(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
H01R 39/00 20060101AFI20240906BHJP
H02K 13/00 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
H01R39/00 Z
H01R39/00 M
H02K13/00 C
(21)【出願番号】P 2021010278
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 良之
(72)【発明者】
【氏名】林 祥司
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0043850(US,A1)
【文献】特開2015-222711(JP,A)
【文献】特開2010-198740(JP,A)
【文献】特開2010-110194(JP,A)
【文献】特開2003-278849(JP,A)
【文献】特開2020-060243(JP,A)
【文献】特開昭61-024645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R39/00-39/64
H02K13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と接続される環状形状の外側電極と、
前記外側電極の内周に設けられた、トロコイド曲線からなる歯形を有する導電性部材であるトロコイド内歯車と、
前記トロコイド内歯車の内側に設けられた内側電極と、
前記内側電極の外周に設けられたトロコイド曲線からなる歯形を有する導電性部材であるトロコイド太陽歯車と、
前記トロコイド内歯車とトロコイド太陽歯車との間に挿入された、トロコイド曲線からなる歯形を有する導電性部材である3つ以上のトロコイド遊星歯車と、
前記内側電極の中央に結合された、電流を供給する対象物である回転体と結合された導電性部材である回転軸部材と、を備える
給電部として構成される、第1の給電部と、
前記第1の給電部に対して前記第1の給電部の前記回転軸部材の回転軸方向に離隔して設けられた、前記給電部として構成される第2の給電部と、
前記第1の給電部と前記第2の給電部との間に挿入される絶縁支持部材と、
前記第1の給電部の前記外側電極と前記電源の一方の端子との間を接続する第1の電源電極と、
前記第2の給電部の前記外側電極と前記電源の他方の端子との間を接続する第2の電源電極と、
前記第1の給電部の前記内側電極と前記回転体の一方の端子との間を接続する第1の回転側中心電極と、
前記第2の給電部の前記内側電極と前記回転体の他方の端子との間を接続する第2の回転側中心電極と、
前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に挿入される第1の絶縁部材と、
前記第1の回転側中心電極と前記第2の回転側中心電極との間に挿入される第2の絶縁部材と、を備え、
前記第1の電源電極は、前記第1の給電部の前記外側電極から前記第2の給電部の前記外側電極に向かって延在する部材であり、
前記第1の絶縁部材は、前記第1の電源電極を覆うように設けられ、
前記第1の電源電極及び前記第1の絶縁部材は、前記第2の給電部の前記外側電極に設けられた第1の開口を貫通し、
前記第2の電源電極は、前記第1の開口から露出した前記第1の絶縁部材を覆うように設けられ、
前記第1の回転側中心電極は、前記第1の給電部の前記回転軸部材から前記第2の給電部の前記回転軸部材に向かって延在する部材であり、
前記第2の絶縁部材は、前記第1の回転側中心電極を覆うように設けられ、
前記第1の回転側中心電極及び前記第2の絶縁部材は、前記第2の給電部の前記回転軸部材の中央に設けられた第2の開口を貫通し、
前記第2の回転側中心電極は、前記第2の開口から露出した前記第2の絶縁部材を覆うように設けられる、
給電装置。
【請求項2】
偶数個の前記トロコイド遊星歯車が設けられ、
前記偶数個のトロコイド遊星歯車に含まれる、隣接する一対の2つのトロコイド遊星歯車の回転軸間は、弾性部材により連結される、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記トロコイド内歯車、前記トロコイド遊星歯車及び前記トロコイド太陽歯車の表面には導電性の流体が塗布されている、
請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記トロコイド内歯車、前記トロコイド遊星歯車及び前記トロコイド太陽歯車の間の間隙には、導電性の流体が充填されている、
請求項1又は2に記載の給電装置。
【請求項5】
前記絶縁支持部材は、前記第1の給電部と前記第2の給電部との間の前記第2の絶縁部材を覆うように設けられる、
請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置に関し、例えば回転体への給電に用いる給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する物体に給電する部材として、例えばスリップリングが知られている。このスリリップリングの一例として、回転軸側の回転リングの軸方向の厚みが薄い固定軸側の2本の摺動ブラシを、回転リングの外周から押しつけるスリップリングが提案されている(特許文献1)。このスリップリングは、かつ、摺動ブラシの厚みが薄いため、複数の回転リングを軸方向に重ねることで、電流量を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のスリップリングでは、矩形の摺動ブラシと円形の回転リングとの間の接触面積は狭小であり、スリップリング1つあたりの電流量が制限されてしまう。円形リングの外周に沿った曲面部を摺動ブラシに設け、この曲面部を回転リングと接触させることで接触面積を拡大することはできる。しかし、接触面積の拡大によって摩擦も大きくなるので、接触面積の拡大には限界がある。そのため、上述のように複数の回転リングを軸方向に重ねたとしても、電流量の増加量は制限されてしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、回転体に対してより大きな電流を供給できる給電装置を提供することを目的とする。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態にかかる給電装置は、電源と接続される外側電極と、前記外側電極の内周に設けられた、トロコイド曲線からなる歯形を有するトロコイド内歯車と、前記トロコイド内歯車の内側に設けられた内側電極と、前記内側電極の外周に設けられたトロコイド曲線からなる歯形を有するトロコイド太陽歯車と、前記トロコイド内歯車とトロコイド太陽歯車との間に挿入された、トロコイド曲線からなる歯形を有する3つ以上のトロコイド遊星歯車と、前記内側電極の中央に結合された、電流を供給する回転体と結合された回転軸部材と、を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
一実施の形態によれば、回転体に対してより大きな電流を供給できる給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる給電装置の基本構成を模式的に示す上面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる給電装置の構成をより詳細に示す上面図である。
【
図3】実施の形態2にかかる給電装置200の断面構成を示す図である。
【
図4】
図3に示した矢印IVの方向に沿って見た場合の給電部の上面図である。
【
図5】
図3に示した矢印Vの方向に沿って見た場合の給電部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
実施の形態1
実施の形態1にかかる給電装置100について説明する。給電装置100は、2つの相対回転する電極を内歯車及び太陽歯車で構成して、これらの間に遊星歯車を挿入した遊星歯車機構を用いることで、電気的接触を保ちながら大電流通電を可能にした給電装置として構成される。
【0012】
図1は、実施の形態1にかかる給電装置100の基本構成を模式的に示す上面図である。また、
図2は、実施の形態1にかかる給電装置100の構成をより詳細に示す上面図である。
図1及び2では、X-Y平面を主面とする遊星歯車機構をZ方向に沿って給電装置100を観察している。
【0013】
給電装置100は、トロコイド内歯車1(第1のトロコイド内歯車とも称する)、トロコイド遊星歯車2(第1のトロコイド遊星歯車とも称する)及びトロコイド太陽歯車3(第1のトロコイド太陽歯車とも称する)からなる遊星歯車機構を有する。トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3は、X-Y平面を主面とする導電性部材として構成される。トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3は、歯の形状(歯形)がトロコイド曲線となるように構成されている。
【0014】
トロコイド内歯車1は固定側の歯車であり、X-Y平面を主面とする外側電極4(第1の外側電極とも称する)の内周面に固定されている。外側電極4は、固定側の電極であり、給電装置100が搭載される台座等に対して固定され、電源(不図示)と接続される。
【0015】
トロコイド太陽歯車3は回転側の歯車であり、X-Y平面を主面とする円筒形状ないしは環状形状の内側電極5(第1の内側電極とも称する)の外周面に固定されている。内側電極5の中央部には、例えばZ方向に延在する回転側中心電極(不図示)を介して、給電対象である回転体(不図示)に連結された、導電性部材である回転軸部材6(第1の回転軸部材とも称する)が結合されている。これにより、内側電極5と回転体とは電気的に接続される。本構成では、トロコイド太陽歯車3及び内側電極5は、回転体及び回転軸部材6の回転に伴って、回転側の部材として回転する。
【0016】
トロコイド内歯車1とトロコイド太陽歯車3との間には、複数のトロコイド遊星歯車2が挿入されている。この例では、トロコイド内歯車1とトロコイド太陽歯車3との間に12個のトロコイド遊星歯車2が挿入されている。
【0017】
以上の構成により、導電性部材であるトロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2、トロコイド太陽歯車3、外側電極4、内側電極5及び回転軸部材6からなる通電経路が形成され、電源から回転体へ電流を供給することが可能となる。
【0018】
本構成によれば、電源と回転体とをケーブル等で結ぶ必要が無く、回転体の回転に伴って生じうるケーブルの巻き取りや絡みを防止することができる。かつ、本構成によれば、原理的にいかなる角度の回転も可能であり、かつ、同じ方向に複数回、回転させることができる。
【0019】
また、本構成では、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3の歯車の表面がトロコイド曲線を描くように構成されている。これにより、トロコイド内歯車1及びトロコイド遊星歯車2との間の接触面積、及び、トロコイド遊星歯車2とトロコイド太陽歯車3との間の接触面積を大きくすることができる。これにより、給電装置100による通電経路の物理的な面積を大きくすることができ、抵抗値ないしはインピーダンスを減少させることができる。その結果、上述した一般的なブラシ構造のスリップリングと比べて、より大きな電流を回転体に供給することが可能となる。
【0020】
なお、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3の歯の形状であるトロコイド曲線は、同じ半径を有する円の内側の点が描く軌跡とすることが望ましい。具体的には、トロコイド内歯車1に設けられる歯は、円環形状部材の内面の円に接する、所定の半径を有する円の内側の点が描く軌跡とすることが望ましい。トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3の歯の形状は、円板形状又は円環形状の部材の外周に接する、所定の半径を有する円の内側の点が描く軌跡とすることが望ましい。これにより、給電装置100を通じて供給する電流を好適に増大させることができる。
【0021】
トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3の間の接触部は、摺動ではなく転がり接触であるため、歯車間の摩擦を摺動に比べて低減することができる。これにより、トロコイド遊星歯車2の数を増やすことで容易に接触面積を増加させ、その結果より大きな電流を流すことができる。
【0022】
なお、給電装置100では、
図2に示すように、隣接する2つのトロコイド遊星歯車2の回転軸間を、ばね7(第1の弾性部材とも称する)で連結してもよい。これにより、連結された2つのトロコイド遊星歯車2は、互いに引き付け合う方向に力が作用することとなる。具体的には、連結された2つのトロコイド遊星歯車2の一方は時計回り方向に力が作用するので、トロコイド内歯車1及びトロコイド太陽歯車3に対して時計回り方向に押し付けられる。連結された2つのトロコイド遊星歯車2の他方は反時計回り方向に力が作用するので、トロコイド内歯車1及びトロコイド太陽歯車3に対して反時計回り方向に押し付けられる。これにより、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3をより確実に物理的に接触させることができるので、給電装置100を通じて供給する電流をより好適に増大させることができる。
【0023】
また、本構成においては、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3の歯に、導電性グリスなどの導電性流体を塗布してもよい。これにより、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3で構成される通電経路の接触面積をより大きくすることができるので、給電装置100を通じて供給する電流をさらに増大させることができる。
【0024】
また、本構成においては、トロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2及びトロコイド太陽歯車3で囲まれる空間に、導電性流体を充填してもよい。これにより、給電装置100における通電経路の面積を最大化できるので、給電装置100を通じて供給する電流を最大化することができる。
【0025】
実施の形態2
上述した実施の形態1にかかる給電装置100は、1本の通電経路を有するものとして構成されている。これに対し、直流電源及び交流電源のいずれを用いる場合でも、電源と回転体との間で通電経路は2本必要である。よって、回転体への電源供給を実現するには、給電装置100と同様の機能を有する給電装置を2つ組み合わせて給電装置を構成する必要がある。
【0026】
以下、実施の形態2にかかる給電装置200について説明する。
図3に、実施の形態2にかかる給電装置200のZ-X平面における断面構成を示す。給電装置200は、Z方向を回転軸とする給電部201及び給電部202が同軸に配列された構成を有する。この例では、給電部201が下側(-Z側)、給電部202が上側(+Z側)に配置されている。
【0027】
まず、給電部201(第1の給電部とも称する)について説明する。
図4に、
図3に示した矢印IVの方向に沿って見た場合の給電部201の上面図を示す。給電部201は、トロコイド内歯車11、トロコイド遊星歯車12、トロコイド太陽歯車13、外側電極14、内側電極15、回転軸部材16及びばね17を有する。トロコイド内歯車11、トロコイド遊星歯車12、トロコイド太陽歯車13、外側電極14、内側電極15、回転軸部材16及びばね17は、それぞれ給電装置100のトロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2、トロコイド太陽歯車3、外側電極4、内側電極5、回転軸部材6及びばね7に対応する。なお、
図3においては、図面の簡略化のため、ばね17の表示を省略している。
【0028】
本実施の形態においては、トロコイド内歯車11、トロコイド遊星歯車12、トロコイド太陽歯車13、外側電極14、内側電極15、回転軸部材16及びばね17を、それぞれ第1のトロコイド内歯車、第1のトロコイド遊星歯車、第1のトロコイド太陽歯車、第1の外側電極、第1の内側電極、第1の回転軸部材及び第1の弾性部材とも称する。
【0029】
外側電極14は、軸方向(Z方向)に延在する丸棒形状の第1の電源電極31によって、電源(不図示)の一方の端子と接続される。
図3に示すように、第1の電源電極31は、外側電極14の上面(+Z方向を向いた面)から上方(+Z方向)に延在しており、かつ、給電部202を貫通するように設けられる。第1の電源電極31は、給電部202との間の絶縁を確保するため、上方(+Z方向)に延在する円筒形状の第1の絶縁部材51によって覆われている。
【0030】
回転軸部材16は、軸方向(Z方向)に延在する丸棒形状の第1の回転側中心電極32によって回転体(不図示)と連結される。
図3に示すように、第1の回転側中心電極32は、回転軸部材16の上面(+Z方向を向いた面)から上方(+Z方向)に延在しており、かつ、給電部202を貫通するように設けられる。第2の電源電極32は、給電部202との間の絶縁を確保するため、上方(+Z方向)に延在する円筒形状の第2の絶縁部材52によって覆われている。
【0031】
この例では、4組の第1の電源電極31及び第1の絶縁部材51が90°の等間隔で外側電極14に結合されているが、これは例示に過ぎない。外側電極14に結合する第1の電源電極31及び第1の絶縁部材51の組の数及び配置は、適宜変更してもよい。
【0032】
さらに、給電部201(第1の回転側中心電極32)と給電部202(後述する第2の回転側中心電極42)との間の絶縁を確保するため、及び、給電部201上方の給電部202を支持するため、軸方向(Z方向)に延在する円筒形状の絶縁支持部材50が、給電部201と給電部202との間の第2の絶縁部材52を覆うように設けられている。
【0033】
なお、
図4では、給電部201において第1の電源電極31、第1の回転側中心電極32、絶縁支持部材50、第1の絶縁部材51及び第2の絶縁部材52が結合される位置を示すため、輪郭線を破線で示している。
【0034】
給電部201のその他の構成は、給電装置100と同様であるので、重複する説明については省略する。
【0035】
次いで、給電部202(第2の給電部とも称する)について説明する。
図5に、
図3に示した矢印Vの方向に沿って見た場合の給電部202の上面図を示す。給電部202は、トロコイド内歯車21、トロコイド遊星歯車22、トロコイド太陽歯車23、外側電極24、内側電極25、回転軸部材26及びばね27を有する。トロコイド内歯車21、トロコイド遊星歯車22、トロコイド太陽歯車23、外側電極24、内側電極25、回転軸部材26及びばね27は、それぞれ給電装置100のトロコイド内歯車1、トロコイド遊星歯車2、トロコイド太陽歯車3、外側電極4、内側電極5、回転軸部材6及びばね7に対応する。なお、
図3においては、図面の簡略化のため、ばね27の表示を省略している。
【0036】
本実施の形態においては、トロコイド内歯車21、トロコイド遊星歯車22、トロコイド太陽歯車23、外側電極24、内側電極25、回転軸部材26及びばね27を、それぞれ第2のトロコイド内歯車、第2のトロコイド遊星歯車、第2のトロコイド太陽歯車、第2の外側電極、第2の内側電極、第2の回転軸部材及び第2の弾性部材とも称する。
【0037】
外側電極24には開口(第1の開口とも称する)が設けられており、Z方向に延在する第1の電源電極31及び第1の絶縁部材51がこの開口を貫通している。外側電極24は、軸方向(Z方向)に延在する円筒形状の第2の電源電極41によって、電源(不図示)の他方の端子と接続される。
図3に示すように、第2の電源電極41は、開口から上方(+Z方向)に露出した第1の絶縁部材51を覆うように設けられる。よって、第1の電源電極31と第2の電源電極41との間の絶縁は、間に挿入された第1の絶縁部材51によって確保される。
【0038】
回転軸部材26は、円筒形状ないしは環状形状の導電性部材であり、中央部の開口(第2の開口とも称する)には、Z方向に延在する第1の回転側中心電極32と第2の絶縁部材52とが貫通している。回転軸部材26は、回転軸部材26の上面(+Z方向を向いた面)から上方(+Z方向)に延在する円筒形状の第2の回転側中心電極42によって、回転可能な回転体(不図示)と連結及び接続される。
図3に示すように、第2の回転側中心電極42は、開口から上方(+Z方向)に露出した第2の絶縁部材52を覆うように設けられる。よって、第1の回転側中心電極32と第2の回転側中心電極42との間の絶縁は、間に挿入された第2の絶縁部材52によって確保される。
【0039】
なお、
図5では、給電部202において第2の電源電極41及び第2の回転側中心電極42が結合される位置を示すため、輪郭線を破線で示している。
【0040】
給電部202のその他の構成は、給電装置100と同様であるので、重複する説明については省略する。
【0041】
給電部201と給電部202との間には、給電部201に対して給電部202を支持するための、円筒形状の絶縁支持部材50が設けられる。この例では、絶縁支持部材50は、給電部201の内側電極15及び回転軸部材16と、給電部202の内側電極25及び回転軸部材26と、の間に挿入される。
【0042】
なお、言うまでもないが、給電部201のトロコイド太陽歯車13及び給電部202のトロコイド太陽歯車23よりも内側の部材は連結されており、これらの連結された部材は回転体の回転に連動して回転することができる。
【0043】
以上、本構成によれば、実施の形態1にかかる給電装置と同様の構成の給電部を2個組み合わせることで、回転体に電源供給するために必要となる2本の通電経路を確保することができる。これにより、2本の通電経路を介して、回転体と、直流電源又は単相交流電源とを接続することが可能となる。
【0044】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
図1及び2で示したトロコイド遊星歯車2の個数は例示に過ぎず、適宜3個以上の任意の数のトロコイド遊星歯車2を設けてもよい。
【0045】
ばねによって2つのトロコイド遊星歯車2を連結する場合には、4個以上の任意の偶数個のトロコイド遊星歯車2を設けることが望ましい。
【0046】
上述の実施の形態では、2つのトロコイド遊星歯車がばねによって連結される例について説明したが、ばねと同様に機能する各種の弾性部材によってトロコイド遊星歯車を連結してもよい。また、トロコイド遊星歯車の位置を適切な位置に保持できる限り、ばねなどの部材によって連結されるトロコイド遊星歯車の数は3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、11、21 トロコイド内歯車
2、12、22 トロコイド遊星歯車
3、13、23 トロコイド太陽歯車
4、14、24 外側電極
5、15、25 内側電極
6、16、26 回転軸部材
7、17、27 ばね
31 第1の電源電極
32 第1の回転側中心電極
41 第2の電源電極
42 第2の回転側中心電極
50 絶縁支持部材
51 第1の絶縁部材
52 第2の絶縁部材
100、200 給電装置
201、202 給電部