(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】配設体、配設装置および設置構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/12 20060101AFI20240906BHJP
F16B 5/07 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H02G3/12 060
F16B5/07 D
(21)【出願番号】P 2021028754
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0041059(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0176138(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0376643(US,A1)
【文献】特開2009-044849(JP,A)
【文献】特開2019-037099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/12
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に壁材が造り付けられる柱材の側方に配設される配設体であって、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記宛がい部は、前記柱材の前面に2つの配設体の前記宛がい部を宛がった際、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、2つの配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されて
おり、
前記宛がい部は、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の一方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位と、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の他方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する短尺部位とを備え、
前記長尺部位の延設長さおよび前記短尺部位の延設長さの和が、前記柱材の前面の幅以下であることを特徴とする配設体。
【請求項2】
前記本体部の一端側および他端側に前記固定部がそれぞれ形成され、
前記宛がい部は、前記本体部の一端側で第1柱材の前面に宛がわれる第1宛がい部、および、前記本体部の他端側で前記第1柱材と離間する第2柱材の前面に宛がわれる第2宛がい部から構成され、
前記第1宛がい部および前記第2宛がい部は、1つの柱材の前面に2つの配設体を固定すべく、一方の配設体の前記第1宛がい部、および、他方の配設体の前記第2宛がい部を宛がった際、前記第1宛がい部および前記第2宛がい部が相互に重合することなく、2つの配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配設体。
【請求項3】
前記宛がい部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位を有し、前記長尺部位が前記本体部の上下幅の中心から上下方向の少なくとも一方にずれた位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載の配設体。
【請求項4】
前記宛がい部には、前記柱材に固定するための固定ビスが挿通される挿通孔が形成され、前記挿通孔は、前記固定部が前記柱材に固定された際、前記柱材の前面の幅方向の中心に合致するように配置されていることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の配設体。
【請求項5】
前面に壁材が造り付けられる1つの柱材の両側方に配設される一対の配設体からなる配設装置であって、
前記各配設体は、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記一対の配設体の前記宛がい部の形状は互いに異なり、かつ、
前記宛がい部は、前記1つの柱材の前面に前記一対の配設体の前記宛がい部を宛がった際、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、前記一対の配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されて
おり、
前記宛がい部は、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の一方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位と、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の他方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する短尺部位とを備え、
前記長尺部位の延設長さおよび前記短尺部位の延設長さの和が、前記柱材の前面の幅以下であることを特徴とする配設装置。
【請求項6】
前面に壁材が造り付けられる1つの柱材の両側方に第1配設体および第2配設体がそれぞれ配設された設置構造であって、
前記各配設体は、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記宛がい部は、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の一方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位と、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の他方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する短尺部位とを備え、
前記長尺部位の延設長さおよび前記短尺部位の延設長さの和が、前記柱材の前面の幅以下であり、
前記1つの柱材の前面に前記第1および第2配設体の前記宛がい部がそれぞれ宛がわれ、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、前記第1および第2配設体の前記本体部が前記柱材の高さ方向の同一位置に配置されていることを特徴とする設置構造。
【請求項7】
前記第1および第2配設体の前記本体部は、配設体本体、および、前記固定部から前記柱材の側方に延設され、前記配設体本体が支持される支持腕部からなり、
前記第1および第2配設体の前記配設体本体が前記柱材の高さ方向の同一位置に配置されていることを特徴とする請求項
6に記載の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造営材に対して配設される配設体、該配設体による配設装置、および、、該配設体による配設体の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁裏で配設体を間柱や壁材などの造営材(構造物全般)に対して支持および固定するための種々の設置手段が用いられている。
【0003】
特許文献1は、造営材の前面に隣接する側面に取り付けられて使用される配設体を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1では、配設体は、配線ボックス(10)、取付台座(30)、ボックス固定具(50)および配線・配管材(60)として記載される。配設体の本体(11,31,51,61)には、造営材としての軽量形鋼材(P)におけるリップ部(Pd)の外面(Pda)に当接する当接部が形成されている。また、配設体には、当接部を、軽量形鋼材(P)におけるリップ部(Pd)の外面(Pda)に当接させた状態で、側板部(Pc)の外面(Pca)側に配設されてリップ部(Pd)の外面(Pda)における所定の位置に本体(11,31,51,61)を位置合わせ可能とする挟持片(23)が本体(11,31,51,61)から延設されている。挟持片(23)はシート状をなし、挟持片(23)の厚みは側板部(Pc)の外面(Pca)と壁材(Wa)の裏面(Wb)との間に挟み込まれても該壁材(Wa)の立設の障害とならない厚さに設定されている。具体的には、親指によって挟持片(23)を押圧すると挟持片(23)の裏面が側板部(Pc)の外面(Pca)に押し当てられるとともに、親指と側板部(Pc)との間に挟持片(23)が挟持される。すると、配設体(10,30,50,60)は手により軽量形鋼材(P)に保持される。そして、挟持片(23)を側板部(Pc)の幅方向に沿って移動させ、本体(11,31,51,61)を所定の位置に位置合わせすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の配設体のように、柱材の前面に宛がわれる宛がい部(挟持片)を配設体に設けることにより、配設体を柱材に対して位置合わせして設置することが容易となった。しかしながら、1本の柱材に対して柱材を挟んで同じ高さに2つの配設体を配置する場合、2つの宛がい部が互いに干渉し、配設体の設置に支障をきたすことがあった。特に、2つの宛がい部が柱材の前面で重合すると柱材前面に壁材を当接させて固定することができなくなることが問題であった。すなわち、従来の配設体では、柱材の同じ高さに2つの配設体を設置することができないことが課題として挙げられる。一方で、従来の配設体において、宛がい部同士の重合を避けるために、宛がい部の長さを柱材の前面の幅の半分未満まで短くしたとしても、柱材の前面と宛がい部とが重なる割合が相対的に少なくなり、本来の宛がい部の役割を十分に発揮することができなくなる。つまり、宛がい部を柱材の前面に対して手で押さえて配設体の位置を維持する操作が難しくなり、作業性が低下するといった新たな問題が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、1本の柱材に対して柱材を挟んで同じ高さに2つの配設体を配置することを容易とする配設体、配設装置、および、該配設体の設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の配設体は、前面に壁材が造り付けられる柱材の側方に配設される配設体であって、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記宛がい部は、前記柱材の前面に2つの配設体の前記宛がい部を宛がった際、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、2つの配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のさらなる形態の配設体は、上記形態の配設体において、前記本体部の一端側および他端側に前記固定部がそれぞれ形成され、
前記宛がい部は、前記本体部の一端側で第1柱材の前面に宛がわれる第1宛がい部、および、前記本体部の他端側で前記第1柱材と離間する第2柱材の前面に宛がわれる第2宛がい部から構成され、
前記第1宛がい部および前記第2宛がい部は、1つの柱材の前面に2つの配設体を固定すべく、一方の配設体の前記第1宛がい部、および、他方の配設体の前記第2宛がい部を宛がった際、前記第1宛がい部および前記第2宛がい部が相互に重合することなく、2つの配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のさらなる形態の配設体は、上記形態の配設体において、前記宛がい部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位を有し、前記長尺部位が前記本体部の上下幅の中心から上下方向の少なくとも一方にずれた位置にあることを特徴とする。
【0010】
本発明のさらなる形態の配設体は、上記形態の配設体において、前記宛がい部は、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の一方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有する長尺部位と、前記本体部の上下幅の基準位置に対して上下方向の他方側に形成され、前記柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する短尺部位とを備え、
前記長尺部位の延設長さおよび前記短尺部位の延設長さの和が、前記柱材の前面の幅以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明のさらなる形態の配設体は、上記形態の配設体において、前記宛がい部には、前記柱材に固定するための固定ビスが挿通される挿通孔が形成され、前記挿通孔は、前記固定部が前記柱材に固定された際、前記柱材の前面の幅方向の中心に合致するように配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の一形態の配設装置は、前面に壁材が造り付けられる1つの柱材の両側方に配設される一対の配設体からなる配設装置であって、
前記各配設体は、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記一対の配設体の前記宛がい部の形状は互いに異なり、かつ、
前記宛がい部は、前記1つの柱材の前面に前記一対の配設体の前記宛がい部を宛がった際、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、前記一対の配設体の前記本体部を前記柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の一形態の設置構造は、前面に壁材が造り付けられる1つの柱材の両側方に第1配設体および第2配設体がそれぞれ配設された設置構造であって、
前記各配設体は、
前記柱材に固定される固定部と、
前記固定部から側方に位置する本体部と、を備え、
前記固定部は、前記柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで前記本体部の反対側に延設され、前記柱材の前面に宛がわれる宛がい部を備え、
前記1つの柱材の前面に前記第1および第2配設体の前記宛がい部がそれぞれ宛がわれ、前記宛がい部同士が相互に重合することなく、前記第1および第2配設体の前記本体部が前記柱材の高さ方向の同一位置に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のさらなる形態の設置構造は、上記形態の設置構造において、前記第1および第2配設体の前記本体部は、配設体本体、および、前記固定部から前記柱材の側方に延設され、前記配設体本体が支持される支持腕部からなり、
前記第1および第2配設体の前記配設体本体が前記柱材の高さ方向の同一位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一形態(段落0007)の発明によれば、宛がい部が柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで本体部の反対側に延設されていることにより、宛がい部を柱材の前面に宛がった状態を維持する操作が容易となり、作業性が向上する。また、柱材の前面に同一の2つの配設体の宛がい部を宛がった際、宛がい部同士が相互に重合することなく、2つの配設体の本体部を柱材の高さ方向の同一位置に配置することが可能である。したがって、本発明の配設体は、1本の柱材に対して柱材を挟んで同じ高さに同一の2つの配設体を配置することを容易とするものである。
【0016】
本発明のさらなる形態(段落0008)の発明によれば、上記発明の効果に加えて、1つの配設体を第1柱材と第2柱材との間に配設することが可能であり、かつ、第1柱材および第2柱材の両方で、他の配設体の本体部を柱材の高さ方向の同一位置に配設することが可能である。
【0017】
本発明のさらなる形態(段落0009)の発明によれば、上記発明の効果に加えて、宛がい部の長尺部位が本体部の上下幅の中心から上下方向の少なくとも一方にずれた位置にあることにより、2つの配設体の長尺部位を上下方向の少なくとも一方にずらした状態で柱材の前面に宛がって、本体部を同じ高さに配設することが可能である。
【0018】
本発明のさらなる形態(段落0010)の発明によれば、上記発明の効果に加えて、宛がい部に長尺部位および短尺部位が上下方向に並設されていることにより、一方の配設体の長尺部位と他方の配設体の短尺部位とを突き合わせて配置することで、柱材の前面に2つの配設体の宛がい部を宛がうことが可能である。
【0019】
本発明のさらなる形態(段落0011)の発明によれば、上記発明の効果に加えて、宛がい部の挿通孔を介して、柱材の前面の幅方向の中心に固定ビスを挿通することで、宛がい部を柱材に固定することが可能である。なお、2種の柱幅に対応すべく、宛がい部には、高さ方向および/または幅方向にずれた位置に、第2の挿通孔が形成されてもよい。
【0020】
本発明の一形態(段落0012)の発明によれば、各宛がい部が柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで本体部の反対側に延設されていることにより、宛がい部を柱材の前面に宛がった状態を維持する操作が容易となり、作業性が向上する。また、柱材の前面に1組の2つの配設体の宛がい部を宛がった際、宛がい部同士が相互に重合することなく、2つの配設体の本体部を柱材の高さ方向の同一位置に配置することが可能である。したがって、本発明の配設体は、1本の柱材に対して柱材を挟んで同じ高さに1組の2つの配設体を配置することを容易とするものである。
【0021】
本発明の一形態(段落0013)の発明によれば、各宛がい部が柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで本体部の反対側に延設されていることにより、宛がい部を柱材の前面に宛がった状態を維持する操作が容易となり、配設体の設置構造を構築した際の作業性が向上する。また、柱材の前面に1組の2つの配設体の宛がい部を宛がった際、宛がい部同士が相互に重合することなく、2つの配設体の本体部が柱材の高さ方向の同一位置に配置されている。したがって、本発明の設置構造は、設置時の作業性を維持しつつ、1本の柱材に対して柱材を挟んで同じ高さに1組の2つの配設体を設置したものである。
【0022】
本発明のさらなる形態(段落0014)の発明によれば、上記発明の効果に加えて、第1および第2配設体の配設体本体を支持腕部によって同じ高さに設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態における配設体を示す分解斜視図。
【
図2】
図1の配設体を構成するボックスの概略斜視図。
【
図3】
図2のボックスの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、および(d)背面図。
【
図4】
図3のボックスの(a)A-A断面図および(b)B-B断面図。
【
図5】
図1の配設体を構成する支持装置の概略斜視図。
【
図6】
図5の支持装置の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図7】
図6の支持装置の(a)C-C断面図、(b)C-C部分拡大断面図、および(c)B-B断面図。
【
図8】
図5の支持装置を構成するベース体の(a)前方からの斜視図および(b)後方からの斜視図。
【
図9】
図8のベース体の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図10】
図5の支持装置を構成する支持体の概略斜視図。
【
図11】
図10の支持体の(a)平面図、(b)正面図、および(c)側面図。
【
図12】
図5の支持装置において、ベース体および支持体の連結機構による係合パターンを示す概略図。
【
図13】本発明の一実施形態の配設体を柱材に対して設置した支持構造を示す概略斜視図。
【
図16】本発明の一実施形態の配設体および器具の設置構造を模式的に示す平面図。
【
図17】本発明の一実施形態の配設体および器具の設置構造の一部を模式的に示す壁表からの正面図。
【
図18】
図16の配設体および器具の設置構造を構築する方法であって、(a)支持装置を柱材に固定する工程、(b)取付用ビスを壁表から器具の取付孔に貫通させてボックスに対してねじ込む工程、および(c)ボックスおよび器具で壁材を挟持するように取付用ビスを締め付ける工程を示す模式図。
【
図19】本発明の一実施形態の支持構造の変形例を示す概略平面図。
【
図20】本発明の一実施形態の配設体(または支持装置)の変形例を示す概略斜視図。
【
図21】
図20の配設体による支持構造(または設置構造)を模式的に示す正面図。
【
図22】
図21の支持構造(または設置構造)の別例を模式的に示す正面図。
【
図23】本発明の一実施形態の配設体(または支持装置)の変形例を示す正面模式図。
【
図25】本発明の一実施形態の配設装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態の配設体100は、主に、壁裏の間柱などの造営材に対して配設され、壁材の表面にスイッチやコンセントなどの機器を取着可能とする配設体本体(または本体部)を壁裏空間に設置するものである。本発明における「配設体」は、柱材(造営材)に対して配設されるものであり、本実施形態では、ボックス101および支持装置102の組み合わせを示すが、ボックスを含まない形態(支持装置102のみ)をも含んでいる。また、本実施形態では、「配設体本体」は配線用のボックス101として例示されるが、本発明の配設体本体はボックスに限定されるものではない。本発明の「配設体本体」は、例えば、ケーブルホルダや管クリップなどのボックス以外の部材であってもよい。あるいは、「配設体」がボックスを含まない形態である場合には、「配設体本体」は、ボックスを支持するための支持装置または支持体自体として解釈されてもよい。または配設体の「本体部」は、柱材に固定される固定部から側方に位置する部分であり、以下の実施形態では、支持体130、支持腕部132、ボックス101の一部または全てとして解釈され得る。さらに、本発明において「配設装置」は、少なくとも一対の配設体を含む配設体の集合体として定められた。本明細書では、「配設装置」は、1本の柱材の両方の側方に配設された一対の配設体として例示される。
【0026】
本発明の一実施形態の配設体100は、機器等を配設するための設置構造10および/または支持構造11を構築するための装置であり、配設体本体であるボックス101と、支持装置102とを備えてなる。
図1は、本発明に係る一実施形態の配設体100(または支持装置102)の分解斜視図である。
図1に示すとおり、配設体100は、壁裏に配置される配設体本体としてのボックス101と、造営材である柱材に固定されるとともにボックス101を支持する支持装置102とを備える。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0027】
図2乃至
図4を参照して、一実施形態の配設体100を構成するボックス101について説明する。
図2は、ボックス101の前面からの概略斜視図である。
図3(a)~(d)は、該ボックス101の平面図、正面図、側面図および背面図である。
図4は、該ボックス101のA-AおよびB-B断面図である。
【0028】
図2乃至
図4に示すとおり、ボックス101は、有底箱状をなし、縦横に延在する矩形状の底壁と、該底壁内面から立設した側壁とを備える。ここで、ボックス101の正面視における上下方向(または縦軸方向)が柱材の延設方向に対応し、正面視における左右方向(または横軸方向)が支持腕部132の延設方向に対応する。底壁の反対面である前面には、側壁の先端縁に縁取られた開口部が設けられている。また、側壁の先端には、造営材の前面に構築された壁材の裏面に当接するように、開口部から外方に延びるフランジ101aが設けられている。また、開口部の上下両側の縁部端面には、コンセントやスイッチなどの配線器具を取り付けるための一対の孔として器具取付部101bが形成されている。
【0029】
ボックス101は、位置決めの際の基準となる基準位置をその中心101cに有する。ボックス101の中心101c(基準位置)が、壁材の面内におけるボックス101の位置を決定するための指標となる。すなわち、設置構造の設計時に予め設定された高さ方向および水平方向の位置座標に、ボックス101の基準位置が配置される。ここで、この基準位置は、壁材に穿設される壁孔の中心と一致する。また、ボックス101の底壁には、当該ボックス101を支持体130の支持腕部132にビス(またはタッピングビス)で取着するための2つの取着孔101dが穿設されている。つまり、2つの取着孔101dを介して支持腕部132に取着される箇所が取着部位である。これら2つの取着孔101dは、底壁の中心を挟んで横軸方向に並んで配置されている。本実施形態のボックス101では、中心101cおよび取着孔101d(取着部位)が高さ方向において一致する。しかしながら、
図19に例示するように、両者が高さ方向において相違してもよい。
【0030】
また、本実施形態のボックス101は、
図4に示すように、合成樹脂製のボックス本体101eと、遮音性材料からなる遮音カバー101fとにより構成された。つまり、ボックス本体101eの外装には、遮音カバー101fが装着されている。遮音カバー101fは、遮音性を有するように比重2以上の軟質のゴム材料からなり、前面に開口部を有する有底箱状に形成され、合成樹脂製のボックス本体101eを収容して覆っている。フランジ101aは、遮音カバー101fの一部として形成され、後述するように、配設時に壁孔の周縁に密接することで、壁孔を封止するように機能する。
【0031】
なお、本実施形態の配設体本体は、上記実施形態に限定されない。例えば、配設体本体には、耐火性能が付与されてもよい。具体的には、耐火性能を付与すべく、配設体本体の周壁が鋼鉄製であってもよく、または、配設体本体に熱膨張性材料のパテなどの追加部材がさらに設けられてもよい。一般的に、耐火性能や遮音性能が付与された配設体本体は、そうでないものと比較して、より高い重量を有するといえる。
【0032】
次に、
図5乃至
図12を参照して、支持装置102およびその構成要素について説明する。
図5は、支持装置102の概略斜視図である。
図6(a)~(c)は、支持装置102の平面図、正面図、および側面図である。
図7(a)~(c)は、支持装置102のC-CおよびD-D断面図である。
図8(a)、(b)は、ベース体110の前方および後方から見た概略斜視図である。
図9(a)~(c)は、ベース体110の平面図、正面図、および側面図である。
図10は、支持体130の概略斜視図である。
図11(a)~(c)は、支持体130の平面図、正面図、および側面図である。
図12は、ベース体110および支持体130の連結機構による係合パターンを示す模式図である。
【0033】
支持装置102は、造営材である柱材に固定された状態でボックス101を柱材の側方に支持するように長手形状に構成されている。
図5乃至
図7に示すとおり、支持装置102は、柱材に固定される固定部としてのベース体110と、ボックス101を支持するための支持体130とを備える。支持装置102は、連結機構を介してベース体110に支持体130が組み付けられて構成されている。連結機構は、ベース体110および支持体130を可動式に連結する。
【0034】
ベース体110は、
図8および
図9に示すように、平面視L字状に屈折した板片である。ベース体110は、側方(支持体130の延設方向)を向く一方の側面および柱材側を向く他方の側面(または固定面)を有し、後端から前端に延在する基部111と、該基部111の前端から支持体130の延設方向の反対側に折れ曲がって延在する宛がい部112とを備える。
【0035】
基部111は、矩形状の平板からなり、柱材の側面に固定ビスで固定するための複数の固定孔111aを有する。固定孔111aは、基部111の上下に形成された丸孔および長孔からなる。また、基部111には、固定孔111aに隣接して、目盛111bが形成されている。目盛111bは、基部111の前端縁からの距離を表示している。柱材前面と壁材との間に胴縁が設置される場合、目盛111bを用いて胴縁の厚み分、基部111の固定位置を柱材の前側にずらすことが可能である。また、基部111は、被連結部として、固定面とは反対側で支持体130の連結部131が連結されるように構成されている。すなわち、ベース体110において、基部111は、柱材の外側面に固定される固定部、および、支持体130が連結される被連結部として機能する。
【0036】
また、基部111の(支持体130側を向く)一方の側面には、前後に延びる一対のレール115、および、該レール115の延設方向に沿って複数形成された係止片116が設けられている。これらレール115および係止片116は、支持体130をベース体110に連結する連結機構の一部として機能し得る。レール115は、後述するように、配設体100が壁材の裏面位置に到達する(または裏面に当接する)位置まで、支持体130の移動をガイド可能な前後方向の長さを有することが好ましい。一方、基部111の他方の側面は、柱材の外側面に固定される固定面として機能し得る。
【0037】
図9(b)に示すように、一対のレール115は、正面視において基部111平面から略垂直に延び出て互いに対向する方向(上下方向)に屈折するL字形状をなし、基部111の前後方向に延びる突条である。一対のレール115の前後は、板状の連結部131をスライド式に挿入可能に開放されている。基部111の各レール115に対向する側には、切り欠き111cが形成されている。一対のレール115は、後述するように、対向するレール115間に支持体130の連結部131を挿通することで、支持体130をレール115間に保持するとともに、支持体130の前後のスライド移動をガイドするように構成されている。また、
図9(c)に示すように、複数の係止片116が、正面視において各レール115の先端縁に形成されている。各係止片116は、レール115の先端縁に連設された後側の基端部116aと、該基端部116aから前側に延びる細長い爪部116bからなる。基端部116aは基部111平面と略平行に延在し、爪部116bは基部111平面に近接するように傾斜している。また、爪部116bは前方を向く先端に自由端を有する。後述するように、爪部116b先端が連結部131の係止孔133内に挿通され、規制部として係止孔133の端面に係止される。本実施形態では、基部111の前側から順に、4つの第1係止片1161,第2係止片1162,第3係止片1163,第4係止片1164が形成された。第1係止片1161および第3係止片1163が上側のレール115に形成され、第2係止片1162および第4係止片1164が下側のレール115に形成された。
【0038】
宛がい部112は、固定先の柱材(造営材)の外側面に宛がわれ、ベース体110の取着を補助するものである。特には、宛がい部112は、支持腕部132(または配設体本体)が延在する方向とは異なる柱材の面(前面または後面)に宛がわれるものである。また、宛がい部112が任意に選択された柱材の基準面が宛がわれることにより、配設される配設体100の前面の位置が、壁材から後方へ控えた位置に位置合わせされ得る(
図14参照)。つまり、宛がい部112は、ベース体110を柱材に対して仮保持するとともに、柱材の外側面を基準として配設体100の配設位置を決定する位置合わせ部としても機能し得る。また、宛がい部112は、配設体本体であるボックス101の上下幅の範囲内に収まる上下幅でコンパクトに設計されている。
【0039】
宛がい部112は、基部111の前端縁から支持体130の延設方向とは反対側に略直角に折れ曲がり、(基部111側の)基端から先端に延在している。宛がい部112は、上下幅方向の上側に位置する矩形状の長尺部位113と、下側に位置する矩形状の短尺部位114とからなる。長尺部位113は、宛がわれる柱材の前面の幅の半分を超える延設長さを有し、短尺部位114は、宛がわれる柱材の前面の幅の半分を超えない延設長さを有する。長尺部位113および短尺部位114は、ともに、ボックス101および支持体130の上下幅の基準位置(中心)に対して上下方向からずれた位置で延在している。長尺部位113および短尺部位114の位置形状の関係により、2つの配設体100を1本の柱材に対して突き合わせて同じ高さに設置した際、ベース体110の宛がい部112同士を干渉させることなく、柱材の同じ面に同時に宛がうことが可能である(
図15参照)。すなわち、配設体100は、柱材の共通の前面に2つの配設体100,100の宛がい部112,112を宛がった際、宛がい部112,112同士が相互に重合することなく、2つの配設体100,100の本体部(ボックス101,支持体130)を柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されている。
【0040】
また、宛がい部112の長尺部位113には、固定ビス用の下孔として、2種のビス孔113a,113bが設けられている。一方の2つのビス孔113a,113a(第1の挿通孔)は、第1の柱幅を有する柱材の幅方向中心に配置されるように形成され、他方のビス孔113b(第2の挿通孔)は、より小さい第2の柱幅を有する柱材の幅方向中心に配置されるように形成されている。つまり、ビス孔113a,113aおよびビス孔113bは、2種の柱幅に対応すべく、高さ(上下幅)方向および水平(横幅)方向にずれた位置に形成されている。この配置により、宛がい部112の柱材への固定ビスでの安定取着が可能となる。
【0041】
特には、従来のさらなる課題として、柱材の前面側に壁材を構築する際、一般に、壁材と柱材との間に介在しても障害にならない薄さのシールを用いて支持体(または支持装置)を柱材に仮保持させ、固定ビスで柱材の側面に支持体の固定部を固定することが行われている。固定ビスを支持体の延設方向から柱材の固定部に打ち込む操作は困難であり、高い技術が必要であった。他方、柱材の前面に押さえ付けた薄いシールに固定ビスを打ち込むことで支持体を柱材に固定すれば固定ビスを打ち込み易いが、柱材に壁材を固定する壁用ビスが、支持体を柱材に固定する固定ビスと同じ位置にあると、固定ビスおよび壁用ビスが互いに干渉して打ち込むことができないという不具合が生じる。例えば、
図16に示すように、1本の柱材17に2枚の壁材18が固定される箇所では、各壁材18の端縁が柱材17の柱幅の中心に位置するように壁材18が構築され、柱材17の幅方向の中心から両側方にずれた位置に壁用ビス18bが打ち込まれている。このような柱材17の箇所に対し、本実施形態では、柱材17に壁材18を固定する際の壁用ビス18bの打ち込み位置と固定ビスとの干渉を避けるべく、固定ビスの打ち込み位置が柱材17の柱幅(例えば、柱幅45mm)の中心位置に定められるように、ビス孔113aの位置決めがなされている。これにより、2種のビスの干渉が確実に防止される。さらに、異なる規格(例えば、柱幅40mm)の柱材に対しても、第2のビス孔113bを用いることにより、柱材の柱幅の中心位置となるように、ビス孔113bの位置決めを行って、ビスの干渉を防止することができる。なお、当該段落の課題に限れば、2つの宛がい部が柱材前面で重合する配設体であっても、当該課題を解決することが可能である。
【0042】
さらに、宛がい部112には、配設体本体(ボックス101または支持腕部132)の基準位置)の設置高さを位置合わせするための機構が備わっている。ベース体110(固定部)の宛がい部112には、取着部位1012dと基準位置1012c(上下幅の中心)とが高さ方向にずれている第2の形態のボックス1012(
図19参照)の上下幅の基準位置1012c(中心)を示す基準位置表示部117が設けられている。
図19に示すように、支持構造11’において、基準位置表示部117は、宛がい部112(またはベース体110)の下側の端縁によって構成され、ボックス1012の形状寸法に従って定められた。換言すると、宛がい部112を柱材の前面または後面に宛がったとき、基準位置表示部117の高さ位置と、配設されたボックス1012の中心との高さが同じとなる。また、ベース体110(固定部)の宛がい部112には、取着部位101dが上下幅の基準位置(中心101c)と同一高さであるボックス101の基準位置(中心101c)を示す第2基準位置表示部118が設けられている。第2基準位置表示部118は、宛がい部112の上下幅方向の略中央で先端縁に設けられた切り欠きである。
図15に示すように、宛がい部112を柱材の前面に宛がったとき、第2基準位置表示部118の高さ位置と、配設されたボックス101および/または支持腕部132の基準位置(中心101c)との高さが同じとなる。なお、第2基準位置表示部118は、ボックス101の取着部位(101d)の高さ位置を表示する取着部位表示部としても機能する。
【0043】
支持体130は、その基端から先端まで延びる平面視L字形状の長板である。支持体130は、その基端に位置し、ベース体110の基部111(被連結部)を介して造営材の側面に固定される連結部131と、当該連結部131からその先端(又は柱材の側方)に向けて長手状に延設された支持腕部132とからなる。換言すると、当該支持体130はL字形状に屈曲しており、短片状の連結部131と長片状の支持腕部132とが略直角に連結されている。支持腕部132は、延設方向に直交する方向に上下幅方向を有する。延設方向は、配設体100の造営材への配設時の水平方向に対応し、上下幅方向は、配設体100の造営材への配設時の垂直(鉛直)方向に対応する。
【0044】
連結部131は、支持腕部132に対して短尺の矩形平板からなる。連結部131には、連結機構の一部として、複数の係止孔133が穿設されている。各係止孔133は、連結部131がベース体110の基部111の一対のレール115,115間に保持されたとき、係止片116を挿通可能である位置に形成された。複数の係止孔133は、前端側に位置する上下2つの第1係止孔1331と、後端側に位置する上下2つの第2係止孔1332とから構成される。第1係止孔1331は、丸孔であり、第2係止孔1332は前後に延びる長孔である。なお、連結部131は、それ単体であっても、これら係止孔133に固定ビスを打ち込むことで造営材の側面に対して固定されることができる。
【0045】
支持腕部132は、長尺の矩形平板からなり、連結部131から離間する方向に延設されてボックス101を前側面に支持するように構成されている。支持腕部132の上下幅中心には、ボックス101を固定するための複数の長孔状の取着孔135が穿設されている。また、当該取着孔135の上下には、幅方向に延びる長孔および延設方向に延びる長孔がそれぞれ形成されている。これら長孔は、ボックス101を固定するためには使用されないが、例えば、クリップ状の配設体などの他形態の配設体本体に変更した際に使用され得る。
【0046】
すなわち、本実施形態の支持装置102において、ベース体110は、壁材が固定される造営材の壁固定面(柱材の前面)に宛がわれる宛がい部112を有し、当該宛がい部112を宛がうことで、壁固定面と交差する面の側に被連結部としての基部111が配置され、造営材の当該交差する面の側から支持腕部132が離間するように支持体130がベース体110に組み付けられる。
【0047】
なお、本実施形態の支持装置102を構成するベース体110および支持体130は、SUS材を屈曲および穿設加工することにより得られたが、本発明は、一実施形態の製法および材質に限定されるものではない。例えば、SUS材などの金属材料の替わりに、硬質樹脂等を成形加工して支持装置を形成することも可能である。
【0048】
次に、
図7および
図12を参照して、ベース体110および支持体130を連結する連結機構について説明する。連結機構は、ベース体110(基部111)のレール115および係止片116、ならびに、支持体130(連結部131)の係止孔133によって構成される機構である。
【0049】
図7(a)に示すように、ベース体110の一対のレール115,115間に支持体130の連結部131が差し込まれることにより、ベース体110および支持体130が連結される。基部111およびレール115の先端部位が、連結部131を表裏から挟み込むことにより、連結部131が基部111(被連結部)により落下しないように保持されている。レール115は、連結部131が基部111(被連結部)に連結された状態で、連結部131を間に挟んで支持体130の前後方向のスライドをガイドする。同様に、係止片116および係止孔133(特に長孔状の第2係止孔1332)が、支持体130の前後方向の直線スライドをガイドし得る。
【0050】
また、
図7(b)に示すように、1つの係止片116の先端部分が、係止孔133内に配置されている。係止片116が前側に自由端を有するように傾斜していることにより、連結部131の前側への移動を係止することがない。つまり、連結機構は、支持体130の前面側へのベース体110に対する相対移動を許容する。支持体130は、支持腕部132の表面がレール115の後端面に当接するまで、ベース体110に対して前進することが可能である。他方、支持体130がベース体110に対して後側に移動すると、係止片116が係止孔133内で前方に相対移動し、係止片116の爪部116bが係止孔133の前側の端面に当接して係止する。つまり、係止孔133の端面が、支持体130がベース体110に対して後側に相対移動することを規制する規制部として機能する。ここで、1つの係止片116および1つの係止孔133の一対一の係合関係により、相対移動が規制される。これにより、支持体130が後方に必要以上に移動してベース体110から離脱することが防止される。すなわち、連結機構により、支持体130をベース体110に対して前方にスライド移動させることにより容易に組み付け可能である。また、組み付け後、支持体130をベース体110に対して取付方向の反対方向にスライドさせた場合、ベース体110および支持体130が互いに分離することが規制される。
【0051】
図12は、ベース体110および支持体130の連結機構による係合パターンを例示する。ここでは、4段階の係合パターン(係止片116と係止孔133との一対一の組み合わせ)を例示する。
図12(a)は、第1係止片1161が上側の第1係止孔1331の端面に係合した第1係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第1係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第1係合位置より後退することが規制される。
図12(a)で示す第1係合位置は、支持体130を最も前側(壁材に対して近接方向に最も移動した状態)で係止する係合パターンである。
図12(b)は、第2係止片1162が下側の第1係止孔1331の端面に係合した第2係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第2係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第2係合位置より後退することが規制される。
図12(c)は、第3係止片1163が上側の第2係止孔1332の端面に係合した第3係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第2係止孔1332の前端部が第3係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第3係合位置より後退することが規制される。
図12(d)は、第4係止片1164が下側の第1係止孔1331の端面に係合した第4係合位置にある連結機構を示している。支持体130の第1係止孔1331が第4係合位置より前側にスライドした後、支持体130が第4係合位置より後退することが規制される。
図12(d)で示す第4係合位置は、支持体130を最も後側で係止する係合パターンである。すなわち、本実施形態では、連結機構の規制部は、ベース体110に対して後退する支持体130を段階的に係止することを可能とする。これにより、支持体130がベース体110から後方に離脱することがより確実に防止される。なお、第4係止片1164および第1係止孔1331の組み合わせが、最終的に、支持体130がベース体110から離脱することを阻止する阻止手段として機能する。
【0052】
次いで、
図13乃至
図15を参照して、一対の配設体100(ボックス101および支持装置102)を造営材である柱材17に対して配置した支持構造11について説明する。
図13は、支持構造11の前面からの概略斜視図である。
図14は、支持構造11の平面図である。
図15は、支持構造11の正面図である。
【0053】
支持構造11は、柱材17に対して、2つで一組をなす一対の配設体100(配設装置)が支持された構造である。支持構造11は、壁裏に配置された柱材17、該柱材17の前側に立設される壁材18の裏面側で柱材17に固定された一対の支持装置102,102、および、壁材の裏面側の空間で一対の支持装置102にそれぞれ支持された一対のボックス101,101を備える。当該支持構造11において、一対の配設体100は、1本の柱材17の両側方の互いに離隔する方向に配設され、柱材17の同じ高さにその本体部(ボックス101、支持体130)が支持されている。なお、この支持構造11は、柱材17の前および/または後の壁材を含まない構造部分であり、
図14の仮想線は、当該支持構造11における前面側の壁材18が構築される位置を示している。本実施形態では、壁材18は柱材17の前面に当接する位置に構築される。
【0054】
本実施形態の支持構造11において、一対の配設体100,100のベース体110,110の基部111,111が柱材17の(ボックス101側を向く)側面に固定されているとともに、宛がい部112,112が柱材17の前面に固定されている。一方の配設体100の基部111および他方の配設体100の基部111は、柱材17の反対側を向く両側面にそれぞれ当接し、宛がい部112,112が柱材17の共通の面(前面)に宛がわれている。
図14に示すように、固定ビスがビス孔113aを貫通することで宛がい部112が柱材17前面に固定されている。宛がい部112側の固定ビスは、柱材17の(延伸方向に直交する)幅方向中心で柱材17前面に打ち込まれている。なお、ここでは、宛がい部112のビス孔113aを利用して固定ビスでベース体110の宛がい部112を柱材17の前面に固定したが、かわりに、固定孔111aを利用して固定ビスでベース体110の基部111を柱材17の側面に固定してもよい。あるいは、固定孔111aおよびビス孔113aの両方を利用して、基部111を柱材17側面に固定するとともに宛がい部112を柱材17前面に固定してもよい。
【0055】
また、
図15に示すように、一方の配設体100の宛がい部112および他方の宛がい部112は、上下反対となるように柱材17の前面に配置されている。つまり、柱材17の前面で、一方の宛がい部112の長尺部位113および他方の宛がい部112の短尺部位114が(同じ高さ位置で)突き合わされて配置されている。このとき、長尺部位113および短尺部位114の長さの合計が柱材17前面の柱幅以下であることから、宛がい部112,112同士が重合することが防止された。また、ベース体110に対して支持体130が連結機構を介して組み付けられている。そして、各配設体100の支持腕部132は、柱材17から側方に離間するように柱材17の延伸方向に対して水平に延在している。一対の配設体100,100の支持腕部132,132は互いに離間する方向に延びている。
【0056】
また、各支持腕部132の長手方向の所定位置にボックス101がビスで取着されている。具体的には、被取着部としての取着孔135に対して、ボックス101の取着部位としての取着孔101dが高さ方向および水平方向に位置合わせされて、ビスによって取着されている。
図15に示すように、本実施形態の支持構造11では、ボックス101の上下幅方向の中心101c(基準位置)は、支持腕部132の取着孔135(被取着部)、および、ボックス101の取着孔101d(取着部位)と高さ方向の同じ位置にある。そして、宛がい部112に形成された第2基準位置表示部118が、ボックス101の中心101cの高さを表示している。すなわち、支持構造11において、2つの配設体100,100の本体部(ボックス101,支持体130および/または支持腕部132)を同一高さとして支持している。なお、本発明の「本体部」を同一高さとすることは、支持腕部132,132が同じ高さで支持され、左右の配設体100,100でボックス101の寸法形状が異なってる場合をも意味している。
【0057】
当該支持構造11では、配設体100のボックス101は前後方向において固定されておらず、支持装置102によって可動式に支持されている。
図14に示すように、ボックス101(配設体本体)の前面と(立設予定の)壁材18の裏面位置との間には隙間が形成され、支持体130は、壁材の裏面位置に対する近接方向への移動が許容された状態でベース体110に連結されている。すなわち、支持構造11において、ボックス101および支持体130が壁材18の裏面位置から後方に離間して位置することにより、壁材18を立設する際、ボックス101および支持体130が壁材18に干渉することがない。また、壁材18が立設された後、ボックス101および支持体130を近接方向に移動するように操作することにより、ボックス101の前面を壁材18の裏面に確実に当接させることができる。
【0058】
図16および
図17は、柱材17に対して一対の配設体100,100(配設装置)が配設され、少なくとも前側の壁材18が構築され、器具Iが各配設体100に取着された状態の設置構造10を示している。ここで、器具Iは、コンセントカバーやスイッチなどの配線器具であるが、図面では模式的に描写されている。また、壁材18は石膏ボード等であってもよい。すなわち、
図16および
図17に示す設置構造10は、壁裏空間に配置された柱材17、該柱材17の前側に立設された壁材18、該壁材18の裏面側で柱材17に固定された支持装置102、および、壁材18の裏面側で支持装置102に支持されたボックス101を備え、ボックス101の前面に壁孔18aを介して器具Iが据え付けられている。
【0059】
図17に示すとおり、設置構造10では、壁材18の所定位置には2つの壁孔18a,18aが穿設され、各壁孔18aの中心に各ボックス101の中心101c(基準位置)が位置合わせされている。そして、各ボックス101が壁孔18aを介して壁表に臨んでいる。また、1つの柱材17の前面に一対の配設体100,100の宛がい部112,112がそれぞれ宛がわれ、宛がい部112,112同士が相互に重合することなく、一対の配設体100,100の本体部(支持体130、ボックス101)が柱材17の高さ方向の同一位置に配置されている。
【0060】
また、
図16に示すように、各配設体100においてボックス101のフランジ101a前面が壁材18裏面に周方向全体に亘って隙間無く当接している。さらに、ボックス101の器具取付部101bおよび取付用ビス(ネジ)を介して器具Iがボックス101に取り付けられている。この取付用ビスの締結力によって、壁材18の壁孔18aの周縁が器具Iおよびフランジ101aによって挟持されている。すなわち、設置構造10では、各ボックス101の前面が壁材18の裏面に対して確実に当接し、遮音性や防火性につながる遮蔽効果が発揮されている。
【0061】
続いて、
図18を参照して、一対の配設体100,100を柱材17に対して設置した設置構造10を構築する方法について説明する。また、当該方法では、支持構造11において、壁材18を構築した後、壁裏の各ボックス101に対して壁表から器具Iを順に設置する。
【0062】
まず、各ボックス101前面の配置位置を(立設予定の)壁材18の裏面位置から前後方向に後退した位置に定めるべく、ボックス101(または配設体100)の前後幅等を考慮して、ベース体110の位置合わせ部(宛がい部112)を宛がう柱材17の基準面を定める。
図16に示すように、設置構造10では、柱材17の前面が基準面として選択された。次いで、器具I(中心位置)の設置高さに基づいて、柱材17の外側面(好ましくは前面)に罫書き線を形成する。
【0063】
次に、
図18(a)に示すように、柱材17の罫書き線に従った所定の高さ位置において、2つのベース体110を柱材17に順に固定する。2つのベース体110,110の上下が互いに反転するように宛がい部112,112を柱材17に対して宛がう。具体的には、一方の宛がい部112の長尺部位113を上側に配置し、他方の宛がい部112の短尺部位114を、一方の宛がい部112の長尺部位113と同じ高さ位置に配置する。このような2つの宛がい部112,112の位置関係により、2つのベース体110,110を互いに干渉または重合させずに柱材17の共通の面に固定することができる。
【0064】
この工程において、ユーザーは、柱材17の前面にベース体110の宛がい部112を宛がって、壁表から宛がい部112を柱材17に手で押し付けることにより、ベース体110を容易にその場に保持することができる。特に、宛がい部112の長尺部位113が柱材17の前面の幅の半分を超える延設長さを有することから、宛がい部112を柱材17前面に宛がう作業が容易である。また、第2基準位置表示部118を罫書き線に合わせることにより、ボックス101の中心101c(基準位置)を所望の高さ位置(器具Iまたは壁孔18aの中心位置)に位置合わせすることができる。
【0065】
そして、固定ビスを宛がい部112のビス孔113aに打ち込むことにより、固定部としての一対のベース体110を柱材17にそれぞれ固定する。一対のベース体110が柱材17の前面および両側面に固定された状態で、支持体130の連結部131を基部111の一対のレール115の間に、後方から前方に差し込むことにより、支持体130を各ベース体110に組み付ける。このとき、ボックス101の前後幅に応じて、ボックス101の前面位置が立設予定の壁材18の裏面位置の少なくとも後方となるように差し込み量を調整する。支持腕部132の位置を出来るだけ前方に定めることにより、壁裏空間での移動量をより少なくすることができる。すなわち、本実施形態の配設体100によれば、固定部としてのベース体110を柱材17に固定した段階で、配設体100の基準位置(ボックス101の中心101c)の高さ位置、および、配設体100の前面(ボックス101の前面)の前後位置を所望の位置に合わせることができる。
【0066】
次の工程では、支持腕部132の延設方向の所定位置にボックス101をビスで固定する。このとき、支持腕部132の上下幅中心の取着孔135(被取着部)およびボックス101の取着孔101d(取着部位)が合わさって、ビスで固定される。これにより、ボックス101の基準位置が、罫書き線と同じ高さ位置に配置され、配設体100の支持構造11が構築される。
【0067】
次の工程において、
図18(b)に示すように、柱材17前面に壁材18裏面が当接するように壁材18が構築される。宛がい部112の厚みは、柱材17前面および壁材18裏面の実質的な当接を妨げないように十分に薄い。特には、2つの配設体100,100の宛がい部112が重合していないので、宛がい部112の厚みにより柱材17の立設が妨げることが防止され得る。そして、壁材18に、罫書き線と同じ高さに中心を有する一対の壁孔18a,18aを穿設する。該各壁孔18aを介して各ボックス101前面の器具取付部101bを壁表に露出させる。次に、
図18(b)に示すように、取付用ビスを壁表から器具Iの取付孔に貫通させて各ボックス101の器具取付部101bにねじ込む。
【0068】
続いて、
図18(b)の状態から、ボックス101とともに支持体130を壁材18に対して近接移動させるように取付用ビスを螺進させる。そして、
図18(c)に示すように、ボックス101のフランジ101aおよび器具Iで壁材18を挟持するように取付用ビスを締め付ける。これにより、各ボックス101のフランジ101aが壁材18裏面に密接し、各壁孔18aを封止した設置構造10を構築することができる。
【0069】
以下、本発明に係る一実施形態の配設体100の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態の配設体100によれば、宛がい部112の長尺部位113が柱材17の前面の幅の半分を超える延設長さで本体部(支持体130、ボックス101)の反対側に延設されていることにより、宛がい部112を柱材17の前面に宛がった状態を維持する操作が容易となり、作業性が向上する。また、柱材17の前面に同一の2つの配設体100,100の宛がい部112,112を宛がった際、宛がい部112,112同士が相互に重合することなく、2つの配設体100,100の本体部(支持体130、ボックス101)を柱材17の高さ方向の同一位置に配置することが可能である。したがって、本実施形態の配設体100は、1本の柱材17に対して柱材17を挟んで同じ高さに同一の2つの配設体100,100を配置することを容易とするものである。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。別実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0072】
(1)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、支持装置は、固定部を介して片持ち状態で造営材に固定されるように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図20に示す配設体200は、両端で柱材に固定される支持装置202を備える。なお、配設体200は、必ずしもボックスを含んでいなくてもよい。
図20の支持装置202には、支持腕部232の両端に固定部(ベース体210,連結部231)が設けられ、支持装置202が2本の柱状の造営材の間に両持ち状態で固定されるように構成されてもよい。支持装置202は、支持腕部232の両端に第1および第2ベース体210,210を有する。すなわち、宛がい部は、本体部の一端側で第1柱材の前面に宛がわれ得る第1宛がい部212、および、本体部の他端側で第1柱材と離間する第2柱材の前面に宛がわれ得る第2宛がい部212から構成される。また、支持装置202では、第1宛がい部212および第2宛がい部212の長尺部位213および短尺部位214の上下の位置関係が反対となっている。
図21に示すように、対となる支持装置202を上下に反転させることなく、一方の配設体200の第1宛がい部212と他方の配設体200の第2宛がい部212とを組合せて柱材の1つの面に宛がうことができる。
【0073】
図21は、
図20の支持装置202による配設体200の設置構造20(または支持装置21)の応用例を示している。
図21において、説明の便宜上、壁材の描写を省略する。
図21の設置構造20では、中央の1本の柱材17-1に2つの配設体200,200が配設されているとともに、その側方の2本の柱材17-2,17-2にも、配設体200,200がそれぞれ固定されている。
図21に示す設置構造20では、固定ビスがビス孔213aの代わりに固定孔211aを貫通することで基部211が柱材17-1,17-2側面に固定されることにより、配設体200が柱材17-1,17-2に固定されている。これら配設体200は、同一構成かつ同一形状の支持装置202からなる。各配設体200は、両側に固定部(ベース体210)を有することにより、柱材17-1,17-2間に架設されている。中央の1本の柱材17-1の前面に対して、一方の配設体200の宛がい部212、および、他方の配設体200の宛がい部212が互いに重合することなく配置されている。そして、配設体200の本体部(支持体230、ボックス201)が柱材17-1の高さ方向の同じ位置に配設されている。すなわち、本実施形態の配設体200は、柱材17-1の共通の前面に2つの配設体200,200の宛がい部212,212を宛がった際、宛がい部212,212同士が相互に重合することなく、2つの配設体200,200の本体部(ボックス201,支持体230)を柱材17-2の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されている。なお、両側方の柱材17-2,17-2に対して、さらに別の配設体200を設置し、配設体200の架設構造が連続してもよい。
【0074】
図22に示す配設体300および設置構造30は、
図21の配設体200および設置構造20の一部構成を変更したものである。配設体300の支持装置302では、支持腕部332の両端にベース体310,310を有し、第1宛がい部312および第2宛がい部312の間で、長尺部位313および短尺部位314の上下の位置関係が同じである。
図22に示すように、対となる支持装置302を上下に180度反転させて、一方側の配設体300の第1宛がい部312(または第2宛がい部312)と他方の配設体300の第1宛がい部312(または第2宛がい部312)とを組合せて柱材の1つの面に宛がうことができる。
【0075】
(2)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。本発明の宛がい部の形状は、上記実施形態に限定されない。
図23は、第1ベース体(固定部)410-1、第2ベース体(固定部)420-2および支持体430を備える支持装置402を示す。第1固定部410-1および第2固定部410-2は、支持体430の支持腕部432(本体部)の両端に形成された。すなわち、宛がい部は、本体部の一端側で第1柱材の前面に宛がわれ得る第1宛がい部412-1、および、本体部の他端側で第1柱材と離間する第2柱材の前面に宛がわれ得る第2宛がい部412-2から構成される。第1および第2宛がい部412-1,412-2は、互いに相違する形状を有する。また、支持装置402では、第1宛がい部412-1および第2宛がい部412-2の長尺部位413および短尺部位414の上下の位置関係が、両端で反対となっている。特には、第1宛がい部412-1は、中央に短尺部位414が形成され、その上下に長尺部位413が形成された凹形状を有し、第2宛がい部412-2は、中央に長尺部位413が形成され、その上下に短尺部位414が形成された凸形状を有する。
図24に示す支持構造41のように、対となる支持装置402を上下に反転させることなく、一方の配設体400の第1宛がい部412-1と他方の配設体400の第2宛がい部412-2とを組合せて柱材17の1つの面に宛がうことができる。
【0076】
(3)本発明の配設装置は、前面に壁材が造り付けられる1つの柱材の両側方に配設され、2つの異なる形状の宛がい部をそれぞれ有する一対の配設体(1組の2つの配設体)からなる。
図25は、互いに異なる形態を有する第1配設体500-1および第2配設体500-2から構成される配設装置52を示している。ここでは、配設体本体は、ボックス等を含まない支持体自体とした。第1配設体500-1および第2配設体500-2は、一端のみにそれぞれ形成された第1および第2固定部510-1,510-2と、第1および第2固定部510-1,510-2から側方に位置する本体部としての支持腕部532とを備える。一対の配設体500-1,500-2の各固定部510-1,510-2には、柱材の前面の幅の半分を超える延設長さで本体部の反対側に延設され、柱材の前面に宛がわれる第1宛がい部512-1および第2宛がい部512-2がそれぞれ設けられている。第1宛がい部512-1および第2宛がい部512-2の形状は互いに異なる。特には、第1宛がい部512-1は、中央に短尺部位514が形成され、その上下に長尺部位513が形成された凹形状を有し、第2宛がい部512-2は、中央に長尺部位513が形成され、その上下に短尺部位514が形成された凸形状を有する。すなわち、第1および第2宛がい部512-1,512-2は、1つの柱材の前面に一対の配設体500-1,500-2の宛がい部512-1,512-2を同時に宛がった際、宛がい部512-1,512-2同士が相互に重合することなく、一対の配設体500-1,500-2の本体部(支持腕部532)を柱材の高さ方向の同一位置に配置可能に構成されている。なお、当該配設装置を1つの柱材の側方に配設した支持構造(または設置構造)は、
図24の支持構造41と同様なので、図示を省略する。
【0077】
(4)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の係止片がベース体に設けられ、係止孔が支持体に設けられたが、両者が反対となるように設けられてもよい。
【0078】
(5)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の係止片が係止孔の端面に当接することにより、支持体のベース体に対する後方へも戻り止めとして働くが、当該戻り止めを省略し、連結機構は、支持体をベース体に対して壁材への接離方向の両方にスライド可能に支持してもよい。
【0079】
(6)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構の1つの係止片および1つの係止孔の一対一の係合関係により、相対移動が規制されるが、複数の係止片および複数の係止孔が同時に作用するように設計されてもよい。
【0080】
(7)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、連結機構により、ベース体が支持体に対して可動式に連結されるが、本発明において当該連結機構が省略されてもよい。すなわち、固定部としてのベース体に対して本体部が一体的に形成されてもよい。本体部は、支持腕部およびボックスの組み合わせに限らず、支持腕部のみであってもよく、ボックスのみであってもよい。
【0081】
(8)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。本発明の配設体において、宛がい部は、高さ方向に複数並設されるように形成されてもよい。
【0082】
(9)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、ベース体の基部および宛がい部の両方に柱材に固定するためのビス孔(挿通孔)が形成されたが、本発明はこれに限定されず、基部または宛がい部のいずれか一方にビス孔(挿通孔)が形成されてもよい。
【0083】
(10)本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、1つの支持体または支持腕部に1つの配設体本体(ボックス)が配置されたが、1つの支持体または支持腕部に対して、複数の同形状または異なる形状の配設体本体(例えば、ボックス101,1012)が取着されてもよい。
【0084】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0085】
10 設置構造
11 支持構造
17 柱材
18 壁材
18a 壁孔
18b 壁用ビス
100 配設体
101 ボックス
101a フランジ
101b 器具取付部
101c 中心(基準位置)
101d 取着孔(取着部位)
101e ボックス本体
101f 遮音カバー
102 支持装置
110 ベース体(固定部)
111 基部(固定部、被連結部)
111a 固定孔
111b 目盛
111c 切り欠き
112 宛がい部(位置合わせ部)
113 長尺部位
113a ビス孔(挿通孔)
113b ビス孔(第2の挿通孔)
114 短尺部位
115 レール(連結機構)
116 係止片(連結機構)
116a 基端部
116b 爪部
117 基準位置表示部
118 第2基準位置表示部
130 支持体
131 連結部
132 支持腕部
133 係止孔(連結機構)
135 取着孔(被取着部)
I 器具