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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】運賃決済装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/22 20120101AFI20240906BHJP
【FI】
G06Q20/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021010454
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114241
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144544
【氏名又は名称】レシップホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 達也
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-73028(JP,A)
【文献】特開2008-181300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乗客を輸送可能な車両のための運賃決済装置であって、
サーバと通信をするための通信インターフェースであって、前記サーバは、乗客によって所有される記憶媒体を識別する識別情報と、負債額と、を関連付けて登録するように構成されている、前記通信インターフェースと、
特定の乗客によって所有される特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられる場合に、前記特定の記憶媒体から、前記特定の記憶媒体を識別する特定の識別情報と、前記特定の記憶媒体内の現在の残高である第1の残高と、を読み出す読出部と、
前記通信インターフェースを介して、前記特定の識別情報を前記サーバに送信する識別情報送信部と、
前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報に関連付けられている負債額が受信されない場合に、前記第1の残高から前記特定の乗客に請求する運賃を減算して第2の残高を算出する第1の残高算出部と、
前記第2の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第2の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第1の書込部と、
前記第2の残高がゼロ未満である場合に、前記通信インターフェースを介して、前記特定の識別情報と負債額とを前記サーバに送信して、前記特定の識別情報と前記負債額とを関連付けて前記サーバに登録する登録部と、
前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報に関連付けられている特定の負債額が受信される場合に、前記第1の残高から前記運賃と前記特定の負債額とを減算して第3の残高を算出する第2の残高算出部と、
前記第3の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第3の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第2の書込部と、
を備える、運賃決済装置。
【請求項2】
前記第2の残高がゼロ未満である場合に、新たな残高としてゼロを前記特定の記憶媒体に書き込む第3の書込部をさらに備え、
前記負債額は、前記第2の残高に対応する額である、請求項1に記載の運賃決済装置。
【請求項3】
前記第1の残高算出部は、さらに、前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報が前記サーバに登録されていないことを示す未登録情報が受信される場合に、前記第1の残高から前記運賃を減算して前記第2の残高を算出し、
前記登録部は、前記サーバから前記未登録情報が受信され、かつ、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、前記特定の識別情報と前記負債額とを関連付けて前記サーバに登録しない、請求項1または2に記載の運賃決済装置。
【請求項4】
複数の乗客を輸送可能な車両のための運賃決済装置であって、
特定の乗客によって所有される特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられる場合に、前記特定の記憶媒体から、前記特定の記憶媒体内の現在の残高である第1の残高を読み出すとともに、前記特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられ、かつ、前記特定の記憶媒体が特定の負債額を記憶している場合に、前記特定の記憶媒体から前記特定の負債額をさらに読み出す読出部と、
前記第1の残高が読み出され、かつ、前記特定の負債額が読み出されない場合に、前記第1の残高から前記特定の乗客に請求する運賃を減算して第2の残高を算出する第1の残高算出部と、
前記第2の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第2の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第1の書込部と、
前記第2の残高がゼロ未満である場合に、負債額を前記特定の記憶媒体に書き込む第2の書込部と、
前記第1の残高が読み出され、かつ、前記特定の負債額が読み出される場合に、前記第1の残高から前記運賃と前記特定の負債額とを減算して第3の残高を算出する第2の残高算出部と、
前記第3の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第3の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第3の書込部と、
を備える、運賃決済装置。
【請求項5】
前記第2の書込部は、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、新たな残高としてゼロを前記特定の記憶媒体に書き込むとともに、前記第2の残高に対応する前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込む、請求項4に記載の運賃決済装置。
【請求項6】
前記第2の書込部は、
前記第2の残高がゼロ未満であり、かつ、前記特定の記憶媒体から所定の決済実績情報が読み出される場合に、前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込み、
前記第2の残高がゼロ未満であり、かつ、前記特定の記憶媒体から前記所定の決済実績情報が読み出されない場合に、前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込まない、請求項4又は5に記載の運賃決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、複数の乗客を輸送可能な車両のための運賃決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子マネーによりバスの運賃決済を実行するバス運賃箱が開示されている。このバス運賃箱は、情報処理システムの管理サーバと通信可能である。ユーザは、ICカードのID情報と銀行口座の情報とを関連付けて情報処理システムの決済部に登録する。バス運賃箱は、管理サーバを介して、登録済みのID情報及び銀行口座の情報を受信する。ユーザがICカードをバス運賃箱にタッチすると、バス運賃箱は、ICカード内のID情報及び残高を読み取る。バス運賃箱は、残高が設定金額未満である場合に、ユーザの銀行口座から事前に設定されたチャージ金額をICカードの残高に加算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-71842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ユーザがID情報及び銀行口座の情報を事前に情報処理システムに登録する必要がある。本明細書では、ユーザが情報を事前登録することなく、運賃決済処理をスムーズに実行することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する運賃決済装置は、複数の乗客を輸送可能な車両のために用いられる。運賃決済装置は、サーバと通信をするための通信インターフェースであって、前記サーバは、乗客によって所有される記憶媒体を識別する識別情報と、負債額と、を関連付けて登録するように構成されている、前記通信インターフェースと、特定の乗客によって所有される特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられる場合に、前記特定の記憶媒体から、前記特定の記憶媒体を識別する特定の識別情報と、前記特定の記憶媒体内の現在の残高である第1の残高と、を読み出す読出部と、前記通信インターフェースを介して、前記特定の識別情報を前記サーバに送信する識別情報送信部と、前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報に関連付けられている負債額が受信されない場合に、前記第1の残高から前記特定の乗客に請求する運賃を減算して第2の残高を算出する第1の残高算出部と、前記第2の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第2の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第1の書込部と、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、前記通信インターフェースを介して、前記特定の識別情報と負債額とを前記サーバに送信して、前記特定の識別情報と前記負債額とを関連付けて前記サーバに登録する登録部と、前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報に関連付けられている特定の負債額が受信される場合に、前記第1の残高から前記運賃と前記特定の負債額とを減算して第3の残高を算出する第2の残高算出部と、前記第3の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第3の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第2の書込部と、を備えてもよい。
【0006】
上述した運賃決済装置は、第2の残高がゼロ未満である場合に、特定の識別情報と負債額とを関連付けてサーバに登録する。このため、運賃決済装置は、特定の記憶媒体内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、運賃決済処理をスムーズに実行することができるとともに、負債額を事後的に徴収することができる。また、運賃決済装置は、特定の識別情報に関連付けられている特定の負債額が受信される場合に、第1の残高から運賃と特定の負債額とを減算して第3の残高を算出し、新たな残高として第3の残高を特定の記憶媒体に書き込む。即ち、運賃決済装置は、過去の不足分である特定の負債額を徴収することができる。このように、運賃決済装置は、乗客に関する情報を事前に登録しなくても、運賃決済処理をスムーズに実行することができる。
【0007】
上述した運賃決済装置は、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、新たな残高としてゼロを前記特定の記憶媒体に書き込む第3の書込部をさらに備えもよい。前記負債額は、前記第2の残高に対応する額であってもよい。このような構成によると、特定の記憶媒体内の第1の残高分の運賃決済処理を実行することができる。これにより、特定の記憶媒体内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、運賃決済処理時に第1の残高を徴収することができる。
【0008】
前記第1の残高算出部は、さらに、前記特定の識別情報が前記サーバに送信されることに応じて、前記通信インターフェースを介して、前記サーバから、前記特定の識別情報が前記サーバに登録されていないことを示す未登録情報が受信される場合に、前記第1の残高から前記運賃を減算して前記第2の残高を算出してもよい。前記登録部は、前記サーバから前記未登録情報が受信され、かつ、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、前記特定の識別情報と前記負債額とを関連付けて前記サーバに登録しなくてもよい。これにより、負債額を事後的に徴収不可能であるいう事態の発生を抑制することができる。
【0009】
さらに、本明細書では、複数の乗客を輸送可能な車両のための運賃決済装置であって、特定の乗客によって所有される特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられる場合に、前記特定の記憶媒体から、前記特定の記憶媒体内の現在の残高である第1の残高を読み出すとともに、前記特定の記憶媒体が前記運賃決済装置に近づけられ、かつ、前記特定の記憶媒体が特定の負債額を記憶している場合に、前記特定の記憶媒体から前記特定の負債額をさらに読み出す読出部と、前記第1の残高が読み出され、かつ、前記特定の負債額が読み出されない場合に、前記第1の残高から前記特定の乗客に請求する運賃を減算して第2の残高を算出する第1の残高算出部と、前記第2の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第2の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第1の書込部と、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、負債額を前記特定の記憶媒体に書き込む第2の書込部と、前記第1の残高が読み出され、かつ、前記特定の負債額が読み出される場合に、前記第1の残高から前記運賃と前記特定の負債額とを減算して第3の残高を算出する第2の残高算出部と、前記第3の残高がゼロ以上である場合に、新たな残高として前記第3の残高を前記特定の記憶媒体に書き込む第3の書込部と、を備えてもよい、運賃決済装置も開示する。
【0010】
上述した運賃決済装置は、第2の残高がゼロ未満である場合に負債額を特定の記憶媒体に書き込む。このため、運賃決済装置は、特定の記憶媒体内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、運賃決済処理をスムーズに実行することができるとともに、負債額を事後的に徴収することができる。また、運賃決定装置は、特定の記録媒体から第1の残高と特定の負債額とが読み出される場合に、第1の残高から運賃と特定の負債額とを減算して第3の残高を算出し、新たな残高として第3の残高を特定の記憶媒体に書き込む。即ち、運賃決済装置は、過去の不足分である特定の負債額を徴収することができる。このように、運賃決済装置は、乗客に関する情報を事前に登録しなくても、運賃決済処理をスムーズに実行することができる。
【0011】
前記第2の書込部は、前記第2の残高がゼロ未満である場合に、新たな残高としてゼロを前記特定の記憶媒体に書き込むとともに、前記第2の残高に対応する前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込んでもよい。このような構成によると、特定の記憶媒体内の第1の残高分の運賃決済処理を実行することができる。これにより、特定の記憶媒体内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、運賃決済処理時に第1の残高分の額を徴収することができる。
【0012】
前記第2の書込部は、前記第2の残高がゼロ未満であり、かつ、前記特定の記憶媒体から所定の決済実績情報が読み出される場合に、前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込み、前記第2の残高がゼロ未満であり、かつ、前記特定の記憶媒体から前記所定の決済実績情報が読み出されない場合に、前記負債額を前記特定の記憶媒体に書き込まなくてもよい。これにより、負債額を事後的に徴収不可能であるいう事態の発生を抑制することができる。
【0013】
上記の運賃決済装置のためのコンピュータプログラム、及び、上記の運賃決済装置によって実行される運賃決済方法も新規で有用である。また、上記の運賃決済装置と他の1個以上の装置(例えば、上記のサーバ、上記の特定の記憶媒体等)とを備えるシステムも新規で有用である。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】システムの全体を模式的に示す。
図2】第1実施例の運賃決済装置のハードウエアの構成を示す。
図3】決済サーバおよび管理サーバのハードウエアの構成を示す。
図4】残高が不足しない通常の決済を実行するケースのシーケンス図を示す。
図5】残高が不足するケースのシーケンス図を示す。
図6】過去の負債額の決済を実行するケースのシーケンス図を示す。
図7】残高が不足するケースのシーケンス図を示す。
図8】残高が不足しない通常の決済を実行するケースのシーケンス図を示す。
図9】残高が不足するケースのシーケンス図を示す。
図10】過去の負債額の決済を実行するケースのシーケンス図を示す。
図11】残高が不足するケースのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例のシステムの概略;図1
図面を参照して第1実施例の運賃決済装置について説明する。図1に示されるように、路線バス10aの前部には、運賃決済装置4aが配置されている。運賃決済装置4aは、路線バス10aの乗客(図示省略)が運賃を決済するための装置である。矢印C1に示されるように、乗客は、所有するICカード2を近づけることで、ICカード2内に記録されている電子マネーによって運賃決済を実行する。なお、運賃決済装置4aは、他に、現金、チケット等によっても運賃決済を実行することができる。運賃決済装置4aと同様に、路線バス10b、10cにも、それぞれ、運賃決済装置4b、4cが配置されている。各運賃決済装置4a、4b、4cは、同じ構成を有しているため、以下では、主に運賃決済装置4aについて説明する。
【0016】
各路線バス10a、10b、10cは、同じバス会社によって管理及び運行される。各路線バス10a、10b、10cは、複数の乗客(図示省略)を乗車させた状態で、予め定められた複数個の停留所を巡回する。各路線バス10a、10b、10cは、同じ複数個の停留所を巡回してもよいし、異なる複数個の停留所を巡回してもよい。
【0017】
各運賃決済装置4a、4b、4cは、インターネット6を介してサーバ20と通信可能である。サーバ20は、各路線バス10a、10b、10cを運行させるバス会社によって管理される。サーバ20は、ICカードの負債額を管理する決済サーバ20cと、ICカードの決済実績を管理する管理サーバ20mと、を備える。
【0018】
(各デバイス4a、20c、20mの構成;図2図3
続いて、図2を参照して、運賃決済装置4aの構成について説明する。運賃決済装置4aは、操作部40sと、LTE(Long Term Evolutionの略)インターフェース40cと、表示部40dと、リーダライタ40rと、制御部42と、を備える。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0019】
操作部40sは、路線バス10a(図1参照)の運転手によって操作されるキーを備える。LTEI/F40cは、セルラー方式の一種であるLTEに従った無線通信を実行するためのインターフェースであり、インターネット6に接続されている。表示部40dは、乗客に請求する運賃等の様々な情報を表示するためのディスプレイである。リーダライタ40rは、NFC(Near Field Communicationの略)等の無線通信を利用して、ICカード2内から情報を読み出したり、情報をICカード2に書き込んだりすることができる。
【0020】
制御部42は、CPU42cとメモリ42mとを備える。CPU42cは、メモリ42mに記憶されているプログラム42pに従って、乗客に請求する運賃の決定、残高の算出等の様々な処理を実行する。メモリ42mは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ42mは、運賃テーブル42tを記憶する。運賃テーブル42tには、路線バス10aの区間と、その区間に対応する運賃と、が対応付けて格納されている。制御部22は、運賃テーブル42tを利用して、乗客が降車する際に、乗客に運賃を請求する。
【0021】
図3を参照して、サーバ20の決済サーバ20cと管理サーバ20mとの構成について説明する。決済サーバ20cは、通信I/F21cと制御部22とを備える。通信I/F21cは、インターネット6に接続されている。制御部22は、CPU22cとメモリ22mとを備える。CPU22cは、メモリ22mに記憶されているプログラム22pに従って、様々な処理を実行する。メモリ22mは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ22mは、負債額テーブル22tを記憶する。負債額テーブル22tには、複数個のICカードの識別情報(例えばID「00X」)のそれぞれについて、当該識別情報と、負債額(例えばAA)と、が関連付けて格納されている。
【0022】
管理サーバ20mは、通信I/F23cと制御部24とを備える。制御部24は、CPU24cとメモリ24mとを備える。CPU24cは、メモリ24mに記憶されているプログラム24pに従って、様々な処理を実行する。メモリ24mは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ24mは、決済実績テーブル24tを記憶する。決済実績テーブル24tには、複数個のICカードの識別情報(例えばID「00X」)のそれぞれについて、当該識別情報と、決済実績(例えばN1)と、が関連付けて格納されている。
【0023】
(具体的な処理;図4図7
図4図7を参照して、各デバイス4a、20m、20cによって実行される処理について説明する。なお、以下では、理解の容易さの観点から、各デバイス4a等の各CPU42c等が実行する処理について説明する際に、各CPUを主体として説明せず、各デバイス(例えば運賃決済装置4a)を主体として説明する。
【0024】
(残高が不足しない通常の決済を実行するケース;図4
まず、図4を参照して、ICカード2が初めて運賃決済装置4aに近づけられて、残高が不足しない通常の決済が実行されるケースを説明する。ICカード2を所有する乗客は、路線バス10aに乗車して、路線バス10aから降車する際に、T100において、ICカード2を運賃決済装置4aに近づける。この場合、運賃決済装置4aは、T102において、ICカード2から、ICカード2の識別情報「ID002」と、ICカード2に記録されている第1の残高「500円」と、を読み出す。次いで、運賃決済装置4aは、T104において、識別情報「ID002」を決済サーバ20cに送信する。
【0025】
決済サーバ20cは、T104において、運賃決済装置4aから識別情報「ID002」を受信すると、T110において、識別情報「ID002」が負債額テーブル22tに登録済みであるか否かを判定する。現時点では識別情報「ID002」は登録されていない。このため、決済サーバ20cは、T120において、識別情報「ID002」が未登録であることを示す未登録情報を運賃決済装置4aに送信する。
【0026】
運賃決済装置4aは、T120において、決済サーバ20cから未登録情報を受信すると、T130において、第1の残高「500円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「300円」を算出する。次いで、運賃決済装置4aは、T132において、新たな残高として第2の残高「300円」をICカード2に書き込む。
【0027】
次いで、運賃決済装置4aは、T139において、決済完了画面D10を表示部40d(図2参照)に表示する。決済完了画面D10は、運賃が減算される前の第1の残高「500円」を示す領域M10と、運賃「200円」を示す領域M11と、運賃が減算された後の第2の残高「300円」を示す領域M12と、を含む。そして、運賃決済装置4aは、T140において、識別情報「ID002」と、決済処理が正常に完了したことを示す決済完了通知と、を決済サーバ20cに送信する。
【0028】
決済サーバ20cは、T140において、運賃決済装置4aから識別情報「ID002」と決済完了通知とを受信すると、T150において、識別情報「ID002」と決済完了通知とを管理サーバ20mに送信する。
【0029】
管理サーバ20mは、T150において、決済サーバ20cから識別情報「ID002」と決済完了通知とを受信すると、T152において、識別情報「ID002」と決済実績「1」とを関連付けて、メモリ24m内の決済実績テーブル24tに格納する。決済実績は、決済が正常に実行された回数を示す情報である。
【0030】
ICカード2を有する乗客が路線バス10a(もしくは、路線バス10b、10c)に再び乗車すると、T100~T150と同様の処理が実行される。この場合、管理サーバ20mは、T160において、決済実績テーブル24t内の識別情報「ID002」に対応付けられている決済実績を「1」から「2」に変更する。
【0031】
管理サーバ20mは、決済実績が「2」になると、T162において、識別情報「ID002」と、負債額を登録することを決済サーバ20cに指示する登録指示と、を決済サーバ20cに送信する。即ち、本実施例では、2回に亘って決済が正常に実行されると、識別情報「ID002」が決済サーバ20cに登録される。このように、2回に亘って決済が正常に実行されたICカードを所有する乗客は信頼度が高いと考えられるので、そのICカードの識別情報「ID002」が決済サーバ20cに登録される。これにより、当該乗客は、次回以降に路線バス10a等に乗車する際に、残高不足になったとしても、決済サーバ20cを利用して、残高不足の状態で降車することができる。なお、変形例では、上記の2回に代えて1回が採用されてもよいし3回以上の回数が採用されてもよい。
【0032】
決済サーバ20cは、T162において、管理サーバ20mから識別情報「ID002」と登録指示とを受信すると、T170において、識別情報「ID002」と負債額「ゼロ」とを関連付けてメモリ22m内の負債額テーブル22tに格納する。
【0033】
(ICカード内の残高が不足するケース;図5図5は、図4の後のケース、即ち、ICカード2の識別情報「ID002」が決済サーバ20cに登録された後のケースである。ICカード2を所有する乗客が路線バス10bから降車する際に、T200において、ICカード2が運賃決済装置4aに近づけられる。この場合、運賃決済装置4aは、T202において、ICカード2の識別情報「ID002」と、ICカード2内の第1の残高「120円」と、を読み出す。次いで、運賃決済装置4aは、T204において、識別情報「ID002」を決済サーバ20cに送信する。
【0034】
決済サーバ20cは、T204において、運賃決済装置4aから識別情報「ID002」を受信すると、T210において、識別情報「ID002」が登録されていると判定し、識別情報「ID002」に関連付けられている負債額「ゼロ」を特定する。この場合、決済サーバ20cは、T220において、負債額「ゼロ」を運賃決済装置4aに送信する。
【0035】
運賃決済装置4aは、T220において、決済サーバ20cから負債額「ゼロ」を受信すると、T230において、第1の残高「120円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「-80円」を算出する。即ち、本ケースでは、残高が不足する。この場合、運賃決済装置4aは、T232において、新たな残高として残高「ゼロ」をICカード2に書き込む。
【0036】
次いで、運賃決済装置4aは、T239において、残高不足画面D20を表示部40d(図2参照)に表示する。残高不足画面D20は、運賃が減算される前の第1の残高「120円」を示す領域M21と、運賃「200円」を示す領域M22と、運賃が減算された後の第2の残高「0(ゼロ)円」を示す領域M23と、を含む。残高不足画面D20は、さらに、次回の乗車時に不足額を支払うように乗客に促すためのメッセージを示す領域M24と、運賃に対する第1の残高の不足額「80円」を示す領域M25と、を含む。これにより、乗客に対して、ICカード2内の残高が運賃に対して不足している状態で決済処理が実行されたことを認識させることができる。
【0037】
運賃決済装置4aは、T240において、識別情報「ID002」と負債額「-80円」とを決済サーバ20cに送信する。
【0038】
決済サーバ20cは、T240において、識別情報「ID002」と負債額「-80円」とを受信すると、T270において、負債額テーブル22t内の識別情報「ID002」に関連付けられている負債額を「ゼロ」から「80円」に変更する。なお、決済サーバ20cは、負債額を受信する場合には、決済完了通知を管理サーバ20mに送信しない。正常に決済が行われていないからである。
【0039】
(過去の負債額の決済を実行するケース;図6
図6は、図5の続きのケース、即ち、ICカード2の識別情報「ID002」に関連付けて負債額「80円」が決済サーバ20cに記憶された後のケースである。T300~T310は、第1の残高が「1000円」である点を除いて、図5のT200~T210と同様である。決済サーバ20cは、T320において、負債額「80円」を運賃決済装置4aに送信する。
【0040】
この場合、運賃決済装置4aは、T320において、決済サーバ20cから負債額「80円」を受信すると、T330において、第1の残高「1000円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」と、負債額「80円」と、を減算して、第3の残高「720円」を算出する。次いで、運賃決済装置4aは、T332において、新たな残高として第3の残高「720円」をICカード2に書き込む。
【0041】
次いで、運賃決済装置4aは、T339において、決済完了画面D30を表示部40d(図2参照)に表示する。決済完了画面D30は、運賃が減算される前の第1の残高「1000円」を示す領域M31と、運賃「200円」を示す領域M32と、運賃が減算された後の第2の残高「720円」を示す領域M35と、を含む。決済完了画面D30は、さらに、前回の乗車時に発生した負債額「80円」を示す領域M33と、運賃と負債額の合計額「280円」を示す領域M34と、を含む。これにより、運賃決済装置4aは、乗客に対して、今回の乗車分の運賃に加え、前回の負債額の決済を完了したことを認識させることができる。そして、運賃決済装置4aは、T340において、識別情報「ID002」と決済完了通知とを決済サーバ20cに送信する。
【0042】
決済サーバ20cは、T340において、識別情報「ID002」と決済完了通知とを受信すると、T370において、負債額テーブル22t内の識別情報「ID002」に関連付けられている負債額を「80円」から「ゼロ」に変更する。
【0043】
上述したように、ICカード2を所有する乗客は、過去に乗車した路線バス10bの運賃決済時に発生した負債額「80円」を、その後に乗車した路線バス10cの運賃決済装置4aで支払うことができる。このように、運賃決済装置4aは、仮にICカード2内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、乗客に関する情報を事前に登録しなくても、運賃決済処理をスムーズに実行することができる。
【0044】
(ICカード内の残高が不足するケース;図7
図7を参照して、ICカード2が初めて運賃決済装置4aに近づけられて、残高が不足するケースを説明する。T400~T420は、第1の残高が「120円」である点を除いて、図4のT100~T120と同様である。
【0045】
運賃決済装置4aは、T420において、決済サーバ20cから未登録情報を受信すると、T430において、第1の残高「120円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「-80円」を算出する。この場合、運賃決済装置4aは、T439において、残高不足画面D40を表示部40dに表示する。残高不足画面D40は、運賃が減算される前の第1の残高「120円」を示す領域M41と、運賃「200円」を示す領域M42と、を含む。残高不足画面D40は、さらに、電子マネーをチャージすることを促すメッセージを示す領域M43と、運賃が減算された後の第2の残高「-80円」を不足額として示す領域M44と、を含む。
【0046】
ICカード2を所有する乗客は、その場で電子マネーをチャージし、運賃「200円」を支払う。例えば乗客が1000円分の電子マネーをチャージした場合、運賃決済装置4aは、追加後のICカード2の残高「1120円」から運賃「200円」を減算し、新たな残高として「920円」をICカード2に書き込む。
【0047】
上述したように、運賃決済装置4aは、決済サーバ20cに登録されていないICカード2の第1の残高が運賃に対して不足している場合には、図5のT232及びT240の処理を実行しない。乗客の信頼度が低いからである。これにより、負債額が事後的に徴収されないという事態の発生を抑制することができる。
【0048】
(対応関係)LTEI/F40cが、「通信インターフェース」の一例である。ICカード2が、「特定の記憶媒体」の一例である。路線バス10a、10b、10cが、それぞれ、「車両」の一例である。
【0049】
(第2実施例)
続いて、第2実施例を説明する。本実施例では、負債額が決済サーバ20cではなくICカード2に登録される。従って、本実施例では、決済サーバ20c及び管理サーバ20mが存在しない。
【0050】
(残高が不足しない通常の決済を実行するケース;図8図8~11を参照して、第2実施例の運賃決済装置4aによって実行される処理について説明する。まず、図8を参照して、ICカード2が初めて運賃決済装置4aに近づけられて、残高が不足しない通常の決済が実行されるケースを説明する。
【0051】
ICカード2を所有する乗客によって、T500において、ICカード2が運賃決済装置4aに近づけられると、運賃決済装置4aは、T502において、ICカード2から第1の残高「500円」と決済実績「ゼロ」とを読み出す。決済実績は、ICカード2が決済を実行した回数を示す情報である。運賃決済装置4aは、T510において、決済実績が予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。本実施例では、閾値は「2」である。このため、運賃決済装置4aは、決済実績が閾値未満であると判定する。なお、閾値は、「2」に限定されず、「1」でもよいし「3」以上であってもよい。
【0052】
次いで、運賃決済装置4aは、T530において、第1の残高「500円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「300円」を算出する。次いで、運賃決済装置4aは、T532において、新たな残高として第2の残高「300円」をICカード2に書き込む。さらに、運賃決済装置4aは、T534において、決済実績「1」をICカード2に書き込む。その後、運賃決済装置4aは、T539において、決済完了画面D10(図4参照)を表示部40d(図2参照)に表示する。
【0053】
決済実績「1」が記録されたICカード2を所有する乗客が路線バス10a(もしくは、路線バス10b、10c)に再び乗車すると、T500~T539と同様の処理が実行される。この場合、ICカード2には、決済実績「2」が書き込まれる。
【0054】
(ICカード内の残高が不足するケース;図9図9は、図8の後のケースである。T600及びT602は、第1の残高が「120円」である点を除いて、図8のT500及びT502と同様である。運賃決済装置4aは、T610において、決済実績「2」が閾値以上であると判定する。
【0055】
その後、運賃決済装置4aは、T630において、第1の残高「120円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「-80円」を算出する。この場合、運賃決済装置4aは、T632において、新たな残高として、残高「ゼロ」をICカード2に書き込む。さらに、運賃決済装置4aは、T634において、第2の残高「-80円」を負債額「80円」としてICカード2に書き込む。ただし、運賃決済装置4aは、決済実績「3」をICカード2に書き込まない。正常に決済が行われていないからである。さらに、運賃決済装置4aは、T639において、残高不足画面D20(図5参照)を表示部40dに表示する。
【0056】
(過去の負債額の決済を実行するケース;図10
図10は、図9の続きのケース、即ち、ICカード2に負債額「80円」が書き込まれた後のケースである。T700において、ICカード2が運賃決済装置4aに近づけられると、運賃決済装置4aは、T702において、ICカード2の第1の残高「1000円」と、決済実績「2」と、に加え、さらに負債額「80円」を読み出す。この場合、運賃決済装置4aは、T710において、決済実績「2」が閾値以上であると判定し、T730において、第1の残高「1000円」から、運賃「200円」と負債額「80円」とを減算して、第3の残高「720円」を算出する。この場合、運賃決済装置4aは、T732において、新たな残高として、第3の残高「720円」をICカード2に書き込む。さらに、運賃決済装置4aは、T734において、負債額「ゼロ」をICカード2に書き込む。運賃決済装置4aは、T736において、決済実績「3」をICカード2に書き込む。その後、運賃決済装置4aは、T739において、表示部40d(図2参照)に決済完了画面D30(図6参照)を表示する。
【0057】
このように、ICカード2を所有する乗客は、過去の運賃決済時に発生した負債額「80円」を、その後の運賃決済時に運賃決済装置4aで支払うことができる。このように、第2実施例の運賃決済装置4aは、仮にICカード2内の第1の残高が運賃に対して不足している場合であっても、乗客に関する情報を事前に登録しなくても、運賃決済処理をスムーズに実行することができる。
【0058】
(ICカード内の残高が不足するケース;図11
図11を参照して、ICカード2が初めて運賃決済装置4aに近づけられて、残高が不足するケースを説明する。T800~T810は、第1の残高が「120円」である点を除いて、図8のT500~T510と同様である。
【0059】
運賃決済装置4aは、T810において、決済実績「ゼロ」が閾値未満であると判定する。その後、運賃決済装置4aは、T830において、第1の残高「120円」から、乗車区間に基づいて決定される運賃「200円」を減算して、第2の残高「-80円」を算出する。この場合、運賃決済装置4aは、T839において、残高不足画面D40(図7参照)を表示部40dに表示する。
【0060】
この場合、ICカード2を所有する乗客は、その場で電子マネーをチャージし、運賃「200円」を支払う。このように、運賃決済装置4aは、決済実績が閾値未満のICカード2の第1の残高が運賃に対して不足している場合には、図9のT632及びT634の処理を実行しない。乗客の信頼度が低いからである。これにより、負債額が事後的に徴収されないという事態の発生を抑制することができる。
【0061】
(対応関係)閾値「2」以上の決済実績が、「所定の決済実績情報」の一例である。
【0062】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0063】
(変形例1)上述した実施例の運賃決済装置4a、4b、4cは、路線バスに搭載された。これに代えて、運賃決済装置は、例えば、路面電車に搭載されてもよいし、電車の自動改札機として用いられてもよい。
【0064】
(変形例2)運賃決済装置4aは、図5のT232において、ICカード2に新たな残高として残高「ゼロ」を書き込まなくてもよい。その場合、運賃決済装置4aは、T240において、運賃である「-200円」を決済サーバ20cに送信してもよい。決済サーバ20cは、T270において、識別情報「ID002」と「-200円」とを関連付けて登録してもよい。その場合、残高不足画面D20の領域M25(図5参照)には、不足額として、運賃「200円」が表示される。
【0065】
(変形例3)同様に、運賃決済装置4aは、図9のT632において、ICカード2に新たな残高として残高「ゼロ」を書き込まなくてもよい。その場合、運賃決済装置4aは、T634において、負債額「200円」を書き込んでもよい。
【0066】
(変形例4)第1実施例の変形例である運賃決済装置は、未登録のICカード2の第1の残高が運賃に対して不足している場合に、ICカード2の識別情報「ID002」と負債額とを決済サーバ20cに登録してもよい。第2実施例の変形例である運賃決済装置は、未登録のICカード2の第1の残高が運賃に対して不足している場合に、負債額をICカード2に書き込んでもよい。
【0067】
(変形例5)運賃決済装置は、ICカード2に対して、自身を管理する管理会社を識別する管理会社識別情報を、負債額に関連付けてさらに書き込んでもよい。その場合、運賃決済装置は、ICカード2から、負債額とともに管理会社識別会社情報を読み出す。運賃決済装置は、自身の管理会社と、読み出した管理会社識別情報によって識別される管理会社と、が一致した場合に、上述した負債額を決済する処理を実行してもよい。これにより、ICカード2が複数の管理会社のそれぞれによって管理される複数の運賃決済装置の運賃決済で利用される場合に、管理会社ごとに負債額を決済することができる。
【0068】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0069】
2 :ICカード
4a、4b、4c、 :運賃決済装置
6 :インターネット
10a、10b、10c :路線バス
20 :サーバ
20c :決済サーバ
20m :管理サーバ
21c :通信インターフェース
22、24、42 :制御部
22c、24c、42c :CPU
22m、24m、42m :メモリ
22p、24p、42p :プログラム
22t :負債額テーブル
24t :決済実績テーブル
40c :LTEインターフェース
40d :表示部
40r :リーダライタ
40s :操作部
42t :運賃テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11