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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-05
(45)【発行日】2024-09-13
(54)【発明の名称】安全出力回路
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20240906BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20240906BHJP
   H03K 17/695 20060101ALI20240906BHJP
   G05B 9/03 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H03K17/00 B
H03K17/695
G05B9/03
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021050886
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022148982
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋田 大助
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-175527(JP,A)
【文献】特開平08-185780(JP,A)
【文献】特開2010-277835(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0110689(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00 - 47/36
H03K 17/00
H03K 17/695
G05B 9/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に接続されるリレー、及び、前記リレーを駆動させる2つの出力回路を有する安全ボードを備え、
前記出力回路は、それぞれ、
自機の出力に応じて順電圧が生じる逆差し保護ダイオードと、
前記逆差し保護ダイオードで発生する順電圧を検出するコンパレータと、
前記コンパレータによる検出結果に基づいて自機の出力状態を監視する制御部とを備えた
ことを特徴とする安全出力回路。
【請求項2】
前記出力回路は、外部配線を介して直列接続された
ことを特徴とする請求項1記載の安全出力回路。
【請求項3】
前記リレーは、直列接続された2つのリレーであり、
前記出力回路は、前記リレーに個別に接続された
ことを特徴とする請求項1記載の安全出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器を安全制御する安全出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
安全出力回路は、外部機器を安全制御するための回路である(例えば特許文献1参照)。現在、スマートロボットで用いられている安全出力回路の一例を図3に示す。
図3に示す安全出力回路は、安全ボード1c、リレー2c及び直流電源3cを備えている。安全ボード1cは、外部で直列接続された2つの出力回路11c,12cを有している。出力回路11c,12cは、CPU(Central Processing Unit)111c,121c、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)112c,122c及び逆差し保護ダイオード113c,123cを有している。逆差し保護ダイオード113c,123cは、ユーザが極性を間違えて配線した場合に回路を故障させない目的で使用される。なお、図3において、符号21cはリレー2cが有するスイッチを示し、符号22cはリレー2cが有するコイルを示している。
【0003】
この安全出力回路では、2つの出力回路11c,12cにより、外部機器を安全制御する。すなわち、安全出力回路は、CPU111cがMOSFET112cをオンにし且つCPU121cがMOSFET122cをオンにすることで、外部機器を制御する2重化構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5319400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図3に示す安全出力回路では、出力状態を監視することはできない。そのため、安全ボード1c側で出力回路11c,12cが正常に動作しているのかを判定できない。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、安全ボード側で出力回路が正常に動作しているのかを判定可能な安全制御回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る安全制御回路は、外部機器に接続されるリレー、及び、リレーを駆動させる2つの出力回路を有する安全ボードを備え、出力回路は、それぞれ、自機の出力に応じて順電圧が生じる逆差し保護ダイオードと、逆差し保護ダイオードで発生する順電圧を検出するコンパレータと、コンパレータによる検出結果に基づいて自機の出力状態を監視する制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、安全ボード側で出力回路が正常に動作しているのかを判定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る安全出力回路の構成例を示す図である。
図2】実施の形態2に係る安全出力回路の構成例を示す図である。
図3】従来の安全出力回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る安全出力回路の構成例を示す図である。
安全出力回路は、外部機器(不図示)を安全制御するための回路である。安全出力回路は、図1に示すように、安全ボード1a、リレー2a及び直流電源3aを備えている。
【0011】
安全ボード1aは、安全ボード1aの外部で直列接続された2つの出力回路(出力回路11a及び出力回路12a)を有している。
【0012】
出力回路11aは、図1に示すように、CPU(制御部)111a、MOSFET112a、逆差し保護ダイオード113a及びコンパレータ114aを有している。
【0013】
CPU111aは、出力端子がMOSFET112aのゲート端子に接続され、当該ゲート端子への電圧の印加を制御することで、MOSFET112aのオンオフを制御する。
また、CPU111aは、入力端子がコンパレータ114aの出力端子に接続され、当該コンパレータ114aからの出力信号に基づいて出力回路11aの出力状態を判定する。
【0014】
MOSFET112aは、ドレイン端子がリレー2aの一端(後述するコイル22aの一端)に接続されている。
【0015】
逆差し保護ダイオード113aは、アノードがMOSFET112aのソース端子に接続されている。
【0016】
コンパレータ114aは、非反転入力端子がMOSFET112aのソース端子に接続され、反転入力端子が接地されている。
【0017】
出力回路12aは、図1に示すように、CPU(制御部)121a、MOSFET122a、逆差し保護ダイオード123a及びコンパレータ124aを有している。
【0018】
CPU121aは、出力端子がMOSFET122aのゲート端子に接続され、当該ゲート端子への電圧の印加を制御することで、MOSFET122aのオンオフを制御する。
また、CPU121aは、入力端子がコンパレータ124aの出力端子に接続され、当該コンパレータ124aからの出力信号に基づいて出力回路12aの出力状態を判定する。
【0019】
MOSFET122aは、ドレイン端子が外部配線を介して逆差し保護ダイオード113aのカソードに接続されている。
【0020】
逆差し保護ダイオード123aは、アノードがMOSFET122aのソース端子に接続され、カソードが外部配線を介して接地されている。
【0021】
コンパレータ124aは、非反転入力端子がMOSFET122aのソース端子に接続され、反転入力端子が接地されている。
【0022】
なお、逆差し保護ダイオード113a及び逆差し保護ダイオード123aは、ユーザが極性を間違えて配線した場合に回路を故障させない目的で使用される。
【0023】
リレー2aは、スイッチ21a及びコイル22aを有している。
スイッチ21aは、一端が外部機器が有する一対の入力端子のうちの一方に接続され、他端が外部機器が有する一対の入力端子のうちの他方に接続される。
コイル22aは、スイッチ21aに対向配置されている。コイル22aは、一端が安全ボード1aにおける出力端子(MOSFET112aのドレイン端子)に接続され、他端が直流電源3aのプラス端子に接続されている。
【0024】
直流電源3aは、マイナス端子が接地されている。
【0025】
次に、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路の効果について説明する。
図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路では、従来と同様に、2つの出力回路11a,12aにより、外部機器を安全制御する。すなわち、安全出力回路は、CPU111aがMOSFET112aをオンにし且つCPU121aがMOSFET122aをオンにすることで、外部機器を制御する2重化構造となっている。
【0026】
また、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路では、CPU111aがMOSFET112aをオンにし且つCPU121aがMOSFET122aをオンにすると、逆差し保護ダイオード113a及び逆差し保護ダイオード123aに順電圧が発生する。よって、コンパレータ114a及びコンパレータ124aにより、この逆差し保護ダイオード113a及び逆差し保護ダイオード123aで発生する順電圧が検出されることで、CPU111a及びCPU121aは出力回路11a及び出力回路12aの出力状態を監視可能となる。
【0027】
また、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路では、逆差し保護ダイオード113a及び逆差し保護ダイオード123aを流用して出力回路11a及び出力回路12aの出力状態を監視可能であるため、追加部品を削減可能である。
また、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路では、MOSFET112aのゲート(入力)及びMOSFET122aのゲート(入力)で出力状態を間接監視するのではなく、MOSFET112aのソース(出力)及びMOSFET122aのソース(出力)で出力状態を直接監視しているため、より安全な出力状態の監視が可能となる。
【0028】
また、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路では、安全機能とは異なるが、試運転の際の誤配線チェックにも使用することが可能である。すなわち、誤配線の際には、MOSFET112a及びMOSFET122aをオンにしても電流は流れず、逆差し保護ダイオード113a及び逆差し保護ダイオード123aには順電圧は発生しない。
【0029】
なお図1では、逆差し保護ダイオード113a,123aが、MOSFET112a,122aのソース端子側に配置された場合を示した。しかしながら、これに限らず、逆差し保護ダイオード113a,123aが、MOSFET112a,122aのドレイン端子側に配置されていてもよく、上記と同様の効果が得られる。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、安全出力回路は、外部機器に接続されるリレー2a、及び、リレー2aを駆動させる2つの出力回路11a,12aを有する安全ボード1aを備え、出力回路11a,12aは、それぞれ、自機の出力に応じて順電圧が生じる逆差し保護ダイオード113a,123aと、逆差し保護ダイオード113a,123aで発生する順電圧を検出するコンパレータ114a,124aと、コンパレータ114a,124aによる検出結果に基づいて出力回路11a,12aの出力状態を監視するCPU111a,121aとを備えた。これにより、実施の形態1に係る安全出力回路は、安全ボード1a側で出力回路11a,12aが正常に動作しているのかを判定可能となる。
【0031】
実施の形態2.
図2は実施の形態2に係る安全出力回路の構成例を示す図である。
安全出力回路は、外部機器を安全制御するための回路である。安全出力回路は、図2に示すように、安全ボード1b、2つのリレー(リレー2b及びリレー3b)、及び、直流電源4bを備えている。
【0032】
安全ボード1bは、2つの出力回路(出力回路11b及び出力回路12b)を有している。
【0033】
出力回路11bは、CPU(制御部)111b、MOSFET112b、逆差し保護ダイオード113b及びコンパレータ114bを有している。
【0034】
CPU111bは、出力端子がMOSFET112bのゲート端子に接続され、当該ゲート端子への電圧の印加を制御することで、MOSFET112bのオンオフを制御する。
また、CPU111bは、入力端子がコンパレータ114bの出力端子に接続され、当該コンパレータ114bからの出力信号に基づいて出力回路11bの出力状態を判定する。
【0035】
MOSFET112bは、ドレイン端子が外部配線を介してリレー2bの一端(後述するコイル22bの一端)に接続されている。
【0036】
逆差し保護ダイオード113bは、アノードがMOSFET112bのソース端子に接続され、カソードが外部配線を介して接地されている。
【0037】
コンパレータ114bは、非反転入力端子がMOSFET112bのソース端子に接続され、反転入力端子が接地されている。
【0038】
出力回路12bは、CPU(制御部)121b、MOSFET122b、逆差し保護ダイオード123b及びコンパレータ124bを有している。
【0039】
CPU121bは、出力端子がMOSFET122bのゲート端子に接続され、当該ゲート端子への電圧の印加を制御することで、MOSFET122bのオンオフを制御する。
また、CPU121bは、入力端子がコンパレータ124bの出力端子に接続され、当該コンパレータ124bからの出力信号に基づいて出力回路12bの出力状態を判定する。
【0040】
MOSFET122bは、ドレイン端子が外部配線を介してリレー3bの一端(後述するコイル32bの一端)に接続されている。
【0041】
逆差し保護ダイオード123bは、アノードがMOSFET122bのソース端子に接続され、カソードが外部配線を介して接地されている。
【0042】
コンパレータ124bは、非反転入力端子がMOSFET122bのソース端子に接続され、反転入力端子が接地されている。
【0043】
なお、逆差し保護ダイオード113b及び逆差し保護ダイオード123bは、ユーザが極性を間違えて配線した場合に回路を故障させない目的で使用される。
【0044】
リレー2bは、スイッチ21b及びコイル22bを有している。
スイッチ21bは、一端が外部機器が有する一対の入力端子のうちの一方に接続される。
コイル22bは、スイッチ21bに対向配置されている。コイル22bは、一端が安全ボード1bにおける第1の出力端子(MOSFET112bのドレイン端子)に接続され、他端が直流電源4bのプラス端子に接続されている。
【0045】
リレー3bは、スイッチ31b及びコイル32bを有している。
スイッチ31bは、一端がスイッチ21bの他端に接続され、他端が外部機器が有する一対の入力端子のうちの他方に接続される。
コイル32bは、スイッチ31bに対向配置されている。コイル32bは、一端が安全ボード1bにおける第2の出力端子(MOSFET122bのドレイン端子)に接続され、他端が直流電源4bのプラス端子に接続されている。
【0046】
直流電源4bは、マイナス端子が接地されている。
【0047】
図2に示す実施の形態2に係る安全出力回路についても、図1に示す実施の形態1に係る安全出力回路と同様に、出力回路11b及び出力回路12bの出力状態を監視可能である。
すなわち、図2に示す実施の形態2に係る安全出力回路は、直接に外部機器をドライブできないため、一度リレー2b,3bで中継したものである。この場合、リレー2b及びリレー3b側を直列接続すればよいため、安全ボード1bにおける出力回路11b及び出力回路12bは個別にリレー2b及びリレー3bにアクセスすることになる。
【0048】
この場合についても、実施の形態1と同様に、安全出力回路では、CPU111bがMOSFET112bをオンにし且つCPU121bがMOSFET122bをオンにすると、逆差し保護ダイオード113b及び逆差し保護ダイオード123bに順電圧が発生する。よって、コンパレータ114b及びコンパレータ124bにより、この逆差し保護ダイオード113b及び逆差し保護ダイオード123bで発生する順電圧が検出されることで、CPU111b及びCPU121bは出力回路11b及び出力回路12bの出力状態を監視可能となる。
【0049】
なお図2では、逆差し保護ダイオード113b,123bが、MOSFET112b,122bのソース端子側に配置された場合を示した。しかしながら、これに限らず、逆差し保護ダイオード113b,123bが、MOSFET112b,122bのドレイン端子側に配置されていてもよく、上記と同様の効果が得られる。
【0050】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組合わせ、或いは各実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1a,1b 安全ボード
2a,2b,3b リレー
3a,4b 直流電源
11a,11b 出力回路
12a,12b 出力回路
21a,21b,31b スイッチ
22a,22b,32b コイル
111a,111b CPU(制御部)
112a,112b MOSFET
113a,113b 逆差し保護ダイオード
114a,114b コンパレータ
121a,121b CPU(制御部)
122a,122b MOSFET
123a,123b 逆差し保護ダイオード
124a,124b コンパレータ
図1
図2
図3