エリアは、乗車又は下車をする旅客の動線上に設定されるので、サーバは、モバイル端末から受信した端末識別情報及びビーコンIDに基づいて、そのモバイル端末を携行する旅客の入場駅又は出場駅を判定することができる。この改札システム1は、自動改札機やICカードが不要であるので、低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る改札システムが導入された駅のイメージ図。
図2】同改札システムのブロック構成図。
図3】第1の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図4】第1の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図5】本発明の実施形態に係る同改札システムにおけるモバイル端末の画面表示例を示す図。
図6】第2の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図7】第2の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図8】第3の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図9】第3の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図10】第4の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図11】第4の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図12】第5の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図13】第5の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図14】第6の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図15】第6の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
図16】第7の実施形態に係る改札システムにおけるビーコン検知エリアを説明するための平面図。
図17】第7の実施形態に係る改札システムの動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る改札システムを図1乃至図5を参照して説明する。図1に示すように、この改札システムは、入場駅又は出場駅を判定するシステムである。図2に示すように、改札システム1は、ビーコン2と、モバイル端末3と、サーバ4とを備える。ビーコン2は、一意のビーコンIDを近距離無線通信で発信する発信機である。ビーコン2は、駅又は車両に設置される。モバイル端末3は、旅客に携行され、ビーコンIDを受信する機能を有する。サーバ4は、モバイル端末3と通信回線5で接続される。モバイル端末3がビーコンIDを受信するビーコン検知エリア21は、乗車又は下車をする旅客の動線上に設定される(図1参照)。サーバ4は、ビーコンIDを発信するビーコン2の設置箇所の情報を有する(図2参照)。サーバ4は、電子決済システム6に接続される。
【0030】
駅への自動改札機の設置は、改札システム1を導入するための要件とされていない。ビーコン2は、自らの存在を近くにあるデバイスに通知し、特定のアクションを引き起こすために使用することができる省電力型の発信端末である。近距離無線通信とは、短い距離でのデバイス間の通信を可能にする無線通信技術である(例えば、日本産業規格 JIS Y 20252:2019参照)。本実施形態では、ビーコン2に用いられる近距離無線通信の規格は、IEEE802.15.1(Bluetooth(登録商標) Low Energy)である。ビーコンIDは、各ビーコン2に固有の識別コードであり、複数のビーコン2は、互いに異なるビーコンIDを発信する。
【0031】
近距離無線通信の規格(Bluetooth(登録商標) Low Energy)によれば、ビーコンIDを受信するデバイス(モバイル端末3)は、ビーコン2から受信した電波強度から、ビーコン2からのレンジ(距離範囲)を判別する。レンジは、例えば、「Immediate(近接)」、「Near(近い)」、「Far(遠い)」の3つに区分される。レンジをより細かく区分することも可能である。ビーコンIDを所定のレンジで有効にすれば、モバイル端末3がビーコンIDを受信するレンジ、すなわちビーコン2がビーコンIDを発信するレンジを設定することになる。ビーコン2を設置する位置と、レンジの設定により、ビーコン2のビーコン検知エリア21が設定される。
【0032】
モバイル端末3は、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ等であり、ユーザ(旅客)に携行されるのでユーザデバイスとも呼ばれる。なお、日本産業規格(JIS)によれば、モバイル端末とは、携帯電話、PDAなどの電子機器で、通信ネットワークを通じて音声又はデータ通信に使用するものである(JIS X 0500:2020参照)。
【0033】
本実施形態では、モバイル端末3は、ハードウェア及びOS(オペレーティングシステム)のレベルで、ビーコンIDを受信する機能が実装されている。モバイル端末3は、改札システム1用のアプリ(アプリケーションプログラム)がインストールされることにより、ビーコンIDを受信した時の動作を実現する。
【0034】
ビーコン2が発信するビーコンIDは、改札システム1の識別子を含む。改札システム1用のアプリは、その識別子と同じ識別子が登録されている。これにより、改札システム1用のアプリは、改札システム1のビーコン2が発信するビーコンIDに反応する。
【0035】
サーバ4は、コンピュータである。モバイル端末3とサーバ4とが接続される通信回線5は、例えば携帯電話通信網である。通信回線5は、無線LAN及びその無線LANが接続されたインターネットであってもよい。
【0036】
上記のように構成された改札システム1において、モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID、及びそのモバイル端末3を一意に識別する端末識別情報をサーバ4に送信する。そして、サーバ4は、モバイル端末3から受信した端末識別情報及びビーコンIDに基づいて、そのモバイル端末3を携行する旅客の入場駅又は出場駅を判定する。
【0037】
サーバ4は、駅間の運賃を計算するためのデータ及びプログラムを有する。サーバ4は、判定した入場駅及び出場駅に基づいて、運賃を計算する。駅間の運賃を計算するためのデータ及びプログラムは、従来の自動改札システムのものと同じでよい。
【0038】
サーバ4は、電子決済を提供する電子決済システム6に接続される。
【0039】
電子決済システム6は、電子決済サービスを提供するシステムである。電子決済とは、電子的なデータの送受信によって決済を処理する方式であり、現金(キャッシュ)の直接的な受け渡しを行わないのでキャッシュレス決済とも呼ばれる。
【0040】
一般的には、キャッシュレス決済には、クレジットカード、プリペイドカード等のカードを用いるカード決済や、スマートフォン(モバイル端末)を用いるスマホ決済等がある。スマホ決済には、2次元コード(QRコード(登録商標))/バーコード決済と、非接触決済がある。2次元コード/バーコード決済では、消費者が自分のスマートフォンに表示した2次元コード等を店側が読み取ったり、逆に店側の2次元コード等を自分のスマートフォンで読み取ったりして支払いを行う。非接触決済では、2次元コード等の表示と読み取りの代わりに、近距離無線通信でデータを送受信する。
【0041】
改札システム1では、運賃の決済に2次元コード/バーコードやカードは不要である。改札システム1では、ビーコン2は、近距離無線通信でビーコンIDを発信するが、モバイル端末3は、データをビーコン2には送信しない。
【0042】
改札システム1の利用者は、予め、改札システム1用のアプリをモバイル端末3にインストールし、運賃を支払う電子決済サービスを選択する。このため、サーバ4には、そのアプリがインストールされた各モバイル端末3について、運賃請求先の電子決済サービスが登録されている。
【0043】
第1の実施形態におけるビーコン検知エリア21について詳述する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態では、ビーコン2は、ホーム71(プラットホーム)に入る通路72が限定されている駅7に設置される。この駅7では、駅舎内73とホーム71が壁又は柵74等で分かれているので、車両8に乗車する旅客の動線は、必ず通路72を経る。ビーコン検知エリア21は、通路72に設定される。これにより、ビーコン検知エリア21は、乗車をする旅客の動線上に設定される。
【0045】
同様に、ビーコン2は、ホーム71から出る通路72が限定されている駅7に設置される。この駅7では、駅舎内73とホーム71が壁又は柵74等で分かれているので、車両8から下車をする旅客の動線は、必ず通路72を経る。ビーコン検知エリア21は、通路72に設定される。これにより、ビーコン検知エリア21は、下車をする旅客の動線上に設定される。なお、駅7において、ホーム71から出る通路72は、ホーム71に入る通路72と同じでも、異なっていても構わない。
【0046】
図3に示す例では、ビーコン2が、通路72の中央付近に支持脚等により設置され、ビーコン2からのレンジが、同心円で図示するImmediate、Near、Farのうち、Immediateに設定されることにより、ビーコン検知エリア21が通路72に設定される。通路72を通る人が携行するモバイル端末3は、ビーコン検知エリア21を通る。入場又は出場する人は通路72を通るので、通路72を通ることが、鉄道を利用する意思表示をすることになる。なお、鉄道を利用する旅客は、鉄道会社と旅客運送契約を締結すると解されるので、鉄道を利用する意思表示とは、旅客運送契約を締結する旅客の意思表示のことである。
【0047】
ビーコン検知エリア21は、その全部又は一部に、鉄道を利用する人が通るエリアであることを示す表示を有してもよい(以下の実施形態でも同様)。そのような表示は、例えば、範囲を示す床面の塗色又はゼブラ等の模様及びその範囲の意味を説明する文字又はピクトグラム等(視覚表示)、並びに自動音声案内等(音声表示)である。これにより、鉄道を利用する人は、その表示があるところを通ることにより、鉄道を利用する意思表示をいっそう明確にすることができる。
【0048】
第1の実施形態における改札システム1の動作について詳述する。
【0049】
図4に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する(入場判定)。
【0050】
サーバ4は、モバイル端末3を携行する旅客の入場駅を判定した時、駅7に入場したことをそのモバイル端末3に通知する。その通知を受けたモバイル端末3は、図5に示すように、アプリで入場駅を画面31に表示することにより、駅7に入場したことを報知する。モバイル端末3の画面31の入場駅の表示は、車内検札や降車時の検札の際にも用いられる。モバイル端末3は、入場駅の表示に加えて、駅7に入場したことを知らせる音声を発生してもよい。このように、サーバ4は、モバイル端末3を携行する旅客の入場駅を判定した時、駅7に入場したことをそのモバイル端末3に報知させる。
【0051】
サーバ4がモバイル端末3を携行する旅客の入場駅を判定した後、モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する(図4参照)。列車とは、駅間を運転される車両である。モバイル端末3は、出場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、同じモバイル端末3から端末識別情報、及び入場駅と異なる駅7に設置されたビーコン2のビーコンIDを受信したとき、そのビーコン2が設けられた駅7を出場駅と判定する(出場判定)。
【0052】
サーバ4は、モバイル端末3を携行する旅客の出場駅を判定した時、駅7から出場したことをモバイル端末3に通知する。その通知を受けたモバイル端末3は、駅7から出場したことを知らせる音声を発生することにより、駅7から出場したことを報知する。モバイル端末3は、その音声の発生に加えて、アプリで出場駅を画面31に表示してもよい。このように、サーバ4は、モバイル端末3を携行する旅客の出場駅を判定した時、駅7から出場したことをそのモバイル端末3に報知させる。
【0053】
サーバ4は、判定した入場駅及び出場駅に基づいて、運賃を計算する(以下の実施形態においても同様)。
【0054】
サーバ4は、運賃を請求するための運賃請求情報を、電子決済サービスを提供する電子決済システム6に送信する。すなわち、サーバ4は、計算した運賃を電子決済システム6で請求する(以下の実施形態においても同様)。
【0055】
以上、本実施形態に係る改札システム1によれば、モバイル端末3は、ビーコンIDを受信する機能を有し、ビーコンIDを受信するビーコン検知エリア21は、乗車又は下車をする旅客の動線上に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から受信した端末識別情報及びビーコンIDに基づいて、そのモバイル端末3を携行する旅客の入場駅又は出場駅を判定することができる。この改札システム1は、自動改札機やICカードが不要であるので、低コストである。
【0056】
第1の実施形態では、ビーコン2は、ホーム71への通路72が限定されている駅7に設置され、ビーコン検知エリア21は、その通路72に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコン2のビーコンIDを受信することにより、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客が通路72を通ることが、鉄道を利用する意思表示となる。
【0057】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る改札システム1を図2図6及び図7を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図6参照)と、それに対応して一部の動作(図7参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0058】
図6に示すように、本実施形態は、ホーム71への動線が限られている駅7に用いられる。この駅7では、駅舎内73に売店75、トイレ76等があり、ホーム71への動線が限られている。ビーコン2は、駅7に複数設置される。各ビーコン検知エリア21は、駅7の入口からホーム71に向かう旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定される。
【0059】
同様に、各ビーコン検知エリア21は、駅7のホーム71を出て出口に向かう旅客の動線上の異なる範囲に設定される。なお、駅7の出口は、駅7の入口と同じでも、異なっていても構わない。
【0060】
図7に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の識別情報及び、全てのビーコン2のビーコンIDをホーム71に近づく順序で受信したとき、その複数のビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する。
【0061】
モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する。モバイル端末3は、出場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の識別情報及び、全てのビーコン2のビーコンIDをホーム71から遠ざかる順序で受信したとき、その複数のビーコン2が設けられた駅7を出場駅と判定する。
【0062】
以上、第2の実施形態に係る改札システム1では、複数のビーコン検知エリア21は、駅の入口又は出口とホーム71との間の旅客の動線上の互いに異なる範囲に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコンIDを受信することにより、その受信する順序に応じて、それらビーコンが設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客がホーム71に向かうことが、鉄道を利用する意思表示となる。
【0063】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る改札システム1を図2図8及び図9を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図8参照)と、それに対応して一部の動作(図9参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0064】
図8に示すように、ビーコン2は、駅7に設置される。ビーコン検知エリア21は、ホーム71上に設定される。ホーム71は、レール方向に細長いので、図8に示す例では、車両8のドアの位置に対応して、2つのビーコン検知エリア21がホーム上に設定されている。ビーコン検知エリア21は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0065】
図9に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコンのビーコンIDを受信したとき、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する。
【0066】
サーバ4がモバイル端末3を携行する旅客の入場駅を判定した後、モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する。モバイル端末3は、出場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、同じモバイル端末3から端末識別情報及び入場駅と異なる駅7に設置されたビーコン2のビーコンIDを受信したとき、そのビーコン2が設けられた駅7を出場駅と判定する。
【0067】
第3の実施形態に係る改札システム1では、ビーコン検知エリア21は、ホーム71上に設定されるので、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコン2のビーコンIDを受信することにより、サーバ4は、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客がホーム71上に立ち入ることが、鉄道を利用する意思表示となる。
【0068】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る改札システム1を図2図10及び図11を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図10参照)と、それに対応して一部の動作(図11参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0069】
図10に示すように、本実施形態は、例えば、駅舎内73のどこからでもホーム71に行ける駅7に用いられる。ビーコン2は、駅7に複数設置される。ビーコン検知エリア21は、駅7の駅舎内73及びホーム71上に設定される。
【0070】
図11に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、複数のビーコン2のビーコンIDを駅舎内73、ホーム71上の順序で受信したとき、その複数のビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する。
【0071】
モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する。モバイル端末3は、出場駅のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、複数のビーコン2のビーコンIDをホーム71上、駅舎内73の順序で受信したとき、その複数のビーコン2が設けられた駅7を出場駅と判定する。
【0072】
第4の実施形態に係る改札システム1では、ビーコン検知エリア21は、ホーム71上及び駅舎内73に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコン2のビーコンIDを受信することにより、その受信する順序に応じて、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客がホーム71上に立ち入ることが、鉄道を利用する意思表示となる。
【0073】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る改札システム1を図2図12及び図13を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図12参照)と、それに対応して一部の動作(図13参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0074】
図12に示すように、本実施形態は、例えば、駅舎内73のどこからでもホーム71に行ける駅7に用いられる。ビーコン2は、駅7及び車両8に設置される。ビーコン検知エリア21は、駅7の駅舎内73及びホーム71上並びに車両8の車内81に設定される。
【0075】
図13に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅及び車内81のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。前記サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、ビーコン2のビーコンIDを駅舎内73、ホーム71上、車内81の順序で受信したとき、ビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する。
【0076】
モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する。モバイル端末3は、ビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、ビーコン2のビーコンIDを車内81、ホーム71上、駅舎内73の順序で受信したとき、ビーコン2が設けられた駅7を出場駅と判定する。なお、モバイル端末3を携行する旅客が車内81で乗車時から下車時まで同じビーコン検知エリア21に居る場合、乗車時に端末識別情報及び車内のビーコン2のビーコンIDをサーバ4に送信済みであるので、下車時に、端末識別情報及びその同じビーコンIDは送信しなくてよい(図13において矢印を破線で図示)。
【0077】
第5の実施形態に係る改札システム1では、ビーコン検知エリア21は、ホーム71上、駅舎内73及び車内81に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコン2のビーコンIDを受信することにより、その受信する順序に応じて、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客が列車に乗車したことが分かるので、鉄道を利用する意思表示がいっそう明確に確認される。
【0078】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る改札システム1を図2図14及び図15を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図14参照)と、それに対応して一部の動作(図15参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0079】
図14に示すように、本実施形態は、例えば、駅舎が無い駅7に用いられる。ビーコン2は、駅7及び車両8に設置される。ビーコン検知エリア21は、駅7のホーム71上及び車両8の車内81に設定される。
【0080】
図15に示すように、ビーコン2は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、入場駅及び車内81のビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、ビーコン2のビーコンIDをホーム71上、車内81の順序で受信したとき、ビーコン2が設けられた駅7を入場駅と判定する。
【0081】
モバイル端末3を携行する旅客は、列車で別の駅7に移動する。モバイル端末3は、ビーコン検知エリア21でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、ビーコンIDを受信した時、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報及び、ビーコン2のビーコンIDを車内81、ホーム71上の順序で受信したとき、ビーコン2が設けられた駅を出場駅と判定する。なお、モバイル端末3を携行する旅客が車内81で乗車時から下車時まで同じビーコン検知エリア21に居る場合、乗車時に端末識別情報及び車内のビーコン2のビーコンIDをサーバ4に送信済みであるので、下車時に、端末識別情報及びその同じビーコンIDは送信しなくてよい(図15において矢印を破線で図示)。
【0082】
第6の実施形態に係る改札システム1では、ビーコン検知エリア21は、ホーム71上及び車内81に設定されるので、サーバ4は、モバイル端末3から端末識別情報及びビーコン2のビーコンIDを受信することにより、その受信する順序に応じて、そのビーコン2が設けられた駅7を入場駅又は出場駅と判定することができる。本実施形態では、旅客が列車に乗車したことが分かるので、鉄道を利用する意思表示がいっそう明確に確認される。
【0083】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る改札システム1を図2図16及び図17を参照して説明する。本実施形態の改札システム1は、第1の実施形態と同様の構成を有し(図2参照)、ビーコン検知エリア21(図16参照)と、それに対応して一部の動作(図17参照)が異なる。本実施形態において、第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。以下の説明において、第1の実施形態と同等の箇所の詳細な説明は省略する。
【0084】
図16に示すように、ビーコン2が駅7に少なくとも3つ設置される。ビーコン検知エリア21は、ビーコン2からの距離に応じた複数の距離範囲(レンジ)に区分される。図16に示す例では、3つのビーコン2a、2b、2cが駅7に設置されている。ビーコン2aのビーコン検知エリア21aは、ビーコン2aからの距離に応じた複数の距離範囲21a1、21a2、21a3、21a4に区分されている。同様に、ビーコン2bのビーコン検知エリア21bは、ビーコン2bからの距離に応じた複数の距離範囲21b1、21b2、21b3、21b4に区分されている。ビーコン2cのビーコン検知エリア21cは、ビーコン2cからの距離に応じた複数の距離範囲21c1、21c2、21c3、21c4に区分されている。なお、ビーコン2は、4つ以上設置されてもよい。また、各ビーコン2の検知エリア21は、3つ又は5つ以上に区分されてもよい。
【0085】
図17に示すように、ビーコン2(2a、2b、2c)は、ビーコンIDを発信する。モバイル端末3は、ビーコン検知エリア21(21a、21b、21c)でビーコンIDを受信する。モバイル端末3は、受信したビーコンIDの電波強度から距離範囲を判別し、そのビーコンID及び端末識別情報をサーバ4に送信する時、その距離範囲をさらにサーバ4に送信する。サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報並びに複数のビーコン2a、2b、2cのビーコンID及びその距離範囲を受信したとき、各ビーコンID及びその距離範囲から、三点測位によりモバイル端末3の移動軌跡32を算出する。そして、サーバ4は、その移動軌跡32のホーム71に対する移動方向に基づいて、ビーコン2a、2b、2cが設けられた駅7を入場駅及び出場駅のいずれかと判定する。モバイル端末3の移動軌跡32がホーム71に近づく移動方向を有すれば、駅7は、入場駅である。モバイル端末3の移動軌跡32がホーム71から遠ざかる移動方向を有すれば、駅7は、出場駅である。
【0086】
例えば、移動軌跡32上の地点P1では、ビーコン2aの距離範囲は21a4外(受信んせず)、ビーコン2bの距離範囲は21b2、ビーコン2cの距離範囲は21c4であり、地点P1はビーコン2bに近く、ホーム71から遠い。地点P2では、ビーコン2aの距離範囲は21a2、ビーコン2bの距離範囲は21b4、ビーコン2cの距離範囲は、21c3であり、地点P2はビーコン2aに近く、ホーム71に近い。したがって、モバイル端末3が地点P1から地点P2に向かう移動軌跡32は、ホーム71に近づく移動方向である。逆に、モバイル端末3が地点P2から地点P1に向かう移動軌跡32は、ホーム71から遠ざかる移動方向である。
【0087】
第7の実施形態に係る改札システム1では、サーバ4は、モバイル端末3から同一の端末識別情報並びに複数のビーコン2のビーコンID及びその距離範囲を受信したとき、各ビーコンID及びその距離範囲からモバイル端末3の移動軌跡32を算出するので、移動軌跡32がホーム71に近づく移動方向か、ホーム71から遠ざかる移動方向かが分かり、ビーコン2が設けられた駅7が入場駅及び出場駅のいずれかを判定することができる。本実施形態では、旅客のホーム71に対する移動が、鉄道を利用する意思表示となる。
【0088】
改札システム1において、入場駅と出場駅は、第1から第7の実施形態から選択される異なる実施形態の駅7であってもよい。
【0089】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、入場駅と出場駅の一方が、従来のICカード式自動改札システムの自動改札機が設けられた駅であってもよい。その場合、自動改札機に、本発明の第1の実施形態のビーコン2を設置してもよい。また、例えば、モバイル端末3とICカードとを紐づける情報を予めサーバ4に登録しておき、自動改札機が無い駅では、改札システム1で入場駅又は出場駅を判定し、その判定した情報をICカード式自動改札システムに提供してもよい。また、ICカードの機能をモバイル端末3に取り込むことにより、モバイル端末3を改札システム1とICカード式自動改札システムの両方に対応させてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 改札システム
2 ビーコン
21 ビーコン検知エリア
3 モバイル端末
4 サーバ
5 通信回線
6 電子決済システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17