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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】抗菌ぺプチドの遺伝子操作
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/18 20060101AFI20240906BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240906BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240906BHJP
   C40B 40/08 20060101ALI20240906BHJP
   C40B 30/06 20060101ALI20240906BHJP
   C40B 60/02 20060101ALI20240906BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240906BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240906BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
C12Q1/18
C12N15/31
C07K14/195
C40B40/08 ZNA
C40B30/06
C40B60/02
C12M1/00 A
C12M1/34 A
C12N1/20 Z
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020567524
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019035666
(87)【国際公開番号】W WO2019236761
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】62/681,529
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520067943
【氏名又は名称】シングロン エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ガバント,フィリップ
【審査官】團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/031399(WO,A1)
【文献】特開2004-248666(JP,A)
【文献】Synthetic Biology,2018年06月06日,Vol. 3,DOI: 10.1093/synbio/ysy004
【文献】Bacteriocin Production and Screening Using Cell-Free Protein Synthesis | AIChE [online],2016年,[retrieved on 2023-06-02],Retrieved from the Internet,URL: https://www.aiche.org/sbe/conferences/synthetic-biology-engineering-evolution-design-seed/2016/proceeding/paper/bacteriocin-production-and-screening-using-cell-free-protein-synthesis
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C12N 15/00-15/90
C12Q
C07K
DB等 CAplus/MEDLINE/EMBASE/
BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌ぺプチドを産生する方法であって、
(1)複数の候補抗菌ペプチドをコードする核酸の初期ライブラリーを提供することと、
(2)前記ライブラリーの核酸でコードされた前記複数の候補抗菌ペプチドのそれぞれについて、マイクロ流体装置で、
(a)前記ライブラリー由来の前記候補抗菌ぺプチドをコードする第一核酸を無細胞翻訳溶液中で翻訳し、それにより前記翻訳溶液が、前記候補抗菌ぺプチドを含むこと;
(b)前記候補抗菌ぺプチド及び微生物体を微小液滴中の溶液環境中で複合させること;
(c)前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体及び前記候補抗菌ぺプチドを、工業プロセス、医薬品製造プロセス、又は哺乳動物微生物叢の条件を含む選択培養条件下で培養すること;
(d)前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落のレベルを検出すること;及び
(e)前記選択培養条件下での前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の検出時、前記第一核酸を選択することと、
(3)前記ライブラリーから(e)で選択された前記第一核酸のそれぞれの配列を取得し、前記第一核酸の前記配列を、前記検出された前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害に対してインデックス化することと、
(4)前記ライブラリーから、前記選択培養条件下で前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の欠落が検出された他の核酸のそれぞれの配列を取得し、前記他の核酸のそれぞれの前記配列を、前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の前記欠落に対してインデックス化することと、
(5)前記選択された第一核酸のそれぞれのインデックス化された配列と前記他の核酸のそれぞれのインデックス化された配列に基づいて、前記選択された第一核酸のそれぞれに一又は複数の変異を導入し、第二核酸の第二ライブラリーを産生することであって、前記第二核酸のそれぞれが、前記候補抗菌ぺプチドのバリアントをコードすることと、
(6)(5)で産生された前記第二ライブラリーの前記第二核酸のそれぞれを(2)(a)の前記第一核酸として用いて、(2)を繰り返すことと、
を含み、
前記選択培養条件下での前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成されるまで(2)~(5)を繰り返し、所望の抗菌ペプチドを産生する、
方法。
【請求項2】
(A)前記候補抗菌ぺプチドの前記バリアントと接触したときの前記微生物体の成長及び/又は繁殖レベル(B)参照抗菌ペプチドと接触したときの前記微生物体の成長及び/又は繁殖のレベルと、を比較することを含み、これにより、前記微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成されていることを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物体の成長又は繁殖の阻害と相関付けられた前記候補抗菌ペプチドにおける、アミノ酸のクラス、位置又は位置の範囲、及び/又は構造ドメイン又はモチーフの同定に基づいて、前記一又は複数の変異を選択することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された第一核酸のそれぞれの前記インデックス化された配列と前記他の核酸のそれぞれの前記インデックス化された配列とに基づいて前記選択された第一核酸のそれぞれに前記一又は複数の変異を導入することが、前記選択された第一核酸のそれぞれの前記インデックス化された配列と前記他の核酸のそれぞれの前記インデックス化された配列とに基づいて前記一又は複数の変異を選択するために機械学習を用いることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記機械学習が、自動機械学習を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)(e)の後に、前記候補抗菌ぺプチドによる、前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の前記阻害を確認することをさらに含み、前記確認が、前記第一核酸又はそのコピーについて(a)~(d)を繰り返すことを含み、(d)の繰り返しにおいて、前記微小液滴溶液環境中の微生物体の量が前記選択培養条件下での前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す場合、成長及び/又は繁殖の前記阻害を確認する、
(ii)前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落の前記検出が、前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体を定量することを含み、経時的な前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の量の減少が、前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す、
(iii)前記選択培養条件下での前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の前記所定レベルの阻害が、参照天然存在又は遺伝子操作抗菌ぺプチドのものよりも大きいレベルの阻害である、
(iv)(I)前記候補抗菌ぺプチドのバリアントと、(II)当該方法のより早期の反復の前記候補抗菌ぺプチドと、のそれぞれが、効力を有し、前記候補抗菌ぺプチドのバリアントの効力が、前記のより早期の反復の前記候補抗菌ぺプチドの効力よりも大きい、及び/又は
(v)前記所望の抗菌ぺプチドが、複数の培養条件にわたり、及び/又は複数の微生物体株及び/又は種に対して、当該方法のより早期の反復の前記候補抗菌ぺプチドよりも大きい効力を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(2)の(b)の繰り返しが、前記翻訳溶液を(b)の事前反復のものと異なる株又は種の微生物体と複合させることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(2)の(b)の繰り返しが、前記翻訳溶液を(b)の事前反復と同一の種又は株の微生物体と複合させることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(2)の(c)の繰り返しが、前記微生物体を(c)の事前反復と異なる培養環境中で培養することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(2)の(c)の繰り返しが、前記微生物体を(c)の事前反復と同一の培養環境中で培養することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記第一核酸及び前記第二核酸が、DNAを含み、前記第一核酸を転写させることをさらに含む、
(ii)前記翻訳溶液が、転写溶液をさらに含み、それにより前記翻訳溶液が、前記第一核酸の転写及び翻訳のために構成されている、
(iii)前記翻訳溶液が、翻訳試薬を含み、前記翻訳試薬が任意でリボソームである、
(iv)前記翻訳溶液が、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む、
(v)(A)前記翻訳溶液が、1つのみの候補抗菌ぺプチドを含む、又は(B)前記候補核酸が2以上の異なる候補抗菌ぺプチドをコードし、それにより、前記微小液滴溶液環境が、2以上の候補抗菌ぺプチドを含み、第二核酸のそれぞれが、前記2以上の候補抗菌ぺプチドの少なくとも一つのバリアントをコードし、それにより、2以上の抗菌ぺプチドが同時に産生され、前記選択培養条件下で前記微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害する、のいずれか、
(vi)前記候補抗菌ぺプチドが、キメラタンパク質を含む、及び/又は
(vii)前記微小液滴溶液環境が、2つ以上の種の微生物体を含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記翻訳溶液が、基材をさらに含み、前記第一核酸のそれぞれが、前記基材に固定化されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(i)縮重ポリメラーゼにより前記選択された第一核酸のそれぞれを増幅させること;縮重プライマーの存在下で前記選択された第一核酸のそれぞれを増幅させること;縮重ヌクレオチドの存在下で前記選択された第一核酸のそれぞれを増幅させること;及び前記選択された第一核酸のそれぞれに対する突然変異誘発反応を起こし、前記第二核酸の前記第二ライブラリーを生成すること、の1つ以上を実施すること、及び/又は
(iv)前記翻訳溶液及び/又は前記微小液滴溶液環境を、マイクロリットル体積で用意すること、
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗菌ぺプチドを産生するためのマイクロ流体系であって、
候補抗菌ペプチドをコードする第一核酸のインビトロ転写を実施するように構成されている転写ステーションであって、無細胞転写試薬を含む、転写ステーションと、
前記転写ステーションと流体連結されている翻訳ステーションであって、前記転写ステーションからのインビトロ転写物のインビトロ翻訳を実施するように構成されており、無細胞翻訳試薬を含む、翻訳ステーションと、
前記翻訳ステーションと流体連結されており、微生物体を、前記微生物体及び前記候補抗菌ぺプチドを含む微小液滴中の溶液環境中で、工業プロセス、医薬品製造プロセス、又は哺乳動物微生物叢の条件を含む選択培養条件下で培養するように構成されている培養ステーションと、
前記培養ステーションと流体連結されており、前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出するように構成されている検出器と、
前記候補抗菌ぺプチドのバリアントをコードする第二核酸を産生するように構成されているバリアントステーションと、
を含み、
前記バリアントステーションが、(a)前記転写ステーションと流体連結されており、かつ、(b)前記検出器とデータ連結されており、
前記バリアントステーションが、前記第一核酸から配列情報を得るように構成されているシーケンシングモジュールをさらに含み、
プロセッサが、前記配列情報を、前記微生物体についての成長及び/又は繁殖の阻害又はその欠落の前記検出に対してインデックス化するように構成されている、
マイクロ流体系。
【請求項15】
前記プロセッサが、機械学習により、前記インデックス化情報に基づき前記第二核酸の配列を選択するように構成されている、請求項14に記載のマイクロ流体系。
【請求項16】
(a)前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の検出されたレベル、
(b)前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害のレベルにインデックス化された配列情報、及び/又は
(c)前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の検出されたレベルと関連付けられた構造ドメイン又は構造モチーフ
の少なくとも一つに基づいて、プロセッサが前記第一核酸の配列に導入するための一又は複数の変異を選択するよう構成されている、
請求項14又は15に記載のマイクロ流体系。
【請求項17】
前記構造ドメインが、抗菌ペプチド及び/又はバクテリオシンと関連するカノニカルドメインを含む、請求項16に記載のマイクロ流体系。
【請求項18】
前記構造モチーフが、クラスIIaバクテリオシンのN末端と関連するモチーフYGXGVモチーフを含む、請求項16又は17に記載のマイクロ流体系。
【請求項19】
(i)前記バリアントステーションが、前記検出器が前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を検出する場合にのみ、前記第二核酸を産生する、
(ii)前記バリアントステーションが、縮重ポリメラーゼを含む、
(iii)前記転写ステーション、前記翻訳ステーション、前記培養ステーション、及び/又は前記バリアントステーションの2つ以上が、互いに離隔されている別々のチャンバー内に含まれる、及び/又は
(iv)前記転写ステーション及び前記翻訳ステーションが、同一のステーションであり、又は互いに重複する、
請求項14~18のいずれか一項に記載のマイクロ流体系。
【請求項20】
前記転写ステーション、前記翻訳ステーション、前記培養ステーション、及び前記バリアントステーションの2つ以上が、単一チャンバー内に含まれる、請求項14~19のいずれか一項に記載のマイクロ流体系。
【請求項21】
前記単一チャンバーが、第1の試薬のセットを放出し、続いて前記第1のセットと異なる第2の試薬のセットを受容するように構成されている、請求項20に記載のマイクロ流体系。
【請求項22】
(i)前記翻訳ステーションが、固定化されている前記第一核酸を含む基材と流体連結されている、
(ii)前記翻訳ステーションが、マイクロリットルスケールであるチャンバーを含み、及び/又は前記微小液滴溶液環境が、マイクロリットルスケールである、
(iii)前記翻訳ステーションが、異なる候補抗菌ぺプチドの混合物を含む、
(iv)前記微生物体が、複数種の微生物体を含む、及び/又は
(v)前記翻訳ステーションが、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む、
請求項14~21のいずれか一項に記載のマイクロ流体系。
【請求項23】
抗菌ぺプチドを産生するためのキットであって、
複数のバクテリオシンを含む又は複数のバクテリオシンからなる複数の候補抗菌ぺプチドをコードする核酸のライブラリーと、
請求項14~22のいずれか一項に記載のマイクロ流体系と、
を含むキット。
【請求項24】
微生物体をさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
前記微生物体が、細菌を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記微生物体が、細菌を含む、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
前記複数の抗菌ぺプチドが、複数のバクテリオシンを含む、又は複数のバクテリオシンからなる、請求項1~13及び25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗菌ぺプチドが、バクテリオシンを含む、又はバクテリオシンからなる、請求項14~22のいずれか一項に記載のマイクロ流体系。
【請求項29】
前記初期ライブラリーが、配列番号4から450のうち偶数の番号の配列、又は配列番号699から737のうち奇数の番号の配列から選択される少なくとも二つの異なる核酸配列を含む、請求項1~13、25及び27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ライブラリーが、配列番号4から450のうち偶数の番号の配列、又は配列番号699から737のうち奇数の番号の配列から選択される少なくとも二つの異なる核酸配列を含む、請求項23、24及び26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記選択培養条件下での前記微小液滴溶液環境中の前記微生物体の成長及び/又は繁殖の前記所定レベルの阻害を超えるまで(2)~(5)を繰り返す、請求項1~13、25、27及び29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
[0001] 本出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2018年6月6日に出願された米国仮特許出願第62/681,529号の利益を主張する。
【0002】
配列表、表、又はコンピュータプログラムリストに対する言及
[0002] 本出願は、電子フォーマットの配列表とともに出願されている。配列表は、2019年6月5日に作成及び最終保存され、サイズが約402,822バイトである表題SYNG005WOSEQUENCE.TXTのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットの情報は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 微生物体、例えば、細菌はヒト及び動物の健康に影響を及ぼし、種々の動物器官及び組織に付随する微生物叢に関与し得る。微生物体媒介プロセスは、目的の生成物の製造のため、例えば、原料における発酵のための種々の工業プロセスにおいて使用することができる。さらに、微生物体は、無菌環境中で、例えば、医薬品、生物製剤、及び化粧品の製造において生成物を製造するために使用することができる。
【0004】
[0004] 例えば、不所望な微生物体を低減させ、又は排除するための微生物体の集団の調整は、工業プロセスの維持及び微生物体を含む組織の健康の維持に有用であり得る。抗菌ぺプチド、例えば、バクテリオシンは、微生物体の成長又は生存に影響を及ぼし得る。
【0005】
分野
[0005] 本明細書の実施形態は、例えば、所望の範囲の培養条件における所望の範囲の活性を有するように抗菌ぺプチド、例えば、バクテリオシンを遺伝子操作するための方法、系及びキットに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 一部の実施形態は、抗菌ぺプチド、例えば、バクテリオシンを遺伝子操作する方法を含む。方法は、(a)候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードする候補核酸を翻訳溶液中でインビトロで翻訳させることを含み得、その結果、翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチドを含む。方法は、(b)候補抗菌ぺプチド及び微生物体を溶液環境中で複合させることをさらに含み得る。方法は、(c)溶液環境中の微生物体及び候補抗菌ぺプチドを選択培養条件下で培養することをさらに含み得る。方法は、(d)溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出することをさらに含み得る。方法は、(e)選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の検出時、候補核酸を選択することをさらに含み得る。方法は、(f)選択候補核酸のバリアント核酸を産生することであって、バリアント核酸が、候補抗菌ぺプチドのバリアントをコードすることをさらに含み得る。方法は、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成されるまで、候補核酸としての1つ以上の連続バリアント核酸を使用して(a)~(f)を繰り返すことをさらに含み得る。したがって、抗菌ぺプチドは、遺伝子操作されている。一部の実施形態において、方法は、選択候補核酸の配列を得ることをさらに含む。方法は、配列を(d)の溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の検出された阻害に対してインデックス化することをさらに含み得、(f)は、候補核酸のインデックス化配列に基づきバリアント核酸を産生することを含む。例として、候補核酸を(例えば、PCRにより)増幅させることができ、アンプリコンの1つ以上をシーケンシングすることができる。一部の実施形態において、方法は、選択培養条件下での別の溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の欠落が検出された他の候補核酸の配列を得ることをさらに含む。方法は、他の候補核酸の配列を微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の欠落に対してインデックス化することをさらに含み得、(f)は、他の候補核酸のインデックス化配列に基づき選択候補核酸のバリアント核酸を産生することを含む。一部の実施形態において、他の候補核酸が候補核酸よりも低いレベルの、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を産生する場合、他の候補核酸の配列を得る。一部の実施形態において、インデックス化配列情報に基づくバリアント核酸配列の産生は、機械学習、例えば、自動機械学習を含む。一部の実施形態において、方法は、(e)の後に、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)による溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を確認することをさらに含み、前記確認は、候補核酸又はそのコピーについて(a)~(d)を繰り返すことを含み、(d)の繰り返しにおいて、溶液環境中の微生物体の量が選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す場合、成長及び/又は繁殖の阻害を確認する。一部の実施形態において、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落の検出は、溶液環境中の微生物体を定量することを含み、経時的な溶液環境中の微生物体の量の減少は、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す。一部の実施形態において、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害は、参照天然存在又は遺伝子操作抗菌ぺプチドのものよりも大きいレベルの阻害である。一部の実施形態において、方法のより早期の反復の遺伝子操作抗菌ぺプチド及び候補抗菌ぺプチドは、それぞれ効力を有する。遺伝子操作抗菌ぺプチドの効力は、候補抗菌ぺプチドの効力よりも大きくてよい。一部の実施形態において、遺伝子操作抗菌ぺプチドは、様々な培養条件にわたり、及び/又は様々な微生物体株及び/又は種に対して候補抗菌ぺプチドよりも大きい効力を有する。一部の実施形態において、(a)~(f)の(b)の繰り返しは、翻訳溶液を(b)の事前反復のものと異なる株又は種の微生物体と複合させることを含む。一部の実施形態において、(a)~(f)の(b)の繰り返しは、翻訳溶液を(b)の事前反復と同一の種又は株の微生物体と複合させることを含む。一部の実施形態において、(a)~(f)の(c)の繰り返しは、微生物体を(c)の事前反復と異なる培養環境中で培養することを含む。一部の実施形態において、(a)~(f)の(c)の繰り返しは、微生物体を(c)の事前反復と同一の培養環境中で培養することを含む。一部の実施形態において、候補核酸は、DNAを含む。方法は、候補核酸を転写させることをさらに含み得る。一部の実施形態において、翻訳溶液は、転写溶液をさらに含み、その結果、翻訳溶液は、候補核酸の転写及び翻訳のために構成されている。一部の実施形態において、翻訳溶液は、翻訳試薬、例えば、リボソームを含む。一部の実施形態において、翻訳溶液は、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む。一部の実施形態において、翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチドをコードする1つのみの候補核酸配列を含む。一部の実施形態において、候補核酸は、2つ以上の異なる候補抗菌ぺプチドをコードし、その結果、溶液環境は、2つ以上の候補抗菌ぺプチド(例えば、抗菌ぺプチドのカクテル)を含む。バリアント核酸は、2つ以上の候補抗菌ぺプチドの少なくとも1つのバリアントをコードし得る。したがって、2つ以上の抗菌ぺプチドは、選択培養条件下で微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するように同時遺伝子操作することができる。一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチドは、キメラタンパク質を含む。一部の実施形態において、選択培養条件は、工業プロセス、医薬品製造プロセス、又は哺乳動物微生物叢の条件を含む。一部の実施形態において、哺乳動物微生物叢は、ヒト消化管、皮膚、乳腺、胎盤、組織、体液、精液、子宮、膣、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜、又は胆道のものである。一部の実施形態において、溶液環境は、2つ以上の種の微生物体を含む。一部の実施形態において、翻訳溶液は、基材をさらに含む。候補核酸は、基材に固定化されていてよい。本方法は、基材と同一又は異なる別の基材上に固定化されているバリアント核酸を産生することをさらに含み得る。一部の実施形態において、基材は、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、酢酸塩誘導体、マトリックス、細孔、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖、又は常磁性化合物を含む。一部の実施形態において、バリアント核酸の前記産生は、縮重ポリメラーゼにより選択候補核酸を増幅させること;縮重プライマーの存在下で選択候補核酸を増幅させること;縮重ヌクレオチドの存在下で選択候補核酸を増幅させること;及び選択候補核酸に対する突然変異誘発反応の1つ以上を含む。一部の実施形態において、候補核酸のライブラリーをスクリーニングする。一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、バリアント核酸のライブラリーを産生することを含み、方法は、バリアント核酸のライブラリーに対して(a)~(e)を実施することをさらに含む。一部の実施形態において、方法をマイクロ流体系中で実施する。一部の実施形態において、翻訳溶液及び/又は溶液環境は、マイクロリットルスケールである。一部の実施形態において、翻訳溶液及び/又は溶液環境は、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。一部の実施形態において、溶液環境は、微小液滴を含む。一部の実施形態において、(b)における候補抗菌ぺプチド及び微生物体は、それぞれ、微小液滴中に存在し、前記複合は、微小液滴を、微小液滴を含む溶液環境中に複合させることを含む。一部の実施形態において、(c)における前記培養は、微生物体及び候補抗菌ペプチドを含む微小液滴を溶液環境中で培養することを含む。一部の実施形態において、微小液滴は、溶液のナノメートルスケール液滴を含む。一部の実施形態において、微生物体は、細菌を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。例えば、微生物体は、抗生物質に耐性である細菌、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA)であり得る。一部の実施形態の方法において、抗菌ぺプチドは、バクテリオシンを含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。一部の実施形態において、溶液環境は、抗菌ぺプチドをコードする核酸を含むいかなる細胞も含まない。
【0007】
[0007] 一部の実施形態は、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するためのマイクロ流体系を含む。マイクロ流体系は、インビトロ転写を実施するように構成されている転写ステーションであって、転写試薬を含む、転写ステーションを含み得る。マイクロ流体系は、転写ステーションと流体連結されている翻訳ステーションであって、インビトロ翻訳を実施するように構成されており、翻訳試薬を含む、翻訳ステーションをさらに含み得る。マイクロ流体系は、翻訳ステーションと流体連結されており、微生物体を、選択培養条件下で微生物体、候補抗菌ぺプチドをコードする候補核酸、及び候補抗菌ぺプチドを含む溶液環境中で培養するように構成されている培養ステーションをさらに含み得る。マイクロ流体系は、培養ステーションと流体連結されており、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出するように構成されている検出器をさらに含み得る。マイクロ流体系は、候補抗菌ぺプチドをコードする核酸のバリアント核酸を産生するように構成されているバリアントステーションをさらに含み得る。バリアントステーションは、転写ステーションと流体連結されていてよい。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、プロセッサをさらに含む。バリアントステーションは、候補核酸から配列情報を得るように構成されているシーケンシングモジュールをさらに含み得る。プロセッサは、配列情報を微生物体についての成長及び/又は繁殖の阻害又はその欠落の検出に対してインデックス化するように構成することができる。一部の実施形態において、プロセッサは、機械学習、例えば、自動機械学習により、インデックス化情報に基づきバリアント核酸の配列を選択するように構成されている。一部の実施形態において、バリアントステーションは、検出器が溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を検出する場合にのみ、バリアント核酸を産生する。一部の実施形態において、バリアントステーションは、縮重ポリメラーゼを含む。一部の実施形態において、転写ステーション、翻訳ステーション、培養ステーション、及び/又はバリアントステーションの2つ以上は、互いに離隔されている別々のチャンバー内に含まれる。一部の実施形態において、転写ステーション及び翻訳ステーションは、同一のステーションであり、又は互いに重複する。一部の実施形態において、転写ステーション、翻訳ステーション、培養ステーション、及びバリアントステーションの2つ以上は、単一チャンバー内に含まれる。一部の実施形態において、単一チャンバーは、第1の試薬のセットを放出し、続いて第1のセットと異なる第2の試薬のセットを受容するように構成されている。一部の実施形態において、培養ステーションの選択培養条件は、工業プロセス、医薬品製造プロセス、又は哺乳動物微生物叢の条件を含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、固定化されている候補核酸を含む基材と流体連結されている。一部の実施形態において、基材は、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、酢酸塩誘導体、マトリックス、細孔、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖、又は常磁性化合物を含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、マイクロリットルスケールであるチャンバーを含み、及び/又は溶液環境は、マイクロリットルスケールである。一部の実施形態において、溶液環境は、約1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。一部の実施形態において、翻訳ステーションのチャンバーは、約1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、異なる候補抗菌ぺプチドの混合物を含む。一部の実施形態において、微生物体は、複数種の微生物体を含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む。一部の実施形態において、溶液環境は、微小液滴を含む。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、微小液滴を系内で移動させ、複合させるように構成されている。一部の実施形態において、転写試薬及び/又は翻訳試薬は、それぞれ、別個の微小液滴中又は複合微小液滴中に存在する。一部の実施形態において、培養ステーションは、微生物体を微小液滴中で培養するように構成されている。一部の実施形態において、微小液滴は、溶液のナノメートルスケール液滴を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の任意のマイクロ流体系について、抗菌ぺプチドは、バクテリオシンを含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、抗菌ぺプチドをコードする核酸を含むいかなる細胞も含まない。
【0008】
[0008] 一部の実施形態は、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するためのキットを含む。キットは、候補バクテリオシンをコードする候補核酸を含み得る。キットは、本明細書に記載のマイクロ流体系をさらに含み得る。一部の実施形態において、キットは、候補核酸のライブラリーをさらに含む。一部の実施形態において、キットは、微生物体をさらに含む。一部の実施形態において、微生物体は、細菌を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の任意のキットについて、抗菌ぺプチドは、バクテリオシンを含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の簡単な説明
図1】[0009]本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作する方法を説明するフロー図である。
図2】[0010]本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するための系の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
[0011] 抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するための方法、系及びキットが本明細書に記載される。抗菌ぺプチドは、規定の培養、環境条件、及び/又は様々な条件について特定の活性を有するように遺伝子操作することができる。例えば、抗菌ぺプチドは、ヒト腸微生物叢の条件下で病原性細菌に対する抗菌活性を有するように遺伝子操作することができる。一部の実施形態において、抗菌ぺプチドをインビトロで転写及び翻訳させ、溶液環境(例えば、マイクロ流体系中の液滴又は微小液滴)中の規定の条件のセット下で微生物体の生存又は成長に対する効果について検査する。検査の結果に基づき、抗菌ぺプチドのバリアントを設計することができ、バリアントを所望の活性が達成されるまで反復プロセスにおいて検査することができる。一部の実施形態において、抗菌ぺプチドを遺伝子操作するための反復プロセスは、自動機械学習により実施する。
【0011】
翻訳溶液及び翻訳ステーション
[0012] 翻訳溶液は、本明細書に記載の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系及びキットによる核酸の翻訳に有用であり得る。好適な翻訳溶液は、インビトロ翻訳のための試薬(利便性のため、本明細書において「翻訳試薬」と称することができる)を含み、又は本質的にそれからなり、又はそれからなり、したがって、転写産物、例えば、RNAのインビトロ翻訳のために構成することができる。一部の実施形態において、翻訳溶液は、本明細書に記載のマイクロ流体系の翻訳ステーションにより含められる。一部の実施形態において、翻訳溶液は、転写のための試薬(利便性のため、本明細書において「転写試薬」と称することができる)を転写溶液をさらに含み、したがって、例えば、本明細書に記載の候補抗菌ぺプチドをコードする候補核酸を転写及び翻訳させるためのインビトロ転写及び翻訳のために構成されている。単一溶液(例えば、本明細書に記載の翻訳溶液をさらに含む転写溶液)中のインビトロ転写及び翻訳は、一部の実施形態の方法、系、及びキットによる候補抗菌ぺプチドの効率的なインビトロ産生を容易にし得ることが企図される。
【0012】
[0013] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、翻訳溶液は、1つ以上の翻訳試薬を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。翻訳試薬の例としては、リボソーム、緩衝液、アミノ酸、tRNA(アミノ酸にコンジュゲートされ得る)、溶解物若しくは抽出物、例えば、大腸菌(E.coli)溶解物若しくは大腸菌(E.coli)抽出物、及び補因子若しくは金属イオン、例えば、Mg2+、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、翻訳溶液は、転写溶液をさらに含み、したがって、インビトロ転写及び翻訳のために構成されている。本明細書に記載のとおり、翻訳溶液をさらに含む転写溶液は、インビトロ転写及び翻訳に好適な単一溶液を企図する。したがって、翻訳溶液をさらに含む転写溶液は、単一転写/翻訳溶液を包含し、少なくともその一部が転写に好適な別々の副次的環境を有する翻訳溶液も包含する。転写及び/又は翻訳溶液の一部の構成成分、例えば、リボソームは、液体である必要はなく、例えば、濾過及び/又は遠心分離により転写及び/又は翻訳溶液から潜在的に単離することができることが認識される。本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットの翻訳溶液(本明細書に記載の転写溶液により含められ得る)は、1つ以上の転写試薬を含み得、本質的にそれからなり得、又はそれからなり得る。転写試薬の例としては、RNAポリメラーゼ、緩衝液、核酸混合物(例えば、NTP、例として、ATP、GTP、CTP、及びUTP)、補因子若しくは金属イオン、例えば、Mg2+、転写誘導因子(例えば、転写因子、IPTG、又はラクトース)、ポリアデニル化酵素、キャッピング酵素、溶解物若しくは抽出物、例えば、細菌溶解物若しくは抽出物、例えば、大腸菌(E.coli)溶解物又は大腸菌(E.coli)抽出物、SP6ポリメラーゼ、T3ポリメラーゼ、T7RNAポリメラーゼ、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の混合物が挙げられる。転写溶液は、テンプレート、例えば、本明細書に記載の候補核酸の転写に有用であり得る。一部の実施形態の方法、キット、及び系の翻訳溶液は、1つ以上の転写試薬を1つ以上の翻訳試薬との組合せで含む。
【0013】
[0014] 一部の実施形態において、翻訳溶液は、翻訳後修飾酵素を含む。翻訳後修飾酵素の例としては、限定されるものではないが、開裂酵素、キナーゼ、ホスファターゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、又は列記された項目のいずれか2つの混合物が挙げられる。
【0014】
[0015] 一部の実施形態において、マイクロ流体デバイスの翻訳ステーションは、翻訳溶液を含む。一部の実施形態において、マイクロ流体デバイスは、転写ステーション及び転写溶液を含み、それらは同一ステーションであり得、又は異なるステーションであり得る。例えば、一部の実施形態において、転写ステーションは、核酸のインビトロ転写及び翻訳のために構成されている単一転写/翻訳ステーションを含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、インビトロ翻訳を実施するように構成されている。一部の実施形態において、転写ステーションは、インビトロ転写を実施するように構成されている。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、転写ステーション(例えば、単一環境として、又は2つの別々の環境として)をさらに含み、インビトロ転写及び翻訳を実施するように構成されている。一部の実施形態において、マイクロ流体デバイスは、転写溶液を含む転写ステーション、及び翻訳溶液を含む別個の翻訳ステーションを含む。
【0015】
[0016] 一部の実施形態において、翻訳ステーションは、本明細書に記載の翻訳溶液及び/又は1つ以上の翻訳試薬及び/又は転写試薬を受容するように構成されている。一部の実施形態において、転写ステーションは、転写試薬及び/又は翻訳試薬を含む1つ以上のリザーバーと流体連結されている。したがって、一部の実施形態において、翻訳ステーションは、最初は翻訳溶液を含まないが、翻訳溶液、又は1つ以上の試薬を受容するように構成されている。
【0016】
[0017] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチドをコードする、例えば、本明細書の一部の実施形態により一緒に同時遺伝子操作されている2つ以上の異なる抗菌ぺプチドをコードする2つ以上の候補核酸を含む(その結果、バクテリオシンのカクテルを遺伝子操作することができる)。一部の実施形態において、翻訳溶液は、1つのみの候補抗菌ぺプチドをコードする候補核酸を含む。
【0017】
[0018] 基材、例えば、ビーズ上への候補核酸の固定化は、マイクロ流体環境中、例えば、微小液滴中での候補核酸及びその対応する候補抗菌ぺプチドの操作及び分析に有用であり得ることが企図される。本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、翻訳溶液は、基材を含む。好適な基材の例としては、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、酢酸塩誘導体、マトリックス、細孔、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖、及び常磁性化合物、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。一部の実施形態において、候補核酸は、基材上に固定化されている。
【0018】
[0019] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、翻訳溶液は、マイクロリットルスケールにおけるものである。例えば、翻訳溶液は、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有し得る。
【0019】
バクテリオシン及び抗菌ぺプチド
[0020] 本明細書において使用される「バクテリオシン」、及びこの基本用語の変形語は、本開示に照らして当業者により理解されるその慣習的及び通常の意味を有する。これは、宿主細胞により分泌され、ポリペプチドが作製される個々の宿主細胞以外の少なくとも1つの微生物体、例として、宿主細胞及び他の微生物細胞にクローン的に関連する細胞を中和し得るポリペプチドを指す。「バクテリオシン」は、そのようなポリペプチドの無細胞又は化学合成バージョン、例えば、本明細書の一部の実施形態による遺伝子操作バクテリオシンも包含する。宿主細胞は、バクテリオシンを分泌することにより1つ又は複数の他の微生物体に対する細胞毒性又は成長阻害効果を付与し得る。バクテリオシンの例は、配列番号4~450(偶数)及び699~737(奇数)に記載される。これらのバクテリオシンをコードする核酸の例は、配列番号5~451(奇数)及び700~738(偶数)として提供される。バクテリオシン及びバクテリオシンをコードする一部のポリヌクレオチド配列の詳細な説明、例として、微生物細胞の成長を制御するためにバクテリオシンを使用するための方法及び組成物は、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第9,333,227号に見出すことができる。好適なバクテリオシン及びバクテリオシンのカテゴリーの一部の例は、米国特許第9,333,227号の表1.1及び1.2に教示されている。これらのバクテリオシンのいずれも、さらなる遺伝子操作に供することができることが企図される。例えば、これらのバクテリオシンのバリアント及び/又は改変体は、本明細書の一部の実施形態による選択培養条件下で溶液環境中で少なくとも規定の活性を有するバクテリオシンを遺伝子操作するために使用することができる候補バクテリオシンであり得る。本明細書において使用される「候補バクテリオシン」は、バクテリオシン活性を有し得るが、必ずしもそれが確認されていないポリペプチドを指す。候補バクテリオシンは、本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットによる選択培養条件下で微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害することを確認することができる。したがって、本明細書に記載の任意のバクテリオシンについて、「候補バクテリオシン」は、留意される構造を含み得ること、及び/又は留意される機能性(この機能性は続いて確認することができる)を有する候補であり得ることが企図される。「バリアント抗菌ぺプチド」又は「バリアントバクテリオシン」は、参照候補バクテリオシンと異なる配列及び/又は翻訳後修飾を有する抗菌ぺプチド(又は特にバクテリオシン)を指す。「バリアント核酸」は、バリアント抗菌ぺプチド(又は特にバクテリオシン)をコードする核酸を指す。候補抗菌ぺプチド(又は特に候補バクテリオシン)のバリアントは、本明細書に記載のとおりに選択することができ、したがって、一部の実施形態のバリアント核酸は、候補抗菌ぺプチド(又はバクテリオシン)のバリアントをコードするように選択されることが認識される。バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)を一部の実施形態の方法、キット、及び系により検査し、使用し、又は培養する場合、バリアント抗菌ぺプチド自体が候補抗菌ぺプチドであり得る。例えば、バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)は、候補抗菌ぺプチドと比較して点突然変異、欠失(例として、トランケーション)、挿入(例として、C又はN末端付加)、再配列、又はそれらの2つ以上を含み得る。
【0020】
[0021] 抗菌ぺプチドは、微生物体を殺傷し、又はその成長を停止させるポリペプチドのクラスである。本明細書において使用される「抗菌ぺプチド」(この基本用語の変形語を含む)は、本開示に照らして当業者により理解されるその慣習的及び通常の意味を有する。古典的には、抗菌ぺプチドは、無脊椎動物及び脊椎動物の自然免疫系により産生されるぺプチドとして記載されている。したがって、バクテリオシンは古典的には微生物体を標的化する微生物遺伝子産物のクラスと言及されている一方、抗菌ぺプチドは、古典的には、微生物体を標的化する無脊椎動物及び脊椎動物遺伝子産物のクラスとして言及されている。しかしながら、正確性のため、本明細書において使用される「抗菌ぺプチド」は、古典的抗菌ぺプチド(例えば、微生物体に対する自然免疫活性を付与する)及びバクテリオシンを広く包含する。
【0021】
[0022] 本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットに好適な古典的抗菌ぺプチドの例は当分野において公知であり、例えば、aps.unmc.edu/AP/におけるワールドワイドウェブ上でアクセス可能な、参照により全体として本明細書に組み込まれるThe Antimicrobial Peptide Databaseに見出すことができる。1000個超の抗菌ぺプチド及びそれらのバリアントが同定され、目録に収載されている。The Antimicrobial Peptide Databaseは、参照により全体として本明細書に組み込まれるWang et al.(2016),Nucleic Acids Res.44(Database issue):D1087-D1093に記載されている。抗菌ぺプチドの例としては、バクテリオシン、抗菌、抗ウイルス、抗HIV、抗真菌、抗寄生虫及び抗癌ぺプチド、例えば、デルマセプチン(Dermaseptin)-B2、アバエシン、Ct-AMP1、アンドロピン、オーレイン1.1、ラクトフェリシンB、及びヘリオマイシンが挙げられる。一部の実施形態の方法、組成物、系、及びマイクロ流体デバイスは、天然存在抗菌ぺプチド、又はそれをコードする核酸を含む。一部の実施形態の方法、組成物、系、及びマイクロ流体デバイスは、非天然存在抗菌ぺプチド、又はそれをコードする核酸を含む。一部の実施形態の方法、組成物、系、及びマイクロ流体デバイスは、天然存在抗菌ぺプチド中の突然変異若しくは変異を含む抗菌ぺプチド、又はそれをコードする核酸を含む。一部の実施形態の方法、組成物、系、及びマイクロ流体デバイスは、非天然存在ぺプチド配列を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる抗菌ぺプチド、又はそれをコードする核酸を含む。
【0022】
[0023] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、一部の実施形態の遺伝子操作すべき、又は遺伝子操作された抗菌ぺプチド、例えば、バクテリオシン(又は本明細書に記載の候補抗菌ぺプチド、及び/又は候補抗菌ぺプチドのバリアント)は、最初にプロポリペプチドで産生し、次いでそれを開裂して抗菌ぺプチドを産生することができる。一部の実施形態において、プロポリペプチド又は抗菌ぺプチドは、化学合成する。一部の実施形態において、抗菌ぺプチドは、翻訳後修飾、例えば、開裂、又は1つ以上の官能基の付加を受けたポリペプチドを含む。一部の実施形態において、抗菌ぺプチドは、遺伝子操作する。一部の実施形態において、遺伝子操作抗菌ぺプチドは、改変された活性又は微生物体を殺傷し、若しくはその成長に影響を及ぼす能力を有するように遺伝子操作する。
【0023】
[0024] 一部の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、細胞毒性活性(例えば、「殺菌」効果)を有し、したがって、微生物体、例えば、細菌、酵母、藻類、合成微生物などを殺傷し得る。一部の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、例えば、細胞周期を停止させることにより、微生物体、例えば、細菌、酵母、藻類、合成微生物などの繁殖を阻害し得る(例えば、「静菌効果」)。
【0024】
[0025] 多くのバクテリオシンは天然存在(例えば、配列番号4~450(偶数)及び699~737(奇数)に記載の天然存在バクテリオシン)である一方、当業者は、本明細書に記載の方法、系及びキットの一部の実施形態において、バクテリオシンは、そのバクテリオシン以外の天然存在バクテリオシン並びに配列番号4~450(偶数)及び699~737(奇数)のコードヌクレオチド配列、又は非天然存在バクテリオシン若しくは合成バクテリオシン(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)、又はそのバリアント(一部の実施形態の遺伝子操作バクテリオシンの1種でもあり得る)を含むことを認識する。一部の実施形態において、遺伝子操作バクテリオシンは、野生型バクテリオシンと比べて向上又は減少したレベルの、同一又は異なる微生物又は微生物の種に対する細胞毒性又は成長阻害活性を有する。一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(又はバクテリオシン)は、ランチビオティックを含まない。
【0025】
[0026] いくつかのモチーフが、バクテリオシンの特徴として認識されている。例えば、モチーフYGXGV(配列番号2)(式中、Xは、任意のアミノ酸残基である)は、クラスIIaバクテリオシンに特徴的なN末端コンセンサス配列である。したがって、一部の実施形態において、候補(又はバリアント)バクテリオシン(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、配列番号2に対して少なくとも約50%の同一性)例えば、配列番号2に対して少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性)を有するN末端配列を含む。一部の実施形態において、候補(又はバリアント)バクテリオシン(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、配列番号2)を含むN末端配列を含む。さらに、一部のクラスIIbバクテリオシンは、GxxxGモチーフを含む。いかなる特定の理論によっても限定されるものではないが、GxxxGモチーフは、例えば、細胞膜相互作用を介するバクテリオシン媒介中和を容易にするための細胞膜中でのヘリカルタンパク質間の会合を媒介し得ることが考えられる。したがって、一部の実施形態において、バクテリオシン(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、細胞膜との相互作用を容易にするモチーフを含む。一部の実施形態において、バクテリオシンは、GxxxGモチーフを含む。場合により、GxxxGモチーフを含むバクテリオシンは、ヘリカル構造を含み得る。本明細書において使用される「バクテリオシン」は、本明細書に記載の構造に加え、本明細書に明示的に提供されるバクテリオシンのいずれかと実質的に同一の、微生物細胞に対する効果を有する構造も包含する。
【0026】
[0027] 一部の実施形態において、2つ以上の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)又はそれらの一部を含む融合ポリペプチドは、2つ以上の抗菌ぺプチド又はそれらの一部の個々の抗菌ぺプチドのいずれよりも広い範囲の微生物体に対する中和活性を有する。例えば、ハイブリッド抗菌ぺプチドは、病原性グラム陽性及びグラム陰性細菌に対する抗菌活性を示すことが示されている(Acuna et al.(2012),FEBS Open Bio,2:12-19)。Ent35-MccV融合バクテリオシンは、N末端からC末端にかけて、N末端グリシン、エンテロシンCRL35、3つのグリシンを含むリンカー、及びC末端ミクロシンVを含むことが留意される。
【0027】
[0028] 抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、2つ以上のポリペプチド、例えば、抗菌(例えば、バクテリオシン)活性を有する2つ以上のポリペプチドの融合物を含み得ることが本明細書において企図される。一部の実施形態において、抗菌ぺプチド又は候補抗菌ぺプチドは、キメラタンパク質を含む。一部の実施形態において、バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、2つ以上の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を含む融合ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、2つ以上の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)、又はそれらの断片を含むキメラタンパク質を含む。一部の実施形態において、融合物の2つ以上の抗菌ぺプチドは、配列番号4~450(偶数)及び699~737(奇数)のポリペプチド、及び若しくは配列番号5~451(奇数)及び700~738(偶数)の核酸によりコードされるポリペプチド、又はそれらのバリアント若しくは改変体を含む。一部の実施形態において、融合ポリペプチドは、個々の抗菌ぺプチドのいずれよりも広いスペクトルの活性を有し、例えば、より多くの微生物体に対する中和活性、より広い範囲の環境条件下での中和活性、及び/又はより高い効率の中和活性を有する。一部の実施形態において、融合ポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の抗菌ぺプチドを含む。一部の実施形態において、2つ以上の抗菌ぺプチドポリペプチドは、共有結合、例えば、ぺプチド結合を介して互いに融合している。一部の実施形態において、リンカーが、融合ポリペプチドの2つの個々の抗菌ポリペプチド間に位置している。一部の実施形態において、リンカーは、1つ又はグリシン、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のグリシンを含む。一部の実施形態において、リンカーは、細胞内で開裂されて融合タンパク質中に含まれる個々の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を産生する。一部の実施形態において、本明細書に提供されるバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、非改変又は候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)と比べて所望のスペクトルの活性を提供するための改変を含む。例えば、バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、非改変又は候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)と同一の生物体に対する向上又は減少した活性を有し得る。或いは、改変抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、非改変又は候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が少ない活性を有し、又は活性を有さない生物体に対する向上した活性を有し得る。
【0028】
[0029] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、ポリヌクレオチドによりコードされる。例えば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)遺伝子のDNA配列は、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなるタンパク質に翻訳されるmRNA転写産物をコードし得る。本明細書において使用される「候補核酸」は、本明細書に記載の「候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)」をコードする核酸を指す。一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードするポリヌクレオチドは、バリアント核酸を含む。一部の実施形態において、バリアント核酸は、例えば、バリアント核酸配列の合成により、又は突然変異誘発、例えば、化学的突然変異誘発、若しくは縮重重合により、候補核酸の配列を遺伝子操作し、又は改変することにより産生する。
【0029】
微生物体
[0030] 本明細書の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットによる遺伝子操作抗菌ぺプチドは、微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害する。本明細書において使用される「微生物体」、「微生物」、及びそれらの基本用語の変形語(例えば、複数形など)、任意の天然存在種又は完全合成の原核若しくは真核単細胞生物体、並びに古細菌種、並びにそれらのいずれかの遺伝子改変体。したがって、この表現は、細菌種、真菌種、及び藻類の細胞を指し得る。
【0030】
[0031] 本明細書の一部の実施形態の方法、キット、及びマイクロ流体系により使用することができる例示的な微生物としては、限定されるものではないが、細菌、真菌、及び藻類、例えば、光合成微細藻類が挙げられる。一部の実施形態において、微生物は、細菌及び真菌(例えば、酵母)からなる群から選択される。さらに、完全合成微生物ゲノムを合成し、単一微生物細胞中に移植して継続的に自己複製し得る合成微生物を産生することができる(参照により全体として本明細書に組み込まれるGibson et al.(2010),“Creation of a Bacterial Cell Controlled by a Chemically Synthesized Genome,”Science 329:52-56参照)。したがって、一部の実施形態において、微生物は、完全合成である。遺伝子エレメント、例として、遺伝子発現を調節するエレメント、及び遺伝子産物(例えば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)、免疫モジュレーター、毒物、解毒物、及び工業的に有用な分子)をコードするエレメントの所望の組合せは、所望のシャーシ上で部分又は完全合成微生物にアセンブルすることができる。工業用途についての遺伝子操作微生物体の説明は、Wright,et al.(2013)“Building-in biosafety for synthetic biology”Microbiology 159:1221-1235に見出すこともできる。一部の実施形態の方法、マイクロ流体系及びキットにおいて、2つ以上の異なる種及び/又は株の微生物体が企図され、例えば、溶液環境は、2つ以上の異なる種の微生物体、例えば、本明細書に記載の微生物叢の異なるメンバー及び/又は工業発酵プロセスに関与する2つ以上の異なる種若しくは株を含み得る。例えば、一部の実施形態は、2つ以上の異なる種及び/又は株の細菌、酵母、及び/又は藻類を含む。
【0031】
[0032] 種々の細菌種及び株を、遺伝子改変バリアント、又は公知種の「シャーシ」に基づく合成細菌とともに本明細書の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにより使用することができる。本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットにより使用することができる、工業的に適用可能な特徴を有する例示的な細菌としては、限定されるものではないが、バシラス属(Bacillus)種(例えば、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis))、パエニバシラス属(Paenibacillus)種、ストレプトミセス属(Streptomyces)属、ミクロコッカス属(Micrococcus)種、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)種、アセトバクター属(Acetobacter)種、シアノバクテリア属(Cyanobacteria)種、サルモネラ属(Salmonella)種、ロドコッカス属(Rhodococcus)種、シュードモナス属(Pseudomonas)種、ラクトバシラス属(Lactobacillus)種、エンテロコッカス属(Enterococcus)種、アルカリゲネス属(Alcaligenes)種、クレブシエラ属(Klebsiella)種、パエニバシラス属(Paenibacillus)種、アルスロバクター属(Arthrobacter)種、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)種、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)種、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、シュードモナス・スタツェリ(Pseudomonas stutzeri)、クロストリジウム・サーモセラス(Clostridium thermocellus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)種、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、及び大腸菌(Escherichia coli)が挙げられる。一部の実施形態において、細菌種は、本明細書に記載の微生物叢、例えば、哺乳動物器官の微生物叢、例えば、消化管又は皮膚微生物叢の種である。例えば、一部の実施形態において、消化管微生物叢の細菌種としては、フィルミクテス門(Firmicutes)及び/又はバクテロイデス門(Bacteriodetes)が挙げられる。
【0032】
[0033] 種々の酵母種及び株を、本明細書の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにより使用することができ、遺伝子改変バリアント、又は公知種の「シャーシ」に基づく合成酵母も企図される。本明細書の実施形態により使用することができる、工業的に適用可能な特徴を有する例示的な酵母としては、限定されるものではないが、サッカロミセス属(Saccharomyces)種(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・バヤナス(Saccharomyces bayanus)、サッカロミセス・ブラーディイ(Saccharomyces boulardii))、カンジダ属(Candida)種(例えば、カンジダ・ユティリス(Candida utilis)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei))、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)種(例えば、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ジャポニカス(Schizosaccharomyces japonicas))、ピキア属(Pichia)又はハンゼヌラ属(Hansenula)種(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)又はハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))種、及びブレットアノミセス属(Brettanomyces)種(例えば、ブレットアノミセス・クラウセニイ(Brettanomyces claussenii))が挙げられる。
【0033】
[0034] 種々の藻類種及び株を本明細書の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにより使用することができ、遺伝子改変バリアント、又は公知種の「シャーシ」に基づく合成藻類も企図される。一部の実施形態において、藻類は、光合成微細藻類を含む。生物燃料に有用であり得、本明細書の実施形態により使用することができる例示的な藻類種としては、ボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)、コレラ属(Chlorella)種、ドゥナリエラ・ターティオレクタ(Dunaliella tertiolecta)、グラシラリア属(Gracilaria)種、プルロキシス・カーテラエ(Pleurochrysis carterae)、及びサーガサム属(Sargassum)種が挙げられる。さらに、多くの藻類は、食料品、肥料製品、廃物中和、環境修復、及び炭水化物製造(例えば、生物燃料)に有用であり得る。
【0034】
[0035] 臨床及び工業的状況において、不所望な細菌が1つ以上の抗生物質に対する発達した耐性を有し、それにより慣用の抗生物質を使用してそれらの細菌の成長を制御することが困難になり得る。理論により限定されるものではないが、抗生物質耐性を付与する機序(例えば、薬物化合物を輸送するポンプ又はチャネル)は、抗菌ぺプチド、例えば、バクテリオシンに適用不可能であり、したがって、本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットによる遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、抗生物質に対して耐性である微生物体の成長又は繁殖を阻害し得ることが企図される。一部の実施形態において、微生物体は、抗菌化合物に対して耐性である。例えば、一部の実施形態は、抗生物質に対して耐性である細菌を含む。一部の実施形態において、微生物体は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)(MRSA)である。一部の実施形態において、微生物体は、バンコマイシン耐性である。
【0035】
溶液環境
[0036] 溶液環境は、本明細書に記載の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系及びキットによる抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の遺伝子操作に有用であり得る。例えば、溶液環境中の培養条件は、微生物体が成長し得(例えば、微生物叢、工業プロセス、及び/又は無菌製造プロセス)、天然又は合成環境中で選択特徴を有する抗菌ぺプチドを遺伝子操作するための天然又は合成環境中の条件を再現し、又は模倣し得る。培養条件の例としては、限定されるものではないが、温度、pH、化学物質、他の微生物体の存在、及び/又は遺伝子産物、例えば、プロテアーゼの存在を挙げることができる。好適な溶液環境は、天然又は合成環境を再現し、又は模倣する1つ以上の溶液及び他の成分を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなり得る。一部の実施形態において、溶液環境は、本明細書に記載のマイクロ流体系の培養ステーションにより含められる。一部の実施形態において、溶液環境は、微生物体及び候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含む。微生物体は、天然又は合成環境を再現(又は模倣)するための選択培養条件下で候補抗菌ぺプチドを有する溶液環境中で培養することができる。一部の実施形態において、溶液環境は、溶液環境中で候補抗菌ぺプチド及び微生物体を含む微小液滴溶液環境を形成するために候補抗菌ぺプチドを含む微小液滴と複合させる微小液滴として提供する。
【0036】
[0037] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、溶液環境の溶液は、工業原料、医薬品又は化粧品製造溶液、又は体液(例えば、微生物叢のもの)を含む。本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、溶液環境の溶液は、水、油、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ギ酸、炭酸プロピレン、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、クロロホルム、1,4-ジオキサン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、原料、培養培地、体液、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せを含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0037】
[0038] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、溶液環境の選択培養条件は、工業プロセス、医薬品製造プロセス、又は微生物叢の条件を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。したがって、遺伝子操作抗菌ぺプチドは、産生時、対応する工業プロセス(工業スケールであり得る)中に組み込むことができる。
【0038】
[0039] 一部の実施形態の溶液環境中で条件を再現することができる工業プロセスの例としては、発酵(例えば、炭水化物製造、例えば、生物燃料)、食料生産、分解、廃物中和、及び環境修復が挙げられる。
【0039】
[0040] 一部の実施形態の溶液環境中で条件を再現することができる医薬品又は生物製剤又は化粧品製造プロセスの例としては、化学合成、組織培養、発酵、抽出、化合物の単離、配分及び包装、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。一部の実施形態において、溶液環境は、医薬品又は生物製剤又はその構成成分、例えば、緩衝液、無菌溶液、生理食塩水、軟膏剤、カプセル剤、容器、及びバイアル、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せを再現する。一部の実施形態の遺伝子操作抗菌ぺプチドについて、汚染微生物を標的化することにより、無菌医薬品又は生物製剤又は化粧品製造プロセスを維持することが有利であり得る。
【0040】
[0041] 一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットの溶液環境中の微生物体の組成は、溶液環境が規定の種、量、及び/又は比の細菌を含有するように制御することができる。例として、生存細菌は、フローサイトメトリーにより、例えば、パラメータ、例えば、膜統合性(例えば、膜非透過性プローブ、例えば、PIによる標識を介して計測することができる)、膜電位プロトン駆動力(例えば、膜透過性アニオン又はカチオン性色素による標識を介して計測することができる)、酵素活性(例えば、酵素活性を介して蛍光を発する蛍光性基質による標識を介して計測することができる)、基質ターンオーバー(例えば、蛍光基質又はそのアナログによる標識を介して計測することができる)、ポンプ活性(例えば、プローブの存在下での脱染を介して計測することができる)、遺伝子発現活性(例えば、シグナリングに対する応答、それは、例えば、プロモーターによりドライブされる蛍光タンパク質合成により計測することができる)、細胞分裂(例えば、参照粒子に対する固定容量をカウントすることにより計測することができる)、及び/又は細胞増殖(例えば、DNA特異的染色を介して計測することができる)に基づきソートすることができる。生存微生物細胞をソートするためのアプローチの例は、参照により全体として本明細書に組み込まれるMuller et al.(2010),FEMS Microbiol.Rev.34:554-587に詳細にレビューされている。一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにおいて、溶液環境中の微生物体の組成は、膜統合性、膜電位プロトン駆動力、酵素活性、基質ターンオーバー、ポンプ活性、遺伝子発現活性、細胞分裂、細胞増殖、又は列記された項目の2つ以上の任意の組合せに基づくフローサイトメトリーソーティングにより調整する。
【0041】
[0042] 一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにおいて、溶液環境中の培養条件は、微生物叢、例えば、植物微生物叢又は動物微生物叢、例えば、哺乳動物微生物叢(例えば、ヒト微生物叢)のものを再現する。哺乳動物微生物叢の例としては、限定されるものではないが、消化管、皮膚、乳腺、胎盤、組織、体液、精液、子宮、膣、卵胞、肺、唾液、口腔、粘膜、結膜、及び胆道の微生物叢、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。
【0042】
[0043] 一部の実施形態において、溶液環境は、微生物体を含み、本質的にそれからなり、又はそれからなる。一部の実施形態において、溶液環境は、少なくとも2つの種又は株の微生物体を含む。
【0043】
[0044] 一部の実施形態において、溶液環境は、マイクロリットルスケールにおけるものである。例えば、溶液環境は、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有し得る。一部の実施形態において、溶液環境は、物質、例えば、微量金属、イオン、及び/又は代謝産物を含む。一部の実施形態において、溶液環境は、このような物質を含まない。一部の実施形態において、溶液環境は、液体形態又はゲル若しくはマトリックス形態の培地、例えば、LB培地又はDMEMを含む。一部の実施形態において、溶液環境は、溶液環境中で候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)及び微生物体を含む微小液滴溶液環境を形成するために候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含む微小液滴と複合させる微小液滴として提供する。場合により、溶液環境は、単一微小液滴として提供することができる。場合により、溶液環境は、2つ以上の微小液滴(同一又は異なる構成成分を含有する)として提供することができる。例えば、一部の実施形態において、異なる構成成分(例えば、微生物体、培養培地、工業生成物又は中間体など)を含有する2つ以上の微小液滴は、複合微小液滴であり、次いで複合微小液滴を、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含む微小液滴と接触させる。例えば、一部の実施形態において、2つ以上の異なる微小液滴(同一又は異なる構成成分を含む)を、抗菌ぺプチドを含む微小液滴に添加して微生物体を含む溶液環境を形成することができる。理論により限定されるものではないが、一部の微生物体は、インビトロ転写及び/又はインビトロ翻訳を阻害し得ることが企図される。したがって、本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットによれば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、微生物体を有する溶液環境中にそれを入れる前にインビトロ転写により産生する。例えば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、微小液滴中でインビトロで転写/翻訳させることができ、次いで、抗菌ぺプチドを、微生物体を含む微小液滴と接触させ、又は混合することができる。
【0044】
[0045] 一部の実施形態の方法、マイクロ流体デバイス、及びキットの溶液環境中で選択することができる培養条件の例としては、限定されるものではないが、温度、pH、粘度、浸透圧、塩濃度、湿度、培養時間、風量、気流、及び濁度、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。培養条件は、特定の設定点(例えば、37℃又は約37℃において保持)、閾値(例えば、37℃以下)、又は範囲(例えば、0~37℃)について選択することができることが留意される。溶液環境の選択培養条件の例としては、室温、体温、標準温度及び圧力、酸性条件、アルカリ性条件、pH(例えば、中性pH)、粘度、塩濃度、湿度、暗さ、濁度、又は列記された項目のいずれかの2つ以上の組合せが挙げられる。一部の実施形態において、培養条件は、1つ以上の他の微生物体の存在を含み、それは、互いに同一の種、互いに同一の種(しかし、異なる株)、互いに異なる種、及び/又はそれらのいずれかの組合せであり得る。一部の実施形態において、培養条件は、遺伝子産物、例えば、プロテアーゼの存在を含む。溶液環境中のプロテアーゼ又は他の遺伝子産物は、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の機能を阻害し、又は予防し得、したがって、一部の実施形態において、それは1つ以上のプロテアーゼを含む溶液環境中でプロテアーゼに耐性である抗菌ぺプチドを遺伝子操作するために有用であり得ることが企図される。同様に、溶液環境は、抗菌ぺプチド機能に影響を及ぼし得る他の遺伝子産物、例えば、翻訳後修飾酵素を含み得ることが企図され、一部の実施形態において、これは、それらの遺伝子産物の存在下で機能する抗菌ぺプチドを遺伝子操作するために有用であり得る。したがって、一部の実施形態において、溶液環境は、1つ以上の遺伝子産物(例えば、プロテアーゼ及び/又は翻訳後修飾酵素)を含有し、抗菌ぺプチドは、遺伝子産物の存在下で微生物体の成長又は繁殖を阻害するように遺伝子操作する。
【0045】
成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落の検出
成長及び/又は繁殖の阻害
[0046] 本明細書に記載の方法、系及びキットの一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)及び/又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、選択培養条件下で溶液環境中の微生物体(例えば、本明細書に記載の微生物体)の成長及び/又は繁殖を阻害する。成長又は繁殖の阻害は、本開示に照らして当業者により理解されるその慣習的及び通常の意味を有する。これは、微生物体の増殖の減少又は停止(又は微生物体の増殖の速度の減少)、例えば、細胞周期の停止及び/又は微生物体の殺傷を指す。本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットによれば、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害は、参照レベルを超過しない微生物体の量、及び/又は微生物体の成長の速度を表す。本明細書に記載の方法、系及びキットの一部の実施形態において、成長の阻害は、一定のままの、又は経時的に減少する微生物体の量を含む。減少は、より早期の時点からの参照レベルと比較することができる。
【0046】
[0047] 一部の実施形態において、成長の阻害は、微生物体のサイズ又は量の減少を含む。一部の実施形態において、成長の阻害は、微生物体の細胞小器官、例えば、クロロプラスト又はミトコンドリアの減少を含む。一部の実施形態において、成長の阻害は、例えば、溶解、アポトーシス、及び/又は壊死を介する微生物体の殺傷を含む。一部の実施形態において、微生物体の繁殖の阻害は、細胞分裂又は細胞倍加の速度の減少又は中断を含む。一部の実施形態において、微生物体の繁殖の阻害は、微生物体の量の減少又は増加の中断を含む。
【0047】
成長及び/又は繁殖の阻害の検出
[0048] 微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落は、本明細書の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットによる多数の好適なアプローチ及び装置を介して直接又は間接的に検出することができる。例として、1つ以上の微生物体の成長又は繁殖の阻害は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が、本明細書に記載の一部の実施形態の方法、マイクロ流体系及びキットによる選択培養条件下で特定の溶液環境中で好適な活性を有するか否かを示し得る。成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落の検出は、多数の好適な方法、例えば、本明細書に記載の方法により実施することができる。
【0048】
[0049] 一部の実施形態の方法、キット、及びマイクロ流体系において、成長及び/又は繁殖の阻害は、微生物体の量、成長速度、又は繁殖速度が所定レベルよりも小さく、又はそれ以下である場合、検出する。所定レベルは、参照点であり得る。例えば、一部の実施形態の所定レベルは、微生物体を抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)と培養する前の微生物体の成長速度又は量であり得る。例えば、一部の実施形態の所定レベルは、候補抗菌ぺプチドの不存在下で(及び/又は不活性であることが公知の偽抗菌ぺプチド、例えば、偽バクテリオシンの存在下で)選択培養条件下で対照溶液環境中で培養される対照微生物体の成長速度又は量であり得る。一部の実施形態において、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害は、同一の培養条件下で同一の微生物体を含有する対応する対照溶液環境中の参照天然存在又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)のものよりも大きいレベルの阻害である。
【0049】
[0050] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落の検出は、溶液環境中の微生物体を定量することを含む。経時的な溶液環境中の微生物体の量の減少(又は停止)は、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示し得る。微生物体の定量は、当分野において公知の任意の方法により実施することができる。本明細書に記載の方法、系及びキットの一部の実施形態において、微生物体の定量は、細菌培養物の吸光度を検出し、及び/又は計測することを含む。一部の実施形態において、微生物体の量は、分光光度計(例えば、OD600において)により光学密度を計測することにより検出する。一部の実施形態において、微生物体の定量は、微生物マーカー、例えば、タンパク質、RNA配列又はDNA配列の量を決定することを含む。例えば、一部の実施形態において、微生物体の定量は、RNA若しくはDNAシーケンシング又はqPCRを実施することを含む。一部の実施形態において、微生物体の定量は、マーカーを光学的に、化学的に、及び/又は電磁的に定量すること(例えば、免疫アッセイを実施することにより、酵素アッセイを実施することにより、クロマトグラフィーを介して、質量分析を介してなど)を含む。一部の実施形態において、微生物体の定量は、微生物体を目視により検出することを含む。一部の実施形態において、検出器、例えば、光学センサは、本明細書に記載の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出する。
【0050】
候補核酸のシーケンシング、インデックス化、及びバリアント抗菌ぺプチド
[0051] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、候補核酸をシーケンシングする。候補核酸のシーケンシングは、本明細書に記載のバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)及びバリアント核酸の選択を容易にし得る。シーケンシングは、当分野において公知の任意の方法、例えば、連鎖終止シーケンシング(「サンガーシーケンシング」と称することもできる)、及び/又はプラットフォーム、例えば、Roche 454、Illumina Solexa、ABI-SOLiD、Ion Torrent、Complete Genomics、Pacific Bioscience、Helicos、及び/又はPolonatorプラットフォームを使用する次世代シーケンシングにより実施することができる。一部の実施形態の方法、マイクロ流体系、及びキットにおいて、シーケンシングは、連鎖終止シーケンシング、パイロシーケンシング、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、ナノポアシーケンシング、イオン半導体シーケンシング又は1分子リアルタイムシーケンシングを含む。
【0051】
[0052] 候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)及び/又はバリアント抗菌ぺプチド(バリアントバクテリオシン)に対して培養及び検出の連続ラウンドを実施する場合、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長の阻害と正に(又は負に)相関する候補抗菌ぺプチド及び/又はバリアント抗菌ぺプチドの構造的特徴は、所望の活性を有するバリアント抗菌ぺプチド、例えば、バリアントバクテリオシン(及びしたがって、バリアント核酸)の設計をガイドし得ることがさらに企図される。例として、候補核酸の遺伝子操作の連続的反復を介してデータを収集し、インデックス化することができ、自動機械学習は、所望の成長又は繁殖の阻害と相関する構造、例えば、ドメイン及び構造モチーフを同定し得る(含めることができる)。例えば、本明細書において考察されるとおり、あるドメイン及びモチーフは、ある抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)活性と相関することが示されており、例えば、クラスIIaバクテリオシンのN末端と関連するモチーフYGXGVモチーフである。例として、所望の成長又は繁殖の阻害と負に相関するドメイン及び構造モチーフを回避することができる。
【0052】
[0053] したがって、本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットは、候補核酸の配列を、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落とインデックス化し、又は相関付けすることを含む。したがって、バリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)の選択をガイドし得る構造-機能相関を同定することができる。例として、特定のクラスのアミノ酸(例えば、疎水性、親水性)及び特定の位置若しくは位置の範囲、又は公知若しくはカノニカル構造ドメイン若しくはモチーフを、成長又は繁殖の阻害と相関付けすることができる。一部の実施形態において、特定の閾値に合致し、又はそれを超過する成長又は繁殖の阻害を生じさせる候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をアラインすることができ(例えば、ClustalWツールを使用)、コンセンサス配列を同定することができる。したがって、一部の実施形態の方法及びマイクロ流体系及びキットによれば、選択候補核酸の配列(選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長又は繁殖の阻害の検出を生じさせる候補抗菌ぺプチドをコードする)を得ることができる。配列は、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の検出された阻害に対してインデックス化することができる。この配列に基づき、1つ以上のバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)を同定することができ(本明細書に記載のとおり)、本明細書に記載のバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)をコードするバリアント核酸を産生することができる。
【0053】
[0054] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、インデックス化配列情報に基づくバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バリアントバクテリオシン)の設計(及びしたがってバリアント核酸配列の産生)は、機械学習、例えば、自動機械学習を含む。
【0054】
[0055] 本明細書の一部の実施形態の方法、系、及びキットによるバリアント核酸は、当分野において公知の任意の好適な方法、例えば、化学合成、又は候補核酸の突然変異誘発により実施することができる。一部の実施形態において、バリアント核酸は、本明細書に記載の基材、例えば、ビーズ上に固定化されている。
【0055】
[0056] 一部の実施形態の方法、系及びキットにおいて、バリアント核酸の産生は、縮重ポリメラーゼにより選択候補核酸を増幅させること;縮重プライマーの存在下で選択候補核酸を増幅させること;縮重ヌクレオチドの存在下で選択候補核酸を増幅させること;及び選択候補核酸に対する突然変異誘発反応の1つ以上を含む。
【0056】
[0057] 一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、バリアント核酸の化学合成を含む。一部の実施形態において、化学合成は、ランダムヌクレオチドを用いる合成を含む。一部の実施形態において、化学合成は、本明細書に記載の成長及び/又は繁殖の阻害に対する候補核酸の配列のインデックス化に基づき設計される規定の配列、例えば、バリアント核酸を産生する。一部の実施形態の規定のバリアント核酸配列は、自動機械学習により設計する。一部の実施形態において、バリアント核酸は、コドン最適化する。一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、候補核酸の縮重若しくは突然変異誘発複製又は増幅を含む。一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、例えば、電離放射線、化学突然変異原、例えば、インターカレート剤を使用して、又は合成ヌクレオチドの取り込みを介して候補核酸を突然変異させることを含む。一部の実施形態において、突然変異原は候補核酸と反応し、候補核酸の複製又は増幅時に突然変異をもたらす。一部の実施形態において、突然変異原は、候補核酸の複製又は増幅に含まれるポリメラーゼ又は試薬と相互作用し、それにより複製又は増幅の間にポリメラーゼが不正確な核酸を挿入することを引き起こし、バリアント核酸をもたらす。一部の実施形態において、縮重ポリメラーゼは、変異を含む候補核酸のレプリケートを産生する。
【0057】
[0058] 一部の実施形態の方法、系及びキットにおいて、候補核酸又はバリアント核酸は、転写され、インビトロ翻訳を介して翻訳される。一部の実施形態の方法、系及びキットにおいて、候補核酸又はバリアント核酸は、細胞又は無細胞転写及び翻訳のためのベクター中に挿入される。一部の実施形態において、ベクターは、多量の候補核酸又はバリアント核酸を産生するように培養する。一部の実施形態は、ベクターにより産生された多量の候補核酸及び/又はバリアント核酸を回収し、及び/又は単離することを含む。一部の実施形態において、ベクターは、候補核酸からの候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)又はバリアント核酸からの遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)を発現するように構成されている。一部の実施形態において、ベクターによりコードされる候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)又は遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)は、ベクターから回収し、又は単離する。一部の実施形態において、ベクターは、細菌、例えば、大腸菌(E.coli)を含む。したがって、一部の実施形態は、多量の候補核酸又はバリアント核酸をベクター、例えば、細菌中で成長させ、候補核酸、バリアント核酸、候補核酸により産生された候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)、又はバリアント核酸により産生された遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)をベクターから単離することを含む。
【0058】
抗菌ぺプチドを遺伝子操作する方法
[0059] 一部の実施形態において、抗菌ぺプチドを遺伝子操作する方法が提供される。例えば、方法は、抗菌ぺプチドを所望の範囲の培養条件における所望の範囲の活性を有するように遺伝子操作することを含み得る。一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作する方法の1つ以上を、本明細書に記載のマイクロ流体系上で、及び/又は本明細書に記載のキットの構成成分を使用して実施する。
【0059】
[0060]一部の実施形態において、方法は、候補核酸を翻訳させて候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を産生し、候補抗菌ぺプチドを微生物体と溶液環境中で培養し、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害(又はその欠落)を検出することを含む。方法の一部又は全部は、遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)を表し得る、所望の成長及び/又は繁殖の阻害を示す候補抗菌ぺプチドが同定されるまで候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)の連続バリアントに対して繰り返すことができる。
【0060】
[0061] 一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作する方法が提供される。方法は、(a)候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードする候補核酸を翻訳溶液中でインビトロで翻訳させること(それにより翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を含む)、(b)候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)及び微生物体を溶液環境中で複合させること、(c)微生物体及び候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を溶液環境中で選択培養条件下で培養すること、(d)溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出すること、(e)選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の検出時、候補核酸を選択すること、(f)選択候補核酸のバリアント核酸を産生すること(バリアント核酸は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)のバリアントをコードする)を含み得る。ステップ(a)~(f)は、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成されるまで候補核酸としての1つ以上の連続バリアント核酸を使用して繰り返すことができ、それにより抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、遺伝子操作されている。
【0061】
[0062] 図1は、本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作する方法を説明するフロー図である。方法は、(a)抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を翻訳溶液中でインビトロで翻訳させることを含み得、その結果、したがって、翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含む105。方法は、(b)候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)及び微生物体を溶液環境中で、例えば、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)及び微生物体をそれぞれ含む微小液滴を混合することにより複合させて溶液環境の微小液滴を形成することを含み得る110。方法は、(c)微生物体及び候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を溶液環境中で本明細書に記載の選択培養条件、例えば、温度、pH、栄養含有率、微生物叢フローラ、インビボ条件、及び/又は工業原料下で培養することを含み得る115。方法は、(d)溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出することを含み得る120。検出は、本明細書に記載のとおり実施することができる。方法は、(e)溶液環境中の微生物体の量が選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す場合、例えば、微生物体の量、又は成長速度が本明細書に記載の参照レベルを超過しない場合、候補核酸を選択することを含み得る125。方法は、(f)選択候補核酸のバリアント核酸を、例えば、本明細書に記載の化学合成により、及び/又は突然変異誘発若しくは縮重ポリメラーゼにより産生すること(バリアント核酸は、候補抗菌ぺプチドのバリアントをコードする)を含み得る130。方法は、成長及び/又は繁殖の検出された阻害、又はその欠落を、成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害と比較することを含み得る135。選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が再び達成されない場合140、方法は、異なる候補抗菌ぺプチド(例えば、異なる候補バクテリオシン)を使用してサイクルを繰り返すことを含み得る145。一部の実施形態において、異なる候補抗菌ぺプチド(例えば、異なる候補バクテリオシン)の配列は、微生物体についての成長及び/又は繁殖の検出された阻害(又はその欠落)に対する候補抗菌ぺプチドの配列情報のインデックス化に基づき選択する。選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成される場合150、方法は、所望の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が遺伝子操作されたことを示し得る155。一部の実施形態において、サイクルは、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の所定レベルの阻害が達成されるまで150、異なる候補抗菌ぺプチド(例えば、異なる候補バクテリオシン)を反復的に使用して繰り返す145。この結果は、所望の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が遺伝子操作されたことを示し得る155。一部の実施形態において、ステップの1つ以上を示されるものと異なる順序で実施し、1つ以上の追加のステップを付加し、又は1つ以上のステップを省略する。例えば、一部の実施形態において、(e)を省略する。
【0062】
[0063] 一部の実施形態において、方法は、候補核酸のインデックス化配列に基づきバリアント核酸を産生することを含む。このようなインデックス化は、有利には、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害と正に(又は負に)相関する抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)構造を同定し得、したがって、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)のバリアントの選択をガイドして、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の向上した阻害を生じさせることが予測される配列、モチーフ、及び/又は他の構造を選択することができることが企図される。したがって、引き続いて図1を参照すると、方法の一部の実施形態は、1つ以上の任意選択のステップを含む160。一部の実施形態において、選択候補核酸の配列を得る165。一部の実施形態において、この配列は(f)130後に得る165。一部の実施形態において、方法は、配列を(d)の溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の検出された阻害に対してインデックス化することを含む170。インデックス化は、本明細書に記載のとおり、例えば、本明細書に記載のプロセッサを使用して実施することができる。一部の実施形態において、(f)は、候補核酸のインデックス化配列に基づきバリアント核酸を産生することを含む175。バリアント核酸は、本明細書に記載のとおり、例えば、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の規定のバリアントをコードするバリアント核酸の化学合成により産生することができる。したがって、一部の実施形態において、バリアント候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の配列(及びバリアント核酸配列)の選択の産生は、インデックス化配列情報に基づき、機械学習、例えば、自動機械学習を含む。
【0063】
[0064] 配列環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を生じさせない(又は所定レベルに達しない成長及び/又は繁殖の阻害を生じさせる)候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の配列は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)のバリアントの選択の情報を与え得ることがさらに企図される。一部の実施形態によれば、方法は、選択培養条件下での別の溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の欠落が検出された他の候補核酸(他の候補抗菌ぺプチドをコードする)の配列を得ることを含む(本方法は、成長及び/又は繁殖の阻害の不存在に加え、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害が、候補核酸のものよりも小さく、及び/又は所定レベルに達しない他の候補核酸も企図する)。方法は、他の候補核酸の配列を微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害の欠落に対してインデックス化することをさらに含み得る。本方法によれば、バリアント核酸の産生は、他の候補核酸のインデックス化配列に基づき選択候補核酸のバリアント核酸を産生することを含む。したがって、成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落をインデックス化し、インデックス化情報を使用してバリアント核酸を産生する。一部の実施形態において、他の候補核酸が候補核酸よりも低いレベルの、選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を産生する場合、他の候補核酸の配列を得る。一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、縮重ポリメラーゼにより選択候補核酸を増幅させること;縮重プライマーの存在下で選択候補核酸を増幅させること;縮重ヌクレオチドの存在下で選択候補核酸を増幅させること;及び選択候補核酸に対する突然変異誘発反応の1つ以上を含む。
【0064】
[0065] 候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が溶液環境中の微生物体の繁殖及び/又は成長の好適な阻害を生じさせることが決定される場合、一部の実施形態の方法は、同一の候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を使用して方法の少なくとも一部を繰り返すことにより繁殖及び/又は成長の阻害を確認することをさらに含み得ることがさらに企図される。一部の実施形態において、方法は、(e)の後に、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)による、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を確認することを含む。確認は、候補核酸又はそのコピーについて(a)~(d)を繰り返すことを含み得る。成長及び/又は繁殖の阻害は、(d)の繰り返しにおいて、溶液環境中の微生物体の量が選択培養条件下での溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を示す場合に確認することができる。
【0065】
[0066] 本明細書に記載の一部の実施形態の方法、系及びキットによれば、本明細書に記載の方法の早期反復の遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)及び候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、それぞれ効力を有する。「効力」は、遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)又は候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害する量、例えば、成長若しくは繁殖速度の変化、又は溶液環境中の微生物体の数の変化を指す。一部の実施形態において、遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の効力は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)(方法のより早期の反復からのもの)の効力よりも大きい。一部の実施形態において、遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、様々な培養条件にわたり、及び/又は様々な微生物体株及び/又は種に対して、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)よりも大きい効力を有する。
【0066】
[0067] 多くの工業、医薬品、化粧品、及び微生物叢環境は、調節することができる2つ以上のタイプの微生物体を含有することが企図される。したがって、一部の実施形態の方法、系、及びキットにおいて、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、2つ以上のタイプの微生物体、例えば、2つ以上の種及び/又は株の微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害する。これは、1つ以上の種類の不所望な微生物体(例えば、病原性及び/又は汚染株及び/又は種)の成長及び/又は繁殖を阻害するために多くの工業、医薬品、化粧品、及び微生物叢環境において所望され得る一方、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)により影響を受けない1つ以上の微生物体を保存する(例えば、片利共生的な、工業的に有用な、及び/又は他の点で所望の微生物体を保存することができる)ことがさらに企図される。したがって、一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、溶液環境中の1つ以上の微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害しない。一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、溶液環境中の少なくとも1つのタイプの微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するが、溶液環境中の1つ以上の他のタイプの微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害しない。一部の実施形態において、ある候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害し、別の候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害しない。一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、ある微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するが、第2の微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害しない。
【0067】
[0068] 方法の一部の実施形態において、方法の1つ以上の部分を繰り返し、及び/又は図1に示されるものと異なる順序で実施する。方法の一部の実施形態において、(b)を繰り返す。方法の一部の実施形態において、(a)~(f)の(b)の繰り返しは、翻訳溶液を(b)の事前反復のものと異なる株又は種の微生物体と複合させることを含む。例えば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をある微生物体及びさらには別の微生物体に対して有効であるように遺伝子操作することが望まれることがある。一部の実施形態において、(a)~(f)の(b)の繰り返しは、翻訳溶液を(b)の事前反復と同一の種又は株の微生物体と複合させることを含む。例えば、複数のバリアント候補抗菌ぺプチド(例えば、バリアント候補バクテリオシン)を産生し、検査するための方法の複数回の反復は、(a)~(f)の1回のみの反復と比較して向上した微生物体に対する特性を有する遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、遺伝子操作バクテリオシン)をもたらし得る。一部の実施形態において、(c)を繰り返す。一部の実施形態において、(a)~(f)の(c)の繰り返しは、微生物体を(c)の事前反復と異なる溶液環境中で、及び/又は異なる培養条件下で培養することを含む。例えば、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を複数の溶液環境中で有効であるように遺伝子操作することが望まれることがある。一部の実施形態において、(a)~(f)の(c)の繰り返しは、微生物体を(c)の事前反復と同一の培養環境中で培養することを含む。
【0068】
[0069] 方法の一部の実施形態において、候補核酸は、DNAを含む。一部の実施形態において、方法は、候補核酸(例えば、DNA)を転写させることを含む。候補核酸は、本明細書に記載の転写溶液中で転写させることができる。一部の実施形態の方法において、翻訳溶液は、転写溶液を含み、翻訳溶液は、候補核酸(例えば、DNA)の転写及び翻訳のために構成されている。一部の実施形態の方法において、翻訳溶液は、翻訳試薬、例えば、リボソームを含む。一部の実施形態の方法において、翻訳溶液は、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む。一部の実施形態において、翻訳溶液は、基材をさらに含み、候補核酸は、基材に固定化されている。一部の実施形態の方法において、翻訳溶液及び/又は溶液環境は、マイクロリットルスケールである。一部の実施形態の方法において、翻訳溶液及び/又は溶液環境は、1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。一部の実施形態において、溶液環境は、微小液滴である。一部の実施形態の方法、キット、及び系において、溶液環境は、親水性である。一部の実施形態の方法、キット、及び系において、溶液環境は、疎水性である。一部の実施形態の方法、キット、及び系において、溶液環境は、ヒドロゲルを含む。一部の実施形態の方法、キット、及び系において、溶液環境は、親水性である。一部の実施形態の方法、キット、及び系において、溶液環境は、抗菌ぺプチドをコードする核酸を含むいかなる細胞も含まない。
【0069】
[0070] 一部の実施形態の方法、キット、及び系において、2つ以上の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を、選択培養条件下で微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するように同時遺伝子操作することがさらに企図される。方法の一部の実施形態において、候補核酸は、2つ以上の異なる候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードし、その結果、候補抗菌ぺプチドのカクテルがコードされる。例えば、2つ以上の異なる候補核酸は、それぞれ、それら自体のプロモーターを有し得、及び/又は下流の候補核酸はIRESを含有し得、及び/又は候補核酸は、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする配列間の2A若しくはタンパク質分解部位をコードする配列を含み得る。したがって、一部の実施形態の方法、系、及び/又はキットにおける溶液環境は、2つ以上の候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含み得る。さらに、バリアント核酸は、2つ以上の候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)、例えば、候補の両方の少なくとも1つのバリアントをコードし得る。したがって、2つ以上の抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を、選択培養条件下で微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するように同時遺伝子操作することができる。例えば、2つ以上の候補核酸を、相乗効果を有するように一緒に遺伝子操作することができる。一部の実施形態において、翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードする1つのみの候補核酸配列を含む。方法の一部の実施形態において、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、キメラタンパク質を含む。
【0070】
[0071] 方法の一部の実施形態において、候補核酸は、本明細書に記載の基材、例えば、ビーズ上に固定化されている。一部の実施形態の方法、系、及びキットに好適な基材の例としては、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、酢酸塩誘導体、マトリックス、細孔、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖、又は常磁性化合物が挙げられる。一部の実施形態において、方法は、候補核酸を基材上に固定化することを含む。一部の実施形態において、方法は、候補核酸が固定化されており、又は固定化されていた基材と同一又は異なる別の基材上に固定化されているバリアント核酸を産生することを含む。
【0071】
[0072] 方法の一部の実施形態において、候補核酸のライブラリーをスクリーニングする。例えば、ライブラリーの2つ以上の候補核酸は、並行してスクリーニングすることができ(例えば、異なるマイクロ流体デバイスにおいて、又は同一のマイクロ流体デバイスの異なる部分において)、及び/又は連続的にスクリーニングすることができる(例えば、同一のマイクロ流体デバイス上で、1度に1回)。一部の実施形態において、バリアント核酸の産生は、バリアント核酸のライブラリーを産生することを含み、方法は、バリアント核酸のライブラリーに対して(a)~(e)を実施することをさらに含む。例えば、いくつかの抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を同時に遺伝子操作することができ、又はいくつかのバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を同時に検査することができ、バリアント核酸の産生のために微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を生じさせるものを選択する。例として、一部の実施形態において、候補核酸(又はバリアント核酸)のライブラリーは、少なくとも5、10、100、500、1000、5000、10,000、50,000、100000個の候補核酸(又はバリアント核酸)を含む。
【0072】
[0073] 一部の実施形態において、方法は、本明細書に記載のマイクロ流体系中で実施する。
【0073】
抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するためのマイクロ流体系
[0074] マイクロ流体系は、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)が選択培養条件下で溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖を阻害するか否かを決定するため、並びに本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するために有用であり得る。一部の実施形態において、系の複数の構成要素は、一緒に機能して、工業、医薬品、又は生理学的(例えば、微生物叢)培養条件の1つ以上で検査される所望の活性を有する遺伝子操作抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を産生する。
【0074】
[0075] 一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するためのマイクロ流体系が提供される。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、候補核酸のインビトロ転写を実施するように構成されている転写ステーションを含む。転写ステーションは、転写試薬を含み得る。マイクロ流体系は、転写ステーションと流体連結されている翻訳ステーションをさらに含み得る。翻訳ステーションは、インビトロ翻訳を実施するように構成することができる。翻訳ステーションは、翻訳試薬をさらに含み得る。系は、翻訳ステーションと流体連結されており、微生物体を、微生物体、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補核酸、及び候補抗菌ぺプチドを含む溶液環境中で培養するように構成されている培養ステーションをさらに含み得る。培養は、本明細書に記載の選択培養条件下のものであり得る。系は、培養ステーションと流体連結されている検出器をさらに含み得る。検出器は、溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害(又はその欠落)を検出するように構成することができる。系は、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする核酸のバリアント核酸を産生するように構成されているバリアントステーションをさらに含み得る。バリアントステーションは、転写ステーションと流体連結されている。一部の実施形態において、バリアントステーションは、検出器と(直接又はプロセッサを介して)データ連結されている。したがって、系(例えば、プロセッサを介して)は、配列情報を微生物体についての成長及び/又は繁殖の阻害又はその欠落の検出に対して(例えば、プロセッサを介して)インデックス化するように構成することができる。
【0075】
[0076] 図2は、本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するための系200の模式図である。系は、本明細書に提供される転写ステーション210及び/又は翻訳ステーション220(単一転写/翻訳ステーションにより含めることができ、又は別個のステーションであり得る)を含み得る。翻訳ステーション220は、転写ステーション210と流体連結されていてよい。系は、本明細書に記載の培養ステーション240をさらに含み得る。培養ステーション240は、翻訳ステーション220と(例えば、直接、及び/又は転写ステーションを介して)流体連結されていてよい。系は、本明細書に記載の検出器250を含む。検出器250は、培養ステーション240と流体連結されていてよく、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出するように構成することができる。系は、転写ステーション210及び/又は翻訳ステーション220と流体連結されているバリアントステーション230をさらに含み得る。一部の実施形態において、バリアントステーションは、本明細書に記載のシーケンシングモジュールを含む。一部の実施形態の系は、プロセッサ260をさらに含む。一部の実施形態において、プロセッサ260は、検出器250及び/又はバリアントステーション230とデータ連結されている。例えば、プロセッサは、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の配列情報を本明細書に記載の微生物体についての成長及び/又は繁殖の阻害又はその欠落の検出に対してインデックス化するように構成することができる。一部の実施形態において、検出器250は、培養ステーション240中の溶液環境中の微生物体の成長又は繁殖の阻害を検出する。一部の実施形態において、検出器250は、培養ステーション240外部の位置において微生物体の成長又は繁殖の阻害を検出する。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、微小液滴系を含み、候補核酸、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)及び/又は微生物体を含む微小液滴を適用可能なステーションに移動させるように、及び/又は適用可能なステーションを微小液滴に移動させるように構成されている。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、マイクロ流体チャネル、例えば、マイクロ流体チャネルのネットワークを含む。
【0076】
[0077] 一部の実施形態において、転写ステーション、翻訳ステーション、培養ステーション、及び/又はバリアントステーションの2つ以上は、互いに離隔されている別々のチャンバー内に含まれる。一部の実施形態において、転写ステーション及び翻訳ステーションは、同一のステーションであり、又は互いに重複する(例えば、単一転写/翻訳ステーション)。一部の実施形態において、転写ステーション、翻訳ステーション、培養ステーション、及びバリアントステーションの2つ以上は、単一チャンバー内に含まれる。場合により、単一チャンバーは、第1の試薬のセットを放出し、続いて第1のセットと異なる第2の試薬のセットを受容するように構成することができ、その結果、単一位置を2つ以上の機能(例えば、転写及び翻訳、及び/又は培養及び検出)に使用することができる。
【0077】
転写ステーション
[0078] マイクロ流体系の一部の実施形態は、転写ステーションを含む。一部の実施形態において、転写ステーションは、インビトロ転写を実施するように構成されている。一部の実施形態において、転写ステーションは、本明細書に記載の転写溶液を含む。一部の実施形態において、転写ステーションは、1つ以上の転写試薬を含む。一部の実施形態において、転写ステーションは、単一転写/翻訳ステーションの一部である。一部の実施形態において、転写ステーションは、翻訳ステーションと同一のステーションである。一部の実施形態において、転写ステーションは、翻訳ステーションから離隔されており、例えば、壁部、障壁、弁などにより離隔されている。
【0078】
翻訳ステーション
[0079] 一部の実施形態のマイクロ流体系は、翻訳ステーションを含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補核酸のインビトロ翻訳を実施するように構成されている。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、本明細書に記載の翻訳溶液を含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、1つ以上の翻訳試薬を含む。一部の実施形態において、翻訳ステーションは、1つ以上の翻訳後修飾酵素を含む。
【0079】
[0080] 一部の実施形態において、翻訳ステーションは、例えば、バリアント核酸をバリアントステーション中の基材上で合成する場合、固定化されている候補核酸を含む基材と流体連結されている。一部の実施形態において、基材は、ビーズ、ナノ粒子、ウェル、膜、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン、酢酸塩誘導体、マトリックス、細孔、プラスチック、金属、ガラス、ポリマー、多糖、又は常磁性化合物を含む。
【0080】
[0081] 一部の実施形態において、翻訳ステーションは、マイクロリットルスケールであるチャンバー(例えば、インビトロ翻訳チャンバー)を含み、及び/又は溶液環境は、マイクロリットルスケールである。一部の実施形態において、翻訳ステーションのチャンバーは、約1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~100μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。
【0081】
[0082] 一部の実施形態において、翻訳ステーションは、異なる候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)の混合物を含む。
【0082】
培養ステーション
[0083] マイクロ流体系の一部の実施形態は、培養ステーションを含む。一部の実施形態において、培養ステーションは、1つ以上の微生物体を本明細書に記載の選択培養条件、例えば、工業プロセス、化学又は医薬品製造製造プロセス、発酵プロセス、及び/又は微生物叢(例えば、哺乳動物微生物叢)の条件下で培養環境中で培養するように構成されている。一部の実施形態において、培養ステーションは、本明細書に記載の溶液環境を含む。一部の実施形態において、培養ステーションは、微生物体を溶液環境中で培養するように構成されている。一部の実施形態において、溶液環境は、微生物体、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補核酸、及び候補抗菌ぺプチドを選択培養条件下で含む。
【0083】
[0084] 一部の実施形態において、培養ステーションの選択培養条件は、本明細書に記載の工業プロセス、医薬製造プロセス、又は微生物叢(例えば、哺乳動物微生物叢)の条件を含む。
【0084】
[0085] 一部の実施形態において、培養ステーション中の溶液環境は、約1μl~1000μl、1μl~50μl、1μl~500μl、1μl~900μl、50μl~100μl、50μl~500μl、50μl~1000μl、100μl~200μl、100μl~500μl、100μl~1000μl、200μl~500μl、200μl~1000μl、500μl~900μl、又は500μl~1000μlの容量を有する。一部の実施形態において、溶液環境は、微小液滴である。
【0085】
検出器
[0086] 一部の実施形態のマイクロ流体系は、本明細書に記載の検出器を含む。検出器は、本明細書に記載の溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を検出するように構成することができる。一部の実施形態において、検出器は、光学検出器、例えば、分光光度計を含む。分光光度計は、溶液環境中の微生物体の量(及び/又は量の変化の速度)を示し得る光学密度(例えば、OD600におけるもの)を計測するように構成することができる。一部の実施形態において、検出器は、カメラを含む。一部の実施形態において、検出器は、本明細書に記載の培養ステーションと流体連結されている。一部の実施形態において、検出器は、本明細書に記載の培養ステーション中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を検出するように構成されている。一部の実施形態において、検出器は、本明細書に記載の培養ステーション中の微生物体の成長及び/又は繁殖を検出するように構成されているが、培養ステーションと流体連結されていない。一部の実施形態において、検出器は、培養ステーション中の微生物体の成長及び/又は繁殖の欠落を検出するように構成されている。一部の実施形態において、検出器は、培養ステーション中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害、又はその欠落を検出するように構成されている。一部の実施形態において、検出器は、プロセッサと接続されている。
【0086】
バリアントステーション
[0087] 一部の実施形態のマイクロ流体系は、バリアントステーションを含む。一部の実施形態において、バリアントステーションは、本明細書に記載の候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードする核酸のバリアント核酸を産生するように構成されている。一部の実施形態において、バリアントステーションは、本明細書に記載のプロセッサとデータ連結されている。バリアントステーションは、微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害(又はその欠落)に対する候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の配列情報のインデックスに基づき、候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をバリアントをコードする選択バリアント核酸を産生し得る。インデックス化は、本明細書に記載のプロセッサにより実施することができる。一部の実施形態において、バリアントステーションは、バリアント核酸を産生するための突然変異誘発反応を実施するように構成されている。一部の実施形態において、バリアントステーションは、バリアント核酸を産生し得る縮重ポリメラーゼ、縮重プライマー、及び/又は縮重ヌクレオチドを含む。
【0087】
[0088] 一部の実施形態において、バリアントステーションは、候補核酸から配列情報を得るように構成されているシーケンシングモジュールを含む。シーケンシングモジュールは、本明細書に記載のシーケンシングを実施し得る。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、配列情報を溶液環境中の微生物体についての成長及び/又は繁殖の阻害又はその欠落の検出に対してインデックス化するように構成されている。一部の実施形態において、マイクロ流体系は、機械学習、例えば、自動機械学習によりインデックス化情報に基づきバリアント核酸の配列を選択するように構成されている。一部の実施形態において、プロセッサは、配列情報をインデックス化し、及び/又はバリアント核酸の配列を、(例えば、候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)のバリアントの選択配列に基づき選択するように構成されている。
【0088】
[0089] 一部の実施形態において、バリアントステーションは、検出器が溶液環境中の微生物体の成長及び/又は繁殖の阻害を検出する場合にのみ、バリアント核酸を産生する。
【0089】
キット
[0090] 一部の実施形態において、抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作するためのキットが提供される。一部の実施形態において、キットは、本明細書に記載の候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補核酸、及びマイクロ流体系を含む。一部の実施形態において、キットは、候補核酸のライブラリーを含む。一部の実施形態において、キットは、微生物体を含む。一部の実施形態において、キットは、キットを抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の遺伝子操作に使用することができる説明書をさらに含む。
【0090】
実施例1-所望の特性を有するバリアント抗菌ぺプチドのスクリーニング及び選択
[0091] 野生型ミクロシンVバクテリオシンをコードするヌクレオチド配列(配列番号65)の点突然変異を含む候補核酸のライブラリーを、以下の方法により遺伝子操作する。ライブラリーは、縮重DNAポリメラーゼにより配列番号65中の点突然変異を導入することにより調製する。ライブラリーのそれぞれの候補核酸は、配列番号65の点突然変異を含む。それぞれの候補核酸を、インビトロ転写及びインビトロ翻訳のための試薬を含む翻訳ステーション中でインビトロで転写及び翻訳させる。インビトロ転写及び翻訳が完了した後、それぞれの翻訳溶液は、候補抗菌ぺプチド(すなわち、ミクロシンVのバリアント)を含む約10μlの容量の微小液滴である。
【0091】
[0092] 候補抗菌ぺプチドを含むそれぞれの翻訳溶液を、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)が植菌されたマイクロリットルスケールの溶液環境と複合させる。溶液環境は、チキンブロスの産生に含まれる工業プロセスを模倣するように設計し、室温及び7.2のpHにおいてチキンブロスと、チキンブロスに特有の保存剤及び添加剤を含有する。複合させたら、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)及び候補抗菌ぺプチドを含有するマイクロリットルスケールの溶液環境は、約500μlの容量を有する微小液滴である。
【0092】
[0093] 溶液環境は、室温において24時間インキュベートする。インキュベーション期間の間、分光光度計を使用してサルモネラ属(Salmonella)成長をモニタリングし、サルモネラ属(Salmonella)密度の最終計測値をインキュベーション期間の終了時に決定する。計測値は、OD600における分光光度計による読取値を含む。それぞれの溶液環境中のサルモネラ属(Salmonella)成長速度を、いかなる点突然変異も有さない野生型ミクロシンV抗菌ぺプチド(配列番号65によりコードされる)を含む対照溶液環境中のサルモネラ属(Salmonella)成長と比較する。対照溶液環境の50%以下のサルモネラ属(Salmonella)成長速度を有する溶液環境中の候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)をコードする候補核酸。
【0093】
[0094] 選択候補核酸を、縮重DNAポリメラーゼによりPCRにより増幅させてバリアント核酸を産生する。次いで、バリアント核酸をインビトロで転写及び翻訳させ、バリアント核酸のインビトロ転写及び翻訳により産生されたバリアント抗菌ぺプチド(バリアントバクテリオシン)を、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)及びチキンブロスを含有する溶液環境と複合させる。バリアント核酸及びバリアント抗菌ぺプチド(バリアントバクテリオシン)は、別のスクリーニング選択のラウンドにおいて候補核酸及び候補抗菌ぺプチド(候補バクテリオシン)とみなす。別のスクリーニング選択のラウンドにおいて、新たな候補抗菌ぺプチドを含有する溶液環境をインキュベートし、事前の候補抗菌ぺプチド(例えば、候補バクテリオシン)を含有する事前の溶液環境と同様にサルモネラ属(Salmonella)成長をモニタリングし、サルモネラ属(Salmonella)成長を最も(例えば、対照野生型ミクロシンVバクテリオシンと比較して少なくとも75%だけ)制限する新たな候補抗菌ぺプチド(候補バクテリオシン)を選択する。この方法により、ミクロシンVバクテリオシンを、サルモネラ属(Salmonella)成長をより有効に阻害するように遺伝子操作する。所望により、バリアントの作製、並びにスクリーニング及び選択のより多数のラウンドを実施して抗菌ぺプチド(バクテリオシン)をさらに遺伝子操作し、その特性を向上させる。
【0094】
実施例2-機械学習による抗菌ぺプチドの遺伝子操作
[0095] 実施例1のものと同様の方法を使用してミクロシンVバクテリオシンの点突然変異を含む候補核酸のライブラリーを遺伝子操作するが、但し、機械学習を使用してバクテリオシンを選択し、改変する。さらに、それぞれの候補核酸のヌクレオチド配列をDNAシーケンシングにより得る。
【0095】
[0096] ライブラリーをスクリーニングし、候補抗菌ぺプチド(候補バクテリオシン)を含むそれぞれの溶液環境中でサルモネラ属(Salmonella)成長を計測する。プロセッサは、それぞれの溶液環境中のサルモネラ属(Salmonella)成長に関する情報をデータベース中で保存する。成長阻害に関する情報をそれぞれの候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)について、それがサルモネラ属(Salmonella)に対して付与した成長阻害の量とは無関係に保存する。保存された情報をプロセッサにより集計し、ミクロシンV中のそれぞれの点突然変異についての配列情報とインデックス化する。プロセッサによるインデックス化は、それぞれの点突然変異をその点突然変異体についての成長阻害の検出されたレベル(又はその欠落)と関連付ける。プロセッサは、構造機能相関付けを実施して、サルモネラ属(Salmonella)の成長及び/又は繁殖の阻害を生じさせた点突然変異を選択する一方、生じさせなかったものを回避する。したがって、プロセッサは、さらなるスクリーニングの反復において検査すべき候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)のバリアント、及びバリアント核酸の対応する配列を選択する。バリアント核酸の一部は、複数の点突然変異を含む。したがって、プロセッサは、自動機械学習により候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)配列を選択する。
【0096】
[0097] 次いで、機械学習を介してプロセッサにより設計された配列を用いてバリアント核酸を化学合成し、インビトロで転写及び翻訳させてバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を産生する。インビトロ転写及び翻訳により産生されたバリアント抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)は、サルモネラ属(Salmonella)を含有する溶液環境中でスクリーニングする。サルモネラ属(Salmonella)成長をモニタリングし、プロセッサは、それぞれのバリアントについての成長阻害情報に対するバリアント配列のインデックス化に基づき構造機能分析を再度実施する。第1の分析からの情報を使用してこの第2の構造機能分析の情報を与え、したがって、プロセッサは、溶液環境中のサルモネラ属(Salmonella)成長の阻害のための最適化配列を学習する。したがって、プロセッサは、工業関連プロセスの培養条件下で溶液環境中のサルモネラ属(Salmonella)成長を阻害するように遺伝子操作される新たな候補抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)を遺伝子操作する。
【0097】
実施例3-バリアント抗菌ぺプチドのスクリーニング及び選択のための微小液滴装置
[0098] マイクロ流体系を含有するキットが提供される。マイクロ流体系は、第1の微小液滴中のビーズ上で候補抗菌ぺプチド、例えば、候補バクテリオシン)をコードする候補核酸のインビトロ転写及び翻訳を実施するように構成されている微小液滴装置を含む。微小液滴装置は、第1の微小液滴(翻訳された候補抗菌ぺプチド、例えば、候補バクテリオシンを含有する)を、細菌を含む第2の微小液滴と接触させるように構成されている。第1の微小液滴と第2の微小液滴との接触は、第1及び第2の微小液滴の複合含有物を含む培養環境を含む複合微小液滴を産生する。マイクロ流体装置は、第3の微小液滴を選択培養条件(例えば、37℃において14時間)下で一定期間培養するように構成されている。微小液滴デバイスは、第3の微小液滴中の細菌の繁殖、又はその欠落を計測するように構成されている検出器を含む。微小液滴デバイスは、検出された繁殖、又はその欠落に関する情報を受容し、処理するように構成されているプロセッサを含む。したがって、マイクロ流体系は、本明細書の一部の実施形態による抗菌ぺプチド(例えば、バクテリオシン)の遺伝子操作に好適である。
【0098】
[0099] 本明細書に記載の実施形態の少なくとも一部において、ある実施形態において使用される1つ以上の要素は、そのような置き換えが技術的に実現可能でない限り、別の実施形態において交換可能に使用することができる。特許請求される主題の範囲を逸脱することなく本明細書に記載の方法及び構造に対して種々の他の省略、追加及び改変を行うことができることが当業者により認識される。全てのこのような改変及び変更は、添付の特許請求の範囲により定義される主題の範囲内に収まるものとする。
【0099】
[0100] 本明細書の実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に合わせて適宜、複数形から単数形に、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。種々の単数形/複数形の並べ替えが、明確性のために本明細書に明示的に記載され得る。
【0100】
[0101] 一般に、本明細書、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)において使用される用語は、一般に「オープン」な用語と意図されることが当業者により理解される(例えば、用語「例として(including)」は、「例として、限定されるものではないが、」と解釈すべきであり、用語「有する(having)」は、「~を少なくとも有する」と解釈すべきであり、用語「例としては、~が挙げられる(includes)」は、「例としては、限定されるものではないが、~が挙げられる」と解釈すべきである、など)。規定数の導入される特許請求の範囲の記述が意図される場合、そのような意図は、特許請求の範囲に明示的に記述され、そのような記述の不存在下ではそのような意図は存在しないことが当業者によりさらに理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記述を導入するための導入語句「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」の使用を含有し得る。しかしながら、このような語句の使用は、同一の特許請求の範囲が導入語句「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」及び不定冠詞、例えば、「a」又は「an」を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求の範囲の記述の導入が、そのような導入される特許請求の範囲の記述を含有する任意の特定の特許請求の範囲を、1つのそのような記述のみを含有する実施形態に限定することを意味すると解釈すべきでなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味することを解釈すべきである);同じことは、特許請求の範囲の記述を導入するために使用される定冠詞の使用に当てはまる。さらに、規定数の導入される特許請求の範囲の記述が明示的に記述される場合であっても、当業者は、そのような記述が少なくとも記述された数を意味する(例えば、「2つの記述」のそのままの記述は、他の修飾語がない場合、少なくとも2つの記述、又は2つ以上の記述を意味する)と解釈すべきであることを認識する。さらに、「A、B、及びCなどの少なくとも1つ」と同様の慣習が使用される例において、一般に、そのような解釈は、当業者がその慣習を理解する意味において意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有する系」としては、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B、及びCを一緒に有する系が挙げられる、など)。「A、B、又はCの少なくとも1つ、など」と同様の慣習が使用される例において、一般に、そのような解釈は、当業者がその慣習を理解する意味において意図される(例えば、A、B、及びCの少なくとも1つを有する系」としては、限定されるものではないが、A単独、B単独、C単独、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、及び/又はA、B、及びCを一緒に有する系が挙げられる、など)。2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は語句は、詳細な説明、特許請求の範囲、又は図面にかかわらず、その用語の1つ、その用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解すべきことが当業者によりさらに理解される。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0101】
[0102] さらに、本開示の特徴部又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示がそれによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバー又は下位群のメンバーに関しても記載されることを認識する。
【0102】
[0103] 当業者により理解されるとおり、任意の及び全ての目的のため、例えば、記述される説明の提供に関して、本明細書に開示される全ての範囲は、任意の及び全ての考えられる下位範囲及びそれらの下位範囲の組合せも包含する。任意の列記範囲は、同一の範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分けられることを十分に記載し、且つ実施可能とするとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書に考察されるそれぞれの範囲は、下位3分の1、中位3分の1及び上位3分の1などに容易に分けることができる。当業者によりさらに理解されるとおり、全ての言語、例えば、「まで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「未満」などは、記述される数字を含み、続いて本明細書に考察される下位範囲に分けることができる範囲を指す。最後に、当業者により理解されるとおり、範囲は、それぞれの個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3つの項目を有する群は、1、2、又は3つの項目を有する群を指す。同様に、1~5つの項目を有する群は、1、2、3、4、又は5つの項目を有する群を指す、などである。
【0103】
[0104] 種々の態様及び実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が当業者に明らかである。本明細書に開示される種々の態様及び実施形態は、説明の目的のためのものであり、限定的なものではなく、真の範囲及び主旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
図1
図2
【配列表】
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