(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】作業機、および干渉回避方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H05K13/04 P
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2021015610
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智広
(72)【発明者】
【氏名】黒田 英矢
(72)【発明者】
【氏名】深川 徹也
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 寛之
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/207861(WO,A1)
【文献】特開2002-100896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により所定の位置まで搬送された基板を上昇させることでクランプし、基板を下降させることでクランプを解除するクランプ装置と、
部品保持具を有し、前記部品保持具に保持された部品を前記クランプ装置によりクランプされた基板に装着する作業ヘッドと、
前記クランプ装置によりクランプされた基板に部品が装着された後に、
自動でのキャリブレーションとして前記作業ヘッドが下降する際に、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を下降させてクランプを解除するように前記クランプ装置の作動を制御する制御装置と、
を備える作業機。
【請求項2】
基板を下降させてクランプを解除するように前記クランプ装置の作動を制御しても、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を前記所定の位置から移動させるように前記搬送装置の作動を制御する前記制御装置を備える請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
基板を前記所定の位置から移動させるように前記搬送装置の作動を制御しても、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、エラー報知するように報知装置の作動を制御する前記制御装置を備える請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
基板を前記所定の位置から移動させるように前記搬送装置の作動を制御しても、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を前記作業機から搬出するように前記搬送装置の作動を制御する前記制御装置を備える請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記作業ヘッドを上下方向に移動させるヘッド移動装置と、
前記部品保持具を上下方向に移動させる保持具移動装置と、
前記ヘッド移動装置と前記保持具移動装置との少なくとも一方の作動により前記作業ヘッドが下降する際に、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を下降させてクランプを解除するように前記クランプ装置の作動を制御する前記制御装置と、
を備える請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項6】
複数種類の前記作業ヘッドと、
前記複数種類の作業ヘッドのうちの任意のものが着脱可能に装着される被装着体と、
を備える請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項7】
前記基板と前記作業ヘッドとが上下方向において重なる領域内で、前記作業ヘッドが下降する際の前記作業ヘッドの下面が、基板に装着されている部品の上面より下方に位置する場合に、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉するものとして、基板を下降させてクランプを解除するように前記クランプ装置の作動を制御する前記制御装置を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項8】
基板を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により所定の位置まで搬送された基板を上昇させることでクランプし、基板を下降させることでクランプを解除するクランプ装置と、
部品保持具を有し、前記部品保持具に保持された部品を前記クランプ装置によりクランプされた基板に装着する作業ヘッドと、
を備える作業機において、
前記クランプ装置によりクランプされた基板に部品が装着された後に、
自動でのキャリブレーションとして前記作業ヘッドが下降する際に、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を下降させてクランプを解除することで、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとの干渉を回避する干渉回避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の位置まで搬送された基板を上昇させることでクランプし、基板を下降させることでクランプを解除するクランプ装置と、部品保持具に保持された部品をクランプ装置によりクランプされた基板に装着する作業ヘッドとを備える作業機等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、搬送装置により搬送される基板に対して作業を行う作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定の位置まで搬送された基板をクランプ装置により上昇させることでクランプし、その基板に作業ヘッドにより部品を装着する作業機において、作業ヘッドと、基板に装着されている部品との干渉を回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、基板を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により所定の位置まで搬送された基板を上昇させることでクランプし、基板を下降させることでクランプを解除するクランプ装置と、部品保持具を有し、前記部品保持具に保持された部品を前記クランプ装置によりクランプされた基板に装着する作業ヘッドと、前記クランプ装置によりクランプされた基板に部品が装着された後に、自動でのキャリブレーションとして前記作業ヘッドが下降する際に、基板に装着されている部品と前記作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を下降させてクランプを解除するように前記クランプ装置の作動を制御する制御装置と、を備える作業機を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、作業ヘッドが下降する際に、基板に装着されている部品と作業ヘッドとが干渉する場合に、基板を下降させてクランプが解除される。これにより、作業ヘッドと、基板に装着されている部品との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】回路基板をクランプした状態の基板搬送保持装置を示す図である。
【
図10】キャリブレーションが実行される際の部品装着作業機を示す平面図である。
【
図11】装着ヘッドと先付部品とが干渉する場合の基板搬送保持装置を示す図である。
【
図12】回避動作が実行される際の条件を示すマップデータである。
【
図13】装着ヘッドと先付部品とが干渉しない場合の基板搬送保持装置を示す図である。
【
図14】回路基板のクランプが解除された状態の基板搬送保持装置を示す図である。
【
図15】回路基板のクランプが解除された状態の基板搬送保持装置を示す図である。
【
図16】回路基板の搬送作業が実行される際の部品装着作業機を示す平面図である。
【
図17】回路基板の搬送作業が実行される際の部品装着作業機を示す平面図である。
【
図18】回路基板の搬送作業が実行される際の部品装着作業機を示す平面図である。
【
図19】部品装着作業システムを示す平面図である。
【
図20】第1ツールが装着された装着ヘッドを示す側面図である。
【
図21】第2ツールが装着された装着ヘッドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に、第1実施例の部品装着作業機10を示す。部品装着作業機10は、回路基板12に対して電子部品の装着作業を行うものであり、基板搬送保持装置20と、移動装置22と、1対の装着ヘッド26,28と、1対の供給装置30,32と、1対のマークカメラ34,36と、1対のパーツカメラ38,40とを備えている。
【0010】
基板搬送保持装置20は、部品装着作業機10のベース16の上面に配設されており、
図2乃至
図5に示すように、コンベア装置50と、基板保持装置52とを有している。
図2は、基板搬送保持装置20を斜め上方からの視点において示す図であり、
図3は、基板搬送保持装置20を上方からの視点において示す図である。また、
図4は、
図3のAA線からの視点において示す図であり、
図5は、
図3のBB線からの視点において示す図である。
【0011】
コンベア装置50は、1対のガイドレール60,62と、各ガイドレール60,62に設けられたコンベアベルト66を有している。1対のガイドレール60,62は、互いに平行に配設されており、各ガイドレール60,62は、1対の支持脚70を介して支持プレート72の上面において支持されている。なお、ガイドレール60,62の延びる方向をX方向、そのX方向に水平に直行する方向をY方向、X方向及びY方向の両方に直交する方向をZ方向と称する。
【0012】
また、各ガイドレール60,62の側面には2個のプーリ74,76がY方向を軸心として配設されている。それら2個のプーリ74,76は、各ガイドレール60,62の両端部に配設されている。なお、ガイドレール60とガイドレール62とは、互いのプーリ74,76の配設面が対向する状態で配設されている。そして、コンベアベルト66が、各ガイドレール60,62のプーリ74,76に巻き掛けられており、コンベアベルト66は、電磁モータ(
図9参照)78の駆動により周回する。
【0013】
なお、コンベアベルト66の周回方向は、
図4での時計回りの方向とされている。これにより、コンベアベルト66の上に回路基板12を載置することで、回路基板12は、プーリ74が配設されている側からプーリ76が配設されている側に向かって、コンベアベルト66によって搬送される。
【0014】
また、基板保持装置52は、昇降テーブル86と、複数のバックアップピン88と、テーブル昇降機構90と、クランプ機構92とを有している。昇降テーブル86は、概して矩形をなし、各ガイドレール60,62の1対の支持脚70の間に延びだすように、ガイドレール60,62の下方に配置されている。また、昇降テーブル86の上面には、例えば、複数のバックアップピン88が、3×3列に並んだ状態、つまり、X方向に3列に並び、Y方向に3列に並んだ状態で、昇降テーブル86の上に立設されている。その昇降テーブル86は、テーブル昇降機構90を介して、支持プレート72の上面に配設されており、テーブル昇降機構90は、電磁モータ(
図9参照)96の駆動により昇降テーブル86を昇降させる。
【0015】
また、クランプ機構92は、1対のクランプバー100と、1対のクランププレート102とを有している。クランプバー100は、概して板状をなし、クランプバー100の長さ寸法が、昇降テーブル86のX方向における長さ寸法より長くされている。そして、1対のクランプバー100の各々は、各クランプバー100の両端の間に昇降テーブル86が位置するように、ガイドレール60,62の上面に固定されている。つまり、クランプバー100の下方に昇降テーブル86が延び出すように、クランプバー100がガイドレール60,62の上面に固定されている。なお、クランプバー100は、ガイドレール60,62に配設されているコンベアベルト66の上方に延びだすように、ガイドレール60,62の上面に固定されている。
【0016】
また、クランププレート102は、概して矩形の板状をなし、クランププレート102の長手方向における長さ寸法が、クランプバー100の長さ寸法と略同じとされている。クランププレート102は、コンベアベルト66の上方に延びだすクランプバー100の下方において、クランプバー100と同じ方向に延び出しており、立設した状態で、ガイドレール60,62により上下方向にスライド可能に保持されている。つまり、ガイドレール60,62のコンベアベルト66が配設された側の側面に、保持具108が配設されている。そして、そのガイドレール60,62の側面と、クランププレート102の側面とが対向した状態で、クランプバー100の下方において、クランププレート102が保持具108により上下方向にスライド可能に保持されている。
【0017】
なお、ガイドレール60,62により上下方向にスライド可能に保持されたクランププレート102が、最も下方にスライドした際に、
図5に示すように、クランププレート102の上端は、コンベアベルト66の上面より下方に位置しており、クランププレート102の下端は、上昇していない状態での昇降テーブル86の上面より上方に位置している。
【0018】
このような構造により、基板搬送保持装置20では、コンベア装置50により搬送された回路基板12が基板保持装置52によりクランプされる。詳しくは、回路基板12が部品装着作業機10に搬入され、コンベア装置50により所定の作業位置まで搬送される。なお、回路基板12が作業位置まで搬送されると、コンベア装置50のコンベアベルト66の上に載置される回路基板12の両縁が、
図5に示すように、上下方向においてクランプバー100とクランププレート102との間に位置する。
【0019】
次に、回路基板12が作業位置まで搬送されると、テーブル昇降機構90の作動により、昇降テーブル86が上昇する。この際、クランププレート102の下端が昇降テーブル
86の上面に接触し、昇降テーブル86の上昇に伴って、クランププレート102も上昇する。そして、クランププレート102の上昇に伴って、クランププレート102の上端が、コンベアベルト66により支持されている回路基板12の下面に接触する。また、昇降テーブル86の上面に載置されているバックアップピン88の高さ寸法は、クランププレート102の上下方向の長さ寸法と同じとされている。
【0020】
このため、クランププレート102の上端が、コンベアベルト66により支持されている回路基板12の下面に接触したタイミングで、バックアップピン88の上端も、回路基板12の下面に接触する。そして、昇降テーブル86が上昇することで、コンベアベルト66により支持されていた回路基板12が、クランププレート102とバックアップピン88とによりコンベアベルト66から持ち上げられ、上昇する。この際、
図6に示すように、回路基板12の上面がクランプバー100の下面に接触する位置まで、テーブル昇降機構90が作動し、回路基板12が、クランププレート102とバックアップピン88とにより持ち上げられる。これにより、回路基板12が、中央部において、下方からバックアップピン88により支持された状態で、両縁において、クランプバー100とクランププレート102とによって挟持される。
【0021】
また、移動装置22は、
図1及び
図7に示すように、X方向スライド機構110とY方向スライド機構112とZ方向スライド機構114とによって構成されている。Y方向スライド機構112は、1対のY方向ガイドレール116を有しており、それら1対のY方向ガイドレール116は、ベース16の上方において互いに平行かつY方向に延びるように配設されている。また、X方向スライド機構110は、1対のX方向ガイドレール118を有しており、それら1対のX方向ガイドレール118は、互いに平行かつX方向に延びるように1対のY方向ガイドレール116に上架されている。Y方向スライド機構112は、電磁モータ(
図9参照)120を有しており、その電磁モータ120の駆動によって、各X方向ガイドレール118がY方向の任意の位置に移動する。各X方向ガイドレール118は、自身の軸線に沿って移動可能にX方向スライダ122を保持している。X方向スライド機構110は、電磁モータ(
図9参照)124を有しており、その電磁モータ124の駆動によって、各X方向スライダ122がX方向の任意の位置に移動する。また、Z方向スライド機構114は、1対のZ方向スライダ126を有しており、それら1対のZ方向スライダ126の各々は、1対のX方向スライダ122の各々によって、Z方向にスライド可能に保持されている。Z方向スライド機構114は、電磁モータ(
図9参照)128を有しており、その電磁モータ128の駆動によって、各Z方向スライダ126がZ方向の任意の位置に移動する。そして、各Z方向スライダ126には、装着ヘッド26,28が着脱可能に取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド26,28は、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112によってベース16上の任意の位置に移動し、Z方向スライド機構114によって上下方向に昇降する。
【0022】
また、装着ヘッド26,28の各々は、
図8に示すように、Z方向スライダ126に取り付けられるフレーム130と、複数のノズルホルダ132が周方向に所定角度(例えば30度)の間隔で配置されたヘッド本体134と、各ノズルホルダ132の下端に取り付けられた吸着ノズル136とを備える。また、装着ヘッド26,28は、ヘッド本体134を回転させて複数のノズルホルダ132を回転(公転)させるR軸モータ137と、複数のノズルホルダ132を回転(自転)させるQ軸モータ138と、ノズルホルダ132を昇降させる昇降装置140とを備える。
【0023】
ヘッド本体134は、フレーム130に回転可能に支持された軸142と、軸142よりも大径の円柱形状のホルダ保持体144とにより構成されている。ホルダ保持体144は、複数の棒状のノズルホルダ132をZ方向に延びる姿勢でZ方向にスライド可能に保持している。そして、軸142の上端がR軸モータ137に連結されており、R軸モータ
137の駆動により、軸142およびホルダ保持体144が回転することで、複数のノズルホルダ132が回転(公転)する。
【0024】
また、ヘッド本体134は、軸142と同軸で軸142に対して相対的に回転可能に支持された第1ギヤ146と、第1ギヤ146の回転に伴って回転する第2ギヤ148と、Q軸モータ138の回転軸に取り付けられた第3ギヤ150とを有している。第1ギヤ146は第3ギヤ150と噛合しており、第2ギヤ148は、各ノズルホルダ132に取り付けられた第4ギヤ152と噛合している。これにより、Q軸モータ138が駆動すると、各ノズルホルダ132および各ノズルホルダ132に装着されている吸着ノズル136は、いずれも同一回転方向に同一回転量(回転角度)だけ回転(自転)する。また、第4ギヤ152の下面とホルダ保持体144の上面との間に、コイルスプリング154が圧縮された状態で配設されている。これにより、各ノズルホルダ132はコイルスプリング154の弾性力により上方に向って付勢されているが、所定の高さにおいてストッパ(図示省略)により上方への付勢が規制されている。
【0025】
また、昇降装置140は、リニアモータ156と、リニアモータ156の駆動によりZ方向に昇降するプッシャ158とを備える。プッシャ158は、複数のノズルホルダ132のうち所定の昇降位置に位置するノズルホルダ132の上端に係合する。そして、リニアモータ156の駆動によりプッシャ158が下降することで、複数のノズルホルダ132のうち所定の昇降位置に位置するノズルホルダ132が、コイルスプリング154の弾性力に抗して下降する。また、リニアモータ156の駆動によりプッシャ158が上昇することで、昇降位置に位置するノズルホルダ132が、コイルスプリング154の弾性力によって上昇する。つまり、昇降位置に位置するノズルホルダ132は、リニアモータ156の駆動により昇降する。これに伴い吸着ノズル136も昇降する。なお、複数のノズルホルダ132は、R軸モータ137の駆動により公転することで、昇降位置に順次移動する。
【0026】
また、装着ヘッド26,18の各々は、正負圧供給装置(
図9参照)160を備えており、各装着ヘッド26,28の複数の吸着ノズル136が、負圧エア,正圧エア通路(図示省略)を介して、正負圧供給装置160に通じている。これにより、吸着ノズル136は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。
【0027】
また、
図1に示すように、1対の供給装置30,32は、基板搬送保持装置20を挟むようにして、ベース16のY方向における両側部に配設されている。各供給装置30,32は、複数のテープフィーダ170を有しており、各テープフィーダ170は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものであり、テープフィーダ170は、送り装置(
図9参照)172によって、テープ化部品を送り出す。これにより、各供給装置30,32のテープフィーダ170は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給し、各装着ヘッド26,28がテープフィーダ170から電子部品を保持する。なお、供給装置30は装着ヘッド26に対応しており、装着ヘッド26が供給装置30のテープフィーダ170から電子部品を保持し、供給装置32は装着ヘッド28に対応しており、装着ヘッド28が供給装置32のテープフィーダ170から電子部品を保持する。
【0028】
また、1対のマークカメラ34,36は、下方を向いた状態で、移動装置22の1対のX方向スライダ122に取り付けられており、装着ヘッド26,28とともに、X方向及びY方向に移動する。これにより、各マークカメラ34,36は、移動装置22の作動により任意の位置に移動し、ベース16上の任意の位置を撮像する。
【0029】
また、1対のパーツカメラ38,40は、基板搬送保持装置20と1対の供給装置30
,32との間において、上方を向いた状態で配設されている。これにより、電子部品を保持する装着ヘッド26,28が、移動装置22の作動によりパーツカメラ38,40の上方に移動することで、パーツカメラ38,40が、装着ヘッド26,28に保持された電子部品を撮像する。なお、パーツカメラ38は装着ヘッド26に対応しており、装着ヘッド26に保持された電子部品を撮像し、パーツカメラ40は装着ヘッド28に対応しており、装着ヘッド28に保持された電子部品を撮像する。
【0030】
さらに、部品装着作業機10は、
図9に示すように、制御装置180を備えている。制御装置180は、コントローラ182と、複数の駆動回路184と、画像処理装置186とを備えている。複数の駆動回路184は、上記電磁モータ78,96,120,124,128、正負圧供給装置160、R軸モータ137、Q軸モータ138、リニアモータ156、送り装置172に接続されている。コントローラ182は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路184に接続されている。これにより、基板搬送保持装置20、移動装置22の作動が、コントローラ182によって制御される。また、コントローラ182は、画像処理装置186に接続されている。画像処理装置186は、マークカメラ34,36およびパーツカメラ38,40によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ182は、それら画像データから各種情報を取得する。また、制御装置180は、表示パネル190にも接続されている。表示パネル190は、部品装着作業機10の外壁面に配設されており、制御装置180からの指令に従って、任意の画面を表示する。
【0031】
部品装着作業機10では、上述した構成によって、基板搬送保持装置20に保持された回路基板12に対して電子部品の装着作業が行われる。具体的には、回路基板12が、コンベア装置50によって作業位置まで搬送され、その作業位置において、基板保持装置52によって固定的に保持される。次に、1対のマークカメラ34,36の何れか一方、例えば、マークカメラ34が、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、回路基板12の上方に移動し、回路基板12を撮像する。そして、撮像データに基づいて、回路基板12の保持位置等に関する情報が演算される。また、1対の供給装置30,32の何れか一方、例えば、供給装置30のテープフィーダ170が電子部品を供給する。そして、1対の装着ヘッド26,28のうちの、電子部品を供給する供給装置に対応する装着ヘッドが、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、電子部品の供給位置の上方に移動する。ここでは、供給装置30のテープフィーダ170が電子部品を供給するため、その供給装置30に対応する装着ヘッド26が電子部品の供給位置の上方に移動する。そして、装着ヘッド26がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により下降し、装着ヘッド26の吸着ノズル136により電子部品が保持される。
【0032】
次に、装着ヘッド26の吸着ノズル136により電子部品が保持されると、装着ヘッド26がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により上昇する。そして、装着ヘッド26は、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、1対のパーツカメラ38,40のうちの、その装着ヘッド26に対応するパーツカメラの上方に移動する。つまり、装着ヘッド26とパーツカメラ38とが対応しているため、装着ヘッド26はパーツカメラ38の上方に移動する。そして、吸着ノズル136により保持されている電子部品がパーツカメラ38の被写界深度内に位置するように、装着ヘッド26がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により下降する。なお、被写界深度は、カメラの焦点が合うカメラと被写体との間の距離範囲を示すものであり、パーツカメラの被写界深度は比較的浅いため、装着ヘッド26はパーツカメラの比較的近くまで下降する必要がある。そして、吸着ノズル136により保持されている電子部品がパーツカメラ38の被写界深度内に入ると、その電子部品が、パーツカメラ38によって撮像されて、撮像データに基づいて電子部品の保持姿勢
等に関する情報が演算される。
【0033】
そして、吸着ノズル136に保持されている電子部品がパーツカメラ38により撮像されると、装着ヘッド26は、Z方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により上昇する。続いて、装着ヘッド26は、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、基板保持装置52に保持されている回路基板12の部品装着予定位置の上方に移動する。そして、装着ヘッド26がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により下降し、吸着ノズル136に保持されている電子部品が回路基板12の部品装着予定位置に装着される。この際、吸着ノズル136に保持されている電子部品の向き,姿勢等が、回路基板12の保持位置,電子部品の保持姿勢等に基づいて補正されて、電子部品が回路基板12の装着予定位置に装着される。
【0034】
このように、部品装着作業機10では、コンベア装置50により作業位置まで搬送された回路基板12が基板保持装置52によって保持され、その回路基板12に対して装着ヘッドにより電子部品の装着作業が実行される。この際、所定数の電子部品が、基板保持装置52に保持されている回路基板12に装着されることで、その回路基板12への装着作業が完了する。そして、装着作業が完了した回路基板12の基板保持装置52による保持が解除されて、コンベア装置50の作動により回路基板12が部品装着作業機10から搬出される。しかしながら、基板保持装置52に保持されている回路基板12への装着作業中に、例えば、ヘッドが何かに衝突した場合に、第1ツール262の代わりに、第2ツール270を用いて装着作業を継続することがある。この際、部品装着作業機10において自動でキャリブレーションが実行されるが、そのキャリブレーション実行時に、装着ヘッド26と先付部品とが干渉する虞がある。なお、先付部品は、回路基板12に装着されている電子部品である。つまり、基板保持装置52に保持されている回路基板12に電子部品が装着された後に、回路基板12が基板保持装置52に保持されている状態でエラーが発生した場合に、自動でキャリブレーションが実行されるが、その際に、回路基板12に装着されている先付部品と装着ヘッドとが干渉する虞がある。
【0035】
詳しくは、装着作業時にエラーが発生すると、そのエラーが解除された後に、移動装置22,装着ヘッド26,28等の作動をチェックするべくキャリブレーションが自動で実行される。そのキャリブレーションでは、例えば、装着ヘッド26の吸着ノズル136に保持された電子部品の撮像時の移動装置22,装着ヘッド26等の作動をチェックするために、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、装着ヘッド26がパーツカメラ38の上方に移動する。この際、
図10に示すように、装着ヘッド26と、基板保持装置52により保持されている回路基板12とが上下方向において重なる。続いて、吸着ノズル136により保持されている電子部品がパーツカメラ38の被写界深度内に入るように、装着ヘッド26がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により下降する。そして、パーツカメラ38による撮像が行われることで、移動装置22,装着ヘッド26等の作動がチェックされる。
【0036】
ただし、装着ヘッド26と、基板保持装置52により保持されている回路基板12とが上下方向において重なる領域に先付部品が回路基板12に装着されている場合には、装着ヘッド26が下降すると、
図11に示すように、装着ヘッド26と先付部品200とが干渉する虞がある。なお、装着ヘッド26の先付部品200に干渉する部位としては、吸着ノズル136の先端部,フレーム130の下端面等である。そこで、部品装着作業機10では、コントローラ182に
図12に示すマップデータが記憶されており、そのマップデータに従って、コントローラ182が基板搬送保持装置20等の作動を制御することで、装着ヘッド26と先付部品200との干渉が回避される。
【0037】
具体的には、装着ヘッド28に保持された電子部品のパーツカメラ38による撮像時に装着ヘッド28が下降する際の装着ヘッド28の下面高さ(以下、「ヘッド高さ」と記載する)Hが、コントローラ182に記憶されている。なお、ヘッド高さは、基板保持装置52により保持された回路基板12の上面を基準とする高さであり、その回路基板12の上面と、パーツカメラ38による撮像時に装着ヘッド28が下降した際の装着ヘッド28の下面との間の距離である。なお、装着ヘッド28の下面は、吸着ノズル136の先端部,フレーム130の下端面等である。
【0038】
また、部品装着作業機10では、電子部品が回路基板12に装着されると、装着された電子部品、つまり、先付部品の装着位置,先付部品の識別情報等が、コントローラ182に記憶される。このため、キャリブレーションが自動で実行される前に、コントローラ182は、装着ヘッド28の上方に移動した際の装着ヘッド26と、基板保持装置52により保持されている回路基板12とが上下方向において重なる領域(以下、「重なり領域」と記載する)の回路基板に先付部品が装着されているか否かを判断する。この際、重なり領域の回路基板に先付部品が装着されていない場合には、装着ヘッド26が下降しても、装着ヘッド26と先付部品とが干渉する可能性はない。このため、重なり領域の回路基板に先付部品が装着されていない場合には、キャリブレーションが実行される。
【0039】
一方で、重なり領域の回路基板に先付部品が装着されている場合には、装着ヘッド26が下降すると、装着ヘッド26と先付部品とが干渉する虞がある。しかしながら、先付部品の高さ寸法(以下、「先付部品高さ」と記載する)Sが小さい場合には、
図13に示すように、装着ヘッド26と先付部品206とは干渉しない。つまり、先付部品206の先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、装着ヘッド26と先付部品206とは干渉しない。そこで、重なり領域の回路基板に先付部品が装着されている場合に、コントローラ182は、先付部品高さSがヘッド高さH以下であるか否かを判断する。なお、コントローラ182には、先付部品の識別情報と、その先付部品の先付部品高さSとが関連付けて記憶されている。このため、コントローラ182は、重なり領域に装着されている先付部品の識別情報に基づいて、その先付部品の先付部品高さSを特定し、特定した先付部品高さSがヘッド高さH以下であるか否かを判断する。
【0040】
この際、先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、装着ヘッド26が下降しても、
図13に示すように、装着ヘッド26と先付部品206とは干渉しない。そこで、先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、
図12のマップデータに示すように、コントローラ182は、回避動作が不要であると判断する。つまり、先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、何ら回避動作を行うことなく、キャリブレーションが実行される。
【0041】
一方、先付部品高さSがヘッド高さH以下でない場合、つまり、先付部品高さSがヘッド高さHより大きい場合には、装着ヘッド26が下降すると、
図11に示すように、装着ヘッド26と先付部品206とが干渉する。つまり、装着ヘッド26が下降した際に、装着ヘッド26の下面が先付部品200の上面より下方に位置する場合に、装着ヘッド26と先付部品206とが干渉する。そこで、先付部品高さSがヘッド高さHより大きい場合には、装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避するべく、コントローラ182は、基板保持装置52による回路基板のクランプを解除して、
図14に示すように、回路基板12を下降させる。つまり、先付部品高さSがヘッド高さHより大きい場合には、コントローラ182は、装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避する回避作業として、回路基板12のアンクランプ作業を実行する。これにより、回路基板12が下降することで、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0042】
しかしながら、先付部品の先付部品高さSが大きい場合や、基板保持装置52によりクランプされる回路基板が厚い場合には、回避作業として回路基板のアンクランプ作業が実行されても、装着ヘッド26が下降した際に装着ヘッド26と先付部品とが干渉する場合がある。詳しくは、アンクランプ作業により回路基板が下降する寸法(以下、「下降寸法」と記載する)Dは、基板保持装置52によるクランプストロークKからクランプ対象の回路基板の厚さ寸法(以下、「基板厚さ」と記載する)Tを減じた値である(D=K-T)。つまり、アンクランプ作業により回路基板は、下降寸法Dに相当する距離、下降する。このため、
図14に示すように、回路基板12が下降寸法Dに相当する距離、下降した場合に、先付部品200の先付部品高さSが、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)以下であれば、装着ヘッド26が下降しても、装着ヘッド26と先付部品206とは干渉しない。
【0043】
一方で、
図15に示すように、基板保持装置52によりクランプされる回路基板210の基板厚さTが厚い場合には、アンクランプ作業による回路基板210の下降寸法Dは、基板厚さが薄い回路基板12の下降寸法D(
図14参照)より小さい。また、その回路基板210に先付部品200より高さ寸法の高い先付部品212が装着されている場合には、その先付部品212の先付部品高さSは、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい。このように、先付部品高さSが、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合には、
図15に示すように、回路基板210のアンクランプ作業が実行されても、装着ヘッド26が下降した際に装着ヘッド26と先付部品212とが干渉する。
【0044】
そこで、
図12のマップデータに示すように、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)以下である場合に、コントローラ182は、回避作業として回路基板のアンクランプ作業を実行する。そして、回路基板のアンクランプ作業が実行された後にキャリブレーションが実行される。これにより、
図14に示すように、回路基板12が下降することで、キャリブレーション実行時に装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0045】
一方、上述したように、先付部品高さSが、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合には、回路基板のアンクランプ作業が実行されても、装着ヘッド26が下降した際に装着ヘッド26と先付部品212とが干渉する。そこで、先付部品高さSが、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合には、回避作業として、装着ヘッド26と回路基板12とが上下方向において重ならないように、回路基板を搬送する基板の搬送作業が実行される。詳しくは、キャリブレーションが実行される際に、
図10に示すように、パーツカメラ38の上方に移動した装着ヘッド28が、基板保持装置52に保持されている回路基板12と上下方向において重なっているため、装着ヘッド26が下降した際に装着ヘッド26と先付部品212とが干渉する。このため、
図16に示すように、装着ヘッド26と回路基板12とが上下方向において重ならないように、回路基板12を搬送すれば、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0046】
しかしながら、回路基板のサイズによっては回路基板を搬送しても、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができない場合がある。つまり、
図16に示すサイズの回路基板12であれば、装着ヘッド26と回路基板12とが上下方向において重ならないように、回路基板12を搬送することができる。しかしながら、
図17に示すサイズの回路基板220では、装着ヘッド26と回路基板220とが上下方向において重ならないように、回路基板220を搬送することができない。つまり、
図17に示すサイズの回路基板220を部品装着作業機10の内部において最も
下流側に搬送しても、装着ヘッド26と回路基板220とは上下方向において重なる。なお、
図17での右側が下流側であり、左側が上流側である。
【0047】
このため、コントローラ182は、先付部品高さSが下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合には、回路基板のサイズが干渉を回避することが可能なサイズ(以下、「回避可能サイズ」と記載する)L以下であるか否かを判断する。詳しくは、コントローラ182には、回避可能サイズLとして、パーツカメラ38の上方に移動している際の装着ヘッド26の最下流側の端と、コンベア装置50の最下流側の端との間のX方向における距離が記憶されている。また、作業対象の回路基板、つまり、コンベア装置50により搬送される回路基板のX方向におけるサイズ(以下、「基板サイズ」と記載する)Wもコントローラ182に記憶されている。そして、コントローラ182は、基板サイズWが回避可能サイズL以下であるか否かを判断する。この際、基板サイズWが回避可能サイズL以下であれば、回避作業として、回路基板の搬送作業を行うことで、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。そこで、
図12のマップデータに示すように、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズL以下である場合に、コントローラ182は、回避作業として回路基板の搬送作業を実行する。つまり、コントローラ182は、回路基板のアンクランプ作業を実行した後に、
図16に示すように、装着ヘッド26と回路基板12とが上下方向において重ならないように、回路基板12を下流側に搬送する。そして、回路基板12が搬送された後にキャリブレーションが実行される。これにより、キャリブレーション実行時に装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0048】
一方、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合には、
図17に示すように、回路基板220を最下流側に搬送しても、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することはできない。つまり、基板搬送保持装置20において回路基板のアンクランプ作業を実行しても、回路基板の搬送作業を実行しても、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することはできない。このため、表示パネル190によりエラー報知が実行される。つまり、キャリブレーションが実行されると装着ヘッド26と先付部品とが干渉する旨のコメントが、エラー画面として表示パネル190に表示される。すると、作業者は、キャリブレーション実行時において装着ヘッド26と先付部品とが干渉することを認識し、回路基板を部品装着作業機10の内部から取り出す。これにより、装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0049】
そこで、
図12のマップデータに示すように、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合に、コントローラ182は、回避作業として表示パネル190によるエラー報知作業を実行する。つまり、コントローラ182は、回路基板のアンクランプ作業を実行した後に、エラー画面を表示パネル190に表示する。また、エラー画面には、装着ヘッド26と先付部品とが干渉する旨のコメントとともに、スタートボタンも表示される。このため、作業者が、エラー画面を確認して回路基板を部品装着作業機10から取り出した後に、スタートボタンを操作することで、キャリブレーションが実行される。これにより、キャリブレーション実行時に装着ヘッド26が下降した際の装着ヘッド26と先付部品206との干渉を回避することができる。
【0050】
なお、部品装着作業機10には、装着ヘッド26だけでなく、装着ヘッド28も配設されており、装着ヘッド26のキャリブレーションが実行された後に、装着ヘッド28のキャリブレーションも実行される。つまり、装着ヘッド28の吸着ノズル136に保持され
た電子部品の撮像時の移動装置22,装着ヘッド28等の作動をチェックするために、X方向スライド機構110及びY方向スライド機構112の作動により、装着ヘッド28がパーツカメラ40の上方に移動する。この際、装着ヘッド28と、基板保持装置52により保持されている回路基板12とが上下方向において重なる。続いて、吸着ノズル136により保持されている電子部品がパーツカメラ40の被写界深度内に入るように、装着ヘッド28がZ方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により下降する。そして、パーツカメラ40による撮像が行われることで、移動装置22,装着ヘッド28等の作動がチェックされる。この際、装着ヘッド28が下降する際においても、装着ヘッド26と同様に、装着ヘッド28と先付部品とが干渉する虞がある。
【0051】
このため、装着ヘッド28のキャリブレーションが実行される前においても、装着ヘッド26と同様に、コントローラ182は、
図12に示すマップデータに従った回避作業を実行する。つまり、コントローラ182は、先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、何ら回避動作を行うことなく、キャリブレーションを実行する。また、コントローラ182は、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)以下である場合に、回避作業として回路基板のアンクランプ作業を実行する。また、コントローラ182は、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズL以下である場合に、回避作業として回路基板の搬送作業を実行する。なお、装着ヘッド28と先付部品との干渉を回避するために実行される回路基板の搬送作業では、装着ヘッド28と回路基板12とが上下方向において重ならないように、回路基板12を搬送するべく、
図18に示すように、回路基板12は上流側に搬送される。また、コントローラ182は、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合に、回避作業として表示パネル190によるエラー報知作業を実行する。このように、回避作業を行うことで、装着ヘッド28のキャリブレーション実行時においても、装着ヘッド26と同様に、装着ヘッド28と先付部品との干渉を回避することができる。
【0052】
また、上記第1実施例では、1台の部品装着作業機10において、装着ヘッドと先付部品との干渉が回避されているが、第2実施例では、
図19に示すように、3台の部品装着作業機230,232,234により構成される部品装着作業システム236において、装着ヘッドと先付部品との干渉が回避される。詳しくは、部品装着作業システム236において、3台の部品装着作業機230,232,234が1列に並んで上流側から下流側に向って配設されている。それら3台の部品装着作業機230,232,234は、同じ構成であるため、部品装着作業機230を代表して説明する。
【0053】
部品装着作業機230は、基板搬送保持装置20と移動装置240と装着ヘッド242と供給装置30とマークカメラ34とパーツカメラ38とツールステーション244と制御装置(
図22参照)246とを備えている。なお、基板搬送保持装置20と供給装置30とマークカメラ34とパーツカメラ38とは、第1実施例の部品装着作業機10の基板搬送保持装置20と供給装置30とマークカメラ34とパーツカメラ38と同じであるため、同じ符号を用いて、説明は省略する。
【0054】
移動装置240は、XYロボットであり、X方向スライド機構250とY方向スライド機構252とを有している。そして、X方向スライド機構250とY方向スライド機構252とによって、スライダ256がX方向及びY方向の任意の位置に移動する。なお、スライダ256に装着ヘッド242が着脱可能に装着される。これにより、装着ヘッド242は、部品装着作業機230のベース258上の任意の位置に移動する。
【0055】
装着ヘッド242は、
図20に示すように、ヘッド本体260と第1ツール262とを有している。第1ツール262は、比較的大きな口径の吸着ノズル264を有しており、その吸着ノズル264が、ヘッド本体260の下面側において昇降可能にヘッド本体260により保持されている。また、吸着ノズル264は、ヘッド本体260にワンタッチで着脱可能とされている。そのヘッド本体260には、正負圧供給装置(
図22参照)266が内蔵されており、ヘッド本体260に装着された吸着ノズル264が、負圧エア,正圧エア通路(図示省略)を介して、正負圧供給装置266に通じている。これにより、吸着ノズル264は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、ヘッド本体260には、ヘッド本体260に装着された吸着ノズル264を昇降させるノズル昇降装置268が内蔵されている。
【0056】
また、装着ヘッド242は、第1ツール262の代わりにヘッド本体260に装着することが可能な第2ツール(
図21参照)270も有している。第2ツール270は、
図21に示すように、ノズルホルダ272と、吸着ノズル264より小さい口径の2個の吸着ノズル274とを有している。ノズルホルダ272は、概して短円筒形状であり、下面側において2個の吸着ノズル274を昇降可能に保持している。そして、ノズルホルダ272は、上面側において、ヘッド本体260の下面にワンタッチで着脱可能に装着される。また、ヘッド本体260に装着された第2ツール270の2個の吸着ノズル274は、負圧エア,正圧エア通路(図示省略)を介して、正負圧供給装置266に通じている。これにより、2個の吸着ノズル274の各々は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、それら2個の吸着ノズル274の各々は、ノズル昇降装置268の作動により個別に昇降する。このように、装着ヘッド242では、第1ツール262と第2ツール270とのうちの任意のものをヘッド本体260に装着することが可能である。このため、ヘッド本体260に第1ツール262が装着されることで、吸着ノズル264により比較的大きな電子部品を保持し、ヘッド本体260に第2ツール270が装着されることで、2個の吸着ノズル274により小さな電子部品を2個保持することができる。
【0057】
また、ツールステーション244は、装着ヘッド242のヘッド本体260に装着されているツールを交換するためのものであり、
図19に示すように、基板搬送保持装置20を挟んで供給装置30の反対側に配設されている。ツールステーション244には、例えば、装着ヘッド242のヘッド本体260に第1ツール262が装着されている場合には、第2ツール270が収容されている。そして、ツールステーション244において、ヘッド本体260に装着されている第1ツール262と、ツールステーション244に収容されている第2ツール270とが自動で交換される。
【0058】
また、制御装置246は、
図22に示すように、コントローラ280と、複数の駆動回路282と、画像処理装置286とを備えている。複数の駆動回路282は、電磁モータ78,96、X方向スライド機構250、Y方向スライド機構252、正負圧供給装置266、ノズル昇降装置268、送り装置172に接続されている。コントローラ280は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路282に接続されている。これにより、基板搬送保持装置20、移動装置240等の作動が、コントローラ280によって制御される。また、コントローラ280は、画像処理装置286に接続されている。画像処理装置286は、マークカメラ34およびパーツカメラ38によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ280は、それら画像データから各種情報を取得する。
【0059】
このように構成された部品装着作業機230においても、第1実施例の部品装着作業機10と同様に、電子部品の実装作業中にエラーが発生し、自動でキャリブレーションが実行されると、装着ヘッド242と先付部品とが干渉する虞がある。つまり、パーツカメラ
38による撮像時に装着ヘッド242が下降すると、装着ヘッド242と先付部品とが干渉する虞がある。なお、第1実施例の部品装着作業機10では、装着ヘッド26,28の全体がZ方向スライド機構114の作動により昇降し、装着ヘッド26,28の吸着ノズル136が昇降装置140の作動により昇降する。一方で、部品装着作業機230では、装着ヘッド242の全体は昇降しないが、装着ヘッド242の吸着ノズル264,274のみがノズル昇降装置268の作動により昇降する。このため、パーツカメラ38による撮像時に装着ヘッド242の吸着ノズル264,274が下降すると、装着ヘッド242の吸着ノズル264,274と先付部品とが干渉する虞がある。
【0060】
また、部品装着作業機230の装着ヘッド242では、ヘッド本体260に第1ツール262と第2ツール270とが選択的に装着される。第1ツール262は吸着ノズル264のみにより構成されているため、比較的高さ寸法は小さい。一方、第2ツール270は、2個の吸着ノズル274と、それら2個の吸着ノズルを保持するノズルホルダ272とにより構成されているため、第2ツール270の高さ寸法は第1ツール262の高さ寸法より大きい。このため、例えば、
図20に示すように、回路基板12に先付部品278が装着されている場合に、第1ツール262が装着されている装着ヘッド242が回路基板12の上方を水平方向に移動しても、先付部品278と装着ヘッド242とは干渉しない。一方、
図21に示すように、第2ツール270が装着されている装着ヘッド242が、先付部品278が装着されている回路基板12の上方を水平方向に移動すると、先付部品278と装着ヘッド242とが干渉する虞がある。
【0061】
このように、部品装着作業機230では、キャリブレーションが実行される際に、装着ヘッド242がパーツカメラ38に向って下降する場合および、装着ヘッド242が回路基板12の上方を移動する場合に、先付部品278と装着ヘッド242とが干渉する虞がある。このため、部品装着作業機230においても、第1実施例の部品装着作業機10と同様の条件、つまり、
図12に示すマップデータに従って装着ヘッド242と先付部品との干渉を回避する回避作業が実行される。つまり、コントローラ280は、先付部品高さSがヘッド高さH以下である場合には、何ら回避動作を行うことなく、キャリブレーションを実行する。また、コントローラ280は、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)以下である場合に、回避作業として回路基板のアンクランプ作業を実行する。また、コントローラ280は、先付部品高さSが、ヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズL以下である場合に、回避作業として回路基板の搬送作業を実行する。ただし、先付部品高さSがヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合に、第1実施例の部品装着作業機10では、回避作業としてエラー報知作業が実行されている。一方、部品装着作業機230では、先付部品高さSがヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合に、回避作業としてコンベア装置50による回路基板12の搬出作業が実行される。つまり、第1実施例の部品装着作業機10では、エラー報知を行うことで、作業者が手動で回路基板を部品装着作業機10から取り出されているが、部品装着作業機230では、コンベア装置50により自動で回路基板が部品装着作業機230から搬出される。
【0062】
詳しくは、部品装着作業機230において、先付部品高さSがヘッド高さHより大きく、下降寸法Dとヘッド高さHとを加算した値(D+H)より大きい場合、かつ、基板サイズWが回避可能サイズLより大きい場合に、まず、コントローラ280は、回路基板のアンクランプ作業を実行する。そして、コントローラ280は、コンベア装置50の作動により、回路基板12を下流側に搬送する。この際、コンベア装置50は、回路基板12が部品装着作業機230から搬出され、部品装着作業機230の下流側に配設されている部
品装着作業機232に搬入されるまで、回路基板12を搬送する。これにより、部品装着作業機230においてキャリブレーションが実行される際に、装着ヘッド242と先付部品278との干渉を回避することができる。なお、装着ヘッド242と先付部品278との干渉を回避するため、回路基板12が部品装着作業機230から搬出されて、部品装着作業機232に搬入された場合には、部品装着作業機230でのキャリブレーションが完了した後に、部品装着作業機232に搬出された回路基板12は、部品装着作業機230の内部に再度、戻される。これにより、部品装着作業機230でのキャリブレーションが完了した後に、部品装着作業機230において、先付部品278が装着されている回路基板12に対する装着作業を再開することができる。
【0063】
なお、部品装着作業機230の装着ヘッド242では、上述したように、ヘッド本体260に第1ツール262と第2ツール270とが選択的に装着され、第1ツール262の高さ寸法と第2ツール270の高さ寸法とは異なっている。このため、ヘッド本体260に第1ツール262が装着されている場合のヘッド高さHと、ヘッド本体260に第2ツール270が装着されている場合のヘッド高さHとがコントローラ280に記憶されている。そして、コントローラ280は、装着ヘッド242のヘッド本体260に装着されているツールに応じたヘッド高さHに基づいて、上述した回避作業を実行する。
【0064】
また、部品装着作業システム236では、部品装着作業機232及び部品装着作業機234においても、部品装着作業機230と同様の回避作業が実行される。ただし、部品装着作業機232では、回避作業として回路基板の搬出作業が実行される際に、回路基板が下流側に向って搬送され、回路基板が部品装着作業機232から搬出されて、部品装着作業機234に搬入されるまで、回路基板が搬送される。若しくは、回路基板が上流側に向って搬送され、回路基板が部品装着作業機232から搬出されて、部品装着作業機230に搬入されるまで、回路基板が搬送される。また、部品装着作業機234では、回避作業として回路基板の搬出作業が実行される際に、回路基板が上流側に向って搬送され、回路基板が部品装着作業機234から搬出されて、部品装着作業機232に搬入されるまで、回路基板が搬送される。
【0065】
なお、部品装着作業機10は、作業機の一例である。回路基板12は、基板の一例である。装着ヘッド26,28は、作業ヘッドの一例である。コンベア装置50は、搬送装置の一例である。基板保持装置52は、クランプ装置の一例である。Z方向スライド機構114は、ヘッド移動装置の一例である。吸着ノズル136は、部品保持具の一例である。昇降装置140は、保持具移動装置の一例である。制御装置180は、制御装置の一例である。表示パネル190は、報知装置の一例である。回路基板210は、基板の一例である。回路基板220は、基板の一例である部品装着作業機230,232,234は、作業機の一例である。装着ヘッド242は、作業ヘッドの一例である。制御装置246は、制御装置の一例である。ヘッド本体260は、被装着体の一例である。吸着ノズル264,274は、部品保持具の一例である。
【0066】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0067】
部品装着作業機10,230,232,234の基板保持装置52では、作業位置まで搬送された回路基板を上昇させることでクランプし、クランプされた回路基板を下降させることで、回路基板のクランプが解除される。そして、基板保持装置52にクランプされた回路基板に電子部品が装着された後に、装着ヘッドが下降する際に、その電子部品、つまり、先付部品と装着ヘッドとが干渉する場合に、基板保持装置52が回路基板を下降させて回路基板のクランプを解除する。これにより、回路基板が下降することで、先付部品と装着ヘッドとの干渉を回避することができる。
【0068】
また、部品装着作業機10,230,232,234において、基板保持装置52が回路基板を下降させて回路基板のクランプを解除しても、先付部品と装着ヘッドとが干渉する場合には、コンベア装置50が回路基板を作業位置から移動させる。これにより、回路基板を下降させても、先付部品と装着ヘッドとの干渉を回避することができない場合に、先付部品と装着ヘッドとの干渉を回避することができる。
【0069】
また、部品装着作業機10において、コンベア装置50が回路基板を作業位置から移動させても、先付部品と装着ヘッドとが干渉する場合には、表示パネル190によりエラー報知が表示される。これにより、作業者が先付部品と装着ヘッドとの干渉を認識し、回路基板を部品装着作業機から取り出すことで、先付部品と装着ヘッドとの干渉を回避することができる。
【0070】
また、部品装着作業機230,232,234において、コンベア装置50が回路基板を作業位置から移動させても、先付部品と装着ヘッドとが干渉する場合には、コンベア装置50が回路基板を部品装着作業機から搬出する。これにより、先付部品と装着ヘッドとの干渉を回避することができる。
【0071】
また、部品装着作業機10では、装着ヘッド26,28の全体がZ方向スライド機構114の作動により昇降し、装着ヘッド26,28の一部、つまり、吸着ノズル136が昇降装置140の作動により昇降する。そして、Z方向スライド機構114と昇降装置140との少なくとも一方の作動により装着ヘッド26,28が下降する際に、先付部品と装着ヘッドとが干渉する場合に、基板保持装置52が回路基板を下降させて回路基板のクランプを解除する。Z方向スライド機構114と昇降装置140とにより昇降する装着ヘッド26,28では、装着ヘッド26,28の昇降範囲が大きい。このため、このような装着ヘッド26,28では先付部品と干渉する可能性が高いため、上記構成を採用することで、上記構成による効果を充分に享受することができる。
【0072】
また、部品装着作業機230,232,234の装着ヘッド242では、ヘッド本体260に第1ツール262と第2ツール270とのうちの任意のものが着脱可能に装着される。そして、第2ツール270の高さ寸法は第1ツール262の高さ寸法より大きい。このため、ヘッド本体260に第1ツール262が装着された装着ヘッド242が、先付部品と干渉しない場合でも、ヘッド本体260に第2ツール270が装着された装着ヘッド242は、先付部品と干渉する場合がある。このため、このような装着ヘッド242ではヘッド本体260に第2ツール270が装着された場合に先付部品と干渉する可能性が高くなるため、上記構成を採用することで、上記構成による効果を充分に享受することができる。
【0073】
また、部品装着作業機10,230,232,234では、装着ヘッドと回路基板とが上下方向において重なる領域において、先付部品高さSがヘッド高さHより大きい場合に、基板保持装置52が回路基板を下降させて回路基板のクランプを解除する。つまり、装着ヘッドが下降した際に、装着ヘッドの下面が先付部品の上面より下方に位置する場合に、装着ヘッドと先付部品とが干渉するものとして、基板保持装置52が回路基板を下降させて回路基板のクランプを解除する。これにより、先付部品と装着ヘッドとの干渉を適切に回避することができる。
【0074】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、回路基板のアンクランプ作業が実行される際に、回路基板がコンベアベルト66の上に載置されるまで回路基板を下降させているが、装着ヘッドと先付部品との干渉を回避可能な高さであれば、回路基板のクランプ位置とコンベアベルト66の上面との間まで、回路
基板を下降させてもよい。
【0075】
また、上記第2実施例では、回避作業として回路基板の搬出作業が実行される場合に、回路基板の全体が部品装着作業機230から搬出されて、その回路基板の全体が部品装着作業機232に搬入されている。一方で、回路基板の一部のみが部品装着作業機230から搬出されて、その回路基板の一部のみが部品装着作業機232に搬入されてもよい。
【0076】
また、上記第1実施例では、表示パネル190にエラー報知として、装着ヘッドと先付部品との干渉が表示されているが、音,光等により装着ヘッドと先付部品との干渉が報知されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10:部品装着作業機(作業機) 12:回路基板(基板) 26:装着ヘッド(作業ヘッド) 28:装着ヘッド(作業ヘッド) 50:コンベア装置(搬送装置)
52:基板保持装置(クランプ装置) 114:Z方向スライド機構(ヘッド移動装置) 136:吸着ノズル(部品保持具) 140:昇降装置(保持具移動装置)
180:制御装置 190:表示パネル(報知装置) 210:回路基板(基板) 220:回路基板(基板) 230:部品装着作業機(作業機) 232:部品装着作業機(作業機) 234:部品装着作業機(作業機) 242:装着ヘッド(作業ヘッド) 246:制御装置 260:ヘッド本体(被装着体) 264:吸着ノズル(部品保持具) 274:吸着ノズル(部品保持具)