IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7550659電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム
<>
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図1
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図2
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図3
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図4
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図5
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図6
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図7
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図8
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図9
  • 特許-電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システム
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/68 20060101AFI20240906BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240906BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20240906BHJP
【FI】
B03C3/68 A
F24F7/007 B
F24F11/52
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021003766
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108654
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】山根 典嗣
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-147181(JP,A)
【文献】特開2011-224517(JP,A)
【文献】特開平11-347450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
F24F 7/007
F24F 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の放電電極と、
前記放電電極間に放電を発生させることが可能な電圧を生成する高圧電源部と、
前記放電電極間に前記電圧が印加されることで形成される放電空間を通過して帯電された塵埃を捕集する集塵フィルタと、
前記高圧電源部と前記放電電極との電気的な接続を開閉可能な開閉部と、
前記高圧電源部に流れる電流値を計測する電流計測部と、
前記高圧電源部および前記開閉部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電流計測部で計測される第1電流値が予め定められた閾値よりも大きい場合に前記放電電極または前記高圧電源部の異常であると判定し、異常がある場合に、前記開閉部を開いた状態で前記高圧電源部を駆動することによって前記電流計測部で計測される第2電流値を用いて、前記高圧電源部の異常か前記放電電極の異常かを判定し、前記異常の内容を含む通知情報を出力することを特徴とする電気集塵機。
【請求項2】
前記制御部は、前記開閉部を開いた状態で前記高圧電源部を駆動することによって得られる前記第2電流値が前記閾値よりも大きい場合に、前記高圧電源部の異常と判定し、前記第2電流値が前記閾値未満の場合に、前記放電電極の異常であると判定することを特徴とする請求項に記載の電気集塵機。
【請求項3】
吸気口と、排気口と、前記吸気口と前記排気口とを連通する風路と、を有する本体ケースと、
前記本体ケースに設けられ、前記吸気口から室内空気を取り込み、前記排気口から前記室内空気を排出する送風機と、
前記風路に設けられ、前記吸気口から取り込んだ前記室内空気の塵埃を捕集する請求項1または2に記載の電気集塵機と、
前記電気集塵機の前記制御部によって出力される前記通知情報を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする空気清浄機。
【請求項4】
一対の放電電極と、前記放電電極間に放電を発生させることが可能な電圧を生成する高圧電源部と、前記放電電極間に前記電圧が印加されることで形成される放電空間を通過して帯電された塵埃を捕集する集塵フィルタと、前記高圧電源部に流れる電流値を計測する電流計測部と、を有する複数の電気集塵機と、
全ての前記電気集塵機の前記高圧電源部が他の全ての前記電気集塵機の前記放電電極と電気的に接続可能な状態と、接続されていない状態と、を切り換え可能な開閉部と、
各前記高圧電源部および前記開閉部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記電流計測部で計測される予め定められた閾値よりも大きい第1電流値が1つ以上ある場合に、前記第1電流値が閾値よりも大きくなった前記電気集塵機が異常であると判定し、異常がある場合に、前記開閉部を閉じた状態で、異常であると判定された前記電気集塵機の前記高圧電源部を停止し、他の前記電気集塵機の前記高圧電源部を駆動することによって前記電流計測部で計測される第2電流値を用いて、異常であると判定された前記電気集塵機に含まれる前記高圧電源部の異常か前記放電電極の異常かを判定し、前記異常の内容を含む通知情報を出力することを特徴とする電気集塵システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記開閉部を閉じた状態で他の前記電気集塵機の前記高圧電源部を駆動することによって得られる前記第2電流値が前記閾値よりも大きい場合に、異常であると判定された前記電気集塵機の前記放電電極の異常であると判定し、前記第2電流値が前記閾値未満である場合に、異常であると判定された前記電気集塵機の前記高圧電源部の異常であると判定することを特徴とする請求項に記載の電気集塵システム。
【請求項6】
吸気口と、排気口と、前記吸気口と前記排気口とを連通する風路と、前記吸気口から室内空気を取り込み、前記風路を介して前記排気口から前記室内空気を排出する送風機と、を有する複数の本体ケースと、
前記風路のそれぞれに設けられる前記電気集塵機により前記吸気口から取り込んだ前記室内空気の塵埃を捕集する請求項4または5に記載の電気集塵システムと、
前記電気集塵システムの前記制御部によって出力される前記通知情報を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする空気清浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放電電極間に電圧を印加して形成される放電空間を通過した塵埃を帯電させることによって捕集する電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機の集塵方法の一つに、電気集塵機を用いるものがある。電気集塵機は、高圧電源装置と、金属性の一対の放電電極と、集塵フィルタと、を備える。電気集塵機では、高圧電源装置で生成した例えば10kV程度の高電圧を放電電極間に印加することで放電空間を形成し、放電空間を通過する空気中の塵埃をプラスまたはマイナスに帯電させる。そして、集塵フィルタを通過する際に、帯電した塵埃をクーロン力で吸着して捕集する。集塵フィルタは、アース電位または塵埃と反対の電位に帯電させている場合もある。
【0003】
電気集塵機において、高圧電源装置の出力部が絶縁破壊を起こすことなどによって短絡故障した場合、あるいは放電電極への異物付着などによって放電電極間の抵抗値が著しく低下した場合には、放電電極間に放電空間を形成することができなくなる。この結果、電気集塵機では、集塵機能を発揮できないだけではなく、過電流が流れて危険な状態となる。そこで、特許文献1には、電気集塵機の高圧電源装置の出力部または放電電極間が短絡して過電流検知装置によって過電流が検知されると、高圧電源装置による高電圧の生成を停止し、使用者へ異常を通知する空気調和機が開示されている。
【0004】
なお、放電電極に付着する異物は、空気中の粉塵、有機物質などであり、これらが放電電極を保持する絶縁材料の部品に付着し、空気中の水分を吸収すると、絶縁材料の部品の表面に抵抗値の低い部分が形成される。絶縁材料の部品は放電電極の両極間をつなぐように配置されるため、放電電極間に高電圧が印加されると、抵抗値の低い部分を介して電流が流れ、放電電極間が短絡したときと同様の状態となる。放電電極間には例えば10kV程度の高電圧が印加されているため、わずかな抵抗値の低下でも過電流が流れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-147181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、電気集塵機の過電流を検知した場合の異常の通知は、過電流を検知したことを示すだけであり、過電流の内容が高圧電源装置の短絡故障によるものなのか、または放電電極への異物付着などによる放電電極間の抵抗値の低下によるものなのか、を判別することができないという問題があった。このため、異常の通知を受けた使用者は、過電流を検知したことについて適切な対応をとることができない可能性があった。つまり、使用者は、電気集塵機の異常の内容を知ることができないので、勘違いによる過電流の検知への誤った対応の結果、使用者に不利益をもたらす可能性があるという問題があった。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電気集塵機の過電流の内容を適切に使用者に通知することができる電気集塵機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の電気集塵機は、一対の放電電極と、放電電極間に放電を発生させることが可能な電圧を生成する高圧電源部と、放電電極間に電圧が印加されることで形成される放電空間を通過して帯電された塵埃を捕集する集塵フィルタと、高圧電源部と放電電極との電気的な接続を開閉可能な開閉部と、高圧電源部に流れる電流値を計測する電流計測部と、高圧電源部および開閉部を制御する制御部と、を備える。制御部は、電流計測部で計測される第1電流値が予め定められた閾値よりも大きい場合に放電電極または高圧電源部の異常であると判定し、異常がある場合に、開閉部を開いた状態で高圧電源部を駆動することによって電流計測部で計測される第2電流値を用いて、高圧電源部の異常か放電電極の異常かを判定し、異常の内容を含む通知情報を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電気集塵機の過電流の内容を適切に使用者に通知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1による空気清浄機の構成の一例を示す断面図
図2】実施の形態1による空気清浄機における制御部による電気集塵機の制御の一例を示すブロック図
図3】実施の形態1による電気集塵機の制御部による過電流の内容判定処理の一例を示すフローチャート
図4】実施の形態1による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の一例を示す図
図5】実施の形態2による空気清浄システムの構成の一例を示すブロック図
図6】実施の形態2による電気集塵システムにおける制御部による電気集塵機の制御の一例を示すブロック図
図7】実施の形態2による空気清浄システムにおける制御部の過電流の内容判定処理の手順の一例を示すフローチャート
図8】実施の形態2による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の一例を示す図
図9】実施の形態2による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の他の例を示す図
図10】実施の形態1,2による制御部を実現するハードウェア構成の一例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態にかかる電気集塵機、空気清浄機、電気集塵システムおよび空気清浄システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による空気清浄機の構成の一例を示す断面図である。空気清浄機1は、送風機11と、吸気口12と、排気口13と、風路14と、電気集塵機15と、リモートコントローラ16と、制御部17と、を備える。以下では、リモートコントローラ16は、リモコン16と称される。送風機11、風路14および電気集塵機15は、本体ケース18内に収められる。
【0013】
送風機11は、軸に複数の羽根が設けられる回転可能な羽根車11aと、羽根車11aの軸に接続され、羽根車11aを回転させる電動機11bと、を有する。吸気口12は、本体ケース18に設けられ、羽根車11aが回転することによって室内空気を取り込む開口である。排気口13は、本体ケース18に設けられ、電気集塵機15によって清浄化された室内空気を室内へ供給する開口である。風路14は、吸気口12と排気口13とを連通し、吸気口12から取り込んだ室内空気を排気口13まで導く、本体ケース18内に設けられる室内空気が流れる通路である。送風機11は、吸気口12から室内空気を取り込み、風路14を介して排気口13から室内空気を排出する。
【0014】
電気集塵機15は、風路14に配置され、吸気口12から取り込んだ室内空気に対して電気集塵を行って清浄化する装置である。一例では、電気集塵機15は、風路14の吸気口12から見て送風機11よりも下流側に配置される。電気集塵機15は、放電電極151と、高圧電源装置152と、電流計測部153と、開閉部154と、を備える。
【0015】
放電電極151は、一対の導電性材料からなる。放電電極151間に高圧電源装置152から電圧が印加されることで、放電電極151間には放電空間が形成される。高圧電源装置152は、放電電極151間に放電を発生させることが可能な電圧を生成し、放電電極151に電圧を印加する。この明細書で、高圧電源装置152によって生成される電圧は、数kV以上の電圧であり、一般の商用電源電圧に比して高いので、高電圧と称されることがある。また、以下で示される高圧電源装置152で生成される電圧値は一例である。高圧電源装置152は、高圧電源部に対応する。電流計測部153は、高圧電源装置152から出力される電流の値である電流値を計測し、計測した電流値を電流情報として制御部17に出力する。開閉部154は、高圧電源装置152と放電電極151との電気的な接続を開閉する。開閉部154の一例は、リレーである。
【0016】
リモコン16は、使用者が空気清浄機1を遠隔操作する際のインタフェースとなる装置である。リモコン16は、使用者からの操作指令を制御部17に通知する。また、リモコン16は、制御部17から受信した空気清浄機1の運転状態の表示、および修理交換または清掃の必要の有無を含む情報を表示するディスプレイ161を有する。ディスプレイ161は、通知部の一例である。
【0017】
制御部17は、リモコン16からの操作指令、および電流計測部153からの電流情報に基づいて、送風機11と高圧電源装置152と開閉部154とを制御し、リモコン16へディスプレイ161に表示する内容を指示する。制御部17は、電気集塵機15を含む空気清浄機1を制御するものであるが、空気清浄機1に設けられていてもよいし、電気集塵機15に設けられていてもよい。また、制御部17のうち、電気集塵機15を制御する部分は別の制御部として電気集塵機15に設けられてもよい。
【0018】
なお、図1に示される空気清浄機1は、送風機11を搭載しているが、送風機11を搭載せずに、別の機器からの送風または自然風によって空気を取り込む構造としてもよい。また、空気清浄機1は、吸気口12、排気口13、風路14およびリモコン16が設けられず、電気集塵機15および制御部17と、使用者へ修理交換または清掃の必要の有無を通知する通知部と、を備える構成であってもよい。
【0019】
この場合、通知部が、使用者へ修理交換または清掃の必要の有無を、メールなどの方法によって通知してもよいし、音声またはLED(Light Emitting Diode)などの聴覚または視覚を通じた方法によって通知してもよい。例えば通知部がLEDである場合には、修理交換が必要な場合と清掃が必要な場合とで、1回点滅または2回点滅などの異なる点滅表示とし、それぞれの点滅表示に対する対応方法を取り扱い説明書に記載しておく方法がある。
【0020】
ここで、電気集塵機15の動作の概要について説明する。放電電極151は、高圧電源装置152で生成される高電圧が印加される金属性のプラス電極と、アース電位と同等電位となる金属性のアース電極と、を有する。高圧電源装置152から放電電極151に例えば10kVの高電圧が印加されると、放電電極151のプラス電極とアース電極との間に放電空間が形成される。電気集塵機15は、風路14内に配置されるので、吸気口12から吸い込まれた塵埃を有する空気の流れである空気流が放電電極151間の放電空間を通過する。これによって、放電空間を通過する塵埃を帯電させることができる。また、電気集塵機15は、放電空間に対し風路14の後段にアース電位と同等電位となる導電性の図示しない集塵フィルタを備える。帯電した塵埃は、アース電位とされた集塵フィルタにクーロン力で吸着させて集塵される。
【0021】
図2は、実施の形態1による空気清浄機における制御部による電気集塵機の制御の一例を示すブロック図である。電流計測部153は、高圧電源装置152から出力される電流値を、抵抗を用いて電圧に変換し、変換した結果を電流情報として制御部17へ送信する。制御部17は、電流計測部153から出力される電流情報を受け取りながら、高圧電源装置152の運転制御と、開閉部154の開閉制御と、を行っている。制御部17は、電流計測部153から送られてくる電流情報から得られる高圧電源装置152の電流値である第1電流値を用いて、放電電極151および高圧電源装置152を含む判定対象の異常の有無を判定する。具体的には、制御部17は、第1電流値が予め定められた閾値以上となった場合に異常、すなわち過電流と判定する。電気集塵機15において過電流となる原因には、上記したように、高圧電源装置152の短絡故障と、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下と、がある。
【0022】
そこで、実施の形態1では、制御部17は、過電流の原因がいずれによるものであるかを判定する処理をさらに実行し、判定結果である過電流の原因の内容を使用者に通知する。具体的には、制御部17は、過電流と判定した場合に、開閉部154をオープン、すなわち開状態とし、この状態で電流計測部153からの電流情報から得られる高圧電源装置152の電流値である第2電流値が閾値以上であるか否かを判定する。制御部17は、第2電流値が閾値以上である場合には、異常の内容が高圧電源装置152の短絡故障であると判定し、高圧電源装置152の修理交換が必要なことを示す通知情報を通知する。また、制御部17は、第2電流値が閾値未満である場合には高圧電源装置152は正常であり、異常の内容が放電電極151への異物付着による放電電極151間の抵抗値の低下であると判定し、放電電極151の清掃が必要なことを示す通知情報を通知する。このように、制御部17は、異常が放電電極151で発生したのか、高圧電源装置152で発生したのかを示す異常の内容を出力する。異常の内容としては、異常の発生に対して行う処理内容、この場合には、放電電極151の清掃または高圧電源装置152の修理交換の実行を促す内容であってもよい。
【0023】
以下では、制御部17による過電流の内容の判定と、使用者への通知の処理の詳細について説明する。図3は、実施の形態1による電気集塵機の制御部による過電流の内容判定処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、電気集塵機15は、開閉部154を短絡、すなわち閉状態とさせて、高圧電源装置152を駆動させている状態であるとする。
【0024】
まず、制御部17は、電流計測部153から電流情報を受信し(ステップS11)、電流情報から得られる高圧電源装置152の第1電流値が閾値以上であるかを判定する(ステップS12)。第1電流値が閾値以上ではない場合(ステップS12でNoの場合)には、過電流が生じておらず、正常に電気集塵している正常状態であるため、ステップS11に処理が戻る。
【0025】
第1電流値が閾値以上である場合(ステップS12でYesの場合)には、過電流が発生している状態である。このため、制御部17は、高圧電源装置152を停止させ(ステップS13)、開閉部154をオープンにする(ステップS14)。なお、ステップS12で、制御部17は、第1電流値が閾値と等しい場合に、過電流が発生しているとしているが、過電流が生じておらず、正常に電気集塵している正常状態であると判定してもよい。
【0026】
ついで、制御部17は、高圧電源装置152を再度駆動させる(ステップS15)。このとき、開閉部154はオープンにされているので、高圧電源装置152から出力された電圧は、放電電極151に印加されない。その後、制御部17は、電流計測部153から電流情報を受信し(ステップS16)、電流情報から得られる高圧電源装置152の第2電流値が閾値以上であるかを判定する(ステップS17)。第2電流値が閾値以上である場合(ステップS17でYesの場合)には、制御部17は、高圧電源装置152が短絡故障していると判定し(ステップS18)、高圧電源装置152の修理交換が必要なことを示す通知情報をリモコン16に送信する(ステップS19)。これによって、リモコン16のディスプレイ161には、制御部17から受信した通知情報が表示される。そして、処理が終了する。
【0027】
一方、第2電流値が閾値以上ではない場合(ステップS17でNoの場合)には、高圧電源装置152は正常であり、放電電極151の抵抗値が低下している場合である。この場合には、制御部17は、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下が発生していると判定し(ステップS20)、放電電極151の清掃が必要なことを示す通知情報をリモコン16に送信する(ステップS21)。これによって、リモコン16のディスプレイ161には、制御部17から受信した通知情報が表示される。そして、処理が終了する。なお、ステップS17で、制御部17は、第2電流値が閾値と等しい場合に、高圧電源装置152が短絡故障していると判定しているが、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下が発生していると判定してもよい。
【0028】
図4は、実施の形態1による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の一例を示す図である。図4に示されるように、第1電流値が正常である場合には、制御部17は、高圧電源装置152を駆動した状態とし、開閉部154を短絡とした状態で制御部17は運転を継続する。この場合、過電流は発生していない正常状態であるので、使用者への通知も行われない。
【0029】
一方、第1電流値が異常である場合には、制御部17は、高圧電源装置152を停止させ、開閉部154の接点をオープンにした後、高圧電源装置152を再駆動する。その後、第2電流値が異常である場合には、制御部17は、異常箇所が高圧電源装置152であると判定し、高圧電源装置152の修理交換を促す通知情報を使用者に通知する。また、第2電流値が正常である場合には、制御部17は、異常箇所が放電電極151であると判定し、放電電極151の清掃を促す通知情報を使用者に通知する。
【0030】
以上のように、実施の形態1では、電気集塵機15は、高圧電源装置152の出力電流を計測する電流計測部153と、高圧電源装置152と放電電極151との間の電気的な接続を開閉する開閉部154と、制御部17と、を備える。制御部17は、電流計測部153で計測された第1電流値が閾値よりも大きい場合に、高圧電源装置152を停止させ、開閉部154の接点をオープンにした後、高圧電源装置152を再駆動させ、このとき得られる電流計測部153で計測された第2電流値を用いて、過電流の内容が高圧電源装置152の短絡故障であるのか、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下であるのか、を判定し、判定した結果を使用者に通知する。これにより、電気集塵機15で生じた過電流の内容が、高圧電源装置152の短絡故障および放電電極151の抵抗値の低下のいずれであるのかを使用者が認識でき、それぞれに対して適切な対応を使用者に通知することが可能となる。つまり、過電流の検出時に使用者が間違った対応を取ることがない。この結果、電気集塵機15が異常と判定されてから復旧するまでの時間を短縮することができる。
【0031】
例えば、従来では、過電流が発生した場合には、高圧電源装置152の短絡故障なのか、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下なのか、が不明であったため、高圧電源装置152の故障にもかかわらず、放電電極151を清掃してしまう可能性があった。この場合、放電電極151を清掃した後、電気集塵機15を再運転するが、過電流が再度検知され、異常が通知され、使用者は、結局は高圧電源装置152の修理交換をすることになる。逆に、放電電極151への異物付着による抵抗値の低下にもかかわらず、高圧電源装置152の修理交換を行ってしまうと、修理交換後も過電流が発生するため、放電電極151を清掃することになる。この場合、先に行った高圧電源装置152の修理交換に要する費用が不要の出費となってしまう。
【0032】
一方、実施の形態1による電気集塵機15によれば、例えば、高圧電源装置152が故障している場合は、使用者に対して高圧電源装置152の修理交換が必要なことが通知される。これによって、使用者が放電電極151の清掃を行うなどの間違った対応をすることがなく、高圧電源装置152の修理交換のための動作を行うので、従来に比して復旧までの時間を短くすることができる。また、放電電極151の抵抗値が低下している場合は、使用者へ放電電極151の清掃が必要であることが通知される。これによって、使用者が高圧電源装置152の修理交換を行うなどの間違った対応をすることがなく、間違った対応による不要な費用の発生を抑制することができる。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態2では、複数の空気清浄機1を有する空気清浄システム10について説明する。図5は、実施の形態2による空気清浄システムの構成の一例を示すブロック図である。空気清浄システム10は、複数の送風機11-1,11-2,11-3と、電気集塵システム150と、リモコン16と、本体ケース18-1,18-2,18-3と、を備える。電気集塵システム150は、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3と、制御部17と、を有する。送風機11-1と電気集塵機15-1とは、本体ケース18-1に収容され、送風機11-2と電気集塵機15-2とは、本体ケース18-2に収容され、送風機11-3と電気集塵機15-3とは、本体ケース18-3に収容される。なお、実施の形態1と同一の構成要素には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
送風機11-1,11-2,11-3は、実施の形態1で説明した送風機11と同じ構成を有する。電気集塵機15-1,15-2,15-3は、実施の形態1で説明した電気集塵機15と同じ構成を有する。本体ケース18-1,18-2,18-3は、実施の形態1で説明した本体ケース18と同じ構成を有する。送風機11-1,11-2,11-3は、それぞれ図示しない異なる吸気口から室内空気を吸込み、電気集塵機15―1,15-2,15-3で集塵された空気を図示しない排気口から室内に供給する。つまり、電気集塵機15―1は、送風機11-1によって吸い込まれた室内空気における集塵を行い、電気集塵機15―2は、送風機11-2によって吸い込まれた室内空気における集塵を行い、電気集塵機15―3は、送風機11-3によって吸い込まれた室内空気における集塵を行う。制御部17は、それぞれの電気集塵機15-1,15-2,15-3の各高圧電源装置152および開閉部154を制御する。
【0035】
図6は、実施の形態2による電気集塵システムにおける制御部による電気集塵機の制御の一例を示すブロック図である。電気集塵機15-1,15-2,15-3のそれぞれは、放電電極151-1,151-2,151-3と、高圧電源装置152-1,152-2,152-3と、電流計測部153-1,153-2,153-3と、を備える。放電電極151-1,151-2,151-3は、実施の形態1の放電電極151と同じ構成を有する。高圧電源装置152-1,152-2,152-3は、実施の形態1の高圧電源装置152と同じ構成を有する。電流計測部153-1,153-2,153-3は、実施の形態1の電流計測部153と同じ構成を有する。
【0036】
実施の形態2では、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3で1つの開閉部20が設けられる。開閉部20の一例は、リレーである。図6に示されるように、電気集塵システム150には、高圧電源装置152と放電電極151との組が複数存在するが、複数の組の全てにおいて、高圧電源装置152と放電電極151との間の電気的接続を開閉できる位置に開閉部20が配置されている。つまり、開閉部20が短絡している場合には、全ての組の高圧電源装置152-1,152-2,152-3と放電電極151-1,151-2,151-3とが短絡し、開閉部20がオープンの場合には、電気集塵機15-1,15-2,15-3間が電気的に接続されていないオープンな状態となる。以下では、実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0037】
なお、図5および図6では、空気清浄システム10および電気集塵システム150が、3台の電気集塵機15-1,15-2,15-3を備える場合が示されているが、空気清浄システム10および電気集塵システム150が2台または4台以上の電気集塵機15を備える場合でも、制御部17による制御内容は同様である。
【0038】
実施の形態2では、制御部17は、電流計測部153-1,153-2,153-3から送られてくる電流情報を受け取りながら、高圧電源装置152-1,152-2,152-3の運転制御と、開閉部20の開閉制御と、を行っている。
【0039】
図7は、実施の形態2による空気清浄システムにおける制御部の過電流の内容判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、制御部17は、各電流計測部153-1,153-2,153-3から送られてくる電流情報から得られる各高圧電源装置152-1,152-2,152-3の電流値が閾値未満であり、開閉部20をオープンさせている状態で、各高圧電源装置152-1,152-2,152-3を駆動させているものとする。つまり、空気清浄システム10が正常に電気集塵している正常状態である。なお、以下では、放電電極151-1,151-2,151-3のうち、特定できないいずれかの放電電極を示す場合には、放電電極151と表記する。高圧電源装置152-1,152-2,152-3のうち、特定できないいずれかの高圧電源装置を示す場合には、高圧電源装置152と表記する。また、電流計測部153-1,153-2,153-3のうち、特定できないいずれかの電流計測部を示す場合には、電流計測部153と表記する。
【0040】
まず、制御部17は、各電気集塵機15-1,15-2,15-3の電流計測部153-1,153-2,153-3から電流情報を受信し(ステップS31)、電流情報から得られる各高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値を取得する(ステップS32)。制御部17は、閾値以上となる第1電流値が1つ以上あるかを判定する(ステップS33)。閾値以上となる第1電流値がない場合(ステップS33でNoの場合)、すなわち、全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値が正常である場合には、ステップS31に処理が戻る。
【0041】
閾値以上となる第1電流値が1つ以上ある場合(ステップS33でYesの場合)には、制御部17は、全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3を停止させ(ステップS34)、開閉部20を短絡させる(ステップS35)。なお、ステップS33で、制御部17は、閾値以上となる第1電流値が1つ以上あるかを判定しているが、閾値よりも大きくなる第1電流値が1つ以上あるかを判定してもよい。
【0042】
その後、制御部17は、ステップS32で第1電流値が閾値未満であった高圧電源装置152を再度駆動させる(ステップS36)。再度駆動させる高圧電源装置152は、1台の場合もあり、複数台の場合もある。このとき、開閉部20を短絡させているため、1台または複数台の高圧電源装置152から出力される高電圧は、全ての放電電極151-1,151-2,151-3に印加されることになる。
【0043】
この状態で、制御部17は、再度駆動させた高圧電源装置152と接続されている電流計測部153から電流情報を受信し(ステップS37)、電流情報から得られる高圧電源装置152の第2電流値が閾値以上であるかを判定する(ステップS38)。第2電流値が閾値以上である場合(ステップS38でYesの場合)には、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152、すなわち開閉部20がオープンしている状態で第1電流値が閾値以上であった高圧電源装置152に接続されている放電電極151の異物付着による抵抗値の低下が発生していると判定する(ステップS39)。つまり、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152は正常であると判定する。これは、再駆動させた高圧電源装置152からの高電圧が、異物が付着して抵抗値が低くなっている放電電極151に印加され、再駆動させた高圧電源装置152と接続されている電流計測部153に閾値以上の電流が流れるからである。
【0044】
その後、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152に接続されている放電電極151の清掃が必要なことを示す通知情報をリモコン16に送信する(ステップS40)。通知情報には、どの放電電極151の清掃が必要であるかが含まれている。これによって、リモコン16のディスプレイ161には、制御部17から受信した通知情報が表示される。そして、処理が終了する。
【0045】
ステップS38で、第2電流値が閾値以上ではない場合(ステップS38でNoの場合)には、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152が短絡故障していると判定する(ステップS41)。つまり、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152に接続される放電電極151は正常であると判定する。これは、放電電極151が正常である場合には、再駆動させた高圧電源装置152からの高電圧が放電電極151に印加されても、再駆動させた高圧電源装置152と接続されている電流計測部153に閾値以上の電流は流れないからである。
【0046】
その後、制御部17は、駆動されていない高圧電源装置152の修理交換が必要なことを示す通知情報をリモコン16に送信する(ステップS42)。通知情報には、どの高圧電源装置152の清掃が必要であるかが含まれている。これによって、リモコン16のディスプレイ161には、制御部17から受信した通知情報が表示される。そして、処理が終了する。なお、ステップS38で、制御部17は、第2電流値が閾値と等しい場合に、放電電極151の異物付着による抵抗値の低下が発生していると判定しているが、高圧電源装置152が短絡故障していると判定してもよい。
【0047】
図8は、実施の形態2による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の一例を示す図である。図8では、3つの電気集塵機15-1,15-2,15-3のうち全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値が正常な場合と、1つの高圧電源装置152-1の第1電流値が異常の場合と、を示している。なお、図8では、(1)は、電気集塵機15-1、放電電極151-1または高圧電源装置152-1を示しており、(2)は、電気集塵機15-2、放電電極151-2または高圧電源装置152-2を示しており、(3)は、電気集塵機15-3、放電電極151-3または高圧電源装置152-3を示している。
【0048】
図8に示されるように、全ての電気集塵機15-1,15-2,15-3の高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値が正常である場合には、開閉部20の接点がオープンにされ、全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3が駆動された状態にある。
【0049】
一方、電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1の第1電流値が異常であり、電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3の第1電流値が正常である場合には、上記したように全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3は停止され、開閉部20は短絡される。その後、異常とされた高圧電源装置152-1は停止のままとされ、正常とされた高圧電源装置152-2,152-3は再駆動される。この状態で、再駆動された電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3の第2電流値が異常である場合には、異常箇所は電気集塵機15-1の放電電極151-1であると判定される。そして、電気集塵機15-1の放電電極151-1の清掃を指示する通知情報が通知される。
【0050】
また、再駆動された電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3の第2電流値が正常である場合には、異常箇所は電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1であると判定される。そして、電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1の修理交換を指示する通知情報が通知される。
【0051】
図9は、実施の形態2による空気清浄機における制御部の過電流の内容判定処理の内容の他の例を示す図である。図9では、3つの電気集塵機15-1,15-2,15-3のうち全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値が正常な場合と、2つの高圧電源装置152-2,152-3の第1電流値が異常の場合と、を示している。なお、図9では、(1)は、電気集塵機15-1、放電電極151-1または高圧電源装置152-1を示しており、(2)は、電気集塵機15-2、放電電極151-2または高圧電源装置152-2を示しており、(3)は、電気集塵機15-3、放電電極151-3または高圧電源装置152-3を示している。
【0052】
図9に示されるように、全ての電気集塵機15-1,15-2,15-3の高圧電源装置152-1,152-2,152-3の第1電流値が正常である場合には、開閉部20の接点がオープンにされ、全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3が駆動された状態にある。
【0053】
一方、電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1の第1電流値が正常であり、電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3の第1電流値が異常である場合には、上記したように全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3は停止され、開閉部20は短絡される。その後、異常とされた高圧電源装置152-2,152-3は停止のままとされ、正常とされた高圧電源装置152-1は再駆動される。この状態で、再駆動された電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1の第2電流値が異常である場合には、異常箇所は電気集塵機15-2,15-3の放電電極151-2,151-3であると判定される。そして、電気集塵機15-2,15-3の放電電極151-2,151-3の清掃を指示する通知情報が通知される。
【0054】
また、再駆動された電気集塵機15-1の高圧電源装置152-1の第2電流値が正常である場合には、異常箇所は電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3であると判定される。そして、電気集塵機15-2,15-3の高圧電源装置152-2,152-3の修理交換を指示する通知情報が通知される。
【0055】
以上のように、実施の形態2では、空気清浄システム10が、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3を備える場合に、高圧電源装置152-1と放電電極151-1を結ぶ配線、高圧電源装置152-2と放電電極151-2を結ぶ配線、および高圧電源装置152-3と放電電極151-3を結ぶ配線間で短絡またはオープンが可能な1つの開閉部20を備える。閾値以上となる第1電流値が1つ以上ある場合に、全ての高圧電源装置152-1,152-2,152-3を停止させ、開閉部20を短絡させた後、第1電流値が閾値未満の高圧電源装置152を再駆動させる。この状態で、電流計測部153で計測される第2電流値が閾値以上である場合には、再駆動されていない高圧電源装置152に接続される放電電極151に異物付着による抵抗値の低下が発生していると判定し、この電気集塵機15の放電電極151の清掃を指示する通知情報を通知する。また、電流計測部153で計測される第2電流値が閾値未満である場合には、再駆動されていない高圧電源装置152に短絡故障が発生していると判定し、この高圧電源装置152の修理交換を示す通知情報を通知する。
【0056】
これによって、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3がある場合でも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、どの電気集塵機15-1,15-2,15-3で高圧電源装置152-1,152-2,152-3の短絡故障が発生しているのか、または放電電極151-1,151-2,151-3への異物付着による抵抗値の低下が発生しているのかを判別でき、それぞれに適切な対応を使用者に通知することが可能となる。さらに、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3がある場合に、それぞれの高圧電源装置152-1,152-2,152-3と放電電極151-1,151-2,151-3との間に実施の形態1に示した開閉部154を設けると、電気集塵機15-1,15-2,15-3の数だけ開閉部154が必要となるが、実施の形態2では、複数の電気集塵機15に対して1つの開閉部20を備えるだけで異常な電気集塵機15の異常箇所を特定することができる。この結果、実施の形態1を適用した場合に比して、複数の電気集塵機15-1,15-2,15-3を備える電気集塵システム150または空気清浄システム10の構成を小さくすることができるという効果を有する。
【0057】
つぎに、制御部17を実現するハードウェアの構成について説明する。図10は、実施の形態1,2による制御部を実現するハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。制御部17は、図10に示される処理回路100で実現可能である。
【0058】
処理回路100は、プロセッサ101、メモリ102、入力回路103および出力回路104を有する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)等である。
【0059】
制御部17は、過電流の内容判定処理の手順を記述したプログラムをメモリ102から読み出してプロセッサ101が実行することにより実現できる。入力回路103は、プロセッサ101が処理する情報、メモリ102が記憶する情報などを外部から受け取る際に使用される。出力回路104は、プロセッサ101が生成した情報、メモリ102が記憶している情報を外部へ出力する際に使用される。
【0060】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 空気清浄機、10 空気清浄システム、11 送風機、11a 羽根車、11b 電動機、12 吸気口、13 排気口、14 風路、15 電気集塵機、16 リモコン(リモートコントローラ)、17 制御部、18,18-1,18-2,18-3 本体ケース、20,154 開閉部、150 電気集塵システム、151 放電電極、152 高圧電源装置、153 電流計測部、161 ディスプレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10