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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20240906BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20240906BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01R24/40
H01R13/6581
H05K9/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021032415
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133632
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 諒汰
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-040276(JP,A)
【文献】特表2013-518409(JP,A)
【文献】特開2008-103271(JP,A)
【文献】特開2006-114344(JP,A)
【文献】特開2008-171725(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01740028(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3324717(EP,A1)
【文献】特開2000-286587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
接地するためのグランド層を含み、かつ前記筐体の内部空間に配置された基板と、
前記筐体の前記内部空間に設けられ、前記基板に電気的に接続された第1コネクタと、
前記基板上に配置され、かつ前記第1コネクタと、接触せずに覆うように配置されたコネクタシールドと、
前記筐体には、前記内部空間に連通する開口部が設けられており、
前記第1コネクタは、前記開口部から露出するように構成されており、
前記コネクタシールドは、前記開口部と前記基板とを接続するように設けられ、前記筐体と前記基板の前記グランド層とを電気的に接続している、電子機器。
【請求項2】
外部導体を含む同軸ケーブルと、
前記同軸ケーブルの先端に接続され、かつ前記開口部を通って前記第1コネクタに接続された第2コネクタとをさらに備え、
前記第1コネクタは、第1電磁遮蔽部を含み、
前記第2コネクタは、第2電磁遮蔽部を含み、
前記同軸ケーブルの前記外部導体は、前記第1電磁遮蔽部および前記第2電磁遮蔽部に電気的に接続されており、
前記第1電磁遮蔽部は、前記基板の前記グランド層に電気的に接続されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記基板は、実装面と、前記実装面に対向する非実装面とを含み、
前記第1コネクタは、前記実装面上に配置された本体部と、前記本体部よりも小さくかつ前記非実装面から突出したピン部とを含み、
前記コネクタシールドは、前記基板の前記非実装面上において前記第1コネクタの前記ピン部を覆っている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記基板は、実装面と、前記実装面に対向する非実装面とを含み、
前記第1コネクタは、前記実装面上に配置された本体部と、前記本体部よりも小さくかつ前記非実装面から突出したピン部とを含み、
前記コネクタシールドは、前記基板の前記実装面上において前記本体部を覆い、かつ前記基板の前記非実装面上において前記ピン部を覆っている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体と前記コネクタシールドは、一体的に構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1コネクタは、映像信号を伝送するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化および小型化に伴い信号の周波数が増加している。このため、電子回路基板における信号をノイズ源とした不要電磁波が生じやすくなっている。よって、電子機器に金属製の筐体を用いることで電子回路基板を電磁的に遮蔽することにより、不要電磁波を低減することがさらに求められている。また、例えば、映像撮影装置の高精細化に伴い、電子機器の回路基板の信号線に伝送される映像データ(デジタルデータ)の周波数が増加している。高い周波数を有するデジタルデータが伝送される場合には、電磁ノイズが生じやすい。このため、電磁波妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)をさらに低減させる必要がある。
【0003】
例えば、特許第6739793号公報(特許文献1)に記載の同軸コネクタでは、同軸ケーブルの外部導体、シェルおよび電磁遮蔽板が互いに電気的に接続されている。電磁遮蔽板は、外部導体よりも低いインピーダンスを有している。このため、同軸コネクタが基板に接続された場合、基板の集積回路から生じたディファレンシャルモードノイズは、同軸ケーブルの外部導体よりも電磁遮蔽板に伝わりやすい。よって、同軸ケーブルの外部導体にディファレンシャルモードノイズが伝わることが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6739793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同軸コネクタは、電子機器の筐体内に配置された基板に接続される。上記公報に記載の同軸コネクタが筐体内の基板に接続される場合には、同軸コネクタを筐体の内部空間に挿入するために設けられた筐体の開口部を通って、同軸コネクタが基板に接続される。また、基板において生じたコモンモードノイズは、筐体に放射されることがある。基板から筐体に放射されたコモンモードノイズは、筐体の開口部から不要電磁波として同軸ケーブルに放射される。したがって、上記公報に記載の同軸コネクタが筐体内の基板に接続された場合には、筐体から同軸ケーブルにコモンモードノイズが伝わるという課題がある。
【0006】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同軸ケーブルにコモンモードノイズが伝わることを抑制することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電子機器は、筐体と、基板と、第1コネクタと、コネクタシールドとを備えている。基板は、接地するためのグランド層を含んでいる。基板は、筐体の内部空間に配置されている。第1コネクタは、筐体の内部空間において基板に電気的に接続されている。コネクタシールドは、基板上に配置されている。コネクタシールドは、第1コネクタを覆うように配置されている。筐体には、内部空間に連通する開口部が設けられている。第1コネクタは、開口部から露出するように構成されている。コネクタシールドは、筐体と基板のグランド層とを電気的に接続している。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電子機器によれば、コネクタシールドは、筐体と基板のグランド層とを電気的に接続している。このため、筐体に放射されたノイズは、筐体から基板のグランド層に伝わる。よって、同軸ケーブルが筐体の開口部を通って第1コネクタに接続された場合に、同軸ケーブルに伝わるコモンモードノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る電子機器の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る電子機器の筐体の底部、基板、固定部、第1コネクタ、第2コネクタ、コネクタシールドおよび同軸ケーブルの構成を概略的に示す斜視図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】実施の形態1に係る電子機器の基板の構成を概略的に示すブロック図である。
図6】実施の形態1に係る電子機器の他の構成を概略的に示す斜視図である。
図7】比較例に係る電子機器の構成を概略的に示す斜視図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図7のIX-IX線に沿った断面図である。
図10】実施の形態2に係る電子機器の構成を概略的に示す斜視図である。
図11】実施の形態2に係る電子機器の筐体の底部、基板、固定部、第1コネクタ、第2コネクタ、コネクタシールドおよび同軸ケーブルの構成を概略的に示す斜視図である。
図12図10のXII-XII線に沿った断面図である。
図13図10のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14】実施の形態3に係る電子機器の構成を概略的に示す斜視図である。
図15】実施の形態3に係る電子機器の筐体の底部、基板、固定部、第1コネクタ、第2コネクタ、コネクタシールドおよび同軸ケーブルの構成を概略的に示す斜視図である。
図16図14のXVI-XVI線に沿った断面図である。
図17図14のXVII-XVII線に沿った断面図である。
図18】実施の形態4に係る電子機器の構成を概略的に示す断面図である。
図19】実施例1~3および比較例に係る電子機器における周波数とノイズとの関係を概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0011】
実施の形態1.
図1図6を用いて、実施の形態1に係る電子機器100の構成を説明する。
【0012】
図1および図2に示されるように、電子機器100は、筐体1と、基板2と、第1コネクタ41と、コネクタシールド6とを含んでいる。本実施の形態に係る電子機器100は、同軸ケーブルCAと、複数の固定部3と、第2コネクタ42とをさらに含んでいる。
【0013】
筐体1は、底部11と、ケース部12とを含んでいる。底部11には、基板2が複数の固定部3によって固定されている。底部11には、例えば、4つの固定部3によって基板2の四隅が接続されている。底部11とケース部12とは、例えば、複数のねじによって互いに固定されている。底部11の四隅の各々は、例えば、4つのねじの各々によってケース部12の各々にそれぞれ固定されている。
【0014】
図3に示されるように、筐体1は、内部空間ISを有している。筐体1のケース部12は、内部空間ISを囲むように構成されている。筐体1の内部空間IS内には、基板2および複数の固定部3が配置されている。第1コネクタ41、第2コネクタ42およびコネクタシールド6の各々の少なくとも一部は、筐体1の内部空間IS内に配置されている。
【0015】
筐体1には、内部空間ISに連通する開口部10が設けられている。具体的には、筐体1のケース部12には、内部空間ISに連通する開口部10が設けられている。開口部10は、開口OPの周囲を囲っている。ケース部12には、コネクタシールド6が接続されている。
【0016】
本実施の形態において、筐体1の開口部10を通って第1コネクタ41に第2コネクタ42が挿入される方向は、第1方向DR1である。ケース部12が底部11に重ねられた方向は、第3方向DR3である。第1方向DR1および第3方向DR3の各々に直交する方向は、第2方向DR2である。
【0017】
基板2は、筐体1の内部空間ISに配置されている。基板2は、実装面2aと、非実装面2bとを含んでいる。非実装面2bは、実装面2aに対向している。
【0018】
基板2は、集積回路21(IC:Integrated Circuit)と、信号線22と、接地するためのグランド層23とを含んでいる。集積回路21および信号線22は、基板2の実装面2aに実装されている。集積回路21は、信号線22によって第1コネクタ41に電気的に接続されている。図示されていないが、グランド層23は、例えば、筐体1を介して接地されていてもよい。グランド層23には、第1コネクタ41およびコネクタシールド6が電気的に接続されている。
【0019】
第1コネクタ41は、筐体1の内部空間ISにおいて基板2に電気的に接続されている。具体的には、第1コネクタ41は、筐体1の内部空間ISにおいて基板2の集積回路21に電気的に接続されている。第1コネクタ41は、第2コネクタ42に接続されている。第1コネクタ41は、第2コネクタ42によって同軸ケーブルCAに電気的に接続されている。第1コネクタ41は、信号を伝送するためのコネクタである。第1コネクタ41は、映像信号を伝送するように構成されている。
【0020】
第1コネクタ41は、開口部10から露出するように構成されている。第1コネクタ41は、部分的に開口部10から露出するように構成されている。第1コネクタ41は、第1方向DR1において開口部10から露出するように構成されている。
【0021】
第1コネクタ41は、本体部411と、ピン部412とを含んでいる。本体部411は、実装面2a上に配置されている。ピン部412は、基板2を貫通している。ピン部412は、非実装面2bから突出している。ピン部412は、本体部411よりも小さい。第1コネクタ41は、複数のピン部412を含んでいてもよい。
【0022】
第1コネクタ41は、第1電磁遮蔽部51を含んでいる。第1電磁遮蔽部51は、第1コネクタ41の内壁として構成されている。第1電磁遮蔽部51は、第2コネクタ42を覆っている。より詳細には、第1電磁遮蔽部51は、第2方向DR2および第3方向DR3において第2コネクタ42の第2電磁遮蔽部52を覆っている。第1電磁遮蔽部51は、基板2のグランド層23に電気的に接続されている。
【0023】
第2コネクタ42は、開口部10を通って第1コネクタ41に接続されている。第2コネクタ42は、同軸ケーブルCAの先端に接続されている。第2コネクタ42は、第1方向DR1に沿って第1コネクタ41に接続されている。第2コネクタ42は、信号を伝送するためのコネクタである。第2コネクタ42は、映像信号を伝送するように構成されている。
【0024】
第2コネクタ42は、第2電磁遮蔽部52を含んでいる。第2電磁遮蔽部52は、第2コネクタ42の外壁として構成されている。
【0025】
コネクタシールド6は、基板2上に配置されている。コネクタシールド6は、例えば、図示されないはんだ、ねじ等によって基板2に電気的に接続されている。コネクタシールド6は、基板2のグランド層23に電気的に接続されている。望ましくは、コネクタシールド6は、基板2のグランド層23に複数の位置において電気的に接続されている。図示されないが、コネクタシールド6と基板2とは、間隔を空けて配置されていてもよい。間隔は、例えば、1mm以下である。なお、基板2のグランド層23においてシグナルグランドとフレームグランドとが分離されている場合には、コネクタシールド6はシグナルグランドに電気的に接続されずフレームグランドに電気的に接続されている。
【0026】
コネクタシールド6は、第1コネクタ41を覆うように配置されている。コネクタシールド6は、第1コネクタ41の開口部10において露出した部分を除いて、第1方向DR1において第1コネクタ41を覆っている。コネクタシールド6は、第2方向DR2において第1コネクタ41を挟み込むように配置されている。コネクタシールド6は、第3方向DR3において第1コネクタ41を覆っている。本実施の形態において、コネクタシールド6は、基板2の実装面2a上において第1コネクタ41の本体部411を覆っている。
【0027】
コネクタシールド6は、筐体1と基板2のグランド層23とを電気的に接続している。本実施の形態において、コネクタシールド6は、筐体1の開口部10の一部に接続されている。後述されるように、望ましくは、コネクタシールド6は、筐体1の開口部10の全部に接続されている。本実施の形態において、コネクタシールド6は、筐体1と別体である。
【0028】
図4に示されるように、本実施の形態ではコネクタシールド6の正面視における形状は矩形であるが、コネクタシールド6の正面視における形状は円、三角形、多角形等であってもよい。また、図示されないが、コネクタシールド6には開口部分が設けられていてもよい。なお、開口部分の寸法は、シールドされる電磁波の波長の10分の1以下である。開口部分の形状は、例えば、丸、三角、矩形等である。
【0029】
第2電磁遮蔽部52は、突起部521を有している。突起部521は、第2コネクタ42が第1コネクタ41に挿入された場合に第1電磁遮蔽部51に接触するように構成されている。第1電磁遮蔽部51は、突起部521によって第2電磁遮蔽部52に電気的に接続されている。
【0030】
図3および図4に示されるように、同軸ケーブルCAは、芯線部CA1と、絶縁部CA2と、外部導体CA3と、ジャケット部CA4とを含んでいる。芯線部CA1および外部導体CA3は、導体である。絶縁部CA2およびジャケット部CA4は、絶縁体である。絶縁部CA2は、芯線部CA1の全周を覆っている。外部導体CA3は、絶縁部CA2の全周を覆っている。外部導体CA3は、第1電磁遮蔽部51および第2電磁遮蔽部52に電気的に接続されている。外部導体CA3は、シールドとして構成されている。なお、第1電磁遮蔽部51および第2電磁遮蔽部52は、外部導体CA3よりも低いインピーダンスを有している。ジャケット部CA4は、外部導体CA3の全周を覆っている。
【0031】
同軸ケーブルCAは、例えば、映像信号を伝送可能に構成されている。同軸ケーブルCAの第1端部には、第2コネクタ42が接続されている。図示されないが、同軸ケーブルCAの先端にはシェルが圧着されている。シェルは、外部導体CA3に電気的に接続されている。同軸ケーブルCAの第2端部には、外部機器EDが接続されている。同軸ケーブルCAは、外部機器EDに直接接続されず、中継コネクタ等によって接続されてもよい。
【0032】
図3に示されるように、本実施の形態に係る電子機器100は、外部機器EDに接続されている。外部機器EDは、例えば、映像を撮影可能に構成された映像撮影装置である。外部機器EDは、パラレル信号である映像信号を電子機器100に伝送するように構成されている。電子機器100は、外部機器から伝送された映像信号を同軸ケーブルCA、第2コネクタ42および第1コネクタ41によって基板2に伝送するように構成されている。
【0033】
具体的には、外部機器EDは、パラレル信号をシリアル信号に変換するように構成されている。同軸ケーブルCAは、変換されたシリアル信号を第1コネクタ41によって集積回路21に伝送するように構成されている。集積回路21は、シリアル信号をパラレル信号に変換するように構成されている。図示されないが、電子機器100は、外部インターフェースをさらに含んでいてもよい。
【0034】
図5に示されるように、基板2は、SoC25(System On a Chip)、マイクロコンピュータ26、DRAM27(Dynamic Random Access Memory)、外部インターフェースコネクタ28および電源回路29をさらに含んでいる。SoC25は、集積回路21からパラレル信号を受信するように構成されている。集積回路21は、SoC25にパラレル信号を伝送するように構成されている。SoC25は、伝送されたパラレル信号に対して映像処理を実行するように構成されている。マイクロコンピュータ26およびDRAM27は、映像処理が実行されたパラレル信号をSoC25から受信するように構成されている。外部インターフェースコネクタ28は、映像処理が実行されたパラレル信号を外部インターフェースに出力するように構成されている。基板2において伝送される信号のインターフェースは、例えば、SerDes(SERializer/DESerializer)、LVDS SerDes(Low Voltage Differential Signaling SERializer/DESerializer)等である。電源回路29は、SoC25、マイクロコンピュータ26、DRAM27および集積回路21に電力を供給するように構成されている。入力電源PWが基板2に接続されている。また、図示されないが、基板2には、インダクタおよびコンデンサ等の部品が実装されている。
【0035】
電子機器100は、映像信号をパラレル信号に維持した状態で伝送するように構成されていてもよい。しかしながら、映像信号がパラレル信号に維持された場合、基板2のピンの数の増加、基板2の大型化、パラレル信号へのノイズ対策および配線数の増加等によって基板2の設計が困難になることがある。この場合、基板2において伝送される信号のインターフェースは、SerDesであることが望ましい。なお、本実施の形態では信号の伝送方法はシングルエンド方式であるが、信号の伝送方法は差動方式であってもよい。
【0036】
図6に示されるように、基板2の信号線22は、第1信号線部22Aと、第2信号線部22Bとを含んでいてもよい。第1コネクタ41は、第1コネクタ部41Aと、第2コネクタ部41Bとを含んでいてもよい。第2コネクタ42は、第3コネクタ部42Aと、第4コネクタ部42Bとを含んでいてもよい。同軸ケーブルCAは、第1同軸ケーブル部CAAと、第2同軸ケーブル部CABとを含んでいてもよい。外部機器EDは、第1外部機器部EDAと、第2外部機器部EDBとを含んでいてもよい。電子機器100は、仕切り板9を含んでいてもよい。
【0037】
第1信号線部22Aおよび第2信号線部22Bの各々は、第1コネクタ部41Aおよび第2コネクタ部41Bにそれぞれ電気的に接続されている。第1コネクタ部41Aおよび第2コネクタ部41Bの各々は、第3コネクタ部42Aおよび第4コネクタ部42Bの各々にそれぞれ電気的に接続されている。仕切り板9は、第1コネクタ部41Aと第2コネクタ部41Bとの間に配置されている。第1同軸ケーブル部CAAは、第3コネクタ部42Aと第1外部機器部EDAとを電気的に接続している。第2同軸ケーブル部CABは、第4コネクタ部42Bと第2外部機器部EDBとを電気的に接続している。なお、信号線部、コネクタ部、同軸ケーブル部、基板2の集積回路21、マイクロコンピュータ26(図5参照)、DRAM27(図5参照)外部インターフェースコネクタ28(図5参照)の数の各々の数は、上記に限られず、適宜に定められてもよい。
【0038】
次に、実施の形態1に係る電子機器100に生じるノイズであるディファレンシャルモードノイズおよびコモンモードノイズについて説明する。
【0039】
ディファレンシャルモードノイズは、基板2および外部機器EDのHi(High:高)の信号端子とLo(Low:低)の信号端子との間に生じる。本実施の形態では、ディファレンシャルモードノイズは、例えば、基板2の集積回路21において生じる。ディファレンシャルモードノイズは、信号に直列に加算される。
【0040】
コモンモードノイズは、基板2の信号端子と大地との間に生じる。コモンモードノイズによって、Hiの信号端子およびLoの信号端子の電位が大地に対して変化する。Hiの信号端子のコモンモードノイズによる大地に対する振幅および位相は、Loの信号端子の各々のコモンモードノイズによる大地に対する振幅および位相と同じである。コモンモードノイズは、同相雑音、対地誘導雑音、不平衡雑音、非対称雑音と呼ばれることもある。本実施の形態において、コモンモードノイズは、不要電磁波である。
【0041】
コモンモードノイズは、例えば、基板2の集積回路21およびグランド層23等において生じる。コモンモードノイズは、例えば、信号線22およびグランド層23(往路)を通って第1コネクタ41に伝送される。第1コネクタ41に伝送されたコモンモードノイズは、例えば、基板2のグランド層23、シールドおよびコンジット等を通って集積回路21に伝送される。なお、シールドおよびコンジットは、図示されていない。第1コネクタ41に伝送されたコモンモードノイズが集積回路21に戻る経路(帰路)は、電子機器100の設計時に考慮されないことがある。コモンモードノイズは、ディファレンシャルモードノイズに変換されて信号を妨害する。
【0042】
続いて、本実施の形態に係る電子機器100の作用効果を比較例に係る電子機器101と比較しながら説明する。
【0043】
比較例に係る電子機器101は、図7図9に示されるように、コネクタシールド6を含んでいない。このため、基板2において生じたコモンモードノイズが筐体1に放射された場合には、筐体1の開口部10から筐体1の外部の同軸ケーブルCAに向かってノイズ(不要電磁波)が放射される。これにより、同軸ケーブルCAにノイズが重畳する。また、同軸ケーブルCAに重畳されたノイズは、外部導体CA3から放射されることがある。
【0044】
これに対して、本実施の形態に係る電子機器100によれば、図3に示されるように、コネクタシールド6は、筐体1と基板2のグランド層23とを電気的に接続している。このため、筐体1に放射されたコモンモードノイズは、筐体1から基板2のグランド層23に伝わる。よって、筐体1の開口部10から同軸ケーブルCAに向かってコモンモードノイズが放射されることを抑制することができる。したがって、同軸ケーブルCAに伝わるコモンモードノイズを低減することができる。
【0045】
図3に示されるように、同軸ケーブルCAの外部導体CA3は、第1電磁遮蔽部51および第2電磁遮蔽部52に電気的に接続されている。このため、集積回路21において生じたディファレンシャルモードノイズは、同軸ケーブルCAよりも第1電磁遮蔽部51および第2電磁遮蔽部52に伝わりやすい。第1電磁遮蔽部51および第1電磁遮蔽部51に電気的に接続された第2電磁遮蔽部52は、基板2のグランド層23に電気的に接続されている。このため、第1電磁遮蔽部51および第2電磁遮蔽部52に伝わったノイズは、グランド層23に伝わる。よって、ディファレンシャルモードノイズが同軸ケーブルCAの外部導体CA3に伝わることを抑制することができる。また、同軸ケーブルCAの外部導体CA3からノイズが放射されることを抑制することができる。
【0046】
本実施の形態に係る電子機器100によれば、コモンモードノイズおよびディファレンシャルモードノイズの両方を低減することができるため、電磁波妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)対策を十分に講じることができる。
【0047】
第1コネクタ41は、映像信号を伝送するように構成されている。このため、電子機器100は、映像信号を他の機器に伝送することができる。
【0048】
図3に示されるように、電子機器100は、同軸ケーブルCAを含んでいる。同軸ケーブルCAは、外部導体CA3を含んでいる。このため、ディファレンシャルモードノイズを抑制することができる。
【0049】
実施の形態2.
次に、図10図13を用いて、実施の形態2に係る電子機器100の構成を説明する。実施の形態2は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0050】
図10および図11に示されるように、本実施の形態に係る電子機器100のコネクタシールド6は、基板2の非実装面2b側において筐体1に接続されている。コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b側において筐体1の開口部10を部分的に囲むように構成されている。
【0051】
図12および図13に示されるように、本実施の形態において、コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b上において第1コネクタ41のピン部412を覆っている。第1コネクタ41は、基板2の実装面2a上においてコネクタシールド6から露出している。
【0052】
第1コネクタ41のピン部412は、本体部411よりも小さい。具体的には、ピン部412の第3方向DR3における寸法は、本体部411の第3方向DR3における寸法よりも小さい。
【0053】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
実施の形態2に係る電子機器100によれば、図12および図13に示されるように、コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b上において第1コネクタ41のピン部412を覆っている。ピン部412は、本体部411よりも小さい。このため、コネクタシールド6が本体部411を覆っている場合よりも、コネクタシールド6の寸法を小さくすることができる。よって、筐体1の寸法を小さくすることができる。
【0054】
図12および図13に示されるように、コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b上において第1コネクタ41のピン部412を覆っている。このため、電子部品等が実装されないデッドスペースである非実装面2b側にコネクタシールド6が配置されている。よって、デッドスペースを有効に活用し、かつコモンモードノイズが同軸ケーブルCAに伝わることを抑制することができる。
【0055】
実施の形態3.
次に、図14図17を用いて、実施の形態3に係る電子機器100の構成を説明する。実施の形態3は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0056】
図14および図15に示されるように、本実施の形態に係る電子機器100のコネクタシールド6は、筐体1の開口部10の全部に接続されている。コネクタシールド6は、基板2の両面に配置されている。
【0057】
具体的には、図16および図17に示されるように、コネクタシールド6は、基板2の実装面2a上において第1コネクタ41の本体部411を覆っている。コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b上において第1コネクタ41のピン部412を覆っている。このため、コネクタシールド6は、第1コネクタ41の全体を覆っている。
【0058】
より詳細には、コネクタシールド6は、第1シールド部61と、第2シールド部62とを含んでいる。第1シールド部61は、実装面2a上において本体部411を覆っている。第2シールド部62は、非実装面2b上においてピン部412を覆っている。第1シールド部61は、第2シールド部62とで基板2を挟み込んでいる。第2シールド部62の第3方向DR3における寸法は、第1シールド部61における第3方向DR3における寸法よりも小さい。
【0059】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
実施の形態3に係る電子機器100によれば、図16および図17に示されるように、コネクタシールド6は、基板2の実装面2a上において本体部411を覆っている。また、コネクタシールド6は、基板2の非実装面2b上においてピン部412を覆っている。このため、コネクタシールド6は、第1コネクタ41の全体を覆うことができる。よって、第1コネクタ41に接続された同軸ケーブルCAにノイズが伝わることをさらに抑制することができる。
【0060】
実施の形態4.
次に、図18を用いて、実施の形態4に係る電子機器100の構成を説明する。実施の形態4は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1と同一の構成および作用効果を有している。したがって、上記の実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0061】
図18に示されるように、本実施の形態に係る電子機器100の筐体1およびコネクタシールド6は、一体的に構成されている。筐体1およびコネクタシールド6は、同一の金属によって形成されている。筐体1およびコネクタシールド6は、同一の金属からなっている。なお、図18では、説明の便宜上、筐体1とコネクタシールド6との境界が破線によって図示されている。
【0062】
続いて、本実施の形態の作用効果を説明する。
実施の形態4に係る電子機器100によれば、図18に示されるように、筐体1およびコネクタシールド6は、一体的に構成されている。このため、筐体1およびコネクタシールド6を同一の金属によって形成することができる。よって、筐体1およびコネクタシールド6の製造コストを低減することができる。
【0063】
図18に示されるように、筐体1およびコネクタシールド6は、一体的に構成されている。このため、筐体1およびコネクタシールド6を接合しなくてもよい。よって、筐体1およびコネクタシールド6のグランドが接合によるノイズによって乱れることを抑制することができる。したがって、筐体1およびコネクタシールド6のグランドを安定化させることができる。
【実施例
【0064】
次に、図19を用いて、実施例1~3に係る電子機器100A~100Cおよび比較例に係る電子機器101を説明する。実施例1~3の各々は、実施の形態1~3の各々にそれぞれ対応する。
【0065】
実施例1に係る電子機器100A(図19参照)では、コネクタシールド6は、第1コネクタ41の本体部411を覆っている(図3参照)。実施例2に係る電子機器100B(図19参照)では、コネクタシールド6は、第1コネクタ41のピン部412を覆っている(図12参照)。実施例3に係る電子機器100C(図19参照)では、コネクタシールド6は、第1コネクタ41の本体部411およびピン部412の各々を覆っている(図16参照)。比較例に係る電子機器101(図19参照)は、コネクタシールド6を含んでいない(図8参照)。
【0066】
図19のグラフは、コモンモードノイズが印加された場合における同軸ケーブルCAから100mm離れた位置のノイズの電界強度を示している。図19の実線、一点鎖線、破線および二点鎖線の各々は、それぞれ実施例1~3および比較例におけるノイズの電界強度を示している。
【0067】
実施例1~3に係る電子機器100では、200MHzから960MHzの間において、比較例に係る電子機器101よりもノイズが低減されていた。具体的には、実施例1に係る電子機器100Aでは、430MHzにおいて、比較例に係る電子機器101よりもノイズが23dB低減されていた。具体的には、実施例2に係る電子機器100Bでは、430MHzにおいて、比較例に係る電子機器101よりもノイズが8dB低減されていた。具体的には、実施例3に係る電子機器100Cでは、430MHzにおいて、比較例に係る電子機器101よりもノイズが36dB低減されていた。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 筐体、2 基板、2a 実装面、2b 非実装面、6 コネクタシールド、10 開口部、23 グランド層、41 第1コネクタ、42 第2コネクタ、51 第1電磁遮蔽部、52 第2電磁遮蔽部、100 電子機器、411 本体部、412 ピン部、CA 同軸ケーブル、CA3 外部導体、IS 内部空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図19